(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO2014050657
(43)【国際公開日】20140403
【発行日】20160822
(54)【発明の名称】積層体、導電性パターン及び電気回路
(51)【国際特許分類】
   B32B 27/34 20060101AFI20160725BHJP
   H05K 1/03 20060101ALI20160725BHJP
【FI】
   !B32B27/34
   !H05K1/03 610N
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】36
【出願番号】2014504108
(21)【国際出願番号】JP2013075128
(22)【国際出願日】20130918
(11)【特許番号】5569662
(45)【特許公報発行日】20140813
(31)【優先権主張番号】2012216514
(32)【優先日】20120928
(33)【優先権主張国】JP
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ
(71)【出願人】
【識別番号】000002886
【氏名又は名称】DIC株式会社
【住所又は居所】東京都板橋区坂下3丁目35番58号
(74)【代理人】
【識別番号】100124970
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 通洋
(72)【発明者】
【氏名】冨士川 亘
【住所又は居所】日本国大阪府高石市高砂一丁目3番地 DIC株式会社 堺工場内
(72)【発明者】
【氏名】斉藤 公恵
【住所又は居所】日本国大阪府高石市高砂一丁目3番地 DIC株式会社 堺工場内
(72)【発明者】
【氏名】村川 昭
【住所又は居所】日本国大阪府高石市高砂一丁目3番地 DIC株式会社 堺工場内
(72)【発明者】
【氏名】白髪 潤
【住所又は居所】日本国大阪府高石市高砂一丁目3番地 DIC株式会社 堺工場内
【テーマコード(参考)】
4F100
【Fターム(参考)】
4F100AA17C
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4F100AB24
4F100AK01B
4F100AK25B
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4F100GB43
4F100JG01C
4F100JJ03
4F100JL11
4F100YY00A
(57)【要約】
本発明は、特定のポリイミド樹脂を含有する支持体からなる層(I)と、導電性物質(x)を含有する流動体を受容する樹脂層(II)と、前記導電性物質(x)によって形成される導電層(III)とを有することを特徴とする積層体、導電性パターン及び電気回路に関するものである。本発明の積層体は、支持体からなる層と、導電性物質を受容する樹脂層との密着性に優れ、かつ、高温環境下に晒された場合であっても、優れた密着性を維持することができることから、導電性パターン等の積層体として用いることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)で示される構造を有するポリイミド樹脂(i−1)及び下記一般式(2)で示される構造を有するポリイミド樹脂(i−2)を含有する支持体(I1)、または、下記一般式(1)で示される構造及び下記一般式(2)で示される構造を有するポリイミド樹脂(i−3)を含有する支持体(I2)からなる層(I)と、導電性物質(x)を含有する流動体を受容する樹脂層(II)と、前記導電性物質(x)によって形成される導電層(III)とを有することを特徴とする積層体。
【化1】
〔一般式(1)中のR〜Rは、それぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子または有機基を表す。nは1〜1,000の整数を表す。〕
【化2】
〔一般式(2)中のR〜R22は、それぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子または有機基を表す。mは1〜1,000の整数を表す。〕
【請求項2】
前記支持体からなる層(I)が、さらに平均粒子径0.01μm〜1μmのシリカ微粒子を含有するものである請求項1に記載の積層体。
【請求項3】
前記樹脂層(II)が、ウレタン樹脂及びアクリル樹脂によって構成される複合樹脂(II−1)、または、メラミン樹脂(II−2)である請求項1に記載の積層体。
【請求項4】
前記導電層(III)の表面の一部または全部にめっき層(IV)を有する請求項1に記載の積層体。
【請求項5】
前記導電層(III)の一部または全部が、酸化された銀によって構成されたものである請求項4に記載の積層体。
【請求項6】
前記めっき層(IV)が、電解銅めっき法によって形成されたものである請求項4に記載の積層体。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の積層体からなる導電性パターン。
【請求項8】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の積層体を有する電気回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電磁波シールドや集積回路や有機トランジスタ等の製造に使用可能な導電性パターン等の積層体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子機器の高性能化や小型化、薄型化にともなって、それに使用される電子回路や集積回路の高密度化や薄型化が、近年、強く求められている。
【0003】
前記電子回路等に使用可能な導電性パターンとしては、例えば、支持体の表面に、銀等の導電性物質を含む導電性インクやめっき核剤を塗布し焼成することによって導電性物質層を形成し、次いで、前記導電性物質層の表面をめっき処理することによって、前記導電性物質層の表面にめっき層が設けられた導電性パターンが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
しかし、前記導電性パターンは、前記支持体と前記導電性物質層との密着性が十分でないため、経時的に前記支持体表面から前記導電性物質が欠落し、前記導電性物質によって形成された導電性パターンの断線や、導電性の低下(抵抗値の上昇)を引き起こす場合があった。
【0005】
前記支持体と前記導電性物質との密着性を向上する方法としては、例えば、支持体表面にラテックス層を設けたインク受容基材に、導電性インクを用いて、所定の方法によりパターンを描画することによって導電性パターンを作製する方法が知られている(特許文献2参照。)。
【0006】
しかし、前記方法で得られた導電性パターンは、依然として前記支持体と前記インク受容層との密着性の点で未だ十分でない場合があるため、経時的に前記支持体の表面から、前記インク受容層と前記導電性物質とが欠落し、前記導電性物質によって形成された導電性パターンの断線や、導電性の低下を引き起こす場合があった。
【0007】
また、前記支持体表面からのインク受容層の剥離は、例えば、前記めっき処理工程等で100℃〜200℃程度に加熱された場合に引き起こされるなど耐熱性の点で十分でないため、前記導電性パターンでは、その強度の向上等を目的としてめっき処理を施すことができない場合があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2005−286158号公報
【特許文献2】特開2009−49124号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明が解決しようとする課題は、支持体からなる層と、導電性物質を受容する樹脂層との密着性に優れ、かつ、高温環境下に晒された場合であっても、優れた前記密着性を維持することが可能なレベルの耐熱性を備えた導電性パターン等の積層体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者等は、前記課題を検討すべく検討を進めた結果、特定の支持体を使用することによって、前記課題を解決できることを見出した。
【0011】
すなわち、本発明は、下記一般式(1)で示される構造を有するポリイミド樹脂(i−1)及び下記一般式(2)で示される構造を有するポリイミド樹脂(i−2)を含有する支持体(I1)、または、下記一般式(1)で示される構造及び下記一般式(2)で示される構造を有するポリイミド樹脂(i−3)を含有する支持体(I2)からなる層(I)と、導電性物質(x)を含有する流動体を受容する樹脂層(II)と、前記導電性物質(x)によって形成される導電層(III)とを有することを特徴とする積層体、導電性パターン及び電気回路に関するものである。
【0012】
【化1】
〔一般式(1)中のR〜Rは、それぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子または有機基を表す。nは1〜1,000の整数を表す。〕
【0013】
【化2】
〔一般式(2)中のR〜R22は、それぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子または有機基を表す。mは1〜1,000の整数を表す。〕
【発明の効果】
【0014】
本発明の積層体は、高温環境下に晒された場合であっても優れた密着性を保持でき、その結果、断線等を引き起こすことなく優れた導電性を保持できることから、例えば、導電性パターンや電子回路の形成、有機太陽電池や電子書籍端末、有機EL、有機トランジスタ、フレキシブルプリント基板、非接触ICカード等のRFID等を構成する各層や周辺配線の形成、プラズマディスプレイの電磁波シールドの配線、集積回路、有機トランジスタの製造等の、一般にプリンテッド・エレクトロニクス分野といわれる新規分野で使用することができる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の積層体は、下記一般式(1)で示される構造を有するポリイミド樹脂(i−1)及び下記一般式(2)で示される構造を有するポリイミド樹脂(i−2)を含有する支持体(I1)、または、下記一般式(1)で示される構造及び下記一般式(2)で示される構造を有するポリイミド樹脂(i−3)を含有する支持体(I2)からなる層(I)と、導電性物質(x)を含有する流動体を受容する樹脂層(II)と、前記導電性物質(x)によって形成される導電層(III)とを少なくとも有する積層体であって、例えば、導電性パターンや電気回路等に好適に使用可能なものである。
