(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO2014050912
(43)【国際公開日】20140403
【発行日】20160822
(54)【発明の名称】二酸化炭素を溶解した液状医薬とそれを用いる治療方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 33/00 20060101AFI20160725BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20160725BHJP
   A61P 37/02 20060101ALI20160725BHJP
   A61K 47/44 20060101ALI20160725BHJP
   A61K 35/14 20150101ALI20160725BHJP
   A61K 9/10 20060101ALI20160725BHJP
   A61K 9/08 20060101ALI20160725BHJP
【FI】
   !A61K33/00
   !A61P35/00
   !A61P37/02
   !A61K47/44
   !A61K35/14 Z
   !A61K9/10
   !A61K9/08
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】25
【出願番号】2014538543
(21)【国際出願番号】JP2013075951
(22)【国際出願日】20130925
(31)【優先権主張番号】2012212912
(32)【優先日】20120926
(33)【優先権主張国】JP
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ
(71)【出願人】
【識別番号】301039505
【氏名又は名称】ネオケミア株式会社
【住所又は居所】兵庫県神戸市中央区御幸通四丁目2番20号
(71)【出願人】
【識別番号】510159643
【氏名又は名称】CO2BE MEDICAL ENGINEERING株式会社
【住所又は居所】兵庫県神戸市中央区港島南町1丁目5番6号
(71)【出願人】
【識別番号】504150450
【氏名又は名称】国立大学法人神戸大学
【住所又は居所】兵庫県神戸市灘区六甲台町1−1
(74)【代理人】
【識別番号】100100158
【弁理士】
【氏名又は名称】鮫島 睦
(74)【代理人】
【識別番号】100138900
【弁理士】
【氏名又は名称】新田 昌宏
(74)【代理人】
【識別番号】100162684
【弁理士】
【氏名又は名称】呉 英燦
(72)【発明者】
【氏名】田中 雅也
【住所又は居所】兵庫県神戸市中央区御幸通四丁目2番20号 ネオケミア株式会社内
(72)【発明者】
【氏名】三輪 雅彦
【住所又は居所】兵庫県神戸市中央区港島南町1丁目5番6号 CO2BE MEDICAL ENGINEERING株式会社内
(72)【発明者】
【氏名】藤井 正彦
【住所又は居所】兵庫県神戸市灘区六甲台町1−1 国立大学法人神戸大学内
(72)【発明者】
【氏名】山口 雅人
【住所又は居所】兵庫県神戸市灘区六甲台町1−1 国立大学法人神戸大学内
【テーマコード(参考)】
4C076
4C086
4C087
【Fターム(参考)】
4C076AA11
4C076AA12
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4C087ZB26
(57)【要約】
本発明の二酸化炭素を溶解した液体からなり、液体注入手段を用いて投与される液状医薬、及び、本発明の液体注入手段を用いて投与される、二酸化炭素を溶解した液体よりなる液状医薬を用いる治療方法により、副作用をほとんど伴わずに腫瘍を縮小もしくは消失させることができる。本発明の二酸化炭素を溶解した液体からなり、液体注入手段を用いて投与される液状医薬、及び、本発明の液体注入手段を用いて投与される、二酸化炭素を溶解した液体よりなる液状医薬を用いる治療方法と、腫瘍の外科療法、化学療法、放射線療法、免疫療法とを併用すると、それらの単独療法もしくは集学的療法に比べて、効果を増強したり、副作用を低減できたりする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
二酸化炭素を溶解した液体からなり、液体注入手段を用いて投与されることを特徴とする液状医薬。
【請求項2】
液体注入手段が、当該液体を動脈内に注入した時に動脈血の圧力に抗して0.1ml/分以上の速さで注入可能な圧力をかけた能動的注入である、請求項1記載の液状医薬。
【請求項3】
液体注入手段が、注射器またはポンプを用いる能動的注入である、請求項1もしくは2のいずれか1項に記載の液状医薬。
【請求項4】
二酸化炭素を溶解する液体が、生理食塩液である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の液状医薬。
【請求項5】
二酸化炭素を溶解する液体が、患者の血液型と適合する血液である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の液状医薬。
【請求項6】
二酸化炭素を溶解する液体が、脂肪乳剤である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の液状医薬。
【請求項7】
対象疾患が腫瘍である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の液状医薬。
【請求項8】
腫瘍の外科療法、化学療法、放射線療法、免疫療法から選ばれる1種又は2種以上と併用される請求項7に記載の液状医薬。
【請求項9】
対象疾患が自己免疫疾患である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の液状医薬。
【請求項10】
自己免疫疾患の治療において、非ステロイド性抗炎症剤、ステロイド性抗炎症剤、免疫抑制剤、血漿交換療法の1種もしくは2種以上に併用される、請求項9に記載の液状医薬。
【請求項11】
二酸化炭素を溶解した液体を液体注入手段を用いて投与する、腫瘍の治療方法。
【請求項12】
液体注入手段が、当該液体を動脈内に注入した時に動脈血の圧力に抗して0.1ml/分以上の速さで注入可能な圧力をかけた能動的注入である、請求項11に記載の、治療方法。
【請求項13】
液体注入手段が、注射器またはポンプを用いる能動的注入である、請求項12に記載の、液体注入手段を用いて投与される、治療方法。
【請求項14】
二酸化炭素を溶解する液体が、生理食塩液である、請求項11に記載の治療方法。
【請求項15】
二酸化炭素を溶解する液体が、患者の血液型と適合する血液である、請求項11に記載の治療方法。
【請求項16】
二酸化炭素を溶解する液体が、脂肪乳剤である、請求項11に記載の治療方法。
【請求項17】
腫瘍の外科療法、化学療法、放射線療法、免疫療法から選ばれる1種又は2種以上と併用される、請求項11に記載の治療方法。
【請求項18】
二酸化炭素を溶解した液体を液体注入手段を用いて投与する、自己免疫疾患の治療方法。
【請求項19】
液体注入手段が、当該液体を動脈内に注入した時に動脈血の圧力に抗して0.1ml/分以上の速さで注入可能な圧力をかけた能動的注入である、請求項18に記載の、治療方法。
【請求項20】
液体注入手段が、注射器またはポンプを用いる能動的注入である、請求項19に記載の、液体注入手段を用いて投与される、治療方法。
【請求項21】
