(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO2014050205
(43)【国際公開日】20140403
【発行日】20160822
(54)【発明の名称】ブレーキキャリパ
(51)【国際特許分類】
   F16D 65/18 20060101AFI20160725BHJP
   B60T 11/04 20060101ALI20160725BHJP
   F16D 121/14 20120101ALN20160725BHJP
   F16D 125/36 20120101ALN20160725BHJP
   F16D 125/64 20120101ALN20160725BHJP
【FI】
   !F16D65/18
   !B60T11/04
   !F16D121:14
   !F16D125:36
   !F16D125:64
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】21
【出願番号】2014538225
(21)【国際出願番号】JP2013064246
(22)【国際出願日】20130522
(11)【特許番号】5842064
(45)【特許公報発行日】20160113
(31)【優先権主張番号】2012218546
(32)【優先日】20120928
(33)【優先権主張国】JP
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KM,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
【住所又は居所】東京都港区南青山二丁目1番1号
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100146835
【弁理士】
【氏名又は名称】佐伯 義文
(74)【代理人】
【識別番号】100175802
【弁理士】
【氏名又は名称】寺本 光生
(74)【代理人】
【識別番号】100094400
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 三義
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(72)【発明者】
【氏名】永井 龍一
【住所又は居所】埼玉県和光市中央1丁目4番1号 株式会社本田技術研究所内
(72)【発明者】
【氏名】中家 啓勝
【住所又は居所】埼玉県和光市中央1丁目4番1号 株式会社本田技術研究所内
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 真二
【住所又は居所】埼玉県和光市中央1丁目4番1号 株式会社本田技術研究所内
(72)【発明者】
【氏名】豊田 秀敏
【住所又は居所】埼玉県和光市中央1丁目4番1号 株式会社本田技術研究所内
(72)【発明者】
【氏名】川▲崎▼ 慎治
【住所又は居所】埼玉県和光市中央1丁目4番1号 株式会社本田技術研究所内
(72)【発明者】
【氏名】松井 康真
【住所又は居所】埼玉県和光市中央1丁目4番1号 株式会社本田技術研究所内
【テーマコード(参考)】
3D047
3J058
【Fターム(参考)】
3D047AA01
3D047CC02
3D047FF06
3J058BA67
3J058FA02
(57)【要約】
ブレーキキャリパは、ブレーキディスクを押圧する機械作動ピストンを摺動可能に収容するキャリパボディと;機械作動ピストンと同軸に機械作動ピストンに並んで配置され、キャリパボディに回動可能に支持される回動筒部材と;回動筒部材に固定され、操作子の操作により回動筒部材を回動させる回動アームと;回動筒部材と機械作動ピストンとの間に構成され、回動筒部材の回転運動を機械作動ピストンの軸方向の直線運動に変換して、機械作動ピストンをブレーキディスク側に押圧して移動させる変換機構と;回動筒部材の径方向の内側又は外側で、この回動筒部材と同軸に配置され、機械作動ピストンが前記ブレーキディスクから離れる方向に付勢するリターンスプリングと、を備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブレーキディスクを押圧するピストンを摺動可能に収容するキャリパボディと;
前記ピストンと同軸に該ピストンに並んで配置され、前記キャリパボディに回動可能に支持される回動筒部材と;
前記回動筒部材に固定され、操作子の操作により前記回動筒部材を回動させる回動アームと;
前記回動筒部材と前記ピストンとの間に構成され、前記回動筒部材の回転運動を前記ピストンの軸方向の直線運動に変換して、前記ピストンを前記ブレーキディスク側に押圧して移動させる変換機構と;
前記回動筒部材の径方向の内側又は外側で、この回動筒部材と同軸に配置され、前記ピストンが前記ブレーキディスクから離れる方向に付勢するリターンスプリングと、を備えることを特徴とするブレーキキャリパ。
【請求項2】
前記ピストンは、前記回動筒部材よりも大径に形成され、
前記回動筒部材の前記径方向の外側には、前記ピストンの前記キャリパボディに対する回動を規制するとともに、前記ピストンの軸方向の移動をガイドするガイド部材が設けられることを特徴とする請求項1に記載のブレーキキャリパ。
【請求項3】
前記回動筒部材の前記ピストン側の端部には前記径方向の外側に張り出すフランジ部が形成され、このフランジ部の前記ピストン側に向く面には前記ピストンを直線運動させるための作用部が形成され、
前記フランジ部のうち前記ピストン側に向く面の反対側の面は、前記キャリパボディ内で、該キャリパボディの一部に対向し、当該一部と前記反対側の面との間には、スラスト軸受けが設けられることを特徴とする請求項2に記載のブレーキキャリパ。
