(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO2014057543
(43)【国際公開日】20140417
【発行日】20160825
(54)【発明の名称】熱電変換装置および電子装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 35/32 20060101AFI20160729BHJP
   H01L 35/34 20060101ALI20160729BHJP
   H02N 11/00 20060101ALI20160729BHJP
   H01M 10/0562 20100101ALI20160729BHJP
   H01M 10/052 20100101ALI20160729BHJP
【FI】
   !H01L35/32 A
   !H01L35/34
   !H02N11/00 A
   !H01M10/0562
   !H01M10/052
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】17
【出願番号】2014540680
(21)【国際出願番号】JP2012076213
(22)【国際出願日】20121010
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KM,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC
(71)【出願人】
【識別番号】000005223
【氏名又は名称】富士通株式会社
【住所又は居所】神奈川県川崎市中原区上小田中4丁目1番1号
(74)【代理人】
【識別番号】100087480
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 修平
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼馬 悟覚
【住所又は居所】神奈川県川崎市中原区上小田中4丁目1番1号 富士通株式会社内
(72)【発明者】
【氏名】壷井 修
【住所又は居所】神奈川県川崎市中原区上小田中4丁目1番1号 富士通株式会社内
(72)【発明者】
【氏名】西野 琢也
【住所又は居所】神奈川県川崎市中原区上小田中4丁目1番1号 富士通株式会社内
【テーマコード(参考)】
5H029
【Fターム(参考)】
5H029AJ14
5H029AK03
5H029AL12
5H029AM11
5H029BJ04
5H029BJ12
(57)【要約】
上部電極16と下部電極18との間に設けられたp型熱電材料14とn型熱電材料12とが、前記上部電極と前記下部電極とを介して交互に直列に接続された熱電変換素子10と、前記上部電極と前記下部電極の間に設けられ、前記p型熱電材料および前記n型熱電材料を覆う絶縁層30と、前記上部電極と前記下部電極との間に設けられ、前記絶縁層に覆われた蓄電素子20と、を具備する熱電変換装置。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部電極と下部電極との間に設けられたp型熱電材料とn型熱電材料とが、前記上部電極と前記下部電極とを介して交互に直列に接続された熱電変換素子と、前記上部電極と前記下部電極の間に設けられ、前記p型熱電材料および前記n型熱電材料を覆う絶縁層と、前記上部電極と前記下部電極との間に設けられ、前記絶縁層に覆われた蓄電素子と、を具備することを特徴とする熱電変換装置。
【請求項2】
前記蓄電素子の少なくとも一部は、前記p型熱電材料と前記n型熱電材料との間に設けられていることを特徴とする請求項1記載の熱電変換装置。
【請求項3】
前記絶縁層は、前記上部電極と前記下部電極との間に形成された空洞を備えることを特徴とする請求項1または2記載の熱電変換装置。
【請求項4】
前記蓄電素子の少なくとも一部は、前記空洞に露出していることを特徴とする請求項3記載の熱電変換装置。
【請求項5】
前記絶縁層は、前記蓄電素子を搭載する平坦面を備える第1絶縁層と、前記平坦面と接合し前記空洞を形成する凹部を備える面を備える第2絶縁層と、を含むことを特徴とする請求項3または4記載の熱電変換装置。
【請求項6】
前記蓄電素子は固体二次電池であることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項記載の熱電変換装置。
