(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO2014054812
(43)【国際公開日】20140410
【発行日】20160825
(54)【発明の名称】キャリア付金属箔
(51)【国際特許分類】
   B32B 15/08 20060101AFI20160729BHJP
   H05K 3/00 20060101ALI20160729BHJP
   H05K 3/46 20060101ALI20160729BHJP
【FI】
   !B32B15/08 N
   !B32B15/08 J
   !H05K3/00 X
   !H05K3/46 B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】42
【出願番号】2014539857
(21)【国際出願番号】JP2013077183
(22)【国際出願日】20131004
(31)【優先権主張番号】2012222582
(32)【優先日】20121004
(33)【優先権主張国】JP
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】502362758
【氏名又は名称】JX金属株式会社
【住所又は居所】東京都千代田区大手町一丁目1番2号
(74)【代理人】
【識別番号】110000523
【氏名又は名称】アクシス国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】森山 晃正
【住所又は居所】茨城県日立市白銀町3丁目3番1号 JX日鉱日石金属株式会社日立事業所内
(72)【発明者】
【氏名】古曳 倫也
【住所又は居所】茨城県日立市白銀町3丁目3番1号 JX日鉱日石金属株式会社日立事業所内
(72)【発明者】
【氏名】石井 雅史
【住所又は居所】茨城県日立市白銀町3丁目3番1号 JX日鉱日石金属株式会社日立事業所内
【テーマコード(参考)】
4F100
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【Fターム(参考)】
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(57)【要約】
樹脂製の板状キャリアと金属箔の接着強度が調節され、かつ、搬送時や加工時(ハンドリング中)のキャリアと金属箔との剥がれ防止にも対応したキャリア付金属箔を提供する。樹脂製の板状キャリア(240)と、該キャリア(240)の少なくとも一方の面に積層された金属箔(200)とからなるキャリア付金属箔(230)であって、キャリア(240)と金属箔(200)の間の界面は、外周領域のうち少なくとも角部において接着層(220)を介して201〜1000gf/cmの接着強度でキャリアと金属箔が接着されており、残部領域(210)において剥離剤を用いて10〜200gf/cmの接着強度でキャリア(240)と金属箔(200)が仮接着されているキャリア付金属箔(230)。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂製の板状キャリアと、該キャリアの少なくとも一方の面に積層された金属箔とからなるキャリア付金属箔であって、キャリアと金属箔の間の界面は、外周領域のうち少なくとも角部において接着層を介して201〜1000gf/cmの接着強度でキャリアと金属箔が接着されており、残部領域において剥離剤を用いて10〜200gf/cmの接着強度でキャリアと金属箔が仮接着されているキャリア付金属箔。
【請求項2】
前記離型剤は、次式:
【化1】
(式中、R1はアルコキシ基またはハロゲン原子であり、R2はアルキル基、シクロアルキル基及びアリール基よりなる群から選択される炭化水素基であるか、一つ以上の水素原子がハロゲン原子で置換されたこれら何れかの炭化水素基であり、R3及びR4はそれぞれ独立にハロゲン原子、またはアルコキシ基、またはアルキル基、シクロアルキル基及びアリール基よりなる群から選択される炭化水素基であるか、または一つ以上の水素原子がハロゲン原子で置換されたこれら何れかの炭化水素基である。)
に示すシラン化合物、その加水分解生成物、該加水分解生成物の縮合体を単独で又は複数組み合わせて含有する請求項1に記載のキャリア付金属箔。
【請求項3】
前記離型剤は、分子内に2つ以下のメルカプト基を有する化合物を含有する請求項1に記載のキャリア付金属箔。
【請求項4】
前記離型剤は、次式:
【化2】
(式中、R1はアルコキシ基またはハロゲン原子であり、R2はアルキル基、シクロアルキル基及びアリール基よりなる群から選択される炭化水素基であるか、一つ以上の水素原子がハロゲン原子で置換されたこれら何れかの炭化水素基であり、MはAl、Ti、Zrのうち何れか一つ、nは0または1または2、mは1以上Mの価数以下の整数であり、R1の少なくとも一つはアルコキシ基である。なお、m+nはMの価数すなわちAlの場合3、Ti、Zrの場合4である)
に示すアルミネート化合物、チタネート化合物、ジルコネート化合物、これらの加水分解生成物、該加水分解生成物の縮合体を単独で又は複数組み合わせて含有する請求項1に記載のキャリア付金属箔。
【請求項5】
前記離型剤は、シリコーンと、エポキシ系樹脂、メラミン系樹脂およびフッ素樹脂から選択される一種以上の樹脂とを含有する請求項1に記載のキャリア付金属箔。
【請求項6】
前記接着層は、クロメート層、シランカップリング剤層から選択される少なくとも一層である請求項1〜5の何れか一項に記載のキャリア付金属箔。
【請求項7】
前記シランカップリング剤層の形成に使用されるシランカップリング剤は、エポキシ基、アミノ基、メタクリル基、ビニル基のうちいずれか1つ以上を分子中に有する請求項6に記載のキャリア付金属箔。
【請求項8】
キャリアと金属箔の間の界面は、外周全体が接着層を介してキャリアと金属箔が接着されている請求項1〜7の何れか一項に記載のキャリア付金属箔。
【請求項9】
接着層を介してキャリアと金属箔が接着されている部分が平面視帯状であり、当該部分の幅が0.1mm以上である請求項1〜7の何れか一項に記載のキャリア付金属箔。
【請求項10】
接着層を介してキャリアと金属箔が接着されている部分において、直径0.01mm〜10mmの孔が1〜10箇所設けられた請求項1〜9の何れか一項に記載のキャリア付金属箔。
【請求項11】
樹脂製の板状キャリアがプリプレグである請求項1〜10の何れか一項に記載のキャリア付金属箔。
【請求項12】
前記プリプレグは、120〜320℃のガラス転移温度Tgを有する請求項11に記載のキャリア付金属箔。
【請求項13】
キャリアと金属箔が仮接着されている残部領域において、前記金属箔の前記キャリアと接する側の表面の十点平均粗さ(Rz jis)が、3.5μm以下である請求項1〜12の何れか一項に記載のキャリア付金属箔。
【請求項14】
前記金属箔の前記キャリアと接しない側の表面の十点平均粗さ(Rz jis)が、0.4μm以上10.0μm以下である請求項1〜13の何れか一項に記載のキャリア付金属箔。
【請求項15】
前記金属箔の厚みが1μm以上400μm以下である請求項1〜14の何れか一項に記載のキャリア付金属箔。
【請求項16】
前記板状キャリアの厚みが5μm以上1000μm以下である請求項1〜15の何れか一項に記載のキャリア付金属箔。
【請求項17】
剥離剤を用いてキャリアと金属箔が仮接着されている残部領域において、220℃で3時間、6時間または9時間のうちの少なくとも一つの加熱後における、金属箔と板状キャリアとの接着強度が、10gf/cm以上200gf/cm以下である請求項1〜16の何れか一項に記載のキャリア付金属箔。
【請求項18】
前記金属箔が銅箔である請求項1〜17の何れか一項に記載のキャリア付金属箔。
【請求項19】
四隅が面取り処理されている請求項1〜18の何れか一項に記載のキャリア付金属箔。
【請求項20】
請求項1〜19の何れか一項に記載のキャリア付金属箔の少なくとも一つの金属箔側に対して、樹脂を積層し、次いで樹脂又は金属箔を1回以上繰り返すことを含む多層金属張積層板の製造方法。
【請求項21】
請求項1〜19の何れか一項に記載のキャリア付金属箔の金属箔側に、樹脂を積層し、次いで樹脂、片面若しくは両面金属張積層板、又は金属箔を1回以上回繰り返すことを含む多層金属張積層板の製造方法。
【請求項22】
接着層を介してキャリアと金属箔が接着されている箇所よりも内側部分でキャリア付金属箔を厚み方向に切断する工程を含む請求項20又は21に記載の多層金属張積層板の製造方法。
【請求項23】
前記切断後の内側部分におけるキャリア付金属箔の板状キャリアと金属箔とを剥離して分離する工程と、剥離することにより露出した金属箔の一部または全部をエッチングにより除去する工程を更に含む請求項22に記載の多層金属張積層板の製造方法。
【請求項24】
請求項20〜23の何れか一項に記載の製造方法により得られる多層金属張積層板。
【請求項25】
請求項1〜19の何れか一項に記載のキャリア付金属箔の金属箔側に、ビルドアップ配線層を一層以上積層する工程を含むビルドアップ基板の製造方法。
【請求項26】
ビルドアップ配線層はフルアディティブ法又はセミアディティブ法の少なくとも一方を用いて形成される請求項25に記載のビルドアップ基板の製造方法。
【請求項27】
請求項1〜19の何れか一項に記載のキャリア付金属箔の金属箔側に、樹脂を積層し、次いで樹脂、片面若しくは両面配線基板、片面若しくは両面金属張積層板、又は金属箔を1回以上繰り返して積層する工程を含むビルドアップ基板の製造方法。
【請求項28】
請求項27に記載のビルドアップ基板の製造方法において、片面若しくは両面配線基板、片面若しくは両面金属張積層板、キャリア付金属箔の金属箔、キャリア付金属箔の板状キャリア、又は樹脂に穴を開け、当該穴の側面および底面に導通めっきをする工程を更に含むビルドアップ基板の製造方法。
【請求項29】
請求項27又は28に記載のビルドアップ基板の製造方法において、前記片面若しくは両面配線基板を構成する金属箔、片面若しくは両面金属張積層板を構成する金属箔、及びキャリア付金属箔を構成する金属箔の少なくとも一つに配線を形成する工程を1回以上行うことを更に含むビルドアップ基板の製造方法。
【請求項30】
配線形成された表面上に、片面に金属箔を密着させた請求項1〜19の何れか一項に記載の別のキャリア付金属箔のキャリア側を積層する工程を更に含む請求項27〜29の何れか一項に記載のビルドアップ基板の製造方法。
【請求項31】
前記樹脂の少なくとも一つがプリプレグである請求項27〜30の何れか一項に記載のビルドアップ基板の製造方法。
【請求項32】
接着層を介してキャリアと金属箔が接着されている箇所よりも内側部分でキャリア付金属箔を厚み方向に切断する工程を更に含む請求項25〜31の何れか一項に記載のビルドアップ基板の製造方法。
【請求項33】
請求項32に記載のビルドアップ基板の製造方法によって得られたビルドアップ基板について、ビルドアップ基板の製造に使用したキャリア付金属箔からキャリアを剥離する工程を含むビルドアップ配線板の製造方法。
【請求項34】
キャリアを剥離することにより露出した金属箔の一部または全部をエッチングにより除去する工程を更に含む請求項33に記載のビルドアップ配線板の製造方法。
【請求項35】
請求項33又は34に記載の方法により得られるビルドアップ配線板。
【請求項36】
請求項34又は35に記載の方法によりビルドアップ配線板を製造する工程を含むプリント回路板の製造方法。
【請求項37】
一方の表面に離型剤処理領域と離型剤未処理領域を有する金属箔であって、離型剤未処理領域が金属箔の外周領域のうち少なくとも角部に存在する金属箔。
【請求項38】
離型剤未処理領域には接着層が最表面に露出している請求項37に記載の金属箔。
【請求項39】
離型剤処理領域の下に接着層が形成されている請求項37又は38に記載の金属箔。
【請求項40】
外周全体が離型剤未処理領域である請求項37〜39の何れか一項に記載の金属箔。
【請求項41】
離型剤未処理領域が平面視帯状であり、当該領域の幅が0.1mm以上である請求項37〜40の何れか一項に記載の金属箔。
【請求項42】
金属が銅である請求項37〜41の何れか一項に記載の金属箔。
【請求項43】
前記離型剤は、次式:
【化3】
(式中、R1はアルコキシ基またはハロゲン原子であり、R2はアルキル基、シクロアルキル基及びアリール基よりなる群から選択される炭化水素基であるか、一つ以上の水素原子がハロゲン原子で置換されたこれら何れかの炭化水素基であり、R3及びR4はそれぞれ独立にハロゲン原子、またはアルコキシ基、またはアルキル基、シクロアルキル基及びアリール基よりなる群から選択される炭化水素基であるか、または一つ以上の水素原子がハロゲン原子で置換されたこれら何れかの炭化水素基である。)
に示すシラン化合物、その加水分解生成物、該加水分解生成物の縮合体を単独で又は複数組み合わせて含有する請求項37〜42の何れか一項に記載の金属箔。
【請求項44】
前記離型剤は、分子内に2つ以下のメルカプト基を有する化合物を含有する請求項37〜42の何れか一項に記載の金属箔。
【請求項45】
前記離型剤は、次式:
【化4】
(式中、R1はアルコキシ基またはハロゲン原子であり、R2はアルキル基、シクロアルキル基及びアリール基よりなる群から選択される炭化水素基であるか、一つ以上の水素原子がハロゲン原子で置換されたこれら何れかの炭化水素基であり、MはAl、Ti、Zrのうち何れか一つ、nは0または1または2、mは1以上Mの価数以下の整数であり、R1の少なくとも一つはアルコキシ基である。なお、m+nはMの価数すなわちAlの場合3、Ti、Zrの場合4である)
に示すアルミネート化合物、チタネート化合物、ジルコネート化合物、これらの加水分解生成物、該加水分解生成物の縮合体を単独で又は複数組み合わせて含有する請求項37〜42の何れか一項に記載の金属箔。
【請求項46】
前記離型剤は、シリコーンと、エポキシ系樹脂、メラミン系樹脂およびフッ素樹脂から選択される一種以上の樹脂とを含有する請求項37〜42の何れか一項に記載の金属箔。
