(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO2014057544
(43)【国際公開日】20140417
【発行日】20160825
(54)【発明の名称】回転電機、及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H02K 1/18 20060101AFI20160729BHJP
   H02K 15/02 20060101ALI20160729BHJP
【FI】
   !H02K1/18 C
   !H02K15/02 D
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】21
【出願番号】2014540681
(21)【国際出願番号】JP2012076220
(22)【国際出願日】20121010
(11)【特許番号】5805330
(45)【特許公報発行日】20151104
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KM,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC
(71)【出願人】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
【住所又は居所】東京都千代田区丸の内二丁目7番3号
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【弁理士】
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100122437
【弁理士】
【氏名又は名称】大宅 一宏
(74)【代理人】
【識別番号】100147566
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100161171
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 潤一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100161115
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 智史
(72)【発明者】
【氏名】瀧口 隆一
【住所又は居所】東京都千代田区丸の内二丁目7番3号 三菱電機株式会社内
(72)【発明者】
【氏名】小松 孝教
【住所又は居所】東京都千代田区丸の内二丁目7番3号 三菱電機株式会社内
(72)【発明者】
【氏名】森田 友輔
【住所又は居所】東京都千代田区丸の内二丁目7番3号 三菱電機株式会社内
(72)【発明者】
【氏名】磯野 祐輔
【住所又は居所】東京都千代田区丸の内二丁目7番3号 三菱電機株式会社内
【テーマコード(参考)】
5H601
5H615
【Fターム(参考)】
5H601AA09
5H601BB10
5H601CC01
5H601CC15
5H601DD02
5H601DD10
5H601DD11
5H601DD18
5H601DD23
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5H601GA02
5H601GA23
5H601GA33
5H601GA37
5H601GA40
5H601GB05
5H601GB12
5H601GB33
5H601GB48
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5H601GC32
5H601GD02
5H601GD08
5H601GD12
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5H601GD22
5H601JJ04
5H601KK01
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5H615AA01
5H615BB01
5H615BB07
5H615BB14
5H615PP01
5H615SS03
5H615SS05
5H615SS20
(57)【要約】
この発明に係る回転電機は、各分割コアブロック毎に軸線方向に分割コアブロックをボスに締結しているボルトの締結力で生じた傾斜面からの径内側方向の反力が中継部材を通じて各分割コアブロックをハウジングの外周面に押圧しているので、製造効率が大幅に向上する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
周方向に間隔を空けて形成された複数のティースを有するリング状の固定子コア、及び各前記ティースに導線が巻回された構成された固定子巻線を含む固定子と、
この固定子の外径側に固定子を囲って回転可能に設けられた回転子と、
前記固定子コアの内径側に、固定子コアの内周面に外周面が接触して設けられたハウジングと、を備え、
前記固定子コアは、径方向に沿って複数に分割された分割コアブロックで構成された回転電機であって、
各前記分割コアブロックには、前記ハウジングの前記外周面側に蟻溝形状のコアブロック溝が軸線方向に沿って形成され、
前記ハウジングには、径外側方向に突出して、前記固定子コアの軸線方向の一方の端面と対向するとともに前記コアブロック溝と同軸線上にハウジング溝を有するボスが形成され、
前記コアブロック溝には、前記ハウジング溝の傾斜面に面接触した先端面を有する中継部材が嵌入され、
各前記分割コアブロック毎に前記軸線方向に分割コアブロックを前記ボスに締結している締結部材の締結力で生じた前記傾斜面からの径内側方向の反力が前記中継部材を通じて各前記分割コアブロックを前記ハウジングの前記外周面に押圧していることを特徴とする回転電機。
