(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO2014054413
(43)【国際公開日】20140410
【発行日】20160825
(54)【発明の名称】塩化ビニリデン系共重合体樹脂組成物及びその成形品
(51)【国際特許分類】
   C08L 27/08 20060101AFI20160729BHJP
   C08F 214/08 20060101ALI20160729BHJP
【FI】
   !C08L27/08
   !C08F214/08
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】18
【出願番号】2014539655
(21)【国際出願番号】JP2013075009
(22)【国際出願日】20130917
(31)【優先権主張番号】2012219425
(32)【優先日】20121001
(33)【優先権主張国】JP
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ
(71)【出願人】
【識別番号】000001100
【氏名又は名称】株式会社クレハ
【住所又は居所】東京都中央区日本橋浜町三丁目3番2号
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100115794
【弁理士】
【氏名又は名称】今下 勝博
(74)【代理人】
【識別番号】100119677
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 賢治
(72)【発明者】
【氏名】飯塚 均
【住所又は居所】東京都中央区日本橋浜町三丁目3番2号 株式会社クレハ内
(72)【発明者】
【氏名】持丸 智英
【住所又は居所】東京都中央区日本橋浜町三丁目3番2号 株式会社クレハ内
(72)【発明者】
【氏名】池田 司
【住所又は居所】東京都中央区日本橋浜町三丁目3番2号 株式会社クレハ内
(72)【発明者】
【氏名】折笠 貴則
【住所又は居所】東京都中央区日本橋浜町三丁目3番2号 株式会社クレハ内
(72)【発明者】
【氏名】松崎 光浩
【住所又は居所】東京都中央区日本橋浜町三丁目3番2号 株式会社クレハ内
【テーマコード(参考)】
4J002
4J100
【Fターム(参考)】
4J002BD101
4J002FD020
4J002FD030
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4J002GG02
4J100AC03Q
4J100AC04P
4J100CA04
4J100DA01
4J100DA09
4J100DA44
4J100FA21
4J100JA58
(57)【要約】
本発明の目的は、可塑剤、安定剤、粘着剤、粘着付与剤等の液体添加量の使用を抑えながら、押出加工性に優れた塩化ビニリデン系共重合樹脂組成物及びその成形物を提供することである。
本発明に係る塩化ビニリデン系共重合樹脂組成物は、フィルムの形態を為しているときに、該フィルムをメタノール抽出し、メタノール抽出後のフィルムをさらにアセトン抽出したとき、アセトン抽出量が4.0質量%以上であり、かつ、アセトン抽出物の重量平均分子量が5万以下であることを特徴とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
塩化ビニリデン系共重合樹脂組成物において、
該樹脂組成物は、フィルムの形態を為しているときに、該フィルムをメタノール抽出し、メタノール抽出後のフィルムをさらにアセトン抽出したとき、アセトン抽出量が4.0質量%以上であり、かつ、アセトン抽出物の重量平均分子量が5万以下であることを特徴とする塩化ビニリデン系共重合樹脂組成物。
【請求項2】
前記塩化ビニリデン系共重合樹脂組成物が、塩化ビニリデン‐塩化ビニル共重合樹脂組成物であることを特徴とする請求項1に記載の塩化ビニリデン系共重合樹脂組成物。
【請求項3】
前記メタノール抽出におけるメタノール抽出量が10.0質量%以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の塩化ビニリデン系共重合樹脂組成物。
【請求項4】
塩化ビニリデン/(塩化ビニリデン+塩化ビニル)で求まる塩化ビニリデン含有率が、(1)80質量%以上98質量%以下のとき、重合転化率が88%以上であり、(2)75質量%以上80質量%未満のとき、重合転化率が83%以上88%未満であり、(3)70質量%以上75質量%未満のとき、重合転化率が75%以上83%未満であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の塩化ビニリデン系共重合樹脂組成物。
