(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO2014050951
(43)【国際公開日】20140403
【発行日】20160822
(54)【発明の名称】透明蒸着フィルム
(51)【国際特許分類】
   B32B 9/00 20060101AFI20160725BHJP
   C23C 14/02 20060101ALI20160725BHJP
   C23C 14/08 20060101ALI20160725BHJP
   C23C 14/58 20060101ALI20160725BHJP
   B65D 81/24 20060101ALI20160725BHJP
   B65D 81/30 20060101ALI20160725BHJP
   B65D 65/40 20060101ALI20160725BHJP
   B65D 85/72 20060101ALI20160725BHJP
【FI】
   !B32B9/00 A
   !C23C14/02 A
   !C23C14/08 A
   !C23C14/58 B
   !B65D81/24 N
   !B65D81/30 B
   !B65D81/24 G
   !B65D65/40 D
   !B65D85/72 F
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】49
【出願番号】2014538581
(21)【国際出願番号】JP2013076020
(22)【国際出願日】20130926
(31)【優先権主張番号】2012216418
(32)【優先日】20120928
(33)【優先権主張国】JP
(31)【優先権主張番号】2012216419
(32)【優先日】20120928
(33)【優先権主張国】JP
(31)【優先権主張番号】2012216420
(32)【優先日】20120928
(33)【優先権主張国】JP
(31)【優先権主張番号】2012216421
(32)【優先日】20120928
(33)【優先権主張国】JP
(31)【優先権主張番号】2012216422
(32)【優先日】20120928
(33)【優先権主張国】JP
(31)【優先権主張番号】2012216423
(32)【優先日】20120928
(33)【優先権主張国】JP
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ
(71)【出願人】
【識別番号】000002897
【氏名又は名称】大日本印刷株式会社
【住所又は居所】東京都新宿区市谷加賀町一丁目1番1号
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【弁理士】
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100140132
【弁理士】
【氏名又は名称】竹林 則幸
(72)【発明者】
【氏名】松井 茂樹
【住所又は居所】東京都新宿区市谷加賀町一丁目1番1号 大日本印刷株式会社内
(72)【発明者】
【氏名】飛鳥馬 達夫
【住所又は居所】東京都新宿区市谷加賀町一丁目1番1号 大日本印刷株式会社内
(72)【発明者】
【氏名】小室 照久
【住所又は居所】東京都新宿区市谷加賀町一丁目1番1号 大日本印刷株式会社内
(72)【発明者】
【氏名】宮間 洋
【住所又は居所】東京都新宿区市谷加賀町一丁目1番1号 大日本印刷株式会社内
(72)【発明者】
【氏名】後藤 貴和
【住所又は居所】東京都新宿区市谷加賀町一丁目1番1号 大日本印刷株式会社内
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 かおる
【住所又は居所】東京都新宿区市谷加賀町一丁目1番1号 大日本印刷株式会社内
(72)【発明者】
【氏名】松嵜 弘
【住所又は居所】東京都新宿区市谷加賀町一丁目1番1号 大日本印刷株式会社内
【テーマコード(参考)】
3E035
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【Fターム(参考)】
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(57)【要約】
プラズマ前処理装置を設けた前処理区画と、成膜区画を隔離し、直列に併設されたローラー式連続蒸着膜成膜装置を採用して、高速搬送される基材を、前処理ローラーと、プラズマ形成ガスを供給するプラズマ供給手段及び磁気形成手段であるマグネット21とで囲まれた空隙内に、基材Sに向けてプラズマを供給するプラズマ前処理手段により、プラズマPを電気的に正電位に設定した状態で、基材表面側に供給し、基材Sの表面に活性のある前処理表面を形成し、直ちに基材の前処理面に連続してAL−Cの共有結合を含む酸化アルミニウムを主成分とする無機酸化物蒸着膜を高速で成膜し、高密着性透明蒸着フィルムとする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくともプラスチック基材の表面に酸化アルミニウムを主成分とする無機酸化物蒸着膜を形成した層構成を有する透明蒸着フィルムにおいて、プラスチック基材と酸化アルミニウムを主成分とする無機酸化物蒸着膜との界面にAL−Cの共有結合を含むことを特徴とする透明蒸着フィルム。
【請求項2】
前記蒸着膜表面に、金属アルコキシドの加水分解生成物と水溶性高分子の混合溶液を塗布し、加熱乾燥してなるガスバリア性塗膜を有することを特徴とする請求項1記載の透明蒸着フィルム。
【請求項3】
60℃×90%RH環境下で500時間保管後のラミネート強度の測定によるプラスチック基材と蒸着膜間の密着強度が3.0N/15ミリメートル以上であることを特徴とする請求項1または2に記載の透明蒸着フィルム。
【請求項4】
121℃、60minの熱水処理後のラミネート強度の測定によるプラスチックフィルムと蒸着膜間の密着強度が3N/15mm以上であることを特徴とする請求項1または2に記載の透明蒸着フィルム。
【請求項5】
AL−Cの共有結合の存在量が、X 線光電子分光法により測定(測定条件:X 線源AlKα、X線出力120W) したCを含む全結合中0.3%以上で30%以下あり、さらに酸化アルミニウムを主成分とする無機酸化物蒸着膜のAl/O比がプラスチック基材と蒸着膜の界面から蒸着膜表面に向かって3nmまでが1.0以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の透明蒸着フィルム。
【請求項6】
AL−Cの共有結合を含む蒸着膜が、プラスチック基材の表面をプラズマ前処理ローラーとプラズマ供給手段の間に電圧を印加した状態に保持してプラズマ前処理した後、連続して酸化アルミニウムを主成分とする無機酸化物蒸着膜を成膜することにより形成したことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の透明蒸着フィルム。
【請求項7】
前記プラズマ前処理が、蒸着膜を設けるプラスチック基材の表面をプラズマ処理する前処理区画と蒸着膜を形成する成膜区画を連続配置したローラー式連続蒸着膜成膜装置を用いてプラズマ前処理するものであって、前記プラズマ前処理が、前処理ローラーと、該前処理ローラーに対向して、プラズマ供給手段及び磁場形成手段を配置し、供給したプラズマ原料ガスを基材表面近傍にプラズマとして導入し、かつ該プラズマを封じ込める空隙を形成する構造を有し、かつプラズマ前処理ローラーとプラズマ供給手段の間に電圧を印加した状態に保持してプラズマ処理することを特徴とする請求項6に記載の透明蒸着フィルム。
【請求項8】
前記プラズマによる前処理が、蒸着膜を設けるプラスチック基材の表面を、プラズマ前処理区画と蒸着膜成膜区画を隔離したローラー式連続蒸着膜成膜装置を用いて、単位面積あたりのプラズマ強度として100〜8000W・sec/m2の条件下で処理することを特徴とする請求項6または7に記載の透明蒸着フィルム。
【請求項9】
前記プラズマの原料ガスが、アルゴン単独、及び又は酸素、窒素、炭酸ガスのうちの1種類以上との混合ガスであることを特徴とする請求項6〜8のいずれか1項に記載の透明蒸着フィルム。
【請求項10】
前記プラズマによる前処理が、酸素、窒素、炭酸ガスの1種以上とアルゴンの混合ガスからなるプラズマ原料ガスを用いて行うことを特徴とする請求項9に記載の透明蒸着フィルム。
【請求項11】
蒸着膜を成膜する手段が、物理蒸着であることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の透明蒸着フィルム。
【請求項12】
前記無機化合物が、酸化アルミニウムを主成分とする無機酸化物、あるいはそれらの混合物であることを特徴とする請求項1〜11のいずれかに1項に記載の透明蒸着フィルム。
【請求項13】
前記無機酸化物が、酸化アルミニウムと、酸化珪素、酸化マグネシウム、酸化錫、酸化亜鉛から選択された1種又は1種以上混合した無機酸化物の混合物であることを特徴とする請求項12に記載の透明蒸着フィルム。
【請求項14】
プラスチック基材の少なくとも一方の表面に厚さ5〜100nmの酸化アルミの蒸着層を設けた請求項1〜13のいずれか1項に記載の透明蒸着フィルム。
【請求項15】
ヒートシール可能な熱可塑性樹脂を、接着層を介して最内層として積層したことを特徴とする請求項1〜14のいずれか1項に記載の包装材料。
【請求項16】
上記ガスバリア性塗膜面に印刷層を設けた後、接着層を介してヒートシール可能な熱可塑性樹脂を積層したことを特徴とする請求項2〜14のいずれか1項に記載の包装材料。
【請求項17】
上記ヒートシール可能な熱可塑性樹脂が、遮光性を有することを特徴とする請求項15〜16のいずれか1項に記載の包装材料。
【請求項18】
上記包装材料がボイル、レトルト殺菌用包装に用いられる請求項15〜17のいずれか1項に記載の包装材料。
【請求項19】
上記包装材料がシャンプー、リンス及びリンスインシャンプーなどの日用品あるいは化粧品包装及び液体スープ包装に用いられる請求項15〜17のいずれか1項に記載の包装材料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、透明性を有する蒸着フィルムとそれを用いた包装材料に関する。
更に詳しくは、食品及びレトルト食品、医薬品、電子部材等の幅広い分野において包装に用いる包装材料に好適に使用される、プラスチック基材と酸化アルミニウムを主成分とする無機酸化物蒸着膜との密着性を強化した、透明性を有する高密着性の透明蒸着フィルム、及び、それを用いた包装材料に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、飲食品、化成品、雑貨品等を充填包装する包装用材料としては、内容物の変質、変色等を防止するために、酸素ガス、水蒸気等の透過を遮断、阻止する、種々の形態からなるガスバリア性基材が開発されている。
【0003】
代表的なものとしては、温度、湿度などの影響が少ないアルミニウム箔や金属アルミニウム蒸着膜が提案されているが、これらは極めて安定したガスバリア性を発揮するものの、使用後、ゴミとして焼却処理する場合、その焼却適性に劣り、使用後の廃棄処理が容易でないという問題があり、また、透明性に欠けるという問題もある。
【0004】
これに対処するために、例えば、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、エチレン−ビニルアルコール共重合体等からなる酸素ガス、水蒸気等の透過を遮断、阻止するバリア性樹脂フィルムを使用することが試みられている。
しかし、ポリ塩化ビニリデン系樹脂は、その構造中に塩素原子を含有することから、使用後、ゴミとして焼却処理する場合に、有害な塩素ガスが発生し、環境衛生上好ましくないという問題がある。
【0005】
一方、エチレン−ビニルアルコール共重合体は、酸素透過性が低く、かつ、香味成分の吸着性が低いという長所を有するものの、水蒸気に接触するとガスバリア性が、著しく低下してしまうという問題がある。このため、バリア性基材としてのエチレン−ビニルアルコール共重合体を水蒸気から遮断するために複雑な積層構造とする必要があり、製造コストの増大を招いているというのが実状である。
【0006】
そこで、高いガスバリア性を安定して発揮し、かつ、透明性を有するガスバリア性プラスチックとして、酸化ケイ素、酸化アルミニウム等の無機酸化物の薄膜からなるバリア層を備えたバリア性基材が開発されている。
さらに、食品、医薬品等の高温高圧でのレトルト処理、殺菌処理を必要とする分野では、内容物の変質を防止し、かつ機能や性質を維持できるように、温度、湿度などの影響を受けない、より高いガスバリア性を、安定して発揮し得るバリア性基材が求められ、酸化ケイ素、酸化アルミニウム等の無機酸化物の薄膜からなるバリア層とガスバリア性の塗膜層を積層した多層構造を有するバリア性基材も開発されている。
【0007】
しかしながら、温度、湿度などの影響を受けやすいプラスチック基材は、容易に寸法変化を起こし易く、このため、プラスチック基材の寸法変化に伴う伸縮に対応して、その上に設けた、透明な酸化ケイ素薄膜層、あるいは酸化アルミニウム蒸着層等の無機酸化物蒸着膜層の追従が困難である。
そのため、プラスチック基材と、透明な酸化ケイ素薄膜層あるいは酸化ケイ素蒸着層等の無機酸化物蒸着膜層との層間において、高温多湿環境下等においては、しばしば層間剥離現象が生じ、更に、クラックやピンホ−ル等も発生する。
その結果、本来のバリア性能を著しく棄損し、そのバリア性能を保持することが極めて困難であるという問題がある。
【0008】
上記の蒸着方法を用いて、プラスチック基材上に透明な酸化アルミニウム等の無機酸化物の蒸着膜を形成する場合において、プラスチック基材と形成した蒸着膜層との間で高い密着性を得るために、平行平板型装置によるインラインプラズマ前処理や、アンダーコート処理層の形成といったプラスチック基材表面を改質する方法が実施されている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
【0009】
しかしながら、特許文献1に記載の、一般的に用いられる平行平板型装置によるインラインプラズマ処理法は、プラスチック表面に水酸基やカルボニル基などの官能基を導入し、同官能基を介在して蒸着膜間との密着性を発現させている。しかし、水酸基による水素結合で密着性を発現させたものは、電子ペーパーなどの電子デバイス用途に必要とされる高温多湿環境下では水素結合が破壊されるため密着性が著しく低下する問題がある。
