(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO2014054167
(43)【国際公開日】20140410
【発行日】20160825
(54)【発明の名称】ハニカム成形体の乾燥方法、及び、ハニカム構造体の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B28B 11/24 20060101AFI20160729BHJP
   B28B 11/14 20060101ALI20160729BHJP
   B28B 3/20 20060101ALI20160729BHJP
【FI】
   !B28B11/24
   !B28B11/14
   !B28B3/20 F
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】31
【出願番号】2014539554
(21)【国際出願番号】JP2012075976
(22)【国際出願日】20121005
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KM,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC
(71)【出願人】
【識別番号】000000158
【氏名又は名称】イビデン株式会社
【住所又は居所】岐阜県大垣市神田町2丁目1番地
(74)【代理人】
【識別番号】110000914
【氏名又は名称】特許業務法人 安富国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】牧野 隼人
【住所又は居所】日本国岐阜県揖斐郡揖斐川町北方1−1 イビデン株式会社大垣北事業場内
(72)【発明者】
【氏名】石川 茂治
【住所又は居所】日本国岐阜県揖斐郡揖斐川町北方1−1 イビデン株式会社大垣北事業場内
【テーマコード(参考)】
4G054
4G055
【Fターム(参考)】
4G054AA05
4G054AB09
4G054BD00
4G055AA08
4G055AB03
4G055AC10
4G055BA12
4G055BB01
4G055BB15
(57)【要約】
本発明のハニカム成形体の乾燥方法は、押出成形機からセラミック原料を連続的に押出成形することにより、流体の流路となる複数のセルを区画形成するセル隔壁を備える未切断のハニカム成形体を作製する成形工程と、上記未切断のハニカム成形体を乾燥させることにより、未切断のハニカム乾燥体を作製する乾燥工程と、上記未切断のハニカム乾燥体を所定の長さに切断する切断工程とを含み、上記成形工程、上記乾燥工程及び上記切断工程をこの順序で連続的に行うことを特徴とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
押出成形機からセラミック原料を連続的に押出成形することにより、流体の流路となる複数のセルを区画形成するセル隔壁を備える未切断のハニカム成形体を作製する成形工程と、
前記未切断のハニカム成形体を乾燥させることにより、未切断のハニカム乾燥体を作製する乾燥工程と、
前記未切断のハニカム乾燥体を所定の長さに切断する切断工程とを含み、
前記成形工程、前記乾燥工程及び前記切断工程をこの順序で連続的に行うことを特徴とするハニカム成形体の乾燥方法。
【請求項2】
高周波誘電乾燥により、前記未切断のハニカム成形体を乾燥させる請求項1に記載のハニカム成形体の乾燥方法。
【請求項3】
前記乾燥工程において、ハニカム成形体及び/又はハニカム乾燥体を前記押出成形機側が下方になるように角度をつけて乾燥させる請求項1又は2に記載のハニカム成形体の乾燥方法。
【請求項4】
前記角度は5〜30°である請求項3に記載のハニカム成形体の乾燥方法。
【請求項5】
前記押出成形機の金型の先端から前記未切断のハニカム成形体の乾燥を開始するまでの距離は、0〜300mmである請求項1〜4のいずれかに記載のハニカム成形体の乾燥方法。
【請求項6】
前記ハニカム乾燥体の水分率は、0〜6質量%である請求項1〜5のいずれかに記載のハニカム成形体の乾燥方法。
【請求項7】
前記ハニカム乾燥体の開口率は、60〜90%である請求項1〜6のいずれかに記載のハニカム成形体の乾燥方法。
【請求項8】
流体の流路となる複数のセルを区画形成するセル隔壁を備えるハニカム焼成体からなるハニカム構造体の製造方法であって、
請求項1〜7のいずれかに記載のハニカム成形体の乾燥方法により得られた所定の長さを有するハニカム乾燥体を焼成することにより、ハニカム焼成体を作製する焼成工程を含むことを特徴とするハニカム構造体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハニカム成形体の乾燥方法、及び、ハニカム構造体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
バス、トラック、乗用車等の車両及び建設機械等の内燃機関から排出される排ガス中に含有されるスス等のパティキュレート(以下、PMともいう)が周囲の環境又は人体に害を及ぼすことが最近問題となっている。
そこで、排ガス中のPMを捕集し、排ガスを浄化するフィルタとして、多孔質セラミックからなるハニカム構造体が種々提案されている。
【0003】
以下、ハニカム構造体の製造方法の一例について説明する。
まず、セラミック粉末とバインダと分散媒液等とを混合して湿潤混合物(セラミック原料)を調製する。そして、この湿潤混合物を連続的に押出成形し、押出成形された未切断の成形体をワイヤー等を用いて所定の長さに切断することにより、角柱形状のハニカム成形体を作製する。
【0004】
次に、得られたハニカム成形体を乾燥させる。その後、所定のセルに目封じを施し、セルのいずれかの端部が封止された状態とした後、脱脂処理及び焼成処理を施し、ハニカム焼成体を作製する。
【0005】
この後、ハニカム焼成体の側面にシール材ペーストを塗布し、ハニカム焼成体同士を接着させることにより、シール材層(接着材層)を介してハニカム焼成体が複数個結束した状態のハニカム焼成体の集合体を作製する。次に、得られたハニカム焼成体の集合体に対して、円柱状等の所定の形状に切削加工を施してセラミックブロックを形成する。最後に、セラミックブロックの外周にシール材ペーストを塗布してシール材層(外周コート層)を形成することにより、ハニカム構造体を製造することができる。
【0006】
特許文献1には、セラミック原料を成形してハニカム成形体を作製し、ハニカム成形体に乾燥処理を施した後、切断ディスク(ブレード)を用いてハニカム成形体の両端を切断する技術が開示されている。
【0007】
さらに、特許文献2には、成形工程及び乾燥工程における曲がり(座屈)又は断面形状の変形(セル歪み)を抑制するために、成形工程において、水平面に対する傾斜角度が15〜35°となるように受ける受け治具を用いて成形体を受け、乾燥工程において、成形体を上記受け治具で受けた状態で乾燥する技術が開示されている。
【0008】
また、特許文献3には、ハニカム成形体の開口上端面の上方及び開口下端面の下方に設けた、相対する電極板の間に電流を流し、上記ハニカム成形体に対するパワー密度を5〜20[kW/kg(水)]の範囲に維持して誘電乾燥を行う技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2007−320312号公報
【特許文献2】特開2003−285307号公報
【特許文献3】特開2011−195344号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ワイヤー等を用いて成形体を切断する場合、切断後のハニカム成形体の端面の上端が下方に向けて曲がってしまう変形が生じる場合がある。また、ハニカム成形体は、乾燥により収縮する場合がある。
そのため、特許文献1に記載されているように、乾燥後のハニカム成形体の端面を切断することにより、変形が生じた部分を除去することができ、また、乾燥後のハニカム成形体の長さを調整することもできる。
【0011】
