(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO2014050843
(43)【国際公開日】20140403
【発行日】20160822
(54)【発明の名称】開閉体操作装置
(51)【国際特許分類】
   E05F 15/622 20150101AFI20160725BHJP
   B60J 5/10 20060101ALI20160725BHJP
   F16C 29/02 20060101ALI20160725BHJP
【FI】
   !E05F15/622
   !B60J5/10 K
   !F16C29/02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】18
【出願番号】2014538507
(21)【国際出願番号】JP2013075807
(22)【国際出願日】20130925
(31)【優先権主張番号】2012212046
(32)【優先日】20120926
(33)【優先権主張国】JP
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ
(71)【出願人】
【識別番号】390000996
【氏名又は名称】株式会社ハイレックスコーポレーション
【住所又は居所】兵庫県宝塚市栄町一丁目12番28号
(72)【発明者】
【氏名】太田 祐紀
【住所又は居所】兵庫県宝塚市栄町一丁目12番28号 株式会社ハイレックスコーポレーション内
(72)【発明者】
【氏名】唐木 正和
【住所又は居所】兵庫県宝塚市栄町一丁目12番28号 株式会社ハイレックスコーポレーション内
(72)【発明者】
【氏名】長舩 仁士
【住所又は居所】兵庫県宝塚市栄町一丁目12番28号 株式会社ハイレックスコーポレーション内
【テーマコード(参考)】
2E052
3J104
【Fターム(参考)】
2E052AA09
2E052CA06
2E052DA08
2E052DB08
2E052EA09
2E052EB01
2E052EC01
3J104AA44
3J104AA65
3J104AA76
3J104BA57
3J104BA69
3J104BA70
3J104CA06
3J104CA13
3J104DA02
3J104EA10
(57)【要約】
上下に揺動する開閉体を開閉操作する開閉体操作装置であって、駆動部と、駆動部の駆動力により上下に移動し、開閉体と連結されたスライダと、スライダを摺動可能に内部に配置したガイド部材とを有し、スライダは、スライダ本体と、ガイド部材と摺動する摺動部材と、開閉体の開閉の際にスライダに加わる荷重を支持可能なように、スライダ本体と摺動部材との間に設けられた弾性部材とを含み、スライダには、スライダをガイド部材に圧入したときに生じる弾性部材の弾性変形を許容する変形許容空間が形成されている開閉操作装置を用いることで、開閉体の開閉操作時にスライダに加わる荷重を確実に支持することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下に揺動する開閉体を開閉操作する開閉体操作装置であって、
前記開閉体操作装置は、
駆動部と、
前記駆動部の駆動力により上下に移動し、前記開閉体と連結されたスライダと、
前記スライダを摺動可能に内部に配置したガイド部材とを有し、
前記スライダは、
スライダ本体と、
前記ガイド部材と摺動する摺動部材と、
前記開閉体の開閉の際に前記スライダに加わる荷重を支持可能なように、前記スライダ本体と前記摺動部材との間に設けられた弾性部材とを含み、
前記スライダには、前記スライダを前記ガイド部材に圧入したときに生じる前記弾性部材の弾性変形を許容する変形許容空間が形成されていることを特徴とする開閉体操作装置。
【請求項2】
前記駆動部は、モータと、前記モータの駆動力により回転され、前記ガイド部材へ挿通される雄ねじ軸とを有し、
前記スライダは、前記雄ねじ軸と螺合する雌ねじ部を有し、
前記雄ねじ軸の回転により前記スライダが移動するように構成されており、
前記雄ねじ軸は、回転時に回転軸が振れないように支持されていることを特徴とする請求項1記載の開閉体操作装置。
【請求項3】
前記摺動部材には、前記弾性部材の位置ずれを防止する位置ずれ防止部が設けられ、