【請求項7】
前記固体二次電池は、固体電解質を備える固体リチウム二次電池であることを特徴とする請求項6記載の熱電変換装置。
【請求項8】
前記空洞内は真空または不活性ガスが封入されていることを特徴とする請求項3から5のいずれか一項記載の熱電変換装置。
【請求項9】
前記蓄電素子は、前記熱電変換素子が発電した電力を蓄電することを特徴とする請求項1から8のいずれか一項記載の熱電変換装置。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか一項記載の熱電変換装置と、前記熱電変換装置より電力の供給を受ける電子素子と、を具備することを特徴とする電子装置。
【請求項11】
前記電子素子はセンサであることを特徴とする請求項10記載の電子装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱電変換装置および電子装置に関し、例えば蓄電素子を備える熱電変換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、MEMS(Micro Electro Mechanical System)技術を用いた熱電変換装置が注目されている。このような熱電変換装置は、携帯型マイクロエネルギー源、局部冷却デバイスまたはセンサへの適用が検討されている。電力を蓄える蓄電素子を備えた熱電変換装置が知られている(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2009/063805号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
熱電変換素子を小型化すると、熱電変換素子の熱抵抗が小さくなるため、熱電対に大きな温度差を印加できない。また、小型化により、熱電対の直列接続の数が減少する。これらにより、起電力を大きくできなくなる。例えば特許文献1のように蓄電素子を備えた熱電変換装置においては、蓄電素子が熱電変換素子上に配置しているため、熱電対に大きな温度差を印加できない。例えば、熱電対に印加される温度差が1/2になると、熱電変換素子の起電力は1/2となり、電力は1/4となってしまう。
【0005】
本熱電変換装置および電子装置は、熱電変換素子に加わる温度差を大きくすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上部電極と下部電極との間に設けられたp型熱電材料とn型熱電材料とが、前記上部電極と前記下部電極とを介して交互に直列に接続された熱電変換素子と、前記上部電極と前記下部電極の間に設けられ、前記p型熱電材料および前記n型熱電材料を覆う絶縁層と、前記上部電極と前記下部電極との間に設けられ、前記絶縁層に覆われた蓄電素子と、を具備することを特徴とする熱電変換装置を用いる。
【0007】
上記熱電変換装置と、前記熱電変換装置より電力の供給を受ける電子素子と、を具備する電子装置を用いる。
【発明の効果】
【0008】
本熱電変換装置および電子装置によれば、熱電変換素子に加わる温度差を大きくすることを目的とする。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は、実施例1に係る熱電変換装置の断面図である。
【図2】図2(a)は、実施例2に係る熱電変換装置の平面図、図2(b)は、図2(a)のD−D断面図である。
【図3】図3(a)、図3(b)は、それぞれ図2(b)のA−A断面図、B−B断面図である。
【図4】図4は、図2(b)のC−C断面図である。
【図5】図5(a)から図5(e)は、実施例2に係る熱電変換装置の製造方法を示す断面図(その1)である。
【図6】図6(a)から図6(e)は、実施例2に係る熱電変換装置の製造方法を示す断面図(その2)である。
【図7】図7(a)から図7(c)は、シミュレーションに用いた比較例、実施例1および実施例2の模式断面図である。
【図8】図8は、熱電材料12、14の間隔W1に対する熱電変換装置の上下面間の温度差を示す図である。
【図9】図9は、実施例2の変形例にかかる熱電変換装置の断面図である。
【図10】図10は、実施例3に係る電子装置のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照し実施例について説明する。
【実施例1】
【0011】