しかしながら、特許文献1に記載の従来の方法では、ハニカム構造体を製造するための全体の工程が長い、及び、材料の損失が大きい等の問題があった。
【0012】
また、特許文献1に記載の従来の方法を用いて、開口率が75%以上のハニカム成形体を作製する場合、押し出された未切断の成形体は、自重により座屈してしまい、ハニカム形状を維持することができなくなるという問題が発生することが判明した。なお、この問題は、特許文献2に記載の受け治具を用いた場合でも同様に発生することが判明した。
さらに、成形体の切断時における振動、又は、成形体を乾燥させるまでの搬送時における振動等により、ハニカム形状が崩れてしまうという問題が発生することも判明した。
【0013】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、ハニカム構造体を製造するための全体の工程を簡略化することができ、材料の損失を低減することができるハニカム成形体の乾燥方法、及び、ハニカム構造体の製造方法を提供することを目的とする。
また、本発明の好ましい態様として、ハニカム成形体の変形を抑制することができるハニカム成形体の乾燥方法、及び、ハニカム構造体の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明のハニカム成形体の乾燥方法は、
押出成形機からセラミック原料を連続的に押出成形することにより、流体の流路となる複数のセルを区画形成するセル隔壁を備える未切断のハニカム成形体を作製する成形工程と、
上記未切断のハニカム成形体を乾燥させることにより、未切断のハニカム乾燥体を作製する乾燥工程と、
上記未切断のハニカム乾燥体を所定の長さに切断する切断工程とを含み、
上記成形工程、上記乾燥工程及び上記切断工程をこの順序で連続的に行うことを特徴とする。
【0015】
本発明のハニカム成形体の乾燥方法では、未切断のハニカム成形体を乾燥させることにより、未切断のハニカム乾燥体を作製することを特徴としている。つまり、特許文献1に記載の従来の方法と異なり、ハニカム成形体を切断する前に乾燥させている。従って、1回の切断処理により、所定の長さを有するハニカム乾燥体を作製することができる。そのため、ハニカム構造体を製造するための全体の工程を簡略化することができる。
【0016】
また、本発明のハニカム成形体の乾燥方法を用いた場合、特許文献1に記載の従来の方法と異なり、端面が変形した部分の除去を行わなくてもよいため、材料の損失を低減することができる。
長手方向に所定の長さを有するハニカム焼成体を作製するためには、ハニカム成形体、ハニカム乾燥体、ハニカム焼成体のいずれかに対して切断処理を行うことが考えられるが、ハニカム乾燥体に対して切断処理を行うことが最適である。
ハニカム成形体に対して切断処理を行っても、その後に変形が生じるため、特許文献1に記載されているように乾燥工程後に再度切断処理を行う必要が生じる。
ハニカム焼成体に対して切断処理を行うことを考えると、連続的に押出成形されたハニカム成形体、ハニカム乾燥体を切断せずに、そのまま焼成炉に導入することは困難である。また、セルが封止されたハニカム焼成体を作製する場合は、ハニカム焼成体を切断した後に両端面に対して封止工程を行い、封止部の再焼成を行う必要がある。また、ハニカム焼成体はセラミックが焼結された固い材料であるため、切断に要するエネルギーが大きく、切削具の磨耗も大きくなる。
ハニカム乾燥体に対して切断処理を行う場合は、1回の切断で所定の長さのハニカム乾燥体を得ることができ、切断されたハニカム乾燥体の両端面に対して封止工程を行うことができる。
【0017】
さらに、開口率が75%以上のハニカム成形体を作製する場合、本発明のハニカム成形体の乾燥方法では、自重によるハニカム形状の変形、又は、成形体の切断時若しくは搬送時における振動等に起因するハニカム形状の変形が起こる前に、ハニカム成形体を乾燥させることができる。従って、ハニカム乾燥体の変形を抑制することができ、ハニカム乾燥体の強度を維持することができる。
【0018】
本発明のハニカム成形体の乾燥方法では、高周波誘電乾燥により、上記未切断のハニカム成形体を乾燥させることが望ましい。
【0019】
高周波誘電乾燥は、ハニカム成形体の上方及び下方もしくは右方及び左方に設けられた、相対する電極板の間に電流を流し、高周波エネルギーによってハニカム成形体内の水分子を運動させ、摩擦熱を発生させることによって行われる。
高周波誘電乾燥では、マイクロ波乾燥と同様、物体自体が発熱体となり加熱することができる。一方、高周波は、マイクロ波よりも大きい電力半減深度(照射された電磁波の電力密度が半減する距離)を有している。そのため、ハニカム成形体を内部まで均一に乾燥させることができる。また、高周波誘電乾燥にすることで、局所加熱が可能なため設備を短くすることができ、簡易的な電磁波シールドを設けるのみでよいため、より設備を簡略化することができる。
【0020】
本発明のハニカム成形体の乾燥方法では、上記乾燥工程において、ハニカム成形体及び/又はハニカム乾燥体を上記押出成形機側が下方になるように角度をつけて乾燥させることが望ましい。
ハニカム乾燥体のセル内に存在する乾燥工程で発生した水蒸気をハニカム乾燥体の長手方向の切断工程側の先端から容易に排出することができ、水蒸気がセル内で再び液化することを防ぐことができるためである。
【0021】
本発明のハニカム成形体の乾燥方法では、上記角度を5〜30°とすることが望ましい。
上記角度が5°未満では、乾燥工程と切断工程の距離が長い場合には、水蒸気が充分に排出されないことがある。また、上記角度が30°を超えると、ハニカム成形体のコンベアによる搬送速度が遅くなり、成形工程での押出成形の速度との不一致により、ハニカム乾燥体に歪みが生じやすくなる。
【0022】
本発明のハニカム成形体の乾燥方法では、上記押出成形機の金型の先端から上記未切断のハニカム成形体の乾燥を開始するまでの距離は、0〜300mmであることが望ましい。
上記の距離が300mmを超えると、未切断のハニカム成形体が変形しやすくなる。特に開口率が75%以上のハニカム成形体を作製する場合にその傾向が顕著である。
【0023】
本発明のハニカム成形体の乾燥方法では、上記ハニカム乾燥体の水分率は、0〜6質量%であることが望ましい。
ハニカム乾燥体の水分率が6質量%を超えると、ハニカム乾燥体が形状を保つことが困難となる。特に開口率が75%以上のハニカム成形体を作製する場合にその傾向が顕著である。
【0024】
本発明のハニカム成形体の乾燥方法では、上記ハニカム乾燥体の開口率は、60〜90%であることが望ましい。
このように、本発明のハニカム成形体の乾燥方法では、高い開口率を有するハニカム乾燥体に対しても、ハニカム乾燥体の変形を抑制することができる。
【0025】
本発明のハニカム構造体の製造方法は、
流体の流路となる複数のセルを区画形成するセル隔壁を備えるハニカム焼成体からなるハニカム構造体の製造方法であって、
本発明のハニカム成形体の乾燥方法により得られた所定の長さを有するハニカム乾燥体を焼成することにより、ハニカム焼成体を作製する焼成工程を含むことを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】図1は、本発明の実施形態に係るハニカム成形体の乾燥方法を実施する方法の一例を模式的に示す側面図である。
【図2】図2は、ハニカム乾燥体の形状の一例を模式的に示す斜視図である。
【図3】図3は、本発明の実施形態で用いることができるウォータージェット切断機の噴射ノズル部分の一例を模式的に示す断面図である。
【図4】図4(a)、図4(b)及び図4(c)は、本発明の実施形態における切断工程の一例を模式的に示す側面図である。
【図5】図5は、本発明の実施形態における切断工程の一例を模式的に示す平面図である。
【図6】図6は、ウォータージェット切断機の噴射ノズルの動作を示す概念図である。
【図7】図7(a)は、本発明の実施形態に係るハニカム構造体の製造方法において製造するハニカム焼成体の一例を模式的に示す斜視図であり、図7(b)は、図7(a)に示すハニカム焼成体のA−A線断面図である。
