(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO2014051142
(43)【国際公開日】20140403
【発行日】20160825
(54)【発明の名称】合わせガラス用中間膜及び合わせガラス
(51)【国際特許分類】
   C03C 27/12 20060101AFI20160729BHJP
【FI】
   !C03C27/12 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】22
【出願番号】2013547050
(21)【国際出願番号】JP2013076552
(22)【国際出願日】20130930
(31)【優先権主張番号】2012218736
(32)【優先日】20120928
(33)【優先権主張国】JP
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ
(71)【出願人】
【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
【住所又は居所】大阪府大阪市北区西天満2丁目4番4号
(74)【代理人】
【識別番号】110000914
【氏名又は名称】特許業務法人 安富国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】太田 祐輔
【住所又は居所】日本国滋賀県甲賀市水口町泉1259 積水化学工業株式会社内
(72)【発明者】
【氏名】伊豆 康之
【住所又は居所】日本国滋賀県甲賀市水口町泉1259 積水化学工業株式会社内
(72)【発明者】
【氏名】中島 大輔
【住所又は居所】日本国滋賀県甲賀市水口町泉1259 積水化学工業株式会社内
【テーマコード(参考)】
4G061
【Fターム(参考)】
4G061AA04
4G061AA20
4G061AA25
4G061BA01
4G061BA02
4G061CB03
4G061CB16
4G061CD02
4G061CD03
4G061CD18
(57)【要約】
本発明は、透明性が高く、かつ、害虫の飛来を防止することができる合わせガラス用中間膜、及び、該合わせガラス用中間膜を含む合わせガラスを提供することを目的とする。
本発明は、熱可塑性樹脂と、下記一般式(1)で表される構造を有する化合物又は下記一般式(2)で表される構造を有する化合物とを含む熱可塑性樹脂層を有する合わせガラス用中間膜である。
[化1]

一般式(1)中、R、R、R、R及びRは有機基を表し、Mは多価金属を表す。
[化2]

一般式(2)中、R、R、R、R、R、R21及びR22は有機基を表し、Mは多価金属を表す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱可塑性樹脂と、下記一般式(1)で表される構造を有する化合物又は下記一般式(2)で表される構造を有する化合物とを含む熱可塑性樹脂層を有することを特徴とする合わせガラス用中間膜。
【化1】
一般式(1)中、R、R、R、R及びRは有機基を表し、Mは多価金属を表す。
【化2】
一般式(2)中、R、R、R、R、R、R21及びR22は有機基を表し、Mは多価金属を表す。
【請求項2】
一般式(1)又は一般式(2)中、Rはエーテル結合を有する有機基を表し、Rが水素原子又は水酸基を表し、Rが水素原子、水酸基又はNR2526を表し、R25及びR26は有機基であり、Rが水素原子、水酸基又はエステル結合を有する有機基を表し、Rが水素原子又は水酸基を表すことを特徴とする請求項1記載の合わせガラス用中間膜。
【請求項3】
一般式(1)又は一般式(2)中、Mがマグネシウムを表すことを特徴とする請求項1又は2記載の合わせガラス用中間膜。
【請求項4】
請求項1、2又は3記載の合わせガラス用中間膜が、一対のガラス板の間に積層されていることを特徴とする合わせガラス。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、透明性が高く、かつ、害虫の飛来を防止することができる合わせガラス用中間膜、及び、該合わせガラス用中間膜を含む合わせガラスに関する。
【背景技術】
【0002】
合わせガラスは、外部衝撃を受けて破損してもガラスの破片が飛散することが少なく安全であるため、自動車等の車両のフロントガラス、サイドガラス、リアガラスや、航空機、建築物等の窓ガラス等として広く使用されている。合わせガラスとして、少なくとも一対のガラス間に、例えば、液状可塑剤とポリビニルアセタールとを含む合わせガラス用中間膜を介在させ、一体化させた合わせガラス等が挙げられる。
【0003】
このような合わせガラスは、太陽光に含まれる紫外線が照射される環境で使用される。従来の合わせガラス用中間膜は紫外線吸収剤を含有しているため、紫外線を充分に吸収することができる。しかし、従来の合わせガラスは、波長が400nmを超える光線を充分に遮蔽することができない。一般的に、害虫が反応する光線の波長は450nm以下であり、従来の合わせガラスでは、害虫の飛来を防止することができないという問題がある。
【0004】
このような問題を解決するため、特許文献1には、合成樹脂と、紫外線吸収剤と、黄色染料とを含有する合わせガラス用中間膜を、ガラス板で挟持させた防虫合わせガラスが開示されている。特許文献1に記載の防虫合わせガラスは、採光性が高く、400〜450nmの波長域の可視光線を吸収できるとされている。
【0005】
