(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO2014054353
(43)【国際公開日】20140410
【発行日】20160825
(54)【発明の名称】電子部品内蔵モジュール及び通信端末装置
(51)【国際特許分類】
   H05K 3/46 20060101AFI20160729BHJP
   H01L 25/04 20140101ALI20160729BHJP
   H01L 25/18 20060101ALI20160729BHJP
   H01L 23/12 20060101ALI20160729BHJP
【FI】
   !H05K3/46 Q
   !H05K3/46 G
   !H01L25/04 Z
   !H01L23/12 N
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】18
【出願番号】2014539639
(21)【国際出願番号】JP2013072707
(22)【国際出願日】20130826
(11)【特許番号】5660260
(45)【特許公報発行日】20150128
(31)【優先権主張番号】2012223384
(32)【優先日】20121005
(33)【優先権主張国】JP
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ
(71)【出願人】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
【住所又は居所】京都府長岡京市東神足1丁目10番1号
(74)【代理人】
【識別番号】110001449
【氏名又は名称】特許業務法人プロフィック特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】郷地 直樹
【住所又は居所】京都府長岡京市東神足1丁目10番1号 株式会社村田製作所内
【テーマコード(参考)】
5E316
【Fターム(参考)】
5E316AA05
5E316AA12
5E316AA15
5E316AA22
5E316AA32
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5E316BB11
5E316BB16
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5E316FF18
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5E316GG15
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5E316HH11
5E316JJ12
5E316JJ24
(57)【要約】
電子部品内蔵モジュール(1)は、電子部品と多層基板との接合強度の低下を抑制可能するために、複数のパッド(4)が形成された電子部品(3)と、複数の樹脂層(8)の積層体であって、該電子部品(3)を収容するキャビティ(C)が形成された多層基板(2)と、を備えている。多層基板(2)は、複数の第一パターン導体(5c)と、キャビティ(C)を構成する空間とが形成された第一樹脂層(8c)と、第二パターン導体(5a)と、第一パターン導体(5c)およびパッド(4)のいずれかに導通する複数の第三パターン導体(5b)とが形成され、第一樹脂層に積層された第二樹脂層(8b)と、を含む。第二パターン導体(5a)は、積層方向からの平面視で、第一パッド(4a)の周囲に該第一パッド(4a)と間隔をあけて形成され、第二パターン導体(5a)と、第一パッド(4a)の少なくとも一つとの間には、第二樹脂層(8b)が介在する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面上に複数のパッドが形成された電子部品と、複数の樹脂層の積層体であって、該電子部品を収容するキャビティが内部に形成された多層基板と、を備えた電子部品内蔵モジュールであって、
前記多層基板は、前記複数の樹脂層として、少なくとも、
複数の第一パターン導体と、前記キャビティを構成する空間とが形成された第一樹脂層と、