前記弾性部材は柱状を呈し、一端が前記位置ずれ防止部に配置され、前記位置ずれ防止部から突出した他端が前記変形許容空間に配置されることを特徴とする請求項1記載の開閉体操作装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、上下に揺動する開閉体を開閉操作する開閉体操作装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車等の車両には後部開口に配置され、上下に揺動するバックドア又はトランクドア(トランクリッド)等の開閉体が備えられている場合がほとんどである。そして、最近の車両には、前記開閉体の開閉操作を電動で行う開閉体操作装置を備えたものが増えてきている。
【0003】
例えば、特許文献1には、電力を用いたスライダ駆動装置(開閉体操作装置)が提案されている。特許文献1に記載のスライダ駆動装置は、駆動装置により回転するねじ部材と、前記ねじ部材を囲むように前後に延びるガイド部材と、前記ねじ部材に螺合するナット部材と、前記ナット部材により前記ガイド部材に沿って移動するスライダユニットと、前記スライダユニットとドアとの間に連結されるロッドを備えている。そして、スライダユニットは、スライダ本体と、スライダ本体を挟むように取り付けられる摺動体とを備えている。
【0004】
特許文献1に記載のスライダ駆動装置では、前記ねじ部材の回転により、前記ナット部材が前記ねじ部材、すなわち、前記ガイド部材に沿って移動する。前記スライダユニットが前記ガイド部材に沿って移動することで、前記ロッドが前記ドアの開閉操作を行う。そして、前記スライダユニットが前記ガイド部材に沿って移動するとき、前記摺動体が前記ガイド部材(の内面)に摺動する。
【0005】
このような、スライダ駆動装置(開閉体操作装置)を車両に備えることで、上下に揺動するドアの開閉を簡単且つ安全に行うことが可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−155900号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1のスライダ駆動装置で前記開閉体を開閉するときには、開閉体自体の重さに抗して操作しなくてはならないため、スライダに多くの荷重が加わることになる。そして、特許文献1の構成のスライダでは、スライダ本体又は摺動体の側面で荷重を支持することになるので、スライダ本体又は摺動体が破損するおそれがある。
【0008】
そこで本発明は、開閉体の開閉操作時にスライダに加わる荷重を確実に支持することができる開閉体操作装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために本発明は、上下に揺動する開閉体を開閉操作する開閉体操作装置であって、前記開閉体操作装置は、駆動部と、前記駆動部の駆動により、上下に移動し、前記開閉体と連結されたスライダと、前記スライダを摺動可能に内部に配置したガイド部材とを有し、前記スライダは、スライダ本体と、前記ガイド部材と摺動する摺動部材と、前記開閉体の開閉の際に前記スライダに加わる荷重を支持可能なように、前記スライダ本体と前記摺動部材との間に設けられた弾性部材とを含み、前記スライダには、前記スライダを前記ガイド部材に圧入したときに生じる前記弾性部材の弾性変形を許容する変形許容空間が形成されていることを特徴とする開閉体操作装置を提供する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によると、スライダに変形許容空間が形成されているので、弾性部材の弾性変形が許容されて、前記スライダに加わる荷重を確実に支持することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明にかかる開閉体操作装置を示す図である。
【図2】図1に示す開閉体操作装置を車両に用いた状態を示す図である。
【図3】は図1に示す開閉体操作装置に用いられるスライダの分解斜視図である。
【図4A】図3に示すスライダに用いられるスライダ本体の正面図である。
【図4B】図4Aに示すスライダ本体の平面図である。
【図4C】図4Aに示すスライダ本体の底面図である。