図1は、実施例1に係る熱電変換装置の断面図である。熱電変換装置100は、熱電変換素子10、蓄電素子20および絶縁層30を備えている。熱電変換素子10は、n型熱電材料12、p型熱電材料14、上部電極16および下部電極18を備えている。p型熱電材料14とn型熱電材料12とは、上部電極16と下部電極18との間に設けられている。p型熱電材料14およびn型熱電材料12は、例えば柱状形状を備えている。上部電極16と下部電極18との温度差により、n型熱電材料12およびp型熱電材料14に起電力が生じる。n型熱電材料12とp型熱電材料14とが、上部電極16と下部電極18とを介して複数個交互に直列に接続されている。これにより、大きな起電力を生成できる。
【0012】
絶縁層30が上部電極16と下部電極18の間に設けられ、p型熱電材料14およびn型熱電材料12を覆っている。絶縁層30は、p型熱電材料14およびn型熱電材料12を補強する部材である。絶縁層30は、製造時および/または使用時における、機械的な衝撃および/または化学的劣化からp型熱電材料14およびn型熱電材料12並びに蓄電素子20を保護する。絶縁層30は、機械強度が大きいことが好ましい。また、p型熱電材料14とn型熱電材料12とを電気的に分離する観点から、絶縁層30は、p型熱電材料14およびn型熱電材料12より電気抵抗率が大きいことが好ましい。さらに、上部電極16と下部電極18との温度差を大きくする観点から、絶縁層30は、p型熱電材料14およびn型熱電材料12より熱伝導率が小さいことが好ましい。
【0013】
蓄電素子20が、上部電極16と下部電極18との間に設けられ、絶縁層30に覆われている。蓄電素子20は、例えば固体二次電池であり、熱電変換素子が発電した電力を蓄電する。
【0014】
実施例1によれば、蓄電素子20が、上部電極16と下部電極18との間に設けられている。このため、熱電変換素子の上に蓄電素子が配置される場合に比べ、上部電極16と下部電極18との間の温度差を大きくできる。よって、熱電変換素子10が生成する起電力を大きくできる。また、絶縁層30がp型熱電材料14およびn型熱電材料12、並びに蓄電素子20を補強することができる。絶縁層30は、補強の観点からp型熱電材料14およびn型熱電材料12の側面全てを覆っていることが好ましい。さらに、絶縁層30が蓄電素子20を封止することができる。さらに、蓄電素子20の少なくとも一部が、p型熱電材料14とn型熱電材料12との間に設けられているため、熱電変換装置100を小型化することができる。
【実施例2】
【0015】
図2(a)は、実施例2に係る熱電変換装置の平面図、図2(b)は、図2(a)のD−D断面図である。図2(a)においては、n型熱電材料12、p型熱電材料14、上部電極16、下部電極18および絶縁層30を図示している。図3(a)、図3(b)および図4は、それぞれ、図2(b)のA−A断面図、B−B断面図およびC−C断面図である。
【0016】
図2(a)に示すように、熱電変換装置102において、下部電極18、p型熱電材料14、上部電極16、n型熱電材料12および下部電極18が直列に複数個接続されている。直列する個数を多くすることにより起電力を大きくできる。図2(b)に示すように、p型熱電材料14およびn型熱電材料12は、例えば円柱または角柱形状である。p型熱電材料14およびn型熱電材料12の下面が下部電極18に電気的に接続し、上面が上部電極16に電気的に接続している。上部電極16および下部電極18は保護膜40により覆われている。保護膜40は、上部電極16および下部電極18を保護する絶縁体である。保護膜40には、上部電極16および/または下部電極18が露出する開口42が形成されている。開口42を介し上部電極16および/または下部電極18と電気的に接続することができる。絶縁層30は、第1絶縁層34と第2絶縁層32とが貼りあわされて形成されている。第1絶縁層34の上面は平坦である。第2絶縁層32の下面は凹部を備える。第1絶縁層34と第2絶縁層32とが貼りあわされた状態で、凹部より空洞36が形成される。蓄電素子20は、空洞36内に配置される。蓄電素子20は、正極26、負極24および固体電解質22を備える。
【0017】
図3(a)に示すように、p型熱電材料14およびn型熱電材料12の周囲に第2絶縁層32が設けられ、他の領域には空洞36が形成されている。図3(b)に示すように、蓄電素子(図3(b)では蓄電素子の固体電解質22を図示)が空洞36内に設けられている。蓄電素子に貫通孔が形成され、貫通孔内をp型熱電材料14およびn型熱電材料12が貫通する。これにより、蓄電素子の面積を大きくできる。図4に示すように、p型熱電材料14およびn型熱電材料12は、第1絶縁層34内に埋め込まれている。空洞36は、複数に分割されていてもよい。蓄電素子は、複数に分割されていてもよい。
