(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO2014054253
(43)【国際公開日】20140410
【発行日】20160825
(54)【発明の名称】車両用操舵制御装置及び車両用操舵制御方法
(51)【国際特許分類】
   B62D 6/00 20060101AFI20160729BHJP
   B62D 5/04 20060101ALI20160729BHJP
   B62D 137/00 20060101ALN20160729BHJP
【FI】
   !B62D6/00
   !B62D5/04
   !B62D137:00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】28
【出願番号】2014539600
(21)【国際出願番号】JP2013005734
(22)【国際出願日】20130926
(11)【特許番号】5867612
(45)【特許公報発行日】20160224
(31)【優先権主張番号】2012221309
(32)【優先日】20121003
(33)【優先権主張国】JP
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ
(71)【出願人】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
【住所又は居所】神奈川県横浜市神奈川区宝町2番地
(74)【代理人】
【識別番号】100066980
【弁理士】
【氏名又は名称】森 哲也
(74)【代理人】
【識別番号】100108914
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 壯兵衞
(74)【代理人】
【識別番号】100103850
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 秀▲てつ▼
(72)【発明者】
【氏名】澁谷 正樹
【住所又は居所】神奈川県厚木市森の里青山1−1 日産自動車株式会社 知的財産部内
(72)【発明者】
【氏名】江口 孝彰
【住所又は居所】神奈川県厚木市森の里青山1−1 日産自動車株式会社 知的財産部内
【テーマコード(参考)】
3D232
3D333
【Fターム(参考)】
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3D232CC34
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3D232GG01
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3D333CC40
3D333CE16
3D333CE36
3D333CE52
3D333CE53
(57)【要約】
運転者に良好な端当て感を与えると共に、操舵反力アクチュエータの過熱を防止することができる車両用操舵制御装置及び車両用操舵制御方法を提供する。ステアバイワイヤ制御中に端当て状態を検出したとき、端当て反力を付与して運転者に端当て感を与える反力付与端当て制御を行う。また、反力付与端当て制御を開始した後、操舵角θsがクラッチ締結判定角度(最大操舵角+θth)に達したとき、クラッチ(6)を締結して運転者に端当て感を与えるクラッチ締結端当て制御を行う。そして、反力モータ温度Tempが過熱判定温度Temp1が高いときは、当該クラッチ締結判定角度を小さくする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステアリングホイール及び該ステアリングホイールに操舵反力を付与する反力アクチュエータを有する操舵部と、
転舵輪及び該転舵輪を転舵する転舵機構を駆動する転舵アクチュエータを有する転舵部と、
前記操舵部と前記転舵部とを機械的に連結及び連結解除可能なクラッチと、
前記クラッチの締結を解除した状態で、前記転舵輪の転舵角を、前記ステアリングホイールの操舵状態に応じた転舵指令角とするべく前記転舵アクチュエータを駆動制御すると共に、前記ステアリングホイールに、前記転舵輪の転舵状態に応じた操舵反力を付与するべく前記反力アクチュエータを駆動制御するステアバイワイヤ制御を行う操舵制御部と、
前記操舵制御部によるステアバイワイヤ制御中に、前記ステアリングホイールの切り込み限界付近に達した端当て状態を検出する端当て検出部と、
前記端当て検出部で端当て状態を検出したとき、前記ステアリングホイールに、前記転舵輪の転舵状態に応じた操舵反力よりも大きい端当て反力を付与するべく前記反力アクチュエータを駆動制御して、運転者に端当て感を与える反力付与端当て制御を行う反力付与端当て制御部と、
前記反力付与端当て制御部による反力付与端当て制御を開始した後、前記ステアリングホイールの操舵角がクラッチ締結判定角度に達したことを検出したとき、前記クラッチに対して締結指令を出力して運転者に端当て感を与えるクラッチ締結端当て制御を行うクラッチ締結端当て制御部と、
前記反力アクチュエータの温度を検出する温度検出部と、
前記温度検出部で検出した前記反力アクチュエータの温度が予め設定した過熱判定温度を超えたとき、当該過熱判定温度を超える前と比較して前記クラッチ締結判定角度を小さくするクラッチ締結判定角度変更部と、を備えることを特徴とする車両用操舵制御装置。
【請求項2】
前記クラッチ締結判定角度変更部は、
前記温度検出部で検出した前記反力アクチュエータの温度が予め設定した過熱判定温度を超えたとき、当該反力アクチュエータの温度が高いほど前記クラッチ締結判定角度を小さくすることを特徴とする請求項1に記載の車両用操舵制御装置。
【請求項3】
車速を検出する車速検出部を備え、
前記クラッチ締結判定角度変更部は、
前記車速検出部で検出した車速が高いほど、前記クラッチ締結判定角度を小さくすることを特徴とする請求項1又は2に記載の車両用操舵制御装置。
【請求項4】
前記クラッチ締結判定角度変更部は、
前記反力付与端当て制御部による反力付与端当て制御を開始してからの経過時間が長いほど、前記クラッチ締結判定角度を小さくすることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の車両用操舵制御装置。
【請求項5】
前記反力付与端当て制御部は、前記反力付与端当て制御として、前記端当て検出部で端当て状態を検出したとき、前記ステアリングホイールに、前記転舵輪の転舵状態に応じた操舵反力に増大補正量を付加した端当て反力を付与するものであって、
前記反力付与端当て制御部による反力付与端当て制御を開始した後、前記温度検出部で検出した前記反力アクチュエータの温度が予め設定した反力リミット開始温度を超えたとき、当該反力リミット開始温度を越える前と比較して前記増大補正量を小さくする反力リミット部を備えることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の車両用操舵制御装置。
【請求項6】
前記反力リミット部は、
前記温度検出部で検出した前記反力アクチュエータの温度が前記反力リミット開始温度を超えたとき、当該反力アクチュエータの温度が高いほど前記増大補正量を小さくすることを特徴とする請求項5に記載の車両用操舵制御装置。
【請求項7】
前記反力リミット開始温度は、前記過熱判定温度よりも低く設定されていることを特徴とする請求項5又は6に記載の車両用操舵制御装置。
【請求項8】
前記クラッチ締結端当て制御部によりクラッチ締結端当て制御を開始した後、前記ステアリングホイールに付与している操舵反力を漸減する反力漸減処理部を備えることを特徴とする請求項1〜7の何れか1項に記載の車両用操舵制御装置。
【請求項9】