また、上記プラズマ処理は中空で発生させたプラズマ雰囲気下をフィルムが通過するだけであることから基材と蒸着膜間で十分な密着性が得られていないのが実情である。
【0010】
また、特許文献2に記載のアンダーコート処理法は、プラスチックフィルム表面に接着層としてアンダーコート層を設けるもので、一般的に実施されているが、製造法として工程が増えるためコストアップとなる。
【0011】
そこで、プラズマ発生のための電極を基材側にしてプラズマを発生させるリアクティブイオンエッチング(RIE)方式を用いて前処理を施すことにより、密着性を向上する技術が実施されている(特許文献3)。
前記プラズマRIE法は、基材の表面に官能基を持たせるなどの化学的効果と、表面をイオンエッチングして不純物等を飛ばしたり平滑化するという物理的効果の、2つの効果を同時に得ることで密着性を発現するものである。
【0012】
RIE法では、上記インラインプラズマ処理と異なり、水素結合で密着性を発現していないことから、高温多湿環境下での密着性の低下は見られない。
しかし、RIE法では、プラスチック基材上に官能基を持たせるため、界面での加水分解等を生じる耐水、耐熱水性が依然として不十分である。また、十分な密着性を得るためには、一定値以上のEd値(=プラズマ密度×処理時間)が必要である。
また、RIE法で十分な密着性を得るためには、一定値以上のEd値(=プラズマ密度×処理時間)が必要である。同法で一定値以上のEd値を得るためにはプラズマ密度を高くする方法と、処理時間を長くする方法が考えられるが、プラズマ密度を高くする場合は、高出力の電源が必要であり、基材のダメージが大きくなる問題があり、処理時間を長くする場合は、生産性の低下が問題となる(特許文献4、特許公報5参照)。
【0013】
また、上記前処理に組み合わせる成膜方法によって次のような問題がある。
真空蒸着法では、薄膜の形成速度は遅くないが、薄膜の均一性の精度が良くなく歩留まりが悪い。
また、スパッタリング法では、薄膜の均一性の精度は良好であるが、薄膜の形成速度が非常に遅く、生産性が悪い。
熱CVD法では、基材の熱エネルギーにより原料ガスを酸化・分解して薄膜を形成する方法であり、基材を高温にする必要があり、基材がプラスチックフィルムである場合、プラスチックフィルムの分解、酸化が生じてしまい、プラスチック基材上に薄膜を均一に形成することができないなどの問題がある。
【0014】
従来の前処理手段により前処理したプラスチック基材に蒸着膜を成膜する方法では、ガスバリア性基材が耐湿熱性を有していたとしてもプラスチック基材上に形成された無機酸化物蒸着膜が十分なバリア性を発現できないという問題や、該蒸着膜とプラスチック基材との密着性が十分ではないという問題があった。
【0015】
また、従来の前処理と組み合わせた成膜装置により蒸着フィルムを形成する場合、蒸着膜の成膜を連続的に行えるが、形成される蒸着膜を均一に形成することができないものであり、さらに、密着性を維持しようとすると蒸着膜の成膜速度が遅く、生産性に劣るものであった。
さらに、従来の蒸着フィルムを用いた場合、十分な耐湿熱性を保持しつつ、密着性を維持しようとしても限界があった。
【0016】
そのため、バリア性の蒸着膜を有するプラスチック基材において、上記のような搬送されるプラスチック基材表面に無機酸化物蒸着膜を形成する上での問題を解決し、高速な成膜速度でも確実に密着した蒸着膜を成膜した蒸着フィルムを生産でき、しかも、プラスチック基材表面と無機酸化物の蒸着膜との密着性が向上し、安定してバリア性能を発現できる高密着性の透明蒸着フィルムが望まれている。
また、バリア性の蒸着膜を有するプラスチック基材において、121℃、60minの熱水処理後のフィルムと無機酸化物蒸着層の密着性が低下しない、121℃、60minの熱水処理後の耐水密着性を強化した蒸着膜を有する耐水密着性の透明蒸着フィルムが望まれている。
さらに、バリア性の蒸着膜を有するプラスチック基材において、60℃×90%RH環境下で500時間保管後(高温多湿環境下)においても、十分なガスバリア性を保持し、かつフィルムと無機酸化物蒸着層の密着性が低下しない蒸着膜を有する耐湿熱性の高密着性透明蒸着フィルムが望まれている。
さらに、レトルト用途に適した透明蒸着フィルムが望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【特許文献1】特開平7−233463号公報
【特許文献2】特開2000−43182号公報
【特許文献3】特開2005−335109号公報
【特許文献4】特許第4461737号公報
【特許文献5】特許第4135496号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、基材を高速で走行させつつ、バリア層を形成する場合においても、蒸着膜の温度、湿度に影響されず、均一性に優れ、プラスチック基材と蒸着膜との密着性に優れた、耐熱性バリア性能、及び、耐湿性バリア性能、長期保存安定性等を発揮できる、高密着性透明蒸着フィルムを提供することであり、また、製法的に蒸着膜を安定して形成でき、かつ生産性も向上できる高密着性透明蒸着フィルムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0019】
これらの目的を達成するため、本発明は、特定のプラズマ前処理装置を配置した前処理区画と成膜区画を隔離した連続蒸着膜成膜装置を用いて、従来のRIEプラズマ処理とは異なるプラズマ前処理装置によりプラスチック基材をプラズマ処理し、該プラズマ前処理面に酸化アルミニウムを主成分とする無機酸化物蒸着膜を、連続かつ高速(360m/min〜1000m/min)で成膜することにより、プラスチック基材と無機酸化物蒸着膜の界面での密着性を強化した高密着性の透明蒸着フィルムを製造するものである。
【0020】
本発明は、特定のプラズマ前処理装置により減圧下、前処理ローラー表面上でプラスチック基材にプラズマ前処理を施し、該プラズマ処理して形成されたプラスチック基材の前処理面に、連続してローラー式連続蒸着膜成膜装置を用いて成膜ローラー上で無機酸化物蒸着膜を形成することにより、プラスチックフィルムと酸化アルミニウムを主成分とする無機酸化物蒸着膜との積層界面にAL−Cの共有結合を含む無機酸化物蒸着膜を形成し、プラスチック基材と無機酸化物蒸着膜との密着性を強化した高密着性透明蒸着フィルムとしたものである。
また、プラスチックフィルムと酸化アルミニウムを主成分とする無機酸化物蒸着膜との積層界面にAL−Cの共有結合を含む無機酸化物蒸着膜を形成し、熱水処理後でもプラスチック基材と無機酸化物蒸着膜との密着性を有し、121℃、60minの熱水処理後のラミネート強度の測定によるプラスチック基材と蒸着膜との間の密着強度が3.0N/15mm以上である耐水密着性の透明蒸着フィルムとしたものである。
さらに、該形成した蒸着フィルムに耐湿熱性ガスバリア性塗膜を積層することにより、プラスチック基材と酸化アルミニウムを主成分とする無機酸化物蒸着膜との積層界面にAL−Cの共有結合を含む無機酸化物蒸着膜を形成し、高温多湿環境下でもプラスチック基材と無機酸化物蒸着膜との密着性を有し、60℃×90%RH環境下で500時間保管後のラミネート強度の測定による密着強度が3.0N/15mm以上である高密着性透明蒸着フィルムとしたものである。
【0021】
本発明の高密着性の透明蒸着フィルムは、従来の公知のRIEプラズマ処理装置又はRIE処理法とは異なるプラズマ前処理手段を組み込んだローラー式連続プラズマ前処理装置を用いてプラズマ前処理し、蒸着膜を成膜することを必須とすることにより製造されるものである。
そして、基材を走行させるプラズマ前処理ローラーと、該前処理ローラーに対向してプラズマ供給手段及び磁場形成手段を配置して、プラズマを基材表面に集中形成し、かつプラズマを封じ込める空隙を有するプラズマ前処理構造とし、供給するプラズマ原料ガスを、基材表面近傍にプラズマとして導入するとともに、プラズマ前処理ローラーとプラズマ供給手段の間に電圧を印加した状態で、プラズマ前処理することができるローラー式プラズマ前処理装置により、プラスチック基材にプラズマ前処理を施すことが必要である。
【0022】
本発明は、前記ローラー式プラズマ前処理装置と、該前処理装置によりプラズマ処理した基材表面に無機酸化物蒸着膜を成膜するローラー式蒸着膜成膜装置を、直列に併設した構造を有するローラー式連続蒸着膜成膜装置を採用し、低温プラズマを用いて強力な磁場形成下においてプラズマ処理部に強いプラズマ状態を保持し、プラスチック材料等の基材表面を該プラズマで処理することにより、プラスチック基材上に処理面を形成し、引き続きプラスチック基材の該処理面に酸化アルミニウムを主成分とする無機酸化物蒸着膜を成膜するものである。
【0023】
そして、本発明の高密着性透明蒸着フィルムは、本発明のプラズマ前処理装置を配置した前処理区画と成膜区画を隔離した連続蒸着膜成膜装置により、前記プラズマ前処理後に酸化アルミニウムを主成分とする無機酸化物蒸着膜を成膜することにより、プラスチック基材と酸化アルミニウムを主成分とする無機酸化物蒸着膜との界面に、確実にAL−Cの共有結合を形成し、AL−Cの共有結合を含有する結合構造により蒸着膜とプラスチック基材との密着性を強化し、積層形成した透明蒸着フィルムとすることができることを見出したものである。
【0024】
本発明の高密着性透明蒸着フィルムを製造する前記ローラー式連続蒸着膜成膜装置は、減圧チャンバと、減圧チャンバ内で基材を搬送する搬送手段と、減圧チャンバ内を少なくとも前処理区画と成膜区画に隔離する手段と、減圧チャンバ内に設けられ、巻き付けられた基材を少なくともプラズマ処理するための前処理ローラーと、基材前処理面に蒸着膜を成膜するための成膜ローラーを含む複数の基材処理用ローラーと、酸素、窒素、炭酸ガス及びそれらの1種以上とアルゴンの混合ガスからなるプラズマ原料ガスを供給し、プラズマとして供給するプラズマ供給手段及び磁場形成手段を含むプラズマ前処理手段と、プラズマ前処理した基材表面に蒸着膜を形成するための蒸着膜成膜手段を含む複数ローラー式連続蒸着膜成膜装置である。
そして、前記プラズマ前処理ローラーと該前処理ローラーに対向してプラズマ供給手段及び磁場形成手段を配置してプラズマを封じ込める空隙を有するプラズマ前処理構造とし、供給したプラズマ原料ガスを基材表面近傍にプラズマとして導入し、プラスチック基材表面にプラズマを集中形成し、かつプラズマ前処理ローラーとプラズマ供給手段の間に電圧を印加した状態でプラズマ前処理することができるローラー式プラズマ前処理装置を特徴とするローラー式連続蒸着膜成膜装置であり、該ローラー式連続蒸着膜成膜装置を用いることにより、本発明の高密着性透明蒸着フィルムは、製造できる。
本発明によれば、透明蒸着フィルムにおいて、プラスチック基材と酸化アルミニウムを主成分とする無機酸化物蒸着膜との界面にAL−Cの共有結合を有し、該プラスチック基材と無機酸化物蒸着膜との密着性が従来よりも強化された高密着性透明蒸着フィルムを製造することができる。
【0025】
その結果、本発明は、高密着性の透明蒸着フィルムにおいてプラスチック基材表面と酸化アルミニウムを主成分とする無機酸化物蒸着膜との密着性を強化され、ガスバリア性の向上やクラック発生防止につながるだけでなく、レトルトなどの加熱処理を行った場合においても剥離が起き難くなる。
更に、この処理方式は、前処理及び成膜処理がローラー式で連続的に処理可能であるので、高速(360m/min〜1000m/min)での処理が可能である。
【0026】
1つの成膜装置で厚く薄膜を形成すると、その薄膜は応力のために脆くなり、クラックが発生してガスバリア性が著しく低下することや、搬送時または巻取り時に薄膜が剥離すること等があることから、本発明においては、バリア性薄膜の厚い層を得るために複数の成膜装置を設け、同じ物質の薄膜を複数回形成することもできる。
また、本発明においては、複数の成膜装置により、異なる材料の薄膜を形成してもよく、その場合には、バリア性だけでなく、さまざまな機能を付与された多層膜を得ることもできる。
【0027】
本発明の透明蒸着フィルムを製造するためのプラズマ前処理装置は、プラズマ供給手段と磁場形成手段を含むプラズマ前処理手段と、基材を搬送しつつ基材表面をプラズマ前処理する前処理ローラーを含むものである。
【0028】
前記プラズマ供給手段は、プラズマ前処理を行なうため、被膜を形成しないプラズマ原料ガスであるアルゴン等の不活性ガスと、活性ガス成分である酸素、窒素、炭酸ガス、エチレンなど及びそれら1種以上のガス成分の混合ガスからなるプラズマ原料ガスを供給するものである。
【0029】
プラズマ原料ガスは、不活性ガス単独又は活性ガスの1種以上とのガスを混合して用いることができる。好ましくは、アルゴンのような不活性ガスと活性ガスの混合ガスをプラズマ供給手段に供給して用いる。
【0030】
プラズマ供給手段は、プラズマ前処理ローラーと対向する位置に配置し、対向電極としての機能を有するとともに、対向電極と前処理ローラーの間にプラズマ電源により高周波電圧を印加することにより、プラズマを形成し、プラズマ供給手段の供給口近傍にプラズマを供給し、基材表面処理域にプラズマを導入するものである。
【0031】
前記ガス供給手段は、前記基材を搬送する前処理ローラーに対向して設けられる前記対向電極側に取り付けられ、前記基材表面に向けてガスを供給する。
【0032】
また、磁場形成手段は、プラズマをプラスチック基材表面に集中して形成し、プラズマを保持するため及び放電し易くするため、磁場を形成するもので、プラズマ前処理室内の前処理ローラーと対向する位置にマグネットを設置したものである。磁場形成手段は、対向電極、プラズマ供給手段などとともに、マグネットを組み合わせ、プラズマを効率的に基材表面に集中適用できるように設置するものである。
【0033】
本発明のプラズマ前処理手段は、供給したプラズマ原料ガスをプラズマ化してプラズマ前処理ローラーの表面を搬送されるプラスチック基材近傍にプラズマを集中して形成するように、プラズマ前処理手段を構成する前記対向電極兼プラズマ供給手段と、前記磁場形成手段と、前処理ローラーとにより限定され、囲まれた空隙を形成するように配置され、当該空隙の空間内にプラズマを閉じ込め、プラズマ密度を高めかつ制御可能にした、プラスチック基材表面でのプラズマ前処理領域を形成する。
【0034】
プラズマ電源としては、プラズマ前処理ローラーをアースレベルに設置し、対向電極との間に周波数が10Hzから50MHzの交流電圧を印加し、投入電力制御または、インピーダンス制御等が行われる。