【0018】
p型熱電材料14およびn型熱電材料12の水平断面の径は、例えば5μmから100μmであり、例えば50μmとすることができる。p型熱電材料14およびn型熱電材料12の高さは、例えば50μmから500μmであり、例えば300μmとすることができる。径と高さのアスペクト比は例えば2から40である。径は小さい方が高密度化できるが、小さすぎると、機械強度が弱くなるうえ加工が困難となる。高さは大きい方が大きい起電力を生成できるが、高すぎると、機械強度が弱くなる。p型熱電材料14およびn型熱電材料12の機械強度を確保するため、p型熱電材料14およびn型熱電材料12うち上部電極16および下部電極18に接する箇所の径を大きくすることもできる。例えば、この箇所の径を最小径より1μmから20μm(例えば5μm)大きくしてもよい。
【0019】
p型熱電材料14は、例えばp型半導体材料であり、Bi0.3Sb1.7Te、酸化物熱電材料(例えばCaCo等)、シリサイド(MnSi1.7)またはスクッテルダイト等を用いることができる。n型熱電材料12は、例えばn型半導体材料であり、BiTe、酸化物熱電材料(例えばNaCoOまたはAZO等)、シリサイド(Mg2Si)または、スクッテルダイト等を用いることができる。絶縁層30には、感光性ガラスを用いることができる。絶縁層30に、樹脂等の有機材料を用いてもよいが、耐熱性の観点からは無機材料が好ましい。感光性ガラスとして例えばPEG3(HOYA製)を用いることができる。第1絶縁層34および第2絶縁層32の膜厚は例えば400μmとすることができる。空洞36は、例えば高さ50μm、幅50μmである。
【0020】
蓄電素子20は、例えば固体リチウム2次電池である。正極26としては、例えば膜厚が100nmのコバルト酸リチウム(LiCoO)を用いる。負極24としては、例えば膜厚が100nmの金属リチウムを用いる。固体電解質22としては、例えば膜厚が1μmの硫化物材料を用いる。負極24の材料および固体電解質22は、水分により劣化するため、空洞36内は、真空または不活性ガス(窒素または希ガス等)雰囲気であることが好ましい。なお、固体リチウム2次電池以外の場合であっても、蓄電素子20の封止のため、空洞36は、真空または不活性ガス雰囲気であることが好ましい。
【0021】
上部電極16および下部電極18は、例えば、p型熱電材料14およびn型熱電材料12に接する側からTiおよびAuの積層膜、またはTiおよびCuの積層膜等の金属等である。保護膜40は、熱伝導率が高く電気抵抗率が高い材料が好ましく、例えば窒化アルミニウム、酸化アルミニウム、パリレンまたは樹脂を用いることができる。
【0022】
図5(a)から図6(e)は、実施例2に係る熱電変換装置の製造方法を示す断面図である。図5(a)を参照し、2枚の感光性ガラス基板を、第1絶縁層34および第2絶縁層32として準備する。図5(b)を参照し、クロム等の遮光部62を備えるマスク60を介し、第1絶縁層34および第2絶縁層32に紫外線露光を行なう。例えば500℃の温度で1時間の熱処理および590℃の温度で2時間の熱処理を行う。これにより、紫外線が照射された領域に変質領域64が形成される。図5(c)を参照し、第2絶縁層32の空洞を形成する領域にフォトレジスト67のパターンを形成する。
【0023】
図5(d)を参照し、第1絶縁層34および第2絶縁層32を純水で希釈したフッ酸に浸漬する。これにより、変質領域64がエッチングされ、貫通孔66が形成される。片面にフォトレジスト67を形成した領域にはフッ酸が浸透しないため、凹部68が形成される。その後フォトレジスト67を除去する。なお、2回エッチングすることにより、貫通孔66と凹部68とを作り分けてもよい。図5(e)を参照し、第1絶縁層34上に蓄電素子20を形成する。蓄電素子20の形成は、例えば正極、固体電解質および負極をそれぞれステンシルマスクを介したスパッタリング法を用いて形成する。
【0024】
