(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO2014050594
(43)【国際公開日】20140403
【発行日】20160822
(54)【発明の名称】顔料分散体、インク、インクジェット印刷用インク及び顔料分散体の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C09D 17/00 20060101AFI20160725BHJP
   C09D 11/326 20140101ALI20160725BHJP
   C09B 67/46 20060101ALI20160725BHJP
   B41M 5/00 20060101ALI20160725BHJP
   B41J 2/01 20060101ALI20160725BHJP
   C08G 18/32 20060101ALI20160725BHJP
【FI】
   !C09D17/00
   !C09D11/326
   !C09B67/46 B
   !B41M5/00 E
   !B41J2/01 501
   !C08G18/32 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】38
【出願番号】2014538386
(21)【国際出願番号】JP2013074715
(22)【国際出願日】20130912
(11)【特許番号】5733591
(45)【特許公報発行日】20150610
(31)【優先権主張番号】2012212336
(32)【優先日】20120926
(33)【優先権主張国】JP
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ
(71)【出願人】
【識別番号】000002886
【氏名又は名称】DIC株式会社
【住所又は居所】東京都板橋区坂下3丁目35番58号
(74)【代理人】
【識別番号】100124970
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 通洋
(72)【発明者】
【氏名】城▲崎▼ 丈雄
【住所又は居所】日本国大阪府高石市高砂一丁目3番地 DIC株式会社 堺工場内
(72)【発明者】
【氏名】松岡 龍一
【住所又は居所】日本国大阪府高石市高砂一丁目3番地 DIC株式会社 堺工場内
(72)【発明者】
【氏名】北田 満
【住所又は居所】日本国大阪府高石市高砂一丁目3番地 DIC株式会社 堺工場内
【テーマコード(参考)】
2C056
2H186
4J034
4J037
4J039
【Fターム(参考)】
2C056FC02
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(57)【要約】
本発明は、ヒダントイン構造を有する化合物(A)及び顔料を含有することを特徴とする顔料分散体、ならびに、その製造方法、前記顔料分散体を含有するインク、インクジェット印刷用インクを提供する。この顔料分散体は、顔料の分散安定性に優れ、かつ鮮明な印刷画像を形成可能なインク、特にインクジェット印刷用インクを製造することができ、前記顔料分散体を用いて得られたインクジェット印刷用インクは、長期間にわたりインク吐出ノズルからの優れた吐出安定性を維持することが可能である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒダントイン構造を有する化合物(A)及び顔料を含有することを特徴とする顔料分散体。
【請求項2】
前記化合物(A)が、下記一般式(1)で示されるヒダントイン構造を有するものである請求項1に記載の顔料分散体。
〔一般式(1)中のR及びRは、それぞれ独立して水素原子またはアルキル基を表す。〕
【請求項3】
前記化合物(A)が、ヒダントイン構造を含む下記一般式(1−1)で示される構造を有するものである請求項1に記載の顔料分散体。
〔一般式(1−1)中のR及びRは、それぞれ独立して水素原子またはアルキル基を表し、R及びRは、それぞれ独立してアルキレン基を表す。〕
【請求項4】
前記化合物(A)が、前記化合物(A)中に前記一般式(1)で示されるヒダントイン構造を1〜30質量%の範囲で有するものである請求項2に記載の顔料分散体。
【請求項5】
前記化合物(A)が、前記ヒダントイン構造を有するポリウレタン(A−1)である請求項1に記載の顔料分散体。
【請求項6】
前記化合物(A)中のウレア結合の存在割合が、0〜2質量%の範囲である請求項5に記載の顔料分散体。
【請求項7】
前記化合物(A)中の1級アミノ基の存在割合が、0〜5質量%の範囲である請求項5に記載の顔料分散体。
【請求項8】
さらに水性媒体(B)を含有するものである請求項1または5に記載の顔料分散体。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1項に記載の顔料分散体を含有するインク。
【請求項10】
請求項1〜8のいずれか1項に記載の顔料分散体を含有するインクジェット印刷用インク。
【請求項11】
ヒダントイン構造を有する化合物(A)と顔料とを混練することによってそれらの混練物を製造し、次いで前記混練物と水性媒体(B)とを混合することを特徴とする顔料分散体の製造方法。
【請求項12】
ヒダントイン構造を有するポリオールを含有するポリオール(a1)と、ポリイソシアネート(a2)とを、溶媒存在下または無溶媒下で反応させ、必要に応じて脱溶媒することによって、ポリウレタン(A−1)を製造し、次いで、前記ポリウレタン(A−1)と顔料とを混練することによってそれらの混練物を製造し、次いで前記混練物と水性媒体(B)とを混合することを特徴とする、ヒダントイン構造を有するポリウレタン(A−1)を含有する顔料分散体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェット印刷法をはじめとする様々な印刷法によって印刷する際に使用可能なインクの製造に使用可能な顔料分散体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、成長が著しいインクジェット印刷関連業界では、インクジェットプリンターの高性能化やインクの改良等が飛躍的に進み、一般家庭でも容易に銀塩写真並みの高光沢で高精細な画像を得ることが可能となりつつある。
【0003】
なかでもインクについては、従来の染料インクから顔料インクへの移行や、溶剤系から水系への移行等の、高画質化と環境負荷低減とを目的とした改良が急速に進められており、現在は、水系の顔料インクをベースとしたインク開発が積極的に行われている。
【0004】
前記水系の顔料インクは、一般にその前駆体である顔料分散体と、各種添加剤とを混合し、水性媒体を用いて希釈等することによって得られるものである。その前駆体である顔料分散体を用いて得られる顔料インクとしては、例えば、顔料、炭素数8〜20の長鎖アルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル化合物5〜30重量部とα,β−モノエチレン性不飽和カルボン酸単量体5〜30重量部とその他の共重合可能なラジカル重合性単量体40〜90重量部(ただし、上記単量体成分の総和は100重量部である。)を共重合して得られるアクリル樹脂、特定構造のエーテル構造を有する化合物、塩基性化合物及び水性媒体から主として構成され、前記アクリル樹脂と特定構造のエーテル構造を有する化合物の割合が〔アクリル樹脂/特定構造のエーテル構造を有する化合物〕=20/80〜80/20(重量比)であり、かつ顔料100重量部に対して、前記アクリル樹脂と前記特定構造のエーテル構造を有する化合物の総量を8〜300重量部含有することを特徴とするインクジェット記録用インク組成物が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0005】
しかし、前記インク組成物は、それを製造する際に使用する有機溶剤の影響により、顔料粒子の凝集を引き起こすため、それを用いて印刷画像を形成した場合に、印刷画像の鮮明性の低下を引き起こす場合があった。また、前記インクをインクジェット印刷法により印刷しようとすると、顔料粒子の凝集に起因して、顔料の沈降やインク吐出ノズルの詰まりを引き起こす場合があり、顔料分散体やインクの分散安定性や吐出安定性の向上を図ることができない場合があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平10−158562号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、顔料の分散安定性やインクの吐出安定性に優れ、かつ、鮮明な印刷画像を形成可能なインクの製造に使用する顔料分散体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者等は、上記の課題を解決すべく鋭意研究した結果、ヒダントイン構造を有する化合物を含有する顔料分散剤を使用することによって、前記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させた。
【0009】
すなわち、本発明は、ヒダントイン構造を有する化合物(A)及び顔料を含有することを特徴とする顔料分散体、前記顔料分散体を含有するインク及びインクジェット印刷用インクに関するものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明の顔料分散体であれば、顔料の分散安定性に優れ、かつ鮮明な印刷画像を形成可能なインク、特にインクジェット印刷用インクを製造することができる。特に、前記顔料分散体を用いて得られたインクジェット印刷用インクは、長期間にわたりインク吐出ノズルからの優れた吐出安定性を維持することができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の顔料分散体は、ヒダントイン構造を有する化合物(A)及び顔料を含有することを特徴とするものである。
【0012】
前記化合物(A)が有するヒダントイン構造は、具体的には、下記一般式(1)で示される環状の構造を指す。
【0013】
【化1】
〔一般式(1)中のR及びRは、それぞれ独立して水素原子またはアルキル基を表す。〕
【0014】
前記一般式(1)中のR及びRとしては、水素原子、または、メチル基、エチル基等のアルキル基が挙げられ、なかでもメチル基、エチル基が好ましい。
【0015】
前記ヒダントイン構造は、顔料の分散安定性を向上し、かつ鮮明な印刷画像を形成可能なインクを製造するうえで必須の構造である。また、前記ヒダントイン構造は、インクの吐出安定性に優れたインクジェット印刷用インクを製造するうえで必須の構造である。