【請求項4】
前記変換機構は、
前記回動筒部材の前記作用部である円周状の溝と前記ピストンに形成された円周状の溝との間に、転動体を保持し、
前記回動筒部材と前記ピストンとに形成される前記円周状の溝のうちの少なくとも一方は、前記ピストンの周方向で溝の深さが変化する傾斜面を有することを特徴とする請求項3に記載のブレーキキャリパ。
【請求項5】
前記変換機構は、前記回動筒部材の回転運動を前記ピストンの軸方向の直線運動に変換するときに、前記ピストンと一体的に移動する可動部材を有し、
前記ピストンと前記可動部材とは螺合結合により一体となるとともに、前記ピストンを前記可動部材に対して相対的に回転させることで、前記可動部材に対する前記ピストンの前記ブレーキディスク側への突出量を調整可能とすることを特徴とする請求項2又は3に記載のブレーキキャリパ。
【請求項6】
前記変換機構は、
前記回動筒部材の前記作用部である円周状の溝と前記可動部材に形成された円周状の溝との間に、転動体を保持し、
前記回動筒部材と前記可動部材とに形成される前記円周状の溝のうちの少なくとも一方は、前記ピストンの周方向で溝の深さが変化する傾斜面を有することを特徴とする請求項5に記載のブレーキキャリパ。
【請求項7】
前記ピストンの前記径方向で、前記ガイド部材に、前記転動体の少なくとも一部が重なるように、前記転動体、前記回動筒部材、及び前記リターンスプリングが配置されることを特徴とする請求項4又は6に記載のブレーキキャリパ。
【請求項8】
前記リターンスプリングは、前記回動筒部材の前記径方向の内側に配置されることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載のブレーキキャリパ。
【請求項9】
前記操作子と前記回動アームとの間がワイヤによって接続され、前記操作子と前記回動アームとの間の前記ワイヤの長さを調整可能な調整機構が設けられることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載のブレーキキャリパ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブレーキキャリパに関する。
本願は、2012年9月28日に出願された日本国特願2012−218546号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
【背景技術】
【0002】
ピストンを収容するキャリパボディと、キャリパボディに回動可能に支持された回動レバーと、を備え、回動レバーを回動させることで、ピストンを伸長させてブレーキディスクに制動力を付与する機械式のブレーキキャリパが従来から知られている。
【0003】
例えば特許文献1に開示されたブレーキキャリパでは、回動レバーの回転運動を直線運動に変換する変換機構(ランプ溝22、カムベアリング23)を介してピストンを押圧することにより、ピストンを伸長させる。また、このブレーキキャリパでは、ピストンを縮退させる方向に付勢するリターンスプリングが、キャリパボディ内に設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】日本国特開2007−146957号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来のような、回転運動を直線運動に変換する変換機構を有するブレーキキャリパでは、ピストンの軸方向に多くの部材が配置されるため、ピストン軸方向での寸法が比較的大きくなってしまう。
【0006】
そこで、本発明に係る態様は、ピストンの軸方向での寸法をコンパクト化できるブレーキキャリパを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記課題の解決手段として、以下の態様を採用した。
(1)本発明に係る一態様のブレーキキャリパは、ブレーキディスクを押圧するピストンを摺動可能に収容するキャリパボディと;前記ピストンと同軸に該ピストンに並んで配置され、前記キャリパボディに回動可能に支持される回動筒部材と;前記回動筒部材に固定され、操作子の操作により前記回動筒部材を回動させる回動アームと;前記回動筒部材と前記ピストンとの間に構成され、前記回動筒部材の回転運動を前記ピストンの軸方向の直線運動に変換して、前記ピストンを前記ブレーキディスク側に押圧して移動させる変換機構と;前記回動筒部材の径方向の内側又は外側で、この回動筒部材と同軸に配置され、前記ピストンが前記ブレーキディスクから離れる方向に付勢するリターンスプリングと、を備える。
【0008】
(2)上記(1)の態様において、前記ピストンは、前記回動筒部材よりも大径に形成され、前記回動筒部材の前記径方向の外側には、前記ピストンの前記キャリパボディに対する回動を規制するとともに、前記ピストンの軸方向の移動をガイドするガイド部材が設けられてもよい。
【0009】
(3)上記(2)の態様において、前記回動筒部材の前記ピストン側の端部には前記径方向の外側に張り出すフランジ部が形成され、このフランジ部の前記ピストン側に向く面には前記ピストンを直線運動させるための作用部が形成され、前記フランジ部のうち前記ピストン側に向く面の反対側の面は、前記キャリパボディ内で、該キャリパボディの一部に対向し、当該一部と前記反対側の面との間には、スラスト軸受けが設けられてもよい。
【0010】
(4)上記(3)の態様において、前記変換機構は、前記回動筒部材の前記作用部である円周状の溝と前記ピストンに形成された円周状の溝との間に、転動体を保持し、前記回動筒部材と前記ピストンとに形成される前記円周状の溝のうちの少なくとも一方は、前記ピストンの周方向で溝の深さが変化する傾斜面を有してもよい。
【0011】