特許文献1に記載の合わせガラス用中間膜は、400〜450nmの波長域の可視光線を吸収するために、黄色染料を必須成分として含有している。しかし、合わせガラス用中間膜中に黄色染料を均一に分散させる方法は何ら検討されていなかった。特許文献1に開示された合わせガラス用中間膜では、透明性が高く、かつ、害虫の飛来を防止することは困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000−300149号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、透明性が高く、かつ、害虫の飛来を防止することができる合わせガラス用中間膜、及び、該合わせガラス用中間膜を含む合わせガラスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、熱可塑性樹脂と、下記一般式(1)で表される構造を有する化合物又は下記一般式(2)で表される構造を有する化合物とを含む熱可塑性樹脂層を有する合わせガラス用中間膜である。
【0009】
【化1】
【0010】
一般式(1)中、R、R、R、R及びRは有機基を表し、Mは多価金属を表す。
【0011】
【化2】
【0012】
一般式(2)中、R、R、R、R、R、R21及びR22は有機基を表し、Mは多価金属を表す。
以下に本発明を詳述する。
【0013】
本発明者らは、鋭意検討の結果、熱可塑性樹脂と、上記一般式(1)で表される構造を有する化合物(以下、「化合物X」ともいう。)又は上記一般式(2)で表される構造を有する化合物(以下、「化合物Y」ともいう。)とを含む熱可塑性樹脂層を有する合わせガラス用中間膜は、透明性が高く、かつ、害虫の飛来を防止することができることを見出し、本発明を完成した。
【0014】
本発明の合わせガラス用中間膜は、熱可塑性樹脂と上記化合物X又は上記化合物Yとを含む熱可塑性樹脂層を有する。
本発明者は400〜450nmの波長域の可視光線を吸収し、かつ、高い透明性が得られる光吸収剤を検討した。その結果、上記化合物X又は上記化合物Yを含む合わせガラス用中間膜を用いて合わせガラスを製造すると、400〜450nmの波長域の可視光線を吸収できるだけでなく、透明性が高い合わせガラスが得られることを見出した。害虫を誘引する波長域として、一般的に、370nm付近の光線や、480nm付近の光線が知られている。本発明者は、上記化合物X又は上記化合物Yを含む合わせガラス用中間膜を用いて合わせガラスを製造すると、370nm付近の光線や、480nm付近の光線を吸収できるだけでなく、透明性が高い合わせガラスが得られることを見出した。
【0015】
本発明の合わせガラス用中間膜は、上記熱可塑性樹脂層のみを有する単層中間膜であってもよく、上記熱可塑性樹脂層と上記熱可塑性樹脂層の一方の面に配置されている第1の樹脂層とを有する多層中間膜であってもよい。上記第1の樹脂層はポリビニルアセタールを含むことが好ましい。第1の樹脂層は上記熱可塑性樹脂層の一方の面に直接積層されていてもよい。更に、上記熱可塑性樹脂層の他方の面に第2の樹脂層が配置されていてもよく、第1の樹脂層の上記熱可塑性樹脂層が積層されている面とは反対の面に第2の樹脂層が配置されていてもよい。なお、上記熱可塑性樹脂層の他方の面とは、一方の面の反対の面を意味する。
【0016】
上記熱可塑性樹脂は特に限定されず、ポリビニルアセタール、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ウレタン樹脂、及び、アクリル樹脂等が挙げられる。なかでも、ガラスへの接着力に優れることから、ポリビニルアセタールであることが好ましい。
上記ポリビニルアセタールは、ポリビニルアルコールをアルデヒドでアセタール化して得られるポリビニルアセタールであれば特に限定されないが、ポリビニルブチラールが好適である。また、必要に応じて2種以上のポリビニルアセタールを併用してもよい。
上記ポリビニルアセタールのアセタール化度の好ましい下限は40モル%、好ましい上限は85モル%であり、より好ましい下限は60モル%、より好ましい上限は75モル%である。
【0017】
上記ポリビニルアセタールは、水酸基量の好ましい下限が15モル%、好ましい上限が35モル%である。水酸基量が15モル%以上であると、合わせガラス用中間膜の成形が容易になる。水酸基量が35モル%以下であると、得られる合わせガラス用中間膜の取り扱いが容易になる。
なお、上記アセタール化度及び水酸基量は、例えば、JIS K6728「ポリビニルブチラール試験方法」に準拠して測定できる。
【0018】
上記ポリビニルアセタールは、ポリビニルアルコールをアルデヒドでアセタール化することにより調製することができる。上記ポリビニルアルコールは、通常、ポリ酢酸ビニルを鹸化することにより得られ、鹸化度70〜99.8モル%のポリビニルアルコールが一般的に用いられる。
上記ポリビニルアルコールの重合度の好ましい下限は500、好ましい上限は4000である。上記ポリビニルアルコールの重合度が500以上であると、得られる合わせガラスの耐貫通性が高くなる。上記ポリビニルアルコールの重合度が4000以下であると、合わせガラス用中間膜の成形が容易になる。上記ポリビニルアルコールの重合度のより好ましい下限は1000、より好ましい上限は3600である。
【0019】
上記アルデヒドは特に限定されないが、一般には、炭素数が1〜10のアルデヒドが好適に用いられる。上記炭素数が1〜10のアルデヒドは特に限定されず、例えば、n−ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、n−バレルアルデヒド、2−エチルブチルアルデヒド、n−ヘキシルアルデヒド、n−オクチルアルデヒド、n−ノニルアルデヒド、n−デシルアルデヒド、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ベンズアルデヒド等が挙げられる。なかでも、n−ブチルアルデヒド、n−ヘキシルアルデヒド、n−バレルアルデヒドが好ましく、n−ブチルアルデヒドがより好ましい。これらのアルデヒドは単独で用いられてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0020】
