(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO2014054609
(43)【国際公開日】20140410
【発行日】20160825
(54)【発明の名称】半導体回路基板およびそれを用いた半導体装置並びに半導体回路基板の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/36 20060101AFI20160729BHJP
   H01L 23/13 20060101ALI20160729BHJP
   H01L 23/12 20060101ALI20160729BHJP
   H05K 1/02 20060101ALI20160729BHJP
【FI】
   !H01L23/36 C
   !H01L23/12 C
   !H01L23/12 J
   !H05K1/02 Q
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】21
【出願番号】2014539744
(21)【国際出願番号】JP2013076645
(22)【国際出願日】20131001
(31)【優先権主張番号】2012222239
(32)【優先日】20121004
(33)【優先権主張国】JP
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
【住所又は居所】東京都港区芝浦一丁目1番1号
(71)【出願人】
【識別番号】303058328
【氏名又は名称】東芝マテリアル株式会社
【住所又は居所】神奈川県横浜市磯子区新杉田町8番地
(74)【代理人】
【識別番号】110001380
【氏名又は名称】特許業務法人東京国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】加藤 寛正
【住所又は居所】神奈川県横浜市磯子区新杉田町8番地 東芝マテリアル株式会社内
(72)【発明者】
【氏名】星野 政則
【住所又は居所】神奈川県横浜市磯子区新杉田町8番地 東芝マテリアル株式会社内
【テーマコード(参考)】
5E338
5F136
【Fターム(参考)】
5E338AA18
5E338BB75
5E338CC08
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5F136FA03
5F136FA14
5F136FA16
5F136FA18
5F136GA30
5F136GA37
(57)【要約】
絶縁性基板上に導体部を設けた半導体回路基板において、導体部の半導体素子搭載部の表面粗さが、算術平均粗さでRa0.3μm以下であり、十点平均粗さRzjisで2.5μm以下であり、最大高さがRz2.0μm以下であり、かつ算術平均うねりWaが0.5μm以下であることを特徴とする半導体回路基板である。また、絶縁性基板の厚さをt1、導体部の厚さをt2としたとき、0.1≦t2/t1≦50であることが好ましい。上記構成によれば、半導体素子の発熱量が増加しても優れたTCT特性を示す半導体回路基板およびそれを用いた半導体装置が提供できる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁性基板上に導体部を設けた半導体回路基板において、導体部の半導体素子搭載部の表面粗さが、算術平均粗さRaで0.3μm以下であり、十点平均粗さRzjisで2.5μm以下であり、最大高さRzで2.0μm以下であり、かつ算術平均うねりWaが0.5μm以下であることを特徴とする半導体回路基板。
【請求項2】
前記絶縁性基板の厚さをt1、前記導体部の厚さをt2としたとき、0.1≦t2/t1≦50であることを特徴とする請求項1記載の半導体回路基板。
【請求項3】
前記導体部の側面端部の断面角度が45°以下であることを特徴とする請求項1ないし請求項2のいずれか1項に記載の半導体回路基板。
【請求項4】
前記導体部が金属板から成る一方、前記絶縁性基板がセラミックス基板から成り、上記金属板とセラミックス基板とを接合する接合層は上記金属板からのはみ出し領域の幅が0.2mm以下であることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の半導体回路基板。
【請求項5】
前記絶縁性基板が、アルミナ基板、窒化アルミニウム基板、窒化珪素基板および絶縁樹脂基板のいずれか1種で構成されることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の半導体回路基板。
【請求項6】
前記導体部が、銅、銅合金、アルミニウムおよびアルミニウム合金のいずれか1種からなることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の半導体回路基板。
【請求項7】
請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の半導体回路基板の導体部に半導体素子を搭載したことを特徴とする半導体装置。
【請求項8】
前記半導体素子がSi素子、GaN素子およびSiC素子から選択される1種以上であることを特徴とする請求項7記載の半導体装置。
【請求項9】