【0016】
前記ヒダントイン構造のなかでも、下記一般式(1−1)で示される構造であることが、化合物(A)中に前記ヒダントイン構造を導入しやすいため好ましい。
【0017】
【化2】
〔一般式(1−1)中のR及びRは、それぞれ独立して水素原子またはアルキル基を表し、R及びRは、それぞれ独立してアルキレン基を表す。〕
【0018】
前記一般式(1−1)中のR及びRとしては、水素原子、または、メチル基、エチル基等のアルキル基が挙げられ、なかでもメチル基、エチル基が好ましい。また、一般式(1−1)中のR及びRとしては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基またはブチレン基等のアルキレン基が挙げられ、メチレン基、エチレン基であることが好ましい。
【0019】
前記一般式(1)で示されるヒダントイン構造は、前記化合物(A)中に1〜30質量%の範囲で存在することが好ましく、3〜20質量%の範囲で存在することが、顔料の分散安定性に優れ、その結果、インクの吐出安定性や保存安定性のより一層優れたインクを製造するうえより好ましい。前記一般式(1−1)を有する化合物(A)についても、前記一般式(1−1)中における一般式(1)で示されるヒダントイン構造が、前記化合物(A)中に1〜30質量%の範囲で存在することが好ましく、3〜20質量%の範囲で存在することがより好ましい。
【0020】
前記ヒダントイン構造を有する化合物(A)としては、顔料の分散安定性をより一層向上し、特にインクの吐出安定性を向上するうえで、5,000〜100,000の範囲の重量平均分子量を有するものを使用することが好ましく、10,000〜50,000の範囲の重量平均分子量を有するものを使用することがより好ましい。
【0021】
また、前記化合物(A)は、水性媒体(B)中における優れた分散安定性を付与する観点から、例えば、アニオン性基、カチオン性基、ノニオン性基等の親水性基を有するものを使用することが好ましく、アニオン性基及びカチオン性基のいずれか一方または両方を組み合わせ有する化合物を使用することがより好ましい。
【0022】
前記アニオン性基としては、例えば、カルボキシル基、カルボキシレート基、スルホン酸基、スルホネート基等を使用することができ、なかでも、前記カルボキシル基やスルホン酸基の一部または全部が塩基性化合物等によって中和されたカルボキシレート基やスルホネート基を使用することが、良好な水分散安定性を付与するうえで好ましい。また、前記カチオン性基としては、例えば、3級アミノ基等を使用することができる。また、前記ノニオン性基としては、ポリオキシエチレン構造等が挙げられる。
【0023】
前記親水性基は、前記化合物(A)中に15〜2,000mmol/kgの範囲で存在することが好ましく、500〜1,000mmol/kgの範囲であることが、より一層優れた保存安定性や吐出安定性を備えた顔料分散体を得るうえでより好ましい。
【0024】
また、前記化合物(A)としては、前記化合物(A)中に0〜2質量%の範囲のウレア結合を有するものを使用することが、顔料の分散安定性をより一層向上するうえで好ましい。
【0025】
また、前記化合物(A)としては、前記化合物(A)中に1級アミノ基を0〜5質量%の範囲で有するものを使用することが、顔料粒子の凝集を防止し、鮮明な印刷画像を形成し、分散安定性や吐出安定性をより一層向上するうえで好ましく、0〜1質量%の範囲であることがより好ましく、0〜0.1質量%であることがさらに好ましい。
【0026】
前記ヒダントイン構造を有する化合物(A)としては、例えば、ポリウレタン(A−1)、アクリル樹脂等のビニル樹脂、ポリエステル樹脂などを使用することができる。なかでも、前記化合物(A)としては、顔料との相溶性をより一層向上するうえで、ポリウレタン(A−1)やビニル樹脂(A−2)を使用することが好ましく、ポリウレタン(A−1)を使用することがより好ましい。
【0027】
前記ポリウレタン(A−1)は、例えば、ヒダントイン構造を有するポリオールを含有するポリオール(a1)と、ポリイソシアネート(a2)と、必要に応じて鎖伸長剤とを反応させることによって製造することができる。
【0028】
前記ヒダントイン構造を有するポリオールとしては、前記一般式(1)で示される構造を有するものを使用することができる。具体的には、下記一般式(2)で示されるポリオールを好適に使用することができる。
【0029】
【化3】
〔一般式(2)中のR及びRは、それぞれ独立して水素原子またはアルキル基を表し、R及びRは、それぞれ独立してアルキレン基を表す。〕
【0030】
前記一般式(2)中のR及びRとしては、水素原子、または、メチル基、エチル基等のアルキル基が挙げられ、なかでもメチル基、エチル基が好ましい。また、一般式(2)中のR及びRとしては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基またはブチレン基等のアルキレン基が挙げられ、メチレン基、エチレン基であることが好ましい。より具体的には、一般式(2)で示されるポリオールとしては、1,3−ビス(ヒドラジノカルボノエチル)−5−イソプロピルヒダントイン)、1,3−ビス(ヒドロキシメチル)−5,5−ジメチルイミダゾリジンー2,4−ジオン、1,3−ビス(2−ヒドロキシエチル)−5,5ジメチルイミダゾリジン−2,4−ジオン等を使用することが好ましく、1,3−ビス(2−ヒドロキシエチル)−5,5ジメチルイミダゾリジン−2,4−ジオンを使用することがより好ましい。
【0031】
前記ポリオール(a1)としては、前記したヒダントイン構造を有するポリオールとともに、必要に応じてその他のポリオールを使用することができる。
【0032】
前記その他のポリオールとしては、例えば、前記ポリウレタン(A−1)の良好な水分散安定性を付与する観点から、親水性基を有するポリオールを使用することができる。
【0033】
前記親水性基を有するポリオールとしては、例えば、アニオン性基を有するポリオール、カチオン性基を有するポリオール、及びノニオン性基を有するポリオールを使用することができ、なかでもアニオン性基を有するポリオールまたはカチオン性基を有するポリオールを使用することが好ましい。
【0034】
前記アニオン性基を有するポリオールとしては、例えば、カルボキシル基を有するポリオールや、スルホン酸基を有するポリオールを使用することができる。
【0035】
前記カルボキシル基を有するポリオールとしては、例えば、2,2−ジメチロールプロピオン酸、2,2−ジメチロールブタン酸、2,2−ジメチロール酪酸、2,2−ジメチロール吉草酸等を使用することができ、なかでも2,2−ジメチロールプロピオン酸を使用することが好ましい。また、前記カルボキシル基を有するポリオールと各種ポリカルボン酸とを反応させて得られるカルボキシル基を有するポリエステルポリオールも使用することもできる。
【0036】
前記スルホン酸基を有するポリオールとしては、例えば、5−スルホイソフタル酸、スルホテレフタル酸、4−スルホフタル酸、5−(4−スルホフェノキシ)イソフタル酸等のジカルボン酸、及びそれらの塩と、前記低分子量ポリオールとを反応させて得られるポリエステルポリオールを使用することができる。
【0037】
前記カルボキシル基を有するポリオールやスルホン酸基を有するポリオールは、前記ポリウレタン(A−1)の酸価が10〜70となる範囲で使用することが好ましく、10〜60となる範囲で使用することがより好ましく、30〜50となる範囲で使用することが特に好ましい。なお、本発明で言う酸価は、前記ポリウレタン(A−1)の製造に使用したカルボキシル基を有するポリオール等の酸基を有する化合物の使用量に基づいて算出した理論値である。
【0038】
前記アニオン性基は、それらの一部または全部が塩基性化合物等によって中和されていることが、良好な水分散性を発現するうえで好ましい。
【0039】
前記アニオン性基を中和する際に使用可能な塩基性化合物としては、例えば、アンモニア、トリエチルアミン、モルホリン、モノエタノールアミン、ジエチルエタノールアミン等の沸点が200℃以上の有機アミンや、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等を含む金属水酸化物等を使用することができる。前記塩基性化合物は、得られるインクの水分散安定性を向上させる観点から、塩基性化合物/アニオン性基=0.5〜3(モル比)となる範囲で使用することが好ましく、0.9〜2(モル比)となる範囲で使用することがより好ましい。
【0040】
また、前記カチオン性基を有するポリオールとしては、例えば、3級アミノ基を有するポリオールを使用することができ、具体的にはN−メチル−ジエタノールアミンや、1分子中にエポキシを2個有する化合物と2級アミンとを反応させて得られるポリオールなどを使用することができる。
【0041】
前記カチオン性基は、その一部または全部が、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、コハク酸、グルタル酸、酒石酸、アジピン酸等の酸性化合物で中和されていることが好ましい。
【0042】
また、前記カチオン性基として使用可能な3級アミノ基は、その一部または全部が4級化されていることが好ましい。前記4級化剤としては、例えば、ジメチル硫酸、ジエチル硫酸、メチルクロライド、エチルクロライド等を使用することができ、ジメチル硫酸を使用することが好ましい。
【0043】
また、前記ノニオン性基を有するポリオールとしては、エチレンオキサイド由来の構造単位を有するポリアルキレングリコール等を使用することができる。
【0044】
前記親水性基を有するポリオールは、前記ポリウレタン(A−1)の製造に使用する原料の合計質量に対して、1〜45質量%の範囲で使用することが好ましい。
【0045】
また、前記その他のポリオールとしては、前記したもの以外に、例えば、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエステルエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール等を使用することができる。なかでも、顔料の分散安定性をより一層向上するうえで、ポリエーテルポリオールを使用することが好ましい。
【0046】
前記ポリエーテルポリオールとしては、例えば、活性水素原子を2個以上有する化合物の1種または2種以上を開始剤として、アルキレンオキサイドを付加重合させたものを使用することができる。
【0047】
前記開始剤としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン等を使用することができる。
【0048】