上記化合物X又は上記化合物Yを含む合わせガラス用中間膜は、450〜500nmの波長域の可視光線を吸収することができるだけでなく、透明性が高くなる。更に、上記化合物X又は上記化合物Yを含む合わせガラス用中間膜は、370nm付近の光線や、480nm付近の光線を吸収することができるだけでなく、透明性が高くなる。そのため、害虫の飛来を防止し、可視光線透過率が高く、ヘイズ値が低い合わせガラスを得ることができる。2枚のクリアガラス(厚さ2.5mm)の間に本発明の合わせガラス用中間膜が積層された合わせガラスは、JIS R 3212に準拠して測定される可視光線透過率が70%以上であることが好ましい。2枚のクリアガラス(厚さ2.5mm)の間に本発明の合わせガラス用中間膜が積層された合わせガラスは、JIS K 7105に準拠して測定されるヘイズ値が10%以下であることが好ましい。従来の光吸収剤のなかには、450〜500nmの波長域の可視光線を吸収できる、他の光吸収剤が存在する。しかし、他の光吸収剤を含む合わせガラス用中間膜を用いて合わせガラスを製造すると、可視光線透過率が低くなるか、又は、ヘイズ値が高くなる。上記化合物Xを用いることによって、透明性が高く、かつ、害虫の飛来を防止することができる合わせガラス用中間膜が得られる。
【0021】
上記一般式(1)又は上記一般式(2)中、Rは、有機基であれば特に限定されないが、エーテル結合を有する有機基、又は、アリール基であることが好ましい。後述する可塑剤への溶解性が向上することから、Rはエーテル結合を有する有機基であることが好ましい。
上記エーテル結合を有する有機基は、−O−R11という構造を有することがより好ましい。ここで、R11は、炭素数1〜10のアルキル基であることがより好ましく、炭素数1〜5のアルキル基であることが更に好ましく、炭素数1〜3のアルキル基であることが特に好ましい。上記アルキル基として、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基及びペンチル基等が挙げられる。上記アルキル基の主鎖は直鎖構造であってもよく、分岐構造であってもよい。
上記アリール基は、フェニル基、又は、水酸基若しくはアルコキシ基を有する芳香環であることがより好ましく、水酸基若しくはアルコキシ基を有する芳香環であるアリール基であることが更に好ましく、6〜20の炭素数を有するアリール基であることが特に好ましい。
【0022】
上記一般式(1)又は上記一般式(2)中、Rは、有機基であれば特に限定されないが、水素原子又は水酸基であることが好ましく、水素原子であることがより好ましい。
上記一般式(1)又は上記一般式(2)中、Rは、有機基であれば特に限定されないが、水素原子、水酸基又はNR2526であることが好ましく、水酸基又はNR2526であることがより好ましい。R25及びR26は、有機基であれば特に限定されないが、水素原子又はアルキル基であることが好ましく、水素原子であることがより好ましい。
【0023】
上記一般式(1)又は上記一般式(2)中、Rは、有機基であれば特に限定されないが、水素原子、水酸基又はエステル結合を有する有機基であることが好ましく、エステル結合を有する有機基であることがより好ましい。
上記エステル結合を有する有機基は、−C(O)−O−R41という構造を有することが好ましい。ここで、R41は、アルキル基又はアリール基であることが好ましい。上記アルキル基は、炭素数1〜10のアルキル基であることがより好ましく、炭素数1〜5のアルキル基であることが更に好ましく、炭素数1〜3のアルキル基であることが特に好ましい。上記アルキル基として、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基及びペンチル基等が挙げられる。上記アルキル基の主鎖は直鎖構造であってもよく、分岐構造であってもよい。
上記アリール基は炭素数6〜20のアリール基であることがより好ましく、炭素数6〜18のアリール基であることが更に好ましい。
【0024】
上記一般式(1)又は上記一般式(2)中、Rは有機基であれば特に限定されないが、水素原子又は水酸基であることが好ましく、水素原子であることがより好ましい。
【0025】
上記一般式(2)中、NR2122はアミノ基である。R21及びR22は有機基であれば特に限定されないが、水素原子又はアルキル基であることが好ましく、水素原子であることがより好ましい。
【0026】
上記一般式(1)又は上記一般式(2)中、Mは多価金属であれば特に限定されないが、二価の金属であることが好ましい。害虫の飛来をより一層防止でき、かつ、透明性が高い合わせガラス用中間膜が得られることから、上記二価の金属はマグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム又は亜鉛であることが好ましく、マグネシウムであることがより好ましい。
【0027】
上記化合物X又は上記化合物Yの含有量は特に限定されないが、上記熱可塑性樹脂100重量部に対する好ましい下限は0.001重量部、好ましい上限は15重量部である。上記化合物X又は上記化合物Yの含有量が上記下限以上であると、害虫の飛来を防止する効果がより一層高くなり、上記上限以下であると、合わせガラス用中間膜の透明性がより一層高くなる。上記化合物Xの含有量のより好ましい下限は0.01重量部、より好ましい上限は10重量部、更に好ましい下限は0.1重量部、更に好ましい上限は5重量部である。
【0028】
上記化合物Xの製造方法は特に限定されないが、例えば、下記一般式(3)で表される構造を有する化合物Aと、多価金属又は多価金属を含む化合物とを反応させることにより、上記化合物Xを製造する方法が挙げられる。
【0029】
【化3】
【0030】
上記一般式(3)中、R、R、R、R及びR10は有機基を表す。
【0031】
上記化合物Yの製造方法は特に限定されないが、例えば、下記一般式(4)で表される構造を有する化合物Bと、多価金属又は多価金属を含む化合物とを反応させることにより、上記化合物Yを製造する方法が挙げられる。
【0032】
【化4】
【0033】
