(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO2014050877
(43)【国際公開日】20140403
【発行日】20160822
(54)【発明の名称】非水電解液、電気化学デバイス、リチウムイオン二次電池、及び、モジュール
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/0569 20100101AFI20160725BHJP
   H01M 10/052 20100101ALI20160725BHJP
   H01M 10/0567 20100101ALI20160725BHJP
   H01G 11/60 20130101ALI20160725BHJP
【FI】
   !H01M10/0569
   !H01M10/052
   !H01M10/0567
   !H01G11/60
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】27
【出願番号】2014538524
(21)【国際出願番号】JP2013075884
(22)【国際出願日】20130925
(31)【優先権主張番号】2012218675
(32)【優先日】20120928
(33)【優先権主張国】JP
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ
(71)【出願人】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
【住所又は居所】大阪府大阪市北区中崎西2丁目4番12号 梅田センタービル
(74)【代理人】
【識別番号】110000914
【氏名又は名称】特許業務法人 安富国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】坂田 英郎
【住所又は居所】日本国大阪府摂津市西一津屋1番1号 ダイキン工業株式会社淀川製作所内
(72)【発明者】
【氏名】高 明天
【住所又は居所】日本国大阪府摂津市西一津屋1番1号 ダイキン工業株式会社淀川製作所内
(72)【発明者】
【氏名】山崎 穣輝
【住所又は居所】日本国大阪府摂津市西一津屋1番1号 ダイキン工業株式会社淀川製作所内
(72)【発明者】
【氏名】山内 昭佳
【住所又は居所】アメリカ合衆国 35601 アラバマ州ディケーター, ステイト ドックス ロード 905 ダイキン アメリカ インク.内
(72)【発明者】
【氏名】賀川 みちる
【住所又は居所】日本国大阪府摂津市西一津屋1番1号 ダイキン工業株式会社淀川製作所内
(72)【発明者】
【氏名】中園 葵
【住所又は居所】日本国大阪府摂津市西一津屋1番1号 ダイキン工業株式会社淀川製作所内
【テーマコード(参考)】
5E078
5H029
【Fターム(参考)】
5E078AA04
5E078AA05
5E078AA06
5E078AA07
5E078AA09
5E078AB02
5E078AB12
5E078BA04
5E078BA17
5E078BA26
5E078BA44
5E078BA52
5E078BA53
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5E078DA04
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5H029AJ04
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5H029AK01
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5H029AL02
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5H029AL12
5H029AM02
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5H029AM04
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5H029AM07
5H029EJ04
5H029EJ12
5H029EJ14
5H029HJ01
5H029HJ02
(57)【要約】
本発明は、高温での保存特性及び高電圧サイクル特性に優れたリチウムイオン二次電池等を得ることができる非水電解液を提供することを目的とする。本発明は、非水溶媒及び電解質塩を含む非水電解液であって、上記非水溶媒が、一般式(1)RfOCOOR(式中、Rfは炭素数1〜4のフッ素化アルキル基であり、Rは炭素数1〜4のアルキル基である)で示される含フッ素鎖状カーボネート(A)、並びに、EC、PC及びFECからなる群より選択される少なくとも1種の環状カーボネート(B)を含有し、かつ、前記含フッ素鎖状カーボネート(A)及び前記環状カーボネート(B)が、それぞれ、不純物である化合物(α)及び化合物(β)を5000ppm以下及び50ppm以下含有することを特徴とする非水電解液である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
非水溶媒及び電解質塩を含む非水電解液であって、
前記非水溶媒が、一般式(1):
RfOCOOR (1)
(式中、Rfは炭素数1〜4のフッ素化アルキル基であり、Rは炭素数1〜4のアルキル基である)で示される含フッ素鎖状カーボネート(A)、並びに、
エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート及びフルオロエチレンカーボネートからなる群より選択される少なくとも1種の環状カーボネート(B)を含有し、かつ、
(I)一般式(2):
RfOH (2)
(式中、Rfは前記同様である)で示される化合物、
(II)一般式(3):
ROH (3)
(式中、Rは前記同様である)で示される化合物、及び、
(III)一般式(4):
ROCOCl (4)
(式中、Rは前記同様である)で示される化合物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物(α);並びに、
(IV)一般式(5):
HO(CHCHOH (5)
(式中、nは1〜5の整数である)で示される化合物、
(V)一般式(6):
HO(CHCHCHOH (6)
(式中、nは1〜5の整数である)で示される化合物、及び、
(VI)一般式(7):
HO(CHFCHOH (7)
(式中、nは1〜5の整数である)で示される化合物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物(β)を含有し、
前記化合物(α)の含有量が含フッ素鎖状カーボネート(A)に対して5000ppm以下であり、前記化合物(β)の含有量が環状カーボネート(B)に対して50ppm以下であることを特徴とする非水電解液。
【請求項2】
含フッ素鎖状カーボネート(A)が、CFCHOCOOCH、又は、CFCHOCOOCHCHである請求項1記載の非水電解液。
【請求項3】
含フッ素鎖状カーボネート(A)の含有量が、非水溶媒中0.5〜90重量%である請求項1又は2記載の非水電解液。
【請求項4】
環状カーボネート(B)が、エチレンカーボネートであり、化合物(β)が、一般式(5)で示される化合物である請求項1、2又は3記載の非水電解液。
【請求項5】
環状カーボネート(B)が、プロピレンカーボネートであり、化合物(β)が、一般式(6)で示される化合物である請求項1、2、3又は4記載の非水電解液。
【請求項6】
環状カーボネート(B)が、フルオロエチレンカーボネートであり、化合物(β)が、一般式(7)で示される化合物である請求項1、2、3、4又は5記載の非水電解液。
【請求項7】
請求項1、2、3、4、5又は6記載の非水電解液を備えることを特徴とする電気化学デバイス。
