(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO2014051158
(43)【国際公開日】20140403
【発行日】20160825
(54)【発明の名称】酸素濃縮装置
(51)【国際特許分類】
   C01B 13/02 20060101AFI20160729BHJP
   B01D 53/04 20060101ALI20160729BHJP
   B01D 53/047 20060101ALI20160729BHJP
   B01D 53/26 20060101ALI20160729BHJP
   B01D 53/22 20060101ALI20160729BHJP
   B01D 63/02 20060101ALI20160729BHJP
   B01D 71/64 20060101ALI20160729BHJP
   A61M 16/10 20060101ALI20160729BHJP
【FI】
   !C01B13/02 A
   !B01D53/04 110
   !B01D53/047
   !B01D53/26
   !B01D53/22
   !B01D63/02
   !B01D71/64
   !A61M16/10 B
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】11
【出願番号】2014538681
(21)【国際出願番号】JP2013076889
(22)【国際出願日】20130926
(11)【特許番号】5922784
(45)【特許公報発行日】20160524
(31)【優先権主張番号】2012216607
(32)【優先日】20120928
(33)【優先権主張国】JP
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ
(71)【出願人】
【識別番号】503369495
【氏名又は名称】帝人ファーマ株式会社
【住所又は居所】東京都千代田区霞が関三丁目2番1号
(74)【代理人】
【識別番号】100169085
【弁理士】
【氏名又は名称】為山 太郎
(72)【発明者】
【氏名】玉井 建嘉
【住所又は居所】東京都千代田区霞が関3丁目2番1号 帝人ファーマ株式会社内
(72)【発明者】
【氏名】縄田 秀男
【住所又は居所】東京都千代田区霞が関3丁目2番1号 帝人ファーマ株式会社内
【テーマコード(参考)】
4D006
4D012
4D052
4G042
【Fターム(参考)】
4D006GA41
4D006HA02
4D006HA18
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4D006JA70Z
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4D006KB14
4D006MA01
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4D012CJ03
4D052AA01
4D052EA02
4D052FA01
4D052FA09
4G042BA15
4G042BA18
4G042BA44
4G042BB02
4G042BC04
(57)【要約】
窒素排気時の気流音を低減した装置として、筒状容器および容器内で両端を封止した水分透過性中空糸膜束を備え、中空糸膜内側に原料空気である圧縮空気を、容器内の中空糸膜外側に脱着排気ガスを通過させことにより、圧縮空気を除湿すると共に脱着排気ガスの排気音を消音する除湿消音機能を備えた酸素濃縮装置を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸素よりも窒素を優先的に吸着する吸着材を充填した吸着筒と、該吸着筒に圧縮空気を供給するコンプレッサと、該吸着筒を加圧し圧縮空気中の窒素を吸着し未吸着の酸素を生成する吸着工程と該吸着筒を減圧パージし吸着材を再生する脱着工程とを一定タイミングで繰り返すため、該コンプレッサと該吸着筒、該吸着筒と脱着排気ガスを系外に排気する排気管との間の流路を切り換える流路切換弁と、圧縮空気を除湿すると共に脱着排気ガスの排気音を消音する除湿消音器とを備え、
該除湿消音器が、筒状容器および容器内で両端を封止した水分透過性中空糸膜束を備え、中空糸膜内側に圧縮空気を、容器内の中空糸膜外側に脱着排気ガスを通過させことを特徴とする、酸素濃縮装置。
【請求項2】
該除湿消音器の筒状容器への脱着排気ガス導入路断面の代表寸法に対する筒状容器断面の代表寸法が3〜8倍であることを特徴とする請求項1記載の酸素濃縮装置。