【請求項47】
前記接着層は、クロメート層、シランカップリング剤層から選択される少なくとも一層である請求項38〜42の何れか一項に記載の金属箔。
【請求項48】
前記シランカップリング剤層の形成に使用されるシランカップリング剤は、エポキシ基、アミノ基、メタクリル基、ビニル基のうちいずれか1つ以上を分子中に有する請求項47に記載の金属箔。
【請求項49】
離型剤で処理される前の表面の十点平均粗さ(Rz jis)が、3.5μm以下である請求項37〜48の何れか一項に記載の金属箔。
【請求項50】
離型剤で処理されない側の表面の十点平均粗さ(Rz jis)が、0.4μm以上10.0μm以下である請求項37〜49の何れか一項に記載の金属箔。
【請求項51】
前記金属箔の厚みが1μm以上400μm以下である請求項37〜50の何れか一項に記載の金属箔。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キャリア付金属箔に関する。より詳細には、プリント配線板に使用される片面若しくは両面に2層以上積層した多層積層板又は極薄のコアレス基板の製造において用いられるキャリア付金属箔に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、プリント配線板は、合成樹脂板、ガラス板、ガラス不織布、紙などの基材に合成樹脂を含浸させて得た「プリプレグ(Prepreg)」と称する誘電材を、基本的な構成材料としている。また、プリプレグと相対する側には電気伝導性を持った銅又は銅合金箔等のシートが接合されている。このように組み立てられた積層物を、一般にCCL(Copper Clad Laminate)材と呼んでいる。銅箔のプリプレグと接する面は、接合強度を高めるためにマット面とすることが通常である。銅又は銅合金箔の代わりに、アルミニウム、ニッケル、亜鉛などの箔を使用する場合もある。これらの厚さは5〜200μm程度である。この一般的に用いられるCCL(Copper Clad Laminate)材を図1に示す。
【0003】
特許文献1には、合成樹脂製の板状キャリアと、該キャリアの少なくとも一方の面に、機械的に剥離可能に密着させた金属箔からなるキャリア付金属箔が提案され、このキャリア付金属箔はプリント配線板の組み立てに供することができる旨記載されている。そして、板状キャリアと金属箔の接着強度は、1gf/cm〜1kgf/cmであることが望ましいことを示した。当該キャリア付金属箔によれば、合成樹脂で銅箔を全面に亘って支持するので、積層中に銅箔に皺の発生を防止できる。また、このキャリア付金属箔は、金属箔と合成樹脂が隙間なく密着しているので、金属箔表面を鍍金又はエッチングする際に、これを鍍金又はエッチング用の薬液に投入することが可能となる。更に、合成樹脂の線膨張係数は、基板の構成材料である銅箔及び重合後のプリプレグと同等のレベルにあることから、回路の位置ずれを招くことがないので、不良品発生が少なくなり、歩留りを向上させることができるという優れた効果を有する。
【0004】
特許文献2には、特許文献1と同様に仮基板の上に剥離できる状態でビルドアップ配線層を形成する配線基板の製造方法が記載されている。特許文献3に記載の製造方法では、ガラス不織布に樹脂を含侵させた仮基板を用意する工程と、前記仮基板上の配線形成領域の外周部に金属箔の周縁側を接着層で選択的に接着することにより、前記仮基板の少なくとも片面に前記金属箔を仮固定する工程と、前記金属箔の上にビルドアップ配線層を形成する工程と、前記仮基板上に前記金属箔及びビルドアップ配線層が形成された構造体の前記接着層より内側部分を切断することにより、前記金属箔を前記仮基板から分離して、前記金属箔の上に前記ビルドアップ配線層が形成された配線部材を得る工程とを有することを特徴とする。
【0005】
特許文献3には、仮基板の上に剥離できる状態で所要の配線層を形成した後に、配線層を仮基板から分離して配線基板を得る製造方法が記載されている。当該製造方法は、プリプレグ上の配線形成領域に下地層(金属箔、離型フィルム、又は離型剤)が配置され、前記下地層の大きさより大きな金属箔が前記配線形成領域の外周部に接するように、前記下地層を介して前記金属箔を前記プリプレグ上に配置し、加熱・加圧によってプリプレグを硬化させることにより、前記プリプレグから仮基板を得ると同時に、該仮基板の少なくとも片面に金属箔を部分的に接着する工程と、前記金属箔の上にビルドアップ配線層を形成する工程と、前記仮基板上に前記下地層、前記金属箔及び前記ビルドアップ配線層が形成された構造体の前記下地層の周縁に対応する部分を切断することにより、前記仮基板から前記金属箔を分離して、前記金属箔の上に前記ビルドアップ配線層が形成された配線部材を得る工程とを有することを特徴とする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−272589号公報
【特許文献2】特開2007−158150号公報
【特許文献3】特開2007−158174号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載のキャリア付金属箔は、プリント回路板の製造工程を簡素化及び歩留まりアップにより製造コスト削減に大きく貢献する画期的な発明であるが、従来のキャリア付金属箔は、ハンドリング中に角の部分が他の部材とぶつかり、その時に加わる外力により板状キャリアと金属箔とが剥がれ、不良となる場合がある。また、配線基板の製造時に塩酸、硫酸、過酸化水素や過マンガン酸塩等の薬液がキャリア付銅箔と板状キャリアの界面から染み込んで、板状キャリアから金属箔が剥がれる場合がある。
【0008】
特許文献2においては、金属箔の周縁側を接着層で選択的に接着しているので、ハンドリング中に金属箔から板状キャリアが剥離するという問題は軽減できるものの、この場合、内部の金属箔は板状キャリアの上に単に接触した状態になっているだけなので、ハンドリング中に内部の金属箔にシワが発生する可能性がある。金属箔を配線形成に利用することを考慮するとシワの発生は配線不良につながり易く、好ましくない。また、金属箔の周縁部を接着層で接着するというものの、如何なる接着層を用いてどの程度の接着強度で接着するのかという点については何ら記載がない。
【0009】
特許文献3においては、接着層を特別に使用することなく、プリプレグと金属箔の外周部が接着される。また、その際の接着強度についても言及がない。そのため、ハンドリング中に板状キャリアと金属箔が剥がれてしまうという問題の解決には至らない。
【0010】
そこで本発明は、搬送時や加工時(ハンドリング中)における板状キャリアと金属箔との剥がれ防止及びシワ発生防止に対応したキャリア付金属箔を提供することを課題の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者等は、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、板状キャリアと金属箔の内部と外周部における接着強度をそれぞれ一定の範囲に制御することで、ハンドリング中における剥離が効果的に防止でき、しかも金属箔表面へのシワの発生も抑制されたキャリア付金属箔が得られることを見出した。
【0012】
すなわち、本発明は、以下のとおりである。
(1)樹脂製の板状キャリアと、該キャリアの少なくとも一方の面に積層された金属箔とからなるキャリア付金属箔であって、キャリアと金属箔の間の界面は、外周領域のうち少なくとも角部において接着層を介して201〜1000gf/cmの接着強度でキャリアと金属箔が接着されており、残部領域において剥離剤を用いて10〜200gf/cmの接着強度でキャリアと金属箔が仮接着されているキャリア付金属箔。
【0013】
(2)前記離型剤は、次式:
【化1】
【0014】
(式中、R1はアルコキシ基またはハロゲン原子であり、R2はアルキル基、シクロアルキル基及びアリール基よりなる群から選択される炭化水素基であるか、一つ以上の水素原子がハロゲン原子で置換されたこれら何れかの炭化水素基であり、R3及びR4はそれぞれ独立にハロゲン原子、またはアルコキシ基、またはアルキル基、シクロアルキル基及びアリール基よりなる群から選択される炭化水素基であるか、または一つ以上の水素原子がハロゲン原子で置換されたこれら何れかの炭化水素基である。)
に示すシラン化合物、その加水分解生成物、該加水分解生成物の縮合体を単独で又は複数組み合わせて含有する(1)に記載のキャリア付金属箔。
(3)前記離型剤は、分子内に2つ以下のメルカプト基を有する化合物を含有する(1)に記載のキャリア付金属箔。
【0015】
(4)前記離型剤は、次式:
【化2】
【0016】
(式中、R1はアルコキシ基またはハロゲン原子であり、R2はアルキル基、シクロアルキル基及びアリール基よりなる群から選択される炭化水素基であるか、一つ以上の水素原子がハロゲン原子で置換されたこれら何れかの炭化水素基であり、MはAl、Ti、Zrのうち何れか一つ、nは0または1または2、mは1以上Mの価数以下の整数であり、R1の少なくとも一つはアルコキシ基である。なお、m+nはMの価数すなわちAlの場合3、Ti、Zrの場合4である)
に示すアルミネート化合物、チタネート化合物、ジルコネート化合物、これらの加水分解生成物、該加水分解生成物の縮合体を単独で又は複数組み合わせて含有する(1)に記載のキャリア付金属箔。
(5)前記離型剤は、シリコーンと、エポキシ系樹脂、メラミン系樹脂およびフッ素樹脂から選択される一種以上の樹脂とを含有する(1)に記載のキャリア付金属箔。
(6)前記接着層は、クロメート層、シランカップリング剤層から選択される少なくとも一層である(1)〜(5)の何れかに記載のキャリア付金属箔。
(7)前記シランカップリング剤層の形成に使用されるシランカップリング剤は、エポキシ基、アミノ基、メタクリル基、ビニル基のうちいずれか1つ以上を分子中に有する(6)に記載のキャリア付金属箔。
(8)キャリアと金属箔の間の界面は、外周全体が接着層を介してキャリアと金属箔が接着されている(1)〜(7)の何れかに記載のキャリア付金属箔。
(9)接着層を介してキャリアと金属箔が接着されている部分が平面視帯状であり、当該部分の幅が0.1mm以上である(1)〜(7)の何れかに記載のキャリア付金属箔。
(10)接着層を介してキャリアと金属箔が接着されている部分において、直径0.01mm〜10mmの孔が1〜10箇所設けられた(1)〜(9)の何れかに記載のキャリア付金属箔。
(11)樹脂製の板状キャリアがプリプレグである(1)〜(10)の何れかに記載のキャリア付金属箔。
(12)前記プリプレグは、120〜320℃のガラス転移温度Tgを有する(11)に記載のキャリア付金属箔。
(13)キャリアと金属箔が仮接着されている残部領域において、前記金属箔の前記キャリアと接する側の表面の十点平均粗さ(Rz jis)が、3.5μm以下である(1)〜(12)の何れかに記載のキャリア付金属箔。
(14)前記金属箔の前記キャリアと接しない側の表面の十点平均粗さ(Rz jis)が、0.4μm以上10.0μm以下である(1)〜(13)の何れかに記載のキャリア付金属箔。
(15)前記金属箔の厚みが1μm以上400μm以下である(1)〜(14)の何れかに記載のキャリア付金属箔。
(16)前記板状キャリアの厚みが5μm以上1000μm以下である(1)〜(15)の何れかに記載のキャリア付金属箔。
(17)剥離剤を用いてキャリアと金属箔が仮接着されている残部領域において、220℃で3時間、6時間または9時間のうちの少なくとも一つの加熱後における、金属箔と板状キャリアとの接着強度が、10gf/cm以上200gf/cm以下である(1)〜(16)の何れかに記載のキャリア付金属箔。
(18)前記金属箔が銅箔である(1)〜(17)の何れかに記載のキャリア付金属箔。(19)四隅が面取り処理されている(1)〜(18)の何れかに記載のキャリア付金属箔。
(20)(1)〜(19)の何れかに記載のキャリア付金属箔の少なくとも一つの金属箔側に対して、樹脂を積層し、次いで樹脂又は金属箔を1回以上繰り返すことを含む多層金属張積層板の製造方法。
(21)(1)〜(19)の何れかに記載のキャリア付金属箔の金属箔側に、樹脂を積層し、次いで樹脂、片面若しくは両面金属張積層板、又は金属箔を1回以上回繰り返すことを含む多層金属張積層板の製造方法。
(22)接着層を介してキャリアと金属箔が接着されている箇所よりも内側部分でキャリア付金属箔を厚み方向に切断する工程を含む(20)又は(21)に記載の多層金属張積層板の製造方法。
(23)前記切断後の内側部分におけるキャリア付金属箔の板状キャリアと金属箔とを剥離して分離する工程と、剥離することにより露出した金属箔の一部または全部をエッチングにより除去する工程を更に含む(22)に記載の多層金属張積層板の製造方法。
(24)(20)〜(23)の何れかに記載の製造方法により得られる多層金属張積層板。
(25)(1)〜(19)の何れかに記載のキャリア付金属箔の金属箔側に、ビルドアップ配線層を一層以上積層する工程を含むビルドアップ基板の製造方法。
(26)ビルドアップ配線層はフルアディティブ法又はセミアディティブ法の少なくとも一方を用いて形成される(25)に記載のビルドアップ基板の製造方法。
(27)(1)〜(19)の何れかに記載のキャリア付金属箔の金属箔側に、樹脂を積層し、次いで樹脂、片面若しくは両面配線基板、片面若しくは両面金属張積層板、又は金属箔を1回以上繰り返して積層する工程を含むビルドアップ基板の製造方法。
(28)(27)に記載のビルドアップ基板の製造方法において、片面若しくは両面配線基板、片面若しくは両面金属張積層板、キャリア付金属箔の金属箔、キャリア付金属箔の板状キャリア、又は樹脂に穴を開け、当該穴の側面および底面に導通めっきをする工程を更に含むビルドアップ基板の製造方法。
(29)(27)又は(28)に記載のビルドアップ基板の製造方法において、前記片面若しくは両面配線基板を構成する金属箔、片面若しくは両面金属張積層板を構成する金属箔、及びキャリア付金属箔を構成する金属箔の少なくとも一つに配線を形成する工程を1回以上行うことを更に含むビルドアップ基板の製造方法。