前記半導体素子が前記接合材を介して前記導電部に接合されていることを特徴とする請求項7ないし請求項8のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項10】
前記半導体素子が接合材を介さずに前記導体部に直接接合されていることを特徴とする請求項7ないし請求項8のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項11】
絶縁性基板上に導体部を形成する導体部形成工程と、上記導体部の半導体素子搭載部の表面粗さを算術平均粗さRaで0.3μm以下にし、十点平均粗さRzjisで2.5μm以下にし、最大高さRzで2.0μm以下にし、かつ算術平均うねりWaを0.5μm以下にする表面加工工程と、を具備することを特徴とする半導体回路基板の製造方法。
【請求項12】
前記表面加工工程が、研磨工程であることを特徴とする請求項11記載の半導体回路基板の製造方法。
【請求項13】
前記研磨工程が、エッチング工程であることを特徴とする請求項12記載の半導体回路基板の製造方法。
【請求項14】
前記研磨工程が、プレス加工であることを特徴とする請求項12記載の半導体回路基板の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体回路基板およびそれを用いた半導体装置並びに半導体回路基板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子制御に使用される半導体チップ(半導体素子)は小型化が進みチップからの発熱量は増加の一途をたどっている。そのため、半導体チップを搭載する半導体回路基板(モジュール含む)においては放熱性の向上が重要になっている。これは、チップ上の一点だけでも半導体チップの真性温度を超えてしまうと、抵抗が負のマイナス側の温度係数に変化してしまうために、電力が集中的に流れる熱暴走を起こして瞬時に破壊してしまうためである。つまり、チップの電力損失に見合ったマージンを考慮した放熱設計を行うことが求められている。
【0003】
熱抵抗(Rth)はRth=L/(k×A)の式で表すことができる。式中、Rth は熱抵抗、Lは熱伝達経路、kは熱伝導度、Aは放熱面積である。この式によると、熱抵抗(Rth)は、熱伝達経路(L)が短いほど、そして、熱伝動度(k)と放熱面積(A)が大きいほど減少する。なお、熱伝達経路(L)は一般的に回路基板の厚さに相当する。
【0004】
半導体チップを使用した一般的な半導体装置は、相異なる材質間の接触があり、熱伝達経路はチップ→半田→電極回路材→絶縁性基板→裏金属板→半田→放熱部材(ヒートシンク)であり、放熱部材以外は絶縁回路基板である。つまり、熱伝達経路の大部分を占める絶縁回路板の放熱性能が優れていなければ、半導体装置の性能向上を図ることはできない。
【0005】
また、現在の半導体チップの主流であるSiチップの応答速度には限界が見えており、更なる機器の小型化や性能向上のために、次世代半導体素子としてSiCやGaNを用いたチップの開発が国を挙げてのプロジェクトとして急ピッチで進んでいる。特にSiCチップは、動作可能温度がSiチップの主流が125〜150℃であるのに対し、600℃まで使用できると言われており、応答速度が速いだけでなく動作温度が高いことも特徴の一つになっている。
【0006】
しかしながら、チップと電極回路材との接合に従来のような半田材を使用した場合には、動作温度が半田材の融点以下となり、高い動作温度という特徴を活かすことができないと考えられる。このため、高融点半田材の開発が行われているが現状では融点が600℃以上で信頼性が十分なものは開発されていない。また、例えば、国際公開WO2007/105361号パンフレット(特許文献1)には高融点半田材に替えてAg−Cuろう材を使うことが提案されている。特許文献1のような接合温度が600℃以上となる高融点ろう材を使うことにより、電極回路材と半導体素子との接合の信頼性に関しては一定の向上が確認されている。
【0007】
一方で接合の信頼性向上だけではなく、更なる放熱性の改善が試みられている。例えば、半導体チップをろう材等の接合材を介さずに電極回路材に直接接合する方法、電極回路材を厚くして上下方向だけでなく横方向にも放熱を行う方法が考えられている。また、従来の半導体回路基板モジュールでは、絶縁回路基板を介してヒートシンクと接合する片面冷却方式が主流であるのに対し、半導体チップの両面から冷却させる両面冷却方式等が用いられるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】国際公開WO2007/105361号パンフレット
【特許文献2】特許第3797905号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
前述のように半導体素子の動作温度の上昇に備えて、様々な放熱構造の改善が試みられている。半導体チップをろう材等の接合材を介さずに電極回路材に直接接合する方法は熱伝達経路(L)の短縮に繋がる。また、電極回路材を厚くして上下方向だけでなく横方向にも放熱を行う方法は放熱面積(A)の増大になる。また、半導体チップの両面から冷却させる両面冷却方式も放熱面積(A)の増大になる。