二酸化炭素を溶解する液体が、生理食塩液である、請求項18に記載の治療方法。
【請求項22】
二酸化炭素を溶解する液体が、患者の血液型と適合する血液である、請求項18に記載の治療方法。
【請求項23】
二酸化炭素を溶解する液体が、脂肪乳剤である、請求項18に記載の治療方法。
【請求項24】
自己免疫疾患の治療において、非ステロイド性抗炎症剤、ステロイド性抗炎症剤、免疫抑制剤、血漿交換療法の1種もしくは2種以上と併用される、請求項19に記載の治療方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二酸化炭素を溶解した液体からなり、液体注入手段を用いて投与される液状医薬、及び、液体注入手段を用いて投与される、二酸化炭素を溶解した液体よりなる液状医薬を用いる治療方法に関する。
【背景技術】
【0002】
二酸化炭素は、概ね次の(1)〜(10)に示すような症状等に有効であると特許文献1に記載されている(特許文献1参照)。
(1) 水虫、虫さされ、アトピー性皮膚炎、貨幣状湿疹、乾皮症、脂漏性湿疹、蕁麻疹、痒疹、主婦湿疹、尋常性ざ瘡、膿痂疹、毛包炎、癰、せつ、蜂窩織炎、膿皮症、乾癬、魚鱗癬、掌蹠角化症、苔癬、粃糠疹、創傷、熱傷、き裂、びらん、凍瘡などの皮膚粘膜疾患もしくは皮膚粘膜障害に伴う痒み、褥創、創傷、熱傷、口角炎、口内炎、皮膚潰瘍、き裂、びらん、凍瘡、壊疽などの皮膚粘膜損傷;
(2) 移植皮膚片、皮弁などの生着不全;
(3) 歯肉炎、歯槽膿漏、義歯性潰瘍、黒色化歯肉、口内炎などの歯科疾患;
(4) 閉塞性血栓血管炎、閉塞性動脈硬化症、糖尿病性末梢循環障害、下肢静脈瘤などの末梢循環障害に基づく皮膚潰瘍や冷感、しびれ感;
(5) 慢性関節リウマチ、頸肩腕症候群、筋肉痛、関節痛、腰痛症などの筋骨格系疾患;
(6) 神経痛、多発性神経炎、スモン病などの神経系疾患;
(7) 乾癬、鶏眼、たこ、魚鱗癬、掌蹠角化症、苔癬、粃糠疹などの角化異常症;
(8) 尋常性ざ瘡、膿痂疹、毛包炎、癰、せつ、蜂窩織炎、膿皮症、化膿性湿疹などの化膿性皮膚疾患;
(9) 除毛後の再発毛抑制(むだ毛処理);
(10) そばかす、肌荒れ、肌のくすみ、肌の張りや肌の艶の衰え、髪の艶の衰えなどの皮膚や毛髪などの美容上の問題及び部分肥満。
【0003】
上記症状の改善を達成するために、二酸化炭素吸収手段として二酸化炭素外用剤調製用組成物(特許文献2〜3参照)、二酸化炭素外用組成物(特許文献4参照)、二酸化炭素外用ゲル調製用組成物(特許文献5参照)、二酸化炭素外用剤調製用材料(特許文献6参照)、二酸化炭素外用投与装置(特許文献7〜8参照)が開示されている。
さらに、筋力増強のための二酸化炭素吸収手段の使用(特許文献9参照)が開示されている。
二酸化炭素は気体状のまま、もしくは生理食塩液などに細かな気泡として分散させ、血管内に注入して、陰性造影剤として用いられる。二酸化炭素を用いた陰性造影剤は、がんや自己免疫疾患をはじめとする、多様な疾患の患者に用いられてきたにもかかわらず、これらの疾患に対する有効性は報告されていない。
しかしながら、二酸化炭素を溶解した液体からなり、液体注入手段を用いて投与される液状医薬、及び、液体注入手段を用いて投与される、二酸化炭素を溶解した液体の、医薬としての使用は知られていない。本発明において、二酸化炭素を溶解した液体からなり、液体注入手段を用いて投与される液状医薬は、腫瘍と自己免疫疾患を含む疾患の予防及び治療に使用される。本発明において、液体注入手段を用いて投与される、二酸化炭素を溶解した液体を用いる治療方法は、腫瘍と自己免疫疾患を含む疾患を対象とする。
【0004】
腫瘍の治療方法は、外科療法、化学療法、放射線療法が「腫瘍治療の三大療法」とも呼ばれる、一般的な治療法である。また、一般的には複数の腫瘍治療法を組み合わせる、集学的療法が現在の腫瘍治療の方針と言える。さらに近年は第四の腫瘍治療法と言われる免疫療法なども注目を集めている。
【0005】
外科療法は腫瘍の治癒的療法として古い時代から行われ発展してきており、外科療法は腫瘍の集学的治療の中核を成している。しかし、その反面、外科手術の後に腫瘍細胞が急速に増殖したり、転移する例があり、腫瘍部位を切除することによって生体機能が損なわれたり、術後障害などQOLの面ではどうしてもマイナスになる可能性がある。また、この腫瘍治療法は手術に耐えられる体力も必要となり、高齢者や長い治療生活で体力が低下してしまった場合には、手術を受けること自体が難しくなる。
【0006】
化学療法は、化学物質(抗癌剤)を用いて腫瘍細胞の分裂を抑え、また破壊する治療法である。抗癌剤は注射するか、内服すると血液中に入り、全身の隅々まで運ばれて体内に潜む腫瘍細胞を攻撃し、破壊する。全身のどこに腫瘍細胞があってもそれを破壊する力を持っているので、全身的な治療に効果がある。しかし抗癌剤には腫瘍細胞を破壊するだけでなく、正常な細胞も損傷させてしまうという副作用があり、現在用いられている抗癌剤は、正常な細胞には作用しないという選択毒性はない。この選択毒性をなるべく高める為の研究は現在も行われているが、今のところ副作用の無い抗癌剤はなく、副作用を防止するための決定的な方法も無いというのが現状である。
【0007】
放射線療法は、X線やγ線といった放射線を照射し、腫瘍細胞の分裂を阻害し、増殖を抑える治療法である。しかし正常な細胞も放射線によって損傷を受ける。この損傷を出来るだけ少なくし、腫瘍細胞だけに最大の効果を発揮できるように照射法を工夫して治療しているのが現状である。しかし放射線療法にも副作用があり、治療終了直後(急性期)のものと、終了して半年から数年たった後(晩期)から出てくる副作用がある。副作用の症状として一般的なものに、皮膚・粘膜の炎症、骨髄障害、疲労、食欲不振が挙げられ、その他程度の差はあれ副作用と思われる症状が出るのが一般的である。
【0008】
免疫療法は、患者の免疫機構を賦活するなどして、免疫系の細胞や蛋白などが腫瘍細胞を攻撃して腫瘍を治療する治療法である。免疫の賦活には、レンチナン、クレスチン、 ピシパニール、シゾフィラン、BCG、腫瘍ワクチンなどが用いられる。副作用はあまり強くないが、治療効果は不十分である。患者のリンパ球を体外に取り出し、培養・活性化させて再び体内に戻し、腫瘍細胞を破壊させる治療法や、抗腫瘍抗体により、直接腫瘍細胞を攻撃させる治療法も検討されているが、効果は確実ではなく、また高額な治療費用が必要である。
【0009】
自己免疫疾患は、生体に侵入した異物を排除するべき生体防御機構が、自己組織を攻撃する疾患である。治療には、非ステロイド性抗炎症剤や、ステロイド性抗炎症剤、免疫抑制剤などが用いられ、あるいは、血漿交換療法が行われるが、いずれも根治は困難であり、副作用が問題となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2000−319187号公報
【特許文献2】国際公開第2002/80941号パンフレット
【特許文献3】国際公開第2006/80398号パンフレット
【特許文献4】国際公開第2003/57228号パンフレット
【特許文献5】国際公開第2005/16290号パンフレット
【特許文献6】国際公開第2004/4745号パンフレット
【特許文献7】国際公開第2004/2393号パンフレット
【特許文献8】国際公開第2007/112726号パンフレット