【請求項2】
前記中継部材は、前記分割コアブロックの軸線に対してその中心から垂直方向に延びた中心線を境にして前記先端面と反対側に肉薄の段差部が形成され、
前記段差部では、前記先端面での前記反力により生じるモーメントを抑制する反力を受けるようになっていることを特徴とする請求項1に記載の回転電機。
【請求項3】
前記先端面と反対側の前記コアブロック溝の奥側には、前記中継部材を前記傾斜面側に付勢した弾性部材が設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の回転電機。
【請求項4】
複数の中継部材は、前記ハウジング溝に収まった連結部を通じて連結されていることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の回転電機。
【請求項5】
周方向に間隔を空けて形成された複数のティースを有するリング状の固定子コア、及び各前記ティースに導線が巻回された構成された固定子巻線を含む固定子と、
この固定子の外径側に固定子を囲って回転可能に設けられた回転子と、
前記固定子コアの内径側に、固定子コアの内周面に外周面が接触して設けられたハウジングと、を備え、
前記固定子コアは、径方向に沿って複数に分割された分割コアブロックで構成された回転電機であって、
各前記分割コアブロックには、前記ハウジングの前記外周面側に蟻溝形状のコアブロック溝が軸線方向に沿って形成され、
前記ハウジングには、径外側方向に突出して前記固定子コアの軸線方向の一方の端面と対向したボスが形成され、
前記固定子コアの軸線方向の他方の端面側には、前記コアブロック溝と同軸線上に押圧部材溝を有する押圧部材が設けられ、
前記コアブロック溝には、前記押圧部材溝の傾斜面に面接触した先端面を有する中継部材が嵌入され、
前記押圧部材及び前記分割コアブロックを前記軸線方向に前記ボスに締結している締結部材の締結力で生じた前記傾斜面からの径内側方向の反力が前記中継部材を通じて各前記分割コアブロックを前記ハウジングの前記外周面に押圧していることを特徴とする回転電機。
【請求項6】
前記ボスには、前記コアブロック溝と同軸線上であって前記中継部材の前記先端面と反対側の基端面と面接触した傾斜面を有するハウジング溝が形成され、
前記基端面では、前記先端面での前記反力により生じるモーメントを抑制する反力を受けるようになっていることを特徴とする請求項5に記載の回転電機。
【請求項7】
前記先端面と反対側の前記コアブロック溝の奥側には、前記中継部材を前記傾斜面側に付勢した弾性部材が設けられていることを特徴とする請求項5または6に記載の回転電機。
【請求項8】
複数の中継部材は、前記押圧部材溝に収まった連結部を通じて連結されていることを特徴とする請求項5〜7の何れか1項に記載の回転電機。
【請求項9】
前記コアブロック溝は、隣接した前記分割コアブロックを跨いで形成されていることを特徴とする請求項1〜8の何れか1項に記載の回転電機。
【請求項10】
前記ボスと前記固定子コアの軸線方向の一方の前記端面とは面接触していることを特徴とする請求項1〜9の何れか1項に記載の回転電機。
【請求項11】
前記回転電機は、エレベータ装置の巻上機用の電動機であることを特徴とする請求項1〜10の何れか1項に記載の回転電機。
【請求項12】
請求項1〜11の何れか1項に記載の回転電機の製造方法であって、
素材を打ち抜き、前記分割コアブロックの構成要素である薄板鋼板部を形成する工程と、
各前記薄板鋼板部を積層して前記分割コアブロックを形成する工程と、
各前記分割コアブロックを前記ハウジングの周囲に配置して分割コアブロック集合体を形成した後、各分割コアブロックを外径側から内径側にハウジングに対して押圧するように、リング状の締付治具を分割コアブロック集合体に嵌入する工程と、
隣接した各分割コアブロック同士を溶接により接続する工程と、
各前記コアブロック溝にそれぞれ前記中継部材を嵌入する工程と、
を備えたことを特徴とする回転電機の製造方法。
【請求項13】
各前記薄板鋼板部は、前記素材の板厚の等しい領域から打ち抜いて形成されていることを特徴とする請求項12に記載の回転電機の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、固定子コアが複数に分割された分割コアブロックで構成された固定子を有する回転電機、及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の外転型の電動機として、複数の分割コアブロックを連結ハウジングと蟻溝結合により結合して一つに連結されて構成された固定子コアを有する電動機が知られている(例えば、特許文献1参照)。
この場合、連結ハウジングは、分割コアブロックの構成要素である積層鋼板よりも柔らかな材料で形成され、蟻溝結合に存在する結合ギャップが埋まって無くなるように連結ハウジング側の前記蟻溝結合部分が塑性変形されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−169431号公報(段落0022〜段落0024、図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記構成の電動機では、連結ハウジングの凸部が、分割コアブロックの凹部よりも周方向の幅、径方向の高さが何れも小さく、さらに固定子コアの内径よりも連結ハウジングの外径寸法を小さくしなければならず、それぞれの寸法管理が面倒である。
しかも、分割コアブロック、連結ハウジングを組立てた状態で例えばポンチを用いて連結ハウジングを塑性変形させる必要があるため、温度上昇等を考慮して連結ハウジングの寸法管理をしなければならず、製造効率が悪いという問題点があった。
