(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO2014050408
(43)【国際公開日】20140403
【発行日】20160822
(54)【発明の名称】光学補償板
(51)【国際特許分類】
   G02B 1/118 20150101AFI20160725BHJP
   G02B 5/30 20060101ALI20160725BHJP
   B32B 7/02 20060101ALI20160725BHJP
   B32B 9/00 20060101ALI20160725BHJP
   G02B 1/18 20150101ALI20160725BHJP
   G02B 1/115 20150101ALI20160725BHJP
【FI】
   !G02B1/118
   !G02B5/30
   !B32B7/02 103
   !B32B9/00 A
   !G02B1/18
   !G02B1/115
【審査請求】有
【予備審査請求】有
【全頁数】21
【出願番号】2014538295
(21)【国際出願番号】JP2013072855
(22)【国際出願日】20130827
(11)【特許番号】5816378
(45)【特許公報発行日】20151118
(31)【優先権主張番号】2012218048
(32)【優先日】20120928
(33)【優先権主張国】JP
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ
(71)【出願人】
【識別番号】306037311
【氏名又は名称】富士フイルム株式会社
【住所又は居所】東京都港区西麻布2丁目26番30号
(74)【代理人】
【識別番号】100075281
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 和憲
(72)【発明者】
【氏名】高橋 裕樹
【住所又は居所】埼玉県さいたま市北区植竹町1丁目324番地 富士フイルム株式会社内
【テーマコード(参考)】
2H149
2K009
4F100
【Fターム(参考)】
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(57)【要約】
チリやホコリが付着しにくい光学補償板を提供する。
光学補償板(10)は、基板(11)、位相差補償層(12)、反射防止層(14)を備える。基板11は、例えばガラス基板である。位相差補償層(12)は、基板(11)の表面に無機材料を斜方蒸着して形成され、基板(11)の表面に対して傾斜した柱状構造体が林立している微細構造を有する。反射防止層(14)は、位相差補償層(12)の上側に設けられ、凹凸構造が一面に一様に形成されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の表面に無機材料を斜方蒸着して形成され、前記基板の表面に対して傾斜した柱状構造が林立している微細構造を有する位相差補償層と、
前記位相差補償層の上側に設けられ、凹凸構造が一面に一様に形成された反射防止層と、
を備える光学補償板。
【請求項2】
前記反射防止層が酸化亜鉛で形成される請求の範囲第1項記載の光学補償板。
【請求項3】
前記反射防止層が網目状多孔構造である請求の範囲第1項記載の光学補償板。
【請求項4】
前記位相差補償層と前記反射防止層との間に、稠密膜で形成された中間層を備える請求の範囲第1項記載の光学補償板。
【請求項5】
少なくとも2種類以上の屈折率が異なる誘電体薄膜を交互に積層して形成された第1誘電体多層膜層が、前記基板と前記位相差補償層との間に設けられている請求の範囲第1項記載の光学補償板。
【請求項6】
前記中間層が1つの膜で形成される場合、前記中間層が前記位相差補償層または前記反射防止層と同じ材料で形成されている請求の範囲第4項記載の光学補償板。
【請求項7】
前記中間層は、前記位相差補償層と同じ材料によって形成された第1稠密膜と、前記反射防止層と同じ材料で形成された第2稠密膜とを備え、
前記第1稠密膜は、前記中間層の最も前記位相差補償層側に設けられ、
前記第2稠密膜は、前記中間層の最も前記反射防止層側に設けられている請求の範囲第4項記載の光学補償板。
【請求項8】
前記中間層は、前記第1稠密膜と前記第2稠密膜との間に、互いに屈折率が異なる2種類以上の誘電体薄膜を積層して形成された第2誘電体多層膜層を備える請求の範囲第7項記載の光学補償板。
【請求項9】
前記反射防止層の上側に、耐油性コーティングを備える請求の範囲第7項記載の光学補償板。
【請求項10】
前記耐油性コーティングは、フッ化マグネシウムで形成されている請求の範囲第10項記載の光学補償板。
【請求項11】
前記反射防止層が、棒状または針状の結晶が表面に対して垂直に林立したモスアイ構造を有する請求の範囲第3項記載の光学補償板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示装置等に用いられ、光の位相差を補償する光学補償板に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置(LCD)に表示させた画像等をスクリーンに拡大投影する液晶プロジェクタが普及している。周知のように、液晶表示装置は液晶パネルの両側に偏光板をクロスニコル配置した構造を有し、画素毎に液晶分子の配向状態を制御して光の透過率を調節することにより画像等を表示する。また、液晶パネルは、垂直に入射する光によって白色及び黒色を正確に表示できるように液晶層の厚さ等が調節されているので、液晶層を斜めに通過する光があると、黒色を表示する場合でも出射側偏光板を漏れ通る成分が発生する。
