(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO2014051140
(43)【国際公開日】20140403
【発行日】20160825
(54)【発明の名称】合わせガラス用中間膜及び合わせガラス
(51)【国際特許分類】
   C03C 27/12 20060101AFI20160729BHJP
   B32B 17/10 20060101ALI20160729BHJP
   B32B 27/30 20060101ALI20160729BHJP
【FI】
   !C03C27/12 N
   !C03C27/12 D
   !B32B17/10
   !B32B27/30 102
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】28
【出願番号】2013547049
(21)【国際出願番号】JP2013076534
(22)【国際出願日】20130930
(11)【特許番号】5503090
(45)【特許公報発行日】20140528
(31)【優先権主張番号】2012218735
(32)【優先日】20120928
(33)【優先権主張国】JP
(31)【優先権主張番号】2012218739
(32)【優先日】20120928
(33)【優先権主張国】JP
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ
(71)【出願人】
【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
【住所又は居所】大阪府大阪市北区西天満2丁目4番4号
(74)【代理人】
【識別番号】110000914
【氏名又は名称】特許業務法人 安富国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】太田 祐輔
【住所又は居所】日本国滋賀県甲賀市水口町泉1259 積水化学工業株式会社内
(72)【発明者】
【氏名】伊豆 康之
【住所又は居所】日本国滋賀県甲賀市水口町泉1259 積水化学工業株式会社内
(72)【発明者】
【氏名】中島 大輔
【住所又は居所】日本国滋賀県甲賀市水口町泉1259 積水化学工業株式会社内
(72)【発明者】
【氏名】深谷 重一
【住所又は居所】日本国東京都港区虎ノ門2丁目3−17 積水化学工業株式会社内
【テーマコード(参考)】
4F100
4G061
4J002
【Fターム(参考)】
4F100AG00A
4F100AG00C
4F100AH02B
4F100AH03B
4F100AH08B
4F100AK23B
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4F100JN06
4G061AA04
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4G061BA02
4G061CB03
4G061CB16
4G061CB18
4G061CD02
4G061CD18
4J002BE061
4J002EG027
4J002EG038
4J002EH146
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4J002FD206
4J002GJ01
4J002GL00
4J002GN00
4J002GT00
(57)【要約】
本発明は、光線が照射されることにより、コントラストが高い画像を表示し、変色を抑制しながら、接着性を制御できる合わせガラス用中間膜を提供することを目的とする。また、該合わせガラス用中間膜を含む合わせガラスを提供することを目的とする。
本発明は、ポリビニルアセタールと、テレフタル酸エステル構造を有する発光材料と、カリウム塩とを含む発光層を有する合わせガラス用中間膜である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリビニルアセタールと、テレフタル酸エステル構造を有する発光材料と、カリウム塩とを含む発光層を有することを特徴とする合わせガラス用中間膜。
【請求項2】
テレフタル酸エステル構造を有する発光材料は、下記一般式(1)で表される構造を有する化合物又は下記一般式(2)で表される構造を有する化合物であることを特徴とする請求項1記載の合わせガラス用中間膜。
【化1】
一般式(1)中、Rは有機基を表し、xは1、2、3又は4である。
一般式(2)中、Rは有機基を表し、R及びRは水素原子又は有機基を表し、yは1、2、3又は4である。
【請求項3】
発光層は、ポリビニルアセタール100重量部に対して0.001〜5重量部のテレフタル酸エステル構造を有する発光材料を含有することを特徴とする請求項1又は2記載の合わせガラス用中間膜。
【請求項4】
発光層中のカリウム元素の含有量が250ppm以下であることを特徴とする請求項1、2又は3記載の合わせガラス用中間膜。
【請求項5】
発光層中のカリウム元素の含有量が120ppm以上であることを特徴とする請求項1、2、3又は4記載の合わせガラス用中間膜。
【請求項6】
発光層中のマグネシウム元素の含有量が80ppm以下であることを特徴とする請求項1、2、3、4又は5記載の合わせガラス用中間膜。
【請求項7】
発光層がマグネシウム元素を含み、前記マグネシウム元素の含有量が80ppm以下であることを特徴とする請求項1、2、3、4、5又は6記載の合わせガラス用中間膜。
【請求項8】
カリウム塩は、炭素数1〜16のカルボン酸のカリウム塩であることを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6又は7記載の合わせガラス用中間膜。
【請求項9】
カリウム塩は、酢酸カリウム、プロピオン酸カリウム、2−エチルブタン酸カリウム、又は、2−エチルヘキサン酸カリウムであることを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、7又は8記載の合わせガラス用中間膜。
【請求項10】
請求項1、2、3、4、5、6、7、8又は9記載の合わせガラス用中間膜が、一対のガラス板の間に積層されていることを特徴とする合わせガラス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光線が照射されることにより、コントラストが高い画像を表示し、変色を抑制しながら、接着性を制御できる合わせガラス用中間膜に関する。また、本発明は、該合わせガラス用中間膜を含む合わせガラスに関する。
【背景技術】
【0002】
