(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO2014054333
(43)【国際公開日】20140410
【発行日】20160825
(54)【発明の名称】屋根板の連結構造
(51)【国際特許分類】
   E04D 3/362 20060101AFI20160729BHJP
【FI】
   !E04D3/362 D
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】16
【出願番号】2014539632
(21)【国際出願番号】JP2013070787
(22)【国際出願日】20130731
(31)【優先権主張番号】2012219996
(32)【優先日】20121002
(33)【優先権主張国】JP
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC
(71)【出願人】
【識別番号】500287802
【氏名又は名称】上商株式会社
【住所又は居所】大阪府堺市美原区太井248番地の2
(74)【代理人】
【識別番号】100087653
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴江 正二
(74)【代理人】
【識別番号】100121474
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 俊之
(72)【発明者】
【氏名】上見 利夫
【住所又は居所】大阪府堺市美原区太井248番地の2 上商株式会社内
【テーマコード(参考)】
2E108
【Fターム(参考)】
2E108AZ01
2E108BN02
2E108CC01
2E108DD01
2E108ER13
2E108GG09
(57)【要約】
吊子を用いる嵌合式の連結構造でありながら、キャップを使用せず、それでいて、強固な連結機能と高い防水性能を発揮する屋根板の連結構造を提供する。
2枚の屋根板1a・1bのうちの一方の屋根板1aの左側縁部の立ち上がり部121の上部に被係止部124を形成する。他方の屋根板1bの右側縁部の立ち上がり部131の上部に嵌合連結用の雌形凸条134を形成する。雌形凸条134の立ち下がり部135の下端に抜け止め部136を形成するとともに、抜け止め部136の立ち上がり部131寄りの位置に狭隘部137を形成する。他方、吊子2の上部には係止部23を形成する。そして、一方の屋根板1aの被係止部124が吊子2の係止部23に係止された状態で、他方の屋根板1bの嵌合連結用の雌形凸条134が吊子2の係止部23に外嵌されることにより、2つの屋根板1a・1bが互いに連結される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
並列した2枚の屋根板(1a)・(1b)と吊子(2)とを備えた屋根板の連結構造であって、
前記2枚の屋根板(1a)・(1b)のうちの一方の屋根板(1a)には、その側縁部(12)を折り曲げて第1の立ち上がり部(121)を形成するとともに、同第1の立ち上がり部(121)の上部に被係止部(124)を形成し、
前記2枚の屋根板(1a)・(1b)のうちの他方の屋根板(1b)には、その側縁部(13)を折り曲げて第2の立ち上がり部(131)を形成するとともに、同第2の立ち上がり部(131)の上部に嵌合連結用の雌形凸条(134)を形成し、この雌形凸条(134)の前記第2の立ち上がり部(131)とは反対側を折り下げて立ち下がり部(135)を形成し、この立ち下がり部(135)の下端を前記第2の立ち上がり部(131)側に折り曲げて抜け止め部(136)を形成するとともに、同抜け止め部(136)の前記第2の立ち上がり部(131)寄りの位置に狭隘部(137)を形成し、
前記吊子(2)は、下地部材(4)に固定される固定部(21)と、同固定部(21)から立ち上がる第3の立ち上がり部(22)と、同第3の立ち上がり部(22)の上端に形成された係止部(23)と、を備え、
前記一方の屋根板(1a)の被係止部(124)が前記吊子(2)の係止部(23)に係止された状態で、前記他方の屋根板(1b)の嵌合連結用の雌形凸条(134)が前記吊子(2)の係止部(23)に外嵌されることにより、前記2つの屋根板(1a)(1b)が互いに連結されることを特徴とする屋根板の連結構造。
【請求項2】
請求項1に記載の屋根板の連結構造において、
前記一方の屋根板(1a)は、前記第1の立ち上がり部(121)の基端部に第1の傾斜部(122)を備え、