電気的にアースレベルに設置される前記プラズマ前処理ローラーは、電気的にフローティングレベルに設置されていてもよい。
【0035】
本発明では、前記プラズマ前処理ローラーとプラズマ供給手段の間に任意の電圧を印加した状態を形成する電源が接続されており、電源には印加電圧として200〜1000ボルトのパルス電圧等を印加する。
前記印加パルス電圧等にマイナス数百ボルトの負電圧の直流電圧を重層することによりプラズマ中の電極表面をメンテナンスでき、電力効率が向上し、かつ効率的なプラズマ前処理を行うことができる。
【0036】
本発明では、具体的には、組になって設置されているプラズマ前処理ローラーと対向電極兼プラズマ供給手段との間の距離を広げることで放電インピーダンスが増加する。その結果、印加電力一定の場合、放電電圧は大きく、放電電流は小さくなり、結果としてプラズマイオン打ち込み効果が高まり、密着性の高い膜を形成することが可能となる。
【0037】
また、磁場形成手段による磁束密度は、100ガウスから10000ガウスで、プラズマに磁気をかけることによりプラズマをプラスチック基材表面近傍に封じ込め、保持することにより排気による消失、隔壁からのシール漏れなどを抑え、高効率で所望のプラズマ強度による前処理を可能にする。
【0038】
プラズマ前処理装置において、対向電極側にプラズマ電源を供給したが、これに限らず、プラズマ前処理ローラーのみにプラズマ電源を供給することも、あるいはプラズマ前処理ローラーと対向電極の両方にプラズマ電源を供給することも可能である。また、図では、対向電極側にマグネットを配置したが、これに限らず、プラズマ前処理ローラーのみにマグネットを配置することも、あるいは該前処理ローラーと対向電極の両方にマグネットを配置することも可能である。
【0039】
本発明の高密着性透明蒸着フィルムは、基材上に蒸着膜を有する高密着性蒸着フィルムであって、前記プラスチック基材と蒸着膜との界面における結合組成として、AL−Cの共有結合を含むものであり、さらに、AL−Cの共有結合の存在量が、X線光電子分光法(測定条件:X線源AlKα、X線出力120W)により測定したCを含む全結合中0.3%以上で30%以下あるように制御することにより密着性を強化した蒸着フィルムとするものである。
【0040】
さらに、酸化アルミニウムを主成分とする無機酸化物蒸着膜のAl/O比がフィルムと蒸着膜の界面から蒸着膜表面に向かって3nmまでが1.0以下であるように制御することにより、プラスチック基材と蒸着膜との間の密着性を強化することを含み、密着性が従来よりも大幅に強化されかつ透明性にも優れた耐湿熱性の高密着性透明蒸着フィルムが得られる。
上記のとおり、本発明は、以下の点を特徴とする。

1.少なくともプラスチック基材の表面に酸化アルミニウムを主成分とする無機酸化物蒸着膜を形成した層構成を有する透明蒸着フィルムにおいて、プラスチック基材と酸化アルミニウムを主成分とする無機酸化物蒸着膜との界面にAL−Cの共有結合を含むことを特徴とする透明蒸着フィルム。
2.前記蒸着膜表面に、金属アルコキシドの加水分解生成物と水溶性高分子の混合溶液を塗布し、加熱乾燥してなるガスバリア性塗膜を有することを特徴とする上記1記載の透明蒸着フィルム。
3.60℃×90%RH環境下で500時間保管後のラミネート強度の測定によるプラスチック基材と蒸着膜間の密着強度が3.0N/15ミリメートル以上であることを特徴とする上記1または2に記載の透明蒸着フィルム。
4.121℃、60minの熱水処理後のラミネート強度の測定によるプラスチックフィルムと蒸着膜間の密着強度が3N/15mm以上であることを特徴とする上記1または2に記載の透明蒸着フィルム。
5.AL−Cの共有結合の存在量が、X線光電子分光法により測定(測定条件:X線源AlKα、X線出力120W)したCを含む全結合中0.3%以上で30%以下あり、さらに酸化アルミニウムを主成分とする無機酸化物蒸着膜のAl/O比がプラスチック基材と蒸着膜の界面から蒸着膜表面に向かって3nmまでが1.0以下であることを特徴とする上記1〜4のいずれかに記載の透明蒸着フィルム。
6.AL−Cの共有結合を含む蒸着膜が、プラスチック基材の表面をプラズマ前処理ローラーとプラズマ供給手段の間に電圧を印加した状態に保持してプラズマ前処理した後、連続して酸化アルミニウムを主成分とする無機酸化物蒸着膜を成膜することにより形成したことを特徴とする上記1〜5のいずれかに記載の透明蒸着フィルム。
7.前記プラズマ前処理が、蒸着膜を設けるプラスチック基材の表面をプラズマ処理する前処理区画と蒸着膜を形成する成膜区画を連続配置したローラー式連続蒸着膜成膜装置を用いてプラズマ前処理するものであって、前記プラズマ前処理が、前処理ローラーと、該前処理ローラーに対向して、プラズマ供給手段及び磁場形成手段を配置し、供給したプラズマ原料ガスを基材表面近傍にプラズマとして導入し、かつ該プラズマを封じ込める空隙を形成する構造を有し、かつプラズマ前処理ローラーとプラズマ供給手段の間に電圧を印加した状態に保持してプラズマ処理することを特徴とする上記6に記載の透明蒸着フィルム。
8.前記プラズマによる前処理が、蒸着膜を設けるプラスチック基材の表面を、プラズマ前処理区画と蒸着膜成膜区画を隔離したローラー式連続蒸着膜成膜装置を用いて、単位面積あたりのプラズマ強度として100〜8000W・sec/m2の条件下で処理することを特徴とする上記6または7に記載の透明蒸着フィルム。
9.前記プラズマの原料ガスが、アルゴン単独、及び又は酸素、窒素、炭酸ガスのうちの1種類以上との混合ガスであることを特徴とする上記6〜8のいずれかに記載の透明蒸着フィルム。
10.前記プラズマによる前処理が、酸素、窒素、炭酸ガスの1種以上とアルゴンの混合ガスからなるプラズマ原料ガスを用いて行うことを特徴とする上記9に記載の透明蒸着フィルム。
11.蒸着膜を成膜する手段が、物理蒸着であることを特徴とする上記1〜10のいずれかに記載の透明蒸着フィルム。
12.前記無機化合物が、酸化アルミニウムを主成分とする無機酸化物、あるいはそれらの混合物であることを特徴とする請求項上記1〜11のいずれかにに記載の透明蒸着フィルム。
13.前記無機酸化物が、酸化アルミニウムと、酸化珪素、酸化マグネシウム、酸化錫、酸化亜鉛から選択された1種又は1種以上混合した無機酸化物の混合物であることを特徴とする上記12に記載の透明蒸着フィルム。
14.プラスチック基材の少なくとも一方の表面に厚さ5〜100nmの酸化アルミの蒸着層を設けた上記1〜13のいずれかに記載の透明蒸着フィルム。
15.ヒートシール可能な熱可塑性樹脂を、接着層を介して最内層として積層したことを特徴とする上記1〜14のいずれかに記載の包装材料。
16.上記ガスバリア性塗膜面に印刷層を設けた後、接着層を介してヒートシール可能な熱可塑性樹脂を積層したことを特徴とする上記2〜14のいずれかに記載の包装材料。
17.上記ヒートシール可能な熱可塑性樹脂が、遮光性を有するヒートシール可能な熱可塑性樹脂であることを特徴とする上記15〜16のいずれかに記載の包装材料。
18.上記包装材料がボイル、レトルト殺菌用包装に用いられる上記1〜17のいずれかに記載の包装材料。
19.上記包装材料がシャンプー、リンス及びリンスインシャンプーなどの日用品あるいは化粧品包装及び液体スープ包装に用いられる上記1〜17のいずれかに記載の包装材料。
【発明の効果】
【0041】
本発明の高密着性の透明蒸着フィルムは、従来のプラズマ処理により形成できなかったAL−Cの共有結合を形成することができ、AL−Cの共有結合を含む積層結合により酸化アルミニウムを主成分とする無機酸化物蒸着膜をプラスチック基材上に成膜したもの、あるいはさらに該形成した蒸着フィルムに耐熱水性ガスバリア性塗膜を積層したものであるので、プラスチック基材と蒸着膜との間の密着性、耐水密着性、耐湿熱密着性等が従来よりも大幅に強化され、かつ透明性にも優れた高密着性透明蒸着フィルムとすることができる。
本発明の蒸着フィルムは、プラスチック基材と蒸着膜との間の60℃×90%RH環境下で500時間保管後のラミネート強度の測定による密着強度が3.0N/15mm以上であり、耐湿熱密着性が従来よりも大幅に強化され、かつ透明性にも優れた耐湿熱性透明蒸着フィルムが得られる。
さらに、本発明の蒸着フィルムは、プラスチック基材と蒸着膜との間の121℃、60minの熱水処理後のラミネート強度の測定による密着強度が3.0N/15mm以上であり、耐水密着性が従来よりも大幅に強化され、かつ透明性にも優れた耐水密着性透明蒸着フィルムとすることができる。
【0042】
本発明は、酸化アルミニウムを主成分とする無機酸化物蒸着膜層を形成する際、前処理において不活性ガスのアルゴンプラズマと、活性ガスプラズマの反応性を高めたプラズマをプラズマ供給手段から、前処理ロール、プラズマ供給手段及び磁場形成手段により形成される限定した空隙を通過するプラスチック基材表面に電圧を印加して供給する。それにより、プラスチック基材表面にプラズマを集中形成し、効果的に所望のプラズマ強度で該基材表面をプラズマ前処理できる特定のプラズマ前処理装置を採用してプラズマ処理し、かつ前処理ロールと成膜ロールとを直列に併設したロール・ツー・ロールタイプの、プラズマ前処理装置と蒸着膜成膜装置を有するローラー式連続蒸着膜成膜装置を用いてプラズマ処理に連続してプラスチック基材に蒸着膜を成膜することにより、プラスチック基材と蒸着膜との界面における結合組成として、高温多湿環境下でも密着性を維持し強化することができるAL−Cの共有結合を確実に無機酸化物蒸着膜に含むように形成することができる。
また、そのAL−Cの共有結合の存在量を、X線光電子分光法により測定したCを含む全結合中、0.3%以上で30%以下に制御することができる。さらに、基材へのプラズマイオン打ち込み効果を調整し、基材へのダメージを低減して蒸着膜をプラスチック基材上に形成できる。
その結果、従来よりもプラスチック基材と蒸着膜の密着性が強化され、かつ無機酸化物蒸着膜の特有の色味の発生を抑えることができるようになり、蒸着膜の密着強度及び透明性に優れたバランスのとれた高密着性の透明蒸着フィルムが得られる。
【0043】
本発明は、特定のプラズマ前処理装置を有するロール・ツー・ロールの連続蒸着膜成膜装置を採用して蒸着膜を成膜したことにより、プラスチック基材と酸化アルミニウムを主成分とする無機酸化物蒸着膜との界面に密着性を強化するAL−Cの共有結合を確実に形成できる前処理表面とするとともに、該前処理面に無機酸化物蒸着膜を連続して成膜し、さらに該形成した蒸着フィルムに耐熱水性ガスバリア性塗膜を連続して積層することにより、プラスチック基材と蒸着膜との界面にAL−Cの共有結合を含む密着性の蒸着膜を形成でき、従来の処理では実現できなかった高速かつ安定して、従来よりも確実に密着性が強化された蒸着フィルムを形成することを含み、密着性に優れ、生産性に優れた耐湿熱性の高密着性の透明蒸着フィルムの製造を実現できる。
さらに、本発明による包装材料は、水、カレー、醤油等の様々な内容物を収納した場合においても、良好な性能を発揮できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の高密着性透明蒸着フィルムの一例を示す断面図
【図2】本発明の高密着性透明蒸着フィルムの別の例を示す断面図
【図3】本発明の高密着性透明蒸着フィルムに係る蒸着膜を成膜する連続蒸着膜成膜装置の図
【発明を実施するための形態】
【0045】
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態に係る蒸着フィルム及び該蒸着膜を成膜する成膜装置について詳しく説明する。なお、この実施例は、単なる例示にすぎず、本発明を何ら限定するものではない。
図1及び図2は、本発明の蒸着膜を成膜した高密着性透明蒸着フィルムの一例を示す断面図であり、図3は、本発明の高密着性透明蒸着フィルムの蒸着膜を成膜するローラー式連続蒸着成膜装置の構成を模式的に示す図である。なお、耐湿熱性ガスバリア性塗膜を積層塗布した高密着性透明蒸着フィルムを形成するためにガスバリア性塗布装置が蒸着膜成膜装置に連続して配置されるが、公知のローラー塗布装置を連設するものであり、ここでは図示するのを省略した。
【0046】
本発明に係る透明性蒸着フィルムAとしては、図1に示すように、二軸延伸プラスチック基材の一方の面に、図3に示すプラズマを利用したローラー式連続蒸着膜成膜装置を用いてプラズマ前処理を施したプラスチック基材1表面上に、酸化アルミニウムを主成分とする無機酸化物蒸着膜2を成膜することにより、プラスチック基材表面と該無機酸化物蒸着膜との界面にX線光電子分光法(以下、略して「XPS測定」という)測定によるAL−Cの共有結合を含む無機酸化物蒸着膜を成膜した構成を基本の層構成とする透明蒸着フィルムである。
【0047】
以下、本発明に係る透明蒸着フィルムに使用する材料、本発明の高密着性透明蒸着フィルムの製造方法及びそのための装置、本発明の実施例について説明する。
【0048】
本発明の透明蒸着フィルムに用いるプラスチック基材は、特に制限されるものではなく、公知のプラスチックのフィルム又はシートを使用することができる。
フィルム又はシートとしては、例えば、ポリエステル系樹脂:ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)など、ポリアミド系樹脂:ポリアミド樹脂6、ポリアミド樹脂66、ポリアミド樹脂610、ポリアミド樹脂612、ポリアミド樹脂11、ポリアミド樹脂12など、ポリオレフィン系樹脂:ポリエチレン、ポリプロピレンなどのα−オレフィンの重合体などのフィルム又はシ−トを使用することができる。
【0049】
本発明において、上記樹脂のプラスチック基材のフィルム又はシートは、例えば、上記の樹脂の1種ないしそれ以上を使用し、押出法、キャスト成形法、Tダイ法、切削法、インフレーション法、その他等の製膜化法を用いて、上記の樹脂を単独あるいは2種以上の各種樹脂を使用して多層共押し出し、製膜化する方法、更には、2種以上の樹脂を使用し、製膜化する前に混合して製膜化する方法等により製造することができる。
更に、例えば、テンター方式、あるいは、チューブラー方式等を利用して1軸ないし2軸方向に延伸したものを使用することができる。
【0050】
上記樹脂の1種ないしそれ以上を使用し、その製膜化に際して、例えば、フィルムの加工性、耐熱性、耐候性、機械的性質、寸法安定性、抗酸化性、滑り性、離形性、難燃性、抗カビ性、電気的特性、強度、その他等を改良、改質する目的で、種々のプラスチック配合剤や添加剤等を添加することができ、その添加量としては、極く微量から数十%まで、その目的に応じて、任意に添加することができる。
【0051】
