(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO2014050417
(43)【国際公開日】20140403
【発行日】20160822
(54)【発明の名称】有機エレクトロルミネッセンス素子、照明装置および表示装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 51/50 20060101AFI20160725BHJP
   C07D 487/04 20060101ALI20160725BHJP
   C07D 209/86 20060101ALI20160725BHJP
   C07D 405/04 20060101ALI20160725BHJP
   C09K 11/06 20060101ALI20160725BHJP
【FI】
   !H05B33/22 D
   !H05B33/14 B
   !C07D487/04 137
   !C07D209/86
   !C07D405/04
   !C09K11/06 690
   !C09K11/06 660
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】94
【出願番号】2014538299
(21)【国際出願番号】JP2013073067
(22)【国際出願日】20130828
(31)【優先権主張番号】2012211534
(32)【優先日】20120925
(33)【優先権主張国】JP
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成25年度独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構「次世代高効率・高品質照明の基盤技術開発/有機EL照明の高効率・高品質化に係る基盤技術開発」共同研究 産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
(71)【出願人】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
【住所又は居所】東京都千代田区丸の内二丁目7番2号
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】特許業務法人磯野国際特許商標事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100064414
【弁理士】
【氏名又は名称】磯野 道造
(74)【代理人】
【識別番号】100178032
【弁理士】
【氏名又は名称】奈良 泰男
(74)【代理人】
【識別番号】100176968
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 直樹
(72)【発明者】
【氏名】川邉 里美
【住所又は居所】東京都千代田区丸の内二丁目7番2号コニカミノルタ株式会社内
(72)【発明者】
【氏名】大津 信也
【住所又は居所】東京都千代田区丸の内二丁目7番2号コニカミノルタ株式会社内
【テーマコード(参考)】
3K107
4C050
4C063
4C204
【Fターム(参考)】
3K107AA01
3K107BB01
3K107BB02
3K107CC04
3K107CC07
3K107CC09
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3K107DD64
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3K107FF19
4C050AA01
4C050AA08
4C050BB04
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4C050DD01
4C050EE02
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4C050GG01
4C050HH04
4C063AA01
4C063AA03
4C063AA05
4C063BB01
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4C063CC76
4C063CC78
4C063CC94
4C063DD08
4C063EE05
4C204CB25
(57)【要約】
陽極と陰極に挟まれた少なくとも1層の発光層と該発光層の陽極側に隣接した隣接層を含む複数の有機層を有する有機エレクトロルミネッセンス素子において、該発光層の少なくとも1層に、溶液中の発光スペクトルにおいて、最も短波側にある発光極大波長が470nm以下、且つHOMO値が−4.50〜−5.50eVのリン光性発光ドーパントを少なくとも1種含有し、該隣接層に、下記一般式(1)で表される非金属錯体化合物であって、HOMO値が−4.50〜−5.10eVである化合物を含有することを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
陽極と陰極に挟まれた少なくとも1層の発光層と該発光層の陽極側に隣接した隣接層を含む複数の有機層を有する有機エレクトロルミネッセンス素子において、
該発光層の少なくとも1層に、溶液中の発光スペクトルにおいて、最も短波側にある発光極大波長が470nm以下、且つHOMO値が−4.50〜−5.50eVのリン光性発光ドーパントを少なくとも1種含有し、
該隣接層に、下記一般式(1)で表される非金属錯体化合物であって、HOMO値が−4.50〜−5.10eVである化合物を含有することを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
【化1】
(一般式(1)において、Rは、置換基を表す。Lは、連結基または単なる結合手を表す。ArおよびArは芳香族炭化水素環または芳香族複素環を表す。)
【請求項2】
前記一般式(1)において、Lが単結合を表し、ArおよびArが6員の芳香族炭化水素環または6員の芳香族複素環を表すことを特徴とする請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項3】
前記一般式(1)において、ArおよびArがインドール環、アザインドール環、カルバゾール環、アザカルバゾール環または縮合芳香族複素環基を置換基として有するベンゼン環であることを特徴とする請求項1または2に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項4】
前記一般式(1)で表される化合物が、下記一般式(11)で表される化合物であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【化2】
(一般式(11)において、R111およびR112は水素原子、アルキル基、芳香族炭化水素環基または芳香族複素環基を表し、一般式(11)で表される化合物はさらに置換基を有していてもよい。)
【請求項5】
前記一般式(1)で表される化合物が、下記一般式(21)または下記一般式(22)で表される化合物であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【化3】
(一般式(21)および一般式(22)において、R211およびR212はアルキル基、芳香族炭化水素環基または芳香族複素環基を表す。環Z〜Zは芳香族炭化水素環または芳香族複素環を形成する残基を表し、置換基を有していてもよい。)
【請求項6】
前記一般式(1)で表される化合物が、下記一般式(31)で表される化合物であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【化4】
(一般式(31)において、R311およびR312は水素原子、アリールシリル基、アリールホスホリル基、芳香族炭化水素環基、芳香族複素環基、ジアリールアミノ基、または、アルキル基を表す。A〜Aは各々独立にC−RxまたはNを表し、複数のRxはそれぞれ同じであっても異なっていても良い。Rxは各々独立に水素原子または置換基を表す。)
【請求項7】
前記リン光性発光ドーパントが、下記一般式(41)で表される化合物であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【化5】
(一般式(41)において、MはIr、Pt、Rh、Ru、AgまたはCuを表し、XおよびXは炭素原子または窒素原子を表し、環ZはC=Cと共に6員の芳香族炭化水素環、または5員または6員の芳香族複素環を表し、環ZはX−Xと共に5員の複素環を表す。L'はMに配位したモノアニオン性の二座配位子の内の1つまたは複数であり、m’は0〜2の整数を表し、n’は少なくとも1の整数であり、m’+n’は2または3である。)
【請求項8】
前記一般式(41)で表される化合物において、
環Zは、置換または無置換のイミダゾール環を表すことを特徴とする請求項7に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項9】
前記一般式(41)で表される化合物において、
環Zは、置換または無置換のピラゾール環を表すことを特徴とする請求項7に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項10】
前記一般式(41)で表される化合物において、
環Zは、置換または無置換のトリアゾール環を表すことを特徴とする請求項7に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項11】
発光色が白色であることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子を備えたことを特徴とする照明装置。
【請求項13】
請求項1〜11のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子を備えたことを特徴とする表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機エレクトロルミネッセンス素子、それが具備された照明装置および表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
有機エレクトロルミネッセンス素子(以下、有機EL素子ともいう)は、発光する化合物を含有する発光層を、陰極と陽極とで挟んだ構成を有し、電界を印加することにより、陽極から注入された正孔と陰極から注入された電子を発光層内で再結合させることで励起子(エキシトン)を生成させ、このエキシトンが失活する際の光の放出(蛍光・リン光)を利用した発光素子である。また、有機EL素子は、電極と電極の間を厚さわずかサブミクロン程度の有機材料の膜で構成する全固体素子であり、数V〜数十V程度の電圧で発光が可能であることから、次世代の平面ディスプレイや照明への利用が期待されている。
【0003】
実用化に向けた有機EL素子の開発としては、プリンストン大学より、励起三重項からのリン光発光を用いる有機EL素子の報告がされており(例えば、非特許文献1参照)、以来、室温でリン光を示す材料の研究が活発になってきている(例えば、特許文献1、非特許文献2参照)。
さらに、リン光発光を利用する有機EL素子は、以前の蛍光発光を利用する有機EL素子に比べ原理的に約4倍の発光効率が実現可能であることから、その材料開発を初めとし、発光素子の層構成や電極の研究開発が世界中で行われている。例えば、イリジウム錯体系等重金属錯体を中心に多くの化合物について合成検討なされている(例えば、非特許文献3参照)。
【0004】
このように、リン光発光方式は大変ポテンシャルの高い方式であるが、リン光発光を利用する有機ELデバイスにおいては、蛍光発光を利用する有機ELデバイスとは大きく異なり、発光中心の位置をコントロールする方法、とりわけ発光層の内部で再結合を行い、いかに発光を安定に行わせることができるかが、素子の効率・寿命を捉える上で重要な技術的な課題となっている。
そこで近年、発光層に隣接する形で、発光層の陽極側に位置する正孔輸送層と発光層の陰極側に位置する電子輸送層とを備えた多層積層型の素子が良く知られている(例えば、特許文献2参照)。また、発光層にはホスト化合物とドーパントとしてのリン光発光性化合物とを用いた混合層が多く用いられている。
また、ディスプレイや、照明への利用の観点から、有機EL素子には、高い発光効率、長い発光寿命が求められているため、高いキャリア輸送性を有する材料や熱的、電気的に安定な材料が求められている。
【0005】
さらに近年は、色温度の高い照明光源や、色域の広いディスプレイが求められており、これらを達成するためには470nm、より好ましくは460nm以下の発光極大波長を示す短波長の青色発光ドーパントが必要不可欠である。
短波長の青色発光ドーパントとしてはアントラセンやクリセン等を骨格に有する蛍光発光性の発光ドーパントが良く知られているが、上述したように発光効率の点からリン光発光ドーパントに比較し不利である。
一方、短波長のリン光性青色発光ドーパントとして良く知られている材料にFIrpicがある。FIrpicは主配位子のフェニルピリジンに2つのフッ素が置換をすること、および副配位子としてピコリン酸を用いることにより短波化が実現されているが、電気陰性度の大きいフッ素原子2個で置換しているために中心金属のイリジウムが酸化されやすい状態になり、HOMOが計算値で−5.9eV程度と非常に深くなっている。
【0006】
そのため、陽極側から発光層への正孔注入がしにくくなり、正孔と電子の注入のバランスが悪くなり、発光層内での再結合確率の低下や駆動電圧の上昇という課題が発生する。