【請求項5】
アセトン抽出物の重量平均分子量が、2.6万以上であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の塩化ビニリデン系共重合樹脂組成物。
【請求項6】
ラップフィルム用の樹脂組成物であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載の塩化ビニリデン系共重合樹脂組成物。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一つに記載の塩化ビニリデン系共重合樹脂組成物を含むことを特徴とするフィルム、シート又は繊維等の成形品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塩化ビニリデン系共重合樹脂を押出成形加工するための樹脂組成物及びその成形品に関する。特に、可塑剤の添加量が少なくても押出成形加工に優れる樹脂組成物に関する。本樹脂組成物は、ラップフィルムに成形すれば、使用する際に、粘着剤及び粘着付与剤の使用が無くても容器粘着性が高い。
【背景技術】
【0002】
塩化ビニリデン系共重合樹脂組成物の加工性の向上に関する方法としては、(1)可塑剤、安定剤を添加する方法、(2)ポリ塩化ビニリデン系樹脂でも高分子量と低分子量の異なる2種のブレンドを行なう方法(例えば、特許文献1又は2を参照。)が知られている。
【0003】
また、塩化ビニリデン系共重合樹脂組成物からなるラップフィルムの粘着性能(自己粘着性)の向上に関する方法としては、特定範囲の分子量分布と数平均分子量をもつミネラルオイルを添加する方法(例えば、特許文献3を参照。)が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−71492号公報
【特許文献2】特開平07−179703号公報
【特許文献3】特開平10−87876号公報
【特許文献4】特開平10−324809号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
塩化ビニリデン系共重合樹脂は、溶融温度と分解温度が近く、成形加工が難しい。そこで、押出溶融加工性を与えるために、可塑剤、安定剤等の液体添加物を添加するが、その量を多く使用すると、成形物にブリードが発生する。
【0006】
また、特許文献1又は2に記載の発明のように、2種の混合レジンとする方法では、2種のレジンを製造するために製造性が低下し、かつ、2種レジンを混合させるための計量設備や混合設備が必要となる。
【0007】
ラップフィルムでは、特許文献3に記載されているように、容器への密着性を持たせるために、流動パラフィン(ミネラルオイル)等の粘着付与剤が添加されている。また、特許文献4には、粘着剤としてポリブテン又はポリブタジエン、粘着付与剤として流動パラフィン又は界面活性剤の添加が記載されている。
【0008】
そこで、本発明の目的は、2種のレジンを混合せずとも、可塑剤、安定剤、粘着剤、粘着付与剤等の液体添加量の使用を抑えながら、押出加工性に優れた塩化ビニリデン系共重合樹脂組成物及びその成形物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、鋭意検討したところ、特定範囲の分子量を持つ化合物を意図的に塩化ビニリデン系共重合樹脂組成物中に多く存在させることで、当該化合物が可塑剤のような役割を果たし、その結果、押出加工性を向上させることを見出し、本発明を完成させた。本発明に係る塩化ビニリデン系共重合樹脂組成物は、フィルムの形態を為しているときに、該フィルムをメタノール抽出し、メタノール抽出後のフィルムをさらにアセトン抽出したとき、アセトン抽出量が4.0質量%以上であり、かつ、アセトン抽出物の重量平均分子量が5万以下であることを特徴とする。
【0010】
本発明に係る塩化ビニリデン系共重合樹脂組成物では、前記塩化ビニリデン系共重合樹脂組成物が、塩化ビニリデン‐塩化ビニル共重合樹脂組成物であることが好ましい。
【0011】
本発明に係る塩化ビニリデン系共重合樹脂組成物では、前記メタノール抽出におけるメタノール抽出量が10.0質量%以下であることが好ましい。メタノール抽出物は、主として可塑剤、安定剤、粘着剤及び粘着付与剤であるが、これらよりも、より分子量が大きな前記特定範囲の分子量の化合物を多く含有させることによって、押出加工性を向上させることができる。
【0012】
本発明に係る塩化ビニリデン系共重合樹脂組成物では、塩化ビニリデン/(塩化ビニリデン+塩化ビニル)で求まる塩化ビニリデン含有率が、(1)80質量%以上98質量%以下のとき、重合転化率が88%以上であり、(2)75質量%以上80質量%未満のとき、重合転化率が83%以上88%未満であり、(3)70質量%以上75質量%未満のとき、重合転化率が75%以上83%未満であることが好ましい。塩化ビニリデン系共重合樹脂の重合転化率を通常よりも高めて、前記特定範囲の分子量の化合物を従来よりも相対的に多く含有させて、易押出加工性を得ることができる。