前記他方の屋根板(1b)は、前記狭隘部(137)から下方に向けて末広がり状に拡がるスカート部(138)を備え、
前記スカート部(138)の下端(138a)は前記第1の傾斜部(122)の傾斜面に当接していることを特徴とする屋根板の連結構造。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の屋根板の連結構造において、
前記嵌合連結用の雌形凸条(134)における前記立ち下がり部(135)と前記抜け止め部(136)とのなす角(θ)が90°よりも小さい角度であることを特徴とする屋根板の連結構造。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか1項に記載の屋根板の連結構造において、
前記吊子(2)の係止部(23)は、その外形が上方に向かって先細り状になっていることを特徴とする屋根板の連結構造。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか1項に記載の屋根板の連結構造において、
前記第1の立ち上がり部(121)、前記第2の立ち上がり部(131)及び前記第3の立ち上がり部(22)はいずれも平板な板状部分(123)・(133)・(22)を有し、この板状部分(123)・(133)・(22)を重ね合わせることで、前記第1の立ち上がり部(121)、前記第2の立ち上がり部(131)及び前記第3の立ち上がり部(22)が積層状に密接していることを特徴とする屋根板の連結構造。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれか1項に記載の屋根板の連結構造において、
前記一方の屋根板(1a)の前記第1の立ち上がり部(121)と前記他方の屋根板(1b)の前記狭隘部(137)との間に隙間(s)が設けられていることを特徴とする屋根板の連結構造。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれか1項に記載の屋根板の連結構造において、
前記一方の屋根板(1a)の前記被係止部(124)の下端(124a)と前記他方の屋根板(1b)の前記抜け止め部(136)との間に隙間(t)が設けられていることを特徴とする屋根板の連結構造。
【請求項8】
請求項1ないし7のいずれか1項に記載の屋根板の連結構造において、
前記吊子(2)は、1枚の金属製板材を断面S字状に折り曲げて一体に形成されており、前記固定部(21)と前記係止部(23)とは前記第3の立ち上がり部(22)を挟んで互いに反対側に折り曲げて形成されていることを特徴とする屋根板の連結構造。
【請求項9】
請求項2に記載の屋根板の連結構造において、
前記他方の屋根板(1b)は、その第2の立ち上がり部(131)の基端部に第2の傾斜部(132)を備え、
前記第1の傾斜部(122)と前記第2の傾斜部(132)とは同一の傾斜角(φ)を有し、かつ、前記第2の傾斜部(132)の上端の位置(X)が、前記第1の傾斜部(122)と前記立ち下がり部(135)の延長線の交わる位置(Y)と同じ高さにあることを特徴とする屋根板の連結構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、屋根板の連結構造に関し、特に金属製屋根板の連結構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、金属製屋根板の連結構造としては、例えば、特許文献1〜5に記載されたものがある。これらに記載された屋根板の連結構造は、いずれも、風雨に対し十分に強固な連結機能を発揮するとともに、雨水の侵入に対し十分な防水機能を発揮するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−4512号公報
【特許文献2】特開2002−4513号公報
【特許文献3】特開2002−4514号公報
【特許文献4】特開2006−138083号公報
【特許文献5】特開2006−138084号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、近時の大型台風や大型ハリケーン、さらには巨大竜巻の発生に伴い、より強固で十分な防水機能を有する屋根板の連結構造が求められている。
【0005】
ところで、吊子を用いる嵌合式の屋根板の連結構造にあっては、従来、キャップと呼ばれる部材を使用して屋根板同士を連結固定していたが、その分、部品点数が増加するという問題があった。