【図8】図8は、本発明の実施形態に係るハニカム構造体の製造方法において製造するハニカム構造体の一例を模式的に示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施形態について具体的に説明する。しかしながら、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において適宜変更して適用することができる。
【0028】
本発明の実施形態に係るハニカム成形体の乾燥方法は、
押出成形機からセラミック原料を連続的に押出成形することにより、流体の流路となる複数のセルを区画形成するセル隔壁を備える未切断のハニカム成形体を作製する成形工程と、
上記未切断のハニカム成形体を乾燥させることにより、未切断のハニカム乾燥体を作製する乾燥工程と、
上記未切断のハニカム乾燥体を所定の長さに切断する切断工程とを含み、
上記成形工程、上記乾燥工程及び上記切断工程をこの順序で連続的に行うことを特徴とする。
【0029】
図1は、本発明の実施形態に係るハニカム成形体の乾燥方法を実施する方法の一例を模式的に示す側面図である。
本実施形態では、例えば、押出成形機、高周波誘電乾燥装置、切断部材としてのウォータージェット切断機、コンベアが組み合わされた成形乾燥切断装置を用いることができる。
図1に示す成形乾燥切断装置1は、押出成形機50、高周波誘電乾燥装置40、ウォータージェット切断機30、第1のコンベア60A、及び、第2のコンベア60Bを備えている。また、成形乾燥切断装置1は、押出成形機から押出成形されるハニカム成形体の速度を計測するための速度センサー70を備えている。速度センサー70は、押出成形直後の速度を計測することが望ましい。
【0030】
(成形工程)
まず、押出成形機からセラミック原料を連続的に押出成形することにより、未切断のハニカム成形体を作製する成形工程を行う。
【0031】
図1に示す押出成形機50はその先端に金型を備えており、金型の形状に応じて、所定の形状のハニカム成形体10が連続的に押出成形される。
押出成形されたハニカム成形体10は、第1のコンベア60Aの上に載せられて、第1のコンベア60Aの移動方向に沿って押出された方向に向けて移動する。
なお、第1のコンベアの移動速度(ハニカム成形体の移動速度)は、押出成形の速度と同一である。
【0032】
ハニカム成形体は、セラミック粉末、有機バインダ、成形助剤、水等を含む湿潤混合物(セラミック原料)が押出成形されてなり、水分率が10〜25重量%と高くなっている。
【0033】
本実施形態で成形されるハニカム成形体は、流体の流路となる複数のセルを区画形成するセル隔壁を備えるハニカム成形体である。ハニカム成形体の形状は、後に詳しく説明するハニカム乾燥体の形状と同様である。
【0034】
本実施形態において、押出成形の速度は、特に限定されるものではないが、1〜10m/minであることが望ましく、2〜7m/minであることがより望ましい。
【0035】
(乾燥工程)
次に、成形工程で得られたハニカム成形体を乾燥させることにより、ハニカム乾燥体を作製する乾燥工程を行う。
成形工程と乾燥工程の間に切断工程は行われないので、乾燥工程で得られるハニカム乾燥体は未切断のハニカム乾燥体である。
【0036】
図1において、押出成形機50からハニカム成形体10が移動する方向には、高周波誘電乾燥装置40が設けられている。高周波誘電乾燥装置40は、加熱対象物であるハニカム成形体10を挟むように設けられた上側電極41、下側電極42を備えている。
高周波誘電乾燥では、ハニカム成形体を電極で挟んで高周波電圧を印加することにより、ハニカム成形体に含まれる水分子を運動させ、摩擦熱を発生させる。その結果、ハニカム成形体が乾燥されてハニカム乾燥体となる。
【0037】
図1に示す高周波誘電乾燥装置40では、ハニカム成形体10の上下に電極がそれぞれ設けられているが、電極の位置はハニカム成形体の上下に限定されるものではなく、ハニカム成形体を挟むように電極が設けられていればよい。例えば、ハニカム成形体を側面側(左右側)から挟むように2つ(一対)の電極が設けられていてもよい。
【0038】
図1に示すように、押出成形されたハニカム成形体10は、第1のコンベア60Aによって、順次連続的に高周波誘電乾燥装置40内を移動する。
なお、高周波誘電乾燥装置40は、ハニカム成形体10から蒸散した水蒸気を乾燥空間の外へ排出する排気手段(図示せず)を備えていることが望ましい。乾燥空間内の湿度雰囲気を一定に保つことができるためである。また、水蒸気を排出する排気手段は、ハニカム乾燥体のセル内に存在する水蒸気を排出するために切断機30の後に設置されていてもよい。
【0039】
高周波誘電乾燥の周波数としては、13.56MHz、27.12MHz又は40.68MHzが使用できるが、13.56MHzが特に望ましい。周波数が13.56MHzであると、波長が長く、ハニカム成形体を均一に乾燥できるためである。
【0040】
高周波誘電乾燥の出力は、特に限定されるものではないが、0.5〜60kWであることが望ましく、3〜50kWであることがより望ましく、6〜45kWであることが特に望ましい。
高周波誘電乾燥の出力が0.5kW未満であると、ハニカム成形体の乾燥が不充分となり、ハニカム乾燥体の変形が生じやすくなり、成形速度を著しく低くする必要がある。または、乾燥設備を長くする必要があり、全工程短縮の効果を小さくしてしまう。一方、高周波誘電乾燥の出力が60kWを超えると、ハニカム成形体の水分が急速に蒸発しやすくなる。ハニカム成形体の水分が失われると、有機分が振動し、その結果、温度が高くなりすぎてしまう。そのため、ハニカム成形体が燃えてしまうことがある。
【0041】
高周波誘電乾燥を行う場合、ハニカム成形体の長手方向に沿った電極の長さは、乾燥後のハニカム乾燥体の水分量を低減させる程度、コンベアの移動速度、印加電圧等を考慮して定めることができるが、例えば、0.4〜7.0mであることが望ましく、1.0〜5.0mであることがより望ましい。電極の長さが0.4mより短いと、ハニカム成形体を充分に乾燥するためには、高周波の出力を高くしても、成形速度が遅くなりすぎる。一方、電極の長さが7.0mを超えると、全工程短縮の効果を小さくしてしまう。
【0042】
高周波誘電乾燥装置の電極の枚数は、ハニカム成形体の上下又は左右に1枚ずつでなくてもよく、ハニカム成形体の上下又は左右1枚ずつの電極を1組として、2組以上の電極が設けられていてもよい。
2組以上の電極が設けられている場合、電極の組み合わせごとに印加電圧を変化させることによって、より詳細な乾燥条件を設定することができる。
【0043】
乾燥工程においても、コンベアの移動速度(第1のコンベアの移動速度)は、押出成形の速度と同一である。
【0044】
電極の形状は板状であることが望ましく、その大きさは限定されるものではないが、例えば、長さ0.4〜7m×幅30〜100mmの長方形状であることが望ましい。
電極の幅は、ハニカム成形体の幅の1〜3倍であることが望ましい。電極の幅がハニカム成形体の幅の1倍未満、及び、3倍を超える場合には、ハニカム乾燥体の乾燥状態が不均一になりやすい。
【0045】
また、電極とハニカム成形体との距離は1〜30mmであることが望ましく、特に、上部電極とハニカム成形体との距離は1〜15mmであることが望ましい。電極とハニカム成形体との距離が1mm未満であると、ハニカム成形体及び電極が接触することにより短絡させてしまう。一方、上記距離が30mmを超えると、出力を高くする必要がある。
【0046】
本実施形態においては、高周波誘電乾燥により乾燥工程を行うことが望ましいが、未切断のハニカム成形体を乾燥させる方法はこれに限定されるものではない。未切断のハニカム成形体を乾燥させる方法としては、高周波誘電乾燥の他、例えば、マイクロ波乾燥、熱風乾燥、又は、凍結乾燥等が挙げられる。これらの乾燥方法は、単独で行ってもよいし、複数種類を組み合わせて行ってもよい。
【0047】
乾燥工程においては、ハニカム乾燥体の水分率が0〜6質量%となるまで乾燥を行うことが望ましく、0〜1質量%となるまで乾燥を行うことがより望ましい。
