(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO2014054310
(43)【国際公開日】20140410
【発行日】20160825
(54)【発明の名称】ヒートポンプ装置
(51)【国際特許分類】
   F25B 5/02 20060101AFI20160729BHJP
   F25B 6/02 20060101ALI20160729BHJP
   F25B 30/06 20060101ALI20160729BHJP
【FI】
   !F25B5/02 530D
   !F25B6/02 H
   !F25B30/06 T
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】22
【出願番号】2014539624
(21)【国際出願番号】JP2013063731
(22)【国際出願日】20130516
(31)【優先権主張番号】PCT/JP2012/076007
(32)【優先日】20121005
(33)【優先権主張国】JP
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KM,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC
(71)【出願人】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
【住所又は居所】東京都千代田区丸の内二丁目7番3号
(74)【代理人】
【識別番号】100098604
【弁理士】
【氏名又は名称】安島 清
(74)【代理人】
【識別番号】100087620
【弁理士】
【氏名又は名称】高梨 範夫
(74)【代理人】
【識別番号】100125494
【弁理士】
【氏名又は名称】山東 元希
(74)【代理人】
【識別番号】100153936
【弁理士】
【氏名又は名称】村田 健誠
(74)【代理人】
【識別番号】100160831
【弁理士】
【氏名又は名称】大谷 元
(74)【代理人】
【識別番号】100166084
【弁理士】
【氏名又は名称】横井 堅太郎
(72)【発明者】
【氏名】加藤 央平
【住所又は居所】東京都千代田区丸の内二丁目7番3号 三菱電機株式会社内
(57)【要約】
外気とその他の熱源との両方から採熱するヒートポンプ装置40であって、制御装置30は、外気温度及び地中温度に加え、空気熱源熱交換器5a及び地中熱源熱交換器5bのそれぞれの熱交換性能を用いて熱交換量を算出する。そして、制御装置30は、空気熱源熱交換器5aと地中熱源熱交換器5bとの両方に冷媒を流す同時運転と、空気熱源熱交換器5a又は地中熱源熱交換器5bを選択して冷媒を流す単独運転とを切り替えるにあたり、算出した熱交換量の大きい方を熱源として選択する。これにより、運転条件に合わせた適切な熱源を選択することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮機と、利用側熱交換器の冷媒流路と、第一減圧装置と、第一熱源である外気を熱源として用いる第一熱源熱交換器とが順次接続された第一回路と、第二減圧装置及び第二熱源熱交換器の冷媒流路を直列に接続して構成され、前記第一回路の前記第一減圧装置及び前記第一熱源熱交換器に並列に接続された第二回路とを備えた冷媒回路と、
前記第二熱源熱交換器の熱交換媒体流路を備え、外気とは別の熱源と熱交換して前記別の熱源の熱を吸熱する第二熱源である熱交換媒体が循環する熱交換媒体回路と、
前記第一熱源熱交換器と前記第二熱源熱交換器との両方に冷媒を流す同時運転と、前記第一熱源熱交換器又は前記第二熱源熱交換器を選択して冷媒を流す単独運転とを、前記第一熱源熱交換器及び前記第二熱源熱交換器のそれぞれにおける熱交換量に従って切り替える制御装置とを備えたことを特徴とするヒートポンプ装置。
【請求項2】
前記第一熱源の温度を検出する第一熱源温度検出器と、
前記第二熱源の温度を検出する第二熱源温度検出器と、
前記第一熱源熱交換器及び前記第二熱源熱交換器それぞれの現在の熱交換性能を算出するための情報を記憶する記憶装置と、を備え、
前記制御装置は、前記同時運転から前記単独運転に切り替えるにあたり、
前記記憶装置に記憶された前記情報と、前記第一熱源温度検出器により検出された前記第一熱源の温度と、前記第二熱源温度検出器により検出された前記第二熱源の温度とに基づいて、前記第一熱源熱交換器及び前記第二熱源熱交換器のそれぞれにおける熱交換量を算出し、熱交換量が多い方を選択することを特徴とする請求項1に記載のヒートポンプ装置。
【請求項3】
前記制御装置は、前記単独運転に切り替えるにあたり、前記第一熱源の温度が前記第二熱源の温度よりも小さい場合でも、前記第一熱源熱交換器の熱交換量が前記第二熱源熱交換器の熱交換量よりも大きい場合は、前記第一熱源熱交換器を選択することを特徴とする請求項2記載のヒートポンプ装置。
【請求項4】
前記制御装置は、前記単独運転に切り替えるにあたり、前記第二熱源の温度が前記第一熱源の温度よりも小さい場合でも、前記第二熱源熱交換器の熱交換量が前記第二熱源熱交換器の熱交換量よりも大きい場合は、前記第二熱源熱交換器を選択することを特徴とする請求項2記載のヒートポンプ装置。
【請求項5】
前記第一熱源熱交換器に前記第一熱源を送風するファンと、
前記熱交換媒体回路に備えられ、前記第二熱源を循環させるポンプとを備え、
前記記憶装置に記憶された前記情報は、前記圧縮機の回転数、前記ファンの回転数及び前記ポンプの回転数を含む現在の運転条件を用いて、前記第一熱源熱交換器及び前記第二熱源熱交換器それぞれの熱交換性能に換算するのに必要な情報であることを特徴とする請求項2〜請求項4の何れか一項に記載のヒートポンプ装置。
【請求項6】
前記制御装置は、前記同時運転から前記単独運転に切り替えるにあたり、
前記第一減圧装置の開度と前記第二減圧装置の開度との比較に基づいて、前記第一熱源熱交換器の熱交換量と前記第二熱源熱交換器の熱交換量との大小を判断し、熱交換量が多い方を選択することを特徴とする請求項1に記載のヒートポンプ装置。
【請求項7】
前記第一熱源の温度を検出する第一熱源温度検出器と、
前記第二熱源の温度を検出する第二熱源温度検出器と、
前記第一熱源熱交換器及び前記第二熱源熱交換器それぞれの現在の熱交換性能を算出するための情報を記憶する記憶装置と、を備え、