(5)上記(2)又は(3)の態様において、前記変換機構は、前記回動筒部材の回転運動を前記ピストンの軸方向の直線運動に変換するときに、前記ピストンと一体的に移動する可動部材を有し、前記ピストンと前記可動部材とは螺合結合により一体となるとともに、前記ピストンを前記可動部材に対して相対的に回転させることで、前記可動部材に対する前記ピストンの前記ブレーキディスク側への突出量を調整可能としてもよい。
【0012】
(6)上記(5)の態様において、前記変換機構は、前記回動筒部材の前記作用部である円周状の溝と前記可動部材に形成された円周状の溝との間に、転動体を保持し、前記回動筒部材と前記可動部材とに形成される前記円周状の溝のうちの少なくとも一方は、前記ピストンの周方向で溝の深さが変化する傾斜面を有してもよい。
【0013】
(7)上記(4)又は(6)の態様において、前記ピストンの前記径方向で、前記ガイド部材に、前記転動体の少なくとも一部が重なるように、前記転動体、前記回動筒部材、及び前記リターンスプリングが配置されてもよい。
(8)上記(1)から(7)のうちいずれかの態様において、前記リターンスプリングは、前記回動筒部材の前記径方向の内側に配置されてもよい。
【0014】
(9)上記(1)から(8)のうちいずれかの態様において、前記操作子と前記回動アームとの間がワイヤによって接続され、前記操作子と前記回動アームとの間の前記ワイヤの長さを調整可能な調整機構が設けられてもよい。
【発明の効果】
【0015】
上記(1)の態様によれば、リターンスプリングが、回動筒部材の内側又は外側で回動筒部材と同軸に配置されるため、別途ピストンの軸方向に延ばしてリターンスプリングのためのスペースを広く設ける必要がないので、キャリパボディのピストンの軸方向での寸法を抑制できる。これにより、ピストンの軸方向での寸法をコンパクト化できる。
上記(2)の場合、ピストンのキャリパボディに対する回動を規制するガイド部材が、回動筒部材の径方向の外側に設けられることで、コンパクトにガイド部材を設けて、ピストンをスムーズに作動させることができるため、操作性を向上できる。
上記(3)の場合、回動筒部材にフランジ部を形成し、このフランジ部の両面を上手く活用して、コンパクトにスラスト軸受けを設けて、回動筒部材をスムーズに回動させることができるため、操作性を向上できる。
上記(4)の場合、変換機構を溝及び転動体で構成することで厚さを抑えることができる。
上記(5)の場合、ピストンの軸方向での位置調整を行うことができるため、操作性を向上できる。
上記(6)の場合、変換機構を溝及び転動体で構成することで厚さを抑えることができる。
上記(7)の場合、操作性向上のための複数の部材がピストンの径方向で集約されることで、優れた操作性を確保しながら、コンパクト化が図れる。
上記(8)の場合、回動筒部材によってリターンスプリングを保護でき、外観も良好なものにできる。
上記(9)の場合、ワイヤの遊びをブレーキキャリパ側で調整することができるため、操作性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るブレーキキャリパを備えた鞍乗型車両の後部の側面図である。
【図2】上記鞍乗型車両の後部に設けられた状態の第1の実施形態に係るブレーキキャリパの側面図である。
【図3】図2のA−A線に沿う断面図である。
【図4】第1の実施形態に係るブレーキキャリパの作動を説明する図である。
【図5】本発明の第2の実施形態に係るブレーキキャリパを説明する断面図である。
【図6】本発明の第3の実施形態に係るブレーキキャリパを説明する断面図である。
【図7】図6の矢印B方向に見た調整機構の図である。
【図8A】図3のC−C矢視線に沿って見たピストンの矢視図である。
【図8B】図8A及び図3のD−D線に沿う断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
なお、以下で用いる図面において、矢印FRは車両の前方を示し、矢印UPは車両の上方を示し、矢印LHは車両の左方を示している。また、以下の説明では、本発明の実施形態に係るブレーキキャリパ及びこれを構成する部材の向きを車両の向きを基準に説明する場合があるが、本発明のブレーキキャリパの向きは、実施形態で説明する向きに限定されるものではない。
【0018】
<第1の実施形態>
図1には、本発明の第1の実施形態に係るブレーキキャリパを備える鞍乗型車両としての自動二輪車1の後部が示されている。同図において、符号2は車体フレームを示し、車体フレーム2には、後方に向けて延びる左右一対のスイングアーム3の前部が上下方向に揺動可能に支持されている。左右のスイングアーム3の後部にはリヤアクスル4が横架され、リヤアクスル4には後輪5が回動可能に支持されている。また、スイングアーム3の右方には、マフラー6が配置されている。
【0019】
後輪5の中央には、後輪5と一体に回動するブレーキディスク7が設けられ、ブレーキディスク7は、液圧式ブレーキキャリパ8F又は機械式ブレーキキャリパ8Mによって挟み込まれることで、後輪5に制動力を付与する。図2も参照し、右のスイングアーム3の後部内側には上下に延びる板状のキャリパブラケット9が固定され、液圧式ブレーキキャリパ8Fは、キャリパブラケット9の上部に支持され、機械式ブレーキキャリパ8Mは、キャリパブラケット9の下部に支持されている。液圧式ブレーキキャリパ8F及び機械式ブレーキキャリパ8Mは、スイングアーム3と一体に揺動するようになっている。なお、図1に示すように、液圧式ブレーキキャリパ8Fは、マフラー6の車幅方向内側に位置している。また、図2においては、説明便宜上、キャリパブラケット9の輪郭を、太線の実線又は破線で示し、図1、図2において、説明便宜上、ブレーキディスク7の外観に表れない輪郭は二点鎖線で示している。
【0020】