(30)配線形成された表面上に、片面に金属箔を密着させた(1)〜(19)の何れかに記載の別のキャリア付金属箔のキャリア側を積層する工程を更に含む(27)〜(29)の何れかに記載のビルドアップ基板の製造方法。
(31)前記樹脂の少なくとも一つがプリプレグである(27)〜(30)の何れかに記載のビルドアップ基板の製造方法。
(32)接着層を介してキャリアと金属箔が接着されている箇所よりも内側部分でキャリア付金属箔を厚み方向に切断する工程を更に含む(25)〜(31)の何れかに記載のビルドアップ基板の製造方法。
(33)(32)に記載のビルドアップ基板の製造方法によって得られたビルドアップ基板について、ビルドアップ基板の製造に使用したキャリア付金属箔からキャリアを剥離する工程を含むビルドアップ配線板の製造方法。
(34)キャリアを剥離することにより露出した金属箔の一部または全部をエッチングにより除去する工程を更に含む(33)に記載のビルドアップ配線板の製造方法。
(35)(33)又は(34)に記載の方法により得られるビルドアップ配線板。
(36)(34)又は(35)に記載の方法によりビルドアップ配線板を製造する工程を含むプリント回路板の製造方法。
(37)一方の表面に離型剤処理領域と離型剤未処理領域を有する金属箔であって、離型剤未処理領域が金属箔の外周領域のうち少なくとも角部に存在する金属箔。
(38)離型剤未処理領域には接着層が最表面に露出している(37)に記載の金属箔。(39)離型剤処理領域の下に接着層が形成されている(37)又は(38)に記載の金属箔。
(40)外周全体が離型剤未処理領域である(37)〜(39)の何れかに記載の金属箔。
(41)離型剤未処理領域が平面視帯状であり、当該領域の幅が0.1mm以上である(37)〜(40)の何れかに記載の金属箔。
(42)金属が銅である(37)〜(41)の何れかに記載の金属箔。
(43)前記離型剤は、次式:
【0017】
【化3】
【0018】
(式中、R1はアルコキシ基またはハロゲン原子であり、R2はアルキル基、シクロアルキル基及びアリール基よりなる群から選択される炭化水素基であるか、一つ以上の水素原子がハロゲン原子で置換されたこれら何れかの炭化水素基であり、R3及びR4はそれぞれ独立にハロゲン原子、またはアルコキシ基、またはアルキル基、シクロアルキル基及びアリール基よりなる群から選択される炭化水素基であるか、または一つ以上の水素原子がハロゲン原子で置換されたこれら何れかの炭化水素基である。)
に示すシラン化合物、その加水分解生成物、該加水分解生成物の縮合体を単独で又は複数組み合わせて含有する(37)〜(42)の何れかに記載の金属箔。
(44)前記離型剤は、分子内に2つ以下のメルカプト基を有する化合物を含有する(37)〜(42)の何れか一項に記載の金属箔。
【0019】
(45)前記離型剤は、次式:
【化4】
【0020】
(式中、R1はアルコキシ基またはハロゲン原子であり、R2はアルキル基、シクロアルキル基及びアリール基よりなる群から選択される炭化水素基であるか、一つ以上の水素原子がハロゲン原子で置換されたこれら何れかの炭化水素基であり、MはAl、Ti、Zrのうち何れか一つ、nは0または1または2、mは1以上Mの価数以下の整数であり、R1の少なくとも一つはアルコキシ基である。なお、m+nはMの価数すなわちAlの場合3、Ti、Zrの場合4である)
に示すアルミネート化合物、チタネート化合物、ジルコネート化合物、これらの加水分解生成物、該加水分解生成物の縮合体を単独で又は複数組み合わせて含有する(37)〜(42)の何れかに記載の金属箔。
(46)前記離型剤は、シリコーンと、エポキシ系樹脂、メラミン系樹脂およびフッ素樹脂から選択される一種以上の樹脂とを含有する(37)〜(42)の何れかに記載の金属箔。
(47)前記接着層は、クロメート層、シランカップリング剤層から選択される少なくとも一層である(38)〜(42)の何れかに記載の金属箔。
(48)前記シランカップリング剤層の形成に使用されるシランカップリング剤は、エポキシ基、アミノ基、メタクリル基、ビニル基のうちいずれか1つ以上を分子中に有する(47)に記載の金属箔。
(49)離型剤で処理される前の表面の十点平均粗さ(Rz jis)が、3.5μm以下である(37)〜(48)の何れかに記載の金属箔。
(50)離型剤で処理されない側の表面の十点平均粗さ(Rz jis)が、0.4μm以上10.0μm以下である(37)〜(49)の何れかに記載の金属箔。
(51)前記金属箔の厚みが1μm以上400μm以下である(37)〜(50)の何れかに記載の金属箔。
【発明の効果】
【0021】
本発明に係るキャリア付金属箔では、外周部において板状キャリアと金属箔が強固に接着していることからハンドリング中における板状キャリアと金属箔との間剥がれが防止できる。一方で、内部は板状キャリアと金属箔が剥離可能な程度に適度に接着していることからハンドリング中に金属箔にシワが発生するのを抑制できる。更に、本発明の好ましい実施態様によれば、外周部全体において板状キャリアと金属箔が強固に接着されるため、界面への薬液の染み込みの防止効果も高い。そのため、キャリア付金属箔のハンドリング性が向上し、キャリア付金属箔を利用したプリント配線板の生産性が向上するという利点が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】CCLの一構成例を示す。
【図2】板状キャリアを積層する前段階における金属箔の模式的な平面図である。
【図3】本発明に係るキャリア付金属箔の一実施形態に係る模式的な側面図である。
【図4】本発明に係るキャリア付銅箔を利用した4層金属張積層板の組み立て例を示す。
【図5】本発明に係るキャリア付銅箔を利用したビルドアップ基板の組み立て例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明に係るキャリア付金属箔は一実施形態において、樹脂製の板状キャリアと、該キャリアの少なくとも一方の面に積層された金属箔とからなるキャリア付金属箔であって、キャリアと金属箔の間の界面は、外周領域のうち少なくとも角部において接着層を介してキャリアと金属箔が接着されており、残部領域において剥離剤を用いてキャリアと金属箔が仮接着されているキャリア付金属箔である。外周領域とは、後に切断除去される領域を指す。
【0024】
本発明に係るキャリア付金属箔においては、キャリアと金属箔の間の界面が外周領域のうち少なくとも四隅において接着層を介して強固に接着されているのに対して、それ以外の部分においては剥離可能な程度に適度な接着強度で接着されている。そのため、キャリア付金属箔を搬送する時や、これを利用して多層積層板やビルドアップ基板を製造加工する時など、角の部分が他の部材とぶつかりあっても容易に剥離することはなくなる。そして、搬送終了後などの適時において、接着層を介してキャリアと金属箔が接着されている箇所(接着領域)よりも内側部分でキャリア付金属箔を厚み方向に切断することができる。また、接着領域を残した状態で仮の多層積層板、更には仮のビルドアップ基板を製造した上で、接着領域よりも内側部分で多層積層板又はビルドアップ基板を厚み方向に切断することもできる。
【0025】
また、外周領域を切断後には、適時において、金属箔からキャリアを剥がすことができる。金属箔からキャリアを剥がすタイミングとしては、限定的ではないが、多層積層板又はビルドアップ基板を形成後とするのが通常である。多層積層板又はビルドアップ基板を形成途中に必要に応じて剥がすこともできる。露出した金属箔は、配線形成のための導電材料として使用することができる。エッチング等で全面除去することもできる。本発明に係るキャリア付金属箔を用いた多層積層板及びビルドアップ基板の製造法については後に詳述する。
【0026】
さて、図2を参照すると、ここには板状キャリアを積層する前段階における金属箔200の平面図が模式的に描かれている。図2の左図(a)の態様においては、金属箔200の外周領域のうち対向する二辺が接着層が設けられる領域(接着領域:220)である。この領域は、接着層を介してキャリアと金属箔が強固に接着される。一方、内側の残部領域は剥離剤を用いてキャリアと金属箔が仮接着される領域(仮接着領域:210)である。この態様によれば、剥離の最も生じやすい金属箔の四隅及び対向する二辺が接着層で強固にキャリアと接着することから、ハンドリング中の剥離が防止可能である。
【0027】
図2の中央図(b)の態様においては、金属箔200の外周領域のうち四辺が接着層が設けられる領域(接着領域:220)である。この領域は、接着層を介してキャリアと金属箔が強固に接着される。一方、接着層領域で囲まれた内側の残部領域は剥離剤を用いてキャリアと金属箔が仮接着される領域(仮接着領域:210)である。この態様によれば、金属箔の四隅のみならず四辺が接着層で強固にキャリアと接着しているので、更に剥離防止効果がより高い上に、金属箔とキャリアの界面の間への薬液の染み込み防止効果も高い。
【0028】
図2の左図(a)や中央図(b)のように接着領域が平面視帯状に設けられている場合、接着領域の幅は、剥離防止効果や薬液染み込み防止効果を十分に得るために、0.1mm以上であることが好ましく、1.0mm以上であることがより好ましく、3.0mm以上であることが更により好ましい。また、接着領域の幅を太くして、ドリルなどを用いて、直径0.01mm〜10mm程度の孔を1〜10箇所程度設けてもよい。このような接着領域に設けられた孔は、後述する多層積層板の製造や、ビルドアップ基板の製造に際して、位置決めピンなどを固定するための手段として用いることができる。但し、過度に接着領域の幅を太くしても、当該領域は後で除去されることから無駄となるので、50mm以下であることが好ましく、25mm以下であることがより好ましく、5mm以下であることが更により好ましい。
【0029】
また、図2の右図(c)のような態様も可能である。ここでは、金属箔200の外周領域のうち四隅が接着層が設けられる領域(接着領域:220)である。この領域は、接着層を介してキャリアと金属箔が強固に接着される。一方、内側の残部領域は剥離剤を用いてキャリアと金属箔が仮接着される領域(仮接着領域:210)である。この態様によっても、剥離の最も生じやすい金属箔の四隅が接着層で強固にキャリアと接着することから、ハンドリング中の剥離は防止可能である。
【0030】
なお、上記の実施形態においてはキャリア付金属箔を平面視したときの形状が四角形である場合を示したが、これ以外の多角形としてもよい。また、角部を面取り(R面取り又はC面取り)することにより、剥離防止効果を強化することもできる。
【0031】
図3には本発明に係るキャリア付金属箔230の一実施形態に係る側面図が模式的に描かれている。図3の上図(c)に係るキャリア付金属箔230は、金属箔200の貼り合わせ面全体に接着層を形成し、その後に剥離剤を内側の仮接着領域に塗工し、板状キャリア240の両面にホットプレスなどにより貼り合わせることによって作製することができる。或いは、板状キャリア240の両面の仮接着領域210に剥離剤を塗工し、次いで、貼り合わせ面全体に接着層が形成された金属箔200を板状キャリア240の両面にホットプレスなどにより貼り合わせることによって作製することができる。
【0032】
図3の下図(d)に係るキャリア付金属箔230は、金属箔200の貼り合わせ面の内、接着領域220には接着層を形成するとともに、仮接着領域には剥離剤を塗工し、板状キャリア240の両面にホットプレスなどにより貼り合わせることによって作製することができる。
【0033】
図3から分かるように、強固に接着された外側の接着領域(220)が内側の仮接着領域(210)を保護することによって、仮接着領域(210)における金属箔と板状キャリアの剥離や、金属箔と板状キャリアの間の界面への薬液の染み込みが防止できる。
【0034】
図3においては、本発明に係るキャリア付金属箔の特定の実施形態について説明したが、接着層は板状キャリアと金属箔の何れの表面に形成してもよい。また、剥離剤も板状キャリアと金属箔の何れの表面に塗工してもよい。例えば、接着層を板状キャリア及び金属箔の両方に形成してもよい。
【0035】
接着層を介してキャリアと金属箔が接着されている箇所においては、容易に剥離せず、更には薬液の染み込みも防止可能な強固な接着強度が必要である。具体的には、201gf/cm以上、好ましくは250gf/cm以上、より好ましくは350gf/cm以上の接着強度でキャリアと金属箔が接着されていることが望ましい。但し、過度に接着強度を高くする必要はなく、また、接着剤のコストも高くなることから、1000gf/cm以下、好ましくは750gf/cm以下、より好ましくは500gf/cm以下の接着強度でキャリアと金属箔が接着されていることが望ましい。
【0036】
このような接着強度を実現するための接着層としては、例えばクロメート層及びシランカップリング剤層が挙げられる。これらは単独で使用しても良いし、組み合わせて使用しても良い。また、これらを任意の順、好ましくはクロメート層、シランカップリング剤層の順序で積層した構成としてもよい。クロメート層は金属箔及び/又は板状キャリアの貼り合わせ面をクロメート処理することにより形成可能である。クロメート層は防錆効果もあることから、少なくとも金属箔側はクロメート処理することが好ましい。接着強度を高めるために、金属箔の表面に粗化処理をすることもできる。クロメート層は例えば、6価クロムイオンを0.1〜10.0g/L含む水溶液中に金属箔または板状キャリアを1〜60秒間浸漬するか、金属箔および板状キャリアに導電性がある場合はこれらを前述の水溶液中で陰極として1〜20秒間電解することにより形成可能であり、シランカップリング剤層は例えば、シランカップリング剤を0.1〜5.0体積%含む水溶液を金属箔または板状キャリアにスプレーコーティングした後、100〜200℃の空気中で乾燥させることにより形成可能である。シランカップリング剤の種類としては、限定的ではないが例えば分子中に反応性官能基としてエポキシ基、アミノ基、メタクリル基、又はビニル基の何れか一種以上を有し、加水分解性基としてメトキシ基、エトキシ基、又はプロポキシ基の何れか一種以上を有するシランカップリング剤を用いるのが好適である。