前記端当て検出部は、前記転舵輪の転舵角が予め定めた最大転舵角に達する状態、及び前記ステアリングホイールの操舵角が予め定めた最大操舵角に達する状態の少なくとも一方の状態を、前記ステアリングホイールの切り込み限界付近に達した端当て状態として検出することを特徴とする請求項1〜8の何れか1項に記載の車両用操舵制御装置。
【請求項10】
ステアリングホイール及び該ステアリングホイールに操舵反力を付与する反力アクチュエータを有する操舵部と、
転舵輪及び該転舵輪を転舵する転舵機構を駆動する転舵アクチュエータを有する転舵部と、
前記操舵部と前記転舵部とを機械的に連結及び連結解除可能なクラッチと、を備える車両用操舵制御方法であって、
前記クラッチの締結を解除した状態で、前記転舵輪の転舵角を、前記ステアリングホイールの操舵状態に応じた転舵指令角とするべく前記転舵アクチュエータを駆動制御すると共に、前記ステアリングホイールに、前記転舵輪の転舵状態に応じた操舵反力を付与するべく前記反力アクチュエータを駆動制御するステアバイワイヤ制御中に、前記ステアリングホイールの切り込み限界付近に達した端当て状態を検出したとき、前記ステアリングホイールに、前記転舵輪の転舵状態に応じた操舵反力よりも大きい端当て反力を付与するべく前記反力アクチュエータを駆動制御して、運転者に端当て感を与える反力付与端当て制御を行い、前記反力付与端当て制御を開始した後、前記ステアリングホイールの操舵角がクラッチ締結判定角度に達したことを検出したとき、前記クラッチに対して締結指令を出力して運転者に端当て感を与えるクラッチ締結端当て制御を行うに際し、
前記反力アクチュエータの温度が予め設定した過熱判定温度を超えたとき、当該過熱判定温度を超える前と比較して前記クラッチ締結判定角度を小さくすることを特徴とする車両用操舵制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運転者が操作する操作部と転舵輪を転舵する転舵部とを機械的に断接するクラッチを備えたステアバイワイヤシステムによる車両用操舵制御装置及び車両用操舵制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、操舵輪(ステアリングホイール)と転舵輪との間のトルク伝達経路を機械的に分離した状態で、転舵モータを駆動制御し、転舵輪を、操舵輪の操作に応じた角度(目標転舵角)に転舵する操舵制御装置がある。このような操舵制御装置は、一般的に、ステアバイワイヤ(SBW)と呼称するシステム(SBWシステム)を形成する装置である。
SBWシステムでは、操舵輪と転舵輪との間に機械的な連結がないため、切り込み限界に達したら、運転者に端当て感を与える制御を行う必要がある。
端当て感を与える制御を行う操舵制御装置としては、例えば特許文献1に記載の技術がある。この技術は、端当て検出時に操舵反力アクチュエータで最大反力を発生することで、機械的な端当て感を与えるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−87308号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に記載の技術にあっては、良好な端当て感を与えるためには、運転者が切り込めない程度の大きな操舵反力トルクを出さなければならないため、操舵反力アクチュエータが過熱しやすい。
そこで、本発明は、運転者に良好な端当て感を与えると共に、操舵反力アクチュエータの過熱を防止することができる車両用操舵制御装置及び車両用操舵制御方法を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明の一態様は、ステアバイワイヤ制御中に、ステアリングホイールの切り込み限界付近に達した端当て状態を検出したとき、転舵輪の転舵状態に応じた操舵反力よりも大きい端当て反力を付与して運転者に端当て感を与える反力付与端当て制御を行う。そして、反力付与端当て制御を開始した後、操舵角がクラッチ締結判定角度に達したことを検出すると、クラッチに対して締結指令を出力して運転者に端当て感を与えるクラッチ締結端当て制御を行う。このとき、反力アクチュエータの温度が予め設定した過熱判定温度を超えたとき、当該過熱判定温度を超える前と比較してクラッチ締結判定角度を小さくする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、反力アクチュエータの温度が過熱判定温度を超えている場合は、過熱判定温度を超えていない場合と比較して、端当て状態検出後の少ない切り増しでクラッチ締結端当て制御に切り替えることができる。そのため、反力アクチュエータの温度が最大温度(例えば耐熱温度)に達する前にクラッチ締結端当て制御に切り替え、反力アクチュエータの出力を絞ることができる。したがって、反力アクチュエータの過熱を適切に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本実施形態に係る車両用操舵制御装置を適用したステアバイワイヤシステムの全体構成図である。
【図2】コントローラの構成を示すブロック図である。
【図3】切替判定部21で実行するクラッチ制御処理手順を示すフローチャートである。
【図4】クラッチ締結判定角度(θth)の算出マップである。
【図5】反力リミッタ25のリミット値算出マップである。
【図6】最終反力指令出力部27で実行する最終反力指令出力処理手順を示すフローチャートである。
【図7】端当て時転舵指令角演算部30で実行する端当て時転舵指令角演算処理手順を示すフローチャートである。
【図8】本実施形態の動作を説明する図である。
【図9】クラッチ締結判定角度を固定値としたときの動作を説明する図である。
【図10】クラッチ締結判定角度を固定値としたときの動作を説明する図である。
【図11】コントローラの構成を示すブロック図の別の例である。
【図12】クラッチ締結判定角度(θth)の算出マップの別の例である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
(第1の実施の形態)
(構成)
図1は、本実施形態に係る車両用操舵制御装置を適用したステアバイワイヤシステム(SBWシステム)の全体構成図である。
図1に示すように、運転者が操舵操作可能なステアリングホイール1は、左右前輪(転舵輪)11R,11Lとは機械的に切り離し可能に設ける。ステアリングホイール1は、ステアリングシャフト2に連結する。ステアリングシャフト2には、操舵角センサ3と、反力モータ4と、操舵トルクセンサ5とを設ける。
操舵角センサ3は、ステアリングホイール1の操舵角θsを検出するものであり、エンコーダ等で構成する。
【0009】
反力モータ4は、ステアリングシャフト2にトルクを付加することにより、ステアリングホイール1に操舵反力を与えるためのものである。ここで、上記操舵反力は、運転者がステアリングホイール1を操舵する操作方向とは反対方向へ作用する反力である。この反力モータ4は、ブラシレスモータ等で構成し、コントローラ20が出力する反力モータ駆動電流に応じて駆動する。
反力モータ4には、温度センサ4aを設ける。温度センサ4aは、反力モータ4の温度Tempを検出する。
【0010】
操舵トルクセンサ5は、ステアリングホイール1からステアリングホイール2に伝達する操舵トルクTを検出する。この操舵トルクセンサ5は、トーションバーの捩れ角変位をポテンショメータで検出することで、操舵トルクTを検出する構成となっている。また、操舵トルクセンサ5は、トーションバーの過度の捻りを抑制するために、トーションバーの捻り角度を規制するストッパを備えている。
クラッチ6は、ステアリングホイール1と転舵輪11R,11Lとの間に介装し、コントローラ20からのクラッチ指令(クラッチ指令電流)に従って、解放状態または締結状態に切り換わる。
このクラッチ6は、通常状態では、解放状態となっており、SBWシステムに何らかの異常(例えば操舵反力系の異常)が発生したときに締結状態となる。当該異常が発生してクラッチ6を締結した状態では、操舵系に運転者の操舵負担を軽減するための操舵補助力を付与する操舵補助制御(以下、EPS制御という)を行う。