上記一般式(4)中、R、R、R、R、R10、R23及びR24は有機基を表す。
【0034】
上記化合物A又は化合物Bと、上記多価金属又は多価金属を含む化合物とを反応させる方法として、例えば、上記化合物A又は化合物B、上記多価金属又は多価金属を含む化合物、及び、後述する可塑剤との混合物を撹拌し、上記化合物X又は上記化合物Yを製造する方法や、上記多価金属又は多価金属を含む化合物、及び、熱可塑性樹脂を含む合わせガラス用中間膜に、上記化合物A又は化合物Bと溶剤とを含む溶液を塗布し、加熱により溶剤を揮発させることにより、上記化合物X又は上記化合物Yを製造する方法等が挙げられる。上記多価金属を含む化合物は特に限定されないが、多価金属塩であることが好ましく、カルボン酸の多価金属塩であることがより好ましい。
【0035】
上記一般式(3)又は上記一般式(4)中、Rは、有機基であれば特に限定されないが、エーテル結合を有する有機基、又は、アリール基であることが好ましい。溶剤との相溶性が高くなるため、Rはエーテル結合を有する有機基であることが好ましい。
上記エーテル結合を有する有機基は、−O−R61という構造を有することがより好ましい。ここで、R61は、炭素数1〜10のアルキル基であることがより好ましく、炭素数1〜5のアルキル基であることが更に好ましく、炭素数1〜3のアルキル基であることが特に好ましい。上記アルキル基として、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基及びペンチル基等が挙げられる。上記アルキル基の主鎖は直鎖構造であってもよく、分岐構造であってもよい。
上記アリール基は炭素数6〜20のアリール基であることがより好ましく、炭素数6〜18のアリール基であることが更に好ましい。
【0036】
上記一般式(3)又は上記一般式(4)中、Rは、有機基であれば特に限定されないが、水素原子又は水酸基であることが好ましく、水素原子であることがより好ましい。
上記一般式(3)又は上記一般式(4)中、Rは、有機基であれば特に限定されないが、水素原子、水酸基又はNR2728であることが好ましく、水酸基又はNR2728であることがより好ましい。R27及びR28は、有機基であれば特に限定されないが、水素原子又はアルキル基であることが好ましく、水素原子であることがより好ましい。
【0037】
上記一般式(3)又は上記一般式(4)中、Rは、有機基であれば特に限定されないが、水素原子、水酸基又はエステル結合を有する有機基であることが好ましく、エステル結合を有する有機基であることがより好ましい。上記エステル結合を有する有機基は、−C(O)−O−R91という構造を有することが好ましい。ここで、R91は、アルキル基又はアリール基であることが好ましい。上記アルキル基は、炭素数1〜10のアルキル基であることがより好ましく、炭素数1〜5のアルキル基であることが更に好ましく、炭素数1〜3のアルキル基であることが特に好ましい。上記アルキル基として、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基及びペンチル基等が挙げられる。上記アルキル基の主鎖は直鎖構造であってもよく、分岐構造であってもよい。
上記アリール基は炭素数6〜20のアリール基であることがより好ましく、炭素数6〜18のアリール基であることが更に好ましい。
【0038】
上記一般式(3)又は上記一般式(4)中、R10は有機基であれば特に限定されないが、水素原子又は水酸基であることが好ましく、水素原子であることがより好ましい。
【0039】
上記一般式(4)中、NR2324はアミノ基である。R23及びR24は有機基であれば特に限定されないが、水素原子又はアルキル基であることが好ましく、水素原子であることがより好ましい。
【0040】
上記化合物Aとして、例えば、ジエチル−2,5−ジヒドロキシテレフタレート(Aldrich社製、「2,5−ジヒドロキシテレフタル酸ジエチル」)、ジメチル−2,5−ジヒドロキシテレフタレート等が挙げられる。なかでも、コントラストがより一層高い画像を表示できることから、上記化合物Aはジエチル−2,5−ジヒドロキシルテレフタレートであることが好ましい。
上記化合物Bとして、例えば、コントラストがより一層高い画像を表示できることから、ジエチル−2,5−ジアミノテレフタレート(Aldrich社製)が好ましい。
【0041】
上記熱可塑性樹脂層は接着力調整剤を含むことが好ましい。上記接着力調整剤は特に限定されず、金属塩であることが好ましく、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩及びマグネシウム塩からなる群から選択された少なくとも1種の金属塩であることが好ましい。上記金属塩は、カリウム及びマグネシウムの内の少なくとも1種の金属を含むことが好ましい。上記金属塩は、炭素数2〜16の有機酸のアルカリ金属塩又は炭素数2〜16の有機酸のアルカリ土類金属塩であることがより好ましく、炭素数2〜16のカルボン酸マグネシウム塩又は炭素数2〜16のカルボン酸カリウム塩であることが更に好ましい。上記炭素数2〜16のカルボン酸マグネシウム塩及び上記炭素数2〜16のカルボン酸カリウム塩としては特に限定されないが、例えば、酢酸マグネシウム、酢酸カリウム、プロピオン酸マグネシウム、プロピオン酸カリウム19、2−エチルブタン酸マグネシウム、2−エチルブタン酸カリウム、2−エチルヘキサン酸マグネシウム及び2−エチルヘキサン酸カリウム等が挙げられる。なお、上記接着力調整剤が上記多価金属を含む場合、上記接着力調整剤を、上記多価金属を含む化合物として用いてもよい。
【0042】
上記接着力調整剤の含有量は特に限定されないが、上記熱可塑性樹脂100重量部に対する好ましい下限が0.0005重量部、好ましい上限が0.05重量部である。上記接着力調整剤の含有量が0.0005重量部以上であると、合わせガラスの耐貫通性が高くなる。上記接着力調整剤の含有量が0.05重量部以下であると、合わせガラス用中間膜の透明性がより一層高くなる。上記接着力調整剤の含有量のより好ましい下限は0.002重量部、より好ましい上限は0.02重量部である。
