(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO2014057531
(43)【国際公開日】20140417
【発行日】20160825
(54)【発明の名称】車両の油圧制御装置
(51)【国際特許分類】
   F16H 61/00 20060101AFI20160729BHJP
   F16H 59/04 20060101ALI20160729BHJP
   F16H 59/56 20060101ALI20160729BHJP
【FI】
   !F16H61/00
   !F16H59/04
   !F16H59/56
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】23
【出願番号】2014540649
(21)【国際出願番号】JP2012076104
(22)【国際出願日】20121009
(11)【特許番号】5862789
(45)【特許公報発行日】20160216
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KM,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
【住所又は居所】愛知県豊田市トヨタ町1番地
(74)【代理人】
【識別番号】100083998
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 丈夫
(72)【発明者】
【氏名】森野 拓郎
【住所又は居所】愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動車株式会社内
(72)【発明者】
【氏名】森山 修司
【住所又は居所】愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動車株式会社内
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 良雄
【住所又は居所】愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動車株式会社内
【テーマコード(参考)】
3J552
【Fターム(参考)】
3J552MA01
3J552MA06
3J552MA13
3J552NA01
3J552NB01
3J552PA26
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3J552UA07
3J552VA42Z
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3J552VB01
3J552VC01Z
(57)【要約】
エンジン1と、エンジン1により駆動されるオイルポンプ21と、油圧を供給することにより係合してエンジン1と駆動輪2との間の動力伝達経路を接続し、油圧を排出することにより解放して動力伝達経路を遮断するクラッチ機構7と、蓄圧した油圧をクラッチ機構7へ供給可能なアキュムレータ22とを備え、クラッチ機構7に対して供給および排出する油圧を制御するとともに、所定の停止条件が成立した場合に、エンジン1を停止し、かつクラッチ機構7を解放し、所定の復帰条件が成立した場合に、エンジン1を再始動し、かつクラッチ機構7を係合するS&S制御を実行可能な車両Veの油圧制御装置10において、エンジン1が停止した場合に、エンジン1が作動している場合よりもアキュムレータ22とクラッチ機構7との間を流動可能なオイルの流量を増大する油圧回路27を備えている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンと、前記エンジンにより駆動されて油圧を発生するオイルポンプと、油圧が供給されることにより係合して前記エンジンと駆動輪との間の動力伝達経路を接続するとともに、供給されていた油圧を排出することにより解放して前記動力伝達経路を遮断するクラッチ機構と、蓄圧した油圧を吐出して前記クラッチ機構へ供給することが可能な蓄圧装置とを備え、前記オイルポンプおよび前記蓄圧装置を油圧発生源として、前記クラッチ機構へ供給する油圧および前記クラッチ機構から排出する油圧を制御するとともに、所定の停止条件が成立した場合に、前記エンジンを停止し、かつ前記クラッチ機構を解放するとともに、所定の復帰条件が成立した場合に、前記エンジンを再始動し、かつ前記クラッチ機構を係合する前記エンジンの自動停止および再始動制御を実行可能な車両の油圧制御装置において、
前記エンジンが停止した場合に、前記エンジンが作動している場合よりも前記油圧発生源と前記クラッチ機構との間を流動可能なオイルの流量を増大する油圧回路を備えていることを特徴とする車両の油圧制御装置。
【請求項2】
前記油圧回路は、
前記油圧発生源と前記クラッチ機構との間を常時連通させて、前記油圧発生源から前記クラッチ機構へ油圧を供給し、かつ前記クラッチ機構から油圧を排出する第1油路と、
前記油圧発生源と前記クラッチ機構との間を選択的に連通させて、前記油圧発生源から前記クラッチ機構へ油圧を供給し、かつ前記クラッチ機構から油圧を排出する第2油路と、
前記エンジンが作動している場合は、前記第2油路を遮断するとともに、前記エンジンが停止した場合に、前記第2油路を連通して、前記第1油路および前記第2油路を介して前記油圧発生源と前記クラッチ機構との間を連通させる開閉弁と
を備えていることを特徴とする請求項1に記載の車両の油圧制御装置。
【請求項3】
前記油圧回路は、
前記油圧発生源と前記クラッチ機構との間を常時連通させて、前記油圧発生源から前記クラッチ機構へ油圧を供給し、かつ前記クラッチ機構から油圧を排出する第1油路と、
前記油圧発生源と前記クラッチ機構との間を選択的に連通させて、前記油圧発生源から前記クラッチ機構へ油圧を供給し、かつ前記クラッチ機構から油圧を排出する第2油路と、
前記エンジンが作動している場合は、前記第2油路を遮断するとともに、前記クラッチ機構を解放する場合、および前記エンジンを停止した後に再始動する場合に、前記第2油路を連通して、前記第1油路および前記第2油路を介して前記油圧発生源と前記クラッチ機構との間を連通させる電磁弁と
を備えていることを特徴とする請求項1に記載の車両の油圧制御装置。
【請求項4】
前記車両は、シフトポジションとして走行のための走行ポジションとニュートラルポジションとを選択して設定することが可能な自動変速機を搭載していて、
前記電磁弁は、前記シフトポジションが前記走行ポジションから前記ニュートラルポジションへ切り替えられた場合に、前記第2油路を連通する構成を含む
ことを特徴とする請求項3に記載の車両の油圧制御装置。
【請求項5】
前記油圧回路は、
前記油圧発生源から前記クラッチ機構へ油圧を供給し、かつ前記クラッチ機構から油圧を排出するとともに、流路の途中に第1オリフィスが設けられた小流量油路と、
前記油圧発生源から前記クラッチ機構へ油圧を供給し、かつ前記クラッチ機構から油圧を排出するとともに、流路の途中に前記第1オリフィスよりもオリフィス口径が大きい第2オリフィスが設けられた大流量油路と、
前記エンジンが作動している場合は、前記大流量油路を遮断し、かつ前記小流量油路を介して前記油圧発生源と前記クラッチ機構との間を連通させるとともに、前記エンジンが停止した場合に、前記小流量油路を遮断し、かつ前記大流量油路を介して前記油圧発生源と前記クラッチ機構との間を連通させる切替弁と