また、前記アルキレンオキサイドとしては、例えば、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、スチレンオキサイド、エピクロルヒドリン、テトラヒドロフラン等を使用することができる。
【0049】
前記ポリエーテルポリオールとしては、具体的には、ポリオキシテトラメチレングリコールやポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコールを使用することが、インクの吐出安定性を向上するうえで好ましい。また、前記ポリエーテルポリオールとしては、1,000〜3,000の数平均分子量のものを使用することが、印刷表面のタック感を抑制し耐水性に優れた印刷物をえるうえでより好ましい。
【0050】
また、前記ポリエステルポリオールとしては、例えば、低分子量のポリオールとポリカルボン酸とをエステル化反応して得られる脂肪族ポリエステルポリオールや芳香族ポリエステルポリオール、ε−カプロラクトン等の環状エステル化合物を開環重合反応して得られるポリエステルや、これらの共重合ポリエステル等を使用することができる。
【0051】
前記低分子量のポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコ−ル等を使用することができる。
【0052】
また、前記ポリカルボン酸としては、例えば、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、及びこれらの無水物またはエステル形成性誘導体などを使用することができる。
【0053】
また、前記ポリエステルエーテルポリオールとしては、例えば、前記開始剤に前記アルキレンオキサイドが付加したポリエーテルポリオールと、ポリカルボン酸とが反応したものを使用することができる。前記開始剤や前記アルキレンオキサイドとしては、前記ポリエーテルポリオールを製造する際に使用可能なものとして例示したものと同様のものを使用することができる。また、前記ポリカルボン酸としては、前記ポリエステルポリオールを製造する際に使用可能なものとして例示したものと同様のものを使用することができる。
【0054】
また、前記ポリカーボネートポリオールとしては、例えば、炭酸エステルとポリオールとを反応させて得られるものや、ホスゲンとビスフェノールA等とを反応させて得られるものを使用することができる。
【0055】
前記炭酸エステルとしては、メチルカーボネート、ジメチルカーボネート、エチルカーボネート、ジエチルカーボネート、シクロカーボネート、ジフェニルカーボネ−ト等を使用することできる。
【0056】
前記炭酸エステルと反応しうるポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,2−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,5−ヘキサンジオール、2,5−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、2−ブチル−2−エチルプロパンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ハイドロキノン、レゾルシン、ビスフェノール−A、ビスフェノール−F、4,4’−ビフェノール等の比較的低分子量のジヒドロキシ化合物や、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等のポリエーテルポリオールや、ポリヘキサメチレンアジペート、ポリヘキサメチレンサクシネート、ポリカプロラクトン等のポリエステルポリオール等を使用することができる。
【0057】
また、前記ポリイソシアネート(a2)としては、例えば、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、カルボジイミド変性ジフェニルメタンジイソシアネート、クルードジフェニルメタンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネートなどの芳香族ポリイソシアネートや、ヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネートなどの脂肪族ポリイソシアネートあるいは脂肪族環式構造を有するポリイソシアネートを使用することができる。なかでも、黄変色を防止する観点では脂肪族ポリイソシアネートを使用することが好ましく、前記変色防止とともに、耐擦過性や耐アルカリ性のより一層の向上を図る観点では、脂肪族環式構造を有するポリイソシアネートを使用することが好ましい。
【0058】
前記ポリウレタン(A−1)は、例えば、ヒダントイン構造を有するポリオールを含有するポリオール(a1)と、ポリイソシアネート(a2)とを、溶媒存在下または無溶媒下で反応させ、必要に応じて脱溶媒することによって製造することができる。
【0059】
前記ポリオール(a1)と前記ポリイソシアネート(a2)との反応は、例えば、前記ポリオール(a1)が有する水酸基に対する、前記ポリイソシアネート(a2)が有するイソシアネート基の当量割合が、0.8〜2.5の範囲で行うことが好ましく、1〜1.5の範囲で行うことがより好ましい。
【0060】
また、前記ポリオール(a1)と前記ポリイソシアネート(a2)との反応は、約20℃〜120℃の範囲で30分〜24時間程度の範囲で行うことが好ましい。
【0061】
前記ポリオール(a1)と前記ポリイソシアネート(a2)との反応で使用可能な溶媒としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン化合物;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル化合物;酢酸エチル、酢酸ブチル等の酢酸エステル化合物;アセトニトリル等のニトリル化合物;ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン等のアミド化合物を、単独で使用または2種以上を使用することができる。
【0062】
前記ポリウレタン(A−1)にヒダントイン構造を導入するには、上記のヒダントイン構造を有するポリオールを用いるが、前記ポリイソシアネート(a2)を過剰に使用し、イソシアネートを有するポリウレタンを製造した後、下記一般式(3)で示されるモノオールを反応させて、前記ポリウレタン(A−1)にヒダントイン構造を導入してもよい。
【0063】
【化4】
〔一般式(3)中のR及びRは、それぞれ独立して水素原子またはアルキル基を表し、Rはアルキレン基を表す。〕
【0064】
前記一般式(3)中のR及びRとしては、水素原子、または、メチル基、エチル基等のアルキル基が挙げられ、なかでもメチル基、エチル基が好ましい。
【0065】
前記モノオールとしては、例えば1−ヒドロキシメチル−5,5−ジメチルヒダントインが挙げられる。
【0066】
また、前記ポリウレタン(A−1)を製造する際には必要に応じて鎖伸長剤を使用することができる。特に、前記ポリウレタン(A−1)にウレア結合を導入する場合には、鎖伸長剤としてポリアミンやヒドラジンを使用することが好ましい。
【0067】
前記鎖伸長剤としては、例えば、エチレンジアミン、1,2−プロパンジアミン、1,6−ヘキサメチレンジアミン、ピペラジン、2,5−ジメチルピペラジン、イソホロンジアミン、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジアミン、3,3’−ジメチル−4,4’−ジシクロヘキシルメタンジアミン、1,4−シクロヘキサンジアミン等のジアミン化合物;N−ヒドロキシメチルアミノエチルアミン、N−ヒドロキシエチルアミノエチルアミン、N−ヒドロキシプロピルアミノプロピルアミン、N−エチルアミノエチルアミン、N−メチルアミノプロピルアミン等の1個の1級アミノ基と1個の2級アミノ基を含有するジアミン化合物;ジエチレントリアミン、ジプロピレントリアミン、トリエチレンテトラミン等のポリアミン化合物や、ヒドラジン、N,N’−ジメチルヒドラジン、1,6−ヘキサメチレンビスヒドラジン等のヒドラジン化合物;コハク酸ジヒドラジッド、アジピン酸ジヒドラジド、グルタル酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジド等のジヒドラジド化合物;β−セミカルバジドプロピオン酸ヒドラジド、3−セミカルバジド−プロピル−カルバジン酸エステル、セミカルバジッド−3−セミカルバジドメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン等のセミカルバジド化合物を使用することができる。
【0068】
前記鎖伸長剤は、例えば、ポリアミンであれば、それが有するアミノ基と、ポリウレタンの有するイソシアネート基との当量比が、1.9以下(当量比)となる範囲で使用することが好ましく、0.5〜1.5(当量比)の範囲で使用することがより好ましい。
【0069】
本発明の顔料分散体は、例えば、前記方法で得たポリウレタン(A−1)等の化合物(A)と、顔料等とを混練することによってそれらの混練物を製造することができる。また、必要に応じて前記混練物と水性媒体(B)とを混合してもよい。
【0070】
また、前記水性媒体(B)としては、水、水と混和する有機溶剤、及び、これらの混合物が挙げられる。水と混和する有機溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール等のアルコール化合物;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン化合物;エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール等のポリアルキレングリコール化合物;ポリアルキレングリコール等のアルキルエーテル化合物;N-メチル-2-ピロリドン等のラクタム化合物などが挙げられる。本発明では、水のみを用いても良く、また水及び水と混和する有機溶剤との混合物を用いても良く、水と混和する有機溶剤のみを用いても良い。安全性や環境に対する負荷の点から、水のみ、又は、水及び水と混和する有機溶剤との混合物が好ましく、水のみが特に好ましい。
【0071】
また、前記化合物(A)に使用可能な前記ビニル樹脂(A−2)としては、ヒダントイン構造を有するビニル単量体を含むビニル単量体混合物を重合して得られるものを使用することができる。
【0072】