【0016】
【化3】
〔一般式(1)中のR〜Rは、それぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子または有機基を表す。nは1〜1,000の整数を表す。〕
【0017】
【化4】
〔一般式(2)中のR〜R22は、それぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子または有機基を表す。mは1〜1,000の整数を表す。〕
【0018】
はじめに、本発明の積層体を構成する層(I)について説明する。
本発明の積層体を構成する層(I)は、積層体を支える支持体(I1)または支持体(I2)によって構成される層である。
【0019】
前記支持体としては、下記一般式(1)で示される構造を有するポリイミド樹脂(i−1)及び下記一般式(2)で示される構造を有するポリイミド樹脂(i−2)を含有する支持体(I1)、または、下記一般式(1)で示される構造及び下記一般式(2)で示される構造を有するポリイミド樹脂(i−3)を含有する支持体(I2)を使用する。
【0020】
【化5】
〔一般式(1)中のR〜Rは、それぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子または有機基を表す。nは1〜1,000の整数を表す。〕
【0021】
【化6】
〔一般式(2)中のR〜R22は、それぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子または有機基を表す。mは1〜1,000の整数を表す。〕
前記支持体(I1)は、前記ポリイミド樹脂(i−1)及びポリイミド樹脂(i−2)を含有するものである。
【0022】
前記ポリイミド樹脂(i−1)は、前記一般式(1)で示される構造を有するものである。
【0023】
前記一般式(1)中のR〜Rは、それぞれ独立して水素原子、水酸基、ハロゲン原子または有機基である。前記有機基としては、具体的にはアルキル基、アリール基が挙げられる。前記R〜Rは、優れた密着性や耐熱性を付与し、比較的安価に入手出来る事から、水素原子であることが好ましい。
【0024】
前記一般式(1)中のmは、1〜1,000の整数であることが好ましく、3〜50,0の整数であることがより好ましく、50〜500の整数であることがさらに好ましく、100〜500の整数であることが特に好ましい。
【0025】
前記ポリイミド樹脂(i−1)としては、その分子末端の構造がアミノ基であることが好ましい。
【0026】
前記ポリイミド樹脂(i−1)は、例えば、4,4’−オキシジアニリン等を含有するポリアミンと、無水ピロメリット酸を含有するテトラカルボン酸二水和物とを反応させることによってポリアミック酸を製造し、次いで、必要に応じて触媒等と混合し、加熱等することによって製造することができる。
【0027】
前記ポリアミンと前記テトラカルボン酸二水和物との反応は、従来知られる方法によって行うことができる。
【0028】
前記ポリイミド樹脂(i−1)を製造する際には、4,4’−オキシジアニリン以外のポリアミンや、無水ピロメリット酸以外のテトラカルボン酸二水和物を併用してもよいが、前記ポリイミド樹脂(i−1)の製造に使用する原料の全量に対して、4,4’−オキシジアニリン及び無水ピロメリット酸を合計95質量%〜100質量%の範囲で使用することが好ましい。
【0029】
また、前記で得たポリアミック酸を用いてポリイミド樹脂(i−1)を製造する方法としては、加熱する方法が挙げられる。
【0030】
前記加熱は、好ましくは150℃以上、より好ましくは200℃〜300℃で行うことができる。
【0031】
前記ポリイミド樹脂(i−1)を製造する方法としては、具体的にはJOURNAL OF POLYMER SCIENCE:PART A−2 VOL.6,953−960(1968)に記載の方法が挙げられる。
【0032】
前記支持体(I1)を構成するポリイミド樹脂(i−2)は、前記一般式(2)で示される構造を有するものである。
【0033】
前記一般式(2)中のR〜R22は、それぞれ独立して水素原子、水酸基、ハロゲン原子または有機基である。前記有機基としては、具体的にはアルキル基、アリール基が挙げられる。前記R〜R22は、優れた密着性を付与するうえで、水素原子であることが好ましい。
【0034】
前記一般式(2)中のnは、1〜1,000の整数であることが好ましく、3〜500の整数であることがより好ましく、50〜500の整数であることがさらに好ましく、100〜500の整数であることが特に好ましい。
【0035】
前記ポリイミド樹脂(i−2)としては、その分子末端の構造がアミノ基であることが好ましい。
【0036】
前記ポリイミド樹脂(i−2)は、例えば、4,4’−オキシジアニリン等を含有するポリアミンと、ビフェニル3,4,3’,4’−テトラカルボン酸二水和物を含有するテトラカルボン酸二水和物とを反応させることによってポリアミック酸を製造し、次いで必要に応じて触媒等と混合し、加熱等することによって製造することができる。
【0037】
前記ポリアミンと前記テトラカルボン酸二水和物との反応は、従来知られる方法によって行うことができる。
【0038】
前記ポリイミド樹脂(i−2)を製造する際には、4,4’−オキシジアニリン以外のポリアミンや、ビフェニル3,4,3’,4’−テトラカルボン酸二水和物以外のテトラカルボン酸二水和物を併用してもよいが、前記ポリイミド樹脂(i−2)の製造に使用する原料の全量に対して、4,4’−オキシジアニリン及びビフェニル3,4,3’,4’−テトラカルボン酸二水和物を合計95質量%〜100質量%の範囲で使用することが好ましい。
【0039】
また、前記で得たポリアミック酸を用いてポリイミド樹脂(i−2)を製造する方法としては、加熱する方法が挙げられる。
【0040】
前記加熱は、好ましくは150℃以上、より好ましくは200℃〜300℃で行うことができる。
【0041】
前記ポリイミド樹脂(i−2)を製造する方法としては、具体的にはJOURNAL OF POLYMER SCIENCE:PART A−2 VOL.6,953−960(1968)に記載の方法が挙げられる。
【0042】
前記層(I)を構成する前記支持体(I1)としては、前記ポリイミド樹脂(i−1)と前記ポリイミド樹脂(i−2)とを[前記ポリイミド樹脂(i−1)/前記ポリイミド樹脂(i−2)]=5〜95の割合で含有するものを使用することが好ましい。
【0043】
また、本発明の積層体の層(I)を構成する支持体(I2)としては、下記一般式(1)で示される構造及び下記一般式(2)で示される構造を組み合わせ有するポリイミド樹脂(i−3)を含有する支持体を使用することができる。
【0044】
前記ポリイミド樹脂(i−3)としては、前記ポリイミド樹脂(i−1)や前記ポリイミド樹脂(i−2)の製造に使用可能なものとして例示した、4,4’−オキシジアニリン等を含有するポリアミンと、無水ピロメリット酸やビフェニル3,4,3’,4’−テトラカルボン酸二水和物を含有するテトラカルボン酸二水和物とを反応させることによってポリアミック酸を製造し、次いで、必要に応じて触媒等と混合し、加熱等することによって製造することができる。
【0045】
前記ポリアミンと前記テトラカルボン酸二水和物との反応は、従来知られる方法によって行うことができる。
【0046】
前記ポリイミド樹脂(i−3)を製造する際には、4,4’−オキシジアニリン以外のポリアミンや、無水ピロメリット酸及びビフェニル3,4,3’,4’−テトラカルボン酸二水和物以外のテトラカルボン酸二水和物を併用してもよいが、前記ポリイミド樹脂(i−3)の製造に使用する原料の全量に対して、無水ピロメリット酸及びビフェニル3,4,3’,4’−テトラカルボン酸二水和物を合計95質量%〜100質量%の範囲で使用することが好ましい。
【0047】
また、前記で得たポリアミック酸を用いてポリイミド樹脂(i−3)を製造する方法としては、加熱する方法が挙げられる。
【0048】
前記加熱は、好ましくは150℃以上、より好ましくは200℃〜300℃で行うことができる。
【0049】
前記支持体(I1)及び前記支持体(I2)としては、前記ポリイミド樹脂(i−1)や前記ポリイミド樹脂(i−2)や前記ポリイミド樹脂(i−2)の他に、必要に応じて各種添加剤を含有するものを使用することができる。
【0050】
前記添加剤としては、例えば、シリカやリン酸カルシウム等の無機充填剤を使用することが、ポリイミドフィルムからなる前記支持体(I1)や前記支持体(I2)の搬送のしやすさを向上し、前記支持体(I1)や前記支持体(I2)のブロッキングを防止するうえで好ましい。
【0051】
前記無機充填剤としては、前記支持体の表面の平滑性を高めるうえで、前記支持体(I1)または前記支持体(I2)の質量に対して0.5質量%〜30質量%の範囲で使用することが好ましい。また、前記無機充填剤の平均粒子径は、0.01μm〜5μmが好ましく、さらには0.01μm〜0.5μmがより好ましい。なお、前記平均粒子径は、レーザー回折散乱式粒度分布計装置で測定した値を指す。
【0052】
前記支持体(I1)を製造する方法としては、例えば、前記ポリイミド樹脂(i−1)の前駆体であるポリアミック酸と、前記ポリイミド樹脂(i−2)の前駆体であるポリアミック酸と、必要に応じて溶媒とを混合して得た溶液、及び、必要に応じて前記無機充填剤等の添加剤を混合して得た混合物を、必要に応じて濾過や脱泡した後、フィルムまたはシート状に成形し、加熱する方法が挙げられる。
【0053】
前記支持体(I2)を製造する方法としては、前記ポリイミド樹脂(i−3)の前駆体であるポリアミック酸と、必要に応じて溶媒とを混合して得た溶液、及び、必要に応じて前記無機充填剤等の添加剤を混合して得た混合物を、必要に応じて濾過や脱泡した後、フィルムまたはシート状に成形し、加熱する方法が挙げられる。
【0054】
前記成形方法としては、例えば、前記混合物をTダイ等を用いてドラム上に押出し、流延させる方法が挙げられる。
【0055】
前記流延後、例えば、80℃〜150℃の温度で30秒〜90秒程度加熱することによって前記溶媒を除去することによって、前記フィルムまたはシート状の成形品を得ることができる。
【0056】
前記成形品を、例えば、200℃〜450℃の温度で30秒〜200秒程度加熱することによって、ポリイミド樹脂を含有する支持体を製造することができる。
【0057】
前記方法で得られた支持体(I1)または支持体(I2)からなる層(I)は、1μm〜5,000μm程度の厚さのものであることが好ましく、1μm〜300μm程度の厚さであることがより好ましい。前記積層体として比較的柔軟なものが求められる場合には、1μm〜200μm程度の厚さのものを使用することが好ましい。
