(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO2014050145
(43)【国際公開日】20140403
【発行日】20160822
(54)【発明の名称】光信号処理装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 6/12 20060101AFI20160725BHJP
   G02B 6/125 20060101ALI20160725BHJP
   G02F 1/313 20060101ALI20160725BHJP
【FI】
   !G02B6/12 336
   !G02B6/125 301
   !G02F1/313
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】28
【出願番号】2014538206
(21)【国際出願番号】JP2013005785
(22)【国際出願日】20130927
(11)【特許番号】5952911
(45)【特許公報発行日】20160713
(31)【優先権主張番号】2012214336
(32)【優先日】20120927
(33)【優先権主張国】JP
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ
(71)【出願人】
【識別番号】000004226
【氏名又は名称】日本電信電話株式会社
【住所又は居所】東京都千代田区大手町一丁目5番1号
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】特許業務法人 谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 賢哉
【住所又は居所】東京都千代田区大手町一丁目5番1号 日本電信電話株式会社内
(72)【発明者】
【氏名】妹尾 和則
【住所又は居所】東京都千代田区大手町一丁目5番1号 日本電信電話株式会社内
(72)【発明者】
【氏名】大庭 直樹
【住所又は居所】東京都千代田区大手町一丁目5番1号 日本電信電話株式会社内
(72)【発明者】
【氏名】高橋 哲夫
【住所又は居所】東京都千代田区大手町一丁目5番1号 日本電信電話株式会社内
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 俊夫
【住所又は居所】東京都千代田区大手町一丁目5番1号 日本電信電話株式会社内
(72)【発明者】
【氏名】河合 武司
【住所又は居所】東京都千代田区大手町一丁目5番1号 日本電信電話株式会社内
(72)【発明者】
【氏名】福徳 光師
【住所又は居所】東京都千代田区大手町一丁目5番1号 日本電信電話株式会社内
(72)【発明者】
【氏名】石井 雄三
【住所又は居所】東京都千代田区大手町一丁目5番1号 日本電信電話株式会社内
(72)【発明者】
【氏名】葉玉 恒一
【住所又は居所】東京都千代田区大手町一丁目5番1号 日本電信電話株式会社内
(72)【発明者】
【氏名】樋口 雄一
【住所又は居所】東京都千代田区大手町一丁目5番1号 日本電信電話株式会社内
【テーマコード(参考)】
2H147
2K102
【Fターム(参考)】
2H147AA04
2H147AB02
2H147AB06
2H147AB15
2H147AB21
2H147AB24
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2H147BE05
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2H147CA08
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2H147CD02
2H147FD20
2K102AA21
2K102BA05
2K102BA08
2K102BA14
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2K102BB02
2K102BC04
2K102BD01
2K102DA04
2K102DB04
2K102DB08
2K102DC08
2K102DD02
2K102EB08
2K102EB10
2K102EB22
(57)【要約】
入力導波路からの光を集光して細径のビームアレイを形成することが可能な光信号処理装置を提供すること。光信号処理装置は、入力導波路302a〜302cと、アレイ導波路305と、同一点Cを中心とする第一の円弧304aと入力導波路302a〜302cが接続され、同一点Cを中心とする第二の円弧404bとアレイ導波路305が接続されるスラブ導波路304とを備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に形成された導波路を備える光信号処理装置であって、入力導波路と、アレイ導波路と、同一点を中心とする少なくとも一つの第一の円弧と前記入力導波路が接続され、前記同一点を中心とする第二の円弧と前記アレイ導波路が接続されるスラブ導波路とを備えることを特徴とする光信号処理装置。
【請求項2】
前記入力導波路の出射端は、前記同一点に向かって形成されていることを特徴とする請求項1に記載の光信号処理装置。
【請求項3】
前記入力導波路の出射端は、前記同一点と異なる点に向かって形成されていることを特徴とする請求項1に記載の光信号処理装置。
【請求項4】
前記導波路アレイの各導波路の入射端は、前記同一点に向かって形成されていることを特徴とする請求項1または3に記載の光信号処理装置。
【請求項5】
前記導波路アレイの行路長は、当該導波路アレイ内の導波路に割り当てられる番号に対して多項式で表される長さの分布を持つことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の光信号処理装置。
【請求項6】
前記導波路アレイの入射端における導波路の位置、および、前記導波路アレイの出射端における導波路の位置は、一対一の座標変換が可能であることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の光信号処理装置。
【請求項7】
前記導波路アレイは、前記スラブ導波路の出射端面となる円弧に対し、前記同一点から円弧までの最短距離を変調した位置に接続されることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載の光信号処理装置。
【請求項8】
前記導波路アレイの出射端は、光軸方向に多項式で表される曲線状に配置されることを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1項に記載の光信号処理装置。
【請求項9】
請求項1ないし8のいずれか1項に記載の光信号処理装置を複数個基板上に備えたことを特徴とする光信号処理装置。
【請求項10】
前記入力導波路に接続されるマッハツェンダ干渉計をさらに備えることを特徴とする請求項1ないし9のいずれか1項に記載の光信号処理装置。
【請求項11】
