(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO2014050217
(43)【国際公開日】20140403
【発行日】20160822
(54)【発明の名称】塗膜転写具
(51)【国際特許分類】
   B43L 19/00 20060101AFI20160725BHJP
   B43M 11/02 20060101ALI20160725BHJP
   B43M 11/06 20060101ALI20160725BHJP
【FI】
   !B43L19/00 H
   !B43M11/02
   !B43M11/06
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】17
【出願番号】2014538227
(21)【国際出願番号】JP2013065361
(22)【国際出願日】20130603
(31)【優先権主張番号】2012210324
(32)【優先日】20120925
(33)【優先権主張国】JP
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC
(71)【出願人】
【識別番号】000237237
【氏名又は名称】フジコピアン株式会社
【住所又は居所】大阪府大阪市西淀川区御幣島5丁目4番14号
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 一也
【住所又は居所】大阪府大阪市西淀川区御幣島5丁目4番14号 フジコピアン株式会社内
(57)【要約】
押し転写及び引き転写を実現可能な塗膜転写具が提供される。この塗膜転写具は、収納具と、第1状態及び第1状態から被転写体に対し上下を反転した第2状態で、収納具内に収納可能な内部転写具とを備える。内部転写具は、基材テープに塗膜を設けた転写テープを繰り出す繰り出し部と、繰り出し部から繰り出された転写テープを被転写体に押圧して塗膜を被転写体に転写する板状転写ヘッドと、転写後の基材テープを巻き取る巻き取り部と、前記板状転写ヘッドよりも前記基材テープの搬送方向に沿って下流側に配置され、転写後の前記基材テープを前記被転写体に押圧する搬送ローラとを有する。内部転写具が収納具内に第1状態で収納されている場合には、板状転写ヘッドを前方へ押し出すことで、塗膜が被転写体に転写され、第2状態で収納されている場合には、板状転写ヘッドが後方へ引かれることで、塗膜が被転写体に転写されるように構成されている。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材テープに塗膜を設けた転写テープの前記塗膜を被転写体に転写するための塗膜転写具であって、
収納具と、
第1状態及び前記第1状態から前記被転写体に対し上下を反転した第2状態で、前記収納具内に収納可能な内部転写具と
を備え、
前記内部転写具は、
前記転写テープを繰り出す繰り出し部と、
前記繰り出し部から繰り出された前記転写テープを前記被転写体に押圧して前記塗膜を前記被転写体に転写する板状転写ヘッドと、
転写後の前記基材テープを巻き取る巻き取り部と、
前記板状転写ヘッドよりも前記基材テープの搬送方向に沿って下流側に配置され、転写後の前記基材テープを前記被転写体に押圧する搬送ローラと
を有し、
前記内部転写具が前記収納具内に前記第1状態で収納されている場合には、前記板状転写ヘッドを前方へ押し出すことで、前記塗膜が前記被転写体に転写され、前記第2状態で収納されている場合には、前記板状転写ヘッドが後方へ引かれることで、前記塗膜が前記被転写体に転写されるように構成されている、
塗膜転写具。
【請求項2】
前記収納具は、塗膜転写時に前記被転写体に接する位置に設けられている凸部を有する、
請求項1に記載の塗膜転写具。
【請求項3】
