(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO2014050932
(43)【国際公開日】20140403
【発行日】20160822
(54)【発明の名称】ネダニ類の防除剤
(51)【国際特許分類】
   A01N 47/34 20060101AFI20160725BHJP
   A01N 43/88 20060101ALI20160725BHJP
   A01N 47/38 20060101ALI20160725BHJP
   A01N 43/76 20060101ALI20160725BHJP
   A01N 43/713 20060101ALI20160725BHJP
   A01P 7/02 20060101ALI20160725BHJP
   A01N 25/00 20060101ALI20160725BHJP
【FI】
   !A01N47/34 C
   !A01N43/88 101
   !A01N47/38 Z
   !A01N43/76
   !A01N43/713
   !A01P7/02
   !A01N25/00 102
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】15
【出願番号】2014538576
(21)【国際出願番号】JP2013075990
(22)【国際出願日】20130926
(31)【優先権主張番号】2012213884
(32)【優先日】20120927
(33)【優先権主張国】JP
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ
(71)【出願人】
【識別番号】000232623
【氏名又は名称】日本農薬株式会社
【住所又は居所】東京都中央区京橋1丁目19番8号
(74)【代理人】
【識別番号】100077012
【弁理士】
【氏名又は名称】岩谷 龍
(72)【発明者】
【氏名】諏訪 明之
【住所又は居所】大阪府河内長野市小山田町345 日本農薬株式会社総合研究所内
【テーマコード(参考)】
4H011
【Fターム(参考)】
4H011AC04
4H011BA01
4H011BB09
4H011BB10
4H011BB14
4H011BC01
4H011BC07
4H011BC09
4H011BC19
4H011BC20
4H011DA02
4H011DA15
4H011DA16
4H011DC03
4H011DC05
4H011DC06
4H011DC08
4H011DH03
(57)【要約】
主としてユリ科作物に加害するネダニ類の防除に有効な薬剤を創出することを目的とし、ベンゾイルフェニルウレア系殺虫剤、ブプロフェジン、ヘキシチアゾクス、エトキサゾール、又はクロフェンテジンを有効成分とすることを特徴とするネダニ類の防除剤を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベンゾイルフェニルウレア系殺虫剤、ブプロフェジン、ヘキシチアゾクス、エトキサゾール、又はクロフェンテジンを有効成分とすることを特徴とするネダニ類の防除剤。
【請求項2】
ベンゾイルフェニルウレア系殺虫剤が、フルフェノクスロン、ルフェヌロン、ノバルロン、テフルベンズロン、ヘキサフルムロン、ノビフルムロン、クロルフルアズロン、ジフルベンズロンである請求項1に記載の防除剤。
【請求項3】
ネダニ類が、ロビンネダニ(Rhizoglyphus robini)、ネダニモドキ属の一種(Sancassania sp.)、又はゴミコナダニ属の一種(Caloglyphus sp.)のコナダニ類である請求項1に記載の防除剤。
【請求項4】
フルフェノクスロン、ブプロフェジン、ヘキシチアゾクス、又はエトキサゾールの有効量を、周辺土壌又は対象作物に処理することを特徴とする請求項1に記載のネダニ類の防除剤の使用方法。
【請求項5】
フルフェノクスロン、ブプロフェジン、ヘキシチアゾクス、又はエトキサゾールの有効量を、周辺土壌又は対象作物に処理することを特徴とするネダニ類の防除方法。
【請求項6】
フルフェノクスロン、ブプロフェジン、ヘキシチアゾクス、又はエトキサゾールの有効量を、周辺土壌に灌中処理することを特徴とするネダニ類の防除方法。