【0010】
しかしながら、放熱性の更なる向上につながる各種の熱抵抗低減方式に適した半導体回路基板が無いと言った問題があった。
【0011】
本発明は、このような問題に対応するためのものであり、放熱性のよい半導体回路基板を提供するためのものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の半導体回路基板は、絶縁性基板上に導体部を設けた半導体回路基板において、導体部の半導体素子搭載部の表面粗さが、算術平均粗さRaで0.3μm以下であり、十点平均粗さRzjisで2.5μm以下であり、最大高さRzで2.0μm以下であり、かつ算術平均うねりWaが0.5μm以下であることを特徴とするものである。
【0013】
また、絶縁性基板の厚さをt1、導体部の厚さをt2としたとき、0.1≦t2/t1≦50であることが好ましい。また、導体部の側面端部の断面角度が45°以下であることが好ましい。また、導体部が金属板から成る一方、絶縁性基板がセラミックス基板から成り、金属板とセラミックス基板とを接合する接合層は金属板からのはみ出し領域(幅)が0.2mm以下であることが好ましい。また、絶縁性基板が、アルミナ基板、窒化アルミニウム基板、窒化珪素基板および絶縁樹脂基板のいずれか1種で構成されることが好ましい。また、導体部が、銅、銅合金、アルミニウムおよびアルミニウム合金のいずれか1種から成ることが好ましい。
【0014】
また、本発明に係る半導体装置は、本発明の半導体回路基板の導体部に半導体素子を搭載したことを特徴とするものである。また、半導体素子がSi素子、GaN素子およびSiC素子から選択される1種以上であることが好ましい。また、半導体素子が接合材を介して導電部に接合されていることが好ましい。また、半導体素子が接合材を介さずに導体部に直接接合されていることが好ましい。
【0015】
また、本発明の半導体回路基板の製造方法は、絶縁性基板上に導体部を形成する導体部形成工程と、導体部の半導体素子搭載部の表面粗さを算術平均粗さRaで0.3μm以下にし、十点平均粗さRzjisで2.5μm以下にし、最大高さRzで2.0μm以下にし、かつ算術平均うねりWaを0.5μm以下にする表面加工工程と、を具備することを特徴とするものである。
【0016】
また、表面加工工程が、研磨工程であることが好ましい。また、研磨工程が、エッチング工程であることが好ましい。また、研磨工程が、プレス加工であることが好ましい。
【発明の効果】
【0017】
本発明の半導体回路基板は導体部の半導体素子搭載部の平坦性を大幅に向上させているので放熱性に優れている。また、半導体素子を搭載した半導体装置において、放熱性を向上させることができる。また、半導体素子を搭載する際に、接合材を使用する場合や接合材を使用しない場合のどちらにも対応できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明に係る半導体回路基板の一実施例を示す断面図である。
【図2】本発明に係る半導体回路基板の他の実施例を示す断面図である。
【図3】本発明に係る半導体回路基板のさらに別の実施例を示す断面図である。
【図4】本発明に係る半導体回路基板のさらに別の実施例を示す断面図である。
【図5】本発明に係る半導体装置の一実施例を示す断面図である。
【図6】本発明に係る半導体装置の他の実施例を示す断面図である。
【図7】本発明に係る半導体装置のさらに別の実施例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明に係る半導体回路基板は、絶縁性基板上に導体部を設けた半導体回路基板において、導体部の半導体素子搭載部の表面粗さが、算術平均粗さでRa0.3μm以下であり、十点平均粗さRzjisで2.5μm以下であり、最大高さがRz2.0μm以下であり、かつ算術平均うねりWaが0.5μm以下であることを特徴とするものである。
【0020】
図1に本発明の半導体回路基板の一実施例を示す。図1中、符号1は半導体回路基板であり、2は絶縁性基板であり、3は導体部であり、4は導体部(裏導体部)であり、5は絶縁性基板と導体部との接合層である。
【0021】
まず、絶縁性基板は両面に設ける導体部3と導体部4との間の絶縁性が確保できるものであれば特に限定されるものではないが、絶縁性基板は、アルミナ基板、窒化アルミニウム基板、窒化珪素基板および絶縁樹脂基板のいずれか1種から構成されることが好ましい。アルミナ基板、窒化アルミニウム基板、窒化珪素基板および絶縁樹脂基板はいずれも優れた絶縁性を有することから、基板厚さが1.5mm以下と薄型化しても使用可能である。この中では窒化珪素基板が好ましい。窒化珪素基板は、例えば特許第3797905号公報(特許文献2)に示すように、3点曲げ強度が500MPa以上であり、かつ熱伝導率が50W/m・K以上であるという強度および熱伝導率に優れたものが開発されている。窒化珪素基板であれば、後述するSiC素子のように使用温度が200℃以上の高温になったとしても優れた耐久性を示す。また、200℃以上の高温下で使用するのであれば、窒化珪素基板に限らず、アルミナ基板や窒化アルミニウム基板と言ったセラミックス基板であれば耐熱性に優れているので好ましい。
【0022】
