(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO2014057666
(43)【国際公開日】20140417
【発行日】20160825
(54)【発明の名称】光結合素子およびこれを備えた光モジュール
(51)【国際特許分類】
   G02B 6/42 20060101AFI20160729BHJP
   G02B 6/32 20060101ALI20160729BHJP
【FI】
   !G02B6/42
   !G02B6/32
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】23
【出願番号】2014540744
(21)【国際出願番号】JP2013006015
(22)【国際出願日】20131009
(31)【優先権主張番号】2012225197
(32)【優先日】20121010
(33)【優先権主張国】JP
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】000208765
【氏名又は名称】株式会社エンプラス
【住所又は居所】埼玉県川口市並木2丁目30番1号
(74)【代理人】
【識別番号】100105050
【弁理士】
【氏名又は名称】鷲田 公一
(72)【発明者】
【氏名】菅家 慎也
【住所又は居所】埼玉県川口市並木2丁目30番1号 株式会社エンプラス内
(72)【発明者】
【氏名】森岡 心平
【住所又は居所】埼玉県川口市並木2丁目30番1号 株式会社エンプラス内
【テーマコード(参考)】
2H137
【Fターム(参考)】
2H137AB06
2H137AC02
2H137AC05
2H137BA15
2H137BA16
2H137BB02
2H137BB17
2H137BB25
2H137BC02
2H137BC10
2H137BC12
2H137BC14
2H137BC52
2H137BC72
2H137CA33
2H137CA49
2H137CA75
2H137FA06
2H137HA06
2H137HA11
(57)【要約】
本発明の光結合素子は、複数の発光素子32から発光された光がそれぞれ入射する所定の曲率を有する複数の入射面111と、前記入射面にそれぞれ入射した前記光を反射させる所定の曲率を有する反射面1211と、前記反射面によって反射された前記光を光ファイバ4の端面41に向けてそれぞれ出射させる所定の曲率を有する複数の出射面131とを備える。前記入射面、前記反射面、前記出射面は、X方向のトレランスをY方向のトレランスよりも大きくするための曲率調整がされている。なお、複数の前記入射面が単一列に整列位置される場合、その整列方向を、前記X方向とし、前記光の進行方向をZ方向とし、前記X、Z方向に直交する方向を、前記Y方向とする。
本発明によれば、製造効率および設計の自由度の向上を図りつつ、光結合効率の温度依存性を有効に緩和することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の発光素子と複数の光ファイバとの間に配置された状態で、前記複数の発光素子と前記複数の光ファイバの端面とをそれぞれ光学的に結合可能に構成された光結合素子であって、
光結合素子本体における前記複数の発光素子側の第1の面上に、前記複数の発光素子にそれぞれ対応して配置され、前記複数の発光素子から発光された光がそれぞれ入射する、曲率を有する複数の入射面と、
前記光結合素子本体における前記第1の面と反対側の第2の面上に、前記第1の面に対して傾きを有するように配置され、前記複数の入射面にそれぞれ入射した前記複数の発光素子ごとの光を前記複数の光ファイバ側に反射させる、曲率を有する反射面と、
前記光結合素子本体における前記複数の光ファイバ側の第3の面上に、前記複数の光ファイバの端面にそれぞれ対応するように配置され、前記反射面によって反射された前記複数の発光素子ごとの光を前記複数の光ファイバの端面に向けてそれぞれ出射させる、曲率を有する複数の出射面と
を備え、
前記複数の入射面が、単一列のみを呈するようにして前記単一列の整列方向に整列配置されている場合には、前記整列方向を「X方向」と定義し、
前記複数の発光素子から発光された光の進行方向を「Z方向」と定義し、
前記X方向および前記Z方向に直交する方向を「Y方向」と定義し、
前記複数の発光素子を、前記複数の光ファイバの端面とのそれぞれの光結合効率が予め設定された最大効率を示す位置から前記最大効率に対する所定の光結合効率の低下が示される位置まで移動させたと仮定した場合における移動前の位置と移動後の位置との間の前記X方向の距離を「X方向のトレランス」と定義し、
前記移動前の位置と前記移動後の位置との間の前記Y方向の距離を「Y方向のトレランス」と定義した場合、
前記入射面、前記反射面および前記出射面は、前記X方向のトレランスが前記Y方向のトレランスよりも大きくなるように曲率調整されている、
光結合素子。
【請求項2】
前記複数の入射面が、所定数以上の前記入射面を整列させた単位列を、この単位列の整列方向に直交する並列方向に沿って複数列並列させた状態で配置されている場合、前記整列方向および前記並列方向のうち、前記第1の面上における前記光結合素子本体の熱変形の所定の基準点とこの基準点から最も離間された前記入射面の中心点とを結ぶ仮想直線とのなす角度が相対的に小さい方を、「X方向」と定義する、
請求項1に記載の光結合素子。
【請求項3】