前記凸部が、回転ローラである、
請求項2に記載の塗膜転写具。
【請求項4】
前記内部転写具は、
前記搬送ローラを回転可能に支持する、弾性変形可能な支持体
をさらに有する、
請求項1に記載の塗膜転写具。
【請求項5】
前記内部転写具は、
前記搬送ローラを回転可能に支持する、弾性変形可能な支持体
をさらに有する、
請求項2に記載の塗膜転写具。
【請求項6】
前記内部転写具は、
前記搬送ローラを回転可能に支持する、弾性変形可能な支持体
をさらに有する、
請求項3に記載の塗膜転写具。
【請求項7】
前記支持体は、塗膜転写時に変形させられて、前記搬送ローラを前記被転写体に対して押圧する押圧力を生じるように弾性変形する、
請求項4に記載の塗膜転写具。
【請求項8】
前記支持体は、塗膜転写時に変形させられて、前記搬送ローラを前記被転写体に対して押圧する押圧力を生じるように弾性変形する、
請求項5に記載の塗膜転写具。
【請求項9】
前記搬送ローラは、前記基材テープの幅よりも広い幅を有し、塗膜転写時に前記被転写体と接し、これにより、塗膜転写時に前記被転写体から回転力を受け取り、前記基材テープに巻き取り方向の送り力を与える、
請求項1に記載の塗膜転写具。
【請求項10】
前記搬送ローラは、前記基材テープの幅よりも広い幅を有し、塗膜転写時に前記被転写体と接し、これにより、塗膜転写時に前記被転写体から回転力を受け取り、前記基材テープに巻き取り方向の送り力を与える、
請求項2に記載の塗膜転写具。
【請求項11】
前記搬送ローラは、前記基材テープの幅よりも広い幅を有し、塗膜転写時に前記被転写体と接し、これにより、塗膜転写時に前記被転写体から回転力を受け取り、前記基材テープに巻き取り方向の送り力を与える、
請求項5に記載の塗膜転写具。
【請求項12】
前記搬送ローラは、前記基材テープの幅よりも広い幅を有し、塗膜転写時に前記被転写体と接し、これにより、塗膜転写時に前記被転写体から回転力を受け取り、前記基材テープに巻き取り方向の送り力を与える、
請求項6に記載の塗膜転写具。
【請求項13】
前記内部転写具及び前記収納具の一方が突起部を有し、他方が前記突起部を回転可能に受け取る受け取り部を有する、
請求項1に記載の塗膜転写具。
【請求項14】
前記内部転写具及び前記収納具の一方が突起部を有し、他方が前記突起部を回転可能に受け取る受け取り部を有する、
請求項11に記載の塗膜転写具。
【請求項15】
前記内部転写具及び前記収納具の一方が突起部を有し、他方が前記突起部を回転可能に受け取る受け取り部を有する、
請求項12に記載の塗膜転写具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基材テープに修正用塗膜、接着用粘着剤、装飾用塗膜等を設けた転写テープの塗膜を被転写体に転写するために用いる塗膜転写具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、カセット内に転写テープが繰り出し可能に収納され、転写テープに設けられた塗膜を被転写体に転写する転写ヘッドが設けられており、転写済みの転写テープを巻き取り可能に構成された塗膜転写具が知られている。また、このような塗膜転写具の一つとして、転写ヘッドの前方方向へ塗膜転写具を押し出して、塗膜を転写する転写ヘッドを転写ローラで構成した塗膜転写具が提案されている。(特許文献1参照)これにより、塗膜転写具を手前に引いて塗膜を転写する場合と比較して、転写位置が転写ヘッドの影にならず、転写位置に対する転写塗膜の過不足防止効果を得ることが可能となっている。また、板状転写ヘッドと比較して、塗膜を転写する際に転写テープに必要以上の押圧力をかけることなく転写操作を行うことが可能となっている。
【0003】