前記ヒダントイン構造を有するビニル単量体としては、例えば、1−アリルヒダントイン、3−(3−クロロフェニル)−5−メチル−5−(アリルオキシ)ヒダントイン、3−(3−クロロフェニル)−5−フェニル−5−(アリルオキシ)ヒダントイン、3−アリル−5,5−ジメチルヒダントイン、1−ベンジル−3−フェニル−5−アリルヒダントイン、3−フェニル−5−アリルヒダントイン、3’−アリルスピロ[テトラリン−2,5’−ヒダントイン]、1−メチル−3−アリル−5−[(E)−ベンジリデン]チオヒダントイン、1−アリル−3−フェニル−5−[1−[2−(メトキシカルボニル)ヒドラゾノ]エチル]ヒダントイン等を使用することができ、1−アリルヒダントインを使用することが好ましい。
【0073】
前記ヒダントイン構造を有するビニル単量体は、前記ビニル単量体混合物の全量中に1〜30質量%の範囲で使用することが好ましい。
【0074】
前記ビニル樹脂(A−2)が有するヒダントイン構造としては、前記1−アリルヒダントインに由来する構造であることが好ましく、具体的には前記一般式(1)で示される構造のうち、1つの窒素原子が水素原子と結合した下記一般式(1−2)で示される構造であることが好ましい。
【0075】
【化5】
〔一般式(1−2)中のR及びRは、それぞれ独立して水素原子またはアルキル基を表す。〕
【0076】
前記一般式(1−2)中のR及びRとしては、水素原子、または、メチル基、エチル基等のアルキル基が挙げられ、なかでも水素原子が好ましい。
【0077】
前記一般式(1−2)で示されるヒダントイン構造もまた、前記化合物(A)中に1〜30質量%の範囲で存在することが好ましく、3〜20質量%の範囲で存在することが、顔料の分散安定性に優れ、その結果、インクの吐出安定性や保存安定性のより一層優れたインクを製造するうえより好ましい。
【0078】
また、前記ビニル樹脂(A−2)を製造する際には、前記ヒダントイン構造を有するビニル単量体の他に、必要に応じてその他のビニル単量体を使用することができる。
【0079】
前記その他のビニル単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸、アリルスルホン酸、スルホプロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルオキシナフタレンスルホン酸等の酸基を有するビニル単量体や、(メタ)アクリルアミド、ジエチル(メタ)アクリルアミド、N−ビニルピロリドン、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N,N’−メチレンビス(メタ)アクリルアミド等のアミド基を有するビニル単量体、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、n−ノニル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、n−デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、n−ウンデシル(メタ)アクリレート、n−ドデシル(メタ)アクリレート、n−トリデシル(メタ)アクリレート、n−テトラデシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、シクロヘキシルマレイミド、イソプロピルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、イタコンイミド、グリシジル(メタ)アクリレート、メチルグリシジル(メタ)アクリレートをはじめ、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、スチレン、クロロスチレン、クロロメチルスチレン、α−メチルスチレン、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、N−メチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N−t−ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、アミノメチルアクリレート、アミノエチルアクリレート、アミノプロピル(メタ)アクリレート、アミノ−n−ブチル(メタ)アクリレート等を使用することができる。
【0080】
前記その他のビニル単量体は、ビニル樹脂(A−2)の製造に使用するビニル単量体混合物の全量中に80〜99質量%の範囲で使用することが好ましい。
【0081】
前記ビニル樹脂(A−2)は、例えば、重合開始剤及び水性媒体等の存在下、各種ビニル単量体混合物をラジカル重合することによって製造することができる。
【0082】
前記化合物(A)は、後述する顔料100質量部に対して5〜200質量部の範囲で含まれることが好ましく、20〜100質量部の範囲で含まれることが、顔料の分散安定性やインクの吐出性をより一層向上するうえでより好ましい。
【0083】
また、前記顔料としては、公知慣用の無機顔料や有機顔料を使用することができる。
前記無機顔料としては、例えば、酸化チタン、アンチモンレッド、ベンガラ、カドミウムレッド、カドミウムイエロー、コバルトブルー、紺青、群青、カーボンブラック、黒鉛等を使用することができる。
【0084】
前記有機顔料としては、例えば、キナクリドン系顔料、キナクリドンキノン系顔料、ジオキサジン系顔料、フタロシアニン系顔料、アントラピリミジン系顔料、アンサンスロン系顔料、インダンスロン系顔料、フラバンスロン系顔料、ペリレン系顔料、ジケトピロロピロール系顔料、ペリノン系顔料、キノフタロン系顔料、アントラキノン系顔料、チオインジゴ系顔料、ベンツイミダゾロン系顔料、アゾ系顔料等の有機顔料を使用することができる。
【0085】
前記有機顔料のうち、黒色顔料としては、例えば、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等のカーボンブラック(C.I.ピグメントブラック7);銅酸化物、鉄酸化物(C.I.ピグメントブラック11)、酸化チタン等の金属酸化物;アニリンブラック(C.I.ピグメントブラック1)などを使用することができる。
【0086】
また、前記有機顔料のうちカラー顔料としては、例えば、C.I.ピグメントイエロー1、C.I.ピグメントイエロー3、C.I.ピグメントイエロー74、C.I.ピグメントイエロー97、C.I.ピグメントイエロー、C.I.ピグメントイエロー154、などのモノアゾ系顔料、C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー13、C.I.ピグメントイエロー14、C.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエロー81、C.I.ピグメントイエロー83、C.I.ピグメントレッド38、C.I.ピグメントオレンジ13などのジスアゾ系顔料、C.I.ピグメントレッド53:1、C.I.ピグメントレッド48:1、C.I.ピグメントレッド48:2、C.I.ピグメントレッド57:1などのアゾレーキ顔料、C.I.ピグメントレッド150、C.I.ピグメントレッド185、C.I.ピグメントレッド213、C.I.ピグメントレッド269などのアゾ系顔料、C.I.ピグメントブルー16、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントグリーン7、C.I.ピグメントグリーン36などのフタロシアニン顔料、C.I.ピグメントバイオレット19、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド202、C.I.ピグメントレッド282などのキナクリドン顔料および、それらからなる固溶体顔料、C.I.ピグメントレッド254、C.I.ピグメントレッド255、C.I.ピグメントレッド264、C.I.ピグメントレッド270、C.I.ピグメントレッド272などのジケトピロロピロール顔料、キナクリドン顔料とジケトピロロピロール顔料の固溶体等を使用することができる。
【0087】
これらの顔料は2種類以上のものを併用することができる。また、これらの顔料が表面処理されており,水性媒体(B)に対して自己分散能を有しているものであっても良い。
【0088】
前記化合物(A)と顔料とを混練する方法としては、例えば、(i)前記化合物(A)と顔料とを2本ロールやミキサー等を用い高剪断力のもとで混練する方法や、(ii)前記化合物(A)と顔料とを、ヘンシェルミキサー、加圧ニーダーやプラネタリミキサー等の分散装置を用いて混合した後、前記化合物(A)の溶解性をコントロールすることによって前記化合物(A)を前記顔料の表面に堆積させ、更に分散装置を用いてそれらを混合する方法などが挙げられる。
【0089】
なかでも、前記(i)の方法で混練する方法は、前記顔料を微粉砕できるため、より一層、顔料分散安定性に優れた顔料分散体を製造するうえで好ましい。
【0090】
前記顔料は、本発明の顔料分散体中に5〜50質量%の範囲で含まれることが好ましく、5〜30質量%の範囲で含まれることがより好ましい。
【0091】
前記化合物(A)と顔料とを混練する際には、それらの混練物の固形分濃度が55〜90質量%であることが好ましい。これにより、前記化合物(A)と顔料等とに十分な剪断力をかけることができ、顔料が均一な分散した混練物を得ることができる。なお、前記混練の際には、必要に応じてポリプロピレングリコール等の溶媒や湿潤剤等を用い、前記混練物の固形分濃度を調整することができる。
【0092】
混練工程に用いる混練装置としては、固形分比率の高い混練物に対して高い剪断力を発生させることのできるものであればよく、公知の混練装置の中から選択して用いることが可能であるが、二本ロール等の撹拌槽を有しない開放型の混練機を用いるよりは、撹拌槽と撹拌羽根を有し撹拌槽を密閉可能な混練装置を用いることが好ましい。撹拌槽と撹拌羽根を有し、混練装置を用いることが好ましい。このような構成の混練装置を用いると、混練中にポリプロピレングリコール、湿潤剤、水分などが揮散することがなく、一定の固形分比率を有する混練物の混練を続けることができ、粗大粒子の低減に効果的である。また混練後の常温で固体の混練物を、水性媒体(B)で直接希釈して顔料分散体を製造する工程へと移行することができる。
【0093】
このような装置としては、ヘンシェルミキサー、加圧ニーダー、バンバリーミキサー、プラネタリーミキサーなどが例示され、特にプラネタリーミキサーなどが好適である。本発明においては、好ましくは顔料濃度と、顔料と化合物(A)からなる固形分濃度が高い状態で混練を行うため、混練物の混練状態に依存して混練物の粘度が広い範囲で変化するが、プラネタリーミキサーは二本ロール等と比較すると、広い範囲の粘度領域で混練処理が可能であり、更に水性媒体(B)の添加及び減圧溜去も可能であるため、混練時の粘度及び負荷剪断力の調整が容易である。
【0094】