【請求項3】
該筒状容器断面積に対して中空糸膜外側の流路断面積が40〜80%である、請求項2記載の酸素濃縮装置。
【請求項4】
該水分透過性中空糸膜束が、ポリイミド中空糸膜束である、請求項1〜3の何れかに記載の酸素濃縮装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、酸素よりも窒素を優先的に吸着する吸着材を用いた圧力変動吸着型の酸素濃縮装置に関するものであり、特に慢性呼吸器疾患患者などに対して行われる酸素吸入療法に使用する医療用酸素濃縮装置に関するものである。さらに詳細には、原料ガスである圧縮空気の除湿機能を備えると共に、吸着材に吸着した窒素を脱着排気する際に発生する気流騒音を低減する消音機能を備えた酸素濃縮装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、喘息、肺気腫症、慢性気管支炎等の呼吸器系器官の疾患に苦しむ患者が増加する傾向にあり、その治療法として最も効果的なもののひとつに酸素吸入療法がある。かかる酸素吸入療法とは、酸素ガスあるいは酸素富化空気を患者に吸入させるものである。その酸素供給源として、酸素濃縮装置、液体酸素、酸素ガスボンベ等が知られているが、使用時の便利さや保守管理の容易さから、在宅酸素療法には酸素濃縮装置が主流で用いられている。
酸素濃縮装置は、空気中に含まれる約21%の酸素を濃縮して使用者に供給する装置であり、それには酸素を選択的に透過する膜を用いた膜式酸素濃縮装置と、窒素または酸素を優先的に吸着しうる吸着材を用いた圧力変動吸着型酸素濃縮装置がある。中でも90%以上の高濃度の酸素ガスが得られる点から圧力変動吸着型酸素濃縮装置が主流になっている。
圧力変動吸着型酸素濃縮装置は、酸素よりも窒素を選択的に吸着する吸着材として5A型や13X型、Li−X型などのモレキュラーシーブゼオライトを充填した吸着筒に、コンプレッサで圧縮された空気を供給することにより加圧条件下で窒素を吸着させ、未吸着の酸素濃縮ガスを得る加圧吸着工程と、前記吸着筒内の圧力を大気圧またはそれ以下に減じて、吸着材に吸着された窒素をパージすることで吸着材の再生を行う減圧工程を交互に繰り返し行うことで、高濃度酸素ガスを連続的に生成することができる。
本発明のような酸素濃縮装置では、通常2本の吸着筒を有しており、一方の吸着筒が加圧吸着工程のときは、他方の吸着筒では減圧工程にし、両工程を順次切り換え実施することによって、連続して酸素濃縮ガスを生成できるようにしている。これらの吸着筒を一定サイクルで切り換えるために、2方弁や3方弁の流路切換弁が使用されている。
特開2005−81258号公報に記載の様に、一般的な酸素濃縮装置では、消費電力と騒音の低減のために、一方の吸着筒が加圧吸着工程を終了した後に、減圧工程にあった他方の吸着筒と配管で接続し、それぞれの吸着筒の圧力が同じになるような均圧工程が設けられている。この均圧工程によって、加圧吸着工程を始める吸着筒では加圧エネルギーを回収し、予め高い圧力を保持することができ、消費電力を低減することが可能になる。また減圧工程が始まる吸着筒では、吸着筒外に窒素を排気する際の直前圧力を低くすることができ、窒素排気時に発生する気流音を低く抑えることが可能になっている。
しかしながら、減圧工程が始まる吸着筒において、均圧工程を終えた直後でも十分に圧力が高く、脱着排気ガスを直接大気圧に排気すると、大きな気流音が発生してしまう。かかる問題の解決方法として、特開2001−278603号公報、特開2001−120662号公報に記載の様に、排気口には様々な消音器やダクトが使用され消音されているが、ある程度の消音効果を得るためには大きな消音器が必要になり、形状・重量の増加だけでなく、消音器による背圧増大によって窒素の排気が十分に行えなくなり、製品酸素濃度が低下するという問題も発生していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
特開2005−81258号公報
特開2001−278603号公報
特開2001−120662号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、かかる装置の窒素排気口の流路を見直すことによって、脱着排気ガスを排気するときに伴う気流音を改善し、低騒音化を実現した装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