【0003】
液晶プロジェクタの場合、斜め入射による光の漏れがあると投影像のコントラストが低下するので、光学補償板によって斜めに入射する光の位相差を補償することにより、コントラストを向上させている。光学補償板としては、例えば、ガラス基板上に屈折率が異なる2種類の誘電体薄膜を交互に複数積層した誘電体多層膜層によって位相差補償層を形成したもの(いわゆるネガティブCプレート)や、無機材料を斜め方向から蒸着して形成される斜方蒸着膜で位相差補償層を形成したもの(いわゆるOプレート)が知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開2008/078764号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
光学素子の表面には、通常、表面反射を抑えるために反射防止層が設けられる。光学補償板も例外ではなく、その表面には反射防止層が設けられていることが好ましい。反射防止層としては、例えば、屈折率の異なる誘電体薄膜を交互に複数積層した誘電体多層膜からなる誘電体多層膜層が用いられる。このように誘電体多層膜層により位相差補償層を形成した光学補償板に、誘電体多層膜層からなる反射防止層をさらに形成する場合にはほぼ不具合は生じない。また、位相差補償層自体に反射防止特性を持たせることもできる。
【0006】
一方、斜方蒸着膜で位相差補償層を形成した光学補償板の場合、斜方蒸着膜上に誘電体多層膜層を形成すると、光学補償板が帯電し、チリやホコリを吸着しやすくなるという不具合がある。光学補償板の表面にチリやホコリが付着すると、当然、表示画像の画質は低下する。付着したチリやホコリに透光性がある場合でも、チリやホコリの付着した部分では位相差が正確に補償されないので、コントラスト性能が悪化する。特に液晶プロジェクタに使用する光学補償板の場合は像が拡大投影されるので、微小なチリやホコリでも、投影画質の低下が目立ちやすい。
【0007】
本発明は、チリやホコリの付着による画質低下を防止することができる光学補償板を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の光学補償板は、基板側から順に、位相差補償層、反射防止層を備える。位相差補償層は、基板の表面に無機材料を斜方蒸着して形成され、基板の表面に対して傾斜した柱状構造体が林立している微細構造を有する。反射防止層は、位相差補償層の上側に設けられ、一面に凹凸を複数有する。なお、以下の説明では、各層の基板側を下側、基板から離れる側を上側とする。
【0009】
位相差補償層と反射防止層との間に中間層を備えることが好ましい。中間層は、位相差補償層の上に設けられ、稠密膜で形成される。
【0010】
さらに、少なくとも2種類以上の屈折率が異なる誘電体薄膜を交互に積層して形成された第1誘電体多層膜層が、基板と位相差補償層との間に設けられていることが好ましい。
【0011】
中間層が1つの膜で形成されている場合、中間層は位相差補償層または反射防止層と同じ材料で形成されていていることが好ましい。
【0012】
中間層は、前記位相差補償層と同じ材料によって形成された第1稠密膜と、前記反射防止層と同じ材料で形成された第2稠密膜とを備えていることが好ましい。この場合、第1稠密膜は中間層の最も位相差補償層側に設け、第2稠密膜は中間層の最も反射防止層側に設ける。
【0013】
また、中間層は、第1稠密膜と第2稠密膜との間に、互いに屈折率が異なる2種類以上の誘電体薄膜を積層して形成された第2誘電体多層膜層を備えても良い。
【0014】
反射防止層の上側に、耐油性コーティングを備えることが好ましい。この耐油性コーティングは、フッ化マグネシウムで形成されていることが好ましい。
【0015】
反射防止層は、例えば、酸化亜鉛で形成される。また、反射防止層は、モスアイ構造に類する網目状多孔構造であっても良いし、棒状または針状の結晶が表面に対して垂直に林立したモスアイ構造そのものであっても良い。
【発明の効果】
【0016】
本発明の光学補償板は、モスアイ構造に類する構造の反射防止層によってチリやホコリの付着が防止され、それによる画質劣化を招くことがない。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】光学補償板の層構造を示す断面図である。
【図2】光学補償板の特に好ましい層構造を示す断面図である。
【図3】ネガティブCプレートを一体に設けた光学補償板の断面図である。
【図4】基板と位相差補償層の間にネガティブCプレートを設けた光学補償板の断面図である。
【図5】基板の裏面側にネガティブCプレートを設けた光学補償板の断面図である。
【図6】耐油性コーティングを施した光学補償板の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
[第1実施形態]
図1に示すように、光学補償板10は、基板11上に、位相差補償層12、中間層13、反射防止層14をこの順に積層して形成される。
【0019】
基板11は、例えばガラス基板である。基板11には、TACやPET等のフィルム、や、アクリル樹脂,ポリカーボネート等の有機ガラスを使用しても良いが、無機ガラスを使用することが好ましい。液晶プロジェクタ等の過酷な環境で使用しても経時劣化が殆ど無いからである。なお、図示しないが、基板11の裏面(位相差補償層12が設けられている面の反対側の面)には反射防止層が形成されている。この反射防止層は、例えば、誘電体多層膜によって形成される。