【0006】
このため、吊子を用いる嵌合式の連結構造でありながら、キャップを必要とせず、それでいて、より強固な連結機能と、より高い防水性能を発揮する屋根板の連結構造が求められている。
【0007】
本発明は、かかる課題を解決するためになされたものであり、吊子を用いる嵌合式の連結構造でありながら、キャップを必要とせず、それでいて、より強固な連結機能と、より高い防水性能を発揮する屋根板の連結構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明は、以下のように構成したことを特徴とする。
すなわち、本発明は、並列した2枚の屋根板(1a)・(1b)と吊子(2)とを備えた屋根板の連結構造であって、
前記2枚の屋根板(1a)・(1b)のうちの一方の屋根板(1a)には、その側縁部(12)を折り曲げて第1の立ち上がり部(121)を形成するとともに、同第1の立ち上がり部(121)の上部に被係止部(124)を形成し、
前記2枚の屋根板(1a)・(1b)のうちの他方の屋根板(1b)には、その側縁部(13)を折り曲げて第2の立ち上がり部(131)を形成するとともに、同第2の立ち上がり部(131)の上部に嵌合連結用の雌形凸条(134)を形成し、この雌形凸条(134)の前記第2の立ち上がり部(131)とは反対側を折り下げて立ち下がり部(135)を形成し、この立ち下がり部(135)の下端を前記第2の立ち上がり部(131)側に折り曲げて抜け止め部(136)を形成するとともに、同抜け止め部(136)の前記第2の立ち上がり部(131)寄りの位置に狭隘部(137)を形成し、
前記吊子(2)は、下地部材(4)に固定される固定部(21)と、同固定部(21)から立ち上がる第3の立ち上がり部(22)と、同第3の立ち上がり部(22)の上端に形成された係止部(23)と、を備え、
前記一方の屋根板(1a)の被係止部(124)が前記吊子(2)の係止部(23)に係止された状態で、前記他方の屋根板(1b)の嵌合連結用の雌形凸条(134)が前記吊子(2)の係止部(23)に外嵌されることにより、前記2つの屋根板(1a)(1b)が互いに連結されることを特徴とする。
【0009】
本発明は上記のとおり構成したので、吊子を用いる嵌合式の屋根板の連結構造でありながら、キャップを必要としない。このため、部品点数を削減することができる。
また、他方の屋根板(1b)の嵌合連結用の雌形凸条(134)の立ち下がり部(135)の下端に抜け止め部(136)及び狭隘部(137)が形成されているので、一方の屋根板(1a)を吊子(2)に係止した状態のまま他方の屋根板(1b)の嵌合状態を保持することができ、これにより、吊子(2)を介して両屋根板(1a)(1b)を強固に連結することができる。
さらに、他方の屋根板(1b)の嵌合連結用の雌形凸条(134)の狭隘部(137)によって雨水の侵入が防止されるので、十分な防水機能も発揮することができる。
【0010】
また、本発明は、上記構成において、
前記一方の屋根板(1a)は、前記第1の立ち上がり部(121)の基端部に第1の傾斜部(122)を備え、
前記他方の屋根板(1b)は、前記狭隘部(137)から下方に向けて末広がり状に拡がるスカート部(138)を備え、
前記スカート部(138)の下端(138a)は前記第1の傾斜部(122)の傾斜面に当接していることを特徴とする。
【0011】
これにより、他方の屋根板(1b)の下端(138a)を第1の傾斜部(122)の傾斜面に当接させて封止できるとともに、雨水の侵入をこの傾斜面によって跳ね返すことができるので、防水機能をさらに向上させることができる。
【0012】
また、本発明は、上記構成において、
前記嵌合連結用の雌形凸条(134)における前記立ち下がり部(135)と前記抜け止め部(136)とのなす角(θ)が90°よりも小さい角度であることを特徴とする。
【0013】
これにより、抜け止め部(136)の抜け止め作用がより強固になるので、両屋根板(1a)(1b)をさらに強固に連結することができる。
【0014】
また、本発明は、上記構成において、
前記吊子(2)の係止部(23)は、その外形が上方に向かって先細り状になっていることを特徴とする。
【0015】
これにより、他方の屋根板(1b)の嵌合連結用の雌形凸条(134)を吊子(2)に外嵌する際に、吊子(2)の係止部(23)を狭隘部(137)の間から挿通させ易くなるので、作業効率を向上させることができる。