また、キャリアの注入バランスが崩れることで再結合領域が輸送層界面近傍の狭い領域に限定されやすくなるため、発光層から隣接する輸送層に励起子の漏れが生じてしまう。このため、発光効率の低下や、材料の劣化に起因する発光寿命低下の課題が発生する。さらに、HOMOが非常に深いために特に発光層の陽極側隣接層に用いる材料選択が非常に難しく、さらにわずかな不純物の混入や膜質の変化等で正孔注入性が影響を受けやすくなるため、生産適性の点でも不利である。その一方で、HOMOが浅い、例えば−4.50eVよりも浅い発光ドーパントを用いた場合には、相対的にLUMOが浅くなるため化合物が不安定になる。また酸素等の外因の影響を受けやすくなり、素子性能の安定性という点で課題がある。
【0007】
上記課題に対して、例えば特許文献3においては、正孔輸送層に正孔注入・輸送性を改良したカルバゾール誘導体を使用する事によって、高効率の素子、長寿命を達成している。しかしながら特許文献3における実施例で用いられているフッ素原子とイソプロピル基で置換されたフェニルピリジン配位子を有する発光ドーパントの発光極大波長は、本発明者が検討したところ470nmを超える発光極大波長を示し、高色温度の照明用途や色域の広いディスプレイに用いるには波長が長く満足出来るレベルではないことが分かった。また上記文献には発光ドーパントと隣接層に用いる材料のHOMOの関係については一切記載がない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許6,097,147号明細書
【特許文献2】特開2005−112765号公報
【特許文献3】国際公開第2011/122132号
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】M.A.Baldo et al.,nature、395巻、151〜154ページ(1998年)
【非特許文献2】M.A.Baldo et al.,nature、403巻、17号、750〜753頁(2000年)
【非特許文献3】S.Lamansky et al.,J.Am.Chem.Soc.,123巻、4304頁(2001年)
【0010】
このように従来においては、有機EL素子材料に関して様々な化合物が開示されており、低駆動電圧で発光効率が高く長寿命である有機EL素子の開発が試みられている。しかしながら、これらの性能を従来よりも増してさらに向上させた有機EL素子の開発が望まれている。また、高色温度の照明用途や色域の広いディスプレイ用途に適した(すなわち、色度が良好な)有機EL素子の開発が望まれている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたもので、発光効率が高く、低駆動電圧、長寿命であり、かつ色度が良好な有機エレクトロルミネッセンス素子、該素子を用いた照明装置、および表示装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係る上記課題は、以下の手段により解決される。
1.陽極と陰極に挟まれた少なくとも1層の発光層と該発光層の陽極側に隣接した隣接層を含む複数の有機層を有する有機エレクトロルミネッセンス素子において、該発光層の少なくとも1層に、溶液中の発光スペクトルにおいて、最も短波側にある発光極大波長が470nm以下、且つHOMO値が−4.50〜−5.50eVのリン光性発光ドーパントを少なくとも1種含有し、該隣接層に、下記一般式(1)で表される非金属錯体化合物であって、HOMO値が−4.50〜−5.10eVである化合物を含有することを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
【0013】
【化1】
【0014】
(一般式(1)において、Rは、置換基を表す。Lは、連結基または単なる結合手を表す。ArおよびArは芳香族炭化水素環または芳香族複素環を表す。)
【0015】
2.前記一般式(1)において、Lが単結合を表し、ArおよびArが6員の芳香族炭化水素環または6員の芳香族複素環を表すことを特徴とする前記1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【0016】
3.前記一般式(1)において、ArおよびArがインドール環、アザインドール環、カルバゾール環、アザカルバゾール環または縮合芳香族複素環基を置換基として有するベンゼン環であることを特徴とする前記1または2に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【0017】
4.前記一般式(1)で表される化合物が、下記一般式(11)で表される化合物であることを特徴とする前記1〜3のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【0018】
【化2】
【0019】
(一般式(11)において、R111およびR112は水素原子、アルキル基、芳香族炭化水素環基または芳香族複素環基を表し、一般式(11)で表される化合物はさらに置換基を有していてもよい。)
【0020】
5.前記一般式(1)で表される化合物が、下記一般式(21)または下記一般式(22)で表される化合物であることを特徴とする前記1〜3のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【0021】
【化3】
【0022】
(一般式(21)および一般式(22)において、R211およびR212はアルキル基、芳香族炭化水素環基または芳香族複素環基を表す。環Z〜Zは芳香族炭化水素環または芳香族複素環を形成する残基を表し、置換基を有していてもよい。)
【0023】
6.前記一般式(1)で表される化合物が、下記一般式(31)で表される化合物であることを特徴とする前記1〜3のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【0024】
【化4】
【0025】
(一般式(31)において、R311およびR312は水素原子、アリールシリル基、アリールホスホリル基、芳香族炭化水素環基、芳香族複素環基、ジアリールアミノ基、または、アルキル基を表す。A〜Aは各々独立にC−RxまたはNを表し、複数のRxはそれぞれ同じであっても異なっていても良い。Rxは各々独立に水素原子または置換基を表す。)
【0026】
7.前記リン光性発光ドーパントが、下記一般式(41)で表される化合物であることを特徴とする前記1〜6のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【0027】
【化5】
【0028】
(一般式(41)において、MはIr、Pt、Rh、Ru、AgまたはCuを表し、XおよびXは炭素原子または窒素原子を表し、環ZはC=Cと共に6員の芳香族炭化水素環、または5員または6員の芳香族複素環を表し、環ZはX−Xと共に5員の複素環を表す。L'はMに配位したモノアニオン性の二座配位子の内の1つまたは複数であり、m’は0〜2の整数を表し、n’は少なくとも1の整数であり、m’+n’は2または3である。)
【0029】
8.前記一般式(41)で表される化合物において、環Zは、置換または無置換のイミダゾール環を表すことを特徴とする前記7に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【0030】
9.前記一般式(41)で表される化合物において、環Zは、置換または無置換のピラゾール環を表すことを特徴とする前記7に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【0031】
10.前記一般式(41)で表される化合物において、環Zは、置換または無置換のトリアゾール環を表すことを特徴とする前記7に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【0032】
11.発光色が白色であることを特徴とする前記1〜10のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【0033】
12.前記1〜11のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子を備えたことを特徴とする照明装置。
【0034】
13.前記1〜11のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子を備えたことを特徴とする表示装置。
【発明の効果】
【0035】
本発明は、発光ドーパントのHOMOと隣接層含有材料のHOMOの関係を本発明のように規定することによって発光層への正孔の注入性を改良し、さらに一般式(1)で表される構造を有する化合物を隣接層に用いた。これにより、高い発光効率と長寿命を実現し、かつ駆動電圧が低く、色度が良好な有機エレクトロルミネッセンス素子、該素子を用いた照明装置、および表示装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】有機EL素子から構成される表示装置の一例を示した模式図である。
【図2】図1における表示部Aの模式図である。
【図3】画素の模式図である。
【図4】図2の表示部Aに係るパッシブマトリクス方式フルカラー表示装置の模式図である。
【図5】照明装置の概略図である。
【図6】照明装置の模式図である。
【図7】(a)〜(e)は有機ELフルカラー表示装置の概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、本発明を実施するための形態について詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0038】
《有機EL素子》
本発明の有機EL素子は、陽極と陰極に挟まれた少なくとも1層の発光層と該発光層の陽極側に隣接した隣接層を含む複数の有機層を有するものである。そして、該発光層の少なくとも1層に、溶液中の発光スペクトルにおいて、最も短波側にある発光極大波長が470nm以下、且つHOMO値が−4.50〜−5.50eVのリン光性発光ドーパントを少なくとも1種含有し、該隣接層に、一般式(1)で表される非金属錯体化合物であって、HOMO値が−4.50〜−5.10eVである化合物を含有する。
【0039】
本発明においては前述の課題を鑑み、発光ドーパントのHOMOと隣接層に含有される材料のHOMOの関係を本発明のようにすることによって発光層への正孔の注入性を改良し、さらに一般式(1)で表される構造を有する化合物を隣接層に用いることによって、発光層へのキャリアの注入バランスを改善し再結合領域を発光層と隣接層の界面近傍から離した。これによって、高い発光効率と長寿命を両立し、高色温度の照明用途や色域の広いディスプレイ用途に適した有機エレクトロルミネッセンス素子を得ることができた。
また、一般式(1)で表される化合物が縮環構造を有することで、一般的に正孔輸送層に用いられるα-NPDに代表されるトリアリールアミン誘導体よりも分子同士が配列しやすくなり、結果、層内でのキャリア移動度が向上し、低駆動電圧を達成できた。
【0040】
《有機EL素子の構成層》
有機EL素子の構成層について説明する。本発明において、有機EL素子の層構成の好ましい具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されない。
(i)陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極
(ii)陽極/正孔輸送層/発光層/正孔阻止層/電子輸送層/陰極
(iii)陽極/正孔輸送層/発光層/正孔阻止層/電子輸送層/電子注入層/陰極
(iv)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/正孔阻止層/電子輸送層/電子注入層/陰極
なお、阻止層としては正孔阻止層の他に、電子阻止層を用いることもできる。
【0041】
複数の発光層が含まれる場合、該発光層間に非発光性の中間層を有してもよい。また、上記層構成の内、陽極および陰極を除く発光層を含む有機層を1つの発光ユニットとし、複数の発光ユニットを積層することが可能である。該複数の積層された発光ユニットにおいては、発光ユニット間に非発光性の中間層を有していてもよく、さらに中間層は電荷発生層を含んでいてもよい。
本発明の有機EL素子としては白色発光層であることが好ましく、これらを用いた照明装置あるいは表示装置であることが好ましい。すなわち、有機EL素子は白色に発光することが好ましい。
本発明の有機EL素子を構成する各層について説明する。
【0042】
《正孔輸送層》
正孔輸送層とは正孔を輸送する機能を有する正孔輸送材料からなり、広い意味で正孔注入層、電子阻止層も正孔輸送層に含まれる。正孔輸送材料としては、正孔の注入または輸送、電子の障壁性のいずれかを有するものであり、有機物、無機物のいずれであってもよい。本発明では、正孔輸送層を複数設けてもよく、例えば、陽極側に近い正孔輸送層を第一正孔輸送層とし、発光層側に隣接する正孔輸送層を、第二正孔輸送層とする。
【0043】
本発明では、発光層の隣接層に一般式(1)で表される化合物を含有することを特徴とする。ここで、隣接層とは、発光層の陽極側に隣接した層であり、具体的には正孔輸送層のことである。ただし、前記したように、広い意味で正孔注入層、電子阻止層も正孔輸送層に含まれるため、正孔注入層、電子阻止層が陽極側に隣接している場合は、これらの層に一般式(1)で表される化合物を有していてもよい。なお、前記したように、正孔輸送層を複数設けた場合には、複数の正孔輸送層のうち、発光層の陽極側に隣接した層に一般式(1)で表される化合物を有する。例えば、陽極側に近い正孔輸送層を第一正孔輸送層とし、発光層側に隣接する正孔輸送層を第二正孔輸送層とした場合には、第二正孔輸送層に一般式(1)で表される化合物を有する。