【請求項7】
防除対象作物がユリ科作物である請求項1に記載の防除剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ネダニ類に対する有効な防除剤及びその防除方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ネダニ類は広食性の有害害虫であり、わが国においては、ラッキョウ、ネギ、ユリ等のユリ科作物に深刻な被害を及ぼすことがある。かかる作物は比較的主要な作物ではなかったため、ネダニ類は、重要な防除対象害虫とは見なされていなかった。しかし、これらの作物が特定地域における特産物として重要な地位を占めるようになるにつれ、その発生と被害が深刻化してきた。古くからネダニ類の防除には作物や栽培法を考慮した様々な方法が実施されてきたが、現在では数種類の有機リン剤による防除が主流となっている(非特許文献1参照)。
【0003】
しかし、近年、ネダニ類の防除に使用されている薬剤で慣行防除を行っても充分な効果が得られない事例が散見されるようになり、ネダニ類の防除に有効な薬剤の創出が望まれている。
【0004】
一方、現在までに作用性の異なる数多くの殺虫剤及び殺ダニ剤が開発されている。その中で、ベンゾイルフェニルウレア系殺虫剤(フルフェノクスロン、ルフェヌロン、ノバルロン、テフルベンズロン、ヘキサフルムロン、ノビフルムロン、クロルフルアズロン、ジフルベンズロン)、ブプロフェジン、ヘキシチアゾクス、エトキサゾール及びクロフェンテジンは、昆虫の脱皮に影響を与え、その結果害虫を防除すること(Insect Growth Regulator:IGR)が報告されている(非特許文献2、3参照)。 しかしながら、これらの殺虫剤及び殺ダニ剤が、ネダニ類に有効であるか否かについては、知られていなかった。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】日本応用動物昆虫学会誌 第30巻 第4号:290−295(1986)
【非特許文献2】研究ジャーナル 第34巻 第10号:17−21(2011)
【非特許文献3】日本農薬学会誌 26,215−223(2001)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記の状況に鑑み、本発明は、従来の慣行防除で使用されている薬剤に対して抵抗性を有しているネダニ類に対しても充分な防除効果を持つ、ネダニ類の新規な防除剤を提供することを課題とする。また、本発明は、前記ネダニ類の防除方法及び、前記防除剤の使用方法を提供することも課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するため、本発明者は鋭意検討を行った結果、驚くべきことに昆虫の脱皮に影響を与える薬剤、即ちベンゾイルフェニルウレア系殺虫剤、ブプロフェジン、ヘキシチアゾクス、及びエトキサゾールが、ネダニ類に対して優れた防除効果を示すことを見出し、本発明を完成させた。
【0008】
即ち、本発明は、
[1]ベンゾイルフェニルウレア系殺虫剤、ブプロフェジン、ヘキシチアゾクス、エトキサゾール、又はクロフェンテジンを有効成分とすることを特徴とするネダニ類の防除剤、
[2]ベンゾイルフェニルウレア系殺虫剤が、フルフェノクスロン、ルフェヌロン、ノバルロン、テフルベンズロン、ヘキサフルムロン、ノビフルムロン、クロルフルアズロン、ジフルベンズロンである[1]に記載の防除剤、
[3]ネダニ類が、ロビンネダニ(Rhizoglyphus robini)、ネダニモドキ属の一種(Sancassania sp.)、又はゴミコナダニ属の一種(Caloglyphus spp.)である[1]に記載の防除剤、
[4]フルフェノクスロン、ブプロフェジン、ヘキシチアゾクス、又はエトキサゾールの有効量を、周辺土壌又は対象作物に処理することを特徴とする[1]に記載のネダニ類の防除剤の使用方法、
[5]フルフェノクスロン、ブプロフェジン、ヘキシチアゾクス、又はエトキサゾールの有効量を、周辺土壌又は対象作物に処理することを特徴とするネダニ類の防除方法、