【0020】
位相差補償層12は、基板11に対して斜め方向から無機材料を蒸着して形成された斜方蒸着膜からなる層であり、基板11の表面に対して傾斜して柱状構造体が林立した微細構造を有する。この傾斜した柱状構造に基づく構造性複屈折によって、位相差補償層12を透過する光には所定の位相差が与えられる。これにより、光学補償板10は、VA型液晶パネルの液晶分子のプレチルトによって生じる位相差を補償するOプレートとして機能する。
【0021】
なお、位相差補償層12を形成する個々の柱状構造体は例えば数nm〜数百nmのオーダであり、柱状構造体の傾斜角度や林立密度、位相差補償層12の厚さ等のパラメータは光学補償板10で補償する位相差の大きさと製造適性に応じて定められる。位相差補償層12の斜方蒸着膜を形成する無機材料は任意であるが、例えば、五酸化タンタル(Ta)、五酸化ニオブ(Nb)、二酸化チタン(TiO)、二酸化ケイ素(SiO)等を用いることができる。
【0022】
中間層13は、一つの材料で形成される場合、位相差補償層12または反射防止層14のいずれかと同じ材料、あるいは位相差補償層12と反射防止層14の中間の屈折率を有する材料で形成される。但し、中間層13は、位相差補償層12や反射防止層14のような微細な内部構造を有さない稠密な膜(いわゆるベタ膜)である。すなわち、中間層13は、基板11表面にほぼ垂直な方向から材料粒子を均一に堆積させる通常の真空蒸着法やCVD等により形成される。
【0023】
例えば、中間層13を位相差補償層12と同じ材料(Ta等)で形成する場合、基板11の表面に位相差補償層12を形成した後、位相差補償層12の表面が蒸着源に正対させ、基板11を回転させながら蒸着をすることにより、中間層13を形成することができる。また、中間層13を反射防止層14と同じ材料(ZnO等)で形成する場合は、位相差補償層12を形成するための蒸着装置内に、反射防止層14と同じ材料の蒸着源を用意しておけば、上述と同様にその蒸着源に位相差補償層12の表面を正対させて蒸着をすることにより、反射防止層14と同じ材料からなる中間層13を形成することができる。
【0024】
反射防止層14は、例えば酸化亜鉛(ZnO)やアルミナ(Al)等で形成され、棒状(あるいは針状)結晶が複雑に絡み合って結合した網目状の多孔構造を有する。この網目状多孔構造は、少なくとも表面の網部分と穴部分によって可視光の波長程度のオーダ(数nm〜数百nm)の凹凸構造が一面に一様に形成されており、蛾の目のような微小な凹凸構造(いわゆるモスアイ構造)に類する微細構造である。このため、反射防止層14もモスアイ構造と同様の原理で、一面の凹凸構造によって反射防止作用を示す。
【0025】
酸化亜鉛で網目状多孔構造を形成する場合、例えば、硝酸亜鉛とエチレンジアミンを含む溶液を中間層13の表面に塗布し、溶媒等を蒸発させて酸化亜鉛を析出させれば良い。位相差補償層12と中間層13を設けた基板11を硝酸亜鉛とエチレンジアミンを含む溶液に浸漬し、加温しながら酸化亜鉛を析出させても良い。また、アルミナを用いる場合は、中間層13上にアルミナ薄膜を形成した後、温水処理をすることにより網目状多孔構造にすることができる。
【0026】
上述のように、光学補償板10は、位相差補償層12によってOプレートとして機能し、反射防止層14が設けられているので表面反射も抑えられる。
【0027】
位相差補償層12の上に反射防止層14を直接形成すると、位相差補償層12と反射防止層14がともに微細な内部構造を有しているため、こうした微細構造が露呈した表面同士の密着性が悪い。このため、製造が難しく、製造できたとしても高コストになる。また、液晶プロジェクタという過酷な環境下で使用するには耐久性に難がある。しかし、光学補償板10では、位相差補償層12と反射防止層14の間に稠密な中間層13を設けることにより、位相差補償層12と中間層13と密着性と、中間層13と反射防止層14の密着性をそれぞれ高めている。すなわち、光学補償板10は、中間層13により位相差補償層12と反射防止層14の密着性が良いので、製造適性に優れ、液晶プロジェクタ等の過酷な環境での使用にも耐え得る。
【0028】
さらに、光学補償板10は、反射防止層14の網目状多孔構造による凹凸が表面に露呈されているのでチリやホコリが付着しにくい。酸化亜鉛は導電性を有するので、反射防止層14に酸化亜鉛を用いると光学補償板10の帯電が防止され、チリやホコリを吸着し難くなるので、特に防塵性能が良い。
【0029】
防塵性の評価のために、光学補償板10(反射防止膜層14にZnOを使用)と、位相差補償層12の上に誘電体多層膜からなる反射防止層を設けた比較用の光学補償板を製造した。そして、各々の反射防止層の表面を布で擦って帯電させた後、防塵試験用ビーズ(10μmφ)を乗せ、吸着されていない余分なビーズを払い落とし、3×3mmのエリア内の吸着数を計数した。また、この防塵性評価を複数回繰り返し行なった。すると、光学補償板10の場合、ビーズの付着数は概ね300個以下であったが、比較用の光学補償板では概ね500個以上であった。このことからも、光学補償板10は従来のものよりも防塵性が向上していることがわかる。
【0030】
[第2実施形態]