【0013】
本発明に係る塩化ビニリデン系共重合樹脂組成物では、アセトン抽出物の重量平均分子量が、2.6万以上であることを含む。
【0014】
本発明に係る塩化ビニリデン系共重合樹脂組成物では、ラップフィルム用の樹脂組成物であることを含む。本発明に係る塩化ビニリデン系共重合樹脂組成物は、ラップフィルムとした場合に粘着剤及び粘着付与剤の添加をせずとも容器高密着性を有しているため、この用途に最適である。
【0015】
本発明に係るフィルム、シート又は繊維等の成形品は、本発明に係る塩化ビニリデン系共重合樹脂組成物を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明は、可塑剤、安定剤、粘着剤、粘着付与剤等の液体添加量の使用を抑えながら、押出加工性に優れた塩化ビニリデン系共重合樹脂組成物及びその成形物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
次に、本発明について実施形態を示して詳細に説明するが本発明はこれらの記載に限定して解釈されない。本発明の効果を奏する限り、実施形態は種々の変形をしてもよい。
【0018】
本実施形態に係る塩化ビニリデン系共重合樹脂組成物は、フィルムの形態を為しているときに、該フィルムをメタノール抽出し、メタノール抽出後のフィルムをさらにアセトン抽出したとき、アセトン抽出量が4.0質量%以上であり、かつ、アセトン抽出物の重量平均分子量(Mw)が5万以下である。
【0019】
本実施形態に係る塩化ビニリデン系共重合樹脂組成物は、(1)主成分である塩化ビニリデン系共重合体、(2)特定範囲の分子量を持つ化合物、(3)必要に応じて配合される添加剤を含む。
【0020】
本実施形態に係る塩化ビニリデン系共重合樹脂組成物をフィルム成形すると、成形時の加熱によって組成物中の揮発性成分が一部揮発する。成形したフィルムについてメタノール抽出を行なうと、主として可塑剤、粘着剤、粘着付与剤及び安定剤などの前記添加剤がメタノール中に溶出する。メタノール抽出後のフィルムをさらにアセトン抽出すると、特定範囲の分子量を持つ化合物がアセトン中に溶出する。そして、アセトン抽出後のフィルムには、塩化ビニリデン系共重合体が主として残される。
【0021】
塩化ビニリデン系共重合樹脂組成物は、従来、可塑剤、粘着剤、粘着付与剤及び安定剤などの添加剤を配合することで、ラップフィルムなどの成形物の物性を調整していた。本実施形態では、特定範囲の分子量を持つ化合物が可塑剤的な役割、さらには粘着剤、粘着付与剤的な役割を為すことを見出し、この役割を利用する。すなわち当該化合物を樹脂組成物中に多く含ませ、その代わりに可塑剤、粘着剤、粘着付与剤などの添加剤の配合を減らす又は配合しない。
【0022】
塩化ビニリデン系共重合体は、塩化ビニリデン60〜98質量部及び塩化ビニリデンと共重合可能な単量体の少なくとも一種2〜40質量部であればよいが、代表的なものとして例えば、塩化ビニル、アルキル基が炭素数1〜8のアルキル酸エステル、アルキル基が炭素数1〜8のメタクリル酸エステル、脂肪族カルボン酸のビニルエステル、不飽和脂肪族カルボン酸等を挙げることができるが、塩化ビニル、アクリル酸メチル、アクリル酸ブチルが好んで使用される。塩化ビニリデン系共重合体の製造方法は、一般に懸濁重合法や乳化重合法にて行われ、懸濁重合法が好ましい。
【0023】
使用する塩化ビニリデン系共重合体の塩化ビニリデンの含有量はフィルムを成形する際の押出加工性とガスバリヤ性とのバランスから70質量%以上が好ましく、より好ましくは80質量%以上である。
【0024】
添加剤としては、公知の可塑剤、安定剤、粘着剤、粘着付与剤、顔料、滑剤、抗酸化剤、フィラー、界面活性剤などの添加剤を配合することができる。具体的には液状の可塑剤として、例えば、アセチルトリブチルサイトレート(ATBC)、セバチン酸ジブチルセチルトリブチルサイトレート、グリセリンジアセチルモノラウレート(GDAML)、ジブチルセバケート(DBS)、ジオクチルセバケート又はジアセチル化モノグリセライド(DALG)があり、粘着剤として、ポリイソブチレン(PIB)、ポリブテン(PB)、ポリブタジエン、ポリエチレングリコール、ポリグリセリン、ポリプロピレングリコール等のポリ多価アルコールなどがあり、粘着付与剤として、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、例えば、ソルビタンモノ(トリ)オレート、グリセリンモノ(トリ)オレート等の界面活性剤、パラフィン系又はシクロパラフィン系の液状飽和炭化水素、例えば、ナフテン系のプロセスオイル、パラフィンワックス、流動パラフィン(ミネラルオイル)等がある。安定剤として、例えば、エポキシ化大豆油(ESBO)、エポキシ化亜麻仁油(ELO)などのエポキシ化油があり、この他安定剤として、例えば、アルキルエステルのアミド誘導体、水酸化マグネシウム、ピロリン酸四ナトリウムがあり、滑剤として、例えば、酸化ポリエチレンやパラフィンワックスなどのワックス類があり、フィラーとして、例えば、酸化ケイ素、炭酸カルシウムがあり、界面活性剤として、例えば、ソルビタン脂肪酸エステル類等がある。