前記制御装置は、前記同時運転から前記単独運転に切り替えるにあたり、
前記利用側熱交換器の利用側回路を流れる利用側熱媒の出入口温度と、前記利用側回路を流れる利用側熱媒体の流量と、前記圧縮機の入力と、から熱源側の熱交換量を算出し、
前記記憶装置に記憶された前記情報と、前記第一熱源温度検出器により検出された前記第一熱源の温度と、前記第二熱源温度検出器により検出された前記第二熱源の温度とに基づいて、前記第一熱源熱交換器又は前記第二熱源熱交換器の熱交換量を算出し、
前記熱源側の熱交換量と第一熱源熱交換器又は前記第二熱源熱交換器の熱交換量との比較から、前記第一熱源熱交換器及び前記第二熱源熱交換器の熱交換量が多い方を選択することを特徴とする請求項1に記載のヒートポンプ装置。
【請求項8】
前記別の熱源として、地熱、地下水、海水、太陽熱温水及びボイラーの何れかを用いることを特徴とする請求項1〜請求項7の何れか一項に記載のヒートポンプ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の熱源を用いるヒートポンプ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
冷暖房装置及び給湯機に用いられているヒートポンプ装置には、空気を熱源とするものが一般的である。
【0003】
また、外気温度が低い地域では、暖房時に地中熱を利用するヒートポンプ装置も利用されるようになってきている。
【0004】
空気の熱を熱源として用いる空気熱源ヒートポンプ装置では、暖房運転時において外気温度が低い場合、吸入圧力の低下又は着霜などによって暖房能力の低下を招くことがある。このように、ヒートポンプ装置の運転効率は外気温度に左右される。
【0005】
地中熱を利用する地中熱ヒートポンプ装置では、地中温度が外気温度よりも高い場合、採熱量を多くできるため空気熱源ヒートポンプ装置よりも運転効率が高くなる。しかし、地中温度が外気温度よりも低い場合は逆に、地中熱ヒートポンプ装置は空気熱源ヒートポンプ装置よりも運転効率が悪化する。
【0006】
また、地中温度は外気温度に比べて年間を通じて温度変化は小さいものの、地域及び深度、季節によって温度変化幅が異なり、やはり空気熱源ヒートポンプ装置よりも運転効率が悪化する場合がある。
【0007】
これらの問題を解決する手段として、特許文献1には、地上に設置され外気を熱源とした空気熱源熱交換器と、地中に埋設した地中熱交換器により採熱した地中熱を熱源とした地中熱源熱交換器とを切り替えるようにした技術が開示されている。特許文献1では、外気温度が所定値以上又は冷媒温度が所定値以上(例えば空気熱源交換器へ着霜する温度以上)の場合は空気熱源交換器を利用し、冷媒温度が所定値以下の場合は地中熱源熱交換器を利用するように流路を切り替えるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2010−216783号公報(図1、図4)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1に開示されているように、地中熱源熱交換器と空気熱源熱交換器とを使い分ける場合、地中に埋設する地中熱交換器と空気熱源熱交換器は同じ処理能力となるように大きさが設計される。一般的に地中熱交換器は、空気熱源熱交換器に比べて同じ処理能力を得るために必要な大きさが大きく、また、地下へ埋設する必要があり掘削作業などの工事費が必要となる。このため、空気熱源熱交換器と同じ処理能力の地中熱交換器を設ける構成では、空気熱源又は地中熱源単独のヒートポンプ装置に比べてやはり大幅なコスト上昇を招く。
【0010】
よって、地中熱源熱交換器と空気熱源熱交換器とを使い分けてどちらか一方から採熱するのではなく、外気と地中から同時に採熱するようにすれば、地中熱交換器の採熱量の一部を空気熱源熱交換器で補える。このため、必要な地中熱交換器サイズを削減でき、システム費用を抑制できる利点がある。
【0011】
しかし、外気と地中から同時に採熱する構成において、例えば室内の負荷が小さく圧縮機の入力が小さい場合などの運転条件によっては、外気と地中の両方から採熱するよりも、一方から採熱した方がシステム効率が高くなる場合がある。そして、その場合に空気熱源と地中熱源のどちらを選択した方がシステム効率が高くなるかは、搭載される空気熱源熱交換器及び地中熱源熱交換器の大きさと、空気熱源熱交換器を通過する風量と、地中熱源熱交換器を流通する液流量などとで決まる熱交換器の性能の影響を受ける。よって、例えば、外気温度が地中温度より高くても、地中熱交換器を使って採熱する方がシステム効率が高くなることがあり、単純に温度だけで決められるものではない。
【0012】
しかし、特許文献1では、空気熱源と地中熱源のどちらから採熱するかを選択するにあたり、冷媒温度及び熱源温度(外気温度)といった温度条件だけを使っている。このため、システムの効率が低いまま使用されることがあり、省エネとならない場合があった。
【0013】
ところで近年では、ヒートポンプ装置における熱源として、外気以外に上述したように地中熱が利用されるようになってきているが、地中熱以外の他の熱源の利用も求められている。
【0014】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、外気とその他の熱源との両方から採熱するヒートポンプ装置であって、適切な熱源を選定することにより、年間を通じてシステム効率の高い運転を実現することが可能なヒートポンプ装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明に係るヒートポンプ装置は、圧縮機と、利用側熱交換器の冷媒流路と、第一減圧装置と、第一熱源である外気を熱源として用いる第一熱源熱交換器とが順次接続された第一回路と、第二減圧装置及び第二熱源熱交換器の冷媒流路を直列に接続して構成され、前記第一回路の前記第一減圧装置及び前記第一熱源熱交換器に並列に接続された第二回路とを備えた冷媒回路と、前記第二熱源熱交換器の熱交換媒体流路を備え、外気とは別の熱源と熱交換して前記別の熱源の熱を吸熱する第二熱源である熱交換媒体が循環する熱交換媒体回路と、前記第一熱源熱交換器と前記第二熱源熱交換器との両方に冷媒を流す同時運転と、前記第一熱源熱交換器又は前記第二熱源熱交換器を選択して冷媒を流す単独運転とを、前記第一熱源熱交換器及び前記第二熱源熱交換器のそれぞれにおける熱交換量に従って切り替える制御装置とを備えたものである。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、温度条件に加え、現在の運転条件が反映された各熱源熱交換器それぞれの熱交換性能も考慮して適切な熱源を選定することにより、年間を通じてシステム効率の高い運転を実現することが可能なヒートポンプ装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施の形態に係るヒートポンプ装置が適用された空調システムの冷媒回路を示す図である。