【特許文献9】特開2009−120606号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、簡便かつ安全に効果が得られる、二酸化炭素を溶解した液体からなり、液体注入手段を用いて投与されることを特徴とする液状医薬、及び、液体注入手段を用いて投与される、二酸化炭素を溶解した液体よりなる液状医薬を用いた治療方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者らは、二酸化炭素を溶解した液体を、液体注入手段を用いて投与することにより、腫瘍が縮小もしくは消失し、腫瘍の転移を抑制すること、及び、自己免疫疾患を改善することを見いだし、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、二酸化炭素を溶解した液体からなり、(1)腫瘍が縮小もしくは消失する、(2)腫瘍の転移が抑制される、(3)自己免疫疾患が改善される、液体注入手段を用いて投与する液状医薬である。
また、本発明は、液体注入手段を用いて投与される、二酸化炭素を溶解した液体の、(1)腫瘍が縮小もしくは消失する、(2)腫瘍の転移が抑制される、(3)自己免疫疾患が改善される、液状医薬を使用する治療方法である。
なお、二酸化炭素は赤血球に入り、ヘモグロビンに吸着した酸素を遊離させる、ボーア効果によって作用を示すと考えられるが、細胞膜を通過できるのは、血液等に溶解した二酸化炭素である。気体状の二酸化炭素は、血液等に溶解しなければ、液体で満たされた細胞膜を通過できない。しかも、二酸化炭素の飽和水溶液は、同じ体積の気体状二酸化炭素と比較して、含まれる二酸化炭素のモル数は約100倍多い。そのため、従来用いられている二酸化炭素の陰性造影剤は、本発明のような作用を示さないと考えられる。
【0013】
本発明で言う腫瘍とは、悪性腫瘍と良性腫瘍の両方を含む。
悪性腫瘍としては、神経膠腫、髄膜腫などの脳神経の悪性腫瘍、舌がん、歯肉がん、悪性リンパ腫、悪性黒色腫、上顎がん、鼻がん、鼻腔がん、喉頭がん、咽頭がんなどの口腔・鼻・鼻腔・喉頭・咽頭の悪性腫瘍、甲状乳頭腺がん、甲状腺濾胞がん、甲状腺髄様がんなどの甲状腺の悪性腫瘍、扁平上皮がん、腺がん、肺胞上皮がん、大細胞性未分化がん、小細胞性未分化がん、カルチノイドなどの呼吸器の悪性腫瘍、乳がん、乳房ペーシジェット病、乳房肉腫などの乳房の悪性腫瘍、急性骨髄性白血病、急性前髄性白血病、急性骨髄性単球白血病、急性単球性白血病、急性リンパ性白血病、急性未分化性白血病、慢性骨髄性白血病、慢性リンパ性白血病、成人型T細胞白血病、悪性リンパ腫、多発性骨髄腫、原発性マクログロブリン血症などの血液の悪性腫瘍、食道がん、胃がん、胃・大腸平滑筋肉腫、胃・腸悪性リンパ腫、膵・胆嚢がん、十二指腸がん、大腸がん、原発性肝がん、肝芽腫などの消化器の悪性腫瘍、子宮上皮内がん、子宮頸部扁平上皮がん、子宮腺がん、子宮腺扁平上皮がん、子宮体部腺類がん、子宮肉腫、子宮がん肉腫、子宮破壊性奇胎、子宮悪性絨毛上皮腫、子宮悪性黒色腫、卵巣がん、中胚葉性混合腫瘍などの女性性器の悪性腫瘍、腎がん、腎盂移行上皮がん、尿管移行上皮がん、膀胱乳頭がん、膀胱移行上皮がん、前立腺がん、尿道扁平上皮がん、尿道腺がん、ウィルムス腫瘍などの消化器の悪性腫瘍、横紋筋肉腫、線維肉腫、骨肉腫、軟骨肉腫、滑液膜肉腫、粘液肉腫、脂肪肉腫、 ユーイング肉腫、多発性骨髄腫などの運動器の悪性腫瘍、皮膚扁平上皮がん、皮膚基底細胞がん、皮膚ボーエン病、皮膚ページェット病、皮膚悪性黒色腫などの皮膚の悪性腫瘍、悪性中皮がん、悪性黒色腫、転移性腺がん、転移性扁平上皮がん、転移性肉腫、白血病、悪性リンパ腫、神経芽細胞腫などの体腔の悪性腫瘍が挙げられる。
良性腫瘍としては、髄膜腫、下垂体腺腫、神経鞘腫などの脳の良性腫瘍、母斑、懸垂線維腫、血管腫、血管性母斑、リンパ管腫、化膿性肉芽腫、脂漏性角化症、皮膚線維腫、ケラトアカントーマ、ケロイド、脂肪腫、褐色脂肪腫、神経線維腫、シュワン細胞腫、粉瘤などの皮膚、皮下組織の良性腫瘍、骨軟骨性外骨症、軟骨腫、軟骨芽細胞腫、類骨骨腫、巨細胞腫などの骨の良性腫瘍、脂肪腫、筋腫、ポリープなどの腸の良性腫瘍、肝細胞性腺腫、胆管腺腫などの肝臓の良性腫瘍、乳頭腫、絨毛腺腫などの胆管の良性腫瘍、耳茸、真珠腫などの耳の良性腫瘍、良性多形性腺腫、単形性腺腫、オンコサイトーマ、乳頭状リンパ腫嚢腺腫、エナメル上皮腫などの口腔・唾液腺の良性腫瘍が挙げられる。
【0014】
本発明で言う自己免疫疾患とは、自己の組織や細胞を免疫システムが異物として認識し、攻撃することにより、組織や細胞の損傷等を生じる疾患であり、臓器特異的自己免疫疾患と、臓器非特異的自己免疫疾患がある。
臓器特異的自己免疫疾患としては、悪性貧血、アジソン病、インスリン依存性糖尿病、潰瘍性大腸炎、急性進行性糸球体腎炎、巨赤芽球性貧血、グッドパスチャー症候群、原発性甲状腺機能低下症、原発性胆汁性肝硬変、原発性硬化性胆管炎、原発性粘液水腫、甲状腺中毒症、後天性表皮水疱症、再発性多発性軟骨炎、自己免疫性萎縮性胃炎、自己免疫性視神経症、自己免疫性膵炎、自己免疫性溶血性貧血、自己免疫性好中球減少症、尋常性天疱瘡、若年性糖尿病、重症筋無力症、水晶体原性ぶどう膜炎、水疱性類天疱瘡、早発性更年期、大動脈炎症候群、多発性硬化症、男性不妊症、特発性血小板減少性紫斑病、バセドウ病、発作性ヘモグロビン尿症、橋本病、原田病、慢性活動性肝炎、類天疱瘡等が挙げられる。
臓器非特異的自己免疫疾患としては、円板状エリテマトーデス、全身性エリテマトーデス、強皮症、クローン病、抗リン脂質抗体症候群、混合結合組織病、サルコイドーシス、シェーグレン症候群、多発性筋炎、多発性血管炎、ベーチェット病、慢性関節リウマチ等が挙げられる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の、二酸化炭素を溶解した液体からなり、液体注入手段を用いて投与される液状医薬、及び、本発明の、液体注入手段を用いて投与される、二酸化炭素を溶解した液体よりなる液状医薬を用いた治療方法により、副作用をほとんど伴わずに腫瘍を縮小もしくは消失させ、腫瘍の転移を抑制できたり、自己免疫疾患を改善したりすることができるので有用である。
本発明の、二酸化炭素を溶解した液体からなり、液体注入手段を用いて投与される液状医薬、及び、本発明の、液体注入手段を用いて投与される、二酸化炭素を溶解した液体よりなる液状医薬を用いた治療方法を、腫瘍の外科療法、化学療法、放射線療法、免疫療法のいずれか1種または2種以上と併用すると、それらの単独療法もしくは集学的療法に比べて、抗腫瘍効果を増強したり、副作用を低減したりできる。
より具体的には、腫瘍の外科療法において、本発明の、二酸化炭素を溶解した液体からなり、液体注入手段を用いて投与される液状医薬、及び、本発明の、液体注入手段を用いて投与される、二酸化炭素を溶解した液体よりなる液状医薬を用いた治療方法を併用すると、外科療法のみに比べて、腫瘍細胞の急激な増殖や、転移を抑制し、あるいは腫瘍を縮小させて治療成績を上げることができる。
腫瘍の化学療法において、本発明の、二酸化炭素を溶解した液体からなり、液体注入手段を用いて投与される液状医薬、及び、本発明の、液体注入手段を用いて投与される、二酸化炭素を溶解した液体よりなる液状医薬を用いた治療方法を併用すると、化学療法剤投与のみに比べて、より少ない化学療法剤の投与量で同じ効果が得られ、副作用が低減される。また、化学療法剤の投与量が同じ場合、より高い効果が得られる。
腫瘍の放射線療法において、本発明の、二酸化炭素を溶解した液体からなり、液体注入手段を用いて投与される液状医薬、及び、本発明の、液体注入手段を用いて投与される、二酸化炭素を溶解した液体よりなる液状医薬を用いた治療方法を併用すると、放射線照射のみに比べて、より少ない線量で同じ効果が得られ、副作用が低減される。また、線量が同じ場合、より高い効果が得られる。
【0016】