【0043】
上記熱可塑性樹脂層の耐湿性が高くなることから、上記熱可塑性樹脂層中のアルカリ金属、アルカリ土類金属及びマグネシウムの含有量の合計は300ppm以下であることが好ましい。例えば、上記アルカリ金属、アルカリ土類金属及びマグネシウムは、上記接着力調整剤又は上記多価金属を含む化合物に由来する金属として含んでもよく、ポリビニルアセタールを合成する際に用いる中和剤に由来する金属として含んでもよい。上記熱可塑性樹脂層中のアルカリ金属、アルカリ土類金属及びマグネシウムの含有量の合計は200ppm以下であることがより好ましく、150ppm以下であることが更に好ましく、100ppm以下であることが特に好ましい。
上記熱可塑性樹脂層中のマグネシウムの含有量は特に限定されず、好ましい下限は20ppm、好ましい上限は500ppm、より好ましい下限は50ppm、より好ましい上限は400ppm、更に好ましい下限は100ppm、更に好ましい上限は300ppmである。
なお、上記アルカリ金属、アルカリ土類金属及びマグネシウムの含有量は、ICP発光分析装置(島津製作所社製、「ICPE−9000」)により測定することができる。
【0044】
上記熱可塑性樹脂層は、更に分散剤を含有することが好ましい。分散剤を含有することにより、上記化合物X又は上記化合物Yの凝集を抑制でき、合わせガラスの透明性をより一層高くすることができる。上記分散剤は、例えば、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩等のスルホン酸構造を有する化合物や、ジエステル化合物、リシノール酸アルキルエステル、フタル酸エステル、アジピン酸エステル、セバシン酸エステル、リン酸エステル等のエステル構造を有する化合物や、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコールやアルキルフェニル−ポリオキシエチレン−エーテル等のエーテル構造を有する化合物や、ポリカルボン酸等のカルボン酸構造を有する化合物や、ラウリルアミン、ジメチルラウリルアミン、オレイルプロピレンジアミン、ポリオキシエチレンの2級アミン、ポリオキシエチレンの3級アミン、ポリオキシエチレンのジアミン等のアミン構造を有する化合物や、ポリアルキレンポリアミンアルキレンオキシド等のポリアミン構造を有する化合物や、オレイン酸ジエタノールアミド、アルカノール脂肪酸アミド等のアミド構造を有する化合物や、ポリビニルピロリドン、ポリエステル酸アマイドアミン塩等の高分子量型アミド構造を有する化合物等の分散剤を用いることができる。また、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸(塩)や高分子ポリカルボン酸、縮合リシノール酸エステル等の高分子量分散剤を用いてもよい。なお、高分子量分散剤とは、その分子量が1万以上である分散剤と定義される。
【0045】
上記分散剤を配合する場合に、上記熱可塑性樹脂層中における化合物X又は化合物Y100重量部に対する上記分散剤の含有量の好ましい下限は1重量部、好ましい上限は50重量部である。上記分散剤の含有量がこの範囲内であると、上記化合物X又は上記化合物Yを熱可塑性樹脂層中に均一に分散させることができる。上記分散剤の含有量のより好ましい下限は3重量部、より好ましい上限は30重量部であり、更に好ましい下限は5重量部、更に好ましい上限は25重量部である。
【0046】
上記熱可塑性樹脂層は、更に、紫外線吸収剤を含有することが好ましい。上記熱可塑性樹脂層が紫外線吸収剤を含有することにより、上記熱可塑性樹脂層の耐光性が高くなる。なお、上記熱可塑性樹脂層は紫外線吸収剤を含有していなくともよい。透明性がより一層高い合わせガラス用中間膜が得られることから、上記熱可塑性樹脂層中における上記紫外線吸収剤の含有量は、上記熱可塑性樹脂100重量部に対する好ましい上限は1重量部、より好ましい上限は0.5重量部、更に好ましい上限は0.2重量部、特に好ましい上限は0.1重量部である。
【0047】
上記紫外線吸収剤は、例えば、マロン酸エステル構造を有する化合物、シュウ酸アニリド構造を有する化合物、ベンゾトリアゾール構造を有する化合物、ベンゾフェノン構造を有する化合物、トリアジン構造を有する化合物、ベンゾエート構造を有する化合物、ヒンダードアミン構造を有する化合物等の紫外線吸収剤が挙げられる。
【0048】
上記熱可塑性樹脂層は、必要に応じて、更に可塑剤を含有してもよい。上記可塑剤は特に限定されず、例えば、一塩基性有機酸エステル、多塩基性有機酸エステル等の有機エステル可塑剤、有機リン酸可塑剤、有機亜リン酸可塑剤等のリン酸可塑剤等が挙げられる。上記可塑剤は液状可塑剤であることが好ましい。
【0049】
上記一塩基性有機酸エステルは特に限定されないが、例えば、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、トリプロピレングリコール等のグリコールと、酪酸、イソ酪酸、カプロン酸、2−エチル酪酸、ヘプチル酸、n−オクチル酸、2−エチルヘキシル酸、ペラルゴン酸(n−ノニル酸)、デシル酸等の一塩基性有機酸との反応によって得られたグリコールエステル等が挙げられる。なかでも、トリエチレングリコールジカプロン酸エステル、トリエチレングリコールジ−2−エチル酪酸エステル、トリエチレングリコールジ−n−オクチル酸エステル、トリエチレングリコールジ−2−エチルヘキシル酸エステル等が好適である。
【0050】
上記多塩基性有機酸エステルは特に限定されないが、例えば、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸等の多塩基性有機酸と、炭素数4〜8の直鎖又は分岐構造を有するアルコールとのエステル化合物が挙げられる。なかでも、ジブチルセバシン酸エステル、ジオクチルアゼライン酸エステル、ジブチルカルビトールアジピン酸エステル等が好適である。