を備えていることを特徴とする請求項1に記載の車両の油圧制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、燃費の向上や排ガスの低減を目的として、走行中もしくは停車時にエンジンの自動停止および再始動を行うことが可能な車両の油圧制御装置に関するものであり、特に、エンジンの自動停止時および再始動時に、エンジンと駆動輪との間の動力伝達を選択的に遮断するクラッチ機構の動作を制御する油圧制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、燃費の向上や排ガスの低減を目的として、車両が停車した場合や走行中に所定の条件が成立した場合に、エンジンを停止するいわゆるストップ・アンド・スタート制御(S&S制御)を実行する車両が開発されている。このS&S制御は、例えば、アクセルがOFFにされることなどの所定の停止条件が成立することにより、エンジンを自動停止するとともに、アクセルがONにされること、あるいはブレーキがOFFにされることなどの所定の復帰条件が成立することにより、エンジンを再始動する制御である。
【0003】
そのようなS&S制御を実行する場合には、エンジンを自動停止および再始動する際にエンジンの出力トルクの変動が大きくなるので、そのトルク変動に起因したショックや振動が駆動系へ伝搬されてしまうおそれがある。そのため、エンジンの停止時および再始動時には、エンジンと駆動輪との間の動力伝達経路に設けたクラッチ機構を解放し、それらエンジンと駆動輪との間の動力伝達を遮断するようになっている。そして、エンジンの再始動後に、クラッチ機構を係合してエンジンと駆動輪との間を動力伝達可能な状態にするようになっている。
【0004】
通常、上記のようなクラッチ機構の動作は油圧により制御される。そして、その油圧制御のための油圧発生源としては、エンジンの出力トルクによって駆動される機械式のオイルポンプが用いられている。したがって、S&S制御によりエンジンを自動停止させた後に、再びエンジンを始動する際には、エンジンの停止と共にオイルポンプも停止しているので、クラッチ機構を制御するための油圧が低下した状態もしくは油圧がない状態になっている。そのため、上記のようなS&S制御を実行する場合には、エンジンが停止した状態であっても油圧の供給を可能にするために、アキュムレータなどの蓄圧装置が用いられる場合がある。
【0005】
上記のようなアキュムレータを用いた油圧制御装置の一例が、特開2010−151229号公報に記載されている。この特開2010−151229号公報に記載されている車両用駆動装置は、無段変速機の油圧回路において、シフトバルブと前進用クラッチとを接続する第1油路に、電磁開閉弁を介してアキュムレータが接続されている。また、第1油路には、アキュムレータに接続された第2油路が第1油路に接続している分岐点とシフトバルブとの間に、第1油路を遮断する遮断弁が設けられている。そして、オイルポンプが駆動される直前に、電磁開閉弁により第2油路が連通状態にされ、オイルポンプが停止する直前に、電磁開閉弁により第2油路が遮断状態にされるように構成されている。また、アキュムレータから前進用クラッチに油圧が供給される際には、遮断弁により第1油路が遮断状態にされるように構成されている。
【0006】
さらに、この特開2010−151229号公報には、上記の第2油路の途中にオリフィスが設けられていて、そのオリフィスを迂回するように、分岐油路が第2油路と並列に配置された構成、および、その分岐油路の途中に、アキュムレータから前進クラッチへの方向のみにオイルの流動を許容する一方向弁が設けられた構成が記載されている。
【0007】
上記のような特開2010−151229号公報に記載されている構成によれば、エンジンの再始動時にアキュムレータで蓄えられた油圧を利用する際には、一方向弁が設けられた分岐油路を介して、アキュムレータから前進用クラッチに対して速やかに油圧を供給することができる。一方、エンジンによりオイルポンプが駆動されているときには、オリフィスが設けられた第2油路を介して、オイルポンプで発生した油圧がアキュムレータに供給される。その場合、オイルがオリフィスを通過することから、アキュムレータにはゆっくりと油圧が蓄えられることになる。そのため、エンジンの再始動時すなわちオイルポンプの駆動開始時に、そのオイルポンプで発生する油圧を前進用クラッチに速やかに供給することができ、これにより、アキュムレータに要求される容量をさらに小さくすることができる、とされている。
【0008】
しかしながら、上記の特開2010−151229号公報に記載されている構成では、前進用クラッチを解放する際に、前進用クラッチに係合圧として供給されていた油圧をアキュムレータ側へ速やかに戻すことができない場合がある。例えば変速機のシフトポジションがドライブ(D)からニュートラル(N)に切り替えられた場合には、前進用クラッチを速やかに解放する必要がある。ところが、上記のように前進用クラッチの係合圧を抜くのに時間がかかると、DからNへのシフトポジションの切り替えをスムーズに行うことができなくなってしまう場合がある。
【0009】
そのような課題を解消するために、上記の特開2010−151229号公報の構成における分岐油路のようなバイパスの油路に、上記の特開2010−151229号公報の構成とは逆に、前進クラッチからアキュムレータへの方向のみにオイルの流動を許容する一方向弁を設置する構成が考えられる。そうすることにより、前進用クラッチに供給されていた係合圧をアキュムレータ側へ速やかに戻して、前進用クラッチを速やかに解放することができる。しかしながら、この場合は、前進用クラッチを係合する際には、アキュムレータから前進用クラッチへ油圧を供給するのに時間が掛かかっててしまう。その結果、エンジンの再始動時に前進用クラッチを係合する際の応答性能が低くなり、十分な発進応答性を確保できなくなってしまう場合がある。
【0010】
なお、前進用クラッチに油圧を供給する油路に設けられているオリフィスの径を拡大することにより、上記のような前進用クラッチから係合圧を抜くのに要する時間あるいは前進用クラッチへ係合圧を供給するのに要する時間を短縮することができる。しかしながら、上記のようなオリフィスは、例えば前進用クラッチの係合圧を制御するためのソレノイドバルブで生じる油圧の振動もしくは脈動を、前進用クラッチへ伝達させないようにするために設けられている。したがって、オリフィスの口径は、油圧振動や脈動を抑制するために適切な大きさに設定されている。そのため、油圧の応答性能を確保するだけのためにオリフィス口径を拡大すると、ソレノイドバルブの振動や脈動が前進クラッチに伝わり、その結果、前進クラッチの制御性能が低下してしまう。
【0011】
このように、エンジンの自動停止および再始動に連動させてクラッチ機構の係合・解放状態を油圧制御する際に、そのクラッチ機構の油圧制御における良好な応答性能と、スムーズな制御性能とを両立させるには、未だ改良の余地があった。
【発明の概要】
【0012】
この発明は上記の技術的課題に着目してなされたものであり、エンジンの自動停止および再始動を行うS&S制御を実行する際に、そのエンジンの自動停止および再始動に連動させてクラッチ機構を係合および解放させるための油圧制御を、応答性良く、かつスムーズに実行することができる車両の油圧制御装置を提供することを目的とするものである。
【0013】
上記の目的を達成するために、請求項1の発明は、エンジンと、前記エンジンにより駆動されて油圧を発生するオイルポンプと、油圧が供給されることにより係合して前記エンジンと駆動輪との間の動力伝達経路を接続するとともに、供給されていた油圧を排出することにより解放して前記動力伝達経路を遮断するクラッチ機構と、蓄圧した油圧を吐出して前記クラッチ機構へ供給することが可能な蓄圧装置とを備え、前記オイルポンプおよび前記蓄圧装置を油圧発生源として、前記クラッチ機構へ供給する油圧および前記クラッチ機構から排出する油圧を制御するとともに、所定の停止条件が成立した場合に、前記エンジンを停止し、かつ前記クラッチ機構を解放するとともに、所定の復帰条件が成立した場合に、前記エンジンを再始動し、かつ前記クラッチ機構を係合する前記エンジンの自動停止および再始動制御を実行可能な車両の油圧制御装置において、前記エンジンが停止した場合に、前記エンジンが作動している場合よりも前記油圧発生源と前記クラッチ機構との間を流動可能なオイルの流量を増大する油圧回路を備えていることを特徴とする油圧制御装置である。