少なくとも一つの第二パターン導体と、前記複数の第一パターン導体および前記複数のパッドのいずれかに導通可能に形成される複数の第三パターン導体とが形成され、前記第一樹脂層に積層された第二樹脂層と、を含み、
前記第二パターン導体は、前記第一樹脂層と前記第二樹脂層との積層方向からの平面視で、前記複数のパッドの少なくとも一つである第一パッドの周囲に該第一パッドと間隔をあけて形成され、
前記第二パターン導体と、前記第一パッドとの間には、前記第二樹脂層が介在する、電子部品内蔵モジュール。
【請求項2】
前記第二パターン導体は、前記積層方向からの平面視で、前記第一パッドの周囲を取り囲む、請求項1に記載の電子部品内蔵モジュール。
【請求項3】
前記多層基板において、前記第二パターン導体が形成する凹部に、前記第二樹脂層が入り込んでいる、請求項1または2に記載の電子部品内蔵モジュール。
【請求項4】
前記第一パッドはノンコンタクト端子である、請求項1〜3のいずれかに記載の電子部品内蔵モジュール。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の電子部品内蔵モジュールを実装した通信端末装置。
【請求項6】
表面上に複数のパッドが形成された電子部品と、複数の樹脂層の積層体であって、該電子部品を収容するキャビティが内部に形成された多層基板と、を備えた電子部品内蔵モジュールであって、
前記多層基板は、前記複数の樹脂層として、少なくとも、
複数の第一パターン導体と、前記キャビティを構成する空間とが形成された第一樹脂層と、
少なくとも一つの第二パターン導体と、前記複数の第一パターン導体および前記複数のパッドのいずれかに導通可能に形成される複数の第三パターン導体とが形成され、前記第一樹脂層に積層された第二樹脂層と、を含み、
前記複数のパッドは、前記第一樹脂層と前記第二樹脂層との積層方向からの平面視で、前記第二パターン導体の周囲に該第二パターン導体と間隔をあけて形成された第一パッドを含んでおり、
前記第二パターン導体と前記第一パッドとの間には前記第二樹脂層が介在する、電子部品内蔵モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多層基板に電子部品を内蔵する電子部品内蔵モジュール及びこれを備えた通信端末装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の電子部品内蔵モジュールとして、下記の特許文献1に記載の部品内蔵配線基板(以下、単に配線基板という)がある。配線基板は、略矩形板状のコア基板を備えている。コア基板の主面(以下、コア主面という)には主面側ビルドアップ層が、該主面との対向面(以下、コア対向面という)には裏面側ビルドアップ層が設けられる。
【0003】
コア基板には、上方からの平面視で矩形状の貫通孔である収容穴部(つまり、キャビティ)を有する。収容穴部内には、電子部品の一例であるICチップ(半導体集積回路素子)が収容される。なお、収容穴部とICチップとの隙間は樹脂充填剤によって埋められ、これによって、ICチップはコア基板に固定される。
【0004】
主面側ビルドアップ層は、熱硬化性樹脂からなる3層の主面側層間樹脂層と、銅からなる主面側導体層とを交互に積層した構造を有する。また、各主面側層間樹脂層の内部には、それぞれ銅めっきで形成された第一ビア導体が設けられる。これら第一ビア導体の一部は、ICチップに接続されている。
【0005】
電子部品内蔵モジュールとしては、他にも、下記の特許文献2に記載のSiベースパッケージが例示される。Siベースパッケージは、自身の下方部分に、電子部品の他の例であるRFICチップのためのエッチングされたキャビティが形成されたインターポーザ(つまり、多層基板)を備えている。キャビティには、遮蔽性を促進するように金属被覆が設けられる。また、RFICチップはマイクロバンプを用いて、Siベースパッケージの追加部分にフリップ・チップ接合される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−260318号公報
【特許文献1】特開2008−42904号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