【0025】
本実施形態では、粘着剤及び粘着付与剤を添加せずとも又はその配合を抑制したとしても容器密着性が得られる。したがって、配合するとしても少量でよく、粘着剤の含有量を樹脂組成物において0.1質量%未満、好ましくは0.05質量%以下とすることができる。また、粘着付与剤の含有量を樹脂組成物において0.1質量%未満、好ましくは0.05質量%以下とすることができる。
【0026】
次に特定範囲の分子量を持つ化合物について説明する。当該化合物は、前述したとおり、塩化ビニリデン系共重合樹脂組成物について、フィルム成形、メタノール抽出及びアセトン抽出を順次行なったときに、アセトン抽出される化合物であり、重量平均分子量(Mw)が5万以下、好ましくは4万以下である。そして重量平均分子量が2.6万以上であることが好ましく、3万以上であることがさらに好ましい。この化合物は、重量平均分子量が5万以下であり、塩化ビニリデン系共重合体の分子量(例えば、重量平均分子量8〜30万)と比較すると低い。このためこの化合物は、可塑剤の役割を為し、押出加工性を良好とする。また、この化合物は、粘着剤及び粘着付与剤の役割もなし、ラップフィルムとしたときに、粘着剤及び粘着付与剤を添加せず又はその使用を抑制しても容器密着性を良好とする。重量平均分子量が5万を超えると、可塑剤的作用及び粘着剤・粘着付与剤的作用の効果が低下する。アセトン抽出量は4.0質量%以上である。アセトン抽出量が4.0質量%未満であると、量が少なすぎて可塑剤的作用が低下し、押出加工性が低下する。また、粘着剤・粘着付与剤的作用の効果が低下する。アセトン抽出量は、好ましくは10.0質量%未満、より好ましくは9.0質量%以下、さらに好ましくは8.0質量%以下とする。アセトン抽出量が10.0質量%以上であると、樹脂組成物中の塩化ビニリデン系共重合体の含有量が相対的に低下するため、フィルムがベタつき易く、例えばロール品としたときにフィルムの密着が強すぎて引き出せなくなるという問題がある。
【0027】
本実施形態では、メタノール抽出におけるメタノール抽出量が10.0質量%以下であることが好ましく、9.0質量%以下であることがより好ましく、8.0質量%以下であることがさらに好ましい。メタノール抽出物は、主として可塑剤、粘着剤、粘着付与剤及び安定剤である。本実施形態では、アセトン抽出量は4.0質量%以上としているため、その代わりに可塑剤、粘着剤、粘着付与剤及び安定剤の配合を減らすことができる。その結果、メタノール抽出量が10.0質量%以下となる。そして、メタノール抽出量が10.0質量%以下であっても、より分子量が大きな前記特定範囲の分子量の化合物を多く含有させることによって、押出加工性を向上させることができる。
【0028】
本実施形態では、塩化ビニリデン/(塩化ビニリデン+塩化ビニル)で求まる塩化ビニリデン含有率が80質量%以上98質量%以下のとき、重合転化率が88%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましい。また、前記塩化ビニリデン含有率が75質量%以上80質量%未満のとき、重合転化率が83%以上88%未満であることが好ましい。さらに前記塩化ビニリデン含有率が70質量%以上75質量%未満のとき、重合転化率が75%以上83%未満であることが好ましい。塩化ビニリデン系共重合樹脂の重合転化率を通常よりも高めて、結果として、前記特定範囲の分子量の化合物が従来よりも相対的に多く含有されることとなり、易押出加工性を得ることができる。
【0029】
本実施形態に係る塩化ビニリデン系共重合樹脂組成物では、ラップフィルム用の樹脂組成物であることを含む。粘着剤、粘着付与剤を添加せず又はその使用を抑制しても、ラップフィルムが容器高密着性を有しているため、この用途に最適である。
【0030】
本実施形態に係るフィルム、シート又は繊維等の成形品は、本実施形態に係る塩化ビニリデン系共重合樹脂組成物から成形した成形品のみならず、本樹脂組成物に他の樹脂を混合して成形品としても良い。本樹脂組成物に他の樹脂を混合して成形品を得る場合には、成形品の種類によって異なるが、例えば本樹脂組成物の配合率を50質量%以上、好ましくは80質量%以上とする。