合わせガラスは、外部衝撃を受けて破損してもガラスの破片が飛散することが少なく安全であるため、自動車等の車両のフロントガラス、サイドガラス、リアガラスや、航空機、建築物等の窓ガラス等として広く使用されている。合わせガラスとして、少なくとも一対のガラス間に、例えば、液状可塑剤とポリビニルアセタール樹脂とを含む合わせガラス用中間膜を介在させ、一体化させた合わせガラス等が挙げられる。
【0003】
近年、自動車用のフロントガラスについて、このフロントガラスと同じ視野内に自動車走行データである速度情報等の計器表示をヘッドアップディスプレイ(HUD)として表示させようとする要望が高まっている。
HUDとしては、これまでに数々の形態が開発されている。最も一般的なHUDとしてコントロールユニットから送信される速度情報等をインストゥルメンタル・パネルの表示ユニットからフロントガラスに反射させることにより、運転者がフロントガラスと同じ位置、すなわち、同一視野内で速度情報等を視認できるHUDがある。
HUD用の合わせガラス用中間膜として、例えば、特許文献1には、所定の楔角を有する楔形合わせガラス用中間膜等が提案されており、合わせガラスにおいて計器表示が二重に見えるというHUDの欠点を解決することが提案されている。
【0004】
特許文献1に記載された合わせガラスは、合わせガラスの面内の一部の領域であれば、計器表示が二重に見えるというHUDの欠点を解決することができる。即ち、合わせガラスの面内の全面において、計器表示が二重に見えるという問題は解決されていない。
特許文献2には、2枚の透明板の間に、ヒドロキシテレフタレートを含む中間層が積層された合わせガラスが開示されている。特許文献2に記載された合わせガラスは、光線が照射されることにより、コントラストが高い画像を表示することができる。しかし、ヒドロキシテレフタレートを含む中間層を用いて合わせガラスを製造すると、中間層が変色してしまうという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特表平4−502525号公報
【特許文献2】国際公開第2010/139889号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、光線が照射されることにより、コントラストが高い画像を表示し、変色を抑制しながら、接着性を制御できる合わせガラス用中間膜を提供することを目的とする。また、本発明は、該合わせガラス用中間膜を含む合わせガラスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、ポリビニルアセタールと、テレフタル酸エステル構造を有する発光材料と、カリウム塩とを含む発光層を有する合わせガラス用中間膜である。
以下に本発明を詳述する。
【0008】
本発明者らは、ポリビニルアセタールと、テレフタル酸エステル構造を有する発光材料と、カリウム塩とを含む発光層を有することにより、光線が照射されると、コントラストが高い画像を表示し、変色を抑制しながら、接着性を制御できる合わせガラス用中間膜が得られることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0009】
本発明の合わせガラス用中間膜は、ポリビニルアセタールと、テレフタル酸エステル構造を有する発光材料と、カリウム塩とを含む発光層を有する。一般的に、合わせガラス用中間膜とガラスとの接着性を調整するために、合わせガラス用中間膜は、接着力調整剤としてマグネシウム元素を含む化合物を含有する。本発明者らは、テレフタル酸エステル構造を有する発光材料とマグネシウム元素を含む化合物とを併用すると、合わせガラス用中間膜が変色してしまうという問題を見出した。ポリビニルアセタールと、テレフタル酸エステル構造を有する発光材料と、カリウム塩とを含む発光層を用いることにより、コントラストが高い画像を表示できるだけでなく、変色を抑制でき、更に、合わせガラス用中間膜の接着性を制御することができる。
【0010】
本発明の合わせガラス用中間膜は、上記発光層のみを含む単層中間膜であってもよく、上記発光層と上記発光層の一方の面に配置されている第1の樹脂層とを有する多層中間膜であってもよい。上記第1の樹脂層はポリビニルアセタールを含むことが好ましい。第1の樹脂層は上記発光層の一方の面に直接積層されていてもよい。
本発明の合わせガラス用中間膜が多層中間膜である場合、上記発光層はガラスに対する接着性を制御することができるため、多層中間膜の最外層であることが好ましい。
【0011】
上記発光層はポリビニルアセタールを含む。
上記ポリビニルアセタールは、ポリビニルアルコールをアルデヒドでアセタール化して得られるポリビニルアセタールであれば特に限定されないが、ポリビニルブチラールが好適である。また、必要に応じて2種以上のポリビニルアセタールを併用してもよい。
上記ポリビニルアセタールのアセタール化度の好ましい下限は40モル%、好ましい上限は85モル%であり、より好ましい下限は60モル%、より好ましい上限は75モル%である。
【0012】
上記ポリビニルアセタールは、水酸基量の好ましい下限が15モル%、好ましい上限が35モル%である。水酸基量が15モル%以上であると、合わせガラス用中間膜の成形が容易になる。水酸基量が35モル%以下であると、合わせガラス用中間膜の取り扱いが容易になる。
なお、上記アセタール化度及び水酸基量は、例えば、JIS K6728「ポリビニルブチラール試験方法」に準拠して測定できる。
【0013】
上記ポリビニルアセタールは、ポリビニルアルコールをアルデヒドでアセタール化することにより調製することができる。上記ポリビニルアルコールは、通常、ポリ酢酸ビニルを鹸化することにより得られ、鹸化度70〜99.8モル%のポリビニルアルコールが一般的に用いられる。
上記ポリビニルアルコールの重合度の好ましい下限は500、好ましい上限は4000である。上記ポリビニルアルコールの重合度が500以上であると、得られる合わせガラスの耐貫通性が高くなる。上記ポリビニルアルコールの重合度が4000以下であると、合わせガラス用中間膜の成形が容易になる。上記ポリビニルアルコールの重合度のより好ましい下限は1000、より好ましい上限は3600である。
【0014】
上記アルデヒドは特に限定されないが、一般には、炭素数が1〜10のアルデヒドが好適に用いられる。上記炭素数が1〜10のアルデヒドは特に限定されず、例えば、n−ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、n−バレルアルデヒド、2−エチルブチルアルデヒド、n−ヘキシルアルデヒド、n−オクチルアルデヒド、n−ノニルアルデヒド、n−デシルアルデヒド、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ベンズアルデヒド等が挙げられる。なかでも、n−ブチルアルデヒド、n−ヘキシルアルデヒド、n−バレルアルデヒドが好ましく、n−ブチルアルデヒドがより好ましい。これらのアルデヒドは、単独で用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