なお、本明細書では、特許文献1のように塗膜転写具を前方(塗膜転写具を把持しているユーザーの身体から離れる方向)へ押し出して塗膜を転写することを「押し転写」、塗膜転写具を後方(塗膜転写具を把持しているユーザーの身体に近づく方向)に引いて塗膜を転写することを「引き転写」と呼ぶこととする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−12000
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来、押し転写方式の塗膜転写具は細かい部分や短い箇所の塗膜転写には好適であったが、大きい面積や長い箇所に素早く塗膜転写する際には、引き転写方式の塗膜転写具が操作し易かった。
【0006】
本発明の目的は、一台で押し転写と引き転写のどちらをも実現可能な塗膜転写具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
A1観点に係る塗膜転写具は、基材テープに塗膜を設けた転写テープの前記塗膜を被転写体に転写するための塗膜転写具であって、収納具と、第1状態及び前記第1状態から前記被転写体に対し上下を反転した第2状態で、前記収納具内に収納可能な内部転写具とを備える。前記内部転写具は、前記転写テープを繰り出す繰り出し部と、前記繰り出し部から繰り出された前記転写テープを前記被転写体に押圧して前記塗膜を前記被転写体に転写する板状転写ヘッドと、転写後の前記基材テープを巻き取る巻き取り部と、前記板状転写ヘッドよりも前記基材テープの搬送方向に沿って下流側に配置され、転写後の前記基材テープを前記被転写体に押圧する搬送ローラとを有する。前記内部転写具が前記収納具内に前記第1状態で収納されている場合には、前記板状転写ヘッドを前方へ押し出すことで、前記塗膜が前記被転写体に転写され、前記第2状態で収納されている場合には、前記板状転写ヘッドが後方へ引かれることで、前記塗膜が前記被転写体に転写されるように構成されている。
【0008】
A2観点に係る塗膜転写具は、A1観点に係る塗膜転写具であって、前記収納具は、塗膜転写時に前記被転写体に接する位置に設けられている凸部を有する。
A3観点に係る塗膜転写具は、A2観点に係る塗膜転写具であって、前記凸部が、回転ローラである。
【0009】
A4観点に係る塗膜転写具は、A1又はA2観点に係る塗膜転写具であって、前記内部転写具は、前記搬送ローラを回転可能に支持する、弾性変形可能な支持体をさらに有する。
A5観点に係る塗膜転写具は、A4観点に係る塗膜転写具であって、前記支持体は、塗膜転写時に変形させられて、前記搬送ローラを前記被転写体に対して押圧する押圧力を生じるように弾性変形する。
【0010】
A6観点に係る塗膜転写具は、A1からA5観点のいずれかに係る塗膜転写具であって、前記搬送ローラは、前記基材テープの幅よりも広い幅を有し、塗膜転写時に前記被転写体と接し、これにより、塗膜転写時に前記被転写体から回転力を受け取り、前記基材テープに巻き取り方向の送り力を与える。
【0011】
A7観点に係る塗膜転写具は、A1からA6観点のいずれかに係る塗膜転写具であって、前記内部転写具及び前記収納具の一方が突起部を有し、他方が前記突起部を回転可能に受け取る受け取り部を有する。
【0012】
B1観点に係る塗膜転写具は、少なくとも、基材テープに塗膜を設けた転写テープを繰り出す繰り出し部、前記繰り出し部から繰り出された転写テープを被転写体に押圧して塗膜を被転写体に転写する板状転写ヘッド、転写後の基材テープを巻き取る巻き取り部、塗膜転写時に被転写体と接して回転することにより転写テープ巻き取り部の方向に送り力を与える搬送ローラを備えた内部転写具と前記内部転写具を収納する収納具からなる塗膜転写具である。前記塗膜転写具は、収納具が被転写体に接する位置に凸部を備えている。前記塗膜転写具は、前記板状転写ヘッドの前方方向へ塗膜転写具を押し出して塗膜を被転写体に転写する塗膜転写具である。前記搬送ローラの幅の長さは、転写テープ幅より広く、搬送ローラは弾性変形可能な支持体によって回転可能に支持されている。さらに、前記塗膜転写具は、押し出して塗膜を転写するのみならず、収納具内の内部転写具を被転写体に対して上下を反転して収納することにより、前記板状転写ヘッドに対して手前方向へ塗膜転写具を引くことでも塗膜を被転写体に転写することができる塗膜転写具である。