【0031】
次に本実施形態に係る塩化ビニリデン系共重合樹脂組成物の製造方法について説明する。この製造方法は例示であり、これに限定されない。重合反応の原料である塩化ビニリデン(VD)と塩化ビニル(VC)を所定の仕込み比で混合し、触媒存在下、例えば懸濁重合法によって、塩化ビニリデン系共重合体を合成する。このとき、温度管理1にて懸濁重合を行なう。温度管理1とは、重合初期と重合中期と重合後期とに分けた場合、重合中期での昇温速度を、重合初期及び重合後期での昇温速度よりも高めたものである。温度管理1の変形例として温度管理2があり、温度管理2とは、重合初期と、重合中期1と、重合中期2と、重合中期3と、重合後期とに分けた場合、重合中期1及び重合中期3での昇温速度を、重合初期、重合中期2及び重合後期での昇温速度よりも高めたものである。本実施形態では、他の段階よりも昇温速度を高めた段階を有する限り、温度管理を変形できる。なお、重合反応が発熱を伴うので重合初期では緩やかな昇温を伴うことがあり、また、重合後期では、温度が上がり過ぎないように冷却することがある。また、温度管理3として、等速昇温若しくは等速昇温に近似したものも採用できる。
【0032】
得られた共重合体のレジンに、必要に応じて添加剤を加え、本実施形態に係る塩化ビニリデン系共重合樹脂組成物を得る。
【0033】
本実施形態に係る塩化ビニリデン系共重合樹脂組成物は、溶融押出して、延伸あるいは未延伸フィルム、シート、ラップフィルムなどに成形する。成形方法としては当業者に公知のような、例えばサーキュラーダイによるインフレーション押出成形法などが挙げられる。また、得られたフィルムをガスバリヤ層として配置して、共押出法、ラミネート法により多層フィルム、シートにすることもできる。
【実施例】
【0034】
次に、実施例を示しながら本発明についてさらに詳細に説明するが、本発明は実施例に限定して解釈されない。
【0035】
‐測定方法‐
<還元粘度>
塩化ビニリデン系共重合樹脂組成物1gを50mlのテトラヒドロフランに加え、40℃で溶解し、濾過後メタノールによりポリマーを析出させ、洗浄、乾燥する。この乾燥ポリマー80mgを秤量し、溶媒として30℃のシクロヘキサノン20mlを加え、70℃で60分間加熱溶解させ、室温にて冷却後、濾紙で濾過し、溶液粘度測定用試料溶液とする。還元粘度は、試料溶液5mlをウベローデ粘度計に入れ、30℃の恒温槽に5分間放置後、通常の方法で流下秒数を測定し、次式(数1)により求めた。
(数1)還元粘度=(1/4)×{(T/T)−1}
:30℃のシクロヘキサノン(溶媒)の流下秒数(秒)
:30℃の試料溶液の流下秒数(秒)
【0036】
<押出加工性−1>
単軸押出機を用いて、樹脂温度約185℃にて環状に溶融押出し、10℃の冷却槽で急冷した後、室温にてインフレーション二軸延伸を行い、厚み25μm、幅約110mmのフィルムを作製した。この溶融押出したときの単軸押出機のスクリュー回転数を14rpmとしたときのロード(A)をEXTロードとし、30分間押出ししたときのロードの安定性を下記の基準にて評価した。
○:ロードのばらつきが±1A未満(実用上良好)
△:ロードのばらつきが±1A〜±2Aの範囲(実用下限)
×:ロードのばらつきが±2A以上(実用不適)
【0037】
<押出加工性−2>
(異物評価)
単軸押出機を用いて、樹脂温度約185℃にて環状に溶融押出し、10℃の冷却槽で急冷した後、室温にてインフレーション二軸延伸を行い、合計厚み40μm、幅1250mmの走行フィルム(ダブルフィルム)に対して、投光器で照明し、受光器で光の陰影を撮像し、信号処理して異物を検出する光学式欠陥検出装置(ヒューテック社製)を用い、大きさ0.5mm×0.5mm以上の異物をフィルム長さ1200mについて調べた。そのときの異物数を下記の基準にて評価した。
○:30個以下(実用上良好)
△:31〜100個(実用下限)
×:101個以上(実用不適)
(EXTロードばらつき評価)
単軸押出機を用いて、樹脂温度約185℃にて環状に溶融押出し、10℃の冷却槽で急冷した後、室温にてインフレーション二軸延伸を行い、合計厚み40μm、幅約1250mmのフィルムを作製した。巻き取り速度は20m/分であった。この溶融押出したときの単軸押出機のスクリュー回転数を34rpmとしたときのロード(A)をEXTロードとし、60分間押出ししたときのロードの安定性を下記の基準にて評価した。
○:ロードのばらつきが±1.5A未満(実用上良好)
×:ロードのばらつきが±1.5A以上(実用不適)
【0038】
<メタノール抽出量>