前記方法で得られた顔料と化合物(A)とを含有する混練物と、水性媒体(B)とを混合して顔料分散体を製造する際には、前述のように撹拌槽を有する混練機を用いて固体状の混練物を製造した後,該撹拌槽に水性媒体(B)を添加、混合し、必要に応じて撹拌して直接希釈する方法が挙げられる。
【0095】
また、撹拌翼を備えた別の攪拌機を用い、前記混練物と水性媒体(B)を混合し、必要に応じて撹拌する方法によっても、前記顔料分散体を製造することができる。
【0096】
前記水性媒体(B)は、前記混練物に対して必要量を一括混合してもよいが、連続的あるいは断続的に必要量を添加して混合を進めた方が、水性媒体(B)による希釈が効率的に行われ、より短時間で本発明の顔料分散体を製造できるため好ましい。
【0097】
前記方法で得られた顔料分散体は、必要に応じて分散機を用い分散処理されてもよい。
【0098】
分散処理を行う際の分散機としては、公知慣用の機器が使用でき、例えば、超音波ホモジナイザー、高圧ホモジナイザー、ペイントシェーカー、ボールミル、ロールミル、サンドミル、サンドグラインダー、ダイノーミル、ディスパーマット、ナノミル、SCミル、ナノマイザー等を挙げることができ、これらのうちの1つを単独で用いてもよく、2種類以上装置を組み合わせて用いてもよい。なお本発明における、分散機、分散装置とは分散処理を行う工程に専用に用いられる装置であって、通常の混合、撹拌等にも広く使用される汎用の混合機、攪拌機等は含まないものとする。
【0099】
また、前記顔料分散体としては、前記顔料の他に、必要に応じてその他の添加剤を使用することができる。
【0100】
前記添加剤としては、例えば、高分子分散剤や湿潤剤等を使用することができる。
【0101】
前記高分子分散剤としては、例えば、アクリル樹脂またはスチレン−アクリル樹脂等を使用することができ、それらはランダム型、ブロック型、グラフト型のいずれのものも使用することができる。
【0102】
前記アクリル樹脂としては、例えば、アクリル酸やメタクリル酸を含む(メタ)アクリル単量体を重合して得られるものを使用することができる。
【0103】
また、スチレン−アクリル樹脂としては、前記したような(メタ)アクリル単量体とスチレンとを重合してられるものを使用することができる。
【0104】
前記アクリル樹脂やスチレン−アクリル樹脂は、重合性不飽和二重結合を有する単量体を、例えば、溶液重合法や懸濁重合法等により重合することによって製造することができる。
【0105】
前記重合性不飽和二重結合を有する単量体としては、例えば、スチレン、α−スチレン、β−スチレン、2,4−ジメチルスチレン、α−エチルスチレン、α−ブチルスチレン、α−ヘキシルスチレン、クロロスチレン、ブロモスチレン、ニトロスチレン、メトキシスチレン、ビニルトルエン、(メタ)アクリル酸、メチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、sec−ブチル(メタ)アクリレート、てrt−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルブチル(メタ)アクリレート、1,3−ジメチルブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート等を使用することができる。
【0106】
前記高分子分散剤を使用する際には、高分子分散剤が有するカルボキシル基等の酸基を中和するために塩基性化合物を使用してもよい。
【0107】
前記高分子分散剤としては、1,000〜50,000の範囲の重量平均分子量を有するものを使用することが好ましく、1,000〜20,000の重量平均分子量を有するものを使用することがより好ましい。
【0108】
また、前記高分子分散剤としては、100〜500の酸価を有するものを使用することが好ましく、100〜200の酸価を有するものを使用することがより好ましい。
【0109】
また、本発明の顔料分散体を製造する際に使用可能な湿潤剤としては、例えば、アルコール系溶媒、ケトン系溶媒、エーテル系溶媒、芳香族炭化水素系溶媒、脂肪族炭化水素系溶媒、ハロゲン化脂肪族炭化水素系溶媒が好ましく、特にグリコール系溶媒が好ましい。例えば、グリセリン、グリセリンのポリオキシアルキレン付加物、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,2,6−ヘキサントリオール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等のポリオール化合物、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等の多価アルコールアルキルエーテル化合物、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル等の多価アルコールアリールエーテル化合物および多価アルコールアラルキルエーテル化合物、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、ε−カプロラクタム等のラクタム化合物、1,3−ジメチルイミダゾリジノン等を使用することができる。
【0110】
前記アルコール系溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n − ブタノール、第3 級ブタノール、イソブタノール、ジアセトンアルコール、等が挙げられる。ケトン系溶媒としては、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、メチルイソブチルケトン等を使用することができる。
【0111】
前記エーテル系溶媒としては、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等を使用することができる。
【0112】
前記芳香族炭化水素系溶媒としては、ベンゼン、トルエン等を使用することができる。
【0113】
前記脂肪族炭化水素系溶媒としては、ヘプタン、ヘキサン、シクロヘキサン等を使用することができる。
【0114】
前記ハロゲン化脂肪族炭化水素系溶媒としては、塩化メチレン、1,1,1−トリクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタン等を使用することができる。
【0115】
前記湿潤剤としては、ジエチレングリコールやトリエチレングリコールのグリコール類を使用することが好ましい。
【0116】
前記湿潤剤は、顔料中に20〜50質量%の範囲で使用することが、顔料の粗大粒子を低減する効果が得られるため好ましい。
【0117】
前記方法で得た本発明の顔料分散体は、各種インクを製造する際の前駆体として好適に使用することができる。
【0118】
インクは、一般に、前記顔料分散体と、水性媒体(B)と、必要に応じてバインダー樹脂等とを混合することによって、各種インクを製造することができる。
【0119】
具体的には、(1)前記顔料分散体と、水性媒体(B)と、必要に応じてポリウレタン等のバインダー樹脂等とを、各種分散装置を用いて一括混合する方法や、(2)前記顔料分散体と、水性媒体(B)とを、各種の分散装置を用いて混合し、次いで、前記混合物と、前記バインダー樹脂や添加剤とを、各種の分散装置を用いてさらに混合する方法によって、インクを調製することができる。
【0120】
前記分散装置としては、例えば、超音波ホモジナイザー、高圧ホモジナイザー、ペイントシェーカー、ボールミル、ロールミル、サンドミル、サンドグラインダー、ダイノーミル、ディスパーマット、SCミル、ナノマイザーなどを、単独または、2種類以上組み合わせて使用することができる。
【0121】
また、前記インクを製造する際に使用可能なバインダー樹脂としては、ウレタン樹脂やアクリル樹脂を使用することができる。
【0122】
前記バインダー樹脂は、前記インクの全量中に0.1〜5質量%の範囲で使用することが好ましい。
【0123】
また、前記インクを製造する際に使用可能な添加剤としては、例えば、粘度調整剤、湿潤剤、消泡剤、界面活性剤、防腐剤、浸透剤、pH調整剤、キレート化剤、可塑剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤等を使用することができる。
【0124】
前記方法で得られたインク中には、概ね250nm以上の粒子径を有する粗大粒子が存在する場合がある。前記粗大粒子は、プリンターノズルの詰まり等を引き起こし、インク吐出特性を劣化させる場合があるため、前記顔料の水系分散体の調製後、またはインクの調製後に遠心分離又は濾過処理等の方法によって、粗大粒子を除去することが好ましい。
【0125】
前記で得たインクは、200nm以下の体積平均粒子径を有するものを使用することが好ましく、特に写真画質のようにより一層高光沢の画像を形成する場合には、80〜150nmの範囲であることがより好ましい。
【0126】
本発明で得たインクは、インク全量中に、前記ポリウレタン(A−1)等の化合物(A)を0.2〜10質量%、水性媒体(B)を50〜95質量%、顔料を0.5〜15質量%の範囲で含有することが好ましい。
【0127】
前記方法で得られた本発明のインクは、もっぱらインクジェットプリンターを用いたインクジェット印刷法によって印刷する際に使用することができ、例えば、紙やプラスチックフィルム、金属フィルムまたはシート等の基材に対するインクジェット印刷に使用することができる。インクジェット印刷方式は特に限定するものではないが、連続噴射型(荷電制御型、スプレー型など)、オンデマンド型(ピエゾ方式、サーマル方式、静電吸引方式など)などの公知の方式を適用することができる。
【実施例】
【0128】
以下、本発明を実施例と比較例により、一層、具体的に説明する。
【0129】
[実施例1]
温度計、窒素ガス導入管、攪拌器を備えた窒素置換された容器中で、ポリオキシプロピレングリコール(数平均分子量2000)412質量部、2,2―ジメチロールプロピオン酸120質量部及びイソホロンジイソシアネート 357質量部を、有機溶剤であるメチルエチルケトン 300質量部の存在下、80℃で10時間反応させ、次いで1,3−ビス(2−ヒドロキシエチル)−5,5ジメチルイミダゾリジン−2,4−ジオンを100質量部供給し反応させ、次いでブタノールを11質量部反応させることによって、前記一般式(1−1)中のR及びRがメチル基で、R及びRがエチレン基であるヒダントイン構造を有するポリウレタン(I)の有機溶剤溶液を得た。
【0130】
次いで、前記ヒダントイン構造を有するポリウレタン(I)の有機溶剤溶液にジエチレングリコール666質量部を加え十分に攪拌させ、次いで前記ヒダントイン構造を有するポリウレタン(I)の有機溶剤溶液を脱溶剤し、その不揮発分が60質量%となるようジエチレングリコールを加え調整することによって、前記ポリウレタン(I)とジエチレングリコールとの混合物(I−1)を得た。