【0044】
<一般式(1)で表される化合物>
次に、一般式(1)で表される化合物について説明する。
一般式(1)で表される化合物は、非金属錯体化合物であって、HOMO値が−4.50〜−5.10eVである。
【0045】
本発明でいうHOMOの値は、米国Gaussian社製の分子軌道計算用ソフトウェアであるGaussian03(Gaussian03、Revision D02,M.J.Frisch,et al, Gaussian, Inc., Wallingford CT, 2004. )を用いて求めた値である。
【0046】
本発明の一般式(1)で表される化合物、ホスト化合物、正孔輸送材料、電子輸送材料はキーワードとしてB3LYP/6−31G*を用い、リン光発光性ドーパント化合物はB3LYP/LanL2DZを用いて、対象とする分子構造の構造最適化を行うことによりHOMO値を算出する(eV単位換算値)。この計算値が有効な背景には、この手法で求めた計算値と実験値の相関が高いことが知られている。
【0047】
本発明の一般式(1)で表される化合物のHOMO値は、−4.50〜−5.10eVである。
HOMOの値を上記範囲としたのは、HOMOの値が−5.10eVよりも深いと、発光層への正孔注入が著しく減少するため、効率・寿命が劣化する結果となる。一方、−4.50eVよりも浅いと、発光層のドーパントのホールトラップ性が強いために発光層/正孔輸送層界面にホールが溜まり易く、同じく効率・寿命が低下する結果となるためである。HOMO値は、好ましくは−4.70〜−5.10eVである。
【0048】
<一般式(1)>
【0049】
【化6】
【0050】
一般式(1)において、Rは、置換基を表す。
置換基としては、例えば、水素原子、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、(t)ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基等)、シクロアルキル基(例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等)、アルケニル基(例えば、ビニル基、アリル基等)、アルキニル基(例えば、プロパルギル基等)、芳香族炭化水素環基(アリール基ともいい、例えば、フェニル基、p−クロロフェニル基、メシチル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、アントリル基、アズレニル基、アセナフテニル基、フルオレニル基、フェナントリル基、インデニル基、ピレニル基、ビフェニリル基等)、複素環基(例えば、エポキシ環、アジリジン環、チイラン環、オキセタン環、アゼチジン環、チエタン環、テトラヒドロフラン環、ジオキソラン環、ピロリジン環、ピラゾリジン環、イミダゾリジン環、オキサゾリジン環、テトラヒドロチオフェン環、スルホラン環、チアゾリジン環、ε−カプロラクトン環、ε−カプロラクタム環、ピペリジン環、ヘキサヒドロピリダジン環、ヘキサヒドロピリミジン環、ピペラジン環、モルホリン環、テトラヒドロピラン環、1,3−ジオキサン環、1,4−ジオキサン環、トリオキサン環、テトラヒドロチオピラン環、チオモルホリン環、チオモルホリン−1,1−ジオキシド環、ピラノース環、ジアザビシクロ[2,2,2]−オクタン環等)、芳香族複素環基(ピリジル基、ピリミジニル基、フリル基、ピロリル基、イミダゾリル基、ベンゾイミダゾリル基、ピラゾリル基、ピラジニル基、トリアゾリル基(例えば、1,2,4−トリアゾール−1−イル基、1,2,3−トリアゾール−1−イル基等)、オキサゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、チアゾリル基、イソオキサゾリル基、イソチアゾリル基、フラザニル基、チエニル基、キノリル基、ベンゾフリル基、ジベンゾフリル基、ベンゾチエニル基、ジベンゾチエニル基、インドリル基、インドロインドリル基、カルバゾリル基、カルボリニル基、ジアザカルバゾリル基(前記カルボリニル基のカルボリン環を構成する炭素原子の一つが窒素原子で置き換わったものを示す)、キノキサリニル基、ピリダジニル基、トリアジニル基、キナゾリニル基、フタラジニル基等)、ハロゲン原子(例えば、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、フッ素原子等)、アルコキシル基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基、ドデシルオキシ基等)、シクロアルコキシル基(例えば、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基等)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ基、ナフチルオキシ基等)、アルキルチオ基(例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、ペンチルチオ基、ヘキシルチオ基、オクチルチオ基、ドデシルチオ基等)、シクロアルキルチオ基(例えば、シクロペンチルチオ基、シクロヘキシルチオ基等)、アリールチオ基(例えば、フェニルチオ基、ナフチルチオ基等)、アルコキシカルボニル基(例えば、メチルオキシカルボニル基、エチルオキシカルボニル基、ブチルオキシカルボニル基、オクチルオキシカルボニル基、ドデシルオキシカルボニル基等)、アリールオキシカルボニル基(例えば、フェニルオキシカルボニル基、ナフチルオキシカルボニル基等)、スルファモイル基(例えば、アミノスルホニル基、メチルアミノスルホニル基、ジメチルアミノスルホニル基、ブチルアミノスルホニル基、ヘキシルアミノスルホニル基、シクロヘキシルアミノスルホニル基、オクチルアミノスルホニル基、ドデシルアミノスルホニル基、フェニルアミノスルホニル基、ナフチルアミノスルホニル基、2−ピリジルアミノスルホニル基等)、ウレイド基(例えば、メチルウレイド基、エチルウレイド基、ペンチルウレイド基、シクロヘキシルウレイド基、オクチルウレイド基、ドデシルウレイド基、フェニルウレイド基、ナフチルウレイド基、2−ピリジルアミノウレイド基等)、アシル基(例えば、アセチル基、エチルカルボニル基、プロピルカルボニル基、ペンチルカルボニル基、シクロヘキシルカルボニル基、オクチルカルボニル基、2−エチルヘキシルカルボニル基、ドデシルカルボニル基、フェニルカルボニル基、ナフチルカルボニル基、ピリジルカルボニル基等)、アシルオキシ基(例えば、アセチルオキシ基、エチルカルボニルオキシ基、ブチルカルボニルオキシ基、オクチルカルボニルオキシ基、ドデシルカルボニルオキシ基、フェニルカルボニルオキシ基等)、アミド基(例えば、メチルカルボニルアミノ基、エチルカルボニルアミノ基、ジメチルカルボニルアミノ基、プロピルカルボニルアミノ基、ペンチルカルボニルアミノ基、シクロヘキシルカルボニルアミノ基、2−エチルヘキシルカルボニルアミノ基、オクチルカルボニルアミノ基、ドデシルカルボニルアミノ基、フェニルカルボニルアミノ基、ナフチルカルボニルアミノ基等)、カルバモイル基(例えば、アミノカルボニル基、メチルアミノカルボニル基、ジメチルアミノカルボニル基、プロピルアミノカルボニル基、ペンチルアミノカルボニル基、シクロヘキシルアミノカルボニル基、オクチルアミノカルボニル基、2−エチルヘキシルアミノカルボニル基、ドデシルアミノカルボニル基、フェニルアミノカルボニル基、ナフチルアミノカルボニル基、2−ピリジルアミノカルボニル基等)、スルフィニル基(例えば、メチルスルフィニル基、エチルスルフィニル基、ブチルスルフィニル基、シクロヘキシルスルフィニル基、2−エチルヘキシルスルフィニル基、ドデシルスルフィニル基、フェニルスルフィニル基、ナフチルスルフィニル基、2−ピリジルスルフィニル基等)、アルキルスルホニル基またはアリールスルホニル基(例えば、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、ブチルスルホニル基、シクロヘキシルスルホニル基、2−エチルヘキシルスルホニル基、ドデシルスルホニル基、フェニルスルホニル基、ナフチルスルホニル基、2−ピリジルスルホニル基等)、アミノ基(例えば、アミノ基、エチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ブチルアミノ基、シクロペンチルアミノ基、2−エチルヘキシルアミノ基、ドデシルアミノ基)、アニリノ基、ジアリールアミノ基(例えば、ジフェニルアミノ基、ジナフチルアミノ基、フェニルナフチルアミノ基等)、ナフチルアミノ基、2−ピリジルアミノ基等)、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシル基、メルカプト基、アルキルシリル基またはアリールシリル基(例えば、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、(t)ブチルジメチルシリル基、トリイソプロピルシリル基、(t)ブチルジフェニルシリル基、トリフェニルシリル基、トリナフチルシリル基、2−ピリジルシリル基等)、アルキルホスフィノ基またはアリールホスフィノ基(ジメチルホスフィノ基、ジエチルホスフィノ基、ジシクロヘキシルホスフィノ基、メチルフェニルホスフィノ基、ジフェニルホスフィノ基、ジナフチルホスフィノ基、ジ(2−ピリジル)ホスホスフィノ基)、アルキルホスホリル基またはアリールホスホリル基(ジメチルホスホリル基、ジエチルホスホリル基、ジシクロヘキシルホスホリル基、メチルフェニルホスホリル基、ジフェニルホスホリル基、ジナフチルホスホリル基、ジ(2−ピリジル)ホスホリル基)、アルキルチオホスホリル基またはアリールチオホスホリル基(ジメチルチオホスホリル基、ジエチルチオホスホリル基、ジシクロヘキシルチオホスホリル基、メチルフェニルチオホスホリル基、ジフェニルチオホスホリル基、ジナフチルチオホスホリル基、ジ(2−ピリジル)チオホスホリル基)から選ばれる何れかの基を表す。なお、これらの置換基はさらに上記の置換基によって置換されていてもよいし、また、それらが互いに縮合してさらに環を形成してもよい。
さらに、好ましくはアルキル基、芳香族炭化水素環基、芳香族複素環基、複素環基、シクロアルキル基である。
【0051】
Lは連結基または単なる結合手を表し、連結基としては、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、アミド基、エステル基、カルボニル基、スルホニル基、アルキレン基(例えば、メチレン基、エチレン基等)、アリーレン基(例えば、フェニレン基等)またはヘテロアリーレン基、またはこれらを組み合わせた基等が挙げられる。これらの連結基のうち、酸素原子、アルキレン基、アリーレン基が好ましい。単なる結合手とは、連結する置換基同士を直接結合する結合手である。
【0052】
ArおよびArは芳香族炭化水素環または芳香族複素環を表す。
芳香族炭化水素環としては、ベンゼン環、ビフェニル環、ナフタレン環、アズレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ピレン環、クリセン環、ナフタセン環、トリフェニレン環、o−テルフェニル環、m−テルフェニル環、p−テルフェニル環、アセナフテン環、コロネン環、フルオレン環、フルオラントレン環、ペンタセン環、ペリレン環、ペンタフェン環、ピセン環、ピラントレン環、アンスラアントレン環等が挙げられる。
【0053】
芳香族複素環としては、例えば、シロール環、フラン環、チオフェン環、オキサゾール環、ピロール環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環、トリアジン環、オキサジアゾール環、トリアゾール環、イミダゾール環、ピラゾール環、チアゾール環、インドール環、ベンズイミダゾール環、ベンズチアゾール環、ベンズオキサゾール環、キノリン環、キノキサリン環、キナゾリン環、フタラジン環、チエノチオフェン環、カルバゾール環、アザカルバゾール環(カルバゾール環を構成する炭素原子の任意の一つ以上が窒素原子で置き換わったものを表す)、ジベンゾシロール環、ジベンゾフラン環、ジベンゾチオフェン環、ベンゾチオフェン環やジベンゾフラン環を構成する炭素原子の任意の一つ以上が窒素原子で置き換わった環、ベンゾジフラン環、ベンゾジチオフェン環、アクリジン環、ベンゾキノリン環、フェナジン環、フェナントリジン環、フェナントロリン環、サイクラジン環、キンドリン環、テペニジン環、キニンドリン環、トリフェノジチアジン環、トリフェノジオキサジン環、フェナントラジン環、アントラジン環、ペリミジン環、ナフトフラン環、ナフトチオフェン環、ナフトジフラン環、ナフトジチオフェン環、アントラフラン環、アントラジフラン環、アントラチオフェン環、アントラジチオフェン環、チアントレン環、フェノキサチイン環、ジベンゾカルバゾール環、インドロカルバゾール環、ジチエノベンゼン環等から導出される1価の基が挙げられる。
ArおよびArで表される芳香族炭化水素環、芳香族複素環は、前記Rで挙げた置換基で置換されていてもよい。
【0054】
好ましくは、Arは芳香族炭化水素環または芳香族複素環を表わし、Arは置換基を有する非縮合の芳香族炭化水素環、置換基を有する非縮合の芳香族複素環、または縮合芳香族炭化水素環または縮合芳香族複素環を表すものである。
さらに、Lが単結合を表し、ArおよびArが6員の芳香族炭化水素環または6員の芳香族複素環を表すことが好ましい。