【図4D】図4Bに示すスライダ本体をIV−IV線で切断した断面図である。
【図5A】は図3に示すスライダに用いられる第一ライナーの正面図である。
【図5B】図5Aに示す第一ライナーの平面図である。
【図5C】図5Aに示す第一ライナーの側面図である。
【図6A】は図3に示すスライダに用いられる第二ライナーの正面図である。
【図6B】図6Aに示す第二ライナーのVI−VI線で切断した断面図である。
【図6C】図6Aに示す第二ライナーの底面図である。
【図7】開閉体操作装置のガイド部材の軸に沿って切断した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に本発明の実施形態を図面を参照して説明する。図1は本発明にかかる開閉体操作装置を示す図であり、図2は図1に示す開閉体操作装置を車両に用いた状態を示す図である。
【0013】
まず、本発明にかかる開閉体操作装置の実施形態について説明する。図2に示すように、開閉駆動装置Aは、車両Crの内部に配置され、車両Crの後部開口部の上端に備えられた支点Fcに回動自在に連結された開閉体Drを開閉する装置である。なお、車両Crには、開閉駆動装置Aと開閉体Drの移動を補助するダンパーDa(ガスダンパー)を用いている。なお、開閉駆動装置Aによる開閉体Drの開閉操作の詳細については後述する。
【0014】
図1に示すように、本発明にかかる開閉体操作装置Aは、図2に示すような車両Crの後部開口部に備えられ上下に揺動する開閉体Drを開閉操作する装置である。開閉体操作装置Aは、駆動部1と、駆動部1の駆動力により上下に移動し、開閉体Drと連結されたスライダ2と、スライダ2を摺動可能に内部に配置したガイド部材3とを有している。
【0015】
駆動部1は、図示を省略したモータと、モータの出力軸に接続されたクラッチ11と、クラッチ11を介してモータに接続され、モータの駆動力により回転されるとともに、ガイド部材3に挿通される雄ねじ軸12とを備えている。なお、駆動部1は、これら以外にも、減速機や、クラッチの出力軸と雄ねじ軸12とを接続するカップリング13等も備えている。
【0016】
ガイド部材3はスライダ2の移動をガイドする部材であるとともに、雄ねじ軸12を保持する。ガイド部材3は、横断面が略C字状の金属板であり、長手方向に連続する開口30が形成されている。また、ガイド部材3の長手方向先端にはセットプレート31が取り付けられているとともに、長手方向基端にはブラケット32が固定されている。
【0017】
ガイド部材3の内部の空間には、雄ねじ軸12がガイド部材3と接触せず、且つ、開口30と略平行となるように配置されている。雄ねじ軸12は、先端に雄ねじが形成されていない、すなわち、丸棒形状の先端部121を備えており、先端部121はセットプレート31に回転可能に支持されている。雄ねじ軸12の基端側の部分にも同様に雄ねじが形成されていない丸棒形状の根元部122を備えている。根元部122がベアリングBrgを介してブラケット32に回転可能に支持されている。
【0018】
雄ねじ軸12は、先端部121がセットプレート31に支持され、根元部122がベアリングBrgを介してブラケット32に支持され、また、根本部122がカップリング13を介してクラッチ11の出力軸111と同軸になるように接続されていることで、回転時に回転軸が振れないように支持されている。なお、雄ねじ軸12の支持方法はこれに限定されるものではなく、回転時に回転軸が振れないように支持する方法を広く採用することができる。根本部122とカップリング13との接続は、根本部122の基端側端部に形成された雄ねじと、カップリング13の内周面に形成された雌ねじとを螺合させ、カップリング13の半径外側方向から半径内側方向に向かってスウェージング加締めすることによって行われる。なお、根本部122とカップリング13との接続方法はこれに限定されるものではなく、雄ねじ軸12の回転時に回転軸が振れないように接続する方法を広く採用することができる。これにより、モータの駆動力が、クラッチ11(出力軸111)、カップリング13を介して雄ねじ軸12に伝達され、雄ねじ軸12は、回転する。
【0019】
また、ブラケット32は、駆動部1のハウジング10に取り付けられるものである。
【0020】