また、導体部が、銅、銅合金、アルミニウムおよびアルミニウム合金のいずれか1種からなることが好ましい。これらの金属は導電性に優れていることから好ましい。また、熱伝導率も高いことから放熱性にも優れている。また、導体部は銅、銅合金、アルミニウムおよびアルミニウム合金のいずれか1種からなる金属板であることが好ましい。また、導体部3および導体部4は接合層5を介して絶縁性基板2と接合されていることが好ましい。導体部は接合層を介さずに絶縁性基板に接合してもよい。前述のように絶縁性基板としてセラミックス基板を使用すれば、ろう材を使用した活性金属接合法や、ろう材を使用しない直接接合法などの接合方法を適用することができる。
【0023】
本発明の半導体回路基板は、導体部の半導体素子搭載部の表面粗さが算術平均粗さRaで0.3μm以下であり、十点平均粗さRzjisで2.5μm以下であり、最大高さRzで2.0μm以下であり、かつ算術平均うねりWaが0.5μm以下、であることを特徴とするものである。
【0024】
なお、上記算術平均粗さRa、十点平均粗さRzjis、最大高さRz2.0μm以下および算術平均うねりWaはJIS−B−0601(2001)の規定に基づくものである。なお、JIS−B−0601(2001)における最大高さRzは、JIS−B−0601(1994)におけるRyに対応する。また、JIS−B−0601(2001)における十点平均粗さRzjisは、JIS−B−0601(1994)におけるRzに対応する。
【0025】
導体部の半導体素子搭載部の表面粗さが算術平均粗さRaで0.3μm以下であり、十点平均粗さRzjisで2.5μm以下であり、最大高さRzで2.0μm以下であり、かつ算術平均うねりWaが0.5μm以下であるということは、導体部の半導体素子搭載部の平坦性が非常に優れていることを意味する。
【0026】
後述するように半導体素子の高性能化に伴う発熱量の増加が見込まれている。例えば、Si素子のジャンクション温度は150〜170℃の高温化が進められている。また、GaN素子またはSiC素子はジャンクション温度が300〜400℃になると見込まれている。実際の使用温度は、それぞれジャンクション温度よりも低くなるが、一般的なSi素子よりは高くなる傾向にある。半導体素子の発熱量が高くなると、導体部が熱膨張により歪んでくる。このとき導体部の半導体素子搭載部の平坦性が悪いと、導体部が歪んだときに半導体素子の位置ずれやはがれなどの不具合が生じる。本発明では、導体部の半導体素子搭載部の平坦性が非常に優れているので熱膨張に伴う導体部の歪みが発生したとしても、その歪みを均一化できるので半導体素子の位置ずれやはがれなどの不具合を抑制できる。また、導体部と半導体素子との密着性が向上し、導体部と半導体素子との結合に欠陥として現れる未反応部や隙間(未接合部)の発生を抑制できる。同様に、接合材を介して導体部と半導体素子とを接合した場合も未反応部や隙間の発生を抑制できる。
【0027】
導体部の半導体素子搭載部の表面粗さは算術平均粗さでRa0.1μm以下であり、十点平均粗さRzjisで2.0μm以下であり、最大高さRzで1.2μm以下であり、かつ算術平均うねりWaが0.1μm以下であることが好ましい。
【0028】
また、絶縁性基板の厚さをt1、導体部の厚さをt2としたとき、0.1≦t2/t1≦50であることが好ましい。後述するように、半導体素子はSi素子、GaN素子、SiC素子など様々なものがある。いずれの場合も高出力化に伴い発熱量が増加する傾向にある。半導体素子が発生する熱を効率的に放熱させるためには、熱伝導率が高い導体部が一定の厚さを具備していることが好ましい。t1≦1.5mm、さらには0.1mm≦t1≦0.8mmであることが好ましい。絶縁性基板の厚さt1が0.1mm未満では、導体部3と導体部4との間の絶縁性を確保できない恐れがある。一方、絶縁性基板の厚さt1が1.5mmを超えると絶縁性基板自体が熱抵抗体となり、半導体回路基板としての放熱性が低下する。さらに導体部の厚さt2は、1≦t2/t1≦10、であることが好ましい。また、裏面側の導体部(導体部4)に関しても、絶縁性基板と同様の厚さ関係であることが好ましい。
【0029】
また、導体部の側面端部の断面角度が45°以下であることが好ましい。図2に導体部の側面端部に角度を付けた半導体回路基板の一例を示す。図2中、符号1は半導体回路基板であり、2は絶縁性基板であり、3は導体部であり、4は導体部(裏導体部)であり、5は絶縁性基板と導体部との接合層であり、6は接合層のはみ出し領域(幅)であり、θは導体部の側面端部の角度である。
【0030】
前述のように半導体素子の発熱量が高くなると、導体部が熱膨張により歪んでくる。このとき、導体部の側面端部の断面角度θを45°以下と小さくすると、導体部の側面端部の熱膨張による歪みを小さくすることができる。導体部の側面端部の歪みを小さくすることができると、絶縁性基板と導体部との剥がれを抑制することができる。
【0031】