ここで、「ハニカム乾燥体の水分率」は、乾燥工程直後のハニカム乾燥体の質量と絶乾状態のハニカム乾燥体の質量との差から、乾燥工程直後のハニカム乾燥体の含水量を算出し、この含水量を乾燥工程直後のハニカム乾燥体全体の質量で除することにより算出することができる。また、ハニカム乾燥体の水分率は、加熱乾燥式水分計(エー・アンド・ディ製MX−50)により測定することができる。
ハニカム乾燥体の水分率が6質量%を超えると、ハニカム乾燥体が形状を保つことが困難となる。特に開口率が75%以上のハニカム成形体を作製する場合にその傾向が顕著である。ハニカム乾燥体の水分率を1質量%以下にすると、切断工程の後で再度、乾燥させる必要がないため、全工程をより短縮することが可能となる。
【0048】
本実施形態において、乾燥時間は、乾燥後のハニカム乾燥体の水分量を低減させる程度、印加電圧等を考慮して定めることができるが、0.5〜5分間であることが望ましく、1〜3分間であることがより望ましい。
乾燥時間が0.5分間未満であると、出力を上げても乾燥が不充分となりやすくなる。一方、乾燥時間が5分間を超えると、乾燥が進行しすぎるため、ハニカム乾燥体に反り又はクラック等が発生しやすくなる。また、全工程が長くなってしまう。
【0049】
本実施形態において、乾燥温度は、80〜130℃であることが望ましく、85〜120℃であることがより望ましい。
乾燥温度が80℃未満であると、乾燥が不充分となりやすくなる。一方、乾燥温度が130℃を超えると、乾燥が急激に進行しすぎるため、ハニカム乾燥体に反り又はクラック等が発生しやすくなる。
【0050】
本実施形態において、押出成形機の金型の先端から未切断のハニカム成形体の乾燥を開始するまでの距離は、0〜300mmであることが望ましい。上記の距離の上限は、200mmであることがより望ましい。また、上記の距離の下限は、10mmであってもよく、30mmであってもよい。
上記の距離が300mmを超えると、未切断のハニカム成形体が変形しやすくなる。特に開口率が75%以上のハニカム成形体を作製する場合にその傾向が顕著である。
【0051】
本実施形態においては、ハニカム成形体及び/又はハニカム乾燥体を押出成形機側が下方になるように角度をつけて乾燥させることが望ましい。つまり、ハニカム成形体及び/又はハニカム乾燥体の押出成形機側が水平面に対して下方に、切断工程側が水平面に対して上方になるように傾いた状態で乾燥させることが望ましい。
【0052】
上記の場合、ハニカム成形体及び/又はハニカム乾燥体の下面と水平面とのなす角度は、5〜30°であることが望ましい。
【0053】
以下、切断する対象物であるハニカム乾燥体の形状の例について、図面を参照しながら説明する。
図2は、ハニカム乾燥体の形状の一例を模式的に示す斜視図である。
図2に示すハニカム乾燥体20は、未切断のハニカム乾燥体であり、複数のセル21がセル隔壁22を隔てて長手方向(図2中、矢印fの方向)に並設されるとともに、その周囲に外周壁23が形成されている。ハニカム乾燥体20においては、セル21の端部は封止されていない。
図2には、ハニカム乾燥体が未切断のハニカム乾燥体であることを示すために、一方の端部を省略して示している。
【0054】
ハニカム乾燥体の組成は、ハニカム成形体の組成と同様であり、セラミック粉末、有機バインダ、成形助剤、水等を含むことが望ましいが、水が乾燥工程によって除かれてその水分率が0〜6質量%となっていることが望ましい。
【0055】
セラミック粉末としては、炭化ケイ素、炭化チタン、炭化タンタル、炭化タングステン等の炭化物セラミック、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、窒化ホウ素、窒化チタン等の窒化物セラミック、アルミナ、ジルコニア、コージェライト、ムライト、チタン酸アルミニウム等の酸化物セラミック、ケイ素含有炭化ケイ素等の粉末が挙げられる。これらの中では、炭化ケイ素、または、ケイ素含有炭化ケイ素の粉末が好ましい。耐熱性、機械強度、熱伝導性等に優れるからである。
なお、ケイ素含有炭化ケイ素は、炭化ケイ素に金属ケイ素が配合されたものであり、炭化ケイ素を60wt%以上含むケイ素含有炭化ケイ素が好ましい。
【0056】
有機バインダとしては特に限定されず、例えば、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリエチレングリコール等が挙げられる。これらの中では、メチルセルロースが望ましい。有機バインダの配合量は、通常、セラミック粉末100重量部に対して、1〜10重量部が望ましい。
【0057】
成形助剤としては特に限定されず、例えば、エチレングリコール、デキストリン、脂肪酸、脂肪酸石鹸、ポリアルコール等が挙げられる。
【0058】
ハニカム乾燥体には、可塑剤や潤滑剤が含まれていてもよく、可塑剤としては、特に限定されず、例えば、グリセリン等が挙げられる。また、潤滑剤は特に限定されず、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシプロピレンアルキルエーテル等のポリオキシアルキレン系化合物等が挙げられる。
さらに、ハニカム乾燥体には、必要に応じて酸化物系セラミックを成分とする微小中空球体であるバルーンや、球状アクリル粒子、グラファイト等の造孔剤が添加されていてもよい。
【0059】
本実施形態において、後述する切断工程でウォータージェットを用いる場合、ハニカム乾燥体は、有機バインダ及び成形助剤といった有機物を含んでいることが望ましい。ハニカム乾燥体の表面の表面張力が小さくなるため、ウォータージェット切断において水がはじかれて、セル隔壁に水が浸透しにくくなる。
また、ハニカム乾燥体は焼成されていないため、多孔質体となっていない。そのため、セル隔壁に連通する気孔を含んでおらず、ウォータージェット切断においてセル隔壁に水が浸透しにくい。
そのため、ウォータージェットにより切断されたハニカム乾燥体の水分率は、未切断のハニカム乾燥体の水分率とほぼ同じ値を保つことが可能となる。
【0060】
ハニカム乾燥体の形状は、図2に示すような四角柱形状に限定されるものではなく、他の多角柱形状、楕円柱、断面台形状、断面扇形状等の形状であってもよい。
また、セル形状も断面正方形状に限定されるものではなく、四角形、五角形、六角形、八角形等の他の多角形状でもよく、円形、楕円形状でもよい。また、複数種類の形状のセルが1つのハニカム乾燥体に含まれていてもよく、例えば、正方形状のセルと八角形状のセルの組み合わせが挙げられる。
【0061】
(切断工程)
続いて、未切断のハニカム乾燥体を所定の長さに切断する切断工程を行う。
切断工程を行うことにより、所定の長さを有するハニカム乾燥体を作製することができる。
【0062】
本実施形態において、未切断のハニカム乾燥体を切断する方法は特に限定されるものではなく、例えば、ウォータージェット、ブレード、ワイヤーソー、超音波カッター、ニクロム線、ファイバレーザー、又は、マイクロジェットレーザー等の切断部材を用いて未切断のハニカム乾燥体を切断することができる。
【0063】
これらの中では、ウォータージェットを用いて、未切断のハニカム乾燥体を切断することが望ましい。図1には、切断部材の一例としてウォータージェット切断機30を示している。
ウォータージェット切断は高エネルギー密度加工であるため、ハニカム乾燥体の切断面の変形がほとんどなく、また、精度良く切断することができる。
また、ウォータージェットを用いた切断の場合、ブレードを用いた切断と比べて、切断装置が軽く、切断速度も速い。そのため、容易に切断工程を成形工程に同期させることができる。
【0064】
以下、ウォータージェットを用いて、未切断のハニカム乾燥体を所定の長さに切断する工程について説明する。
乾燥工程を経た未切断のハニカム乾燥体は、ウォータージェット切断機によって所定の長さに切断される。
【0065】
ウォータージェット切断機は、高圧水の衝撃力により粉砕切断を行うことのできる装置であり、その先端にある噴射ノズルから高圧水が噴出される。
図3は、本発明の実施形態で用いることができるウォータージェット切断機の噴射ノズル部分の一例を模式的に示す断面図である。
図3は、ウォータージェット切断機30の噴射ノズル31を模式的に示しており、高圧水導入口32、ウォーターノズル33、下部ノズル34、空気/研磨材導入口35を示している。