【0014】
また、請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記油圧回路が、前記油圧発生源と前記クラッチ機構との間を常時連通させて、前記油圧発生源から前記クラッチ機構へ油圧を供給し、かつ前記クラッチ機構から油圧を排出する第1油路と、前記油圧発生源と前記クラッチ機構との間を選択的に連通させて、前記油圧発生源から前記クラッチ機構へ油圧を供給し、かつ前記クラッチ機構から油圧を排出する第2油路と、前記エンジンが作動している場合は、前記第2油路を遮断するとともに、前記エンジンが停止した場合に、前記第2油路を連通して、前記第1油路および前記第2油路を介して前記油圧発生源と前記クラッチ機構との間を連通させる開閉弁とを備えていることを特徴とする油圧制御装置である。
【0015】
また、請求項3の発明は、請求項1の発明において、前記油圧回路が、前記油圧発生源と前記クラッチ機構との間を常時連通させて、前記油圧発生源から前記クラッチ機構へ油圧を供給し、かつ前記クラッチ機構から油圧を排出する第1油路と、前記油圧発生源と前記クラッチ機構との間を選択的に連通させて、前記油圧発生源から前記クラッチ機構へ油圧を供給し、かつ前記クラッチ機構から油圧を排出する第2油路と、前記エンジンが作動している場合は、前記第2油路を遮断するとともに、前記クラッチ機構を解放する場合、および前記エンジンを停止した後に再始動する場合に、前記第2油路を連通して、前記第1油路および前記第2油路を介して前記油圧発生源と前記クラッチ機構との間を連通させる電磁弁とを備えていることを特徴とする油圧制御装置である。
【0016】
さらに、請求項4の発明は、請求項3の発明において、前記車両が、シフトポジションとして走行のための走行ポジションとニュートラルポジションとを選択して設定することが可能な自動変速機を搭載していて、前記電磁弁が、前記シフトポジションが前記走行ポジションから前記ニュートラルポジションへ切り替えられた場合に、前記第2油路を連通する構成を含むことを特徴とする油圧制御装置である。
【0017】
そして、請求項5の発明は、請求項1の発明において、前記油圧回路が、前記油圧発生源から前記クラッチ機構へ油圧を供給し、かつ前記クラッチ機構から油圧を排出するとともに、流路の途中に第1オリフィスが設けられた小流量油路と、前記油圧発生源から前記クラッチ機構へ油圧を供給し、かつ前記クラッチ機構から油圧を排出するとともに、流路の途中に前記第1オリフィスよりもオリフィス口径が大きい第2オリフィスが設けられた大流量油路と、前記エンジンが作動している場合は、前記大流量油路を遮断し、かつ前記小流量油路を介して前記油圧発生源と前記クラッチ機構との間を連通させるとともに、前記エンジンが停止した場合に、前記小流量油路を遮断し、かつ前記大流量油路を介して前記油圧発生源と前記クラッチ機構との間を連通させる切替弁とを備えていることを特徴とする制御装置である。
【0018】
請求項1の発明によれば、エンジンの自動停止および再始動制御の実行に伴い、エンジンを自動停止した場合には、エンジンによって駆動されるオイルポンプに代わって蓄圧装置が油圧発生源となって、クラッチ機構の油圧制御が行われる。そして、その場合にクラッチ機構の係合・解放状態を制御する油圧制御装置が、エンジン停止時に油圧発生源とクラッチ機構との間で流動させることができるオイルの流量がエンジン作動時よりも増えるように構成されている。そのため、エンジン停止時に蓄圧装置で発生させた油圧によってクラッチ機構を係合させる場合に、クラッチ機構へ油圧を供給する際のオイルの流量を確保し、クラッチ機構を応答性良く係合させることができる。それとともに、クラッチ機構から油圧を排出する際のオイルの流量も確保されるので、クラッチ機構を応答性良く解放させることができる。すなわち、クラッチ機構を応答性良く制御することができる。また、エンジン作動時には、オイルポンプが発生させる油圧によってクラッチ機構が適宜制御される。したがって、エンジン停止時の油圧制御の応答性能と、エンジン作動時の油圧制御の制御性能とを適切に両立させることができる。
【0019】
また、請求項2の発明によれば、エンジンを自動停止した場合には、油圧発生源とクラッチ機構との間を常時連通させている第1油路に加えて、第2油路を介しても油圧発生源とクラッチ機構との間が連通される。すなわち、油圧発生源とクラッチ機構との間が、エンジン作動時には第1油路のみによって連通されているのに対して、エンジン停止時には第1油路と第2油路との2系統の油路によって連通される。そのため、エンジンが作動している通常時の油圧制御における制御性能を維持しつつ、エンジン停止時には、油圧発生源とクラッチ機構との間を通常時よりも多くのオイルが流動可能な状態にして、クラッチ機構を応答性良く制御することができる。なお、上記のように、油圧発生源とクラッチ機構との間を第1油路のみによって連通した状態と、油圧発生源とクラッチ機構との間を第1油路と第2油路との2系統の油路によって連通した状態との切り替えは、第2油路に設けた開閉弁の開閉状態を制御することだけによって実行される。そのため、それらの切り替えの際に、油圧発生源とクラッチ機構との間の油圧系統が遮断されることがなく、スムーズな切り替えを行うことができる。
【0020】
また、請求項3の発明によれば、エンジンを自動停止した後に再始動する場合、およびクラッチ機構を解放させる場合には、油圧発生源とクラッチ機構との間を常時連通させている第1油路に加えて、第2油路を介しても油圧発生源とクラッチ機構との間が連通される。すなわち、油圧発生源とクラッチ機構との間が、エンジン作動時には第1油路のみによって連通されているのに対して、エンジンの再始動時、およびクラッチ機構の解放時には、第1油路と第2油路との2系統の油路によって連通される。そのため、エンジンが作動している通常時の油圧制御における制御性能を維持しつつ、エンジンの再始動時、およびクラッチ機構の解放時に、油圧発生源とクラッチ機構との間を通常時よりも多くのオイルが流動可能な状態にして、クラッチ機構を応答性良く制御することができる。なお、上記のように、油圧発生源とクラッチ機構との間を第1油路のみによって連通した状態と、油圧発生源とクラッチ機構との間を第1油路と第2油路との2系統によって連通した状態との切り替えは、第2油路に設けた電磁弁の開閉状態を電気的に制御することだけによって実行される。そのため、それらの切り替えの際に、油圧発生源とクラッチ機構との間の油圧系統が遮断されることがなく、より一層スムーズな切り替えを行うことができる。
【0021】
さらに、請求項4の発明によれば、自動変速機のシフトポジションが走行のためのシフトポジションからニュートラルポジションへ切り替えられた場合に、油圧発生源とクラッチ機構との間を常時連通させている第1油路に加えて、第2油路を介しても油圧発生源とクラッチ機構との間が連通される。すなわち、ニュートラルポジションが選択され、クラッチ機構を解放させる場合には、油圧発生源とクラッチ機構との間が、第1油路と第2油路との2系統の油路によって連通される。そのため、シフトポジションが走行のためのシフトポジションからニュートラルポジションへ切り替えられた場合に、クラッチ機構を速やかに解放させて、そのニュートラル状態への切り替えをスムーズに行うことができる。
【0022】