前記入力導波路に、タップ回路およびパワーモニタをさらに備えることを特徴とする請求項1ないし10のいずれか1項に記載の光信号処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光通信ネットワークに用いられる光信号処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
インターネットなどのデータ通信ネットワークの爆発的な広がりにより、光通信ネットワークの大容量化の要求がますます大きくなっている。このようなネットワーク需要の拡大に対応するため波長多重通信が実用化されているが、近年は波長ごとの方路スイッチングを可能にする波長選択スイッチ(WSS: Wavelength Selective Switch)の需要も高まりつつある。従来の波長選択スイッチとして、非特許文献1に開示されたものがある。
【0003】
図12は、非特許文献1に開示された波長選択スイッチである。非特許文献1に記載の波長選択スイッチでは、WSSの入力光学系に導波路上に構成されたレンズ光学系を利用して、WSSの光学系を簡素化して、小型化および低価格化を図る方策が開示されている。
具体的には、基板100上に形成された光導波路にWSSの入力光学系が集積されている。入力導波路101から入力された光信号は、入力スラブ導波路102を経由してアレイ導波路103へ入射する。アレイ導波路103は、それぞれの導波路が等しい長さとなるように形成されており、その出力スラブ導波路104での出力端Point Aでは、ガウスビームは幅広になって出力される。
【0004】
ここで、アレイ導波路103における入力スラブ導波路102側の導波路間のピッチd1は、出力スラブ導波路104側の導波路間のピッチd2と等しい場合、すなわち、d1=d2の場合、上述した出力端Point Aでのガウスビームの幅Wは、入力導波路101の導波路モードの幅をw0とすると、下記式(1)で表わされる。
【0005】
【数1】
【0006】
式(1)に示したWの幅を有するコリメートビームは、導波路出力端からも出力される。さらに、入力導波路101以外の入力導波路(たとえば、入力導波路101b)から入力された光信号は、ビームの中心が上述した出力端Point Aに存在し、入力導波路101,101b間の距離xに対応する傾きを有する波面をもつビームとして、導波路出力端より出力される。
【0007】
図12に示した基板100上に形成された入力光学系は、空間光学系が4fを有するスイッチ構成の場合に適している。図12に示すように、4fは、4f=(導波路チップ100からレンズ105aまでの距離f)+(レンズ105aから回析格子106までの距離f)+(回析格子106からレンズ105bまでの距離f)+(レンズ105bからLCOS107までの距離f)で示してある。
【0008】
上述した空間光学系は、スイッチ軸方向および波長方向ともに同一の光学パワー素子(レンズ)を用いて波面成形するような光学系である場合に適している。図12では、基板100から出力された光信号は、2つのレンズ105a,105bおよび回折格子106を経由して、光偏向素子としてのLCOS107へ入射するが、異なる入力ポート、例えば入力ポート101,101bから入力された光信号は、異なる角度でLCOS107へ入射する。それらのビームの主光線がLCOS107に到達する位置は同じ点になる。したがって、LCOS107でビームを偏向させることで、異なる入力ポートからの光信号を高効率に光結合することができ、スイッチ機能が実現される。
【0009】
図12に示した光学系では、4fの光学系に適しているが、そのほかの構成の光学系には適用することができない。たとえば、図13に示すような2f光学系の場合、入力ファイバ201aから出力された光信号は、光路204を経てレンズ202を介して、光偏向素子であるLCOS203へ入射する。そして、入射光はLCOS203で偏向され、光路205を経て光ファイバ201bで結合される。この場合、光信号は、LCOS203に対してコリメートビームとして入射するのが好ましい。入力ファイバ201aからの光信号は、レンズ202の手前(入力ファイバ201aとレンズ202との間)では拡散ビーム204aとして伝搬する。
【0010】
2f光学系の場合は、従来の基板上に作成された入力光学系を適用することはできず、光学系の簡素化やアセンブリの簡単化を行うことはできない。2f光学系においては、光ファイバ201a,201bからは、その主光線がそれぞれ平行になる比較的小径なビームが出力するのが好ましいが、従来の構成はこのようなビームを形成することに適していない。理想的には、光ファイバからの出力ビームは、レンズの焦点距離fだけ伝搬する際には、フラウンホーファ領域となる程度に、小さいのが好ましい。一方、出力ビームが小さすぎる場合には、空間の伝搬中にビームが広がって大きくなりすぎてしまう。このため、図14に示すように、光ファイバの出力端にそれぞれ、マイクロレンズアレイ205を設置することで、ある程度の大きさのビームウェストを持たせ、かつ光ファイバ出力端のビームウェストサイズを抑制し、これにより、開口数を小さくする方策も必要である。
【0011】
このような必要性は、特許文献1に開示の光学系では強くなる。図15は、特許文献1の図7と同一の図であって、LCOSをスイッチング素子として用いる波長選択スイッチの構成を示している。図15に示す波長選択スイッチでは、LCOS素子に偏波依存性があるため、LCOSへの入力光の偏波状態を一方向へそろえる偏波ダイバーシティ光学系が必要となる。このような偏波ダイバーシティの光学系では、偏波分離素子215により、各入力ファイバ201〜205からの光信号(ビーム291,294参照)を直交する偏波成分のビーム(ビーム292〜296参照)に分離させる。その後、ガラス221とλ/2波長板222を梯子状に配置した光素子220により、分離後の直交波長成分のビームを同一方向に整列させる。この場合、光素子220は、ガラス221とλ/2波長板222とからなる極小開口を有し、その内部においては入射光が遮られることなく通過するようにする必要がある。
【0012】
なお、図15において、符号210はマイクロレンズアレイ、符号230は複屈折ウェッジ素子を示している。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0013】
【非特許文献1】Kazunori Seno, Kenya Suzuki, Naoki Ooba, Toshio Watanabe, Masayuki Itoh, Tadashi Sakamoto and Tetsuo Takahashi, “Spatial beam transformer for wavelength selective switch consisting of silica-based planar lightwave circuit”, in Optical Fiber Communication Conference and Exposition (OFC) and National Fiber Optic Engineers Conference (NFOEC) (Optical Society of America, Washington, DC, 2012), JTh2A.5.