第1実施形態の光学補償板10では、中間層13を、位相差補償層12または反射防止層14のいずれかと同じ材料からなる一つの膜で形成しているが、図2に示す光学補償板20のように、中間層21を第1薄膜21aと第2薄膜22bの2つの薄膜で形成することが好ましい。この場合、位相差補償層12に接する第1薄膜21aは、位相差補償層12と同じ材料からなる稠密膜にし、反射防止層14に接する第2薄膜21bは、反射防止層14と同じ材料からなる稠密膜にする。
【0031】
こうすると、位相差補償層12と第1薄膜21a、第2薄膜21bと反射防止層14はそれぞれ同じ材料で形成されているので、他の材料で形成するよりも密着性が良い。また、位相差補償層12や反射防止層14に微細な内部構造があっても、第1薄膜21aと第2薄膜21bはどちらも稠密膜なので、中間層21と位相差補償層12との間で良い密着性が得られ、かつ、中間層21と反射防止層14との間で良い密着性が得られる。これらのことから、光学補償板20のように、中間層21を第1薄膜21aと第2薄膜21bの二膜構成にすれば、第1実施形態の光学補償板10よりもさらに位相差補償層12と反射防止膜層14の密着性が向上する。
【0032】
[第3実施形態]
第2実施形態の光学補償板20では、中間層21を第1薄膜21aと第2薄膜21bの二膜構成にしているが、中間層21を三膜構成の誘電体多層膜層(第1誘電体多層膜層)で構成しても良い。この場合、図3に示す光学補償板26の中間層27ように、第1薄膜21aと第2薄膜21bの間に第3薄膜28を加える。そして、この第3薄膜28は、第1薄膜21aと第2薄膜21bの中間の屈折率になるように材料や膜数を決定し、第1薄膜21aと第2薄膜21bの屈折率差を緩和することが好ましい。こうすると、中間層27は、位相差補償層12との密着性及び反射防止膜層14との密着性を良好に維持しつつ、光学補償板20の第1薄膜21aと第2薄膜21bの界面における反射も抑制することができる。中間層21を四膜以上で構成する場合には、第1薄膜21aと第2薄膜21bの間に設ける薄膜数を増やせば良い。
【0033】
なお、中間層21を三膜以上の膜数にする場合、例えば第3薄膜27の代わりに、第1薄膜21aと第2薄膜21bの間にネガティブCプレートとして機能する誘電体多層膜からなる層(第2誘電体多層膜層)を設けても良い。ネガティブCプレートは、少なくとも2種類以上の屈折率が異なる誘電体薄膜を交互に積層することによって形成される。
【0034】
第1薄膜21aと第2薄膜21bの間にネガティブCプレートを設ける場合、位相差補償層12だけで位相差補償をする場合よりも、設計の自由度が向上するので、より高精度な位相差補償が可能になる。また、従来のようにネガティブCプレートを光軸に対して斜めに配置して位相差補償をする場合と比較すると、位相差補償の精度を向上させつつ、ネガティブCプレートを光軸に対して斜めに配置していた分のスペースを削減し、液晶プロジェクタを小型化あるいは薄型化することができる。但し、位相差補償層12の上に誘電体多層膜層を設けると光学補償板20が帯電してチリやホコリを吸着しやすくなるので、第1薄膜21aと第2薄膜21bの間にネガティブCプレートを設ける場合には、光学補償板20の帯電を防止するために、反射防止層14を導電性のある酸化亜鉛で形成することが好ましい。もちろん、中間層21全体、すなわち第1薄膜21aや第2薄膜21bとこれらの間に設ける誘電体多層膜の全体でネガティブCプレートとして機能する誘電体多層膜層を形成しても良い。
【0035】
第1実施形態の光学補償板10のように、中間層13を一つの膜で形成した光学補償板10にネガティブCプレート機能を持たせる場合には、例えば、図4に示す光学補償板30のように、ネガティブCプレートを形成する誘電体多層膜層31は、基板11と位相差補償層12の間に設ければ良い。
【0036】
また、図5に示す光学補償板33のように、ネガティブCプレートとして機能する誘電体多層膜層31を基板11の裏面(位相差補償層12が設けられる面とは反対側の面)に設けても良い。誘電体多層膜層31の上側(基板11の反対側)には反射防止層32を設ける。反射防止層32は、第1,第2実施形態の各光学補償板10,20,26,30で裏面側に設けるものと同様のものでも良いし、モスアイ構造(あるいはモスアイ構造に類する構造)を有するものでも良い。図5では、反射防止層32を、反射防止層14と同様の網目状多孔構造を有する。
【0037】
このように基板11の裏面に誘電体多層膜層31を設ける場合、第1実施形態の光学補償板10と同様に中間層13を位相差補償層12または反射防止層14のいずれかと同じ材料からなる一つの膜で形成しても良いし、第2実施形態の光学補償板20のように第1薄膜21aと第2薄膜21bの二膜構成にしても良い。さらに、光学補償板26の中間層27ように、第1薄膜21aと第2薄膜21bの間に第3薄膜28を加え(図3参照)、第1薄膜21aと第2薄膜21bの界面における反射も抑制しても良い。
【0038】
[第4実施形態]
第1〜第3実施形態の各位相差補償板10,20,26,30,33では、網目状多孔構造の反射防止層14が表面に露呈されているが、図6に示す光学補償板40のように、反射防止層14に耐油性コーティング41を施しておくことが好ましい。耐油性コーティング41は、例えば、フッ化マグネシウム(MgF)で形成される。また、耐油性コーティング41は、フッ素樹脂でも良い。
【0039】
