(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO2014054529
(43)【国際公開日】20140410
【発行日】20160825
(54)【発明の名称】静電容量式変位センサ
(51)【国際特許分類】
   G01D 5/241 20060101AFI20160729BHJP
【FI】
   !G01D5/241 B
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】26
【出願番号】2014539703
(21)【国際出願番号】JP2013076282
(22)【国際出願日】20130927
(31)【優先権主張番号】2012223438
(32)【優先日】20121005
(33)【優先権主張国】JP
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ
(71)【出願人】
【識別番号】000106760
【氏名又は名称】CKD株式会社
【住所又は居所】愛知県小牧市応時二丁目250番地
(74)【代理人】
【識別番号】100121821
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 強
(74)【代理人】
【識別番号】100125575
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 洋
(72)【発明者】
【氏名】西川 桂一
【住所又は居所】愛知県小牧市応時二丁目250番地 CKD株式会社内
(72)【発明者】
【氏名】南谷 隆弘
【住所又は居所】愛知県小牧市応時二丁目250番地 CKD株式会社内
(72)【発明者】
【氏名】廣瀬 泰久
【住所又は居所】愛知県小牧市応時二丁目250番地 CKD株式会社内
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 一寿
【住所又は居所】愛知県小牧市応時二丁目250番地 CKD株式会社内
【テーマコード(参考)】
2F077
【Fターム(参考)】
2F077AA21
2F077AA46
2F077HH02
2F077HH06
2F077HH11
2F077TT01
2F077UU06
2F077UU13
2F077UU26
(57)【要約】
絶縁材料により形成された柱状部材31と、柱状部材31の所定範囲を内部に挿入させ、スプール22の変位に伴って移動する金属製の筒状部材33と、柱状部材31の外表面部上に薄膜状に形成された一対の固定電極40A,40Bと、柱状部材31の外表面部上に薄膜状に形成された補償電極41,42と、固定電極40A,40B、筒状部材33、及び補償電極41,42から絶縁された状態でそれら電極を覆い、接地されている静電シールド37と、柱状部材31の外表面部上に薄膜状に形成され、電極40A,40B,41,42にそれぞれ接続されて静電シールド37の外部まで、静電シールド37から絶縁された状態で長手方向へ延びる固定電極端子及び補償電極端子と、を備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁材料により形成された外表面部を有する棒状部材と、
前記棒状部材における長手方向の一端から所定範囲を内部に挿入させ、計測対象の変位に伴って前記長手方向に移動する筒状部材と、
前記棒状部材の前記外表面部上に薄膜状に形成され、前記棒状部材を挟んで互いに対向する一対の固定電極と、
前記固定電極及び前記計測対象から絶縁された状態で前記筒状部材に設けられ、前記一対の固定電極に対向する一繋がりの可動電極と、
前記棒状部材の前記外表面部上に薄膜状に形成され、前記可動電極と対向しない補償電極と、
前記固定電極、前記可動電極、及び前記補償電極から絶縁された状態でそれら電極を覆い、接地されている静電シールドと、
前記棒状部材の前記外表面部上に薄膜状に形成され、前記固定電極の各々に接続されて前記静電シールドの外部まで、前記静電シールドから絶縁された状態で前記長手方向へ延びる固定電極端子と、
前記棒状部材の前記外表面部上に薄膜状に形成され、前記補償電極に接続されて前記静電シールドの外部まで、前記静電シールドから絶縁された状態で前記長手方向へ延びる補償電極端子と、
を備えることを特徴とする静電容量式変位センサ。
【請求項2】
前記静電シールドは、前記補償電極に向けて近接する位置まで張り出す張出部を有している請求項1に記載の静電容量式変位センサ。
【請求項3】
前記固定電極、前記可動電極、前記補償電極、及び前記張出部に接する誘電体流体を貯留する流体室が、内部に形成されたセンサ本体を備え、
前記静電シールドには、前記補償電極と前記張出部との間の空間を、前記長手方向において前記補償電極の両側で、前記流体室における前記静電シールドの外側の空間と連通させる連通孔が形成されている請求項2に記載の静電容量式変位センサ。
【請求項4】
前記長手方向において前記棒状部材の前記所定範囲と反対側の端部が、前記外表面部の外周に沿って絶縁材料により環状にシールされている請求項3に記載の静電容量式変位センサ。
【請求項5】
前記静電シールドは、前記長手方向に沿って延びて前記センサ本体の開口部に露出しており、
前記長手方向において前記棒状部材の前記所定範囲と反対側の端部と、前記静電シールドとの間が前記絶縁材料によりシールされている請求項4に記載の静電容量式変位センサ。
【請求項6】
前記棒状部材の全体が絶縁材料により形成されている請求項1〜5のいずれか1項に記載の静電容量式変位センサ。
【請求項7】
前記筒状部材の全体が導電材料により形成されている請求項1〜6のいずれか1項に記載の静電容量式変位センサ。
【請求項8】
前記固定電極端子及び前記補償電極端子は、前記長手方向に延びるとともに互いに近接して配置されており、
前記固定電極及び前記補償電極は、前記外表面部の周方向へ延びている請求項1〜7のいずれか1項に記載の静電容量式変位センサ。
【請求項9】
前記長手方向において前記棒状部材の前記所定範囲側の端部には、前記外表面部が露出した露出部が設けられている請求項1〜8のいずれか1項に記載の静電容量式変位センサ。
【請求項10】
前記補償電極は第1補償電極であり、
前記補償電極端子は第1補償電極端子であり、
前記棒状部材の前記外表面部上に薄膜状に前記第1補償電極よりも大きく形成され、前記可動電極と対向しない第2補償電極と、
前記棒状部材の前記外表面部上に薄膜状に形成され、前記第2補償電極に接続されて前記静電シールドの外部まで、前記静電シールドから絶縁された状態で前記長手方向へ延びる第2補償電極端子と、
2つの電極の間での静電容量を測定する測定回路と、
前記第1補償電極端子及び前記静電シールドを前記測定回路に接続する第1状態と、前記第2補償電極端子及び前記静電シールドを前記測定回路に接続する第2状態と、前記固定電極の各々に接続された前記固定電極端子を前記測定回路に接続する第3状態と、を切り替える切替回路と、
前記第1状態、前記第2状態、及び前記第3状態において、前記測定回路によりそれぞれ第1静電容量、第2静電容量、及び第3静電容量を測定させ、前記第1静電容量と前記第2静電容量との差分、及び前記第1静電容量と前記第3静電容量との差分に基づいて、前記計測対象の変位を算出する算出部と、
を備える請求項1〜9のいずれか1項に記載の静電容量式変位センサ。
【請求項11】
前記第1補償電極及び前記第2補償電極は、それぞれ前記外表面部の周方向へ延びる複数の分岐部を有しており、
前記第1補償電極の前記分岐部と前記第2補償電極の前記分岐部とは、前記長手方向において互い違いに配置されている請求項10に記載の静電容量式変位センサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一対の固定電極と、一対の固定電極に対向する可動電極と、を備える静電容量式変位センサに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の変位センサにおいて、円柱状の可動電極の外側に、一対の半円筒状の固定電極を対向させて配置し、可動電極に連結された弁体の変位を計測するものがある(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載のものでは、可動電極が軸線方向へ移動することにより、一対の固定電極の間での静電容量が変化し、この静電容量の変化から弁体の変位を計測している。
【0003】