図6(a)を参照し、第1絶縁層34と第2絶縁層32との貫通孔66が連通し、貫通孔39が形成され、かつ蓄電素子20上に空洞36が形成されるように、第1絶縁層34と第2絶縁層32とを接合する。第1絶縁層34と第2絶縁層32との接合には、例えばガラスフリット法を用いることができる。図6(b)を参照し、貫通孔39内に、p型熱電材料14およびn型熱電材料12を充填する。p型熱電材料14およびn型熱電材料12として、例えば粒径が略200nmのBi0.3Sb1.7TeおよびBiTeを充填する。充填方法としては、例えばエアロゾルデポジション法を用いる。エアロゾルデポジション法は、微細かつ高アスペクト比の開口に粉体材料を充填するのに適した方法である。p型熱電材料14を充填する際には、n型熱電材料12用の貫通孔39をステンシルマスクを用い保護する。n型熱電材料12を充填する際には、p型熱電材料14用の貫通孔39をステンシルマスクを用い保護する。ステンシルマスクは、シルコン基板等を用い予め作製しておく。その後、熱処理および/またはプレスを行うことにより、p型熱電材料14およびn型熱電材料12の熱電特性を向上させる。例えば、p型熱電材料14およびn型熱電材料12を不活性ガス雰囲気中において400℃の温度で1時間熱処理する。その後、絶縁層30の上下面をそれぞれ研磨し、上下面を平坦化する。なお、貫通孔39の開口が大きい場合またはアスペクト比が小さい場合は、エアロゾルデポジション法の代わりにホットプレス法を用いてもよい。
【0025】
図6(c)を参照し、絶縁層30の下面に下部電極18、上面に上部電極16を形成する。下部電極18および上部電極16の形成には、スパッタリング法、真空蒸着法またはインクジェット描画法等を用いることができる。図6(d)を参照し、絶縁層30の上下面に下部電極18および上部電極16を覆うように保護膜40を形成する。保護膜40の形成には、スパッタリング法またはCVD(Chemical Vapor Deposition)法を用いることができる。図6(e)を参照し、保護膜40に下部電極18および/または上部電極16を露出する開口42を形成する。
【0026】
次に、実施例2における上部電極16と下部電極18との間の温度差をシミュレーションした。図7(a)から図7(c)は、シミュレーションに用いた比較例、実施例1および実施例2の模式断面図である。図7(a)から図7(c)に示すように、熱電変換装置を熱源50とヒートシンク52との間に配置する。図7(a)に示すように、比較例においては、蓄電素子20が熱電変換素子上に配置される。図7(b)に示すように、実施例1においては、絶縁層30内に蓄電素子20が配置される。図7(c)に示すように、実施例2においては、絶縁層30内に空洞36が設けされている。空洞36の体積は絶縁層30の体積の1/4とした。
【0027】
シミュレーションの条件は以下である。
熱源50とヒートシンク52との間の温度差:10K
蓄電素子20の熱抵抗:20W/K
ヒートシンク52の熱抵抗:20W/K
熱電変換装置の厚さH:400μm
熱電変換装置の面積:1cm
熱電材料12、14の径W2:50μm
熱電材料12、14の熱伝導率:1.5(W/m/K)
絶縁層30の熱伝導率:0.8(W/m/K)
空洞36の熱伝導率:0.02(W/m/K)
上部電極16、下部電極18および保護膜40については無視した。
【0028】
図8は、熱電材料12、14の間隔W1に対する熱電変換装置の上下面間の温度さを示す図である。図8においては、さらに、間隔W1に対し、単位面積当りの熱電材料の密度を示している。図8に示すように、間隔W1を小さくすることにより、熱電材料12、14の密度が大きくなる。一方、温度差は、間隔W1が小さくなると小さくなる。これは、熱電材料12、14の熱伝導率が絶縁層30より大きいためである。実施例1は、比較例に対し温度差が大きくなる。これは、実施例1においては、蓄電素子20を上部電極16と下部電極18との間に設けたためである。さらに、実施例2は実施例1に比べ温度差が大きくなる。これは、絶縁層30内に空洞36を設けたためである。
【0029】
実施例2によれば、蓄電素子20の少なくとも一部は、p型熱電材料14とn型熱電材料12との間に設けられた空洞36に露出している。これにより、図8のように、上部電極16と下部電極18との間の温度差を大きくできる。さらに、蓄電素子20を空洞36において封止できる。
【0030】
また、絶縁層30は、第1絶縁層34と第2絶縁層32を備えている。第1絶縁層34は、蓄電素子20を搭載する平坦面を備える。第2絶縁層32は、第1絶縁層34の平坦面と接合し空洞36を形成する凹部を備える面を備える。これにより、図5(e)および図6(a)のように、蓄電素子20を簡単に空洞36内に配置することができる。