一般的な添加剤としては、例えば、滑剤、架橋剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、充填剤、補強剤、帯電防止剤、顔料、その他等を使用することができ、更には、改質用樹脂等も使用することができる。
【0052】
本発明のプラスチック基材のフィルム又はシートの厚さとしては、特に制限を受けるものではなく、本発明のローラー式連続蒸着膜成膜装置により蒸着膜を成膜する際の前処理や成膜処理することができるものであればよく、可撓性及び形態保持性の観点から、6〜400μm、好ましくは、12〜200μmの範囲が望ましい。
基材の厚さが前記範囲内にあると、曲げやすい上に搬送中に破けることもなく、本発明にかかる連続蒸着膜成膜装置で取り扱いやすい。
【0053】
次に、本発明において、本発明に係る高密着性透明蒸着フィルムを構成する無機酸化物蒸着膜層について説明する。
【0054】
本発明において、上記無機酸化物蒸着膜層を成膜するに際し、プラスチック基材のフィルム又はシートの表面は、無機酸化物蒸着膜層との密着性等を向上させるために、前処理としてプラズマを用いた上記プラズマ処理装置により前処理を行なうことを必須とする。
本発明において、上記プラズマ前処理は、各種樹脂のフィルム又はシートと無機酸化物蒸着膜との密着性等を従来法より強化、改善するための方法として実施するものである。
【0055】
本発明のローラー式連続蒸着膜成膜装置1は、図3に示すように、減圧チャンバ12内に隔壁35a〜35cが形成されている。該隔壁35a〜35cにより、基材搬送室12A、プラズマ前処理室12B、成膜室12Cが形成され、特に、隔壁と隔壁35a〜35cで囲まれた空間としてプラズマ前処理室12B及び成膜室12Cが形成され、各室は、必要に応じて、さらに内部に排気室が形成される。
【0056】
プラズマ前処理室12B内には、前処理が行われる基材Sを搬送し、かつプラズマ処理を可能にするプラズマ前処理ローラー20の一部が基材搬送室12Aに露出するように設けられており、基材Sは巻き取られながら基材搬送室12Aからプラズマ前処理室12Bに移動するようになっている。
【0057】
プラズマ前処理室12B及び成膜室12Cは、基材搬送室12Aと接して設けられており、基材Sを大気に触れさせないままに移動可能である。また、前処理室12Bと基材搬送室12Aの間は、矩形の穴により接続されており、その矩形の穴を通じてプラズマ前処理ローラー20の一部が基材搬送室12A側に飛び出しており、該搬送室の壁と該前処理ローラー20の間に隙間が開いており、その隙間を通じて基材Sが基材搬送室12Aから成膜室12Cへ移動可能である。基材搬送室12Aと成膜室12Cとの間も同様の構造となっており、基材Sを大気に触れさせずに移動可能である。
【0058】
基材搬送室12Aは、成膜ローラー25により再度基材搬送室12Aに移動させられた、片面に蒸着膜が成膜された基材Sをロール状に巻き取るため、巻取り手段としての巻き取りローラーが設けられ、蒸着膜を成膜された基材Sを巻き取り可能とするようになっている。
【0059】
減圧チャンバ12には、圧力調整バルブを介して真空ポンプが設けられ、隔壁35a〜35cにより区画された、基材搬送室12A、プラズマ前処理室12B、成膜室12C全体が減圧可能となっている。
【0060】
本発明の透明蒸着フィルムを製造する際、前記プラズマ前処理室は、プラズマが生成する空間を他の領域と区分し、対向空間を効率よく真空排気できるようにすることで、プラズマガス濃度の制御も容易となり、生産性が向上する。その減圧して形成する前処理圧力は、0.1Pa〜100Pa程度に設定、維持することが好ましい。
【0061】
基材搬送室12Aとプラズマ前処理室12Bを跨るようにプラズマ前処理ローラー20が配置され、巻き出しロール13とプラズマ前処理ローラー20との間にガイドロール14a、14bが設けられる。
また、成膜室12C内には、成膜ローラー25が配置され、プラズマ前処理ローラー20と成膜ローラー25との間及び成膜ローラー25と巻き取りローラーとの間にガイドロール14c、14dが設けられ、前記したローラー群により基材成膜搬送経路を形成する。
【0062】
基材の搬送速度は、特に限定されないが、本発明は、高速での成膜処理を可能にするものであり、生産効率の観点から、少なくとも200m/min、好ましくは480m/minから1000m/minである。
【0063】
プラズマ前処理室12Bには、搬送された基材Sをプラズマ前処理するための前処理ローラー20と、該前処理ローラーには基材Sを前処理するためのプラズマ前処理手段を含むプラズマ前処理装置が設けられている。
【0064】
プラズマ前処理ローラー20は、プラスチック基材Sがプラズマ前処理手段によるプラズマ処理時の熱による基材の収縮や破損を防ぐこと、プラズマPを基材Sに対して均一にかつ広範囲に適用することを目的とするものである。
前処理ローラー20は、前処理ローラー内を循環させる温度調節媒体の温度を調整することにより、−20℃から100℃の間で、一定温度に調節することが可能であることが好ましい。ローラー本体の中央部の両側、及び回転軸周囲には電気的な絶縁部が設けられ、基材Sはローラー本体の中央部に巻かれる。
【0065】
前処理ローラー20は電気的にアースレベルに設置してもよい。この場合、ローラー本体や回転軸、ベアリング、ローラー支持体に金属製の導電性材料を用いることで実現できる。
【0066】
また、前処理ローラー20は電気的にフローティングレベル、すなわち絶縁電位に設置してもよい。前処理ローラー20の電位をフローティングレベルとすることで電力の漏れを防ぐことができ、プラズマ前処理の投入電力を高くすることができ、かつその前処理への利用効率も高いものとなる。
【0067】
プラズマ前処理手段は、プラズマ供給手段及び磁気形成手段を含むものである。プラズマ前処理手段はプラズマ前処理ローラー20と協働し、基材S表面近傍にプラズマPを閉じ込め、基材の表面の形状や、化学的な結合状態や官能基を変化させることにより、化学的性状を変化させ、その後段の成膜時に基材と基材上に形成される蒸着膜との密着性を向上させることが可能となる。
【0068】
プラズマ前処理手段が、前処理ローラー20の一部を覆うように設けられている。具体的には、前処理ローラー20の外周近傍の表面に沿ってプラズマ前処理手段を構成するプラズマ供給手段と磁気形成手段を配置して、前処理ローラー20とプラズマ原料ガスを供給するとともにプラズマPを発生させる電極ともなるプラズマ供給ノズル22a、22b等を有するプラズマ供給手段とプラズマPの発生を促進するためマグネット21等を有する磁気形成手段とにより挟まれた空隙を形成するように設置する。
それにより、該空隙の空間にプラズマ供給ノズル22a、22bを開口させてプラズマ形成領域とし、さらに、前処理ローラー20とプラスチック基材Sの表面近傍にプラズマ密度の高い領域が形成されることで、該基材の片面にプラズマ処理面が形成される。
【0069】
プラズマ前処理手段のプラズマ供給手段は、減圧チャンバ12の外部に設けたプラズマ供給ノズルに接続された原料揮発供給装置18と、該装置から原料ガス供給を供給する原料ガス供給ノズル19a〜19dを含むものである。供給されるプラズマ原料ガスは、アルゴン等の不活性ガス単独又は酸素、窒素、炭酸ガス及びそれらの1種以上のガスとの混合ガスが、ガス貯留部から流量制御器を介することでガスの流量を計測しつつ供給される。
【0070】
これら供給されるガスは、必要に応じて所定の比率で混合されて、プラズマ原料ガス単独又はプラズマ形成用混合ガスに形成され、プラズマ供給手段に供給される。その単独又は混合ガスは、プラズマ供給手段のプラズマ供給ノズル22a、22bに供給され、プラズマ供給ノズル22a、22bの供給口が開口する前処理ローラー20の外周近傍に供給される。
そのノズル開口は前処理ローラー20上の基材Sに向けられ、プラスチック基材表面に均一にプラズマPを拡散、供給させることが可能となり、基材の大面積の部分に均一なプラズマ前処理が可能となる。
【0071】
前記プラズマ供給ノズル22a、22bは、前処理ローラー20の対向電極として機能するもので、電極機能を有するようにできているものであり、前処理ローラー20との間に供給される高周波電圧等による電位差によって供給されたプラズマ原料ガスが励起状態になり、プラズマPが発生し、供給される。
【0072】
プラズマ前処理装置は、プラズマ前処理ローラーとプラズマ前処理手段との間に任意の直流電位にし、基材SへのプラズマPの打ち込み効果を強めたり、弱めたりする機構を設置する必要がある。プラズマ打ち込み効果を高めるためには、基材Sにマイナス電位を与え、プラズマ打ち込み効果を弱めるためには、基材Sにプラスのプラス電位を与えることが好ましい。
このようなプラズマ強度の調整により、基材Sへのプラズマ打ち込み効果を調整し、プラスチック基材Sへのダメージを低減したり、反対にプラスチック基材Sへの膜の密着率を強めたりすることが可能となる。
【0073】
具体的には、プラズマ前処理手段のプラズマ供給手段は、プラズマ前処理ローラー20との間に任意の電圧を印加した状態にすることができるものであり、基材の表面物性を物理的ないしは化学的に改質する処理ができるプラズマPを正電位にするバイアス電圧を印加できる電源32を備えている。
このようなプラズマ供給手段は、前処理ローラー20の外周近傍に所望のプラズマPを所望の密度で供給可能であり、プラズマ前処理の電力効率を向上することができる。
【0074】
本発明で採用する単位面積あたりのプラズマ強度として100から8000W・sec/m2であり、50W・sec/m2以下では、プラズマ前処理の効果がみられず、また、4000W・sec/m2以上では、基材の消耗、破損着色、焼成などプラズマによる基材の劣化が起きる傾向にある。
【0075】
プラズマ前処理手段は、磁気形成手段を有している。磁気形成手段として、マグネットケース内に絶縁性スペーサ、ベースプレートが設けられ、このベースプレートにマグネット21が設けられる。マグネットケースに絶縁性シールド板が設けられ、この絶縁性シールド板に電極が取り付けられる。
したがって、マグネットケースと電極は電気的に絶縁されており、マグネットケースを減圧チャンバ12内に設置、固定しても電極は電気的にフローティングレベルとすることが可能である。
【0076】
電極には電力供給配線31が接続され、電力供給配線31は電源32に接続される。また、電極内部には電極及びマグネット21の冷却のための温度調節媒体配管が設けられる。
【0077】
マグネット21は、電極兼プラズマ供給手段であるプラズマ供給ノズル22a、22bからのプラズマPが基材Sに集中して適用するために設けられる。マグネット21を設けることにより、基材表面近傍での反応性が高くなり、良好なプラズマ前処理面を高速で形成することが可能となる。
【0078】
マグネット21は、基材Sの表面位置での磁束密度が10ガウスから10000ガウスである。基材表面での磁束密度が10ガウス以上であれば、基材表面近傍での反応性を十分高めることが可能となり、良好な前処理面を高速で形成することができる。
【0079】
本発明において、電極のマグネット21の配置構造によりプラズマ前処理時に形成されるイオン、電子がその配置構造に従って運動するため、例えば、1m2以上の大面積のプラスチック基材に対してプラズマ前処理をする場合においても電極表面全体にわたり、電子やイオン、基材の分解物が均一に拡散され、プラスチック基材Sが大面積の場合にも所望のプラズマ強度で、均一かつ安定した前処理が可能となる。
【0080】
プラズマ前処理ローラー20により片面にプラズマ処理面を形成したプラスチック基材Sは、次の成膜室12Cに導くためのガイドロール14a〜14dにより基材搬送室12Aから成膜室12Cに移動し、成膜区画で無機酸化物蒸着膜が形成される。
【0081】
(蒸着膜成膜法)
本発明の無機酸化物蒸着膜層は、酸素ガス、水蒸気等の透過を阻止、遮断するガスバリア性能を有する薄膜であり、例えば、化学気相成長法等を用いて酸化アルミニウム層を成膜化する方法によって製造することができる。
【0082】
蒸着膜を形成する無機酸化物層は、主成分として酸化アルミニウムを含む無機酸化物層であって、少なくとも酸化アルミニウム又はその窒化物、炭化物の単独又はその混合物を含む、アルミニウム化合物を主成分として含む層である。
さらに、無機酸化物蒸着膜層は、前記アルミニウム化合物を主成分として含み、ケイ素酸化物、ケイ素窒化物、ケイ素酸化窒化物、ケイ素炭化物、酸化マグネシウム、酸化チタン、酸化スズ、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム等の金属酸化物、またはこれらの金属窒化物、炭化物及びその混合物などを含むAL−Cの共有結合を含む無機酸化物の混合物からなる層であってもよい。
【0083】
本発明の無機酸化物蒸着膜層は、X線光電子分光装置(測定条件:X 線源AlKα、X線出力120W)を用い、深さ方向にイオンエッチングにより測定したピークにAL−Cの共有結合の存在を示すものであって、透明性を有しかつ酸素、水蒸気等の透過を妨げるガスバリア性を有する層である。
【0084】
また、本発明の無機酸化物蒸着膜層は、AL−Cの共有結合の存在量がX線光電子分光法により測定したCを含む全結合中、0.3%以上30%以下が望ましく、無機酸化物蒸着膜とプラスチック基材との密着性が強化され、透明性も優れ、ガスバリア性の蒸着フィルムとしてバランスのよい性能のものが得られる。
【0085】
AL−Cの共有結合の存在率が、0.3%未満であると、成膜化された無機酸化物蒸着膜の密着性の改善が不十分であり、バリア性を安定して維持することが困難になり、また、30%を超えると、プラズマ前処理による密着性の改善よりもプラズマ処理によるプラスチック基材の表面の分解、表面荒れ、分解成分の付着等に起因する密着性の改善割合の低下、透明性の低下など表面処理による弊害が大きく、前処理の効果が減殺する。
【0086】
さらに、酸化アルミニウムを主成分とする無機酸化物蒸着膜のAL/O比がプラスチック基材と蒸着膜の界面から蒸着膜表面に向かって3nmまでが1.0以下であることが好ましい。
無機酸化物蒸着膜とプラスチック基材との界面から蒸着膜表面に向かう近傍にAL/Oの比が1.0を超えると、プラスチック基材のプラズマ処理面と酸化アルミニウム蒸着膜との密着性が不十分となり、かつアルミニウムの割合が高まり、無機酸化物蒸着膜の透明性が低下する。
【0087】
1つの成膜装置で形成する無機酸化物の蒸着膜の厚さは、10〜200nmであり、好ましくは10〜50nmである。
【0088】