そして、請求項5の発明によれば、エンジンを自動停止した場合には、油圧発生源とクラッチ機構との間を連通する油路が、流路の途中に設けられたオリフィスの口径が大きい大流量油路に切り替えられる。すなわち、油圧発生源とクラッチ機構との間が、エンジン作動時には、流路の途中に設けられたオリフィスの口径が小さい小流量油路によって連通されているのに対して、エンジン停止時には、小流量油路よりもオリフィス口径が大きい大流量油路に切り替えられて、油圧発生源とクラッチ機構との間が連通される。そのため、エンジンが作動している通常時の油圧制御における制御性能を維持しつつ、エンジン停止時に、油圧発生源とクラッチ機構との間を通常時よりも多くのオイルが流動可能な状態にして、クラッチ機構を応答性良く制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】この発明で制御の対象とする車両の駆動系統および制御系統の一例を示す模式図である。
【図2】この発明に係る油圧制御装置の基本的な構成および油圧系統の一例を示す模式図である。
【図3】この発明に係る油圧制御装置の特徴的な油圧回路の構成の一例を示す模式図である。
【図4】この発明に係る油圧制御装置の特徴的な油圧回路の構成の他の例を示す模式図である。
【図5】この発明に係る油圧制御装置の特徴的な油圧回路の構成の他の例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
次に、この発明を図面を参照して具体的に説明する。先ず、この発明で油圧制御の対象とする車両の駆動系統および制御系統を図1に示してある。この図1に示す車両Veは、エンジン1と、そのエンジン1の出力側に連結されてエンジン1が出力する動力を駆動輪2へ伝達する自動変速機3とを備えている。具体的には、エンジン1の出力軸1a側に、トルクコンバータ4を介して、自動変速機3が設けられている。そして、自動変速機3の出力側に、ドライブシャフト5およびデファレンシャルギヤ6などを介して、駆動輪2が動力伝達可能に連結されている。
【0025】
エンジン1は、車両Veにおける駆動力源であり、例えば、ガソリンエンジンやディーゼルエンジンあるいは天然ガスエンジンなど、燃料を燃焼させて動力を出力する内燃機関である。この図1では、スロットル開度を電気的に制御することが可能な電子制御式のスロットルバルブや、燃料噴射量を電気的に制御することが可能な電子制御式の燃料噴射装置を備えているガソリンエンジンを搭載した例を示している。したがって、このエンジン1は、所定の負荷に対して回転数を電気的に制御することにより、燃費が最も良好な状態で運転することが可能な構成となっている。
【0026】
自動変速機3は、エンジン1が出力するトルクを変速して駆動輪2へ伝達する伝動装置であり、例えば、有段式の自動変速機(AT)、ベルト式やトロイダル式の無段変速機(CVT)、または有段式の手動変速機構をベースにしたデュアルクラッチ式の自動変速機(DCT)や自動クラッチおよび自動シフト式の自動変速機(AMT)などによって構成することができる。そして、この発明における車両Veは、自動変速機3として上記のようないずれの構成の変速機を用いた場合であっても、エンジン1と自動変速機3との間の動力伝達経路を選択的に接続または遮断するクラッチ機構7を備えている。
【0027】
この図1に示す例では、自動変速機3は、例えばベルト式のCVTであり、したがって、ベルトおよびプーリから構成されるベルト変速機構8と、エンジン1から駆動輪2へ伝達するトルクの回転方向を前進方向と後進方向とに切り替えるための前後進切替機構9とが設けられている。この前後進切替機構9は、周知の構成のものであって、前進段を設定する際に係合する前進クラッチと後進段を設定する際に係合する後進ブレーキとが備えられている。すなわち、これら前進クラッチおよび後進ブレーキにより、この発明におけるクラッチ機構7が構成されている。そして、そのクラッチ機構7の係合状態および解放状態をそれぞれ制御することにより、上記のような前進段ならびに後進段、およびニュートラルの状態をそれぞれ選択的に設定するように構成されている。したがって、クラッチ機構7を解放状態にする(すなわち前進クラッチおよび後進ブレーキを共に解放状態にする)ことにより、エンジン1と自動変速機3との間の動力伝達を遮断したニュートラルの状態を設定することができる構成となっている。
【0028】
なお、自動変速機3として有段式のATを用いる場合、例えば一般的なATは、複数のプラネタリーギヤと、前進段を設定する際に係合される前進クラッチと、後進段を設定する際に係合される後進ブレーキとを備えている。なお、特定の前進段を設定する際に係合されるクラッチもしくはブレーキを備えている場合もある。そして、これらの前進クラッチおよび後進ブレーキを全て解放した場合に、自動変速機3におけるニュートラル状態が設定されるように構成されている。すなわち、前進クラッチおよび後進ブレーキを全て解放することにより、エンジン1と自動変速機3との間の動力伝達経路を遮断することができる。したがって、この場合は、上記の前進クラッチおよび後進ブレーキ等により、この発明におけるクラッチ機構を構成することができる。
【0029】
また、自動変速機3としてDCTを用いる場合は、そのDCTに備えられている2つのクラッチを共に解放することにより、エンジン1と自動変速機3との間の動力伝達経路が遮断される。すなわち、自動変速機3においてニュートラル状態が設定される。したがって、この場合は、上記の2つのクラッチにより、この発明におけるクラッチ機構を構成することができる。
【0030】
また、自動変速機3としてAMTを用いる場合は、従来の手動変速機と同様のエンジン1と手動変速機構との間に設けられているクラッチを解放することにより、エンジン1と自動変速機3との間の動力伝達経路が遮断される。すなわち、自動変速機3においてニュートラル状態が設定される。したがって、この場合は、上記のクラッチにより、この発明におけるクラッチ機構を構成することができる。
【0031】
上記の自動変速機3やトルクコンバータ4のロックアップクラッチ(図示せず)等の動作を制御するための油圧制御装置10が設けられている。この油圧制御装置10は、後述するオイルポンプ21およびアキュムレータ22を油圧発生源としていて、自動変速機3のベルト変速機構8、クラッチ機構7、およびトルクコンバータ4のロックアップクラッチ等に、それぞれ、所定の油圧回路を介して接続されている。したがって、この油圧制御装置10によって供給および排出される油圧に基づいて、ベルト変速機構8における変速制御や狭圧力制御、クラッチ機構7の係合・解放制御、およびロックアップクラッチの係合・解放制御などがそれぞれ実行されるようになっている。
【0032】
上記で説明したようなエンジン1の運転状態や油圧制御装置10の動作状態を電気的に制御するための電子制御装置(ECU)11が設けられている。このECU11は、例えばマイクロコンピュータを主体として構成され、入力されたデータや予め記憶しているデータに基づいて演算を行って制御指令信号を出力するように構成されている。例えば、このECU14には、アクセルペダルの踏み込み角もしくは踏み込み量を検出するアクセルセンサ(アクセルスイッチ)、ブレーキペダルの踏み込み角もしくは踏み込み量を検出するブレーキセンサ(ブレーキスイッチ)、エンジン1の出力軸1aの回転速度を検出するエンジン回転数センサなどの各種センサ12からの検出信号が入力されるようになっている。これに対して、ECU14からは、エンジン1の運転状態を制御する信号、油圧制御装置10を介して自動変速機3の変速状態やクラッチ機構7の係合および解放の状態を制御する信号などが出力されるように構成されている。
【0033】