【0131】
前記ポリウレタン(I−1)417質量部、顔料としてピグメントイエロー74(山陽色素株式会社製、Fast Yellow 7413)500質量部、8Nの水酸化カリウム水溶液(固形分濃度=34質量%)37質量部を、60℃に保温されたプラネタリーミキサー(株式会社井上製作所製、PLM−V−50V)に仕込み、1時間、混練した。
【0132】
前記混練物に、2時間で総量1200質量部の60℃に加温したイオン交換水を加えることによって、不揮発分が35.3質量%、顔料濃度が22.6質量%の着色樹脂組成物を得た。
【0133】
前記方法で得た着色樹脂組成物に、ジエチレングリコール233質量部、イオン交換水840質量部を少量ずつ添加しながら分散撹拌機で撹拌することによって、顔料分散体の前駆体(分散処理前の分散体)を得た。
【0134】
次いで、前記顔料分散体の前駆体を連続式遠心分離機(株式会社コクサン製 H-600S、2L容量)に通じ、18900Gの遠心力、10分間の滞留時間で遠心処理した後、有効孔径0.5μmのフィルターにより濾過処理を行うことによって、顔料分散体(I−2)を得た。この顔料分散体(I−2)の顔料濃度は14.5質量%であった。
【0135】
前記で得た顔料分散体(I−2)を用い、以下の成分を混合することによって、顔料濃度が4質量%のインクジェット印刷用インクを調製した。
・顔料分散体(I−2)(顔料濃度14.5質量%);28g
・2−ピロリジノン;8g
・トリエチレングリコールモノブチルエーテル;8g
・グリセリン;3g
・界面活性剤(サーフィノール440、エアープロダクツ社製);0.5g
・イオン交換水;52.5g
【0136】
[実施例2]
温度計、窒素ガス導入管、攪拌器を備えた窒素置換された容器中に、メチルエチルケトン 800質量部を仕込み、次いでメタクリル酸メチル 500質量部、メタクリル酸 77質量部、スチレン 323質量部、1−アリルヒダントイン 100質量部からなるモノマー液と、アゾビスイソブチロニトリル 20質量部、メチルエチルケトン 200質量部からなる触媒液を、80℃で10時間かけて滴下することで、前記一般式(1−2)のR及びRが水素原子であるヒダントイン構造を有するビニル樹脂(II)の有機溶剤溶液を得た。
【0137】
前記ポリウレタン(I)の代わりに、前記ビニル樹脂(II)を使用すること以外は、実施例1と同様の方法で、顔料濃度が14.5質量%の顔料分散体(II−2)を得た。また、前記顔料分散体(I−2)の代わりに、顔料分散体(II−2)を使用すること以外は、実施例1と同様の方法でインクジェット印刷用インクを調製した。
【0138】
[実施例3]
温度計、窒素ガス導入管、攪拌器を備えた窒素置換された容器中で、ポリオキシプロピレングリコール(数平均分子量2000)515質量部、2,2―ジメチロールプロピオン酸120質量部及びイソホロンジイソシアネート 305質量部を、有機溶剤であるメチルエチルケトン 300質量部の存在下、80℃で10時間反応させ、次いで1,3−ビス(ヒドラジノカルボノエチル)−5−イソプロピルヒダントイン)を50質量部供給し反応させ、次いでブタノールを10質量部反応させることによって、前記一般式(1)であるヒダントイン構造を有するポリウレタン(III)の有機溶剤溶液を得た。
【0139】
前記ポリウレタン(I)の代わりに、前記ポリウレタン(III)を使用すること以外は、実施例1と同様の方法で、顔料濃度が14.5質量%の顔料分散体(III−2)を得た。また、前記顔料分散体(I−2)の代わりに、顔料分散体(III−2)を使用すること以外は、実施例1と同様の方法でインクジェット印刷用インクを調製した。
【0140】
[実施例4]
温度計、窒素ガス導入管、攪拌器を備えた窒素置換された容器中で、ポリオキシプロピレングリコール(数平均分子量2000)267質量部、1,3−ビス(2−ヒドロキシエチル)−5,5ジメチルイミダゾリジン−2,4−ジオンとアジピン酸からなるポリエステルポリオール(数平均分子量2000)327質量部、2,2―ジメチロールプロピオン酸120質量部及びイソホロンジイソシアネート 277質量部を、有機溶剤であるメチルエチルケトン 300質量部の存在下、80℃で10時間反応させ、次いでブタノールを9質量部反応させることによって、前記一般式(1−1)中のR及びRがメチル基で、R及びRがエチレン基であるヒダントイン構造を有するポリウレタン(IV)の有機溶剤溶液を得た。
【0141】
前記ポリウレタン(I)の代わりに、前記ポリウレタン(IV)を使用すること以外は、実施例1と同様の方法で、顔料濃度が14.5質量%の顔料分散体(IV−2)を得た。また、前記顔料分散体(I−2)の代わりに、顔料分散体(IV−2)を使用すること以外は、実施例1と同様の方法でインクジェット印刷用インクを調製した。
【0142】
[実施例5]
温度計、窒素ガス導入管、攪拌器を備えた窒素置換された容器中で、ポリオキシプロピレングリコール(数平均分子量2000)310質量部、2,2―ジメチロールプロピオン酸120質量部及びイソホロンジイソシアネート 394質量部を、有機溶剤であるメチルエチルケトン 300質量部の存在下、80℃で10時間反応させ、次いで1,3−ビス(2−ヒドロキシエチル)−5,5ジメチルイミダゾリジン−2,4−ジオンを100質量部供給し反応させ、次いでジブチルアミンを76質量部反応させることによって、前記一般式(1−1)中のR及びRがメチル基で、R及びRがエチレン基であるヒダントイン構造を有するポリウレタン(V)の有機溶剤溶液を得た。
【0143】
前記ポリウレタン(I)の代わりに、前記ポリウレタン(V)を使用すること以外は、実施例1と同様の方法で、顔料濃度が14.5質量%の顔料分散体(V−2)を得た。また、前記顔料分散体(I−2)の代わりに、顔料分散体(V−2)を使用すること以外は、実施例1と同様の方法でインクジェット印刷用インクを調製した。
【0144】
[実施例6]
温度計、窒素ガス導入管、攪拌器を備えた窒素置換された容器中で、ポリオキシプロピレングリコール(数平均分子量2000)540質量部、2,2―ジメチロールプロピオン酸120質量部及びイソホロンジイソシアネート 301質量部を、有機溶剤であるメチルエチルケトン 300質量部の存在下、80℃で10時間反応させ、次いで1,3−ビス(2−ヒドロキシエチル)−5,5ジメチルイミダゾリジン−2,4−ジオンを30質量部供給し反応させ、次いでブタノール10質量部を供給し反応させることによって、前記一般式(1−1)中のR及びRがメチル基で、R及びRがエチレン基であるヒダントイン構造を有するポリウレタン(VI)の有機溶剤溶液を得た。
【0145】
前記ポリウレタン(I)の代わりに、前記ポリウレタン(VI)を使用すること以外は、実施例1と同様の方法で、顔料濃度が14.5質量%の顔料分散体(VI−2)を得た。また、前記顔料分散体(I−2)の代わりに、顔料分散体(VI−2)を使用すること以外は、実施例1と同様の方法でインクジェット印刷用インクを調製した。
【0146】
[実施例7]
温度計、窒素ガス導入管、攪拌器を備えた窒素置換された容器中で、ポリオキシプロピレングリコール(数平均分子量2000)558質量部、2,2―ジメチロールプロピオン酸120質量部及びイソホロンジイソシアネート 293質量部を、有機溶剤であるメチルエチルケトン 300質量部の存在下、80℃で10時間反応させ、次いで1,3−ビス(2−ヒドロキシエチル)−5,5ジメチルイミダゾリジン−2,4−ジオンを20質量部供給し反応させ、次いでブタノール9質量部を供給し反応させることによって、前記一般式(1−1)中のR及びRがメチル基で、R及びRがエチレン基であるヒダントイン構造を有するポリウレタン(VII)の有機溶剤溶液を得た。
【0147】
前記ポリウレタン(I)の代わりに、前記ポリウレタン(VII)を使用すること以外は、実施例1と同様の方法で、顔料濃度が14.5質量%の顔料分散体(VII−2)を得た。また、前記顔料分散体(I−2)の代わりに、顔料分散体(VII−2)を使用すること以外は、実施例1と同様の方法でインクジェット印刷用インクを調製した。
【0148】
[実施例8]
温度計、窒素ガス導入管、攪拌器を備えた窒素置換された容器中で、ポリオキシプロピレングリコール(数平均分子量2000)412質量部、2,2―ジメチロールプロピオン酸120質量部及びイソホロンジイソシアネート 357質量部を、有機溶剤であるメチルエチルケトン 300質量部の存在下、80℃で10時間反応させ、次いで1,3−ビス(2−ヒドロキシエチル)−5,5ジメチルイミダゾリジン−2,4−ジオンを100質量部供給し反応させ、次いでブタノールを11質量部反応させることによって、前記一般式(1−1)中のR及びRがメチル基で、R及びRがエチレン基であるヒダントイン構造を有するポリウレタン(VIII)の有機溶剤溶液を得た。
【0149】
次いで、前記ポリウレタン(VIII)の有機溶剤溶液にジエチレングリコール666質量部を加え十分に攪拌させ、次いで前記ポリウレタン(VIII)の有機溶剤溶液を脱溶剤し、その不揮発分が60質量%となるようジエチレングリコールを加え調整することによって、前記ポリウレタン(VIII)とジエチレングリコールとの混合物(VIII−1)を得た。
【0150】
一方、スチレン77質量部とアクリル酸10質量部とメタクリル酸13質量部とを含有するビニル単量体混合物を重合して得られる重量平均分子量11000及び酸価が156である粉末状のビニル重合体を得た。
【0151】
前記ビニル重合体150質量部と、前記混合物(VIII−1)167質量部と、顔料としてピグメントイエロー74(山陽色素株式会社製、Fast Yellow 7413)500質量部と、ジエチレングリコール193質量部と、8Nの水酸化カリウム水溶液(固形分濃度=34質量%)84質量部とを、60℃に保温されたプラネタリーミキサー(株式会社井上製作所製PLM−V−50V)に仕込み、1時間、混練した。
【0152】
前記混練物に、2時間で総量1200質量部の60℃に加温したイオン交換水を加え、不揮発分が34質量%、顔料濃度が21.7質量%の着色樹脂組成物を得た。
【0153】
前記方法で得た着色樹脂組成物に、ジエチレングリコール140質量部、イオン交換水840質量部を少量ずつ添加しながら分散撹拌機で撹拌し、顔料分散体の前駆体(分散処理前の分散体)を得た。
【0154】
次いで、前記顔料分散体の前駆体を連続式遠心分離機(株式会社コクサン製 H-600S、2L容量)に通じ、18900Gの遠心力、10分間の滞留時間で遠心処理した後、有効孔径0.5μmのフィルターにより濾過処理を行うことによって、顔料分散体(VIII−2)を得た。この顔料分散体(VIII−2)の顔料濃度は14.2質量%であった。