【図2】図1の空調システムにおける暖房運転時の運転状態と、熱源温度である外気温度と地中温度との関係と、を示した図である。
【図3】図1の空調システムにおける冷房運転時の運転状態と、熱源温度である外気温度と地中温度との関係と、を示した図である。
【図4】図1の空調システムにおけるファン回転数と風量との関係を示す図である。
【図5】図1の空調システムにおける圧縮機回転数と冷媒流速との関係を示す図である。
【図6】図1の空調システムにおける風量と熱交換器性能との関係を示す図である。
【図7】図1の空調システムにおける熱源選択制御動作を示すフローチャートである。
【図8】図1の空調システムにおける冷媒回路の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に説明する実施の形態では、ヒートポンプ装置が適用されるシステムが暖房及び冷房を行う空調システムであるものとして説明する。
【0019】
図1は、本発明の一実施の形態のヒートポンプ装置が適用された空調システムの冷媒回路を示す図である。図1の矢印は、暖房運転時の冷媒の流れを示している。
空調システム100は、ヒートポンプ装置40と、利用側媒体が循環する利用側回路51を有し、ヒートポンプ装置40を熱源として暖房及び冷房を行う利用側装置50とを有している。
【0020】
<<ヒートポンプ装置>>
ヒートポンプ装置40は、冷媒が循環する冷媒回路10と、地中熱源側回路20と、制御装置30と、記憶装置31とを備えており、屋外に設置される。
【0021】
<冷媒回路>
冷媒回路10は、圧縮機1と、冷媒の流路を切り替える四方弁2と、利用側熱交換器である水熱交換器3と、第一減圧装置である膨張弁4aと、第一熱源熱交換器である空気熱源熱交換器5aとが順次冷媒配管で接続された第一回路10aと、第一回路10aの一部に並列に接続された第二回路10bとを備えている。第二回路10bは、第二減圧装置である膨張弁4bと第二熱源熱交換器である地中熱源熱交換器5bの冷媒流路41とを直列に接続して構成され、第一回路10aの膨張弁4a及び空気熱源熱交換器5aに並列に接続されている。
【0022】
(圧縮機)
圧縮機1は、例えば全密閉式圧縮機であり、電動機部(図示せず)と圧縮部(図示せず)とが圧縮機シェル(図示せず)に収納された構成を有している。圧縮機1へ吸引された低圧冷媒は圧縮され、高温高圧冷媒となって圧縮機1より吐出される。圧縮機1は制御装置30によってインバータ(図示しない)を介して回転数制御されることで、ヒートポンプ装置40の能力を制御している。ここで、圧力の高低については、基準となる圧力(数値)との関係により定められているものではなく、圧縮機1の加圧、各膨張弁4a、4bの開閉状態(開度)の制御などにより、冷媒回路10内において、相対的な高低(中間を含む)に基づいて表すものであるとする。温度の高低についても同様である。
【0023】
(水熱交換器)
水熱交換器3は、利用側装置50の利用側回路51内の利用側媒体(ここでは、水)と冷媒回路10内の冷媒とを熱交換する。利用側回路51にはポンプ52により水が循環しており、暖房を行う場合、水熱交換器3は凝縮器として機能し、冷媒回路10の冷媒の熱で水を加熱して温水を生成する。冷房を行う場合、水熱交換器3は蒸発器として機能し、冷媒回路10の冷媒の冷熱で水を冷却することで冷水を生成する。この温水又は冷水を利用して室内を暖房又は冷房する。この熱交換器の形態はプレートを積層したプレート式、又は冷媒が流れる伝熱管と水が流れる伝熱管から成る二重管式などがあるが、本実施の形態ではどちらを用いても良い。なお、利用側回路51を循環する利用側媒体は水に限られず、ブラインなどの不凍液であってもよい。
【0024】
(膨張弁)
膨張弁4aは、空気熱源熱交換器5aを流れる冷媒流量を調整する。また、膨張弁4bは、地中熱源熱交換器5bの冷媒流路41を流れる冷媒流量を調整する。各膨張弁4a、4bの開度は制御装置30からの制御信号に基づいて可変に設定される。膨張弁4a、4bは電気信号によって開度が可変な電子膨張弁の他に、複数のオリフィス又はキャピラリを並列に接続し、電磁弁などの開閉弁操作によって熱交換器へ流入する冷媒流量を制御できるようにしても良い。
【0025】
(空気熱源熱交換器)
空気熱源熱交換器5aは、例えば銅又はアルミニウムで構成されるフィンアンドチューブ型熱交換器である。空気熱源熱交換器5aは、空気(外気)を熱源とした熱交換器であり、ファン8から供給された外気と冷媒とを熱交換する。
【0026】
(四方弁)
四方弁2は、冷媒回路10の流れを切り替えるために用いられる。流路を切り替えることによって、水熱交換器3を暖房運転時は凝縮器として利用し、冷房運転時は蒸発器として利用することができる。
【0027】
<<地中熱源側回路>>
熱交換媒体回路である地中熱源側回路20は、地中熱源熱交換器5bの地中熱源側媒体流路(熱交換媒体流路)42と、地中に埋設される地中熱交換器21と、地熱用ポンプ22とが順次配管で接続されて構成されている。地中熱源側回路20には、ブラインなどの不凍液である熱交換媒体としての地中熱源側媒体が循環し、地中熱を採熱できるように構成されている。
【0028】
(地中熱交換器)
地中熱源熱交換器5bへの熱源熱交換器となる地中熱交換器21は、例えば略U字状に形成されて地中に垂直又は水平に埋設された樹脂製の採熱パイプ群によって構成される。地中熱交換器21の熱交換性能は、同じ大きさの採熱パイプ群を埋設しても、その埋設した地域及び深度によって異なったものとなる。
【0029】
(地中熱源熱交換器)
