(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO2014054166
(43)【国際公開日】20140410
【発行日】20160825
(54)【発明の名称】針先の再露出を防止する医療用安全針
(51)【国際特許分類】
   A61M 5/32 20060101AFI20160729BHJP
   A61M 25/06 20060101ALI20160729BHJP
【FI】
   !A61M5/32 510P
   !A61M25/06 512
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】18
【出願番号】2014539553
(21)【国際出願番号】JP2012075972
(22)【国際出願日】20121005
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KM,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC
(71)【出願人】
【識別番号】596183321
【氏名又は名称】メディキット株式会社
【住所又は居所】東京都文京区湯島1丁目13番2号
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(72)【発明者】
【氏名】中島 弘明
【住所又は居所】東京都文京区湯島一丁目13番2号 東郷メディキット株式会社内
(72)【発明者】
【氏名】安藤 寛和
【住所又は居所】東京都文京区湯島一丁目13番2号 東郷メディキット株式会社内
【テーマコード(参考)】
4C066
4C167
【Fターム(参考)】
4C066AA07
4C066BB01
4C066CC01
4C066FF04
4C066KK08
4C066LL25
4C066NN08
4C167AA01
4C167AA23
4C167BB23
4C167CC08
4C167HH08
(57)【要約】
医療用安全針(1)は、針先(P)を有する針本体(15)と、前記針本
体(15)上を摺動して前記針先(P)を覆うように前記針先(P)に係合
可能な爪部(47)と、前記爪部(47)を支持する可撓性のカンチレバー
(31)と、を有する遮蔽体(9)と、前記遮蔽体(9)上に摺動可能に嵌
合し、前記カンチレバー(31)に接して前記カンチレバー(31)を径方
向内方に押圧するべく構成された襟部(13)と、前記襟部(13)と一体
にされ又は前記襟部(13)が着座可能な端面を有し、前記遮蔽体(9)を
支持し、前記針先(P)を露出させる第1の位置から前記針先(P)を前記
遮蔽体(9)により覆う第2の位置へ前記遮蔽体(9)を運搬するべく構成
された、ハウジング(11)と、を備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
針先を有する針本体と、
前記針本体上を摺動して前記針先を覆うように前記針先に係合可能な爪部と、前記爪部を支持する可撓性のカンチレバーと、を有する遮蔽体と、
前記遮蔽体上に摺動可能に嵌合し、前記カンチレバーに接して前記カンチレバーを径方向内方に押圧するべく構成された襟部と、
前記襟部と一体にされ又は前記襟部が着座可能な端面を有し、前記遮蔽体を支持し、前記針先を露出させる第1の位置から前記針先を前記遮蔽体により覆う第2の位置へ前記遮蔽体を運搬するべく構成された、ハウジングと、
を備えた医療用安全針。
【請求項2】
請求項1の医療用安全針であって、
前記遮蔽体に追従して前記針本体の側面を覆うスリーブをさらに備えた、医療用安全針。
【請求項3】
請求項1の医療用安全針であって、前記カンチレバーは前記襟部に当接する顎部を有し、前記襟部は前記顎部を介して前記カンチレバーを押圧する、医療用安全針。
【請求項4】
請求項1の医療用安全針であって、
基端構造を有して前記針本体に嵌合したカテーテル体をさらに備え、
前記ハウジングは前記基端構造と係合可能なフランジ部を有する、医療用安全針。
【請求項5】
請求項4の医療用安全針であって、
前記針を支持し、前記遮蔽体および前記ハウジングを収容するべく寸法づけられた空洞を有するハンドルをさらに備えた医療用安全針。
【請求項6】