【0011】
また、このクラッチ6は、運転者がステアリングホイール1を切り込み限界まで操舵した端当て状態(以下、フル転舵状態ともいう)となった後、操舵角θsがクラッチ締結判定角度に達したときにも、締結状態となる。
クラッチ6の解放状態では、ステアリングホイール1と転舵輪11R,11Lとの間のトルク伝達経路が機械的に分離するため、ステアリングホイール1の操舵操作が転舵輪11R,11Lへ伝達しない状態となる。一方、クラッチ6の締結状態では、ステアリングホイール1と転舵輪11R,11Lとの間のトルク伝達経路が機械的に結合するため、ステアリングホイール1の操舵操作が転舵輪11R,11Lへ伝達する状態となる。
【0012】
このクラッチ6は、解放状態で互いに離間し、締結状態で互いに噛合する一対のクラッチ板を有する。一対のクラッチ板は、ステアリングホイール1側に配置する操舵輪側クラッチ板と、転舵輪11R,11L側に配置する転舵輪側クラッチ板とから構成する。
操舵輪側クラッチ板は、ステアリングホイール1と共に回転するステリングシャフト2の一端に取り付けてあり、ステリングシャフト2と共に回転する。一方、転舵輪側クラッチ板は、ピニオンシャフト7の一端に取り付けてあり、ピニオンシャフト7と共に回転する。
【0013】
ピニオンシャフト7の他端には、ピニオンギア12を設ける。ピニオンギア12は、ラック軸13の両端部間に設けたラックギアと噛合する。
ラック軸13の両端は、それぞれタイロッド14及びナックルアーム15を介して、転舵輪11R,11Lに連結する。すなわち、転舵輪11R,11Lは、ピニオンギア12の回転に応じてラック軸13が車幅方向へ変位することで、タイロッド14及びナックルアーム15を介して転舵し、車両の進行方向を変化可能となっている。
【0014】
また、転舵モータ8は、反力モータ4と同様にブラシレスモータ等で構成し、コントローラ20が出力する転舵モータ駆動電流に応じて駆動する。この転舵モータ8は、転舵モータ駆動電流に応じて駆動することにより、転舵輪11R,11Lを転舵するための転舵トルクを出力する。
転舵モータ8の出力軸先端側には、ピニオンギアを用いて形成した転舵出力歯車8aを設ける。そして、転舵出力歯車8aは、ラック軸13の両端部間に設けたラックギアと噛合する。すなわち、転舵輪11R,11Lは、転舵出力歯車8aの回転に応じて転舵可能となっている。
【0015】
さらに、転舵モータ8には、転舵モータ角センサ9を設ける。転舵モータ角センサ9は、転舵モータ8の回転角を検出する。転舵輪11R,11Lの転舵角θrは、転舵出力歯車8aの回転角度と、ラック軸13のラックギアと転舵出力歯車8aとのギア比とによって一意に決定する。そのため、本実施形態では、転舵モータ8の回転角から転舵輪11R,11Lの転舵角θrを求める。
コントローラ20は、操舵角センサ3で検出したステアリングホイール1の操舵角θsと、温度センサ4aで検出した反力モータ温度Tempと、操舵トルクセンサ5で検出した操舵トルクTと、転舵モータ角センサ9で検出した転舵角θrとを入力する。また、コントローラ20は、この他に、他システムのコントローラ16から車速Vやヨーレートγを入力する。
【0016】
そして、クラッチ6の解放状態では、コントローラ20は、ステアリングホイール1の操舵状態に応じて転舵モータ8を駆動制御し、転舵輪11R,11Lを転舵する。これにより、転舵輪11R,11Lの転舵角θrは、操舵状態に応じた転舵指令角に一致する。また同時に、コントローラ20は、転舵輪11R,11Lの転舵状態に応じて反力モータ6を駆動制御し、ステアリングホイール1に操舵反力を付与する。これにより、ステアリングホイール1に路面反力を模擬した操舵反力を与える。このようにして、コントローラ20は、ステアバイワイヤ制御(以下、SBW制御という)を行う。
【0017】
また、端当て状態となったときは、コントローラ20は、転舵状態に応じた通常の操舵反力に対して増大補正量を付加した端当て反力を、ステアリングホイール1に付与する。このようにして、運転者に端当て感を与えるための反力付与端当て制御を行う。
ここで、端当て状態とは、運転者がステアリングホイール1を中立位置から左方向または右方向に操舵し、ラック軸13が最大移動量に達した状態(操舵限界に達した状態)をいう。例えば、端当て状態とは、操舵角θsが最大操舵角(切り込み限界角)に達しており、且つ転舵角θrが最大転舵角(ラックエンド角)に達している状態である。
【0018】
さらに、端当て状態となった後、操舵角θsがクラッチ締結判定角度に達してクラッチ6を締結した状態では、コントローラ20は、運転者に端当て感を与えるための制御として、転舵角を所定転舵角で固定する転舵角固定制御を行う。上記所定転舵角は、例えばラックエンド角とする。この転舵角固定制御を、ここではクラッチ締結端当て制御という。
また、本実施形態では、反力モータ温度Tempが高いほど、通常の操舵反力に付加する増大補正量を小さくする。また同時に、反力モータ温度Tempが高いほど、クラッチ締結判定角度を小さくする。以下、端当て検出時の制御について詳細に説明する。
【0019】
図2は、コントローラ20の構成を示すブロック図である。
この図2に示すように、コントローラ20は、切替判定部21と、クラッチ制御部22とを備える。
切替判定部21は、操舵角θsと転舵角θrと反力モータ温度Tempとに基づいて、図3に示すクラッチ制御処理を実行する。このクラッチ制御処理は、SBW制御中及び反力付与端当て制御中であるときに所定時間毎に繰り返し実行する。
先ずステップS1で、切替判定部21は、転舵角θrが最大転舵角即ちラックエンド角に達しているか否かを判定する。そして、転舵角θrが最大転舵角ではないと判定した場合にはステップS2に移行し、転舵角θrが最大転舵角であると判定した場合には後述するステップS4に移行する。
【0020】
ステップS2では、切替判定部21は、クラッチ6を解放するためのクラッチ指令(クラッチ解放指令)を、クラッチ制御部22に出力し、ステップS3に移行する。
ステップS3では、切替判定部21は、切替判定フラグFlgを、クラッチ6を解放状態としていることを示す“0”にセットする。そして、切替判定フラグFlg=0を後述する最終反力指令出力部27及び転舵指令切替部31に出力してから、クラッチ制御処理を終了する。
ステップS4では、切替判定部21は、クラッチ締結判定角度を算出する。ここで、クラッチ締結判定角度とは、最大操舵角即ち切り込み限界角に所定角度θthを加算した角度とする。所定角度θthは、反力モータ温度Tempに基づいて、図4に示すマップを用いて算出する。
【0021】
図4に示すように、所定角度θthは、反力モータ温度Tempが予め設定した温度Temp1以下であるときに最大値(例えば60度)となり、反力モータ温度Tempが温度Temp1を超えているときは、反力モータ温度Tempが高いほど小さくなる。上記温度Temp1は、反力モータ4が過熱しつつあることを判定するための過熱判定温度であり、反力モータMAX温度(例えば反力モータ4の耐熱温度)付近の温度に設定する。
【0022】
次にステップS5では、切替判定部21は、操舵角θsがクラッチ締結判定角度(=最大操舵角+θth)に達しているか否かを判定する。そして、操舵角θsがクラッチ締結判定角度に達していないと判定した場合には前記ステップS2に移行し、操舵角θsがクラッチ締結判定角度に達していると判定した場合にはステップS6に移行する。
ステップS6では、切替判定部21は、クラッチ6を締結するためのクラッチ指令(クラッチ締結指令)をクラッチ制御部22に出力し、ステップS7に移行する。
【0023】