また、ArおよびArがインドール環、アザインドール環、カルバゾール環、アザカルバゾール環または縮合芳香族複素環基を置換基として有するベンゼン環であることが、さらに好ましい。
【0055】
一般式(1)で表される化合物として、下記一般式(11)、下記一般式(21)、(22)、下記一般式(31)で表される化合物が好ましい。
【0056】
<一般式(11)>
【0057】
【化7】
【0058】
一般式(11)において、R111およびR112は水素原子、アルキル基、芳香族炭化水素環基または芳香族複素環基を表し、一般式(11)で表される化合物はさらに置換基を有していてもよい。
【0059】
一般式(11)においてR111、R112で表されるアルキル基、芳香族炭化水素環基あるいは芳香族複素環基としては、一般式(1)のR、Ar、Arで説明したものと同義である。
また、一般式(11)で表される化合物が有してもよい置換基としては、好ましくは、一般式(1)のRで示した置換基が挙げられる。
【0060】
一般式(11)においては、R111、R112が、フェニル基、ジベンゾフラン、ジベンゾチオフェンまたはカルバゾールであることがより好ましい。
【0061】
一般式(11)で表される化合物として、下記一般式(12)〜(14)で表される化合物が好ましい。
【0062】
【化8】
【0063】
【化9】
【0064】
【化10】
【0065】
一般式(12)〜(14)のR111、R112は、一般式(11)のR111、R112と同義である。
一般式(12)〜(14)において、R111、R112が、フェニル基、ジベンゾフラン、ジベンゾチオフェン、またはカルバゾールであることがより好ましい。
【0066】
以下に、一般式(11)〜(14)で表される化合物の具体例を挙げるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0067】
【化11】
【0068】
【化12】
【0069】
【化13】
【0070】
【化14】
【0071】
【化15】
【0072】
【化16】
【0073】
<一般式(21)、(22)>
【0074】
【化17】
【0075】
一般式(21)および一般式(22)において、R211およびR212はアルキル基、芳香族炭化水素環基または芳香族複素環基を表す。環Z〜Zは芳香族炭化水素環または芳香族複素環を形成する残基を表し、置換基を有していてもよい。
【0076】
一般式(21)、(22)におけるアルキル基、芳香族炭化水素環基あるいは芳香族複素環基としては、一般式(1)のR、Ar、Arで説明したものと同義である。
環Z〜Zの置換基としては、それぞれ独立に、水素、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数3〜11のシクロアルキル基、炭素数6〜12の芳香族炭化水素環基または、炭素数3〜11の芳香族複素環基を示す。環Zの置換基は、置換基が結合する環とともに、縮合環を形成してもよい。好ましくは、環Z〜Zが芳香族炭化水素環で、より好ましくはベンゼン環である。さらに好ましくは、環Z〜Zが、すべてベンゼン環である。
211およびR212は、好ましくは芳香族炭化水素環基または芳香族複素環基で、より好ましくは、ベンゼン環、ピリジン環、ピリミジン環、トリアジン環、キノリン環である。
【0077】
下記に、一般式(21)または一般式(22)で表される化合物の好ましい具体例を示すが、これらに限定されるものではない。
【0078】
【化18】
【0079】
【化19】
【0080】
【化20】
【0081】
【化21】
【0082】
【化22】
【0083】
【化23】
【0084】
【化24】
【0085】
【化25】
【0086】
【化26】
【0087】
【化27】
【0088】
【化28】
【0089】
【化29】
【0090】
【化30】
【0091】
【化31】
【0092】
【化32】
【0093】
<一般式(31)>
【0094】
【化33】
【0095】
一般式(31)において、R311およびR312は、水素原子、アリールシリル基、アリールホスホリル基、芳香族炭化水素環基、芳香族複素環基、ジアリールアミノ基、または、アルキル基を表す。
311およびR312は、アリールシリル基、アリールホスホリル基、芳香族炭化水素環基、芳香族複素環基のいずれかであることが好ましく、芳香族炭化水素環基または芳香族複素環基のいずれかであることがより好ましい。中でも酸素原子または硫黄原子を含む置換基であることが好ましい。
311およびR312における、芳香族炭化水素環基または芳香族複素環基としては、前記した一般式(1)のR、Ar、Arで説明したものと同義である。特にジベンゾフリル基、ジベンゾチエニル基等が最も好ましい置換基として挙げられる。
【0096】
〜Aは各々独立にC−RxまたはNを表し、複数のRxはそれぞれ同じであっても異なっていても良い。Rxは各々独立に水素原子または置換基を表す。
置換基としては、一般式(1)のRで挙げた置換基と同義である。
【0097】
各々独立した複数のRxのうち、1つ以上が置換基であることが好ましく、さらに1つまたは2つが置換基であることがより好ましい。
複数のRxのうち1つ以上のRxが各々独立に置換基を表す場合、A、A、Aのいずれか1つ以上がC−Rxであることが好ましく、さらにはAまたはAのいずれか1つ以上がC−Rxであることが好ましく、特にAがC−Rxであることがより好ましい形態として挙げられる。
【0098】
各々独立した複数のRxのうち1つ以上のRxが各々独立に置換基を表す場合、Rxはアリールシリル基、アリールホスホリル基、芳香族炭化水素環基、芳香族複素環基、ジアリールアミノ基のいずれかであることが好ましく、さらにはアリールシリル基、アリールホスホリル基、芳香族炭化水素環基、芳香族複素環基のいずれかであることが好ましく、中でも芳香族炭化水素環基または芳香族複素環基のいずれかであることがより好ましく、芳香族複素環基であることが特に好ましい。中でも酸素原子または硫黄原子を含む置換基である場合には、高い電荷輸送能を有し電荷に対する耐久性が高いため好ましく、芳香族複素環基である場合には熱的安定性も高いため好ましい。特にジベンゾフリル基、ジベンゾチエニル基等が最も好ましい置換基として挙げられる。
【0099】
また、Rxで表される置換基はさらに置換されていることが好ましく、置換基としてはアリールシリル基、アリールホスホリル基、芳香族炭化水素環基、芳香族複素環基、ジアリールアミノ基のいずれかであることが好ましく、さらにはアリールシリル基、アリールホスホリル基、芳香族炭化水素環基、芳香族複素環基のいずれかであることがより好ましく、中でも芳香族炭化水素環基または芳香族複素環基のいずれかであることが特に好ましい。
【0100】
本発明において、一般式(31)における複数のRx、R311およびR312のうち何れか1つ以上は、ピリジル基、ピリミジニル基、フリル基、ピロリル基、イミダゾリル基、ベンゾイミダゾリル基、ピラゾリル基、ピラジニル基、トリアゾリル基、オキサゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、チアゾリル基、イソオキサゾリル基、イソチアゾリル基、フラザニル基、チエニル基、キノリル基、ベンゾフリル基、ジベンゾフリル基、ベンゾチエニル基、ジベンゾチエニル基、インドリル基、インドロインドリル基、キノキサリニル基、ピリダジニル基、トリアジニル基、キナゾリニル基、フタラジニル基、アリールシリル基、アリールホスホリル基から選ばれる何れかの基であることが好ましい。
【0101】
下記に、一般式(31)で表される化合物の好ましい具体例を示すが、これらに限定されるものではない。
【0102】
【化34】
【0103】
【化35】
【0104】
【化36】
【0105】
【化37】
【0106】
【化38】
【0107】
【化39】
【0108】
【化40】
【0109】
【化41】
【0110】
【化42】
【0111】
【化43】
【0112】
【化44】
【0113】
【化45】
【0114】
【化46】
【0115】
【化47】
【0116】
本発明の一般式(1)で表わされる化合物以外に、本発明の効果を損なわない範囲で、公知の正孔輸送材料を複数種併用してもよい。
正孔輸送材料としては、例えば、トリアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、ピラゾリン誘導体およびピラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アリールアミン誘導体、アミノ置換カルコン誘導体、オキサゾール誘導体、スチリルアントラセン誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、シラザン誘導体、アニリン系共重合体、また導電性高分子オリゴマー、特にチオフェンオリゴマー等が挙げられる。
正孔輸送材料としては上記のものを使用することができるが、ポルフィリン化合物、芳香族第3級アミン化合物およびスチリルアミン化合物、特に芳香族第3級アミン化合物を用いることが好ましい。
【0117】
芳香族第3級アミン化合物およびスチリルアミン化合物の代表例としては、N,N,N′,N′−テトラフェニル−4,4′−ジアミノフェニル;N,N′−ジフェニル−N,N′−ビス(3−メチルフェニル)−〔1,1′−ビフェニル〕−4,4′−ジアミン(TPD);2,2−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)プロパン;1,1−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)シクロヘキサン;N,N,N′,N′−テトラ−p−トリル−4,4′−ジアミノビフェニル;1,1−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)−4−フェニルシクロヘキサン;ビス(4−ジメチルアミノ−2−メチルフェニル)フェニルメタン;ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)フェニルメタン;N,N′−ジフェニル−N,N′−ジ(4−メトキシフェニル)−4,4′−ジアミノビフェニル;N,N,N′,N′−テトラフェニル−4,4′−ジアミノジフェニルエーテル;4,4′−ビス(ジフェニルアミノ)クオードリフェニル;N,N,N−トリ(p−トリル)アミン;4−(ジ−p−トリルアミノ)−4′−〔4−(ジ−p−トリルアミノ)スチリル〕スチルベン;4−N,N−ジフェニルアミノ−(2−ジフェニルビニル)ベンゼン;3−メトキシ−4′−N,N−ジフェニルアミノスチルベンゼン;N−フェニルカルバゾール、さらには米国特許第5,061,569号明細書に記載されている2個の縮合芳香族環を分子内に有するもの、例えば、4,4′−ビス〔N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ〕ビフェニル(NPD)、特開平4−308688号公報に記載されているトリフェニルアミンユニットが3つスターバースト型に連結された4,4′,4″−トリス〔N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ〕トリフェニルアミン(MTDATA)等が挙げられる。
【0118】
さらにこれらの材料を高分子鎖に導入した、またはこれらの材料を高分子の主鎖とした高分子材料を用いることもできる。また、p型−Si、p型−SiC等の無機化合物も正孔注入材料、正孔輸送材料として使用することができる。また、銅フタロシアニンやトリス(2−フェニルピリジン)イリジウム錯体等に代表されるシクロメタル化錯体やオルトメタル化錯体等も正孔輸送材料として使用することができる。
また、特開平11−251067号公報、J.Huang et.al.著文献(Applied Physics Letters 80(2002),p.139)に記載されているような、所謂p型正孔輸送材料を用いることもできる。
【0119】
また、不純物をドープしたp性の高い正孔輸送層を用いることもできる。その例としては、特開平4−297076号公報、特開2000−196140号公報、同2001−102175号公報の各公報、J.Appl.Phys.,95,5773(2004)等に記載されたものが挙げられる。
正孔輸送層は上記正孔輸送材料を、例えば、真空蒸着法、スピンコート法、キャスト法、インクジェット法を含む印刷法、LB法等の公知の方法により、薄膜化することにより形成することができる。正孔輸送層の膜厚については特に制限はないが、通常は5nm〜5μm程度、好ましくは5nm〜200nmである。
【0120】
<電子輸送層>
電子輸送層とは電子を輸送する機能を有する材料からなり、広い意味で電子注入層、正孔阻止層も電子輸送層に含まれる。電子輸送層は単層もしくは複数層を設けることができる。電子輸送層に用いられる電子輸送材料(正孔阻止材料、電子注入材料も含む)としては陰極より注入された電子を発光層に伝達する機能を有していればよく、電子輸送層の構成材料としては従来公知の化合物の中から任意のものを選択して、単独または組み合わせて用いることが可能である。
【0121】
電子輸送層に用いられる従来公知の材料(以下、電子輸送材料という)の例としては、ニトロ置換フルオレン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、チオピランジオキシド誘導体、ナフタレンペリレン等の複素環テトラカルボン酸無水物、カルボジイミド、フレオレニリデンメタン誘導体、アントラキノジメタンおよびアントロン誘導体、オキサジアゾール誘導体、カルボリン誘導体、を含むアザカルバゾール誘導体等が挙げられる。