【0013】
B2観点に係る塗膜転写具は、前記凸部が、回転ローラであるB1観点に記載の塗膜転写具である。
B3観点に係る塗膜転写具は、前記内部転写具を被転写体に対して上下反転して収納具に収納する方法として、内部転写具に設けられた突起部と収納具に設けられた係合部が回転可能に連結されたことを特徴とするB1観点又はB2観点に記載の塗膜転写具である。
【発明の効果】
【0014】
本発明により、一台で押し転写及び引き転写のどちらにも対応可能な塗膜転写具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の第一実施形態の内部転写具のカバーを外した側面図。
【図2】内部転写具を様々な方向から見た図。
【図3】本発明の第一実施形態に使用される収納具を様々な方向から見た図。
【図4】図3で指示された各箇所における収納具の断面図。
【図5】塗膜転写具の各断面図。
【図6】収納具に組み合わされた内部転写具を背面側から見た回転図。
【図7】押し転写時および引き転写時の内部転写具の配置図。
【図8】本発明の第二実施形態の収納具を示す図。
【符号の説明】
【0016】
A1 内部転写具の中心軸(基準軸)
N 内部転写具
S 収納具
S1 収納具本体
S2 補助部
T1 転写テープ
T2 基材テープ
1 繰出しコア
2 板状転写ヘッド
2a 支持体
2b 軸受け部
3 巻取りコア
4 Oリング
5 搬送ローラ
6 内部転写具ケース
6a 内部転写具ケースの先端部
6b 内部転写具ケースの半円弧形状の突起部
6c 内部転写具ケースの突起状のリブ
7 内部転写具カバー
7a 内部転写具カバーの先端部
7b 内部転写具カバーの半円弧形状の突起部
7c 内部転写具カバーの突起状のリブ
67a 内部転写具ケースとカバーの結合による円盤形状部(直径L)
67b 内部転写具ケースとカバーの結合による円柱形状部(直径m)
8 収納具ケース
8a 収納具ケース側面の空間
8b 収納具ケースのリブ止め
8c 収納具ケースの転写ヘッド側の先端部
8d 収納具ケースの凸部
8e 収納具ケースの半円弧形状の部材
9 収納具カバー
9a 収納具カバー側面の空間
9b 収納具カバーのリブ止め
9c 収納具カバーの転写ヘッド側の先端部
9d 収納具カバーの凸部
9e 収納具カバーの半円弧形状の部材
89e 収納具ケースと収納具カバーの結合による円柱形孔(直径n)
89f 収納具の先端部
10 回転ローラ
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の第一実施形態の塗膜転写具は、内部転写具Nおよびこれを収納する収納具Sからなる。図1は、後述する内部転写具カバー7を外した状態の内部転写具Nの側面図である。内部転写具Nは、基材テープT2に塗膜を塗布した転写テープT1を巻き回した繰出しコア1、塗膜を被転写体に転写する板状転写ヘッド2、転写後の基材テープT2を巻き取る巻取りコア3、繰出しコア1の回転を巻取りコア3に伝えるOリング4、転写テープT1に巻き取り方向の送り力を与える搬送ローラ5、および、内部転写具カセットを形成する内部転写具ケース6および内部転写具カバー7(図示せず)から構成される。繰出しコア1、巻取りコア3及びOリング4は、内部転写具カセット内に収容されている。板状転写ヘッド2には、弾性変形可能な支持体2aが形成されている。支持体2aには、搬送ローラ5の軸を受け取り、これを支持する軸受け部2bが設けられている。なお、繰出しコア1の回転を巻取りコア3に伝えるための方法としては、本実施形態ではOリング4が使用されているが、ギヤ等による伝達も可能であり、特に制限はない。