高圧水は高圧水導入口32から導入され、ウォーターノズル33を経て下部ノズル34から噴出される。空気/研磨材導入口35からは空気又は研磨材が導入されてもよい。研磨材は、切断対象物が硬い場合に用いると有効であり、研磨材としてはガーネット等を用いることができる。
【0066】
噴射ノズルから噴出される水の水圧は、200〜400MPaであることが望ましい。
ウォータージェットの水圧が200〜400MPaであると、切断面へのバリの発生又はセル内へのセラミック粉の詰まりの発生が効果的に抑制され、きれいな切断面が得られる。
【0067】
また、噴出される水の流速は、600〜900m/秒であることが望ましい。
水の流速が600〜900m/秒であると、切断面へのバリの発生又はセル内へのセラミック粉の詰まりの発生が効果的に抑制され、きれいな切断面が得られる。
【0068】
ウォータージェット切断機の噴射ノズルは、水を噴出しながら、ハニカム乾燥体の長手方向と垂直な断面を横切る方向(図1において紙面の手前側から奥側(又は奥側から手前側)の方向)に移動して、ハニカム乾燥体の長手方向と垂直な方向にハニカム乾燥体を切断する。そして、長手方向に所定の長さを有するハニカム乾燥体を得ることができる。
なお、ウォータージェット切断機には、噴射ノズルの位置を移動させることができる図示しない駆動機構が設けられている。
【0069】
ウォータージェットによる切断速度は、15〜150mm/秒であることが望ましい。
切断速度が15〜150mm/秒であると、ハニカム構造体を製造するプロセスの中で切断工程が律速になることがなく、生産効率の妨げにならない点で有効である。
なお、切断速度は、噴射ノズルの移動速度を調整することによって調整することができる。
【0070】
切断工程の開始から終了までにわたって、ウォータージェットの噴射ノズルとハニカム乾燥体の上面とのなす角度は、5〜85°であることが望ましい。より望ましくは10〜80°であり、さらに望ましくは15〜75°である。
また、ウォータージェットの噴射ノズルとハニカム乾燥体の長手方向に垂直な断面における全てのセル隔壁とのなす角度は、5〜85°であることが望ましい。より望ましくは10〜80°であり、さらに望ましくは15〜75°である。
ウォータージェットの噴射ノズルとハニカム乾燥体の上面及びセル隔壁との角度が5〜85°の範囲に定められているということは、ウォータージェットの水流の向きがハニカム乾燥体の外周壁の向き及びセル隔壁の向きと平行にはならず、少なくとも5°以上傾いていることを意味する。
ウォータージェットの水流の向きがハニカム乾燥体の外周壁の向き及びセル隔壁の向きと傾いていることによって、一度に切断すべき壁の合計厚さ(切断量)の変動幅を小さくして、安定した切断を行うことができる。
【0071】
ウォータージェットの噴射ノズルとハニカム乾燥体の上面とのなす角度は、ウォータージェットの噴射ノズルとハニカム乾燥体の上面とのなす角度のうちハニカム乾燥体の側にあって小さいほうの角度として定められる。ハニカム乾燥体の上面とは、ハニカム乾燥体にウォータージェットが当たる面を意味する。
また、ウォータージェットの噴射ノズルとセル隔壁とのなす角度は、ウォータージェットの噴射ノズルとセル隔壁とのなす角度のうち小さいほうの角度として定められる。セル隔壁の向きは、ハニカム乾燥体の長手方向に垂直な断面における、セルに対して同じ位置関係にあるセル隔壁の繰り返し構造を繋いでなる直線の示す向きである。
【0072】
ウォータージェットの噴射ノズルとハニカム乾燥体の上面とのなす角度、及び、ウォータージェットの噴射ノズルとハニカム乾燥体の長手方向に垂直な断面における全てのセル隔壁とのなす角度を調整するための方法の例としては、地面に対し略平行な面を備えるコンベア上で四角柱状のハニカム乾燥体を搬送し、ウォータージェット切断機の噴射ノズルを地面に対して垂直な方向から所定の角度傾ける方法等が挙げられる。
【0073】
ウォータージェットの噴射ノズルとハニカム乾燥体の上面との距離は、1〜10mmであることが望ましい。ウォータージェットはノズルからの距離が遠くなるほど広がり易くなるため、上記の距離を1〜10mmとすることで、ハニカム乾燥体の切断面の平面度を高くすることができる。
【0074】
切断工程において、複数本の噴射ノズルを同時に用いて、複数本のハニカム乾燥体を1回の切断動作で得るようにしてもよい。
【0075】
例えば、所定の長さのハニカム乾燥体2本分の長さを有する未切断のハニカム乾燥体を得たのち、切断工程で2箇所の切断を同時に行うことができる。
【0076】
また、ハニカム乾燥体の1箇所の切断面に対して、複数本の噴射ノズルを用いてもよい。この場合、1本のノズルから噴射されるウォータージェットにより切断する切断長さを短くすることができるため、切断時間を短縮することが可能となる。特に、噴射ノズルを傾けた場合には、部分的に切断長さが異なるため、その効果が顕著となる。
【0077】
本実施形態においては、成形工程、乾燥工程及び切断工程をこの順序で連続的に行う。従って、図1に示すような、コンベア(第1のコンベア及び第2のコンベア)を備えた成形乾燥切断装置を用いる場合、切断工程を行う際にコンベアが駆動しており、未切断のハニカム乾燥体がコンベアの移動速度で移動していることとなる。
【0078】
切断工程では、切断部材(例えば、ウォータージェット切断機の噴射ノズル)の移動速度を成形工程におけるハニカム成形体の移動速度に同期させることにより、未切断のハニカム乾燥体を切断することが望ましい。
この際、成形工程において、押出成形機から押出成形されるハニカム成形体の移動速度を速度センサーにより計測し、切断工程において、未切断のハニカム乾燥体が移動する方向と平行な方向へ切断部材が移動する速度を、速度センサーにより計測される移動速度と同一にすることがより望ましい。
これにより、移動速度の同期を正確に行うことができ、また、ハニカム乾燥体の切断面が垂直となるように切断することができる。
【0079】
図4(a)、図4(b)及び図4(c)は、本発明の実施形態における切断工程の一例を模式的に示す側面図である。
図4(a)、図4(b)及び図4(c)では、切断部材の一例として、ウォータージェット切断機の噴射ノズル31を示している。
【0080】
まず、図4(a)に示すように、乾燥工程を経た未切断のハニカム乾燥体20は、移動速度Vを有する第1のコンベア60Aにより移動している。
ここで、未切断のハニカム乾燥体20の移動速度(第1のコンベア60Aの移動速度)Vは、成形工程におけるハニカム成形体の移動速度と同一であり、押出成形の速度と同一である。例えば、図1に示した速度センサー70によって、押出成形機50から押出成形されるハニカム成形体10の移動速度を計測し、計測されるハニカム成形体10の移動速度と第1のコンベア60Aの移動速度Vとを同一にすることができる。
【0081】
また、第2のコンベア60Bは、第1のコンベア60Aの移動速度Vと同一の移動速度Vで未切断のハニカム乾燥体20を移動させている。
一方、噴射ノズル31は、切断前の原位置で停止したままである。
なお、第1のコンベア60A及び第2のコンベア60Bは、別個にそれぞれの動作を制御可能である。
【0082】
次に、図4(b)に示すように、未切断のハニカム乾燥体20の先端部が通過センサー80の位置に到達したら、通過センサー80が未切断のハニカム乾燥体20の通過を検知し、通過の開始とともに通過開始信号を噴射ノズル31の動作を制御する切断制御手段(図示せず)に送信する。この通過開始信号を切断制御手段が受信すると、噴射ノズル31の動作が開始される。
【0083】
噴射ノズル31の動作が開始されると、噴射ノズル31は、水を噴射しながら、第1のコンベア60Aの移動方向(すなわち、ハニカム乾燥体20が移動する方向)と平行方向に移動するとともに、未切断のハニカム乾燥体20の長手方向と垂直な断面を横切る方向(例えば、図4(b)において紙面の手前側から奥側の方向)に移動し、ハニカム乾燥体20の切断を開始する。
ここで、噴射ノズル31が移動する速度のうち、未切断のハニカム乾燥体20が移動する方向と平行な方向へ移動する速度Vは、第1のコンベア60Aの移動速度Vと同一の関係にある。つまり、上記速度Vは、速度センサー70により計測されるハニカム成形体10の移動速度と同一である。