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】米国特許第7397980号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
2f光学系では、光ファイバからの出力ビームは、各ファイバからの光信号の主光線が平行であり、それぞれのビームウェストサイズがある程度の幅に収まるようにすることが好ましい。このような入力光学系は、光ファイバアレイにマイクロレンズアレイを設置することで実現可能であるが、マイクロレンズアレイと光ファイバアレイとのアライメントの精度が必要となり、製造トレランスが厳しくなるという問題があった。
【0016】
特許文献1の光学系では、光素子220は、ガラス221とλ/2波長板222とからなる極小開口を有し、その内部で入射光が遮られることなく通過するようにする必要がある。しかしながら、その場合には、マイクロレンズアレイ210と光ファイバ201〜205との位置を精密に調整する必要があるため、量産性の観点から大きな問題があった。すなわち、マイクロレンズアレイ210と光ファイバ201〜205との位置合わせは高い精度が要求され、この光学系の量産を困難にさせ得るものであった。
【0017】
そこで本発明は、上記のような問題に対応してなされたものであり、入力導波路からの光を集光して細径のビームアレイを形成することが可能な光信号処理装置を提供することを目的とする。また、量産可能な光信号処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上記問題を解決するために、本発明は、基板上に形成された導波路を備える光信号処理装置であって、入力導波路と、アレイ導波路と、同一点を中心とする少なくとも一つの第一の円弧と前記入力導波路が接続され、前記同一点を中心とする第二の円弧と前記アレイ導波路が接続されるスラブ導波路と、を備える。
【0019】
ここで、前記入力導波路の出射端は、前記同一点に向かって形成されるようにしてもよい。あるいは、前記入力導波路の出射端は、前記同一点と異なる点に向かって形成されるようにしてもよい。
【0020】
前記導波路アレイの各導波路の入射端は、前記同一点に向かって形成されるようにしてもよい。
【0021】
前記導波路アレイの行路長は、当該導波路アレイ内の導波路に割り当てられる番号に対して多項式で表される長さの分布を持つようにしてもよい。
【0022】
前記導波路アレイの入射端における導波路の位置、および、前記導波路アレイの出射端における導波路の位置は、一対一の座標変換が可能であるようにしてもよい。
【0023】
前記導波路アレイは、前記スラブ導波路の出射端面となる円弧に対し、前記同一点から円弧までの距離を変調した位置に接続されるようにしてもよい。
【0024】
前記導波路アレイの出射端は、光軸方向に多項式で表される曲線状に配置されるようにしてもよい。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、入力導波路からの光を集光して細径のビームアレイを形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】第1実施形態に係る光信号処理装置の構成例を示す図である。
【図2】第6実施形態におけるアレイ導波路の入射端と出射端との位置関係の一例を示す図である。
【図3】第6実施形態におけるスラブ導波路の各円弧面と相対光強度との関係の一例を示す図である。
【図4】第7実施形態に係る光信号処理装置の構成例を示す図である。
【図5】第8実施形態に係る光信号処理装置の構成例を示す図である。
【図6】第9実施形態に係る光信号処理装置の構成例を示す図である。
【図7】第10実施形態に係る光信号処理装置の構成例を示す図である。
【図8】第10実施形態の変形例に係る光信号処理装置において、入力導波路とスラブ導波路との接続部分を拡大した図である。
【図9】第10実施形態の変形例に係る光信号処理装置において、出力導波路から出力される光信号のビームウェスト位置を示す図である。
【図10】第10実施形態の光信号処理装置において、空気および波長板が出力ビームの集光位置を調整するために用いられた場合の集光位置を示す図である。
【図11】第11実施形態に係る光信号処理装置の構成例を示す図である。
【図12】従来の波長選択スイッチの構成を示す図である。
【図13】一般的な2f光学系の構成を示す図である。
【図14】マイクロレンズアレイが光ファイバの出力端側に形成された構成態様を示す図である。
【図15】従来の他の波長選択スイッチの構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の第1〜第11実施形態である光信号処理装置について説明する。各実施形態に係る光信号処理装置は波長選択スイッチである。
【0028】
<第1実施形態>
以下、本発明の光信号処理装置の第1実施形態について説明する。
【0029】
[光信号処理装置の構成]
図1は本発明の第1実施形態に係る光信号処理装置の構成例を示す図である。
【0030】
図1に示す光学系では、光信号処理装置は、導波路基板301上に形成された光導波路を備える。光導波路は、入力導波路302a,302b,302cと、スラブ導波路304と、アレイ導波路305とを含む。
【0031】
スラブ導波路304は、点Cを中心とする半径r0の円弧面(第一の円弧)304aと、点Cを中心とする半径r1の円弧面(第二の円弧)304bとを有する。図1では、r0<r1となるが、r0>r1、r0=r1となるようにしてもよい。また、r0≧0である。
【0032】
入力導波路302a〜302cはスラブ導波路304の円弧面304aに接続され、入力導波路302a〜302からの光信号は、円弧面304aを介してスラブ導波路304に入射するようになっている。ここで、入力導波路302a〜302cの各ピッチはすべて、図1に示すように、x0にする。
【0033】
スラブ導波路304の円弧面304aと接続する入力導波路302a〜302cの出射端は、それぞれ点Cに向かうように配置されている。図1の例では、例えば入力導波路302bの出射端Pが点Cに向かっていることを示してある。
【0034】
アレイ導波路305の各導波路は、スラブ導波路304の円弧面304bに接続され、スラブ導波路304からの光信号は、円弧面304bを介してアレイ導波路305に入射するようになっている。この実施形態では、アレイ導波路305では、それぞれの導波路の光路長差がゼロとなるようにする。また、アレイ導波路305の入射端304bに配置される導波路間の各ピッチはすべてd1、アレイ導波路305の出射端305aに配置される導波路間の各ピッチはすべてd2にする。すなわち、上述した入射端304bおよび出射端305aの各ピッチはそれぞれ等しい。
【0035】
アレイ導波路305の各導波路の入射端は、それぞれ点Cに向かうように配置されている。
【0036】
なお、本実施形態の以下の説明では、説明の容易のため、アレイ導波路305の出射端305aは平面であるとする。
【0037】