【0058】
次に、本発明の積層体を構成する樹脂層(II)について説明する。
前記樹脂層(II)は、後述する導電層(III)を形成する導電性物質(x)を含有する流動体を受容可能な層である。前記樹脂層(II)は、前記流動体が接触した際に、前記流動体に含まれる溶媒を速やかに吸収し、かつ前記導電性物質(x)を樹脂層(II)の表面に担持する。これにより、前記支持体(I1)または支持体(I2)からなる層(I)と樹脂層(II)と、導電性物質(x)から構成される導電層(III)との密着性や耐熱性を格段に向上することができる
【0059】
前記樹脂層(II)は、前記支持体(I1)または支持体(I2)からなる層(I)の表面の一部または全部に設けられてもよく、その片面または両面に設けられてもよい。例えば、前記積層体としては、前記支持体(I1)または支持体(I2)からなる層(I)の表面の全面に樹脂層(II)を有し、その樹脂層(II)のうち必要な部分にのみ、前記導電層(III)を有するものを使用することもできる。また、前記支持体(I1)または支持体(I2)からなる層(I)の表面のうち、前記導電層(III)が設けられる部分にのみ、前記樹脂層(II)が設けられた積層体も使用することができる。
【0060】
前記樹脂層(II)は、本発明の積層体の使用する用途等によって異なるが、通常は10nm〜1000μmの範囲の厚さとすることが好ましい。また、前記支持体(I1)または支持体(I2)からなる層(I)と前記導電層(III)との密着性をより一層向上できることから、前記樹脂層(II)の厚さは、10nm〜300nmの範囲がより好ましく、10nm〜100nmの範囲がさらに好ましい。
【0061】
前記樹脂層(II)としては、ウレタン樹脂及びアクリル樹脂によって構成される複合樹脂(II−1)、メラミン樹脂(II−2)、ウレタン樹脂、ビニル樹脂、エポキシ樹脂、イミド樹脂、アミド樹脂、フェノール樹脂、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等を用いて形成された樹脂層を使用することができる。なかでも、ウレタン樹脂及びアクリル樹脂によって構成される複合樹脂(II−1)、または、メラミン樹脂(II−2)を用いて形成された層であることが、密着性及び耐熱性に優れた積層体を製造するうえで好ましい。
【0062】
次に、本発明の積層体を構成する導電層(III)について説明する。
前記導電層(III)は、導電性インクやめっき核剤等の流動体に含まれる導電性物質(x)によって構成される層である。前記導電層(III)は、例えば、前記流動体として銀を含むめっき核剤を用いた場合であれば、前記めっき核剤中に含まれる前記銀によって構成される層に相当し、前記銀によって構成される印刷像やパターンに相当するものである。
【0063】
前記導電層(III)は、前記導電性物質(x)によって構成されることが好ましく、具体的には銀によって構成されることが好ましい。前記導電層(III)は、前記のとおり主として前記導電性物質によって構成されるが、前記流動体中に含まれる溶媒や添加剤等が、前記導電層(III)中に残存していてもよい。
【0064】
また、前記導電層(III)は、前記樹脂層(II)の表面の一部または全部に設けられてもよよい。例えば、前記積層体としては、前記樹脂層(II)の表面のうち、必要な部分にのみ、前記導電層(III)が設けられていてもよい。具体的には、前記樹脂層(II)の表面のうち必要な部分にのみ設けられた導電層(III)としては、線状に画線することによって形成された線状の層が挙げられる。前記導電層(III)として線状の層を有する積層体は、導電性パターンや電気回路等を製造する際に好適である。
【0065】
前記線状の層の幅(線幅)は、0.01μm〜200μm程度、好ましくは0.01μm〜150μm程度であることが、導電性パターンの高密度化等を図るうえで好ましい。
【0066】
本発明の積層体を構成する導電層(III)は、10nm〜10μmの範囲の厚さのものを使用することができる。前記導電層(III)の厚さは、前記導電層(III)の形成に使用可能な、導電性物質(x)を含む流動体の塗布量等を制御することによって調整することができる。前記導電層(III)が細線状のものである場合、その厚さ(高さ)は10nm〜1μmの範囲であることが好ましい。
【0067】
また、前記導電層(III)の表面は、必要に応じて設けることのできるめっき層(IV)との密着性を向上するうえで、前記導電層(III)の表面の一部または全部が、酸化されていることが好ましい。
【0068】
ここで、前記酸化は、前記導電層(III)に含まれる導電性物質(x)が酸素と結合し酸化物を形成することを指すとともに、前記導電性物質(x)の価数が増加する場合を含む。
【0069】
したがって、前記導電層(III)の酸化された表面としては、例えば、前記導電層(III)に含まれる導電性物質(x)として銀を使用した場合であれば、酸化銀を含む表面や、前記銀が水酸基等と結合し、その価数が0から+1に増加した物質からなる表面であるものを使用することができる。
【0070】
前記導電層(III)は、前記めっき層(IV)と接する表面が酸化されていればよいが、前記表面とともに、前記導電層(III)に含まれる導電性物質の全部が酸化したものであってもよい。
【0071】
前記導電層(III)の酸化された表面は、その抵抗値が0.1Ω/□〜50Ω/□の範囲であることが好ましく、0.2Ω/□〜30Ω/□の範囲であることが、前記めっき層(IV)との優れた密着性を付与するうえで好ましい。
【0072】
また、本発明の積層体は、前記層(I)と前記樹脂層(II)と前記導電層(III)の他に、必要に応じてめっき層(IV)を有していてもよい。
【0073】
前記めっき層(IV)は、例えば、前記積層体を導電性パターン等に使用する場合に、長期間にわたり断線等を引き起こすことなく、良好な通電性を維持可能な信頼性の高い配線パターンを形成することを目的として設けられる層である。
【0074】
前記めっき層(IV)は、例えば、銅、ニッケル、クロム、コバルト、スズ等の金属からなる層であることが好ましく、銅からなるめっき層であることがより好ましい。
【0075】
前記めっき層(IV)は、1μm〜50μmの範囲の厚さのものを使用することができる。前記めっき層(IV)の厚さは、前記めっき層(IV)の形成する際のめっき処理工程における処理時間や電流密度、めっき用添加剤の使用量等を制御することによって調整することができる。
【0076】
次に、本発明の積層体の製造方法について説明する。
本発明の積層体は、例えば、前記層(I)を構成する前記支持体(I1)または支持体(I2)の表面の一部または全部に、樹脂組成物(R)を塗布、乾燥することによって前記樹脂層(II)を形成し、次いで、前記樹脂層(II)の表面の一部または全部に、導電性物質(x)を含有する流動体を塗布、焼成し前記導電層(III)を形成することによって製造することができる。前記めっき層(IV)を設ける場合には、前記導電層(III)の表面の一部または全部をめっき処理することによって、さらにめっき層(IV)を備えた積層体を製造することができる。
【0077】
前記支持体(I1)または支持体(I2)の表面の一部または全部に前記樹脂層(II)を形成する方法としては、前記樹脂組成物(R)を、前記支持体(I1)または支持体(I2)の表面の一部または全部に塗布し、前記樹脂組成物(R)中に含まれる水性媒体や有機溶剤等の溶媒を除去することによって形成することができる。
【0078】
前記樹脂組成物(R)を前記支持体(I1)または支持体(I2)の表面に塗布する方法としては、例えば、グラビア方式、コーティング方式、スクリーン方式、ローラー方式、ロータリー方式、スプレー方式等の方法が挙げられる。
【0079】
前記樹脂組成物(R)を塗布する前記支持体(I1)または支持体(I2)の表面は、必要に応じてコロナ放電処理法等のプラズマ放電処理法や、紫外線処理法等の乾式処理法、水や酸性またはアルカリ性薬液、有機溶剤等を用いた湿式処理法によって、表面処理されていてもよい。
【0080】
前記樹脂組成物(R)を前記支持体(I1)または支持体(I2)の表面に塗布した後、その塗布層に含まれる溶媒を除去する方法としては、例えば、乾燥機を用いて乾燥させ、前記溶媒を揮発させる方法が一般的である。乾燥温度としては、前記溶媒を揮発させることが可能で、かつ前記支持体(I1)または支持体(I2)に悪影響を与えない範囲の温度に設定すればよい。
【0081】
前記支持体(I1)または支持体(I2)上への前記樹脂組成物(R)の塗布量は、優れた密着性と導電性を付与する観点から、前記支持体(I1)または支持体(I2)の面積に対して0.01g/m〜60g/mの範囲であることが好ましく、前記流動体中に含まれる溶媒の吸収性と製造コストを勘案すると0.1g/m〜10g/mが特に好ましい。
【0082】
前記樹脂層(II)の製造に使用可能な樹脂組成物(R)としては、各種樹脂と溶媒を含有するものを使用することができる。
【0083】
前記樹脂としては、例えば、ウレタン樹脂及びアクリル樹脂によって構成される複合樹脂(II−1)、メラミン樹脂(II−2)、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、イミド樹脂、アミド樹脂、フェノール樹脂、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等を使用することができる。
【0084】
前記樹脂としては、なかでもウレタン樹脂及びアクリル樹脂によって構成される複合樹脂(II−1)、または、メラミン樹脂(II−2)を使用することが、前記支持体(I1)または支持体(I2)からなる層(I)と前記導電層(III)との密着性をより一層向上するうえで好ましい。
【0085】
前記樹脂組成物(R)としては、前記樹脂組成物(R)全体に対して前記樹脂を10質量%〜70質量%含むものを使用することが、塗布のしやすさ等を維持するうえで好ましく、10質量%〜50質量%含むものを使用することがより好ましい。
【0086】
また、前記樹脂組成物(R)に使用可能な溶媒としては、各種有機溶剤や水性媒体を使用することができる。
【0087】
前記有機溶剤としては、例えば、トルエンや酢酸エチル、メチルエチルケトン等を使用することができる。また、前記水性媒体としては、水、水と混和する有機溶剤、及び、これらの混合物が挙げられる。
【0088】