上記のような構成により、この発明における車両Veは、エンジン1の自動停止および再始動制御、すなわちいわゆるS&S制御を実行することが可能になっている。前述したように、S&S制御は、燃費の向上や排ガスの低減のために、例えばブレーキONで停車している場合や減速走行中にアクセルOFFになった場合などのように、所定の停止条件が成立した場合に、エンジン1を自動停止する制御である。そして、エンジン1を自動停止した状態から、例えばブレーキOFFになった場合やアクセルONになった場合などのように、所定の復帰条件が成立した場合に、エンジン1を再始動するようになっている。このようなS&S制御の基本的な制御内容は公知であるため、ここでは詳しい説明は省略する。
【0034】
上記のようなS&S制御が実行される場合は、例えば信号待ちのための停車時や減速走行中に、エンジン1の運転が自動停止させられる。エンジン1が停止する際には、出力トルクの変動が大きくなり、そのトルク変動に起因したショックや振動が駆動系へ伝搬されてしまうおそれがある。そのため、S&S制御によりエンジン1を自動停止させる場合には、クラッチ機構7を解放して、エンジン停止時のショックや振動が駆動系へ伝搬されてしまうことを防止するようになっている。また、エンジン1の自動停止後に、そのエンジン1を再始動する際にも、出力トルクの変動が大きくなる。そのため、エンジン停止時に解放されたクラッチ機構7は、エンジン1の再始動が完了した後に、再び係合されるようになっている。
【0035】
そのようなクラッチ機構7の動作を制御するための油圧制御装置10の基本的な構成を図2に示してある。前述したように、この油圧制御装置10は、油圧発生源として、オイルポンプ21およびアキュムレータ22を備えている。オイルポンプ21は、エンジン1の出力トルクによって駆動されることにより油圧を発生させる機械式のポンプである。また、アキュムレータ22は、エンジン1が作動していてオイルポンプ21が駆動されている際に油圧を蓄圧し、エンジン1の運転が停止していてオイルポンプ21が停止した際に、必要に応じて油圧を供給する蓄圧装置である。
【0036】
そして、油圧制御装置10は、オイルポンプ21で発生させた油圧を、自動変速機3の無段変速部23へ供給する第1油圧系統、ロックアップクラッチの制御系24や被潤滑部25へ供給する第2油圧系統、および、クラッチ機構7へ供給する第3油圧系統を備えている。第1油圧系統は、無段変速部23に対して油圧を給排し、自動変速機3すなわちベルト式無段変速機の変速制御および狭圧力制御を実行するように構成されている。第2油圧系統は、オイルポンプ21で発生させた油圧をプライマリレギュレータバルブ26によって調圧し、例えばロックアップクラッチの制御系24に対して油圧を給排して、ロックアップクラッチの係合および解放制御を実行するように構成されている。また、自動変速機3各部の被潤滑部25へ適宜にオイルを供給するように構成されている。そして、第3油圧系統は、クラッチ機構7に対して油圧を給排し、クラッチ機構7の係合および解放制御を実行するように構成されている。
【0037】
特に、上記の第3油圧系統は、この発明における油圧制御装置10の特徴的構成である油圧回路27を備えている。具体的には、オイルポンプ21の吐出口21oとチェックバルブ28の吸入ポート28iとが、油路29および油路30を介して連通されている。また、チェックバルブ28の吐出ポート28oと油圧回路27の入力部27iとが、油路31を介して連通されている。そして、油圧回路27の出力部27oとクラッチ機構7とが連通されている。なお、油路31の途中には、クラッチコントロールバルブ32およびマニュアルバルブ33が設けられている。それらは、チェックバルブ28に近い側から、クラッチコントロールバルブ32、マニュアルバルブ33の順に配置されている。さらに、油路31におけるチェックバルブ28とクラッチコントロールバルブ32との間に、前述のアキュムレータ22が連通されている。
【0038】
チェックバルブ28は、吸入ポート28iから吐出ポート28oへ向かう方向だけオイルの流動を許容するバルブである。したがって、油路31の油圧は、このチェックバルブ28よりもオイルポンプ21側には逆流しないようになっている。
【0039】
クラッチコントロールバルブ32は、クラッチ機構7を係合させるための係合圧を制御するソレノイドバルブである。例えば、オイルポンプ21から供給された油圧を係合圧に調圧し、クラッチ機構7側へ供給するように構成されている。また、マニュアルバルブ33は、自動変速機3のシフトポジションに応じてクラッチコントロールバルブ32とクラッチ機構7との間の連通状態を切り替えるバルブである。例えば、ドライブ(D)やロー(L)あるいはリバース(R)など走行のためのシフトポジションが選択された場合は、クラッチコントロールバルブ32とクラッチ機構7との間を連通して、クラッチコントロールバルブ32からクラッチ機構7へ係合圧を供給するように構成されている。一方、ニュートラル(N)が選択された場合には、クラッチ機構7をドレーン等に連通して、クラッチ機構7に供給されていた係合圧を排出させるように構成されている。
【0040】
アキュムレータ22は、具体的には、アキュムレータコントロールバルブ34を介して、油路31に連通されている。このアキュムレータコントロールバルブ34は、アキュムレータ22と油路31との間の連通状態を制御して、アキュムレータ22から油圧を吐出する状態およびアキュムレータ22に油圧を蓄圧させる状態を制御するソレノイドバルブである。したがって、アキュムレータコントロールバルブ34を閉じることにより、アキュムレータ22に蓄えられている油圧が保持される。そしてアキュムレータコントロールバルブ34を開くことにより、アキュムレータ22に蓄えられていた油圧を吐出する、もしくはアキュムレータ22に油圧を蓄圧するように構成されている。
【0041】
このように、この発明における油圧制御装置10は、エンジン1により駆動されるオイルポンプ21の他に、アキュムレータ22が油圧発生源として設けられている。したがって、エンジン1が停止させられてオイルポンプ21が停止した場合であっても、上記のアキュムレータコントロールバルブ34の開閉状態を制御することにより、クラッチ機構7へ供給する油圧を制御し、クラッチ機構7の係合・解放状態を制御することが可能な構成になっている。
【0042】
そして、油圧回路27は、クラッチ機構7へ適切に係合圧を供給するため、およびクラッチ機構7から適切に係合圧を排出させるためのものである。この図2には、この発明を未だ適用していない従来の構成を示している。その従来の構成を簡単に説明すると、前述のクラッチコントロールバルブ32およびマニュアルバルブ33が設けられている油路31とクラッチ機構7とが、油路35によって連通されている。その油路35の途中には、オリフィス101が設けられている。また、油路35と並列して、油路31とクラッチ機構7とを連通する油路102が設けられている。その油路102の途中には、ワンウェイオリフィス103が設けられている。
【0043】
オリフィス101は、クラッチ機構7へ供給する係合圧をクラッチコントロールバルブ32で制御する際に発生する油圧の振動や脈動が、クラッチ機構7へ伝達されないようにするために設けられている。したがって、オリフィス101は、そのオリフィス口径が上記の油圧振動や脈動を抑制するための適切な大きさに設定されている。そのため、油路35をオイルが流動する際に、このオリフィス101でオイルの流量が抑制されるようになっている。
【0044】
ワンウェイオリフィス103は、吸入ポート103iが油路102のクラッチ機構7側に連通され、吐出ポート103oが油路102のオイルポンプ21側に連通されている。そして、吸入ポート103iから吐出ポート103oへ向かう方向だけオイルの流動を許容するように構成されている。すなわち、クラッチ機構7から係合圧を排出させる場合だけこのワンウェイオリフィス103が開いて、油路102をオイルが流動するようになっている。したがって、クラッチ機構7から係合圧を排出する際には、クラッチ機構7に係合圧として供給されていたオイルを、油路35と共に油路102を通過させて排出する構成になっている。そのため、クラッチ機構7から係合圧を排出する際のオイルの流量を増やすことができ、クラッチ機構7を速やかに解放することができる。