試料(フィルム)5gを、60℃のTHF(テトラヒドロフラン)100mlに浸漬して溶解させる。試料が溶解したTHF溶液を撹拌させながらメタノールを少量ずつ500ml滴下し、試料を再沈殿させる。この混合溶液の溶媒を90℃でドライアップさせた後、メタノール50mlを加え、再沈殿させた試料も含めて、ソックスレー抽出器にいれて上部に脱脂綿を乗せる。続いて、予め乾燥して質量を量った150mlの平底フラスコにメタノール70mlを入れ、ソックスレー抽出器に取り付けて85℃で24時間抽出する。平底フラスコを取り出し、90℃で溶媒をドライアップした後、平底フラスコを105℃に調整した乾燥器で1時間乾燥し、デシケーターで1時間放冷して抽出物の入ったフラスコの質量を求める。メタノール抽出量は、次式(数2)により求めた。
(数2)メタノール抽出量%=(B−A)/C×100 %
A:フラスコの質量(g)
B:抽出物の入ったフラスコの質量(g)
C:試料の質量(g)(5gである。)
【0039】
<アセトン抽出量>
メタノール抽出後の試料(メタノール抽出の作業において、フィルムを溶解した後、再沈殿させて、その後メタノール抽出した後に残った試料のことである。本願明細書において、「メタノール抽出後のフィルム」とも表現している。)を上部に脱脂綿を乗せてソックスレー抽出器に入れる。平底フラスコにアセトン120mlを入れ、ソックスレー抽出器に取り付けて75℃で24時間抽出する。抽出液を濾紙No.5A(「JIS P 3801−1995 ろ紙(化学分析用)」の規格に準ずる。)でメスシリンダーに100ml濾過し、予め乾燥して質量を量った150mlの平底フラスコに入れる。使用したメスシリンダーを四塩化炭素で洗浄し、洗浄液を平底フラスコに加える。80℃に調整した恒温水槽中でソックスレー抽出器を用いてアセトンをドライアップする。その後、105℃に調整した乾燥器で1時間乾燥し、デシケーターで1時間放冷して抽出物の入ったフラスコの質量を求める。アセトン抽出量は、次式(数3)により求めた。
(数3)アセトン抽出量%={(A−B)×E/(C×D)}×100%
A:抽出物の入ったフラスコの質量(g)
B:フラスコの質量(g)
C:試料の質量(g)(数2におけるC;5gのことである。)
D:100(ml)(ソックスレー抽出器で濾過後、回収した抽出液量である。)
E:120(ml)(抽出に使用したアセトン量である。)
【0040】
<重量平均分子量の測定>
アセトン抽出物30mgをスクリューキャップ付き三角フラスコに秤量し、テトラヒドロフラン30mlを加え、50℃の乾燥器に30分入れ、溶解する。その後、室温に冷却後、0.45μmのフィルターで濾過する。濾過液を、液体クロマトグラムに注入し、重量平均分子量を測定する。
カラム:KF806M+KF802+KF801(昭和電工社製)
ポンプ:型式GL−7410 (GL Sciences社製)
検出器:RI 型式 GL−7454 (GL Sciences社製)
温度:40℃
注入量:300μl
【0041】
<重合転化率>
重合転化率は、次式(数4)より求めた。
(数4)重合転化率%=(A−B)/C×100%
A:回収ポリマーの質量(g)
B:液状添加剤の総質量(g)
C:塩化ビニリデンモノマーの質量(g)+塩化ビニルモノマーの質量(g)
【0042】
<フィルム二層間剥離時間>
塩化ビニリデン系共重合樹脂組成物の幅50mm×100mm長さのダブルフィルムを準備し、該ダブルフィルムのフィルム片側に荷重3gの重りをつけ、100mm長さのダブルフィルムが完全に剥がれる時間を測定する。N=5の平均値。20秒以上を合格、20秒未満を不合格とした。
【0043】
<ラップ容器密着性>
前記の押出加工性−1及び−2にて試作したフィルムを用いて、容器との密着力を測定した。その内容は、外径72.5mmの湯飲み茶碗(笠間焼)にシングル化フィルムの外面が容器に接するように被せ、そのフィルムの上から、内径75mmの孔が開いた厚さ1mmの厚紙の当該孔を通して一定の力でフィルムを湯飲み茶碗に貼り付け、この状態で湯飲み茶碗を20kg台秤の上に置き、湯飲み茶碗の中央部のフィルムを直径30mmの平面がフィルムに接するように治具を速度300mm/minで垂直方向に押付け、フィルムが容器から滑り出したときの最大荷重を目測により読み取り、密着力とした。N=5の平均値。0.1kg以上を合格、0.1kg未満を不合格とした。
【0044】
(実施例1)