水と混和する有機溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、n−及びイソプロパノール、エチルカルビトール、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール等のポリアルキレングリコール類;ポリアルキレングリコールのアルキルエーテル類;N−メチル−2−ピロリドン等のラクタム類等が挙げられる。
【0089】
また、前記樹脂組成物(R)に使用する樹脂としては、各種前記支持体(I1)または支持体(I2)への密着性をより一層向上する観点から、親水性基を有する樹脂を使用することが好ましい。前記親水性基としては、例えば、一部または全部が塩基性化合物等によって中和され形成したカルボキシレート基やスルホネート基等のアニオン性基や、カチオン性基、ノニオン性基が挙げられ、アニオン性基であることが好ましい。
【0090】
また、前記樹脂は、必要に応じてアルコキシシリル基やシラノール基、水酸基、アミノ基、メチロール基、メチロールアミド基、アルコキシメチルアミド基、メチロールアミノ基等の架橋性官能基を有していてもよい。したがって、前記樹脂層(II)は、前記流動体が塗布される前に、すでに架橋構造を形成していてもよく、また、前記流動体が塗布された後、例えば、焼成工程等における加熱によって架橋構造を形成してもよい。
【0091】
前記樹脂組成物(R)に使用可能な複合樹脂(II−1)としては、ウレタン樹脂及びアクリル樹脂とが複合樹脂粒子を形成し水性媒体中に分散等できるものが挙げられる。
【0092】
前記複合樹脂粒子は、具体的には、前記ウレタン樹脂が形成する樹脂粒子内に前記アクリル樹脂の一部または全部が内在したものが挙げられる。その際、前記アクリル樹脂は、前記ウレタン樹脂粒子中に複数の粒子状に分散していてもよく、また、コア層としての前記アクリル樹脂と、シェル層としての前記親水性基を有するウレタン樹脂とから構成されるコア・シェル型の複合樹脂粒子を形成することが好ましい。特に導電性パターンを形成する際においては、電気特性を低下させうる界面活性剤等を使用する必要がない前記コア・シェル型の複合樹脂粒子を使用することが好ましい。なお、前記複合樹脂粒子としては、前記アクリル樹脂が前記ウレタン樹脂によってほぼ完全に覆われていることが好ましいが、必須ではなく、本発明の効果を損なわない範囲で、前記アクリル樹脂の一部が前記複合樹脂粒子の最外部に存在してもよい。前記ウレタン樹脂と前記アクリル樹脂とは、共有結合を形成していてもよいが、結合を形成していないことが好ましい。
【0093】
また、前記複合樹脂粒子は、良好な水分散安定性を維持する観点から、5nm〜100nmの範囲の平均粒子径であることが好ましい。ここで言う平均粒子径とは、後述する実施例でも述べるが、動的光散乱法により測定した体積基準での平均粒子径を指す。
【0094】
前記複合樹脂(II−1)としては、前記ウレタン樹脂と前記アクリル樹脂とを、[ウレタン樹脂/アクリル樹脂]=90/10〜10/90の範囲で含むことが好ましく、70/30〜10/90の範囲で含むことがより好ましい。
【0095】
前記複合樹脂(II−1)の製造に使用可能なウレタン樹脂としては、各種ポリオールとポリイソシアネートと、必要に応じて鎖伸長剤等とを反応することによって得られるものを使用することができる。
【0096】
前記ポリオールとしては、例えば、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエステルエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール等を使用することができる。
【0097】
前記ポリエステルポリオールとしては、例えば、低分子量のポリオールとポリカルボン酸とをエステル化反応して得られる脂肪族ポリエステルポリオールや芳香族ポリエステルポリオール、ε−カプロラクトン等の環状エステル化合物を開環重合反応して得られるポリエステルや、これらの共重合ポリエステル等を使用することができる。
【0098】
前記低分子量のポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコ−ル、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール等を使用することができる。
【0099】
また、前記ポリカルボン酸としては、例えば、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸等の脂肪族ポリカルボン酸や、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸等の芳香族ポリカルボン酸、及びこれらの無水物またはエステル形成性誘導体などを使用することができる。
【0100】
また、前記ポリエーテルポリオールとしては、例えば、活性水素原子を2個以上有する化合物の1種または2種以上を開始剤として、アルキレンオキサイドを付加重合させたものを使用することができる。
【0101】
前記開始剤としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン等や、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールB、ビスフェノールAD等を使用することができる。
【0102】
また、前記アルキレンオキサイドとしては、例えば、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、スチレンオキサイド、エピクロルヒドリン、テトラヒドロフラン等を使用することができる。
【0103】
また、前記ポリエステルエーテルポリオールとしては、例えば、前記開始剤に前記アルキレンオキサイドが付加したポリエーテルポリオールと、ポリカルボン酸とが反応したものを使用することができる。前記開始剤や前記アルキレンオキサイドとしては、前記ポリエーテルポリオールを製造する際に使用可能なものとして例示したものと同様のものを使用することができる。また、前記ポリカルボン酸としては、前記ポリエステルポリオールを製造する際に使用可能なものとして例示したものと同様のものを使用することができる。
【0104】
また、前記ポリカーボネートポリオールとしては、例えば、炭酸エステルとポリオールとを反応させて得られるものや、ホスゲンとビスフェノールA等とを反応させて得られるものを使用することができる。
【0105】
前記炭酸エステルとしては、メチルカーボネートや、ジメチルカーボネート、エチルカーボネート、ジエチルカーボネート、シクロカーボネート、ジフェニルカーボネ−ト等を使用することできる。
【0106】
前記炭酸エステルと反応しうるポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,2−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,5−ヘキサンジオール、2,5−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、2−ブチル−2−エチルプロパンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ハイドロキノン、レゾルシン、ビスフェノール−A、ビスフェノール−F、4,4’−ビフェノール等の比較的低分子量のジヒドロキシ化合物や、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等のポリエーテルポリオールや、ポリヘキサメチレンアジペート、ポリヘキサメチレンサクシネート、ポリカプロラクトン等のポリエステルポリオール等を使用することができる。
【0107】
また、前記ポリオールとしては、ウレタン樹脂に親水性基を導入する観点から、例えば、2,2’−ジメチロールプロピオン酸、2,2’−ジメチロールブタン酸、2,2’−ジメチロール酪酸、5−スルホイソフタル酸、スルホテレフタル酸、4−スルホフタル酸、5[4−スルホフェノキシ]イソフタル酸等を使用することができる。
【0108】
前記ポリイソシアネートとしては、例えば、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート等の芳香族構造含有ポリイソシアネートや、ヘキサメチレンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネートなどの脂肪族ポリイソシアネートや脂肪族環式構造含有ポリイソシアネートを使用することができる。なかでも、脂肪族環式構造含有ポリイソシアネートを使用することが好ましい。
【0109】
また、前記鎖伸長剤としては、例えば、エチレンジアミン、ピペラジン、イソホロンジアミン等の従来知られるものを使用することができる。
【0110】
また、前記複合樹脂(II−1)の製造に使用可能なアクリル樹脂としては、(メタ)アクリル酸メチルをはじめとする各種(メタ)アクリル単量体を重合して得られるものを使用することができる。
【0111】
前記(メタ)アクリル単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸メチルや、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸i−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル等の(メタ)アクリル酸アルキルエステルを使用することができる。
【0112】
前記したなかでも、メタクリル酸メチルは、電子回路等の導電性パターンを形成する際に求められる、0.01μm〜200μm程度、好ましくは0.01μm〜150μm程度の幅からなる細線を、にじみを引き起こすことなく印刷すること(細線性の向上)を可能にするうえで、使用することが好ましい。
【0113】
また、前記メタクリル酸メチルとともに、炭素原子数2個〜12個のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルを使用することが好ましく、炭素原子数3個〜8個のアルキル基を有するアクリル酸アルキルエステルを使用することがより好ましく、アクリル酸n−ブチルを使用することが、印刷性に優れた印刷物を得るうえで好ましい。また、導電性インクを用いた場合であっても、にじみ等がなく細線性に優れた導電性パターンを形成するうえで、特に好ましい。
【0114】
また、前記(メタ)アクリル単量体としては、前記アクリル樹脂にメチロールアミド基及びアルコキシメチルアミド基からなる群より選ばれる1種以上のアミド基や等の前記架橋性官能基を導入し、より一層の密着性等の向上を図るうえで、架橋性官能基含有(メタ)アクリル単量体を使用することができる。
【0115】