腫瘍の免疫療法において、本発明の、二酸化炭素を溶解した液体からなり、液体注入手段を用いて投与される液状医薬、及び、本発明の、液体注入手段を用いて投与される、二酸化炭素を溶解した液体よりなる液状医薬を用いた治療方法を併用すると、免疫療法のみに比べて、より少ない免疫療法剤等(活性化リンパ球等の生体成分を含む)の投与量で同じ効果が得られ、副作用が低減される。また、免疫療法剤等の投与量が同じ場合、より高い効果が得られる。
本発明の、二酸化炭素を溶解した液体からなり、液体注入手段を用いて投与される液状医薬、及び、本発明の、液体注入手段を用いて投与される、二酸化炭素を溶解した液体よりなる液状医薬を用いた治療方法は、入院設備等がない医療機関でも、容易に腫瘍治療が可能である。
本発明の、二酸化炭素を溶解した液体からなり、液体注入手段を用いて投与される液状医薬、及び、本発明の、液体注入手段を用いて投与される、二酸化炭素を溶解した液体よりなる液状医薬を用いた治療方法は、有効成分である二酸化炭素が安価なため、治療に要する費用は、腫瘍の外科療法、化学療法、放射線療法、免疫療法のいずれよりも少なくて済む。
【0017】
本発明の、二酸化炭素を溶解した液体からなり、液体注入手段を用いて投与される液状医薬、及び、本発明の、液体注入手段を用いて投与される、二酸化炭素を溶解した液体よりなる液状医薬を用いた治療方法により、自己免疫疾患の症状の改善だけでなく、疾患自体の予防及び治癒が可能である。より具体的には、例えば慢性炎症による結合組織の異常増殖等を抑制もしくは正常化し、臓器や組織の線維化等が改善されるため、臓器や組織の機能回復や維持が可能である。
本発明の、二酸化炭素を溶解した液体からなり、液体注入手段を用いて投与される液状医薬、及び、本発明の、液体注入手段を用いて投与される、二酸化炭素を溶解した液体よりなる液状医薬を用いた治療方法を、非ステロイド性抗炎症剤、ステロイド性抗炎症剤、免疫抑制剤、血漿交換療法の1種もしくは2種以上と併用すると、それらの単独、もしくは併用と比べて、自己免疫疾患の症状の改善度が高くなったり、副作用を低減したりできる。
本発明の、二酸化炭素を溶解した液体からなり、液体注入手段を用いて投与される液状医薬、及び、本発明の、液体注入手段を用いて投与される、二酸化炭素を溶解した液体よりなる液状医薬を用いた治療方法は、動物にも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】ウサギの移植腫瘍に対する、二酸化炭素を溶解した液体からなり、液体注入手段を用いて投与される液状医薬による抗腫瘍効果を示す図である。
【図2】ウサギの移植腫瘍に対する、二酸化炭素を溶解した液体からなり、液体注入手段を用いて投与される液状医薬による抗腫瘍効果を示す図である。
【図3】ウサギの移植腫瘍に対する、二酸化炭素を溶解した液体からなり、液体注入手段を用いて投与される液状医薬の安全性(体重変化)を示す図である。
【図4】ウサギの移植腫瘍に対する、二酸化炭素を溶解した液体からなり、液体注入手段を用いて投与される液状医薬による抗腫瘍効果を示す図である。
【図5】ウサギの移植腫瘍に対する、二酸化炭素を溶解した液体からなり、液体注入手段を用いて投与される液状医薬の安全性(体重変化)を示す図である。
【図6】健常ブタに対する、二酸化炭素を溶解した液体からなり、液体注入手段を用いて投与される液状医薬の安全性(体温変化)を示す図である。
【図7】健常ブタに対する、二酸化炭素を溶解した液体からなり、液体注入手段を用いて投与される液状医薬の安全性(動脈血pH変化)を示す図である。
【図8】健常ブタに対する、二酸化炭素を溶解した液体からなり、液体注入手段を用いて投与される液状医薬の安全性(動脈血二酸化炭素分圧変化)を示す図である。
【図9】健常ブタに対する、二酸化炭素を溶解した液体からなり、液体注入手段を用いて投与される液状医薬の安全性(動脈血酸素分圧変化)を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の、二酸化炭素を溶解した液体からなり、液体注入手段を用いて投与される液状医薬において、二酸化炭素を溶解する液体としては、好ましくは、二酸化炭素の溶解度が25度で概ね1mg/l以上であり、粘度は注射針やカテーテルチューブから1分間に概ね0.1ml以上が押し出される程度であり、浸透圧は280ミリオスモル付近の等張液である。
二酸化炭素を溶解した液体が水を含む場合は、本発明の液状医薬は中性、もしくは酸性であることが好ましい。
二酸化炭素は、水、油、アルコール、アミンに溶ける。これらのうち、安全性が高く、二酸化炭素の溶解度や粘度、浸透圧が上記の条件を満たす液体であれば、いずれも本発明に用いることができる。二酸化炭素を溶解する液体としては、生理的食塩液が好ましい。更に二酸化炭素を溶解する液体は、ヘモグロビンのような、二酸化炭素を可逆的に結合する物質を含んでいてもよい。したがって、二酸化炭素を溶解する液体としては、患者の血液型と適合する血液も好ましい。もちろん、患者自身の血液を使用してもよい。なお、患者の血液型と適合する血液とは、その血液を患者に注入した時に、拒絶反応などの好ましくない反応を起こさない血液を意味する。
二酸化炭素を溶解する液体として油を用いることができるが、液体すべてが油では、血管内注入を行った場合、血栓等の副作用が生じるおそれがあるため、水を併用することが好ましい。その場合、界面活性剤を使用して、乳剤として用いることが好ましい。乳剤としては、脂肪乳剤が好ましい。脂肪乳剤としては、市販の精製ダイズ油10もしくは20%含有静注用脂肪乳剤が使用できるが、本発明はこれに限定されるものではない。
液体に二酸化炭素を溶解させる方法としては、特に制限はなく、液体に二酸化炭素をチューブ等で吹き込んだり、生体適合性の高い酸と炭酸塩を液体中で反応させて二酸化炭素を発生させたりしてもよい。
液体中の二酸化炭素濃度としては、60ppm以上が好ましく、100ppm以上がより好ましい。二酸化炭素濃度は高いほど好ましく、上限はない。本発明の、二酸化炭素を溶解した液体からなり、液体注入手段を用いて投与される液状医薬は、一定以上の二酸化炭素濃度であれば、気泡状の二酸化炭素を含んでいても差し支えない。
二酸化炭素としては、副作用等を生じる物質の混入が少ないものが好ましく、高純度の液化二酸化炭素がより好ましい。
本発明の、二酸化炭素を溶解した液体からなり、液体注入手段を用いて投与される液状医薬の注入手段としては、生体内に一定量の液体を注入できる手段であれば特に制限はなく、注射器やポンプなどの能動的注入法が使用できる。
本発明の、二酸化炭素を溶解した液体からなり、液体注入手段を用いて投与される液状医薬の注入量としては、多いほど好ましいが、対象患者の年齢や体重、呼吸機能や腎機能等に応じて、当該患者が耐えられる最大量以下の注入量とする。
本発明の、二酸化炭素を溶解した液体からなり、液体注入手段を用いて投与される液状医薬は、患部に直接もしくは患部近傍組織等に注入してもよいが、当該患部の栄養血管に注入することが好ましい。栄養血管は、血流を阻害もしくは低下させ、本発明の液状医薬が、可能な限り長時間患部近傍に留まるようにしてもよい。
膀胱腫瘍の場合は、尿道カテーテル等を用いて、本発明の、二酸化炭素を溶解した液体からなり、液体注入手段を用いて投与される液状医薬を注入してもよいが、液状医薬注入用チューブ、液状医薬回収用チューブ、及び液体への二酸化炭素溶解装置を備えた液体循環装置等を用いて、二酸化炭素を高濃度に溶解した液状医薬を、膀胱内で循環させることで、効率的な腫瘍治療が可能である。
【0020】