従って、噴射ノズル31は、未切断のハニカム乾燥体20の移動と同期しながら水を噴射し、ハニカム乾燥体20の長手方向に直交するようにハニカム乾燥体20を切断する。
【0084】
成形乾燥切断装置1では、未切断のハニカム乾燥体20が通過センサー80を通過し、この通過による通過開始信号を切断制御手段が受信することで噴射ノズル31が動作を開始する。そのため、切断制御手段が通過開始信号を受信した時点における通過センサー80と噴射ノズル31との間の距離が、切断後のハニカム乾燥体の長さ(以下、切断長ともいう)となる。
従って、通過センサー80の配置位置を変更することで、切断長を任意の長さに変更することができる。例えば、通過センサー80の配置位置を押出成形機50に近い側に配置することにより、切断長を短くすることができる。
【0085】
このように、ハニカム乾燥体20の切断が完了するまでは、第1のコンベア60Aの移動速度V、噴射ノズル31の平行方向への移動速度V及び第2のコンベア60Bの移動速度Vは、V=V=Vの関係を満たすことが望ましい。
【0086】
そして、図4(c)に示すように、噴射ノズル31がハニカム乾燥体20の長手方向と垂直な断面を横切ったところで、ハニカム乾燥体の切断が完了する。
【0087】
なお、ハニカム乾燥体を切断している間は、成形乾燥切断装置1と連動したクランプ(図示せず)を用いてハニカム乾燥体を側面側(左右側)から挟むことが望ましい。
例えば、速度センサー70により計測されるハニカム成形体10の移動速度によって、ハニカム乾燥体のクランプを開始するタイミング及び終了するタイミングを制御することができる。
【0088】
また、ハニカム乾燥体20の切断が完了した後は、第1のコンベア60Aの移動速度V及び第2のコンベア60Bの移動速度Vは、V<Vの関係を有することが望ましい。
この場合、切断が完了したハニカム乾燥体をすぐに移動させることができるため、ハニカム乾燥体を連続的にスムーズに切断することができる。
【0089】
噴射ノズル31によりハニカム乾燥体20の切断が完了した時点で、ウォータージェット切断機30は切断完了を検知して(例えば、噴射ノズル31がハニカム乾燥体20の長手方向と垂直な断面を横切ったことをもって、切断完了を検知する)、水の噴射を停止し、噴射ノズル31の原位置への移動を開始する。さらに、第2のコンベア60Bの移動動作を制御する移動制御手段(図示せず)へと切断完了信号を送信する。この切断完了信号を上記移動制御手段が受信すると、V<Vの速度の関係を満たすように第2のコンベア60Bの移動速度Vを変更する。
【0090】
図5は、本発明の実施形態における切断工程の一例を模式的に示す平面図である。
図5に示すように、噴射ノズル31は、ハニカム乾燥体20が移動する方向に対して所定の角度を持って配置されており、この方向に往復移動することができる。
【0091】
図6は、ウォータージェット切断機の噴射ノズルの動作を示す概念図である。
図6に示すように、ハニカム乾燥体20の切断が完了するまでは、噴射ノズルが移動する方向とハニカム乾燥体が移動する方向とがなす角φ、ハニカム乾燥体が移動する速度V、及び、噴射ノズルが移動する速度V’とは、V’=V/cosφの関係を満たすことが望ましい。言い換えると、V=V’cosφの関係を満たすことが望ましい。この場合、ハニカム乾燥体の切断面が垂直となるように切断することができる。
【0092】
角度φは、特に限定されるものではないが、10〜65°であることが望ましく、15〜55°であることがより望ましい。
【0093】
以上、切断部材としてウォータージェットを用いて、未切断のハニカム乾燥体を切断する場合を説明してきたが、他の切断部材を用いる場合も同様である。
例えば、ファイバレーザー又はマイクロジェットレーザーを切断部材として用いる場合には、ウォータージェットを用いる場合と同様の方法により、切断部材の移動速度を成形工程におけるハニカム成形体の移動速度に同期させることができる。また、ブレード、ワイヤーソー又は超音波カッターを切断部材として用いる場合には、切断部材が、第1のコンベアの移動方向と平行方向に移動するとともに、鉛直下方に移動することにより、切断部材の移動速度を成形工程におけるハニカム成形体の移動速度に同期させることができる。
【0094】
また、これまでは、切断が完了したハニカム乾燥体を第2のコンベアにより移動させる場合のみを説明してきた。
しかしながら、本実施形態では、成形工程、乾燥工程及び切断工程をこの順序で連続的に行っていればよく、例えば、切断が完了したハニカム乾燥体を一旦回収し、その後の工程を行ってもよい。
【0095】
本実施形態では、ハニカム乾燥体の形状が維持されやすくなる。例えば、ハニカム乾燥体の形状が四角柱形状である場合、ハニカム乾燥体の端面における対角線の比を、1.01以下とすることができる。
なお、ハニカム乾燥体の端面における対角線の比は、ハニカム乾燥体の変形度合いを測る指標であり、この比が1に近いほど、ハニカム乾燥体に変形が生じていないことを意味する。
【0096】
また、本実施形態により得られた切断後のハニカム乾燥体の開口率は60〜90%であることが望ましく、75〜90%であることがより望ましい。
この場合、高い開口率を有するハニカム乾燥体に対しても、ハニカム乾燥体の変形を抑制することができる。
ここで、「ハニカム乾燥体の開口率」とは、端面の開口面積を端面全体の面積で除することにより開口面積比を算出し、この開口面積比を100で乗ずることにより算出することができる。
【0097】
本実施形態において、ハニカム乾燥体のセル隔壁の厚さは、0.07〜0.46mmであることが望ましく、0.10〜0.26mmであることがより望ましく、0.10〜0.21mmであることがさらに望ましい。
上記厚さのセル隔壁は、排ガス中のPMを捕集するのに充分な厚さを有するとともに、圧力損失の増加を効果的に抑制することができる。
上記セル隔壁の厚さが0.07mm未満では、セル隔壁の厚さが薄くなりすぎるため、ハニカム構造体の機械的強度が低下する。一方、セル隔壁の厚さが0.46mmを超えると、セル隔壁が厚くなりすぎるため、排ガスがセル隔壁を通過する際の圧力損失が大きくなる。
【0098】
以下、本発明の実施形態に係るハニカム成形体の乾燥方法により得られた所定の長さを有するハニカム乾燥体を用いてハニカム構造体を製造する方法である、本発明の実施形態に係るハニカム構造体の製造方法について説明する。
【0099】
(1)所定の長さを有するハニカム乾燥体を得た後、ハニカム乾燥体の所定のセルに封止材となる封止材ペーストを充填して上記セルを目封止する目封止工程を行う。ここで、封止材ペーストとしては、ハニカム成形体の作製に用いた湿潤混合物を用いることができる。
なお、触媒担持体として用いるハニカム構造体を製造する場合、目封止工程は行わなくてもよい。
【0100】
(2)ハニカム乾燥体を脱脂炉中、300〜650℃に加熱し、ハニカム乾燥体中の有機物を除去する脱脂工程を行った後、脱脂されたハニカム乾燥体を焼成炉に搬送し、2000〜2200℃に加熱する焼成工程を行うことにより、ハニカム焼成体を作製する。
なお、セルの端部に充填された封止材ペーストは、焼成され、封止材となる。
また、目封止工程、脱脂工程および焼成工程の条件は、従来からハニカム焼成体を作製する際に用いられている条件を適用することができる。
【0101】
図7(a)は、本発明の実施形態に係るハニカム構造体の製造方法において製造するハニカム焼成体の一例を模式的に示す斜視図であり、図7(b)は、図7(a)に示すハニカム焼成体のA−A線断面図である。
図7(a)及び図7(b)に示すハニカム焼成体110の形状は、上述したハニカム乾燥体の形状とほぼ同様であり、多数のセル111がセル隔壁112を隔てて長手方向(図7(a)中、矢印gの方向)に並設されるとともに、その周囲に外周壁113が形成されている。そして、セル111のいずれかの端部は、封止材114で封止されている。
従って、一方の端面が開口したセル111に流入した排ガスG(図7(b)中、排ガスをGで示し、排ガスの流れを矢印で示す)は、必ずセル111を隔てるセル隔壁112を通過した後、他方の端面が開口した他のセル111から流出するようになっている。排ガスGがセル隔壁112を通過する際に、排ガス中のPM等が捕集されるため、セル隔壁112は、フィルタとして機能する。