【請求項8】
正極、負極、及び、請求項1、2、3、4、5又は6記載の非水電解液を備えることを特徴とするリチウムイオン二次電池。
【請求項9】
請求項8記載のリチウムイオン二次電池を備えることを特徴とするモジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特定の化合物の含有量を低下させた非水溶媒及び電解質塩を含む非水電解液、該非水電解液を備える電気化学デバイス、リチウムイオン二次電池、並びに、モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
リチウムイオン二次電池などの電気化学デバイス用の非水電解液としては、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネートなどの非水系溶媒に、LiPF、LiBF等の電解質塩を溶解させたものが一般に使用されている。しかしながら、上記のような炭化水素系の溶媒は酸化電位が低いため、今後、高電圧にした場合に電解液が分解してしまうことが考えられる。
【0003】
特許文献1には、フッ素化された鎖状カーボネートを用いた非水電解二次電池が、電気分解によるガスの発生を抑制し、高い安全性があることが開示されている。しかしながら、特許文献1には、その化合物の不純物については記載されていない。また、このような非水系電解液二次電池は、高温の環境に放置したり、充放電を繰り返したりすると、放電容量が低下する問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−195429号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、高温での保存特性及び高電圧サイクル特性に優れたリチウムイオン二次電池等を得ることができる非水電解液を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記課題を解決するために種々の検討を重ねた結果、特定の不純物含有量を低下させた非水溶媒を用いることにより、上記課題を解決できることを見いだし、本発明を完成させるに至った。
【0007】
すなわち、本発明は、非水溶媒及び電解質塩を含む非水電解液であって、
上記非水溶媒が、一般式(1):
RfOCOOR (1)
(式中、Rfは炭素数1〜4のフッ素化アルキル基であり、Rは炭素数1〜4のアルキル基である)で示される含フッ素鎖状カーボネート(A)、並びに、
エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート及びフルオロエチレンカーボネートからなる群より選択される少なくとも1種の環状カーボネート(B)を含有し、かつ、
(I)一般式(2):
RfOH (2)
(式中、Rfは前記同様である)で示される化合物、
(II)一般式(3):
ROH (3)
(式中、Rは前記同様である)で示される化合物、及び、
(III)一般式(4):
ROCOCl (4)
(式中、Rは前記同様である)で示される化合物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物(α);並びに、
(IV)一般式(5):
HO(CHCHOH (5)
(式中、nは1〜5の整数である)で示される化合物、
(V)一般式(6):
HO(CHCHCHOH (6)
(式中、nは1〜5の整数である)で示される化合物、及び、
(VI)一般式(7):
HO(CHFCHOH (7)
(式中、nは1〜5の整数である)で示される化合物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物(β)を含有し、
上記化合物(α)の含有量が含フッ素鎖状カーボネート(A)に対して5000ppm以下であり、上記化合物(β)の含有量が環状カーボネート(B)に対して50ppm以下であることを特徴とする非水電解液である。
上記含フッ素鎖状カーボネート(A)が、CFCHOCOOCH、又は、CFCHOCOOCHCHであることが好ましい。
上記含フッ素鎖状カーボネート(A)の含有量が、非水溶媒中0.5〜90重量%であることが好ましい。
上記環状カーボネート(B)が、エチレンカーボネートであり、化合物(β)が、一般式(5)で示される化合物であることが好ましい。
上記環状カーボネート(B)が、プロピレンカーボネートであり、化合物(β)が、一般式(6)で示される化合物であることが好ましい。
上記環状カーボネート(B)が、フルオロエチレンカーボネートであり、化合物(β)が、一般式(7)で示される化合物であることが好ましい。
本発明はまた、上述の非水電解液を備えることを特徴とする電気化学デバイスでもある。本発明はまた、正極、負極、及び、上述の非水電解液を備えることを特徴とするリチウムイオン二次電池でもある。
本発明はまた、上述のリチウムイオン二次電池を備えることを特徴とするモジュールでもある。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、高温での保存特性及び高電圧サイクル特性に優れたリチウムイオン二次電池等を得ることができる非水電解液を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の非水電解液は、非水溶媒及び電解質塩を含む非水電解液であって、
上記非水溶媒が、一般式(1):
RfOCOOR (1)
(式中、Rfは炭素数1〜4のフッ素化アルキル基であり、Rは炭素数1〜4のアルキル基である)で示される含フッ素鎖状カーボネート(A)、並びに、
エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート及びフルオロエチレンカーボネートからなる群より選択される少なくとも1種の環状カーボネート(B)を含有し、かつ、
(I)一般式(2):
RfOH (2)
(式中、Rfは前記同様である)で示される化合物、
(II)一般式(3):
ROH (3)
(式中、Rは前記同様である)で示される化合物、及び、
(III)一般式(4):
ROCOCl (4)
(式中、Rは前記同様である)で示される化合物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物(α);並びに、
(IV)一般式(5):
HO(CHCHOH (5)
(式中、nは1〜5の整数である)で示される化合物、
(V)一般式(6):
HO(CHCHCHOH (6)
(式中、nは1〜5の整数である)で示される化合物、及び、
(VI)一般式(7):
HO(CHFCHOH (7)
(式中、nは1〜5の整数である)で示される化合物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物(β)を含有し、
上記化合物(α)の含有量が含フッ素鎖状カーボネート(A)に対して5000ppm以下であり、上記化合物(β)の含有量が環状カーボネート(B)に対して50ppm以下であることを特徴とする。
このため、本発明の電解液を用いて、高容量で、保存特性、負荷特性およびサイクル特性に優れる電気化学デバイスが得られる。
なお、本発明において「フッ素化アルキル基」は、アルキル基の少なくとも1つの水素原子がフッ素原子に置換された基である。
【0010】
以下、一般式(2)〜(7)で示される化合物を、それぞれ、化合物(I)、化合物(II)、化合物(III)、化合物(IV)、化合物(V)、化合物(VI)ということもある。
【0011】
上記非水溶媒は、一般式(1)で示される含フッ素鎖状カーボネート(A)を含む。
Rfは、例えば、CF−、CFCF−、(CFCH−、CFCH−、CCH−、HCFCFCH−、CFCFHCFCH−等が例示でき、これらの中でも、CFCH−が、難燃性が高く、レート特性や耐酸化性が良好な点から特に好ましい。