本発明の、二酸化炭素を溶解した液体からなり、液体注入手段を用いて投与される液状医薬を、腫瘍の外科療法、化学療法、放射線療法、免疫療法、もしくは自己免疫疾患治療法と併用する場合、各療法(腫瘍の集学的療法を含む)を行うたびに注入しても、あるいは、各療法(腫瘍の集学的療法を含む)を行わない日に、注入してもよい。腫瘍の化学療法や免疫療法、もしくは自己免疫疾患治療法と併用する場合、本発明の液状医薬に、腫瘍の化学療法剤や免疫療法剤、もしくは自己免疫疾患用剤を、同時に含有させてもよい。
本発明の、二酸化炭素を溶解した液体からなり、液体注入手段を用いて投与される液状医薬を併用する腫瘍の外科療法としては、拡大根治手術、縮小手術、機能温存手術、内視鏡手術、体腔鏡手術などが挙げられる。
本発明の、二酸化炭素を溶解した液体からなり、液体注入手段を用いて投与される液状医薬を併用する腫瘍の放射線療法としては、リニアック(直線加速器)を用いた定位的放射線照射療法である、ガンマー線を照射するガンマーナイフ療法、X線を照射するサイバーナイフ療法などが挙げられる。
【0021】
本発明の、二酸化炭素を溶解した液体からなり、液体注入手段を用いて投与される液状医薬と併用する化学療法剤としては、分子標的薬、アルキル化剤、代謝拮抗剤、植物アルカロイド、抗がん性抗生物質、プラチナ製剤、ホルモン剤などの抗がん剤の投与が挙げられる。
併用する化学療法剤に用いられる分子標的薬としては、イブリツモマブチウキセタン、イマチニブ、エルロチニブ、ゲフィチニブ、ゲムツズマブオゾガマイシン、スニチニブ、セツキシマブ、ソラフェニブ、ダサチニブ、タミバロテン、トラスツズマブ、トレチノイン、パニツムマブ、ベバシズマブ、ボルテゾミブ、リツキシマブが挙げられる。
併用する化学療法に用いられるアルキル化剤としては、イホスファミド、シクロホスファミド、ダカルバジン、テモゾロミド、ニムスチン、ブスルファン、メルファランが例として挙げられる。
【0022】
併用する化学療法剤に用いられる代謝拮抗剤としては、エノシタビン、カペシタビン、カルモフール、ゲムシタビン、シタラビン、テガフール、テガフール・ウラシル、ネララビン、フルオロウラシル、フルダラビン、ペメトレキセド、ペントスタチン、メトトレキサートが例として挙げられる。
併用する化学療法剤に用いられる植物アルカロイドとしては、イリノテカン、エトポシド、ソブゾキサン、ドセタキセル、ノギテカン、パクリタキセル、ビノレルビン、ビンクリスチン、ビンデシン、ビンブラスチンが例として挙げられる。
併用する化学療法剤に用いられる抗がん性抗生物質としては、アクチノマイシンD、アクラルビシン、イダルビシン、エピルビシン、ダウノルビシン、ドキソルビシン(アドリアマイシン)、ピラルビシン、ブレオマイシン、ぺプロマイシン、マイトマイシンC、ミトキサントロンが例として挙げられる。
【0023】
併用する化学療法剤に用いられるプラチナ製剤としては、オキサリプラチン、カルボプラチン、シスプラチン、ネダプラチンが例として挙げられる。
併用する化学療法剤に用いられるホルモン剤としては、アナストロゾール、エキセメスタン、エチニルエストラジオール、クロルマジノン、ゴセレリン、タモキシフェン、ビカルタミド、フルタミド、プレドニゾロン、リュープロレリン、レトロゾールが例として挙げられる。
【0024】
化学療法剤の併用において、本発明の、二酸化炭素を溶解した液体からなり、液体注入手段を用いて投与される液状医薬に、親水性化学療法剤、もしくは疎水性化学療法剤を、当該液体の物性に応じて、二酸化炭素とともに、溶解もしくは懸濁して用いることができる。その場合、化学療法剤の使用量を通常より少なくして、抗腫瘍作用を二酸化炭素で補いつつ、副作用を低減することができる。あるいは、化学療法剤の使用量を通常通りとし、通常の副作用が現れるものの、抗腫瘍作用を二酸化炭素でさらに増強することも可能である。
【0025】
本発明の、二酸化炭素を溶解した液体からなり、液体注入手段を用いて投与される液状医薬と併用する免疫療法としては、能動免疫療法として、サイトカイン療法、免疫賦活療法等が挙げられる。また、受動免疫療法(免疫細胞療法)として、高度活性化NK細胞療法や活性化リンパ球療法等が挙げられる。
併用するサイトカイン療法としては、インターロイキン2やインターロイキン12などのインターロイキン、アルファ、ベータ、ガンマインターフェロンなどのインターフェロン、TNF−アルファなどの腫瘍壊死因子等の投与が挙げられる。
併用する免疫賦活療法としては、BCG、結核菌、ウベニメクス、ピシバニール、レンチナン、クレスチン等の免疫賦活剤の投与が挙げられる。
【0026】
免疫療法の併用において、本発明の、二酸化炭素を溶解した液体からなり、液体注入手段を用いて投与される液状医薬に、親水性免疫療法剤、もしくは疎水性免疫療法剤を、当該液体の物性に応じて、二酸化炭素とともに、溶解もしくは懸濁して用いることができる。その場合、免疫療法剤の使用量を通常より少なくして、抗腫瘍作用を二酸化炭素で補いつつ、副作用を低減することができる。あるいは、免疫療法剤の使用量を通常通りとし、通常の副作用が現れるものの、抗腫瘍作用を二酸化炭素でさらに増強することも可能である。
【0027】
本発明の、二酸化炭素を溶解した液体からなり、液体注入手段を用いて投与される液状医薬と併用する非ステロイド性抗炎症剤としては、アセチルサリチル酸、サリチルアミド、サリチル酸ナトリウム、ジフルニサル、エテンザミドなどのサリチル酸系抗炎症剤が、アセメタシン、アンフェナクナトリウム、インドメタシン、エトドラク、ジクロフェナクナトリウム、スリンダク、ナブメトン、フェンブフェン、マレイン酸プログルメタシン、モフェゾラクなどのアリール酢酸系抗炎症剤が、アンピロキシカム、テノキシカム、ピロキシカム、メロキシカム、ロルノキシカムなどのオキシカム系抗炎症剤が、アルミノプロフェン、イブプロフェン、オキサプロジン、ケトプロフェン、ザルトプロフェン、チアプロフェン酸、ナプロキセン、フェノプロフェン、フルルビプロフェン、プラノプロフェン、ロキソプロフェンナトリウムなどのプロピオン酸系抗炎症剤が、トルフェナム酸、フルフェナム酸アルミニウム、メフェナム酸などのフェナム酸系抗炎症剤が、ブコロームなどのピリミジン系抗炎症剤が、セレコキシブ、バルデコキシブ、ルミラコキシブ、パレコキシブナトリウムなどのコキシブ系抗炎症剤が、エモルファゾン、エピリゾール、塩酸チアラミドなどの塩基性抗炎症剤が挙げられる。
ステロイド性抗炎症剤としては、コハク酸ヒドロコルチゾン、コハク酸ヒドロコルチゾンナトリウム、コハク酸プレドニゾロンナトリウム、コハク酸メチルプレドニゾロン、コハク酸メチルプレドニゾロンナトリウム、デキサメタゾン、トリアムシノロン、トリアムシノロンアセトニド、パルミチン酸デキサメタゾン、ヒドロコルチゾン、プレドニゾロン、ベタメタゾン、メチルプレドニゾロン、リン酸デキサメタゾンナトリウム、リン酸ヒドロコルチゾンナトリウム、リン酸プレドニゾロンナトリウム、リン酸ベタメタゾンナトリウム、酢酸コルチゾン、酢酸デキサメタゾン、酢酸パラメタゾン、酢酸ハロプレドン、酢酸フルドロコルチゾン、酢酸メチルプレドニゾロンなどが挙げられる。
免疫抑制剤としては、上記のステロイド性抗炎症剤、シクロフォスファミドなどのアルキル化剤、アントラサイクリン、ダクチノマイシン、マイトマイシンC、ミトラマイシン、ブレオマイシン等の細胞障害性抗生物質、アダリムマブ、インフリキシマブ、エタネルセプト、トシリズマブなどのサイトカイン阻害薬、アザチオプリン、ミコフェノール酸、ミコフェノール酸モフェチル、レフルノミド、メルカプトプリン、メトトレキサート、メルカプトプリンメルカプトプリン、メトトレキサートなどの代謝拮抗剤、エベロリムス、シクロスポリン、シロリムス、タクロリムス、テムシロリムスなどの特異的リンパ球シグナル伝達阻害薬、CD3やCD25などのIL−2受容体タンパクに対する抗体、インターフェロンなどのサイトカインが挙げられる。