[6]フルフェノクスロン、ブプロフェジン、ヘキシチアゾクス、又はエトキサゾールの有効量を、周辺土壌に灌中処理することを特徴とするネダニ類の防除方法、
[7]防除対象作物がユリ科作物である[1]に記載の防除剤、
に関する。
【発明の効果】
【0009】
本発明の防除剤によれば、従来の慣行防除で使用されている薬剤に対して、抵抗性を有しているネダニ類に対しても、有効に防除効果を発揮する。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明において、「ネダニ類」とは、好ましくは、作物の地下部に寄生加害し、外観的にネダニ(Rhizoglyphus echinopus (FUMOUZE et ROBIN))と紛らわしい形態をしているものを包含し、具体的には、ネダニモドキ属の一種(Sancassania spp.)、ゴミコナダニ属の一種(Caloglyphus spp.)等を含めたネダニ亜科のものを包含する。なお、本発明における「ネダニ類」は、ラッキョウ、ニラ、ニンニク、タマネギ、ネギ、チューリップ、ユリ等のユリ科に属する作物の根部又は球根部を特異的に加害する点で、ホウレンソウケナガコナダニ等のケナガコナダニ類とは異なる(江原昭三・後藤哲雄編(2009年5月29日初版)「原色植物ダニ検索図鑑」全国農村教育協会)。
また、本発明において「ユリ科作物」とは、新エングラー体系による分類で「ユリ科」に属する作物をいう。
【0011】
本発明の防除剤の有効成分としては、ベンゾイルフェニルウレア系殺虫剤(フルフェノクスロン、ルフェヌロン、ノバルロン、テフルベンズロン、ヘキサフルムロン、ノビフルムロン、クロルフルアズロン、ジフルベンズロン)、ブプロフェジン、ヘキシチアゾクス、エトキサゾール、及びクロフェンテジンを用いることができ、これらは単独で又は2種以上を組合せて用いてもよい。また、これらの有効成分は、SHIBUYA INDEX‐2010‐(15th Edition)に記載の公知化合物であり、農園芸用殺虫剤又は殺ダニ剤として市販されているため、かかる市販品を使用してもよく、又は公知の方法で製造したものを使用してもよい。
本発明の防除剤の上記有効成分のうち、フルフェノクスロン、ブプロフェジン、ヘキシチアゾクス、及びエトキサゾールが好ましく。更に好ましくは、ブプロフェジンである。
【0012】
本発明の防除剤の有効成分であるベンゾイルフェニルウレア系殺虫剤(フルフェノクスロン、ルフェヌロン、ノバルロン、テフルベンズロン、ヘキサフルムロン、ノビフルムロン、クロルフルアズロン、ジフルベンズロン)、ブプロフェジン、ヘキシチアゾクス、エトキサゾール、及びクロフェンテジンの本発明の防除剤100質量部中の配合割合は必要に応じて加減することができ、通常100質量部中、0.01〜90質量部の範囲から適宜選択して使用すれば良く、好ましくは0.1質量部〜50質量部の範囲である。
【0013】
本発明の防除剤の使用量は、種々の因子、例えば、作物の生育状況、天候、環境条件、剤型、施用方法、施用場所、施用時期等により変動するが、有効成分化合物として10アール当たり1g〜10kg、好ましくは5g〜5kgの範囲から適宜選択すれば良い。
【0014】
本発明の防除剤は、他の成分を加えずそのまま用いても良いが、通常は農薬製剤上の常法に従い使用上都合の良い形状に製剤して使用することが好ましい。即ち、適当な不活性担体に、又は必要に応じて補助剤と一緒に適当な割合に配合して溶解、分離、懸濁、混合、含浸、吸着若しくは付着させて適宜の剤型、例えば、懸濁剤、乳剤、液剤、水和剤、顆粒水和剤、粒剤、粉剤、錠剤、パック剤等に製剤して使用できる。
【0015】
本発明で使用できる不活性担体は固体又は液体の何れであっても良い。固体の担体としては、例えば、ダイズ粉、穀物粉、木粉、樹皮粉、鋸粉、タバコ茎粉、クルミ殻粉、ふすま、繊維素粉末、植物エキス抽出後の残渣、粉砕合成樹脂等の合成重合体、粘土類(例えば、カオリン、ベントナイト、酸性白土等)、タルク類(例えば、タルク、ピロフィライト等)、シリカ類{例えば、珪藻土、珪砂、雲母、ホワイトカーボン(含水微粉珪素、含水珪酸ともいわれる合成高分散珪酸で、製品により珪酸カルシウムを主成分として含むものもある。)}、活性炭、イオウ粉末、軽石、焼成珪藻土、レンガ粉砕物、フライアッシュ、砂、炭酸カルシウム、燐酸カルシウム等の無機鉱物性粉末、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニリデン等のプラスチック担体、硫安、燐安、硝安、尿素、塩安等の化学肥料、堆肥等を挙げることができ、これらは単独で若しくは二種以上の混合物の形で使用できる。