【0015】
上記発光層は、上記テレフタル酸エステル構造を有する発光材料を含む。
上記テレフタル酸エステル構造を有する発光材料は、光線が照射されることにより発光する。上記光線はテレフタル酸エステル構造を有する発光材料を励起し発光させることができれば特に限定されず、例えば、紫外線や赤外線等が挙げられる。
【0016】
上記テレフタル酸エステル構造を有する発光材料は、例えば、下記一般式(1)で表される構造を有する化合物や下記一般式(2)で表される構造を有する化合物が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
【0017】
【化1】
【0018】
上記一般式(1)中、Rは有機基を表し、xは1、2、3又は4である。合わせガラス用中間膜の透明性がより一層高くなることから、xは1又は2であることが好ましく、ベンゼン環の2位又は5位に水酸基を有することがより好ましく、ベンゼン環の2位及び5位に水酸基を有することが更に好ましい。
上記Rの有機基は炭化水素基であることが好ましく、炭素数が1〜10の炭化水素基であることがより好ましく、炭素数が1〜5の炭化水素基であることが更に好ましく、炭素数が1〜3の炭化水素基であることが特に好ましい。上記炭化水素基の炭素数が10以下であると、上記テレフタル酸エステル構造を有する発光材料を合わせガラス用中間膜に容易に分散させることができる。上記炭化水素基はアルキル基であることが好ましい。
【0019】
上記一般式(1)で表される構造を有する化合物として、例えば、ジエチル−2,5−ジヒドロキシテレフタレート、ジメチル−2、5−ジヒドロキシテレフタレート等が挙げられる。なかでも、コントラストがより一層高い画像を表示できることから、上記一般式(1)で表される構造を有する化合物はジエチル−2,5−ジヒドロキシテレフタレート(Aldrich社製「2,5−ジヒドロキシテレフタル酸ジエチル」)であることが好ましい。
【0020】
上記一般式(2)中、Rは有機基を表し、R及びRは水素原子又は有機基を表し、yは1、2、3又は4である。
上記Rの有機基は炭化水素基であることが好ましく、炭素数が1〜10の炭化水素基であることがより好ましく、炭素数が1〜5の炭化水素基であることが更に好ましく、炭素数が1〜3の炭化水素基であることが特に好ましい。上記炭化水素基の炭素数が上記上限以下であると、上記テレフタル酸エステル構造を有する発光材料を合わせガラス用中間膜に容易に分散させることができる。上記炭化水素基はアルキル基であることが好ましい。
上記一般式(2)中、NRはアミノ基である。R及びRは、水素原子であることが好ましい。上記一般式(2)で表される構造を有する化合物のベンゼン環の水素原子のうち、一つの水素原子が上記アミノ基であってもよく、二つの水素原子が上記アミノであってもよく、三つの水素原子が上記アミノ基であってもよく、四つの水素原子が上記アミノ基であってもよい。
【0021】
上記一般式(2)で表される構造を有する化合物として、コントラストがより一層高い画像を表示できることから、ジエチル−2,5−ジアミノテレフタレート(Aldrich社製)が好ましい。
【0022】
上記テレフタル酸エステル構造を有する発光材料の含有量は特に限定されないが、上記ポリビニルアセタール100重量部に対する好ましい下限は0.001重量部、好ましい上限は5重量部である。上記テレフタル酸エステル構造を有する発光材料の含有量が0.001重量部以上であると、光線が照射されることにより、コントラストがより一層高い画像を表示することができる。上記テレフタル酸エステル構造を有する発光材料の含有量が5重量部以下であると、合わせガラス用中間膜の透明性がより一層高くなる。上記テレフタル酸エステル構造を有する発光材料の含有量のより好ましい下限は0.005重量部、より好ましい上限は2重量部、更に好ましい下限は0.01重量部、更に好ましい上限は1.5重量部、特に好ましい下限は0.1重量部、特に好ましい上限は1重量部である。
【0023】
上記発光層は上記カリウム塩を含む。上記カリウム塩を含むことにより、発光層とガラスとの接着力を容易に制御することができるだけでなく、上記発光層が変色することも抑制することができる。上記カリウム塩は特に限定されないが、炭素数1〜16の有機酸のカリウム塩であることが好ましく、炭素数2〜16の有機酸のカリウム塩であることがより好ましく、炭素数1〜16のカルボン酸のカリウム塩であることが更に好ましく、炭素数2〜16のカルボン酸のカリウム塩であることが特に好ましい。上記炭素数1〜16のカルボン酸のカリウム塩としては特に限定されないが、例えば、ギ酸カリウム、酢酸カリウム、プロピオン酸カリウム、2−エチルブタン酸カリウム、2−エチルヘキサン酸カリウム等が挙げられ、酢酸カリウム、プロピオン酸カリウム、2−エチルブタン酸カリウム、又は、2−エチルヘキサン酸カリウムであってもよい。上記炭素数1〜16のカルボン酸は、炭素数12以下のカルボン酸であることが好ましく、炭素数10以下のカルボン酸であることがより好ましく、炭素数8以下のカルボン酸であることが更に好ましい。
なお、変色とは、合わせガラス用中間膜が2枚のクリアガラス(厚み2.5mm)の間に積層された合わせガラスのYI値が20を超えることを意味する。YI値は、分光光度計(日立ハイテクノロジーズ社製、U−4100)を使用して、JIS Z 8722に準拠して、測定することができる。上記YI値は、20以下であることが好ましく、15以下であることがより好ましく、10以下であることが更に好ましい。また、上記YI値は、0以上であることが好ましい。
【0024】
上記カリウム塩の含有量は特に限定されないが、上記ポリビニルアセタール100重量部に対する好ましい下限が0.001重量部、好ましい上限が0.5重量部である。上記カリウム塩の含有量が0.001重量部以上であると、合わせガラスの耐貫通性が高くなる。上記カリウム塩の含有量が0.5重量部以下であると、合わせガラス用中間膜の透明性が高くなる。上記カリウム塩の含有量のより好ましい下限は0.015重量部、より好ましい上限は0.25重量部、更に好ましい下限は0.02重量部、更に好ましい上限は0.2重量部、特に好ましい下限は0.025重量部、特に好ましい上限は0.1重量部である。