また、導体部が金属板から成る一方、絶縁性基板がセラミックス基板から成り、金属板とセラミックス基板とを接合する接合層は金属板からのはみ出し領域(幅)が0.2mm以下であることが好ましい。接合層のはみ出し領域6は、セラミックス基板と金属板との接合面において金属板の側面端部からはみ出た接合層である。接合層のはみ出し領域6を設けることにより、セラミックス基板と金属板の接合端面との剥がれを抑制することができる。はみ出し領域6の幅が0.2mmを超えて大きいと、それ以上のはがれ抑制効果が得られないだけでなくコストアップの要因となる。また、前述の導体部の側面端部の断面角度45°以下にすることと組み合わせると、さらに効果的である。特に、導体部の厚さt2が2mm以上の厚い導体部を設ける場合に有効である。
【0032】
また、図3および図4に本発明の半導体回路基板の他の実施例を示す。図中の符号は図1と同一である。図3は導体部3を凸状に形成したものであり、図4は導体部3を凹状に形成したものである。図3において、導体部の半導体素子搭載部は、凸面の一番高い箇所であってもよいし、段差部であってもよい。また、図4において、導体部の半導体素子搭載部は、凹部の一番低い箇所であってもよいし、高い箇所であってもよい。いずれの場合であっても、半導体素子導体部の表面粗さを算術平均粗さRaで0.3μm以下、十点平均粗さRzjisで2.5μm以下、最大高さRzで2.0μm以下、かつ算術平均うねりWaで0.5μm以下の平坦面とする。
【0033】
図3のような凸状導電部であると、導電部の凸面の一番高い所に半導体素子を搭載することにより、導電部の端部の熱膨張を緩和できるので絶縁性基板と導電部のはがれを抑制できる。また、図4のような凹状導電部であると、導電部の凹部の一番低い箇所に半導体素子を搭載することにより、半導体素子の熱を、導体部を経由して効率的に放熱できる。
【0034】
なお、図3のような凸状導体部の場合、導体部の厚さt2は導体部の最も厚い箇所をt2とする。また、図4のような凹状導体部の場合も、導体部の厚さt2は導体部の最も厚い箇所をt2とする。
【0035】
以上のような半導体回路基板は、導体部の半導体素子搭載部が優れた平坦性を有しているので、半導体素子の発熱量が上がったとしても導体部の歪みを抑制できるので半導体素子の剥がれなどの不具合を抑制できる。従って、本発明の半導体回路基板を使った半導体装置は信頼性を向上させることができる。
【0036】
また、半導体装置に用いる半導体素子としては、Si素子、GaN素子、SiC素子、熱電素子など様々な半導体素子に適用できる。これらの中では、特に、Si素子、GaN素子、SiC素子のいずれか1種以上であることが好ましい。Si素子のジャンクション温度は150〜170℃の高温化が進められている。また、GaN素子またはSiC素子はジャンクション温度が300〜400℃になると見込まれている。いずれの場合も使用温度が130℃以上、さらには200℃以上と高くなる方向にある半導体素子である。
【0037】
本発明の半導体回路基板は、半導体素子導体部の平坦性を向上させているので使用温度が高くなっても、半導体素子の位置ずれを防ぐことができる。そのため、接合材を介して半導体素子を導電部に接合する方法、接合材を介さずに半導体素子を導体部に直接接合させる方法の両方とも適用することができる。図5に接合層8を介して半導体素子7を搭載した半導体装置の一実施例を示す。また、図6に接合層を介さずに半導体素子7を搭載した半導体装置の一例を示す。図5および図6中、符号1は半導体回路基板(半導体装置)であり、2は絶縁性基板であり、3は導体部であり、4は導体部(裏導体部)であり、5は絶縁性基板と導体部との接合層であり、7は半導体素子であり、8は半導体素子を接合するための接合層である。
【0038】
半導体素子が接合材を介して導電部に接合されている構造をとる際の接合材は、半田、活性金属ろう材または熱伝導性樹脂が挙げられる。
【0039】
半田は鉛フリー半田が好ましく、融点が半導体素子の使用温度よりも100℃以上高いものが好ましい。
【0040】
また、活性金属ろう材は、Ti、Zr、Hfから選ばれる少なくとも1種の活性金属を含有するAg−Cu合金ろう材である。活性金属ろう材は、活性金属を1〜6質量%、Cuを10〜35質量%、残部Agであることが好ましく、必要に応じ、InまたはSnを10〜20質量%を添加してもよい。活性金属ろう材は融点が700℃以上と高いことから、半導体素子の使用温度が200℃以上の高温になったとしても強固な接合を維持できる。
【0041】
一方、半導体素子が接合材を介さずに導体部に直接接合されている構造とするには、圧着法、摩擦攪拌接合法(FSW:Friction Stir Welding)または常温接合法が挙げられる。
【0042】
ここで上記圧着法は、半導体素子を導体部の半導体素子搭載部に接触させ、一定の圧力で押し込んで接合する方法である。また、必要に応じ、熱を加えながら一定の圧力で押し込んで接合したり、接合面を真空中でArビーム等を接合面に照射して表面を活性化したりして接合してもよい。
【0043】
また、摩擦攪拌接合法(FSW)は、半導体素子または半導体回路基板のどちらか一方を回転させながら相手部材に圧力で押し当て、その摩擦熱と攪拌力で接合する方法である。摩擦熱と攪拌力を利用しているため、母材を溶融せずに塑性流動を利用した固相接合を行うことができる。
【0044】
上記圧着法、摩擦攪拌接合法または常温接合法のように接合材を用いずに半導体素子と導体部を直接接合しているので、接合材の剥がれによる接合不良を発生させることがない。また、半導体素子が直接的に導体部と接合されているので、半導体素子の発熱量が増加したとしても放熱性が良好である。