【0012】
Rは、例えば、−CH、−CHCH、−CH(CH、−C等が例示でき、これらの中でも、−CH、−CHCHが、粘度が低く、レート特性が良好な点から特に好ましい。
【0013】
上記含フッ素鎖状カーボネート(A)の具体例としては、例えば、CFCHOCOOCH、CFCHOCOOCHCH、CFCFCHOCOOCH、CFCFCHOCOOCHCH等を挙げることができる。これらの中でも、CFCHOCOOCH、CFCHOCOOCHCHが好ましい。
【0014】
上記含フッ素鎖状カーボネート(A)の含有量は、非水溶媒中0.5〜90重量%であることが好ましい。上記含フッ素鎖状カーボネート(A)の含有量が多くなると放電容量が低下する傾向にあり、その許容できる上限が90重量%である。上記含フッ素鎖状カーボネート(A)は比較的少ない量でその効果を発揮できる。より好ましい上限値は70重量%であり、有効な下限値はより好ましくは10重量%であり、更に好ましくは20重量%である。
【0015】
上記非水溶媒は、更に、化合物(I)、化合物(II)及び化合物(III)からなる群より選択される少なくとも1種の化合物(α)を含む。
上記含フッ素鎖状カーボネート(A)は、通常、化合物(I)と化合物(III)とを反応させることにより合成することができる。そのため、精製の仕方によっては原料物質である、化合物(I)や化合物(III)が不純物として残ることがある。また、化合物(II)も一般式(1)で示される含フッ素鎖状カーボネートを合成する際に不純物として発生することがある。このように、化合物(I)〜(III)は、一般式(1)で示される含フッ素鎖状カーボネートの合成の際に生じる不純物であるため、一般式(1)中のRfと、一般式(2)のRfとは同じものになり、かつ、一般式(1)中のRと、一般式(3)、(4)のRとは同じものになる。
【0016】
具体的に、上記含フッ素鎖状カーボネート(A)の好ましい具体例である、CFCHOCOOCH、及び、CFCHOCOOCHCHについて説明する。
【0017】
CFCHOCOOCHは、通常、CFCHOHとCHOCOClとを反応させることにより合成することができるため、CFCHOH(化合物(I−1))やCHOCOCl(化合物(III−1))が不純物として残ることがあり、CHOH(化合物(II−1))も不純物として発生することがある。
【0018】
CFCHOCOOCHCHは、通常、CFCHOHとCHCHOCOClとを反応させることにより合成することができるため、CFCHOH(化合物(I−1))やCHCHOCOCl(化合物(III−2))が不純物として残ることがあり、CHCHOH(化合物(II−2))も不純物として発生することがある。
【0019】
本発明の非水電解液では、上記化合物(α)(すなわち、化合物(I)〜(III))の含有量を、上記含フッ素鎖状カーボネート(A)に対して5000ppm以下、好ましくは3500ppm以下、より好ましくは2500ppm以下とする。更に好ましくは1000ppm以下、特に好ましくは100ppm以下、最も好ましくは10ppm以下である。化合物(I)〜(III)を合計で5000ppmより多く含有すると、高温保存後の放電特性の低下が大きくなる傾向がある。特に、化合物(I)や化合物(II)のアルコールが残っている場合は、Liと容易に反応をしてしまうため、容量が低下してしまう傾向がある。また、化合物(III)は、電池内で容易に水分と反応しHClを発生させるため、外装缶等を錆びさせる原因にもなる。
【0020】
また、分子起動計算により求めた化合物(I)〜(III)のHOMOエネルギーは、上記含フッ素鎖状カーボネート(A)よりも高いため、耐酸化性が弱い。そのため、高電圧化した場合に分解してしまい、劣化の要因になると考えられる。このことから非水溶媒中の化合物(I)〜(III)の含有量が少ないほど、電池の保存特性の低下は少なくなると考えられる。
【0021】
前述のように、上記化合物(α)(すなわち、化合物(I)〜(III))は、上記含フッ素鎖状カーボネート(A)に含まれる不純物である。従って、上記含フッ素鎖状カーボネート(A)を予め精製することにより、非水溶媒中の化合物(α)の含有量(化合物(I)〜(III)の合計含有量)を上記範囲内(上記含フッ素鎖状カーボネート(A)に対して5000ppm以下)とすることができる。ここで、ppmは、重量基準であり、上記含フッ素鎖状カーボネート(A)に対して5000ppm以下とは、上記含フッ素鎖状カーボネート(A)100重量部に対して、0.5重量部以下であることを示す。
【0022】
上記含フッ素鎖状カーボネート(A)の精製方法としては、例えば、理論段数10段以上の蒸留塔を用いて精留する方法が挙げられる。
【0023】
また、上記含フッ素鎖状カーボネート(A)の精製方法において、減圧下で蒸留を行ってもよい。
上記含フッ素鎖状カーボネート(A)の精製において、高温で蒸留を行うと、副生成物が発生する。例えば、上記含フッ素鎖状カーボネート(A)が、CFCHOCOCHの場合、以下の反応が起こり、副生成物が発生する。
CFCHOCOCH → CFCHOCOCHCF

CHOCOCH
上記含フッ素鎖状カーボネート(A)の蒸留を減圧下で行うことにより、低温で蒸留を行うことができ、このような副生成物の発生をより抑制することができる。
この場合、蒸留の温度は、90℃以下が好ましく、70℃以下がより好ましい。
【0024】
上記非水溶媒は、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート及びフルオロエチレンカーボネートからなる群より選択される少なくとも1種の環状カーボネート(B)を含有する。
【0025】
上記環状カーボネート(B)の含有量は、非水溶媒中5〜80重量%であることが好ましい。環状カーボネート(B)の含有量が、5重量%未満では安全性及び高電圧化の向上がほとんど見られない傾向があり、80重量%を超えると電解液が二層分離したり、粘度が高くなりすぎて低温での負荷特性が悪くなる傾向がある。下限値としては10重量%がより好ましい。上限値としては50重量%がより好ましく、40重量%が更に好ましく、30重量%が特に好ましい。
【0026】
上記非水溶媒は、更に、化合物(IV)、化合物(V)、及び、化合物(VI)からなる群より選択される少なくとも1種の化合物(β)を含む。
【0027】
上記化合物(β)は、環状カーボネート(B)を合成する際に発生する副生成物である。より具体的には、化合物(IV)は、エチレンカーボネート合成時の副生成物であり、化合物(V)は、プロピレンカーボネート合成時の副生成物であり、化合物(VI)は、フルオロエチレンカーボネート合成時の副生成物である。
【0028】
本発明の電解液においては、上記環状カーボネート(B)が、エチレンカーボネートであり、上記化合物(β)が、(IV)一般式(5)で示される化合物であることが好ましい。
また、上記環状カーボネート(B)が、プロピレンカーボネートであり、上記化合物(β)が、(V)一般式(6)で示される化合物であることが好ましい。
また、上記環状カーボネート(B)が、フルオロエチレンカーボネートであり、上記化合物(β)が、(VI)一般式(7)で示される化合物であることが好ましい。
上記非水溶媒が、2種以上の環状カーボネート(B)を含む場合、2種以上の化合物(β)を含んでいてもよい。
【0029】
このように上記化合物(β)は、上記環状カーボネート(B)の不純物である。このため、環状カーボネート(B)は、予め精製されることが好ましい。予め精製することにより、不純物である化合物(β)(すなわち、化合物(IV)、化合物(V)、化合物(VI))の量を調整し、上記化合物(β)の含有量を後述する範囲内とすることができる。
上記環状カーボネート(B)の精製方法としては、特に限定されず、公知の精製方法であればよく、例えば、理論段数10段以上の蒸留塔を用いて精留するとよい。