【0037】
一方、剥離剤を用いてキャリアと金属箔が仮接着されている箇所は、いずれ剥がさなければならないので過度に密着性が高いのは不都合であるが、板状キャリアと金属箔とは、プリント回路板作製過程で行われるめっき等の薬液処理工程においてシワが発生したり簡単に剥離したりしない程度の密着性は必要である。
【0038】
具体的には、10gf/cm以上、好ましくは30gf/cm以上、より好ましくは50gf/cm以上の接着強度でキャリアと金属箔が接着されていることが望ましい。但し、過度に接着強度を高くする必要はなく、また、接着剤のコストも高くなることから、200gf/cm以下、好ましくは150gf/cm以下、より好ましくは80gf/cm以下の接着強度でキャリアと金属箔が接着されていることが望ましい。
【0039】
このような密着性を実現するための接着強度の調節は、例えば以下に示す(1)〜(4)の離型剤を使用することで容易に実現することができる。
【0040】
(1)シラン化合物
次式に示す構造を有するシラン化合物、またはその加水分解生成物質、または該加水分解生成物質の縮合体(以下、単にシラン化合物と記述する)を単独でまたは複数混合して使用して、板状キャリアと金属箔を貼り合わせることで、適度に密着性が低下し、接着強度を後述するような範囲に調節できる。
【0041】
式:
【化5】
【0042】
(式中、R1はアルコキシ基またはハロゲン原子であり、R2はアルキル基、シクロアルキル基及びアリール基よりなる群から選択される炭化水素基であるか、一つ以上の水素原子がハロゲン原子で置換されたこれら何れかの炭化水素基であり、R3及びR4はそれぞれ独立にハロゲン原子、またはアルコキシ基、またはアルキル基、シクロアルキル基及びアリール基よりなる群から選択される炭化水素基であるか、一つ以上の水素原子がハロゲン原子で置換されたこれら何れかの炭化水素基である。)
【0043】
当該シラン化合物はアルコキシ基を少なくとも一つ有していることが必要である。アルコキシ基が存在せずに、アルキル基、シクロアルキル基及びアリール基よりなる群から選択される炭化水素基であるか、一つ以上の水素原子がハロゲン原子で置換されたこれら何れかの炭化水素基のみで置換基が構成される場合、板状キャリアと金属箔表面の密着性が低下し過ぎる傾向がある。また、当該シラン化合物はアルキル基、シクロアルキル基及びアリール基よりなる群から選択される炭化水素基であるか、一つ以上の水素原子がハロゲン原子で置換されたこれら何れかの炭化水素基を少なくとも一つ有していることが必要である。当該炭化水素基が存在しない場合、板状キャリアと金属箔表面の密着性が上昇する傾向があるからである。なお、本願発明に係るアルコキシ基には一つ以上の水素原子がハロゲン原子に置換されたアルコキシ基も含まれるものとする。
【0044】
板状キャリアと金属箔の接着強度を上述した範囲に調節する上では、当該シラン化合物はアルコキシ基を三つ、上記炭化水素基(一つ以上の水素原子がハロゲン原子で置換された炭化水素基を含む)を一つ有していることが好ましい。これを上の式でいえば、R3及びR4の両方がアルコキシ基ということになる。
【0045】
アルコキシ基としては、限定的ではないが、メトキシ基、エトキシ基、n−又はiso−プロポキシ基、n−、iso−又はtert−ブトキシ基、n−、iso−又はneo−ペントキシ基、n−ヘキソキシ基、シクロヘキシソキシ基、n−ヘプトキシ基、及びn−オクトキシ基等の直鎖状、分岐状、又は環状の炭素数1〜20、好ましくは炭素数1〜10、より好ましくは炭素数1〜5のアルコキシ基が挙げられる。
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子およびヨウ素原子が挙げられる。
【0046】
アルキル基としては、限定的ではないが、メチル基、エチル基、n−又はiso−プロピル基、n−、iso−又はtert−ブチル基、n−、iso−又はneo−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、n−デシル基等の直鎖状又は分岐状の炭素数1〜20、好ましくは炭素数1〜10、より好ましくは炭素数1〜5のアルキル基が挙げられる。
【0047】
シクロアルキル基としては、限定的ではないが、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロへプチル基、シクロオクチル基等の炭素数3〜10、好ましくは炭素数5〜7のシクロアルキル基が挙げられる。
【0048】
アリール基としては、フェニル基、アルキル基で置換されたフェニル基(例:トリル基、キシリル基)、1−又は2−ナフチル基、アントリル基等の炭素数6〜20、好ましくは6〜14のアリール基が挙げられる。
【0049】
これらの炭化水素基は一つ以上の水素原子がハロゲン原子で置換されてもよく、例えば、フッ素原子、塩素原子、又は臭素原子で置換されることができる。
【0050】
好ましいシラン化合物の例としては、メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、n−又はiso−プロピルトリメトキシシラン、n−、iso−又はtert−ブチルトリメトキシシラン、n−、iso−又はneo−ペンチルトリメトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン;アルキル置換フェニルトリメトキシシラン(例えば、p−(メチル)フェニルトリメトキシシラン)、メチルトリエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、n−又はiso−プロピルトリエトキシシラン、n−、iso−又はtert−ブチルトリエトキシシラン、ペンチルトリエトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、デシルトリエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、アルキル置換フェニルトリエトキシシラン(例えば、p−(メチル)フェニルトリエトキシシラン)、(3,3,3−トリフルオロプロピル)トリメトキシシラン、及びトリデカフルオロオクチルトリエトキシシラン、メチルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、トリメチルクロロシラン、フェニルトリクロロシラン、トリメチルフルオロシラン、ジメチルジブロモシラン、ジフェニルジブロモシラン、これらの加水分解生成物、及びこれらの加水分解生成物の縮合体などが挙げられる。これらの中でも、入手の容易性の観点から、プロピルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、デシルトリメトキシシランが好ましい。
【0051】
シラン化合物は水溶液の形態で使用することができる。水への溶解性を高めるためにメタノールやエタノールなどのアルコールを添加することもできる。アルコールの添加は特に疎水性の高いシラン化合物を使用するときに有効である。シラン化合物の水溶液は、撹拌することでアルコキシ基の加水分解が促進され、撹拌時間が長いと加水分解生成物の縮合が促進される。一般には、十分な撹拌時間を経て加水分解および縮合が進んだシラン化合物を用いた方が金属箔と板状キャリアの接着強度は低下する傾向にある。従って、撹拌時間の調整によって接着強度を調整可能である。限定的ではないが、シラン化合物を水に溶解させた後の撹拌時間としては例えば1〜100時間とすることができ、典型的には1〜30時間とすることができる。当然ながら、撹拌せずに用いる方法もある。
【0052】
シラン化合物の水溶液中のシラン化合物の濃度は高い方が金属箔と板状キャリアの接着強度は低下する傾向にあり、シラン化合物の濃度調整によって接着強度を調整可能である。限定的ではないが、シラン化合物の水溶液中の濃度は0.01〜10.0体積%とすることができ、典型的には0.1〜5.0体積%とすることができる。
【0053】
シラン化合物の水溶液のpHは特に制限はなく、酸性側でもアルカリ性側でも利用できる。例えば3.0〜10.0の範囲のpHで使用できる。特段のpH調整が不要であるという観点から中性付近である5.0〜9.0の範囲のpHとするのが好ましく、7.0〜9.0の範囲のpHとするのがより好ましい。
【0054】
(2)分子内に2つ以下のメルカプト基を有する化合物
分子内に2つ以下のメルカプト基を有する化合物を使用して、板状キャリアと金属箔を貼り合わせることによっても、仮接着に適した接着強度を容易に得ることができる。但し、分子内に3つ以上のメルカプト基を有する化合物またはその塩を板状キャリアと金属箔との間に介在させて貼り合わせた場合、本願記載の接着強度低減の目的には適さない。これは、分子内にメルカプト基が過剰に存在するとメルカプト基同士、またはメルカプト基と板状キャリア、またはメルカプト基と金属箔との化学反応によってスルフィド結合、ジスルフィド結合またはポリスルフィド結合が過剰に生成し、板状キャリアと金属箔の間に強固な3次元架橋構造が形成されることで接着強度が上昇することがあると考えられるからである。このような事例は特開2000−196207号公報に開示されている。
【0055】
分子内に2つ以下のメルカプト基を有する化合物としては、チオール、ジチオール、チオカルボン酸またはその塩、ジチオカルボン酸またはその塩、チオスルホン酸またはその塩、およびジチオスルホン酸またはその塩が挙げられ、これらの中から選択される少なくとも一種を用いることができる。
【0056】
チオールは、分子内に一つのメルカプト基を有するものであり、例えばR−SHで表される。ここで、Rは、水酸基またはアミノ基を含んでもよい、脂肪族系または芳香族系炭化水素基または複素環基を表す。
【0057】
ジチオールは、分子内に二つのメルカプト基を有するものであり、例えばR(SH)2で表される。Rは、水酸基またはアミノ基を含んでもよい、脂肪族系または芳香族系炭化水素基または複素環基を表す。また、二つのメルカプト基は、それぞれ同じ炭素に結合してもよいし、互いに別々の炭素または窒素に結合してもよい。
【0058】
チオカルボン酸は、有機カルボン酸の水酸基がメルカプト基に置換されたものであり、例えばR−CO−SHで表される。Rは、水酸基またはアミノ基を含んでもよい、脂肪族系または芳香族系炭化水素基または複素環基を表す。また、チオカルボン酸は、塩の形態でも使用することが可能である。なお、チオカルボン酸基を、二つ有する化合物も使用可能である。
【0059】
ジチオカルボン酸は、有機カルボン酸のカルボキシ基中の2つの酸素原子が硫黄原子に置換されたものであり、例えばR−(CS)−SHで表される。Rは、水酸基またはアミノ基を含んでもよい、脂肪族系または芳香族系炭化水素基または複素環基を表す。また、ジチオカルボン酸は、塩の形態でも使用することが可能である。なお、ジチオカルボン酸基を、二つ有する化合物も使用可能である。
【0060】
チオスルホン酸は、有機スルホン酸の水酸基がメルカプト基に置換されたものであり、例えばR(SO2)−SHで表される。Rは、水酸基またはアミノ基を含んでもよい、脂肪族系または芳香族系炭化水素基または複素環基を表す。また、チオスルホン酸は、塩の形態でも使用することが可能である。
【0061】
ジチオスルホン酸は、有機ジスルホン酸の二つの水酸基がそれぞれメルカプト基に置換されたものであり、例えばR−((SO2)−SH)2で表される。Rは、水酸基またはアミノ基を含んでもよい、脂肪族系または芳香族系炭化水素基または複素環基を表す。また、二つのチオスルホン酸基は、それぞれ同じ炭素に結合してもよいし、互いに別々の炭素に結合してもよい。また、ジチオスルホン酸は、塩の形態でも使用することが可能である。
【0062】
ここで、Rとして好適な脂肪族系炭化水素基としては、アルキル基、シクロアルキル基が挙げられ、これら炭化水素基は水酸基とアミノ基のどちらかまたは両方を含んでいてもよい。
【0063】
また、アルキル基としては、限定的ではないが、メチル基、エチル基、n−又はiso−プロピル基、n−、iso−又はtert−ブチル基、n−、iso−又はneo−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、n−デシル基等の直鎖状又は分岐状の炭素数1〜20、好ましくは炭素数1〜10、より好ましくは炭素数1〜5のアルキル基が挙げられる。
【0064】
また、シクロアルキル基としては、限定的ではないが、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロへプチル基、シクロオクチル基等の炭素数3〜10、好ましくは炭素数5〜7のシクロアルキル基が挙げられる。
【0065】
また、Rとして好適な芳香族炭化水素基としては、フェニル基、アルキル基で置換されたフェニル基(例:トリル基、キシリル基)、1−又は2−ナフチル基、アントリル基等の炭素数6〜20、好ましくは6〜14のアリール基が挙げられ、これら炭化水素基は水酸基とアミノ基のどちらかまたは両方を含んでいてもよい。
【0066】
また、Rとして好適な複素環基としては、イミダゾール、トリアゾール、テトラゾール、ベンゾイミダゾール、ベンゾトリアゾール、チアゾール、ベンゾチアゾールが挙げられ、水酸基とアミノ基のどちらかまたは両方を含んでいてもよい。
【0067】
分子内に2つ以下のメルカプト基を有する化合物の好ましい例としては、3−メルカプト−1,2プロパンジオール、2−メルカプトエタノール、1,2−エタンジチオール、6−メルカプト−1−ヘキサノール、1−オクタンチオール、1−ドデカンチオール、10−ヒドロキシ−1−ドデカンチオール、10−カルボキシ−1−ドデカンチオール、10−アミノ−1−ドデカンチオール、1−ドデカンチオールスルホン酸ナトリウム、チオフェノール、チオ安息香酸、4−アミノ−チオフェノール、p−トルエンチオール、2,4−ジメチルベンゼンチオール、3−メルカプト−1,2,4トリアゾール、2−メルカプト−ベンゾチアゾールが挙げられる。これらの中でも水溶性と廃棄物処理上の観点から、3−メルカプト−1,2プロパンジオールが好ましい。