地中熱源熱交換器5bは、冷媒回路10を循環する冷媒と地中熱源側回路20を循環する地中熱源側媒体との熱交換を行う。地中熱源熱交換器5bの地中熱源側媒体流路42には、地中熱交換器21によって地中熱を採熱した地中熱源側媒体が流入するため、地中から地中熱交換器21によって採熱した熱が冷媒流路41側の冷媒に伝達される。これにより、冷媒回路10は地中熱を採熱する。地中熱源熱交換器5bは、水熱交換器3と同様に、プレート式又は二重管式などで構成され、どちらを用いても良い。
【0030】
<制御装置>
制御装置30は、室内温度が利用側装置50で設定される設定温度となるように、各センサからの検出値に基づき、圧縮機1の回転数制御、ファン8の回転数制御、地熱用ポンプ22の回転数制御、ポンプ52の回転数制御を行う。また、制御装置30は、四方弁2の切り替え制御、後述の図7のフローチャートの処理を含む、空調システム全体の制御を行う。
【0031】
<記憶装置>
記憶装置31には、空気熱源熱交換器5a及び地中熱源熱交換器5bのそれぞれの現在の熱交換性能を算出するための各種情報が記憶される。各種情報については後述する。
【0032】
<センサの説明>
ヒートポンプ装置40には、必要に応じて温度又は圧力センサが設けられている。各センサの検出値は制御装置30に入力され、ヒートポンプ装置40の運転制御、例えば圧縮機1の容量制御、及び膨張弁4a、4bの開度制御に使われている。図1では、第一熱源温度検出器である外気温度センサ34aと、第二熱源温度検出器である地熱温度センサ34bと、冷媒温度検出器である冷媒温度センサ32とを備えている。
【0033】
外気温度センサ34aは、熱源である外気の温度を検出する。地熱温度センサ34bは、地中熱交換器21にて地中との間で熱交換して地熱用ポンプ22によってくみ上げられた地中熱源側媒体の温度を検出する。冷媒温度センサ32は、冷媒回路10の吸入圧力の飽和温度を検出する。なお、冷媒温度センサ32は、図1に示すように、圧縮機1の吸入側の圧力を検出する吸入圧力センサ33でもよく、その場合は制御装置30によって冷媒圧力から冷媒飽和温度を換算すればよい。
【0034】
(通常運転時の冷媒動作(暖房運転))
次に、本実施の形態における通常運転、特に暖房運転の運転動作について説明する。暖房運転時、四方弁2は図1の実線側に切り替えられる。
【0035】
図2は、図1の空調システムにおける暖房運転時の運転状態と、熱源温度である外気温度と地中温度との関係と、を示した図である。ここでは、地中温度が外気温度よりも高くなっている。
【0036】
低温低圧の冷媒は圧縮機1で圧縮され、高温高圧の冷媒となって吐出される。圧縮機1から吐出された高温高圧の冷媒は、暖房用に切り替えられた四方弁2を通過して水熱交換器3に流入し、利用側回路51の水へ放熱する。水への放熱により低温高圧となった冷媒は2つに分岐してそれぞれ膨張弁4a、4bに流入して減圧される。
【0037】
膨張弁4aで減圧された冷媒は、空気熱源熱交換器5aに流入し、外気から熱を吸熱して蒸発し、空気熱源熱交換器5aから流出する。一方、膨張弁4bで減圧された冷媒は、地中熱源熱交換器5bに流入し、地中熱源側媒体と熱交換して吸熱する。ここでの熱交換により地中熱を採熱している。そして、地中熱を採熱して蒸発した冷媒は、空気熱源熱交換器5aから流出した冷媒と合流し、再び四方弁2及び冷媒容器7aを通過して圧縮機1へ吸引される。
【0038】
このように、通常運転では、空気熱源と地中熱源との両方を用いた同時運転を行っているが、空気熱源又は地中熱源を用いた単独運転を行った方が、運転効率が高くなる場合がある。同時運転と単独運転との切り替えは、本発明の特徴とするところではないため、ここではその切り替え方法については特に限定しないが、何れにしろ、予め決定した切り替え判断基準に従って高効率となる運転の方に切り替えるものとする。そして、本発明は、単独運転を行うにあたり、空気熱源と地中熱源のどちらを選択するかの選択方法に特徴がある。この選択方法については後述する。なお、以下の説明では、熱源と熱交換を行う空気熱源熱交換器5aと地中熱源熱交換器5bとを特に区別しない場合は、総称して熱源熱交換器ということがある。
【0039】
(空気熱源選択時の冷媒動作(暖房運転))
空気熱源を選択する場合は、膨張弁4aを開度制御、膨張弁4bを閉、地熱用ポンプ22を停止、ファン8を運転する。圧縮機1から吐出された冷媒は暖房用に切り替えられた四方弁2を通過して水熱交換器3へ流入し、利用側媒体である水へ放熱する。高圧低温となった冷媒は膨張弁4aにて減圧された後、空気熱源熱交換器5aへ流入し、外気から熱を吸熱することで冷媒が蒸発する。そして、空気熱源熱交換器5aから流出した冷媒は、再び四方弁2へ流入後、冷媒容器7aを通過して圧縮機1へ吸引される。
【0040】
(地熱熱源選択時の冷媒動作(暖房運転))
地中熱源を選択する場合は、膨張弁4aを閉、膨張弁4bを開度制御、地熱用ポンプ22を駆動、ファン8を停止する。圧縮機1から吐出された冷媒は暖房用に切り替えられた四方弁2を通過して水熱交換器3へ流入し、利用側媒体である水へ放熱する。高圧低温となった冷媒は膨張弁4bにて減圧された後、地中熱源熱交換器5bへ流入する。
【0041】
一方、地中熱源側回路20では、地中熱交換器21において地中熱源側媒体が地中との間で熱交換して地中熱を採熱しており、地中熱を採熱した地中熱源側媒体が地中熱源熱交換器5bに流入する。そして、冷媒回路10の冷媒は、地中熱源熱交換器5bで地中熱源側媒体と熱交換して地中熱を採熱し、蒸発する。そして、地中熱源熱交換器5bから流出した冷媒は、再び四方弁2へ流入後、冷媒容器7aを通過して圧縮機1へ吸引される。
【0042】
(通常運転時の冷媒動作(冷房運転))
次に、本実施の形態における通常運転、特に冷房運転の運転動作について説明する。冷房運転時、四方弁2は図1の点線側に切り替えられる。
【0043】
図3は、図1の空調システムにおける冷房運転時の運転状態と熱源温度(外気温度及び地中温度)との関係を示した図である。ここでは、地熱温度が空気温度よりも低くなっている。
【0044】
低温低圧の冷媒は圧縮機1で圧縮され、高温高圧の冷媒となって吐出される。圧縮機1から吐出された高温高圧の冷媒は、冷房用に切り替えられた四方弁2を通過後、2つに分岐して一方は空気熱源熱交換器5aに流入し、他方は地中熱源熱交換器5bに流入する。
【0045】