請求項5の医療用安全針であって、前記遮蔽体、前記ハウジングおよび前記ハンドルは、前記遮蔽体が前記第1の位置にあるときに前記遮蔽体を前記端面より前記針先の方向に突出させ、突出した前記遮蔽体と前記フランジ部との間から前記基端構造を脱落させないように寸法づけられている、医療用安全針。
【請求項7】
請求項1の医療用安全針であって、
前記爪部を前記針先に係合させる向きに前記カンチレバーを付勢するべく、前記ハウジングと前記遮蔽体との間に弾発的に介在した弾性体をさらに備えた医療用安全針。
【請求項8】
請求項1の医療用安全針であって、前記針本体は、前記遮蔽体と係合可能な、凸部、凹部および段差よりなる群より選択された何れかの構造を有する、医療用安全針。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療用の針に関し、特に使用の後に針先の再露出を防止する医療用安全針に関する。
【背景技術】
【0002】
患者の体に薬液またはカテーテルを導入する等の目的のために、様々な医療用の針が利用されている。その使用後において、医療用の針には患者の血液ないし体液が付着しており、これは稀にHIVや肝炎等のウイルスに汚染されている。それゆえ医療用の針には感染症を媒介する潜在的な疑いがある。
【0003】
感染を防止するべく、使用後の針の先端を遮蔽する器具が提案されている。特許文献1〜3は、関連する技術を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許公報第5447501号
【特許文献2】米国特許公報第5599310号
【特許文献3】国際公開公報WO92/18182号
【発明の概要】
【0005】
上述の関連技術によっても、使用後の針先を遮蔽するに問題は生じないが、針先を被覆する過程において一時的に針先が露出したり、一旦被覆された針先が再露出したりすることに関して、リスクは十分に管理されていない。本発明は、かかる問題に鑑みて為されたものである。
【0006】
本発明の一局面によれば、医療用安全針は、針先を有する針本体と、前記針本体上を摺動して前記針先を覆うように前記針先に係合可能な爪部と、前記爪部を支持する可撓性のカンチレバーと、を有する遮蔽体と、前記遮蔽体上に摺動可能に嵌合し、前記カンチレバーに接して前記カンチレバーを径方向内方に押圧するべく構成された襟部と、前記襟部と一体にされ又は前記襟部が着座可能な端面を有し、前記遮蔽体を支持し、前記針先を露出させる第1の位置から前記針先を前記遮蔽体により覆う第2の位置へ前記遮蔽体を運搬するべく構成された、ハウジングと、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】図1は、本発明の一実施形態による医療用安全針の分解立面図である。
【図2A】図2Aは、組み立てられた状態を示す医療用安全針の立面図である。
【図2B】図2Bは、遮蔽体を引き出した状態を示す医療用安全針の立面図である。
【図2C】図2Cは、遮蔽体を引き出した後にカテーテル体が分離された状態を示す医療用安全針の立面図である。
【図3】図3は、針本体およびハンドルの断面立面図である。
【図4A】図4Aは、医療用安全針と組み合わせて利用されるカテーテル体の一例を示す立面図である。
【図4B】図4Bは、カテーテル体の他の例を示す立面図である。
【図4C】図4Cは、カテーテル体の更に他の例を示す立面図である。
【図5A】図5Aは、遮蔽体の一例を示す立面図である。
【図5B】図5Bは、同じく平面図である。
【図5C】図5Cは、同じく断面立面図である。
【図5D】図5Dは、同じく側面図であって、針先の方向から見た図である。
【図6A】図6Aは、遮蔽体の別の例を示す断面立面図である。
【図6B】図6Bは、遮蔽体の他の例を示す断面立面図である。
【図6C】図6Cは、遮蔽体のさらに他の例を示す断面立面図である。
【図7】図7は、遮蔽体と組み合わせて利用される係合体の例を示す断面立面図である。
【図8A】図8Aは、係合体と組み合わされた遮蔽体の例を示す断面立面図である。
【図8B】図8Bは、係合体と組み合わされた遮蔽体の他の例を示す断面立面図である。
【図8C】図8Cは、係合体と一体の遮蔽体の例を示す断面立面図である。
【図9A】図9Aは、ハウジングの例を示す立面図である。
【図9B】図9Bは、同じく平面図である。