スライダ2の詳細について、図面を参照して説明する。図3は図1に示す開閉体操作装置Aに用いられるスライダ2の分解斜視図である。スライダ2は、ガイド部材3の内部に摺動可能に配置される。
【0021】
図3に示すように、スライダ2は、スライダ本体20と、開口30と対向するガイド部材3の内面に配置され、ガイド部材3と摺動する摺動部材である第一ライナー21と、開口30に隣接したガイド部材3の内面とスライダ本体20との間に配置される第二ライナー22と、第一ライナー21とスライダ本体20との間に配置され、開閉体Drの開閉の際にスライダ2に加わる荷重を支持する弾性部材23とを備えている。
【0022】
なお、スライダ2では、第一ライナー21を摺動部材としているが、第二ライナー22もガイド部材3と摺動する構成の場合がある。この場合、第二ライナー22も摺動部材となり、第二ライナー22とスライダ本体20との間に弾性部材23を配置してもよい。また、スライダ本体20の第二ライナー22が取り付けられる側とガイド部材3の内面との接触による摩擦あるいは摩耗がわずかで無視できる場合などは、第二ライナー22は省いてもよい。
【0023】
弾性部材23は、図3に示すように断面円形の柱状を呈し、開閉体Drの開閉の際にスライダ2に加わる荷重を支持可能なように、クロロプレンゴムなどの弾性材料から構成されており、スライダ本体20と、摺動部材である第一ライナー21との間に設けられている。弾性部材は、スライダ2に加わる荷重を支持できればどのような構成でもかまわない。
【0024】
スライダ2は、スライダ本体20に取り付けられ、雄ねじ軸12と螺合する雌ねじ部241を備えたナット24と、同じくスライダ本体20に取り付けられ、開閉体Drとスライダ2とを連結する連結部材4と連結されるアームスタッド25とを更に備えている。
【0025】
スライダ本体20の詳細について説明する。図4Aは図3に示すスライダ2に用いられるスライダ本体20の正面図であり、図4Bは図4Aに示すスライダ本体20の平面図であり、図4Cは図4Aに示すスライダ本体20の底面図であり、図4Dは図4Bに示すスライダ本体20をIV−IV線で切断した断面図である。
【0026】
スライダ本体20は、雄ねじ軸12が貫通する開口部201が形成されている(図4D参照)。開口部201はスライダ本体20の長手方向と平行に延びる貫通孔である。スライダ本体20の長手方向中央部には、直方体形状の凹穴202が形成されており、凹穴202は開口部201と連通している(図4C、図4D参照)。凹穴202には、雄ねじ軸12と螺合する雌ねじ部241を有する外形直方体形状のナット24(図3参照)が挿入される。ナット24の外形が四角形状であり、凹穴202がナット24の外形よりも若干大きい四角形状形状であるため、ナット24を凹穴202へ挿入すると、ナット24が回転しようとしても、ナット24と凹穴202の内面とが接触することから、ナット24の回転が抑制される。
【0027】
図4Aおよび図4Dに示すように、スライダ本体20の上面には、アームスタッド25が固定される円筒形状のスタッド固定部203が形成され、その内部は、凹穴202まで貫通している。スタッド固定部203の内面には雌ねじが形成されており、アームスタッド25の脚部252の雄ねじが螺合可能である。
【0028】
図3、図4A、図4B、図4Cに示すように、スライダ本体20の下面の四隅には切欠き204が、上面の四隅には切欠き205がそれぞれ形成されている。この下面の切欠き204には第一ライナー21の突出部212が、上面の切欠き205には第二ライナー22の突出部222がそれぞれ係合される。
【0029】
なお、スライダ本体20は、亜鉛合金、アルミ合金等の金属材料で形成され、ダイキャストにより製造されている。また、これらに限定されるものではなく、開閉体Drの重量によって荷重が加えられることによる破損を抑制するとともに、軽量に形成することができる材料及び製造方法を広く採用することができる。また、ナット24は、銅合金によって形成されているが、これに限定されるものではない。
【0030】