【0102】
このように、セルのいずれか一方の端部が封止されたハニカム焼成体を含むハニカム構造体は、セラミックフィルタとして好適に使用することができる。
また、セルのいずれの端部も封止されていないハニカム焼成体を含むハニカム構造体は、触媒担持体として好適に使用することができる。
【0103】
(3)支持台上で複数個のハニカム焼成体を接着材ペーストを介して順次積み上げて結束する結束工程を行い、ハニカム焼成体が複数個積み上げられてなるハニカム集合体を作製する。
接着材ペーストとしては、例えば、無機バインダと有機バインダと無機粒子とからなるものを使用する。また、上記接着材ペーストは、さらに無機繊維及び/又はウィスカを含んでいてもよい。
【0104】
上記接着材ペーストに含まれる無機粒子としては、例えば、炭化物粒子、窒化物粒子等が挙げられる。具体的には、炭化ケイ素粒子、窒化ケイ素粒子、窒化ホウ素粒子等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。無機粒子の中では、熱伝導性に優れる炭化ケイ素粒子が望ましい。
【0105】
上記接着材ペーストに含まれる無機繊維及び/又はウィスカとしては、例えば、シリカ−アルミナ、ムライト、アルミナ、シリカ等からなる無機繊維及び/又はウィスカ等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。無機繊維の中では、アルミナファイバが望ましい。また、無機繊維は、生体溶解性ファイバであってもよい。
【0106】
さらに、上記接着材ペーストには、必要に応じて酸化物系セラミックを成分とする微小中空球体であるバルーンや、球状アクリル粒子、グラファイト等を添加してもよい。バルーンとしては特に限定されず、例えば、アルミナバルーン、ガラスマイクロバルーン、シラスバルーン、フライアッシュバルーン(FAバルーン)、ムライトバルーン等が挙げられる。
【0107】
(4)ハニカム集合体を加熱することにより接着材ペーストを加熱固化して接着材層とし、四角柱状のセラミックブロックを作製する。
接着材ペーストの加熱固化の条件は、従来からハニカム構造体を作製する際に用いられている条件を適用することができる。
【0108】
(5)セラミックブロックに切削加工を施す切削加工工程を行う。
具体的には、ダイヤモンドカッターを用いてセラミックブロックの外周を切削することにより、外周が略円柱状に加工されたセラミックブロックを作製する。
【0109】
(6)略円柱状のセラミックブロックの外周面に、外周コート材ペーストを塗布し、乾燥固化して外周コート層を形成する外周コート層形成工程を行う。
ここで、外周コート材ペーストとしては、上記接着材ペーストを使用することができる。なお、外周コート材ペーストとして、上記接着材ペーストと異なる組成のペーストを使用してもよい。
なお、外周コート層は必ずしも設ける必要はなく、必要に応じて設ければよい。
外周コート層を設けることによって、セラミックブロックの外周の形状を整えて、円柱状のハニカム構造体とすることができる。
【0110】
図8は、本発明の実施形態に係るハニカム構造体の製造方法において製造するハニカム構造体の一例を模式的に示す斜視図である。
図8に示すハニカム構造体100では、ハニカム焼成体110が複数個ずつ接着材層101を介して結束されてセラミックブロック103を構成し、さらに、このセラミックブロック103の外周に外周コート層102が形成されている。なお、外周コート層は、必要に応じて形成されていればよい。このような、ハニカム焼成体が複数個結束されてなるハニカム構造体は、集合型ハニカム構造体ともいう。
【0111】
本発明の実施形態に係るハニカム構造体の製造方法において製造するハニカム構造体は、1つのハニカム焼結体からなるハニカム構造体であってもよい。このような、1つのハニカム焼結体からなるハニカム構造体は、一体型ハニカム構造体ともいう。一体型ハニカム構造体を製造する場合、セラミック粉末としてコージェライト又はチタン酸アルミニウムを用いることが望ましい。
【0112】
一体型ハニカム構造体を製造する場合には、押出成形により成形するハニカム成形体の大きさが、集合型ハニカム構造体を製造する場合に比べて大きく、その外形が異なる他は、集合型ハニカム構造体を製造する場合と同様にしてハニカム成形体を作製すればよい。
【0113】
本発明の実施形態に係るハニカム構造体の製造方法において、製造するハニカム構造体を構成するハニカム焼結体のセル壁には、排ガスを浄化するための触媒を担持させてもよい。
担持させる触媒としては、例えば、白金、パラジウム、ロジウム等の貴金属が望ましい。また、その他の触媒として、例えば、カリウム、ナトリウム等のアルカリ金属、バリウム等のアルカリ土類金属、ゼオライト等を用いることもできる。これらの触媒は、単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。
【0114】
以下、本実施形態に係るハニカム成形体の乾燥方法、及び、ハニカム構造体の製造方法の作用効果について列挙する。
(1)本実施形態のハニカム成形体の乾燥方法では、未切断のハニカム成形体を乾燥させることにより、未切断のハニカム乾燥体を作製している。つまり、従来の方法と異なり、ハニカム成形体を切断する前に乾燥させている。従って、1回の切断処理により、所定の長さを有するハニカム乾燥体を作製することができる。そのため、ハニカム構造体を製造するための全体の工程を簡略化することができる。
【0115】
(2)本実施形態のハニカム成形体の乾燥方法を用いた場合、従来の方法と異なり、端面が変形した部分の除去を行わなくてもよいため、材料の損失を低減することができる。
【0116】
(3)本実施形態のハニカム成形体の乾燥方法において、乾燥工程では、高周波誘電乾燥により、未切断のハニカム成形体を乾燥させることができる。
この場合、ハニカム成形体を内部まで均一に乾燥させることができる。また、高周波誘電乾燥にすることで、局所加熱が可能なため設備を短くすることができ、簡易的な電磁波シールドを設けるのみでよいため、より設備を簡略化することができる。
【0117】
(4)本実施形態のハニカム成形体の乾燥方法では、押出成形機の金型の先端から未切断のハニカム成形体の乾燥を開始するまでの距離を、0〜300mmとすることができる。
本実施形態のハニカム成形体の乾燥方法では、未切断のハニカム成形体の変形を抑制することができる点で有効である。
【0118】
(5)本実施形態のハニカム成形体の乾燥方法では、ハニカム乾燥体の水分率を、0〜6質量%とすることができる。
ハニカム乾燥体の水分率が上記範囲であると、ハニカム乾燥体の形状を保つことができる点で有効である。
【0119】
(6)本実施形態のハニカム成形体の乾燥方法では、ハニカム乾燥体の開口率を、60〜90%とすることができる。
本実施形態のハニカム成形体の乾燥方法では、高い開口率を有するハニカム乾燥体に対しても、ハニカム乾燥体の変形を抑制することができる点で有効である。
【0120】
(7)本実施形態のハニカム成形体の乾燥方法では、乾燥工程において、ハニカム成形体及び/又はハニカム乾燥体を上記押出成形機側が下方になるように角度をつけて乾燥させることができる。
この場合、ハニカム乾燥体のセル内に存在する乾燥工程で発生した水蒸気を容易に排出することができる点で有効である。
【0121】
(8)本実施形態のハニカム成形体の乾燥方法において、切断工程では、切断部材の移動速度を成形工程におけるハニカム成形体の移動速度に同期させることにより、未切断のハニカム乾燥体、すなわち乾燥収縮後のハニカム乾燥体を切断することができる。この場合、所定の長さを有するハニカム乾燥体を効率的に作製することができる。
【0122】
(9)本実施形態のハニカム成形体の乾燥方法において、切断工程では、ウォータージェットを用いて、未切断のハニカム乾燥体を切断することができる。
ウォータージェット切断は高エネルギー密度加工であるため、ハニカム乾燥体の切断面の変形がほとんどなく、また、精度良く切断することができる。