【0016】
また、本発明は、上記構成において、
前記第1の立ち上がり部(121)、前記第2の立ち上がり部(131)及び前記第3の立ち上がり部(22)はいずれも平板な板状部分(123)・(133)・(22)を有し、この板状部分(123)・(133)・(22)を重ね合わせることで、前記第1の立ち上がり部(121)、前記第2の立ち上がり部(131)及び前記第3の立ち上がり部(22)が積層状に密接していることを特徴とする。
【0017】
また、本発明は、上記構成において、
前記一方の屋根板(1a)の前記第1の立ち上がり部(121)と前記他方の屋根板(1b)の前記狭隘部(137)との間に隙間(s)が設けられていることを特徴とする。
【0018】
また、本発明は、上記構成において、
前記一方の屋根板(1a)の前記被係止部(124)の下端(124a)と前記他方の屋根板(1b)の前記抜け止め部(136)との間に隙間(t)が設けられていることを特徴とする。
【0019】
また、本発明は、上記構成において、
前記吊子(2)は、1枚の金属製板材を断面S字状に折り曲げて一体に形成されており、前記固定部(21)と前記係止部(23)とは前記第3の立ち上がり部(22)を挟んで互いに反対側に折り曲げて形成されていることを特徴とする。
【0020】
また、本発明は、上記構成において、
前記他方の屋根板(1b)は、その第2の立ち上がり部(131)の基端部に第2の傾斜部(132)を備え、
前記第1の傾斜部(122)と前記第2の傾斜部(132)とは同一の傾斜角(φ)を有し、かつ、前記第2の傾斜部(132)の上端の位置(X)が、前記第1の傾斜部(122)と前記立ち下がり部(135)の延長線の交わる位置(Y)と同じ高さにあることを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明は上記のように構成したので、吊子を用いる嵌合式の屋根板の連結構造でありながら、キャップを必要とせず、それでいて、強固な連結機能と高い防水性能を発揮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】図1(A)は本発明の実施例に係る屋根板の連結構造の縦断正面図、図1(B)はその要部拡大図である。
【図2】本発明の実施例に係る屋根板の縦断正面図である。
【図3】図2の左側縁部の拡大図である。
【図4】図4(A)は図2の右側縁部の拡大図、図4(B)はさらにその要部拡大図である。
【図5】本発明の実施例に係る吊子の縦断正面図である。
【図6】図6(A)は本発明の別実施例に係る屋根板の連結構造の縦断正面図、図6(B)はその要部拡大図である。
【図7】図7(A)は本発明の別実施例における屋根板の右側縁部の拡大図、図7(B)はさらにその要部拡大図である。
【図8】本発明の別実施例に係る吊子の縦断正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施例に係る屋根板の連結構造について、図1〜図5に基づいて説明する。図1〜5に記載の実施例は、本発明を縦葺き屋根に適用した場合を示している。
【0024】
この実施例は、図1(A)に示すとおり、右側の屋根板1aと左側の屋根板1bと吊子2とを備える。
このうち、右側の屋根板1a及び左側の屋根板1bは、図2に示すとおり、略平坦な屋根板本体11と、その左右に位置する左側縁部12及び右側縁部13とを有する。右側の屋根板1a及び左側の屋根板1bはいずれも1枚の金属製板材を曲げ加工により折り曲げて一体に形成されている。図1(A)において、右側の屋根板1a及び左側の屋根板1bはいずれも図2に示す屋根板1と同一の形状及び構成を有しており、この屋根板1を家屋等の建物の上部に左右に並列して配置したものである。以下では、右側の屋根板1a及び左側の屋根板1bに共通する部分については屋根板1として説明し、特に左右を明示する必要があるときは右側の屋根板1a又は左側の屋根板1bであることを明示して説明することとする。
【0025】
屋根板本体11は野地板等の下地部材4の上に配置され、その上面側が屋外側に位置するようになっている。
【0026】