また、特許文献1に記載のものでは、可動電極と固定電極との間に誘電体流体を導入するとともに、誘電体流体の流通する部分に一対の補償電極を対向させて配置している。そして、一対の補償電極の間での静電容量を測定し、誘電体流体の誘電率の変化に起因する変位の計測誤差を補償している。
【0004】
さらに、特許文献1に記載のものでは、電気的に絶縁された状態で可動電極及び固定電極を金属製の静電シールドで覆い、静電シールドを電気的に接地している。このため、センサの本体(センサを含む弁装置本体)に使用者が触れたとしても、一対の固定電極の間での静電容量が不安定になることを抑制することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】WO2012/090583A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献1に記載のものでは、円柱状の可動電極の外側に、一対の半円筒状の固定電極を対向させて配置する必要がある。しかしながら、一対の半円筒状の固定電極を、所定の間隔で対向させて正確に配置することは容易ではない。
【0007】
さらに、特許文献1に記載のものでは、電気的に絶縁された状態で可動電極及び固定電極を静電シールドで覆っている。このため、固定電極や補償電極を配線やピン等により、静電シールドの外側まで引き出す必要がある。したがって、固定電極や補償電極を引き出す構造が複雑となることが避けられない。
【0008】
本発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、その主たる目的は、静電シールドを備える静電容量式変位センサにおいて、一対の固定電極を所定の間隔で正確に配置するとともに、静電シールドの外側への電極の引き出しを容易化することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記課題を解決するために、以下の手段を採用した。
【0010】
第1の手段は、静電容量式変位センサであって、絶縁材料により形成された外表面部を有する棒状部材と、前記棒状部材における長手方向の一端から所定範囲を内部に挿入させ、計測対象の変位に伴って前記長手方向に移動する筒状部材と、前記棒状部材の前記外表面部上に薄膜状に形成され、前記棒状部材を挟んで互いに対向する一対の固定電極と、前記固定電極及び前記計測対象から絶縁された状態で前記筒状部材に設けられ、前記一対の固定電極に対向する一繋がりの可動電極と、前記棒状部材の前記外表面部上に薄膜状に形成され、前記可動電極と対向しない補償電極と、前記固定電極、前記可動電極、及び前記補償電極から絶縁された状態でそれら電極を覆い、接地されている静電シールドと、前記棒状部材の前記外表面部上に薄膜状に形成され、前記固定電極の各々に接続されて前記静電シールドの外部まで、前記静電シールドから絶縁された状態で前記長手方向へ延びる固定電極端子と、前記棒状部材の前記外表面部上に薄膜状に形成され、前記補償電極に接続されて前記静電シールドの外部まで、前記静電シールドから絶縁された状態で前記長手方向へ延びる補償電極端子と、を備えることを特徴とする。
【0011】
上記構成によれば、固定電極及び計測対象から絶縁された状態で、一対の固定電極に対向する一繋がりの可動電極が筒状部材に設けられている。このため、各固定電極と、対向する可動電極との間でそれぞれコンデンサが形成され、それらのコンデンサが一繋がりの可動電極により直列に接続された合成コンデンサが形成される。そして、計測対象の変位に伴って棒状部材の長手方向に筒状部材が移動すると、固定電極と可動電極とが対向する部分の面積が変化するため、合成コンデンサの静電容量が変化する。したがって、合成コンデンサの静電容量の変化、すなわち一対の固定電極の間での静電容量の変化に基づいて、計測対象の変位を計測することができる。
【0012】
さらに、一対の固定電極に加えて、可動電極と対向しない補償電極が、棒状部材の外表面部上に薄膜状に形成されている。このため、補償電極を一方の電極として形成される補償コンデンサの静電容量を測定することで、固定電極と可動電極との間の誘電率の変化に起因する変位の計測誤差を補償することができる。
【0013】
ここで、棒状部材を挟んで互いに対向する一対の固定電極は、絶縁材料により形成された棒状部材の外表面部上に、薄膜状に形成されている。このため、互いに別部材として形成された一対の固定電極を配置する必要がなく、1つの棒状部材の外表面部上に薄膜状のパターンとして、一対の固定電極を形成することができる。したがって、一対の固定電極の間隔が棒状部材の寸法により規定されることとなり、一対の固定電極を所定の間隔で正確に配置することができる。
【0014】
また、固定電極、可動電極、及び補償電極が、それら電極から絶縁された状態の静電シールドにより覆れている。静電シールドは接地されているため、センサの本体(センサを含む装置本体)に使用者が触れたとしても、一対の固定電極の間での静電容量が不安定になることを抑制することができる。
【0015】
ここで、各固定電極及び補償電極に接続されて静電シールドの外部まで、静電シールドから絶縁された状態で棒状部材の長手方向へ延びる固定電極端子及び補償電極端子が、棒状部材の外表面部上にそれぞれ薄膜状に形成されている。このため、固定電極及び補償電極と併せて、固定電極端子及び補償電極端子を薄膜状のパターンとして形成するだけで、静電シールドの外側へ固定電極及び補償電極をそれぞれ引き出すことができる。したがって、静電シールドの外側への電極の引き出しを容易化することができる。
【0016】
第2の手段では、前記静電シールドは、前記補償電極に向けて近接する位置まで張り出す張出部を有している。
【0017】
上記構成によれば、静電シールドの張出部と補償電極とが近接しているため、補償電極と張出部とで、比較的静電容量の大きい補償コンデンサを形成することができる。したがって、静電シールドを補償コンデンサの一方の電極として利用することができるとともに、補償コンデンサの精度を向上させることができる。さらに、狭いスペースで補償コンデンサを形成することが可能となる。
【0018】
第3の手段では、前記固定電極、前記可動電極、前記補償電極、及び前記張出部に接する誘電体流体を貯留する流体室が、内部に形成されたセンサ本体を備え、前記静電シールドには、前記補償電極と前記張出部との間の空間を、前記長手方向において前記補償電極の両側で、前記流体室における前記静電シールドの外側の空間と連通させる連通孔が形成されている。
【0019】
上記構成によれば、センサ本体の内部に誘電体流体を貯留する流体室が形成されており、固定電極、可動電極、補償電極、及び静電シールドの張出部に誘電体流体が接する。このため、固定電極と可動電極とで形成されるコンデンサ、及び補償電極と張出部とで形成される補償コンデンサの静電容量を増大させることができる。
【0020】
ここで、静電シールドに形成された連通孔により、補償電極と張出部との間の空間が、棒状部材の長手方向において補償電極の両側で、流体室における静電シールドの外側の空間と連通させられている。このため、互いに近接する補償電極と張出部との間の空間における誘電体流体の流通を促進させることができ、補償電極と張出部との間の空間における誘電体流体の状態を、流体室の他の部分における誘電体流体の状態に近付けることができる。したがって、誘電体流体の状態の変化、例えば温度変化や液質変化等による誘電率の変化を、補償コンデンサの静電容量の変化に敏感に反映させることができ、変位の計測誤差を補償する精度を向上させることができる。
【0021】
第4の手段では、前記長手方向において前記棒状部材の前記所定範囲と反対側の端部が、前記外表面部の外周に沿って絶縁材料により環状にシールされている。
【0022】
固定電極及び補償電極に誘電体流体が接している場合には、誘電体流体が外部に漏れないようにシールしつつ、固定電極及び補償電極を静電シールドの外側へ引き出す必要がある。
【0023】
この点、上記構成によれば、棒状部材の長手方向において棒状部材の所定範囲と反対側の端部が、外表面部の外周に沿って絶縁材料により環状にシールされている。そして、上述したように、固定電極及び補償電極にそれぞれ接続された固定電極端子及び補償電極端子は、棒状部材の外表面部上に薄膜状に形成されている。このため、固定電極端子及び補償電極端子の厚みをほとんど無視することができ、棒状部材の外表面部を外周に沿って容易にシールすることができる。