【0018】
搬送ローラ5は、図1の状態において、基材テープT2の搬送方向に沿って板状転写ヘッド2よりも下流側であって、巻取りコア3よりも上流側に配置され、転写後の基材テープT2を被転写体に押圧する。搬送ローラ5は、成型用樹脂や金属等からなる軸と、弾性材料でできた外周部とからなる。搬送ローラ5の外周部は、被転写体との摩擦力を得るため、摩擦力の高い弾性材料で形成される。弾性材料としては、ポリウレタンエラストマー、オレフィン系エラストマー、スチレン系エラストマー、ポリアミドエラストマー、ナイロン12系エラストマー、ポリエステルエラストマー等のエラストマーや、アクリルゴム、NBR、イソプレンゴム、SBR、ブタジエンゴム、シリコーンゴム、ブチルゴム等の各種ゴム材料が挙げられる。
【0019】
搬送ローラ5の幅は、基材テープT2の幅より広い。そのため、塗膜転写時に搬送ローラ5と被転写体とが接触し、これらの間に摩擦力が発生することにより、この摩擦力で搬送ローラ5の回転力が発生する。そして、この搬送ローラ5の回転力が基材テープT2の送り力となって、基材テープT2を円滑に巻き取ることができる。すなわち、この板状転写ヘッド2と別に設けられた搬送ローラ5の効果により、板状転写ヘッド2を使用しても、塗膜転写の際に強い押圧力をかけることなく、円滑な転写操作を行うことが可能となる。特に、転写テープT1の終期の走行においては、基材テープT2の巻き取り力が低下するが、搬送ローラ5はこの低下を補う働きをする。すなわち、転写テープT1の終期の走行においても、搬送ローラ5が巻き取り方向へ送り力を与えるため、円滑な転写操作を行うことが可能となる。また、搬送ローラ5の幅を基材テープT2の幅より広くすることで、塗膜転写具の直進性を高めることができ、塗膜転写具の蛇行を防止できる。
【0020】
また、搬送ローラ5の幅は、収納具Sの幅及び内部転写具カセットの幅の広い方よりも狭いことが好ましく、数値で表すと、基材テープT2の幅よりも2〜10mm広いものとすることが好ましい。なぜならば、搬送ローラ5の幅から基材テープT2の幅を引いた長さが2mm未満だと、塗膜転写時に搬送ローラ5と被転写体との間の摩擦力が得られにくくなり、基材テープT2の巻き取り不良の恐れが出てくる。また、一般的には、搬送ローラ5の幅が10mmを超えると、搬送ローラ5が、収納具Sの幅及び内部転写具カセットの幅の広い方からはみ出すようになり、搬送ローラ5の破損の恐れが出てくるからである。
【0021】
搬送ローラ5は弾性変形可能な支持体2aによって、回転可能に支持される。図1では、支持体2aを樹脂成型で図1の形状にすることで、弾性変形可能としている。なお、ここでいう「弾性変形可能」とは、外力が与えられていない状態では図1の形状であるが、塗膜転写時に搬送ローラ5に被転写体側から内部転写具カセットのより内部へ向かう方向に外力が加えられたときに、搬送ローラ5が内部転写具カセットのより内部へ移動するように変形し、塗膜転写後に当該外力が取り除かれると図1の形状に戻る性質をいう。支持体2aを弾性変形可能にする方法は特に限定されず、例えば、他の形状の樹脂成型であってもよいし、コイルスプリング等の押しばねを利用してもよい。支持体2aは、この弾性変形可能な性質により、転写テープT1を転写する際に搬送ローラ5を被転写体に押さえつける働きをする。よって、本実施形態の塗膜転写具を使用する場合は、少なくとも転写ヘッド2と搬送ローラ5を被転写体に押し当てて、塗膜転写具を転写ヘッド2の前方方向へ押し出して使用することができる。