[光信号処理装置の動作]
次に、本実施形態の光信号処理装置の動作について再度図1を参照して説明する。
【0038】
この光信号処理装置では、例えば、入力導波路302bから入力される光信号によって、幅w2を有するガウスビームを点Qに与える例について説明する。
【0039】
入力導波路302bからの光信号は、入力導波路302bの出射端Pから、スラブ導波路304に入力される。この実施形態では、入力導波路302bの出射端Pは点Cの方向に向かうように形成されているので、スラブ導波路304へ出力された光信号は、図1の実線で示してあるように、その主光線が点Cの近傍を通りかつ拡散しながら、アレイ導波路304の円弧面304bに到達する。アレイ導波路304の円弧面304bでのビーム径は、下記式(2)で表わされる。
【0040】
【数2】
【0041】
式(2)において、nsはスラブ導波路304の屈折率、λは光信号の波長、w0は入力導波路302bのゼロ次モードのモード径を示す。
【0042】
図1に示すように、光信号の波面は、点Pを中心とする球面形状となるので、波面の両端の成分は波面の中心部分の成分よりもアレイ導波路305の入射端304bに早く到達し、波面の中心部分の成分はその両端の成分よりも遅れてアレイ導波路305の入射端304bに到達する。
【0043】
したがって、アレイ導波路305内の各導波路に対する波面の空間分布は、アレイ導波路の円弧面304bの円弧を形成する曲率半径と、円弧面304bにおける波面の位相の空間分布との差となる。具体的には、アレイ導波路305の入力側および出力側の境界面の任意の座標Xaを、点Cを中心とする極形式で(−r1+r1×cos(θ),r1×sin(θ))で表す。また、アレイ導波路305での光信号の入力点、すなわち入力導波路302bの端部Pの座標を(z0,x0)とすると、アレイ導波路305内の各導波路に対する波面の空間分布は、下記式(3)で表わされる。
【0044】
【数3】
【0045】
式(3)において、φ(θ)はアレイ導波路305内での位相の分布、βはスラブ導波路内の光信号の伝搬定数(β=2πns/λ)を示す。
【0046】
アレイ導波路305の出力端305aにおいて、各導波路が配置される位置の座標は、θに比例するので、式(3)で示される空間分布が自由空間での位相分布そのものとなる。
【0047】
式(3)に示すθについて、マクローリン展開して2次まで採用すると、下記式(4)で表される。
【0048】
【数4】
【0049】
式(4)において、点Cからアレイ境界304b上の点Xaをみた角度をθ、アレイ導波路305の入射端304bにおける導波路間のピッチをd1とし、アレイ番号をiとすると、θは下記式(5)で表される。
【0050】
【数5】
【0051】
この場合、θは、アレイ導波路304の出射端305a側(空間側)の座標xa2に等しい。すなわち、アレイ導波路305の出射端305aにおける導波路間のピッチをd2とすると、θは、下記式(6)で表される。
【0052】
【数6】
【0053】
以上から、式(4)は、出力側の空間での直交座標系における位相の空間分布をそのまま表している。
【0054】
次に、式(4)に示した空間分布の波面の曲率を求める。一般に、球面波の波面は、その中心を原点とすると、原点からrの位置は、下記式(7)で表される。
【0055】
【数7】
【0056】
この式(7)を2次までマクローリン展開すると、下記式(8)を得る。
【0057】
【数8】
【0058】
この式(8)と式(4)とを比較すると、下記式(9)が得られる。
【0059】
【数9】
【0060】
すなわち、出力側の波面の曲率半径r2は、下記(10)で表される。
【0061】
【数10】
【0062】
光信号は、アレイ導波路305の出射端305aからr2離れた位置Qに集光する。このとき、集光位置Qにおけるビームウェストサイズw2は、式(2)に示したWを用いると、r2が十分長い場合は、下記式(11)で表される。
【0063】
【数11】
【0064】
ところで、入力導波路302bは、r0>0の領域に設置される。したがって、光軸と、境界304b(スラブ導波路304とアレイ導波路305との接続面)との交点を結ぶ線上に中心を持つ円弧よりも、外側に入力導波路302a,302b,302cとスラブ導波路304の接続点が配置されるときに、出射端に出力される光信号の波面は収束される。
【0065】
また、各入力導波路302a〜302cからの光信号の各々の空間側の出力波面の主光線が光軸と水平になる条件、すなわちテレセントリック条件は次のようにして求めることができる。一般に、放物線y=ax2+bxの軸は、x=−b/2aであるから、式(4)の空間側の波面の軸θ0(放物線の頂点)は、下記式(12)で表される。
【0066】
【数12】
【0067】
図1では、x0は負の方向に存在するので、角度θ0は正の値となる(∵z0>r1)。したがって、点Pから式(12)の方向にビームを発射すると、空間側の出力ではビームの主光線はθ0>0の側で光軸に平行になる。
【0068】
上記の説明では、特定の一つのポート(例えば、入力導波路302b)から光信号を入力する場合を例にとって説明したが、他のポート(例えば、入力導波路302a,302c)から光信号を入力することで、光導波路出力端305aからr2離れた位置に所望のビームサイズをもつコリメータアレイが実現できる。
【0069】
また、本実施形態のスラブ導波路304は、点Cを中心とする半径r0の円弧面304aと、点Cを中心とする半径r1の円弧面304bとを有するように形成され、特許文献1におけるマイクロレンズアレイと光ファイバとを備えていない。これにより、特許文献1におけるマイクロレンズアレイと光ファイバとの位置合わせが不要となり、本実施形態の光学系の量産がしやすくなる。
【0070】
<第2実施形態>
第1実施形態では、アレイ導波路305の各光路長差をすべてゼロとした場合について説明した。しかしながら、アレイ導波路305の各光路長差をゼロとしないことで自由度の高い入力光学系が実現できる。
【0071】
すなわち、たとえばアレイ導波路305の光路長差を、アレイ導波路305の中心から2次分布で変化するように設定すると、式(4)に示したθの2次係数を変化させることができる。これは式(4)のθを適当な係数をaとしてθ→aθと置き換えることである。したがって、式(10)で示す空間側のビームウェストの位置Qを調整することが可能になる。
【0072】
アレイ導波路305の光路長差に対して、2次分布だけでなく、2次よりも高次の分布を与えるようにしてもよい。たとえば、4次の位相分布の成分を与えると、ビームの収束をさらに調整することができ、点Qをより効率的に光軸方向に移動させることが可能になる。さらに、3次の位相分を与えることで、収差の補正等も可能になる。
【0073】
<第3実施形態>
第1および第2実施形態では、空間側のアレイ導波路305の出射端305aの曲率は無限大、すなわち出射端305aは平面であると仮定して説明した。しかしながら、レイアウト上はアレイ導波路305の出射端305aは、曲面を有するように形成するも可能である。たとえば、アレイ導波路305の入射端305aを点Qからみて凹面とすると、それ自体が集光機能を持つため、集光位置(ビームウェスト位置)を光導波路基板301側に移動させることが可能である。