【0005】
この発明は、かかる問題点を解決することを課題とするものであって、隣接した各分割コアブロック同士を、分割コアブロックをハウジングに締結する締結部材の締結力を用いて結合することで簡単に連結することができ、製造効率が大幅に向上した回転電機、及びその製造方法を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係る回転電機は、
周方向に間隔を空けて形成された複数のティースを有するリング状の固定子コア、及び各前記ティースに導線が巻回された構成された固定子巻線を含む固定子と、
この固定子の外径側に固定子を囲って回転可能に設けられた回転子と、
前記固定子コアの内径側に、固定子コアの内周面に外周面が接触して設けられたハウジングと、を備え、
前記固定子コアは、径方向に沿って複数に分割された分割コアブロックで構成された回転電機であって、
各前記分割コアブロックには、前記ハウジングの前記外周面側に蟻溝形状のコアブロック溝が軸線方向に沿って形成され、
前記ハウジングには、径外側方向に突出して、前記固定子コアの軸線方向の一方の端面と対向するとともに前記コアブロック溝と同軸線上にハウジング溝を有するボスが形成され、
前記コアブロック溝には、前記ハウジング溝の傾斜面に面接触した先端面を有する中継部材が嵌入され、
各前記分割コアブロック毎に前記軸線方向に分割コアブロックを前記ボスに締結している締結部材の締結力で生じた前記傾斜面からの径内側方向の反力が前記中継部材を通じて各前記分割コアブロックを前記ハウジングの前記外周面に押圧している。
【0007】
また、この発明に係る回転電機は、
周方向に間隔を空けて形成された複数のティースを有するリング状の固定子コア、及び各前記ティースに導線が巻回された構成された固定子巻線を含む固定子と、
この固定子の外径側に固定子を囲って回転可能に設けられた回転子と、
前記固定子コアの内径側に、固定子コアの内周面に外周面が接触して設けられたハウジングと、を備え、
前記固定子コアは、径方向に沿って複数に分割された分割コアブロックで構成された回転電機であって、
各前記分割コアブロックには、前記ハウジングの前記外周面側に蟻溝形状のコアブロック溝が軸線方向に沿って形成され、
前記ハウジングには、径外側方向に突出して前記固定子コアの軸線方向の一方の端面と対向したボスが形成され、
前記固定子コアの軸線方向の他方の端面側には、前記コアブロック溝と同軸線上に押圧部材溝を有する押圧部材が設けられ、
前記コアブロック溝には、前記押圧部材溝の傾斜面に面接触した先端面を有する中継部材が嵌入され、
前記押圧部材及び前記分割コアブロックを前記軸線方向に前記ボスに締結している締結部材の締結力で生じた前記傾斜面からの径内側方向の反力が前記中継部材を通じて各前記分割コアブロックを前記ハウジングの前記外周面に押圧している。
【0008】
また、この発明に係る回転電機の製造方法は、
素材を打ち抜き、分割コアブロックの構成要素である薄板鋼板部を形成する工程と、
前記薄板鋼板部を積層して前記分割コアブロックを形成する工程と、
各前記分割コアブロックを前記ハウジングの周囲に配置して分割コアブロック集合体を形成した後、各分割コアブロックを外径側から内径側にハウジングに対して押圧するように、リング状の締付治具を分割コアブロック集合体に嵌入する工程と、
隣接した各分割コアブロック同士を溶接により接続する工程と、
各前記コアブロック溝にそれぞれ前記中継部材を嵌入する工程と、
を備えている。
【発明の効果】
【0009】
この発明に係る回転電機によれば、隣接した各分割コアブロック同士を、分割コアブロックをハウジングに締結する締結部材の締結力を用いて結合することで、簡単に連結することができ、製造効率が大幅に向上する。
【0010】
また、この発明に係る回転電機の製造方法によれば、リング状の締結治具を分割コアブロック集合体に嵌入することで、固定子と、固定子の外径側に配置された回転子との間のギャップを周方向において簡単に等しくことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】この発明の実施の形態1の電動機を用いたエレベータ装置を示す構成図である。
【図2】図1の巻上機を示す上半断面図である。
【図3】図2のIII-III線に沿った矢視断面図である。
【図4】図3のIV-IV線に沿った矢視断面図である。
【図5】図3の分割コアブロックにコイル部を巻装する様子を示す図である。
【図6】図3のVI-VI線に沿った矢視断面図である。
【図7】この発明の実施の形態1の電動機の第1の変形例を示す断面図である。
【図8】この発明の実施の形態1の電動機の第2の変形例を示す断面図である。
【図9】図8の電動機の使用態様を示す断面図である。
【図10】この発明の実施の形態1の中継部材の変形例を示す斜視図である。
【図11】この発明の実施の形態2の電動機を示す要部断面図である。
【図12】図11のXII-XII線に沿った矢視断面図である。
【図13】この発明の実施の形態2の電動機の変形例を示す断面図である。
【図14】この発明の実施の形態3の電動機を示す要部断面図である。
【図15】図14のXV-XV線に沿った矢視断面図である。
【図16】この発明の実施の形態3の変形例を示す要部断面図である。
【図17】この発明の実施の形態4の電動機を示す要部断面図である。
【図18】図17のXVIII-XVIII線に沿った矢視断面図である。
【図19】この発明の実施の形態1の電動機の製造方法の一工程を示す要部断面図である。
【図20】この発明の実施の形態3の電動機の製造方法の一工程を示す要部断面図である。