【図9C】図9Cは、同じく断面立面図である。
【図9D】図9Dは、同じく側面図であって、針先の方向から見た図である。
【図10A】図10Aは、襟部の一例を示す立面図である。
【図10B】図10Bは、ハウジングと一体の襟部の例を示す断面立面図である。
【図11A】図11Aは、医療用安全針の部分断面図であって、カテーテル体の後端構造がハウジングと遮蔽体の先端との間に挟まれて脱落しない状態を示している。
【図11B】図11Bは、他の例による医療用安全針の部分断面図であって、カテーテル体の後端構造がハウジングと遮蔽体の先端との間に挟まれて脱落しない状態を示している。
【図12A】図12Aは、医療用安全針の部分断面図であって、針先が遮蔽体内に引き込まれた状態を示す。
【図12B】図12Bは、医療用安全針の部分断面図であって、さらに遮蔽体が襟部内に引き込まれた状態を示す。
【図12C】図12Cは、医療用安全針の部分断面図であって、カテーテル体がハウジングから分離した状態を示す。
【図13A】図13Aは、医療用安全針の部分断面図であって、遮蔽体が針先に係合することにより、針先の再露出が防止された状態を示す。
【図13B】図13Bは、他の例による医療用安全針の部分断面図であって、遮蔽体が針先に係合することにより、針先の再露出が防止された状態を示す。
【図14A】図14Aは、図11Bに示した例による医療安全針の部分断面図であって、針先を遮蔽体内に引き込む過程を示す。
【図14B】図14Bは、図11Bに示した例による医療安全針の部分断面図であって、針先が遮蔽体内に引き込まれてカテーテル体が分離した状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
添付の図面を参照して以下に本発明の幾つかの例示的な実施形態を説明する。これらの実施形態による安全針は、何れも患者の体に薬品等の液体またはカテーテル等の管を導入する目的で利用できる。もちろん人に限らずあらゆる生物、さらには物に適用することもできる。以下の実施形態はカテーテル導入具に適用する例に関するが、もちろんこれに限られず、例えば採血針、留置針、または注射器等に適用でき、あるいはカテーテルの使用は必須ではない。
【0009】
以下の説明および添付の請求の範囲を通して、軸方向は穿刺の際の針の方向として定義されて使用され、径方向はそれに直交する方向と定義されて使用されている。
【0010】
図1を参照するに、本発明の一実施形態によれば、医療用安全針1は、患者の体を穿刺するための針3と、遮蔽体を含む組立体5と、穿刺後に患者の体に留置するカテーテル体7と、よりなる。組立体5は針3に嵌合し、カテーテル体7はさらにこれらに嵌合し、以って図2Aのごとく組み立てられて、使用に供される。通常、流通の際には針先Pおよびカテーテル体7を被覆するカバーがこれに取り付けられるが、図2Aには示されていない。
【0011】
医療用安全針1は、図2Aに示すごとく針先Pはカテーテル体7から僅かに露出しており、穿刺に使用される。使用の後、図2Bに示すごとく遮蔽体を含む組立体5を引き出し、遮蔽体により針先Pを覆う位置とすると、使用者や患者が意図せずに針先Pに触れることが防止される。遮蔽体が引き出されて針先Pを覆うまでは、カテーテル体7は脱落しない。
【0012】
遮蔽体が引き出されて針先Pを覆うと、図2Cに示すごとくカテーテル体7の分離が可能になる。このとき、遮蔽体が針先Pに係合することによって針先Pの再露出は防止される。
【0013】
医療用安全針1は、以下において、より詳しく説明される。
【0014】
図3を図1と組み合わせて参照するに、針3は、概略、針本体15と、これに固定されたハンドル17と、よりなる。固定は、圧入や接着等の適宜の方法によることができる。
【0015】
針本体15は、医療用の針であって、中空でもよく、あるいは中実でもよい。中空針を適用する場合には、針を通って後方にフラッシュする血液をハンドルの後端に導くことができ、このフラッシュ血液は針先Pが血管内に正しく位置したことのしるしとして利用できる。あるいはフラッシュ血液を側方に導くべく、針本体15の側面に貫通孔が設けられていてもよい。
【0016】