ここで、アザカルバゾール誘導体とは、カルバゾール環を構成する炭素原子の1つ以上が窒素原子で置き換わったものを示す。
さらに、上記オキサジアゾール誘導体において、オキサジアゾール環の酸素原子を硫黄原子に置換したチアジアゾール誘導体、電子吸引性基として知られているキノキサリン環を有するキノキサリン誘導体も電子輸送材料として用いることができる。
これらの材料を高分子鎖に導入した、またはこれらの材料を高分子の主鎖とした高分子材料を用いることもできる。
【0122】
また、8−キノリノール誘導体の金属錯体、例えば、トリス(8−キノリノール)アルミニウム(Alq)、トリス(5,7−ジクロロ−8−キノリノール)アルミニウム、トリス(5,7−ジブロモ−8−キノリノール)アルミニウム、トリス(2−メチル−8−キノリノール)アルミニウム、トリス(5−メチル−8−キノリノール)アルミニウム、ビス(8−キノリノール)亜鉛(Znq)等、およびこれらの金属錯体の中心金属がIn、Mg、Cu、Ca、Sn、GaまたはPbに置き替わった金属錯体も電子輸送材料として用いることができる。
その他、メタルフリーもしくはメタルフタロシアニン、またはそれらの末端がアルキル基やスルホン酸基等で置換されているものも電子輸送材料として用いることができる。
また、正孔注入層、正孔輸送層と同様にn型−Si、n型−SiC等の無機半導体も電子輸送材料として用いることができる。
【0123】
電子輸送層は電子輸送材料を、例えば、真空蒸着法、湿式法(ウェットプロセスともいい、例えば、スピンコート法、キャスト法、ダイコート法、ブレードコート法、ロールコート法、インクジェット法、印刷法、スプレーコート法、カーテンコート法、LB法(ラングミュア・ブロジェット(Langmuir Blodgett法)等を挙げることができる。))等により、薄膜化することにより形成することが好ましい。
【0124】
電子輸送層の膜厚については特に制限はないが、通常は5nm〜5000nm程度、好ましくは5nm〜200nmである。この電子輸送層は上記材料の一種または二種以上からなる一層構造であってもよい。
また、金属錯体やハロゲン化金属等、金属化合物等のn型ドーパントをドープして用いてもよい。
【0125】
電子輸送層の形成に好ましく用いられる従来公知の化合物(電子輸送材料)としては、例えば、特開2012−164731号公報に記載のET−1−ET−43の化合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0126】
<発光層>
発光層は、電極または電子輸送層、正孔輸送層から注入されてくる電子および正孔が再結合して発光する層であり、発光する部分は発光層の層内であっても発光層と隣接層との界面であってもよい。
発光層の膜厚の総和は特に制限はないが、膜の均質性や、発光時に不必要な高電圧を印加するのを防止し、かつ、駆動電流に対する発光色の安定性向上の観点から、2nm〜5μmの範囲に調整することが好ましく、さらに好ましくは2nm〜200nmの範囲に調整され、特に好ましくは、5nm〜100nmの範囲である。
【0127】
発光層の作製には、後述する発光ドーパントやホスト化合物を、例えば、真空蒸着法、湿式法(ウェットプロセスともいい、例えば、スピンコート法、キャスト法、ダイコート法、ブレードコート法、ロールコート法、インクジェット法、印刷法、スプレーコート法、カーテンコート法、LB法(ラングミュア・ブロジェット(Langmuir Blodgett法)等を挙げることができる。))等により製膜して形成することができる。
【0128】
本発明の有機EL素子の発光層には、発光性ドーパント(リン光性発光ドーパント(リン光ドーパント、リン光発光性ドーパント、リン光発光性ドーパント基ともいう)や蛍光ドーパント等)化合物と、ホスト化合物とを含有する。
【0129】
(発光性ドーパント化合物)
発光性ドーパント化合物(発光ドーパント、発光ドーパント化合物ともいう)について説明する。
発光性ドーパントとしては、蛍光ドーパント(蛍光性化合物ともいう)、リン光ドーパント(リン光発光性ドーパント化合物、リン光発光体、リン光性化合物、リン光発光性化合物等ともいう)を用いることができる。
【0130】
(リン光性発光ドーパント)
リン光性発光ドーパントについて説明する。
リン光性発光ドーパント化合物は、励起三重項からの発光が観測される化合物である。具体的には室温(25℃)にてリン光発光する化合物であり、リン光量子収率が、25℃において0.01以上の化合物であると定義されるが、好ましいリン光量子収率は0.1以上である。
上記リン光量子収率は、第4版実験化学講座7の分光IIの398頁(1992年版、丸善)に記載の方法により測定できる。溶液中でのリン光量子収率は種々の溶媒を用いて測定できるが、リン光性発光ドーパントは、任意の溶媒のいずれかにおいて上記リン光量子収率(0.01以上)が達成されればよい。
【0131】
リン光性発光ドーパントの発光は原理としては2種挙げられ、1つはキャリアが輸送されるホスト化合物上でキャリアの再結合が起こって発光性ホスト化合物の励起状態が生成し、このエネルギーをリン光ドーパントに移動させることでリン光性発光ドーパントからの発光を得るというエネルギー移動型、もう1つはリン光ドーパントがキャリアトラップとなり、リン光性発光ドーパント上でキャリアの再結合が起こり、リン光性発光ドーパント化合物からの発光が得られるというキャリアトラップ型であるが、いずれの場合においても、リン光性発光ドーパントの励起状態のエネルギーはホスト化合物の励起状態のエネルギーよりも低いことが条件である。
【0132】
ここで、本発明者らは、上記本発明の目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、有機EL素子の発光層の少なくとも1層に、溶液中の発光スペクトルにおいて、最も短波側にある発光極大波長が470nm以下、且つ、HOMO値が−4.50〜−5.50eVのリン光性発光ドーパントを少なくとも1種含有させることで、有機EL素子の発光効率、寿命および駆動電圧の向上、素子の色域を向上させられることを明らかにした。
よって、本発明に用いるリン光性発光ドーパントは、少なくとも1種が、400〜700nmの領域の溶液中の発光スペクトルにおいて、最も短波側にある発光極大波長が470nm以下、且つ、HOMO値が−4.50〜−5.50eVの化合物である。
【0133】
本発明に用いるリン光性発光ドーパントは、溶液中の発光スペクトルにおいて、複数の発光ピークがある場合、最も短波側にある発光の発光極大波長(ピーク波長)を470nm以下とする。
発光極大波長が470nmを超えると、高色温度の照明用途や色域の広いディスプレイに用いるのに不向きとなる。したがって、リン光性発光ドーパントの発光極大波長は、470nm以下とする。
溶液中の発光スペクトルは、例えば、無極性溶媒にドーパントを溶解した溶液に励起光を照射することにより得られる蛍光スペクトルから求めることができる。本発明では、2−メチルテトラヒドロフランにドーパントを溶解し、日立製F−4500を用いて、400〜700nmの領域の蛍光スペクトル測定を行った。
【0134】
本発明に用いるリン光性発光ドーパントのHOMO値は、−4.50〜−5.50eVである。リン光性発光ドーパントでのHOMOの値は、正孔輸送層で説明した計算方法で求めることができる。
HOMOの値を上記範囲としたのは、HOMO値が−5.50eVよりも深いと、正孔輸送層から、発光層への正孔注入性が著しく減少するため、効率・寿命が劣化する結果となる。一方、HOMO値が−4.50eVよりも浅いと、発光極大波長を470nm以下の青色のリン光性発光ドーパントにするには、ドーパントのLUMOが浅くなったり、化合物が不安定になるためである。
【0135】
本発明において、好ましいリン光性発光ドーパントは、下記の一般式(41)で表される化合物である。
【0136】
【化48】
【0137】
一般式(41)において、MはIr、Pt、Rh、Ru、AgまたはCuを表し、XおよびXは炭素原子または窒素原子を表し、環ZはC=Cと共に6員の芳香族炭化水素環、または5員または6員の芳香族複素環を表し、環ZはX−Xと共に5員の複素環を表す。
【0138】
環Zの6員の芳香族炭化水素環としては、例えばベンゼン環が挙げられる。5員または6員の芳香族複素環としては、例えば、フラン環、チオフェン環、オキサゾール環、ピロール環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環、トリアジン環、オキサジアゾール環、トリアゾール環、イミダゾール環、ピラゾール環、チアゾール環、等が挙げられる。環Z、環Zは置換基を有してもよく、一般式(1)のRで挙げたものを用いることが出来る。
L'はMに配位したモノアニオン性の二座配位子の内の1つまたは複数であり、m’は0〜2の整数を表し、n’は少なくとも1の整数であり、m’+n’は2または3である。
【0139】
ここで、環Zは、置換または無置換のベンゼン環またはピリジン環、環Zは、置換または無置換のイミダゾール環、置換または無置換のピラゾール環、あるいは、置換または無置換のトリアゾール環を表すものであることが好ましい。
【0140】
一般式(41)で表される化合物として好ましいものは、下記一般式(42)、(43)、(44)で表される化合物である。
【0141】
【化49】
【0142】
一般式(42)において、M、L’、m’、n'は、一般式(41)と同義である。Rは電子吸引基を表わし、Rは電子供与基またはFを表す。XおよびXは炭素原子または窒素原子を表し、環ZはX−Xと共に5員の複素環を表す。電子吸引基としては、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、フェニル基、アシル基等のケト基が挙げられ、電子供与基としては、アルキル基、水酸基、アルコキシ基、アミノ基等が挙げられる。
【0143】
【化50】
【0144】
一般式(43)において、M、L’、m’、n'は、一般式(41)と同義である。R、R、Rは、水素原子、置換基を表わし、RとRは環を形成してもよい。環ZはC=Cと共に6員の芳香族炭化水素環、または5員または6員の芳香族複素環を表す。
R3、R4、R5の置換基としては、一般式(1)のRで示した置換基と同義の基を表す。
【0145】
【化51】
【0146】
一般式(44)において、M、L’、m’、n'は、一般式(41)と同義である。X〜Xは、−CRまたは窒素原子を表し、XとXが−CRの場合、環を形成してもよい。環Zは、6員の芳香族炭化水素環、または5員または6員の芳香族複素環を表し、環ZはX−Xと共に5員の複素環を表す。Rは炭素原子または窒素原子を表す。
【0147】
以下、一般式(41)〜(44)の具体例を挙げるが、本発明はこれらに限定されない。
【0148】
【化52】
【0149】
【化53】
【0150】
【化54】
【0151】
【化55】
【0152】
本発明に関わるリン光性発光ドーパント以外に、以下の特許公報に記載されている化合物等を併用してもよい。
例えば、国際公開第00/70655号、特開2002−280178号公報、特開2001−181616号公報、特開2002−280179号公報、特開2001−181617号公報、特開2002−280180号公報、特開2001−247859号公報、特開2002−299060号公報、特開2001−313178号公報、特開2002−302671号公報、特開2001−345183号公報、特開2002−324679号公報、国際公開第02/15645号、特開2002−332291号公報、特開2002−50484号公報、特開2002−332292号公報、特開2002−83684号公報、特表2002−540572号公報、特開2002−117978号公報、特開2002−338588号公報、特開2002−170684号公報、特開2002−352960号公報、国際公開第01/93642号、特開2002−50483号公報、特開2002−100476号公報、特開2002−173674号公報、特開2002−359082号公報、特開2002−175884号公報、特開2002−363552号公報、特開2002−184582号公報、特開2003−7469号公報、特表2002−525808号公報、特開2003−7471号公報、特表2002−525833号公報、特開2003−31366号公報、特開2002−226495号公報、特開2002−234894号公報、特開2002−235076号公報、特開2002−241751号公報、特開2001−319779号公報、特開2001−319780号公報、特開2002−62824号公報、特開2002−100474号公報、特開2002−203679号公報、特開2002−343572号公報、特開2002−203678号公報等である。
【0153】
(蛍光ドーパント(蛍光性化合物ともいう))
蛍光ドーパントとしては、クマリン系色素、ピラン系色素、シアニン系色素、クロコニウム系色素、スクアリウム系色素、オキソベンツアントラセン系色素、フルオレセイン系色素、ローダミン系色素、ピリリウム系色素、ペリレン系色素、スチルベン系色素、ポリチオフェン系色素、または希土類錯体系蛍光体等や、レーザー色素に代表される蛍光量子収率が高い化合物が挙げられる。
また発光ドーパントは、複数種の化合物を併用して用いてもよく、構造の異なるリン光ドーパント同士の組み合わせや、リン光ドーパントと蛍光ドーパントを組み合わせて用いてもよい。
【0154】
<発光ホスト化合物(発光ホスト、ホスト化合物ともいう>
公知の発光ホストの具体例としては、以下の文献に記載の化合物が挙げられる。