【0068】
キャリア付金属箔は板状キャリアと金属箔をホットプレスで密着させて製造可能である。例えば、金属箔及び/又は板状キャリアの貼り合わせ面に前記分子内に2つ以下のメルカプト基を有する化合物を被覆処理した上で、金属箔の貼り合わせ面に対して、Bステージの樹脂製の板状キャリアをホットプレス積層することで製造可能である。
【0069】
分子内に2つ以下のメルカプト基を有する化合物は水溶液の形態で使用することができる。水への溶解性を高めるためにメタノールやエタノールなどのアルコールを添加することもできる。アルコールの添加は特に疎水性の高い分子内に2つ以下のメルカプト基を有する化合物を使用するときに有効である。
【0070】
分子内に2つ以下のメルカプト基を有する化合物の水溶液中の濃度は高い方が金属箔と板状キャリアの接着強度は低下する傾向にあり、分子内に2つ以下のメルカプト基を有する化合物の濃度調整によって接着強度を調整可能である。限定的ではないが、分子内に2つ以下のメルカプト基を有する化合物の水溶液中の濃度は0.01〜10.0重量%とすることができ、典型的には0.1〜5.0重量%とすることができる。
【0071】
分子内に2つ以下のメルカプト基を有する化合物の水溶液のpHは特に制限はなく、酸性側でもアルカリ性側でも利用できる。例えば3.0〜10.0の範囲のpHで使用できる。特段のpH調整が不要であるという観点から中性付近である5.0〜9.0の範囲のpHとするのが好ましく、7.0〜9.0の範囲のpHとするのがより好ましい。
【0072】
分子内に2つ以下のメルカプト基を有する化合物による接着強度の調節を容易にするという観点から、金属箔と板状キャリアとの接着強度は、10gf/cm以上であることが好ましく、30gf/cm以上であることがより好ましく、50gf/cm以上であることが一層好ましい一方で、200gf/cm以下であることが好ましく、150gf/cm以下であることがより好ましく、80gf/cm以下であることが一層好ましい。金属箔と板状キャリアの接着強度をこのような範囲とすることによって、搬送時や加工時に剥離することない一方で、人手で容易に剥がすことができるような接着強度の調節が容易になる。
【0073】
(3)金属アルコキシド
次式に示す構造を有するアルミネート化合物、チタネート化合物、ジルコネート化合物、またはその加水分解生成物質、または該加水分解生成物質の縮合体(以下、単に金属アルコキシドと記述する)を単独でまたは複数混合して使用して、板状キャリアと金属箔を貼り合わせることによっても、仮接着に適した接着強度を容易に得ることができる。
【0074】
【化6】
【0075】
式中、R1はアルコキシ基またはハロゲン原子であり、R2はアルキル基、シクロアルキル基及びアリール基よりなる群から選択される炭化水素基であるか、一つ以上の水素原子がハロゲン原子で置換されたこれら何れかの炭化水素基であり、MはAl、Ti、Zrのうちいずれか一つ、nは0または1または2、mは1以上Mの価数以下の整数であり、R1の少なくとも一つはアルコキシ基である。なお、m+nはMの価数すなわちAlの場合3、Ti、Zrの場合4である。
【0076】
当該金属アルコキシドはアルコキシ基を少なくとも一つ有していることが必要である。アルコキシ基が存在せずに、アルキル基、シクロアルキル基及びアリール基よりなる群から選択される炭化水素基であるか、一つ以上の水素原子がハロゲン原子で置換されたこれら何れかの炭化水素基のみで置換基が構成される場合、板状キャリアと金属箔表面の密着性が低下し過ぎる傾向がある。また、当該金属アルコキシドはアルキル基、シクロアルキル基及びアリール基よりなる群から選択される炭化水素基であるか、一つ以上の水素原子がハロゲン原子で置換されたこれら何れかの炭化水素基を0〜2個有していることが必要である。当該炭化水素基を3つ以上有する場合、板状キャリアと金属箔表面の密着性が低下し過ぎる傾向があるからである。なお、本願発明に係るアルコキシ基には一つ以上の水素原子がハロゲン原子に置換されたアルコキシ基も含まれるものとする。板状キャリアと金属箔の接着強度を上述した範囲に調節する上では、当該金属アルコキシドはアルコキシ基を二つ以上、上記炭化水素基(一つ以上の水素原子がハロゲン原子で置換された炭化水素基を含む)を一つか二つ有していることが好ましい。
【0077】
また、アルキル基としては、限定的ではないが、メチル基、エチル基、n−又はiso−プロピル基、n−、iso−又はtert−ブチル基、n−、iso−又はneo−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、n−デシル基等の直鎖状又は分岐状の炭素数1〜20、好ましくは炭素数1〜10、より好ましくは炭素数1〜5のアルキル基が挙げられる。
【0078】
また、シクロアルキル基としては、限定的ではないが、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロへプチル基、シクロオクチル基等の炭素数3〜10、好ましくは炭素数5〜7のシクロアルキル基が挙げられる。
【0079】
また、R2として好適な芳香族炭化水素基としては、フェニル基、アルキル基で置換されたフェニル基(例:トリル基、キシリル基)、1−又は2−ナフチル基、アントリル基等の炭素数6〜20、好ましくは6〜14のアリール基が挙げられ、これら炭化水素基は水酸基とアミノ基のどちらかまたは両方を含んでいてもよい。
これらの炭化水素基は一つ以上の水素原子がハロゲン原子で置換されてもよく、例えば、フッ素原子、塩素原子、又は臭素原子で置換されることができる。
【0080】
好ましいアルミネート化合物の例としては、トリメトキシアルミニウム、メチルジメトキシアルミニウム、エチルジメトキシアルミニウム、n−又はiso−プロピルジメトキシアルミニウム、n−、iso−又はtert−ブチルジメトキシアルミニウム、n−、iso−又はneo−ペンチルジメトキシアルミニウム、ヘキシルジメトキシアルミニウム、オクチルジメトキシアルミニウム、デシルジメトキシアルミニウム、フェニルジメトキシアルミニウム;アルキル置換フェニルジメトキシアルミニウム(例えば、p−(メチル)フェニルジメトキシアルミニウム)、ジメチルメトキシアルミニウム、トリエトキシアルミニウム、メチルジエトキシアルミニウム、エチルジエトキシアルミニウム、n−又はiso−プロピルジエトキシアルミニウム、n−、iso−又はtert−ブチルジエトキシアルミニウム、ペンチルジエトキシアルミニウム、ヘキシルジエトキシアルミニウム、オクチルジエトキシアルミニウム、デシルジエトキシアルミニウム、フェニルジエトキシアルミニウム、アルキル置換フェニルジエトキシアルミニウム(例えば、p−(メチル)フェニルジエトキシアルミニウム)、ジメチルエトキシアルミニウム、トリイソプロポキシアルミニウム、メチルジイソプロポキシアルミニウム、エチルジイソプロポキシアルミニウム、n−又はiso−プロピルジエトキシアルミニウム、n−、iso−又はtert−ブチルジイソプロポキシアルミニウム、ペンチルジイソプロポキシアルミニウム、ヘキシルジイソプロポキシアルミニウム、オクチルジイソプロポキシアルミニウム、デシルジイソプロポキシアルミニウム、フェニルジイソプロポキシアルミニウム、アルキル置換フェニルジイソプロポキシアルミニウム(例えば、p−(メチル)フェニルジイソプロポキシアルミニウム)、ジメチルイソプロポキシアルミニウム、(3,3,3−トリフルオロプロピル)ジメトキシアルミニウム、及びトリデカフルオロオクチルジエトキシアルミニウム、メチルジクロロアルミニウム、ジメチルクロロアルミニウム、ジメチルクロロアルミニウム、フェニルジクロロアルミニウム、ジメチルフルオロアルミニウム、ジメチルブロモアルミニウム、ジフェニルブロモアルミニウム、これらの加水分解生成物、及びこれらの加水分解生成物の縮合体などが挙げられる。これらの中でも、入手の容易性の観点から、トリメトキシアルミニウム、トリエトキシアルミニウム、トリイソプロポキシアルミニウム、が好ましい。
【0081】
好ましいチタネート化合物の例としては、テトラメトキシチタン、メチルトリメトキシチタン、エチルトリメトキシチタン、n−又はiso−プロピルトリメトキシチタン、n−、iso−又はtert−ブチルトリメトキシチタン、n−、iso−又はneo−ペンチルトリメトキシチタン、ヘキシルトリメトキシチタン、オクチルトリメトキシチタン、デシルトリメトキシチタン、フェニルトリメトキシチタン;アルキル置換フェニルトリメトキシチタン(例えば、p−(メチル)フェニルトリメトキシチタン)、ジメチルジメトキシチタン、テトラエトキシチタン、メチルトリエトキシチタン、エチルトリエトキシチタン、n−又はiso−プロピルトリエトキシチタン、n−、iso−又はtert−ブチルトリエトキシチタン、ペンチルトリエトキシチタン、ヘキシルトリエトキシチタン、オクチルトリエトキシチタン、デシルトリエトキシチタン、フェニルトリエトキシチタン、アルキル置換フェニルトリエトキシチタン(例えば、p−(メチル)フェニルトリエトキシチタン)、ジメチルジエトキシチタン、テトライソプロポキシチタン、メチルトリイソプロポキシチタン、エチルトリイソプロポキシチタン、n−又はiso−プロピルトリエトキシチタン、n−、iso−又はtert−ブチルトリイソプロポキシチタン、ペンチルトリイソプロポキシチタン、ヘキシルトリイソプロポキシチタン、オクチルトリイソプロポキシチタン、デシルトリイソプロポキシチタン、フェニルトリイソプロポキシチタン、アルキル置換フェニルトリイソプロポキシチタン(例えば、p−(メチル)フェニルトリイソプロポキシチタン)、ジメチルジイソプロポキシチタン、(3,3,3−トリフルオロプロピル)トリメトキシチタン、及びトリデカフルオロオクチルトリエトキシチタン、メチルトリクロロチタン、ジメチルジクロロチタン、トリメチルクロロチタン、フェニルトリクロロチタン、ジメチルジフルオロチタン、ジメチルジブロモチタン、ジフェニルジブロモチタン、これらの加水分解生成物、及びこれらの加水分解生成物の縮合体などが挙げられる。これらの中でも、入手の容易性の観点から、テトラメトキシチタン、テトラエトキシチタン、テトライソプロポキシチタン、が好ましい。
【0082】
好ましいジルコネート化合物の例としては、テトラメトキシジルコニウム、メチルトリメトキシジルコニウム、エチルトリメトキシジルコニウム、n−又はiso−プロピルトリメトキシジルコニウム、n−、iso−又はtert−ブチルトリメトキシジルコニウム、n−、iso−又はneo−ペンチルトリメトキシジルコニウム、ヘキシルトリメトキシジルコニウム、オクチルトリメトキシジルコニウム、デシルトリメトキシジルコニウム、フェニルトリメトキシジルコニウム;アルキル置換フェニルトリメトキシジルコニウム(例えば、p−(メチル)フェニルトリメトキシジルコニウム)、ジメチルジメトキシジルコニウム、テトラエトキシジルコニウム、メチルトリエトキシジルコニウム、エチルトリエトキシジルコニウム、n−又はiso−プロピルトリエトキシジルコニウム、n−、iso−又はtert−ブチルトリエトキシジルコニウム、ペンチルトリエトキシジルコニウム、ヘキシルトリエトキシジルコニウム、オクチルトリエトキシジルコニウム、デシルトリエトキシジルコニウム、フェニルトリエトキシジルコニウム、アルキル置換フェニルトリエトキシジルコニウム(例えば、p−(メチル)フェニルトリエトキシジルコニウム)、ジメチルジエトキシジルコニウム、テトライソプロポキシジルコニウム、メチルトリイソプロポキシジルコニウム、エチルトリイソプロポキシジルコニウム、n−又はiso−プロピルトリエトキシジルコニウム、n−、iso−又はtert−ブチルトリイソプロポキシジルコニウム、ペンチルトリイソプロポキシジルコニウム、ヘキシルトリイソプロポキシジルコニウム、オクチルトリイソプロポキシジルコニウム、デシルトリイソプロポキシジルコニウム、フェニルトリイソプロポキシジルコニウム、アルキル置換フェニルトリイソプロポキシジルコニウム(例えば、p−(メチル)フェニルトリイソプロポキシチタン)、ジメチルジイソプロポキシジルコニウム、(3,3,3−トリフルオロプロピル)トリメトキシジルコニウム、及びトリデカフルオロオクチルトリエトキシジルコニウム、メチルトリクロロジルコニウム、ジメチルジクロロジルコニウム、トリメチルクロロジルコニウム、フェニルトリクロロジルコニウム、ジメチルジフルオロジルコニウム、ジメチルジブロモジルコニウム、ジフェニルジブロモジルコニウム、これらの加水分解生成物、及びこれらの加水分解生成物の縮合体などが挙げられる。これらの中でも、入手の容易性の観点から、テトラメトキシジルコニウム、テトラエトキシジルコニウム、テトライソプロポキシジルコニウム、が好ましい。
【0083】
金属アルコキシドは水溶液の形態で使用することができる。水への溶解性を高めるためにメタノールやエタノールなどのアルコールを添加することもできる。アルコールの添加は特に疎水性の高い金属アルコキシドを使用するときに有効である。
【0084】
金属アルコキシドの水溶液中の濃度は高い方が金属箔と板状キャリアの接着強度は低下する傾向にあり、金属アルコキシド濃度調整によって接着強度を調整可能である。限定的ではないが、金属アルコキシドの水溶液中の濃度は0.001〜1.0mol/Lとすることができ、典型的には0.005〜0.2mol/Lとすることができる。
【0085】
金属アルコキシドの水溶液のpHは特に制限はなく、酸性側でもアルカリ性側でも利用できる。例えば3.0〜10.0の範囲のpHで使用できる。特段のpH調整が不要であるという観点から中性付近である5.0〜9.0の範囲のpHとするのが好ましく、7.0〜9.0の範囲のpHとするのがより好ましい。
【0086】