【0030】
本発明の非水電解液は、上記化合物(β)の含有量(すなわち、化合物(IV)、化合物(V)、化合物(VI)の合計含有量)が環状カーボネート(B)に対して50ppm以下である。このため、高温での保存特性及び高電圧サイクル特性に優れる。
50ppmより多く含有すると、高温保存後の放電特性の低下が大きくなる傾向がある。なお、ここで、50ppm以下とは、環状カーボネート(B)100質量部に対して、0.005質量部以下であることを示す。
上記化合物(β)の含有量は、環状カーボネート(B)に対して30ppm以下が好ましく、20ppm以下がより好ましい。
また、化合物(IV)〜(VI)の含有量は、それぞれ、化合物(IV)はエチレンカーボネートに対して、化合物(V)はプロピレンカーボネートに対して、化合物(VI)はフルオロエチレンカーボネートに対してであることが好ましい。
【0031】
上記非水溶媒は、その他の成分を含んでいてもよい。
非水溶媒のその他の成分としては、非水系電解液二次電池の溶媒として公知の任意のものを用いることができる。例えば、ブチレンカーボネート、4,5−ジフルオロエチレンカーボネート等のアルキレンカーボネート;ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジ−n−プロピルカーボネート、エチルメチルカーボネート等のジアルキルカーボネート(炭素数1〜4のアルキル基が好ましい);テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン等の環状エーテル;ジメトキシエタン、ジメトキシメタン等の鎖状エーテル;γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン等の環状カルボン酸エステル化合物;酢酸メチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル等の鎖状カルボン酸エステル等が挙げられる。これらは2種類以上を併用してもよい。なかでも、上記非水溶媒は、ジアルキルカーボネートを含むことが好ましい。
【0032】
炭素数1〜4のアルキル基を有するジアルキルカーボネートとしては、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジ−n−プロピルカーボネート、エチルメチルカーボネート、メチル−n−プロピルカーボネート、及び、エチル−n−プロピルカーボネート等が挙げられる。これらの中でも、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネートまたはエチルメチルカーボネートが好ましい。
【0033】
非水溶媒として好ましいもののさらに他の例は、含燐有機溶媒を含むものである。含燐有機溶媒としては、リン酸トリメチル、リン酸トリエチル、リン酸ジメチルエチル、リン酸メチルジエチル、リン酸エチレンメチル、及び、リン酸エチレンエチル等が挙げられる。含燐有機溶媒を非水溶媒中に10容量%以上となるように含有させると、電解液の燃焼性を低下させることができる。特に含燐有機溶媒の含有率が10〜80容量%で、他の成分が主として、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、アルキレンカーボネート、及び、ジアルキルカーボネートから選ばれる非水溶媒にリチウム塩を溶解して電解液とすると、サイクル特性と大電流放電特性とのバランスがよくなる。
【0034】
さらに、分子内に炭素−炭素不飽和結合を有する環状炭酸エステルを、非水溶媒中に8重量%以下含有させることが好ましく、0.01〜8重量%がより好ましい。上述の範囲で含有させると、上記含フッ素鎖状カーボネート(A)の負極での副反応を抑制し、保存特性及び電池のサイクル特性をさらに向上させることができるため、好ましい。環状炭酸エステルの添加量が8重量%を超えると、保存後の電池特性が低下する場合がある。下限値としては0.1重量%、上限値としては3重量%が好ましい。
【0035】
分子内に炭素−炭素不飽和結合を有する環状炭酸エステルとしては、ビニレンカーボネート、メチルビニレンカーボネート、エチルビニレンカーボネート、4,5−ジメチルビニレンカーボネート、4,5−ジエチルビニレンカーボネート、フルオロビニレンカーボネート、トリフルオロメチルビニレンカーボネート等のビニレンカーボネート化合物;4−ビニルエチレンカーボネート、4−メチル−4−ビニルエチレンカーボネート、4−エチル−4−ビニルエチレンカーボネート、4−n−プロピル−4−ビニレンエチレンカーボネート、5−メチル−4−ビニルエチレンカーボネート、4,4−ジビニルエチレンカーボネート、4,5−ジビニルエチレンカーボネート、4,4−ジメチル−5−メチレンエチレンカーボネート、4,4−ジエチル−5−メチレンエチレンカーボネート等のビニルエチレンカーボネート化合物等が挙げられる。このうち、ビニレンカーボネート、4−ビニルエチレンカーボネート、4−メチル−4−ビニルエチレンカーボネートまたは4,5−ジビニルエチレンカーボネート、特にビニレンカーボネートまたは4−ビニルエチレンカーボネートが好ましい。これらの2種類以上を併用してもよい。
【0036】
さらに、本発明で用いる非水溶媒には、一般式(8):
Rf−O−Rf (8)
(式中、Rf及びRfは同じかまたは異なり、炭素数1〜10のアルキル基または炭素数1〜10のフッ素化アルキル基;ただし、少なくとも一方はフッ素化アルキル基)で示される含フッ素エーテルを含有することができる。
上記含フッ素エーテルを含有することにより、さらに耐酸化性が高く安全性の高い電池を作製することができる。
但し、上記含フッ素エーテルの不純物である、下記(I’)、(II’)で示される化合物を、上記含フッ素エーテルに対して合計で5000ppm以下含有することが好ましい。
(I’)含フッ素不飽和化合物(以下、化合物(I’)ということもある)
(II’)一般式(9):
RfOH (9)
(式中、Rfは前記同様)
で示される水酸基含有化合物(以下、化合物(II’)ということもある)。
【0037】
上記一般式(8)で示される含フッ素エーテルの具体例としては、例えば、HCFCFCHOCFCFH、CFCFCHOCFCFH、HCFCFCHOCFCFHCF、CFCFCHOCFCFHCF、C13OCH、C13OC、C17OCH、C17OC、CFCFHCFCH(CH)OCFCFHCF、HCFCFOCH(C、HCFCFOC、HCFCFOCHCH(C、HCFCFOCHCH(CH等が挙げられる。これらの中でも、耐酸化性、及び、LiPF等の電解質塩との相溶性の点から、HCFCFCHOCFCFH、及び、HCFCFCHOCFCFHCFからなる群から選ばれる1種以上の化合物であることが好ましく、HCFCFCHOCFCFHがより好ましい。
【0038】
上記一般式(8)で示される含フッ素エーテルの含有量は、非水溶媒中40重量%以下であることが好ましく、3〜40重量%であることがより好ましい。
【0039】
含フッ素不飽和化合物(I’)は、一般式(8)で示される含フッ素エーテルを合成する際に発生する副生成物に由来するものである。具体的には、一般式(8)で示される含フッ素エーテルからフッ化水素(HF)が脱離して不飽和結合が生じたものである。さらに具体的には、例えば、(I’−1)CF=CFCHOCFCFH、(I’−2)HCFCF=CHOCFCFH、(I’−3)CF=CFCHOCFCFHCF、(I’−4)HCFCFCHOCF=CFCF、(I’−5)HCFCFCHOCFCF=CF、(I’−6)HCFCF=CHOCFCFHCFを挙げることができる。
【0040】
また、水酸基含有化合物(II’)としては、一般式(8)で示される含フッ素エーテルを合成する際の原料に由来するものであり、一般式(9):
RfOH (9)