【図21】打ち抜き工程での実施の形態1の薄板鋼板部の素材での配置図である。
【図22】実施の形態1の薄板鋼板部の積層配置を示す図である。
【図23】図22のXXIII-XXIII線に沿った矢視断面図である。
【図24】打ち抜き工程での実施の形態1の薄板鋼板部と異なる例の薄板鋼板部の素材での配置図である。
【図25】図24の薄板鋼板部の異なる配置を示す図である。
【図26】隣接した分割コアブロックにおいてそれぞれ異なる板厚の薄板鋼板部が積層されたときの要部断面図である。
【図27】隣接した分割コアブロックにおいて同一の板厚の薄板鋼板部が積層されたときの要部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、この発明の各実施の形態について図に基づいて説明するが、各図において、同一、または相当部材、部位については、同一符号を付して説明する。
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1の電動機1を用いたエレベータ装置2を示す斜視図である。
このエレベータ装置2は、電動機1、綱車3及びブレーキ(図示せず)を有する巻上機4と、綱車3に巻掛けられたロープ5と、ロープ5の一端部に取付けられたかご6と、ロープ5の他端部に取付けられた釣合おもり7とを備えている。
【0013】
このエレベータ装置2では、ブレーキでの制動が解除されるとともに、電動機1が駆動され、綱車3が回転することで、かご6及び釣合おもり7がつるべ式に昇降する。
また、電動機1への通電を遮断し、ブレーキが駆動することで、かご6及び釣合おもり7は停止し、保持される。
【0014】
図2は、図1の巻上機4を示す上半断面図である。
この巻上機4の電動機1は、円筒形状の外枠9と、中心軸線上に設けられた固定軸10と、この固定軸10と外枠9とを連結したハウジング8と、ハウジング8の外周面に設けられた固定子11と、この固定子11の外径側に固定子11を囲って回転可能に設けられた回転子12と、を備えている。ここで、外枠9、固定軸10及びハウジング8は一体で形成されている。
固定子11は、ハウジング8の外周面に全周にわたって内周面が接触して設けられた固定子コア13と、この固定子コア13に巻装された固定子巻線14と、を備えている。
回転子12は、円筒形状の回転子コア15と、この回転子コア15の内周面に周方向に間隔を空けて固定された複数個の永久磁石16と、を備えている。
【0015】
巻上機4のブレーキ17は、外枠9に取付けられているとともに、回転子コア15に対面したブレーキパッド18を有している。
【0016】
巻上機4の綱車3は、固定軸10に軸受19を介して回転自在に設けられたボス20と、回転子コア15の片側から軸線方向に延び外周面に綱溝21が形成されたリム22と、リム22とボス20とを連結したリブ23と、を備えている。
【0017】
この巻上機4は、固定子巻線14に通電することで、固定子11には回転磁界が生じ、この回転磁界に連動して回転子12、及び回転子12と一体の綱車3が回転する。
一方、ブレーキ17では、固定子巻線14への通電が遮断されると同時に、ブレーキパッド18は、回転子コア15の外周面を押圧し、回転子12の回転は停止する。
【0018】
図3は、図2の固定子11のIII-III線に沿った矢視断面図である。
固定子11の固定子コア13は、薄板鋼板部を軸線方向に積層して構成されている。
この固定子コア13は、ハウジング8に固定されたリング状のコアバック24と、このコアバック24から周方向に等分間隔であって径方向に突出したティース25と、を有している。各ティース25には、導線が巻回された、固定子巻線14の構成要素であるコイル部26が設けられている。
この固定子コア13は、ティース25毎に分割された複数の分割コアブロック27から構成されている。
各分割コアブロック27には、内周側であって周方向の片側に隣接した分割コアブロック27同士を回動可能に連結したジョイント部28が設けられている。
また、各分割コアブロック27には、ハウジング8の外周面43側に開口した、蟻溝形状のコアブロック溝29が形成されている。このコアブロック溝29には、中継部材30が嵌入されている。コアブロック溝29の外径側には、締結部材であるボルトが貫通するボルト穴31が形成されている。
【0019】
図4は、図3のジョイント部28のIV-IV線に沿った矢視断面図である。
分割コアブロック27は、第1の薄板鋼板部32と第2の薄板鋼板部33とが交互に積層されて構成されている。
第1の薄板鋼板部32の内径側であって周方向の一方の片側には、凹凸部34が形成されている。第2の薄板鋼板部33の内周側であって周方向の他方の片側にも、凹凸部34が形成されている。第1の薄板鋼板部32及び第2の薄板鋼板部33は、それぞれの凹凸部34が嵌合して軸線方向に積層されている。
第1の薄板鋼板部32及び第2の薄板鋼板部33は、ジョイント部28の凹凸部34を中心にして回動する。
なお、第1の薄板鋼板部32及び第2の薄板鋼板部33は、それぞれ複数枚ずつ交互に積層してもよい。
【0020】
図5は、図3の分割コアブロック27にコイル部26を巻装する様子を示す図である。
この巻装時には、ジョイント部28を中心に隣接した分割コアブロック27は回動し、ティース25間のスロット35の周方向の寸法が拡大している。
従って、巻線治具であるノズル36を通じて、ティース25に導線を巻回してコイル部26を形成することが容易であり、高密度の固定子巻線14が製造される。
【0021】
図6は、図3の分割コアブロック27のVI-VI線に沿った矢視断面図である。