次に、スライダ本体20の下面に配置される摺動体である第一ライナー21について、新たな図面を参照して説明する。図5Aは図3に示すスライダ2に用いられる第一ライナー21の正面図であり、図5Bは図5Aに示す第一ライナー21の平面図であり、図5Cは図5Aに示す第一ライナー21の側面図である。なお、図5A〜図5Cには、第一ライナー21に弾性部材23が取り付けられた状態を示している。
【0031】
第一ライナー21はスライダ本体20と、ガイド部材3の内面の開口30と対向する面との間に配置され、スライダ2を円滑に摺動させるための部材である。第一ライナー21は、平面視長方形状の本体部211と、本体部211の四隅より突出し、スライダ本体20の切欠き204と係合する突出部212と、突出部212の上面(スライダ本体20と対向する面)に開口し、開口より突出部212の内部へ弾性部材23が挿入(圧入)され、弾性部材23の位置ずれを防止する位置ずれ防止部である係合凹部213とを備えている。
【0032】
図5Bに示すように、本体部211の四隅に設けられた突出部212及び係合凹部213は、ほぼ同じ形状を有している。突出部212は、切欠き204に挿入することができる形状で形成されている。また、係合凹部213は1つの角部が扇型に形成され、残りの角部が丸められた長方形状を有している。係合凹部213は、2つの平面部214と、平面部214が交わる角部と対角線上に配置された角部が、断面円弧状の曲面部215で形成されている。
【0033】
係合凹部213の平面部214の長さは、弾性部材23の係合凹部213へ挿入される部分の直径よりも小さい。これにより、弾性部材23を係合凹部213に挿入(圧入)すると、弾性部材23は、2つの平面部214と曲面部215との3箇所で保持され、弾性部材23は係合凹部213から抜けにくく、スライダ2の組み立て時における、弾性部材23の脱落(位置ずれ)を抑制することが可能である。また、弾性部材23が圧縮されて弾性変形したときでも、弾性部材23を3箇所で保持しているので、弾性部材23の脱落を抑制することが可能である。位置ずれ防止部である係合凹部213は、弾性部材23の位置ずれを防止することができればよく、凹形状以外でもかまわない。
【0034】
係合凹部213の深さ、すなわち、突出部212の突出高さは弾性部材23の軸方向長さよりも短い。そのため、第一ライナー21をスライダ本体20に取り付けたとき、弾性部材23の係合凹部213より突出した部分の先端が、切欠き204の底面部、すなわちスライダ本体20に接触する。
【0035】
このように構成していることで、弾性部材23を圧縮し、スライダ2をガイド部材3に圧入したとき、係合凹部213と切欠き204との間の部分には、隙間が形成される。この隙間が、開閉体Drの開閉時に、開閉体Drの荷重がスライダ2に作用し、弾性部材23が圧縮されたときの弾性部材23の弾性変形を許容する変形許容空間Sとして作用する(図7参照)。すなわち、弾性部材23の一端が位置ずれ防止部である係合凹部213に配置され、位置ずれ防止部である係合凹部213から突出した弾性部材23の他端が、変形許容空間Sに配置される。弾性部材23が圧縮して変形すると、変形により荷重が吸収され、また、変形した部分が変形許容空間に逃げることができ、スライダ本体20と第一ライナー21との支持面積が大きくなるので、スライダ2に加わる荷重を確実に支持することができる。
【0036】
以上のことより、スライダ2に変形許容空間Sが形成されていることで、弾性部材23が弾性変形(圧縮)した場合でも、その変形を許容することができる。
【0037】
なお、係合凹部213に弾性部材23を圧入した後でも、弾性部材23と係合凹部213との間には隙間がある。弾性部材23が軸方向に圧縮されたとき、弾性部材23は変形し、係合凹部213の隙間に広がる。係合凹部213に隙間があることで、弾性部材23の弾性変形した部分が、係合凹部213の隙間に広がる。係合凹部213の隙間も弾性部材23が圧縮されるときの弾性変形を許容する変形許容空間として作用することができる。
【0038】
係合凹部213と切欠き204との間の隙間が、弾性部材23の変形許容空間として作用するので、スライダ2に加わる荷重を確実に支持することができる。
【0039】
第一ライナー21の下面(突出部212が設けられている側と反対側の面)は、長手方向に延びる凸条である摺動部216が二つ形成されている。摺動部216が形成されていることで、ガイド部材3と接触する接触面が小さくなり、それだけ摩擦熱を低減することが可能である。