【0045】
上記のように、オリフィス101やワンウェイオリフィス103が設けられた従来の構成では、クラッチ機構7へ係合圧を供給する油路35に設けられたオリフィス101の作用により、クラッチコントロールバルブ32で発生する油圧の振動や脈動がクラッチ機構7へ伝わってしまうことを抑制することができる。その反面、クラッチ機構7へ係合圧を供給する際には、油路35を流動するオイルの流量がオリフィス101で抑えられることになる。そのため、特にエンジン1が停止していてアキュムレータ22を油圧発生源とする場合に、クラッチ機構7を係合させる際の応答性能が低下してしまう。
【0046】
また、クラッチ機構7から係合圧を排出させる際には、上記のように油路35と、ワンウェイオリフィス103が設けられた油路102との2つの油路を使って係合圧を排出させることができる。しかしながら、その際に油路35を流動するオイルは、クラッチ機構7へ係合圧を供給する場合と同様に、オリフィス101で流量が抑えられることになる。そのため、クラッチ機構7を解放させる際の応答性能も、必ずしも十分ではない場合がある。
【0047】
そこで、この発明における油圧制御装置10では、油圧回路27が、エンジン1が停止した場合に、そのエンジン1が作動している場合よりもアキュムレータ22とクラッチ機構7との間を流動することが可能なオイルの流量が増大するように構成されている。そのような油圧回路27の構成例を、それぞれ、以下の図3,図4,図5を参照して説明する。
【0048】
〔構成例1〕
先ず、図3に示す例は、流路の途中にオリフィス36が設けられた油路37、流路の途中にオリフィス38が設けられた油路39、および、それら油路37と油路39とを選択的に油路31に連通させるチェンジバルブ40により、油圧回路27が構成されている。具体的には、クラッチコントロールバルブ32およびマニュアルバルブ33が設けられている油路31と、クラッチ機構7に連通されている油路35との間に、油路37と油路39とが、互いに並列に配置されている。それら油路37および油路39のクラッチ機構7側の端部が、共に油路35に連通されている。一方、それら油路37および油路39のマニュアルバルブ33側の端部が、チェンジバルブ40を介して、油路31に連通されている。
【0049】
オリフィス36は、前述した従来構成におけるオリフィス101と同様の構成であり、クラッチコントロールバルブ32で生じる油圧の振動や脈動を抑制するために適当なオリフィス口径のものが用いられている。それに対して、オリフィス38には、オリフィス口径がオリフィス36よりも大きなものが用いられている。したがって、オイルが油路39を流動する場合は、油路37を流動する場合よりも、流動可能なオイルの流量が増大するようになっている。
【0050】
チェンジバルブ40は、第1ポート40a、第2ポート40b、ならびに第3ポート40cの3つの入出力ポート、制御信号用の油圧が入力される信号ポート40d、および、弾性力でスプール(図示せず)を押圧するスプリング40sを備えている。第1ポート40aには油路31が連通されている。第2ポート40bには油路37が連通されている。第3ポート40cには油路39が連通されている。そして、信号ポート40dに油圧の入力がなく、スプリング40sの弾性力だけでスプールが押圧されている場合には、第1ポート40aと第3ポート40cとが連通され、かつ第2ポート40bが閉止されるように構成されている。
【0051】
チェンジバルブ40の信号ポート40dには、オイルポンプ21で発生させた油圧を、プライマリレギュレータバルブ26によって調圧したライン圧、あるいは他のソレノイドバルブによって調圧したソレノイドモジュレータ圧などが入力されるように構成されている。そして、ライン圧あるいはソレノイドモジュレータ圧などの油圧が信号ポート40dに入力された場合に、チェンジバルブ40のスプールをスプリング40sの弾性力に対抗して押圧するように構成されている。すなわち、信号ポート40dにライン圧あるいはソレノイドモジュレータ圧が入力されている場合には、第1ポート40aと第2ポート40bとが連通され、かつ第3ポート40cが閉止されるように構成されている。
【0052】
したがって、この図3に示す構成の油圧回路27では、エンジン1が作動している場合、すなわちオイルポンプ21が駆動されて油圧を発生している場合には、チェンジバルブ40の信号ポート40dにライン圧あるいはソレノイドモジュレータ圧などの油圧が入力される。その結果、図3の(a)に示すように、油路31と油路37とが連通される。そして、オイルポンプ21で発生させた油圧は、クラッチコントロールバルブ32で係合圧に調圧された後に、油路31、油路37、オリフィス36、および油路35を通って、クラッチ機構7に供給される。そのため、この図3に示す構成の油圧回路27を備えた油圧制御装置10では、エンジン1の作動時に、オイルポンプ21で発生させた油圧を基にクラッチ機構7を油圧制御する場合に、クラッチコントロールバルブ32などのソレノイドバルブで発生する油圧の振動や脈動を抑制し、その油圧制御をスムーズに実行することができる。
【0053】
一方、エンジン1が停止している場合、すなわちオイルポンプ21は駆動されず油圧を発生していない場合には、チェンジバルブ40の信号ポート40dに油圧が入力されない。その結果、図3の(b)に示すように、油路31と油路39とが連通される。そして、この場合は、オイルポンプ21が停止していることから、アキュムレータ22から吐出された油圧が、クラッチコントロールバルブ32で係合圧に調圧された後に、油路31、油路39、オリフィス38、および油路35を通って、クラッチ機構7に供給される。そのため、オイルポンプ21が停止していることから、アキュムレータ22が吐出する油圧を基にクラッチ機構7を油圧制御する場合であっても、クラッチ機構7に油圧を供給する際のオイルの流量を増やすことができる。その結果、クラッチ機構7の油圧制御を応答性良く実行することができ、クラッチ機構7を速やかに係合させることができる。
【0054】
このように、図3に示す構成の油圧回路27を備えた油圧制御装置10によれば、S&S制御の実行に伴いエンジン1を自動停止した場合には、アキュムレータ22とクラッチ機構7との間が、オリフィス口径が大きいオリフィス38が流路の途中に設けられて大流量のオイルを流動させることが可能な油路39に切り替えられ、連通される。すなわち、アキュムレータ22とクラッチ機構7との間は、エンジン1の作動時には、油圧の振動や脈動の伝搬を防止するため、オリフィス口径が小さいオリフィス36が流路の途中に設けられている油路37によって連通されている。それに対して、エンジン1の停止時には、オリフィス36よりもオリフィス口径が大きいオリフィス38が設けられた油路39に切り替えられて、アキュムレータ22とクラッチ機構7との間が連通される。そのため、エンジン1が作動している通常時の油圧制御における制御性能を維持しつつ、エンジン1の停止時には、容易に、アキュムレータ22とクラッチ機構7との間を通常時よりも多くのオイルが流動可能な状態にして、クラッチ機構7を応答性良く制御することができる。
【0055】
〔構成例2〕
図4に示す例は、流路の途中にオリフィス41が設けられた油路42、および、流路の途中にオン・オフバルブ43およびオリフィス44が設けられた油路45により、油圧回路27が構成されている。具体的には、クラッチコントロールバルブ32およびマニュアルバルブ33が設けられている油路31と、クラッチ機構7に連通されている油路35との間に、油路42と油路45とが、互いに並列に配置されている。それら油路42および油路45のマニュアルバルブ33側の端部が、共に油路31に連通されている。また、それら油路42および油路45のクラッチ機構7側の端部が、共に油路35に連通されている。