で示されるものである。ここで、Rfとしては、一般式(8)と同様のものを挙げることができ、具体的には、(II’−1)HCFCFCHOHを挙げることができる。
【0041】
具体的には、一般式(8)で示される含フッ素エーテルが、HCFCFCHOCFCFHであり、
含フッ素不飽和化合物(I’)が、
(I’−1)CF=CFCHOCFCFH、及び、
(I’−2)HCFCF=CHOCFCF
であり、
水酸基含有化合物(II’)が、
(II’−1)HCFCFCHOH
である組み合わせ、又は、
一般式(8)で示される含フッ素エーテルが、HCFCFCHOCFCFHCFであり、
含フッ素不飽和化合物(I’)が、
(I’−3)CF=CFCHOCFCFHCF
(I’−4)HCFCFCHOCF=CFCF
(I’−5)HCFCFCHOCFCF=CF、及び、
(I’−6)HCFCF=CHOCFCFHCF
であり、
水酸基含有化合物(II’)が、
(II’−1)HCFCFCHOH
である組み合わせが好ましい。
【0042】
化合物(I’)、(II’)は、上記含フッ素エーテルに含まれる不純物である。従って、一般式(8)で示される含フッ素エーテルを用いる場合は、当該含フッ素エーテルを予め精製して用いることにより、非水溶媒中の化合物(I’)、(II’)の含有量を上述の範囲内(含フッ素エーテルに対して合計で5000ppm以下)とすることができる。ここで、ppmは、重量基準であり、含フッ素エーテルに対して5000ppm以下とは、含フッ素エーテル100重量部に対して、0.5重量部以下であることを示す。
【0043】
化合物(I’)、(II’)の含有量の上限値としては、上記含フッ素エーテルに対して合計で3500ppm以下であることが好ましく、2000ppm以下であることがより好ましい。化合物(I’)、(II’)の合計量が5000ppmより多いと、高温保存後の放電特性の低下や、高電圧化した場合のサイクル劣化が大きくなる傾向がある。化合物(I’)、(II’)の中でも、特にRfOH(化合物(II’))が残っている場合はLiと容易に反応をしてしまうため、容量が落ちてしまう傾向がある。また、含フッ素不飽和化合物(I’)は二重結合を有するため、これらが多く残っている場合、容易に電解液中の水分等と反応し分解してしまう傾向がある。
【0044】
さらに、非水溶媒中には、必要に応じて他の有用な化合物、例えば、従来公知の添加剤、脱水剤、脱酸剤、過充電防止剤を含有させてもよい。
【0045】
添加剤としては、フルオロエチレンカーボネート、トリフルオロプロピレンカーボネート、フェニルエチレンカーボネート、及び、エリスリタンカーボネート等のカーボネート化合物;無水コハク酸、無水グルタル酸、無水マレイン酸、無水シトラコン酸、無水グルタコン酸、無水イタコン酸、無水ジグリコール酸、シクロヘキサンジカルボン酸無水物、シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、及び、フェニルコハク酸無水物等のカルボン酸無水物;エチレンサルファイト、1,3−プロパンスルトン、1,4−ブタンスルトン、メタンスルホン酸メチル、ブサルファン、スルホラン、スルホレン、ジメチルスルホン、及び、テトラメチルチウラムモノスルフィド等の含硫黄化合物;1−メチル−2−ピロリジノン、1−メチル−2−ピペリドン、3−メチル−2−オキサゾリジノン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、及び、N−メチルスクシイミド等の含窒素化合物;へプタン、オクタン、シクロヘプタン、及び、フルオロベンゼン等の炭化水素化合物等が挙げられる。これらを非水溶媒中に0.1〜5重量%含有させると、高温保存後の容量維持特性やサイクル特性が良好となる。
【0046】
過充電防止剤としては、シクロヘキシルベンゼン、ビフェニル、アルキルビフェニル、ターフェニル、ターフェニルの部分水素化物、t−ブチルベンゼン、t−アミルベンゼン、ジフェニルエーテル、ベンゾフラン、及び、ジベンゾフラン等の芳香族化合物;2−フルオロビフェニル等の上記芳香族化合物の部分フッ素化物;2,4−ジフルオロアニソール、2,5−ジフルオロアニソール、及び、2,6−ジフルオロアニソール等の含フッ素アニソール化合物等が挙げられる。これらを非水溶媒中に0.1〜5重量%含有させると、過充電等のときに電池の破裂・発火を抑制することができる。
【0047】
本発明で用いる電解質塩としては、任意のものを用いることができるが、リチウム塩が好ましい。リチウム塩としては、例えば、LiClO、LiPF、及び、LiBF等の無機リチウム塩;LiCFSO、LiN(CFSO、LiN(CSO、LiN(CFSO)(CSO)、LiC(CFSO、LiPF(CF、LiPF(C、LiPF(CFSO、LiPF(CSO、LiBF(CF、LiBF(C、LiBF(CFSO、及び、LiBF(CSO等の含フッ素有機酸リチウム塩等が挙げられ、これらを単独または2種以上を組み合わせて用いることができる。これらのうち、LiPF、LiBF、LiCFSO、LiN(CFSO及びLiN(CSOが好ましく、LiPF及びLiBFがより好ましい。また、LiPF及びLiBF等の無機リチウム塩と、LiCFSO、LiN(CFSO及びLiN(CSO等の含フッ素有機リチウム塩とを併用すると、高温保存した後の劣化が少なくなるため、好ましい。
【0048】
本発明の非水電解液中の電解質塩濃度は、0.5〜3モル/リットルが好ましい。この範囲以外では、電解液の電気伝導率が低くなり、電池性能が低下してしまう傾向がある。
【0049】
このように本発明の非水電解液は、特定の化合物の含有量を一定以下としたものである。このため、本発明の非水電解液を用いた電気化学デバイスは、高温での保存特性及び高電圧サイクル特性に優れる。そのような本発明の非水電解液を備えることを特徴とする電気化学デバイスもまた本発明の一つである。
本発明の非水電解液を用いた電気化学デバイスとしては、リチウムイオン二次電池や電気二重層キャパシタを挙げることができる。以下、リチウムイオン二次電池の構成について説明する。
負極、正極、及び、上述した本発明の非水電解液を備えたリチウムイオン二次電池もまた、本発明の一つである。
【0050】
リチウムイオン二次電池を構成する負極材料としては、様々な熱分解条件での有機物の熱分解物や人造黒鉛、天然黒鉛等のリチウムを吸蔵・放出可能な炭素質材料;酸化錫、酸化珪素等のリチウムを吸蔵・放出可能な金属酸化物材料;リチウム金属;種々のリチウム合金等を用いることができる。これらの負極材料の2種類以上を混合して用いてもよい。
【0051】
リチウムを吸蔵・放出可能な炭素質材料としては、種々の原料から得た易黒鉛性ピッチの高温処理によって製造された人造黒鉛もしくは精製天然黒鉛、またはこれらの黒鉛にピッチその他の有機物で表面処理を施した後炭化して得られるものが好ましい。
【0052】
負極の製造は、常法によればよい。例えば、負極材料に、結着剤、増粘剤、導電材、溶媒等を加えてスラリー状とし、集電体に塗布し、乾燥した後にプレスして高密度化する方法が挙げられる。
【0053】
結着剤としては、電極製造時に使用する溶媒や電解液に対して安全な材料であれば、任意のものを使用することができる。例えば、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、スチレン・ブタジエンゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、エチレン−アクリル酸共重合体、及び、エチレン−メタクリル酸共重合体等が挙げられる。
【0054】
増粘剤としては、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、エチルセルロース、ポリビニルアルコール、酸化スターチ、リン酸化スターチ、及び、カゼイン等が挙げられる。
【0055】
導電材としては、銅やニッケル等の金属材料;グラファイト、カーボンブラック等の炭素材料等が挙げられる。