【0016】
液体担体としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール等の一価アルコール類や、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ヘキシレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、グリセリン等の多価アルコール類のようなアルコール類;プロピレングリコールエーテル等の多価アルコール化合物類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;エチルエーテル、ジオキサン、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル類;ノルマルパラフィン、ナフテン、イソパラフィン、ケロシン、鉱油等の脂肪族炭化水素類;ベンゼン、トルエン、キシレン、ソルベントナフサ、アルキルナフタレン等の芳香族炭化水素類;ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素類、酢酸エチル、ジイソプロピルフタレート、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレート、アジピン酸ジメチル等のエステル類;γ-ブチロラクトン等のラクトン類、ジメチルホルムアミド、ジエチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N-アルキルピロリジノン等のアミド類;アセトニトリル等のニトリル類;ジメチルスルホキシド等の硫黄化合物類;大豆油、ナタネ油、綿実油、ヒマシ油等の植物油;水等を挙げることができる。これらは単独で用いてもよいし、また、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0017】
分散剤や湿展剤として用いる界面活性剤としては、例えばソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン樹脂酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸ジエステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンジアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルホルマリン縮合物、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマー、ポリスチレンポリオキシエチレンブロックポリマー、アルキルポリオキシエチレンポリプロピレンブロックコポリマーエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、ポリオキシエチレン脂肪酸ビスフェニルエーテル、ポリアルキレンベンジルフェニルエーテル、ポリオキシアルキレンスチリルフェニルエーテル、アセチレンジオール、ポリオキシアルキレン付加アセチレンジオール、ポリオキシエチレンエーテル型シリコーン、エステル型シリコーン、フッ素系界面活性剤、ポリオキシエチレンひまし油、ポリオキシエチレン硬化ひまし油等の非イオン性界面活性剤、アルキル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル硫酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルアリールスルホン酸塩、リグニンスルホン酸塩、アルキルスルホコハク酸塩、ナフタレンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸のホルマリン縮合物の塩、アルキルナフタレンスルホン酸のホルマリン縮合物の塩、脂肪酸塩、ポリカルボン酸塩、ポリアクリル酸塩、N-メチル-脂肪酸サルコシネート、樹脂酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルリン酸塩等のアニオン性界面活性剤、ラウリルアミン塩酸塩、ステアリルアミン塩酸塩、オレイルアミン塩酸塩、ステアリルアミン酢酸塩、ステアリルアミノプロピルアミン酢酸塩、アルキルトリメチルアンモニウムクロライド、アルキルジメチルベンザルコニウムクロライド等のアルキルアミン塩等のカチオン界面活性剤、アミノ酸型又はベタイン型等の両性界面活性剤等が挙げられる。