【0024】
第5の手段では、前記静電シールドは、前記長手方向に沿って延びて前記センサ本体の開口部に露出しており、前記長手方向において前記棒状部材の前記所定範囲と反対側の端部と、前記静電シールドとの間が前記絶縁材料によりシールされている。
【0025】
上記構成によれば、静電シールドは、棒状部材の長手方向に沿って延びてセンサ本体の開口部に露出しているため、補償コンデンサの一方の電極を形成する静電シールドの張出部を、外部の電気回路に容易に接続することができる。そして、棒状部材の長手方向において棒状部材の所定範囲と反対側の端部と、静電シールドとの間が絶縁材料によりシールされている。したがって、固定電極端子及び補償電極端子と静電シールドとの絶縁を確保しつつ、誘電体流体が外部に漏れないようにシールすることができる。
【0026】
第6の手段では、前記棒状部材の全体が絶縁材料により形成されている。
【0027】
上記構成によれば、棒状部材の全体が絶縁材料により形成されているため、棒状部材の外表面部を容易に絶縁材料とすることができ、棒状部材の製造を容易化することができる。
【0028】
第7の手段では、前記筒状部材の全体が導電材料により形成されている。
【0029】
上記構成によれば、筒状部材の全体が導電材料により形成されているため、筒状部材自体が可動電極として機能し、可動電極を容易に一繋がりとすることができる。その結果、可動電極の製造を容易化することができる。
【0030】
第8の手段では、前記固定電極端子及び前記補償電極端子は、前記長手方向に延びるとともに互いに近接して配置されており、前記固定電極及び前記補償電極は、前記外表面部の周方向へ延びている。
【0031】
上記構成によれば、固定電極端子及び補償電極端子は、棒状部材の長手方向に延びるとともに互いに近接して配置されている。このため、電極端子を集中させることができ、外部の電気回路に各電極端子を容易に接続することができる。
【0032】
さらに、固定電極及び補償電極は、棒状部材の外表面部の周方向へ延びている。このため、電極端子を集中させつつも、電極を効率的に配置することができ、電極の面積を確保することができる。したがって、計測対象の変位を計測する精度を向上させることができる。
【0033】
第9の手段では、前記長手方向において前記棒状部材の前記所定範囲側の端部には、前記外表面部が露出した露出部が設けられている。
【0034】
計測対象の変位に伴って棒状部材の長手方向に筒状部材が移動する際に、棒状部材に対して筒状部材が傾くと、互いに対向する固定電極と可動電極とが接触するおそれがある。この場合、特に棒状部材の端部及び筒状部材の端部において、固定電極と可動電極とが最初に接触し易い。
【0035】
この点、上記構成によれば、棒状部材の長手方向において棒状部材の所定範囲側の端部には、絶縁材料により形成された外表面部が露出した露出部が設けられている。このため、棒状部材の端部が筒状部材に接触したとしても、固定電極と可動電極とが接触することを抑制することができる。
【0036】
さらに、固定電極は棒状部材の外表面部上に薄膜状に形成されているため、棒状部材の端部に固定電極を形成しないパターンにしたり、棒状部材の端部まで固定電極のパターンを形成した後に端部のパターンを削ったりすることで、露出部を容易に形成することができる。
【0037】
第10の手段では、前記補償電極は第1補償電極であり、前記補償電極端子は第1補償電極端子であり、前記棒状部材の前記外表面部上に薄膜状に前記第1補償電極よりも大きく形成され、前記可動電極と対向しない第2補償電極と、前記棒状部材の前記外表面部上に薄膜状に形成され、前記第2補償電極に接続されて前記静電シールドの外部まで、前記静電シールドから絶縁された状態で前記長手方向へ延びる第2補償電極端子と、2つの電極の間での静電容量を測定する測定回路と、前記第1補償電極端子及び前記静電シールドを前記測定回路に接続する第1状態と、前記第2補償電極端子及び前記静電シールドを前記測定回路に接続する第2状態と、前記固定電極の各々に接続された前記固定電極端子を前記測定回路に接続する第3状態と、を切り替える切替回路と、前記第1状態、前記第2状態、及び前記第3状態において、前記測定回路によりそれぞれ第1静電容量、第2静電容量、及び第3静電容量を測定させ、前記第1静電容量と前記第2静電容量との差分、及び前記第1静電容量と前記第3静電容量との差分に基づいて、前記計測対象の変位を算出する算出部と、を備える。
【0038】
上記構成によれば、棒状部材の外表面部上に第1補償電極よりも大きく第2補償電極が形成されている。そして、第2補償電極は、第2補償電極端子により静電シールドの外側へ引き出されている。
【0039】
切替回路により、第1補償電極端子及び静電シールドを測定回路に接続する第1状態と、第2補償電極端子及び静電シールドを測定回路に接続する第2状態と、固定電極の各々に接続された固定電極端子を前記測定回路に接続する第3状態と、が切り替えられる。そして、測定回路により、第1状態、第2状態、及び第3状態において、測定回路によりそれぞれ第1静電容量、第2静電容量、及び第3静電容量が測定される。
【0040】
ここで、第2補償電極は第1補償電極よりも大きく形成されているため、第2補償電極と静電シールドとの対向面積は第1補償電極と静電シールドとの対向面積よりも大きい。すなわち、第1補償電極と静電シールドとで形成される第1補償コンデンサは、一対の固定電極と可動電極との対向面積が小さい状態(計測対象の変位が小さい状態)に相当する。また、第2補償電極と静電シールドとで形成される第2補償コンデンサは、一対の固定電極と可動電極との対向面積が大きい状態(計測対象の変位が大きい状態)に相当する。したがって、一対の固定電極及び可動電極とで形成される合成コンデンサが、第1補償コンデンサに相当する場合の計測対象の変位、及び合成コンデンサが第2補償コンデンサに相当する場合の計測対象の変位を予め実験等により求めておくことで、第1静電容量と第2静電容量との差分、及び第1静電容量と第3静電容量との差分に基づいて、計測対象の変位を算出することができる。
【0041】
さらに、一対の固定電極と可動電極との間の誘電率が変化したとしても、第1補償コンデンサ及び第2補償コンデンサにおいても同様に誘電率が変化する。このため、合成コンデンサが第1補償コンデンサに相当する場合の計測対象の変位、及び合成コンデンサが第2補償コンデンサに相当する場合の計測対象の変位は変化しない。また、静電容量の測定で用いられる調整用コンデンサ等の静電容量が変化したことにより、第1補償コンデンサ及び第2補償コンデンサの静電容量が変化したとしても、第1補償コンデンサ及び第2補償コンデンサの静電容量の変化は同様の傾向となる。このため、第1静電容量と第2静電容量との差分、及び第1静電容量と第3静電容量との差分に基づいて、計測対象の変位を算出することにより、調整用コンデンサ等の静電容量が変化したことによる影響を打ち消すことができる。したがって、一対の固定電極と可動電極との間の誘電率の変化や、調整用コンデンサ等の静電容量が変化したことによる第1補償コンデンサ及び第2補償コンデンサの静電容量の変化にかかわらず、計測対象の変位を正確に算出することができる。
【0042】
第11の手段では、前記第1補償電極及び前記第2補償電極は、それぞれ前記外表面部の周方向へ延びる複数の分岐部を有しており、前記第1補償電極の前記分岐部と前記第2補償電極の前記分岐部とは、前記長手方向において互い違いに配置されている。
【0043】
第1補償電極と第2補償電極とで温度差が生じると、第1補償電極により形成されるコンデンサと第2補償電極により形成されるコンデンサとで、誘電率に差が生じるおそれがある。その結果、第1静電容量と第2静電容量との差分、及び第1静電容量と第3静電容量との差分に基づいて、計測対象の変位を算出する際に、変位の算出精度が低下するおそれがある。
【0044】
この点、上記構成によれば、第1補償電極及び前記第2補償電極は、それぞれ棒状部材の外表面部の周方向へ延びる複数の分岐部を有している。そして、第1補償電極の分岐部と第2補償電極の分岐部とは、棒状部材の長手方向において互い違いに配置されているため、第1補償電極と第2補償電極とで温度差が生じることを抑制することができる。したがって、計測対象の変位を算出する精度が低下することを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】静電容量式変位センサ、及びスプール弁の一部を示す部分断面図。