近年、電子部品内蔵モジュールの小型化や高機能化に伴い、電子部品と多層基板との接合部が小さくなってきている。しかしながら、接合部が小さくなったとしても、その接合強度を低下させないことが求められる。
【0008】
上記点に鑑み、本発明の目的は、電子部品と多層基板との接合強度の低下を抑制可能な電子部品内蔵モジュール及び通信端末装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明の一局面は、表面上に複数のパッドが形成された電子部品と、複数の樹脂層の積層体であって、該電子部品を収容するキャビティが内部に形成された多層基板と、を備えた電子部品内蔵モジュールである。
【0010】
前記多層基板は、前記複数の樹脂層として、少なくとも、複数の第一パターン導体と、前記キャビティを構成する空間とが形成された第一樹脂層と、少なくとも一つの第二パターン導体と、前記複数の第一パターン導体および前記複数のパッドのいずれかに導通可能に形成される複数の第三パターン導体とが形成され、前記第一樹脂層に積層された第二樹脂層と、を含んでいる。
【0011】
前記第二パターン導体は、前記第一樹脂層と前記第二樹脂層との積層方向からの平面視で、前記複数のパッドの少なくとも一つである第一パッドの周囲に該第一パッドと間隔をあけて形成され、前記第二パターン導体と、前記第一パッドとの間には、前記第二樹脂層が介在する。
【0012】
また、本発明の第二局面は、表面上に複数のパッドが形成された電子部品と、複数の樹脂層の積層体であって、該電子部品を収容するキャビティが内部に形成された多層基板と、を備えた電子部品内蔵モジュールである。
【0013】
前記多層基板は、前記複数の樹脂層として、少なくとも、複数の第一パターン導体と、前記キャビティを構成する空間とが形成された第一樹脂層と、少なくとも一つの第二パターン導体と、前記複数の第一パターン導体および前記複数のパッドのいずれかに導通可能に形成される複数の第三パターン導体とが形成され、前記第一樹脂層に積層された第二樹脂層と、を含んでいる。
【0014】
前記複数のパッドは、前記第一樹脂層と前記第二樹脂層との積層方向からの平面視で、前記第二パターン導体の周囲に該第二パターン導体と間隔をあけて形成された第一パッドを含んでおり、前記第二パターン導体と前記第一パッドとの間には前記第二樹脂層が介在する。
【発明の効果】
【0015】
上記各局面によれば、電子部品と多層基板との接合強度の低下を抑制可能な電子部品内蔵モジュール及び通信端末装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】第一実施形態に係る電子部品内蔵モジュールを示す分解斜視図である。
【図2】図1の線A−A’に沿う縦断面を矢印Bの方向から見た図である。
【図3】図1の電子部品の詳細な構成を示す模式図である。
【図4A】図1のモジュールの製法における最初の工程を示す模式図である。
【図4B】図4Aの次工程を示す模式図である。
【図4C】図4Bの次工程を示す模式図である。
【図4D】図4Cの次工程を示す模式図である。
【図4E】図4Dの次工程を示す模式図である。
【図5A】図1の電子部品の上面図である。
【図5B】図1の第二樹脂層の上面図である。
【図5C】図4Aの第一パッド(NC端子)と、図4Bの第二パターン導体とのXY平面上での位置関係を示す模式図である。
【図6A】変形例に係る電子部品内蔵モジュールの縦断面図である。
【図6B】図6Aの電子部品の上面図である。
【図6C】図6Aの第二樹脂層の上面図である。
【図6D】図6Bの第一パッドと、図6Cの第二パターン導体とのXY平面上での位置関係を示す模式図である。
【図7】図4Aの第一パッドと、図4Bの第二パターン導体との他の構成例を示す第一図である。
【図8】図4Aの第一パッドと、図4Bの第二パターン導体との他の構成例を示す第二図である。
【図9A】図4Aの第一パッドと、図4Bの第二パターン導体との他の構成例を示す第三図である。
【図9B】図9Aに示す第一パッドの構成の第一例を示す図である。
【図9C】図9Aに示す第一パッドの構成の第二例を示す図である。
【図10】図1に示すモジュールを搭載した通信端末装置の構成を示す模式図である。
【図11】図10に示す通信端末装置の要部の等価回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(はじめに)