上記発光層の変色をより一層防止できることから、上記発光層中のカリウム元素の含有量は400ppm以下であることが好ましく、300ppm以下であることがより好ましく、250ppm以下であることが更に好ましく、200ppm以下であることが特に好ましく、180ppm以下であることが最も好ましい。上記発光層の耐湿性が高くなることから、上記発光層中のカリウム元素の含有量は100ppm以下であることが最も好ましい。上記カリウム元素は、カリウム塩に由来するカリウムとして含んでもよく、ポリビニルアセタールを合成する際に用いる中和剤に由来するカリウムとして含んでもよい。上記発光層中のカリウム元素の含有量の好ましい下限は30ppm、より好ましい下限は40ppm、更に好ましい下限は80ppm、特に好ましい下限は120ppmである。
【0025】
上記発光層は、本発明の課題の解決を阻害しない範囲であれば、マグネシウム塩を含んでもよい。上記マグネシウム塩を含むことにより、発光層とガラスとの接着力をより一層容易に制御することができる。上記マグネシウム塩は特に限定されないが、炭素数2〜16の有機酸のマグネシウム塩であることが好ましく、炭素数2〜16のカルボン酸のマグネシウム塩であることがより好ましい。上記炭素数2〜16のカルボン酸のマグネシウム塩としては特に限定されないが、例えば、酢酸マグネシウム、プロピオン酸マグネシウム、2−エチルブタン酸マグネシウム、2−エチルヘキサン酸マグネシウム等が挙げられる。上記発光層とガラスとの接着力をより一層容易に制御することができることから、上記炭素数2〜16のカルボン酸のマグネシウム塩は、酢酸マグネシウムであることが好ましい。
【0026】
上記マグネシウム塩の含有量は特に限定されないが、上記ポリビニルアセタール100重量部に対する好ましい下限が0.02重量部、好ましい上限が0.5重量部である。上記マグネシウム塩の含有量が0.02重量部以上であると、合わせガラスの耐貫通性が高くなる。上記マグネシウム塩の含有量が0.5重量部以下であると、合わせガラス用中間膜の透明性が高くなる。上記マグネシウム塩の含有量のより好ましい下限は0.03重量部、より好ましい上限は0.2重量部、更に好ましい下限は0.04重量部、更に好ましい上限は0.1重量部である。
本発明の合わせガラス用中間膜の接着性をより一層容易に制御でき、変色をより一層抑制できることから、上記発光層中のマグネシウム元素の含有量は80ppm以下であることが好ましい。上記マグネシウム元素は、マグネシウム塩に由来するマグネシウムとして含んでもよく、ポリビニルアセタールを合成する際に用いる中和剤に由来するマグネシウムとして含んでもよい。上記発光層中のマグネシウム元素の含有量の好ましい下限は0ppm、より好ましい上限は75ppm、より好ましい下限は20ppm、更に好ましい上限は70ppm、更に好ましい下限は30ppmである。なお、上記カリウム元素や上記マグネシウム元素の含有量は、ICP発光分析装置(島津製作所製「ICPE−9000」)により測定することができる。
【0027】
合わせガラス用中間膜の変色をより一層抑制できることから、上記発光層のリチウム元素の濃度は25ppm以下であることが好ましい。上記発光層のリチウム元素の濃度のより好ましい下限は0ppm、より好ましい上限は20ppm、更に好ましい下限は1ppm、更に好ましい上限は10ppm以下である。
【0028】
上記発光層は、更に分散剤を含有することが好ましい。分散剤を含有することにより、上記テレフタル酸エステル構造を有する発光材料の凝集を抑制でき、より均一な発光が得られる。上記分散剤は、例えば、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩等のスルホン酸構造を有する化合物や、ジエステル化合物、リシノール酸アルキルエステル、フタル酸エステル、アジピン酸エステル、セバシン酸エステル、リン酸エステル等のエステル構造を有する化合物や、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコールやアルキルフェニル−ポリオキシエチレン−エーテル等のエーテル構造を有する化合物や、ポリカルボン酸等のカルボン酸構造を有する化合物や、ラウリルアミン、ジメチルラウリルアミン、オレイルプロピレンジアミン、ポリオキシエチレンの2級アミン、ポリオキシエチレンの3級アミン、ポリオキシエチレンのジアミン等のアミン構造を有する化合物や、ポリアルキレンポリアミンアルキレンオキシド等のポリアミン構造を有する化合物や、オレイン酸ジエタノールアミド、アルカノール脂肪酸アミド等のアミド構造を有する化合物や、ポリビニルピロリドン、ポリエステル酸アマイドアミン塩等の高分子量型アミド構造を有する化合物等の分散剤を用いることができる。また、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸(塩)や高分子ポリカルボン酸、縮合リシノール酸エステル等の高分子量分散剤を用いてもよい。なお、高分子量分散剤とは、その分子量が1万以上である分散剤と定義される。
【0029】
上記分散剤を配合する場合に、上記発光層中における上記テレフタル酸エステル構造を有する発光材料100重量部に対する上記分散剤の含有量の好ましい下限は1重量部、好ましい上限は50重量部である。上記分散剤の含有量がこの範囲内であると、上記テレフタル酸エステル構造を有する発光材料を発光層中に均一に分散させることができる。上記分散剤の含有量のより好ましい下限は3重量部、より好ましい上限は30重量部であり、更に好ましい下限は5重量部、更に好ましい上限は25重量部である。
【0030】
上記発光層は、更に、紫外線吸収剤を含有することが好ましい。上記発光層が紫外線吸収剤を含有することにより、上記発光層の耐光性が高くなる。なお、上記発光層は紫外線吸収剤を含有していなくともよい。コントラストがより一層高い画像を表示できる合わせガラス用中間膜が得られることから、上記発光層中における上記紫外線吸収剤の、上記ポリビニルアセタール100重量部に対する含有量の好ましい上限は1重量部、より好ましい上限は0.5重量部、更に好ましい上限は0.2重量部、特に好ましい上限は0.1重量部である。
【0031】
上記紫外線吸収剤は、例えば、マロン酸エステル構造を有する化合物、シュウ酸アニリド構造を有する化合物、ベンゾトリアゾール構造を有する化合物、ベンゾフェノン構造を有する化合物、トリアジン構造を有する化合物、ベンゾエート構造を有する化合物、ヒンダードアミン構造を有する化合物等の紫外線吸収剤が挙げられる。
【0032】
上記発光層は、必要に応じて、更に可塑剤を含有してもよい。上記可塑剤は特に限定されず、例えば、一塩基性有機酸エステル、多塩基性有機酸エステル等の有機エステル可塑剤、有機リン酸可塑剤、有機亜リン酸可塑剤等のリン酸可塑剤等が挙げられる。上記可塑剤は液状可塑剤であることが好ましい。