特開2001−257076号公報、同2002−308855号公報、同2001−313179号公報、同2002−319491号公報、同2001−357977号公報、同2002−334786号公報、同2002−8860号公報、同2002−334787号公報、同2002−15871号公報、同2002−334788号公報、同2002−43056号公報、同2002−334789号公報、同2002−75645号公報、同2002−338579号公報、同2002−105445号公報、同2002−343568号公報、同2002−141173号公報、同2002−352957号公報、同2002−203683号公報、同2002−363227号公報、同2002−231453号公報、同2003−3165号公報、同2002−234888号公報、同2003−27048号公報、同2002−255934号公報、同2002−260861号公報、同2002−280183号公報、同2002−299060号公報、同2002−302516号公報、同2002−305083号公報、同2002−305084号公報、同2002−308837号公報等。
なお、本発明の有機EL素子の発光層の発光ホストとして用いられる具体例としては、例えば、特開2012−164731号公報に記載のOC−1〜OC32の化合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0155】
<注入層:正孔注入層(陽極バッファー層)、電子注入層(陰極バッファー層)>
注入層とは、必要に応じて、駆動電圧低下や発光輝度向上のために電極と有機層間に設けられる層のことで、「有機EL素子とその工業化最前線(1998年11月30日エヌ・ティー・エス社発行)」の第2編第2章「電極材料」(123頁〜166頁)に詳細に記載されており、正孔注入層(陽極バッファー層)と電子注入層(陰極バッファー層)とがある。
【0156】
陽極バッファー層(正孔注入層)は、特開平9−45479号公報、同9−260062号公報、同8−288069号公報等にもその詳細が記載されており、具体例として、銅フタロシアニンに代表されるフタロシアニンバッファー層、酸化バナジウムに代表される酸化物バッファー層、アモルファスカーボンバッファー層、ポリアニリン(エメラルディン)やポリチオフェン等の導電性高分子を用いた高分子バッファー層、トリス(2−フェニルピリジン)イリジウム錯体等に代表されるオルトメタル化錯体層等が挙げられる。
【0157】
陰極バッファー層(電子注入層)は、特開平6−325871号公報、同9−17574号公報、同10−74586号公報等にもその詳細が記載されており、具体的にはストロンチウムやアルミニウム等に代表される金属バッファー層、フッ化リチウム、フッ化ナトリウムやフッ化カリウム等に代表されるアルカリ金属化合物バッファー層、フッ化マグネシウムに代表されるアルカリ土類金属化合物バッファー層、酸化アルミニウムに代表される酸化物バッファー層等が挙げられる。上記バッファー層(注入層)はごく薄い膜であることが望ましく、素材にもよるがその膜厚は0.1nm〜5μmの範囲が好ましい。
また、陽極バッファー層および陰極バッファー層に用いられる材料は、他の材料と併用して用いることも可能であり、例えば正孔輸送層や電子輸送層中に混合して用いることも可能である。
【0158】
<阻止層:正孔阻止層、電子阻止層>
阻止層は、上記の如く有機化合物薄膜の基本構成層の他に必要に応じて設けられるものである。例えば、特開平11−204258号公報、同11−204359号公報、および「有機EL素子とその工業化最前線(1998年11月30日エヌ・ティー・エス社発行)」の237頁等に記載されている正孔阻止(ホールブロック)層がある。
正孔阻止層とは広い意味では電子輸送層の機能を有し、電子を輸送する機能を有しつつ正孔を輸送する能力が著しく小さい正孔阻止材料からなり、電子を輸送しつつ正孔を阻止することで電子と正孔の再結合確率を向上させることができる。
また、前述の電子輸送層の構成を必要に応じて、本発明に係わる正孔阻止層として用いることができる。
本発明の有機EL素子の正孔阻止層は、発光層に隣接して設けられていることが好ましい。
【0159】
正孔阻止層には、カルバゾール誘導体、アザカルバゾール誘導体(ここで、アザカルバゾール誘導体とは、カルバゾール環を構成する炭素原子の1つ以上が窒素原子で置き換わったものを示す)、ピリジン誘導体等、含窒素化合物を含有することが好ましい。
また、本発明においては、複数の発光色の異なる複数の発光層を有する場合、その発光極大波長が最も短波にある発光層(最短波層)が、全発光層中、最も陽極に近いことが好ましい。そしてこのような場合、該最短波層とこの最短波層の次に陽極に近い発光層との間に正孔阻止層を追加して設けることが好ましい。
本発明に用いることができる正孔阻止層、電子阻止層の膜厚としては、好ましくは3nm〜100nmであり、さらに好ましくは3nm〜30nmである。
【0160】
<陽極>
有機EL素子における陽極としては、仕事関数の大きい(4eV以上)金属、合金、電気伝導性化合物およびこれらの混合物を電極物質とするものが好ましく用いられる。このような電極物質の具体例としては、Au等の金属、CuI、インジウムチンオキシド(ITO)、SnO、ZnO等の導電性透明材料が挙げられる。
また、IDIXO(In−ZnO)等非晶質で透明導電膜を作製可能な材料を用いてもよい。陽極はこれらの電極物質を蒸着やスパッタリング等の方法により薄膜を形成させ、フォトリソグラフィー法で所望の形状のパターンを形成してもよく、あるいはパターン精度をあまり必要としない場合は(100μm以上程度)、上記電極物質の蒸着やスパッタリング時に所望の形状のマスクを介してパターンを形成してもよい。
あるいは、有機導電性化合物のように塗布可能な物質を用いる場合には、印刷方式、コーティング方式等湿式成膜法を用いることもできる。この陽極より発光を取り出す場合には、透過率を10%より大きくすることが望ましく、また陽極としてのシート抵抗は数百Ω/□以下が好ましい。さらに膜厚は材料にもよるが、通常10nm〜1000nm、好ましくは10nm〜200nmの範囲で選ばれる。
【0161】
<陰極>
一方、陰極としては仕事関数の小さい(4eV以下)金属(電子注入性金属と称する)、合金、電気伝導性化合物およびこれらの混合物を電極物質とするものが用いられる。
このような電極物質の具体例としては、ナトリウム、ナトリウム−カリウム合金、マグネシウム、リチウム、マグネシウム/銅混合物、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al)混合物、インジウム、リチウム/アルミニウム混合物、希土類金属等が挙げられる。
これらの中で、電子注入性および酸化等に対する耐久性の点から、電子注入性金属とこれより仕事関数の値が大きく安定な金属である第二金属との混合物、例えば、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al)混合物、リチウム/アルミニウム混合物、アルミニウム等が好適である。
【0162】
陰極はこれらの電極物質を蒸着やスパッタリング等の方法により薄膜を形成させることにより、作製することができる。また、陰極としてのシート抵抗は数百Ω/□以下が好ましく、膜厚は通常10nm〜5μm、好ましくは50nm〜200nmの範囲で選ばれる。
なお、発光した光を透過させるため、有機EL素子の陽極または陰極のいずれか一方が透明または半透明であれば発光輝度が向上し好都合である。
また、陰極に上記金属を1nm〜20nmの膜厚で作製した後に、陽極の説明で挙げた導電性透明材料をその上に作製することで、透明または半透明の陰極を作製することができ、これを応用することで陽極と陰極の両方が透過性を有する素子を作製することができる。
【0163】
《支持基板》
本発明の有機EL素子に用いることのできる支持基板(以下、基体、基板、基材、支持体等とも言う)としては、ガラス、プラスチック等の種類には特に限定はなく、また透明であっても不透明であってもよい。支持基板側から光を取り出す場合には、支持基板は透明であることが好ましい。
好ましく用いられる透明な支持基板としては、ガラス、石英、透明樹脂フィルムを挙げることができる。特に好ましい支持基板は、有機EL素子にフレキシブル性を与えることが可能な樹脂フィルムである。
【0164】
《有機EL素子の製造方法》
有機EL素子の製造方法の一例として、陽極/正孔注入層(陽極バッファー層)/正孔輸送層/発光層/正孔阻止層/電子輸送層/電子注入層(陰極バッファー層)/陰極からなる素子の製造方法について説明する。
【0165】
まず、適当な基体上に所望の電極物質、例えば、陽極用物質からなる薄膜を1μm以下、好ましくは10nm〜200nmの膜厚になるように形成させ、陽極を作製する。
次に、この上に素子材料である正孔注入層、正孔輸送層、発光層、正孔阻止層、電子輸送層、電子注入層等の有機化合物を含有する薄膜を形成させる。
薄膜の形成方法としては、例えば、真空蒸着法、湿式法(ウェットプロセスともいう)等により成膜して形成することができる。
【0166】
湿式法としては、スピンコート法、キャスト法、ダイコート法、ブレードコート法、ロールコート法、インクジェット法、印刷法、スプレーコート法、カーテンコート法、LB法等があるが、精密な薄膜が形成可能で、且つ高生産性の点から、ダイコート法、ロールコート法、インクジェット法、スプレーコート法等のロール・ツー・ロール方式適性の高い方法が好ましい。また、層ごとに異なる成膜法を適用してもよい。
【0167】
本発明に用いることができる有機EL材料を溶解または分散する液媒体としては、例えば、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、酢酸エチル等の脂肪酸エステル類、ジクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素類、トルエン、キシレン、メシチレン、シクロヘキシルベンゼン等の芳香族炭化水素類、シクロヘキサン、デカリン、ドデカン等の脂肪族炭化水素類、DMF、DMSO等の有機溶媒を用いることができる。
また、分散方法としては、超音波、高剪断力分散やメディア分散等の分散方法により分散することができる。
【0168】
これらの層の形成後、その上に陰極用物質からなる薄膜を1μm以下、好ましくは50〜200nmの範囲の膜厚になるように形成させ、陰極を設けることにより所望の有機EL素子が得られる。
また、順序を逆にして、陰極、電子注入層、電子輸送層、正孔阻止層、発光層、正孔輸送層、正孔注入層、陽極の順に作製することも可能である。
本発明の有機EL素子の作製は、一回の真空引きで一貫して正孔注入層から陰極まで作製するのが好ましいが、途中で取り出して異なる成膜法を施しても構わない。その際、作業を乾燥不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましい。
【0169】
《封止》
本発明に用いられる封止手段としては、例えば、封止部材と電極、支持基板とを接着剤で接着する方法を挙げることができる。
封止部材としては、有機EL素子の表示領域を覆うように配置されておればよく、凹板状でも平板状でもよい。また透明性、電気絶縁性は特に問わない。具体的には、ガラス板、ポリマー板・フィルム、金属板・フィルム等が挙げられる。封止部材を凹状に加工するのは、サンドブラスト加工、化学エッチング加工等が使われる。
また、有機層を挟み支持基板と対向する側の電極の外側に該電極と有機層を被覆し、支持基板と接する形で無機物、有機物の層を形成し封止膜とすることも好適にできる。
【0170】
《保護膜、保護板》
有機層を挟み支持基板と対向する側の前記封止膜、あるいは前記封止用フィルムの外側に、素子の機械的強度を高めるために保護膜、あるいは保護板を設けてもよい。特に封止が前記封止膜により行われている場合には、その機械的強度は必ずしも高くないため、このような保護膜、保護板を設けることが好ましい。
これに使用することができる材料としては、前記封止に用いたのと同様なガラス板、ポリマー板・フィルム、金属板・フィルム等を用いることができるが、軽量且つ薄膜化ということからポリマーフィルムを用いることが好ましい。
【0171】
《光取り出し》
有機EL素子は空気よりも屈折率の高い(屈折率が1.7〜2.1程度)層の内部で発光し、発光層で発生した光のうち15%から20%程度の光しか取り出せないことが一般的に言われている。これは、臨界角以上の角度θで界面(透明基板と空気との界面)に入射する光は、全反射を起こし素子外部に取り出すことができないことや、透明電極ないし発光層と透明基板との間で光が全反射を起こし、光が透明電極ないし発光層を導波し、結果として光が素子側面方向に逃げるためである。
【0172】
この光の取り出しの効率を向上させる手法としては、例えば、透明基板表面に凹凸を形成し、透明基板と空気界面での全反射を防ぐ方法(米国特許第4,774,435号明細書)、基板に集光性を持たせることにより効率を向上させる方法(特開昭63−314795号公報)、素子の側面等に反射面を形成する方法(特開平1−220394号公報)、基板と発光体の間に中間の屈折率を持つ平坦層を導入し、反射防止膜を形成する方法(特開昭62−172691号公報)、基板と発光体の間に基板よりも低屈折率を持つ平坦層を導入する方法(特開2001−202827号公報)、基板、透明電極層や発光層のいずれかの層間(含む、基板と外界間)に回折格子を形成する方法(特開平11−283751号公報)等がある。
【0173】
本発明においては、これらの方法を本発明の有機EL素子と組み合わせて用いることができるが、基板と発光体の間に基板よりも低屈折率を持つ平坦層を導入する方法、あるいは基板、透明電極層や発光層のいずれかの層間(含む、基板と外界間)に回折格子を形成する方法を好適に用いることができる。