まず、いくつかの図面に示されるX軸、Y軸およびZ軸について説明する。X軸、Y軸およびZ軸は互いに直交する。Z軸は、樹脂層の積層方向を示す。便宜上、Z軸の負方向側を下側(D)とし、Z軸の正方向側を上側(U)とする。また、X軸は左右方向を示す。特に、X軸の正方向側を右側(R)とし、負方向側を左側(L)とする。また、Y軸は前後方向を示す。特に、Y軸の正方向側を奥方向(F)とし、負方向側を手前方向(N)とする。
【0018】
(第一実施形態)
図1は、本発明の第一実施形態に係る電子部品内蔵モジュール(以下、単にモジュールという)1を示す分解斜視図である。また、図2は、図1に示す線A−A’に沿う縦断面(以下、縦中心面という)を矢印Bの方向から見た時の図である。
【0019】
図1、図2において、モジュール1は、図示しないマザー基板上に実装可能に構成される。このモジュール1は、多層基板2と、少なくとも一つの電子部品3と、複数のパッド4と、複数のパターン導体5と、複数のビア導体6と、複数の外部電極7と、を備えている。また、このモジュール1は、付加的な構成として、複数の表面実装型の電子部品31を備えている。
【0020】
多層基板2は、複数の樹脂層8からなる積層体であり、外部から加わる力により変形可能である。また、多層基板2は、複数の樹脂層8として、少なくとも一つ(図示は二つ)の第一樹脂層8cと、第二樹脂層8bと、マザー基板との接合用の第三樹脂層8aと、第四樹脂層8dと、第五樹脂層8eと、を含んでいる。
【0021】
層8a〜8eは、電気絶縁性を有する可撓性材料(例えば、ポリイミドや液晶ポリマー等の熱可塑性樹脂)からなる樹脂シート81a〜81eを含んでいる。液晶ポリマーは、高周波特性に優れており、吸水性が低いことから、樹脂シート81a〜81eの材料として好ましい。また、各層8a〜8eは、上方からの平面視で互いに同じ矩形形状を有しており、10〜100[μm]程度の厚みを有する。
【0022】
第三樹脂層8aは、モジュール1をマザー基板に実装した際、複数の樹脂層8の中でマザー基板に最も近接する。この第三樹脂層8aの樹脂シート81aの下面には、マザー基板上のランド電極の位置に合うように、銅等の導電性材料からなる複数の外部電極7が形成される。なお、図1では、図面が見づらくならないように、一つの外部電極にのみ参照符号である「7」が付けられている。
【0023】
また、樹脂シート81aには、図2に示すように、複数のビア導体6が形成される。なお、図1には、図面が見づらくならないように、ビア導体6は示されていない。各ビア導体6は、例えば、錫および銀の合金等の導電性材料からなる。これらビア導体6は、電子部品3,31と、マザー基板のランド電極とを電気的に接続するために用いられ、所定の外部電極7の真上に、樹脂シート81aを上下方向に貫通するように形成される。
【0024】
第二樹脂層8bは、第三樹脂層8aの上面に積層される。この第二樹脂層8bの樹脂シート81bの下面には、銅等の導電性材料からなる複数のパターン導体5が形成される。複数のパターン導体5として、樹脂シート81bには、少なくとも、第二パターン導体5aと、第三パターン導体5bとが形成される。第二パターン導体5aは、第二樹脂層8bおよび第一樹脂層8cの積層方向(Z軸方向)からの平面視で、後述の第一パッド4aの周囲に、該第一パッド4aと間隔をあけて形成される。また、第三パターン導体5bは、積層方向からの平面視で、第二パターン導体5aとは異なる位置に形成される。この第三パターン導体5bは、電子部品3の第二パッド4b(後述)や、第一樹脂層8cのパターン導体5等と、少なくとも一つのビア導体6を介して電気的に接続するために用いられる。
【0025】
また、樹脂シート81bにも、上記同様のビア導体6が形成される。ビア導体6は、所定の第三パターン導体5bの真上に、樹脂シート81bを上下方向に貫通するように形成される。
【0026】
各第一樹脂層8cの上面には、各電子部品31とランド電極とを電気的に接続するための複数のパターン導体5として、第一パターン導体5cが形成される。
【0027】