【0056】
負極用集電体の材質としては、銅、ニッケルまたはステンレス等が挙げられる。これらのうち、薄膜に加工しやすい点、及び、コストの点から銅が好ましい。
【0057】
リチウムイオン二次電池を構成する正極材料としては、特に、高電圧を産み出すリチウム含有遷移金属複合酸化物の正極活物質が好ましく、例えば、式(a):LiMn2−b(式中、0.9≦a;0≦b≦1.5;MはFe、Co、Ni、Cu、Zn、Al、Sn、Cr、V、Ti、Mg、Ca、Sr、B、Ga、In、Si、及び、Geよりなる群から選ばれる少なくとも1種の金属)で表されるリチウム・マンガンスピネル複合酸化物、式(b):LiNi1−c(式中、0≦c≦0.5;MはFe、Co、Mn、Cu、Zn、Al、Sn、Cr、V、Ti、Mg、Ca、Sr、B、Ga、In、Si、及び、Geよりなる群から選ばれる少なくとも1種の金属)で表されるリチウム・ニッケル複合酸化物、またはLiCo1−d(式中、0≦d≦0.5;MはFe、Ni、Mn、Cu、Zn、Al、Sn、Cr、V、Ti、Mg、Ca、Sr、B、Ga、In、Si、及び、Geよりなる群から選ばれる少なくとも1種の金属)で表されるリチウム・コバルト複合酸化物が好ましい。
【0058】
なかでも具体的には、LiCoO、LiMnO、LiNiO、LiMn、LiNi0.8Co0.15Al0.05、又は、LiNi1/3Co1/3Mn1/が、エネルギー密度が高く、高出力なリチウムイオン二次電池を提供できる点から好ましい。
【0059】
そのほか、LiFePO、LiNi0.8Co0.2、Li1.2Fe0.4Mn0.4、LiNi0.5Mn0.5、LiV等の正極活物質でもよい。
【0060】
正極活物質の配合量は、電池容量が高い点から、正極合剤の50〜99質量%であることが好ましく、80〜99質量%であることがより好ましい。
【0061】
本発明において、特にハイブリッド自動車用や分散電源用の大型リチウムイオン二次電池に使用される場合は、高出力が要求されるため、正極活物質の粒子は二次粒子が主体となり、その二次粒子の平均粒子径が40μm以下で平均一次粒子径1μm以下の微粒子を0.5〜7.0体積%含有することが好ましい。平均一次粒子径が1μm以下の微粒子を含有させることにより電解液との接触面積が大きくなり電極と電解液の間でのリチウムイオンの拡散をより早くすることができ出力性能を向上させることができる。
【0062】
正極の製造は、常法によればよい。例えば、正極材料に、結着剤、増粘剤、導電材、溶媒等を加えてスラリー状とし、集電体に塗布し、乾燥した後にプレスして高密度化する方法が挙げられる。
【0063】
正極の結着剤としては負極と同様のものを用いることが出来、電極製造時に使用する溶媒や電解液に対して安全な材料であれば、任意のものを使用することができる。例えば、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、スチレン・ブタジエンゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、エチレン−アクリル酸共重合体、及び、エチレン−メタクリル酸共重合体等が挙げられる。
【0064】
また、正極の増粘剤についても負極と同様の物が用いることが出来、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、エチルセルロース、ポリビニルアルコール、酸化スターチ、リン酸化スターチ、及び、カゼイン等が挙げられる。
【0065】
導電材としては、グラファイト、カーボンブラック等の炭素材料等が挙げられる。
【0066】
正極用集電体の材質としては、アルミニウム、チタンもしくはタンタル等の金属またはその合金が挙げられる。これらのうち、アルミニウムまたはその合金が好ましい。
【0067】
リチウムイオン二次電池に使用するセパレーターの材質や形状は、上記非水電解液に安定であり、かつ保液性に優れていれば任意である。ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィンを原料とする多孔性シ−トまたは不織布等が好ましい。具体的には、微孔性ポリエチレンフィルム、微孔性ポリプロピレンフィルム、微孔性エチレン−プロピレンコポリマーフィルム、微孔性ポリプロピレン/ポリエチレン2層フィルム、微孔性ポリプロピレン/ポリエチレン/ポリプロピレン3層フィルム等が挙げられる。
【0068】
また、電池の形状は任意であり、例えば、円筒型、角型、ラミネート型、コイン型、大型等の形状が挙げられる。なお、正極、負極、セパレーターの形状及び構成は、それぞれの電池の形状に応じて変更して使用することができる。
【0069】
以上のとおり、本発明の非水電解液を用いれば、高温での保存特性及び高電圧サイクル特性に優れたリチウムイオン二次電池等が得られる。
本発明の非水電解液を用いたリチウムイオン二次電池を備えることを特徴とするモジュールもまた本発明の一つである。
【実施例】
【0070】
以下に、実施例及び比較例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。
【0071】
合成例1 CFCHOCOCHの合成方法
10Lの四つ口フラスコに還流管と滴下ロートを設置して反応装置を準備した。その後、氷浴下でCFCHOH(750g;7.5モル)とクロロギ酸メチル(708.8g;7.5モル)と溶媒としてジグライム(700mL)を加え攪拌した。その後滴下ロートを用いて、発熱に注意しながらトリエチルアミン(758.3g;7.5モル)を加えた。次第にトリエチルアミン塩酸塩が析出し反応溶液が乳白色へと変化した。
反応終了後、反応溶液を1N HCl水溶液で洗浄した。
【0072】
洗浄後分液した有機層を10段の蒸留精製塔を用いて精留した。初留の約5%を廃棄し、留出順にほぼ等量をサンプリングすることにより、CFCHOH(化合物(I−1))、CHOH(化合物(II−1))、CHOCOCl(化合物(III−1))の含有量の異なる精留A、B、Cを得た。
【0073】
精留A〜Cをガスクロマトグラフィー((株)島津製作所製、GC−17A;カラム:DB624(Length60m、I.D0.32mm、Film1.8μm);50℃から10℃/分で250℃まで昇温;インジェクション、ディテクター(FID)共に250℃)で測定することにより、CFCHOCOCHの純度、および化合物(I−1)、(II−1)、(III−1)のCFCHOCOCHに対する含有量を求めた。結果を表1に示す。
【0074】
【表1】
【0075】
合成例2 CFCHOCOの合成方法
10Lの四つ口フラスコに還流管と滴下ロートを設置して反応装置を準備した。その後、氷浴下でCFCHOH(750g;7.5モル)とクロロギ酸エチル(813.3g;7.5モル)と溶媒としてジグライム(1250mL)を加え攪拌した。その後滴下ロートを用いて、発熱に注意しながらトリエチルアミン(758.3g;7.5モル)を加えた。次第にトリエチルアミン塩酸塩が析出し反応溶液が乳白色へと変化した。反応終了後、反応溶液を1N HCl水溶液で洗浄した。
【0076】
洗浄後分液した有機層を10段の蒸留精製塔を用いて精留した。初留の約5%を廃棄し、留出順にほぼ等量をサンプリングすることにより、CFCHOH(化合物(I−1))、COH(化合物(II−2))、COCOCl(化合物(III−2))の含有量の異なる精留D、E、Fを得た。
【0077】
精留D〜Fをガスクロマトグラフィー((株)島津製作所製、GC−17A;カラム:DB624(Length60m、I.D0.32mm、Film1.8μm);50℃から10℃/分で250℃まで昇温;インジェクション、ディテクター(FID)共に250℃)で測定することにより、CFCHOCOの純度、および化合物(I−1)、(II−2)、(III−2)のCFCHOCOに対する含有量を求めた。結果を表2に示す。