金属アルコキシドによる接着強度の調節を容易にするという観点から、金属箔と板状キャリアとの接着強度は、10gf/cm以上であることが好ましく、30gf/cm以上であることがより好ましく、50gf/cm以上であることが一層好ましい一方で、200gf/cm以下であることが好ましく、150gf/cm以下であることがより好ましく、80gf/cm以下であることが一層好ましい。金属箔と板状キャリアの接着強度をこのような範囲とすることによって、搬送時や加工時に剥離することない一方で、人手で容易に剥がすことができるような接着強度の調節が容易になる。
【0087】
(4)シリコーン含有離型剤
板状キャリアと金属箔とを、シリコーンと、エポキシ系樹脂、メラミン系樹脂およびフッ素樹脂から選択されるいずれか1つまたは複数の樹脂とを含有する離型剤を使用して、板状キャリアと金属箔を貼り合わせることによっても、仮接着に適した接着強度を容易に得ることができる。
【0088】
エポキシ系樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、臭素化エポキシ樹脂、アミン型エポキシ樹脂、可撓性エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂、臭素化フェノキシ樹脂等が挙げられる。
【0089】
メラミン系樹脂としては、メチルエーテル化メラミン樹脂、ブチル化尿素メラミン樹脂、ブチル化メラミン樹脂、メチル化メラミン樹脂、ブチルアルコール変性メラミン樹脂等が挙げられる。また、メラミン系樹脂は、前記樹脂とブチル化尿素樹脂、ブチル化ベンゾグアナミン樹脂等との混合樹脂であってもよい。
【0090】
なお、エポキシ系樹脂の数平均分子量は2000〜3000、メラミン系樹脂の数平均分子量は500〜1000であることが好ましい。このような数平均分子量を有することによって、樹脂の塗料化が可能になると共に、シリコーン含有離型剤により形成される樹脂塗膜の接着強度を所定範囲に調整し易くなる。
【0091】
また、フッ素樹脂としては、ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニル等が挙げられる。
【0092】
シリコーンとしては、メチルフェニルポリシロキサン、メチルハイドロポリシロキサン、ジメチルポリシロキサン、変性ジメチルポリシロキサン、これらの混合物等が挙げられる。ここで、変性とは、例えば、エポキシ変性、アルキル変性、アミノ変性、カルボキシル変性、アルコール変性、フッ素変性、アルキルアラルキルポリエーテル変性、エポキシポリエーテル変性、ポリエーテル変性、アルキル高級アルコールエステル変性、ポリエステル変性、アシロキシアルキル変性、ハロゲン化アルキルアシロキシアルキル変性、ハロゲン化アルキル変性、アミノグリコール変性、メルカプト変性、水酸基含有ポリエステル変性等が挙げられる。
【0093】
樹脂塗膜において、膜厚が小さすぎると、樹脂塗膜が薄膜すぎて形成が困難であるため、生産性が低下し易い。また、膜厚が一定の大きさを超えても、樹脂塗膜の剥離性のさらなる向上は見られず、樹脂塗膜の製造コストが高くなり易い。このような観点から、樹脂塗膜は、その膜厚が0.1〜10μmであることが好ましく、0.5〜5μmであることがさらに好ましい。また、樹脂塗膜の膜厚は、後述する手順において、樹脂塗料を所定塗布量で塗布することによって達成される。
【0094】
樹脂塗膜において、シリコーンは樹脂塗膜の剥離剤として機能する。そこで、エポキシ系樹脂、メラミン系樹脂の合計量がシリコーンに比べて多すぎると、板状キャリアと金属箔との間で樹脂塗膜が付与する接着強度が大きくなるため、樹脂塗膜の剥離性が低下し、人手で容易に剥がせなくなることがある。一方で、エポキシ系樹脂、メラミン系樹脂の合計量が少なすぎると、前述の接着強度が小さくなるため、キャリア付金属箔の搬送時や加工時に剥離することがある。この観点から、シリコーン100質量部に対して、エポキシ系樹脂、メラミン系樹脂の合計が10〜1500質量部の量で含まれることが好ましく、さらに好ましくは20〜800重量部の量で含まれることが好ましい。
【0095】
また、フッ素樹脂は、シリコーンと同様、剥離剤として機能し、樹脂塗膜の耐熱性を向上させる効果がある。フッ素樹脂がシリコーンに比べて多すぎると、前述の接着強度が小さくなるため、キャリア付金属箔の搬送時や加工時に剥離することがあるほか、後述する焼き付け工程に必要な温度が上がるため不経済となる。この観点から、フッ素樹脂は、シリコーン100質量部に対して、0〜50質量部であることが好ましく、さらに好ましくは0〜40質量部であることが好ましい。
【0096】
樹脂塗膜は、シリコーン、およびエポキシ樹脂および/またはメラミン樹脂、および必要に応じてフッ素樹脂に加えて、SiO2、MgO、Al23、BaSO4およびMg(OH)2から選択される1種以上の表面粗化粒子をさらに含有していてもよい。樹脂塗膜が表面粗化粒子を含有することによって、樹脂塗膜の表面が凹凸となる。その凹凸によって、樹脂塗膜が塗布された板状キャリアあるいは金属箔の表面が凹凸となり、艶消し表面となる。表面粗化粒子の含有量は、樹脂塗膜が凹凸化されれば特に限定されないが、シリコーン100質量部に対して、1〜10質量部が好ましい。
【0097】
表面粗化粒子の粒子径は、15nm〜4μmであることが好ましい。ここで、粒子径は、走査電子顕微鏡(SEM)写真等から測定した平均粒子径(最大粒子径と最小粒子径の平均値)を意味する。表面粗化粒子の粒子径が前記範囲であることによって、樹脂塗膜の表面の凹凸量が調整し易くなり、結果的に板状キャリアあるいは金属箔の表面の凹凸量が調整し易くなる。具体的には、板状キャリアあるいは金属箔の表面の凹凸量は、JIS規定の最大高さ粗さRyで4.0μm程度となる。
【0098】
ここで、シリコーン含有離型剤を用いた場合の板状キャリアと金属箔の仮接着方法について説明する。シリコーン含有離型剤を用いた仮接着方法は、板状キャリア又は金属箔の少なくとも一方の表面に、シリコーン含有離型剤を塗布する工程と、この塗布した離型剤を硬化させる焼付け工程と、金属箔及び板状キャリアをホットプレスする工程を含む。以下、各工程について説明する。
【0099】
(塗布工程)
塗布工程は、板状キャリアの片面または両面にシリコーン含有離型剤を塗布して樹脂塗膜を形成する工程である。シリコーン含有離型剤は、アルコール等の有機溶媒にエポキシ系樹脂、メラミン系樹脂、フッ素樹脂およびシリコーンを溶解したものとすることができる。また、樹脂塗料における配合量(添加量)は、シリコーン100質量部に対して、エポキシ系樹脂、メラミン系樹脂の合計が10〜1500質量部であることが好ましい。また、フッ素樹脂は、シリコーン100質量部に対して、0〜50質量部であることが好ましい。
【0100】
塗布工程における塗布方法としては、樹脂塗膜が形成できれば特に限定されるものではないが、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、カーテンフローコート法、静電塗装機を用いる方法等が用いられ、樹脂塗膜の均一性、および、作業の簡便性からグラビアコート法が好ましい。また、塗布量としては、樹脂塗膜3が好ましい膜厚:0.5〜5μmとなるように、樹脂量として1.0〜2.0g/m2が好ましい。
【0101】
グラビアコート法は、ロール表面に設けられた凹部(セル)に満たされたシリコーン含有離型剤を板状キャリアに転写させることによって、板状キャリアの表面に樹脂塗膜を形成させる方法である。具体的には、表面にセルが設けられた下側ロールの下部をシリコーン含有離型剤中に浸漬し、下側ロールの回転によってセル内に樹脂塗料を汲み上げる。そして、下側ロールと、下側ロールの上側に配置された上側ロールとの間に板状キャリアを配置し、上側ロールで板状キャリアを下側ロールに押し付けながら、下側ロールおよび上側ロールを回転させることによって、板状キャリアが搬送されると共に、セル内に汲み上げられた樹脂塗料が板状キャリアの片面に転写(塗布)される。
【0102】
また、板状キャリアの搬入側に、下側ロールの表面に接触するようにドクターブレードを配置することによって、セル以外のロール表面に汲み上げられた過剰なシリコーン含有離型剤が取り除かれ、板状キャリアの表面に所定量のシリコーン含有離型剤が塗布される。なお、セルの番手(大きさおよび深さ)が大きい場合、または、シリコーン含有離型剤の粘度が高い場合には、板状キャリアの片面に形成される樹脂塗膜が平滑になり難くなる。したがって、板状キャリアの搬出側にスムージングロールを配置して、樹脂塗膜の平滑度を維持してもよい。
【0103】
なお、板状キャリアの両面に樹脂塗膜を形成させる場合には、板状キャリアの片面に樹脂塗膜を形成させた後に、板状キャリアを裏返して、再度、下側ロールと上側ロールとの間に配置する。そして、前記と同様に、下側ロールのセル内のシリコーン含有離型剤を板状キャリアの裏面に転写(塗布)する。
【0104】
(焼付け工程)
焼付け工程は、塗布工程で形成された樹脂塗膜に125〜320℃(焼付け温度)で0.5〜60秒間(焼付け時間)の焼付け処理を施す工程である。このように、所定配合量の樹脂塗料で形成された樹脂塗膜に所定条件の焼付け処理を施すことによって、樹脂塗膜により付与される板状キャリアと金属箔との間の接着強度が所定範囲に制御される。本発明において、焼付け温度は板状キャリアの到達温度である。また、焼付け処理に使用される加熱手段としては、従来公知の装置を使用する。
【0105】
焼き付けが不十分となる条件、例えば焼付け温度が125℃未満、または、焼付け時間が0.5秒未満である場合には、樹脂塗膜が硬化不足となり、上記接着強度が200gf/cmを超え、剥離性が低下する。また、焼き付けが過度な条件、例えば焼付け温度が320℃を超える場合には、樹脂塗膜が劣化して、上記接着強度が200gf/cmを超え、剥離時の作業性が悪化する。あるいは、板状キャリアが高温によって変質することがある。また、焼付け時間が60秒を超える場合には、生産性が悪化する。
【0106】
シリコーン含有離型剤は、主剤としてのシリコーンと、硬化剤としてのエポキシ樹脂、メラミン系樹脂と、剥離剤としてのフッ素樹脂と、SiO2、MgO、Al23、BaSO4およびMg(OH)2から選択される1種以上の表面粗化粒子とからなるものであってもよい。このような表面粗化粒子をシリコーン含有離型剤にさらに添加することによって、樹脂塗膜の表面が凹凸となり、この凹凸によって板状キャリアあるいは金属箔が凹凸となり、艶消し表面となる。そして、このような艶消し表面を有する板状キャリアあるいは金属箔を得るためには、シリコーン含有離型剤における表面粗化粒子の配合量(添加量)が、シリコーン100質量部に対して、1〜10質量部であることが好ましい。また、表面粗化粒子の粒子径が15nm〜4μmであることがさらに好ましい。
【0107】
なお、金属箔または樹脂の表面をXPS(X線光電子分光装置)、EPMA(電子線マイクロアナライザ)、EDX(エネルギー分散型X線分析)を備えた走査電子顕微鏡等の機器で測定し、Siが検出されれば、金属箔または樹脂の表面にシラン化合物が存在すると推察することができ、またSが検出されれば、金属箔または樹脂の表面に、分子内に2つ以下のメルカプト基を有する化合物が存在すると推察することができ、またAl、Ti、Zrが検出されれば、金属箔または樹脂の表面に、上記金属アルコキシドが存在すると推察することができる。
【0108】
本発明に係るキャリア付金属箔の製造方法は、以上説明したとおりであるが、本発明を行うにあたり、前記各工程に悪影響を与えない範囲において、前記各工程の間あるいは前後に、他の工程を含めてもよい。例えば、塗布工程の前に板状キャリアの表面を洗浄する洗浄工程を行ってもよい。
【0109】
また、多層プリント配線板の製造過程では、積層プレス工程やデスミア工程で加熱処理することが多い。そのため、キャリア付金属箔が受ける熱履歴は、積層数が多くなるほど厳しくなる。従って、特に多層プリント配線板への適用を考える上では、所要の熱履歴を経た後にも、仮接着領域における金属箔と板状キャリアとの接着強度が先述した範囲にあることが望ましい。
【0110】
従って、本発明の更に好ましい一実施形態においては、多層プリント配線板の製造過程における加熱条件を想定した、例えば220℃で3時間、6時間または9時間のうちの少なくとも一つの加熱後における、金属箔と板状キャリアの仮接着領域における接着強度が、30gf/cm以上であることが好ましく、50gf/cm以上であることがより好ましい。また、当該接着強度が200gf/cm以下であることが好ましく、150gf/cm以下であることがより好ましく、80gf/cm以下であることが更により好ましい。
【0111】
220℃での加熱後の接着強度については、多彩な積層数に対応可能であるという観点から、3時間後および6時間後の両方、または6時間および9時間後の両方において接着強度が上述した範囲を満たすことが好ましく、3時間、6時間および9時間後の全ての接着強度が上述した範囲を満たすことが更に好ましい。
【0112】
本発明において、仮接着領域における金属箔と板状キャリアの間の接着強度は、外周領域を切断して除去した後、JIS C6481に規定される90度接着強度測定方法に準拠して測定する。また、接着領域における金属箔と板状キャリアの間の接着強度は、外周領域を切断した後、外周領域のうちで接着領域を含む切断片に対して、JIS C6481に規定される90度接着強度測定方法に準拠して測定する。接着領域が狭すぎて接着強度を測定するのに足りない場合は、適宜接着強度測定用回路幅を調節して測定を行い、10mm幅における90度接着強度(gf/cm)に換算すればよい。すなわち、測定時の回路幅をw(mm)としたときに、換算値(gf/cm)=接着力測定値(gf)×10/wの換算式で得られる。
【0113】
以下、このような接着強度を実現するための各材料の具体的構成要件について説明する。
【0114】