また、各第一樹脂層8cの樹脂シート81cにも、上記同様のビア導体6が形成される。ビア導体6は、樹脂シート81cに形成された第一パターン導体5cの真下に、該樹脂シート81cを上下方向に貫通するように形成される。なお、図1および図2には、各図が見づらくならないように、各第一樹脂層8cの一つの第一パターン導体にのみ参照符号である「5c」が付けられている。同様に、図2には、各第一樹脂層8cの一つのビア導体にのみ参照符号である「6」が付けられている。この点については、他の層8d,8eについても同様である。
【0028】
ここで、本実施形態では、多層基板2には二つの第一樹脂層8cが含まれる。この場合、下方の第一樹脂層8cは第二樹脂層8bの上面に、上方の第一樹脂層8cは下方の第一樹脂層8cの上面に、積層される。
【0029】
多層基板2の内部、具体的には、二つの第一樹脂層8cには、後述の電子部品3を収容するためのキャビティCが形成される。具体的には、各第一樹脂層8cの同一位置(例えば、概ね中央部)には、上方からの平面視で電子部品3と略同一形状(例えば矩形)の貫通孔C1,C2が形成される。貫通孔C1,C2は、キャビティCを構成する空間の例であり、これらによって、キャビティCが形成される。
【0030】
第四樹脂層8dは、上方の第一樹脂層8cの上面に積層され、上記キャビティCの開口を閉止する。この第四樹脂層8dの樹脂シート81dの上面には、電子部品31とランド電極とを電気的に接続するための複数のパターン導体5が形成される。また、樹脂シート81dにも、複数のビア導体6が形成される。複数のビア導体6は、樹脂シート81dに設けられたパターン導体5の真下に、該樹脂シート81dを上下方向に貫通するように形成される。
【0031】
また、第五樹脂層8eは、上記第四樹脂層8dの上面に積層される。第五樹脂層8eの樹脂シート81eの上面には、複数のパターン導体5として、電子部品31の実装に用いられるランド電極が形成される。また、樹脂シート81eにも複数のビア導体6が形成される。複数のビア導体6は、樹脂シート81eのランド電極の真下に、該樹脂シート81eを上下方向に貫通するように形成される。
【0032】
電子部品3は、典型的には、CSP(Chip Size Package)の半導体部品である。電子部品3の一面には複数のパッド4(下記参照)が設けられている。この種の半導体部品としては、セキュアエレメントICとして機能する、暗号化機能付きメモリがある。他にも、電子部品3としては、RFICチップやデジタルカメラ用の画像処理IC等がある。なお、電子部品3は、上記CSPの半導体部品に限らず、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)でも構わないし、コンデンサやチップ抵抗等の受動部品でも構わない。
【0033】
電子部品3は、積層方向(Z軸方向)に対向する上面および下面と、該積層方向に平行な側面とを有する。本実施形態では、下面に複数のパッド4が設けられる。複数のパッド4は、第一パッド4aと第二パッド4bとに分類される。第一パッド4aは、上記積層方向(Z軸方向)からの平面視で、第二パターン導体5aの内側に形成される。また、この第一パッド4aは、ノンコンタクト端子(以下、NC端子という)であることが好ましい。NC端子は、いずれのビア導体6とも接合しない端子である。また、第二パッド4bは、樹脂シート81bに形成されたビア導体6と接合し、これを介して第三パターン導体5bと電気的に接続される。
【0034】
多くの図面(図1,図2を含む)では、図示を簡素化する等の目的で、電子部品3および複数のパッド4だけが示されている。電子部品3およびパッド4は、詳細には、図3に示すような構造を有する。つまり、Si基板10にUBM(アンダーバンプメタル)11が形成され、その周囲はSiO2層12で覆われる。SiO2層12の上にはポリイミド層13が形成される。ポリイミド層13からは、再配線層により、銅等からなるパッド4がSi基板10と導通した状態で引き出される。
【0035】
なお、上記では、電子部品3の構造についてはUBMを用いた形態を例示した。しかし、これに限らず、例えば、Si基板10の電極上に直接再配線層を形成しても構わない。
【0036】