光学補償板10,20,26,30,33は、通常は人が直に触れたりしない箇所に用いられるが、例えば、液晶プロジェクタのメンテナンス時に、サービスマンが誤って光学補償板10,20,26,30,33に触れて油脂等が付着してしまうことがある。この場合、油脂等を完全に拭き取ることは難しく、残留した油脂等により正常な位相差補償効果が得られなくなる。また、残留した油脂等は位相差補償層12に浸透すると、さらに位相差補償性能が悪化する。このため、光学補償板10,20,26,30,33を液晶プロジェクタに用いる場合には、コントラスト性能が悪化する。しかし、耐油性コーティング41を設けておけば、位相差補償素子40に誤って触れ、油脂等が付着しても拭き取りが容易になり、残留する油脂等も少なくなるので、位相差補償性能の悪化を最小限に抑えることができる。また、光学補償板40を液晶プロジェクタに組み込む場合も誤って光学補償板10,20,26,30,33に触れてしまうことがあるが、この場合も同様に位相差補償性能の悪化を最小限に抑えることができるので、耐油性コーティング41を設けた光学補償板40を用いることで歩留まりを向上し、組み立てコストを低減することもできる。
【0040】
図6では、耐油性コーティング41を厚く描いているが、耐油性コーティング41は、網目状多孔構造による表面の凹凸が無くならないように薄く設けることが好ましい。前述のように、表面の凹凸によっても防塵性が向上するからである。但し、表面が平坦になってしまう程度に耐油性コーティング41を厚く形成しても、反射防止層14に耐油性コーティング41の材料が浸透していなければ、反射防止層14の反射防止性能にほぼ変わりはない。
【0041】
なお、図6の光学補償板40では、第1実施形態の光学補償板10に耐油性コーティング41を設けているが、第2,第3実施形態の各光学補償板20,26,30,33の場合も同様であり、反射防止層14上に耐油性コーティング41を設けることが好ましい。
【0042】
なお、第1〜第4実施形態の各光学補償板10,20,26,30,33,40では、反射防止層14をモスアイ構造に類する網目状多孔構造にしているが、反射防止層14は、酸化亜鉛等の棒状結晶が表面にほぼ垂直に林立させたモスアイ構造そのものにして良い。
【0043】
なお、第1〜第4実施形態の各光学補償板10,20,26,30,33,40では、基板11の裏面側に誘電体多層膜からなる反射防止層(図示しない)を設けているが、基板11の裏面に設ける反射防止層は、表面の反射防止層14と同様に、モスアイ構造に類する網目状多孔構造の反射防止層でも良い。また、モスアイ構造の反射防止膜層でも良い。さらに、基板11の裏面側には、単に反射防止層を設けるだけでなく、例えば、ネガティブCプレートを形成しても良い。
【0044】
なお、光学補償板10,20,26,30,33,40は、VA型液晶パネルを用いる液晶プロジェクタに特に好適である。液晶パネルに入射する光の偏光状態を制限する偏光板(偏光子)と、液晶パネルから出射する光の偏光状態を制限する偏光板(検光子)との間であれば、液晶プロジェクタ内での配置は任意である。液晶パネルは透過型でも良いし、反射型でも良い。
【0045】
また、光学補償板10,20,26,30,33,40を、表示画像を直接観察する液晶ディスプレイに用いても良い。液晶ディスプレイに光学補償板10,20,26,30,33,40を用いれば、視野角を向上させることができる。
【符号の説明】
【0046】
10,20,26,30,33,40 光学補償板
11 基板
12 位相差補償層
13,21 中間層
14 反射防止層
31 誘電体多層膜層
41 耐油性コーティング
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】

【手続補正書】
【提出日】20140618
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の表面に無機材料を斜方蒸着して形成され、前記基板の表面に対して傾斜した柱状構造が林立している微細構造を有する位相差補償層と、
前記位相差補償層の上側に設けられ、網目状多孔構造による凹凸構造が一面に一様に形成された反射防止層と、
前記位相差補償層と前記反射防止層との間に、稠密膜で形成された中間層と、を備え、
前記中間層は、前記位相差補償層と同じ材料によって形成された第1稠密膜と、前記反射防止層と同じ材料で形成された第2稠密膜とを有し、
前記第1稠密膜は、前記中間層の最も前記位相差補償層側に設けられ、
前記第2稠密膜は、前記中間層の最も前記反射防止層側に設けられている、
光学補償板。
【請求項2】
前記反射防止層が酸化亜鉛で形成される請求の範囲第11項記載の光学補償板。
【請求項3】
(削除)
【請求項4】
(削除)
【請求項5】
少なくとも2種類以上の屈折率が異なる誘電体薄膜を交互に積層して形成された第1誘電体多層膜層が、前記基板と前記位相差補償層との間に設けられている請求の範囲第1項記載の光学補償板。
【請求項6】
(削除)
【請求項7】
(削除)
【請求項8】
前記中間層は、前記第1稠密膜と前記第2稠密膜との間に、互いに屈折率が異なる2種類以上の誘電体薄膜を積層して形成された第2誘電体多層膜層を備える請求の範囲第1項記載の光学補償板。
【請求項9】
前記反射防止層の上側に、耐油性コーティングを備える請求の範囲第1項,第2項,第5項,第8項,第11項のいずれか1項に記載の光学補償板。
【請求項10】
前記耐油性コーティングは、フッ化マグネシウムで形成されている請求の範囲第9項記載の光学補償板。
【請求項11】
前記反射防止層が、棒状または針状の結晶が表面に対して垂直に林立したモスアイ構造を有する請求の範囲第1項記載の光学補償板。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0002