空気熱源熱交換器5aに流入した冷媒は、外気に放熱して低温高圧冷媒となって空気熱源熱交換器5aを流出し、膨張弁4aに流入して減圧される。一方、地中熱源熱交換器5bに流入した冷媒は、地中熱源側媒体に放熱して低温高圧冷媒となって地中熱源熱交換器5bを流出し、膨張弁4bに流入して減圧される。そして、膨張弁4bで減圧された冷媒は、膨張弁4aで減圧された冷媒と合流して水熱交換器3に流入する。水熱交換器3に流入した冷媒は、利用側回路51の水から吸熱して蒸発し、四方弁2及び冷媒容器7aを通過して再び圧縮機1へ吸引される。
【0046】
(熱源切り替え制御方法)
次に、本実施の形態における熱源の選択方法について説明する。本実施の形態では、各熱源熱交換器それぞれにおける熱交換量を算出し、熱交換量が多い方を選択する。よって各熱源熱交換器それぞれの熱交換量を算出する必要がある。ここでは、暖房運転の場合、つまり熱源熱交換器を吸熱器として利用する場合について説明する。
【0047】
(空気熱源熱交換器の熱交換量Qa)
暖房運転時、空気熱源熱交換器5aは蒸発器として働く。空気熱源熱交換器5aでは湿り空気中において凝縮を伴う場合(濡れ面)が多いが、ここでは話を簡単にするため、空気側の熱交換器表面が凝縮を伴わない(乾面)の場合について説明する。
【0048】
空気熱源熱交換器5aの熱交換量Qaは、空気熱源熱交換器5aを通過する風量Ga、空気の比熱Cpa、空気側温度効率εa、外気温度センサ34aで検出された外気温度Taoi、冷媒温度センサ32で検出された冷媒飽和温度Tsを用いて式(1)で表すことができる。
【0049】
【数1】
【0050】
冷媒側は飽和温度であり、管内側の流れ方向で温度変化がないとした場合、空気側温度効率εaは空気熱源熱交換器5aの空気側伝熱面積Ao、熱通過率Kaを用いて、式(2)で表すことができる。
【0051】
【数2】
【0052】
熱通過率Kaは、空気側熱伝達率αo及び冷媒側熱伝達率αiと、式(3)に示すように比例関係にある。そして、空気側熱伝達率αoは風量Gaに比例し、冷媒側熱伝達率αiは冷媒流速Vrefに比例する。
【0053】
【数3】
【0054】
また、一般に、風量Gaはファン8の回転数Nfanとの間で例えば図4に示すような関係を持ち、冷媒流速Vrefは圧縮機回転数Ncompとの間で例えば図5に示すような関係を持つ。
【0055】
よって、図4に示すファン回転数Nfanと風量Gaとの関係、図5に示す圧縮機回転数Ncompと冷媒流速Vrefとの関係、風量Gaと空気側熱伝達率αoとの関係、冷媒流速Vrefと冷媒側熱伝達率αiとの関係、を予め把握して記憶装置31内に記憶しておく。そして、これらの関係と、現在のファン回転数Nfan及び圧縮機回転数Ncompとを用いて、空気熱源熱交換器5aの熱交換性能を示すGa・Cpa・εaを制御装置30によって算出することができる。
【0056】
なお、風量Gaと空気側熱伝達率αoとの関係、及び、冷媒流速Vrefと冷媒側熱伝達率αiとの関係を記憶するのに代えて、次のようにしてもよい。すなわち、図6に示すように、風量GaとGa・Cpa・εaとの関係を冷媒流速Vref1、Vref2、Vref3、・・・ 毎に記憶しておく。そして、この関係と、図4から求めた風量Gaと、図5から求めた冷媒流速Vrefとを用いてGa・Cpa・εaを求めるようにしてもよい。なお、図6より、風量Gaが同じ場合、冷媒流速Vrefが速くなるにつれ、熱交換性能が上がることがわかる。
【0057】
そして、式(1)に、制御装置30によって算出した熱交換器性能Ga・Cpa・εaと、外気温度Taoiと、冷媒飽和温度Tsとを代入することで、空気熱源熱交換器5aにおける熱交換量Qaを算出することができる。
【0058】
なお、一般的に知られているように、冷媒側熱伝達率αiは空気側熱伝達率αoに比べて十分大きい。このため、式(3)より明らかなように熱通過率Kaは空気側に支配される。よって、空気側熱伝達率αoを把握しておけば、熱通過率Kaに当たりが付けられる。本実施の形態では、後述の熱源の追加要否の判断にあたり、圧縮機回転数、冷媒流速、冷媒側熱伝達率まで考慮するが、例えばこの判断を簡素化したい場合などは、冷媒側については無視して空気側だけを用いて(つまり、ファン回転数Nfan、風速Ga、空気側熱伝達率αoを用いて)も、概ね判断可能である。
【0059】
(地中熱源熱交換器の熱交換量Qg)
次に、地中熱源熱交換器5bにおける熱交換量Qgの算出方法について説明する。基本的な考え方は空気側と同様である。地中熱源熱交換器5bの熱交換量Qgは、地中熱源熱交換器5bを流通する地中熱源側媒体(ここではブライン)の流量Gg、ブラインの比熱Cpg、ブライン側温度効率εg、地熱温度センサ34bにより検出された流入ブライン温度Tgoi、冷媒温度センサ32により検出された冷媒飽和温度Tsを用いて式(4)で表すことができる。なお、ここでは地中温度を流入ブライン温度と見なして以下の計算を行う。
【0060】
【数4】
【0061】
またブライン側温度効率εgは、熱交換器の伝熱面積Ag、熱通過率Kgを用いて式(5)で、熱通過率Kgはブライン側熱伝達率αgと冷媒側熱伝達率αigを用いて式(6)表すことができる。
【0062】
【数5】
【数6】
【0063】
空気熱源熱交換器5aと同様に、ブライン側熱伝達率αgはポンプ回転数Npumpに比例し、冷媒側熱伝達率αigは冷媒流速Vrefgに比例する。よって、予めポンプ回転数Npumpとブライン流量Ggとの関係、圧縮機回転数Ncompと冷媒流速Vrefgとの関係、ブライン流量Ggと冷媒側熱伝達率αigとの関係、冷媒流速Vrefgと冷媒側熱伝達率αigとの関係を予め把握して記憶装置31に記憶しておく。そして、これらの関係と、現在のポンプ回転数Npump及び圧縮機回転数Ncompとを用いて、地中熱源熱交換器5bの熱交換器の性能を示すGg・Cpg・εgを制御装置30によって算出することが可能となる。
【0064】
なお、ブライン流量Ggとブライン側熱伝達率αgとの関係、及び、冷媒流速Vrefgと冷媒側熱伝達率αigとの関係を記憶するのに代えて、次のようにしてもよい。すなわち、ブライン流量GgとGg・Cpg・εgとの関係を冷媒流速Vrefg毎に記憶しておく。そして、この関係と、ポンプ回転数Npumpから求めたブライン流量Ggと、圧縮機回転数Ncompから求めた冷媒流速VrefgとからGg・Cpg・εgを求めるようにしてもよい。
【0065】
そして、式(4)に、制御装置30によって算出した熱交換器性能Gg・Cpg・εgと、流入ブライン温度Tgoiと、冷媒飽和温度Tsとを代入することで、地中熱源熱交換器5bの熱交換量Qgを算出することができる。
【0066】