成膜室12Cには、成膜ローラー25及び蒸着膜成膜手段24を含む蒸着膜成膜装置が設けられている。蒸着膜成膜装置の該成膜手段は、プラズマ前処理手段で前処理したプラスチック基材のプラズマ前処理面に蒸着膜を成膜するものである。
【0089】
本発明の蒸着膜成膜装置は、プラズマ前処理されたプラスチック基材表面に蒸着膜を成膜するように配置されており、蒸着膜を成膜する蒸着法としては、物理蒸着法、化学蒸着の中から種々の蒸着法が適用できる。
物理蒸着法としては、蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、イオンビームアシスト法、クラスターイオンビーム法からなる群から選ぶことができ、化学蒸着法としては、プラズマCVD法、プラズマ重合法、熱CVD法、触媒反応型CVD法からなる群から選ぶことができる。
【0090】
前記成膜装置は、減圧された成膜室内に配置され、プラズマ前処理装置で前処理された基材の処理面を外側にして基材を巻きかけて搬送し、成膜処理する成膜ローラーと、該成膜ローラーに対向して配置された成膜源のターゲットを蒸発させて基材表面に蒸着膜を成膜する、蒸着成膜装置、スパッタリング成膜装置、イオンプレーティング成膜装置、イオンビームアシスト成膜装置、クラスターイオンビーム成膜装置、プラズマCVD成膜装置、プラズマ重合成膜装置、熱CVD成膜装置、触媒反応型CVD成膜装置などの蒸着膜成膜手段を含むものである。
【0091】
本発明の前記成膜装置は、前記成膜源のターゲットの蒸発手段を交換することで各種の物理蒸着装置が適用でき、また、化学蒸着装置による成膜を実施可能な装置構成とすることもでき、種々の成膜法を使い分けることができる。
【0092】
該蒸着膜成膜手段24としては、抵抗加熱真空成膜装置、スパッタリング装置、イオンプレーティング成膜装置、イオンビームアシスト成膜装置、クラスターイオンビーム成膜装置などの物理蒸着装置やプラズマCVD成膜装置、プラズマ重合成膜装置、熱CVD成膜装置、触媒反応型CVD成膜装置などの化学蒸着装置を用いて無機酸化物層を成膜化することにより製造することができる。
【0093】
本発明の蒸着膜成膜手段24として、真空成膜装置を採用した場合、蒸発源として坩堝にアルミニウムが主成分となる割合でターゲットの金属材料を、単独又は複数種類充填し、高温に加熱し、アルミ金属を含む金属蒸気とし、その金属蒸気に対し、ガス供給手段から供給される酸素ガスを導入することで金属蒸気を酸化し、基材表面にアルミニウム酸化物を含む金属酸化物を成膜する。
【0094】
抵抗加熱による場合には、アルミ等の金属線材を用い、金属蒸気とし酸化しつつ基材表面に成膜させることができる。成膜の蒸発源として、スパッタ蒸発源、アーク蒸発源、あるいはプラズマ発生電極や原料ガス供給手段などのプラズマCVD成膜機構を採用することもできる。
【0095】
成膜の際、成膜する蒸着膜の組成により、ターゲットの金属材料は、アルミニウムと他の金属との蒸気になりやすさに応じ、アルミニウム酸化物が主成分となるように、金属材料を別々に蒸気化し、あるいは金属材料を目的の割合となるように混合したものを蒸気化することもできる。
成膜室には、成膜する蒸着膜に応じ、成膜手段として、1つの成膜装置を設けてもよいし、2以上の同種または異種の成膜装置を設けてもよい。
【0096】
1つの成膜装置で厚く薄膜を形成すると、その薄膜は応力のために脆くなり、クラックが発生してガスバリア性が著しく低下することや、搬送時または巻取り時に薄膜が剥離することが生じる。そのため、ガスバリア性薄膜の厚い層を得るには、複数の成膜装置を設け、同じ物質の薄膜を複数回形成することが好ましい。
さらに、本発明は、前記密着性を強化し形成した蒸着フィルムに、さらに耐湿熱性ガスバリア性塗膜を、図示しない連設して設けた公知のローラー式塗布装置により形成するものである。ここで、複数の成膜装置により、異なる材料の薄膜を形成してもよく、その場合には、ガスバリア性だけでなく、さまざまな機能を付与された多層多機能膜が得られる。
【0097】
複数の成膜装置により、異なる材料の薄膜を形成してもよく、その場合には、ガスバリア性だけでなく、さまざまな機能を付与された多層膜が得られる。
【0098】
特に、蒸着膜成膜装置では、関連する機械部品の耐熱性の制約や汎用性の面から設定温度は−20℃から100℃の間で一定温度に設定できることが好ましい。
種々の成膜法において、連続的に蒸着膜の成膜を行なう成膜室の成膜圧力は、十分な蒸着膜の緻密性と、基材への密着性を有する蒸着膜を形成するため、0.1Pa〜100Pa程度に設定、維持することが好ましい。
【0099】
(耐湿熱性ガスバリア性塗膜層)
次に、耐湿熱性ガスバリア性塗膜層について説明する。
該塗膜層は、高温多湿環境下でのガスバリア性を保持する塗膜であり、一般式R1nM(OR2m(ただし、式中、R1、R2は、炭素数1〜8の有機基を表し、Mは、金属原子を表し、nは、0以上の整数を表し、mは、1以上の整数を表し、n+mは、Mの原子価を表す。)で表される少なくとも1種以上の金属アルコキシドと、水溶性高分子とを含有し、更に、ゾルゲル法触媒、酸、水、および、有機溶剤の存在下に、ゾルゲル法によって重縮合してなるガスバリア性組成物からなる塗布膜である。
該組成物を上記蒸着フィルム上の蒸着膜の上に塗工して塗布膜を設け、20℃〜180℃、かつ上記の蒸着フィルムの融点以下の温度で10秒〜10分間加熱乾燥処理して形成することができる。
【0100】
また、前記ガスバリア性組成物を上記基材フィルム上の蒸着膜の上に塗工して塗布膜を2層以上重層し、20℃〜180℃、かつ、上記基材フィルムの融点以下の温度で10秒〜10分間加熱乾燥処理し、ガスバリア性塗膜を2層以上重層した複合ポリマー層を形成してもよい。
上記金属アルコキシドは、上記一般式R1nM(OR2m中、Mで表される金属原子としては、ケイ素、ジルコニウム、チタン、アルミニウム、その他等を例示することができる。
【0101】
本発明では、上記アルコキシドは、2種以上を併用してもよい。例えばアルコキシシランとジルコニウムアルコキシドを混合して用いると、得られるガスバリア性積層フィルムの靭性、耐熱性等を向上させることができ、また、延伸時のフィルムの耐レトルト性などの低下が回避される。また、アルコキシシランとチタニウムアルコキシドを混合して用いると、得られるガスバリア性塗膜の熱伝導率が低くなり、耐熱性が著しく向上する。
【0102】
本発明で使用する水溶性高分子は、ポリビニルアルコール系樹脂、またはエチレン・ビニルアルコ一ル共重合体を単独で各々使用することができ、あるいは、ポリビニルアルコ一ル系樹脂およびエチレン・ビニルアルコール共重合体とを組み合わせて使用することができる。本発明では、ポリビニルアルコール系樹脂及び/又はエチレン・ビニルアルコール共重合体を使用することにより、ガスバリア性、耐水性、耐候性、その他等の物性を著しく向上させることができる。
【0103】
ポリビニルアルコ一ル系樹脂としては、一般に、ポリ酢酸ビニルをケン化して得られるものを使用することができる。ポリビニルアルコール系樹脂としては、酢酸基が数十%残存している部分ケン化ポリビニルアルコール系樹脂でも、酢酸基が残存しない完全ケン化ポリビニルアルコールでも、OH基が変性された変性ポリビニルアルコール系樹脂でもよく、特に限定されるものではない。
【0104】
エチレン・ビニルアルコール共重合体としては、エチレンと酢酸ビニルとの共重合体のケン化物、すなわち、エチレン−酢酸ビニルランダム共重合体をケン化して得られるものを使用することができる。
例えば、酢酸基が数十モル%残存している部分ケン化物から、酢酸基が数モル%しか残存していないかまたは酢酸基が残存しない完全ケン化物まで含み、特に限定されるものではない。ただし、ガスバリア性の観点から好ましいケン化度は、80モル%以上、より好ましくは、90モル%以上、さらに好ましくは、95モル%以上であるものを使用することが好ましい。
なお、上記エチレン・ビニルアルコール共重合体中のエチレンに由来する繰り返し単位の含量(以下「エチレン含量」ともいう)は、通常、0〜50モル%、好ましくは、20〜45モル%であるものことが好ましい。
【0105】
本発明において、ガスバリア性積層フィルムは、以下の方法で製造することができる。
まず、上記金属アルコキシド、シランカップリング剤、水溶性高分子、ゾルゲル法触媒、酸、水、有機溶媒等を混合し、ガスバリア性組成物を調製する。
【0106】
次いで、蒸着フィルム上の前記蒸着膜の上に、常法により、上記のガスバリア性組成物を塗布し、および乾燥する。この乾燥工程によって、上記金属アルコキシド、シランカップリング剤およびポリビニルアルコール系樹脂及び/又はエチレン・ビニルアルコール共重合体等の重縮合が更に進行し、塗布膜が形成される。第一の塗布膜の上に、更に上記塗布操作を繰り返して、2層以上からなる複数の塗膜を形成してもよい。
【0107】
次いで、上記ガスバリア性組成物を塗布した基材フィルムを20℃〜180℃、かつ蒸着フィルムの融点以下の温度、好ましくは、50℃〜160℃の範囲の温度で、10秒〜10分間加熱処理する。これによって、前記蒸着膜の上に、上記ガスバリア性組成物によるガスバリア性塗布膜を1層ないし2層以上形成したバリア性フィルムを製造することができる。
【0108】
上記の本発明のガスバリア性組成物を塗布する方法としては、例えば、グラビアロールコーターなどのロールコート、スプレーコート、スピンコート、ディッピング、刷毛、バーコード、アプリケータ等の塗布手段により、1回あるいは複数回の塗布で、乾燥膜厚が、0.01〜30μm、好ましくは、0.1〜10μm位の塗布膜を形成することができ、更に、通常の環境下、50〜300℃、好ましくは、70〜200℃の温度で、0.005〜60分間、好ましくは、0.01〜10分間、加熱・乾操することにより、縮合が行われ、本発明のガスバリア性塗布膜を形成することができる。

(ヒートシール可能な最内層)
本発明においては、ヒートシール可能な熱可塑性樹脂等を、接着層を介して、あるいはそれを用いることなく、最内層として積層し、ヒートシール性を付与することができる。
そのためのヒートシール層としては、熱によって溶融し相互に融着し得る樹脂層やフィルムないしシートであれば良く、例えば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状(線状)低密脂のフィルムないしシートであれば良い。
そして、例えば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状(線状)低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリスチレン、エチレンー酢酸ビニル共重合体、α−オレフィン共重合体、アイオノマー樹脂、エチレンーアクリル酸共重合体、エチレンーアクリル酸エチル共重合体、エチレンーメタクリル酸メチル共重合体、エチレンープロピレン共重合体、エラストマー等の樹脂の一種ないしそれ以上からなる樹脂ないしはこれらをフィルム化したシートを使用することが好ましく、中でも、食品等の内容物に接する層であるため、衛生性、耐熱性、耐薬品性、保香性に優れたポリエチレン、ポリプロピレン等のオレフィン系樹脂の一種ないしそれ以上からなる樹脂ないしはこれらをフィルム化したシートを使用することがより好ましい。
また、その厚さとしては13〜100μm位が好ましく、15〜70μm位がより好ましい。
さらに、上記ヒートシール層は遮光性を有するものであってもよい。本発明において、遮光性を付与したヒートシール層としては、外部からの光を遮光する性質を有する材料を使用することができる。
具体的には、この遮光性ヒートシール層の材料としては、アルミニウム等の金属をヒートシール性フィルムに真空蒸着又はスパッタリング等によって蒸着膜を形成して使用することができる。
また、遮光性を付与するために、フィルムに乳白フィルムを使用してもよく、遮光性インキ層を形成したフィルムを使用することもできる。
中でも、アルミニウム等の金属蒸着膜を形成するものが、包装材料の状態で遮光性、バリア性を付与することができ、好ましいものである。
具体的には、このバリア層の材料としては、アルミニウム等の金属をプラスチックフィルムに真空蒸着によって蒸着膜を形成して使用するのが一般的であるが、その他にアルミニウム箔を使用する場合もある。
このような金属の蒸着膜に形成する金属としては、アルミニウム(Al)、クロム(Cr)、銀(Ag)、銅(Cu)、スズ(Sn)等の金属を使用することができ、中でも、アルミニウム(Al)を使用することが、望ましい。
更に、上記において、アルミニウム箔としては、5〜30μm位の厚さのもの、また、金属の蒸着膜としては、厚さ50〜3000Å位のものを使用することが好ましく、100〜1000Å位のものが望ましい。
このような遮光性インキとしては、具体的には、アルミペースト等の遮光性を有する顔料を含むインキを使用することができる。
上記において、インキ層の膜厚としては、1〜8μm位が好ましく、2〜5μm位がより好ましい。
白色フィルムとしては、ポリオレフィン樹脂を主として遮光性を与える白色顔料を含むものである。
白色フィルムに使用される白色顔料としては、具体的に酸化チタン、酸化亜鉛、体質顔料である水酸化アルミニウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、沈降性硫酸バリウム、シリカ、タルク等がある。
上記において、白色顔料の含有量としては、10〜40%位が好ましい。
次に、本発明において、金属の蒸着膜を形成する方法について説明すると、かかる方法としては、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレ−ティング法等の物理気相成長法(Physical Vapor Deposition法、PVD法)、あるいは、プラズマ化学気相成長法、熱化学気相成長法、光化学気相成長法等の化学気相成長法(Chemical Vapor Deposition法、CVD法)等を挙げることができる。
本発明において、金属の蒸着膜の形成法について具体的に説明すると、上記のような金属を原料とし、これを加熱して可撓性フィルムの上に蒸着する真空蒸着法、または原料に金属を使用し、酸素ガス等を導入して酸化させて可撓性フィルムの上に蒸着する酸化反応蒸着法、更に酸化反応をプラズマで助成するプラズマ助成式の酸化反応蒸着法等を用いて蒸着膜を形成することができる。
【0109】
次に、本発明のプラズマ前処理装置を配置した前処理区画と成膜区画を隔離した連続蒸着膜成膜装置を採用することによる高密着性透明蒸着フィルムの製造方法について説明する。