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0002】
[0005]
光学素子の表面には、通常、表面反射を抑えるために反射防止層が設けられる。光学補償板も例外ではなく、その表面には反射防止層が設けられていることが好ましい。反射防止層としては、例えば、屈折率の異なる誘電体薄膜を交互に複数積層した誘電体多層膜からなる誘電体多層膜層が用いられる。このように誘電体多層膜層により位相差補償層を形成した光学補償板に、誘電体多層膜層からなる反射防止層をさらに形成する場合にはほぼ不具合は生じない。また、位相差補償層自体に反射防止特性を持たせることもできる。
[0006]
一方、斜方蒸着膜で位相差補償層を形成した光学補償板の場合、斜方蒸着膜上に誘電体多層膜層を形成すると、光学補償板が帯電し、チリやホコリを吸着しやすくなるという不具合がある。光学補償板の表面にチリやホコリが付着すると、当然、表示画像の画質は低下する。付着したチリやホコリに透光性がある場合でも、チリやホコリの付着した部分では位相差が正確に補償されないので、コントラスト性能が悪化する。特に液晶プロジェクタに使用する光学補償板の場合は像が拡大投影されるので、微小なチリやホコリでも、投影画質の低下が目立ちやすい。
[0007]
本発明は、チリやホコリの付着による画質低下を防止することができる光学補償板を提供することを目的とする。
課題を解決するための手段
[0008]
本発明の光学補償板は、位相差補償層と、反射防止層と、中間層と、を備える。位相差補償層は基板の表面に無機材料を斜方蒸着して形成され、前記基板の表面に対して傾斜した柱状構造が林立している微細構造を有する。反射防止層は、位相差補償層の上側に設けられ、網目状多孔構造による凹凸構造が一面に一様に形成されている。中間層は、位相差補償層と同じ材料によって形成された第1稠密膜と、反射防止層と同じ材料で形成された第2稠密膜とを有し、第1稠密膜は、中間層の最も位相差補償層側に設けられ、第2稠密膜は、中間層の最も反射防止層側に設けられている。なお、以下の説明では、各層の基板側を下側、基板から離れる側を上側とする。
[0009]
反射防止層は、酸化亜鉛で形成されることが好ましい。
[0010]
さらに、少なくとも2種類以上の屈折率が異なる誘電体薄膜を交互に積層
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0003
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0003】
して形成された第1誘電体多層膜層が、基板と位相差補償層との間に設けられていることが好ましい。
[0011]
[0012]
[0013]
また、中間層は、第1稠密膜と第2稠密膜との間に、互いに屈折率が異なる2種類以上の誘電体薄膜を積層して形成された第2誘電体多層膜層を備えても良い。
[0014]
反射防止層の上側に、耐油性コーティングを備えることが好ましい。この耐油性コーティングは、フッ化マグネシウムで形成されていることが好ましい。
[0015]
反射防止層は、棒状または針状の結晶が表面に対して垂直に林立したモスアイ構造そのものであっても良い。
発明の効果
[0016]
反本発明の光学補償板は、モスアイ構造に類する構造の反射防止層によってチリやホコリの付着が防止され、それによる画質劣化を招くことがない。
図面の簡単な説明
[0017]
[図1]光学補償板の層構造を示す断面図である。
[図2]光学補償板の特に好ましい層構造を示す断面図である。
[図3]ネガティブCプレートを一体に設けた光学補償板の断面図である。
[図3]基板と位相差補償層の間にネガティブCプレートを設けた光学補償板の断面図である。
[図5]基板の裏面側にネガティブCプレートを設けた光学補償板の断面図である。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0006】
として機能し、反射防止層14が設けられているので表面反射も抑えられる。
[0027]
位相差補償層12の上に反射防止層14を直接形成すると、位相差補償層12と反射防止層14がともに微細な内部構造を有しているため、こうした微細構造が露呈した表面同士の密着性が悪い。このため、製造が難しく、製造できたとしても高コストになる。また、液晶プロジェクタという過酷な環境下で使用するには耐久性に難がある。しかし、光学補償板10では、位相差補償層12と反射防止層14の間に稠密な中間層13を設けることにより、位相差補償層12と中間層13と密着性と、中間層13と反射防止層14の密着性をそれぞれ高めている。すなわち、光学補償板10は、中間層13により位相差補償層12と反射防止層14の密着性が良いので、製造適性に優れ、液晶プロジェクタ等の過酷な環境での使用にも耐え得る。
[0028]
さらに、光学補償板10は、反射防止層14の網目状多孔構造による凹凸が表面に露呈されているのでチリやホコリが付着しにくい。酸化亜鉛は導電性を有するので、反射防止層14に酸化亜鉛(ZnO)を用いると光学補償板10の帯電が防止され、チリやホコリを吸着し離くなるので、特に防塵性能が良い。
[0029]