これらの界面活性剤は単独で用いてもよいし、また、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0018】
結合剤や粘着付与剤としては、例えばカルボキシメチルセルロースやその塩、デキストリン、水溶性デンプン、キサンタンガム、グアーガム、蔗糖、ポリビニルピロリドン、アラビアゴム、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセテート、ポリアクリル酸ナトリウム、平均分子量6000〜20000のポリエチレングリコール、平均分子量10万〜500万のポリエチレンオキサイド、燐脂質(例えばセファリン、レシチン等)、セルロース粉末、デキストリン、加工デンプン、ポリアミノカルボン酸キレート化合物、架橋ポリビニルピロリドン、マレイン酸とスチレン類の共重合体、(メタ)アクリル酸系共重合体、多価アルコールからなるポリマーとジカルボン酸無水物とのハーフエステル、ポリスチレンスルホン酸の水溶性塩、パラフィン、テルペン、ポリアミド樹脂、ポリアクリル酸塩、ポリオキシエチレン、ワックス、ポリビニルアルキルエーテル、アルキルフェノールホルマリン縮合物、合成樹脂エマルション等が挙げられる。
【0019】
増粘剤としては、例えばキサンタンガム、グアーガム、ダイユウタンガム、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー、アクリル系ポリマー、デンプン誘導体、多糖類のような水溶性高分子、高純度ベントナイト、フュームド シリカ(fumed silica, ホワイトカーボン)のような無機微粉等が挙げられる。
【0020】
着色剤としては、例えば酸化鉄、酸化チタン、プルシアンブルーのような無機顔料、アリザリン染料、アゾ染料、金属フタロシアニン染料のような有機染料等が挙げられる。
【0021】
凍結防止剤としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン等の多価アルコール類等が挙げられる。
【0022】
固結防止や崩壊促進のための補助剤としては、例えばデンプン、アルギン酸、マンノース、ガラクトース等の多糖類、ポリビニルピロリドン、フュームド シリカ(fumed silica, ホワイトカーボン)、エステルガム、石油樹脂、トリポリリン酸ナトリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウム、ステアリン酸金属塩、セルロース粉末、デキストリン、メタクリル酸エステルの共重合体、ポリビニルピロリドン、ポリアミノカルボン酸キレート化合物、スルホン化スチレン・イソブチレン・無水マレイン酸共重合体、デンプン・ポリアクリロニトリルグラフト共重合体等が挙げられる。
【0023】
分解防止剤としては、例えばゼオライト、生石灰、酸化マグネシウムのような乾燥剤、フェノール化合物、アミン化合物、硫黄化合物、リン酸化合物等の酸化防止剤、サリチル酸化合物、ベンゾフェノン化合物等の紫外線吸収剤等が挙げられる。
【0024】
防腐剤としては、例えばソルビン酸カリウム、1,2-ベンゾチアゾリン-3-オン等が挙げられる。更に必要に応じて機能性展着剤、ピペロニルブトキサイド等の代謝分解阻害剤等の活性増強剤、プロピレングリコール等の凍結防止剤、BHT等の酸化防止剤、紫外線吸収剤等その他の補助剤も使用することができる。
【0025】