また、ウォータージェットを用いた切断の場合、ブレードを用いた切断と比べて、切断装置が軽く、切断速度も速い。そのため、容易に切断工程を成形工程に同期させることができる。
【0123】
(10)本実施形態のハニカム構造体の製造方法では、本実施形態のハニカム成形体の乾燥方法を用いることができる。
そのため、ハニカム構造体の製造工程を大きく簡略化してハニカム構造体を製造することができる。
【実施例】
【0124】
以下、本発明の実施形態をより具体的に開示した実施例を示す。なお、本発明は、以下の実施例のみに限定されるものではない。
【0125】
(実施例1)
(ハニカム乾燥体の作製)
平均粒子径22μmを有する炭化ケイ素の粗粉末56.3質量%と、平均粒子径0.5μmの炭化ケイ素の微粉末24.1質量%とを混合し、得られた混合物に対して、有機バインダ(メチルセルロース)4.4質量%、潤滑剤(日油(株)製 ユニルーブ)0.8質量%、グリセリン0.8質量%、オレイン酸2.2質量%、及び、水11.3質量%を加えて混練して湿潤混合物を得た後、押出成形機から連続的に押出成形する成形工程を行った。
本工程では、図2に示したハニカム乾燥体20と同様の形状の未切断のハニカム成形体を作製した。
セル隔壁の厚さは0.10mm(4mil)、セル密度は200個/inchとした。
成形速度は0.1m/minとした。
【0126】
次いで、押出成形機の金型から30mmの地点から設置された高周波誘電乾燥装置を用いて、未切断のハニカム成形体を乾燥させて、未切断のハニカム乾燥体を作製した。
高周波誘電加熱の出力は0.3kW、周波数は13.56MHz、電極の長さは150mm、電極の幅は35mm、ハニカム成形体と上方の電極との距離は15mm、ハニカム成形体と下方の電極との距離は1mmとした。
【0127】
続いて、ウォータージェット切断機を用いてハニカム乾燥体を切断し、切断されたハニカム乾燥体を作製した。
水圧は300MPa、流速は750m/s、切断速度は17.5mm/sとした。
切断の際には、コンベアの移動速度とウォータージェットの噴射ノズルの移動速度を同期させた。
【0128】
(ハニカム乾燥体の評価)
実施例1で作製したハニカム乾燥体の水分率は3%であった。
また、実施例1で作製したハニカム乾燥体の端面における対角線の長さを測定し、対角線の比を算出した。
その結果、ハニカム乾燥体の端面の対角線の比は1.01であり、ハニカム乾燥体の形状が維持されていることが確認された。
【0129】
(実施例2〜8)
成形速度、電極の長さ、及び、出力を表1のように変更した以外は、実施例1と同様にしてハニカム乾燥体を作製した。また、それぞれのハニカム乾燥体の水分率、及び、対角線の比も表1に示した。
【0130】
【表1】
【0131】
(実施例9)
(ハニカム乾燥体の作製)
平均粒子径22μmを有する炭化ケイ素の粗粉末40.6質量%と、平均粒子径0.5μmの炭化ケイ素の微粉末17.4質量%とを混合し、得られた混合物に対して、有機バインダ(メチルセルロース)6.4質量%、アクリル樹脂10.6質量%、潤滑剤(日油(株)製 ユニルーブ)3.0質量%、グリセリン1.4質量%、及び、水20.6質量%を加えて混練して湿潤混合物を得た後、押出成形機から連続的に押出成形する成形工程を行った。
本工程では、図2に示したハニカム乾燥体20と同様の形状の未切断のハニカム成形体を作製した。
セル隔壁の厚さは0.28mm(11mil)、セル密度は350個/inchとした。
成形速度は0.1m/minとした。
【0132】
次いで、押出成形機の金型から30mmの地点から設置された高周波誘電乾燥装置を用いて、未切断のハニカム成形体を乾燥させて、未切断のハニカム乾燥体を作製した。
高周波誘電加熱の出力は1.1kW、周波数は13.56MHz、電極の長さは300mm、電極の幅は35mm、ハニカム成形体と上方の電極との距離は15mm、ハニカム成形体と下方の電極との距離は1mmとした。
【0133】
続いて、ウォータージェット切断機を用いてハニカム乾燥体を切断し、切断されたハニカム乾燥体を作製した。
水圧は300MPa、流速は750m/s、切断速度は17.5mm/sとした。
切断の際には、コンベアの移動速度とウォータージェットの噴射ノズルの移動速度を同期させた。
【0134】
(ハニカム乾燥体の評価)
実施例9で作製したハニカム乾燥体の水分率は7%であった。
また、実施例9で作製したハニカム乾燥体の端面における対角線の長さを測定し、対角線の比を算出した。
その結果、ハニカム乾燥体の端面の対角線の比は1.01であり、ハニカム乾燥体の形状が維持されていることが確認された。
【0135】
(実施例10〜13)
成形速度、電極の長さ、及び、出力を表2のように変更した以外は、実施例9と同様にしてハニカム乾燥体を作製した。また、それぞれのハニカム乾燥体の水分率、及び、対角線の比も表2に示した。
【0136】
【表2】
【0137】
(ハニカム構造体の製造)
実施例1又は実施例9で作製したハニカム乾燥体に対して、セルの端部が図7(a)に示す位置で目封止されるようにセルの目封止を行った。
なお、上記湿潤混合物を封止材ペーストとして使用した。セルの目封止を行った後、封止材ペーストを充填したハニカム乾燥体を乾燥機を用いて乾燥させた。
【0138】
続いて、セルの目封止を行ったハニカム乾燥体を400℃で脱脂する脱脂処理を行い、さらに、常圧のアルゴン雰囲気下2200℃、3時間の条件で焼成処理を行った。
これにより、ハニカム焼成体を作製した。
【0139】
実施例1のハニカム乾燥体を用いて作製したハニカム焼成体は、気孔率が42%、平均気孔径が11μm、大きさが34.3mm×34.3mm×150mm、セルの数(セル密度)が200個/inch、開口率が89%、セル隔壁の厚さが0.10mm(4mil)の炭化ケイ素焼結体からなるハニカム焼成体であった。
また、実施例9のハニカム乾燥体を用いて作製したハニカム焼成体は、気孔率が63%、平均気孔径が23μm、大きさが34.3mm×34.3mm×150mm、セルの数(セル密度)が350個/inch、開口率が63%、セル隔壁の厚さが0.28mm(11mil)の炭化ケイ素焼結体からなるハニカム焼成体であった。
【0140】
続いて、平均繊維長20μmのアルミナファイバ30重量%、平均粒子径0.6μmの炭化ケイ素粒子21重量%、シリカゾル15重量%、カルボキシメチルセルロース5.6重量%、及び、水28.4重量%を含む耐熱性の接着材ペーストを用いてハニカム焼成体を多数結束させ、さらに、接着材ペーストを120℃で乾燥固化させて接着材層を形成して角柱状のセラミックブロックを作製した。
【0141】
続いて、角柱状のセラミックブロックの外周をダイヤモンドカッターを用いて切断することにより略円柱状のセラミックブロックを作製した。
【0142】
続いて、接着材ペーストと同様の組成からなるシール材ペーストをセラミックブロックの外周面に塗布し、シール材ペーストを120℃で乾燥固化させて外周コート層を形成することにより、円柱状のハニカム構造体の製造を完了した。
ハニカム構造体の直径は143.8mm、長手方向の長さは150mmであった。
【0143】
以上の方法によると、ハニカム成形体を切断する工程を行うことなくハニカム乾燥体を作製することができるため、少ない工程数でハニカム構造体を製造することができることが確認された。
【符号の説明】
【0144】
1 成形乾燥切断装置
10 ハニカム成形体
20 ハニカム乾燥体
21、111 セル
22、112 セル隔壁
23、113 外周壁
30 ウォータージェット切断機
31 噴射ノズル
32 高圧水導入口
33 ウォーターノズル
34 下部ノズル
35 空気/研磨材導入口
40 高周波誘電乾燥装置
41 上側電極
42 下側電極
50 押出成形機
60A 第1のコンベア
60B 第2のコンベア
70 速度センサー
80 通過センサー
100 ハニカム構造体
101 接着材層
102 外周コート層
103 セラミックブロック
110 ハニカム焼成体
114 封止材
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【国際調査報告】