防塵性の評価のために、表面に凹凸が露呈されている第1実施形態の光学補償板10(反射防止膜層14に酸化亜鉛を使用)と、位相差補償層12の上に誘電体多層膜からなる表面が平坦な反射防止層を設けた比較用の光学補償板を製造した。そして、各々の反射防止層の表面を布で擦って帯電させた後、防塵試験用ビーズ(10μmφ)を乗せ、吸着されていない余分なビーズを払い落とし、3×3mmのエリア内の吸着数を計数した。また、この防塵性評価を複数回繰り返し行なった。すると、光学補償板10の場合、ビーズの付着数は概ね300個以下であったが、比較用の光学補償板では概ね500個以上であった。このことからも、光学補償板10は従来のものよりも防塵性が向上していることがわかる。
[0030]
[第2実施形態]
第1実施形態の光学補償板10では、中間層13を、位相差補償層12または反射防止層14のいずれかと同じ材料からなる一つの膜で形成している
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0007】
が、図2に示す光学補償板20のように、中間層21を第1薄膜21aと第2薄膜22bの2つの薄膜で形成することが好ましい。この場合、位相差補償層12に接する第1薄膜21aは、位相差補償層12と同じ材料からなる稠密膜にし、反射防止層14に接する第2薄膜21bは、反射防止層14と同じ材料からなる稠密膜にする。
[0031]
こうすると、位相差補償層12と第1薄膜21a、第2薄膜21bと反射防止層14はそれぞれ同じ材料で形成されているので、他の材料で形成するよりも密着性が良い。また、位相差補償層12や反射防止層14に微細な内部構造があっても、第1薄膜21aと第2薄膜21bはどちらも稠密膜なので、中間層21と位相差補償層12との間で良い密着性が得られ、かつ、中間層21と反射防止層14との間で良い密着性が得られる。これらのことから、光学補償板20のように、中間層21を第1薄膜21aと第2薄膜21bの二膜構成にすれば、第1実施形態の光学補償板10よりもさらに位相差補償層12と反射防止膜層14の密着性が向上する。
[0032]
[第3実施形態]
第2実施形態の光学補償板20では、中間層21を第1薄膜21aと第2薄膜21bの二膜構成にしているが、中間層21を三膜構成の誘電体多層膜層(第1誘電体多層膜層)で構成しても良い。この場合、図3に示す光学補償板26の中間層27のように、第1薄膜21aと第2薄膜21bの間に第3薄膜28を加える。そして、この第3薄膜28は、第1薄膜21aと第2薄膜21bの中間の屈折率になるように材料や膜数を決定し、第1薄膜21aと第2薄膜21bの屈折率差を緩和することが好ましい。こうすると、中間層27は、位相差補償層12との密着性及び反射防止膜層14との密着性を良好に維持しつつ、光学補償板20の第1薄膜21aと第2薄膜21bの界面における反射も抑制することができる。中間層21を四膜以上で構成する場合には、第1薄膜21aと第2薄膜21bの間に設ける薄膜数を増やせば良い。
[0033]
なお、中間層21を三膜以上の膜数にする場合、例えば第3薄膜27の代

【手続補正書】
【提出日】20150407
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の表面に無機材料を斜方蒸着して形成され、前記基板の表面に対して傾斜した柱状構造が林立している微細構造を有する位相差補償層と、
前記位相差補償層の上側に設けられ、網目状多孔構造による凹凸構造が一面に一様に形成された反射防止層と、
前記位相差補償層と前記反射防止層との間に、稠密膜で形成された中間層と、を備え、
前記中間層は、前記位相差補償層と同じ材料によって形成された第1稠密膜と、前記反射防止層と同じ材料で形成された第2稠密膜とを有し、
前記第1稠密膜は、前記中間層の最も前記位相差補償層側に設けられ、
前記第2稠密膜は、前記中間層の最も前記反射防止層側に設けられている、
光学補償板。
【請求項2】
少なくとも2種類以上の屈折率が異なる誘電体薄膜を交互に積層して形成された第1誘電体多層膜層が、前記基板と前記位相差補償層との間に設けられている請求項1記載の光学補償板。
【請求項3】
前記中間層は、前記第1稠密膜と前記第2稠密膜との間に、互いに屈折率が異なる2種類以上の誘電体薄膜を積層して形成された第2誘電体多層膜層を備える請求項1記載の光学補償板。
【請求項4】
前記反射防止層の上側に、耐油性コーティングを備える請求項1〜3いずれか1項に記載の光学補償板。
【請求項5】
前記耐油性コーティングは、フッ化マグネシウムで形成されている請求項4記載の光学補償板。
【請求項6】
前記反射防止層が、棒状または針状の結晶が表面に対して垂直に林立したモスアイ構造を有する請求項1記載の光学補償板。
【請求項7】
前記反射防止層が酸化亜鉛で形成される請求項6記載の光学補償板。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0023
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0023】
例えば、中間層13を位相差補償層12と同じ材料(Ta等)で形成する場合、基板11の表面に位相差補償層12を形成した後、位相差補償層12の表面蒸着源に正対させ、基板11を回転させながら蒸着をすることにより、中間層13を形成することができる。また、中間層13を反射防止層14と同じ材料(ZnO等)で形成する場合は、位相差補償層12を形成するための蒸着装置内に、反射防止層14と同じ材料の蒸着源を用意しておけば、上述と同様にその蒸着源に位相差補償層12の表面を正対させて蒸着をすることにより、反射防止層14と同じ材料からなる中間層13を形成することができる。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0030