ステップS7では、切替判定部21は、切替判定フラグFlgを、クラッチ6を締結状態としていることを示す“1”にセットする。そして、切替判定フラグFlg=1を後述する最大反力指令出力部27及び転舵指令切替部31に出力してから、クラッチ制御処理を終了する。
また、切替判定部21は、クラッチ6を締結して転舵角固定制御(クラッチ締結端当て制御)を行っているときにSBW制御への復帰条件が成立すると、最大反力指令出力部27及び転舵指令切替部31に切替判定フラグFlg=0を出力する。また同時に、クラッチ制御部22にクラッチ解放指令を出力する。例えば、ステアリングホイール1の切り戻し操作を検出したとき、SBW制御への復帰条件が成立したと判断する。
【0024】
クラッチ制御部22は、切替判定部21から入力したクラッチ指令に従って、クラッチ6の締結及び締結解除を制御する。
図2に戻って、コントローラ20は、通常反力演算部23と、端当て反力演算部24と、反力リミッタ25と、セレクトハイ部26と、最終反力指令出力部27と、反力制御部28とを備える。
通常反力演算部23は、操舵角θsと車速Vと転舵角θrとに基づいて、目標の反力指令(転舵状態に応じた反力トルク)を演算する。そして、演算した反力指令を通常反力指令Ts0として設定する。通常反力演算部23は、設定した通常反力指令Ts0を、そのままセレクトハイ部26に出力する。
【0025】
端当て反力演算部24は、操舵角θsと車速Vと転舵角θrとを入力する。先ず、端当て反力演算部24は、操舵角θsと転舵角θrとに基づいて端当て状態を検出する。すなわち、操舵角θsが最大操舵角であり、且つ転舵角θrが最大転舵角である状態を、端当て状態として検出する。また、端当て反力演算部24は、操舵角θsと車速Vと転舵角θrとに基づいて、上述した通常反力演算部23と同様に、反力指令(転舵状態に応じた反力トルク)を演算する。
【0026】
そして、端当て反力演算部24は、端当て状態を検出した場合には、演算した反力指令に予め設定した増大補正量を付加したものを端当て反力指令として反力リミッタ25に出力する。一方、端当て状態を検出していない場合には、端当て反力指令=0を反力リミッタ25に出力する。
反力リミッタ25は、端当て反力演算部24から入力した端当て反力指令を、反力モータ温度Tempに応じたリミット値で制限し、その結果をリミット後端当て反力指令Ts1としてセレクトハイ部26に出力する。
【0027】
上記リミット値は、図5に示すマップをもとに算出する。リミット値は、反力モータ温度Tempが予め設定した温度Temp2以下であるときに最大値となり、反力モータ温度Tempが温度Temp2を超えているとき、反力モータ温度Tempが高いほど小さくなる。ここで、上記温度Temp2は、端当て反力指令のリミット開始温度であり、過熱判定温度Temp1よりも低く設定する。
セレクトハイ部26は、通常反力指令Ts0とリミット後端当て反力指令Ts1との大小関係を比較し、大きい方をセレクトハイ後反力指令Ts2として選択する。そして、セレクトハイ部26は、セレクトハイ後反力指令Ts2を最終反力指令出力部27に出力する。
【0028】
このように、端当て状態を検出していない場合は、通常反力指令Ts0をセレクトハイ後反力指令Ts2として出力し、端当て状態を検出した場合は、通常反力指令Ts0とリミット後端当て反力指令Ts1との大きい方をセレクトハイ後反力指令Ts2として出力する。すなわち、反力リミッタ25の作動により、端当て反力の増大補正量のみを制限することになる。
最終反力指令出力部27は、クラッチ締結端当て制御を開始した後、操舵反力を漸減するための漸減処理を行う。具体的には、最終反力指令出力部27は、切替判定フラグFlgを入力し、図6に示す最終反力指令出力処理を実行する。
【0029】
先ずステップS11で、最終反力指令出力部27は、セレクトハイ部26から入力したセレクトハイ後反力指令Ts2を、そのまま最終反力指令Ts*として出力し、ステップS12に移行する。
ステップS12では、最終反力指令出力部27は、漸減処理開始条件が成立しているか否か(セレクトハイ後反力指令Ts2の制限を開始するか否か)を判定する。例えば、切替判定フラグFlgが0から1に切り替わったとき、漸減処理開始条件が成立していると判定する。そして、漸減処理開始条件が成立していない場合には前記ステップS11に移行し、漸減処理開始条件が成立していると判定したら、ステップS13に移行する。
なお、上記ステップS12では、切替判定フラグFlgが0から1に切り替わってから一定時間が経過したとき、漸減処理開始条件が成立したと判定することもできる。
【0030】
ステップS13では、最終反力指令出力部27は、セレクトハイ後反力指令Ts2が一定の変化率で減少するように、セレクトハイ後反力指令Ts2のリミット値を設定する。そして、設定したリミット値でセレクトハイ後反力指令Ts2を制限した結果を、最終反力指令Ts*として出力する。この処理を繰り返し、最終反力指令Ts*が予め設定した制限終了値となったら、最終反力指令出力処理を終了する。
【0031】
反力制御部28は、実反力トルクを最終反力指令Ts*に一致するための反力モータ4への電流指令値(反力モータ駆動電流)を演算し、その電流司令値をもとに反力モータ4を駆動制御する。ここでは、フィードフォワード制御+フィードバック制御+ロバスト補償による反力サーボ制御により、上記電流指令値を演算する。
転舵指令角演算部29は、転舵輪11R,11Lを運転者の操舵に応じた転舵角とするための転舵指令角を演算する。ここでは、操舵角θsに、車速Vに応じて設定したギア比を乗算し、転舵指令角を演算する。そして、転舵指令角演算部29は、演算した転舵指令角を通常転舵指令角θr0として転舵指令切替部31に出力する。
【0032】
端当て時転舵指令角演算部30は、端当て時転舵指令角θr1を演算し、これを転舵指令切替部31に出力する。具体的には、端当て時転舵指令角演算部30は、切替判定部21が切替判定フラグFlg=1を出力したとき、図7に示す端当て時転舵指令角演算処理を実行する。
先ずステップS21で、端当て時転舵指令角演算部30は、端当て時転舵指令角θr1を初期値(例えばラックエンド角)に設定し、ステップS22に移行する。
ステップS22で、端当て時転舵指令角演算部30は、最終反力指令出力部27で漸減処理を開始しているか否か、すなわち最終反力指令Ts*がセレクトハイ後反力指令Ts2を制限した値となっているか否かを判定する。そして、漸減処理を開始していないと判定したときにはそのまま待機し、漸減処理を開始したと判定したらステップS23に移行する。
【0033】
ステップS23では、端当て時転舵指令角演算部30は、次式をもとに端当て時転舵指令角θr1を算出し、ステップS24に移行する。
θr1=S・(|θr1|−Δθr) ………(1)
ここで、Sは端当て時転舵指令角(前回値)θr1の符号を示す定数であり、端当て時転舵指令角θr1が正値であるときには“1”、端当て時転舵指令角θr1が負値であるときには“−1”となる。また、Δθrは端当て時転舵指令角θr1の変化量であり、予め定めた固定値とする。
【0034】
すなわち、端当て時転舵指令角θr1の前回値を、変化量Δθrだけ中立側に戻した値を、端当て時転舵指令角θr1の今回値として設定するものとする。変化量Δθrは、端当て時転舵指令角θr1を変化量Δθrだけ小さくすることで転舵輪11R,11Lが中立側に戻ったときの操舵トルクTの増加分が、同じ時間に最終反力指令出力部27における漸減処理の作動によって減少した操舵反力トルクと一致又は略一致するような値に設定する。
このように、端当て時転舵指令角θr1を一定の変化率で中立側に戻すことで、転舵角θrを一定の変化率で中立側に戻す。
【0035】
ステップS24では、端当て時転舵指令角演算部30は、最終反力指令出力部27での漸減処理が完了しているか否かを判定する。そして、漸減処理が完了していないと判定したときには前記ステップS23に移行し、漸減処理が完了していると判定したときには、その時点での端当て時転舵指令角θr1をそのまま維持して端当て時転舵指令角演算処理を終了する。