ロール状の基材S原反を、基材搬送室12A内の巻き出しローラー13に設置し、基材搬送室12A内とプラズマ前処理室及び成膜室12C内を真空ポンプにより減圧する。
【0110】
所定の圧力にまで減圧した後、巻き出しローラー13により、基材原反Sから基材Sを巻き出し、ガイドローラー14aを介して基材Sを前処理ローラー20に巻き付けることにより、基材Sを基材搬送室12Aから前処理室12Bに移動し、プラズマ前処理装置に導く。
そして、プラズマ供給手段と前処理ローラーとの間に印加電位を与えた状態でプラズマを導入し、プラズマ前処理を行うことにより前処理ローラー20に巻き付けられた基材Sは、その片面に、プラズマ前処理手段によりプラズマ前処理面が形成される。
【0111】
片面にプラズマ前処理面が形成された基材Sを、前処理ローラー20からガイドローラー14bに巻き回しすることにより再度基材搬送室12Aに移動する。
その後、ガイドロール14b、14cにより基材搬送室12A内を移動し、プラズマ処理した面が表になるように成膜ローラー25に巻き付け、成膜室12Cに移動する。成膜室12C内では、基材Sの前処理面に蒸着膜成膜手段24により蒸着膜を成膜する。
【0112】
こうして蒸着膜を成膜された基材Sを、成膜ローラー25から再度基材搬送室12Aに移動し、ガイドローラー14dを介して巻取りローラーによりロール状に巻き取る。
【0113】
本発明のローラー式連続蒸着膜成膜装置の実施の形態によれば、蒸着膜の成膜前にプラスチック基材Sを、前処理ローラー20とプラズマ供給手段と磁気形成手段21により形成された空隙を通過させ、その際、該基材Sに向けて前処理ローラー20の外周近傍の空隙においてプラズマ原料ガスの供給を兼ねるプラズマ供給ノズル22a、22bからプラズマPを導入し、かつプラズマPと前処理ローラー20との間に正印加電圧を印加した状態で、プラズマ前処理することにより、プラズマ前処理手段内の雰囲気が改善される。
そのため、プラスチック基材に均質かつ高品質なプラズマ前処理面が得られ、その後、蒸着膜成膜手段24により無機酸化物蒸着膜を成膜することにより密着性等に優れた均一な蒸着膜を有する基材を得ることが可能となる。
また、121℃、60minの熱水処理後でも密着性を有する、耐水密着性に優れた、均一な蒸着膜を有するプラスチック基材を得ることが可能になる。
さらに、60℃×90%RH環境下で500時間保管の高温多湿環境下でも密着性を有する、耐湿熱密着性に優れた、均一な蒸着膜を有する基材を得ることが可能になる。
【0114】
基材搬送室12Aは、電極の存在するプラズマ前処理室とは隔壁35a(ゾーンシール)により仕切られ圧力が異なる。基材搬送室12Aと該前処理室12Bとを圧力的に異なる空間とすることで前処理室のプラズマPが基材搬送室12Aに漏れることによって前処理室12Bのプラズマ放電状態が不安定になったり、基材搬送室12Aの部材を傷めたり、基材搬送機構の制御のための電気回路に電気的ダメージを与えて、制御不良を引き起こすことがなくなり、安定した成膜及び基材搬送が可能となる。
【0115】
付加される前処理室12Bのプラズマ処理圧力は、具体的には、0.1Paから100Paの間である。このような前処理圧力で前処理を行うことにより、安定したプラズマPを形成することができる。
【0116】
本発明のプラズマ前処理によれば、プラズマ放電のインピーダンス上昇を防ぐことができ、容易にプラズマPの形成が可能となり、かつ長時間安定して放電及びプラズマ処理を行うことが可能となる。
【0117】
また、プラズマPの放電インピーダンスが上昇しないことから、プラズマ処理においてはその処理速度の向上、膜応力の低減、基材へのダメージ低減(電気的なチャージアップの発生抑制、基材エッチング低減、基材着色低減)を図ることが可能となる。
このように、放電インピーダンスを最適とすることが可能であり、基材へのイオン打ち込み効果を調整し、前処理面に形成する蒸着膜の密着性を高めることができ、かつ基材へのダメージを低減し、良好な前処理面の形成が可能となる。
【0118】
以上、添付図面を参照しながら、本発明に係るプラズマ前処理装置を備えた連続蒸着膜成膜装置を用いたプラスチックフィルムと酸化アルミニウムを主成分とする無機酸化物蒸着膜との界面にAL−Cの共有結合を有する高密着性透明蒸着フィルムの好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されない。
当業者であれば、本願で開示した技術的思想の範疇内において、各種の変更例又は修正例を加えられることは明らかであり、それらについても当然に本発明の成膜装置の技術的範囲に属するものである。
【実施例】
【0119】
以下に本発明の実施例、及び比較例を示す。
A.実施例1〜4、比較例1〜3とその評価
<実施例1>
基材である厚さ12μmのPET(ユニチカ製PET−F)の蒸着層を設ける面に、本発明のプラズマ前処理装置を配置した前処理区画と成膜区画を隔離した連続蒸着膜成膜装置を用いて、前処理区画において下記プラズマ条件下でプラズマ供給ノズルからプラズマを導入し、搬送速度480m/minでプラズマ前処理を施し、その後、連続搬送した成膜区画内で、プラズマ処理面上に下記条件において真空蒸着法の加熱手段として反応性抵抗加熱方式により、厚さ8nmの酸化アルミ蒸着層を形成した。
(プラズマ前処理条件)
高周波電源出力:4kW
プラズマ強度:550W・sec/m2
プラズマ形成ガス:酸素100(sccm)、アルゴン1000(sccm)
磁気形成手段:1000ガウスの永久磁石
前処理ドラム−プラズマ供給ノズル間印加電圧:420V
前処理区画の真空度:2.0×10-1Pa
(酸化アルミ成膜条件)
真空度:2.1×10-2Pa
波長366nmの光線透過率:88%
【0120】
<実施例2>
PET12μm(ユニチカ製PET−F)の蒸着層を設ける面に、本発明のプラズマ前処理装置を配置した前処理区画と成膜区画を隔離した連続蒸着膜成膜装置の前処理区画でプラズマ強度を12kWにした以外は、実施例1と同様の条件下でプラズマ供給ノズルからプラズマを導入し、搬送速度480m/minでプラズマ前処理を施し、その後、連続搬送した成膜区画内でプラズマ処理面上に実施例1の条件下において反応性抵抗加熱方式で厚さ8nmの酸化アルミ蒸着層を形成した。
【0121】
<実施例3>
PET12μm(ユニチカ製PET−F)の蒸着層を設ける面に、本発明のプラズマ前処理装置を配置した前処理区画と成膜区画を隔離した連続蒸着膜成膜装置の前処理区画でプラズマ強度を12kW、プラズマ形成ガスの酸素を窒素に変更した以外は、上記実施例1と同様の条件下でプラズマ供給ノズルからプラズマを導入し、搬送速度480m/minでプラズマ前処理を施し、その後、連続搬送した成膜区画内でプラズマ処理面上に上記実施例1の条件下において反応性抵抗加熱方式で厚さ8nmの酸化アルミ蒸着層を形成した。
【0122】
<実施例4>
PET12μm(ユニチカ製PET−F)の蒸着層を設ける面に、本発明のプラズマ前処理装置を配置した前処理区画と成膜区画を隔離した連続蒸着膜成膜装置の前処理区画でプラズマ強度を12kWにした以外は、上記実施例1と同様の条件下でプラズマ供給ノズルからプラズマを導入し、搬送速度480m/minでプラズマ前処理を施し、その後、連続搬送した成膜区画内でプラズマ処理面上に下記条件下において反応性抵抗加熱方式により厚さ8nmの酸化アルミ蒸着層を形成した。
(酸化アルミ成膜条件)
真空度:2.5×10-2Pa
波長366nmの光線透過率:82%
【0123】
<比較例1>
PET12μm(ユニチカ製PET−F)の蒸着層を設ける面に、平行平板型直流式プラズマ発生装置が装着された連続蒸着膜成膜装置を用いて下記プラズマ処理条件にて搬送速度480m/minでプラズマ前処理を施し、その後、連続搬送してプラズマ処理面上に、上記実施例1の条件下で反応性抵抗加熱方式により厚さ8nmの酸化アルミ蒸着層を形成した。
(プラズマ前処理条件)
プラズマ強度:550W・sec/m2
プラズマ形成ガス:酸素100(sccm)、アルゴン1000(sccm)
前処理区画の真空度:2.0×10-1Pa
(酸化アルミ成膜条件)
真空度:2.1×10-2Pa
波長366nmの光線透過率:88%
【0124】
<比較例2>
PET12μm(ユニチカ製PET−F)の蒸着層を設ける面に、平行平板型直流式プラズマ発生装置が装着された連続蒸着膜成膜装置を用いて比較例1と同様のプラズマ処理条件で搬送速度480m/minでプラズマ前処理を施し、その後、連続搬送してプラズマ処理面上に下記条件下において反応性抵抗加熱方式により厚さ8nmの酸化アルミ蒸着層を形成した。
(酸化アルミ成膜条件)
真空度:2.2×10-2Pa
366nmの光線透過率:75%
【0125】
<比較例3>
PET12μm(ユニチカ製PET−F)のコロナ面に、上記実施例1の条件下において反応性抵抗加熱方式により厚さ8nmの酸化アルミ蒸着層を形成した。
【0126】
(評価項目)
上記各実施例又は比較例に記載の、実施例1から4及び比較例1から3に示した条件下で製造した蒸着フィルムをX線光電子分光測定法、酸素透過度及び水素透過度並びにフィルムと蒸着膜間の密着強度の測定用のサンプルとした。
各測定サンプルを用いてX線光電子分光測定、酸素透過度、水蒸気透過度、及びラミネート強度(剥離強度)について、下記のとおり測定した。
【0127】
<評価方法>
1.X線光電子分光測定法
PHI社製X線光電子分光装置(Quantum2000)を用いてX線源としてAlKα(1486.6eV)を使用、出力120Wで酸化アルミ等の蒸着膜とPET基材等のフィルム基材との界面の結合状態の分析を実施し、炭素−アルミニウム結合(AL−Cの共有結合)に由来する283.5±0.5eV(CISの結合エネルギー)の結合を含む蒸着膜とフィルムとの各種結合を測定した。
また、Al/O比に関しては、X千光電子分光装置で得られたAlとOの相対含有比率から算出した。
【0128】
2.ガスバリア性(酸素・水蒸気)
<酸素透過度>
酸素透過度測定装置(モダンコントロール(MOCON)社製〔機種名:オクストラン(OX−TRAN)2/21〕を用いて、調湿側がフィルム面となるように上記試験用サンプルをセットし、23℃、100%RH雰囲気下の測定条件で、JIS K 7126 B法に準拠して測定した。
【0129】
<水蒸気透過度の測定>
水蒸気透過度測定装置(モコン(MOCON)社製の測定機〔機種名、パーマトラン(PERMATRAN)3/33〕)を用いて、調湿側がバリアコート層面となるように上記試験用サンプルをセットし、37.8℃、100%RH雰囲気下の測定条件で、JIS K 7126 B法に準拠し、測定した。
【0130】
プラスチック基材と酸化アルミ蒸着層間の密着強度
<密着強度の測定(1)>
上記蒸着フィルムの蒸着面側に2液硬化型ポリウレタン系接着剤を塗工し、乾燥処理したものと、厚さ30μmの無延伸ポリプロピレンフィルムに2液硬化型ポリウレタン系接着剤を塗工し、乾燥処理したものとドライラミネートした積層複合フィルムを作製し、密着強度測定用サンプルとした。
上記積層複合フィルムを48時間エージング処理した後、15mm巾の短冊状にカットしたサンプルを引張試験機(株式会社オリエンテック社製[機種名:テンシロン万能材料試験機])を用いてJIS K6854−2に準拠し、蒸着膜と無延伸ポリプロピレンフィルムとの接着界面の接着強度を、剥離速度50mm/minで180°剥離(T字剥離法)を用いて測定した。
<密着強度の測定(2)>
上記蒸着フィルムの蒸着面側に2液硬化型ポリウレタン系接着剤を塗工し、乾燥処理したものと、厚さ30μmの無延伸ポリプロピレンフィルムに2液硬化型ポリウレタン系接着剤を塗工し、乾燥処理したものとドライラミネートした積層複合フィルムを作製し、エージング完了後、密着強度測定用サンプルとした。
上記積層複合フィルムを用いてB5サイズに作製した四方パウチに水100mLを注入し、121℃、60minで熱水式レトルト処理した後、中身の水を抜いた四方パウチから15mm巾の短冊状にカットしたサンプルを引張試験機(株式会社オリエンテック社製[機種名:テンシロン万能材料試験機])を用いてJIS K6854−2に準拠し、蒸着膜と無延伸ポリプロピレンフィルムとの接着界面の接着強度を、剥離速度50mm/minで180°剥離(T字剥離法)を用いて測定した。
<密着強度の測定(3)>
上記蒸着フィルムの蒸着面側に2液硬化型ポリウレタン系接着剤を塗工し、乾燥処理したものと、厚さ30μmの無延伸ポリプロピレンフィルムに2液硬化型ポリウレタン系接着剤を塗工し、乾燥処理したものとドライラミネートした積層複合フィルムを作製し、エージング完了後、密着強度測定用サンプルとした。
上記積層複合フィルムを用いてB5サイズに作製したシートを60℃、90%RHの恒温恒湿槽に500時間保管後、15mm巾の短冊状にカットしたサンプルを引張試験機(株式会社オリエンテック社製[機種名:テンシロン万能材料試験機])を用いてJIS K6854−2に準拠し、蒸着膜と無延伸ポリプロピレンフィルムとの接着界面の接着強度を、剥離速度50mm/minで180°剥離(T字剥離法)を用いて測定した。
【0131】
<密着強度の測定(1)に関連する測定結果>
密着強度の測定(1)に関連する試験用サンプルの性能評価の結果は、表1に示したとおりである。
【表1】
【0132】
表1に示されるように、本発明のプラズマ前処理装置を用いて製造した蒸着フィルムと従来技術によるものとの差は明らかである。
【0133】
本発明のプラズマ前処理装置を配置した前処理区画と成膜区画を隔離した連続蒸着膜成膜装置によるプラズマ前処理では、表面粗さRa=8nmであり、比較例3のプラズマ前処理しないプラスチック基材表面の表面粗さRa=8nmと代わりがなく、一方、従来のプラズマ前処理では、表面粗さRa=11〜13nmと大きくなり、プラズマRIE法では、表面をイオンエッチングして不純物等を飛ばし平滑化するプラズマエッチィング(Ra=4nm)され、表面状態が変化されるものであり、明らかに本発明のプラズマ前処理は、従来のプラズマ処理と技術的な意味が異なっている。
なお、表面粗さRaは、非接触式3次元表面粗さ計(Zygo社製NewView TM7000を用いて視野範囲0.11mm×0.11mmの中の異なる場所20カ所で測定を実施し、その平均値から算術平均粗さ(Ra)を求めた。
【0134】
さらに、着目すべき点は、本発明のプラズマ前処理によれば、従来のプラズマ前処理では、表1に示すように検出限界以下と生成することのなかったAL−Cの共有結合の存在比率が、17%〜22%と、蒸着膜成膜時に高い割合でAL−Cの共有結合が生成される点である。