屋根板1の左側縁部12は、曲げ加工により上方に折り曲げられて立ち上がり部121(第1の立ち上がり部121)を形成している。第1の立ち上がり部121の基端部には傾斜部122(第1の傾斜部122)が形成されている。さらに、第1の立ち上がり部121は、この傾斜部122の上部に垂直部123を有する。この垂直部123は、屋根板本体11に対し直角方向となるように傾斜部122の上部に設けられている。この垂直部123の上部は屋根板本体11の上面側に折り返され、斜め下方に向けて下方広がり状に延びている。この折り返し部は被係止部124となっており、後述する吊子2の係止部23内に受け入れられて係止されるようになっている。屋根板本体11の上面側に折り返された折り返し端は、内側に丸め込まれて端部処理がなされ、これが被係止部124の下端124aとなっている。
【0027】
屋根板1の右側縁部13は、曲げ加工により上方に折り曲げられて立ち上がり部131(第2の立ち上がり部131)を形成している。第2の立ち上がり部131の基端部には傾斜部132(第2の傾斜部132)が形成されている。さらに、第2の立ち上がり部131は、この傾斜部132の上部に垂直部133を有する。この垂直部133は、屋根板本体11に対し直角方向となるように傾斜部132の上部に設けられている。この垂直部133の上部は屋根板本体11とは反対側に折り曲げられている。この折曲部は比較的幅広で、上方に緩やかに湾曲するように折り曲げられており、この幅広の折曲部が嵌合連結用の雌形凸条134となる。
【0028】
この幅広の折曲部、つまり、嵌合連結用の雌形凸条134の前記垂直部133とは反対側は下方に折り曲げられて、立ち下がり部135を形成している。この立ち下がり部135と垂直部133とは互いに略平行な面に形成されている。この立ち下がり部135の下端は、第2の立ち上がり部131側に折り曲げられて、抜け止め部136が形成されている。この抜け止め部136は、立ち下がり部135側に若干折り返すように折り曲げられている。言い換えれば、抜け止め部136と立ち下がり部135とのなす角度θは90°未満となっており、これにより、抜け止め部136は立ち下がり部135の下端から第2の立ち上がり部131側に向けて上向きに傾斜することになり、これが抜け止め部136の抜け止め作用を強化することとなる。なお、本実施例では、この角度θは約85°である。但し、この角度θは必ずしも90°未満である必要はなく、90°(直角)であってもよいし、90°を超える角度であってもよい。
【0029】
抜け止め部136はさらに第2の立ち上がり部131の垂直部133との間に僅かに隙間を設けて下方に折り曲げられ、この折曲部分が狭隘部137となっている。さらに、この狭隘部137よりも下方の部分は、下方広がり状に拡開されてスカート部138が形成されている。そして、このスカート部138の下端138aは内側に丸め込まれて端部処理がなされ、この部分が後述するように当接部として機能するようになっている。
【0030】
他方、吊子2は、図5に示すとおり、1枚の金属製板材を曲げ加工により断面S字状に折り曲げて一体に形成されており、固定部21と立ち上がり部22(第3の立ち上がり部22)と係止部23とを有する。吊子2は通し吊子であっても部分吊子であってもよい。固定部21は、図1(A)に示すとおり、ビス等の固定手段5により野地板等の下地部材4に固定される。第3の立ち上がり部22は固定部21から直角に折り上げられている。他方、第3の立ち上がり部22の上部は、固定部21とは反対側に折り曲げられた上、下方広がり状に折り返されており、この折曲部が係止部23として機能するようになっている。具体的には、上記折曲部の内側の凹曲部が係止部23となっており、この凹曲部に右側の屋根板1aの被係止部124が受け入れられて係止されることになる。係止部23として機能するこの凹曲部は、被係止部124が下から挿入されるように開口部が下方に向いており、上方に向けて先細り状になっている。そして、係止部23の外形についても、上方に向けて先細り状になっており、狭隘部137を挿通させて嵌合連結用の雌形凸条134内に係止部23を収容し易くなっている。
【0031】
以上のとおり構成された各部材を建物の上部に組み付けると図1(A)に示すとおりの構造になる。組み付け手順は次のとおりである。まず、野地板等の下地部材4にビス等の固定手段5で吊子2を固定する。次に、右側の屋根板1aの被係止部124を吊子2の係止部23に下から挿入する。この状態で、左側の屋根板1bの嵌合連結用の雌形凸条134を係止部23に外嵌する。これにより、左右の屋根板1a・1bが吊子2を介して互いに連結され、建物の上部に固定されることになる。
【0032】