【0155】
前記で得た顔料分散体(VIII−2)を用い、以下の成分を混合することによって、顔料濃度が4質量%のインクジェット印刷用インクを調製した。
・顔料分散体(VIII−2)(顔料濃度14.2質量%);28.5g
・2−ピロリジノン;8g
・トリエチレングリコールモノブチルエーテル;8g
・グリセリン;3g
・界面活性剤(サーフィノール440、エアープロダクツ社製);0.5g
・イオン交換水;52.0g
【0156】
[実施例9]
温度計、窒素ガス導入管、攪拌器を備えた窒素置換された容器中で、ポリオキシプロピレングリコール(数平均分子量2000)482質量部、2,2―ジメチロールプロピオン酸120質量部及びトリレンジイソシアネート 287質量部を、有機溶剤としてのメチルエチルケトン 300質量部の存在下、80℃で10時間反応させ、次いで1,3−ビス(2−ヒドロキシエチル)−5,5ジメチルイミダゾリジン−2,4−ジオンを100質量部供給し反応させ、次いでブタノール12質量部を供給し反応させることによって、前記一般式(1−1)中のR及びRがメチル基で、R及びRがエチレン基であるヒダントイン構造を有するポリウレタン(IX)有機溶剤溶液を得た。
【0157】
次いで、前記ポリウレタン(IX)の有機溶剤溶液にジエチレングリコール400質量部を加え十分に攪拌させ、次いで前記ポリウレタン(IX)の有機溶剤溶液を脱溶剤し、その不揮発分が60質量%となるようジエチレングリコールを加え調整することによって、前記ポリウレタン(IX)とジエチレングリコールとの混合物(IX−1)を得た。
【0158】
前記混合物(I−1)の代わりに、前記混合物(IX−1)を使用すること以外は、実施例1と同様の方法で顔料濃度が14.5質量%の顔料分散体(IX−2)を得た。
【0159】
前記前記顔料分散体(I−2)の代わりに、顔料分散体(IX−2)を使用すること以外は、実施例1と同様の方法でインクジェット印刷用インクを調製した。
【0160】
[実施例10]
温度計、窒素ガス導入管、攪拌器を備えた窒素置換された容器中で、ポリオキシプロピレングリコール(数平均分子量2000)412質量部、1,3−ビス(2−ヒドロキシエチル)−5,5ジメチルイミダゾリジン−2,4−ジオン100質量部、2,2―ジメチロールプロピオン酸120質量部及びイソホロンジイソシアネート357質量部を、有機溶剤としてのメチルエチルケトン 300質量部の存在下、80℃で20時間反応させ、次いでブタノールを11質量部反応させることによって、前記一般式(1−1)中のR及びRがメチル基で、R及びRがエチレン基であるヒダントイン構造を有するポリウレタン(X)の有機溶剤溶液を得た。
【0161】
前記ポリウレタン(I)の代わりに、前記ポリウレタン(X)を使用すること以外は、実施例1と同様の方法で、顔料濃度が14.5質量%の顔料分散体(X−2)を得た。また、前記顔料分散体(I−2)の代わりに、顔料分散体(X−2)を使用すること以外は、実施例1と同様の方法でインクジェット印刷用インクを調製した。
【0162】
[比較例1]
温度計、窒素ガス導入管、攪拌器を備えた窒素置換された容器中で、ポリオキシプロピレングリコール(数平均分子量2000)594質量部、2,2―ジメチロールプロピオン酸120質量部及びイソホロンジイソシアネート 277質量部を、有機溶剤としてのメチルエチルケトン 300質量部の存在下、80℃で10時間反応させ、次いでブタノールを9質量部反応させることによって、前記一般式(1−1)中のR及びRがメチル基で、R及びRがエチレン基であるヒダントイン構造を有するポリウレタン(I’)の有機溶剤溶液を得た。
【0163】
前記ポリウレタン(I)の代わりに、前記ポリウレタン(I’)を使用すること以外は、実施例1と同様の方法で、顔料濃度が14.5質量%の顔料分散体(I’−2)を得た。また、前記顔料分散体(I−2)の代わりに、顔料分散体(I’−2)を使用すること以外は、実施例1と同様の方法でインクジェット印刷用インクを調製した。
【0164】
[比較例2]
前記ポリウレタン(I)の代わりに、スチレン77質量部とアクリル酸10質量部とメタクリル酸13質量部とを含有するビニル単量体混合物を重合して得られる重量平均分子量11000及び酸価が156である粉末状のビニル重合体250質量部、顔料としてピグメントイエロー74(山陽色素株式会社製、Fast Yellow 7413)500質量部と、ジエチレングリコール260質量部と、8Nの水酸化カリウム水溶液(固形分濃度=34質量%)115質量部とを、60℃に保温されたプラネタリーミキサー(株式会社井上製作所製PLM−V−50V)に仕込み、1時間、混練した。
【0165】
前記混練物に、2時間で総量1200質量部の60℃に加温したイオン交換水を加えることによって、不揮発分が33.9質量%、顔料濃度が21.5質量%の着色樹脂組成物を得た。
【0166】
前記方法で得た着色樹脂組成物に、ジエチレングリコール140質量部、イオン交換水840質量部を少量ずつ添加しながら分散撹拌機で撹拌することによって、顔料分散体の前駆体(分散処理前の分散体)を得た。
【0167】
次いで、前記顔料分散体の前駆体を連続式遠心分離機(株式会社コクサン製 H-600S、2L容量)に通じ、18900Gの遠心力、10分間の滞留時間で遠心処理した後、有効孔径0.5μmのフィルターにより濾過処理を行うことによって、顔料分散体(II’−2)を得た。この顔料分散体(II’−2)の顔料濃度は14.2質量%であった。
【0168】
前記で得た顔料分散体(II’−2)を用い、以下の成分を混合することによって、顔料濃度が4質量%のインクジェット印刷用インクを調製した。
・顔料分散体(II’−2)(顔料濃度14.2質量%);28.5g
・2−ピロリジノン;8g
・トリエチレングリコールモノブチルエーテル;8g
・グリセリン;3g
・界面活性剤(サーフィノール440、エアープロダクツ社製);0.5g
・イオン交換水;52.0g
【0169】
[重量平均分子量の測定]
ポリウレタン等の化合物(A)の重量平均分子量はゲル・パーミエーション・クロマトグラフ(GPC法)により測定した。具体的には、ポリウレタンを、ガラス板上に3milアプリケーターで塗工し、常温で1時間乾燥して半乾きの塗膜を作成した。得られた塗膜をガラス板から剥し、0.4gをテトラヒドロフラン100gに溶解して測定試料とした。
【0170】
溶離液、及び試料溶解液としてテトラヒドロフランを用い、流量1mL/min、試料注入量500μL、試料濃度0.4質量%としてRI検出器を用いて重量平均分子量を測定した。
測定装置:高速GPC装置(東ソー株式会社製「HLC−8220GPC」)
カラム:東ソー株式会社製の下記のカラムを直列に接続して使用した。
【0171】
「TSKgel G5000」(7.8mmI.D.×30cm)×1本
「TSKgel G4000」(7.8mmI.D.×30cm)×1本
「TSKgel G3000」(7.8mmI.D.×30cm)×1本
「TSKgel G2000」(7.8mmI.D.×30cm)×1本
検出器:RI(示差屈折計)
カラム温度:40℃
標準試料:下記の標準ポリスチレンを用いて検量線を作成した。
(標準ポリスチレン)
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン A−500」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン A−1000」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン A−2500」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン A−5000」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−1」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−2」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−4」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−10」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−20」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−40」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−80」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−128」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−288」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−550」
【0172】
〔インクジェット印刷用インクの保存安定性の評価〕
前記で得たインクジェット印刷用インクの粘度と、該インク中の分散粒子の粒子径に基づいて評価した。前記粘度測定は東機産業(株)製のVISCOMETER TV−22を使用し、前記粒子径の測定は、日機装(株)社製のマイクロトラック UPA EX150を使用した。
【0173】
次に、前記インクをスクリュー管等のガラス容器に密栓し、70℃の恒温器で4週間の加熱試験を行った後の、前記インクの粘度と、該インク中の分散粒子の粒子径を、前記と同様の方法で測定した。
【0174】
前記加熱試験前のインクの粘度及び粒子径に対する、加熱試験後の粘度及び粒子径の変化を、それぞれ下記式に基づいて算出し、顔料インクの保存安定性を評価した。
【0175】
(式I)
[{(加熱試験後のインク中の分散粒子の粒子径)−(加熱試験前のインク中の分散粒子の粒子径)}/(加熱試験前のインク中の分散粒子の粒子径)]×100
【0176】
[判定基準]
○: 粒子径の変化の割合が、5%未満
△: 粒子径の変化の割合が、5%以上10%未満
×: 粒子径の変化の割合が、10%以上
【0177】
(式II)
[{(加熱試験後のインクの粘度)−(加熱試験前のインクの粘度)}/(加熱試験前のインクの粘度)]×100
【0178】
[判定基準]
○: 粘度の変化の割合が、2%未満
△: 粘度の変化の割合が、2%以上5%未満
×: 粘度の変化の割合が、5%以上
【0179】
〔インク吐出安定性の評価〕