【0045】
また、図7にヒートシンクを接合した半導体装置(半導体回路基板)を示す。図7中、符号1は半導体回路基板であり、2は絶縁性基板であり、3は導体部であり、4は導体部(裏導体部)であり、5は絶縁性基板と導体部との接合層であり、7は半導体素子であり、8は半導体素子を接合するための接合層であり、9はヒートシンクである。裏導体部4にヒートシンク9を接合することにより、さらに放熱性を向上させることができる。
【0046】
本発明の半導体装置は、半導体素子の発熱量が増大したとしても、優れた放熱性を維持した上で、半導体素子と導体部との接合の信頼性を維持できる。また、導電部の側面端部形状や導電部と絶縁性基板の接合層のはみ出し量を調整することにより、導電部および絶縁性基板のTCT特性が向上し、剥がれの不具合が発生することを抑制できる。そのため、半導体装置としてのTCT特性を大幅に向上し、信頼性を向上させることができる。そのため、自動車や電気自動車、電鉄車両、産業機械およびエアコン等のインバターに用いられるPCU(出力調整装置)、IGBT(絶縁ゲートバイポーラトランジスタ)、IPM(インテリジェントパワーモジュール)など様々な分野に適用できる。
【0047】
次に製造方法について説明する。本発明の半導体回路基板の製造方法は特に限定されるものではないが、効率的に回路基板を得るための方法として以下の方法がある。
【0048】
まず、絶縁性基板を用意する。絶縁性基板としては、セラミックス基板や絶縁性樹脂基板が挙げられる。セラミックス基板としては、アルミナ基板、窒化アルミニウム基板、窒化珪素基板が好ましい。また、アルミナ基板は、熱伝導率は10〜30W/m・Kであるが、3点曲げ強度が400MPa以上と高い。また、アルミナ基板は窒化アルミニウム基板や窒化珪素基板と比較して安価であるため、コスト低減のためには効果的である。また、窒化アルミニウム基板は熱伝導率170W/m・K以上の熱伝導率の高いものが好ましい。窒化アルミニウム基板は、3点曲げ強度250MPa以上とアルミナ基板と比較して低いが、焼結助剤成分などを改善することにより350〜550MPaと高強度化することができる。また、窒化珪素基板は、熱伝導率50W/m・K以上かつ3点曲げ強度500MPa以上の高熱伝導・高強度のものが好ましい。
【0049】
絶縁性樹脂基板は、絶縁性を確保できれば特に限定されるものではない。また、絶縁性樹脂基板はセラミックス基板と比較して安価である。絶縁性基板の選択は、搭載する半導体素子の発熱量や用途毎の使用環境に応じて選択するものとする。例えば、SiC素子のように素子の発熱が高温になる場合はセラミックス基板が好ましい。特に、窒化珪素基板は高熱伝導化かつ高強度化することにより、基板厚さを0.4mm以下と薄くできる。基板厚さを薄くすることにより、窒化珪素基板が熱抵抗体となることを防止することができるので、さらに放熱性を向上させることができる。また、絶縁性基板は厚さ1.5mm以下、さらには0.1〜1.0mmのものが好ましい。
【0050】
次に、絶縁性基板に導電部を設ける工程を行う。導体部は、金属板、金属粉末ペーストを焼成したもの、スパッタ膜などの金属蒸着膜、金属メッキ膜などが挙げられる。この中では、金属板が好ましい。金属板であれば、金属板の厚さt2と絶縁性基板の厚さt1の厚さ比を調整し易い。
【0051】
また、金属板と絶縁性基板との接合は、絶縁性基板がセラミックス基板の場合、直接接合法(DBC法)や活性金属ろう材法が好適である。また、絶縁性基板が絶縁性樹脂基板である場合、接着剤などで接合する方法が挙げられる。
【0052】
また、半導体素子を搭載する導体部の形状を図3に示すような凸状導体部を形成する場合または図4に示すような凹状導体部を形成する場合、予め凸状金属板や凹状金属板を用いてもよいし、後述するようにエッチング加工やプレス加工により形状を整えてもよい。
【0053】
また、必要に応じ、エッチング加工やプレス加工により、導電部に回路形状を付与するものとする。また、エッチング加工により、導体部の側面端部形状および接合層のはみ出し領域(幅)を調整するものとする。
【0054】
また、導体部を接合した絶縁性基板を調製した後、半導体素子搭載部の平坦性を向上させる研磨加工を行う。平坦性を向上させる研磨加工は、エッチング加工またはプレス加工である。算術平均粗さRaで0.3μm以下であり、十点平均粗さRzjisで2.5μm以下であり、最大高さRzで2.0μm以下であり、かつ算術平均うねりWaで0.5μm以下である平坦面を得るための研磨加工は、前述の回路形状を付与するためのエッチング加工やプレス加工とは異なる条件となる。
【0055】
すなわち、回路形状を整える加工の場合、導体部の不要な箇所を完全に除去する必要がある。それに対し、平坦性を向上させる研磨加工は、導体部を完全に除去するのではなく、半導体素子搭載部のみを目的とする平坦面になるように加工するもので、導体部の厚さを1〜50μm除去することにより平坦面を形成する。
【0056】