【図2】図1の変位センサの側面図。
【図3】柱状部材及び電極を示す正面図。
【図4】図3の電極を展開して示す展開図。
【図5】図1の変位センサの各部に形成されるコンデンサを模式的に示す模式図。
【図6】図5の等価回路を示す電気回路図。
【図7】図1の変位センサの電気的構成を示すブロック図。
【図8】スプールの変位と静電容量との関係を示すグラフ。
【図9】筒状部材及び可動電極の変更例を示す部分断面図。
【図10】静電シールドの変更例を示す部分断面図。
【図11】静電シールドの他の変更例を示す部分断面図。
【図12】補償電極の変更例を示す正面図。
【図13】筒状部材の変更例を示す部分断面図。
【図14】固定電極の変更例を示す正面図。
【図15】図14の電極を展開して示す展開図。
【図16】固定電極の変更例を示す正面図。
【図17】図16の電極を展開して示す展開図。
【図18】図16に示した固定電極を用いた変位センサの構成を示す部分断面図。
【発明を実施するための形態】
【0046】
以下、一実施形態について、図面を参照しつつ説明する。本実施形態は、半導体製造装置等において、薬液等の流体の流通を制御する弁装置として具体化している。
【0047】
図1は、静電容量式変位センサ30、及びスプール弁20の一部を示す部分断面図である。同図に示すように、弁装置10は、第1本体11、第2本体12、スプール弁20、及び静電容量式変位センサ30等を備えている。第1本体11及び第2本体12は、ステンレス鋼等の金属により、内部に円柱状の空間を有する四角筒状(筒状)に成形されている。第1本体11の端部に第2本体12が互いの中心軸線を一致させて取り付けられており、第1本体11と第2本体12との間がシール部材によりシールされている。第1本体11及び第2本体12の内部に、スプール弁20及び変位センサ30が収納されている。スプール弁20と変位センサ30とは、第1本体11の中心軸線方向(長手方向)に並んで配置されている。第1本体11には、流体の流入口11a及び流出口11bが形成されている。
【0048】
スプール弁20は、スリーブ21、スプール22、及びアクチュエータ(図示せず)等を備えている。スリーブ21及びスプール22は、ステンレス鋼等の金属により形成されている。スリーブ21は円筒状(筒状)に成形されており、スプール22は円柱状(柱状)に成形されている。スリーブ21とスプール22とは、対応する断面形状で形成されており、スリーブ21の内部にスプール22が摺動可能に挿入されている。スプール22の内部には、中心軸線方向(長手方向)に延びる貫通孔22bが形成されている。
【0049】
スリーブ21において、上記第1本体11の流入口11a及び流出口11bに対応する位置には、それぞれ連通孔21a,21bが形成されている。連通孔21a,21bは、スリーブ21の周方向に延びており、スリーブ21の内部と外部とを連通させている。スプール22には、スリーブ21の連通孔21a,21bの間隔に対応した幅で、周方向に延びる環状の溝22aが形成されている。スプール22(計測対象)は、電磁アクチュエータ等のアクチュエータに連結されており、アクチュエータにより中心軸線方向(長手方向)に往復移動させられる。これにより、スプール22の外周面によってスリーブ21の連通孔21aと連通孔21bとの連通が遮断された状態と、スプール22の溝22aによって連通孔21aと連通孔21bとが連通された状態とに制御される。
【0050】
第1本体11及び第2本体12の内部には、変位センサ30が収納されている。変位センサ30は、柱状部材31、筒状部材33、連結部材35、静電シールド37等を備えている。
【0051】
筒状部材33(可動電極)は、ステンレス鋼等の金属(導電材料)により、底部33aを有する円筒状(一繋がりの形状)に形成されている。連結部材35は、セラミックスや樹脂等の絶縁材料により、円筒状に形成されている。上記スプール22の端部22cには、連結部材35を介して筒状部材33の底部33aが連結されている。すなわち、スプール22と筒状部材33とは、連結部材35によって電気的に絶縁されている。
【0052】
筒状部材33の底部33aには、筒状部材33の中心軸線方向(長手方向)に延びる貫通孔33bが形成されている。スプール22の貫通孔22bと底部33aの貫通孔33bとは、円筒状の連結部材35を介して連通している。すなわち、スプール22の内部と筒状部材33の内部とが連通している。
【0053】
柱状部材31(棒状部材)は、アルミナ等の絶縁材料により、円柱状に形成されている。すなわち、柱状部材31の外表面部は絶縁材料により形成されている。柱状部材31の外表面部上には、一対の固定電極40A,40B、補償電極41(第1補償電極)、及び補償電極42(第2補償電極)が薄膜状に形成されている。柱状部材31において中心軸線方向(長手方向)の一端から所定範囲、詳しくは固定電極40A,40Bに対応する部分が、筒状部材33の内部に挿入されている。柱状部材31と筒状部材33とは、互いの中心軸線が一致している。固定電極40A,40B(柱状部材31)と筒状部材33との間には、所定のクリアランス(隙間)が形成されている。すなわち、固定電極40A,40Bと筒状部材33とは、電気的に絶縁された状態で互いに対向している。
【0054】
柱状部材31及び筒状部材33の外周には、固定電極40A,40B、補償電極41,42、及び筒状部材33を覆う静電シールド37が設けられている。静電シールド37は、ステンレス鋼等の金属(導電材料)により、円筒状(筒状)に形成されている。静電シールド37は、固定電極40A,40B、補償電極41,42、及び筒状部材33から、電気的に絶縁されている。
【0055】
静電シールド37の端部37aの外周面と、第2本体12の内周面との間は、低融点ガラス51(絶縁材料)により周方向に沿って環状にシール(封止)されている(図2参照)。これにより、静電シールド37は、第2本体12と電気的に絶縁された状態で、第2本体12に取り付けられている。柱状部材31の端部31aは、静電シールド37の外部、すなわち第2本体12の開口部12aに露出している。静電シールド37の端部37aの内周面と、柱状部材31の端部31aの外周面との間は、低融点ガラス52(絶縁材料)により周方向に沿って環状にシールされている(図2参照)。これにより、柱状部材31は静電シールド37に取り付けられている。
【0056】
静電シールド37の中心軸線は、柱状部材31の中心軸線と一致している。静電シールド37は、中心軸線方向(長手方向)に延びており、その端部37aが第2本体12の開口部12aに露出している。静電シールド37の端部37aには、配線(図示せず)が接続されており、その配線により静電シールド37が接地されている。
【0057】
第1本体11及び第2本体12の内部には、流体を貯留する流体室13が形成されている。流体室13は、第1本体11、第2本体12、スリーブ21、スプール22、静電シールド37、及び柱状部材31によって区画されている。上記スプール弁20により流通が制御される流体は、スリーブ21の内周面とスプール22の外周面とのクリアランス(隙間)から、流体室13へ流入する。そして、流体室13の内部は流体により満たされる。このため、電極40A,40B,41,42、筒状部材33、及び静電シールド37は、流体に接することとなる。薬液からなる流体は、誘電体であり、誘電体流体として機能する。なお、第1本体11及び第2本体12は、変位センサ30のセンサ本体を構成している。
【0058】
静電シールド37において補償電極41,42に対向する部分には、補償電極41,42に向けて張り出す張出部37bが形成されている。張出部37bは、補償電極41,42に近接する位置まで環状に張り出している。補償電極41,42は、筒状部材33とは対向していない。
【0059】
静電シールド37には、流体室13において静電シールド37の内側と外側とを連通させる連通孔37c,37dが形成されている。連通孔37c,37dは、柱状部材31の中心軸線方向(長手方向)において、補償電極41,42の両側に形成されている。詳しくは、連通孔37c,37dは、柱状部材31の中心軸線方向において、固定電極40A,40B、補償電極41,42を含む範囲の両端にそれぞれ形成されている。
【0060】
次に、一対の固定電極40A,40B、及び補償電極41,42の構成について、詳細に説明する。図3は、柱状部材31、固定電極40A,40B、補償電極41,42を示す正面図であり、図4は、図3の電極40A,40B,41,42を展開して示す展開図である。