【0051】
上記有機エステル可塑剤は特に限定されず、トリエチレングリコールジ−2−エチルブチレート、トリエチレングリコールジ−2−エチルヘキサノエート、トリエチレングリコールジカプリレート、トリエチレングリコールジ−n−オクタノエート、トリエチレングリコールジ−n−ヘプタノエート、テトラエチレングリコールジ−n−ヘプタノエート、テトラエチレングリコールジ−2−エチルヘキサノエート、ジブチルセバケート、ジオクチルアゼレート、ジブチルカルビトールアジペート、エチレングリコールジ−2−エチルブチレート、1,3−プロピレングリコールジ−2−エチルブチレート、1,4−ブチレングリコールジ−2−エチルブチレート、ジエチレングリコールジ−2−エチルブチレート、ジエチレングリコールジ−2−エチルヘキサノエート、ジプロピレングリコールジ−2−エチルブチレート、トリエチレングリコールジ−2−エチルペンタノエート、テトラエチレングリコールジ−2−エチルブチレート、ジエチレングリコールジカプリエート、アジピン酸ジヘキシル、アジピン酸ジオクチル、アジピン酸ヘキシルシクロヘキシル、アジピン酸ジイソノニル、アジピン酸ヘプチルノニル、セバシン酸ジブチル、油変性セバシン酸アルキド、リン酸エステルとアジピン酸エステルとの混合物、アジピン酸エステル、炭素数4〜9のアルキルアルコール及び炭素数4〜9の環状アルコールから作製された混合型アジピン酸エステル、アジピン酸ヘキシル等の炭素数6〜8のアジピン酸エステル等が挙げられる。
【0052】
上記有機リン酸可塑剤は特に限定されず、例えば、トリブトキシエチルホスフェート、イソデシルフェニルホスフェート、トリイソプロピルホスフェート等が挙げられる。
【0053】
上記可塑剤のなかでも、ジヘキシルアジペート(DHA)、トリエチレングリコールジ−2−エチルヘキサノエート(3GO)、テトラエチレングリコールジ−2−エチルヘキサノエート(4GO)、トリエチレングリコールジ−2−エチルブチレート(3GH)、テトラエチレングリコールジ−2−エチルブチレート(4GH)、テトラエチレングリコールジ−n−ヘプタノエート(4G7)及びトリエチレングリコールジ−n−ヘプタノエート(3G7)からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
【0054】
更に、上記可塑剤として、加水分解を起こしにくいため、トリエチレングリコールジ−2−エチルヘキサノエート(3GO)、トリエチレングリコールジ−2−エチルブチレート(3GH)、テトラエチレングリコールジ−2−エチルヘキサノエート(4GO)、ジヘキシルアジペート(DHA)を含有することが好ましく、テトラエチレングリコールジ−2−エチルヘキサノエート(4GO)、トリエチレングリコールジ−2−エチルヘキサノエート(3GO)を含有することがより好ましく、トリエチレングリコールジ−2−エチルヘキサノエートを含有することが更に好ましい。
【0055】
上記熱可塑性樹脂層における上記可塑剤の含有量は特に限定されないが、上記熱可塑性樹脂100重量部に対する好ましい下限が30重量部、好ましい上限が70重量部である。上記可塑剤の含有量が30重量部以上であると、合わせガラス用中間膜の溶融粘度が低くなるため、合わせガラス用中間膜を容易に成形できる。上記可塑剤の含有量が70重量部以下であると、合わせガラス用中間膜の透明性がより一層高くなる。上記可塑剤の含有量のより好ましい下限は35重量部、より好ましい上限は63重量部である。
【0056】
上記熱可塑性樹脂層は、必要に応じて、酸化防止剤、光安定剤、帯電防止剤、青色顔料、青色染料、緑色顔料、緑色染料等の添加剤を含有してもよい。
【0057】
優れた耐光性を得ることができることから、上記熱可塑性樹脂層は、酸化防止剤を含有することが好ましい。上記酸化防止剤は特に限定されず、フェノール構造を有する酸化防止剤、硫黄を含む酸化防止剤及びリンを含む酸化防止剤等が挙げられる。
上記フェノール構造を有する酸化防止剤はフェノール骨格を有する酸化防止剤である。上記フェノール構造を有する酸化防止剤としては、例えば、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール(BHT)、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、ステアリル−β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,2’−メチレンビス−(4−メチル−6−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス−(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデン−ビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、1,1,3−トリス−(2−メチル−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、テトラキス[メチレン−3−(3’,5’−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、1,3,3−トリス−(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェノール)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、及びビス(3,3’−t−ブチルフェノール)ブチリックアッシドグリコールエステル及びペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオナート]等が挙げられる。上記酸化防止剤は一種のみでもよく、二種以上を併用しても良い。