特に、前述の接合材を介さない方法で半導体素子を搭載する場合には、導体部の半導体素子搭載部は算術平均粗さRaで0.1μm以下であり、十点平均粗さRzjisで2.0μm以下であり、最大高さRzで1.2μm以下であり、かつ算術平均うねりWaで0.1μm以下であることが好ましいため、導体部は10μm以上除去することが望ましい。
【0057】
エッチング加工の場合、エッチング液や浸漬あるいは流動時間等の処理条件を導体部の材質と必要とする平坦性に応じて選定する。また、プレス加工の場合は、プレス金型の表面を目的とする平坦面として導体部に真空中にて700〜860℃で加熱しながら加圧するプレス加工を行うものである。また、導体部の半導体素子搭載部のみを平坦面とすることにより、半導体素子を搭載する箇所を識別し易くなるマーキング効果も得ることができる。なお、平坦面とするのは、導体部の半導体素子搭載部のみでよいが、導体部の全面を平坦面としてもよいことは言うまでもない。
【0058】
次に、半導体装置の製造方法として、得られた半導体回路基板に半導体素子を搭載する工程を行う。半導体素子と導電部の半導体素子搭載部との接合は、前述のように接合材を介する方法または接合材を介さない方法のいずれでもよい。
【0059】
半導体素子が接合材を介して導電部に接合されている構造をとる際の接合材は、半田、活性金属ろう材または熱伝導性樹脂が挙げられる。この接合材の厚さは30μm以下、さらには10μm以下と薄い方がよい。接合材を薄くすることにより、半導体素子搭載部を平坦面にした効果がより得られるようになる。
【0060】
また、半導体素子を接合するための活性金属ろう材は、金属成分の合計を100wt(質量)%としたとき、Tiを1〜6wt%、Cuを10〜35wt%、SnまたはInの1種または2種を10〜20wt%、Agを残部とすることが好ましい。Ag−Cu−Tiから成る活性金属ろう材にSnまたはInの1種または2種を添加させることにより活性金属ろう材の共晶温度を下げることができる。活性金属ろう材の共晶温度を下げることにより、接合温度を650〜800℃にすることができる。セラミックス基板と銅板とを接合する場合には、Ag−Cu−Tiから成る活性金属ろう材の接合温度が820〜900℃となる。
【0061】
これに対して、半導体素子を接合するための活性金属ろう材の接合温度を800℃以下とすることにより、セラミックス基板と銅板との接合温度をより低くすることができる。これにより、半導体素子の接合工程の加熱処理によりセラミックス基板と銅板との接合層に悪影響が発現しないようにすることができる。
【0062】
なお、セラミックス基板と銅板との接合と、銅板と半導体素子との接合とを同時に実施する場合には、同じ組成の活性金属ろう材を使用することが好ましい。
【0063】
また、接合材を介さない場合は、圧着法、摩擦攪拌接合法(FSW)、常温接合法などが挙げられる。
【0064】
圧着法は、半導体素子を導体部の半導体素子搭載部に接触させ、一定の圧力で押し込んで接合する方法である。また、必要に応じ、熱を加えながら一定の圧力で押し込んで接合したり、接合面を真空中にてArビーム等を照射させることで表面を活性化して接合したりしてもよい。また、摩擦攪拌接合法(FSW)は、半導体素子または半導体回路基板のどちらか一方を回転させながら相手部材に圧力で押し当て、その摩擦熱と攪拌力で接合する方法である。摩擦熱と攪拌力を利用しているため、母材を溶融せずに塑性流動を利用した固相接合を行うことができる。
【0065】
また、半導体素子は、Si素子、GaN素子、SiC素子など様々なものが適用できる。特に、使用温度が130℃以上、さらには200℃以上の高温になる半導体素子であったとしても、導電部の半導体素子搭載部を平坦面にしているので、導電部と半導体素子との接合の信頼性を向上させることができる。また、半導体素子と導電部との間の未反応部や隙間を抑制できるので、接合面に熱抵抗体となる部分が形成されないので効率的に放熱できる。このため、使用温度が高くなる半導体素子を搭載する場合は、圧着法、摩擦攪拌接合法、常温接合法のような接合材を介さない方法が好ましい。
【0066】
また、接合材を介さずに導電部の半導体素子搭載部へ半導体素子の接合を実施する場合は、2kN以上の荷重を負荷させて半導体素子を接合することが好ましい。銅板としては無酸素銅板が好適に使用される。無酸素銅板のビッカース硬度(HV)は、JIS−H−3100にて55以上、さらには55〜120程度と規定されている。また、荷重負荷を2kN以上とすることにより、無酸素銅板からなる導電部の半導体素子搭載部に半導体素子が傾くこと無く、正確に圧入させることができる。なお、負荷の上限は20kN以下であることが好ましい。負荷の上限が20kNを超えると銅板が変形してしまうおそれがある。そのため、負荷は2〜20kN、さらには3〜10kNであることが好ましい。
【0067】
また、摩擦攪拌接合法については、半導体素子に回転速度500〜4000rpmに相当する動きを与えることで、負荷を2kN未満にすることもできる。
【0068】
圧着法または摩擦攪拌接合法を上記条件で実施すれば、半導体素子と導電部の半導体素子搭載部との接合部に隙間が生じないように両者を接合することができる。隙間の発生の有無は超音波探傷法にて分析することができる。なお、超音波探傷法は、パルス反射法を用いた垂直探傷法により実施するものとする。