本発明の防除剤の使用対象としてのダニ類は、シクラメンホコリダニ(Phytonemus pallidus)、チャノホコリダニ(Polyphagotarsonemus latus)、スジブトホコリダニ(Tarsonemus bilobatus)等のホコリダニ類;ハクサイダニ(Penthaleus erythrocephalus)、ムギダニ(Penthaleus major)等のハシリダニ類;イネハダニ(Oligonychus shinkajii)、ミカンハダニ(Panonychus citri)、クワオオハダニ(Panonychus mori)、リンゴハダニ(Panonychus ulmi)、カンザワハダニ(Tetranychus kanzawai)、ナミハダニ(Tetranychus urticae)等のハダニ類;チャノナガサビダニ(Acaphylla theavagrans)、チューリップサビダニ(Aceria tulipae)、トマトサビダニ(Aculops lycopersici)、ミカンサビダニ(Aculops pelekassi)、リンゴサビダニ(Aculus schlechtendali)、ニセナシサビダニ(Eriophyes chibaensis)、シトラスラストマイト(Phyllocoptruta oleivora)等のフシダニ類;ネダニ(Rhizoglyphus echinopus (FUMOUZE et ROBIN))、ロビンネダニ(Rhizoglyphus robini)、ケナガコナダニ(Tyrophagus putrescentiae)、ホウレンソウケナガコナダニ(Tyrophagus similis)、ゴミコナダニ属の一種(Caloglyphus sp.)、ネダニモドキ属の一種(Sancassania sp.)等のコナダニ類;ミツバチヘギイタダニ(Varroa jacobsoni)等のハチダニ類;ローン・スターダニ(Amblyomma americanum)、メキシコ湾岸マダニ(Amblyomma maculatum)、オウシマダニ(Rhipicephalus microplus)、ロッキー山脈森林マダニ(Dermacentor andersoni)、西海岸マダニ(Dermacentor occidentalis)、アメリカンドッグティック(Dermacentor variabilis)、ツリガネチマダニ(Haemaphysalis campanulata)、キチマダニ(Haemaphysalis flava)、フタトゲチマダニ(Haemaphysalis longicornis)、オオトゲチマダニ(Haemaphysalis megaspinosa)、タネガタマダニ(Ixodes nipponensis)、ヤマトマダニ(Ixodes ovatus)、西部クロアシマダニ(Ixodes pacificus)、シュルツェマダニ(Ixodes persulcatus)、ヒツジダニ(Ixodes ricinus)、クロアシマダニ(Ixodes scapularis)、カズキダニ(Ornithodoros moubata pacificus)、クリイロコイタマダニ(Rhipicephalus sanguineus)等のマダニ類;ネコツメダニ(Cheyletiella blakei)、ウサギツメダニ(Cheyletiella parasitovorax)、イヌツメダニ(Cheyletiella yasguri)等のツメダニ類;イヌニキビダニ(Demodex canis)、ネコニキビダニ(Demodex cati)等のニキビダニ類;ウシキュウセンヒゼンダニ(Psoroptes communis)、ウサギキュウセンヒダニ(Psoroptes cuniculi)、ヒツジキュウセンダニ(Psoroptes ovis)等のキュウセンダニ類;ウシショクヒヒゼンダニ(Chorioptes bovis)、ネコショウセンコウヒゼンダニ(Notoedres cati)、イヌミミヒゼンダニ(Otodectes cynotis)、イヌセンコウヒゼンダニ(Sarcoptes scabiei)等のヒゼンダニ類が挙げられる。特に好ましくは、ネダニ(Rhizoglyphus echinopus (FUMOUZE et ROBIN)、ロビンネダニ(Rhizoglyphus robini)、ネダニモドキ属の一種(Sancassania sp.)、ゴミコナダニ属の一種(Caloglyphus sp.)等のネダニ類である。