【0028】
非ステロイド性抗炎症剤、ステロイド性抗炎症剤、免疫抑制剤(以下、自己免疫疾患用剤)の併用において、本発明の、二酸化炭素を溶解した液体からなり、液体注入手段を用いて投与される液状医薬に、親水性自己免疫疾患用剤、もしくは疎水性自己免疫疾患用剤を、当該液体の物性に応じて、二酸化炭素とともに、溶解もしくは懸濁して用いることができる。その場合、自己免疫疾患用剤の使用量を通常より少なくして、その作用を二酸化炭素で補ったり増強したりしつつ、副作用を低減することができる。あるいは、自己免疫疾患用剤の使用量を通常通りとし、その作用を二酸化炭素でさらに増強することも可能である。
【0029】
本発明の、液体注入手段を用いて投与される、二酸化炭素を溶解した液体よりなる液状医薬を用いた治療方法において、二酸化炭素を溶解する液体としては、好ましくは、二酸化炭素の溶解度が25度で概ね1mg/l以上であり、粘度は注射針やカテーテルチューブから1分間に概ね0.1ml以上が押し出される程度であり、浸透圧は280ミリオスモル付近の等張液である。
二酸化炭素を溶解した液体が水を含む場合は、pHは中性、もしくは酸性であることが好ましい。
二酸化炭素は、水、油、アルコール、アミンに溶ける。これらのうち、安全性が高く、二酸化炭素の溶解度や粘度、浸透圧が上記の条件を満たす液体であれば、いずれも本発明に用いることができる。二酸化炭素を溶解する液体としては、生理的食塩液が好ましい。更に液体は、ヘモグロビンのような、二酸化炭素を可逆的に結合する物質を含んでいてもよい。したがって、二酸化炭素を溶解する液体としては、患者の血液型と適合する血液も好ましい。もちろん、患者自身の血液を使用してもよい。なお、患者の血液型と適合する血液とは、その血液を患者に注入した時に、拒絶反応などの好ましくない反応を起こさない血液を意味する。
二酸化炭素を溶解する液体として油を用いることができるが、液体すべてが油では、血管内注入を行った場合、血栓等の副作用が生じるおそれがあるため、水を併用することが好ましい。その場合、界面活性剤を使用して、乳剤として用いることが好ましい。乳剤としては、脂肪乳剤が好ましい。脂肪乳剤としては、市販の精製ダイズ油10もしくは20%含有静注用脂肪乳剤が使用できる。
液体に二酸化炭素を溶解させる方法としては、特に制限はなく、当該液体に二酸化炭素をチューブ等で吹き込んだり、生体適合性の高い酸と炭酸塩を液体中で反応させて二酸化炭素を発生させたりしてもよい。
液体中の二酸化炭素濃度としては、60ppm以上が好ましく、100ppm以上がより好ましい。二酸化炭素濃度は高いほど好ましく、上限はない。本発明の、液体注入手段を用いて投与される、二酸化炭素を溶解した液体よりなる液状医薬を用いた治療方法において、当該液状医薬は、一定以上の二酸化炭素濃度であれば、気泡状の二酸化炭素を含んでいても差し支えない。
二酸化炭素としては、副作用を生じる物質の混入が少ないものが好ましく、高純度の液化二酸化炭素がより好ましい。
本発明の、液体注入手段を用いて投与される、二酸化炭素を溶解した液体よりなる液状医薬を用いた治療方法における注入手段としては、生体内に一定量の液体を注入できる手段であれば特に制限はなく、注射器やポンプなどの能動的注入法が使用出来る。
本発明の、液体注入手段を用いて投与される、二酸化炭素を溶解した液体の、液状医薬を用いる治療方法における注入量としては、多いほど好ましいが、対象患者の年齢や体重、呼吸機能や腎機能等に応じて、当該患者が耐えられる最大量以下の注入量とする。
本発明の、液体注入手段を用いて投与される、二酸化炭素を溶解した液体よりなる液状医薬を用いた治療方法においては、当該液状医薬は患部に直接もしくは患部近傍組織等に注入してもよいが、当該患部の栄養血管に注入することが好ましい。栄養血管は、血流を阻害もしくは低下させ、本発明の液状医薬が、可能な限り長時間患部近傍に留まるようにしてもよい。
膀胱腫瘍の場合は、尿道カテーテル等を用いて、二酸化炭素を溶解した液体を注入してもよいが、注入用チューブ、回収用チューブ、及び液体への二酸化炭素溶解装置を備えた液体循環装置等を用いて、二酸化炭素を高濃度に溶解した液状医薬を、膀胱内で循環させることで、効率的な腫瘍治療が可能である。
【0030】
本発明の、液体注入手段を用いて投与される、二酸化炭素を溶解した液体よりなる液状医薬を用いた治療方法を、腫瘍の外科療法、化学療法、放射線療法、免疫療法に併用する場合、各療法(集学的療法を含む)を行うたびに使用しても、あるいは、それらを行わない日に、使用してもよい。腫瘍の化学療法、もしくは免疫療法と併用する場合、二酸化炭素を含む液体に、化学療法剤、もしくは免疫療法剤を、同時に含有させてもよい。
本発明の、液体注入手段を用いて投与される、二酸化炭素を溶解した液体よりなる液状医薬を用いた治療方法を併用する外科療法としては、拡大根治手術、縮小手術、機能温存手術、内視鏡手術、体腔鏡手術などが挙げられる。
本発明の、液体注入手段を用いて投与される、二酸化炭素を溶解した液体よりなる液状医薬を用いた治療方法を併用する放射線療法としては、リニアック(直線加速器)を用いた定位的放射線照射療法である、ガンマー線を照射するガンマーナイフ療法、X線を照射するサイバーナイフ療法などが挙げられる。
【0031】
本発明の、液体注入手段を用いて投与される、二酸化炭素を溶解した液体よりなる液状医薬を用いた治療方法を併用する化学療法としては、分子標的薬、アルキル化剤、代謝拮抗剤、植物アルカロイド、抗がん性抗生物質、プラチナ製剤、ホルモン剤、生物学的応答調節剤などの抗がん剤の投与が挙げられる。
併用する化学療法に用いられる分子標的薬としては、イブリツモマブチウキセタン、イマチニブ、エルロチニブ、ゲフィチニブ、ゲムツズマブオゾガマイシン、スニチニブ、セツキシマブ、ソラフェニブ、ダサチニブ、タミバロテン、トラスツズマブ、トレチノイン、パニツムマブ、ベバシズマブ、ボルテゾミブ、リツキシマブが挙げられる。
併用する化学療法に用いられるアルキル化剤としては、イホスファミド、シクロホスファミド、ダカルバジン、テモゾロミド、ニムスチン、ブスルファン、メルファランが挙げられる。
【0032】
併用する化学療法に用いられる代謝拮抗剤としては、エノシタビン、カペシタビン、カルモフール、ゲムシタビン、シタラビン、テガフール、テガフール・ウラシル、ネララビン、フルオロウラシル、フルダラビン、ペメトレキセド、ペントスタチン、メトトレキサートが挙げられる。
併用する化学療法に用いられる植物アルカロイドとしては、イリノテカン、エトポシド、ソブゾキサン、ドセタキセル、ノギテカン、パクリタキセル、ビノレルビン、ビンクリスチン、ビンデシン、ビンブラスチンが挙げられる。
併用する化学療法に用いられる抗がん性抗生物質としては、アクチノマイシンD、アクラルビシン、イダルビシン、エピルビシン、ダウノルビシン、ドキソルビシン(アドリアマイシン)、ピラルビシン、ブレオマイシン、ぺプロマイシン、マイトマイシンC、ミトキサントロンが挙げられる。
【0033】
併用する化学療法に用いられるプラチナ製剤としては、オキサリプラチン、カルボプラチン、シスプラチン、ネダプラチンが挙げられる。
併用する化学療法に用いられるホルモン剤としては、アナストロゾール、エキセメスタン、エチニルエストラジオール、クロルマジノン、ゴセレリン、タモキシフェン、ビカルタミド、フルタミド、プレドニゾロン、リュープロレリン、レトロゾールが挙げられる。