本発明はこれらの手段を組み合わせることにより、さらに高輝度あるいは耐久性に優れた素子を得ることができる。
【0174】
《集光シート》
本発明の有機EL素子は基板の光取り出し側に、例えば、マイクロレンズアレイ状の構造を設けるように加工したり、あるいは所謂集光シートと組み合わせることにより、特定方向、例えば、素子発光面に対し正面方向に集光することにより、特定方向上の輝度を高めることができる。
マイクロレンズアレイの例としては、基板の光取り出し側に一辺が30μmでその頂角が90度となるような四角錐を二次元に配列する。一辺は10μm〜100μmが好ましい。これより小さくなると回折の効果が発生して色付き、大きすぎると厚みが厚くなり好ましくない。
【0175】
なお、前記した「有機EL素子を構成する各層」についての本発明の特徴的部分以外や、「支持基板」、「封止」、「保護膜、保護板」、「光取り出し」、「集光シート」等についてのその他の詳細については、例えば、特開2012−164731号公報、特開2012−156299号公報等の公知文献に記載のものと同様とすることができる。
【0176】
《用途》
本発明の有機EL素子は、表示デバイス、ディスプレイ、各種発光光源として用いることができる。発光光源として、例えば、照明装置(家庭用照明、車内照明)、時計や液晶用バックライト、看板広告、信号機、光記憶媒体の光源、電子写真複写機の光源、光通信処理機の光源、光センサーの光源等が挙げられるがこれに限定するものではないが、特に液晶表示装置のバックライト、照明用光源としての用途に有効に用いることができる。
【0177】
本発明の有機EL素子においては、必要に応じ成膜時にメタルマスクやインクジェットプリンティング法等でパターニングを施してもよい。パターニングする場合は、電極のみをパターニングしてもよいし、電極と発光層をパターニングしてもよいし、素子全層をパターニングしてもよく、素子の作製においては、従来公知の方法を用いることができる。
本発明の有機EL素子や本発明に係る化合物の発光する色は、「新編色彩科学ハンドブック」(日本色彩学会編、東京大学出版会、1985)の108頁の図4.16において、分光放射輝度計CS−1000(コニカミノルタセンシング(株)製)で測定した結果をCIE色度座標に当てはめたときの色で決定される。
【0178】
また、本発明の有機EL素子が白色素子の場合には、白色とは、2度視野角正面輝度を上記方法により測定した際に、1000cd/mでのCIE1931表色系における色度がX=0.33±0.07、Y=0.33±0.1の領域内にあることを言う。
【0179】
《表示装置》
本発明の表示装置について説明する。本発明の表示装置は、本発明の有機EL素子を備えたものである。
本発明の表示装置は単色でも多色でもよいが、ここでは多色表示装置について説明する。
【0180】
多色表示装置の場合は発光層形成時のみシャドーマスクを設け、一面に蒸着法、キャスト法、スピンコート法、インクジェット法、印刷法等で膜を形成できる。
発光層のみパターニングを行う場合、その方法に限定はないが、好ましくは蒸着法、インクジェット法、スピンコート法、印刷法である。
表示装置に具備される有機EL素子の構成は、必要に応じて上記の有機EL素子の構成例の中から選択される。
また、有機EL素子の製造方法は、上記の本発明の有機EL素子の製造の一態様に示したとおりである。
【0181】
得られた多色表示装置に直流電圧を印加する場合には、陽極を+、陰極を−の極性として電圧2V〜40V程度を印加すると発光が観測できる。また、逆の極性で電圧を印加しても電流は流れずに発光は全く生じない。さらに交流電圧を印加する場合には、陽極が+、陰極が−の状態になったときのみ発光する。なお、印加する交流の波形は任意でよい。
多色表示装置は、表示デバイス、ディスプレイ、各種発光光源として用いることができる。表示デバイス、ディスプレイにおいて、青、赤、緑発光の3種の有機EL素子を用いることによりフルカラーの表示が可能となる。
【0182】
表示デバイス、ディスプレイとしては、テレビ、パソコン、モバイル機器、AV機器、文字放送表示、自動車内の情報表示等が挙げられる。特に静止画像や動画像を再生する表示装置として使用してもよく、動画再生用の表示装置として使用する場合の駆動方式は単純マトリクス(パッシブマトリクス)方式でもアクティブマトリクス方式でもどちらでもよい。
発光光源としては家庭用照明、車内照明、時計や液晶用のバックライト、看板広告、信号機、光記憶媒体の光源、電子写真複写機の光源、光通信処理機の光源、光センサーの光源等が挙げられるが、本発明はこれらに限定されない。
【0183】
以下、本発明の有機EL素子を有する表示装置の一例を図面に基づいて説明する。
図1は有機EL素子から構成される表示装置の一例を示した模式図である。有機EL素子の発光により画像情報の表示を行う、例えば、携帯電話等のディスプレイの模式図である。
【0184】
ディスプレイ1は複数の画素を有する表示部A、画像情報に基づいて表示部Aの画像走査を行う制御部B等からなる。
制御部Bは表示部Aと電気的に接続され、複数の画素それぞれに外部からの画像情報に基づいて走査信号と画像データ信号を送り、走査信号により走査線毎の画素が画像データ信号に応じて順次発光して画像走査を行って画像情報を表示部Aに表示する。
【0185】
図2は表示部Aの模式図である。
表示部Aは基板上に、複数の走査線5およびデータ線6を含む配線部と複数の画素3等とを有する。表示部Aの主要な部材の説明を以下に行う。
図においては、画素3の発光した光が白矢印方向(下方向)へ取り出される場合を示している。
【0186】
配線部の走査線5および複数のデータ線6はそれぞれ導電材料からなり、走査線5とデータ線6は格子状に直交して、直交する位置で画素3に接続している(詳細は図示していない)。
画素3は走査線5から走査信号が印加されると、データ線6から画像データ信号を受け取り、受け取った画像データに応じて発光する。
発光の色が赤領域の画素、緑領域の画素、青領域の画素を適宜同一基板上に並置することによって、フルカラー表示が可能となる。
【0187】
次に、画素の発光プロセスを説明する。
図3は画素の模式図である。
画素は有機EL素子10、スイッチングトランジスタ11、駆動トランジスタ12、コンデンサ13等を備えている。複数の画素に有機EL素子10として、赤色、緑色、青色発光の有機EL素子を用い、これらを同一基板上に並置することでフルカラー表示を行うことができる。
【0188】
図3において、制御部Bからデータ線6を介してスイッチングトランジスタ11のドレインに画像データ信号が印加される。そして、制御部Bから走査線5を介してスイッチングトランジスタ11のゲートに走査信号が印加されると、スイッチングトランジスタ11の駆動がオンし、ドレインに印加された画像データ信号がコンデンサ13と駆動トランジスタ12のゲートに伝達される。
【0189】
画像データ信号の伝達により、コンデンサ13が画像データ信号の電位に応じて充電されるとともに、駆動トランジスタ12の駆動がオンする。駆動トランジスタ12は、ドレインが電源ライン7に接続され、ソースが有機EL素子10の電極に接続されており、ゲートに印加された画像データ信号の電位に応じて電源ライン7から有機EL素子10に電流が供給される。
【0190】
制御部Bの順次走査により走査信号が次の走査線5に移ると、スイッチングトランジスタ11の駆動がオフする。
しかし、スイッチングトランジスタ11の駆動がオフしてもコンデンサ13は充電された画像データ信号の電位を保持するので、駆動トランジスタ12の駆動はオン状態が保たれて、次の走査信号の印加が行われるまで有機EL素子10の発光が継続する。
順次走査により次に走査信号が印加されたとき、走査信号に同期した次の画像データ信号の電位に応じて駆動トランジスタ12が駆動して有機EL素子10が発光する。
即ち、有機EL素子10の発光は、複数の画素それぞれの有機EL素子10に対して、アクティブ素子であるスイッチングトランジスタ11と駆動トランジスタ12を設けて、複数の画素3それぞれの有機EL素子10の発光を行っている。このような発光方法をアクティブマトリクス方式と呼んでいる。
【0191】
ここで、有機EL素子10の発光は複数の階調電位を持つ多値の画像データ信号による複数の階調の発光でもよいし、2値の画像データ信号による所定の発光量のオン、オフでもよい。また、コンデンサ13の電位の保持は次の走査信号の印加まで継続して保持してもよいし、次の走査信号が印加される直前に放電させてもよい。
本発明においては、上述したアクティブマトリクス方式に限らず、走査信号が走査されたときのみデータ信号に応じて有機EL素子を発光させるパッシブマトリクス方式の発光駆動でもよい。
【0192】
図4は図2の表示部Aに係るパッシブマトリクス方式による表示装置の模式図である。図4において、複数の走査線5と複数の画像データ線6が画素3を挟んで対向して格子状に設けられている。
順次走査により走査線5の走査信号が印加されたとき、印加された走査線5に接続している画素3が画像データ信号に応じて発光する。
パッシブマトリクス方式では画素3にアクティブ素子が無く、製造コストの低減が計れる。
【0193】
《照明装置》
本発明の照明装置について説明する。本発明の照明装置は、本発明の有機EL素子を備えたものである。
本発明の有機EL素子に共振器構造を持たせた有機EL素子として用いてもよく、このような共振器構造を有した有機EL素子の使用目的としては、光記憶媒体の光源、電子写真複写機の光源、光通信処理機の光源、光センサーの光源等が挙げられるが、これらに限定されない。また、レーザー発振をさせることにより上記用途に使用してもよい。
また、本発明の有機EL素子は照明用や露光光源のような一種のランプとして使用してもよいし、画像を投影するタイプのプロジェクション装置や、静止画像や動画像を直接視認するタイプの表示装置(ディスプレイ)として使用してもよい。
動画再生用の表示装置として使用する場合の駆動方式は、単純マトリクス(パッシブマトリクス)方式でもアクティブマトリクス方式でもどちらでもよい。または、異なる発光色を有する本発明の有機EL素子を2種以上使用することにより、フルカラー表示装置を作製することが可能である。
【0194】
また、本発明の有機EL材料は照明装置として、実質白色の発光を生じる有機EL素子に適用できる。複数の発光材料により複数の発光色を同時に発光させて混色により白色発光を得る。
複数の発光色の組み合わせとしては、青色、緑色、青色の3原色の3つの発光極大波長を含有させたものでもよいし、青色と黄色、青緑と橙色等の補色の関係を利用した2つの発光極大波長を含有したものでもよい。
また、複数の発光色を得るための発光材料の組み合わせは、複数のリン光または蛍光で発光する材料を複数組み合わせたもの、蛍光またはリン光で発光する発光材料と、発光材料からの光を励起光として発光する色素材料との組み合わせたもののいずれでもよいが、本発明に係る白色有機EL素子においては、発光ドーパントを複数組み合わせ混合するだけでよい。
【0195】
発光層、正孔輸送層あるいは電子輸送層等の形成時のみマスクを設け、マスクにより塗り分ける等単純に配置するだけでよく、他層は共通であるのでマスク等のパターニングは不要であり、一面に蒸着法、キャスト法、スピンコート法、インクジェット法、印刷法等で例えば電極膜を形成でき、生産性も向上する。
この方法によれば、複数色の発光素子をアレー状に並列配置した白色有機EL装置と異なり、素子自体が発光白色である。
発光層に用いる発光材料としては特に制限はなく、例えば、液晶表示素子におけるバックライトであれば、CF(カラーフィルター)特性に対応した波長範囲に適合するように、本発明に係る金属錯体、また公知の発光材料の中から任意のものを選択して組み合わせて白色化すればよい。
【0196】
《本発明の照明装置の一態様》
本発明の有機EL素子を具備した、本発明の照明装置の一態様について説明する。
本発明の有機EL素子の非発光面をガラスケースで覆い、厚み300μmのガラス基板を封止用基板として用いて、周囲にシール材として、エポキシ系光硬化型接着剤(東亞合成社製ラックストラックLC0629B)を適用し、これを陰極上に重ねて透明支持基板と密着させ、ガラス基板側からUV光を照射して、硬化させて、封止し、図5、図6に示すような照明装置を形成することができる。
図5は、照明装置の概略図を示し、本発明の有機EL素子101はガラスカバー102で覆われている(なお、ガラスカバーでの封止作業は、有機EL素子101を大気に接触させることなく窒素雰囲気下のグローブボックス(純度99.999%以上の高純度窒素ガスの雰囲気下)で行った。)。
図6は、照明装置の断面図を示し、図6において、105は陰極、106は有機EL層、107は透明電極(陽極)付きガラス基板を示す。
なお、ガラスカバー102内には窒素ガス108が充填され、捕水剤109が設けられている。
【0197】
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
また、実施例に用いる化合物の構造を以下に示す。なお、その他の化合物については、本件明細書中に記載のものである。
【0198】
【化56】
【0199】
【化57】
【実施例1】
【0200】
《有機EL素子1−1の作製》
100mm×100mm×1.1mmのガラス基板上に、陽極としてITO(インジウムチンオキシド)を100nm製膜した基板(NHテクノグラス社製NA45)にパターニングを行った後、このITO透明電極を設けた透明支持基板をイソプロピルアルコールで超音波洗浄し、乾燥窒素ガスで乾燥し、UVオゾン洗浄を5分間行った。