【0033】
上記一塩基性有機酸エステルは特に限定されないが、例えば、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、トリプロピレングリコール等のグリコールと、酪酸、イソ酪酸、カプロン酸、2−エチル酪酸、ヘプチル酸、n−オクチル酸、2−エチルヘキシル酸、ペラルゴン酸(n−ノニル酸)、デシル酸等の一塩基性有機酸との反応によって得られたグリコールエステル等が挙げられる。なかでも、トリエチレングリコールジカプロン酸エステル、トリエチレングリコールジ−2−エチル酪酸エステル、トリエチレングリコールジ−n−オクチル酸エステル、トリエチレングリコールジ−2−エチルヘキシル酸エステル等が好適である。
【0034】
上記多塩基性有機酸エステルは特に限定されないが、例えば、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸等の多塩基性有機酸と、炭素数4〜8の直鎖又は分岐構造を有するアルコールとのエステル化合物が挙げられる。なかでも、ジブチルセバシン酸エステル、ジオクチルアゼライン酸エステル、ジブチルカルビトールアジピン酸エステル等が好適である。
【0035】
上記有機エステル可塑剤は特に限定されず、トリエチレングリコールジ−2−エチルブチレート、トリエチレングリコールジ−2−エチルヘキサノエート、トリエチレングリコールジカプリレート、トリエチレングリコールジ−n−オクタノエート、トリエチレングリコールジ−n−ヘプタノエート、テトラエチレングリコールジ−n−ヘプタノエート、テトラエチレングリコールジ−2−エチルヘキサノエート、ジブチルセバケート、ジオクチルアゼレート、ジブチルカルビトールアジペート、エチレングリコールジ−2−エチルブチレート、1,3−プロピレングリコールジ−2−エチルブチレート、1,4−ブチレングリコールジ−2−エチルブチレート、ジエチレングリコールジ−2−エチルブチレート、ジエチレングリコールジ−2−エチルヘキサノエート、ジプロピレングリコールジ−2−エチルブチレート、トリエチレングリコールジ−2−エチルペンタノエート、テトラエチレングリコールジ−2−エチルブチレート、ジエチレングリコールジカプリエート、アジピン酸ジヘキシル、アジピン酸ジオクチル、アジピン酸ヘキシルシクロヘキシル、アジピン酸ジイソノニル、アジピン酸ヘプチルノニル、セバシン酸ジブチル、油変性セバシン酸アルキド、リン酸エステルとアジピン酸エステルとの混合物、アジピン酸エステル、炭素数4〜9のアルキルアルコール及び炭素数4〜9の環状アルコールから作製された混合型アジピン酸エステル、アジピン酸ヘキシル等の炭素数6〜8のアジピン酸エステル等が挙げられる。
【0036】
上記有機リン酸可塑剤は特に限定されず、例えば、トリブトキシエチルホスフェート、イソデシルフェニルホスフェート、トリイソプロピルホスフェート等が挙げられる。
【0037】
上記可塑剤のなかでも、ジヘキシルアジペート(DHA)、トリエチレングリコールジ−2−エチルヘキサノエート(3GO)、テトラエチレングリコールジ−2−エチルヘキサノエート(4GO)、トリエチレングリコールジ−2−エチルブチレート(3GH)、テトラエチレングリコールジ−2−エチルブチレート(4GH)、テトラエチレングリコールジ−n−ヘプタノエート(4G7)及びトリエチレングリコールジ−n−ヘプタノエート(3G7)からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
【0038】
更に、上記可塑剤として、加水分解を起こしにくいため、トリエチレングリコールジ−2−エチルヘキサノエート(3GO)、トリエチレングリコールジ−2−エチルブチレート(3GH)、テトラエチレングリコールジ−2−エチルヘキサノエート(4GO)、ジヘキシルアジペート(DHA)を含有することが好ましく、テトラエチレングリコールジ−2−エチルヘキサノエート(4GO)、トリエチレングリコールジ−2−エチルヘキサノエート(3GO)を含有することがより好ましく、トリエチレングリコールジ−2−エチルヘキサノエートを含有することが更に好ましい。
【0039】
上記発光層における上記可塑剤の含有量は特に限定されないが、上記ポリビニルアセタール100重量部に対する好ましい下限が20重量部、好ましい上限が80重量部である。上記可塑剤の含有量が20重量部以上であると、合わせガラス用中間膜の溶融粘度が低くなるため、合わせガラス用中間膜を容易に成形できる。上記可塑剤の含有量が80重量部以下であると、合わせガラス用中間膜の透明性が高くなる。上記可塑剤の含有量のより好ましい下限は30重量部、より好ましい上限は70重量部、更に好ましい下限は35重量部、更に好ましい上限は63重量部である。
【0040】
上記発光層は、必要に応じて、酸化防止剤、光安定剤、帯電防止剤、青色顔料、青色染料、緑色顔料、緑色染料等の添加剤を含有してもよい。
【0041】
優れた耐光性を得ることができることから、上記発光層は、酸化防止剤を含有することが好ましい。上記酸化防止剤は特に限定されず、フェノール構造を有する酸化防止剤、硫黄を含む酸化防止剤及びリンを含む酸化防止剤等が挙げられる。
上記フェノール構造を有する酸化防止剤はフェノール骨格を有する酸化防止剤である。上記フェノール構造を有する酸化防止剤としては、例えば、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール(BHT)、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、ステアリル−β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,2’−メチレンビス−(4−メチル−6−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス−(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデン−ビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、1,1,3−トリス−(2−メチル−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、テトラキス[メチレン−3−(3’,5’−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、1,3,3−トリス−(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェノール)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、及びビス(3,3’−t−ブチルフェノール)ブチリックアッシドグリコールエステル及びペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオナート]等が挙げられる。上記酸化防止剤は一種のみでもよく、二種以上を併用しても良い。