(熱交換量と冷媒飽和温度との関係)
ここで、式(1)と式(4)において熱交換量Qa、Qgが変化しないと仮定すると、熱交換器性能(Ga・Cpa・εa、Gg・Cpg・εg)が高いほど熱源温度(外気温度Taoi、流入ブライン温度Tgoi)と冷媒飽和温度Tsとの温度差は小さくなる。つまり暖房の場合は、熱源熱交換器が蒸発器となり冷媒飽和温度Tsは外気温度Taoiよりも低いため、熱交換器性能が高いほど冷媒飽和温度Tsが上昇する。一方、冷房の場合は、熱源熱交換器が凝縮器となり冷媒飽和温度Tsは流入ブライン温度Tgoiよりも高いため、熱交換器性能が高いほど冷媒飽和温度Tsが下降する。
【0067】
よって、例えば、暖房運転でQa>Qgの場合、現在の運転条件(圧縮機回転数Ncomp、ポンプ回転数Npump、ファン回転数Nfan)で、仮に、地熱熱源からの採熱量を増やして地中熱源熱交換器5bにて空気熱源側と同等の熱交換量を得ようとすると、冷媒飽和温度Tsを低くする必要がある。そして、暖房の場合は冷媒温度が高いほど、ヒートポンプの運転効率は高くなる。このため、熱交換量を上げるべく冷媒飽和温度Tsを低くすると、ヒートポンプの運転効率が下がることになる。なお、冷房の場合は冷媒温度が低いほどヒートポンプの運転効率は高くなる。このため、上記式(1)、(2)から算出する熱交換量が大きい熱源を利用する方が、ヒートポンプの運転効率が高いと言える。
【0068】
(熱源切り替え制御フロー)
図7は、図1の空調システムにおける熱交換量を用いた熱源の切り替え方法を示すフローチャートである。以下、図7に示すフローを基に、熱源の切り替え方法について説明する。
まず、暖房運転中(S01)において、制御装置30は、空気熱源熱交換量Qaと地中熱源熱交換量Qgとを算出する(S02、S03)。この算出方法は上述の通りであり、ファン回転数Nfan、圧縮機回転数Ncomp及びブラインポンプ回転数から熱交換性能を算出する。そして、現在の外気温度Taoi、流入ブライン温度Tgoi及び冷媒飽和温度Tsに基づき、式(1)と式(4)とから、空気熱源熱交換器5aの交換量Qa及び地中熱源熱交換器5bの熱交換量Qgを算出する。
【0069】
そして、熱交換量Qaと熱交換量Qgとの大小を比較し(S05)、QaがQgよりも大きい場合、空気熱源のみを利用する(S06)。一方、QaがQg以下の場合は、地中熱源を利用する(S07)。
【0070】
利用する熱源の選択が終了すると、選択した熱源で運転を行い、再び運転条件を考慮して熱源の選択を開始する。
【0071】
(具体例)
次に、熱源選択フローにおける具体例について数字を示しながら説明をする。
まず、現在使われている熱源をそのまま継続した方が良い場合について説明する。
【0072】
(地中熱源利用⇒外気温度<地中温度⇒地中熱源利用・・・)
外気温度4℃、地中温度(流入ブライン温度)が5℃、冷媒温度が3℃で、単独運転で地中熱源熱交換器5bを利用しているとする。また、現在の運転条件に基づき算出した空気側熱交換性能は2、地中熱源熱交換器5bの性能は5とする。
【0073】
このとき、地中熱源熱交換器5bの熱交換量Qgは、
Qg=5×(5−3)=10となる。
一方、空気熱源熱交換器5aの熱交換量Qaは、
Qa=2×(4−3)=1となる。
【0074】
なお、現在は単独運転で地中熱源熱交換器5bを利用しているため、ファン8は停止している。このため、熱交換量Qaを算出するにあたっては、仮にファン8を動かした場合の熱交換量Qaを算出することになり、そのファン回転数には、予め設定されたファン回転数を用いる。このファン回転数は、ある値に固定としてもよいし、圧縮機回転数又は外気温度に応じて変化させてもよい。圧縮機回転数及び外気温度は現在の情報として得ることができるため、そのときのファン回転数が決まれば、仮にファン8が動いた場合の熱交換量Qaを推定することができる。
【0075】
単独運転で空気熱源熱交換器5aを利用している場合の、地中熱源熱交換器5bの熱交換量Qgについても同様の考え方で推定できる。つまり、仮に地熱用ポンプ22を動かした場合の熱交換量Qgを算出することになり、そのポンプ回転数には、予め設定された固定値としてもよいし、地中温度に応じて変化させてもよい。
【0076】
そして、ここでは上記算出結果がQa<Qgとなるため、地中熱源の方が同一冷媒温度で採熱できる熱交換量が大きいということになる。このため、このまま地中熱源熱交換器5bのみを使っている方が高い効率でヒートポンプ装置40を運転することができる。
【0077】
(地中熱源利用⇒外気温度<地中温度⇒空気熱源利用・・・)
次に外気温度が地中温度よりも低いにも関わらず、外気を熱源として運転した方が良い場合について説明する。先と同様に外気温度4℃、地中温度5℃、冷媒温度3℃とし、単独運転で地中熱源熱交換器5bを利用しているとする。今度は、現在の運転条件に基づき算出した空気側熱交換器性能が5、地中熱源熱交換器性能が2とする。
【0078】
このとき、地中熱源熱交換器5bの熱交換量Qgは、
Qg=2×(5−3)=4となる。
一方、空気熱源熱交換器5aの熱交換量Qaは
Qa=5×(4−3)=5となる。
【0079】
つまり、Qa>Qgとなるため、空気熱源の方が同一冷媒温度で採熱できる熱交換量が大きいということになる。このため、このまま地中熱源熱交換器5bを使用するよりも、地中熱源から空気熱源へ切り替える方が高い運転効率でヒートポンプ装置40を運転できる。
【0080】
このように、利用する熱源を選択するにあたり、各熱源熱交換器それぞれの熱交換器性能も考慮することで、運転効率低減の観点で真に有効な熱源を正確に判断することができる。
【0081】
なお、空気熱源熱交換器5aの熱交換量Qa、地中熱源熱交換器5bの熱交換量Qgを、膨張弁(膨張弁4a、膨張弁4b)の開度に基づいて算出するようにしてもよい。
例えば、各熱源熱交換器(空気熱源熱交換器5a、地中熱源熱交換器5b)の冷媒側出口温度をそれぞれの膨張弁で同一の出口冷媒過熱度で制御する場合を考える。膨張弁での圧力損失が支配的であると想定すると、膨張弁の開度が大きい方へ冷媒が多く流れていると言えることになる。つまり、膨張弁の開度の大きい方が、より多くの熱交換量を処理していると言える。そのため、膨張弁開度の大小で熱交換量の大小を判断できる。
【0082】