架橋性官能基含有(メタ)アクリル単量体としては、N−n−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−イソブトキシメチル(メタ)アクリルアミドを使用することが、細線性や密着性に優れた導電性パターン等の積層体を得るうえで好ましい。
【0116】
前記複合樹脂(II−1)は、例えば、前記したポリオールとポリイソシアネートと必要に応じて鎖伸長剤とを反応させ、水分散化することによってウレタン樹脂の水分散体を製造する工程、及び、前記水分散体中で前記(メタ)アクリル単量体を重合しアクリル樹脂を製造する工程により製造することができる。
【0117】
具体的には、無溶剤下または有機溶剤下または(メタ)アクリル単量体等の反応性希釈剤の存在下で、前記ポリイソシアネートとポリオールとを反応させることによってウレタン樹脂を得、次いで、前記ウレタン樹脂の有する親水性基の一部または全部を、必要に応じて塩基性化合物等を用いて中和し、必要に応じて、更に鎖伸長剤と反応させ、それを水性媒体中に分散させることによって、ウレタン樹脂の水分散体を製造する。
【0118】
次いで、前記で得たウレタン樹脂の水分散体中に、前記(メタ)アクリル単量体を供給し、前記ウレタン樹脂粒子内で前記(メタ)アクリル単量体をラジカル重合させアクリル樹脂を製造する。また、前記ウレタン樹脂の製造を(メタ)アクリル単量体の存在下で行った場合には、前記ウレタン樹脂の製造後、重合開始剤等を供給することによって、前記(メタ)アクリル単量体をラジカル重合させアクリル樹脂を製造する。
【0119】
これにより、前記ウレタン樹脂粒子中に前記アクリル樹脂の一部または全部が内在した複合樹脂粒子が、水性媒体に分散した樹脂組成物(R)を製造することができる。
【0120】
また、前記樹脂組成物(R)としては、ウレタン樹脂を含有するものを使用することができる。
【0121】
前記ウレタン樹脂としては、例えば、ポリエーテル構造を有するウレタン樹脂やポリカーボネート構造を有するウレタン樹脂やポリエステル構造を有するウレタン樹脂等を使用することができる。
【0122】
それらのウレタン樹脂は、前記複合樹脂(II−1)の説明で記載したものと同様のポリオールや従来知られるポリカーボネートポリオール等のポリオールと、前記と同様のポリイソシアネートや鎖伸長剤等とを用い反応させることによって得られるウレタン樹脂を使用することができる。その際、前記ポリオールとして前記ポリエーテルポリオールや、従来知られるポリカーボネートポリオールや脂肪族ポリエステルポリオール等を適宜選択することによって、前記所望の構造を備えたウレタン樹脂を製造することができる。
【0123】
また、前記樹脂組成物(R)に使用可能なビニル樹脂としては、前記複合樹脂(II−1)の説明で記載した(メタ)アクリル単量体や、スチレン等を包含するビニル単量体を、ラジカル重合して得られるビニル樹脂を使用することができる。
【0124】
また、前記樹脂層(II)の形成に使用可能な樹脂組成物(R)としては、メラミン樹脂(II−2)を含有するものを使用することが、優れた密着性や耐熱性を備えた積層体を製造するうえで好ましい。
【0125】
前記メラミン樹脂(II−2)としては、例えば、メラミンやベンゾグアナミン等のトリアジン環を有するアミノ化合物とホルムアルデヒドとを反応させることによって得られるメチロール化物や、アルコキシ化物を使用することができる。
【0126】
前記メチロール化物としては、例えば、メトキシメチロール化メラミン樹脂、ブチル化メチロール化メラミン樹脂等を使用することができる。
【0127】
前記アルコキシ化物としては、前記メチロール化物が有するメチロール基の一部または全部がモノアルコール等によって封止されたものが挙げられ、例えば、メトキシメチロール化メラミン樹脂等のアルコキシ化メラミン樹脂が挙げられる。
【0128】
前記アルコキシ化メラミン樹脂は、メラミンやベンゾグアナミン等の前記トリアジン環を有するアミノ化合物と、前記ホルムアルデヒドと、前記モノアルコールとを一括して仕込んで反応させてもよく、予め前記トリアジン環を有するアミノ化合物と、前記ホルムアルデヒドとを反応させてメチロール化メラミン化合物を得、次いで前記モノアルコールとを反応させて得られるものを使用してもよい。
【0129】
前記アルコキシ化メラミン樹脂としては、具体的にDIC株式会社製のベッカミンM−3を使用することができる。
【0130】
前記メラミン樹脂(II−2)の数平均分子量としては、100〜10,000のものが使用することが好ましく、300〜2,000のものを使用することがより好ましい。
【0131】
前記樹脂組成物(R)は、必要に応じて、架橋剤をはじめ、pH調整剤、皮膜形成助剤、レベリング剤、増粘剤、撥水剤、消泡剤等の公知の添加剤を適宜、含有していてもよい。
【0132】
前記架橋剤は、前記流動体が塗布される前に、すでに架橋構造を形成していた樹脂層(II)や、前記流動体が塗布された後、例えば、焼成工程等における加熱によって架橋構造を形成しうる樹脂層(II)を形成することができる。
【0133】
前記架橋剤としては、例えば、金属キレート化合物、ポリアミン化合物、アジリジン化合物、金属塩化合物、イソシアネート化合物等の、25℃〜100℃未満の比較的低温で反応し架橋構造を形成しうる熱架橋剤や、メラミン系化合物、エポキシ系化合物、オキサゾリン化合物、カルボジイミド化合物、及び、ブロックイソシアネート化合物からなる群より選ばれる1種以上等の100℃以上の比較的高温で反応し架橋構造を形成しうる熱架橋剤や、各種光架橋剤を使用することができる。
【0134】
前記架橋剤は、種類等によって異なるものの、通常、前記プライマーに含まれる樹脂の合計質量100質量部に対して0.01質量%〜60質量%の範囲で使用することが好ましく、0.1質量%〜10質量%の範囲で使用することがより好ましく、0.1質量%〜5質量%の範囲で使用することが、密着性や導電性に優れ、かつ、前記耐久性に優れた導電性パターンを形成できるため好ましい。
【0135】
以上のように、前記樹脂組成物(R)を、前記した方法により前記支持体(I1)または支持体(I2)の表面の一部または全部に塗布等することによって、前記層(I)に前記樹脂層(II)が積層したものを得ることができる。
【0136】
次に、前記樹脂層(II)の表面の一部または全部に、導電性物質(x)を含有する流動体を塗布、焼成することによって、導電層(III)を形成する方法について説明する。
【0137】
前記樹脂層(II)の表面に前記流動体を塗布する方法としては、例えば、インクジェット印刷法、反転印刷法、スクリーン印刷法、オフセット印刷法、スピンコート法、スプレーコート法、バーコート法、ダイコート法、スリットコート法、ロールコート法、ディップコート法等が挙げられる。
【0138】
なかでも、前記流動体を用いて、電子回路等の高密度化を実現する際に求められる0.01μm〜100μm程度の細線状の、前記導電層(III)を形成する場合には、インクジェット印刷法や、反転印刷法によって前記流動体を塗布することが好ましい。
【0139】
前記インクジェット印刷法としては、一般にインクジェットプリンターといわれるものを使用することができる。具体的には、コニカミノルタEB100、XY100(コニカミノルタIJ株式会社製)や、ダイマティックス・マテリアルプリンターDMP−3000、ダイマティックス・マテリアルプリンターDMP−2831(富士フィルム株式会社製)等が挙げられる。
【0140】
また、反転印刷法としては、凸版反転印刷法や凹版反転印刷法等が知られており、例えば、各種ブランケットの表面に前記流動体を塗布し、非画線部が突出した版と接触させて、前記非画線部に対応する流動体を前記版の表面に選択的に転写させることによって、前記ブランケット等の表面に前記パターンを形成し、次いで、前記パターンを、前記支持体(I1)または支持体(I2)からなる層(I)の表面または前記樹脂層(II)の表面に転写させる方法が挙げられる。
【0141】
前記流動体を前記方法で塗布した後に行う焼成は、前記流動体中に含まれる金属等の導電性物質(x)間を密着し接合することで導電性層(II)を形成することを目的として行う。前記焼成は、80℃〜300℃の範囲で、2分〜200分程度行うことが好ましい。前記焼成は大気中で行っても良いが、前記金属の酸化を防止する観点から、焼成工程の一部または全部を還元雰囲気下で行っても良い。
【0142】
また、前記焼成工程は、例えば、オーブン、熱風式乾燥炉、赤外線乾燥炉、レーザー照射、フォトシンタリング(光焼成)、光パルス照射、マイクロウェーブ等を用いて行うことができる。
【0143】
前記導電層(III)の形成に使用する流動体としては、前記導電性物質(x)と、必要に応じて溶媒や添加剤を含有するものであって、一般に導電性インクやめっき核剤に使用できるものが挙げられる。
【0144】
前記導電性物質(x)としては、遷移金属やその化合物を使用することができる。なかでもイオン性の遷移金属を使用することが好ましく、例えば、銅、銀、金、ニッケル、パラジウム、白金、コバルト等の遷移金属を使用することが好ましく、銅、銀、金等を使用することが、電気抵抗が低く、腐食に強い導電性パターンを形成できるのでより好ましく、銀を使用することがさらに好ましい。
【0145】
また、前記流動体をめっき核剤に使用する場合、前記導電性物質(x)として前記したような遷移金属からなる金属粒子をはじめ、前記遷移金属の酸化物や、有機物によって表面被覆されたもの等を1種類以上使用することができる。
【0146】
前記遷移金属の酸化物は、通常、不活性(絶縁)な状態であるが、例えば、ジメチルアミノボラン等の還元剤を用いて処理することによって金属を露出させ、活性(導電性)を付与することが可能となる。
【0147】
また、前記有機物によって表面被覆された金属としては、乳化重合法等によって形成した樹脂粒子(有機物)中に金属を内在させたものが挙げられる。これらは、通常、不活性(絶縁)な状態であるが、例えば、レーザー等を用いて前記有機物を除去することによって、金属を露出させ、活性(導電性)を付与することが可能となる。
【0148】
前記導電性物質(x)としては、1nm〜100nm程度の平均粒子径を有する粒子状のものを使用することが好ましく、1nm〜50nmの平均粒子径を有するものを使用することが、マイクロメータオーダーの平均粒子径を有する導電性物質(x)を用いる場合と比較して、微細な導電性パターンを形成でき、焼成後の抵抗値をより低減できることからより好ましい。なお、前記「平均粒子径」は、前記導電性物質(x)を分散良溶媒にて希釈し、動的光散乱法により測定した体積平均値である。この測定にはマイクロトラック社製ナノトラックUPA−150を用いることができる。