【0058】
上記熱可塑性樹脂層の厚さは特に限定されないが、好ましい下限は300μm、好ましい上限は2000μmである。上記熱可塑性樹脂層の厚さがこの範囲内であると、害虫の飛来をより一層防止し、透明性がより一層高い合わせガラス用中間膜が得られる。上記熱可塑性樹脂層の厚さのより好ましい下限は350μm、より好ましい上限は1000μmである。
【0059】
本発明の合わせガラス用中間膜は、上記熱可塑性樹脂層のみを有する単層中間膜であってもよく、上記熱可塑性樹脂層と上記熱可塑性樹脂層の一方の面に配置されている第1の樹脂層とを有する多層中間膜であってもよい。第1の樹脂層はポリビニルアセタールを含むことが好ましい。第1の樹脂層は上記熱可塑性樹脂層の一方の面に直接積層されていてもよい。
本発明の合わせガラス用中間膜は、更に、上記熱可塑性樹脂層の他方の面に第2の樹脂層が配置されていてもよく、第1の樹脂層の上記熱可塑性樹脂層が積層されている面とは反対の面に第2の樹脂層が配置されていてもよい。上記第2の樹脂層はポリビニルアセタールを含むことが好ましい。なお、上記熱可塑性樹脂層の他方の面とは、一方の面の反対の面を意味する。
【0060】
上記第1の樹脂層及び第2の樹脂層に含まれるポリビニルアセタールとして、上記熱可塑性樹脂層に含まれるポリビニルアセタールを用いることができる。上記第1の樹脂層及び第2の樹脂層に含まれるポリビニルアセタールと上記熱可塑性樹脂層に含まれるポリビニルアセタールとは同一であってもよく、異なっていてもよい。
上記第1の樹脂層及び第2の樹脂層に含まれる可塑剤は、上記熱可塑性樹脂層に可塑剤を含む場合は、上記熱可塑性樹脂層に含まれる可塑剤と同一であってもよく、異なっていてもよい。
【0061】
上記第1の樹脂層及び第2の樹脂層は接着力調整剤を含むことが好ましい。上記接着力調整剤は特に限定されず、金属塩であることが好ましく、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩及びマグネシウム塩からなる群から選択された少なくとも1種の金属塩であることが好ましい。上記金属塩は、カリウム及びマグネシウムの内の少なくとも1種の金属を含むことが好ましい。上記金属塩は、炭素数2〜16の有機酸のアルカリ金属塩又は炭素数2〜16の有機酸のアルカリ土類金属塩であることがより好ましく、炭素数2〜16のカルボン酸マグネシウム塩又は炭素数2〜16のカルボン酸カリウム塩であることが更に好ましい。上記炭素数2〜16のカルボン酸マグネシウム塩及び上記炭素数2〜16のカルボン酸カリウム塩としては特に限定されないが、例えば、酢酸マグネシウム、酢酸カリウム、プロピオン酸マグネシウム、プロピオン酸カリウム19、2−エチルブタン酸マグネシウム、2−エチルブタン酸カリウム、2−エチルヘキサン酸マグネシウム及び2−エチルヘキサン酸カリウム等が挙げられる。
【0062】
上記接着力調整剤の含有量は特に限定されないが、上記ポリビニルアセタール100重量部に対する好ましい下限が0.0005重量部、好ましい上限が0.05重量部である。上記接着力調整剤の含有量が0.0005重量部以上であると、合わせガラスの耐貫通性が高くなる。上記接着力調整剤の含有量が0.05重量部以下であると、合わせガラス用中間膜の透明性がより一層高くなる。上記接着力調整剤の含有量のより好ましい下限は0.002重量部、より好ましい上限は0.02重量部である。
第1の樹脂層の耐湿性が高くなることから、第1,2の樹脂層中のアルカリ金属、アルカリ土類金属及びマグネシウムの含有量の合計は300ppm以下であることが好ましい。例えば、上記アルカリ金属、アルカリ土類金属及びマグネシウムは、上記接着力調整剤に由来する金属として含んでもよく、ポリビニルアセタールを合成する際に用いる中和剤に由来する金属として含んでもよい。第1,2の樹脂層中のアルカリ金属、アルカリ土類金属及びマグネシウムの含有量の合計は200ppm以下であることがより好ましく、150ppm以下であることが更に好ましく、100ppm以下であることが特に好ましい。
【0063】
本発明の合わせガラス用中間膜に遮熱性が要求される場合には、上記熱可塑性樹脂層、上記第1の樹脂層及び第2の樹脂層のいずれか1層に熱線吸収剤を含有させてもよい。あるいは、上記熱可塑性樹脂層、上記第1の樹脂層及び第2の樹脂層以外に、更に、熱線吸収剤を含有する熱線遮蔽層を積層してもよい。
【0064】
上記熱線吸収剤は、赤外線を遮蔽する性能を有すれば特に限定されないが、錫ドープ酸化インジウム(ITO)粒子、アンチモンドープ酸化錫(ATO)粒子、アルミニウムドープ酸化亜鉛(AZO)粒子、インジウムドープ酸化亜鉛(IZO)粒子、錫ドープ酸化亜鉛粒子、珪素ドープ酸化亜鉛粒子、6ホウ化ランタン粒子及び6ホウ化セリウム粒子からなる群より選択される少なくとも1種が好適である。
【0065】
本発明の合わせガラス用中間膜は、遮音性能を向上させる目的で、更に、遮音層を有してもよい。上記熱可塑性樹脂層、上記第1の樹脂層及び第2の樹脂層のいずれか1層に遮音性を付与し、遮音層としてもよく、上記熱可塑性樹脂層、上記第1の樹脂層及び第2の樹脂層以外に、更に、遮音層を積層してもよい。
【0066】
上記遮音層は、例えば、上記ポリビニルアセタール100重量部に対して上記可塑剤を50〜80重量部含む層等が挙げられる。上記遮音層はポリビニルアセタールを含むことが好ましく、ポリビニルブチラールを含むことがより好ましい。上記遮音層に含まれる上記ポリビニルアセタールは、水酸基量が20〜28モル%の範囲内であることが好ましい。上記遮音層に含まれる上記ポリビニルアセタールは、アセチル基量が8〜30モル%であるポリビニルアセタールA、アセチル基量が0モル%を超え5モル%未満、かつアセタール化度が70〜85モル%であるポリビニルアセタールB、又は、アセチル基量が5モル%以上8モル%未満、かつアセタール化度が65〜80モル%であるポリビニルアセタールCであってもよい。