なお、左側の屋根板1bの嵌合連結用の雌形凸条134を係止部23に外嵌するには、係止部23を狭隘部137の隙間から内部に通す必要があるが、係止部23の外面が先細り状に形成されているため、可撓性を利用して左側の屋根板1bの立ち下げり部135を弾性変形させて狭隘部137の隙間を広げることができるので、嵌合連結用の雌形凸条134を容易に係止部23に外嵌することができる。
【0033】
この組み付け状態において、右側の屋根板1aの第1の立ち上がり部121と左側の屋根板1bの第2の立ち上がり部131とは吊子2の第3の立ち上がり部22を間に挟んで積層状に重なり合うようになっている。すなわち、右側の屋根板1aの第1の立ち上がり部121は吊子2の第3の立ち上がり部22に右側から密接し、左側の屋根板1bの第2の立ち上がり部131はその反対側から吊子2の第3の立ち上がり部22に密接するようになっている。そして、このようにして3つの部材1a・1b・2の板状部分121・131・22が積層状に重なり合った状態で、左側の屋根板1bの狭隘部137と右側の屋根板1aの第1の立ち上がり部121との間に隙間sが形成されるようになっている。
【0034】
なお、本実施例においてビスやボルト等の固定手段を使用するのは吊子2を下地部材4に固定する場合だけであり、それ以外の箇所には使用していない。すなわち、屋根板1a・1b相互の連結や吊子2と屋根板1a又は1bとの連結はすべてボルト等を使用しない嵌合式となっている。このため、無暗に屋根板1a・1bにビスやボルト等を挿通するための穴をあける必要がなく、雨水等の侵入を防止できる。
【0035】
また、この種の吊子を用いるタイプの屋根板の連結構造では、従来、キャップと呼ばれる部材を必要としたが、本実施例では、屋根板自体に設けられている嵌合連結用の雌形凸条134がキャップの機能を果たすため別途キャップを設ける必要がない。このため、吊子を用いるタイプの連結構造でありながら、部品点数を削減できる。
【0036】
本実施例は、さらに、組み付け状態において以下のような特徴を有している。
まず、図1(A)に示すとおり、左側の屋根板1bのスカート部138の下端138aが右側の屋根板1aの傾斜部122(第1の傾斜部122)の傾斜面に当接するようになっている。これにより、雨水等はこの傾斜面で跳ね返され、たとえ雨水等がスカート部138の下端138aと傾斜部122との間から侵入したとしても、雨水等はこの傾斜面を流れ落ちるため、それ以上の侵入は防止される。
【0037】
また、本実施例では、図1(B)に拡大して示すとおり、組み付け状態において、狭隘部137には隙間sが形成されている。すなわち、右側の屋根板1aの立ち上がり部121(第1の立ち上がり部121)と左側の屋根板1bの狭隘部137との間に通常時は隙間sが形成されており、この狭隘部137において左右の屋根板1a・1bがわずかに離間している。
また、右側の屋根板1aの被係止部124の下端124aと左側の屋根板1bの抜け止め部136との間にも通常時は隙間tが形成されるようになっており、両者がわずかに離間している。
なお、左側の屋根板1bの立ち下がり部135と抜け止め部136とのなす角θが90°未満であることは前述のとおりである。
【0038】
この結果、本実施例は以下のような効果を奏する。すなわち、例えば強風等により屋根板1a・1bに負圧が作用して屋根板1a・1bが若干浮き上がったとする。この場合、屋根板1a・1bは、通常、その真ん中あたり(図2の中心部付近)が持ち上がるように変形する。これを図1(A)の右側の屋根板1aについてみると、右側の屋根板1aは第1の傾斜部122を介して左側の屋根板1bの当接部すなわちスカート部138の下端138aを押し上げることになる。このスカート部138の下端138aの押し上げはさらに左側の屋根板1bの抜け止め部136を上方に押し上げることになるが、この押し上げは抜け止め部136の抜け止め作用をより強固にする方向に働くため、結果的に右側の屋根板1aはより強固に保持されることになる。このため、右側の屋根板1aが外れて飛ばされるおそれがない。
【0039】
同様に左側の屋根板1bについてみても、強風等の負圧により左側の屋根板1bの真ん中あたりが浮き上がるように変形した場合、第2の立ち上がり部131はその基端部を中心に外方に広がろうとするが、これは結果的に抜け止め部136を食い込ませるように作用するため、左側の屋根板1bもしっかりと保持されることになる。
【0040】