併用する化学療法に用いられる生物学的応答調節剤としては、インターフェロン−α、インターフェロン−β、インターフェロン−γ、インターロイキン2、ウベニメクス、乾燥BCG、レンチナンが挙げられる。
【0034】
化学療法の併用において、二酸化炭素を溶解した液体に、親水性化学療法剤、もしくは疎水性化学療法剤を、当該液体の物性に応じて、二酸化炭素とともに、溶解もしくは懸濁して用いることができる。その場合、化学療法剤の使用量を通常より少なくして、抗腫瘍作用を二酸化炭素で補いつつ、副作用を低減することができる。あるいは、化学療法剤の使用量を通常通りとし、通常の副作用が現れるものの、抗腫瘍作用を二酸化炭素でさらに増強することも可能である。
【0035】
本発明の、液体注入手段を用いて投与される、二酸化炭素を溶解した液体よりなる液状医薬を用いた治療方法と併用する免疫療法としては、能動免疫療法として、サイトカイン療法、免疫賦活剤等が挙げられる。また、受動免疫療法(免疫細胞療法)として、高度活性化NK細胞療法や活性リンパ球療法等が挙げられる。
免疫療法の併用において、二酸化炭素を溶解した液体に、親水性免疫療法剤、もしくは疎水性免疫療法剤を、当該液体の物性に応じて、二酸化炭素とともに、溶解もしくは懸濁して用いることができる。その場合、免疫療法剤の使用量を通常より少なくして、抗腫瘍作用を二酸化炭素で補いつつ、副作用を低減することができる。あるいは、免疫療法剤の使用量を通常通りとし、通常の副作用が現れるものの、抗腫瘍作用を二酸化炭素でさらに増強することも可能である。
【0036】
本発明の、液体注入手段を用いて投与される、二酸化炭素を溶解した液体よりなる液状医薬を用いた治療方法を、自己免疫疾患の治療において、非ステロイド性抗炎症剤、ステロイド性抗炎症剤、免疫抑制剤、血漿交換療法と併用する場合、これらによる治療を行うたびに注入しても、あるいは、これらによる治療を行わない日に、注入してもよい。非ステロイド性抗炎症剤、ステロイド性抗炎症剤、免疫抑制剤と併用する場合、二酸化炭素を含む液体に、これらを同時に溶解、もしくは懸濁させてもよい。
【0037】
本発明の、液体注入手段を用いて投与される、二酸化炭素を溶解した液体よりなる液状医薬を用いた治療方法に併用する非ステロイド性抗炎症剤としては、アセチルサリチル酸、サリチルアミド、サリチル酸ナトリウム、ジフルニサル、エテンザミドなどのサリチル酸系抗炎症剤が、アセメタシン、アンフェナクナトリウム、インドメタシン、エトドラク、ジクロフェナクナトリウム、スリンダク、ナブメトン、フェンブフェン、マレイン酸プログルメタシン、モフェゾラクなどのアリール酢酸系抗炎症剤が、アンピロキシカム、テノキシカム、ピロキシカム、メロキシカム、ロルノキシカムなどのオキシカム系抗炎症剤が、アルミノプロフェン、イブプロフェン、オキサプロジン、ケトプロフェン、ザルトプロフェン、チアプロフェン酸、ナプロキセン、フェノプロフェン、フルルビプロフェン、プラノプロフェン、ロキソプロフェンナトリウムなどのプロピオン酸系抗炎症剤が、トルフェナム酸、フルフェナム酸アルミニウム、メフェナム酸などのフェナム酸系抗炎症剤が、ブコロームなどのピリミジン系抗炎症剤が、セレコキシブ、バルデコキシブ、ルミラコキシブ、パレコキシブナトリウムなどのコキシブ系抗炎症剤が、エモルファゾン、エピリゾール、塩酸チアラミドなどの塩基性抗炎症剤が挙げられる。
ステロイド性抗炎症剤としては、コハク酸ヒドロコルチゾン、コハク酸ヒドロコルチゾンナトリウム、コハク酸プレドニゾロンナトリウム、コハク酸メチルプレドニゾロン、コハク酸メチルプレドニゾロンナトリウム、デキサメタゾン、トリアムシノロン、トリアムシノロンアセトニド、パルミチン酸デキサメタゾン、ヒドロコルチゾン、プレドニゾロン、ベタメタゾン、メチルプレドニゾロン、リン酸デキサメタゾンナトリウム、リン酸ヒドロコルチゾンナトリウム、リン酸プレドニゾロンナトリウム、リン酸ベタメタゾンナトリウム、酢酸コルチゾン、酢酸デキサメタゾン、酢酸パラメタゾン、酢酸ハロプレドン、酢酸フルドロコルチゾン、酢酸メチルプレドニゾロンなどが挙げられる。
免疫抑制剤としては、上記のステロイド性抗炎症剤、シクロフォスファミドなどのアルキル化剤、アントラサイクリン、ダクチノマイシン、マイトマイシンC、ミトラマイシン、ブレオマイシン等の細胞障害性抗生物質、アダリムマブ、インフリキシマブ、エタネルセプト、トシリズマブなどのサイトカイン阻害薬、アザチオプリン、ミコフェノール酸、ミコフェノール酸モフェチル、レフルノミド、メルカプトプリン、メトトレキサート、メルカプトプリンメルカプトプリン、メトトレキサートなどの代謝拮抗剤、エベロリムス、シクロスポリン、シロリムス、タクロリムス、テムシロリムスなどの特異的リンパ球シグナル伝達阻害薬、CD3やCD25などのIL−2受容体タンパクに対する抗体、インターフェロンなどのサイトカインが挙げられる。
【0038】
非ステロイド性抗炎症剤、ステロイド性抗炎症剤、免疫抑制剤(以下、自己免疫疾患用剤)の併用において、本発明の、液体注入手段を用いて投与される、二酸化炭素を溶解した液体よりなる液状医薬を用いた治療方法において、親水性自己免疫疾患用剤、もしくは疎水性自己免疫疾患用剤を、当該液体の物性に応じて、二酸化炭素とともに、溶解もしくは懸濁して用いることができる。その場合、自己免疫疾患用剤の使用量を通常より少なくして、その作用を二酸化炭素で補ったり増強したりしつつ、副作用を低減することができる。あるいは、自己免疫疾患用剤の使用量を通常通りとし、その作用を二酸化炭素でさらに増強することも可能である。
【実施例】
【0039】
次に試験例及び実施例をあげて本発明について具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0040】
試験例1 ウサギの移植腫瘍に対する抗腫瘍効果1(二酸化炭素を溶解する液体として生理食塩液を使用)
[試験方法]
VX2腫瘍移植後3週目の14週齢のウサギ(日本白色家兎)4匹(対照群:3匹、二酸化炭素群:1匹)を試験に用いた。腫瘍体積は、移植腫瘍塊の(最大径)×(最小径)×(最小径)×1/2で求めた。腫瘍体積の計測は、試験開始前、及び試験6日目に行った。二酸化炭素群は、腫瘍と反対側の露出した大腿動脈より、太さ5Frのカテーテルを、腹部大動脈分岐部上まで挿入して中心静脈リザーバーポートに接続し、大腿部皮下に埋設した。実施例1で得た二酸化炭素を溶解した生理食塩液を、試験1日目と3日目に、前記リザーバーポートより5ml/分の速度で1回25ml投与した。
対照群は、移植腫瘍に対し、何の治療も行わず、二酸化炭素群と同様に飼育した。
[試験結果]
試験開始前の腫瘍体積と比較すると、対照群では、それぞれ38%、52%、119%腫瘍体積が増加したが、二酸化炭素群では25%減少した(図1)。この間、両群で死亡例はなかった。
【0041】
試験例2 ウサギの移植腫瘍に対する抗腫瘍効果2(二酸化炭素を溶解する液体として生理食塩液を使用)
[試験方法]
VX2腫瘍移植後3週目の14週齢のウサギ(日本白色家兎)6匹(対照群:3匹、二酸化炭素群:3匹)を試験に用いた。腫瘍体積は、移植腫瘍塊の(最大径)×(最小径)×(最小径)×1/2で求めた。腫瘍体積の計測は、試験開始前、及び試験6日目に行った。二酸化炭素群は、試験1日目に腫瘍と同側の露出した大腿動脈を、逆行性に24G針で穿刺し、注射筒を用いて実施例1で得た二酸化炭素を溶解した生理食塩液50mlを5ml/分の速さで投与した。
対照群は、移植腫瘍に対し、何の治療も行わず、二酸化炭素群と同様に飼育した。
試験終了後、腫瘍を採取してパラフィン切片を作製し、アポトーシス解析キット[Apodirect kitTM:ベクトンデッキンソン社製]を用いて、TUNEL法によりDNA断片を蛍光標識し、蛍光顕微鏡(BZ-8100、キーエンス社製)を用いてDNAの定量を行い、アポトーシスを評価した。