各熱源熱交換器の出口冷媒過熱度(SH)は、各熱源熱交換器の出口冷媒温度と、各熱源熱交換器の出口飽和温度と、に基づいて算出できる。具体的には、各熱源熱交換器の出口で冷媒の飽和圧力を測定し、この飽和圧力から出口飽和温度を求め、各熱源熱交換器の出口で冷媒の温度を測定し、この温度を出口飽和温度から引くことによって出口冷媒過熱度(SH)を算出する。そして、算出した出口冷媒過熱度の大小を比較し、熱交換量の大小を判断する。
【0083】
通常、膨張弁は、制御装置30が算出する各熱源熱交換器の出口冷媒過熱度により開度が制御されている。そこで、制御装置30は、膨張弁の開度の大小を比較して、各熱源熱交換器の熱交換量の大小を判断可能にしている。こうすることで熱交換量の大小を判断することが可能になるので、各熱源熱交換器の性能などの情報が不要になる。そのため、膨張弁の開度情報と、冷媒温度と、に基づいて各熱源熱交換器の熱交換量の大小が容易に判断できることになる。ただし、膨張弁の出口での冷媒が過熱ガスになっていないと、熱交換量の大小が正確に判断することができない。
【0084】
なお、各熱源熱交換器の出口冷媒温度を検出するために、各熱源熱交換器の出口に出口冷媒温度検出器を設けておくとよい。また、各熱源熱交換器の出口飽和温度を検出するために、各熱源熱交換器の出口に出口飽和温度検出器を設けておくとよい。出口飽和温度検出器としては、吸入圧力センサ33を用いることができる。
【0085】
また、空気熱源熱交換器5aの熱交換量Qs2、地中熱源熱交換器5bの熱交換量Qs1を、利用側熱交換器(水熱交換器3)の出入口温度と、一方の熱源熱交換器(空気熱源側交換器5a又は地中熱源熱交換器5b)の熱源出入口温度と、に基づいて算出するようにしてもよい。
【0086】
まず、制御装置30は、利用側熱交換器(水熱交換器3)の利用側回路51を流れる利用側熱媒の出入口温度と、利用側回路51を流れる利用側熱媒体の流量と、から利用側能力Qを算出する。次に、制御装置30は、圧縮機1の入力Wcompを算出する。入力Wcompは、例えば、圧縮機1の回転数と高低圧(吐出冷媒圧力と吸入冷媒圧力)を用いたり、圧縮機1の入力を直接測定したり、圧縮機1に供給されている電流値を測定したりすることで算出できる。そして、Q及びWcompを用いて、熱源側の熱交換量の合計Qを求める。
暖房運転の場合は、Q=Q−Wcompで合計Qを求める。
冷房運転の場合は、Q=Q+Wcompで合計Qを求める。
【0087】
それから、制御装置30は、地中熱源熱交換器5bの出入口温度と、地中熱源側回路20を流れる地中熱源側媒体の流量と、から熱源側熱交換量Qs1を算出する。熱源側熱交換量の合計Qと、空気熱源熱交換器5aの熱交換量Qs2と、地中熱源熱交換器5bの熱交換量Qs1と、には、次のような関係がある。
=Qs1+Qs2
よって、Q及びQs1が分かれば、空気熱源熱交換器5aの熱交換量Qs2を算出することができる。そのため、制御装置30は、空気熱源熱交換器5aの熱交換量Qs2、地中熱源熱交換器5bの熱交換量Qs1の大小を判断することができる。
【0088】
こうすることで、空気側又は地熱側のいずれかのセンサ類が使用できなくても、双方の熱交換量を算出することができることになる。また、空気熱源熱交換器5aの熱交換量Qs2を算出して用いることにすれば、地中熱源側媒体の出入口温度と、地熱用ポンプ22の地中熱源側媒体の流量が明らかなため、熱源側熱交換量の算出精度が向上する。ただし、使用するセンサ数が増加してしまうため、その分コスト増になってしまう。また、複数のセンサの個々のばらつきが大きいと誤差が大きくなりやすい。
【0089】
以上のように、本実施の形態では、温度条件(熱源温度(外気温度及び地中温度)及び冷媒温度)に加え、現在の運転条件(ファン回転数Nfan、圧縮機回転数Ncomp、ポンプ回転数Npump)が反映された、各熱源熱交換器それぞれの熱交換性能を考慮して熱源を選択するようにした。このため、単独運転を行うにあたり、現在の運転条件にあった熱源の選択を行うことができ、また、予め決定した切り替え判断基準に従って適宜、同時運転を行うことで、年間を通じてヒートポンプ装置40を高い効率で運転することができ、消費電力を抑制することができる。
【0090】
このように、各熱源熱交換器の熱交換性能を考慮して熱源を選択する方法を採用したことで、外気温度が地中温度よりも低い場合でも、空気熱源熱交換器5aの熱交換量が地中熱源熱交換器5bより大きければ、空気熱源熱交換器5aを利用する。これにより、温度条件だけで熱源を選択する従来システムよりも、省エネの観点で適切な熱源を選択でき、消費電力を抑制することができる。
【0091】
また、各熱源熱交換器の熱交換性能を考慮して熱源を選択する方法を採用したことで、地中温度が空気温度よりも低い場合でも、地中熱源熱交換器5bの熱交換量が空気熱源熱交換器5aより大きい場合は地中熱源熱交換器5bを利用する。これにより、温度条件だけで熱源を選択する従来システムよりも、省エネの観点で適切な熱源を選択でき、消費電力を抑制することができる。
【0092】
なお、上記各実施の形態では、外気以外の熱源として地中熱を用いる例を説明したが、地中熱に限られたものではなく、例えば地下水、海水、河川水、太陽熱温水、ボイラーなどを熱源としてもよい。
【0093】
また、上記実施の形態では四方弁2を備えた構成を示したが、四方弁2は必ずしも必須ではなく、省略可能である。
【0094】
また、各実施の形態では、ヒートポンプ装置40が適用される装置として空調システムの例を説明したが、これに限られたものではなく給湯システムなどとしてもよい。要は、利用側熱交換器(水熱交換器3)が放熱器として作用し、空気熱源熱交換器5aが蒸発器として作用するように冷媒が循環する加熱運転を行うシステムに適用できる。
【0095】
また、冷媒回路10は図示の構成に限定されず、図8に示すように、三方弁60を設けた構成としてもよい。三方弁60は、暖房運転時に空気熱源熱交換器5a及び地中熱源熱交換器5bのそれぞれから流出した冷媒が合流する合流点Pと地中熱源熱交換器5bとの間に設けられる。そして、三方弁60は、通常運転と空気熱源熱交換器5aの除霜を行う除霜運転とで、合流点P側又は圧縮機吸入側に流路を切り替える。なお、図8の矢印は、除霜運転時の冷媒の流れを示している。
【0096】