液圧式ブレーキキャリパ8Fは、キャリパブラケット9に対して車幅方向に沿って所定距離だけ移動可能に支持されるキャリパボディ10Fを備え、機械式ブレーキキャリパ8Mは、キャリパブラケット9に対して車幅方向に沿って所定距離だけ移動可能に支持されるキャリパボディ10Mを備えている。キャリパボディ10Fには、ブレーキディスク7を押圧する液圧作動ピストン12が車幅方向に摺動可能に収容され、キャリパボディ10Mには、ブレーキディスク7を押圧する機械作動ピストン13が車幅方向に摺動可能に収容されている。なお、本実施形態では、各ピストン12,13の軸方向が車幅方向に沿う。
ここで、なお、図2において、符号9Aは、キャリパブラケット9における、リヤアクスル4の前方かつスイングアーム3の内側に位置する部位に形成されたスイングアーム係合凹部9Aを示している。このスイングアーム係合凹部9Aは液圧式ブレーキキャリパ8Fの下方かつ機械式ブレーキキャリパ8Mの上方であって、液圧式ブレーキキャリパ8Fと機械式ブレーキキャリパ8Mとの間に位置する。スイングアーム凹部9Aは、スイングアーム3に設けられた凸部3Aとの係合により、キャリパブラケット9をリヤアクスル4との協働で揺動支持する。ちなみに、キャリパブラケット9の後部は、リヤアクスル4に挿通支持されている。
【0021】
液圧式ブレーキキャリパ8Fのキャリパボディ10Fには、液圧作動ピストン12を収容する図示しないシリンダに圧油を供給するためのブレーキホース14が接続され、液圧作動ピストン12は、ブレーキホース14から供給される圧油による液圧に応じて作動する。詳しくは、液圧作動ピストン12は、ブレーキホース14を通して圧油が上記シリンダ内に供給された際に、ブレーキディスク7側に推進して図示省略するブレーキパッドを介してブレーキディスク7を押圧する。
【0022】
本実施形態では、ブレーキホース14はキャリパボディ10Fから自動二輪車1の中央下部に設けられた図示しないマスタシリンダに接続され、マスタシリンダの近傍に揺動可能に支持されたフットペダルの操作によってマスタシリンダ内の圧油が、ブレーキホース14を通してキャリパボディ10Fに供給されるようになっている。液圧式ブレーキキャリパ8Fは、本実施形態において走行時の通常の制動用とされている。
【0023】
一方で、機械式ブレーキキャリパ8Mのキャリパボディ10Mの車幅方向外側壁部には、上方に延びる回動アーム15が回動可能に支持され、回動アーム15の先端部には、ブレーキワイヤ16が連結されている。ブレーキワイヤ16は、一端を回動アーム15に連結させるとともに、他方を、例えばハンドル等の車両適所に設けられる図示しない操作子であるブレーキレバーに連結させており、このブレーキレバーが操作されることで牽引され、回動アーム15を回動させる。なお、本実施形態では、図3に示すように、回動アーム15は、キャリパボディ10M側から延びた後、折り返すように折れ曲がっており、この折れ曲がった先端部に、ブレーキワイヤ16が連結される。
そして、機械式ブレーキキャリパ8Mでは、ブレーキワイヤ16が牽引され回動アーム15が回動されることで、機械作動ピストン13がブレーキディスク7側に推進して図示省略するブレーキパッドを介してブレーキディスク7を押圧するようになっている。
【0024】
なお、本実施形態では、上記ブレーキレバーが、所定量だけブレーキワイヤ16を牽引した位置で解除可能に保持されるように構成され、機械作動ピストン13がブレーキディスク7を押圧した状態を維持できるようになっており、機械式ブレーキキャリパ8Mは、パーキングブレーキ機構を構成している。また、上記ブレーキレバーは、操作によって所定量だけブレーキワイヤ16を牽引した位置で保持された状態を解除された場合に、操作前の状態に復帰するように付勢されており、上記解除がされた場合には、回動アーム15も回動前の状態に復帰するようになっている。
ここで、回動アーム15の回動前の状態への復帰は、後述するリターンスプリング33によって実施されるが、詳細は後述する。また、回動アーム15の回動前の状態を、以下では初期位置と呼ぶものとする。
【0025】
図3を参照し、機械式ブレーキキャリパ8MのA−A線に沿う断面が示されている。機械式ブレーキキャリパ8Mでは、キャリパボディ10Mが、機械作動ピストン13を収容し、ブレーキディスク7の車幅方向外側に配置されたボディ本体17と、ボディ本体17からブレーキディスク7を跨ぐようにして延びたブリッジ部18と、ブリッジ部18からブレーキディスク7の中央に向けて延び、ブレーキディスク7を挟んでボディ本体17と対向した内側当接部19と、を一体に備えている。ボディ本体17と内側当接部19との間には、ブレーキディスク7を挟み込むようにして左右一対のブレーキパッド20が配置され、これらブレーキパッド20はキャリパボディ10Mの適所に支持され、機械作動ピストン13の軸方向で移動可能とされている。なお、図中C1は、機械作動ピストン13の中心軸線を示し、この中心軸線C1に沿う方向が、機械作動ピストン13の軸方向である。
【0026】
ボディ本体17には、ブレーキディスク7に右のブレーキパッド20を挟んで対向する該ボディ本体17の壁部から穿設され車幅方向外側に向けて延びるシリンダ21が形成され、このシリンダ21に機械作動ピストン13が収容されている。機械作動ピストン13は有底筒状に形成され、本実施形態では機械作動ピストン13が、その開口縁部をブレーキディスク7側に向けるようにして、シリンダ21内に収容されている。
【0027】
ここで、ボディ本体17には、シリンダ21の底部から車幅方向外側に延び、ボディ本体17の外部に開口する円形断面の筒部材収容室22が形成されている。そして、この筒部材収容室22には、機械作動ピストン13と同軸に機械作動ピストン13に並んで配置される回動筒部材23が収容されている。この回動筒部材23は、筒部材収容室22内において軸中心に回動可能であって、キャリパボディ10Mに回動可能に支持されている。