【0061】
同図に示すように、一対の固定電極40A,40Bは、柱状部材31の中心軸線方向(長手方向)において、一端からの所定範囲で形成されている。固定電極40A,40Bは、柱状部材31の外表面部の周方向へ延びている。固定電極40A,40Bは、柱状部材31の外表面部上に半円筒状に形成されている。このため、一対の固定電極40A,40Bは、柱状部材31を挟んで互いに対向している。柱状部材31において、長手方向の固定電極40A,40Bが形成された側の端部には、外表面部が露出した露出部31bが形成されている。すなわち、露出部31bには、固定電極40A,40Bが形成されていない。
【0062】
固定電極40Aと固定電極40Bとが隣り合う部分には、それぞれ固定電極端子Ta,Tbが接続されている。固定電極端子Ta,Tbは、柱状部材31の長手方向へ端部31aまで延びている。さらに、固定電極端子Ta,Tbは、端部31aの端面まで延びている(図2参照)。このため、固定電極端子Ta,Tbは、静電シールド37の外部、すなわち第2本体12の開口部12aに露出している(図1参照)。固定電極端子Ta,Tbは、互いに近接して平行(並列)に配置されている。
【0063】
補償電極42は、柱状部材31の中心軸線方向(長手方向)において、固定電極40A,40Bの形成された範囲の隣の範囲に形成されている。補償電極42は、柱状部材31の外表面部の周方向へ延びている。補償電極42は、柱状部材31の外表面部上に円筒状に形成されている。
【0064】
補償電極42において固定電極端子Taと近接する部分には、補償電極端子T2が接続されている。補償電極端子T2(第2補償電極端子)は、柱状部材31の長手方向へ端部31aまで延びている。さらに、補償電極端子T2は、端部31aの端面まで延びている(図2参照)。このため、補償電極端子T2は、静電シールド37の外部、すなわち第2本体12の開口部12aに露出している(図1参照)。補償電極端子T2は、固定電極端子Taと近接して平行(並列)に配置されている。
【0065】
補償電極41は、柱状部材31の中心軸線方向(長手方向)において、補償電極42の形成された範囲の隣の範囲に形成されている。補償電極41は、柱状部材31の外表面部の周方向へ延びている。補償電極41は、柱状部材31の外表面部上に円筒状に形成されている。ここで、柱状部材31の長手方向において、補償電極42の長さは補償電極41の長さよりも長く設定されている。すなわち、補償電極42の面積は、補償電極41の面積よりも大きく設定されている。
【0066】
補償電極41において固定電極端子Tbと近接する部分には、補償電極端子T1が接続されている。補償電極端子T1(第1補償電極端子)は、柱状部材31の長手方向へ端部31aまで延びている。さらに、補償電極端子T1は、端部31aの端面まで延びている(図2参照)。このため、補償電極端子T1は、静電シールド37の外部、すなわち第2本体12の開口部12aに露出している(図1参照)。補償電極端子T1は、固定電極端子Tbと近接して平行(並列)に配置されている。
【0067】
電極40A,40B,41,42、及び端子Ta,Tb,T1,T2は、銀等の導電材料を含むペーストを、スクリーン印刷して焼成することにより、薄膜状に形成されている。すなわち、電極40A,40B,41,42、及び端子Ta,Tb,T1,T2は、電極パターンの形成されたスクリーンマスクを用いて、導電材料を印刷することにより形成されている。
【0068】
端子Ta,Tb,T1,T2は、柱状部材31の外表面部の周方向において1箇所に集中して配置されている。静電シールド37において、これら端子Ta,Tb,T1,T2に対向する部分には、凹部37eが形成されている(図2参照)。凹部37eは、端子Ta,Tb,T1,T2に沿って柱状部材31の中心軸線方向(長手方向)へ延びている。凹部37eの深さは、薄膜状の端子Ta,Tb,T1,T2の厚みよりも深く設定されている。これにより、端子Ta,Tb,T1,T2と静電シールド37との距離が確保され、端子Ta,Tb,T1,T2と静電シールド37とが絶縁されている。凹部37eの内部にも低融点ガラス52が導入されており、柱状部材31と静電シールド37との間がシールされている。すなわち、流体室13から流体が漏れないようにシールしつつ、電極40A,40B,41,42が静電シールド37の外側へ引き出されている。
【0069】
次に、静電容量式変位センサ30において、静電容量を測定するコンデンサとその他の部分に形成されるコンデンサについて説明する。図5は、図1の変位センサ30において、各部に形成されるコンデンサを模式的に示す模式図である。図6は、図5の等価回路を示す電気回路図である。
【0070】
同図に示すように、固定電極40Aと筒状部材33とでコンデンサCaが形成され、固定電極40Bと筒状部材33とでコンデンサCbが形成されている。筒状部材33は一繋がりの形状となっているため、コンデンサCaとコンデンサCbとは、筒状部材33により直列に接続されている。そして、コンデンサCa,Cbによって、合成コンデンサCabが形成されている。
【0071】
ここで、上記スプール弁20において、スプール22がアクチュエータの駆動により移動させられると、スプール弁20に連結された筒状部材33が中心軸線方向(長手方向)に移動させられる。これにより、固定電極40A,40Bと筒状部材33とが対向する部分の面積が変化し、合成コンデンサCabの静電容量Cが変化する。すなわち、C=ε×S/dの関係が成立する。Cはコンデンサの静電容量、εは誘電率、Sは電極面積、dは電極間距離である。そして、電極間距離dは既知の一定値であり、電極面積Sはスプール22の変位に対応して変化する。したがって、固定電極端子Taと固定電極端子Tbとの間で静電容量を計測することにより、静電容量の変化に基づいてスプール22の変位を計測することができる。
【0072】
スプール22の変位に伴って柱状部材31の中心軸線方向(長手方向)に筒状部材33が移動する際に、柱状部材31に対して筒状部材33が傾くと、互いに対向する固定電極40A,40Bと筒状部材33とが接触するおそれがある。この場合、特に柱状部材31の端部及び筒状部材33の端部において、固定電極40A,40Bと筒状部材33とが最初に接触し易い。
【0073】
この点、柱状部材31の長手方向において柱状部材31の端部には、固定電極40A,40Bが形成されていない露出部31bが設けられている。このため、露出部31bが筒状部材33に接触したとしても、固定電極40A,40Bと筒状部材33とが接触することを抑制することができる。
【0074】
また、補償電極41と静電シールド37の張出部37bとで補償コンデンサC1(第1補償コンデンサ)が形成され、補償電極42と張出部37bとで補償コンデンサC2(第2補償コンデンサ)が形成されている。上述したように、固定電極40A,40Bと筒状部材33との間、及び補償電極41,42と静電シールド37の張出部37bとの間は、誘電体からなる流体で満たされている。
【0075】
ここで、流体の状態(温度や液質)が変化すると、流体の誘電率εが変化し、合成コンデンサCabの静電容量が変化することとなる。このとき、流体の誘電率εの変化に起因して、補償コンデンサC1,C2の静電容量も変化する。補償コンデンサC1,C2の電極間距離d及び電極面積Sは、設計値又は実測により予め取得することができる。このため、補償電極端子T1(T2)と静電シールド端子Tsとの間で静電容量Cを計測することにより、C=ε×S/dの関係から流体の誘電率εを算出することができる。そして、算出された誘電率εを用いて、合成コンデンサCabの静電容量を計測することにより、流体の誘電率の変化に起因するスプール22の変位の計測誤差を補償することができる。
【0076】
さらに、静電シールド37には、連通孔37c,37dが形成されている。このため、補償電極41,42と静電シールド37の張出部37bとの間の空間が、柱状部材31の長手方向において補償電極41,42の両側で、静電シールド37の外部と連通している。詳しくは、連通孔37c,37dは、柱状部材31の長手方向において、固定電極40A,40B、補償電極41,42を含む範囲の両端にそれぞれ形成されている。したがって、補償電極41,42と張出部37bとが近接する構成であっても、補償電極41,42と張出部37bとの間に流体を流通させることができる。その結果、補償電極41,42と張出部37bとの間の流体の状態を、流体室13の他の部分における流体の状態に近付けることができ、スプール22の変位の計測誤差を補償する精度を向上させることができる。