かかる課題に対して本発明者は鋭意検討した結果、以下の酸素濃縮装置を見出した。
1.酸素よりも窒素を優先的に吸着する吸着材を充填した吸着筒と、該吸着筒に圧縮空気を供給するコンプレッサと、該吸着筒を加圧し圧縮空気中の窒素を吸着し未吸着の酸素を生成する吸着工程と該吸着筒を減圧パージし吸着材を再生する脱着工程とを一定タイミングで繰り返すため、該コンプレッサと該吸着筒、該吸着筒と脱着ガスを系外に排気する排気管との間の流路を切り換える流路切換弁と、圧縮空気を除湿すると共に脱着ガスの排気音を消音する除湿消音器とを備え、
該除湿消音器が、筒状容器および容器内で両端を封止した水分透過性中空糸膜束を備え、中空糸膜内側に圧縮空気を、容器内の中空糸膜外側に脱着ガスを通過させことを特徴とする、酸素濃縮装置。
2.該除湿消音器の筒状容器への脱着排気ガス導入路断面の代表寸法に対する筒状容器断面の代表寸法が3〜8倍であることを特徴とする、上記1記載の酸素濃縮装置。
3.該筒状容器断面積に対して中空糸膜外側の流路断面積が40〜80%である、上記2記載の酸素濃縮装置。
4.該水分透過性中空糸膜束が、ポリイミド中空糸膜束である、上記1〜3の何れかに記載の酸素濃縮装置。
【発明の効果】
【0006】
本発明の酸素濃縮装置を使用することにより、特に窒素排気時の脱着排気ガスの気流音を低減することができ、酸素濃縮装置の静音化を実現することができる。また、原料空気の除湿機能と排気消音機能をポリイミド中空糸膜束モジュールとして一体化することで、膨張型消音器を備えるよりもコンパクトな設計で消音効率を上げることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1は、本発明の酸素濃縮装置の実施態様例である圧力変動吸着型酸素濃縮装置の模式図を示す。また、図2は、本発明の酸素濃縮装置に使用する除湿消音器の断面模式図を示す。図3は、脱着排気ガスの導入路内径(I)に対する円筒容器内径(II)の内径比と透過損失(dB)の関係図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の酸素濃縮装置の実施態様例を、図面を用いて説明する。
図1は、本発明の実施形態である圧力変動吸着型酸素濃縮装置を例示した概略装置構成図である。この図1において、1は酸素濃縮装置、2は加湿された酸素富化空気を吸入する使用者(患者)を示す。圧力変動吸着型酸素濃縮装置1は、外部空気取り込みフィルタ101、吸気消音器102、コンプレッサ103、除湿消音器117、流路切換弁104、吸着筒105、均圧弁106、逆止弁107、製品タンク108、調圧弁109、流量設定手段110、パーティクルフィルタ111を備える。これにより外部から取り込んだ原料空気から酸素ガスを濃縮した酸素富化空気を製造することができる。また、酸素濃縮装置の筐体内には、生成された酸素富化空気を加湿するための加湿器114、前記流量設定手段110の設定値と、酸素濃度センサ112、流量センサ113の測定値を用いて、コンプレッサや流路切換弁を制御する制御手段115、装置内を冷却するための冷却ファン116が内蔵されている。
まず外部から取り込まれる原料空気は、塵埃などの異物を取り除くための外部空気取り込みフィルタ101、吸気消音器102を備えた空気取り込み口から取り込まれる。このとき、通常の空気中には、約21%の酸素ガス、約77%の窒素ガス、0.8%のアルゴンガス、水蒸気ほかのガスが1.2%含まれている。かかる装置では、呼吸用ガスとして必要な酸素ガスのみを濃縮して取り出す。
この酸素ガスの取り出しは、原料空気を酸素ガス分子よりも窒素ガス分子を選択的に吸着するゼオライトなどからなる吸着材が充填された吸着筒に対して、流路切換弁104によって対象とする吸着筒を順次切り換えながら、原料空気をコンプレッサ103により加圧して供給し、吸着筒内で原料空気中に含まれる約77%の窒素ガスを選択的に吸着除去する。
原料空気中には水蒸気が含まれており、一方、上記ゼオライト等の窒素吸着材は、水分吸着能が窒素吸着能よりも高いことから、原料空気を事前に除湿乾燥させて使用するのが吸着材の吸湿劣化を避け、長期間に渡る酸素生成能を維持する上で好ましい。かかる除湿器としては空気中の水蒸気を継続的に除去し大気中に排気する手段として、水分透過性中空糸膜を用いた除湿消音器117を用いることが出来る。
前記の吸着筒としては、前記吸着材を充填した筒状容器で形成され、通常、1筒式、2筒式の他に3筒以上の多筒式が用いられるが、連続的かつ効率的に原料空気から酸素富化空気を製造するためには、多筒式の吸着筒を使用することが好ましい。また、前記のコンプレッサとしては、揺動型空気圧縮機が用いられるほか、スクリュー式、ロータリー式、スクロール式などの回転型空気圧縮機が用いられる場合もある。また、このコンプレッサを駆動する電動機の電源は、交流であっても直流であってもよい。