【0074】
<第4実施形態>
図1に示したスラブ導波路304の入射端304a、および、アレイ導波路305の出射端305aの形状は、変更可能である。たとえば、アレイ導波路305の各導波路の光路長が一定となるようにアレイ導波路305を形成し、さらには、アレイ導波路の出射端305aに、アレイ番号に対して3次または4次の高次の成分を与えることで、第2実施形態と同様の機能を有する入力光学系が実現可能になる。
【0075】
入力導波路302a、302bおよび302cに対する第一の円弧304aは、同一の中心を持つように保ったまま、それぞれ異なる半径としてもよい。すなわち、入力導波路302aに対する円弧304aの半径と、入力導波路302bに対する円弧304aの半径と、入力導波路302cに対する円弧304aの半径を、各々異ならせる。このように設定することで、自由空間側での波面の曲率半径r2を、各入力ごとに異ならせることも可能である。
【0076】
<第5実施形態>
上記各実施形態では、アレイ導波路305内の導波路間のピッチは、スラブ導波路305の入射端304bおよび出射端305aでともに等しい場合について説明した。しかしながら、スラブ導波路305の入射端304aと出射端305aとで異なる大きさとなるようなピッチを設定することで、式(11)の左辺のWを変換することができる。たとえば、入射端305aにおける導波路間のピッチをd1、出射端305aにおける導波路間のピッチをd2とした場合、式(2)および式(11)から、下記式(13)を得ることができる。
【0077】
【数13】
【0078】
この場合、ウェストサイズw2を任意に調整することができるという効果を得る。
【0079】
<第6実施形態>
アレイ導波路305の各端面304a,305aにおける導波路間のピッチd1,d2がそれぞれ一定の間隔となるように設定されていない場合、集光位置(ビームウェスト)Qでのビームの形状を変えることも可能である。たとえば、点Qでのビーム形状をSinc関数形状にする場合、アレイ導波路305の出射端305aにおける波面形状は、矩形状になるように設定すればよい。出射端305aにおける波面形状と、点Qにおける波面形状とは、フーリエ変換の関係にあるからである。
【0080】
この場合、図8に示した2f光学系において、LCOS203上でのビーム形状も矩形にすることができる。LCOS203上でビームを矩形にすることで、ガウス形状に比べて、光エネルギーをLCOS203の中心部に局在させることができ、これによりLCOピクセルを有効に活用することが可能になる。
【0081】
以下、上述した矩形ビームの形成方法について説明する。理想的には矩形のビームとすることが好ましいが、この実施形態では、高次ガウスビームで矩形形状を代用する例を示してある。アレイ導波路305の出射端304bにおける導波路間のピッチd1は等ピッチとし、さらには、アレイ導波路305の出射端305aの位置は可変させる。この場合の高次のガウスビームは、下記式(14)で表される。
【0082】
【数14】
【0083】
式(14)において、αはガウスビームの次数を示す。
【0084】
ここで、スラブ導波路304の入射端304aに沿った座標軸をxa1、スラブ導波路304の入射端304aに沿った座標軸をxa2とすると、アレイ導波路305内の入射端304aにおけるピッチを、アレイ導波路305内の出射端305aにおけるピッチに変更することは、xa1の座標系を、xa2の座標系に変換することと同じである。
【0085】
入射端側の座標系xa1において、光信号はガウスビームとして到達されるので、式(14)に示すαは、α=1となるから、座標系xa1からxa2への座標変換は、下記式(15)で表される。
【0086】
【数15】
【0087】
この観点から、座標変換は、下記式(16)で示すように行えばよい。
【0088】
【数16】
【0089】
次に、アレイ導波路305において、入射端304aの座標と、出射端305aの座標との関係について、図2を参照して説明する。図2は、アレイ導波路305の入射端304bと出射端305aとの位置関係の一例を示す図である。
【0090】
図2に示すように、アレイ導波路305の入射端304bの座標(−250〜+250)と、アレイ導波路305の出射端305aの座標(−250〜+250)とが示されている。このような座標によって、上述した座標変換が行われる。
【0091】
このような座標変換が行われる際のアレイ導波路305の各導波路ごとの強度分布を図3に示す。図3は、アレイ導波路305の各導波路ごとの強度分布の一例を示す図である。図3において、横軸はxa1,xa2の座標系、縦軸は相対光強度を表してある。
【0092】
なお、図3では、ガウスビームの次数αは、α=8とした場合を示してある。また、入力側プロファイルはアレイ導波路305の入射端304bにおける光強度を意味し、出力側プロファイルはアレイ導波路305の出射端305aにおける光強度を意味する。
【0093】
なお、この実施形態では、上述したピッチd1を一定間隔とし、さらには、上述したピッチd2を可変としたが、所望の形状となり得る座標変換であれば、変更可能である。例えば、ピッチd1を可変、ピッチd2を一定間隔になるようにしてもよいし、ピッチd1,d2の両方を可変としてもよい。
【0094】
また、所望の出力波形や波面を得るために、座標系xa1,xa2間の座標変換を行うことに加えて、さらに、アレイ導波路305の光路長を変調して位相分布を変化させるようにしてもよい。この場合には、たとえば、sinc関数状のプロファイルを得るためには、位相分布も変化させるべきであるが、アレイ導波路305の長さを光波面の位相の変化に応じて変調してもよい。さらに、入射端304aおよび出射端305aを、単なる円や平面ではなく、任意の形状にすることで、位相分布を変調しても構わないことは明らかである。
【0095】
さらに、アレイ導波路305の入射端304aおよび出射端305aにおいて、開口幅を変えることで、強度分布を変調することも可能である。
【0096】
<第7実施形態>
第7実施形態に係る光信号処理装置は、1つの基板に、図1に示した入力光学系を例えば2組備えるようにしている。図4は第7実施形態に係る光信号処理装置の構成例を示す図である。
【0097】
図4に示す光学系では、光信号処理装置は、基板401上に形成された2つの入力光学系401A,401Bを備える。各入力光学系401A,401Bは、図4に示すΦの角度が設けられて配置される。
【0098】
入力光学系401Aは、入力導波路402aと、スラブ導波路403aと、アレイ導波路412aと、コリメータアレイ404aとを含む。入力光学系401Bは、入力導波路402bと、スラブ導波路403bと、アレイ導波路412bと、コリメータアレイ404bとを含む。
【0099】
次に、本実施形態に係る光信号処理装置の動作について再度図4を参照して説明する。
【0100】