転舵指令切替部31は、切替判定部21から切替判定フラグFlg=0を入力している場合には、通常転舵指令角θr0を最終転舵指令角θr*として角度サーボ制御部32に出力する。また、転舵指令切替部31は、切替判定部21から切替判定フラグFlg=1を入力している場合には、端当て時転舵指令角θr1を最終転舵指令角θr*として角度サーボ制御部32に出力する。
【0036】
角度サーボ制御部32は、実転舵角θrが最終転舵指令角θr*と一致するように、転舵モータ8の電流指令値(転舵モータ駆動電流)を演算する。ここで、角度サーボ制御部32は、最終転舵指令角θr*に所定の応答特性で実転舵角θrが追従するように制御演算する角度サーボ制御により、転舵モータ8の電流指令値を演算する。舵角サーボ制御では、フィードフォワード制御+フィードバック制御+ロバスト補償により、上記電流指令値を演算する。
【0037】
このように、コントローラ20は、切替判定部21で端当て状態(フル転舵)を検出したとき、通常の操舵反力に対して増大補正量を付加した端当て反力をステアリングホイール1に付与する。このようにして、反力付与端当て制御を行う。その後、コントローラ20は、操舵角θsがクラッチ締結判定角度(最大操舵角+θth)に達したことを検出すると、クラッチ6を締結し、転舵輪11R,11Lを所定の転舵角に固定する。このようにして、クラッチ締結端当て制御に切り替える。
また、このとき、反力モータ温度Tempを監視し、反力モータ温度Tempが高いほど上記増大補正量を小さくすると共に、反力モータ温度Tempが高いほどクラッチ締結判定角度を小さくする。
【0038】
(動作)
次に、第1の実施形態の動作について説明する。
本SBWシステムは、クラッチ6の締結を解除した状態でSBW制御を実行する。
SBW制御中に運転者がステアリング操作を行うと、操舵角センサ3は運転者が入力した操舵角θsを検出する。そして、コントローラ20は、実転舵角が、操舵角センサ3が検出した操舵角θsに応じた転舵量となるように転舵モータ8を駆動制御する。これにより、転舵輪11R,11Lが転舵する。
また、転舵輪11R,11Lの転舵によって、路面から転舵輪11R,11Lへ路面反力が入力する。そのため、コントローラ20は、反力モータ4を駆動制御して、実路面反力に相当する操舵反力をステアリングホイール1に付与する。
このようにしてSBW制御を行うことで、運転者は自身の感覚に合致したステアリング操作を行うことができる。
【0039】
このSBW制御中に、運転者がステアリングホイール1の切り込み操作を行い、図8の時刻t1の直前で切り込み限界に達すると、操舵角センサ3は最大操舵角θsを検出する。また、その操舵角θsに応じた転舵量となるように転舵モータ8を駆動制御することで、転舵輪11R,11Lは最大転舵角まで転舵する。そのため、転舵モータ角度センサ9は最大転舵角θrを検出する。
すると、コントローラ20は、時刻t1で、通常反力指令Ts0に増大補正量を付加した端当て反力指令を、最終反力指令Ts*として設定する。この時刻t1では、反力モータ温度Tempは反力リミット開始温度Temp2以下であるため、反力リミッタによる端当て反力の制限は非作動である。また、クラッチ6は解放状態であり、切替判定フラグFlg=0であるため(図6のステップS12でNo)、操舵反力の漸減処理も非作動である。そのため、このときの最終反力指令Ts*は、端当て反力演算部24が出力する端当て反力指令となる。このように、端当て状態検出時には、比較的大きな操舵反力トルクを出すことで、運転者に対して端当て感を与えることができる。
【0040】
この端当て状態から、運転者がさらにステアリングホイール1を切り増し方向に操作すると、操舵角θsは最大操舵角から増大する。このとき、クラッチ6は解放状態であるため、ステアリングホイール1だけが回転することになる。
このとき、図8に示すように、操舵角θsがクラッチ締結判定角度(最大操舵角+θth)を下回っている状態で運転者が保舵すると、コントローラ20は端当て反力のフル状態をそのまま維持する。すると、反力モータ温度Tempは急激に上昇する。
そして、時刻t2で反力モータ温度Tempが反力リミット開始温度Temp2に達すると、コントローラ20は、反力リミッタを作動し、端当て反力指令に制限をかける。これにより、最終反力指令Ts*は、時刻t2以前と比較して小さくなる。
【0041】
このように、反力モータ温度Tempを監視し、反力モータ温度Tempが反力リミット開始温度Temp2に達したとき、操舵反力を絞る。そのため、反力モータ温度Tempの急激な上昇を抑えることができる。すなわち、図8の一点鎖線に示すように反力モータ温度Tempが反力モータMAX温度(例えば耐熱温度)に達してしまうのを防止することができる。
時刻t2以降は、操舵反力は、反力モータ温度Tempの上昇に応じて低下する。上述したように、操舵反力にリミッタをかけたことで反力モータ温度Tempの上昇は緩やかになっているため、時刻t2以降は、操舵反力は緩やかに低下することになる。なお、このとき、運転者はステアリングホイール1を保舵しているが、操舵反力の低下によりハンドルが切れ込み、操舵角θsは若干大きくなる。
【0042】
図2において、反力リミッタ25による端当て反力指令の制限により、リミット後端当て反力指令Ts1が通常反力指令Ts0を下回ると、セレクトハイ後反力指令Ts2として通常反力指令Ts0を出力する。すなわち、この反力リミッタ処理は、端当て反力の増大補正量のみを制限する処理である。したがって、通常操舵に対しては操舵反力の変化はなく、自然な操舵感が得られる。
そして、その後も緩やかに反力モータ温度Tempが上昇し、時刻t3で、反力モータ温度Tempが過熱判定温度Temp1に達すると、コントローラ20は、反力モータ温度Tempに応じてクラッチ締結判定角度(最大操舵角+θth)を変更する。具体的には、反力モータ温度Tempの上昇に応じて、θthを小さくすることで、クラッチ締結判定角度を小さくする。
【0043】
そして、時刻t4で、操舵角θsとクラッチ締結判定角度とが一致すると(図3のステップS5でYes)、コントローラ20は、クラッチ締結指令によってクラッチ6を解放状態から締結状態へ切り替える制御を行う(ステップS6)。また、同時に、最終転舵指令角θr*を端当て時転舵指令角θr1に固定する(図7のステップS21)。このときの最終転舵指令角θr*は、最大転舵角(ラックエンド角)となる。
これにより、転舵輪11R,11Lの転舵角は、端当て時転舵指令角θr1で固定となる。このとき、ステアリングホイール1と転舵輪11R,11Lとは、クラッチ6を介して機械的に連結している。そのため、転舵輪11R,11Lの転舵角を固定することで、ステアリングホイール1をそれ以上切り込めないようにすることができる。すなわち、運転者に対して良好な端当て感を与えることができる。
【0044】
また、時刻t4で、コントローラ20は、操舵反力の漸減処理を開始すると判断する(図6のステップS12でYes)。これにより、操舵反力を一定の割合で徐々に絞る(ステップS13)。また、コントローラ20は、漸減処理により操舵反力を絞るのと同時に、端当て時転舵指令角θr1を一定の変化量Δθrずつ小さくする(図7のステップS23)。すなわち、転舵輪11R,11Lの転舵角θrを、最大転舵角(ラックエンド角)から徐々に中立側に戻す。この漸減処理では、反力変化率及び転舵変化率をそれぞれ一定の変化率とし、操舵反力及び転舵角がそれぞれ一定の変化速度で変化するようにする。
【0045】
コントローラ20は、最終反力指令Ts*を、予め設定した制限終了値となるまで一定の変化率で小さくし、それと同時に、最終転舵指令角θr*を一定の変化量Δθrずつ小さくする。そして、最終反力指令Ts*が制限終了値となって漸減処理が完了すると(ステップS24でYes)、コントローラ20は、最終転舵指令角θr*をその時点での値で維持し、転舵輪11R,11Lを中立側に戻す動作を終了する。