再度図1および図2を参照する。電子部品3および複数のパッド4はキャビティCの内部に収容される。キャビティCは、電子部品3と実質的に同じサイズになるように設計される。より具体的には、電子部品3をキャビティCに収容した時に、電子部品3の側面等が第一樹脂層8cに接触する程度のサイズを、電子部品3およびキャビティCが有することが好ましい。また、電子部品3の下面および側面は、充填剤等で第一樹脂層8cに固定されないことが好ましい。これによって、マザー基板の変形や周囲の熱の影響で、もし層8cの長さがある方向に変わったとしても、その変化に追従して電子部品3はキャビティCの内部で移動する。換言すると、電子部品3は第一樹脂層8cの樹脂シート81c上を摺動する。なお、電子部品3が第一樹脂層8cに対して摺動しやすくするために、電子部品3の表面を鏡面加工することがさらに好ましい。
【0037】
また、電子部品31は、例えば、非接触通信に用いられるRFICチップや、マッチング回路やフィルタ回路を構成するキャパシタ素子およびインダクタ素子等である。
【0038】
複数のパターン導体5は、基本的には、多層基板2内に形成され、配線導体として用いられる。また、本実施形態のように、多層基板2に表面実装型電子部品31を実装する場合には、多層基板2の表面にもパターン導体5がランド電極として形成される。なお、パターン導体5は、配線導体やランド電極に限らず、コンデンサやコイルを形成するためのパターン導体であっても構わない。
【0039】
(モジュールの製造方法)
次に、モジュール1の製造方法について、図4A〜図4Eを参照して説明する。以下では、一つのモジュール1の製造過程を説明するが、実際には、大判の樹脂シートが積層及びカットされることにより、大量のモジュール1が同時に製造される。
【0040】
まず、表面のほぼ全域にわたり銅箔が形成された大判の樹脂シートが必要な枚数だけ準備される。この大判の樹脂シートは、モジュール1の完成後にいずれかの樹脂層8となる。図1のモジュール1を作成するには、樹脂シート81a〜81eに対応する大判の樹脂シート91a〜91e(図4Aを参照)が準備される。また、各樹脂シート91a〜91eは10〜100[μm]程度の厚みを有する液晶ポリマーである。また、銅箔の厚みは、6〜35[μm]である。なお、銅箔の表面は、防錆のために亜鉛等で鍍金され、平坦化されることが好ましい。
【0041】
次に、フォトリソグラフィ工程により、図4Aに示すように、少なくとも一枚の樹脂シート91aの一方面(例えば、下面)に複数の外部電極7が形成される。より具体的に説明すると、まず、この樹脂シート91aの銅箔上に、外部電極7と同じ形状のレジストが印刷される。その後、銅箔に対しエッチング処理が施され、レジストで覆われていない露出部分の銅箔が除去される。その後、レジストが除去される。これにより、樹脂シート91aの一方面に外部電極7が形成される。
【0042】
また、上記同様のフォトリソグラフィ工程により、図4Aに示すように、樹脂シート91bの一方面(例えば、下面)に、第二パターン導体5aおよび第三パターン導体5bが形成される。なお、この樹脂シート91bはモジュール1の完成後に、第二樹脂層用の樹脂シート81bとなる。
【0043】
また、上記同様のフォトリソグラフィ工程により、図4Aに示すように、大判の樹脂シート91c〜91eの一方面(例えば、上面)にもパターン導体5が形成される。大判の樹脂シート91c〜91eは、モジュール1の完成後に樹脂シート81c〜81eとなる。
【0044】
次に、図4Bに示すように、樹脂シート91aにおいてビア導体6が形成されるべき位置に、外部電極7が形成されていない面側からレーザービームが照射される。これによって、ビアホールが形成され、その後、各ビアホールに導電性ペーストが充填される。
【0045】
また、樹脂シート91bにおいて、ビア導体6が形成されるべき位置に、第二パターン導体5aおよび第三パターン導体5bが形成されていない面側からレーザービームが照射される。こうしてできた各ビアホールに導電性ペーストが充填される。
【0046】
同様にして、樹脂シート91c〜91eの所定位置にも、パターン導体5が形成されていない面側からレーザービームが照射される。これによってできた各ビアホールに導電性ペーストが充填される。
【0047】