[試験結果]
試験開始前の腫瘍体積と比較すると、対照群では、試験6日目にt検定により統計学的有意差を持って約70%腫瘍体積が増加した。一方、二酸化炭素群では、試験6日目にt検定により統計学的有意差を持って約10%腫瘍体積が減少し、同じく試験6日目の対照群の腫瘍体積の半分程度となった(図2)。この間、両群で体重減少はなかった(図3)。また、両群で死亡例はなかった。
TUNEL法によるアポトーシスの評価において、対照群の組織と比較して、二酸化炭素群の組織で多くのDNA断片が蛍光標識され、より多くのアポトーシスが起こったことが示された。
【0042】
試験例3 ウサギの移植腫瘍に対する抗腫瘍効果3(二酸化炭素を溶解する液体として生理食塩液を使用)
[試験方法]
VX2腫瘍移植後3週目の14週齢のウサギ(日本白色家兎)8匹(対照群:4匹、二酸化炭素群:4匹)を試験に用いた。腫瘍体積は、移植腫瘍塊の(最大径)×(最小径)×(最小径)×1/2で求めた。腫瘍体積の計測は、試験開始前、及び試験3日目に行った。二酸化炭素群は、試験1日目に腫瘍と同側の露出した大腿動脈を、逆行性に24G針で穿刺し、注射筒を用いて実施例1で得た二酸化炭素を溶解した生理食塩液50mlを5ml/分の速さで投与した。
対照群は、移植腫瘍に対し、何の治療も行わず、二酸化炭素群と同様に飼育した。
試験終了後、腫瘍を採取してパラフィン切片を作製し、アポトーシス解析キット[Apodirect kitTM:ベクトンデッキンソン社製]を用いて、TUNEL法によりDNA断片を蛍光標識し、蛍光顕微鏡(BZ-8100、キーエンス社製)を用いてDNAの定量を行い、アポトーシスを評価した。また、採取した腫瘍からタンパク質を抽出し、Caspase-3抗体(Cell Signaling Technology社製)を用い、ウエスタンブロッティング法で、アポトーシスを評価した。
[試験結果]
試験開始前の腫瘍体積と比較すると、対照群では、試験3日目にt検定により統計学的有意差を持って約30%腫瘍体積が増加した。一方、二酸化炭素群では試験3日目にt検定により統計学的有意差を持って約25%腫瘍体積が減少し、同じく試験3日目の対照群の腫瘍体積の60%程度となった(図4)。この間、両群で体重減少はなかった(図5)。また、両群で死亡例はなかった。
TUNEL法によるアポトーシスの評価において、対照群の組織と比較して、二酸化炭素群の組織で多くのDNA断片が蛍光標識され、より多くのアポトーシスが起こったことが示された。更に、対照群と比較して、二酸化炭素群で不活性型のCaspase-3(full-length)が減少し、活性型のCaspase-3(Cleaved)が増加したことからも、二酸化炭素群でより多くのアポトーシスが起こったことが示された。
【0043】
試験例4 健常ブタに対する安全性(二酸化炭素を溶解する液体として生理食塩液を使用)
[試験方法]
体重51kgのメスの実験用ミニブタ(Swine W/L)を試験に用いた。カテーテルの先端をブタの腹腔動脈に留置し、実施例1で得た二酸化炭素を溶解した生理食塩液を100mL/分の速さで投与した。当該ブタの右の内頚動脈より血液サンプルを5分後ごとに採取し、血液ガス分析装置(AVL OPTI Critical Care Analyzer)で血液のpH、二酸化炭素分圧、酸素分圧を測定し、体温計で体温を測定した。二酸化炭素を溶解した生理食塩液は総量2、500mLを注入した。
[試験結果]
体温は、0.6−0.7度上昇したが、生理学的に問題がない範囲であった(図6)。
動脈血のpHは、二酸化炭素を溶解した生理食塩液がpH4.62であるにもかかわらず、わずかに低下したのみで、生理学的に問題がない範囲であった(図7)。
動脈血二酸化炭素分圧は、2−6mmHg程度上昇したが、生理学的に問題がない範囲であった(図8)。
動脈血酸素分圧は、試験開始10分後の値を除き、15−25mmHg上昇し、酸素供給が増える好ましい結果を示した(図9)。試験開始10分後の値は、試験操作の不備によると考えられる。
【0044】
実施例1
液化二酸化炭素ボンベのレギュレーターにシリコンチューブを接続し、当該シリコンチューブに注射針(太さ18G)をつけた。当該注射針をプラスチックバッグ入り生理食塩液(250ml;pH6.34)のゴム栓に挿すとともに、過剰な二酸化炭素を逃がすための、別の針を当該プラスチックバッグ上部の生理食塩液がない部分に刺して、二酸化炭素を1リットル/分の速さで5分間バブリングし、二酸化炭素を溶解した生理食塩液(pH4.62)を製造した。
実施例2
29歳男性の前腕より真空採血管を用いて採血した静脈血5mlに、血液凝固防止のための3.8%クエン酸ナトリウム水溶液0.5mlを加え、二酸化炭素溶解用の液体(pH7.21)を調製した。液化二酸化炭素ボンベのレギュレーターにシリコンチューブを接続し、当該シリコンチューブに注射針(太さ18G)をつけた。当該注射針を前記採血管に挿入し、二酸化炭素を0.5リットル/分の速さで3分間バブリングし、二酸化炭素を溶解した血液(pH6.83)を得た。
実施例3
液化二酸化炭素ボンベのレギュレーターにシリコンチューブを接続し、当該シリコンチューブに注射針(太さ18G)をつけた。当該注射針を精製ダイズ油20%含有プラスチックバッグ入り脂肪乳剤(100ml;製品名イントラリポス、大塚製薬工場製、pH7.21)のゴム栓に挿すとともに、過剰な二酸化炭素を逃がすための、別の針を当該プラスチックバッグ上部の脂肪乳剤がない部分に刺して、二酸化炭素を1リットル/分の速さで5分間バブリングし、二酸化炭素を溶解した脂肪乳剤(pH4.67)を製造した。
【0045】
以上の結果から明らかなように、本発明の、二酸化炭素を溶解した液体からなり、液体注入手段を用いて投与される液状医薬及び、本発明の、液体注入手段を用いて投与される、二酸化炭素を含む液体よりなる液状医薬を用いる治療方法は、体重減少などの副作用がなく、腫瘍を縮小させる。この抗腫瘍作用は、腫瘍細胞のアポトーシス誘導に基づくものである。本発明の、二酸化炭素を溶解した液体からなる液状医薬及び、本発明の、液体注入手段を用いて投与される、二酸化炭素を溶解した液体よりなる液状医薬を用いる治療方法は、作用機序等が異なる、既存の腫瘍治療法との組み合わせで、相乗もしくは相加効果を示すとともに、副作用が少ない、もしくは弱い、優れた腫瘍の治療方法を提供する。
アポトーシス誘導能が低下、ないしは消失したために発生、もしくは進展すると考えられる自己免疫疾患に対しても、本発明の、二酸化炭素を溶解した液体からなり、液体注入手段を用いて投与される液状医薬及び、本発明の、液体注入手段を用いて投与される、二酸化炭素を溶解した液体よりなる液状医薬を用いた治療方法は、有効性と安全性に優れる。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明の、二酸化炭素を溶解した液体からなり、液体注入手段を用いて投与される液状医薬及び、本発明の、液体注入手段を用いて投与される、二酸化炭素を溶解した液体よりなる液状医薬を用いる治療方法は、副作用をほとんど伴わずに腫瘍を縮小もしくは消失させ、転移を抑制することができる。また、腫瘍の外科療法、化学療法、放射線療法、免疫療法と併用することにより、それらの単独療法もしくは集学的療法に比べて、効果を増強したり、副作用を低減できたりする。自己免疫疾患に対しても、同様に有効かつ安全性が高い。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【国際調査報告】