重合するモノマーとして、塩化ビニリデン(VD)と塩化ビニル(VC)とを塩化ビニリデン:塩化ビニル=83:17(質量比)で混合し、温度管理1にて、重合初期温度45〜50℃で20時間保持し、その後昇温し、重合後期温度60℃で保持する条件にて懸濁重合を行った。重合時間は28時間とした。このときの重合転化率は90.7%であった。この重合レジン(塩化ビニリデン系共重合体)100質量部に対して、添加剤としてATBC、GDAML、ELOを合計で7質量部、粘着剤・粘着付与剤を合計で0.16質量部加え、混合し、コンパウンド(塩化ビニリデン共重合体樹脂組成物)を作製した。ついで、単軸押出機を用いて、樹脂温度約185℃にて環状に溶融押出し、10℃の冷却槽で急冷した後、室温にてインフレーション二軸延伸を行い、厚み25μm、幅110mmのフィルムを作製した。重合レジンの還元粘度、試作フィルムのメタノール抽出量、アセトン抽出量、アセトン抽出物の分子量を測定し、表1に示した。更に、押出加工性−1のEXTロード及びその安定性として、ばらつき評価結果、フィルムの密着力、二層間剥離時間を測定し、表1に示した。
【0045】
(実施例2)
実施例1において、VD:VC=82:18(質量比)として重合レジンを作製した。このとき、温度管理1にて、重合初期温度45〜50℃で20時間保持し、その後昇温し、重合後期温度60℃で保持する条件にて懸濁重合を行った。重合時間は27時間とした。このときの重合転化率は90.0%であった。次いで実施例1と同様な添加剤量を混合してコンパウンドを作製し、実施例1と同様な条件にてフィルムを作製し、評価を行なった。
【0046】
(実施例3)
実施例2において、重合初期温度42〜48℃で20時間保持し、その後昇温し、重合後期温度60℃で保持する条件にて懸濁重合を行い、重合時間を27時間とした以外は実施例2と同様にして、実施例3とした。このときの重合転化率は89.9%であった。
【0047】
(実施例4)
実施例2において、重合初期温度48〜53℃で20時間保持し、その後昇温し、重合後期温度62℃で保持する条件にて懸濁重合を行い、重合時間を28時間とした以外は実施例2と同様にして、実施例4とした。このときの重合転化率は90.3%であった。
【0048】
(実施例5)
実施例1において、VD:VC=82:18(質量比)として、重合レジンを作製した。このとき、重合初期温度45〜50℃で20時間保持し、その昇温し、重合後期温度60℃で保持する条件にて懸濁重合を行った。重合時間は27時間とした。このときの重合転化率は91.1%であった。次いで、粘着剤、粘着付与剤を無添加とし、その他の添加剤は実施例1と同様な添加剤量を混合してコンパウンドを作製し、実施例1と同様な条件にてフィルムを作製し、評価を行なった。
【0049】
(実施例6)
実施例1において、VD:VC=82:18(質量比)として、重合レジンを作製し、実施例1と同様な添加剤量を混合してコンパウンドを作製した。このとき温度管理1にて、重合初期温度44〜50℃で20時間保持し、その後昇温し、重合後期温度62℃で保持する条件にて懸濁重合を行った。重合時間は28時間とした。このときの重合転化率は93.6%であった。次いで、実施例1と同様な条件にてフィルムを作製し、評価を行なった。
【0050】
(比較例1)
重合するモノマーとして、塩化ビニリデン(VD)と塩化ビニル(VC)とを塩化ビニリデン:塩化ビニル=83:17(質量比)で混合し、温度管理3にて、重合初期温度52℃以下、重合後期温度57〜60℃、重合時間26時間の条件にて懸濁重合を行った。このときの重合転化率は87.0%であった。この重合レジン(塩化ビニリデン系共重合体)100質量部に対して、添加剤とし、ATBC、GDAML、ELOを合計で7質量部、粘着剤・粘着付与剤を0.16質量部加え、混合し、コンパウンド(塩化ビニリデン共重合体樹脂組成物)を作製した。次いで、単軸押出機を用いて、樹脂温度約185℃にて環状に溶融押出し、10℃の冷却槽で急冷した後、室温にてインフレーション二軸延伸を行い、厚み25μm、幅110mmのフィルムを作製した。実施例1と同様に評価を行なった。
【0051】
(比較例2)
塩化ビニリデン(VD)と塩化ビニル(VC)とを塩化ビニリデン:塩化ビニル=82:18(質量比)で混合し、重合初期温度47℃以下、重合後期温度57〜60℃、重合時間27時間の条件にて懸濁重合を行った以外は比較例1と同様に行い、比較例2とした。重合転化率は86.4%であった。
【0052】
(実施例7)
重合するモノマーとして、塩化ビニリデン(VD)と塩化ビニル(VC)とを塩化ビニリデン:塩化ビニル=83:17(質量比)で混合し、このとき温度管理1にて、重合初期温度40〜45℃で20時間保持し、その後昇温し、重合後期温度60℃で保持する条件にて懸濁重合を行った。重合時間は28時間とした。このときの重合転化率は93.0%であった。この重合レジン(塩化ビニリデン系共重合体)100質量部に対して、添加剤としてATBC、GDAML、ESBOを合計で7質量部混合し、粘着剤・粘着付与剤無添加のコンパウンド(塩化ビニリデン共重合体樹脂組成物)を作製した。ついで、単軸押出機を用いて、樹脂温度約185℃にて環状に溶融押出し、10℃の冷却槽で急冷した後、室温にてインフレーション二軸延伸を行い、合計厚み40μm、幅1250mmのフィルムを作製した。重合レジンの還元粘度、試作フィルムのメタノール抽出量、アセトン抽出量、アセトン抽出物の分子量を測定した結果を表2に示した。更に、押出加工性−2の異物評価、EXTロードの安定性評価結果、フィルムの密着力、二層間剥離時間を測定し、表2に示した。