次に、図4Cに示すように、樹脂シート91dにおいてパターン導体5aが形成されていない面に、電子部品3が配置され仮プレスされる。これによって、電子部品3が樹脂シート91d上で位置決めされる。さらに、各樹脂シート91cにおいて、電子部品3が配置されるべき位置に、金型により打ち抜き加工される。これによって、貫通孔C1,C2が形成される。
【0048】
次に、図4Dに示すように、樹脂シート91a〜91eが、下から上へとこの順番に積み重ねられる。ここで、樹脂シート91aは、外部電極7の形成面が下方を向いた状態で、また、樹脂シート91bは、第二パターン導体5aおよび第三パターン導体5bの形成面が下方を向いた状態で積層される。
【0049】
その後、積み重ねられた樹脂シート91a〜91eに、上下両方向から熱および圧力が加えられる。この加熱・加圧によって、樹脂シート91a〜91eを軟化させて圧着および一体化するとともに、各ビアホール内の導電性ペーストを固化させる。これによって、ビア導体6が形成される。なお、各樹脂シート91a〜91eは、加熱・加圧による圧着に代えて、エポキシ系樹脂等の接着剤を用いて一体化されてもよい。
【0050】
最後に、一体化された樹脂シート91a〜91eは所定サイズにカットされ、これによって、図4Eに示すようなモジュール1が完成する。
【0051】
(第一パッドおよび第一パターン導体の作用・効果)
次に、第一パッド4aおよび第二パターン導体5aの作用・効果について詳細に説明する。第一パッド4aは、図5Aに示すように、積層方向からの平面視で、略円形形状を有する。また、第一パッド4aは、図5Cに示すように、積層方向からの平面視で、第二パターン導体5aの内縁から内側方向に離れた位置に形成される。第二パターン導体5aは、図5Bに示すように、第一パッド4aの全周囲を取り囲む環状形状を有する。また、第二パターン導体5aは、図5Cに示すように、積層方向からの平面視で、後述の第一パッド4aの周囲に空隙をあけて形成される。
【0052】
上記第一パッド4aおよび第二パターン導体5aは上記のような位置関係にあり、第一パッド4aおよび第二パターン導体5aの間には、可撓性を有する樹脂シート81bが介在している。よって、上記複数の樹脂層8を加熱・加圧により積層する際、図4Eに示すように、樹脂シート81bにおいて、第一パッド4aと当接する部分αは、第二パターン導体5aの内側に形成される凹部βに入り込む。その後、樹脂シート81bが硬化する。この凹部βに押し込まれた樹脂がアンカーとなり、本実施形態の例では樹脂シート81aと密着する。それによって、樹脂シート81bは、外部から加わる力による変形に対する耐性が向上する。ここで、外部からの力としては、機械的な衝撃や、多層基板2の内部で発生しうるガスによる圧力が例示される。この耐性向上により、電子部品3と樹脂シート81b(つまり、多層基板2)との接合強度が向上する。よって、たとえ電子部品3と多層基板2との接合部が小さくなったとしても、接合強度の向上により、小型化に起因する接合強度の低下を補うことが可能となる。
【0053】
特に、電子部品3が多層基板2に内蔵される場合、多層基板2は、製造時に上下両方向から加圧されるため、凹部βに流入する樹脂量が多くなるため、より接合強度を向上させることが可能となる。
【0054】
上記の通り、樹脂シート81bにおいて凹部βに流入した部分は、同じ樹脂材料からなる樹脂シート81aと密着する。ここで、第一パッド4aはNC端子であるため、凹部βに押し込まれた部分にはビア導体6が設けられていない。つまり、凹部βに押し込まれた部分では、異種材料同士の接合がない。よって、凹部β内の樹脂は、樹脂シート81aと強く密着することになる。
【0055】
(第一パッドおよび第一パターン導体の他の例)
上記第一実施形態では、第一パッド4aが一つで、第二パターン導体5aが一つのモジュール1について説明した。しかし、これに限らず、図6A〜図6Dに示すように、複数組みの第一パッド4aおよび第二パターン導体5aがモジュール1に備わっていても構わない。
【0056】
また、上記第一実施形態では、第二パターン導体5aは、積層方向からの平面視で環状形状を有していた。しかし、これに限らず、第二パターン導体5aは、図7の最上段に示すように、積層方向からの平面視で、環状形状の一部を切り欠いたような形状(C字型)でも構わない。他にも、図7の上から二段目に示すように、第二パターン導体5aは、環状形状を四等分したような形状でも構わない。また、第二パターン導体5aは、環状形状に限らず、図7の上から三段目や四段目に示すように、積層方向からの平面視で四角枠や六角枠でも構わない。また、図7の最下段に示すように、第一パッド4aは、積層方向からの平面視で略矩形形状でも構わない。