このAL−Cの共有結合の生成により、実施例と比較例の密着強度においてみられるように、本発明のプラズマ前処理による密着強度が5.8〜7.7であるのに対し、従来のプラズマ前処理による密着強度が2.1〜2.7であり、密着性を約3倍程度向上することができる。
【0135】
そしてこの密着強度の発現が、AL−Cの共有結合を含むことによるものと想定でき、従来の酸素を介在した官能基によるプラスチック基材と蒸着膜との積層と異なり、安定した密着強度を有する蒸着フィルムを得ることができる。
【0136】
本発明のプラズマ前処理装置を配置した前処理区画と成膜区画を隔離した連続蒸着膜成膜装置を用いてプラズマ前処理することによる蒸着フィルムは、実施例1〜4と比較例1〜3との比較から明らかなように、水蒸気透過度及び酸素透過度が低く、安定した性能を有する蒸着フィルムを製造でき、かつプラスチック基材と蒸着膜との間の密着性が大幅に強化された、良質かつ均一な蒸着膜を形成することが可能となった。
<ラミネート強度の測定(2)に関連する測定結果>
ラミネート強度の測定(2)に関連する、試験用サンプルの性能評価の結果は、表2に示したとおりである。
【表2】
【0137】
表2に示されるように、本発明のプラズマ前処理装置を用いて製造した蒸着フィルムは、実施例と比較例とを比較することにより、従来の前処理技術との違いが明らかである。
【0138】
着目すべき点は、本発明のプラズマ前処理では、従来のプラズマ前処理では、表2に示すように検出限界以下と生成することのなかったAL−Cの共有結合の存在比率が、17%〜22%と、蒸着膜成膜時にAL−Cの共有結合が生成される点である。このAL−Cの共有結合の生成により、実施例と比較例の密着強度においてみられるように、本発明のプラズマ前処理では、121℃、60minの熱水処理後のプラスチックフィルムと蒸着層間のラミネート強度による密着強度が4.0〜4.8であるのに対し、従来のプラズマ前処理の該ラミネート強度の測定による密着強度は0.1〜0.4であり、本発明の耐水密着性透明蒸着フィルムの耐水密着性を10〜40倍以上向上したものとすることができる。
【0139】
そして、この密着強度の発現が、AL−Cの共有結合を含むことによるものと想定でき、従来の酸素を介在した官能基によるプラスチック基材と蒸着膜との積層と異なり、安定した耐水密着性を有する蒸着フィルムを得ることができる。
【0140】
本発明のプラズマ前処理装置を配置した前処理区画と成膜区画を隔離した連続蒸着膜成膜装置を用いてプラズマ前処理することによる蒸着フィルムは、実施例1〜4と比較例1〜3との比較から明らかなように、水蒸気透過度及び酸素透過度が低く、安定した性能を有する蒸着フィルムを製造でき、かつ熱水処理後でもプラスチック基材と蒸着膜との間の密着性が維持され、かつ大幅に耐水密着性が強化された、良質かつ均一な蒸着膜を形成することが可能となった。
<密着強度(3)の測定に関連する測定結果>
密着強度の測定(3)に関連する、試験用サンプルの性能評価の結果は、表3に示したとおりである。
【表3】
【0141】
表3に示されるように、本発明のプラズマ前処理装置を用いて製造した蒸着フィルムは、実施例と比較例とを比較することにより従来技術との違いが明らかである。
【0142】
着目すべき点は、本発明のプラズマ前処理では、従来のプラズマ前処理では、表3に示すように検出限界以下と生成することのなかったAL−Cの共有結合の存在比率が、17%〜22%と、蒸着膜成膜時に高い割合でAL−Cの共有結合が生成される点である。
このAL−Cの共有結合の生成により、実施例と比較例の密着強度においてみられるように、本発明のプラズマ前処理では、60℃×90%RHの500時間保管後のラミネート強度による密着強度が、3.3〜3.9であるのに対し、従来のプラズマ前処理の該ラミネート強度による密着強度は、0.1以下であり、本発明の耐湿熱性透明蒸着フィルムは、ガスバリア性の低下がなく、高温多湿環境下でも耐湿熱密着性を従来に比べ約35倍以上向上したものとすることができる。
【0143】
そして、その密着強度の発現がAL−Cの共有結合を含むことによるものと想定でき、従来の酸素を介在した官能基によるプラスチック基材と蒸着膜との積層と異なり、安定した耐湿熱密着性を有する蒸着フィルムを得ることができる。
【0144】
本発明のプラズマ前処理装置を配置した前処理区画と成膜区画を隔離した連続蒸着膜成膜装置を用いてプラズマ前処理することによる蒸着フィルムは、実施例1〜4と比較例との比較から明らかなように、水蒸気透過度及び酸素透過度が維持され、安定した性能を有する蒸着フィルムを製造でき、かつ高温多湿環境下でもプラスチック基材と蒸着膜との間の密着性が維持され、かつ大幅に耐湿熱密着性が強化された、良質かつ均一な蒸着膜を形成することが可能となった。
B.実施例5〜9、比較例4〜7とその評価
<実施例5>
基材として厚さ12μmのPET(ユニチカ製PET−F)の蒸着層を設ける面に、本発明のプラズマ前処理装置を配置した前処理区画と成膜区画を隔離した連続蒸着膜成膜装置を用いて、前処理区画において下記プラズマ条件下でプラズマ供給ノズルからプラズマを導入し、搬送速度480m/minでプラズマ前処理を施し、その後、連続搬送した成膜区画内でプラズマ処理面上に下記条件において真空蒸着法の加熱手段として反応性抵抗加熱方式により厚さ8nmの酸化アルミ蒸着層を形成した。
(プラズマ前処理条件)
高周波電源出力:4kW
プラズマ強度:550W・sec/m2
プラズマ形成ガス:酸素100(sccm)、アルゴン1000(sccm)
磁気形成手段:1000ガウスの永久磁石
前処理ドラム-プラズマ供給ノズル間印加電圧:420V
前処理区画の真空度:2.0×10−1Pa
(酸化アルミ成膜条件)
真空度:2.1×10−2Pa
波長366nmの光線透過率:88%
<実施例6>
実施例5と同様の方法にて酸化アルミ蒸着層を形成したフィルムの酸化アルミ蒸着層上にガスバリア性塗膜0.3μmを形成し、密着性強化透明蒸着フィルムを作製した。
ここで、上記ガスバリア性塗膜は、EVOH(エチレン共重合率29%)
、イソプロピルアルコール、及びイオン交換水の混合溶媒にて溶解したEVOH溶液に、テトラエトキシシラン(エチルシリケート40) 、塩酸、イソプロピルアルコール、アセチルアセトンアルミニウム、イオン交換水からなる予め調製した固形分4wt%の加水分解液を加え、攪拌し、さらに、ポリビニルアルコール水溶液、酢酸、イソプロピルアルコール及びイオン交換水からなる予め調製した混合液を加え、攪拌して無色透明のガスバリア性塗膜形成用組成物を得た後、そのガスバリア性塗膜形成用組成物を上記酸化アルミ蒸着層上にグラビアロールコート法によりコーティングし、次いで、ゾルゲル法によって、150℃で60秒間加熱し、前記組成物が重縮合して得られるガスバリア性組成物のガスバリア性塗膜とした。
<実施例7>
PET12μm(ユニチカ製PET−F)の蒸着層を設ける面に本発明のプラズマ前処理装置を配置した前処理区画と成膜区画を隔離した連続蒸着膜成膜装置の前処理区画でプラズマ強度を12kWにした以外は、上記実施例5と同様の条件下でプラズマ供給ノズルからプラズマを導入し、搬送速度480m/minでプラズマ前処理を施し、その後、連続搬送した成膜区画内でプラズマ処理面上に上記実施例5の条件下において反応性抵抗加熱方式で厚さ8nmの酸化アルミ蒸着層を形成した。
次いで、実施例5と同様に操作し、酸化アルミ蒸着層上にガスバリア性塗膜0.3μmを設け、密着性強化透明蒸着フィルムを作製した。
<実施例8>
PET12μm(ユニチカ製PET−F)の蒸着層を設ける面に本発明のプラズマ前処理装置を配置した前処理区画と成膜区画を隔離した連続蒸着膜成膜装置の前処理区画でプラズマ強度を12kW、プラズマ形成ガスの酸素を窒素に変更した以外は、上記実施例5と同様の条件下でプラズマ供給ノズルからプラズマを導入し、搬送速度480m/minでプラズマ前処理を施し、その後、連続搬送した成膜区画内でプラズマ処理面上に上記実施例5の条件下において反応性抵抗加熱方式で厚さ8nmの酸化アルミ蒸着層を形成した。
次いで、実施例5と同様に操作し、酸化アルミ蒸着層上にガスバリア性塗膜0.3μmを設け、密着性強化透明蒸着フィルムを作製した。
<実施例9>
PET12μm(ユニチカ製PET−F)の蒸着層を設ける面に本発明のプラズマ前処理装置を配置した前処理区画と成膜区画を隔離した連続蒸着膜成膜装置の前処理区画でプラズマ強度を12kWにした以外は、上記実施例5と同様の条件下でプラズマ供給ノズルからプラズマを導入し、搬送速度480m/minでプラズマ前処理を施し、その後、連続搬送した成膜区画内でプラズマ処理面上に下記条件下において反応性抵抗加熱方式により厚さ8nmの酸化アルミ蒸着層を形成した。
(酸化アルミ成膜条件)
真空度:2.5×10−2Pa
波長366nmの光線透過率:82%
次いで、実施例5と同様に操作し、酸化アルミ蒸着層上にガスバリア性塗膜0.3μmを設け、密着性強化透明蒸着フィルムを作製した。
<比較例4>
PET12μm(ユニチカ製PET−F)の蒸着層を設ける面に平行平板型直流式プラズマ発生装置が装着された連続蒸着膜成膜装置を用いて下記プラズマ処理条件にて搬送速度480m/minでプラズマ前処理を施し、その後、連続搬送してプラズマ処理面上に上記実施例5の条件下で反応性抵抗加熱方式により厚さ8nmの酸化アルミ蒸着層を形成した。
(プラズマ前処理条件)
プラズマ強度:550W・sec/m2
プラズマ形成ガス:酸素100(sccm)、アルゴン1000(sccm)
前処理区画の真空度:2.0×10−1Pa
(酸化アルミ成膜条件)
真空度:2.1×10−2Pa
波長366nmの光線透過率:88%
<比較例5>
比較例4と同様の方法にて酸化アルミ蒸着層を形成したフィルムの酸化アルミ蒸着層上にガスバリア性塗膜0.3μmを形成し、密着性強化透明蒸着フィルムを作製した。
<比較例6>
PET12μm(ユニチカ製PET−F)の蒸着層を設ける面に平行平板型直流式プラズマ発生装置が装着された連続蒸着膜成膜装置を用いて比較例4と同様のプラズマ処理条件にて搬送速度480m/minでプラズマ前処理を施し、その後、連続搬送してプラズマ処理面上に下記条件下において反応性抵抗加熱方式により厚さ8nmの酸化アルミ蒸着層を形成した。
(酸化アルミ成膜条件)
真空度:2.2×10−2Pa
366nmの光線透過率:75%
次いで、実施例5と同様に操作し、酸化アルミ蒸着層上にガスバリア性塗膜0.3μmを設け、密着性強化透明蒸着フィルムを作製した。
<比較例7>
PET12μm(ユニチカ製PET−F)のコロナ面に上記実施例5の条件下において反応性抵抗加熱方式により厚さ8nmの酸化アルミ蒸着層を形成した。
次いで、実施例5と同様に操作し、酸化アルミ蒸着層上にガスバリア性塗膜0.3μmを設け、密着性強化透明蒸着フィルムを作製した。
(評価項目)
上記実施例5〜9、及び比較例4〜7に示した条件下で製造した蒸着フィルム又は蒸着膜上に上記ガスバリア性塗膜を塗布した蒸着フィルムを、X線光電子分光測定法、酸素透過度及び水素透過度並びにフィルムと蒸着膜間の密着強度の測定用のサンプルとした。
各測定サンプルを用いてX線光電子分光測定、酸素透過度、水蒸気透過度、及び密着強度について測定した。
<評価方法>
1.X線光電子分光測定法、ガスバリア性のうち酸素透過度と水蒸気透過度については、実施例1と同様に測定した。
2.プラスチック基材と酸化アルミ蒸着層間の密着強度
<密着強度(4)の測定>
上記蒸着フィルムの蒸着面側にガスバリア性塗膜を形成した上記塗膜面側に2液硬化型ポリウレタン系接着剤を塗工し、乾燥処理したものと、厚さ60μmの無延伸ポリプロピレンフィルムに2液硬化型ポリウレタン系接着剤を塗工し、乾燥処理したものとドライラミネートした積層複合フィルムを作製し、エージング完了後、密着強度測定用サンプルとした。
上記積層複合フィルムを用いてB5サイズに作製した四方パウチに水100mLを注入し、121℃、60分間で熱水式レトルト処理を行った。該レトルト処理後、中身の水を抜いた四方パウチから15mm巾の短冊状にカットしたサンプルを引張試験機(株式会社オリエンテック社製[機種名:テンシロン万能材料試験機])を用いてJIS K6854−2に準拠し、蒸着膜と無延伸ポリプロピレンフィルムとの接着界面の接着強度を、剥離速度50mm/minで180°剥離(T字剥離法)を用いて測定した。
<密着強度(5)の測定>
上記蒸着フィルムの蒸着面側にガスバリア性塗膜を形成した上記塗膜面側に2液硬化型ポリウレタン系接着剤を塗工し、乾燥処理したものと、厚さ30μmの無延伸ポリプロピレンフィルムに2液硬化型ポリウレタン系接着剤を塗工し、乾燥処理したものとドライラミネートした積層複合フィルムを作製し、エージング完了後、密着強度測定用サンプルとした。
上記積層複合フィルムを用いてB5サイズに作製したシートを60℃、90%RHの恒温恒湿槽に500時間保管後、15mm巾の短冊状にカットしたサンプルを引張試験機(株式会社オリエンテック社製[機種名:テンシロン万能材料試験機])を用いてJIS K6854−2に準拠し、蒸着膜と無延伸ポリプロピレンフィルムとの接着界面の接着強度を、剥離速度50mm/minで180°剥離(T字剥離法)を用いて測定した。
<密着強度(4)の測定に関連する測定結果>
密着強度(4)の測定に関連する試験用サンプルの性能評価の結果は、表4に示したとおりである。
【表4】
【0145】
表4に示されるように、本発明のプラズマ前処理装置を用いて製造した蒸着フィルムは、実施例と比較例とを比較することにより従来技術との違いが明らかである。
【0146】
着目すべき点は、本発明のプラズマ前処理では、従来のプラズマ前処理では、表4に示すように検出限界以下と生成することのなかったAL−Cの共有結合の存在比率が、17%〜22%と、蒸着膜成膜時に高い割合でAL−Cの共有結合が生成される点である。
このAL−Cの共有結合の生成により、実施例と比較例の密着強度においてみられるように、本発明のプラズマ前処理では、121℃、60分間で熱水式レトルト処理後のラミネート強度による密着強度が、5.2〜6.3であるのに対し、従来のプラズマ前処理の該ラミネート強度による密着強度は、0.5〜1.3であり、本発明のレトルト用透明蒸着フィルムは、優れたガスバリア性を維持し、耐熱水性を有し、高温水下での熱水式レトルト処理でも耐熱水密着性を従来に比べ約4〜10倍以上向上することができる。
【0147】
そして、その密着強度の発現がAL−Cの共有結合を含むことによるものと想定でき、従来の酸素を介在した官能基によるプラスチック基材と蒸着膜との積層と異なり、安定した耐熱水密着性を有する蒸着フィルムを得ることができる。