【0040】
なお、第一ライナー21の本体部211の上面には、スライダ本体20に形成された二つの凹部206に係合する棒状(割ピン状)に形成された係合部217を二つ備えている。凹部206と係合部217とを係合することで、第一ライナー21をスライダ本体20の下面に位置決めするとともに、第一ライナー21がスライダ本体20に対してずれたり、外れたりするのを抑制する。
【0041】
次に、第二ライナー22について新たな図面を参照して説明する。図6Aは図3に示すスライダ2に用いられる第二ライナー22の正面図であり、図6Bは図6Aに示す第二ライナー22のVI−VI線で切断した断面図であり、図6Cは図6Aに示す第二ライナー22の底面図である。
【0042】
図6Cに示すように、第二ライナー22は、本体部221と、本体部221の下面側の四隅より下方に突出した突出部222とを備えている。本体部221は、突出部222の間において長手方向に延び、ガイド部材3の開口30に配置される凸条部223を備えているとともに、本体部221の中央部分には、第二ライナー22をスライダ本体20の上面に取り付けたとき、スタッド固定部203が貫通する貫通孔224を備えている。第二ライナー22の本体部221の上面には、開口30に隣接したガイド部材3の内面と摺動する摺動部225を備えている。
【0043】
突出部222は、スライダ本体20の上面の四隅に形成された切欠き205に係合することができる形状を有している。
【0044】
第二ライナー22の本体部221の下面には、スライダ本体20に形成された凹部207に係合する棒状(割ピン状)に形成された係合部226を備えている。凹部207と係合部226とを係合することで、第二ライナー22をスライダ本体20の上面に位置決めするとともに、第二ライナー22がスライダ本体20に対してずれたり、外れたりするのを抑制する。第二ライナー22をスライダ本体20の上面に位置決め配置することで、貫通孔224をスタッド固定部203が貫通する。
【0045】
図3に示すように、アームスタッド25の頭部251は球形状に形成されており、脚部252は雄ねじを有する円柱状に形成されている。アームスタッド25は、連結部材4とスライダ2とを相対回転可能に接続する接続具である。
【0046】
次に、スライダ2をガイド部材3に取り付ける方法について図面を参照して説明する。図3に示すように、第一ライナー21の四つの係合凹部213のそれぞれに弾性部材23を取り付ける。このとき、弾性部材23は2個の平面部214と曲面部215とで保持されるので脱落しにくい。
【0047】
突出部212が切欠き204に配置され、弾性部材23の端部が切欠き203の底面と係合するように、また、第一ライナー21の係合部217がスライダ本体20の下面に形成された凹部206に係合するように、第一ライナー21をスライダ本体20の下面に取り付ける。また、第一ライナー21を取り付けるとき、スライダ本体20の凹穴202に、ナット24が挿入されている。ナット24は雌ねじ241の中心軸が開口部201の中心軸と一致するように凹穴202に挿入されている。
【0048】
第一ライナー21の取り付けと同様に、突出部222が切欠き205に配置されるように、また、第二ライナー22の係合部226がスライダ本体20の上面に形成された凹部207に係合するように、第二ライナー22をスライダ本体20の上面に取り付ける。このとき、スライダ本体20の上面に形成されたスタッド固定部203が貫通孔224を貫通する。
【0049】
第一ライナー21と第二ライナー22とでスライダ本体20を上下から挟み込んだ状態となる。このとき、アームスタッド25の軸方向におけるスライダ2の厚さは、開口30に隣接したガイド部材3の内面から、開口30と対向するガイド部材3の内面までの高さよりも大きくなっている。そのため、第一ライナー21をスライダ本体20に押し付け、弾性部材23を圧縮(弾性変形)し、スライダ2の厚さを、開口30に隣接したガイド部材3の内面から開口30と対向するガイド部材3の内面までの高さよりも小さくなるように圧縮する。圧縮したスライダ2を、スタッド固定部203がガイド部材3の開口30から外部に突出するように、ガイド部材3の端部よりガイド部材3の内部に挿入する。スライダ2は、スライダ2の長手方向がガイド部材3の長手方向と同じ方向となるように、ガイド部材3の内部に挿入される。