【0022】
図2は、図1の内部転写具Nにカバー7を取り付けた図であり、(A)カバー7側から見た内部転写具Nの側面図、(B)転写テープT1側から見た内部転写具Nの上面図、(C)被転写体側から見た内部転写具Nの底面図、(D)転写ヘッド2側から見たケース6およびカバー7の先端部6a、7aの斜視図、(E)転写ヘッド2側と反対側から見た内部転写具Nの背面図を示したものである。
【0023】
板状転写ヘッド2側の内部転写具ケース6の先端部6aおよび内部転写具カバー7の先端部7aの外周は、それぞれ半円弧形状となるように設けられており、一方が他方に嵌め込まれる態様で先端部6a、7aが結合されることにより円盤形状の部材67a(直径L)を形成する。板状転写ヘッド2側と反対側になる背面部には、内部転写具ケース6および内部転写具カバー7のそれぞれに外側に向かって延びる半円弧形状の突起部6b、7bが設けられており、一方が他方に嵌め込まれる態様で突起部6b、7bが結合されることにより円柱形状の突起部67b(直径m)を形成する。更に、内部転写具ケース6および内部転写具カバー7の外面には、それぞれ上面側及び底面側に外側に向かって延びる突起状のリブ6c、7cが設けられている。
【0024】
内部転写具カセットの外形は、内部転写具Nの中心軸A1に対して概ね回転対称(2回対称)な外形を有している。なお、内部転写具Nの中心軸A1とは、円盤形状の部材67aの中心と突起部67bの中心とを通る直線であり、以下、基準軸A1という。
【0025】
図3は、本発明の第一実施形態に使用される収納具Sを示しており、(A)カバー9側から見た収納具Sの側面図、(B)収納具Sの上面図、(C)収納具Sの底面図、(D)転写ヘッド2側から見た収納具ケース8およびカバー9の先端部8c、9c、(E)転写ヘッド2側と反対側から見た収納具Sの背面図を示したものである。
【0026】
収納具Sは、収納具ケース8と収納具カバー9で構成される。また、収納具ケース8と収納具カバー9とが結合された状態で、収納具Sは、雫形に閉ループを形成する収納具本体S1と、概ね三角柱状の外形を有する補助部S2とを有する。収納具ケース8および収納具カバー9の側面にはそれぞれ内部転写具Nの輪郭に概ね沿った空間8a、9aが形成されており、言い換えると、収納具本体S1は、内側に空間8a、9aを規定している。内部転写具Nの輪郭に概ね沿った空間8a、9aは、両空間8a、9aを合わせると、基準軸A1に対して概ね回転対称(2回対称)な形を有している。なお、収納具Sについて基準軸A1を参照して説明する場合には、収納具Sが内部転写具Nを収納した状態が基準とされるものとする。又、収納具ケース8と収納具カバー9において、空間8a、9aの外周を規定する位置にはそれぞれリブ止め8b、9bが設けられている。又、収納具ケース8および収納具カバー9の転写ヘッド2側の先端部8c、9cには、内部転写具Nの板状転写ヘッド2を被転写体側に突出配置させる為の、空間8a、9aにつながる孔が設けられている。
【0027】
補助部S2は、収納具本体S1に隣接して結合されている。また、収納具本体S1は、基準軸A1に対して概ね回転対称(2回対称)な外形を有している。従って、収納具Sは、全体として基準軸A1に対して非回転対称な外形を有している。更に、収納具ケース8および収納具カバー9において補助部S2を形成する部位には、被転写体と接する位置にそれぞれ凸部8d、9dが形成されている。
【0028】
図4は、図3で指示された各箇所における収納具Sの断面図であり、内部転写具Nの背面側となる断面B−Bから見た収納具ケース8および収納具カバー9には、それぞれ空間8a、8bの内側へと延びる半円弧形状の部材8e、9eが設けられており、部材8e、9eの一方が他方に嵌め込まれる態様で結合されることにより円柱形の孔89e(直径n)を形成する。又、断面C−Cから見て、収納具ケース8および収納具カバー9の転写ヘッド2側の先端部は、それぞれホッチキス針の形状(1本の線が同じ方向に2度90°に曲げられたような形状)であり、一方が他方に嵌め込まれるようにして両者が組み合わさることにより、正方形状の先端部89f(開口の一辺寸法W)を形成する。