【0149】
前記導電性物質(x)は、本発明で使用する流動体の全量に対して、5質量%〜90質量%の範囲で含むものを使用することが好ましく、10質量%〜60質量%の範囲で使用することがより好ましい。
【0150】
また、前記流動体は、塗布のしやすさ等を向上する観点から溶媒を含むものが好ましい。前記溶媒としては、有機溶剤や水性媒体を使用することができる。
【0151】
前記溶媒としては、例えば、蒸留水やイオン交換水、純水、超純水等の水性媒体をはじめ、アルコール、エーテル、エステル及びケトン等の有機溶剤を使用することができる。
【0152】
前記アルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロピルアルコール、n−ブタノール、イソブチルアルコール、sec−ブタノール、tert−ブタノール、ヘプタノール、ヘキサノール、オクタノール、ノナノール、デカノール、ウンデカノール、ドデカノール、トリデカノール、テトラデカノール、ペンタデカノール、ステアリルアルコール、アリルアルコール、シクロヘキサノール、テルピネオール、ターピネオール、ジヒドロターピネオール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル等を使用することができる。
【0153】
また、前記流動体には、前記導電性物質(x)や溶媒等とともに、例えば、エチレングリコールやジエチレングリコール、1,3−ブタンジオール、イソプレングリコール等を使用することもできる。
【0154】
前記流動体としては、25℃におけるB型粘度計で測定した粘度が0.1mPa・s〜500,000mPa・s、好ましくは0.5mPa・s〜10,000mPa・sである液状または粘稠液状のものを使用することが好ましい。前記流動体を、前記インクジェット印刷法や凸版反転印刷等の方法によって塗布(印刷)する場合には、その粘度が5mPa・s〜20mPa・sの範囲のものを使用することが好ましい。
【0155】
前記流動体を塗布し焼成することによって形成された導電層(III)の表面の一部または全部は、酸化処理が施されていてもよい。具体的には、前記導電層(III)の表面をコロナ処理等のプラズマ放電処理が施されていてもよい。
【0156】
前記プラズマ放電処理は、特に限定されるものではなく、例えば、コロナ放電処理法等の常圧プラズマ放電処理法や、真空または減圧下で行うグロー放電処理法及びアーク放電処理法等の真空プラズマ放電処理法によってなされる処理である。
【0157】
前記常圧プラズマ放電処理法としては、酸素濃度が0.1質量%〜25質量%程度の雰囲気下でプラズマ放電処理する方法である。本発明では、とりわけ前記プラズマ放電処理を好ましくは10質量%〜22質量%の範囲、より好ましくは空気中(酸素濃度が約21質量%)で行うコロナ放電処理法を採用することが、優れた密着性を付与するうえで好ましい。
【0158】
また、前記常圧プラズマ放電処理法は、前記酸素とともに不活性ガスを含む環境下で行うことが、前記導電層(III)の表面に過剰な凹凸を付与することなく、より一層優れた密着性を付与できるため好ましい。前記不活性ガスとしては、アルゴンや窒素等を使用することができる。
【0159】
前記常圧プラズマ放電処理法によって処理する際には、例えば、積水化学工業株式会社製の常圧プラズマ処理装置(AP−T01)等を使用することができる。
【0160】
前記常圧プラズマ放電処理法によって処理する際には、空気等のガスの流量として、5リットル/分〜50リットル/分の範囲で行うことが好ましい。また、出力としては、50W〜500Wの範囲であることが好ましい。また、プラズマによって処理する時間は、1秒〜500秒の範囲であることが好ましい。
【0161】
前記常圧プラズマ放電処理法としては、具体的には、前記コロナ放電処理法を採用することが好ましい。前記コロナ放電処理法を採用する場合には、例えば、春日電機株式会社製のコロナ表面改質評価装置(TEC−4AX)等を使用することができる。
【0162】
前記コロナ放電処理法によって処理する際には、出力として、5W〜300Wの範囲で行うことが好ましい。また、コロナ放電処理する時間は、0.5秒〜600秒の範囲であることが好ましい。
【0163】
前記コロナ放電処理等のプラズマ放電処理は、かかる処理によって前記層(II)の表面に凹凸が形成されない程度の条件で行うことが好ましい。
【0164】
前記方法によって形成された導電層(III)の表面には、めっき処理が施されていることが好ましい。前記めっき処理は、導電層(III)の酸化された表面に対して行ってもよく、また、酸化されていない導電層(III)の表面に対して行ってもよい。
【0165】
前記めっき処理法としては、例えば、スパッタリング法や真空蒸着法等の乾式めっき法や、無電解めっき法、電気めっき法等の湿式めっき法、または、これらめっき法を2つ以上組み合わせる方法が挙げられる。
【0166】
前記導電層(III)の表面に対し、上記めっき処理法で形成されためっき層(IV)は、優れた密着性を有する。なかでも、前記導電層(III)の表面に対し、電気めっき法によって形成されためっき層(IV)は、特に優れた密着性を発現することができる。
【0167】
前記乾式めっき処理工程としては、スパッタリング法や真空蒸着法等を使用することができる。前記スパッタリング法は、真空中で不活性ガス(主にアルゴン)を導入し、めっき層(IV)形成材料に対してマイナスイオンを印加してグロー放電を発生させ、次いで、前記不活性ガス原子をイオン化し、高速で前記めっき層(IV)形成材料の表面にガスイオンを激しく叩きつけ、めっき層(IV)形成材料を構成する原子や分子を弾き出し勢いよく前記導電層(III)の表面に付着させることによりめっき層(III)を形成する方法である。
【0168】
前記めっき層(IV)形成材料としては、クロム(Cr)、銅(Cu)、チタン(Ti)、銀(Ag)、白金(Pt)、金(Au),ニッケル−クロム(Ni−Cr)、SUS、銅−亜鉛(Cu−Zn)、ITO、SiO、TiO、Nb、ZnO等を使用することができる。
【0169】
前記スパッタリング法によりめっき処理する際には、例えば、マグネトロンスパッタ装置等を使用することができる。
【0170】
また、前記真空蒸着法は、真空中で、めっき層(IV)形成材料である各種金属や金属酸化物を加熱して、それらを溶融、蒸発、昇華させ、前記導電層(IV)の表面に前記金属原子や分子を付着させることによってめっき層(IV)を形成する方法である。
【0171】
前記真空蒸着法で使用可能なめっき層(IV)の形成材料としては、例えば、アルミニウム(Al)、銀(Ag)、金(Au)、チタン(Ti)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、クロム(Cr)、錫(Sn)、インジウム(In)、SiO、ZrO、Al、TiO等を使用することができる。
【0172】
また、前記めっき処理法として使用可能な無電解めっき処理法は、例えば、前記導電層(III)を構成するパラジウムや銀等の導電性物質に、無電解めっき液を接触させることで、前記無電解めっき液中に含まれる銅等の金属を析出させ金属皮膜からなる無電解めっき層(被膜)を形成する方法である。
【0173】
前記無電解めっき液としては、例えば、銅、ニッケル、クロム、コバルト、スズ等の金属からなる導電性物質と、還元剤と、水性媒体や有機溶剤等の溶媒とを含むものを使用することができる。
【0174】
前記還元剤としては、例えば、ジメチルアミノボラン、次亜燐酸、次亜燐酸ナトリウム、ジメチルアミンボラン、ヒドラジン、ホルムアルデヒド、水素化ホウ素ナトリウム、フェノール類等を使用することができる。
【0175】
また、前記無電解めっき液としては、必要に応じて、酢酸、蟻酸等のモノカルボン酸;マロン酸、コハク酸、アジピン酸、マレイン酸、フマール酸等のジカルボン酸;リンゴ酸、乳酸、グリコール酸、グルコン酸、クエン酸等のヒドロキシカルボン酸;グリシン、アラニン、イミノジ酢酸、アルギニン、アスパラギン酸、グルタミン酸等のアミノ酸;イミノジ酢酸、ニトリロトリ酢酸、エチレンジアミンジ酢酸、エチレンジアミンテトラ酢酸、ジエチレントリアミンペンタ酢酸等のアミノポリカルボン酸等の有機酸類、これらの有機酸類の可溶性塩(ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩等)、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミンなどのアミン類等の錯化剤を含むものであってもよい。
【0176】
前記無電解めっき液を使用する際の前記無電解めっき液の温度は、20℃〜98℃の範囲であることが好ましい。
【0177】
また、前記めっき処理法として使用可能な電気めっき処理法は、例えば、前記導電層(III)を構成する導電性物質、または、前記無電解処理によって形成された無電解めっき層(被膜)の表面に、電気めっき液を接触した状態で通電することにより、前記電気めっき液中に含まれる銅等の金属を、負極に設置した前記導電層(III)を構成する導電性物質または前記無電解処理によって形成された無電解めっき層(被膜)の表面に析出させ、電気めっき被膜(金属被膜)を形成する方法である。
【0178】
前記電気めっき液としては、銅、ニッケル、クロム、コバルト、スズ等の金属や、それらの硫化物等と、硫酸等と、水性媒体とを含むものを使用することができる。具体的には、硫酸銅と硫酸と水性媒体とを含むもの等を使用することができる。
【0179】
前記電気めっき液を使用する際の前記電気めっき液の温度は、20℃〜98℃の範囲であることが好ましい。
【0180】
上記電気めっき処理法では、毒性の高い物質を用いることなく、作業性がよいため、電気めっき法によって銅からなる層を形成することが好ましい。
【0181】
前記方法で得られた積層体は、導電性パターンとして使用することが可能である。具体的には、銀インク等を用いた電子回路の形成、有機太陽電池や電子書籍端末、有機EL、有機トランジスタ、フレキシブルプリント基板、RFID等を構成する各層や周辺配線の形成、プラズマディスプレイの電磁波シールドの配線等を製造する際の導電性パターン、より具体的には回路基板の形成に好適に使用することが可能である。
【0182】
前記積層体を導電性パターンに使用する場合、形成しようとする所望のパターン形状に対応した位置に、前記導電層(III)を形成しうる流動体を塗布し焼成等することによって、所望のパターンを備えた導電性パターンを製造することができる。
【0183】
また、前記導電性パターンは、例えば、サブトラクティブ法、セミアディティブ法、フルアディティブ法等のフォトリソ−エッチング法によって製造することができる。