板状キャリアとなる樹脂としては、特に制限はないが、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂、天然ゴム、松脂等を使用することができるが、熱硬化性樹脂であることが好ましい。また、プリプレグを使用することもできる。金属箔と貼り合わせ前のプリプレグはBステージの状態にあるものがよい。プリプレグ(Cステージ)の線膨張係数は12〜18(×10-6/℃)と、基板の構成材料である銅箔の16.5(×10-6/℃)、またはSUSプレス板の17.3(×10-6/℃)とほぼ等しいことから、プレス前後の基板サイズが設計時のそれとは異なる現象(スケーリング変化)による回路の位置ずれが発生し難い点で有利である。更に、これらのメリットの相乗効果として多層の極薄コアレス基板の生産も可能になる。ここで使用するプリプレグは、回路基板を構成するプリプレグと同じ物であっても異なる物であってもよい。
【0115】
この板状キャリアは、高いガラス転移温度Tgを有することが加熱後の接着強度を最適な範囲に維持する観点で好ましく、例えば120〜320℃、好ましくは170〜240℃のガラス転移温度Tgである。なお、ガラス転移温度Tgは、DSC(示差走査熱量測定法)により測定される値とする。
【0116】
また、樹脂の熱膨張率が、金属箔の熱膨張率の+10%、−30%以内であることが望ましい。これによって、金属箔と樹脂との熱膨張差に起因する回路の位置ずれを効果的に防止することができ、不良品発生を減少させ、歩留りを向上させることができる。
【0117】
板状キャリアの厚みは特に制限はなく、リジッドでもフレキシブルでもよいが、厚すぎるとホットプレス中の熱分布に悪影響がでる一方で、薄すぎると撓んでしまいプリント配線板の製造工程を流れなくなることから、通常5μm以上1000μm以下であり、50μm以上900μm以下が好ましく、100μm以上400μm以下がより好ましい。
【0118】
金属箔としては、銅又は銅合金箔が代表的なものであるが、アルミニウム、ニッケル、亜鉛などの箔を使用することもできる。銅又は銅合金箔の場合、電解箔又は圧延箔を使用することができる。金属箔は、限定的ではないが、プリント回路基板の配線としての使用を考えると、1μm以上、好ましくは5μm以上、および400μ以下、好ましくは120μm以下の厚みを有するのが一般的である。板状キャリアの両面に金属箔を貼り付ける場合、同じ厚みの金属箔を用いても良いし、異なる厚みの金属箔を用いても良い。
【0119】
使用する金属箔には各種の表面処理が施されていてもよい。例えば、耐熱性付与を目的とした金属めっき(Niめっき、Ni−Zn合金めっき、Cu−Ni合金めっき、Cu−Zn合金めっき、Znめっき、Cu−Ni−Zn合金めっき、Co−Ni合金めっきなど)、防錆性や耐変色性を付与するためのクロメート処理(クロメート処理液中にZn、P、Ni、Mo、Zr、Ti等の合金元素を1種以上含有させる場合を含む)、表面粗度調整のための粗化処理(例:銅電着粒やCu−Ni−Co合金めっき、Cu−Ni−P合金めっき、Cu−Co合金めっき、Cu−Ni合金めっき、Cu−Co合金めっき、Cu−As合金めっき、Cu−As−W合金めっき等の銅合金めっきによるもの)が挙げられる。粗化処理が金属箔と板状キャリアの接着強度に影響を与えることはもちろん、クロメート処理も大きな影響を与える。クロメート処理は防錆性や耐変色性の観点から重要であるが、接着強度を有意に上昇させるので、接着層を形成する手段として意義がある。
【0120】
接着領域においては、樹脂と金属箔の接着強度が高いことが望まれるので、例えば、電解銅箔のマット面(M面)を樹脂との接着面とし、粗化処理等の表面処理を施すことによって化学的および物理的アンカー効果による接着力向上が図ることが可能である。また、樹脂側においても、金属箔との接着力をアップするために各種バインダーを添加することもできる。仮接着領域を感光性樹脂などによってマスキングすることにより、接着領域に対して選択的に粗化処理することが可能である。
【0121】
一方、仮接着領域においては、金属箔と板状キャリアの接着強度を先述した好ましい範囲に調節するため、貼り合わせ面の表面粗度を、JIS B 0601:2001に準拠して測定した金属箔表面の十点平均粗さ(Rz jis)で表して、3.5μm以下、更に3.0μm以下とすることが好ましい。但し、表面粗度を際限なく小さくするのは手間がかかりコスト上昇の原因となるので、0.1μm以上とするのが好ましく、0.3μm以上とすることがより好ましい。金属箔として電解銅箔を使用する場合、このような表面粗度に調整すれば、光沢面(シャイニー面、S面)及び粗面(マット面、M面)の何れを使用することも可能であるが、S面を用いた方が上記表面粗度への調整が容易である。一方で、前記金属箔の前記キャリアと接しない側の表面の十点平均粗さ(Rz jis)は、0.4μm以上10.0μm以下であることが好ましい。
【0122】
また、仮接着領域においては、金属箔の板状キャリアとの貼り合わせ面に対しては、粗化処理等接着強度向上のための表面処理は行わないこともできる。また、本発明に係るキャリア付金属箔の好ましい一実施形態においては、仮接着領域においては、板状キャリア中には、金属箔との接着力をアップするためのバインダーは添加されていない。
【0123】
キャリア付金属箔を製造するためのホットプレスの条件としては、板状キャリアとしてプリプレグを使用する場合、圧力30〜40kg/cm2、プリプレグのガラス転移温度よりも高い温度でホットプレスすることが好ましい。
【0124】
さらに、別の観点から、本発明は、上述したキャリア付金属箔の用途を提供する。
第一に、上述したキャリア付金属箔の少なくとも一つの金属箔側に対して、樹脂を積層し、次いで樹脂又は金属箔を1回以上、例えば1〜10回繰り返すことを含む多層積層板の製造方法が提供される。
【0125】
第二に、上述したキャリア付金属箔の金属箔側に、樹脂を積層し、次いで樹脂、片面若しくは両面金属張積層板、又は金属箔を1回以上、例えば1〜10回繰り返す工程を含む多層積層板の製造方法が提供される。
【0126】
上記の多層金属張積層板の製造方法においては、必要に応じて、接着層を介してキャリアと金属箔が接着されている箇所よりも内側部分でキャリア付金属箔を厚み方向に切断することができる。当該切断工程は、本発明の効果を十分に発揮するためには、多層金属張積層板の積層完了後に実施することが好ましいが、積層前や積層途中で行うこともできる。積層途中や積層完了後に切断工程を行う場合は、キャリア付金属箔のみならず、積層された樹脂や基板なども一緒に切断されることになるのが通常である。
【0127】
さらに、前記板状キャリアと金属箔とを剥離して分離した後は、必要に応じて、剥離により露出した金属箔の一部または全部をエッチングにより除去する工程を行っても良い。
【0128】
第四に、上述したキャリア付金属箔の金属箔側にビルドアップ配線層を一層以上積層する工程を含むビルドアップ基板の製造方法が提供される。この際、ビルドアップ配線層はフルアディティブ法又はセミアディティブ法の少なくとも一方を用いて形成することができる。
【0129】
フルアディティブ法とは、導体層に金属箔を使用せず、無電解めっき又は/および電解めっきにより導体パターンを形成する方法であり、セミアディティブ法は、例えば金属箔からなるシード層上に無電解金属析出と、電解めっき、エッチング、又はその両者を併用して導体パターンを形成した後、不要なシード層をエッチングして除去することで導体パターンを得る方法である。
【0130】
上述したキャリア付金属箔の金属箔側に、樹脂を積層し、次いで樹脂、片面若しくは両面配線基板、片面若しくは両面金属張積層板、又は金属箔を1回以上、例えば1〜10回繰り返して積層する工程を含むビルドアップ基板の製造方法が提供される。
【0131】
上記のビルドアップ基板の製造方法においては、片面若しくは両面配線基板、片面若しくは両面金属張積層板、キャリア付金属箔の金属箔、キャリア付金属箔の板状キャリア、又は樹脂に穴を開け、当該穴の側面および底面に導通めっきをする工程を更に含むことができる。また、前記片面若しくは両面配線基板を構成する金属箔、片面若しくは両面金属張積層板を構成する金属箔、及びキャリア付金属箔を構成する金属箔の少なくとも一つに配線を形成する工程を1回以上行うことを更に含むこともできる。
【0132】
上記のビルドアップ基板の製造方法においては、配線形成された表面の上に、片面に金属箔を密着させ、更に本発明に係る別のキャリア付金属箔のキャリア側を積層する工程を更に含むこともできる。また、配線形成された表面の上に、樹脂を積層し、当該樹脂に両面に金属箔を密着させた本発明に係るキャリア付金属箔を積層する工程を更に含むこともできる。なお、「配線形成された表面」とは、ビルドアップを行う過程で都度現れる表面に配線形成された部分を意味し、ビルドアップ基板としては最終製品のものも、その途中のものも包含する。
【0133】
また、上記のビルドアップ基板の製造方法においては、接着層を介してキャリアと金属箔が接着されている箇所よりも内側部分でキャリア付金属箔を厚み方向に切断することができる。当該切断工程は、本発明の効果を十分に発揮するためには、ビルドアップ基板の積層完了後に実施することが好ましいが、積層前や積層途中で行うこともできる。積層途中や積層完了後に切断工程を行う場合は、キャリア付金属箔のみならず、積層された樹脂や基板なども一緒に切断されることになるのが通常である。切断箇所は、配線形成が阻害されたり既に形成された配線が切断されたりしないように、配線形成領域よりも外側とするべきである。
【0134】
前記切断後の内側部分におけるキャリア付金属箔に対しては、板状キャリアと金属箔とを剥離して分離し、露出した金属箔の一部または全部をエッチングにより除去する工程を更に行うこともできる。
【0135】
なお、上述の多層金属張積層板の製造方法およびビルドアップ基板の製造方法において、各層同士は熱圧着を行うことにより積層させることができる。この熱圧着は、一層一層積層するごとに行ってもよいし、ある程度積層させてからまとめて行ってもよいし、最後に一度にまとめて行ってもよい。
【0136】
以下、上述した用途の具体例として、図4を参照しながら、本発明に係るキャリア付金属箔を利用した4層金属張積層板の製法を説明する。ここで使用するキャリア付金属箔は、板状キャリア11cの片面に金属箔11aを本発明に係る方法で密着させたキャリア付金属箔11である。図示しないが、キャリア付金属箔11の板状キャリア11cと金属箔11aの間の界面には、内周部分の仮接着領域とそれを取り囲む外周部分の接着領域が存在する。このキャリア付金属箔上11に、所望枚数のプリプレグ12、次に内層コア13と称する2層金属張積層板、次にプリプレグ12、更にキャリア付金属箔11を順に重ねることで1組の4層金属張積層板の組み立てユニットが完成する。次に、このユニット14(通称「ページ」と言う)を10回程度繰り返し、プレス組み立て物15(通称「ブック」と言う)を構成する。その後、このブック15を積層金型10で挟んでホットプレス機にセットし、所定の温度及び圧力で加圧成型することにより多数の4層金属張積層板を同時に製造することができる。積層金型10としては例えばステンレス製プレートを使用することができる。プレートは、限定的ではないが、例えば1〜10mm程度の厚板を使用することができる。4層以上の金属張積層板についても、一般的には内層コアの層数を上げることで、同様の工程で生産することが可能である。
【0137】
次に、樹脂製の板状キャリア11cの両面に金属箔11aを密着させたキャリア付金属箔11を利用したコアレスビルドアップ基板の製法を例示的に説明する。図5を参照すると、この方法では、キャリア付金属箔11の両側にビルドアップ配線層16を必要数積層した後、接着層を介してキャリアと金属箔が接着されている箇所よりも内側部分でキャリア付金属箔を厚み方向に切断する。そうすると、キャリア付金属箔を構成するキャリアと金属箔は接着力の弱い部分のみで接着されているに過ぎないため、その後、キャリア付金属箔11から両面の金属箔が容易に剥離可能である。
【0138】
例えば、本発明のキャリア付金属箔の金属箔側に、絶縁層としての樹脂、2層回路基板、絶縁層としての樹脂を順に重ね、その上に金属箔側が樹脂と接触するようにして本発明のキャリア付金属箔の金属箔を順に重ねて積層体とすることでビルドアップ基板を製造することができる。
【0139】
また、別の方法としては、樹脂製の板状キャリア11cの両面または片面に金属箔を密着させたキャリア付金属箔の少なくともの一つの金属箔側に対して、絶縁層としての樹脂、導体層としての金属箔を順に積層する。次に、必要に応じて金属箔の全面を、ハーフエッチングして厚みを調整する工程を含めてもよい。次に、積層した金属箔の所定位置にレーザー加工を施して金属箔と樹脂を貫通するビアホールを形成し、ビアホールの中のスミアを除去するデスミア処理を施した後、ビアホール底部、側面および金属箔の全面または一部に無電解めっきを施して層間接続を形成して、必要に応じて更に電解めっきを行う。金属箔上の無電解めっきまたは電解めっきが不要な部分にはそれぞれのめっきを行う前までに予めめっきレジストを形成おいてもよい。また、無電解めっき、電解めっき、めっきレジストと金属箔の密着性が不十分である場合には予め金属箔の表面を化学的に粗化しておいてもよい。めっきレジストを使用した場合、めっき後にめっきレジストを除去する。次に、金属箔および、無電解めっき部、電解めっき部の不要部分をエッチングにより除去することで配線を形成する。このようにしてビルドアップ基板を製造することができる。樹脂、銅箔の積層から配線形成までの工程を複数回繰り返し行ってさらに多層のビルドアップ基板としてもよい。
さらに、このビルドアップ基板の最表面には、本発明の片面に金属箔を密着させたキャリア付金属箔の金属箔の樹脂側を接触させて積層してもよいし、一旦樹脂を積層した後に、本発明の両面に金属箔を密着させたキャリア付金属箔の一方の金属箔を接触させて積層してもよい。
【0140】
ここで、ビルドアップ基板作製に用いる樹脂としては、熱硬化性樹脂を含有するプリプレグを好適に用いることができる。
【0141】