【0201】
この透明支持基板上に、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)−ポリスチレンスルホネート(PEDOT/PSS、H.C. スタルク社製、CLEVIO P VP AI 4083)を純水で70%に希釈した溶液を用い、3000rpm、30秒の条件でスピンコート法により薄膜を形成した後、200℃にて1時間乾燥し、膜厚20nmの第1正孔輸送層を設けた。
【0202】
この透明支持基板を市販の真空蒸着装置の基板ホルダーに固定し、一方、モリブデン製抵抗加熱ボートに正孔輸送材料2およびホスト化合物として11−12(WO2011/122132に記載の化合物(1)と同一。以下、11−12と記載する。)を200mg入れ、別のモリブデン製抵抗加熱ボートに電子輸送材料としてET−8を200mg入れ、別のモリブデン製抵抗加熱ボートにドーパント化合物として 化合物(BD)を100mg入れ、真空蒸着装置に取り付けた。
【0203】
次いで真空槽を4×10−4Paまで減圧した後、11−12の入った前記加熱ボートに通電して加熱し、蒸着速度0.1nm/秒で前記第1正孔輸送層上に膜厚20nmの第2正孔輸送層を設けた。
さらに、ホスト化合物として11−12とドーパント化合物として化合物(BD)の入った前記加熱ボートに通電して加熱し、それぞれ蒸着速度0.1nm/秒、0.025nm/秒で前記第2正孔輸送層上に共蒸着して膜厚30nmの発光層を設けた。
【0204】
さらにET−8入った前記加熱ボートに通電して加熱し、蒸着速度0.1nm/秒で前記発光層上に蒸着して膜厚30nmの電子輸送層を設けた。
なお、蒸着時の基板温度は室温であった。
【0205】
引き続き、フッ化リチウムを蒸着して膜厚0.5nmの陰極バッファー層を形成し、さらにアルミニウムを蒸着して膜厚110nmの陰極を形成し、比較の有機EL素子1−1を作製した。
【0206】
《有機EL素子1−2〜1−14の作製》
有機EL素子1−1の作成において、発光層のドーパント化合物および、第2正孔輸送層の化合物11−12を、表1に記載の化合物に変更する以外は、同様な方法で有機EL素子1−2〜1−14を作製した。
【0207】
《有機EL素子1−15の作製》
有機EL素子1−4の作成において、発光層のホストをホスト化合物(H−1)に変更する以外は、同様な方法で有機EL素子1−15を作製した。
【0208】
《有機EL素子1−1〜1−15の評価》
得られた有機EL素子1−1〜1−15を評価するに際しては、作製後の各有機EL素子の非発光面をガラスケースで覆い、厚み300μmのガラス基板を封止用基板として用いて、周囲にシール材としてエポキシ系光硬化型接着剤(東亞合成社製ラックストラックLC0629B)を適用し、これを上記陰極上に重ねて前記透明支持基板と密着させ、ガラス基板側からUV光を照射して硬化させて封止し、図5および図6に示すような照明装置を作製して評価した。
このようにして作製した各サンプルについて下記の評価を行った。評価結果を表1に示す。
【0209】
(1)外部取り出し量子効率(単に、効率ともいう)
有機EL素子を室温(約23〜25℃)、2.5mA/cmの定電流条件下による点灯を行い、点灯開始直後の発光輝度(L)[cd/m]を測定することにより、外部取り出し量子効率(η)を算出した。
ここで、発光輝度の測定はCS−1000(コニカミノルタセンシング製)を用いて行い、外部取り出し量子効率は有機EL素子1−1を100とする相対値で表した。
値が大きいほど、効率が高く好ましい。
【0210】
(2)半減寿命
下記に示す測定法に従って、半減寿命の評価を行った。
各有機EL素子を初期輝度1000cd/mを与える電流で定電流駆動して、初期輝度の1/2(500cd/m)になる時間を求め、これを半減寿命の尺度とした。
なお、半減寿命は有機EL素子1−1を100とする相対値で表した。
値が大きいほど、長寿命で好ましい。
【0211】
(3)駆動電圧
有機EL素子を室温(約23℃〜25℃)、2.5mA/cmの定電流条件下により駆動した時の電圧を各々測定し有機EL素子1−1を100とする相対値で表した。
値が小さいほど、駆動電圧が低く好ましい。
【0212】
【表1】
【0213】
表1から、本発明の有機EL素子1−4、1−7〜1−15は、比較例の有機EL素子1−1〜1−3、1−5、1−6に対して、各々高い発光効率および長寿命を示し、駆動電圧が低く、素子としての特性が向上していることが分かる。また、発光ドーパントと隣接層含有材料のHOMOレベルを、本発明の関係にすることで、素子特性が向上していることが分かる。
【実施例2】
【0214】
《有機EL素子2−1〜2−11の作製》
実施例1の有機EL素子1−1において、発光層のドーパント化合物および、第2正孔輸送層の化合物11−12を、表2に記載の化合物に変更する以外は、同様な方法で有機EL素子2−1〜2−11を作製した。
【0215】
《有機EL素子2−12の作製》
有機EL素子2−5の作成において、発光層のホストをホスト化合物(H−1)に変更する以外は、同様な方法で有機EL素子2−12を作製した。
【0216】
得られた有機EL素子2−1〜2−12は、実施例1と同様な方法で、(1)外部取り出し量子効率(単に、効率ともいう)、(2)半減寿命、および(3)駆動電圧の評価を行い、各々有機EL素子2−1を100とする相対値で表わした。
【0217】
【表2】
【0218】
表2から、本発明の有機EL素子2−5、2−8〜2−12は、比較例の有機EL素子2−1〜2−4、2−6、2−7に対して、各々高い発光効率および長寿命を示し、駆動電圧が低く、素子としての特性が向上していることが分かる。また、発光ドーパントと隣接層に含有される材料のHOMOレベルを、本発明の関係にすることで、素子特性が向上していることが分かる。
【実施例3】
【0219】
《有機EL素子3−1〜3−15の作製》
実施例1の有機EL素子1−1において、発光層のドーパント化合物および、第2正孔輸送層の化合物を、表3に記載の化合物に変更する以外は、同様な方法で有機EL素子3−1〜3−15を作製した。
【0220】
《有機EL素子3−16の作製》
有機EL素子3−5の作成において、発光層のホストをホスト化合物(H−1)に変更する以外は、同様な方法で有機EL素子3−16を作製した。
得られた有機EL素子3−1〜3−16は、実施例1と同様な方法で、(1)外部取り出し量子効率(単に、効率ともいう)、(2)半減寿命、および(3)駆動電圧の評価を行い、各々有機EL素子3−1を100とする相対値で表わした。
【0221】
【表3】
【0222】
表3から、本発明の有機EL素子3−5、3−8〜3−16は、比較例の有機EL素子3−1〜3−4、3−6、3−7に対して、各々高い発光効率および長寿命を示し、駆動電圧が低く素子としての特性が向上していることが分かる。また、発光ドーパントと隣接層含有材料のHOMOレベルを、本発明の関係にすることで、素子特性が向上していることが分かる。
【実施例4】
【0223】
実施例1の有機EL素子1−1において、発光層のドーパント化合物および、第2正孔輸送層の化合物を、表4に記載の化合物に変更する以外は、同様な方法で有機EL素子4−1〜4−19を作製した。
得られた有機EL素子4−1〜4−19は、実施例1と同様な方法で、(1)外部取り出し量子効率(単に、効率ともいう)、(2)半減寿命、および(3)駆動電圧の評価を行い、各々有機EL素子4−1を100とする相対値で表わした。
【0224】
【表4】
【0225】
表4から、本発明の有機EL素子4−12〜4−19は、比較例の有機EL素子4−1〜4−11に対して、各々高い発光効率および長寿命を示し、駆動電圧が低く、素子としての特性が向上していることが分かる。また、発光ドーパントと隣接層含有材料のHOMOレベルを、本発明の関係にすることで、素子特性が向上していることが分かる。
【実施例5】
【0226】
《白色発光有機EL素子5−1の作製》
100mm×100mm×1.1mmのガラス基板上に、陽極としてITO(インジウムチンオキシド)を100nm製膜した基板(NHテクノグラス社製NA45)にパターニングを行った後、このITO透明電極を設けた透明支持基板をイソプロピルアルコールで超音波洗浄し、乾燥窒素ガスで乾燥し、UVオゾン洗浄を5分間行った。
【0227】
この透明支持基板を市販の真空蒸着装置の基板ホルダーに固定し、一方、モリブデン製抵抗加熱ボートに正孔輸送材料としてα−NPDを200mg入れ、モリブデン製抵抗加熱ボートに正孔輸送材料2として11−12を200mg入れ、別のモリブデン製抵抗加熱ボートにホスト化合物としてホスト化合物(H−1)を200mg入れ、別のモリブデン製抵抗加熱ボートに電子輸送材料としてET−8を200mg入れ、別のモリブデン製抵抗加熱ボートにドーパント化合物としてDP−1を100mg入れ、別のモリブデン製抵抗加熱ボートにドーパント化合物としてD−10を100mg入れ真空蒸着装置に取り付けた。
【0228】
次いで真空槽を4×10−4Paまで減圧した後、α−NPDの入った前記加熱ボートをそれぞれ別々に通電して、蒸着速度0.1nm/秒で透明支持基板に蒸着し膜厚20nmの第1正孔輸送層を設けた。
さらに、11−12の入った前記加熱ボートに通電して加熱し、それぞれ蒸着速度0.05nm/秒で前記第1正孔輸送層上に膜厚5nmの第2正孔輸送層を設けた。
【0229】
さらに、ホスト化合物としてホスト化合物(H−1)とドーパント化合物として、DP−1、D−10の入った前記加熱ボートに通電して加熱し、それぞれの蒸着速度が100:5:0.6になるように調整し、膜厚30nmの発光層を設けた。
さらにET−8の入った前記加熱ボートに通電して加熱し、蒸着速度0.1nm/秒で前記発光層上に蒸着して膜厚30nmの電子輸送層を設けた。
なお、蒸着時の基板温度は室温であった。
【0230】
引き続き、フッ化リチウムを蒸着して膜厚0.5nmの陰極バッファー層を形成し、さらにアルミニウムを蒸着して膜厚110nmの陰極を形成し、有機EL素子5−1を作製した。
作製した有機EL素子5−1に通電したところほぼ白色の光が得られ、照明装置として使用出来ることが分かった。
【0231】
《有機EL素子5−2〜5−9の作製》
有機EL素子5−1の作製において、第2正孔輸送層に用いる11−12、発光層に用いるドーパント化合物DP−1を、表5に示す化合物に変更した以外は同様にして、有機EL素子5−2〜5−9を各々作製した。作製した有機EL素子5−2〜5−9に通電したところほぼ白色の光が得られ、照明装置として使用出来ることが分かった。
【0232】
【表5】
【実施例6】
【0233】
《有機ELフルカラー表示装置の作製》
図7は、有機ELフルカラー表示装置の概略構成図を示す。
ガラス基板201上に、陽極としてITO透明電極202を100nm成膜した基板(NHテクノグラス社製NA45)に100μmのピッチでパターニングを行った後(図7(a)参照)、このガラス基板201上であってITO透明電極202の間に非感光性ポリイミドの隔壁203(幅20μm、厚さ2.0μm)をフォトリソグラフィーで形成した(図7(b)参照)。
【0234】
ITO透明電極202上であって隔壁203同士の間に下記組成の正孔注入層組成物を、インクジェットヘッド(エプソン社製;MJ800C)を用いて吐出注入し、紫外光を200秒間照射し、60℃、10分間の乾燥処理により、膜厚40nmの正孔注入層204を設けた(図7(c)参照)。
【0235】
この正孔注入層204上に、各々下記組成の青色発光層組成物、緑色発光層組成物、赤色発光層組成物を同様にインクジェットヘッドを使用して吐出注入し、60℃、10分間乾燥処理し、各色の発光層205B,205G,205Rを設けた(図7(d)参照)。
次に、各発光層205B,205G,205Rを覆うように電子輸送材料を蒸着して膜厚20nmの電子輸送層(図示略)を設け、更にフッ化リチウムを蒸着して膜厚0.6nmの陰極バッファー層(図示略)を設け、Alを蒸着して膜厚130nmの陰極206を設けて有機EL素子を作製した(図7(e)参照)。
作製した有機EL素子はそれぞれ電極に電圧を印加することにより青色、緑色、赤色の発光を示し、フルカラー表示装置として利用できることがわかった。
【0236】
(正孔注入層組成物)
11−12 20質量部
シクロヘキシルベンゼン 50質量部
イソプロピルビフェニル 50質量部
【0237】
(青色発光層組成物)
ホスト化合物(H−1) 0.7質量部 ホスト
DP−1 0.04質量部 ドーパント
シクロヘキシルベンゼン 50質量部
イソプロピルビフェニル 50質量部
【0238】
(緑色発光層組成物)
ホスト化合物(H−1) 0.7質量部
D−1 0.04質量部
シクロヘキシルベンゼン 50質量部
イソプロピルビフェニル 50質量部
【0239】
(赤色発光層組成物)
ホスト化合物 (H−1) 0.7質量部
D−10 0.04質量部
シクロヘキシルベンゼン 50質量部
イソプロピルビフェニル 50質量部
【符号の説明】
【0240】
1 ディスプレイ
3 画素
5 走査線
6 データ線
7 電源ライン
10 有機EL素子
11 スイッチングトランジスタ
12 駆動トランジスタ
13 コンデンサ
101 有機EL素子
102 ガラスカバー
105 陰極
106 有機EL層
107 透明電極付きガラス基板
108 窒素ガス
109 捕水剤
201 ガラス基板
202 ITO透明電極
203 隔壁
204 正孔注入層
205B、205G、205R 発光層
206 陰極
A 表示部
B 制御部
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【国際調査報告】