回動筒部材23は、車幅方向外側の端部を、筒部材収容室22の車幅方向外側の開口縁から突出させ、この突出した端部に、上記回動アーム15が固定されている。すなわち、回動アーム15が回動されることで、回動筒部材23が回動するようになっている。
【0028】
筒部材収容室22は、シリンダ21の底部から車幅方向外側に延びるシリンダ21よりも小径の大径部22Aと、大径部22Aから車幅方向外側に延びる大径部22Aよりも小径の小径部22Bとを連通させた座ぐり状に形成されている。そして、回動筒部材23には、車幅方向内側の端部に、その径方向の内側及び外側に張り出すフランジ部24が形成され、回動筒部材23は、このフランジ部24が大径部22A内に位置するように筒部材収容室22に収容されている。
【0029】
フランジ部24における径方向の外側に張り出した部位の車幅方向外側に向く面は、大径部22Aと小径部22Bとの間に形成される壁部22Cに対向し、この壁部22Cと上記フランジ部24の車幅方向外側に向く面との間には、スラスト軸受け25が設けられている。
【0030】
また、筒部材収容室22の車幅方向外側の開口縁部には、環状のシール部材37が設けられ、シール部材37は、回動アーム15の基端部に、回動筒部材23の軸方向で当接し、回動筒部材23の車幅方向内側へ向けた移動を規制している。これにより、回動筒部材23は、筒部材収容室22内で、その軸方向への移動を規制された状態で回動するようになっている。
【0031】
そして、回動筒部材23のフランジ部24の車幅方向内側に向く面は、機械作動ピストン13の底部に対向しており、フランジ部24と機械作動ピストン13との間に、回動筒部材23の回転運動を機械作動ピストン13の軸方向の直線運動に変換して、機械作動ピストン13をブレーキディスク7側に押圧して伸長させる変換機構26が構成されている。
【0032】
この変換機構26は、本実施形態においては、周知のものであるカム作用を利用した所謂カムベアリング機構が採用されている。具体的に、本実施形態の変換機構26は、回動筒部材23のフランジ部24及び機械作動ピストン13の底部それぞれに、機械作動ピストン13中心の同心円上に形成されたフランジ側溝27及びピストン側溝28の間に、転動体29を保持し、図8A及び図8Bを参照し、本実施形態では、フランジ側溝27及びピストン側溝28を、機械作動ピストン13の周方向で溝の深さが連続的に変化する傾斜面(27A,28A)を有する傾斜状に形成することで構成されている。ちなみに、図8Bにおいて矢印Rは、中心軸線C1回りを周回する周方向を示している。また、フランジ側溝27及びピストン側溝28は、ピストン13の径方向に沿う面で切断した場合に、転動体29を保持するよう円周状に形成されている。なお、図8Bは、図3及び図8AにおけるD−D線を含む弧状平面の断面図である。
【0033】
なお、フランジ側溝27及びピストン側溝28は、回動筒部材23のフランジ部24及び機械作動ピストン13の底部それぞれにおいて、間隔を空けて複数形成され、転動体29は複数のフランジ側溝27及びピストン側溝28に各別に1つ保持されている。
この変換機構26では、作用部に対応するフランジ側溝27の深い部位にある転動体29が、回動筒部材23の回動に伴って次第にピストン側溝27の浅い部位に接することで、転動体29が機械作動ピストン13側に移動して機械作動ピストン13を押圧することが可能となる。なお、本実施形態では、フランジ部24のフランジ側溝27及び機械作動ピストン13の底部のピストン側溝28それぞれを周方向に傾斜状の溝としたが、フランジ側溝27及びピストン側溝28のいずれか一方を傾斜状としてもよく、他方を、単なる転動体29の保持用の溝としてもよい。本実施例では、フランジ側溝27及びピストン側溝28それぞれを周方向に傾斜状の溝とするため、転動体29と、フランジ側溝27及びピストン側溝28との摩擦が更に抑えられる。また、後述する第2、第3の実施形態においても、変換機構26と同様の変換機構が説明されるが、これら第2、第3の実施形態における変換機構も、第1の実施形態と同様の転動体29、フランジ側溝27及びピストン側溝28で構成される。
【0034】
また、図3に戻り、ボディ本体17においては、回動筒部材23の径方向の外側に、機械作動ピストン13のボディ本体17に対する回動を規制するとともに、機械作動ピストン13の軸方向の移動をガイドするガイド部材30が複数設けられている。
【0035】
これらガイド部材30は、シリンダ21の底部の外周部において、シリンダ21の周方向に間隔を空けて複数形成された保持穴31に一端部側を挿入して固定されている。そして、ガイド部材30は、他端部側が機械作動ピストン13の底部から周壁部にかけて形成された係合穴32に摺動可能に挿入されている。
【0036】
そして、回動筒部材23の径方向の内側には、この回動筒部材23と同軸に配置され、機械作動ピストン13を縮退方向(ブレーキディスク7から離れる方向)に付勢するリターンスプリング33が設けられている。
リターンスプリング33は、回動筒部材23のフランジ部24の径方向の内側に張り出した部位に、一端を当接させるとともに、他端を、機械作動ピストン13の底部中央から車幅方向外側に突出して回動筒部材23の内側に挿入される係合突部34に当接させている。
【0037】
詳しくは、係合突部34は、フランジ部24の径方向の内側を通過して車幅方向外側に延び、その先端に係合突部34よりも大径のキャップ35が装着され、キャップ35のフランジ部24側に向く面に、リターンスプリング33の上記他端が当接されている。リターンスプリング33は、機械作動ピストン13がブレーキディスク7側に推進した場合に縮み、機械作動ピストン13がブレーキディスク7から離れるよう縮退させる方向への付勢力を蓄力する。