また、別の方法としては、本発明の板状キャリアの片面または両面に金属箔、例えば銅箔を貼り合わせて得られるキャリア付金属箔の金属箔の露出表面に、絶縁層としての樹脂(例えばプリプレグまたは感光性樹脂)を積層する。その後、樹脂の所定位置にビアホールを形成する。樹脂として例えばプリプレグを用いる場合、ビアホールはレーザー加工により行うことができる。レーザー加工の後、このビアホールの中のスミアを除去するデスミア処理を施すとよい。また、樹脂として感光性樹脂を用いた場合、フォトリソグラフィ法によりビアホールを形成部の樹脂を除去することができる。次に、ビアホール底部、側面および樹脂の全面または一部に無電解めっきを施して層間接続を形成して、必要に応じて更に電解めっきを行う。樹脂上の無電解めっきまたは電解めっきが不要な部分にはそれぞれのめっきを行う前までに予めめっきレジストを形成おいてもよい。また、無電解めっき、電解めっき、めっきレジストと樹脂の密着性が不十分である場合には予め樹脂の表面を化学的に粗化しておいてもよい。めっきレジストを使用した場合、めっき後にめっきレジストを除去する。次に、無電解めっき部または電解めっき部の不要部分をエッチングにより除去することで配線を形成する。このようにしてビルドアップ基板を製造することができる。樹脂の積層から配線形成までの工程を複数回繰り返し行ってさらに多層のビルドアップ基板としてもよい。
さらに、このビルドアップ基板の最表面には、本発明の片面に金属箔を密着させたキャリア付金属箔の金属箔の樹脂側を接触させて積層してもよいし、一旦樹脂を積層した後に、本発明の両面に金属箔を密着させたキャリア付金属箔の一方の金属箔を接触させて積層してもよい。
【0142】
このようにして作製された仮のコアレスビルドアップ基板に対しては、めっき工程及び/又はエッチング工程を経て表面に配線を形成し、更にキャリア付金属箔からキャリアを剥離することでビルドアップ配線板が完成する。剥離分離後に露出した金属箔の剥離面に対して、金属箔の一部をエッチングにより除去することにより、配線を形成してもよい。また、全部をエッチングにより除去することも可能である。先述した切断工程は、板状キャリアと銅箔の間で、剥離分離させる直前に実施することもできる。更に、ビルドアップ配線板に電子部品類を搭載することで、プリント回路板が完成する。
【実施例】
【0143】
以下に本発明の実施例を比較例と共に示すが、これらの実施例は本発明及びその利点をよりよく理解するために提供するものであり、発明が限定されることを意図するものではない。
【0144】
複数の電解銅箔(550mm×550mm×厚さ12μm)を準備し、それぞれの電解銅箔のシャイニー(S)面に対して、下記の条件によるニッケル−亜鉛(Ni−Zn)合金めっき処理およびクロメート(Cr−Znクロメート)処理を施し、次いで、実験例の番号に応じてシランカップリング処理を行った。貼り合わせ面(ここではS面)の十点平均粗さ(Rz jis:JIS B 0031(2003)(JIS B0601:2001)に準拠して測定)を1.5μmとした後、実験例の条件に応じて当該S面またはプリプレグ表面に対して離型剤を塗布し、樹脂として南亜プラスティック社製のプリプレグ(FR−4レジン、550mm×550mm×厚さ200μm)を当該電解銅箔のS面と貼り合わせ、170℃で100分ホットプレス加工を行って、キャリア付銅箔を作製した。
【0145】
(ニッケル−亜鉛合金めっき)
Ni濃度 17g/L(NiSO4として添加)
Zn濃度 4g/L(ZnSO4として添加)
pH 3.1
液温 40℃
電流密度 0.1〜10A/dm2
めっき時間 0.1〜10秒
【0146】
(クロメート処理)
Cr濃度 1.4g/L(CrO3またはK2CrO7として添加)
Zn濃度 0.01〜1.0g/L(ZnSO4として添加)
Na2SO4濃度 10g/L
pH 4.8
液温 55℃
電流密度 0.1〜10A/dm2
めっき時間 0.1〜10秒
【0147】
当該S面またはプリプレグへの離型剤の処理に関しては、離型剤の水溶液をスプレーコーターを用いて塗布してから、100℃の空気中で銅箔表面を乾燥させた後、プリプレグとの貼り合わせを行った。離型剤の使用条件について、離型剤の種類、離型剤を水中に溶解させてから塗布する前までの撹拌時間、水溶液中の離型剤の濃度、水溶液中のアルコール濃度、水溶液のpHを表1に示す。
また、当該S面またはプリプレグへのシリコーン含有離型剤を用いた樹脂塗膜の形成は、表1に示した組成を有する樹脂塗膜用の組成物をグラビアコート法により塗布した後、ドクターブレードを用いてその厚みを2〜4μmに調節した。また、塗布した樹脂塗膜は、150℃で、30秒間加熱して焼き付け処理を行った。なお、表1で示したエポキシ系樹脂としてはビスフェノールA型エポキシ樹脂を用い、メラミン系樹脂としてはメチルエーテル化メラミン樹脂を用いた。
離型剤の処理が不要である銅箔およびプリプレグの外周部には、実験例に応じて適宜マスキングを行い、離型剤の処理完了後、マスキングを除去して接着領域を得た。
【0148】
銅箔の貼り合わせ面の種別、表面処理の条件および表面粗さRz jis、離型剤の使用条件、プリプレグの種類、ならびに銅箔とプリプレグとの積層条件は、表1に示したとおりである。
【0149】
また、キャリア付銅箔を、当該キャリア付銅箔に対して回路形成などのさらなる加熱処理の際に熱履歴がかかることを想定して、表1に記載の条件の各熱処理を行った。
【0150】
ホットプレスにより得られたキャリア付銅箔、および更に熱処理を行った後のキャリア付銅箔における、離型剤処理されている中央部分(仮接着領域)の銅箔と板状キャリア(加熱後のプリプレグ)との接着強度を測定した。それぞれの結果を表1に示す。
【0151】
また、剥離作業性を評価するため、仮接着領域を切り出し、それぞれ単位個数当たりの人手による作業時間(時間/個)を評価した。結果を表2に示す。
【0152】
また、金属箔とキャリアの間の界面への薬液の染み込みを評価するため、キャリア付銅箔を市販のデスミア液に浸漬して金属箔とキャリア界面部分の浸食幅の最大値を目視にて確認した。デスミア液としては、日本マクダーミッド株式会社製DS224を用い、液温75℃で25分間処理した。結果を表3に示す。
【0153】
上記条件で作製されたキャリア付金属箔について、外周領域(接着層)の接着強度をJIS C6481に規定される90度接着強度測定方法に準拠して測定した。接着領域が狭すぎて接着強度を測定するのに足りない場合は、先述した方法に従って適宜接着強度測定用回路幅を調節して測定を行い、10mm幅における90度接着強度(gf/cm)に換算した。当該キャリア付金属箔に対して回路形成などのさらなる加熱処理の際に熱履歴がかかることを想定して、表3に記載の条件の熱処理を行った後の接着強度についてもそれぞれ測定した。結果を表3に示す。
【0154】
各実験例における離型剤の処理領域(仮接着領域)、外周部における接着領域の処理方法とこの部分の接着強度を詳述する。
<実験例1、4〜6>
離型剤の処理領域は図2(a)の形態とした。銅箔両端部の接着領域の幅は実験例1で3mm、実験例4で1mm、実験例5で20mm、実験例6で50mmとした。接着領域において接着層として機能するのは銅箔上に形成された前述のクロメート層である。この接着領域の接着強度は360gf/cmで、十分な接着強度を有していた(離型剤を処理していない実験例12に相当)。しかし、キャリア付銅箔を熱処理した時は接着強度が低下する傾向にある。
<実験例2、7〜10>
離型剤の処理領域(仮接着領域)は図2(b)の形態とした。銅箔およびプリプレグ外周部の接着領域の幅は実験例2で3mm、実験例7で1mm、実験例8で20mm、実験例9および10で50mmとした。接着領域において接着層として機能するのは実験例2においては銅箔の上に形成された前述のクロメート層、実験例7〜10においては銅箔の上に形成された前述のクロメート層と、銅箔のクロメート層の上に塗布されたシランカップリング剤である。接着層に用いるシランカップリング剤としては、実験例7では3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、実験例8ではN−2−アミノエチル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、実験例9ではビニルトリメトキシシラン、実験例10では3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランとした。
全てのシランカップリング剤について、2.0体積%水溶液を用い、pH7.0で常温12時間撹拌したものをロールコーターを用いて塗布後、100℃の空気中で5分間乾燥させた。実験例7〜10における強接着部の接着強度は330〜550gf/cmで、十分な接着強度を有する。また、220℃で3時間、6時間、9時間熱処理した後の接着強度についても大部分が200gf/cm以上を維持しており、十分な強度を示した。
<実験例3、11>
離型剤の処理領域(仮接着領域)は図2(c)の形態とした。銅箔およびプリプレグの四隅部の未処理部(接着領域)の形状は直角二等辺三角形とし、直角を挟む2辺の長さが実験例3で5mm、実験例11で30mmとした。未処理部において強接着層として機能するのは実験例1と同様、銅箔の上に処理された前述のクロメート処理層である。この強接着部の接着強度は360gf/cmで、十分な接着強度を有する。しかし、キャリア付銅箔を熱処理した時は接着強度が低下する傾向にある。
<実験例12>
離型剤を銅箔の全面に処理した以外は、実験例2と同一の条件でキャリア付銅箔を製作した。すなわち、外周部の接着強度は中心部と同一となる。この時、薬液染み込み量はキャリア付銅箔、およびこれを熱処理した後の全てで20mm以上と大きく、銅箔とプリプレグの界面への薬液の染み込みを防ぐことができないことが分かった。
【0155】
表によれば、離型剤は、銅箔の表面にて処理しても、板状キャリア(プリプレグ)の表面に処理しても、その後の積層体の接着強度、加熱後の接着強度、剥離作業性において、同等の結果が得られたことがわかる。
【0156】
全ての実施例および比較例において、板状キャリアとの貼り合わせ面とは反対側の銅箔マット(M)面に対して以下の条件で粗化処理、クロメート処理及びエポキシシラン処理を順に行った。その結果、M面の十点平均粗さ(Rz jis:JIS B 0031(2003)(JIS B0601:2001)に準拠して測定)は3.7μmであった。
【0157】
(粗化処理)
Cu濃度 20g/L(CuSO4として添加)
2SO4濃度 50〜100g/L
As濃度 0.01〜2.0g/L(亜ヒ酸として添加)
液温 40℃
電流密度 40〜100A/dm2
めっき時間 0.1〜30秒
【0158】
(クロメート処理)
Cr濃度 1.5g/L(K2Cr2O7として添加)
Zn濃度 0.5g/L(硫酸亜鉛として追加)
pH 3.9 (硫酸と水酸化カリウムを用いて調整)
液温 40℃
電流密度 5A/dm2
めっき時間 1〜5秒
【0159】
(エポキシシラン処理)
処理液:3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン 0.9体積%水溶液
pH5.0〜9.0
12時間常温で攪拌したもの
処理方法:スプレーコーターを用いて処理液を塗布後、100℃の空気中で5分間処理面を乾燥させる。
【0160】
【表1】
【0161】
【表2】
【0162】
【表3】
【0163】
実験例1〜12と同様の条件で、但し、プリプレグの両側に銅箔を積層して作製したキャリア付銅箔の両側に、FR−4プリプレグ(南亜プラスティック社製)、銅箔(JX日鉱日石金属(株)製、JTC12μm(製品名))を順に重ね、3MPaの圧力で170℃・100分間ホットプレスを行い、4層銅張積層板を作製した。
【0164】
次に、前記4層銅張積層板両表面の銅箔とその下の絶縁層(硬化したプリプレグ)を貫通する直径100μmの孔をレーザー加工機を用いて空けた。続いて、前記孔の底部に露出したキャリア付き銅箔上の銅箔表面と、前記孔の側面、前記4層銅張積層板表面の銅箔上に無電解銅めっき、電気銅めっきにより順に銅めっきを行い、キャリア付銅箔上の銅箔と、4層銅張積層板表面の銅箔との間に電気的接続を形成した。次に、4層銅張積層板表面の銅箔の一部を塩化第二鉄系のエッチング液を用いてエッチングし、回路を形成した。このようにして、4層ビルドアップ基板を作製することができる。
【0165】
続いて、前記4層ビルドアップ基板を、前記接着層を介してキャリアと金属箔が接着されている箇所よりも内側部分でキャリア付金属箔を厚み方向に切断した後、前記キャリア付銅箔の板状キャリアと銅箔を機械的に剥離して分離することにより、2組の2層ビルドアップ配線板を得た。
【0166】
各実験例とも複数の4層ビルドアップ基板を作製した後、それぞれについて、キャリア付銅箔を構成するプリプレグと銅箔との密着具合を目視にて確認したところ、比較例のほうがプリプレグと銅箔との界面で剥がれかかった状態のものが、実施例1〜11で得られたものよりも多かった。
また、実施例3、11と実施例1、2、4〜10とを比較すると、実施例1、2、4〜10の方がプリプレグと銅箔との界面で剥がれかかった状態の個数が少なかった。
また、実施例1、4〜6と実施例2、7〜10とを比較すると、実施例2、7〜10の方がプリプレグと銅箔との界面で剥がれかかった状態の個数が少なかった。
また、実施例2、7〜10の各実施例の間で比較すると、実施例7、8、10、9、2の順にプリプレグと銅箔との界面で剥がれかかった状態の個数が少なかった。(すなわち実施例7が最もプリプレグと銅箔との界面で剥がれかかった状態の個数が少なかった。)
【符号の説明】
【0167】
10 積層金型
11 キャリア付金属箔
11a 金属箔
11c 板状キャリア
12 プリプレグ
13 内層コア
14 ページ
15 ブック
16 ビルドアップ配線層
200 金属箔
210 仮接着領域
220 接着領域
230 キャリア付金属箔
240 板状キャリア
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【国際調査報告】