【0042】
上記発光層の厚さは特に限定されないが、好ましい下限は300μm、好ましい上限は2000μmである。上記発光層の厚さがこの範囲内であると、特定の波長の光線を照射したときに充分にコントラストの高い発光が得られる。上記発光層の厚さのより好ましい下限は350μm、より好ましい上限は1000μmである。
【0043】
上記発光層は、本発明の合わせガラス用中間膜の全面に配置されていてもよく、一部にのみ配置されていてもよく、本発明の合わせガラス用中間膜の厚み方向とは垂直の面方向の全面に配置されていてもよく、一部にのみ配置されていてもよい。上記発光層が一部にのみ配置されている場合には、該一部を発光エリア、他の部分を非発光エリアとして、発光エリアにおいてのみ情報を表示できるようにすることができる。
【0044】
本発明の合わせガラス用中間膜は、上記発光層の一方の面に、第1の樹脂層が積層されていてもよい。第1の樹脂層はポリビニルアセタールを含むことが好ましく、ポリビニルアセタールと可塑剤とを含むことがより好ましく、ポリビニルアセタールと可塑剤と接着力調整剤とを含むことが更に好ましい。更に、上記発光層及び第1の樹脂層以外に、他の層が積層されていてもよい。上記他の層として、ポリエチレンテレフタレートやポリビニルアセタール等の熱可塑性樹脂を含む層が挙げられる。また、上記他の層は紫外線吸収剤を含有する紫外線遮断層であってもよい。上記紫外線遮断層に用いる紫外線吸収剤として、上述の発光層に用いる紫外線吸収剤を用いることができる。
【0045】
第1の樹脂層に含まれるポリビニルアセタールとして、上記発光層に含まれるポリビニルアセタールを用いることができる。第1の樹脂層に含まれるポリビニルアセタールと上記発光層に含まれるポリビニルアセタールとは同一であってもよく、異なっていてもよい。第1の樹脂層に含まれる可塑剤は、上記発光層に可塑剤を含む場合は、上記発光層に含まれる可塑剤と同一であってもよく、異なっていてもよい。
【0046】
第1の樹脂層は接着力調整剤を含むことが好ましい。上記接着力調整剤は特に限定されず、金属塩であることが好ましく、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩及びマグネシウム塩からなる群から選択された少なくとも1種の金属塩であることが好ましい。上記金属塩は、カリウム及びマグネシウムの内の少なくとも1種の金属を含むことが好ましい。上記金属塩は、炭素数2〜16の有機酸のアルカリ金属塩又は炭素数2〜16の有機酸のアルカリ土類金属塩であることがより好ましく、炭素数2〜16のカルボン酸のマグネシウム塩又は炭素数2〜16のカルボン酸のカリウム塩であることが更に好ましい。上記炭素数2〜16のカルボン酸のマグネシウム塩及び上記炭素数2〜16のカルボン酸のカリウム塩としては特に限定されないが、例えば、酢酸マグネシウム、酢酸カリウム、プロピオン酸マグネシウム、プロピオン酸カリウム、2−エチルブタン酸マグネシウム、2−エチルブタン酸カリウム、2−エチルヘキサン酸マグネシウム、2−エチルヘキサン酸カリウム等が挙げられる。
【0047】
上記接着力調整剤の含有量は特に限定されないが、上記ポリビニルアセタール100重量部に対する好ましい下限が0.0005重量部、好ましい上限が0.05重量部である。上記接着力調整剤の含有量が0.0005重量部以上であると、合わせガラスの耐貫通性が高くなる。上記接着力調整剤の含有量が0.05重量部以下であると、合わせガラス用中間膜の透明性が高くなる。上記接着力調整剤の含有量のより好ましい下限は0.002重量部、より好ましい上限は0.02重量部である。
第1の樹脂層の耐湿性が高くなることから、第1の樹脂層中のアルカリ金属、アルカリ土類金属及びマグネシウムの含有量の合計は300ppm以下であることが好ましい。例えば、上記アルカリ金属、アルカリ土類金属及びマグネシウムは、上記接着力調整剤に由来する金属として含んでもよく、ポリビニルアセタールを合成する際に用いる中和剤に由来する金属として含んでもよい。第1の樹脂層中のアルカリ金属、アルカリ土類金属及びマグネシウムの含有量の合計は200ppm以下であることがより好ましく、150ppm以下であることが更に好ましく、100ppm以下であることが特に好ましい。
【0048】
本発明の合わせガラス用中間膜に遮熱性が要求される場合には、上記発光層、第1の樹脂層のいずれか1層、又は、すべての層に熱線吸収剤を含有させてもよい。あるいは、上記発光層、第1の樹脂層以外に、更に、熱線吸収剤を含有する熱線遮蔽層を積層してもよい。
【0049】
上記熱線吸収剤は、赤外線を遮蔽する性能を有すれば特に限定されないが、錫ドープ酸化インジウム(ITO)粒子、アンチモンドープ酸化錫(ATO)粒子、アルミニウムドープ酸化亜鉛(AZO)粒子、インジウムドープ酸化亜鉛(IZO)粒子、錫ドープ酸化亜鉛粒子、珪素ドープ酸化亜鉛粒子、6ホウ化ランタン粒子及び6ホウ化セリウム粒子からなる群より選択される少なくとも1種が好適である。
【0050】
本発明の合わせガラス用中間膜は、遮音性能を向上させる目的で、更に、遮音層を有してもよい。上記発光層、第1の樹脂層のいずれか1層に遮音性を付与し、遮音層としてもよく、上記発光層、第1の樹脂層以外に、更に、遮音層を積層してもよい。
上記遮音層は、例えば、上記ポリビニルアセタール100重量部に対して上記可塑剤を50〜80重量部含む層等が挙げられる。上記遮音層はポリビニルアセタールを含むことが好ましく、ポリビニルブチラールを含むことがより好ましい。上記遮音層に含まれる上記ポリビニルアセタールは、水酸基量が20〜28モル%の範囲内であることが好ましい。上記遮音層に含まれる上記ポリビニルアセタールは、アセチル基量が8〜30モル%であるポリビニルアセタールA、アセチル基量が0モル%を超え5モル%未満、かつアセタール化度が70〜85モル%であるポリビニルアセタールB、又は、アセチル基量が5モル%以上8モル%未満、かつアセタール化度が65〜80モル%であるポリビニルアセタールCであってもよい。
【0051】