【0026】
本発明の防除剤を使用できる植物は特に限定されるものではないが、例えば、穀類(例えば、イネ、オオムギ、コムギ、ライムギ、オートムギ、トウモロコシ、高粱等)、豆類(大豆、小豆、ソラ豆、エンドウ豆、落花生等)、果樹・果実類(リンゴ、柑橘類、梨、ブドウ、桃、梅、桜桃、クルミ、アーモンド、バナナ、イチゴ等)、野菜類(キャベツ、トマト、ホウレン草、ブロッコリー、レタス、タマネギ、ネギ、小ネギ、ピーマン、ニラ等)、根菜類(ニンジン、馬鈴薯、サツマイモ、大根、蓮根、カブ、ラッキョウ等)、加工用作物類(綿、麻、コウゾ、ミツマタ、菜種、ビート、ホップ、サトウキビ、テンサイ、オリーブ、ゴム、コーヒー、タバコ、茶等)、瓜類(カボチャ、キュウリ、スイカ、メロン等)、牧草類(オーチャードグラス、ソルガム、チモシー、クローバー、アルファルファ等)、芝類(高麗芝、ベントグラス等)、香料等用作物類(ラベンダー、ローズマリー、タイム、パセリ、胡椒、しょうが等)、花卉類(キク、バラ、蘭、ユリ等)等の植物が挙げられる。好ましくは、ラッキョウ、ネギ、ユリ、ニラ等のユリ科作物である。
【0027】
また、近年、遺伝子組み換え作物(除草剤耐性作物、殺虫性タンパク産生遺伝子を組み込んだ害虫耐性作物、病害に対する抵抗性誘導物質産生遺伝子を組み込んだ病害耐性作物、食味向上作物、保存性向上作物、収量向上作物等)、昆虫性フェロモン(ハマキガ類、ヨトウガ類の交信攪乱剤等)、又は天敵昆虫等を用いたIPM(総合的害虫管理)技術が進歩しており、本発明の防除剤はそれらの技術と併用、あるいは体系化して用いることができる。
【0028】
本発明の防除剤は、ネダニ類を防除するためにそのまま、又は水等で適宜希釈し、若しくは懸濁させた形でネダニ類防除に有効な量を当該ネダニ類の発生が予測される対象植物、周辺土壌、その種子又は播種するための栽培担体等に通常の方法を適用して使用すれば良い。具体的には、例えば、稲育苗箱施用又は種子粉衣等の施用方法、種子消毒法、植穴処理法、株元処理法、作条処理法、又は土壌混和法等の施用方法で使用することができる。また、例えば、果樹、穀類、又は野菜等の畑作において発生する各種ネダニ類に対しては、粉衣や浸漬等の種子処理;苗根の浸漬処理;播種時等の作条、育苗用の栽培容器や植え穴又は株元等の育苗担体等への潅注;表面散布又は混和処理等の後に潅水等して植物に吸収させる、等の方法で使用することにより実施できる。もしくは、水耕栽培における水耕液に、本発明の防除剤を処理しても良い。
【0029】
前記種子処理の方法としては、通常の方法に従って行えばよく、特に限定されないが、例えば、液状又固体状の製剤を希釈した液体状態又は希釈しないままでの液体状態の防除剤に種子を浸漬して薬剤を浸透させる方法;固形製剤又は液状製剤を種子と混和、粉衣処理等して種子の表面に付着させる方法;樹脂、ポリマー等の付着性の高い担体と混和して種子に単層又は多層にコーティングする方法;植え付けと同時に種子の近辺に散布する方法等をあげることができる。当該種子処理を行う対象である「種子」とは、広義には本発明における「繁殖用植物体」と同義であり、いわゆる種子の他、球根、塊茎、種芋、鱗茎、あるいは挿し木栽培用の茎等の栄養繁殖用の植物体を含むものである。
本発明の方法を実施する場合の「土壌」又は「栽培担体」とは、植物を栽培するための支持体を示すものであり、材質は特に制限されないが、植物が生育しうる材質であれば良く、例えば、いわゆる各種土壌、育苗マット、水等を含むものであり、砂、バーミキュライト、綿、紙、珪藻土、寒天、ゲル状物質、高分子物質、ロックウール、グラスウール、木材チップ、バーク、軽石等を含むこともできる。
【0030】
土壌への施用方法としては、例えば、液体又は固体製剤を水で希釈して又は希釈しない状態で、植物体の植え付け場所周辺の土壌又は育苗のための苗床等に施用する方法;粒剤を植物体の設置場所近辺又は苗床に散布する方法;播種前又は移植前に粉剤、水和剤、顆粒水和剤、粒剤等を散布し土壌全体と混和する方法;播種前又は植物体を植える前に植え穴、作条等に粉剤、水和剤、顆粒水和剤、粒剤等を散布する方法などが挙げられる。特に、液体又は固体製剤を水に希釈して又は希釈しない状態で、植物体の植え付け場所周辺土壌に処理する灌注処理が好ましい。