除霜運転では、四方弁2を冷房運転側に切り替えて空気熱源熱交換器5aを凝縮器として作用させる一方、三方弁60を圧縮機吸入側に切り替え、地中熱源熱交換器5bを蒸発器として作用させる。これにより、圧縮機1から吐出された冷媒は、空気熱源熱交換器5aに流入して空気熱源熱交換器5aの除霜を行う。そして、除霜後の冷媒は、膨張弁4aで減圧された後、二つに分岐し、一方は水熱交換器3を流れ、他方は膨張弁4b→地中熱源熱交換器5b→三方弁60を流れた後、水熱交換器3を流れた冷媒と合流し、冷媒容器7aを通過して再び圧縮機1へ吸引される。なお、この除霜運転時も地熱用ポンプ22は駆動され地中熱源側回路20での地中熱の採熱が行われ、圧縮機1の仕事量に加えてここで採熱した熱量も除霜熱量として利用することができる。
【0097】
なお、上記実施の形態では、空気熱源選択時は地熱用ポンプ22を停止させ、地中熱源選択時はファン8を停止させるとしたが、必ず停止させなければならないということではなく、必要時に駆動させることもある。例えば、地熱用ポンプ22は、地中熱源側回路20の配管凍結防止のために定期的に駆動させている。また、ファン8は、制御装置30の基板放熱のため又は適正な外気温度を検知するために駆動させることもある。
【産業上の利用可能性】
【0098】
本発明の活用例として、多数の熱源を備えたヒートポンプ装置について有用である。
【符号の説明】
【0099】
1 圧縮機、2 四方弁、3 水熱交換器、4a 膨張弁、4b 膨張弁、5a 空気熱源熱交換器、5b 地中熱源熱交換器、7a 冷媒容器、8 ファン、10 冷媒回路、10a 第一回路、10b 第二回路、20 地中熱源側回路、21 地中熱交換器、22 地熱用ポンプ、30 制御装置、31 記憶装置、32 冷媒温度センサ、33 吸入圧力センサ、34a 外気温度センサ、34b 地熱温度センサ、40 ヒートポンプ装置、41 冷媒流路、42 地中熱源側媒体流路、50 利用側装置、51 利用側回路、52 ポンプ、60 三方弁、100 空調装置、P 合流分岐点。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】

【手続補正書】
【提出日】20150401
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮機と、利用側熱交換器の冷媒流路と、第一減圧装置と、第一熱源である外気を熱源として用いる第一熱源熱交換器とが順次接続された第一回路と、第二減圧装置及び第二熱源熱交換器の冷媒流路を直列に接続して構成され、前記第一回路の前記第一減圧装置及び前記第一熱源熱交換器に並列に接続された第二回路とを備えた冷媒回路と、
前記第二熱源熱交換器の熱交換媒体流路を備え、外気とは別の熱源と熱交換して前記別の熱源の熱を吸熱する第二熱源である熱交換媒体が循環する熱交換媒体回路と、
前記第一熱源熱交換器と前記第二熱源熱交換器との両方に冷媒を流す同時運転と、前記第一熱源熱交換器又は前記第二熱源熱交換器を選択して冷媒を流す単独運転とを、前記第一熱源熱交換器及び前記第二熱源熱交換器のそれぞれにおける熱交換量に従って切り替える制御装置とを備えたことを特徴とするヒートポンプ装置。
【請求項2】
前記第一熱源の温度を検出する第一熱源温度検出器と、
前記第二熱源の温度を検出する第二熱源温度検出器と、
前記第一熱源熱交換器及び前記第二熱源熱交換器それぞれの現在の熱交換性能を算出するための情報を記憶する記憶装置と、を備え、
前記制御装置は、前記同時運転から前記単独運転に切り替えるにあたり、
前記記憶装置に記憶された前記情報と、前記第一熱源温度検出器により検出された前記第一熱源の温度と、前記第二熱源温度検出器により検出された前記第二熱源の温度とに基づいて、前記第一熱源熱交換器及び前記第二熱源熱交換器のそれぞれにおける熱交換量を算出し、熱交換量が多い方を選択することを特徴とする請求項1に記載のヒートポンプ装置。
【請求項3】
前記制御装置は、前記単独運転に切り替えるにあたり、前記第一熱源の温度が前記第二熱源の温度よりも小さい場合でも、前記第一熱源熱交換器の熱交換量が前記第二熱源熱交換器の熱交換量よりも大きい場合は、前記第一熱源熱交換器を選択することを特徴とする請求項2記載のヒートポンプ装置。
【請求項4】
前記制御装置は、前記単独運転に切り替えるにあたり、前記第二熱源の温度が前記第一熱源の温度よりも小さい場合でも、前記第二熱源熱交換器の熱交換量が前記第熱源熱交換器の熱交換量よりも大きい場合は、前記第二熱源熱交換器を選択することを特徴とする請求項2記載のヒートポンプ装置。
【請求項5】
前記第一熱源熱交換器に前記第一熱源を送風するファンと、
前記熱交換媒体回路に備えられ、前記第二熱源を循環させるポンプとを備え、
前記記憶装置に記憶された前記情報は、前記圧縮機の回転数、前記ファンの回転数及び前記ポンプの回転数を含む現在の運転条件を用いて、前記第一熱源熱交換器及び前記第二熱源熱交換器それぞれの熱交換性能に換算するのに必要な情報であることを特徴とする請求項2〜請求項4の何れか一項に記載のヒートポンプ装置。
【請求項6】
前記制御装置は、前記同時運転から前記単独運転に切り替えるにあたり、
前記第一減圧装置の開度と前記第二減圧装置の開度との比較に基づいて、前記第一熱源熱交換器の熱交換量と前記第二熱源熱交換器の熱交換量との大小を判断し、熱交換量が多い方を選択することを特徴とする請求項1に記載のヒートポンプ装置。
【請求項7】
前記第一熱源の温度を検出する第一熱源温度検出器と、
前記第二熱源の温度を検出する第二熱源温度検出器と、
前記第一熱源熱交換器及び前記第二熱源熱交換器それぞれの現在の熱交換性能を算出するための情報を記憶する記憶装置と、を備え、
前記制御装置は、前記同時運転から前記単独運転に切り替えるにあたり、
前記利用側熱交換器の利用側回路を流れる利用側熱媒の出入口温度と、前記利用側回路を流れる利用側熱媒体の流量と、前記圧縮機の入力と、から熱源側の熱交換量を算出し、
前記記憶装置に記憶された前記情報と、前記第一熱源温度検出器により検出された前記第一熱源の温度と、前記第二熱源温度検出器により検出された前記第二熱源の温度とに基づいて、前記第一熱源熱交換器又は前記第二熱源熱交換器の熱交換量を算出し、
前記熱源側の熱交換量と第一熱源熱交換器又は前記第二熱源熱交換器の熱交換量との比較から、前記第一熱源熱交換器及び前記第二熱源熱交換器の熱交換量が多い方を選択することを特徴とする請求項1に記載のヒートポンプ装置。
【請求項8】
前記別の熱源として、地熱、地下水、海水、太陽熱温水及びボイラーの何れかを用いることを特徴とする請求項1〜請求項7の何れか一項に記載のヒートポンプ装置。
【国際調査報告】