【0050】
このとき、弾性部材23の復元力で、第一ライナー21の摺動部216がガイド部材3の開口部30と対向する面に押し付けられ、第二ライナー22の摺動部225がガイド部材3の開口部30に隣接した内面に押し付けられる。これにより、スライダ2は、がたつきが抑制された状態で、ガイド部材3の内部に設置される。
【0051】
ガイド部材3には駆動部1が取り付けられており、ガイド部材3の内部に雄ねじ軸12が配置されている。雄ねじ軸12がスライダ本体20に形成されている開口部201を貫通するとともに、雄ねじ軸12がナット24の雌ねじ241と螺合している。このようにして、スライダ2がガイド部材3の内部に取り付けられ、ガイド部材3の先端部にセットプレート31を取り付け、セットプレート31で雄ねじ軸12の先端部121を回転可能に保持する。
【0052】
以上のようにして、開閉体操作装置Aの組み立てが完了する。開閉体操作装置Aでは、スライダ2がガイド部材3の内部に配置されているとともに、スライダ2の開口部201を雄ねじ軸12が非接触で貫通するとともに、ナット24の雌ねじ241が雄ねじ軸12に螺合されている。この状態で、モータの駆動による駆動力が、駆動部1の出力軸111からカップリング13を介して雄ねじ軸12に伝達されると、雄ねじ軸12が回転する。
【0053】
雄ねじ軸12に回転により、雌ねじ241が設けられたナット24、すなわちスライダ2が移動する。上述しているように、ナット24はスライダ本体20の凹穴202内では回転が規制されているので、ナット24は回転せず、雄ねじ軸12の軸方向に力が作用する。これにより、モータの駆動力により雄ねじ軸12が回転され、雄ねじ軸12の回転によってスライダ2が雄ねじ軸12の軸方向、すなわち、ガイド部材3の長手方向に移動する。
【0054】
次に、開閉体操作装置Aの動作について図面を参照して説明する。図7は開閉体操作装置Aのガイド部材3の軸に沿って切断した断面図である。図2に示すように、開閉体操作装置Aは、ガイド部材3の長手方向が上下方向になるように、車両Crに取り付けられる。また、図2および図7に示すように、ガイド部材3は、開口30が開閉体Drと対向するように、車両Crに取り付けられる。
【0055】
車両Crには、開閉体Drの開閉操作を補助する、すなわち、開閉体Drを上方に付勢するダンパーDa(ガスダンパー)が取り付けられている。開閉体Drの開閉によって、ダンパーDaの角度が変化するので、ダンパーDaと開閉体Drとはヒンジ52で接続され、ダンパーDaと車両Crとはヒンジ53で接続されている(図2参照)。
【0056】
上述しているように、開閉体操作装置Aのスライダ2は、ガイド部材3の長手方向に沿って移動する。スライダ2と開閉体Drとが連結部材4で連結されており、スライダ2が上方に移動することで開閉体Drが開動作し、スライダ2が下方に移動することで開閉Drが閉動作する。
【0057】
図1、図7に示すように、連結部材4は、一端に設けられた略球状の凹部41が前記アームスタッド25の頭部251と揺動可能に連結される。連結部材4の他端は、ヒンジ51を介して開閉体Drに回転可能に接続される。
【0058】
スライダ2がガイド部材3に沿って移動するとき、連結部材4はガイド部材3に対する角度が変化する。このとき、連結部材4の凹部41の内周部分がアームスタッド25の球形状の頭部251と接触していることで、連結部材4の角度を滑らかに変更することができる。なお、連結部材4とスライダユニット2との接続はこれに限定されるものではなく、連結部材4がスライダ2に対して揺動可能であるとともに、力を伝達することができる接続方法を広く採用することが可能である。
【0059】
次に、連結部材4からスライダ2に作用する力について説明する。開閉体Drの開閉操作時において、開閉体Drの重量は、連結部材4とダンパーDaとで支えている。そのため、スライダ2には連結部材4を介して、開閉体Drの重量に起因する荷重Wgが作用している(図7参照)。荷重Wgは、連結部材4の凹部41からスタッド固定部203に伝達される。連結部材4は、スライダ2に対して角度を有する状態で接続しているので、連結部材4を介してスライダ2に作用する荷重Wgは、スライダ2の移動方向成分と、移動方向と直交する方向成分に分けられる。