【0077】
電極40A,40B,41,42は静電シールド37により覆われており、静電シールド37が接地されている。このため、本体11,12に使用者が触れること等により、本体11,12の電荷状態や静電容量Cnが変化したとしても、その影響が電極40A,40B,41,42に及ぶことを抑制することができる。
【0078】
また、固定電極40Aと静電シールド37とでコンデンサCasが形成されている。他にも、固定電極40Aと固定電極40Bとが近接する部分でコンデンサCcが形成され、筒状部材33と静電シールド37とでコンデンサCmsが形成されている。これらコンデンサCas,Cc,Cmsの静電容量は、コンデンサCa,Cb,Cab,C1,C2の静電容量と比較して微小である。
【0079】
次に、図7を参照して、図1の変位センサ30の電気的構成を説明する。変位センサ30は、容量測定回路61及びスイッチ回路62を備えている。
【0080】
容量測定回路61は、入力端子Cin+,Cin−に接続された2点間での静電容量を測定する公知の回路である。
【0081】
スイッチ回路62(切替回路)は、マイクロコンピュータ64(以下、「MC64」と称する)、及びスイッチSW1,SW2,SW3を備えている。スイッチSW1,SW2,SW3は、CMOS等のアナログスイッチであり、MC64により高速でON及びOFFに切り替えることが可能である。なお、容量測定回路61は、静電容量の測定での調整に用いる調整用コンデンサCtを備えている。調整用コンデンサCtの静電容量は、流体の誘電率とはかかわりがなく、環境温度の変化等、その他の要因により変化する。
【0082】
そして、スイッチSW1をON、スイッチSW2,SW3をOFFに切り替えることにより、補償電極端子T1及び静電シールド端子Tsを容量測定回路61に接続した第1状態となる。スイッチSW2をON、スイッチSW1,SW3をOFFに切り替えることにより、補償電極端子T2及び静電シールド端子Tsを容量測定回路61に接続した第2状態となる。スイッチSW3をON、スイッチSW1,SW2をOFFに切り替えることにより、固定電極端子Ta,Tbを容量測定回路61に接続した第3状態となる。
【0083】
第1状態では、補償コンデンサC1の静電容量C1(ε)である第1静電容量が、容量測定回路61により測定される。第2状態では、補償コンデンサC2の静電容量C2(ε)である第2静電容量が、容量測定回路61により測定される。第3状態では、合成コンデンサCabの静電容量Cab(ε)である第3静電容量が、容量測定回路61により測定される。測定された静電容量C1(ε),C2(ε),Cab(ε)は、容量測定回路61からスイッチ回路62のMC64へ送信される。
【0084】
図8に、スプール22の変位と合成コンデンサCabの静電容量Cab(ε)との関係を示す。同図に示すように、静電容量Cab(ε)はスプール22の変位に比例する。換言すれば、静電容量Cab(ε)は、固定電極40A,40Bと筒状部材33との対向する部分の面積に比例する。なお、図1は、スプール22の変位が最も大きい状態、すなわち固定電極40A,40Bと筒状部材33との対向する部分の面積が最も大きい状態を示している。
【0085】
ここで、流体の誘電率がεaの場合、実線で示すように、スプール22の変位x1において、合成コンデンサCabの静電容量Cab(εa)は、補償コンデンサC1の静電容量C1(εa)と等しくなっている。また、スプール22の変位x2において、合成コンデンサCabの静電容量Cab(εa)は、補償コンデンサC2の静電容量C2(εa)と等しくなっている。
【0086】
すなわち、補償コンデンサC1が合成コンデンサCabの変位x1の場合に相当し、補償コンデンサC2が合成コンデンサCabの変位x2の場合に相当するように、補償コンデンサC1,C2が設定されている。これら変位x1,x2は、予め実験等により求めておくことができる。そして、静電容量C1(εa),C2(εa),Cab(εa)を測定し、静電容量C1(εa)と静電容量C2(εa)とを通る直線に静電容量Cab(εa)を適用して、スプール22の変位xを計測することができる。
【0087】
流体の誘電率がεbに変化した場合には、破線で示すように、スプール22の変位x1において、合成コンデンサCabの静電容量Cab(εb)は補償コンデンサC1の静電容量C1(εb)と等しくなる。また、スプール22の変位x2において、合成コンデンサCabの静電容量Cab(εb)は補償コンデンサC2の静電容量C2(εb)と等しくなる。この場合には、合成コンデンサCabと補償コンデンサC1,C2とにおいて、流体の誘電率が同様にεb変化するため、合成コンデンサCabが補償コンデンサC1に相当する場合のスプール22の変位x1、及び合成コンデンサCabが補償コンデンサC2に相当する場合のスプール22の変位x2は変化しない。
【0088】
また、上述したように、容量測定回路61の調整用コンデンサCtの静電容量は、流体の誘電率とはかかわりがなく、環境温度の変化等、その他の要因により変化する。このため、流体の誘電率がεaの場合に、例えば調整用コンデンサCtの静電容量が増加すると、補償コンデンサC1,C2の静電容量C1(εa),C2(εa)は、それぞれ静電容量C1m(εa),C2m(εa)に増加する。その結果、一点鎖線で示すように、スプール22の変位と合成コンデンサCabの静電容量Cab(εa)との関係が、実線で示す関係からずれることとなる。したがって、調整用コンデンサCtの静電容量の変化によって、スプール22の変位を計測する精度が低下するおそれがある。
【0089】
この点、本実施形態では、MC64(算出部)は、補償コンデンサC1の静電容量C1(ε)と補償コンデンサC2の静電容量C2(ε)との差分、及び静電容量C1(ε)と合成コンデンサCabの静電容量Cab(ε)との差分に基づいて、スプール22の変位を算出する。すなわち、静電容量C1(ε)と静電容量C2(ε)との差分を、変位x1から変位x2への変化に対応させて、静電容量C1(ε)と静電容量Cab(ε)との差分に対応する変位xを算出する。
【0090】
ここで、調整用コンデンサCtの静電容量が変化したことにより、補償コンデンサC1,C2の静電容量C1(ε),C2(ε)が変化したとしても、静電容量C1(ε),C2(ε)の変化は同様の傾向となる。例えば、静電容量C1m(εa),C2m(εa)を通る一点鎖線の直線は、静電容量C1(εa),C2(εa)を通る実線の直線を平行移動させた直線となる。このため、静電容量C1(ε)と静電容量C2(ε)との差分、及び静電容量C1(ε)と静電容量Cab(ε)との差分に基づいて、スプール22の変位xを算出することにより、調整用コンデンサCtの静電容量が変化したことによる静電容量C1(ε),C2(ε)への影響を打ち消すことができる。
【0091】
以上詳述した本実施形態は、以下の利点を有する。
【0092】
・一対の固定電極40A,40Bに加えて、筒状部材33と対向しない補償電極41,42が、柱状部材31の外表面部上に薄膜状に形成されている。このため、補償電極41,42を一方の電極として形成される補償コンデンサC1,C2の静電容量を測定することで、固定電極40A,40Bと筒状部材33との間の誘電率εの変化に起因する変位xの計測誤差を補償することができる。
【0093】
・柱状部材31を挟んで互いに対向する一対の固定電極40A,40Bは、絶縁材料により形成された柱状部材31の外表面部上に、薄膜状に形成されている。このため、互いに別部材として形成された一対の固定電極を配置する必要がなく、1つの柱状部材31の外表面部上に薄膜状のパターンとして、一対の固定電極40A,40Bを形成することができる。したがって、一対の固定電極40A,40Bの間隔が柱状部材31の寸法により規定されることとなり、一対の固定電極40A,40Bを所定の間隔で正確に配置することができる。
【0094】
・固定電極40A,40B、筒状部材33、及び補償電極41,42が、それら電極から絶縁された状態の静電シールド37により覆れている。静電シールド37は接地されているため、センサの本体11,12やスプール弁20の本体に使用者が触れたとしても、一対の固定電極40A,40Bの間での静電容量が不安定になることを抑制することができる。
【0095】