なお、ここで、本実施形態の機械式ブレーキキャリパ8Mでは、機械作動ピストン13の径方向で、ガイド部材30に、転動体29の少なくとも一部が重なるように、これら転動体29、回動筒部材23、及びリターンスプリング33が配置されている。
【0038】
上述した機械式ブレーキキャリパ8Mでは、車両適所に設けられる図示しないブレーキレバーによってブレーキワイヤ16が牽引され、回動アーム15が初期位置から回動された場合には、図4に示すように、回動筒部材23が回動して変換機構26によって機械作動ピストン13が押圧され、ブレーキディスク7側に推進してブレーキパッド20を介してブレーキディスク7を押圧することで、ブレーキディスク7に制動力が付与される。そして、上記ブレーキレバーの操作が解除されると、リターンスプリング33によって、機械作動ピストン13が縮退される。
【0039】
以上に記載した上記実施形態に係る機械式ブレーキキャリパ8Mでは、リターンスプリング33が、回動筒部材23の内側で回動筒部材23と同軸に配置されるため、別途機械作動ピストン13の軸方向に延ばしてリターンスプリング33のためのスペースを広く設ける必要がないので、キャリパボディ10Mの機械作動ピストン13の軸方向での寸法を抑制できる。これにより、機械作動ピストン13の軸方向での寸法をコンパクト化できる。回動筒部材23によってリターンスプリング33を保護でき、外観も良好なものにできる。
【0040】
また、本実施形態では、変換機構26を溝(フランジ側溝27、ピストン側溝28)及び転動体29で構成することで厚さを抑え、機械作動ピストン13のキャリパボディ10Mに対する回動を規制するガイド部材30が、回動筒部材23の径方向の外側に設けられることで、コンパクトにガイド部材30を設けて、機械作動ピストン13をスムーズに作動させることができるため、操作性を向上できる。
【0041】
また、本実施形態では、回動筒部材23にフランジ部24を形成し、このフランジ部24の両面を上手く活用して、コンパクトにスラスト軸受け25を設けて、回動筒部材23をスムーズに回動させることができ、操作性を向上できる。
【0042】
また、本実施形態では、機械作動ピストン13の径方向で、ガイド部材30、転動体29、回動筒部材23、及びリターンスプリング33が集約されることで、優れた操作性を確保しながら、全体のコンパクト化が図れる。
【0043】
<第2実施形態>
次に、本発明の第2の実施形態について図5を用いて説明する。本実施形態では、第1の実施形態の機械式ブレーキキャリパ8Mにおける機械作動ピストン13及び変換機構26に対応する構成が、第1の実施形態と異なっている。なお、本実施形態において第1の実施形態と同一の構成要素については、同一符号で示し、説明は省略する。
【0044】
図5を参照し、先ず本実施形態の機械式ブレーキキャリパ8M’では、変換機構26が、回動筒部材23のフランジ部24に形成されたフランジ側溝27と、機械作動ピストン13の底部とフランジ部24との間でシリンダ21内に配置される円板状の変換板40に形成されたピストン側溝28とによって、転動体29を保持することで構成されている。
なお、フランジ側溝27及びピストン側溝28の形状は、第1の実施形態と同様である。
【0045】
変換板40は、シリンダ21内に機械作動ピストン13の軸方向に摺動可能に収容されており、その外周部にはガイド部材30が貫通している。ここで、本実施形態では、ガイド部材30は、変換板40の回動を規制するとともに機械作動ピストン13の軸方向での移動を規制するのみで、機械作動ピストン13には挿入されていない。しかし、後述で明らかになるが、機械作動ピストン13は変換板40と一体に移動することになるため、間接的にガイド部材30に回動を規制されるとともに案内されることになる。
【0046】
変換板40の中央にはピストン13の軸方向に貫通する開口41が形成され、開口41の周縁部からは車幅方向外側に突出する突出筒部42が形成され、この突出筒部42は、回動筒部材23の内側を通過するようにして車幅方向外側に突出している。突出筒部42の先端部には、これの径方向の外側に張り出したスプリング受けフランジ部43が設けられ、本実施形態では、スプリング受けフランジ部43と、回動筒部材23のフランジ部24との間にリターンスプリング33が設けられている。また、突出筒部42の内周面には雌ねじ部44が形成されている。
【0047】
そして、機械作動ピストン13の係合突部34の外周面には雄ねじ部45が形成され、係合突部34は、雄ねじ部45を雌ねじ部44に螺合した状態で、突出筒部42内に挿通されている。これにより、本実施形態では、機械作動ピストン13が変換板40に対して相対的に回動することで、変換板40に対して相対的に軸方向に移動すること可能となっている。また、係合突部34は、突出筒部42から車幅方向外側に突出しており、突出筒部42から突出した係合突部34の先端部外周面には、位置決めナット46が螺着され、位置決めナット46は、スプリング受けフランジ部43に当接している。
また、機械作動ピストン13の係合突部34の先端には、機械作動ピストン13を変換板40に対して回動させるための工具を挿入するための工具溝47が形成されている。
【0048】
以上のような構成の機械式ブレーキキャリパ8M’では、回動アーム15が初期位置から回動された場合には、回動筒部材23が回動して変換機構26の変換板40が押圧され、ブレーキディスク7側に推進する。この際、変換板40の突出筒部42と機械作動ピストン13の係合突部34とが螺合することで一体化されているので、変換板40の推進に伴い、機械作動ピストン13が推進して、ブレーキパッド20を介してブレーキディスク7を押圧することで、ブレーキディスク7に制動力が付与される。