【0056】
オリフィス41は、前述した従来構成におけるオリフィス101と同様の構成であり、クラッチコントロールバルブ32で生じる油圧の振動や脈動を抑制するために適当なオリフィス口径のものが用いられている。また、オリフィス44は、アキュムレータ22から吐出される油圧を基にクラッチ機構7を油圧制御する場合に、オリフィス41を通過するオイルの流量と合わせて、その油圧制御を応答性良く実行するために必要なオイルの流量を確保することができる適当なオリフィス口径のものが用いられている。
【0057】
オン・オフバルブ43は、第1ポート43aならびに第2ポート43bの2つの入出力ポート、制御信号用の油圧が入力される信号ポート43c、および、弾性力でスプール(図示せず)を押圧するスプリング43sを備えている。第1ポート43aには、油路45を介して、油路31が連通されている。第2ポート43bには、油路45およびオリフィス44を介して、油路35が連通されている。そして、信号ポート43cに油圧の入力がなく、スプリング43sの弾性力だけでスプールが押圧されている場合に、第1ポート43aと第2ポート43bとが連通されるように構成されている。
【0058】
オン・オフバルブ43の信号ポート43cには、オイルポンプ21で発生させた油圧を、プライマリレギュレータバルブ26によって調圧したライン圧、あるいは他のソレノイドバルブによって調圧したソレノイドモジュレータ圧などが入力されるように構成されている。そして、ライン圧あるいはソレノイドモジュレータ圧などの油圧が信号ポート43cに入力された場合に、オン・オフバルブ43のスプールをスプリング43sの弾性力に対抗して押圧するように構成されている。すなわち、信号ポート43cにライン圧あるいはソレノイドモジュレータ圧が入力されている場合には、第1ポート43aと第2ポート40bとの間が遮断されるように構成されている。
【0059】
したがって、この図4に示す構成の油圧回路27では、エンジン1が作動している場合、すなわちオイルポンプ21が駆動されて油圧を発生している場合には、オン・オフバルブ43の信号ポート43cにライン圧あるいはソレノイドモジュレータ圧などの油圧が入力される。その結果、図4の(a)に示すように、油路45が、オン・オフバルブ43の位置で遮断される。そして、オイルポンプ21で発生させた油圧は、クラッチコントロールバルブ32で係合圧に調圧された後に、油路31、油路42、オリフィス41、および油路35を通って、クラッチ機構7に供給される。そのため、この図4に示す構成の油圧回路27を備えた油圧制御装置10では、エンジン1の作動時に、オイルポンプ21で発生させた油圧を基にクラッチ機構7を油圧制御する場合に、クラッチコントロールバルブ32などのソレノイドバルブで発生する油圧の振動や脈動を抑制し、その油圧制御をスムーズに実行することができる。
【0060】
一方、エンジン1が停止している場合、すなわちオイルポンプ21は駆動されず油圧を発生していない場合には、オン・オフバルブ43の信号ポート43cに油圧が入力されない。その結果、図4の(b)に示すように、油路45およびオリフィス44を介して、油路31と油路35とが連通される。そして、この場合は、オイルポンプ21が停止していることから、アキュムレータ22から吐出された油圧が、クラッチコントロールバルブ32で係合圧に調圧された後に、油路31、油路42、オリフィス41、および油路35を通過する油圧系統と、油路31、油路45、オリフィス44、および油路35を通過する油圧系統との2つの油圧系統を通って、クラッチ機構7に供給される。そのため、オイルポンプ21が停止していることから、アキュムレータ22が吐出する油圧を基にクラッチ機構7を油圧制御する場合であっても、クラッチ機構7に油圧を供給する際のオイルの流量を増やすことができる。その結果、クラッチ機構7の油圧制御を応答性良く実行することができる。すなわち、クラッチ機構7を速やかに係合させることができる。
【0061】
このように、図4に示す構成の油圧回路27を備えた油圧制御装置10によれば、S&S制御の実行に伴いエンジン1を自動停止した場合には、アキュムレータ22とクラッチ機構7との間が、油路31、油路42、オリフィス41、および油路35を通過する油圧系統と、油路31、油路45、オリフィス44、および油路35を通過する油圧系統との2つの油圧系統によって連通される。すなわち、エンジン1を自動停止した場合には、アキュムレータ22とクラッチ機構7との間を常時連通させている油路42に加えて、油路45を介しても、アキュムレータ22とクラッチ機構7との間が連通される。要するに、アキュムレータ22とクラッチ機構2との間が、エンジン1の作動時には、オリフィス41が設けられた油路42のみによって連通されているのに対して、エンジン1の停止時には、油路42を通る経路と、オリフィス44が設けられた油路45を通る経路との2系統の油路によって連通される。そのため、エンジン1が作動している通常時の油圧制御におけるスムーズな制御性能を維持しつつ、エンジン1の停止時には、アキュムレータ22とクラッチ機構7との間を通常時よりも多くのオイルが流動可能な状態にすることができる。その結果、クラッチ機構7へ係合圧を供給する際に適切なオイルの流量を確保し、クラッチ機構7を応答性良く制御することができる。
【0062】
なお、この図4に示す構成の油圧回路27を備えた油圧制御装置10では、上記のように、アキュムレータ22とクラッチ機構7との間を油路42のみによって連通した状態と、アキュムレータ22とクラッチ機構7との間を油路42と油路45との2系統によって連通した状態との切り替えが、油路45に設けられたオン・オフバルブ43の開閉状態を制御することだけによって実行される。そのため、それらの切り替えの際に、アキュムレータ22とクラッチ機構7との間で、油圧の経路が遮断されることがなく、スムーズな切り替えを行うことができる。
【0063】
〔構成例3〕
図5に示す例は、流路の途中にオリフィス46が設けられた油路47、および、流路の途中にソレノイドバルブ48およびオリフィス49が設けられた油路50により、油圧回路27が構成されている。具体的には、クラッチコントロールバルブ32およびマニュアルバルブ33が設けられている油路31と、クラッチ機構7に連通されている油路35との間に、油路47と油路50とが、互いに並列に配置されている。それら油路47および油路50のマニュアルバルブ33側の端部が、共に油路31に連通されている。また、それら油路47および油路50のクラッチ機構7側の端部が、共に油路35に連通されている。なお、油路35には、油路35を通ってクラッチ機構7に供給される係合圧を計測する油圧計51が設けられている。
【0064】
オリフィス46は、前述した従来構成におけるオリフィス101と同様の構成であり、クラッチコントロールバルブ32で生じる油圧の振動や脈動を抑制するために適当なオリフィス口径のものが用いられている。また、オリフィス49は、アキュムレータ22から吐出される油圧を基にクラッチ機構7を油圧制御する場合に、オリフィス46を通過するオイルの流量と合わせて、その油圧制御を応答性良く実行するのに必要なオイルの流量を確保するために適当なオリフィス口径のものが用いられている。
【0065】
ソレノイドバルブ48は、第1ポート48aならびに第2ポート48bの2つの入出力ポート、制御用の電流が通電されるソレノイド部48c、および、弾性力でスプール(図示せず)を押圧するスプリング48sを備えている。第1ポート48aには、油路50を介して、油路31が連通されている。第2ポート48bには、油路50およびオリフィス49を介して、油路35が連通されている。そして、ソレノイド部48cに通電がなく、スプリング43sの弾性力だけでスプールが押圧されている場合には、第1ポート48aと第2ポート48bとの間が遮断されるように構成されている。すなわち、ソレノイドバルブ48は、通電されることにより第1ポート48aと第2ポート48bとを連通して開弁状態となり、また、通電を止めることにより第1ポート48aと第2ポート48bとの間を遮断して閉弁状態となるいわゆるノーマルクローズタイプのバルブによって構成されている。