本発明の合わせガラス用中間膜は、例えば、上記発光層(表面層)と第1の樹脂層(中間層)と上記発光層(表面層)とがこの順に積層されていることが好ましい。合わせガラス用中間膜の表面層として、上記発光層を用いることにより、コントラストが高い画像を表示し、変色を抑制しながら、接着性を制御できる合わせガラス用中間膜が得られる。更に、第1の樹脂層に遮音性能を付与することにより、合わせガラス用中間膜の遮音性が向上する。
【0052】
本発明の合わせガラス用中間膜に遮音性能を付与するために、上記第1の樹脂層に含まれるポリビニルアセタール100重量部に対する上記第1の樹脂層に含まれる可塑剤の含有量(以下、含有量Xともいう。)は、上記発光層に含まれるポリビニルアセタール100重量部に対する上記発光層に含まれる可塑剤の含有量(以下、含有量Yともいう。)よりも多いことが好ましい。上記含有量Xは上記含有量Yよりも5重量部以上多いことが好ましく、10重量部以上多いことがより好ましく、15重量部以上多いことが更に好ましい。合わせガラス用中間膜の耐貫通性がより一層高くなることから、上記含有量Xと上記含有量Yとの差は、50重量部以下であることが好ましく、40重量部以下であることがより好ましく、35重量部以下であることが更に好ましい。なお、上記含有量Xと上記含有量Yとの差は、(上記含有量Xと上記含有量Yとの差)=(上記含有量X−上記含有量Y)により算出される。
【0053】
上記発光層及び第1の樹脂層が上記ポリビニルアセタール及び上記可塑剤を含み、かつ発光層が上記第1の樹脂層の一方の面と、上記第1の樹脂層の一方の面とは反対側の他方の面に積層されている場合、上記第1の樹脂層に含まれるポリビニルアセタールの水酸基量(以下、水酸基量Xともいう。)は、発光層に含まれるポリビニルアセタールの水酸基量(以下、水酸基量Yともいう。)よりも低いことが好ましい。上記水酸基量Xが上記水酸基量Yよりも低いと、上記第1の樹脂層に含まれる可塑剤が発光層に移行することを抑制できる。結果として、合わせガラス用中間膜の遮音性を高くすることができる。
【0054】
上記水酸基量Xは上記水酸基量Yより1モル%以上低いことがより好ましく、3モル%以上低いことが更に好ましく、5モル%以上低いことが特に好ましい。合わせガラス用中間膜の成形が容易になることから、上記水酸基量Xと上記水酸基量Yとの差の好ましい上限は20モル%、より好ましい上限は15モル%、更に好ましい上限は12モル%、特に好ましい上限は10モル%である。なお、上記水酸基量Xと上記水酸基量Yとの差は、(上記水酸基量Xと上記水酸基量Yとの差)=(上記水酸基量Y−上記水酸基量X)により算出される。
【0055】
上記第1の樹脂層から発光層への可塑剤の移行を抑制したり、発光層から第1の樹脂層へのテレフタル酸エステル構造を有する発光材料の移行を抑制したりするために、上記発光層と第1の樹脂層との間に、可塑剤やテレフタル酸エステル構造を有する発光材料の移行を防止する層を積層してもよい。上記移行を防止する層として、例えば、ポリエチレンテレフタレート等のポリアルキレンテレフタレートを含む樹脂層が挙げられる。
【0056】
上記水酸基量Xの好ましい下限は10モル%、より好ましい下限は15モル%、更に好ましい下限は18モル%、特に好ましい下限は20モル%である。上記水酸基量Xの好ましい上限は32モル%、より好ましい上限は30モル%、更に好ましい上限は28モル%、特に好ましい上限は25モル%である。上記水酸基量Xが上記下限以上であると、合わせガラス用中間膜の耐貫通性が高くなり、上記上限以下であると、第1の樹脂層の成形が容易になる。上記水酸基量Yの好ましい下限は26モル%、より好ましい下限は28モル%、更に好ましい下限は30モル%、好ましい上限は40モル%、より好ましい上限は36モル%、更に好ましい上限は34モル%、特に好ましい上限は32モル%である。上記水酸基量Yが上記下限以上であると、合わせガラス用中間膜の耐貫通性が高くなり、上記上限以下であると、発光層の成形が容易になる。
【0057】
本発明の合わせガラス用中間膜の製造方法は特に限定されないが、例えば、上記可塑剤と上記テレフタル酸エステル構造を有する発光材料と上記カリウム塩とを混合した可塑剤溶液、及び、上記ポリビニルアセタールとを含む樹脂組成物を用いて、合わせガラス用中間膜を製造する方法等が挙げられる。得られた上記樹脂組成物を押出機を用いて十分に混合し押出することにより、合わせガラス用中間膜を製造することが好ましい。また、上記可塑剤と上記テレフタル酸エステル構造を有する発光材料と上記カリウム塩とを混合した可塑剤溶液、及び、上記ポリビニルアセタールとを含む樹脂組成物と、上記ポリビニルアセタールと上記可塑剤とを含む樹脂組成物とを共押出し、発光層と第1の樹脂層と発光層とを有する多層中間膜を製造してもよい。
【0058】
本発明の合わせガラス用中間膜は、上記発光層を有することから、特定の波長の光線を照射することにより発光する。この性質を利用することにより、高いコントラストで情報を表示することができる。
上記特定の波長の光線を照射するための装置として、例えば、スポット光源(浜松ホトニクス社製、LC−8)、キセノン・フラッシュランプ(ヘレウス社製、CWランプ)、ブラックライト(井内盛栄堂社製、キャリーハンド)等が挙げられる。
【0059】
本発明の合わせガラス用中間膜が、一対のガラス板の間に積層されている合わせガラスもまた、本発明の1つである。
上記ガラス板は、一般に使用されている透明板ガラスを使用することができる。例えば、フロート板ガラス、磨き板ガラス、型板ガラス、網入りガラス、線入り板ガラス、着色された板ガラス、熱線吸収ガラス、熱線反射ガラス、グリーンガラス等の無機ガラスが挙げられる。また、ガラスの表面に紫外線遮蔽コート層が形成された紫外線遮蔽ガラスも用いることができるが、特定の波長の光線を照射する側とは反対のガラス板として用いることが好ましい。更に、上記ガラス板として、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリアクリレート等の有機プラスチックス板を用いることもできる。
上記ガラス板として、2種類以上のガラス板を用いてもよい。例えば、透明フロート板ガラスと、グリーンガラスのような着色されたガラス板との間に、本発明の合わせガラス用中間膜を積層した合わせガラスが挙げられる。また、上記ガラス板として、2種以上の厚さの異なるガラス板を用いてもよい。
【発明の効果】
【0060】
本発明によれば、光線が照射されることにより、コントラストが高い画像を表示し、変色を抑制しながら、接着性を制御できる合わせガラス用中間膜を提供することができる。また、本発明によれば、該合わせガラス用中間膜を含む合わせガラスを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0061】