ハウジング8には、径外側方向に突出したボス37が形成されている。このボス37には、各分割コアブロック27の片側(綱車3と反対側)の内径部と対面している。このボス37には、分割コアブロック27のコアブロック溝29と同軸線上であって奥面に傾斜面38を有したハウジング溝39が形成されている。
コアブロック溝29には、先端面40が傾斜した中継部材30が嵌入されている。この中継部材30は、その先端面40がハウジング溝39の傾斜面38と面接触しており、また先端面40と反対側の面がコアブロック溝29の奥側の垂直面41と面接触している。
また、分割コアブロック27のボルト穴31には、先端部がハウジング8のボス37に螺着した締結部材であるボルト42が貫通している。
【0022】
この際、ボルト42の軸線方向の締結力により、ハウジング溝39の傾斜面38では、矢印aの方向に反力が生じており、この反力のうち、中継部材30には径内側方向(矢印b)の分力が作用している。
従って、この中継部材30は、蟻溝形状のコアブロック溝29に嵌入されているので、その分力がそのまま分割コアブロック27をハウジング8の外周面43を押圧する力として作用する。
【0023】
なお、図6では、ボス37と分割コアブロック27との間に隙間44があるが、この隙間44に薄板円環状のスペーサ(図示せず)を介在させ、隙間44を無くすことで次のような効果を得ることができる。
即ち、電動機1の駆動により、回転子12の回転方向に作用するトルクに対して、分割コアブロック27には、反力として回転子12の回転方向と反対方向に力が作用する。この反力を、スペーサを介してハウジング8のボス37でも支えることになり、それだけ反力が分散されることになり、中継部材30に作用する反力は小さくなり、中継部材30の小型化が可能となる。
【0024】
このように、ボルト42の締結力及び中継部材30を利用して、外転型の電動機1の固定子コア13の各分割コアブロック27を内径方向に付勢してハウジング8の外周面43に固定することで、固定子コア13をハウジング8に簡単に結合することができ、従来のものと比較して製造効率が大幅に向上する。
また、隣接した分割コアブロック27の周方向に生じる隙間が抑制され、電動機1の性能が確保される。
また、固定子11は、ハウジング8にボルト42で固定されており、ボルト42の締結力を調整することで必要固定強度を簡単に得ることができる。
【0025】
図7は、実施の形態1の電動機1の第1の変形例を示す断面図である。
この変形例では、コアブロック溝29は、分割コアブロック27の軸線方向の全長にわたって形成されている。この中継部材30は、分割コアブロック27の中心線Cを境にして先端部40と反対側に肉薄の段差部46が形成されている。
この段差部46がコアブロック溝29の内壁面と面接触するように、コアブロック溝29は軸線方向に形成されている。
【0026】
この第1の変形例では、図6の電動機1と同様に、中継部材30には、矢印bの方向に生じた径内側方向の分力と、この分力の作用点と分割コアブロック27の中心線Cとの間の距離Lとの積により、図7において反時計方向に第1のモーメントが生じる。
この第1のモーメントに対して、中継部材30の段差部46には、コアブロック溝29の内壁面から矢印cの方向に反力を受け、第1のモーメントを相殺する第2のモーメントが生じる。
従って、この変形例では、ハウジング8に分割コアブロック27を安定して固定することができ、またボルト42を用いて締結する締結作業性が向上する。
【0027】
図8は、実施の形態1の電動機1の第2の変形例を示す断面図である。
この変形例では、中継部材30の先端面40と反対側の端面と、コアブロック溝29の奥側の垂直面41との間に、弾性部材47が介在している。
図6の電動機1の場合には、ボス37と分割コアブロック27との間の隙間44は、中継部材30の全長により定まり、ボス37に分割コアブロック27の内径部位が面接触した状態でハウジング8に分割コアブロック27を組付けることに対して困難性が伴う。
これに対して、この第2の変形例では、中継部材30の軸線方向のバラツキにより生じる隙間44は、弾性部材47を介在させたことでそのバラツキを吸収することができ、隙間44が生じない。
即ち、ボルト42を締付けることで、弾性部材47の弾性力に逆らって分割コアブロック27をハウジング8のボス37に接近させ、図9に示すように隙間44を無くすことができ、分割コアブロック27は、ボス37と面接触した状態でボルト42によりハウジング8に締結される。
この結果、ボス37と分割コアブロック27との間にスペーサを介在させることなく、電動機1の駆動により生じる分割コアブロック27に対する反力を、ハウジング8のボス37も支え、それだけ反力が分散されることになり、中継部材30に作用する反力は小さくなり、中継部材30の小型化が可能となる。
【0028】
なお、各中継部材30は、その先端部が各ハウジング溝39にそれぞれ収納されているが、図10に示すように、複数の中継部材30を連結部48で連結してもよい。この場合、連結部48はハウジング溝39に収まっており、またこの連結部48には、ハウジング溝39の傾斜面38に面接触した、傾斜した先端面49が形成されている。
また、この連結部48は、全周にわたって形成されたリング状のものであってもよい。
【0029】
また、ボルト42の軸線方向の締結力の一部が中継部材30を介在させることで内径方向の力として作用し、各分割コアブロック27をハウジング8の外周面43を押圧し、固定することができるので、隣接した分割コアブロック27同士を連結するジョイント部28がない固定子コアであってもよい。
この場合、各ティース25に導線を巻回してコイル部26を巻装する際に、ジョイント部28で連結された隣接したティース25に邪魔されることなく巻線作業をすることができる。
【0030】
実施の形態2.