この一連の処理では、転舵を戻した分、トーションバーが捩れて操舵トルクTが増加するが、同時に漸減処理により操舵反力トルクを減少しており、操舵トルクTの増加分と操舵反力トルクの減少分とが同程度となっている。そのため、ハンドルに加わるトルクの変化を抑制することができる。したがって、ハンドルの切れ込み感や切り戻し感を抑制しつつ、反力モータ4の出力を低下することができる。
【0046】
このように、ハンドルに加わるトルクが略一定となるように、操舵反力と転舵角とを協調制御する。その結果、操舵の違和感を極力与えないように操舵反力を絞り、反力モータ4の冷却効果を得ることができる。
以上のように、本実施形態では、クラッチ解放状態で端当て反力を付与して端当て感を与える反力付与端当て制御と、クラッチ締結状態で転舵角固定制御により端当て感を与えるクラッチ締結端当て制御とを併用する。
【0047】
ところで、端当て反力の付与のみでステアリングホイールを切り込めないようにするためには、非常に大きな操舵反力トルクを出す必要があり、反力モータが過熱してしまう。また、端当て状態を検出したときに直ぐにクラッチ締結端当て制御を行うようにすると、端当て状態となる度にクラッチ作動音が発生して煩わしい。
本実施形態では、反力付与端当て制御とクラッチ締結端当て制御とを併用し、フル転舵となって反力付与端当て制御により端当て反力を付与したとき、そのままハンドル切り増し操作を継続した場合に限り、クラッチ締結端当て制御を行う。したがって、クラッチ6の締結頻度を低減することができる。
【0048】
また、反力付与端当て制御では、運転者が切り込めない程度の大きな操舵反力トルクを出す必要がない。さらに、クラッチ締結端当て制御では、転舵角固定制御により端当て感を与えるため、反力モータ4の出力を低下することができる。そのため、反力モータ4の過熱を防止することができる。
このように、本実施形態では、反力モータ4の過熱防止とクラッチ作動音の発生頻度の低減とを実現しつつ、運転者に端当て感を与えることができる。
そして、時刻t4以降にSBW制御への復帰条件が成立すると、コントローラ20は、クラッチ解放指令によってクラッチ6を締結状態から解放状態へ切り替える制御を行う。また、同時に、コントローラ20は、通常転舵指令角θr0を最終転舵指令角θr*として設定すると共に、通常反力指令Ts0を最終反力指令Ts*として設定する。このようにして、通常のSBW制御に復帰する。
【0049】
なお、通常反力指令Ts0を最終反力指令Ts*として設定する場合には、最終反力指令Ts*の変化を速やかに行うようにする。これにより、素早くSBW制御に復帰することができる。但し、通常反力指令Ts0を最終反力指令Ts*として設定する場合に、最終反力指令Ts*の変化を緩やかに行うようにしてもよい。これにより、SBW制御への復帰時における急激な反力変動を抑制することができる。
【0050】
次に、仮にクラッチ締結判定角度(最大操舵角+θth)を固定値とし、反力リミッタを常に非作動とした場合の動作について、図9及び図10を参照しながら説明する。
運転者がステアリングホイール1の切り込み操作を行い、切り込み限界に達すると、コントローラ20は、図9の時刻t11で端当て状態を検出し、端当て反力を付与して運転者に端当て感を与える反力付与端当て制御を行う。
このとき、運転者が速い操舵、若しくは強い操舵を行っており、端当て反力を付与したにもかかわらず、時刻t12で操舵角θsがクラッチ締結判定角度(固定値)に達すると、クラッチ締結端当て制御に切り替わる。したがって、この時刻t12以降は、漸減処理により最終反力指令Ts*が低下する。
このように、端当て状態となって端当て反力を付与した後、反力モータ温度Tempが反力モータMAX温度に達する前に操舵角θsがクラッチ締結判定角度に達した場合は、反力モータの出力を低下し、反力モータを冷却することができる。
【0051】
しかしながら、図10に示すように、時刻t21で端当て状態となった後、操舵角θsがクラッチ締結判定角度に達する前に運転者がステアリングホイールを保舵すると、保舵状態である間、端当て反力をフル状態で付与した状態を維持することになる。そのため、反力モータ温度Tempは、保舵開始以降、急激に上昇を続ける。すると、時刻t22で、反力モータ温度Tempが反力モータMAX温度に達してしまう。
これに対して、本実施形態では、クラッチ解放状態で端当て反力を付与する反力付与端当て制御中に、反力モータ温度Tempが反力リミット開始温度Temp2に達した場合、反力リミッタにより操舵反力を絞るようにする。そのため、操舵角θsがクラッチ締結判定角度に達する前に保舵した場合であっても、反力モータ温度Tempの急激な上昇を防止し、反力モータ温度Tempが反力モータMAX温度に達してしまうのを防止することができる。
【0052】
また、反力モータ温度Tempが過熱判定温度Temp1を越えたとき、反力モータ温度Tempが高いほどクラッチ締結判定角度を小さくする。これにより、端当て状態となってからクラッチ6を締結するまでの切れ込み角度を小さくすることができるので、反力付与端当て制御中の反力リミッタの作動により操舵反力が低下したときのハンドル切れ込みの違和感を軽減することができる。さらに、反力モータ温度Tempが高いほどクラッチ締結端当て制御に移行しやすくなるので、反力付与端当て制御を長時間継続することに起因する反力モータ4の過熱を防止することができる。
【0053】
また、反力モータ温度Tempが過熱判定温度Temp1以下である通常時には、クラッチ締結判定角度を比較的大きな値に設定しておくことで、運転者に端当て感を与える制御をなるべく反力付与端当て制御のみで実現するようにすることができる。したがって、通常時には、クラッチ締結端当て制御の作動を抑制しクラッチ6の作動音(締結音)の発生を抑制することができる。
このように、反力モータ温度Tempに応じてクラッチ締結判定角度を変更することにより、ハンドル切りこみ違和感の軽減とクラッチ締結時における作動音の抑制とを両立することができる。
【0054】
なお、図1において、反力モータ4が反力アクチュエータに対応し、転舵モータ8が転舵アクチュエータに対応し、コントローラ20が操舵制御部に対応している。また、温度センサ4aが温度検出部に対応し、コントローラ16が車速検出部に対応している。
また、図2において、端当て反力演算部24が端当て検出部に対応し、端当て反力演算部24及び反力制御部28が反力付与端当て制御部に対応し、反力リミッタ25及びセレクトハイ部26が反力リミット部に対応している。さらに、切替判定部21がクラッチ締結判定角度変更部に対応し、クラッチ制御部22、転舵指令切替部31及び角度サーボ制御部32がクラッチ締結端当て制御部に対応している。また、最終反力指令出力部27が反力漸減処理部に対応している。
【0055】
(効果)
第1の実施形態では、以下の効果が得られる。
(1)コントローラ20は、クラッチ6の締結を解除した状態でSBW制御を行う。このSBW制御中に端当て状態を検出すると、コントローラ20は、端当て反力(通常の操舵反力+増大補正量)を付与して運転者に端当て感を与える反力付与端当て制御を行う。また、反力付与端当て制御中に、操舵角θsがクラッチ締結判定角度に達すると、クラッチ6に対して締結指令を出力し、運転者に端当て感を与えるクラッチ締結端当て制御を行う。そして、反力モータ温度Tempが過熱判定温度Temp1を超えたときは、過熱判定温度Temp1を超える前と比較してクラッチ締結判定角度を小さくする。
【0056】
これにより、切り込み限界に達したときには、端当て反力の付与によりステアリングホイール1を介して運転者に端当て感を与えることができる。また、端当て反力を付与したにもかかわらずハンドルをさらに切り込んだ場合には、クラッチ締結端当て制御に切り替え、より良好な端当て感を与えることができる。