好ましくは針先Pに近接した適宜の位置に、遮蔽体と係合するための構造15Bが設けられる。かかる構造15Bは、バンプ(凸部)あるいは凹部あるいはその両方、または段差のごとき、遮蔽体に対して摺動するときに係合する何らかの構造である。このような構造は、例えば針本体15を局所的に軽度に押し潰すことにより容易に形成できるが、もちろん他の方法で形成してもよい。構造15Bは、詳しくは後述するが、遮蔽体に係合してこれを操作するために利用される。
【0017】
ハンドル17において針先Pの側の前端17Fは開口しており、その内部は組立体5を収容できるように寸法づけられた空洞19が形成されている。この空洞19に側方からのアクセスを許容するべく、ハンドル17の側面にさらに開口が設けられていてもよい。ハンドル17において針先Pと反対側の後端は開口していてもよく、あるいは適宜の部材により閉塞されていてもよい。フラッシュ血液をここに導く場合は、血液を保持するためのチャンバが形成されていてもよい。
【0018】
カテーテル体7には、一般的な留置用カテーテルが適用できる。例えば図4Aを参照するに、カテーテル体7は、柔軟な細いチューブ21と、より大径なテーパ体23と、よりなる。テーパ体23の内部は、輸液が通過しうるようチューブ21に連通した空洞である。かかる空洞内には、輸液ないし血液の逆流を防止する弁が設けられていてもよい。テーパ体23の後端は、例えば、輸液回路、血液回路及びシリンジ等と接続するための構造25を備え、これは通常ねじ山を含む。
【0019】
あるいは図4Bに示すごとく、係合のための追加的な構造25Pを有するカテーテル体7’が利用できる。追加的な構造25Pは、例えば環状の突起だが、もちろんこれに限られない。さらにあるいは、図4Cに示すごとく、カテーテル体7の後端の構造は、ラバーアダプタ27を含んでもよい。
【0020】
図5A乃至8Cを図1と組み合わせて参照するに、組立体5は針先Pを覆うための遮蔽体9(または9A乃至9Eの何れか)を含む。遮蔽体9は、針本体15上に嵌合して摺動するための適宜の構造を有する。
【0021】
例えば図5A乃至5Dに示す例においては、遮蔽体9は略円筒状であって、その内部は針本体15の通過を許容するべく空洞43である。その頭部45から長手方向に切り込み35が走り、従ってその上下部分はそれぞれ可撓的なカンチレバー31となっており、以って頭部45が可撓的に開閉しうる。頭部45は、針本体15の挿入を案内するべく、例えばすり鉢状に凹んでいる。カンチレバー31は、一対に限らず、その数は3以上であってもよく、あるいは後述のごとく唯一つでもよい。遮蔽体9の後端は空洞43に連通して後方に開放されており、以って針本体15が遮蔽体9をその後端から頭部45へ貫通しうる。
【0022】
遮蔽体9の側面であってカンチレバー31上には、後述する襟部13に当接するための顎部37が設けられている。顎部37の形状は、特にこれに限るものではないが、環状であって径方向外方に突出し、図示のごとく斜面を有する突起である。かかる形状は、襟部13内に引き込まれるときにその斜面によって抵抗を減ずるに有利である。このことは、さらに、後述の弾性体81による補助が無くても円滑に遮蔽体9を襟部13内に引き込むに有利である。また遮蔽体9の側面であって後端に近い部位は、後述する係合体53を係止するべく段差39を有する。
【0023】
遮蔽体9の後端も、好ましくは切り込み41により可撓性を有する。切り込み35と切り込み41とは、周方向に例えば90°ずれている。
【0024】
各カンチレバー31は、例えばその先端に、径方向内方に鉤状に突出した爪部47を支持する。爪部47は、図11Aに示すごとく針本体15上を摺動可能に当接し、また針先Pが引き込まれたときにはこれを覆い、且つ図13A,13Bに示すごとく針先Pに係合しうる。あるいは爪部47は、初期状態において針本体15に当接していなくてもよい。
【0025】
また図6Aに示す別の例によれば、遮蔽体9Aは、その内部に延出可能に収納されたスリーブ49を備えており、以ってその全体がテレスコープ状に伸縮可能である。スリーブ49は、針本体15の構造15Bと係合するべく、その後端に内方への突起を有する。かかる伸縮構造は、遮蔽体9Aの小型化に有利である。またスリーブ49が遮蔽体9Aの内部に収納された状態において、その前端は、カンチレバーの先端の内周に嵌合するべく延長されていてもよい。針本体15とカンチレバーが直接に接しないので、針本体15の径に関わらずごく小さな摺動抵抗で針本体15が摺動する。