図11は、この発明の実施の形態2の電動機1を示す要部断面図(図3に対応)、図12は図11のXII-XII線に沿った矢視断面図である。
この実施の形態では、各分割コアブロック27には、蟻溝形状のコアブロック溝29が軸線方向に全長にわたって形成されている。また、このコアブロック溝29の外径側にはボルト42が貫通する穴31が形成されている。
分割コアブロック27とボルト42の頭部との間に周方向にティース25、3個分の領域まで周方向に延びた押圧部材50が設けられている。
この押圧部材50には、分割コアブロック27のコアブロック溝29と同軸線上であって奥面に傾斜面51を有し、また外周面43側に開口した押圧部材溝52が形成されている。押圧部材溝52の外径側には、ボルト42が貫通するボルト穴53が形成されている。
【0031】
コアブロック溝29には、傾斜した先端面56を有する中継部材30が嵌入されている。この中継部材30は、その先端面56が押圧部材溝52の傾斜面51と面接触しており、先端面56と反対側の垂直面54がボス37の周側面55の内径側部位と面接触している。
【0032】
ボルト42は、押圧部材50のボルト穴53及び分割コアブロック27のボルト穴31を貫通し、その先端部がハウジング8のボス37に螺着している。
【0033】
この実施の形態の電動機1によれば、ボルト42による締結力が傾斜した先端面56を有する中継部材30により、矢印bに示す内径方向の反力が作用する。
中継部材30は、蟻溝形状のコアブロック溝29に嵌入されているので、その反力は、中継部材30を通じて分割コアブロック27に伝わり、分割コアブロック27は、ハウジング8の外周面43に押圧され、周方向に隣接した分割コアブロック27の周方向に生じる隙間を抑制することができ、電動機1の性能が向上する。
【0034】
また、各中継部材30の軸線方向の長さが、同じ軸線方向長さの中継部材30を押圧部材50単位で揃えるものの、別の押圧部材50では、異なる長さの中継部材30が用いられる場合がある。
このような場合において、各押圧部材50単位で各中継部材30の傾斜した先端面56に各押圧部材50の傾斜面51を当接させて、上記反力を各中継部材30を通じてハウジング8の外周面43に伝えることができる。
【0035】
また、実施の形態1の電動機1の場合では、分割コアブロック27は、軸線方向の全長にわたって同一形状のコアブロック溝29が形成されていない。
これに対して、この実施の形態2の電動機1によれば、中継部材30の先端面56と面接触する傾斜面51が押圧部材50の押圧部材溝52に形成されており、分割コアブロック27は、軸線方向の全長にわたって蟻溝形状のコアブロック溝29が形成されている。
即ち、分割コアブロック27を構成する薄板鋼板部32,33を形成する打ち抜き金型の数を実施の形態1の分割コアブロック27の薄板鋼板部を形成する打ち抜き金型の数と比較して少なくてよく、製造コストが低減され、また作業性が向上する。
【0036】
なお、各分割コアブロック27単位で押圧部材50を用いてもよいし、各中継部材30の軸線方向の全長が同一の場合には、各押圧部材50を連結してリング状のものにしてもよい。
また、中継部材30の全長を定めることにより、分割コアブロック27の一面をボス37に面接触させ、他面を押圧部材50に面接触させることができる。
また、中継部材30の全長により、ボス37と分割コアブロック27との間に隙間が生じる場合には、組付け作業時に、作業者がボス37に分割コアブロック27を面接触させるようにしてもよい。
また、図8に示した弾性部材47を中継部材30とボス37との間に介在させてもよい。
また、図10に示した連結部48を用いて複数の中継部材30を連結するようにしてもよい。
【0037】
図13は、実施の形態2の変形例を示す要部断面図(図12に対応)である。
この変形例では、ボス37の内径側部位に、実施の形態1のものと同様に、ハウジング溝39が形成されている。
即ち、分割コアブロック27のコアブロック溝29と同軸線上であって奥面に傾斜面38を有したハウジング溝39が形成されている。
コアブロック溝29、ハウジング溝39及び押圧部材溝52に収まった中継部材30は、一端部に傾斜面51に面接触した先端面56が形成されており、他端部に傾斜面38に面接触した基端面64が形成されている。
【0038】
この変形例では、実施の形態1の第1の変形例(図7)と同様に、分割コアブロック27の中心線Cを境にして、矢印bの方向に生じた径内側方向の分力による反時計方向に作用する第1のモーメントと、矢印cの方向に生じた径内側方向の分力による時計方向に作用する第2のモーメントとが相殺される。
従って、この変形例では、ハウジング8に分割コアブロック27を安定して固定することができ、またボルト42を用いて締結する締結作業性が向上する。
【0039】
実施の形態3.
図14はこの発明の実施の形態3に係る電動機1を示す要部断面図(図3に対応)、図15は図14のXV-XVの矢視断面図である。
この実施の形態では、隣接した分割コアブロック27間に跨いで、蟻溝形状のコアブロック溝29が形成されている。
このコアブロック溝29は、その深さがジョイント部28の凹凸部34まで達しており、またその奥域は軸線方向に沿って分割コアブロック27の途中までである。また、各分割コアブロック27では、隣接したコアブロック溝29間であって、ボルト42が貫通するボルト穴31の径方向の内側には、突起57が形成されている。
ハウジング8のボス37には、コアブロック溝29と同軸線上であって奥面に傾斜面38を有したハウジング溝39が形成されている。
このコアブロック溝29には、先端面40が傾斜した中継部材30が嵌入されている。この中継部材30は、その先端面40がハウジング溝39の傾斜面38と面接触しており、先端面40と反対側の面がコアブロック溝29の奥側の垂直面41と面接触している。
他の構成は、実施の形態1の電動機1と同じである。
【0040】
この実施の形態の電動機1では、ボルト42の軸線方向の締結力により、ハウジング溝39の傾斜面38では、矢印aの方向に反力が生じているが、この反力のうち、径内側方向(矢印b)の分力により中継部材30を介して分割コアブロック27は、ハウジング8の外周面43に押圧されている。
【0041】
この実施の形態の電動機1によれば、隣接した分割コアブロック27間に跨いでコアブロック溝29が形成されており、このコアブロック溝29に中継部材30が嵌入されている。
従って、一つの分割コアブロック27がジョイント部28を中心に回動するに、径内側方向に付勢された二つの中継部材30でその回動を阻止するので、実施の形態1の電動機1と比較して、さらに隣接した分割コアブロック27同士が離れるのを抑制することができる。
即ち、固定子11は、ハウジング8への固定強度が確保されるとともに、隣接した周方向の各分割コアブロック27間の固定強度が実施の形態1のものと比較して増大する。
【0042】
図16は、この実施の形態の変形例を示す要部断面図である。
この変形例では、分割コアブロック27のジョイント部28は、コアブロック溝29よりも径方向の外側に形成されている。
この変形例では、図15のものと異なり、ジョイント部28は、分割コアブロック27の軸線方向の全域に形成されているので、ティース25に導線を巻回する巻線工程の際、分割コアブロック27はジョイント部28を中心に円滑に回動するので、巻線作業性が向上する。
【0043】
実施の形態4.