この光信号処理装置では、入力光学系401Aから空間に出力された光信号は、光軸zに対して、コリメータアレイ404aの各主光線がφ/2の角度となって出力される。一方、入力光学系401Bから空間に出力された光信号は、光軸zに対して、コリメータアレイ404aの各主光線が−φ/2の角度となって出力される。
【0101】
以下、入力光学系401A,401Bの動作について説明する。
【0102】
図4では、点Qから距離f離れた位置に、焦点距離がfのレンズ413が配置され、さらに、距離fだけ離れた位置に、LCOS411が配置されている。この場合、その主光線は、光軸zから上方に位置するS1に届く。このS1の位置は、入力光学系401Aにおける入力導波路402a内のいずれかの導波路から光信号を入射した場合も同じである。
【0103】
一方、入力光学系401Bからの光信号についても、その主光線は、光軸zから下方に位置するS2に届く。このS2の位置は、入力光学系401Bにおける入力導波路402b内のいずれかの導波路から光信号を入射した場合も同じである。
【0104】
入力光学系401A,401Bの構成によって、光信号は異なる位置S1,S2に到達することになり、これにより一つのLCOS411を2つの光学系401A,401Bで共有することができる。
【0105】
一方、入力光学系401Aからの光入力により、点Qでビームウェストを持つ光信号は、レンズ413までは拡大しつつ伝搬し、レンズ413を通過した後は、平行光となる。そして、平行光は、LCOS411の領域410aに入射する。同様の作用により、入力光学系401Bからの光信号については、図4に示すように、LCOS411の領域410bに入射する。
【0106】
このような光学系は、ファイバアレイとマイクロレンズを用いて構成することは困難であり、本実施形態の光学系を適用することで実現することができる。また、本実施態では、2つの入力光学系401A,401Bを適用する場合について説明したが、3つ以上の数の入力光学系を基板に集積することも可能である。
【0107】
<第8実施形態>
第8実施形態に係る光信号処理装置は、1つの基板に、異なる入力光学系を備えるようにしている。図5は第8実施形態に係る光信号処理装置の構成例を示す図である。
【0108】
図5に示す光信号処理装置は、基板301上に形成された2つの入力光学系301A,301Bを備える。
【0109】
入力光学系301Aは、図1に示した入力光学系と同様の構成である。すなわち、入力光学系301Aは、導波路基板301上に形成された光導波路を備える。光導波路は、入力導波路302a,302b,302cと、スラブ導波路304と、アレイ導波路305とを含む。
【0110】
一方、入力光学系301Bは、図1に示した入力光学系と異なる構成である。入力光学系301Bは、導波路基板301上に形成された光導波路を備える。光導波路は、入力導波路402と、スラブ導波路404と、アレイ導波路405とを含む。
【0111】
スラブ導波路404は、点C’を中心とする半径r0’の円弧面と、点C’を中心とする半径r1’の円弧面とを有する。この場合、r0’<r1’となるが、r0’>r1’、r0’=r1’となるようにしてもよい。
【0112】
図5において、w2’は集光位置におけるビームウェストサイズを示してある。
【0113】
<第9実施形態>
第9実施形態の光信号処理装置は、図6に示した入力導波路にマッハツェンダ干渉計を配置するようにしている。図6は第9実施形態に係る光信号処理装置の構成例を示す図である。
【0114】
図6では、第1の入力光学系における入力導波路をA−1,A−2,…,A−5とし、第2の入力光学系における入力導波路をB−1、B−2,…,B−5として示してある。図6では、各々の入力導波路を5つとしているが、その数は変更可能である。
【0115】
図6において、入力導波路A−5,B−1には、それぞれマッハツェンダ干渉計によるスイッチ501a,501bが設置され、さらに、それらの片方のポートは、互いに接続されている。これらのマッハツェンダ干渉計によるスイッチ501a,501bはともにスルー状態のときに、スラブ導波路403aを有する入力光学系、および、スラブ導波路403bを有する入力光学系はともに独立した1×4スイッチとして動作する。これをPattern Aと称する。その状態を、図6のPattern Aの矢印で示してある。
【0116】
一方、マッハツェンダ干渉計によるスイッチ501a,501bがともにクロス状態のときは、1×7スイッチとして動作する。この状態をPattern Bと称する。その状態も、図6のPattern Bの矢印で示してある。
【0117】
Pattern Bの場合、入力導波路A−3から入力された光信号は、入力導波路A−1,A−2,A−4,A−5のいずれかにルーティングされる。入力導波路A−5にルーティングされた場合は、スラブ導波路403bを有する入力光学系の光信号処理装置に縦列に接続され、その入力光学系が入力導波路B−1を入力とし、入力導波路B−2,B−3,B−4,B−5へとルーティングする光信号処理装置として動作するため、結果として、1×7スイッチとして動作する。
【0118】
このように、マッハツェンダ干渉計を入力導波路に配置することで、スイッチ規模を可変とする光信号処理装置が実現される。
【0119】
図6に示すように、光信号処理装置はさらに、入力導波路A−1〜A−5,B−1〜B−5に、それぞれマッハツェンダ干渉計による可変減衰器502を設置することも可能である。この場合、マッハツェンダ干渉計の4つの入出力ポートのうち片方ずつを、入力導波路A−1〜A−5,B−1〜B−5に接続することで実現される。
【0120】
図6に示すように、光信号処理装置はさらに、光パワーモニタ機能を付加することも可能である。図6において、入力導波路A−1にマッハツェンダ干渉計によるタップ回路503を付加し、その出力にフォトダイオード504を設置する。この構成では、たとえば光信号の入力を入力導波路A−3として、入力導波路A−1にルーティングした場合、入力導波路A−3に入力された光信号の強度をモニタすることができる。さらに、従来例に示されている光学系のように、空間光学部分に波長選択機能が含まれている場合は、その波長選択機能を使って波長ごとのパワーモニタが可能になる。このような機能は、光チャネルモニタ、光パフォーマンスモニタとして知られているものであり、光信号処理装置の機能を拡張するものである。
【0121】
<第10実施形態>
第10実施形態の光信号処理装置は、図15に示した従来例の光学系を簡略化した構成を実現するものである。図7は第10実施形態に係る光信号処理装置の構成例を示す図である。なお、この光信号処理装置の構成は、図1および図5に示したものと同一である。本実施形態の以下の説明では、特に記述しない限り、図1および図5の説明で用いた符号等をそのまま用いる。
【0122】