【0026】
また図6Bに示す他の例によれば、遮蔽体9Bは、切り込み35がなく、唯一のカンチレバー31Dを有する。爪部47が針先Pを覆ってこれに係合するに十分である限り、このような構造も利用しうる。
【0027】
またこれらの何れかの態様において、遮蔽体の先端近傍には、カテーテル体7の後端構造に応じて適宜の形状を採用することができる。例えば図6Cに示す例においては、遮蔽体9Cの先端近傍は径方向外方向に突出したフランジ状部分51を備え、詳しくは後述するが、図11Bに示すごとくラバーアダプタを含むカテーテル体7の脱落を防止するに有利である。
【0028】
いずれの態様においても、遮蔽体の素材としては、ポリオキシメチレン(POM)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリアミド(PA)、ポリカーボネート(PC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリ塩化ビニル(PVC)、低密度ポリエチレン(LDPE)等が適用できる。これらは、遮蔽体に十分な強度と弾性を付与しうる点で有利である。
【0029】
図7を参照するに、何れかの態様による遮蔽体は、好ましくは係合体53を備える。係合体53は、略円筒状であって、その先端は後述する弾性体81が着座する面55を有し、その後端は、針本体15の貫通を許容しつつその構造15Bに係合するべく適宜に絞られている。係合体53は、図8Aに示すごとく先端側の内面57により遮蔽体の段差39と係合し、また例えば図12Aに示すごとく後端側の内面59により針本体15の構造15Bと係合する。
【0030】
あるいは、針本体15の構造15Bとの係合は、図8Bに示すごとく遮蔽体9D自身の後端面43Fによってもよい。この場合、係合体53’の後端は遮蔽体9Dの後端を覆わなくてもよい。あるいは、図8Cに示すごとく遮蔽体9E自身がストッパの役割を担ってもよい。この場合、遮蔽体9Eの段差55’は径方向外方に比較的大きく張り出し、ここに弾性体81が着座する。
【0031】
さらにあるいは、構造15Bとの係合のためにワッシャあるいは他の介在物が利用されていてもよい。ワッシャ等は、遮蔽体とストッパとの間に挟まれてもよく、あるいは遮蔽体またはストッパの内面に嵌合していてもよい。
【0032】
さらに上述の何れの遮蔽体も、その内部あるいは前後端の何れかに、脱脂綿や吸水性高分子等よりなる吸水帯を備えてもよい。
【0033】
図9A乃至図10Bを図1と組み合わせて参照するに、組立体5は遮蔽体9(または9A乃至9Eの何れか)を収容するハウジング11を含む。ハウジング11は、概してハンドル17に収納されるに適した形状を有し、従って使用者は直接にはこれに触れ難い。あるいは、フランジ63を前方に相当程度延出せしめる等により、使用者が指でつまんで動かしうるようにしてもよい。ハウジング11は後述のごとくカテーテル体7に係合して共に動き、動かされるに伴って遮蔽体9(または9A乃至9Eの何れか)を針先Pの方向に運搬してこれに針先Pを覆わせる。
【0034】
例えば図9A乃至9Dに示す例においては、ハウジング11は略円筒状であって、その外殻61はハンドル17の空洞19に嵌入して着座するに適した形状を有する。外殻61から前方であって径方向外方に延長されたフランジ63は、カテーテル体7の後端の構造25(または25P)と係合するべく鉤状に折り曲げられている。フランジ63に可撓性を付与するべく、外殻61は切り込み65,67を有していてもよい。フランジ63の可撓性は、カテーテル体7が係合および離脱するのを容易にする。またフランジ63と後端の構造25(または25P)との何れかまたは両方は、係合を補助する何らかの構造を備えていてもよい。
【0035】
またハウジング11は、その内部において径方向内方に突出しており、その前方に端面69を、その内方に開口71を、それぞれ形成する。襟部13は端面69に着座し、遮蔽体9(または9A乃至9Eの何れか)は開口71に嵌入する。
【0036】