そして、反力モータ温度Tempが過熱判定温度Temp1を超えている場合は、反力付与端当て制御からクラッチ締結端当て制御へ切り替えやすくすることができる。したがって、反力モータ4の過熱保護と良好な端当て感の付与との両立を図ることができる。また、通常はクラッチ締結判定角度を比較的大きく設定しておくことで、不必要にクラッチ締結端当て制御に切り替えるのを抑制することができる。そのため、クラッチ締結端当て制御に切り替わるときのクラッチ締結音の発生頻度を低減することができる。
【0057】
(2)コントローラ20は、反力モータ温度Tempが過熱判定温度Temp1を超えたとき、反力モータ温度Tempが高いほどクラッチ締結判定角度を小さくする。
これにより、反力モータ温度Tempが高いほど、クラッチ締結端当て制御に切り替えやすくすることができる。したがって、反力モータ4の過熱を確実に防止することができる。
【0058】
(3)コントローラ20は、反力付与端当て制御を開始した後、反力モータ温度Tempが反力リミット開始温度Temp2を超えたとき、反力リミット開始温度Temp2を越える前と比較して端当て反力の増大補正量を小さくする。
これにより、反力モータ温度Tempが高い場合は、反力リミッタを作動して端当て反力を絞ることができるので、反力モータ4の過熱を確実に防止することができる。また、端当て反力の増大補正量のみを制限するので、通常操舵に対しては自然な操舵感を確保することができる。
さらに、当該反力リミッタの作動により端当て反力を制限した場合、ハンドル切り増し時におけるハンドルのバネ感や空走感が目立つことになるが、反力モータ温度Tempに応じてクラッチ締結判定角度を小さくしているため、違和感を軽減することができる。
【0059】
(4)コントローラ20は、反力モータ温度Tempが反力リミット開始温度Temp2を超えたとき、反力モータ温度Tempが高いほど端当て反力の増大補正量を小さくする。
これにより、反力モータ温度Tempが高いほど、端当て反力を大きく絞ることができる。したがって、反力モータ4の過熱を確実に防止することができる。
【0060】
(5)コントローラ20は、反力リミット開始温度Temp2を、過熱判定温度Temp1よりも低く設定している。
これにより、反力付与端当て制御を開始した後に反力モータ温度Tempが上昇した場合、先ず反力リミッタの作動により端当て反力を制限して、反力モータ温度Tempの上昇を抑える。そして、その後、反力モータ温度Tempの更なる上昇に応じてクラッチ締結判定角度を小さくする。したがって、反力モータ4の確実な過熱防止と、反力リミッタ作動による切り込み違和感の軽減とを適切に実現することができる。
【0061】
(6)コントローラ20は、クラッチ締結端当て制御を開始した後、ステアリングホイール1に付与している操舵反力を漸減する漸減処理を行う。
このように、反力付与端当て制御からクラッチ締結端当て制御に切り替えた後は、反力モータ4の出力を絞ることができるので、反力モータ4の冷却効果が得られる。
【0062】
(7)コントローラ20は、転舵角θrが最大転舵角で、且つ操舵角θsが最大操舵角である状態を、端当て状態として検出する。
このように、転舵角θr及び操舵角θsがそれぞれ最大転舵角及び最大操舵角に達しているか否かを監視するので、適切に切り込み限界に達した状態を検出することができる。したがって、適切に反力付与端当て制御を開始することができる。
【0063】
(8)SBW制御中に端当て状態を検出したとき、端当て反力を付与して、運転者に端当て感を与える反力付与端当て制御を行い、その後、操舵角θsがクラッチ締結判定角度に達したら、クラッチ6を締結して運転者に端当て感を与えるクラッチ締結端当て制御を行う。このとき、反力モータ温度Tempが過熱判定温度Temp1を超えたとき、過熱判定温度Temp1を超える前と比較してクラッチ締結判定角度を小さくする。
これにより、切り込み限界に達した場合には、反力モータ4の過熱を防止しつつ、運転者に良好な端当て感を与えることができる。
【0064】
(変形例)
(1)上記実施形態においては、車速Vに応じてクラッチ締結判定角度を変更することもできる。この場合、図11に示すように、切替判定部21に代えて切替判定部33を設け、この切替判定部33に、操舵角θs、転舵角θr及び反力モータ温度Tempに加えて車速Vを入力するようにする。そして、切替判定部33で、以下の処理を行う。
先ず、車速Vに基づいて、図12に示すマップを用いて角度θthを算出する。ここで、図12に示すように、角度θthは、車速Vが予め設定した車速V1以下であるときに最大値となり、車速Vが予め設定した車速V2を超えているときに最小値となる。また、車速Vが車速V1よりも速く車速V2以下であるときは、上記最大値から上記最小値に向けて、車速Vが速いほど小さくなる。
【0065】
次に、車速Vに応じて算出した角度θthと、上述した図4のマップを用い反力モータ温度Tempに応じて算出した角度θthとをセレクトローする。そして、その結果を最終的な角度θthとし、クラッチ締結判定角度(最大操舵角+θth)を算出する。
クイックなギア比を採用している低速走行時は、フル転舵時のハンドル切れ込みが小さいため、クラッチ締結判定角度が大きくてもスパイラスケーブルが切れる心配はない。これに対して、スローなギア比を採用している高速走行時は、フル転舵時のハンドル切れ込みが大きいため、クラッチ締結判定角度を小さくしないとスパイラルケーブルが切れてしまうおそれがある。そこで、車速V1以下の低速走行時にはクラッチ締結判定角度を大きくし、車速V2を越える高速走行時にはクラッチ締結判定角度を小さくする。
このように、車速Vに応じてクラッチ締結判定角度を変更することで、高速走行時におけるスパイラルケーブル切れを防止することができる。
【0066】
(2)上記実施形態においては、端当て状態を検出した後の反力付与端当て制御の継続時間に応じて、クラッチ締結判定角度を変更することもできる。ここでは、反力付与端当て制御の継続時間が長いほど、角度θthを小さく算出する。次に、反力付与端当て制御の継続時間に応じて算出した角度θthと、上述した図4のマップを用い反力モータ温度Tempに応じて算出した角度θthとをセレクトローする。なお、上述した車速Vに応じて算出した角度θthも含めてセレクトローするようにしてもよい。そして、その結果を最終的な角度θthとし、クラッチ締結判定角度(最大操舵角+θth)を算出する。
これにより、反力付与端当て制御を長時間に亘って継続するのを防止することができる。したがって、反力モータ4の過熱を効果的に防止することができる。
【0067】
(3)上記実施形態においては、反力リミッタ25を省略することもできる。この場合、端当て状態となった後、運転者がステアリングホイール1を保舵した場合、反力モータ温度Tempが上昇しても端当て反力の制限を行わないことになる。しかしながら、反力モータ温度Tempの上昇に伴って、クラッチ締結判定角度が保舵した操舵角θsまで小さくなると、クラッチ締結端当て制御に切り替えて操舵反力の漸減処理を行うことができる。したがって、反力モータ4の過熱を防止することができる。
【0068】
(4)上記実施形態においては、転舵角θr及び操舵角θsの何れか一方のみを監視し、転舵角θrが最大転舵角に達する状態、又は操舵角θsが最大操舵角に達する状態を、端当て状態として検出することもできる。これにより、ギア比の変化により操舵角θsと転舵角θrとの関係が変化した場合に対応することができ、端当て状態の誤検出を抑制することができる。
また、最終転舵角指令θr*が予め設定した最大転舵角指令である状態を、端当て状態として検出することもできる。更には、転舵角θr、操舵角θs及び最終転舵角指令θr*の組み合わせにより端当て状態を検出することもできる。
【0069】