【0031】
図9は、実施例2の変形例にかかる熱電変換装置の断面図である。図9に示すように、熱電変換装置104は、第2絶縁層32を複数備えている。第2絶縁層32には空洞36が形成され、蓄電素子20は、空洞36内に設けられている。このように、第2絶縁層32を2層以上積層し、蓄電素子20を2層以上積層してもよい。その他の構成は、実施例2と同じであり、説明を省略する。また、実施例2の変形例の製造方法は、実施例2と同様であり、説明を省略する。
【0032】
例えば、蓄電素子20が固体二次電池であるである場合、水分等による劣化を抑制するため蓄電素子20を空洞36内に封止することが好ましい。例えば、固体二次電池が、固体電解質を備える固体リチウム二次電池である場合、特に、水分による劣化が生じ易く、空洞36内に封止することが好ましい。
【実施例3】
【0033】
実施例3は、実施例1または実施例2に係る熱電変換素子を用いた電子装置の例である。図10は、実施例3に係る電子装置のブロック図である。電子装置として複合センサ装置を説明する。図10を参照し、複合センサ装置82は、熱電変換装置100、電力制御回路70、センサ72、演算素子74、送信回路(Tx)76、受信回路(Rx)78およびアンテナ80を備えている。熱電変換装置100は、実施例1または実施例2の熱電変換装置であり。熱電変換素子10および蓄電素子20を備えている。熱電変換素子10は、例えば廃熱または体温から発電する。蓄電素子20は、熱電変換素子10が発電した電力を蓄電する。電力制御回路70は、センサ72、演算素子74、送信回路76および受信回路78に出力する電力を制御する。センサ72は、被センシング量を検出する。被センシング量としては、温度、湿度、心拍数等である。演算素子74はセンサ72の出力を演算する。また、演算素子74は、指示情報に応じセンサ72および電力制御回路70に指示する。送信回路76は、センサ72の結果をアンテナ80を介し送信する。受信回路78は、アンテナ80を介し指示情報等を受信する。
【0034】
実施例3のように、実施例1または2の熱電変換装置100を複合センサ装置82の電源として使用する。これにより、センサ72および無線送信に用いる電力を自給自足でき、メンテナンスフリーなセンサノードを実現できる。
【0035】
実施例3においては、複合センサ装置に熱電変換装置を用いる例を示したが、その他の電子装置に実施例1または2に係る熱電変換装置を用いてもよい。例えば、熱電変換装置より電力の供給を受ける電子素子は、センサ72以外でもよい。
【0036】
以上、本発明の実施例について詳述したが、本発明は係る特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0037】
10 熱電変換素子
12 n型熱電材料
14 p型熱電材料
16 上部電極
18 下部電極
20 蓄電素子
22 固体電解質
24 負極
26 正極
30 絶縁層
32 第2絶縁層
34 第1絶縁層
36 空洞
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】

【手続補正書】
【提出日】20150409
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部電極と下部電極との間に設けられたp型熱電材料とn型熱電材料とが、前記上部電極と前記下部電極とを介して交互に直列に接続された熱電変換素子と、
前記上部電極と前記下部電極の間に設けられ、前記p型熱電材料および前記n型熱電材料を覆う絶縁層と、
前記上部電極と前記下部電極との間に設けられ、前記絶縁層に覆われた蓄電素子と、を具備することを特徴とする熱電変換装置。
【請求項2】
前記蓄電素子の少なくとも一部は、前記p型熱電材料と前記n型熱電材料との間に設けられていることを特徴とする請求項1記載の熱電変換装置。
【請求項3】
前記絶縁層は、前記上部電極と前記下部電極との間に形成された空洞を備えることを特徴とする請求項1または2記載の熱電変換装置。
【請求項4】
前記蓄電素子の少なくとも一部は、前記空洞に露出していることを特徴とする請求項3記載の熱電変換装置。
【請求項5】
前記絶縁層は、前記蓄電素子を搭載する平坦面を備える第1絶縁層と、前記平坦面と接合し前記空洞を形成する凹部を備える面を備える第2絶縁層と、を含むことを特徴とする請求項3または4記載の熱電変換装置。