【0057】
また、図8の上段に示すように、電子部品3の隣り合うパッド4aの間隔が狭い場合、第二パターン導体5aは、これら複数のパッド4aを取り囲むように形成されても構わない。また、図8の下段に示すように、第一パッド4aから配線が伸びていても構わない。
【0058】
また、上記第一実施形態では、第一パッド4aは、図5Aに示すように、積層方向からの平面視で、略円形形状を有し、第二パターン導体5aは、図5Bに示すように、第一パッド4aの全周囲を取り囲むような環状形状を有していた。しかし、これに限らず、図9Aに示すように。第二パターン導体5aが略円形形状を有し、第一パッド4aは、凹部βを形成して、第二パターン導体5aの全周囲を取り囲むような環状形状を有していても構わない。
【0059】
なお、上記のように電子部品3側に凹部βを形成する場合、図9Bに示すように、導電性材料(つまり、パッド4)で凹部βを形成しても構わないし、図9Cに示すように、SiO2層12やポリイミド層13により凹部βが形成されても構わない。
【0060】
(モジュールの応用例)
上記モジュール1は、例えば、図10に示すように、13.56MHz帯のNFC(Near Field Communication)に対応した通信端末装置20に使用される。ここで、図10には、筐体カバー21を開けた時の通信端末装置20の筐体22内に配置された各種部品や各種部材が示されている。この通信端末装置20は、典型的には携帯電話やスマートフォンであり、筐体22の内部に、モジュール1以外に、例えば、プリント配線板23と、コイルアンテナ24と、ブースターアンテナ25と、を備えている。なお、筐体22の内部には、上述以外にも、バッテリーパック、カメラ、UHF帯アンテナ、各種回路素子が高密度に実装・配置されているが、これらについては本発明の要部では無いので、説明を省略する。
【0061】
コイルアンテナ24は、モジュール1とともに、プリント配線板23に実装される。また、図11の等価回路に示すように、コイルアンテナ24の両端にモジュール1の外部電極7が接続される。
【0062】
また、ブースターアンテナ25は、筐体カバー21を閉じた時にコイルアンテナ24と向かい合うように配置されるように筐体カバー21に取り付けられている。このブースターアンテナ25は、例えば、平面的なスパイラルコイル等であり、コイルアンテナ24の通信距離を伸ばすために設けられる。
【0063】
上記のように、モジュール1には、電子部品3としての暗号化機能付きメモリ、ならびに、電子部品31としてのRFICチップ、キャパシタ素子およびインダクタ素子を一体化することができる。これによって、通信端末装置20における配線引き回しに起因する伝送ロスや不要な電磁結合を低減することが可能となる。また、部品の実装スペースを減らすことが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0064】
本発明に係る電子部品内蔵モジュール及び通信端末装置は、電子部品と多層基板との接合強度の低下を抑制可能であり、携帯電話やスマートフォン等の通信端末装置に好適である。
【符号の説明】
【0065】
1 電子部品内蔵モジュール
2 多層基板
3 電子部品
4 パッド
4a 第一パッド
4b 第二パッド
5 パターン導体
5a 第二パターン導体
5b 第三パターン導体
5c 第一パターン導体
6 ビア導体
7 外部電極
8 樹脂層
8a 第三樹脂層
8b 第二樹脂層
8c 第一樹脂層
8d 第四樹脂層
8e 第五樹脂層
C キャビティ
20 通信端末装置
31 表面実装型電子部品
【図1】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図4D】
【図4E】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図6D】
【図7】
【図8】
【図9A】
【図9B】
【図9C】
【図10】
【図11】
【国際調査報告】