【0078】
【表2】
【0079】
合成例3 CFCHOCOCHの合成方法
10Lの四つ口フラスコに還流管と滴下ロートを設置して反応装置を準備した。その後、氷浴下でCFCHOH(750g;7.5モル)とクロロギ酸メチル(708.8g;7.5モル)と溶媒としてジグライム(700mL)を加え攪拌した。その後滴下ロートを用いて、発熱に注意しながらトリエチルアミン(758.3g;7.5モル)を加えた。次第にトリエチルアミン塩酸塩が析出し反応溶液が乳白色へと変化した。
反応終了後、反応溶液を1N HCl水溶液で洗浄した。
【0080】
洗浄後分液した有機層を10段の蒸留精製塔を用いて精留した。精留は、真空ポンプを用いて減圧下(0.03MPa)で、外温110℃で行った。初留の約5%を廃棄し、留出順にほぼ等量をサンプリングすることにより、CFCHOH(化合物(I−1))、CHOH(化合物(II−1))、CHOCOCl(化合物(III−1))の含有量の異なる精留G、H、I、J、K、L、Mを得た。
【0081】
精留G〜Mをガスクロマトグラフィー((株)島津製作所製、GC−17A;カラム:DB624(Length60m、I.D0.32mm、Film1.8μm);50℃から10℃/分で250℃まで昇温;インジェクション、ディテクター(FID)共に250℃)で測定することにより、CFCHOCOCHの純度、および化合物(I−1)、(II−1)、(III−1)のCFCHOCOCHに対する含有量を求めた。結果を表3に示す。
【0082】
【表3】
【0083】
実施例1
乾燥アルゴン雰囲気下、20ppmのHOCHCHOHを含むエチレンカーボネートとエチルメチルカーボネートとの混合物(容量比3:7)97重量部に、精留CのCFCHOCOCH 3重量部を添加し、次いで十分に乾燥したLiPFを1モル/リットルの割合となるように溶解して電解液とした。
【0084】
(コイン型電池の作製)
LiNi1/3Mn1/3Co1/3とカーボンブラックとポリフッ化ビニリデン((株)クレハ製、商品名KF−7200)を92/3/5(質量%比)で混合した正極活物質をN−メチル−2−ピロリドンに分散してスラリー状とした正極合剤スラリーを準備した。アルミ集電体上に、得られた正極合剤スラリーを均一に塗布し、乾燥して正極合剤層(厚さ50μm)を形成し、その後、ローラプレス機により圧縮成形して、正極積層体を製造した。正極積層体を打ち抜き機で直径1.6mmの大きさに打ち抜き、円状の正極を作製した。
【0085】
別途、人造黒鉛粉末に、蒸留水で分散させたスチレン−ブタジエンゴムを固形分で6質量%となるように加え、ディスパーザーで混合してスラリー状としたものを負極集電体(厚さ10μmの銅箔)上に均一に塗布し、乾燥し、負極合剤層を形成し、その後、ローラプレス機により圧縮成形し、打ち抜き機で直径1.6mmの大きさに打ち抜き円状の負極を作製した。
【0086】
上記の円状の正極を厚さ20μmの微孔性ポリエチレンフィルム(セパレーター)を介して正極と負極を対向させ、電解液を注入し、電解液がセパレーター等に充分に浸透した後、封止し予備充電、エージングを行い、コイン型のリチウムイオン二次電池を作製した。
【0087】
(電池特性の測定)
コイン型リチウムイオン二次電池について、つぎの要領で高電圧でのサイクル特性と高温保存特性を調べた。
【0088】
充放電条件
充電:0.5C、4.3Vにて充電電流が1/10Cになるまでを保持(CC・CV充電)
放電:0.5C、3.0Vcut(CC放電)
【0089】
(サイクル特性)
サイクル特性については、上記の充放電条件(1.0Cで所定の電圧にて充電電流が1/10Cになるまで充電し1C相当の電流で3.0Vまで放電する)で行う充放電サイクルを1サイクルとし、5サイクル後の放電容量と100サイクル後の放電容量を測定する。サイクル特性は、つぎの計算式で求められた値を容量維持率の値とする。その結果を表4に示す。
【0090】
【数1】
【0091】
(高温保存特性)
高温保存特性については上記の充放電条件(1.0Cで所定の電圧にて充電電流が1/10Cになるまで充電し1C相当の電流で3.0Vまで放電する)により充放電を行い、放電容量を調べた。その後、再度上記の充電条件で充電をし、85℃の恒温槽の中に1日保存した。保存後の電池を25℃において、上記の放電条件で放電終止電圧3Vまで放電させて残存容量を測定し、さらに上記の充電条件で充電した後、上記の放電条件での定電流で、放電終止電圧3Vまで放電を行って回復容量を測定した。保存前の放電容量を100とした場合の回復容量を表4に示す。
【0092】
実施例2
実施例1において精留CのCFCHOCOCHの代わりに、精留BのCFCHOCOCHを使用した以外は実施例1と同様にして電池を作製し試験を行った。結果を表4に示す。
【0093】
実施例3
実施例1において精留CのCFCHOCOCHの代わりに、精留FのCFCHOCOを使用した以外は実施例1と同様にして電池を作製し試験を行った。結果を表4に示す。
【0094】
実施例4
実施例1において精留CのCFCHOCOCHの代わりに、精留EのCFCHOCOを使用した以外は実施例1と同様にして電池を作製し試験を行った。結果を表4に示す。
【0095】
実施例5
実施例1において精留CのCFCHOCOCHの代わりに、精留IのCFCHOCOCHを使用した以外は実施例1と同様にして電池を作製し試験を行った。結果を表4に示す。
【0096】
実施例6
実施例1において精留CのCFCHOCOCHの代わりに、精留JのCFCHOCOCHを使用した以外は実施例1と同様にして電池を作製し試験を行った。結果を表4に示す。
【0097】
実施例7
実施例1において精留CのCFCHOCOCHの代わりに、精留KのCFCHOCOCHを使用した以外は実施例1と同様にして電池を作製し試験を行った。結果を表4に示す。
【0098】
実施例8
実施例1において精留CのCFCHOCOCHの代わりに、精留LのCFCHOCOCHを使用した以外は実施例1と同様にして電池を作製し試験を行った。結果を表4に示す。
【0099】
実施例9
実施例1において精留CのCFCHOCOCHの代わりに、精留MのCFCHOCOCHを使用した以外は実施例1と同様にして電池を作製し試験を行った。結果を表4に示す。
【0100】
比較例1
実施例1において精留CのCFCHOCOCHの代わりに、精留AのCFCHOCOCHを使用した以外は実施例1と同様にして電池を作製し試験を行った。結果を表4に示す。
【0101】
比較例2
実施例1において精留CのCFCHOCOCHの代わりに、精留CのCFCHOCOCHに化合物(I−1)を10000ppmの割合で添加したものを使用した以外は実施例1と同様にして電池を作製し試験を行った。結果を表4に示す。
【0102】
比較例3
実施例1において精留CのCFCHOCOCHの代わりに、精留CのCFCHOCOCHに化合物(II−1)を10000ppmの割合で添加したものを使用した以外は実施例1と同様にして電池を作製し試験を行った。結果を表4に示す。
【0103】
比較例4
実施例1において精留CのCFCHOCOCHの代わりに、精留CのCFCHOCOCHに化合物(III−1)を10000ppmの割合で添加したものを使用した以外は実施例1と同様にして電池を作製し試験を行った。結果を表4に示す。
【0104】
比較例5
実施例1において精留CのCFCHOCOCHの代わりに、精留DのCFCHOCOにした以外は実施例1と同様にして電池を作製し試験を行った。結果を表4に示す。
【0105】
比較例6
実施例1において精留CのCFCHOCOCHの代わりに、精留GのCFCHOCOにした以外は実施例1と同様にして電池を作製し試験を行った。結果を表4に示す。
【0106】
比較例7
実施例1において精留CのCFCHOCOCHの代わりに、精留HのCFCHOCOにした以外は実施例1と同様にして電池を作製し試験を行った。結果を表4に示す。