【請求項6】
前記蓄電素子は固体二次電池であることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項記載の熱電変換装置。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項記載の熱電変換装置と、前記熱電変換装置より電力の供給を受ける電子素子と、を具備することを特徴とする電子装置。

【手続補正書】
【提出日】20160118
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部電極と下部電極との間に設けられたp型熱電材料とn型熱電材料とが、前記上部電極と前記下部電極とを介して交互に直列に接続された熱電変換素子と、
前記上部電極と前記下部電極の間に設けられ、前記p型熱電材料および前記n型熱電材料を覆う絶縁層と、
前記熱電変換素子が発電した電力を蓄電し、前記上部電極と前記下部電極との間に設けられ、前記絶縁層に覆われた蓄電素子と、を具備することを特徴とする熱電変換装置。
【請求項2】
前記蓄電素子の少なくとも一部は、前記p型熱電材料と前記n型熱電材料との間に設けられていることを特徴とする請求項1記載の熱電変換装置。
【請求項3】
前記絶縁層は、前記上部電極と前記下部電極との間に形成された空洞を備えることを特徴とする請求項1または2記載の熱電変換装置。
【請求項4】
前記蓄電素子の上面の全ては、前記空洞に露出していることを特徴とする請求項3記載の熱電変換装置。
【請求項5】
上部電極と下部電極との間に設けられたp型熱電材料とn型熱電材料とが、前記上部電極と前記下部電極とを介して交互に直列に接続された熱電変換素子と、
前記上部電極と前記下部電極の間に設けられ、前記p型熱電材料および前記n型熱電材料を覆う絶縁層と、
前記上部電極と前記下部電極との間に設けられ、前記絶縁層に覆われた蓄電素子と、
を具備し、
前記絶縁層は、前記上部電極と前記下部電極との間に形成された空洞を備え、前記蓄電素子を搭載する平坦面を備える第1絶縁層と、前記平坦面と接合し前記空洞を形成する凹部を備える面を備える第2絶縁層と、を含むことを特徴とす熱電変換装置
【請求項6】
上部電極と下部電極との間に設けられたp型熱電材料とn型熱電材料とが、前記上部電極と前記下部電極とを介して交互に直列に接続された熱電変換素子と、
前記上部電極と前記下部電極の間に設けられ、前記p型熱電材料および前記n型熱電材料を覆う絶縁層と、
前記上部電極と前記下部電極との間に設けられ、前記絶縁層に覆われた蓄電素子と、
を具備し、
前記蓄電素子は固体二次電池であることを特徴とする熱電変換装置
【請求項7】
上部電極と下部電極との間に設けられたp型熱電材料とn型熱電材料とが、前記上部電極と前記下部電極とを介して交互に直列に接続された熱電変換素子と、前記上部電極と前記下部電極の間に設けられ、前記p型熱電材料および前記n型熱電材料を覆う絶縁層と、前記上部電極と前記下部電極との間に設けられ、前記絶縁層に覆われた蓄電素子と、を備える熱電変換装置と、前記熱電変換装置より電力の供給を受ける電子素子と、を具備することを特徴とする電子装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0006】
上部電極と下部電極との間に設けられたp型熱電材料とn型熱電材料とが、前記上部電極と前記下部電極とを介して交互に直列に接続された熱電変換素子と、前記上部電極と前記下部電極の間に設けられ、前記p型熱電材料および前記n型熱電材料を覆う絶縁層と、前記熱電変換素子が発電した電力を蓄電し、前記上部電極と前記下部電極との間に設けられ、前記絶縁層に覆われた蓄電素子と、を具備することを特徴とする熱電変換装置を用いる。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0007】
上部電極と下部電極との間に設けられたp型熱電材料とn型熱電材料とが、前記上部電極と前記下部電極とを介して交互に直列に接続された熱電変換素子と、前記上部電極と前記下部電極の間に設けられ、前記p型熱電材料および前記n型熱電材料を覆う絶縁層と、前記上部電極と前記下部電極との間に設けられ、前記絶縁層に覆われた蓄電素子と、を備える熱電変換装置と、前記熱電変換装置より電力の供給を受ける電子素子と、を具備することを特徴とする電子装置を用いる。
【国際調査報告】