【0184】
前記サブトラクティブ法は、予め製造した本発明の積層体を構成するめっき層(IV)上に、所望のパターン形状に対応した形状のエッチングレジスト層を形成し、その後の現像処理によって前記レジストの除去された部分のめっき層(IV)及び導電層(III)を薬液で溶解し除去することによって、所望のパターンを形成する方法である。前記薬液としては、塩化銅や塩化鉄等を含む薬液を使用することができる。
【0185】
前記セミアディティブ法は、前記支持体(I1)または支持体(I2)からなる層(I)と前記樹脂層(II)と前記導電層(III)とを備えた積層体を製造し、次いで、必要に応じてその表面をプラズマ放電処理することで導電層(III)の表面を酸化した後、その酸化された表面に、必要に応じて所望のパターンに対応した形状のめっきレジスト層を形成し、次いで、電気めっき法や無電解めっき法によってめっき層(IV)を形成した後、前記めっきレジスト層とそれに接触した前記導電層(III)とを薬液等に溶解し除去することによって、所望のパターンを形成する方法である。
【0186】
また、前記フルアディティブ法は、前記支持体(I1)または支持体(I2)からなる層(I)に、樹脂層(II)を設け、インクジェット法や反転印刷法で前記導電層(III)のパターンを印刷した後、必要に応じて前記導電層(III)の表面をプラズマ放電処理することでパターンを形成し、次いで、前記導電層(III)の酸化された表面に電気めっき法や無電解めっき法によってめっき層(IV)を形成することによって、所望のパターンを形成する方法である。
【0187】
前記方法で得られた導電性パターンは、各層間の剥離等を引き起こすことなく、良好な通電性を維持可能なレベルの、格段に優れた耐久性を付与できることから、銀インク等を用いた電子回路や集積回路等に使用される回路形成用基板の形成、有機太陽電池や電子書籍端末、有機EL、有機トランジスタ、フレキシブルプリント基板、RFID等を構成する各層や周辺配線の形成、プラズマディスプレイの電磁波シールドの配線等のうち、特に耐久性の求められる用途に好適に使用することができる。特に、前記めっき処理の施された導電性パターンは、長期間にわたり断線等を引き起こすことなく、良好な通電性を維持可能な信頼性の高い配線パターンを形成できることから、例えば、一般に銅張積層板(CCL:Copper Clad Laminate)といわれ、フレキシブルプリント基板(FPC)、テープ自動ボンディング(TAB)、チップオンフィルム(COF)、及びプリント配線板(PWB)等の用途に使用することが可能である。
【実施例】
【0188】
以下、実施例により本発明を詳細に説明する。
【0189】
[支持体(F−1)の調製]
無水ピロメリット酸と4,4’−オキシジアニリンとをモル比で50/50の割合で用意し、それらをN,N’’−ジメチルアセトアミド中で重合することによって、不揮発分20質量%のポリアミック酸溶液(A−1)を得た。
【0190】
また、ビフェニル3,4,3’,4’−テトラカルボン酸二水和物と4,4’−オキシジアニリンとをモル比で50/50の割合で用意し、それらをN,N’−ジメチルアセトアミドで重合することによって、不揮発分20質量%のポリアミック酸溶液(A−2)を得た。
【0191】
次に、前記ポリアミック酸溶液(A−1)と前記ポリアミック酸溶液(A−2)とを、〔前記ポリアミック酸溶液(A−1)中に含まれるポリアミック酸の質量〕/〔前記ポリアミック酸溶液(A−2)に含まれるポリアミック酸の質量〕=35/65になるよう混合し、平均粒子径が0.3μmのシリカ粒子を0.2質量%混合することによって混合物を得た。
【0192】
その後、前記混合物を濾過、脱泡処理し、それをTダイから押し出してドラム上に流延した。
【0193】
前記流延したものを100℃で60秒間乾燥することによって、前記ポリアミック酸と前記シリカとを含有するフィルムを作製した。
【0194】
前記フィルムをドラムから剥離した後、250℃で60秒間乾燥し、次いで300℃で60秒乾燥し、その後400℃で75秒間乾燥することによって、ポリイミドフィルムからなる支持体(F−1)を得た。前記支持体の膜厚は40μmであった。
【0195】
[支持体(F−2)の調製]
無水ピロメリット酸と4,4’−オキシジアニリンとビフェニル3,4,3’,4’−テトラカルボン酸二水和物と4,4’−オキシジアニリンとを、モル比で50/50/100の割合で用意し、それらをN,N’−ジメチルアセトアミド中で重合することによって、不揮発分20質量%のポリアミック酸溶液を得た。さらに、平均粒子径が0.3μmのシリカ粒子を0.2重量%混合することによって混合物を得た。
【0196】
その後、前記混合物を濾過、脱泡処理し、それをTダイから押し出してドラム上に流延した。
【0197】
前記流延したものを100℃で60秒間乾燥することによって、前記ポリアミック酸と前記シリカとを含有するフィルムを作製した。
【0198】
前記フィルムをドラムから剥離した後、250℃で60秒間乾燥し、次いで300℃で60秒乾燥し、その後400℃で75秒間乾燥することによって、ポリイミドフィルムからなる支持体(F−2)を得た。前記支持体の膜厚は39μmであった。
【0199】
[支持体(F−3)の調製]
前記ポリアミック酸溶液(A−1)及び前記ポリアミック酸(A−2)の代わりに、ビフェニル3,4,3’,4’−テトラカルボン酸二水和物と1,4−ジアミノベンゼンとをモル比で50/50の割合で用意したものを重合して得られたポリアミック酸を使用した以外は、上記支持体(F−1)の作製方法と同様の方法でポリイミドフィルムからなる支持体(F−3)を作製した。前記支持体の膜厚は49μmであった。
【0200】
[支持体(F−4)の調製]
前記ポリアミック酸溶液(A−1)及び前記ポリアミック酸(A−2)の代わりに、無水ピロリン酸と4,4’−オキシジアニリンとをモル比で50/50の割合で用意したものを重合して得られたポリアミック酸を使用し、かつ、前記平均粒子径が0.2μmシリカの代わりに平均粒子径が1μmのリン酸カルシウムを0.05質量%使用すること以外は、上記支持体(F−1)の作製方法と同様の方法でポリイミドフィルムからなる支持体(F−4)を作製した。前記支持体の膜厚は50μmであった。
【0201】
[樹脂組成物(R−1)の調製]
温度計、窒素ガス導入管、攪拌器を備えた窒素置換された容器中で、ポリエステルポリオール(1,4−シクロヘキサンジメタノールとネオペンチルグリコールとアジピン酸とを反応させて得られたポリエステルポリオール)を100質量部、2,2―ジメチロールプロピオン酸17.6質量部、1,4−シクロヘキサンジメタノール21.7質量部、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート106.2質量部を、メチルエチルケトン178質量部の混合溶剤中で反応させることによって、分子末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーの有機溶剤溶液を得た。
【0202】
次いで、前記ウレタン樹脂の有機溶剤溶液にトリエチルアミンを13.3質量部加えることで、前記ウレタン樹脂が有するカルボキシル基の一部または全部を中和し、さらに水380質量部を加え十分に攪拌することにより、ウレタン樹脂の水性分散液を得た。
【0203】
次いで、前記水性分散液に、25質量%のエチレンジアミン水溶液を8.8質量部加え、攪拌することによって、粒子状のポリウレタン樹脂を鎖伸長させ、次いでエージング・脱溶剤することによって、固形分濃度30質量%のウレタン樹脂(r−1)の水性分散液を得た。前記ウレタン樹脂(r−1)の重量平均分子量は53,000であった。
【0204】
次に、攪拌機、還流冷却管、窒素導入管、温度計、単量体混合物滴下用滴下漏斗、重合触媒滴下用滴下漏斗を備えた反応容器に脱イオン水140質量部、前記で得たウレタン樹脂(r−1)の水分散体100質量部を入れ、窒素を吹き込みながら80℃まで昇温した。
【0205】
80℃まで昇温した反応容器内に、攪拌下、メタクリル酸メチル60質量部、アクリル酸n−ブチル30質量部、N−n−ブトキシメチルアクリルアミド10質量部からなる単量体混合物と、過硫酸アンモニウム水溶液(濃度:0.5質量%)20質量部を別々の滴下漏斗から、反応容器内温度を80±2℃に保ちながら120分間かけて滴下し重合した。
【0206】
滴下終了後、同温度にて60分間攪拌することによって、前記ウレタン樹脂(r−1)のシェル層と、ビニル重合体のコア層とによって構成される水分散体を得た。
【0207】
前記反応容器内の温度を40℃に冷却し、ついで、不揮発分が20.0質量%になるように脱イオン水を使用した後、200メッシュ濾布で濾過することによって、樹脂組成物(R−1)を得た。
【0208】
[樹脂組成物(R−2)の調製]
還流冷却器、温度計、撹拌機を備えた反応フラスコに、37質量%のホルムアルデヒドと7質量%のメタノールを含むホルマリン600質量部(ホルムアルデヒド含量:222質量部(7.4mol)、メタノール含量:42質量部(1.31mol))に水200質量部及びメタノール350質量部(10.92mol)を加えた。この水溶液に25質量%水酸化ナトリウム水溶液を加え、pH10に調整した後、メラミン310質量部(2.46mol)を加え、液温を85℃まで上げ、メチロール化(一次反応)させた(反応時間:1時間)。
【0209】
その後、ギ酸を加えてpH7に調整した後、60℃まで冷却し、エーテル化反応(二次反応)させた。白濁温度40℃で25質量%水酸化ナトリウム水溶液を加えてpH9に調整し、エーテル化反応を止めた(反応時間:1時間)。温度50℃の減圧下で残存するメタノールを除去(脱メタノール時間:4時間)し、不揮発分80質量%のメラミン樹脂を含有する樹脂組成物(R−2)を得た。
【0210】
なお、前記白濁温度の測定方法を以下に説明する。樹脂を1g採取し、この樹脂を指定の温度に調整した100mlのお湯と混合した。その際、樹脂がお湯に溶けずに白濁するときの最も高い温度を白濁温度とした。
【0211】
[導電性インクの調製]
エチレングリコール45質量部とイオン交換水55質量部との混合溶媒に、平均粒径30nmの銀粒子を分散させることによって導電性インク1を調製した。
【0212】
[実施例1]
前記支持体(F−1)の表面を、TEC−4AX(春日電機株式会社製のコロナ表面改質評価装置、ガス;空気(酸素濃度約21質量%)、ギャップ;1.5mm、出力;100W、処理時間;2秒)を用いてコロナ放電処理した。
【0213】
その後、前記支持体の表面に、前記樹脂組成物(R−1)を、スピンコーターを用いて、その乾燥膜厚が0.1μmとなるように塗布し、次いで、熱風乾燥機を用いて80℃の条件で5分間乾燥することによって、前記支持体からなる層(I)の表面に樹脂層(II)が積層した積層体を得た。