【0029】
図5は、内部転写具Nを収納具Sに収納した塗膜転写具の各断面図である。(各断面図は図3で指示された断面位置である。)内部転写具Nと収納具Sとが結合した状態では、内部転写具Nの、板状転写ヘッド2側に形成された円盤形状の部材67aが、収納具Sの正方形状の先端部89f(一辺寸法W)内に挿入され、内部転写具Nの、板状転写ヘッド2と反対側となる背面部に形成された円柱形状の突起部67bが、円柱形の孔89eに挿入される。内部転写具Nは、収納具Sに対しこの状態で回転可能に保持される。尚、部材67aの直径L<先端部89fにより規定される開口の一辺寸法W、かつ、突起部67bの直径m<円柱形の孔89eの直径nとすることで、収納具Sが内部転写具Nを回転可能に保持することが可能となる。又、収納具Sの先端部89fは一辺寸法Wの正方形状の開口を有するものとしたが、直径寸法Wの円形状や多角形状の開口を有するものでも構わない。又、内部転写具N側に円柱形の孔が形成されるとともに、収納具S側に円柱形状の突起部が形成されており、前者に後者が挿入されることで、内部転写具Nが収納具Sに対し回転可能に保持されるように構成してもよい。
【0030】
図6は、収納具Sと組み合わされた内部転写具Nを背面側から見た回転図を示したものである。内部転写具ケース6および内部転写具カバー7の外面に形成した突起状のリブ6c、7cは、収納具Sに形成したリブ止め8b、9bの内側に位置し、内部転写具Nを回転させた際にリブ止め8b、9bと接触する寸法まで突出させている。これにより、内部転写具Nを収納具S内で意図せず自在に回転できないように固定できる。又、意図して内部転写具Nを回転させる際には、一定以上の回転力を内部転写具Nに加えることで、リブ止め8b、9b及びリブ6c、7cの少なくとも一方の弾性変形によりリブ6c、7cがリブ止め8b、9bからはずれて回転可能となる。この構造により、収納具Sに収納された内部転写具Nを基準軸A1に対して180°回転させて、上下反転させることが可能となる。その結果、塗膜転写具が、押し転写、引き転写のどちらにも対応可能な塗膜転写具となるものである。
【0031】
図7は、押し転写時の内部転写具Nの配置図および内部転写具Nの上下を反転した引き転写時の内部転写具の配置図であり、矢印方向が転写操作の方向を示している。このように、収納具Sの凸部8d、9dと搬送ローラ5とは、押し転写を行うようにセットされた状態(第1状態)では、基準軸A1を通り、図7の紙面に垂直な面(以下、基準面という)に対して同じ側に配置され、引き転写を行うようにセットされた状態(第1状態)では、基準面に対して反対側に配置される。また、押し転写を行うようにセットされた状態では、凸部8d、9dと、搬送ローラ5と、転写を行う板状転写ヘッド2の先端部とは、概ね一直線状に配置されるように構成されている。従って、押し転写時には、これらの3つの要素が被転写体に同時に接した状態で転写操作が行うことが可能となり、塗膜転写具の蛇行が防止される。一方、引き転写時には、凸部8d、9dと、転写を行う板状転写ヘッド2の先端部とが被転写体に同時に接した状態で転写操作が行うことが可能となり、塗膜転写具の蛇行が防止される。
【0032】