【0053】
(実施例8)
重合するモノマーとして、塩化ビニリデン(VD)と塩化ビニル(VC)とを塩化ビニリデン:塩化ビニル=82:18(質量比)で混合し、このとき温度管理1にて、重合初期温度40〜45℃で20時間保持し、その後昇温し、重合後期温度60℃で保持する条件にて懸濁重合を行った。重合時間は28時間とした。このときの重合転化率は91.1%であった。この重合レジン100質量部に対して、添加剤としてATBC、GDAML、ESBOを合計で9質量部混合し、粘着剤・粘着付与剤無添加のコンパウンド(塩化ビニリデン共重合体樹脂組成物)を作製した。フィルムの作製と評価は実施例7と同様に行なった。
【0054】
(実施例9)
重合するモノマーとして、塩化ビニリデン(VD)と塩化ビニル(VC)とを塩化ビニリデン:塩化ビニル=82:18(質量比)で混合し、このとき温度管理1にて、重合初期温度45〜50℃で20時間保持し、その後昇温し、重合後期温度60℃で保持する条件にて懸濁重合を行った。重合時間は28時間とした。このときの重合転化率は93.6%であった。この重合レジン(塩化ビニリデン系共重合体)100質量部に対して、添加剤としてATBC、GDAML、ESBOを合計で9質量部混合し、粘着剤・粘着付与剤無添加のコンパウンド(塩化ビニリデン共重合体樹脂組成物)を作製した。フィルムの作製と評価は実施例7と同様に行なった。
【0055】
(実施例10)
実施例8と同様の塩化ビニリデン:塩化ビニル=82:18(質量比)、共重合条件にて重合レジンを作製した。重合転化率は92.0%であった。この重合レジン(塩化ビニリデン系共重合体)100質量部に対して、DBS、ATBC、ESBOを合計で4.6質量部を混合し、粘着剤・粘着付与剤無添加のコンパウンド(塩化ビニリデン共重合体樹脂組成物)を作製した。ついで、実施例8と同様の方法にてフィルムを作製し、評価を行なった。
【0056】
(比較例3)
重合するモノマーとして、塩化ビニリデン(VD)と塩化ビニル(VC)とを塩化ビニリデン:塩化ビニル=82:18(質量比)で混合し、温度管理3にて、重合初期温度47℃以下、重合後期温度57〜60℃の条件にて懸濁重合を行った。重合時間は27時間とした。このときの重合転化率は86.6%であった。この重合レジン(塩化ビニリデン系共重合体)100質量部に対して、添加剤としてATBC、GDAML、ESBOを合計で7質量部を加え、混合し、コンパウンド(塩化ビニリデン共重合体樹脂組成物)を作製した。ついで、単軸押出機を用いて、樹脂温度約185℃にて環状に溶融押出し、10℃の冷却槽で急冷した後、室温にてインフレーション二軸延伸を行い、合計厚み40μm、幅1250mmのフィルムを作製した。フィルムの評価は実施例7と同様に行なった。
【0057】
(比較例4)
重合するモノマーとして、塩化ビニリデン(VD)と塩化ビニル(VC)とを塩化ビニリデン:塩化ビニル=82:18(質量比)で混合し、温度管理3にて、重合初期温度37℃以下、重合後期温度52〜54℃の条件にて懸濁重合を行った。重合時間は38時間とした。このときの重合転化率は86.6%であった。この重合レジン(塩化ビニリデン系共重合体)100質量部に対して、添加剤としてATBC、GDAML、ESBOを合計で9質量部を加え、混合し、コンパウンド(塩化ビニリデン共重合体樹脂組成物)を作製した。フィルムの作製と評価は比較例3と同様に行なった。
【0058】
(比較例5)
重合するモノマーとして、塩化ビニリデン(VD)と塩化ビニル(VC)とを塩化ビニリデン:塩化ビニル=81:19(質量比)で混合し、温度管理3にて、重合初期温度37℃以下、重合後期温度52〜54℃の条件にて懸濁重合を行った。重合時間は38時間とした。このときの重合転化率は82.0%であった。この重合レジン(塩化ビニリデン系共重合体)100質量部に対して、添加剤としてDBS、ATBC、ESBOを合計で4.6質量部を加え、混合し、コンパウンド(塩化ビニリデン共重合体樹脂組成物)を作製した。フィルムの作製と評価は比較例3と同様に行なった。
【0059】
【表1】
【0060】
【表2】
【0061】
実施例1〜10はいずれも、押出加工性、容器密着性に優れ、フィルム二層間剥離時間も十分であった。実施例5及び実施例7〜10は、粘着剤及び粘着付与剤を添加しなかったが、容器密着性に優れていた。比較例1〜5は、アセトン抽出量が少ないので押出加工性に劣り、容器密着性も得られなかった。
【国際調査報告】