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0030】
[第2実施形態]
第1実施形態の光学補償板10では、中間層13を、位相差補償層12または反射防止層14のいずれかと同じ材料からなる一つの膜で形成しているが、図2に示す光学補償板20のように、中間層21を第1薄膜21aと第2薄膜2bの2つの薄膜で形成することが好ましい。この場合、位相差補償層12に接する第1薄膜21aは、位相差補償層12と同じ材料からなる稠密膜にし、反射防止層14に接する第2薄膜21bは、反射防止層14と同じ材料からなる稠密膜にする。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0037
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0037】
このように基板11の裏面に誘電体多層膜層31を設ける場合、第1実施形態の光学補償板10と同様に中間層13を位相差補償層12または反射防止層14のいずれかと同じ材料からなる一つの膜で形成しても良いし、第2実施形態の光学補償板20のように第1薄膜21aと第2薄膜21bの二膜構成にしても良い。さらに、光学補償板26の中間層27ように、第1薄膜21aと第2薄膜21bの間に第3薄膜28を加え(図3参照)、第1薄膜21aと第2薄膜21bの界面における反射も抑制しても良い。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0038
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0038】
[第4実施形態]
第1〜第3実施形態の各光学補償板10,20,26,30,33では、網目状多孔構造の反射防止層14が表面に露呈されているが、図6に示す光学補償板40のように、反射防止層14に耐油性コーティング41を施しておくことが好ましい。耐油性コーティング41は、例えば、フッ化マグネシウム(MgF)で形成される。また、耐油性コーティング41は、フッ素樹脂でも良い。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0039
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0039】
光学補償板10,20,26,30,33は、通常は人が直に触れたりしない箇所に用いられるが、例えば、液晶プロジェクタのメンテナンス時に、サービスマンが誤って光学補償板10,20,26,30,33に触れて油脂等が付着してしまうことがある。この場合、油脂等を完全に拭き取ることは難しく、残留した油脂等により正常な位相差補償効果が得られなくなる。また、残留した油脂等は位相差補償層12に浸透すると、さらに位相差補償性能が悪化する。このため、光学補償板10,20,26,30,33を液晶プロジェクタに用いる場合には、コントラスト性能が悪化する。しかし、耐油性コーティング41を設けておけば、光学補償板40に誤って触れ、油脂等が付着しても拭き取りが容易になり、残留する油脂等も少なくなるので、位相差補償性能の悪化を最小限に抑えることができる。また、光学補償板40を液晶プロジェクタに組み込む場合も誤って光学補償板10,20,26,30,33に触れてしまうことがあるが、この場合も同様に位相差補償性能の悪化を最小限に抑えることができるので、耐油性コーティング41を設けた光学補償板40を用いることで歩留まりを向上し、組み立てコストを低減することもできる。

【手続補正書】
【提出日】20150727
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項1
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項1】
基板の表面に斜方蒸着層として形成され、前記基板の表面に対して傾斜した柱状構造が林立している無機材料からなる微細構造を有する位相差補償層と、
前記位相差補償層の上側に設けられ、網目状多孔構造による凹凸構造が一面に一様に形成された反射防止層と、
前記位相差補償層と前記反射防止層との間に、稠密膜で形成された中間層と、を備え、
前記中間層は、前記位相差補償層と同じ材料によって形成された第1稠密膜と、前記反射防止層と同じ材料で形成された第2稠密膜とを有し、
前記第1稠密膜は、前記中間層の最も前記位相差補償層側に設けられ、
前記第2稠密膜は、前記中間層の最も前記反射防止層側に設けられている、
光学補償板。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0008】
本発明の光学補償板は、位相差補償層と、反射防止層と、中間層と、を備える。位相差補償層は基板の表面に斜方蒸着層として形成され、前記基板の表面に対して傾斜した柱状構造が林立している無機材料からなる微細構造を有する。反射防止層は、位相差補償層の上側に設けられ、網目状多孔構造による凹凸構造が一面に一様に形成されている。中間層は、位相差補償層と同じ材料によって形成された第1稠密膜と、反射防止層と同じ材料で形成された第2稠密膜とを有し、第1稠密膜は、中間層の最も位相差補償層側に設けられ、第2稠密膜は、中間層の最も反射防止層側に設けられている。なお、以下の説明では、各層の基板側を下側、基板から離れる側を上側とする。
【国際調査報告】