【0067】
本発明の合わせガラス用中間膜が、一対のガラス板の間に積層されている合わせガラスもまた、本発明の1つである。
上記ガラス板は、一般に使用されている透明板ガラスを使用することができる。例えば、フロート板ガラス、磨き板ガラス、型板ガラス、網入りガラス、線入り板ガラス、着色された板ガラス、熱線吸収ガラス、熱線反射ガラス、グリーンガラス等の無機ガラスが挙げられる。また、ガラスの表面に紫外線遮蔽コート層が形成された紫外線遮蔽ガラスも用いることができる。更に、上記ガラス板としてポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリアクリレート等の有機プラスチックス板を用いることもできる。
上記ガラス板として、2種類以上のガラス板を用いてもよい。例えば、透明フロート板ガラスと、グリーンガラスのような着色されたガラス板との間に、本発明の合わせガラス用中間膜を積層した合わせガラスが挙げられる。また、上記ガラス板として、2種以上の厚さの異なるガラス板を用いてもよい。
【発明の効果】
【0068】
本発明によれば、透明性が高く、かつ、害虫の飛来を防止することができる合わせガラス用中間膜、及び、該合わせガラス用中間膜を含む合わせガラスを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0069】
以下に実施例を挙げて本発明の態様を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例にのみ限定されない。
【0070】
(実施例1)
(1)熱可塑性樹脂層を形成する樹脂組成物
トリエチレングリコールジ−2−エチルヘキサノエート(3GO)40重量部に、紫外線吸収剤としてベンゾトリアゾール化合物(BASFジャパン社製「Tinuvin326」)0.2重量部、多価金属を含む化合物として酢酸マグネシウム四水和物を加え、混合して、可塑剤溶液を調製した。得られた可塑剤溶液の全量と、重合度が1700であるポリビニルアルコールをn−ブチルアルデヒドでアセタール化することにより得られたポリビニルブチラール(アセチル基量0.9mol%、水酸基量30.6mol%、ブチラール化度68.5mol%)100重量部とをミキシングロールで充分に混練することにより、熱可塑性樹脂層を形成する樹脂組成物を調製した。なお、合わせガラス用中間膜中のマグネシウム元素の濃度が160ppmとなるように、トリエチレングリコールジ−2−エチルヘキサノエート(3GO)に酢酸マグネシウム四水和物を添加した。
【0071】
(2)一般式(3)で表される構造を有する化合物を含む塗布液の調整
テトラヒドロフラン50重量%とエタノール50重量%とを含む溶媒に、一般式(3)で表される構造を有する化合物であるジエチル−2,5−ジヒドロキシテレフタレート(Aldrich社製「2,5−ジヒドロキシテレフタル酸ジエチル」)を2.5重量%となるように溶解させ、塗布液を調整した。
【0072】
(3)合わせガラス用中間膜の製造
熱可塑性樹脂層を形成する樹脂組成物を、押出機を用いて押出し、熱可塑性樹脂層を得た。得られた熱可塑性樹脂層の一方の表面(最も面積が広い面)に、ポリビニルブチラール100重量部に対して、一般式(3)で表される構造を有する化合物であるジエチル−2,5−ジヒドロキシテレフタレート(Aldrich社製、「2,5−ジヒドロキシテレフタル酸ジエチル」)の含有量が0.5重量部となるように、溶液を塗布した。溶液が塗布された熱可塑性樹脂層を100℃のオーブンで90分間加熱し、溶剤を揮発させ、合わせガラス用中間膜を作成した。合わせガラス用中間膜を目視で観察したところ、色目が変化したことから、一般式(1)で表される構造を有する化合物が得られたと考えられる。合わせガラス用中間膜の厚みは800μmであった。
【0073】
(4)合わせガラスの製造
得られた合わせガラス用中間膜を縦50cm×横50cmに切断した。切断後の合わせガラス用中間膜を、縦50cm×横50cmの一対のクリアガラス(厚み2.5mm)の間に積層し、積層体を得た。得られた積層体を、真空ラミネーターにて90℃下、30分保持しつつ真空プレスを行い圧着した。圧着後140℃、14MPaの条件でオートクレーブを用いて20分間圧着を行い、合わせガラスを得た。
【0074】
(実施例2〜8)
熱可塑性樹脂層を形成する樹脂組成物の組成や、塗布液の組成を表1のようにした以外は、実施例1と同様に合わせガラス用中間膜及び合わせガラスを得た。
【0075】
(比較例1)
溶液を塗布しなかった以外は実施例1と同様に合わせガラス用中間膜及び合わせガラスを得た。
【0076】
(評価)
実施例、及び、比較例で得られた合わせガラスについて、以下の方法で評価を行った。
【0077】
(1)分光透過率の評価
分光光度計(日立ハイテクノロジーズ社製、U−4100)を使用して、JIS R 3106に準拠して、得られた合わせガラスの370nm、390nm、410nm、450nm、460nm、470nm、480nm、490nm、及び、500nmの透過率を測定した。
【0078】
(2)可視光線透過率の評価
分光光度計(日立ハイテクノロジーズ社製、U−4100)を使用して、JIS R 3106に準拠して、得られた合わせガラスの可視光線透過率を測定した。
【0079】
(3)羽虫誘引数の評価
得られた合わせガラス(縦50cm×横50cm)の片面のガラス表面に透明粘着剤を塗布した。透明粘着剤を塗布していないガラス側にハロゲンランプを設置し、白色光を照射した状態で、屋外(積水化学工業滋賀水口工場内:2013年8月)に1時間(20時〜21時)放置した。放置後に透明粘着剤に付着した羽虫の数を数えた。
【0080】
【表1】
【産業上の利用可能性】
【0081】
本発明によれば、透明性が高く、かつ、害虫の飛来を防止することができる合わせガラス用中間膜、及び、該合わせガラス用中間膜を含む合わせガラスを提供することができる。
【国際調査報告】