【0214】
次いで、前記樹脂層(II)の表面に、前記導電性インクをスピンコート法によって塗布し、次いで、250℃で3分間焼成することによって、前記銀によって形成された導電層(III)(厚さ0.1μm)を作製した。前記導電層(III)の表面抵抗を、後述する方法によって測定したところ2Ω/□であった。
【0215】
次いで、前記導電層(III)の表面を、TEC−4AX(春日電機株式会社製のコロナ表面改質評価装置、ガス;空気(酸素濃度約21質量%)、ギャップ;1.5mm、出力;100W、処理時間;2秒)を用いてコロナ放電処理した。コロナ放電処理前の前記導電層(III)の表面抵抗は2Ω/□であったが、コロナ放電処理した導電層(III)の表面抵抗は5Ω/□となり増加した。また、前記同様のX線光電子分析装置を用いてその表面を分析したところ、前記導電層(III)を形成する銀が酸化されていることを示すピークを確認することができた。
【0216】
次いで、前記導電層(III)の酸化された表面を陰極に設定し、含リン銅を陽極に設定し、硫酸銅を含む電気めっき液を用いて電流密度2A/dmで15分間電気めっきを行うことによって、前記導電層(III)の表面に、厚さ8μmの銅めっき層を積層した。前記電気めっき液としては、硫酸銅70g/リットル、硫酸200g/リットル、塩素イオン50mg/リットル、トップルチナSF(奥野製薬工業株式会社製の光沢剤)5g/リットルを使用した。
【0217】
以上の方法によって、前記支持体からなる層(I)と樹脂層(II)と前記導電層(III)と前記めっき層(IV)とが積層した積層体(L−1)を得た。
【0218】
[実施例2]
前記樹脂組成物(R−1)の代わりに樹脂組成物(R−2)を使用すること以外は、実施例1と同様の方法によって、前記支持体からなる層(I)と樹脂層(II)と前記導電層(III)と前記めっき層(IV)とが積層した積層体(L−2)を得た。
【0219】
[実施例3]
前記支持体(F−1)の代わりに支持体(F−2)を使用し、かつ、前記樹脂組成物(R−1)の代わりに、樹脂組成物(R−1)と樹脂組成物(R−2)とを50/50(固形分)の割合で含有する混合物を使用すること以外は、実施例1と同様の方法によって、前記支持体からなる層(I)と樹脂層(II)と前記導電層(III)と前記めっき層(IV)とが積層した積層体(L−3)を得た。
【0220】
[比較例1]
前記支持体(F−1)の代わりに支持体(F−3)を使用すること以外は、実施例1と同様の方法によって、前記支持体からなる層(I)と樹脂層(II)と前記導電層(III)と前記めっき層(IV)とが積層した積層体(L’−1)を得た。
【0221】
[比較例2]
前記支持体(F−1)の代わりに支持体(F−4)を使用すること以外は、実施例1と同様の方法によって、前記支持体からなる層(I)と樹脂層(II)と前記導電層(III)と前記めっき層(IV)とが積層した積層体(L’−2)
【0222】
<密着性;ピール試験による評価>
前記で得た積層体のピール強度測定は、IPC−TM−650、NUMBER2.4.9に準拠した方法により行った。測定に用いるリード幅は1mm、そのピールの角度は90°とした。なお、ピール強度は、前記めっき層の厚さが厚くなるほど高い値を示す傾向にあるが、本発明でのピール強度の測定は、現在汎用されているめっき層8μmにおける測定値を基準として実施した。
【0223】
<耐熱性;耐熱試験後のピール試験による評価(温度150℃)>
前記で得た積層体を150℃に設定した乾燥機を用いて168時間乾燥した。前記乾燥後の積層体を用いること以外は、前記<ピール試験による評価>に記載した方法と同様の方法でピール強度を測定した。
【0224】
<耐湿熱性;耐湿熱試験後のピール試験による評価(温度135℃及び湿度85%)>
前記で得た積層体を温度135℃及び湿度85%に設定したHAST試験器内に168時間入れた。前記耐湿熱試験後の積層体を用いること以外は、前記<ピール試験による評価>に記載した方法と同様の方法でピール強度を測定した。
【0225】
【表1】

【手続補正書】
【提出日】20140411
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項1
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項1】
下記一般式(1)で示される構造を有するポリイミド樹脂(i−1)及び下記一般式(2)で示される構造を有するポリイミド樹脂(i−2)を含有する支持体(I1)、または、下記一般式(1)で示される構造及び下記一般式(2)で示される構造を有するポリイミド樹脂(i−3)を含有する支持体(I2)からなる層(I)と、導電性物質(x)を含有する流動体を受容する樹脂層(II)と、前記導電性物質(x)によって形成される導電層(III)とを有することを特徴とする積層体。
【化1】
〔一般式(1)中のR〜Rは、それぞれ独立して水素原子、水酸基、ハロゲン原子、アルキル基またはアリール基を表す。nは1〜1,000の整数を表す。〕
【化2】
〔一般式(2)中のR〜R22は、それぞれ独立して水素原子、水酸基、ハロゲン原子、アルキル基またはアリール基を表す。mは1〜1,000の整数を表す。〕
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項3
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項3】
前記樹脂層(II)が、コア層としてアクリル樹脂と、シェル層としてウレタン樹脂とから構成されるコア・シェル型の複合樹脂粒子からなる複合樹脂(II−1)、または、メラミン樹脂(II−2)である請求項1に記載の積層体。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0012
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0012】
【化1】
〔一般式(1)中のR〜Rは、それぞれ独立して水素原子、水酸基、ハロゲン原子、アルキル基またはアリール基を表す。nは1〜1,000の整数を表す。〕
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0013
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0013】
【化2】
〔一般式(2)中のR〜R22は、それぞれ独立して水素原子、水酸基、ハロゲン原子、アルキル基またはアリール基を表す。mは1〜1,000の整数を表す。〕
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0016
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0016】
【化3】
〔一般式(1)中のR〜Rは、それぞれ独立して水素原子、水酸基、ハロゲン原子、アルキル基またはアリール基を表す。nは1〜1,000の整数を表す。〕
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0017
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0017】
【化4】
〔一般式(2)中のR〜R22は、それぞれ独立して水素原子、水酸基、ハロゲン原子、アルキル基またはアリール基を表す。mは1〜1,000の整数を表す。〕
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0020
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0020】
【化5】
〔一般式(1)中のR〜Rは、それぞれ独立して水素原子、水酸基、ハロゲン原子、アルキル基またはアリール基を表す。nは1〜1,000の整数を表す。〕
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0021
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0021】
【化4】
〔一般式(2)中のR〜R22は、それぞれ独立して水素原子、水酸基、ハロゲン原子、アルキル基またはアリール基を表す。mは1〜1,000の整数を表す。〕
前記支持体(I1)は、前記ポリイミド樹脂(i−1)及びポリイミド樹脂(i−2)を含有するものである。
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0023
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0023】
前記一般式(1)中のR〜Rは、それぞれ独立して水素原子、水酸基、ハロゲン原子、アルキル基またはアリール基である。前記R〜Rは、優れた密着性や耐熱性を付与し、比較的安価に入手出来る事から、水素原子であることが好ましい。
【手続補正10】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0033
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0033】
前記一般式(2)中のR〜R22は、それぞれ独立して水素原子、水酸基、ハロゲン原子、アルキル基またはアリール基である。前記R〜R22は、優れた密着性を付与するうえで、水素原子であることが好ましい。
【手続補正11】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0092
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0092】
前記複合樹脂粒子は、具体的には、コア層としての前記アクリル樹脂と、シェル層としての前記親水性基を有するウレタン樹脂とから構成されるコア・シェル型の複合樹脂粒子である。特に、前記コア・シェル型の複合樹脂粒子は、導電性パターンを形成する際においては、電気特性を低下させうる界面活性剤等を使用する必要がない。なお、前記複合樹脂粒子としては、前記アクリル樹脂が前記ウレタン樹脂によってほぼ完全に覆われていることが好ましいが、必須ではなく、本発明の効果を損なわない範囲で、前記アクリル樹脂の一部が前記複合樹脂粒子の最外部に存在してもよい。前記ウレタン樹脂と前記アクリル樹脂とは、共有結合を形成していてもよいが、結合を形成していないことが好ましい。
【国際調査報告】