前記のインクジェット顔料インクを黒色インクカートリッジに充填したPhotosmart D5360(ヒューレットパッカード社製)にて、診断ページを印刷しノズルの状態を確認した。1ページあたり18cm×25cmの領域の印字濃度設定100%のベタ印刷を連続で20ページ実施した後、再度診断ページを印刷しノズルの状態を確認した。連続ベタ印刷の前後でのノズルの状態変化をインク吐出性として評価した。評価基準を以下に記す。
【0180】
[判定基準]
A:ノズルの状態に変化がなく、吐出異常が発生していないもの
B:ノズルへの若干のインクの付着が確認されたものの、インクの吐出方向の異常は発生していないもの
C:前記ベタ印刷を連続で50ページ実施した後に、インクの吐出方向の異常やインクの不吐出が生じたもの
D:前記ベタ印刷を連続で20ページ実施した後に、インクの吐出方向の異常やインクの不吐出が生じたもの
E:印刷途中でインクの吐出方向の異常やインクの不吐出が生じ、連続して20ページの印刷を完了できなかったもの
【0181】
〔印刷画像の鮮明性の評価方法〕
(彩度)
インクジェット印刷専用紙である写真用紙(光沢)[株式会社ピクトリコ製、ピクトリコプロフォトペーパー]の印刷面に、市販のサーマルジェット方式インクジュットプリンター(ヒューレットパッカード社製、Photosmart D5360)を用い、前記顔料インクを黒色インクカートリッジに充填し、印字濃度設定100%のベタ印刷を行った。前記で得たベタ印刷画像を試験印刷物とした。
【0182】
前記で得た試験印刷物を24時間室温に放置した後、「SpectroScan Transmission」(X−Rite社製)を用い、前記ベタ印刷画像の彩度(C*/L*)を算出した。
【0183】
(印字濃度)
前記で得た試験印刷物を24時間室温に放置した後、「SpectroScan Transmission」(X−Rite社製)を用い、前記ベタ印刷画像の印刷濃度を測定した。
【0184】
(光沢)
前記で得た試験印刷物を24時間室温に放置した後、試験印刷物の任意の3箇所の光沢を、マイクロヘイズプラス(株式会社 東洋精機製作所製)を用い60度の光沢を測定し、その平均値を算出した。
【0185】
【表1】
【0186】
【表2】
【0187】
【表3】

【手続補正書】
【提出日】20140925
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)で示されるヒダントイン構造を有する化合物(A)及び顔料を含有する顔料分散体であって、前記化合物(A)が、前記化合物(A)中に前記一般式(1)で示されるヒダントイン構造を3〜30質量%の範囲で有するものであることを特徴とする顔料分散体。
【化1】
〔一般式(1)中のR及びRは、それぞれ独立して水素原子またはアルキル基を表す。〕
【請求項2】
前記化合物(A)が、前記一般式(1)で示されるヒダントイン構造を含む下記一般式(1−1)で示される構造を有するものである請求項1に記載の顔料分散体。
【化2】
〔一般式(1−1)中のR及びRは、それぞれ独立して水素原子またはアルキル基を表し、R及びRは、それぞれ独立してアルキレン基を表す。〕
【請求項3】
前記化合物(A)が、前記ヒダントイン構造を有するポリウレタン(A−1)である請求項1に記載の顔料分散体。
【請求項4】
前記化合物(A)中のウレア結合の存在割合が、0〜2質量%の範囲である請求項に記載の顔料分散体。
【請求項5】
前記化合物(A)中の1級アミノ基の存在割合が、0〜5質量%の範囲である請求項に記載の顔料分散体。
【請求項6】
さらに水性媒体(B)を含有するものである請求項1またはに記載の顔料分散体。
【請求項7】
請求項1〜のいずれか1項に記載の顔料分散体を含有するインク。
【請求項8】
請求項1〜のいずれか1項に記載の顔料分散体を含有するインクジェット印刷用インク。
【請求項9】
ヒダントイン構造を有する化合物(A)と顔料とを混練することによってそれらの混練物を製造し、次いで前記混練物と水性媒体(B)とを混合することを特徴とする顔料分散体の製造方法。
【請求項10】
ヒダントイン構造を有するポリオールを含有するポリオール(a1)と、ポリイソシアネート(a2)とを、溶媒存在下または無溶媒下で反応させ、必要に応じて脱溶媒することによって、ポリウレタン(A−1)を製造し、次いで、前記ポリウレタン(A−1)と顔料とを混練することによってそれらの混練物を製造し、次いで前記混練物と水性媒体(B)とを混合することを特徴とする、ヒダントイン構造を有するポリウレタン(A−1)を含有する顔料分散体の製造方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0009】
すなわち、本発明は、下記一般式(1)で示されるヒダントイン構造を有する化合物(A)及び顔料を含有する顔料分散体であって、前記化合物(A)が、前記化合物(A)中に前記一般式(1)で示されるヒダントイン構造を3〜30質量%の範囲で有するものであることを特徴とする顔料分散体、前記顔料分散体を含有するインク及びインクジェット印刷用インクに関するものである。
【化1】
〔一般式(1)中のR及びRは、それぞれ独立して水素原子またはアルキル基を表す。〕
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0146
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0146】
参考例7]
温度計、窒素ガス導入管、攪拌器を備えた窒素置換された容器中で、ポリオキシプロピレングリコール(数平均分子量2000)558質量部、2,2―ジメチロールプロピオン酸120質量部及びイソホロンジイソシアネート 293質量部を、有機溶剤であるメチルエチルケトン 300質量部の存在下、80℃で10時間反応させ、次いで1,3−ビス(2−ヒドロキシエチル)−5,5ジメチルイミダゾリジン−2,4−ジオンを20質量部供給し反応させ、次いでブタノール9質量部を供給し反応させることによって、前記一般式(1−1)中のR及びRがメチル基で、R及びRがエチレン基であるヒダントイン構造を有するポリウレタン(VII)の有機溶剤溶液を得た。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0186
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0186】
【表2】

【手続補正書】
【提出日】20150206
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)で示されるヒダントイン構造を有する化合物(A)及び顔料を含有する顔料分散体であって、前記化合物(A)が、前記化合物(A)中に前記一般式(1)で示されるヒダントイン構造を3〜30質量%の範囲で有するものであり、
前記化合物(A)中のウレア結合の存在割合が0質量%であることを特徴とする顔料分散体。
【化1】
〔一般式(1)中のR及びRは、それぞれ独立して水素原子またはアルキル基を表す。〕
【請求項2】
前記化合物(A)が、前記一般式(1)で示されるヒダントイン構造を含む下記一般式(1−1)で示される構造を有するものである請求項1に記載の顔料分散体。
【化2】
〔一般式(1−1)中のR及びRは、それぞれ独立して水素原子またはアルキル基を表し、R及びRは、それぞれ独立してアルキレン基を表す。〕
【請求項3】
前記化合物(A)が、前記ヒダントイン構造を有するポリウレタン(A−1)である請求項1に記載の顔料分散体。
【請求項4】
前記化合物(A)中の1級アミノ基の存在割合が、0〜5質量%の範囲である請求項3に記載の顔料分散体。
【請求項5】
さらに水性媒体(B)を含有するものである請求項1または3に記載の顔料分散体。
【請求項6】
請求項1〜のいずれか1項に記載の顔料分散体を含有するインク。
【請求項7】
請求項1〜のいずれか1項に記載の顔料分散体を含有するインクジェット印刷用インク。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0009】
すなわち、本発明は、下記一般式(1)で示されるヒダントイン構造を有する化合物(A)及び顔料を含有する顔料分散体であって、前記化合物(A)が、前記化合物(A)中に前記一般式(1)で示されるヒダントイン構造を3〜30質量%の範囲で有するものであり、
前記化合物(A)中のウレア結合の存在割合が0質量%であることを特徴とする顔料分散体、前記顔料分散体を含有するインク及びインクジェット印刷用インクに関するものである。
【化1】
〔一般式(1)中のR及びRは、それぞれ独立して水素原子またはアルキル基を表す。〕
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0138
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0138】
参考例3]
温度計、窒素ガス導入管、攪拌器を備えた窒素置換された容器中で、ポリオキシプロピレングリコール(数平均分子量2000)515質量部、2,2―ジメチロールプロピオン酸120質量部及びイソホロンジイソシアネート 305質量部を、有機溶剤であるメチルエチルケトン 300質量部の存在下、80℃で10時間反応させ、次いで1,3−ビス(ヒドラジノカルボノエチル)−5−イソプロピルヒダントイン)を50質量部供給し反応させ、次いでブタノールを10質量部反応させることによって、前記一般式(1)であるヒダントイン構造を有するポリウレタン(III)の有機溶剤溶液を得た。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0142
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0142】
参考例5]
温度計、窒素ガス導入管、攪拌器を備えた窒素置換された容器中で、ポリオキシプロピレングリコール(数平均分子量2000)310質量部、2,2―ジメチロールプロピオン酸120質量部及びイソホロンジイソシアネート 394質量部を、有機溶剤であるメチルエチルケトン 300質量部の存在下、80℃で10時間反応させ、次いで1,3−ビス(2−ヒドロキシエチル)−5,5ジメチルイミダゾリジン−2,4−ジオンを100質量部供給し反応させ、次いでジブチルアミンを76質量部反応させることによって、前記一般式(1−1)中のR及びRがメチル基で、R及びRがエチレン基であるヒダントイン構造を有するポリウレタン(V)の有機溶剤溶液を得た。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0185
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0185】
【表1】

【国際調査報告】