図17はこの発明の実施の形態4に係る電動機1を示す要部断面図(図11に対応)、図18は図17のXVIII-XVIII線に沿った矢視断面図である。
この実施の形態では、隣接した分割コアブロック27間に跨いで、蟻溝形状のコアブロック溝29が形成されている。
分割コアブロック27のジョイント部28は、コアブロック溝29よりも径方向の外側に形成されている。
また、各分割コアブロック27では、隣接したコアブロック溝29間であって、ボルト42が貫通するボルト穴31の径方向の内側には、突起57が形成されている。
【0044】
分割コアブロック27とボルト42の頭部との間に周方向にティース25、3個分の領域まで周方向に延びた押圧部材50が設けられている。
この押圧部材50には、分割コアブロック27のコアブロック溝29と同軸線上であって奥面に傾斜面51を有した押圧部材溝52が形成されている。押圧部材溝52の外径側には、ボルト42が貫通するボルト穴31が形成されている。
【0045】
コアブロック溝29には、先端面56が傾斜した中継部材30が嵌入されている。この中継部材30は、その先端面56が押圧部材溝53の傾斜面51と面接触しており、先端面56と反対側の面がボス37の周側面55の内径側部位と面接触している。
【0046】
ボルト42は、押圧部材50のボルト穴53及び分割コアブロック27のボルト穴31を貫通し、その先端部がハウジング8のボス37に螺着している。
【0047】
この実施の形態の電動機1によれば、隣接した分割コアブロック27間に跨いでコアブロック溝29が形成されており、この蟻溝形状のコアブロック溝29に中継部材30が嵌入されているので、実施の形態3の電動機1と同様の効果を得ることができる。
【0048】
また、中継部材30の先端面56と面接触する傾斜面51が押圧部材50に形成されており、分割コアブロック27は、全長にわたって断面が蟻溝形状のコアブロック溝29が形成されているので、実施の形態2の電動機1と同様の効果を得ることができる。
【0049】
なお、この実施の形態の電動機1おいても、図13に示した、実施の形態2の変形例を適用することもできる。
即ち、ボス37の内径側部位に、奥面に傾斜面38を有したハウジング溝39を形成し、コアブロック溝29に嵌入された中継部材30において、一端部に傾斜面38に面接触する先端面40を形成し、他端部に傾斜面51に面接触する先端面56を形成することで、実施の形態2の変形例と同様の効果を得ることができる。
【0050】
次に、実施の形態1の電動機1の製造方法について説明する。
この電動機1は、各分割コアブロック27をハウジング8の周囲に配置して分割コアブロック集合体を形成し、その後、図19に示すように、各分割コアブロック27を外径側から内径側にハウジング8に対して押圧するように、締付治具であるリング58を分割コアブロック集合体に嵌入する。
次に、隣接した各分割コアブロック27同士を溶接により接続する。
この後、リング58を取り外した後、各コアブロック溝29にそれぞれ中継部材30を嵌入し、その後ボルト42をボルト穴31に挿入し、ボス37に螺着することで、固定子コア13をハウジング8に締結する。
なお、図20は図16に示した電動機1の一製造工程を示す要部断面図であり、製造方法は、図19のものと同様である。
なお、締付治具としてリングの代わりに、例えばコレットチャックを用いてもよい。
【0051】
この実施の形態では、中継部材30の嵌入工程、ボルト42の締結工程の前に、リング58を分割コアブロック集合体に嵌入する嵌入工程を行い、固定子コア13の外周面を真円にすることで、固定子11と、固定子11の外径側に配置された回転子12との間のギャップを周方向において簡単に等しくことができ、電動機1の回転トルクの脈動を低減させることができる。
【0052】
ところで、図21に示すように、実施の形態1の薄板鋼板部32,33は、板状薄板材料である素材59に配置される。
薄板鋼板部32,33は、プレス金型を用いて素材59を打ち抜き、切り離される。
ロール板から矢印dの方向に引き出された帯状の素材59においては、矢印dの方向に沿って第1の薄板鋼板部32と第2の薄板鋼板部33とが交互に形成される。第1の薄板鋼板部32及び第2の薄板鋼板部33は、それぞれ矢印dの方向に対して垂直方向に一列に、かつ隣接してコアバック部24A同士が接して配置されている。
【0053】
第1の薄板鋼板部32及び第2の薄板鋼板部33は、凹凸部34を介して交互に積層し、図22に示すように円弧状にして固定子コア13が製造される。
図22において、点線で示す第1の薄板鋼板部32と実線で示す第2の薄板鋼板部33とは、図22のXXIII-XXIII線に沿った矢視断面図を示す図23から分かるように、周方向に隣接した第1の薄板鋼板部32同士の間、及び周方向に隣接した第2の薄板鋼板部33同士の間では、それぞれ隙間61が生じている。
この隙間61は、径外側方向に沿って漸次大きくなっている。