さらに、本実施例では、図1(A)に示すとおり、第1の傾斜部122と第2の傾斜部132とは同一の傾斜角φを有するようになっており、かつ、第2の傾斜部132の上端の位置Xが、第1の傾斜部122と立ち下がり部135の延長線の交わる位置Yと同じ高さにあるようになっている。この結果、本実施例は、外観上、嵌合連結用の雌形凸条134の中心線Wを挟んで左右対称に見えることになり、美観が向上する。また、本実施例では、上記第1の傾斜部122と第2の傾斜部132の傾斜角φは39°となっている。この傾斜角φは、30°〜60°の範囲の角度であることが風雨に対する各屋根板1a・1bの固定機能を十分に発揮する上で好ましい。
【0041】
図6〜8は、本発明の別実施例を示している。なお、先の実施例と同じ部材及び対応する部分には同じ符号を付している。
【0042】
まず、この別実施例では、図7に端的に示されるように、屋根板1(図6における左側の屋根板1b)の右側縁部13の立ち下がり部135の下がり具合の態様において、先の実施例と異なる。すなわち、先の実施例では、立ち下がり部135が垂直部133と略平行になるように形成されていたが(図1・4参照)、この別実施例では、立ち下がり部135が下方に向けて末広がり状に広がるように予め形成されている。この結果、嵌合連結用の雌形凸条134を吊子2の上部(つまり係止部23)に外嵌する際に、立ち下がり部135を弾性変形しやすくなり、両者を嵌合させる作業が容易になる。
【0043】
次に、この別実施例では、抜け止め部136と立ち下がり部135とのなす角度θが90°よりも大きくなっている点で、先の実施例と相違している。これにより、抜け止め部136は立ち下がり部135の下端から斜め下方、つまり、第2の立ち上がり部131側に向けて下方に傾斜することになる。この点でも、この別実施例では、嵌合連結用の雌形凸条134を吊子2の上部(つまり係止部23)に外嵌しやすくなっている。
【0044】
なお、この別実施例においても、スカート部138の下端138aが右側の屋根板1aの傾斜部122(第1の傾斜部122)の傾斜面に当接するようになっている点は先の実施例と同様である。
【0045】
さらに、この別実施例では、吊子2が押出成形により製造されたアルミニウム合金製の押出型材からなっている点で、先の実施例と相違している。これにより、吊子2の厚みを厚くして強度を高めることができる。なお、図6では明示されていないが、この別実施例においても、吊子2がビス等の固定手段によって下地部材4に固定されている点は、先の実施例の場合と同様である。また、吊子2が通し吊子であっても部分吊子であってもよい点も、先の実施例の場合と同様である。
【0046】
この別実施例においても、先の実施例と同様、ビスやボルト等の固定手段を使用するのは吊子2を下地部材4に固定する場合だけであり、それ以外の箇所には使用していない。つまり、この別実施例においても、屋根板1a・1b相互の連結や吊子2と屋根板1a又は1bとの連結はすべてボルト等を使用しない嵌合式となっている。このため、無暗に屋根板1a・1bにビスやボルト等を挿通するための穴をあける必要がなく、雨水等の侵入を効果的に防止することができる。
【0047】
また、この別実施例においても、先の実施例と同様、屋根板自体に設けられている嵌合連結用の雌形凸条134がキャップの機能を果たすため、別途キャップを設ける必要がない。この結果、吊子を用いるタイプの屋根板の連結構造でありながら、部品点数を削減することができる。
【符号の説明】
【0048】
1 屋根板
1a 右側の屋根板(一方の屋根板)
1b 左側の屋根板(他方の屋根板)
12 左側縁部
121 立ち上がり部(第1の立ち上がり部)
122 傾斜部(第1の傾斜部)
123 垂直部
124 被係止部
124a 被係止部の下端
13 右側縁部
131 立ち上がり部(第2の立ち上がり部)
132 傾斜部(第2の傾斜部)
133 垂直部
134 嵌合連結用の雌形凸条
135 立ち下がり部
136 抜け止め部
137 狭隘部
138 スカート部
138a スカート部の下端
2 吊子
21 固定部
22 立ち上がり部(第3の立ち上がり部)
23 係止部
4 野地板(下地部材)
5 ビス(固定手段)
s 右側の屋根板(一方の屋根板)の第1の立ち上がり部と左側の屋根板(他方の屋根板)の狭隘部との間の隙間
t 右側の屋根板(一方の屋根板)の被係止部の下端と左側の屋根板(他方の屋根板)の抜け止め部との間の隙間
X 第2の傾斜部の上端の位置
Y 第1の傾斜部と立ち下がり部の延長線の交わる位置
θ 抜け止め部と立ち下がり部とのなす角度
φ 傾斜部の傾斜角
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【国際調査報告】