【0031】
水稲の育苗箱への施用方法としては、剤型は、例えば、播種時施用、緑化期施用、移植時施用など施用時期により異なる場合もあるが、粉剤、顆粒水和剤、粒剤等の剤型で施用すれば良い。培土との混和によっても施用することができ、培土と粉剤、顆粒水和剤又は粒剤等との混和、例えば、床土混和、覆土混和、培土全体への混和等することができる。単に、培土と各種製剤を交互に層状にして施用しても良い。播種時の施用の時期は播種の前、播種と同時、播種後いずれでも良く、覆土後に施用しても良い。
【0032】
畑作物、例えば馬鈴薯、サツマイモ、大豆等においては、播種から育苗期において、種子又は植物体に近接する栽培担体等への処理が好ましい。畑へ直接播種する植物においては、種子への直接の処理の他、栽培中の植物に近接する栽培担体等への処理が好適である。粒剤を用いた散布処理、あるいは水に希釈した液状薬剤又は希釈していない液状薬剤を用いた潅注処理を行うこと等ができる。
移植を行う栽培植物の播種、育苗期の処理としては、種子への直接の処理の他、育苗用の苗床への液状とした薬剤の潅注処理又は粒剤の散布処理ができる。又、定植時に粒剤を植え穴に処理したり、移植場所近辺の栽培担体に混和したりして処理することもできる。
【0033】
本発明の防除剤は、更に防除対象病害虫、防除適期の拡大のため、或いは薬量の低減をはかる目的で他の殺菌剤、殺虫剤、殺ダニ剤、殺線虫剤、生物農薬等と混合して使用することも可能であり、又、使用場面に応じて除草剤、植物成長調節剤、肥料等と混合して使用することもできる。
【実施例】
【0034】
次に実施例を挙げて具体的に説明するが発明の要旨を超えない限りそれらに限定されるものではない。以下に本発明の代表的な製剤例及び試験例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
尚、製剤例中、部とあるのは重量部を示す。
【0035】
製剤例1
ブプロフェジン 10部
キシレン 70部
N−メチルピロリドン 10部
ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルと
アルキルベンゼンスルホン酸カルシウムとの混合物 10部
以上を均一に混合溶解して乳剤とする。
【0036】
製剤例2
ブプロフェジン 3部
クレー粉末 82部
珪藻土粉末 15部
以上を均一に混合粉砕して粉剤とする。
【0037】
製剤例3
ブプロフェジン 5部
ベントナイトとクレーの混合粉末 90部
リグニンスルホン酸カルシウム 5部
以上を均一に混合し、適量の水を加えて混練し、造粒、乾燥して粒剤とする。
【0038】
製剤例4
ブプロフェジン 20部
カオリンと合成高分散珪酸 75部
ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルと
アルキルベンゼンスルホン酸カルシウムとの混合物 5部
以上を均一に混合粉砕して水和剤とする。
【0039】
次に、本発明の防除剤の有用性を試験例で示す。
【0040】
試験例1
ロビンネダニ(Rhizoglyphus robini)に対する効果試験
直径6cmの蓋付シャーレに直径5.5cmのろ紙を置いた。製剤例4の水和剤を所定濃度に希釈した薬液をろ紙上に1ml滴下した。その後オニオンパウダーを薬さじ1杯置いた。約1時間後にロビンネダニ(老齢‐成虫)を、ろ紙上に10頭放飼し、シャーレを25℃の温室に置いた。接種約2週間後に成虫が産下した次世代個体の生死を調査し、次世代密度抑制効果(%)を算出した。慣行防除剤として使用されているメチダチオンを対照薬剤とした。その結果を第1表に示す。
【0041】
試験例2
ネダニモドキの一種(Sancassania sp.)に対する効果試験
対象害虫を(Sancassania sp.)に変更し、試験例1と同じ方法で行い、次世代密度抑制効果(%)を算出した。結果を第2表に示す。
【0042】
試験結果
【0043】
【表1】
【0044】
【表2】
【0045】
第1表及び第2表から明らかなように、本願発明にかかる脱皮阻害作用を有する薬剤は、慣行防除剤として使用されているメチダチオンより、ネダニ類に対して低薬量で優れた次世代密度抑制効果を示した。
【国際調査報告】