以下に実施例を挙げて本発明の態様を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例にのみ限定されない。
【0062】
(実施例1)
(1)発光層を形成する樹脂組成物
トリエチレングリコールジ−2−エチルヘキサノエート(3GO)40重量部に、テレフタル酸エステル構造を有する発光材料として上記一般式(1)で表される構造を有する化合物であるジエチル−2,5−ジヒドロキシテレフタレート(Aldrich社製「2,5−ジヒドロキシテレフタル酸ジエチル」)0.2重量部と、カリウム塩として、酢酸カリウム0.056重量部を加え、発光性の可塑剤溶液を調製した。得られた可塑剤溶液の全量と、重合度が1700であるポリビニルアルコールをn−ブチルアルデヒドでアセタール化することにより得られたポリビニルブチラール(アセチル基量0.9モル%、水酸基量30.6モル%、ブチラール化度68.5モル%)100重量部とをミキシングロールで充分に混練することにより、発光層を形成する樹脂組成物を調製した。
【0063】
(2)合わせガラス用中間膜の製造
発光層を形成する樹脂組成物を、押出機を用いて押出し、発光層のみを有する合わせガラス用中間膜(縦30cm×横15cm)を得た。合わせガラス用中間膜の厚みは800μmであった。
【0064】
(3)合わせガラスの製造
得られた合わせガラス用中間膜を、縦30cm×横15cmの一対のクリアガラス(厚み2.5mm)の間に積層し、積層体を得た。得られた積層体を、真空ラミネーターにて90℃下、30分保持しつつ真空プレスを行い圧着した。圧着後140℃、14MPaの条件でオートクレーブを用いて20分間圧着を行い、合わせガラスを得た。
【0065】
(実施例2〜19、比較例1)
表1及び表2の組成に変更した以外は実施例1と同様に合わせガラス用中間膜及び合わせガラスを得た。
【0066】
(実施例20)
(1)表面層を形成する樹脂組成物
トリエチレングリコールジ−2−エチルヘキサノエート(3GO)40重量部に、テレフタル酸エステル構造を有する発光材料として上記一般式(1)で表される構造を有する化合物であるジエチル−2,5−ジヒドロキシテレフタレート(Aldrich社製「2,5−ジヒドロキシテレフタル酸ジエチル」)0.6重量部と、カリウム塩として、酢酸カリウム0.056重量部を加え、発光性の可塑剤溶液を調製した。得られた可塑剤溶液の全量と、重合度が1700であるポリビニルアルコールをn−ブチルアルデヒドでアセタール化することにより得られたポリビニルブチラール(アセチル基量0.9モル%、水酸基量30.6モル%、ブチラール化度68.5モル%)100重量部とをミキシングロールで充分に混練することにより、表面層を形成する樹脂組成物を調製した。
【0067】
(2)中間層を形成する樹脂組成物
トリエチレングリコールジ−2−エチルヘキサノエート(3GO)60重量部を、重合度が2300であるポリビニルアルコールをn−ブチルアルデヒドでアセタール化することにより得られたポリビニルブチラール(アセチル基量13モル%、水酸基量22モル%、ブチラール化度65モル%)100重量部とミキシングロールで充分に混練することにより、中間層を形成する樹脂組成物を調製した。
【0068】
(3)合わせガラス用中間膜の製造
表面層を形成する樹脂組成物、及び、中間層を形成する樹脂組成物を、共押出機を用いて押出し、表面層(厚さ350μm)/中間層(厚さ100μm)/表面層(厚さ350μm)の三層構造を有する合わせガラス用中間膜(縦30cm×横15cm)を得た。合わせガラス用中間膜の厚みは800μmであった。
【0069】
(4)合わせガラスの製造
得られた合わせガラス用中間膜を、縦30cm×横15cmの一対のクリアガラス(厚み2.5mm)の間に積層し、積層体を得た。得られた積層体を、真空ラミネーターにて90℃下、30分保持しつつ真空プレスを行い圧着した。圧着後140℃、14MPaの条件でオートクレーブを用いて20分間圧着を行い、合わせガラスを得た。
【0070】
(実施例21〜42、比較例2、3)
表面層及び中間層を表3〜7の組成に変更した以外は実施例20と同様に合わせガラス用中間膜及び合わせガラスを得た。
【0071】
(評価)
実施例及び比較例で得られた合わせガラスについて、以下の方法で評価を行った。結果を表1〜7に示した。
【0072】
(1)発光性の評価
得られた合わせガラスを暗室下、High Powerキセノン光源(朝日分光社製、「REX−250」、照射波長405nm)を用いて合わせガラスの全面へ光を照射した。目視にて観察して、合わせガラスの中央部の発光が確認された場合を「○」、発光が確認されなかった場合を「×」と評価した。更に、暗室下にて、合わせガラスの面に対して垂直方向に10cm離れた位置に配置したHigh Powerキセノン光源(朝日分光社製、「REX−250」、照射波長405nm)から合わせガラスの全面へ光を照射し、光を照射した合わせガラスの面から45度の角度で、合わせガラスの面からの最短距離が35cmとなる位置であり、かつ光を照射した側に配置した輝度計(トプコンテクノハウス社製、「SR−3AR」)によって輝度を測定した。
【0073】
(2)変色の評価
分光光度計(日立ハイテクノロジーズ社製、U−4100)を使用して、JIS Z 8722に準拠して、得られた合わせガラス(縦5cm×横5cm)のイエローインデックス値(YI値)を測定した。YI値が0以上20以下である場合を「○」、20を超える場合を「×」と評価し、イエローインデックス値(YI値)を示した。
【0074】
(3)接着性の評価(合わせガラス用中間膜のパンメル値の測定)
実施例及び比較例で製造した合わせガラスを−18℃±0.6℃の温度の環境下に16時間静置し、この合わせガラスの中央部(縦150mm×横150mmの部分)を頭部が0.45kgのハンマーで打って、ガラスの粒径が6mm以下になるまで粉砕し、ガラスが部分剥離した後の膜の露出度を測定し、表8によりパンメル値を求めた。パンメル値が2〜9の場合を「○」、1以下又は10である場合を「×」と評価し、パンメル値を示した。
【0075】
【表1】
【0076】
【表2】
【0077】
【表3】
【0078】
【表4】
【0079】
【表5】
【0080】
【表6】
【0081】
【表7】
【0082】
【表8】
【産業上の利用可能性】
【0083】
本発明によれば、光線が照射されることにより、コントラストが高い画像を表示し、変色を抑制しながら、接着性を制御できる合わせガラス用中間膜を提供することができる。また、本発明によれば、該合わせガラス用中間膜を含む合わせガラスを提供することができる。
【国際調査報告】