・固定電極端子Ta,Tb及び補償電極端子T1,T2が、固定電極40A,40B及び補償電極41,42にそれぞれ接続されている。固定電極端子Ta,Tb及び補償電極端子T1,T2は、静電シールド37の外部まで、静電シールド37から絶縁された状態で柱状部材31の長手方向へ延びている。固定電極端子Ta,Tb及び補償電極端子T1,T2は、柱状部材31の外表面部上にそれぞれ薄膜状に形成されている。このため、固定電極40A,40B及び補償電極41,42と併せて、固定電極端子Ta,Tb及び補償電極端子T1,T2を薄膜状のパターンとして形成するだけで、静電シールド37の外側へ固定電極40A,40B及び補償電極41,42をそれぞれ引き出すことができる。したがって、静電シールド37の外側への電極40A,40B,41,42の引き出しを容易化することができる。
【0096】
・静電シールド37の張出部37bと補償電極41,42とが近接しているため、補償電極41,42と張出部37bとで、比較的静電容量の大きい補償コンデンサC1,C2を形成することができる。したがって、静電シールド37を補償コンデンサC1,C2の一方の電極として利用することができるとともに、補償コンデンサC1,C2の精度を向上させることができる。さらに、狭いスペースで補償コンデンサC1,C2を形成することが可能となる。
【0097】
・本体11,12の内部に誘電体流体を貯留する流体室13が形成されており、固定電極40A,40B、筒状部材33、補償電極41,42、及び静電シールド37の張出部37bに誘電体流体が接する。このため、固定電極40A,40Bと筒状部材33とで形成される合成コンデンサCab、及び補償電極41,42と張出部37bとで形成される補償コンデンサC1,C2の静電容量を増大させることができる。さらに、スプール弁20により流通を制御する流体を、誘電体として利用することができる。
【0098】
・静電シールド37に形成された連通孔37c,37dにより、補償電極41,42と張出部37bとの間の空間が、柱状部材31の長手方向において補償電極41,42の両側で、流体室13における静電シールド37の外側の空間と連通させられている。このため、互いに近接する補償電極41,42と張出部37bとの間の空間における誘電体流体の流通を促進させることができ、補償電極41,42と張出部37bとの間の空間における誘電体流体の状態(温度や液質)を、流体室13の他の部分における誘電体流体の状態に近付けることができる。したがって、誘電体流体の状態の変化による誘電率εの変化を、補償コンデンサC1,C2の静電容量C1(ε),C2(ε)の変化に敏感に反映させることができ、変位xの計測誤差を補償する精度を向上させることができる。
【0099】
・連通孔37c,37dは、柱状部材31の長手方向において、固定電極40A,40B、補償電極41,42を含む範囲の両端にそれぞれ形成されている。このため、固定電極40A,40Bと筒状部材33との間の誘電体流体の状態と、補償電極41,42と張出部37bとの間の誘電体流体の状態とを近付けることができる。したがって、誘電体流体の状態(誘電率)の変化に起因するスプール22の変位xの計測誤差を、より高精度に補償することができる。
【0100】
・柱状部材31の端部31aが、外表面部の外周に沿って絶縁材料により環状にシールされている。そして、上述したように、固定電極40A,40B及び補償電極41,42にそれぞれ接続された固定電極端子Ta,Tb及び補償電極端子T1,T2は、柱状部材31の外表面部上に薄膜状に形成されている。このため、固定電極端子Ta,Tb及び補償電極端子T1,T2の厚みをほとんど無視することができ、柱状部材31の外表面部を外周に沿って容易にシールすることができる。
【0101】
・静電シールド37は、柱状部材31の長手方向に沿って延びて第2本体12の開口部12aに露出しているため、補償コンデンサC1,C2の一方の電極を形成する静電シールド37の張出部37bを、外部の電気回路に容易に接続することができる。そして、柱状部材31の端部31aと、静電シールド37との間が絶縁材料によりシールされている。したがって、固定電極端子Ta,Tb及び補償電極端子T1,T2と静電シールド37との絶縁を確保しつつ、誘電体流体が外部に漏れないようにシールすることができる。
【0102】
・静電シールド37において、端子Ta,Tb,T1,T2に対向する部分には、凹部37eが形成されている。凹部37eは、端子Ta,Tb,T1,T2に沿って柱状部材31の長手方向へ延びている。これにより、端子Ta,Tb,T1,T2と静電シールド37との距離を確保することができ、端子Ta,Tb,T1,T2と静電シールド37とをより確実に絶縁することができる。
【0103】
・柱状部材31の全体が絶縁材料により形成されているため、柱状部材31の外表面部を容易に絶縁材料とすることができ、柱状部材31の製造を容易化することができる。
【0104】
・筒状部材33の全体が導電材料により形成されているため、筒状部材33自体が可動電極として機能し、可動電極を容易に一繋がりとすることができる。その結果、可動電極の製造を容易化することができる。
【0105】
・固定電極端子Ta,Tb及び補償電極端子T1,T2は、柱状部材31の長手方向に延びるとともに互いに近接して配置されている。このため、電極端子を集中させることができ、外部の電気回路に各電極端子を容易に接続することができる。
【0106】
・固定電極40A,40B及び補償電極41,42は、柱状部材31の外表面部の周方向へ延びている。このため、電極端子Ta,Tb,T1,T2を集中させつつも、電極40A,40B,41,42を効率的に配置することができ、電極40A,40B,41,42の面積を確保することができる。したがって、スプール22の変位xを計測する精度を向上させることができる。
【0107】
・柱状部材31の長手方向において柱状部材31の固定電極40A,40B側の端部には、絶縁材料により形成された外表面部が露出した露出部31bが設けられている。このため、柱状部材31の端部が筒状部材33に接触したとしても、固定電極40A,40Bと筒状部材33とが接触することを抑制することができる。
【0108】
・固定電極40A,40Bは柱状部材31の外表面部上に薄膜状に形成されているため、柱状部材31の端部に固定電極40A,40Bを形成しないパターンにしたり、柱状部材31の端部まで固定電極40A,40Bのパターンを形成した後に端部のパターンを削ったりすることで、露出部31bを容易に形成することができる。
【0109】
・補償電極42は補償電極41よりも大きく形成されているため、補償電極42と静電シールド37との対向面積は補償電極41と静電シールド37との対向面積よりも大きい。すなわち、補償電極41と静電シールド37とで形成される補償コンデンサC1は、一対の固定電極40A,40Bと筒状部材33との対向面積が小さい状態(スプール22の変位x1)に相当する。また、補償電極42と静電シールド37とで形成される補償コンデンサC2は、一対の固定電極40A,40Bと筒状部材33との対向面積が大きい状態(スプール22の変位x2)に相当する。したがって、一対の固定電極40A,40B及び筒状部材33とで形成される合成コンデンサCabが、補償コンデンサC1に相当する場合のスプール22の変位x1、及び合成コンデンサCabが補償コンデンサC2に相当する場合のスプール22の変位x2を予め実験等により求めておくことで、補償コンデンサC1の静電容量と補償コンデンサC2の静電容量との差分、及び補償コンデンサC1の静電容量と合成コンデンサCabの静電容量との差分に基づいて、スプール22の変位xを算出することができる。
【0110】
・一対の固定電極40A,40Bと筒状部材33との間の誘電率εが変化したとしても、補償コンデンサC1,C2においても同様に誘電率εが変化する。このため、合成コンデンサCabが補償コンデンサC1に相当する場合のスプール22の変位x1、及び合成コンデンサCabが補償コンデンサC2に相当する場合のスプール22の変位x2は変化しない。また、調整用コンデンサCtの静電容量が変化したことにより、補償コンデンサC1,C2の静電容量が変化したとしても、補償コンデンサC1,C2の静電容量の変化は同様の傾向となる。このため、補償コンデンサC1の静電容量と補償コンデンサC2の静電容量との差分、及び補償コンデンサC1の静電容量と合成コンデンサCabの静電容量との差分に基づいて、スプール22の変位xを算出することにより、調整用コンデンサCtの静電容量が変化したことによる影響を打ち消すことができる。したがって、一対の固定電極40A,40Bと筒状部材33との間の誘電率εの変化や、調整用コンデンサCtの静電容量が変化したことによる補償コンデンサC1,C2の静電容量の変化にかかわらず、スプール22の変位xを正確に算出することができる。