この際、回動筒部材23のフランジ部24に対してスプリング受けフランジ部43が相対的に近づくので、リターンスプリング33は、縮められる。
そして、回動アーム15が回動された状態で保持されている状態を解除されると、リターンスプリング33によって、機械作動ピストン13が縮退され、回動アーム15も初期位置に復帰する。
【0049】
また、この機械式ブレーキキャリパ8M’では、係合突部34の先端の工具溝47に工具を挿入し、機械作動ピストン13を変換板40に対して相対的に回動することで、回動筒部材23の回動によらず、機械作動ピストン13の変換板40に対する軸方向の相対位置を調整できる。
この場合に、機械作動ピストン13は、調整前の状態に対して、変換板40からの距離が変化するものの、変換板40の突出筒部42と機械作動ピストン13の係合突部34とが螺合することで一体化されているので、変換板40に対する相対位置によらず、回動筒部材23の回動に対する変換機構26が変換する直線運動の変換量を一定に受けることが可能となっている。
すなわち、本実施形態では、変換機構26が、回動筒部材23の回転運動を機械作動ピストン13の軸方向の直線運動に変換するときに、機械作動ピストン13と一体的に移動する可動部材である変換板40を有し、機械作動ピストン13と変換板40は螺合結合により一体となっている。そして、機械作動ピストン13を変換板40に対して相対的に回転させることで、変換板40に対する機械作動ピストン13のブレーキディスク7側への突出量を調整可能となっている。
これにより、本実施形態の機械式ブレーキキャリパ8M’では、ブレーキパッド20が摩耗した場合であっても、機械作動ピストン13の位置を調整することで、適正な制動力をブレーキディスク7に付与でき、操作性を向上できる。
【0050】
<第3の実施形態>
次に、本発明の第3の実施形態について図6及び図7を用いて説明する。本実施形態では、ピストンの軸方向での位置調整を行うことができる点で第2の実施形態と同様であるが、リターンスプリング33の配置構成等が、第2の実施形態と異なり、またスプリング受けフランジ部43の形状も第2実施形態と異なっている。なお、本実施形態において第1及び第2の実施形態と同一の構成要素については、同一符号で示し、説明は省略する。
【0051】
図6を参照し、先ず、本実施形態の機械式ブレーキキャリパ8M’’では、リターンスプリング33が、回動筒部材23の径方向の外側で、回動筒部材23と同軸に配置されている。詳しくは、リターンスプリング33は、一端を回動アーム15に当接させるとともに、他端をスプリング受けフランジ部43に当接させている。
【0052】
また、スプリング受けフランジ部43には、径方向の外側に突出するアーム部50が一体に形成され、アーム部50の先端には、湾曲して円形状を呈している。このようなアーム部50の先端部をつまんだりすることで、作業者は、例えばアジャストナット46の回動作業を容易に行える。なお、図中では、アーム50の先端が、回動アーム15の上部に位置し、回動アーム15に重なるように描かれているが、これらはつながっていない。
また、本実施形態では、変換板40の外周部に径方向の内側に凹む係合溝40Aが周方向に並んで複数形成される一方、シリンダ21の内周面に、係合溝40Aに係合する係合突部21Aが機械作動ピストン13の軸方向に沿って延びるように形成されている。係合突部21Aは、変換板40の回動を規制するとともに、変換板40を機械作動ピストン13の軸方向に案内する。
【0053】
また、回動アーム15は、先端部の形状が第1及び第2の実施形態と異なり、この先端部には、二又に分岐した係合部15Aが形成され、係合部15Aにブレーキワイヤ16(図1参照)が連結されている。そして、本実施形態では、操作子である車両適所に設けられるブレーキレバーと回動アーム15との間のブレーキワイヤ16の長さを調整可能な調整機構51が設けられている。なお、図6では、説明便宜上、調整機構51を二点鎖線で示している。
【0054】
ここで、図7を参照し、ブレーキワイヤ16と係合部15Aとの連結及び調整機構51について説明すると、ブレーキワイヤ16は、先端部に雄ねじ部が形成されたロッド部16Aを有している。一方、二又状の係合部15Aの対向部にはそれぞれ貫通孔15Bが形成され、これら貫通孔15Bには、調整機構51の一部材である円柱状の係止部材52が跨るようにして挿入されている。
【0055】
そして、ロッド部16Aは係止部材52を貫通しており、この貫通した側のロッド部16Aにはアジャストナット53が螺着され、アジャストナット53は係止部材52に当接して、係止部材52に係止されている。ここで、本実施形態では、係止部材52及びアジャストナット53により調整機構51が構成されている。このような調整機構51では、アジャストナット53を係止部材52側にねじ込むことで、ブレーキワイヤ16を引っ張ることができるとともに、アジャストナット53をロッド部16Aから抜ける方向に回動させることで、ブレーキワイヤ16の緊張を緩めることができる。
なお、アジャストナット53における係止部材52側に当接する部位は、係止部材52の周面に沿うように弧状に形成されている。
【0056】
このような本実施形態の機械式ブレーキキャリパ8M’’では、ブレーキワイヤ16の遊びを機械式ブレーキキャリパ8M’’側で調整することができるため、操作性を向上できる。つまり、機械作動ピストン13がキャリパボディ10Mから突出する量を調整できる。
【0057】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。例えば、図3〜図5で二点鎖線で示すように、上記第1の実施形態及び第2の実施形態において、第3の実施形態で説明したような調整機構51を追加してもよい。