前記吸着筒105で吸着されなかった酸素ガスを主成分とする酸素富化空気は、吸着筒へ逆流しないように設けられた逆止弁107を介して、製品タンク108に流入する。
また、吸着筒内に充填された吸着材に吸着された窒素ガスは、新たに導入される原料空気から再度窒素ガスを吸着するために吸着材から脱着させる必要がある。このために、コンプレッサによって実現される加圧状態から、流路切換弁によって減圧状態(例えば大気圧状態又は負圧状態)に切り換え、吸着されていた窒素ガスを脱着させて吸着材を再生させる。この脱着工程において、その脱着効率を高めるため、吸着工程中の吸着筒の製品端側或いは製品タンクから酸素富化空気をパージガスとして逆流させるようにしてもよい。通常、窒素を脱着させるときには大きな気流音が発生するため、一般的には消音器が用いられる。
原料空気から生成された酸素富化空気は、製品タンク108へ蓄えられる。この製品タンクに蓄えられた酸素富化空気は、例えば95%といった高濃度の酸素ガスを含んでおり、調圧弁109や流量設定手段110などによってその供給流量と圧力とが制御されながら、患者に供給される。かかる加湿器114には、水分透過膜を有する水分透過膜モジュールによって、外部空気から水分を取り込んで乾燥状態の酸素富化空気へ供給する無給水式加湿器や、水を用いたバブリング式加湿器、或いは表面蒸発式加湿器を用いることが出来る。
また、流置設定手段110の設定値を検知し、制御手段115によりコンプレッサの電動機の回転数を制御することで吸着筒への供給風量を制御する。設定流量が低流量の場合には回転数を落とすことで生成酸素量を抑え、且つ消費電力の低減を図ることができる。
装置内を空冷する冷却ファン116としては、軸流式の冷却ファンや遠心型のブロアなどが用いられる。駆動方式は交流であっても直流であっても構わない。過冷却の防止や低騒音化を図るために、冷却ファンの回転数を制御することも実施されている。また、冷却風の向きは、コンプレッサボックス内の空気を換気する強制対流方式や、コンプレッサに冷却風を直接当てる強制空冷方式のどちらを使用してもかまわない。
圧力変動吸着型の酸素濃縮方法では、複数の吸着筒を用い、窒素吸着材を充填した吸着筒を加圧し、圧縮空気中の窒素を吸着し未吸着の酸素を生成する吸着工程(加圧工程)と、吸着筒を大気圧まで減圧あるいは真空域まで減圧し、吸着材に吸着した窒素を脱着排気し再生する脱着工程(減圧工程・再生工程)とを一定タイミングで繰り返すことで連続的に酸素を生成することができる。さらに吸着工程終了後の吸着筒と脱着工程終了後の吸着筒を均圧弁を介して接続することで圧力を移動させ省エネを図る均圧工程や、製品ガスである酸素の一部を脱着工程の後半に製品端から流すことで窒素の脱着を促進し再生効率を上げるパージ工程を組合せることで、高濃度の酸素を長期間に渡り効率よく生成することができる。
脱着工程の初期には、吸着工程が終了直後の加圧状態の吸着筒から排気管を介して系外に一時にガスが排気されるため、排気騒音の原因となる。通常、排気音を低減するため、排気管下流に消音器を用いる。しかし、小型化、軽量化、コスト削減が求められる酸素濃縮装置においては、別途、排気消音器を設けることは部品点数の増加、重量増、コスト増に繋がる。本発明の酸素濃縮装置では、原料空気の除湿に使用する中空糸除湿器を脱着排気ガスの消音器として併用する。
除湿消音器の筒状容器の断面形状としては、矩形や円形などの形状を使用することが出来る。このとき、筒状容器の代表寸法は、矩形の場合は対角線を、円形の場合は内径を用いることができる。なお、筒状容器の断面形状は、脱着排気ガスが中空糸膜束と接触しやすくなる観点から、円形を用いるのが好ましい。
具体的には、図2に断面形状で示すように、除湿消音器6が、円筒容器602および容器内で両端603,604を封止した水分透過性中空糸膜束601を備え、中空糸内側に圧縮空気を、容器内の中空糸膜外側に脱着排気ガスを通過させことを特徴とする。
中空糸膜素材としては、水分透過性能を有するポリスルホンやポリエーテルイミド、ポリイミドなどを使用することが出来るが、化学的安定性、耐圧性などの観点からポリイミドを用いるのが好ましい。数百本〜数千本単位の中空糸束膜束を円筒容器に収納し、両端を接着剤で封止する。中空糸内側に供給された圧縮空気から水蒸気分圧差により水分が中空糸外側に移動し、乾燥空気が吸着筒へ供給される。除湿能力により中空糸束の本数は決定され、内径約0.4〜0.6mmφ、500〜1000本の中空糸膜束を用いることで約0.5〜1L/minの酸素生成能力を有する原料空気の除湿を行うことが出来る。