図7の例では、図1および図5の場合と異なり、光導波路301から出力されるビームが複数存在する場合について明示されている。すなわち、図1および図5では、ビームウェストが一つ、位置Qにおいて形成される例を示した。これとは別に、図7では、複数のビームウェストが点Q,Q1,Q2で形成される例として、入力導波路302a〜302cから入射された光信号が光導波路301の外側で形成されるための例が示してある。図7は図1から図5までのものと同様であり、図1から図5までの構成でも同様の機能を実現可能であるが、図7ではその機能を明示した。
【0123】
なお、図7において、点Q,Q1,Q2は、光導波路端面305aからの距離がr2の位置である。
【0124】
この場合も、入力導波路302a,302cからの光信号は、入力導波路302bからの光信号と同様に、スラブ導波路304内の点Cに対して、光信号の主光線が通るように調整される。これにより、それらの入力導波路302a,302cからの出力光はともに、光導波路301からの出力時において、入力導波路302bからの出力光と同じ方向に向けるようにすることができる。
【0125】
本実施形態において、偏波ダイバーシティを実現するために、上述のQ,Q1,Q2の位置とアレイ導波路出力端305aとを結ぶ直線(図7の実線)の位置に、特許文献1のものと同様の光素子220を設置することになるが、この場合の構成は、簡便に実現される。これは、本実施形態で例示した光学系の構成では、マイクロレンズアレイと光ファイバとの位置合わせは、光導波路301の作製時におけるフォトリソグラフィ工程で行えばよいからである。このため、マイクロレンズアレイと光ファイバとの位置合わせの精度を高くすることができる。
【0126】
(変形例)
次に、第10実施形態の変形例について説明する。
【0127】
図7において、入力導波路302a,302b,302cとスラブ導波路304との接続点は、点Cを中心とする半径r0の位置に設定される場合について説明した。しかしながら、隣接する入力導波路に対応する半径r0の値が異なるように複数の入力導波路を形成してもよい。この場合、ビームウェストが形成される位置(図7では、Q,Q1,Q2)が変わる。
【0128】
図8は、かかる変形例における入力導波路302a〜302eとスラブ導波路304との接続点を拡大した様子を示す。
【0129】
図8の例では、図7に示した入力導波路302a〜302cに加えて、入力導波路302d,302eが追加してある。図8に示すように、各入力導波路302a,302c,302eは、点Cを中心とする半径r0の円弧上において、スラブ導波路304と接続される。
【0130】
一方、入力導波路302b,302dは、点Cを中心とする半径r0´の円弧上においてスラブ導波路304と接続される。この場合、入力導波路302a〜302eからの光信号は、図7に示したものと同様に、光導波路301の外側でビームウェストが形成されることになる。
【0131】
図9は、かかるビームウェストが形成される位置を例示している。図9に示した5つの出力光311a〜311eは、それぞれ、入力導波路302a,302d,302e,302b,302cからの光信号に対応している。
【0132】
図9において、出力光311b,311dのビームウェストは、アレイ導波路出力端305aから距離r2の位置に形成される。そして、出力光311a,311c,311eのビームウェストは、アレイ導波路出力端305aから距離r2´の位置に形成される。すなわち、光信号311a〜311eのビームウェストは、異なる位置に設定される。
【0133】
このように、本実施形態の変形例によれば、入力導波路301a〜301eとスラブ導波路304との間の接続点と、点Cとの距離(図8に示した例では、r0,r0´)を変えることで、出力光311a〜311eが集光する位置を任意に調整することができる。
【0134】
また、上述した変更例の光信号処理装置において、特許文献1のものと同様の光素子220を設置する場合に、特許文献1に示された光素子の構成(ガラス/波長板/ガラス/波長板/・・・)の代わりに、空気と波長板とからなる光素子(空気/波長板/空気/波長板/・・・)を適用するようにすることが好ましい。
【0135】
図10にかかる光素子の内部の構成例を示す。図10の光素子内において、波長板領域312と空気領域313とを有する。
【0136】
図10には、波長板領域312を透過する光信号311cと、空気領域313を透過する光信号311bとが示してある。
【0137】
例えば、波長板領域312を通過する光信号311cのビームウェストの位置Q1と、空気領域313を通過する光信号311bのビームウェストの位置とが同じになるように設定される場合には、スネルの法則により、光信号311cのビームウェストの位置は、図10中の右側、すなわちQ1よりも、光導波路から離れるz方向の位置に設定される。
【0138】
一方、波長板領域312を通過する光信号311cのビームウェストの位置が、あらかじめQ2(図10)になるように設定される場合は、上述したスネルの法則により、光信号311cのビームウェストの位置はz方向にずれ、Q1と同じ中心位置になる。すなわち、空気と波長板とからなる光素子の場合は、光信号311b,311cのビームウェストの位置を調整することによって、光素子内の狭小な開口内に光信号311b,311cを効果的に通過させることができる。
【0139】
<第11実施形態>
上記各実施形態および変形例では、光導波路からの複数の光信号(ビーム)が平行に出力される場合について説明した。しかしながら、各光信号が異なる向きに出力されるようにすることもできる。なお、以下の説明では、説明の簡略のため、光線は主光線のみを示している。
【0140】
図11は、第11実施形態に係る光信号処理装置の構成例を示す図である。図11は、波長選択スイッチのスイッチ光学系を例示している。
【0141】
図11に例示したスイッチ光学系では、光導波路301上に、前述した実施形態のものと同様に、入力導波路502a〜502f,503a〜503f、スラブ導波路304およびアレイ導波路305が形成されている。
【0142】
図11において、アレイ導波路305のうちの中心に位置する導波路と、スラブ導波路304との交点(接続点)をC’、この交点C’を中心とする任意の半径の円弧を505、この円弧505上の点Cと異なる2点をS1,S2とする。ここでは、簡単のため円弧505の半径をr1とする。このとき、入力導波路502a〜502fを介して入力される光信号は、その主光線がS1を通過するように設定される。また、入力導波路503a〜503fを介して入力される光信号は、その主光線がS2を通過するように設定される。S1、S2は円弧505上の任意の点である。
【0143】
さらに、このスイッチ光学系では、入力導波路502a,503fからの各光信号の主光線は、アレイ導波路305のうちの同一の導波路に入射するように設定される。また、入力導波路502b,503eからの各光信号の主光線は、アレイ導波路305のうちの同一の導波路に入射するように設定される。
【0144】
入力導波路502c,503dからの各光信号の主光線は、アレイ導波路305のうちの同一の導波路に入射するように設定される。入力導波路502d,503cからの各光信号の主光線は、アレイ導波路305のうちの同一の導波路に入射するように設定される。
【0145】