なお、第2及び第3の実施形態の機械式ブレーキキャリパ8M’及び機械式ブレーキキャリパ8M’’では、変換機構26に対する機械作動ピストン13の相対位置の調整が可能であるため、調整機構51を設けなくとも、機械作動ピストン13がキャリパボディ10Mから突出する量を好適に調整できるが、第1の実施形態のように、変換機構26に対する機械作動ピストン13の相対位置の調整が可能でない構成では、調整機構51を設けることは有効である。
【符号の説明】
【0058】
1 自動二輪車(鞍乗型車両)
7 ブレーキディスク
8M,8M’,8M’’ 機械式ブレーキキャリパ(ブレーキキャリパ)
10M キャリパボディ
13 機械作動ピストン(ピストン)
15 回動アーム
16 ブレーキワイヤ(ワイヤ)
23 回動筒部材
24 フランジ部
25 スラスト軸受け
26 変換機構
27 フランジ側溝(溝,作用部)
28 ピストン側溝(溝)
29 転動体
30 ガイド部材
33 リターンスプリング
40 変換板(可動部材)
41 開口
42 突出筒部
44 雌ねじ部
45 雄ねじ部
46 位置決めナット
51 調整機構
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8A】
【図8B】

【手続補正書】
【提出日】20150928
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブレーキディスクを押圧するピストンを摺動可能に収容するキャリパボディと;
前記ピストンと同軸に該ピストンに並んで配置され、前記キャリパボディに回動可能に支持される回動筒部材と;
前記回動筒部材に固定され、操作子の操作により前記回動筒部材を回動させる回動アームと;
前記回動筒部材と前記ピストンとの間に構成され、前記回動筒部材の回転運動を前記ピストンの軸方向の直線運動に変換して、前記ピストンを前記ブレーキディスク側に押圧して移動させる変換機構と;
前記回動筒部材の径方向の内側又は外側で、この回動筒部材と同軸に配置され、前記ピストンが前記ブレーキディスクから離れる方向に付勢するリターンスプリングと、を備えることを特徴とするブレーキキャリパ。
【請求項2】
前記ピストンは、前記回動筒部材よりも大径に形成され、
前記回動筒部材の前記径方向の外側には、前記ピストンの前記キャリパボディに対する回動を規制するとともに、前記ピストンの軸方向の移動をガイドするガイド部材が設けられることを特徴とする請求項1に記載のブレーキキャリパ。
【請求項3】
前記回動筒部材の前記ピストン側の端部には前記径方向の外側に張り出すフランジ部が形成され、このフランジ部の前記ピストン側に向く面には前記ピストンを直線運動させるための作用部が形成され、
前記フランジ部のうち前記ピストン側に向く面の反対側の面は、前記キャリパボディ内で、該キャリパボディの一部に対向し、当該一部と前記反対側の面との間には、スラスト軸受けが設けられることを特徴とする請求項2に記載のブレーキキャリパ。
【請求項4】
前記変換機構は、
前記回動筒部材の前記作用部である円周状の溝と前記ピストンに形成された円周状の溝との間に、転動体を保持し、
前記回動筒部材と前記ピストンとに形成される前記円周状の溝のうちの少なくとも一方は、前記ピストンの周方向で溝の深さが変化する傾斜面を有することを特徴とする請求項3に記載のブレーキキャリパ。
【請求項5】
前記変換機構は、前記回動筒部材の回転運動を前記ピストンの軸方向の直線運動に変換するときに、前記ピストンと一体的に移動する可動部材を有し、
前記ピストンと前記可動部材とは螺合結合により一体となるとともに、前記ピストンを前記可動部材に対して相対的に回転させることで、前記可動部材に対する前記ピストンの前記ブレーキディスク側への突出量を調整可能とすることを特徴とする請求項3又は4に記載のブレーキキャリパ。
【請求項6】
前記変換機構は、
前記回動筒部材の前記作用部である円周状の溝と前記可動部材に形成された円周状の溝との間に、転動体を保持し、
前記回動筒部材と前記可動部材とに形成される前記円周状の溝のうちの少なくとも一方は、前記ピストンの周方向で溝の深さが変化する傾斜面を有することを特徴とする請求項5に記載のブレーキキャリパ。
【請求項7】
前記ピストンの前記径方向で、前記ガイド部材に、前記転動体の少なくとも一部が重なるように、前記転動体、前記回動筒部材、及び前記リターンスプリングが配置されることを特徴とする請求項4又は6に記載のブレーキキャリパ。
【請求項8】
前記リターンスプリングは、前記回動筒部材の前記径方向の内側に配置されることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載のブレーキキャリパ。
【請求項9】
前記操作子と前記回動アームとの間がワイヤによって接続され、前記操作子と前記回動アームとの間の前記ワイヤの長さを調整可能な調整機構が設けられることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載のブレーキキャリパ。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0011】
(5)上記(3)又は(4)の態様において、前記変換機構は、前記回動筒部材の回転運動を前記ピストンの軸方向の直線運動に変換するときに、前記ピストンと一体的に移動する可動部材を有し、前記ピストンと前記可動部材とは螺合結合により一体となるとともに、前記ピストンを前記可動部材に対して相対的に回転させることで、前記可動部材に対する前記ピストンの前記ブレーキディスク側への突出量を調整可能としてもよい。


【国際調査報告】