中空糸膜外側には、吸着筒から系外に排気される排気流路を接続し、吸着材に吸着した水分、窒素、パージに使用した酸素を含む脱着排気ガスを供給する。この際、除湿消音器に脱着排気ガスを流す向きは、圧縮空気の流れに対して対向及び並行のどちらでも使用することができる。なお、除湿効率の観点からは対向にすることが望ましい。また、円筒容器断面積に対する中空糸膜外側の流路断面積は40〜80%、好ましくは60〜75%とすることで、脱着排気ガスが中空糸膜に接するようにした上で水分分圧差を確保すると共に、脱着排気ガスの排気圧損による消音効果を発揮させることが出来る。
中空糸膜束を搭載していない場合の脱着排気ガスの導入路内径(I)に対する円筒容器内径(II)の内径比と、排気音の消音機能を表す透過損失(dB)の関係を図3に示す。前記透過損失は、気流温度40℃、円筒容器602の長さ90mm、脱着排気ガス導入路の入側607及び出側608の内径(I)を共に4mmφとし、円筒容器602の内径(II)を変更した条件での理論計算により導出した。
図3より、膨張型消音機能は、円筒容器内径が大きくなるほど増加し、高い消音機能を得るには円筒容器の内径を大きくする必要があることが分かる。
一方、本除湿消音器では中空糸膜束を搭載することで、前記膨張型構造による音圧レベルの低減に加え、脱着排気ガスの高い流速を抑えることで気流音を低減している。
円筒容器の長さ90mm、脱着排気ガス導入路の入側及び出側の内径(I)を共に4mmφ、円筒容器の内径(II)を25mmφとした容器中に、ポリイミド中空糸膜として外径0.5mmφの中空糸1000本を収納した中空糸除湿器を、図1の圧力変動吸着型酸素濃縮装置に搭載し、中空糸除湿器を搭載しない装置、中空糸がない円筒容器のみを搭載した装置との間での騒音レベルを比較した。
中空糸除湿器を搭載しない場合には、41.0dB(A)の騒音値を示すのに対して、除湿器の円筒容器のみを搭載した場合には36.0dB(A)の騒音値を示し、中空糸除湿器を搭載することで36.6dB(A)の騒音値を示した。かかる実施例では、中空糸除湿器と、除湿器の円筒容器のみの場合で、同等の消音効果を示し、中空糸束の存在は消音効果には殆ど影響していない。
上記実施例の円筒容器断面積に対する中空糸膜外側の流路断面積の比は63%であり、中空糸700本、円筒容器断面積に対する中空糸膜外側の流路断面積の比74%でも同様の効果を有する。円筒容器の内径寸法を大きくすると、図3に示すように膨脹型消音器としての消音性能は上がるが、一方で中空糸膜での水分交換による除湿性能が低下する。内径寸法を小さくすると除湿器容器内での圧損が大きくなり、原料空気供給量の低下による生成酸素濃度の低下を招く。
従って、円筒容器断面積に対する中空糸膜外側の流路断面積の比は40〜80%、好ましくは60〜75%とすることで、脱着排気ガスが中空糸膜に接するようにした上で水分分圧差を確保すると共に、脱着排気ガスの排気圧損による消音効果を発揮させることが出来る。
【産業上の利用可能性】
【0009】
本発明は、静穏性能が要求される小型、軽量の酸素濃縮装置に適用可能である。
【図1】
【図2】
【図3】

【手続補正書】
【提出日】20160122
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸素よりも窒素を優先的に吸着する吸着材を充填した吸着筒と、該吸着筒に圧縮空気を供給するコンプレッサと、該吸着筒を加圧し圧縮空気中の窒素を吸着し未吸着の酸素を生成する吸着工程と該吸着筒を減圧パージし吸着材を再生する脱着工程とを一定タイミングで繰り返すため、該コンプレッサと該吸着筒、該吸着筒と脱着排気ガスを系外に排気する排気管との間の流路を切り換える流路切換弁と、圧縮空気を除湿すると共に脱着排気ガスの排気音を消音する除湿消音器とを備え、
該除湿消音器が、筒状容器および容器内で両端を封止した水分透過性中空糸膜束を備え、該水分透過性中空糸膜束が、ポリイミド中空糸膜束であり、中空糸膜内側に圧縮空気を、容器内の中空糸膜外側に脱着排気ガスを通過させると共に、該除湿消音器の筒状容器への脱着排気ガス導入路断面の代表寸法に対する筒状容器断面の代表寸法が3〜8倍であり、該筒状容器断面積に対して中空糸膜外側の流路断面積が40〜80%であることを特徴とする、酸素濃縮装置。
【国際調査報告】