【0069】
また、図5〜7では、半導体素子を一個のみ搭載した構造を実施例として示したが、本発明はこれらに限らず、半導体素子を複数個搭載してもよい。半導体素子は、歩留りやコストを考慮して、小面積化していく傾向にある。小型の半導体素子を搭載する場合、導体部とのわずかな接合不良であっても熱抵抗体となり、放熱性に影響する。また、小面積の半導体素子の場合、半導体装置として容量を増加させるには、複数の半導体素子を並列接続する必要がある。このような場合も、個々の半導体素子を搭載する導電部の半導体素子搭載部を平坦面とすることにより、同様の効果が得られる。従って、複数個の半導体素子を搭載する半導体装置にも好適である。
【0070】
(実施例)
(実施例1〜10および比較例1〜3)
絶縁性(セラミックス)基板(縦30mm×横35mm)として、アルミナ基板(厚さ0.635mm、熱伝導率15W/m・K、3点曲げ強度450MPa)、窒化アルミニウム基板(厚さ0.635mm、熱伝導率180W/m・K、3点曲げ強度400MPa)、窒化珪素基板(厚さ0.320mm、熱伝導率90W/m・K、3点曲げ強度650MPa)を用意した。
【0071】
次に、活性金属ろう材法により、絶縁性基板の両面に銅板(縦25mm×横30mm)を接合した。なお、活性金属ろう材はTi3wt%、Cu30wt%、残部Agのものを用い、厚さ15μmで塗布して、真空中(10−3Pa以下)で、温度820〜860℃で加熱接合した。また、銅板は無酸素銅板(ビッカース硬度Hv80)のものを用いた。
【0072】
次に、回路形状を設けるために、表面の銅板にエッチングレジストを印刷し、エッチング処理を行って回路パターンを形成した後、エッチングレジストを剥離した。また、必要に応じ、回路パターンの端部をエッチング加工して、銅板の側面端部の断面角度θおよび接合層のはみ出し領域を調整した。
【0073】
得られた半導体回路基板のサイズは、表1に示した試料1〜8である。
【表1】
【0074】
次に、試料1〜8の半導体回路基板に対し、半導体素子搭載部を表2に示す平坦面に加工した。なお、研磨加工方法はエッチング加工にて行って実施例とした。また、研磨加工を行わないものを比較例とした。
【表2】
【0075】
実施例1〜10および比較例1〜3に係る半導体回路基板に対し、導体部の半導体素子搭載部に半導体素子を搭載して半導体装置を作製した。導体部と半導体素子との接合条件は表3に示す通りである。なお、接合材を介する方法として活性金属ろう材を用い、ろう材を介さない方法として、圧着法、摩擦攪拌接合法(FSW)を用いた。
【0076】
なお、活性金属ろう材を用いた接合法は、Ti3wt%、Cu20wt%、Sn8wt%、In8wt%、Ag残部からなる活性金属ろう材を用いて、厚さ10μm塗布して、真空中(10−3Pa以下)で温度700〜750℃で加熱接合した。また、圧着法は荷重負荷3〜10kNにて行った。また、摩擦攪拌接合法(FSW)は半導体素子を回転速度1000〜3000rpmで回転させながら、荷重負荷1kNにて接合した。
【0077】
こうして調製した各半導体装置に対して、TCT試験(熱サイクル試験)を実施した。TCT試験は、試験1として、−50℃×30分→室温×10分→155℃×30分→室温×10分を1サイクルとして2000サイクル実施した。また、試験2として、セラミック基板として窒化珪素基板を用いた試料について、−50℃×30分→室温×10分→210℃×30分→室温×10分を1サイクルとして2000サイクル実施した。
【0078】
そして試験後の、セラミックス基板と銅板との接合不良の有無、銅板と半導体素子との接合不良の有無を目視及び超音波探傷法により確認した。なお、超音波探傷法はパルス反射法による垂直探傷法により銅板と半導体素子との接合部(半導体素子と銅板の半導体素子搭載部との接合部)に隙間が確認されたものを不良、隙間が確認されなかったものを良品(不良のなかったもの)とした。この結果、不良のなかったものを「○」、不良のあったものを「×」で示した。
【表3】
【0079】
上記表3に示す結果から明らかなように各実施例に係る半導体装置は、150℃、さらには200℃以上の高温度使用環境においても、優れたTCT特性を示すことが判明した。特に窒化珪素基板を用いたものは優れた特性を示した。また、実施例に係る半導体装置は、試験2の完了後であったとしても、半導体素子と銅板との接合部に隙間は観察されなかった。なお、実施例1〜4は試験2にて銅板の剥がれが確認されたが、その剥がれ量は比較例1〜2と比較して小さかった。
【0080】
以上説明の通り、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施し得るものであり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0081】
1…半導体回路基板(半導体装置)
2…絶縁性基板
3…導体部(銅回路板)
4…導体部(裏導体部、裏回路板)
5…絶縁性基板と導体部との接合層
6…接合層のはみ出し領域(幅)
7…半導体素子
8…半導体素子を接合するための接合層
9…ヒートシンク
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【国際調査報告】