図10Aを参照するに、襟部13はリング状であるが、その一部が切り欠かれたC字形状であってもよい。襟部13の素材としては、例えば金属が適用でき、金属としてはISO/TS15510L−No.6(JIS SUS304)、ISO/TS15510L−No.67(JIS SUS430)等のステンレス鋼や一般冷間圧延鋼(JIS SPCC)が例示できるが、これに限られない。金属のごとき高比弾性率の素材は、遮蔽体9の頭部45が閉じたときに高いクリック音を響かせるので、操作が確実に行われたことを使用者に知らせるに有利である。
【0037】
また図10Bに示すごとく、襟部13’’がハウジング11’と一体であってもよい。この場合、襟部13’’に可撓性を付与するべく切り込み73が形成されていてもよい。また襟部13または13’’の内周は、遮蔽体9(または9A乃至9Eの何れか)と係合する段差75を有してもよく、これは図13Bに示すごとく遮蔽体9(または9A乃至9Eの何れか)が前方に突出するのを防止するのに有効である。
【0038】
図11A,11Bを図1と組み合わせて参照するに、組立体5はさらにハウジング11(または11’)と遮蔽体9(または9A乃至9Eの何れか)との間に弾発的に介在した弾性体81と、針本体15を囲んで伸縮可能なスリーブ83とを含んでもよい。弾性体81には、例えばコイルバネが利用できる。
【0039】
弾性体81が介在することにより、遮蔽体9(または9A乃至9Eの何れか)は後方に付勢され、カンチレバー31上の顎部37が襟部13に当接することにより、図13Aに示すごとく径方向内方にカンチレバー31を付勢する。このことは遮蔽体9を襟部13内に円滑に引き込むことを補助し、また針先Pが遮蔽体9内に引き込まれた後、針先Pの再露出を防止するにこれは有利である。あるいは付勢は、弾性体81による弾発力によらず、カンチレバー31自体の弾発力によってもよく、あるいはカンチレバー31に巻かれたゴムや金属のごとき弾性素材よりなるOリングまたはCリングまたはコイルバネによってもよい。さらにこの場合、襟部13は弾性体81と一体であってもよい。
【0040】
スリーブ83は、伸縮のために、例えば蛇腹、あるいはテレスコープ的な入れ子形状が可能だが、これに限られない。スリーブ83の先端は、ハウジング11(または11’)の外周または後端、あるいは可能ならば遮蔽体9(または9A乃至9Eの何れか)または係合体53の後端に固定され、後端はハンドル17の何れかまたは針本体15の何れかに固定される。固定は接着剤によってもよいし、他の何らかの手段によってもよい。スリーブ83は、遮蔽体9(または9A乃至9Eの何れか)が引き出される時にこれに追従して伸長し、以って図2Cに示すごとく針本体15の側面を覆う。
【0041】
図11Aを参照するに、上述の各部材は次のように組み合わされる。すなわち、針本体15は遮蔽体9(または9A乃至9Eの何れか)を貫通しており、遮蔽体9(または9A乃至9Eの何れか)は、その頭部45を端面69より針先Pの方向に突出させた状態でハウジング11(または11’)に収容される。襟部13(または13’)はカンチレバー31に摺動可能に嵌合し、顎部37に当接するときには爪部47を径方向内方に付勢する。弾性体81が利用されるときには、これはハウジング11(または11’)と遮蔽体9(または9A乃至9Eの何れか)との間に弾発的に介在する。遮蔽体9(または9A乃至9Eの何れか)およびハウジング11(または11’)は、ハンドル17の空洞19に収容される。スリーブ83はその後方に縮められた状態で空洞19に収納される。ハウジング11(または11’)から延長されたフランジ63は、ハンドル17のフランジ17Fより前方に露出されて、カテーテル体7の後端構造25と係合する。
【0042】
組み立てられた状態において、遮蔽体9(または9A乃至9Eの何れか)の頭部45は端面69より十分に前方に突出しており、カテーテル体7の後端構造25は頭部45とフランジ63との間に挟まれ、脱落することが防止される。
【0043】
カテーテル体7の後端にラバーアダプタ27が設けられる場合には、図11Bに示すごとく、ハンドル17はこれに対応するように延長されたフランジ17Fを有してもよく、カテーテル体7の後端構造25が頭部45とフランジ17Fとの間に挟まれるようにしてもよい。脱落を防止するべく、フランジ状部分51を有した遮蔽体9Cが好適に適用される。このような態様によっても、カテーテル体7の脱落が防止される。
【0044】
再び図1を参照するに、医療用安全針1の組み立ては、例えば次のようにして行うことができる。
【0045】