【0107】
比較例8
実施例1において精留CのCFCHOCOCHの代わりに、精留FのCFCHOCOに化合物(I−1)を10000ppmの割合で添加したものを使用した以外は実施例1と同様にして電池を作製し試験を行った。結果を表4に示す。
【0108】
比較例9
実施例1において精留CのCFCHOCOCHの代わりに、精留FのCFCHOCOに化合物(II−2)を10000ppmの割合で添加したものを使用した以外は実施例1と同様にして電池を作製し試験を行った。結果を表4に示す。
【0109】
比較例10
実施例1において精留CのCFCHOCOCHの代わりに、精留FのCFCHOCOに化合物(III−2)を10000ppmの割合で添加したものを使用した以外は実施例1と同様にして電池を作製し試験を行った。結果を表4に示す。
【0110】
【表4】
【0111】
実施例10
乾燥アルゴン雰囲気下、20ppmのHOCHCHCHOHを含むプロピレンカーボネートと10ppmのHOCHCHOHを含むエチレンカーボネートとエチルメチルカーボネートとの混合物(容量比1:2:7)97重量部に、HCFCFCHOCFCFHの精留液C 3重量部を添加し、次いで十分に乾燥したLiPFを1モル/リットルの割合となるように溶解して電解液とし、実施例1と同様にして電池を作成し試験を行った。結果を表5に示す。
【0112】
実施例11
乾燥アルゴン雰囲気下、10ppmのHOCHFCHOHを含むフルオロエチレンカーボネートと10ppmのHOCHCHOHを含むエチレンカーボネートとエチルメチルカーボネートとの混合物(容量比1:2:7)97重量部に、HCFCFCHOCFCFHの精留液C 3重量部を添加し、次いで十分に乾燥したLiPFを1モル/リットルの割合となるように溶解して電解液とし、実施例1と同様にして電池を作成し試験を行った。結果を表5に示す。
【0113】
比較例11
乾燥アルゴン雰囲気下、70ppmのHOCHCHOHを含むエチレンカーボネートとエチルメチルカーボネートとの混合物(容量比3:7)97重量部に、CFCHOCOCHの精留液C 3重量部を添加し、次いで十分に乾燥したLiPFを1モル/リットルの割合となるように溶解して電解液とし、実施例1と同様にして電池を作成し試験を行った。結果を表5に示す。
【0114】
比較例12
実施例10の20ppmのHOCHCHCHOHを含むプロピレンカーボネートの代わりに、50ppmのHOCHCHCHOHを含むプロピレンカーボネートを使用した以外は実施例10と同様にして電解液を調製し、電池を作製し試験を行った。結果を表5に示す。
【0115】
比較例13
実施例11の10ppmのHOCHFCHOHを含むフルオロエチレンカーボネートの代わりに、50ppmのHOCHFCHOHを含むフルオロエチレンカーボネートを使用した以外は実施例11と同様にして電池を作製し試験を行った。結果を表5に示す。
【0116】
【表5】
【産業上の利用可能性】
【0117】
本発明の非水電解液は、リチウムイオン二次電池等の電気デバイスに好適に利用できる。

【手続補正書】
【提出日】20160307
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
非水溶媒及び電解質塩を含む非水電解液であって、
前記非水溶媒が、一般式(1):
RfOCOOR (1)
(式中、Rfは炭素数1〜4のフッ素化アルキル基であり、Rは炭素数1〜4のアルキル基である)で示される含フッ素鎖状カーボネート(A)、並びに、
エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート及びフルオロエチレンカーボネートからなる群より選択される少なくとも1種の環状カーボネート(B)を含有し、かつ、
(I)一般式(2):
RfOH (2)
(式中、Rfは前記同様である)で示される化合物、
(II)一般式(3):
ROH (3)
(式中、Rは前記同様である)で示される化合物、及び、
(III)一般式(4):
ROCOCl (4)
(式中、Rは前記同様である)で示される化合物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物(α);並びに、
(IV)一般式(5):
HO(CHCHOH (5)
(式中、nは1〜5の整数である)で示される化合物、
(V)一般式(6):
HO(CHCHCHOH (6)
(式中、nは1〜5の整数である)で示される化合物、及び、
(VI)一般式(7):
HO(CHFCHOH (7)
(式中、nは1〜5の整数である)で示される化合物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物(β)を含有し、
前記化合物(α)の含有量が含フッ素鎖状カーボネート(A)に対して5000ppm以下であり、前記化合物(β)の含有量が環状カーボネート(B)に対して30ppm以下であり、
含フッ素鎖状カーボネート(A)が、CFCHOCOOCH、CFCHOCOOCHCH、CFCFCHOCOOCH及びCFCFCHOCOOCHCHからなる群より選択される少なくとも1種であることを特徴とする非水電解液。
【請求項2】
含フッ素鎖状カーボネート(A)が、CFCHOCOOCH、又は、CFCHOCOOCHCHである請求項1記載の非水電解液。
【請求項3】
含フッ素鎖状カーボネート(A)の含有量が、非水溶媒中0.5〜90重量%である請求項1又は2記載の非水電解液。
【請求項4】
環状カーボネート(B)が、エチレンカーボネートであり、化合物(β)が、一般式(5)で示される化合物である請求項1、2又は3記載の非水電解液。
【請求項5】
環状カーボネート(B)が、プロピレンカーボネートであり、化合物(β)が、一般式(6)で示される化合物である請求項1、2、3又は4記載の非水電解液。
【請求項6】
環状カーボネート(B)が、フルオロエチレンカーボネートであり、化合物(β)が、一般式(7)で示される化合物である請求項1、2、3、4又は5記載の非水電解液。
【請求項7】
請求項1、2、3、4、5又は6記載の非水電解液を備えることを特徴とする電気化学デバイス。
【請求項8】
正極、負極、及び、請求項1、2、3、4、5又は6記載の非水電解液を備えることを特徴とするリチウムイオン二次電池。
【請求項9】
請求項8記載のリチウムイオン二次電池を備えることを特徴とするモジュール。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0111
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0111】
実施例10
乾燥アルゴン雰囲気下、20ppmのHOCHCHCHOHを含むプロピレンカーボネートと10ppmのHOCHCHOHを含むエチレンカーボネートとエチルメチルカーボネートとの混合物(容量比1:2:7)97重量部に、CFCHOCOCHの精留液C 3重量部を添加し、次いで十分に乾燥したLiPFを1モル/リットルの割合となるように溶解して電解液とし、実施例1と同様にして電池を作成し試験を行った。結果を表5に示す。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0112
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0112】
実施例11
乾燥アルゴン雰囲気下、10ppmのHOCHFCHOHを含むフルオロエチレンカーボネートと10ppmのHOCHCHOHを含むエチレンカーボネートとエチルメチルカーボネートとの混合物(容量比1:2:7)97重量部に、CFCHOCOCHの精留液C 3重量部を添加し、次いで十分に乾燥したLiPFを1モル/リットルの割合となるように溶解して電解液とし、実施例1と同様にして電池を作成し試験を行った。結果を表5に示す。
【国際調査報告】