図8は、本発明の第二実施形態の塗膜転写具の側面図と背面図および被転写体側から見た底面図の一部である。ここでは、収納具Sの被転写体側に設けた凸部8d、9dに代えて、凸部8d、9dと同様の役割を果たす筒状の回転ローラ10が設けられている。また、ここでは、収納具ケース8に軸を設け、収納具カバー9に軸受けの凹部を設けており、ケース8の軸に筒状の回転ローラ10が挿入されている。回転ローラ10の材質は、ABS、POM、PE、PS、PP等での形成が好ましく、回転摺動性の良いPOM(ポリアセタール)が最も好ましい。なお、凸部を回転ローラ10とすることで、塗膜転写具を転写ヘッドの前方方向へ押し出す際の力が軽くなると共に、塗膜転写具の直進性が増して蛇行を防止する効果が生じる。又、回転ローラ10表面に搬送ローラ5の弾性材料に使用されるエラストマーや各種ゴム材料の皮膜を設けることで、被転写体との摩擦係数が高くなり、より一層塗膜転写具の直進性が増して蛇行を防止する効果が生じる。
【0033】
上記実施形態の塗膜転写具では、転写ヘッドに被転写体から鋭く立ち上がる板状の部材が用いられているため、これにローラを用いて押し転写を行う特許文献1に記載の塗膜転写具と異なり、塗膜転写の開始位置および終点位置を容易に確認することができる。さらに、押し転写を行う特許文献1では、塗膜転写具を走行させた際に転写ローラの押圧力が軽いため、被転写体に対して転写ヘッドの接触が不安定となり、塗膜転写具が蛇行するといった不具合を生じる場合がある。しかしながら、上記実施形態の塗膜転写具では、転写ヘッドに板状の部材が用いられているため、転写ヘッドの押圧力が軽くなりすぎるという問題は生じない。一方で、この板状の転写ヘッドと別に設けられた搬送ローラ5の効果により、板状転写ヘッド2を使用しても、塗膜転写の際に強い押圧力をかけることなく、円滑な転写操作を行うことが可能となる。よって、上記実施形態の塗膜転写具を用いた押し転写は、特許文献1の塗膜転写具を用いた押し転写よりも操作性が高い。
【0034】
さらに、上記実施形態の塗膜転写具では、内部転写具Nを収納具S内で反転させることが可能に構成されており、この反転により、以上のような押し転写に加え、必要に応じて後方に引いて塗膜を転写することも可能になる。
【0035】
なお、上記実施形態では、搬送ローラ5を支持する支持体2aが弾性変形可能であり、塗膜転写時にこの支持体2aが弾性変形することにより、搬送ローラ5と板状転写ヘッド2との間に段差がなくなり、被転写体に対し面が揃うように構成されていた。しかしながら、支持体2aが弾性変形可能でなくてもよい。この場合には、塗膜転写時に搬送ローラ5自身が被転写体に押されて弾性変形することで、上記段差がなくなり、被転写体に対し搬送ローラ5と板状転写ヘッド2の面が揃うように構成することが好ましい。あるいは、搬送ローラ5を被転写体側に押し付ける前から、搬送ローラ5と板状転写ヘッド2との間に段差がなく、被転写体に対し面が揃うように構成されていてもよい。
【0036】
上記実施形態では、搬送ローラ5の幅が基材テープT2の幅より広いものとしたが、両者の幅を同じとしても、搬送ローラ5の幅が基材テープT2の幅より狭いものとしてもよい。この場合、搬送ローラ5は、塗膜転写時に被転写体と直接接触せず、離型処理の施されている基材テープT2にのみ直接接触することになり得るため、搬送ローラ5を回転させるような上述の摩擦力は必ずしも発生しない。しかしながら、搬送ローラ5が存在することで、板状転写ヘッド2の部分に加え、搬送ローラ5の部分でも、基材テープT2と被転写体とが接触することになり、基材テープT2と被転写体との接触面積が増加する。したがって、同じ押圧力でも、基材テープT2が引き出され易くなり、ひいては、基材テープT2を円滑に巻き取ることができるようになる。すなわち、板状転写ヘッド2と別に設けられた搬送ローラ5の効果により、塗膜転写の際に強い押圧力をかけることなく、円滑な転写操作を行うことが可能となる。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【国際調査報告】