例えば襟部13をハウジング11に着座させ、襟部13の側から遮蔽体9を挿入する。襟部13に対して反対側からコイルバネ81をハウジング11に挿入し、コイルバネ81を圧縮しながら係合体53を遮蔽体9に結合する。必要ならばスリーブ83の前後端をそれぞれハウジング11およびハンドル17に接着する。これにより組立体5が完成する。遮蔽体9の頭部45から針本体15を挿入し、その後端をハンドル17に固定する。これにより針3が完成する。カテーテル体7を針3に嵌合し、その後端構造25を遮蔽体9とフランジ63との間に押入れる。カテーテル体7と共に組立体5をハンドル17の空洞19内に収めることにより、医療用安全針1が完成する。各部材にそれぞれの変形例のものを採用する場合でも、組み立ては概略同一である。
【0046】
上述の医療用安全針1によれば、使用後に針先Pを覆う動作および医療用安全針1の動作は、以下のようである。
【0047】
医療用安全針1は、図2Aに示す状態で使用に供される。図11A,11Bに示されるごとく、針本体15は遮蔽体9から前方に引き出されており、針先Pはカテーテル体7の先端から露出している。この状態においてカテーテル体7と共に針先Pを患者に穿刺し、カテーテル体7の先端が患者の血管中に正しく位置したならば、図2Bに示すごとくカテーテル体7を残したままハンドル17を後退させる。すると、組立体5がハンドル17から引き出される。このときもカテーテル体7の後端構造25はフランジ63に係合し、且つ遮蔽体9とフランジ63との間に挟まれている。あるいは図14Aのごとくフランジ状部分51が径方向外方向に突出した状態を保持している。それゆえ、カテーテル体7は脱落しない。
【0048】
さらにハンドル17を後退させ、図12Aに示すごとく、針先Pが遮蔽体9の内部に引き込まれ、遮蔽体9の頭部45は閉じ、遮蔽体9は襟部13の内部に没入することができるようになる。次いで針本体15の構造15Bが係合体53に係合すると、遮蔽体9が針本体15から脱落することが防止され、また図12B,図14Bに示すごとく遮蔽体9は襟部13の内部に引き込まれ、これに押圧されて頭部45,フランジ状部分51が再び開くことが妨げられる。遮蔽体9による干渉がなくなるので、図12C,図14B及び図2Cに示すごとくカテーテル7の分離が可能になる。
【0049】
これにより、図2Cに示すごとく針先Pは遮蔽体9により覆われるので、使用者や患者が意図せずに針先Pに触れることが防止される。もし針先Pを再び露出しようとしても、図13Aに示すごとく爪部47が針先Pに係合して、針先Pの再露出は防止される。このとき、襟部13が遮蔽体9に追従し、爪部47を針先Pに係合させ続けるようカンチレバー31を押圧し、以って針先Pの再露出は確実に防止される。ハウジング11が段差75を有する場合には、遮蔽体9と係合して前方への動きが阻止されるので、やはり針先Pの再露出は確実に防止される。
【0050】
上述の過程において、針先Pの遮蔽が確実になるまでは、カテーテル体7の分離が防止されている。従って、穿刺の際を除き、カテーテル体7および遮蔽体9の何れかが常に針先Pを覆っており、一時的にも針先Pが露出することはない。使用者は、針先Pの処置に特段の注意を払う必要なく、他の処置、例えばカテーテル体7を輸液システムに接続する処置に十分な注意を向けることができる。
【0051】
好適な実施形態により本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。上記開示内容に基づき、当該技術分野の通常の技術を有する者が、実施形態の修正ないし変形により本発明を実施することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0052】
遮蔽された針先の再露出を防止できる医療用安全針が提供される。
【図1】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図5D】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図9A】
【図9B】
【図9C】
【図9D】
【図10A】
【図10B】
【図11A】
【図11B】
【図12A】
【図12B】
【図12C】
【図13A】
【図13B】
【図14A】
【図14B】
【国際調査報告】