【0060】
スライダ2は、雄ねじ軸12とナット24の雌ねじ241とが螺合していることから、荷重Wgのスライダ2の移動方向成分は、雄ねじ軸12によって保持される。このことから、連結部材4を介してスライダ2に作用する荷重Wgのうち、スライダ2の移動方向と直交する方向の荷重Wghについて説明する。
【0061】
開閉体操作装置Aでは、開口30が開閉体Drと対向するように、ガイド部材3が車両Crに取り付けられていることから、スライダ2の移動方向と直交する方向の荷重Wghは、スライダユニット2の第一ライナー21をガイド部材3の内面に押し付ける方向に作用する。
【0062】
スライダ2では、スライダ本体20と第一ライナー21との間には、弾性変形体である弾性部材23が配置されており、荷重Wghが作用することで弾性部材23が圧縮される。弾性部材23に圧縮される荷重が作用することで、弾性部材23は弾性変形する。
【0063】
弾性部材23の変形部分は、第一ライナー21の突出部212の係合凹部213の隙間の中に広がる。この弾性部材23の変形によって、荷重Wghが第一ライナー21に付加される荷重を緩和する。これにより、第一ライナー21の変形、破損等を抑制することが可能である。また、第一ライナー21に加わる荷重が緩和されることで、第一ライナー21の摺動部216とガイド部材3の内面との接触圧力が大きくなるのを抑制することができる。このことからも、第一ライナー21の変形、破損、摩耗等を抑制することが可能である。
【0064】
これにより、開閉体Drの重量が重くなった場合でも、開閉体操作装置Aを大型化することなく、開閉体Drの荷重をしっかり受け止めることができる。これにより、長期間にわたり、安定した開閉体の開閉を行うことが可能である。
【0065】
以上示したスライダ2では、スライダ本体20と第一ライナー21との間に円柱状の弾性部材23を取り付けるものとしているが、これに限定されるものではなく、円柱状以外にも軸方向に長い柱状(例えば、四角柱、三角柱等)の弾性部材を用いてもよい。また、個数についても4個に限定されるものではない。
【0066】
さらに、スライダ2では、スライダ本体20と第一ライナー21との間に弾性部材23が配置されているが、これに限定されるものではなく、スライダ本体20と第二ライナー22との間にも弾性部材23が取り付けられていてもよい。
【0067】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこの内容に限定されるものではない。また本発明の実施形態は、発明の趣旨を逸脱しない限り、種々の改変を加えることが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0068】
本発明は、自動車のハッチゲート、トランクリッド等の上下に揺動する開閉体を開閉操作する開閉体操作装置として利用することが可能である。
【符号の説明】
【0069】
A 開閉体操作装置
1 駆動部
10 ハウジング
11 クラッチ
111 出力軸
12 雄ねじ軸
121 先端部
122 根元部
13 カップリング
2 スライダ
20 スライダ本体
201 開口部
202 凹穴
203 スタッド固定部
204 切欠き
205 切欠き
21 第一ライナー(摺動部材)
211 本体部
212 突出部
213 係合凹部
214 平面部
215 曲面部
216 摺動部
22 第二ライナー
221 本体部
222 突出部
223 凸条部
224 貫通孔
225 摺動部
23 弾性部材
24 ナット
241 雌ねじ
25 アームスタッド
251 頭部
252 脚部
3 ガイド部材
30 開口
31 セットプレート
32 ブラケット
4 連結部材
41 凹部
51、52、53 ヒンジ
Cr 車両
Dr 開閉体
Da ダンパー(ガスダンパー)
【図1】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図4D】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図7】
【国際調査報告】