【0148】
本発明のプラズマ前処理装置を配置した前処理区画と成膜区画を隔離した連続蒸着膜成膜装置を用いてプラズマ前処理することによる蒸着フィルムは、実施例1〜4と比較例との比較から明らかなように、優れた水蒸気透過度及び酸素透過度を維持し、安定した性能を有するレトルト用透明蒸着フィルムを製造でき、かつ121℃、60分間で熱水式レトルト処理後でもプラスチック基材と蒸着膜との間の密着性が維持され、かつ大幅に耐熱水密着性が強化された、良質かつ均一なレトルト用透明蒸着フィルムを形成することが可能となった。
<密着強度(5)の測定に関連する測定結果>
密着強度(5)の測定に関連する試験用サンプルの性能評価の結果は、表5に示したとおりである。
【表5】
<内容物を収納した場合における性能の評価>
次に、本発明の包装材料を用いて包装材を製造し、内容物を収納した場合における性能を評価するために、実施例5〜9、比較例4〜7で得られた透明蒸着フィルムの蒸着層あるいはガスバリア性塗膜面側に2液硬化型ポリウレタン系接着剤を塗工し、厚さ15μmの2軸延伸ナイロンフィルムと貼り合せ、さらにナイロンフィルム面側に2液硬化型ポリウレタン系接着剤を塗工し、厚さ70μmの無延伸ポリプロピレンフィルムを貼り合せた後、エージングを行い、ガスバリア性積層複合フィルムを得た。
同積層複合フィルムを用いて15cm×15cm四方パウチの包装袋を作製し、同包装袋に水、カレーソース及び中華スープを気泡が入らないよう充填後、121℃で30分レトルト殺菌処理したもののガスバリア性測定、密着強度測定及びデラミネーション有無による外観検査を実施した。結果を表6に示す。
【表6】
実施例5〜9、比較例4〜7で得られた透明蒸着フィルムの蒸着層あるいはガスバリア性塗膜面側に2液硬化型ポリウレタン系接着剤を塗工し、厚さ30μmの高密度ポリエチレンフィルムと貼り合せた後、エージングを行い、ガスバリア性積層複合フィルムを得た。
同積層複合フィルムを用いて15cm×15cm四方パウチの包装袋を作製し、同包装袋にリンス入りシャンプーを充填後、40℃、90%RHで3ヶ月間保存したもののガスバリア性測定、密着強度測定及びデラミネーション有無による外観検査を実施した。結果を表7示す。
【0149】
【表7】
上記のとおり、本発明の包装材料は、内容物を収納した場合においても、良好な性能を示した。
【産業上の利用可能性】
【0150】
本発明は、減圧下において長尺状の基材表面に均一に広範囲にプラズマ前処理を施すことができ、かつ高活性な表面を有するのでAL−Cの共有結合を含む蒸着膜が形成できるため、成膜手段として物理蒸着及び化学蒸着のいずれを適用しても密着性に優れた均一な蒸着膜を有する高密着性透明蒸着フィルムを高速で形成できる。
したがって、酸素ガス、水蒸気等の透過を阻止するバリア性及び密着性に優れた蒸着膜を有する積層材、例えば、レトルト処理、加熱処理等の加工に伴う熱処理に耐える積層材を必要とする食品、医薬品などの包装材、及び電気・電子部品の包装、保護シートなどの耐久性、バリア性を必要とする使用環境が厳しい分野の資材としての適用あるいは資材の製造に適用できるものである。
【符号の説明】
【0151】
1,S ………プラスチック基材
2 ………無機酸化物蒸着膜
3……………ガスバリア性塗膜
P……………プラズマ
10 ………ローラー式連続蒸着膜成膜装置
12 ………減圧チャンバ
12A ………基材搬送室
12B ………プラズマ前処理室
12C ………成膜室
13 ………巻き出しローラー
14 ………ガイドローラー
15 ………巻き取りローラー
18 ………原料ガス揮発供給装置
19 ………原料ガス供給ノズル
20 ………前処理ローラー
21 ………マグネット
22 ………プラズマ供給ノズル
25 ………成膜ローラー
26 ………蒸着膜成膜手段
30 ………真空ポンプ
31 ………電力供給配線
32 ………電源
35a〜35c………隔壁
【図1】
【図2】
【図3】

【手続補正書】
【提出日】20150325
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0040
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0040】
さらに、酸化アルミニウムを主成分とする無機酸化物蒸着膜のAl/O比がフィルムと蒸着膜の界面から蒸着膜表面に向かって3nmまでが1.0以下であるように制御することにより、プラスチック基材と蒸着膜との間の密着性を強化することを含み、密着性が従来よりも大幅に強化されかつ透明性にも優れた耐湿熱性の高密着性透明蒸着フィルムが得られる。
上記のとおり、本発明は、以下の点を特徴とする。
1.少なくともプラスチック基材の表面に酸化アルミニウムを主成分とする無機酸化物蒸着膜を形成した層構成を有する透明蒸着フィルムにおいて、プラスチック基材と酸化アルミニウムを主成分とする無機酸化物蒸着膜との界面にAL−Cの共有結合を含むことを特徴とする透明蒸着フィルム。
2.前記蒸着膜表面に、金属アルコキシドの加水分解生成物と水溶性高分子の混合溶液を塗布し、加熱乾燥してなるガスバリア性塗膜を有することを特徴とする上記1記載の透明蒸着フィルム。
3.60℃×90%RH環境下で500時間保管後のラミネート強度の測定によるプラスチック基材と蒸着膜間の密着強度が3.0N/15ミリメートル以上であることを特徴とする上記1または2に記載の透明蒸着フィルム。
4.121℃、60minの熱水処理後のラミネート強度の測定によるプラスチックフィルムと蒸着膜間の密着強度が3N/15mm以上であることを特徴とする上記1または2に記載の透明蒸着フィルム。
5.AL−Cの共有結合の存在量が、X線光電子分光法により測定(測定条件:X線源AlKα、X線出力120W)したCを含む全結合中0.3%以上で30%以下あり、さらに酸化アルミニウムを主成分とする無機酸化物蒸着膜のAl/O比がプラスチック基材と蒸着膜の界面から蒸着膜表面に向かって3nmまでが1.0以下であることを特徴とする上記1〜4のいずれか1項に記載の透明蒸着フィルム。
6.AL−Cの共有結合を含む蒸着膜が、プラスチック基材の表面をプラズマ前処理ローラーとプラズマ供給手段の間に電圧を印加した状態に保持してプラズマ前処理した後、連続して酸化アルミニウムを主成分とする無機酸化物蒸着膜を成膜することにより形成したことを特徴とする上記1〜5のいずれか1項に記載の透明蒸着フィルム。
7.前記プラズマ前処理が、蒸着膜を設けるプラスチック基材の表面をプラズマ処理する前処理区画と蒸着膜を形成する成膜区画を連続配置したローラー式連続蒸着膜成膜装置を用いてプラズマ前処理するものであって、前記プラズマ前処理が、前処理ローラーと、該前処理ローラーに対向して、プラズマ供給手段及び磁場形成手段を配置し、供給したプラズマ原料ガスを基材表面近傍にプラズマとして導入し、かつ該プラズマを封じ込める空隙を形成する構造を有し、かつプラズマ前処理ローラーとプラズマ供給手段の間に電圧を印加した状態に保持してプラズマ処理することを特徴とする上記6に記載の透明蒸着フィルム。
8.前記プラズマによる前処理が、蒸着膜を設けるプラスチック基材の表面を、プラズマ前処理区画と蒸着膜成膜区画を隔離したローラー式連続蒸着膜成膜装置を用いて、単位面積あたりのプラズマ強度として100〜8000W・sec/m2の条件下で処理することを特徴とする上記6または7に記載の透明蒸着フィルム。
9.前記プラズマの原料ガスが、アルゴン単独、及び又は酸素、窒素、炭酸ガスのうちの1種類以上との混合ガスであることを特徴とする上記6〜8のいずれか1項に記載の透明蒸着フィルム。
10.前記プラズマによる前処理が、酸素、窒素、炭酸ガスの1種以上とアルゴンの混合ガスからなるプラズマ原料ガスを用いて行うことを特徴とする上記9に記載の透明蒸着フィルム。
11.蒸着膜を成膜する手段が、物理蒸着であることを特徴とする上記1〜10のいずれか1項に記載の透明蒸着フィルム。
12.前記無機化合物が、酸化アルミニウムを主成分とする無機酸化物、あるいはそれらの混合物であることを特徴とする上記1〜11のいずれか1項に記載の透明蒸着フィルム。
13.前記無機酸化物が、酸化アルミニウムと、酸化珪素、酸化マグネシウム、酸化錫、酸化亜鉛から選択された1種又は1種以上混合した無機酸化物の混合物であることを特徴とする上記12に記載の透明蒸着フィルム。
14.プラスチック基材の少なくとも一方の表面に厚さ5〜100nmの酸化アルミの蒸着層を設けた上記1〜13のいずれか1項に記載の透明蒸着フィルム。
15.ヒートシール可能な熱可塑性樹脂を、接着層を介して最内層として積層したことを特徴とする上記1〜14のいずれかに記載の透明蒸着フィルムを用いた包装材料。
16.上記ガスバリア性塗膜面に印刷層を設けた後、接着層を介してヒートシール可能な熱可塑性樹脂を積層したことを特徴とする上記2〜14のいずれかに記載の透明蒸着フィルムを用いた包装材料。
17.上記ヒートシール可能な熱可塑性樹脂が、遮光性を有するヒートシール可能な熱可塑性樹脂であることを特徴とする上記15〜16のいずれかに記載の包装材料。
18.上記包装材料がボイル、レトルト殺菌用包装に用いられる上記15〜17のいずれかに記載の包装材料。
19.上記包装材料がシャンプー、リンス及びリンスインシャンプーなどの日用品あるいは化粧品包装及び液体スープ包装に用いられる上記15〜17のいずれかに記載の包装材料。
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくともプラスチック基材の表面に酸化アルミニウムを主成分とする無機酸化物蒸着膜を形成した層構成を有する透明蒸着フィルムにおいて、プラスチック基材と酸化アルミニウムを主成分とする無機酸化物蒸着膜との界面にAL−Cの共有結合を含むことを特徴とする透明蒸着フィルム。
【請求項2】
前記蒸着膜表面に、金属アルコキシドの加水分解生成物と水溶性高分子の混合溶液を塗布し、加熱乾燥してなるガスバリア性塗膜を有することを特徴とする請求項1記載の透明蒸着フィルム。
【請求項3】
60℃×90%RH環境下で500時間保管後のラミネート強度の測定によるプラスチック基材と蒸着膜間の密着強度が3.0N/15ミリメートル以上であることを特徴とする請求項1または2に記載の透明蒸着フィルム。
【請求項4】
121℃、60minの熱水処理後のラミネート強度の測定によるプラスチックフィルムと蒸着膜間の密着強度が3N/15mm以上であることを特徴とする請求項1または2に記載の透明蒸着フィルム。
【請求項5】
AL−Cの共有結合の存在量が、X 線光電子分光法により測定(測定条件:X 線源AlKα、X線出力120W) したCを含む全結合中0.3%以上で30%以下あり、さらに酸化アルミニウムを主成分とする無機酸化物蒸着膜のAl/O比がプラスチック基材と蒸着膜の界面から蒸着膜表面に向かって3nmまでが1.0以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の透明蒸着フィルム。
【請求項6】
AL−Cの共有結合を含む蒸着膜が、プラスチック基材の表面をプラズマ前処理ローラーとプラズマ供給手段の間に電圧を印加した状態に保持してプラズマ前処理した後、連続して酸化アルミニウムを主成分とする無機酸化物蒸着膜を成膜することにより形成したことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の透明蒸着フィルム。
【請求項7】
前記プラズマ前処理が、蒸着膜を設けるプラスチック基材の表面をプラズマ処理する前処理区画と蒸着膜を形成する成膜区画を連続配置したローラー式連続蒸着膜成膜装置を用いてプラズマ前処理するものであって、前記プラズマ前処理が、前処理ローラーと、該前処理ローラーに対向して、プラズマ供給手段及び磁場形成手段を配置し、供給したプラズマ原料ガスを基材表面近傍にプラズマとして導入し、かつ該プラズマを封じ込める空隙を形成する構造を有し、かつプラズマ前処理ローラーとプラズマ供給手段の間に電圧を印加した状態に保持してプラズマ処理することを特徴とする請求項6に記載の透明蒸着フィルム。
【請求項8】
前記プラズマによる前処理が、蒸着膜を設けるプラスチック基材の表面を、プラズマ前処理区画と蒸着膜成膜区画を隔離したローラー式連続蒸着膜成膜装置を用いて、単位面積あたりのプラズマ強度として100〜8000W・sec/m2の条件下で処理することを特徴とする請求項6または7に記載の透明蒸着フィルム。
【請求項9】
前記プラズマの原料ガスが、アルゴン単独、及び又は酸素、窒素、炭酸ガスのうちの1種類以上との混合ガスであることを特徴とする請求項6〜8のいずれか1項に記載の透明蒸着フィルム。
【請求項10】
前記プラズマによる前処理が、酸素、窒素、炭酸ガスの1種以上とアルゴンの混合ガスからなるプラズマ原料ガスを用いて行うことを特徴とする請求項9に記載の透明蒸着フィルム。
【請求項11】
蒸着膜を成膜する手段が、物理蒸着であることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の透明蒸着フィルム。
【請求項12】
前記無機化合物が、酸化アルミニウムを主成分とする無機酸化物、あるいはそれらの混合物であることを特徴とする請求項1〜11のいずれかに1項に記載の透明蒸着フィルム。
【請求項13】
前記無機酸化物が、酸化アルミニウムと、酸化珪素、酸化マグネシウム、酸化錫、酸化亜鉛から選択された1種又は1種以上混合した無機酸化物の混合物であることを特徴とする請求項12に記載の透明蒸着フィルム。
【請求項14】
プラスチック基材の少なくとも一方の表面に厚さ5〜100nmの酸化アルミの蒸着層を設けた請求項1〜13のいずれか1項に記載の透明蒸着フィルム。
【請求項15】
ヒートシール可能な熱可塑性樹脂を、接着層を介して最内層として積層したことを特徴とする請求項1〜14のいずれかに記載の透明蒸着フィルムを用いた包装材料。
【請求項16】
上記ガスバリア性塗膜面に印刷層を設けた後、接着層を介してヒートシール可能な熱可塑性樹脂を積層したことを特徴とする請求項2〜14のいずれかに記載の透明蒸着フィルムを用いた包装材料。
【請求項17】
上記ヒートシール可能な熱可塑性樹脂が、遮光性を有することを特徴とする請求項15〜16のいずれかに記載の包装材料。
【請求項18】
上記包装材料がボイル、レトルト殺菌用包装に用いられる請求項15〜17のいずれか1項に記載の包装材料。
【請求項19】
上記包装材料がシャンプー、リンス及びリンスインシャンプーなどの日用品あるいは化粧品包装及び液体スープ包装に用いられる請求項15〜17のいずれか1項に記載の包装材料。
【国際調査報告】