【0111】
上記実施形態を、以下のように変更して実施することもできる。なお、上記実施形態と同一の部材については、同一の符号を付すことにより説明を省略する。
【0112】
・図9に示すように、セラミックスや樹脂等の絶縁材料により形成された筒状部材133の内表面に、銀等の導電材料により薄膜状の電極133aを形成してもよい。こうした構成によっても、電極133aを、固定電極40A,40Bに対向する可動電極として機能させることができる。なお、スプール22と電極133aとは、電気的に絶縁されている。
【0113】
・図10に示すように、第2本体112の開口部112aに静電シールド137が露出しておらず、静電シールド137の端部137aが、接続電極43及び接続電極端子T3により、第2本体112の開口部112aまで引き出された構成を採用することもできる。接続電極43及び接続電極端子T3は、柱状部材31の外表面部上に薄膜状に形成されている。静電シールド137の端部137aが接続電極43に接続されており、接続電極43に接続電極端子T3が接続されている。接続電極端子T3は、補償電極端子T2に近接して平行(並列)に配置されている。
【0114】
・図11に示すように、上述した張出部37b及び連通孔37c,37dの形成されていない静電シールド237を用いることもできる。この場合は、補償電極41により形成される補償コンデンサC1、及び補償電極42により形成される補償コンデンサC2の静電容量が小さくなるため、固定電極40A,40Bと比べて補償電極41,42の面積を大きくすることが望ましい。こうした構成によれば、補償電極41,42と静電シールド237とが近接していないため、静電シールド237に連通孔37c,37dが形成されていなくても、補償電極41,42と静電シールド237との間に誘電体流体が流通し易い。なお、セラミックスや樹脂等の絶縁材料により形成された保持部材14を介して、静電シールド237の内側に柱状部材31が取り付けられている。
【0115】
・図12に示すように、補償電極141,142が、それぞれ柱状部材31の周方向へ延びる複数の分岐部141a,142aを有していてもよい。分岐部141a,142aは、柱状部材31の長手方向において互い違いに配置されている。こうした構成によれば、補償電極141と補償電極142とで誘電率の差が生じることを抑制することができる。したがって、補償コンデンサC1の静電容量C1(ε)と補償コンデンサC2静電容量C2(ε)との差分、及び静電容量C1(ε)と合成コンデンサCabの静電容量Cab(ε)との差分に基づいて、スプール22の変位xを算出する際に精度が低下することを抑制することができる。
【0116】
・柱状部材31と筒状部材33とは、互いに対応した断面形状を有していればよく、円形断面以外に、四角形断面や六角形断面等を採用することもできる。なお、その場合には、電極間隔を一定に保つために筒状部材を回り止めする必要がある。また、静電シールド37についても、断面形状を任意に変更することができる。
【0117】
・上記実施形態では、柱状部材31全体を絶縁材料により形成したが、柱状部材を導電材料により形成して、外表面部を絶縁材料で被覆することもできる。また、柱状部材31に代えて、筒状に形成された部材を用いることもできる。
【0118】
・固定電極40A,40B、補償電極41,42、固定電極端子Ta,Tb、及び補償電極端子T1,T2を、スクリーン印刷以外のパターン形成方法、例えば蒸着膜のエッチングによるパターン形成方法等により、薄膜状に形成することもできる。
【0119】
・上記実施形態では、流体室13を薬液等の誘電体流体で満たしたが、流体室13を空気等の気体で満たしたり、流体室13を真空にしたりすることもできる。
【0120】
・上記実施形態では、スプール弁20を有する弁装置10に変位センサ30を適用したが、ポペット弁等、その他の型式の弁を有する弁装置に変位センサ30を適用することもできる。また、弁に限らず、その他の計測対象の変位を、変位センサ30により計測することもできる。
【0121】
・図13に示すように、筒状部材33には、連通孔33cが形成されていてもよい。この連通孔33cは、筒状部材33の内側の空間(すなわち柱状部材31と筒状部材33との間に形成される空間:以下同様)と、筒状部材33の外側の空間(すなわち筒状部材33と静電シールド37との間に形成される空間:以下同様)と、を連通させるように設けられている。かかる構成においては、筒状部材33の内側の空間と、筒状部材33の外側の空間と、の間での、流体等の授受が、良好に行われる。したがって、かかる構成によれば、筒状部材33の内側の空間における誘電率の変化に起因する、スプール22の変位の計測誤差の発生が、よりいっそう良好に抑制される。
【0122】
ここで、連通孔33cは、筒状部材33の内側の空間における上端部に対応する位置に設けられていることが好ましい。特に、筒状部材33の開口部(長手方向における貫通孔33bとは反対側の端部、すなわち図13における左側の端部に設けられた開口部)よりも底部33aの方が高くなるように、筒状部材33の中心軸線が水平面に対して傾斜する場合がある。この場合、連通孔33cは、筒状部材33の内側の空間の、長手方向における貫通孔33b側の端部(上述の開口部とは反対側の端部)に対応する位置に設けられる。これにより、筒状部材33の内側の空間に気体(気泡)が滞留することによる計測誤差の発生が、良好に抑制される。
【0123】
・図14及び図15に示すように、固定電極40A,40Bは、櫛歯状に形成されていてもよい。かかる構成においては、スプール22の変位に伴う静電容量の変化がステップ状となる。よって、ステップ状あるいはパルス状の出力信号に基づいて、スプール22の変位測定が行われる。したがって、かかる構成によれば、スプール22の変位測定を、より簡略に行うことが可能となる。なお、この場合、固定電極40A,40Bにおける櫛歯状電極を構成する、細線状の各電極パターンは、互いに同一の幅であってもよい。あるいは、複数の細線状の電極パターンのうちの一部について、幅が他のものと異なっていてもよい(かかる構成によれば、スプール22の変位計測における原点検出あるいはキャリブレーションが、良好に行われ得る。)。
【0124】
・図16〜図18に示すように、固定電極40A,40Bは、柱状部材31の中心軸線方向(長手方向)において互いに重ならないように設けられていてもよい。この場合、図18に示すように、セラミックスや樹脂等の絶縁材料により形成された筒状部材133(図9参照)が用いられる。かかる構成においては、筒状部材133の内表面に形成された電極133aと固定電極40Aとの間の静電容量と、電極133aと固定電極40Bとの間の静電容量と、の差により、スプール22の変位が計測される。このため、かかる構成においては、補償電極41,42(図1等参照)を省略することが可能となる。
【符号の説明】
【0125】
10…弁装置、11…第1本体、12…第2本体、12a…開口部、13…流体室、20…スプール弁、22…スプール(計測対象)、30…静電容量式変位センサ、31…柱状部材(棒状部材)、31a…端部、31b…露出部、33…筒状部材(可動電極)、37…静電シールド、37a…端部、37b…張出部、37c…連通孔、37d…連通孔、40A…固定電極、40B…固定電極、41…補償電極(第1補償電極)、42…補償電極(第2補償電極)、51…低融点ガラス(絶縁材料)、52…低融点ガラス(絶縁材料)、61…容量測定回路(測定回路)、62…スイッチ回路(切替回路)、64…マイクロコンピュータ(算出部)、112…第2本体、112a…開口部、133…筒状部材、133a…電極(可動電極)、137…静電シールド、137a…端部、141…補償電極(第1補償電極)、141a…分岐部、142…補償電極(第2補償電極)、142a…分岐部、237…静電シールド、T1…補償電極端子(第1補償電極端子)、T2…補償電極端子(第2補償電極端子)、Ta…固定電極端子、Tb…固定電極端子。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【国際調査報告】