入力導波路502e,503bからの各光信号の主光線は、アレイ導波路305のうちの同一の導波路に入射するように設定される。入力導波路502f,503aからの各光信号の主光線は、アレイ導波路305のうちの同一の導波路に入射するように設定される。
【0146】
このように光信号処理装置を形成することによって、光信号が光導波路301から出力される際に、入力導波路502a〜502fからの光信号はそれぞれ光線504a〜504fとなり、入力導波路503a〜503fからの光信号はそれぞれ光線505a〜505fとなる。導波路を出射した直後は、光線504a〜504fはそれぞれ互いに平行であり、光線505a〜505fはそれぞれ平行である。
【0147】
さらに、図11において、(1)光線504a,505fは光導波路の同一の点、(2)光線504b,505eは光導波路の同一の点、(3)光線504c,505dは光導波路の同一の点、(4)光線504d,505cは光導波路の同一の点、(5)光線504e,505bは光導波路の同一の点、(6)光線504f,505aは光導波路の同一の点からそれぞれ出力される。
【0148】
各光線504a〜504f,505a〜505fは、レンズ413により光路変換されLCOS411へ入射する。ここで、レンズ413の焦点距離はfとする。また、光導波路端面305aからレンズ413までの距離、レンズ413からLCOS411までの距離はともにfとする。
【0149】
レンズ413により光路変換された光線504a〜504fは、LCOS411上の点T1に、光線505a〜505fはLCOS411上の点T2に着弾する。図11においては、点T1に着弾する光線群を点線、点T2に着弾する光線群を実線でそれぞれ表してある。
【0150】
本実施形態によれば、第7実施形態に示したものと同様に、2つの光学系を一つのLCOSで共有することが可能となる。
【0151】
なお、本実施形態では、2つの光学系を集積する場合を例にとって説明したが、入力導波路の配置を変更して、図11に示した円弧505上の点をS1,S2,S3,…と増やすことで、2つ以上の光学系を集積することも可能である。
【0152】
なお、上記各実施形態および変形例の光信号処理装置は、任意に組み合わせて適用することができる。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】

【手続補正書】
【提出日】20151224
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0018
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0018】
上記問題を解決するために、本発明は、基板上に形成された導波路を備える光信号処理装置であって、入力導波路と、アレイ導波路と、同一点を中心とする少なくとも一つの第一の円弧と前記入力導波路が接続され、前記同一点を中心とする第二の円弧と前記アレイ導波路が接続されるスラブ導波路と、を備え、前記アレイ導波路の各導波路の入射端は、前記同一点に向かって形成されている
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0020
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0021
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0021】
前記アレイ導波路の行路長は、当該アレイ導波路内の導波路に割り当てられる番号に対して多項式で表される長さの分布を持つようにしてもよい。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0022
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0022】
前記アレイ導波路の入射端における導波路の位置、および、前記アレイ導波路の出射端における導波路の位置は、一対一の座標変換が可能であるようにしてもよい。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0023
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0023】
前記アレイ導波路は、前記スラブ導波路の出射端面となる円弧に対し、前記同一点から円弧までの距離を変調した位置に接続されるようにしてもよい。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0024
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0024】
前記アレイ導波路の出射端は、光軸方向に多項式で表される曲線状に配置されるようにしてもよい。
【手続補正7】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に形成された導波路を備える光信号処理装置であって、入力導波路と、アレイ導波路と、同一点を中心とする少なくとも一つの第一の円弧と前記入力導波路が接続され、前記同一点を中心とする第二の円弧と前記アレイ導波路が接続されるスラブ導波路とを備え
前記アレイ導波路の各導波路の入射端は、前記同一点に向かって形成されていることを特徴とする光信号処理装置。
【請求項2】
前記入力導波路の出射端は、前記同一点に向かって形成されていることを特徴とする請求項1に記載の光信号処理装置。
【請求項3】
前記入力導波路の出射端は、前記同一点と異なる点に向かって形成されていることを特徴とする請求項1に記載の光信号処理装置。
【請求項4】
前記アレイ導波路の行路長は、当該アレイ導波路内の導波路に割り当てられる番号に対して多項式で表される長さの分布を持つことを特徴とする請求項1ないしのいずれか1項に記載の光信号処理装置。
【請求項5】
前記アレイ導波路の入射端における導波路の位置、および、前記アレイ導波路の出射端における導波路の位置は、一対一の座標変換が可能であることを特徴とする請求項1ないしのいずれか1項に記載の光信号処理装置。
【請求項6】
前記アレイ導波路は、前記スラブ導波路の出射端面となる前記第二の円弧側の円弧面において、前記同一点から前記第一の円弧までの最短距離を延長した位置接続されることを特徴とする請求項1ないしのいずれか1項に記載の光信号処理装置。
【請求項7】
前記アレイ導波路の出射端は、光軸方向に多項式で表される曲線状に配置されることを特徴とする請求項1ないしのいずれか1項に記載の光信号処理装置。
【請求項8】
請求項1ないしのいずれか1項に記載の光信号処理装置を複数個基板上に備えたことを特徴とする光信号処理装置。
【請求項9】
前記入力導波路に接続されるマッハツェンダ干渉計をさらに備えることを特徴とする請求項1ないしのいずれか1項に記載の光信号処理装置。
【請求項10】
前記入力導波路に、タップ回路およびパワーモニタをさらに備えることを特徴とする請求項1ないしのいずれか1項に記載の光信号処理装置。
【国際調査報告】