(5)上記実施形態においては、温度センサ4aによって反力モータ4の温度を検出する場合について説明したが、反力モータ4の相電流に基づいて反力モータ4の温度を推定するようにしてもよい。また、温度センサ4aによる反力モータ4の温度検出値と、反力モータ4の相電流に基づく反力モータ4の温度推定値とをセレクトハイし、その結果を反力モータ温度Tempとして採用するようにしてもよい。さらに、反力モータ温度Tempとしては、反力ECU(反力ドライバ)の温度を用いることもできる。
【産業上の利用の可能性】
【0070】
本発明に係る車両用操舵制御装置によれば、
反力アクチュエータの温度が過熱判定温度を超えている場合は、過熱判定温度を超えていない場合と比較して、端当て状態検出後の少ない切り増しでクラッチ締結端当て制御に切り替えることができる。そのため、反力アクチュエータの温度が最大温度(例えば耐熱温度)に達する前にクラッチ締結端当て制御に切り替え、反力アクチュエータの出力を絞ることができ、反力アクチュエータの過熱を適切に防止することができるため、有用である。
【符号の説明】
【0071】
1…ステアリングホイール、2…ステアリングシャフト、3…操舵角センサ、4…反力モータ、4a…温度センサ、5…操舵トルクセンサ、6…クラッチ、7…ピニオンシャフト、8…転舵モータ、8a…転舵出力歯車、9…転舵モータ角センサ、11R,11L…転舵輪、12…ピニオンギア、13…ラック軸、14…タイロッド、15…ナックルアーム、20…コントローラ
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】

【手続補正書】
【提出日】20140217
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステアリングホイール及び該ステアリングホイールに操舵反力を付与する反力アクチュエータを有する操舵部と、
転舵輪及び該転舵輪を転舵する転舵機構を駆動する転舵アクチュエータを有する転舵部と、
前記操舵部と前記転舵部とを機械的に連結及び連結解除可能なクラッチと、
前記クラッチの締結を解除した状態で、前記転舵輪の転舵角を、前記ステアリングホイールの操舵状態に応じた転舵指令角とするべく前記転舵アクチュエータを駆動制御すると共に、前記ステアリングホイールに、前記転舵輪の転舵状態に応じた操舵反力を付与するべく前記反力アクチュエータを駆動制御するステアバイワイヤ制御を行う操舵制御部と、
前記操舵制御部によるステアバイワイヤ制御中に、前記ステアリングホイールの切り込み限界付近に達した端当て状態を検出する端当て検出部と、
前記端当て検出部で端当て状態を検出したとき、前記ステアリングホイールに、前記転舵輪の転舵状態に応じた操舵反力よりも大きい端当て反力を付与するべく前記反力アクチュエータを駆動制御して、運転者に端当て感を与える反力付与端当て制御を行う反力付与端当て制御部と、
前記反力付与端当て制御部による反力付与端当て制御を開始した後、前記ステアリングホイールの操舵角がクラッチ締結判定角度に達したことを検出したとき、前記クラッチに対して締結指令を出力して運転者に端当て感を与えるクラッチ締結端当て制御を行うクラッチ締結端当て制御部と、
前記反力アクチュエータの温度を検出する温度検出部と、
前記温度検出部で検出した前記反力アクチュエータの温度が予め設定した過熱判定温度を超えたとき、当該過熱判定温度を超える前と比較して前記クラッチ締結判定角度を小さくするクラッチ締結判定角度変更部と、を備え、
前記クラッチ締結判定角度は前記端当て状態を検出したときの操舵角よりも大きいことを特徴とする車両用操舵制御装置。
【請求項2】
前記クラッチ締結判定角度変更部は、
前記温度検出部で検出した前記反力アクチュエータの温度が予め設定した過熱判定温度を超えたとき、当該反力アクチュエータの温度が高いほど前記クラッチ締結判定角度を小さくすることを特徴とする請求項1に記載の車両用操舵制御装置。
【請求項3】
車速を検出する車速検出部を備え、
前記クラッチ締結判定角度変更部は、
前記車速検出部で検出した車速が高いほど、前記クラッチ締結判定角度を小さくすることを特徴とする請求項1又は2に記載の車両用操舵制御装置。
【請求項4】
前記クラッチ締結判定角度変更部は、
前記反力付与端当て制御部による反力付与端当て制御を開始してからの経過時間が長いほど、前記クラッチ締結判定角度を小さくすることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の車両用操舵制御装置。
【請求項5】
前記反力付与端当て制御部は、前記反力付与端当て制御として、前記端当て検出部で端当て状態を検出したとき、前記ステアリングホイールに、前記転舵輪の転舵状態に応じた操舵反力に増大補正量を付加した端当て反力を付与するものであって、
前記反力付与端当て制御部による反力付与端当て制御を開始した後、前記温度検出部で検出した前記反力アクチュエータの温度が予め設定した反力リミット開始温度を超えたとき、当該反力リミット開始温度を越える前と比較して前記増大補正量を小さくする反力リミット部を備えることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の車両用操舵制御装置。
【請求項6】
前記反力リミット部は、
前記温度検出部で検出した前記反力アクチュエータの温度が前記反力リミット開始温度を超えたとき、当該反力アクチュエータの温度が高いほど前記増大補正量を小さくすることを特徴とする請求項5に記載の車両用操舵制御装置。
【請求項7】
前記反力リミット開始温度は、前記過熱判定温度よりも低く設定されていることを特徴とする請求項5又は6に記載の車両用操舵制御装置。
【請求項8】
前記クラッチ締結端当て制御部によりクラッチ締結端当て制御を開始した後、前記ステアリングホイールに付与している操舵反力を漸減する反力漸減処理部を備えることを特徴とする請求項1〜7の何れか1項に記載の車両用操舵制御装置。
【請求項9】
前記端当て検出部は、前記転舵輪の転舵角が予め定めた最大転舵角に達する状態、及び前記ステアリングホイールの操舵角が予め定めた最大操舵角に達する状態の少なくとも一方の状態を、前記ステアリングホイールの切り込み限界付近に達した端当て状態として検出することを特徴とする請求項1〜8の何れか1項に記載の車両用操舵制御装置。
【請求項10】
ステアリングホイール及び該ステアリングホイールに操舵反力を付与する反力アクチュエータを有する操舵部と、
転舵輪及び該転舵輪を転舵する転舵機構を駆動する転舵アクチュエータを有する転舵部と、
前記操舵部と前記転舵部とを機械的に連結及び連結解除可能なクラッチと、を備える車両用操舵制御方法であって、
前記クラッチの締結を解除した状態で、前記転舵輪の転舵角を、前記ステアリングホイールの操舵状態に応じた転舵指令角とするべく前記転舵アクチュエータを駆動制御すると共に、前記ステアリングホイールに、前記転舵輪の転舵状態に応じた操舵反力を付与するべく前記反力アクチュエータを駆動制御するステアバイワイヤ制御中に、前記ステアリングホイールの切り込み限界付近に達した端当て状態を検出したとき、前記ステアリングホイールに、前記転舵輪の転舵状態に応じた操舵反力よりも大きい端当て反力を付与するべく前記反力アクチュエータを駆動制御して、運転者に端当て感を与える反力付与端当て制御を行い、前記反力付与端当て制御を開始した後、前記ステアリングホイールの操舵角がクラッチ締結判定角度に達したことを検出したとき、前記クラッチに対して締結指令を出力して運転者に端当て感を与えるクラッチ締結端当て制御を行うに際し、
前記反力アクチュエータの温度が予め設定した過熱判定温度を超えたとき、当該過熱判定温度を超える前と比較して前記クラッチ締結判定角度を小さくし、前記クラッチ締結判定角度は前記端当て状態に達したときの操舵角よりも大きいことを特徴とする車両用操舵制御方法。
【国際調査報告】