【0066】
したがって、この図5に示す構成の油圧回路27では、エンジン1が作動している場合は、ソレノイドバルブ48への通電が止められる。その結果、図5の(a)に示すように、油路50が、ソレノイドバルブ48の位置で遮断される。そして、オイルポンプ21で発生させた油圧が、クラッチコントロールバルブ32で係合圧に調圧された後に、油路31、油路47、オリフィス46、および油路35を通って、クラッチ機構7に供給される。そのため、この図5に示す構成の油圧回路27を備えた油圧制御装置10では、エンジン1が作動していてオイルポンプ21で発生させた油圧を基にクラッチ機構7を油圧制御する場合に、クラッチコントロールバルブ32などのソレノイドバルブで発生する油圧の振動や脈動を抑制し、その油圧制御をスムーズに実行することができる。
【0067】
これに対して、エンジン1を自動停止した後に再始動する場合、すなわちオイルポンプ21は駆動されず油圧を発生していない状態で、エンジン1を再始動する場合には、ソレノイドバルブ48に通電される。その結果、図5の(b)に示すように、油路50およびオリフィス49を介して、油路31と油路35とが連通される。そして、この場合は、オイルポンプ21が停止していることから、アキュムレータ22から吐出された油圧が、クラッチコントロールバルブ32で係合圧に調圧された後に、油路31、油路47、オリフィス46、および油路35を通過する油圧系統と、油路31、油路50、オリフィス49、および油路35を通過する油圧系統との2つの油圧系統を通って、クラッチ機構7に供給される。そのため、エンジン1の再始動時に、アキュムレータ22が吐出する油圧を基にクラッチ機構7を油圧制御する場合であっても、クラッチ機構7に対して油圧を給排する際のオイルの流量を増やすことができる。その結果、クラッチ機構7の油圧制御を応答性良く実行することができ、クラッチ機構7を速やかに係合させることができる。
【0068】
そして、クラッチ機構7を解放させる場合、すなわち、クラッチ機構7を係合させている間に供給されていた係合圧をクラッチ機構7から排出させる場合は、上記のエンジン1を再始動する場合と同様に、ソレノイドバルブ48に通電される。その結果、図5の(c)に示すように、油路50およびオリフィス49を介して、油路31と油路35とが連通される。そして、この場合は、例えばマニュアルバルブ33が操作されることにより、油路31がドレーンポートに連通される。したがって、クラッチ機構7に供給されていた係合圧は、油路35、油路47、オリフィス46、および油路31を通過する油圧系統と、油路35、油路50、オリフィス49、および油路31を通過する油圧系統との2つの油圧系統を通って、クラッチ機構7から排出される。そのため、クラッチ機構7を解放させるために、クラッチ機構7から係合圧を排出させる場合に、クラッチ機構7から油圧を排出する際のオイルの流量を増やすことができる。その結果、クラッチ機構7を速やかに解放させることができる。
【0069】
このように、図5に示す構成の油圧回路27を備えた油圧制御装置10によれば、エンジン1を自動停止した後に再始動する場合、およびクラッチ機構7を解放させる場合には、アキュムレータ22とクラッチ機構2との間を常時連通させている油路47に加えて、油路50を介してもアキュムレータ22とクラッチ機構7との間が連通される。すなわち、アキュムレータ22とクラッチ機構7との間が、エンジン1の作動時には油路46のみによって連通されているのに対して、エンジン1の再始動時、およびクラッチ機構7の解放時には、油路47を通る経路と油路50を経路との2系統によって連通される。そのため、エンジン1が作動している通常時の油圧制御における制御性能を維持しつつ、エンジン1の再始動時、およびクラッチ機構7の解放時に、アキュムレータ22とクラッチ機構7との間を通常時よりも多くのオイルが流動可能な状態にして、クラッチ機構7を応答性良く制御することができる。
【0070】
なお、上記のように、アキュムレータ22とクラッチ機構7との間を油路47のみによって連通した状態と、アキュムレータ22とクラッチ機構7との間を油路47と油路50との2系統によって連通した状態との切り替えは、油路50に設けたソレノイドバルブ48の開閉状態を電気的に制御することだけによって実行される。すなわち、ソレノイドバルブ48に通電することだけによって、油路50を連通状態にすることができる。そのため、それらの切り替えの際に、アキュムレータ22とクラッチ機構7との間で油圧の経路が遮断されることがなく、また、容易に、かつスムーズな切り替えを行うことができる。
【0071】
例えば、自動変速機3のシフトポジションが「D」から「N」へ切り替えられた場合に、アキュムレータ22とクラッチ機構7との間を常時連通させている油路47に加えて、油路50を介してもアキュムレータ22とクラッチ機構7との間が連通される。すなわち、シフトポジションとして「N」が選択され、クラッチ機構7を解放させる場合には、ソレノイドバルブ48が通電され、開弁状態にされる。その結果、アキュムレータ22とクラッチ機構7との間が、油路47と油路50との2系統の油路によって連通される。そのため、シフトポジションが「D」から「N」へ切り替えられた場合に、クラッチ機構7を速やかに解放させて、自動変速機3のニュートラル状態への切り替えをスムーズに行うことができる。
【0072】
また、この図5に示す構成のように、ノーマルクローズタイプのソレノイドバルブ48を用いることにより、オイルポンプ21の稼働状態にかかわらず、必要に応じて、応答性良く油圧回路27における切り替えを実行することができる。したがって、上記のように、クラッチ機構7を解放させる場合にも、ソレノイドバルブ48に通電するだけで、容易にクラッチ機構7から係合圧を排出させる際のオイルの流量を増やすことができる。そのため、前述の図2で従来の構成として示したワンウェイオリフィス103を省くことができ、その分、油圧回路27の構成を簡素化することができる。
【0073】
以上のように、この発明に係る車両の油圧制御装置は、S&S制御の実行に伴い、エンジン1を自動停止した場合には、エンジン1によって駆動されるオイルポンプに代わってアキュムレータ22が油圧発生源となって、クラッチ機構7の油圧制御が行われる。そして、その場合にクラッチ機構7の係合・解放状態を制御する油圧制御装置10が、エンジン1の停止時にアキュムレータ22とクラッチ機構7との間で流動させることができるオイルの流量が、エンジン1の作動時よりも増えるように構成されている。
【0074】
そのため、この発明に係る車両の油圧制御装置によれば、エンジン1の停止時にアキュムレータ22から吐出した油圧によってクラッチ機構7を係合させる場合に、クラッチ機構7へ油圧を供給する際のオイルの流量を確保し、クラッチ機構7を応答性良く係合させることができる。それとともに、クラッチ機構7から油圧を排出する際のオイルの流量も確保されるので、クラッチ機構を応答性良く解放させることができる。すなわち、クラッチ機構7を応答性良く制御することができる。また、エンジン1の作動時には、オイルポンプ21が発生させる油圧によってクラッチ機構7が適宜制御される。したがって、エンジン1の停止時の油圧制御の応答性能と、エンジン1の作動時の油圧制御の制御性能とを適切に両立させることができる。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【国際調査報告】