なお、第1の薄板鋼板部32及び第2の薄板鋼板部33は、それぞれ複数枚ずつ交互に積層してもよい。
【0054】
この第1の薄板鋼板部32及び第2の薄板鋼板部33では、磁路に悪影響を与えるジョイント部28を磁束密度が低い固定子コア13の内径側に、つまりボルト穴31よりも内径側に形成し、ジョイント部28による磁路の悪影響を抑制している。
また、素材59の歩留まりを高めるために、一列に配置されたそれぞれの第1の薄板鋼板部32及び第2の薄板鋼板部33は、コアバック部24Aで接して配置されているものの、図23に示すように、周方向に隣接した、第1の薄板鋼板部32及び第2の薄板鋼板部33はそれぞれ隙間61が生じてしまう。
しかしながら、第1の薄板鋼板部32及び第2の薄板鋼板部33は軸線方向に沿って相互に接触して積層しているので、隙間61による固定子コア13の磁気抵抗の増大は抑制される。
【0055】
なお、周方向に隣接した、第1の薄板鋼板部32及び第2の薄板鋼板部33における隙間61を生じさせないようにするためには、図24に示すように、第1の薄板鋼板部32及び第2の薄板鋼板部33を配置すればよい。
即ち、ボルト穴31よりも外径側にジョイント部28を形成することで、隙間61の無い固定子コア13が形成される。
しかしながら、このものの場合、磁路に悪影響を与えるジョイント部28を磁束密度が高い固定子コア13のボルト穴31の外径側に形成し、また第1の薄板鋼板部32及び第2の薄板鋼板部33のそれぞれの内径側に隙間が形成されており、図21のものと比較して素材59の歩留まりが悪い。
【0056】
なお、ジョイント部28がなく、同一形状の薄板鋼板であっても、隙間61が無い分割コアバックを製造することも可能である。
【0057】
図25は、図24に示した第1の薄板鋼板部32、第2の薄板鋼板部33の異なる配置図である。
この例では、隣接した第1の薄板鋼板部32の各ティース部25A間に、反転した同じ第1の薄板鋼板部32のティース部25Aが配置されている。
この例では、図24のものと比較して薄板鋼板材料の歩留まりが向上する。
【0058】
図21、図24及び図25の薄板鋼板部32,33の場合、ロール板から引き出された帯状の素材59において、矢印dの方向に対して垂直の素材59幅W方向に沿った板厚は漸次増加または減少して変化する。
従って、第1の薄板鋼板部32が積層された一方の分割コアブロック27と、この分割コアブロック27に隣接した他方の分割コアブロック27間において、第1の薄板鋼板部32と第2の薄板鋼板部33とが打ち抜かれた素材59の幅W方向において大きく異なった場合には、図26に示すように、軸線方向において、隣接した分割コアブロック27同士を溶接した溶接部63に段差62が生じてしまう。
この場合、分割コアブロック27同士を溶接で固定した後に、ハウジング8に対してボルト42で固定すると、溶接部63に段差62が生じているため、溶接部63に過大な力が加わり溶接部63が破壊され、ボルト42の締結力が低下するおそれがある。
【0059】
これに対しては、第1の薄板鋼板部32と第2の薄板鋼板部33とが打ち抜かれた素材59の幅W方向において同じ部位のもの(素材59の板厚が等しいもの)を用いることで、隣接した分割コアブロック27同士を溶接した溶接部63での段差62は低減され、ボルト42の締結力が低下するのを防止することができる。
【0060】
なお、各実施の形態では、回転電機として、エレベータ装置の巻上機用の電動機について説明したが、他の例えば工作機械用の電動機でもこの発明は適用することができ、また回転電機として発電機についてもこの発明は適用することができる。
【符号の説明】
【0061】
1 電動機、2 エレベータ装置、3 綱車、4 巻上機、5 ロープ、6 かご、7 釣合おもり、8 ハウジング、9 外枠、10 固定軸、12 回転子、13 固定子コア、14 固定子巻線、15 回転子コア、16 永久磁石、17 ブレーキ、18 ブレーキパッド、19 軸受、20 ボス、21 綱溝、22 リム、23 リブ、24 コアバック、24A コアバック部、25 ティース、25A ティース部、26 コイル部、27 分割コアブロック、28 ジョイント部、29 コアブロック溝、30 中継部材、31 ボルト穴、32 第1の薄板鋼板部、33 第2の薄板鋼板部、34 凹凸部、35 スロット、36 ノズル、37 ボス、38 傾斜面、39 ハウジング溝、40 先端面、41 垂直面、42 ボルト(締結部材)、43 外周面、44 隙間、46 段差部、47 弾性部材、48 連結部、49 先端面、50 押圧部材、51 傾斜面、52 押圧部材溝、53 ボルト穴、54 垂直面、55 周側面、56 先端面、57 突起、58 リング、59 素材、61 隙間、62 段差、63 溶接部、64 基端面。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【国際調査報告】