前記複数の入射面は、前記X方向の曲率と前記Y方向の曲率とが互いに異なるような前記発光素子側に凸のバイコーニック面であり、
前記反射面は、YZ断面において曲率を有するとともに、XY断面およびXZ断面において曲率を有しないような前記発光素子側および前記光ファイバの端面側に凹のシリンドリカル面であり、
前記複数の出射面は、XZ断面において曲率を有するとともに、XY断面およびYZ断面において曲率を有しないような前記光ファイバの端面側に凸のシリンドリカル面である、
請求項1または請求項2に記載の光結合素子。
【請求項4】
前記複数の入射面は、前記X方向の曲率と前記Y方向の曲率とが互いに同一とされた前記発光素子側に凸の非球面であり、
前記反射面は、YZ断面において曲率を有するとともに、XY断面およびXZ断面において曲率を有しないような前記発光素子側および前記光ファイバの端面側に凹のシリンドリカル面であり、
前記複数の出射面は、XZ断面において曲率を有するとともに、XY断面およびYZ断面において曲率を有しないような前記光ファイバの端面側に凸のシリンドリカル面である、
請求項1または請求項2に記載の光結合素子。
【請求項5】
前記Y方向のトレランスは、
前記複数の入射面を、前記X方向の曲率と前記Y方向の曲率とが互いに同一とされた前記発光素子側に凸の非球面と仮定し、
前記複数の出射面を、前記X方向の曲率と前記Y方向の曲率とが互いに同一とされた前記光ファイバの端面側に凸の非球面と仮定し、
前記反射面を平面と仮定した場合におけるトレランスと同値であり、この値よりも前記X方向のトレランスを大きくするための前記曲率調整がされている、
請求項1〜4のいずれか1項に記載の光結合素子。
【請求項6】
前記X方向のトレランスを前記Y方向のトレランスよりも1.2倍以上大きくするための前記曲率調整がされている、請求項1〜5のいずれか1項に記載の光結合素子。
【請求項7】
前記反射面は、前記複数の発光素子からの光を前記複数の出射面に向けてそれぞれ全反射させる全反射面である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の光結合素子。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の光結合素子と、
発光素子と、
を有する、光モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光結合素子およびこれを備えた光モジュールに係り、特に、複数の発光素子と複数の光ファイバの端面とを光学的に結合するのに好適な光結合素子およびこれを備えた光モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、通信の高速化および通信デバイスの小型化のニーズを反映し、マルチチャンネルの光通信をコンパクトな構成で実現するのに有効な光学部品として、複数のレンズが配置されたレンズアレイの需要が益々高まりつつある。
【0003】
以前から、この種のレンズアレイには、複数の発光素子(例えば、VCSEL:Vertical Cavity Surface Emitting Laser)を備えた光電変換装置および複数の光ファイバを取り付け可能であった。
【0004】
そして、レンズアレイは、これら光電変換装置と複数の光ファイバとの間に配置された状態で、光電変換装置の各発光素子から出射された光を各光ファイバの端面に光学的に結合させて、マルチチャンネルの光通信を行うことが可能であった。
【0005】
また、このようなレンズアレイの中には、例えば、特許文献1〜3に示すように、発光素子の光の光路上に反射面を備えたものもあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2011−59484号公報
【特許文献2】特開2001−51162号公報
【特許文献3】特開平9−281302号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、以前から、レンズアレイは、金型を用いた樹脂材料(例えば、ポリエーテルイミドなど)の射出成形法によって形成されることが主流であった。しかしながら、このようなレンズアレイは、レーザ自身の発熱による温度変化や、サーバ内等の高温に温度変化し易い使用環境下における温度上昇にともなって変形(膨張)するおそれがある。また、このようなレンズアレイは、低温時には、常温時よりも収縮するおそれがある。
【0008】
したがって、この種のレンズアレイは、温度変化による変形(熱変形)を想定して、変形が生じた場合であっても、発光素子と光ファイバの端面との光結合効率を維持する必要があった。
【0009】
一方、このような温度変化を考慮した光結合効率の維持を、アクテイブアライメントなどによる光電変換装置の高精度な位置決めや金型の加工精度(寸法精度)に頼るのでは、製造効率および設計の自由度の向上を見込むことが困難であるといった問題点があった。
【0010】
本発明の目的は、製造効率および設計の自由度を向上させつつ、光結合効率の温度依存性を有効に緩和することができる光結合素子およびこれを備えた光モジュールを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、以下の光結合素子および光モジュールに関する。
【0012】
[1]複数の発光素子と複数の光ファイバとの間に配置された状態で、前記複数の発光素子と前記複数の光ファイバの端面とをそれぞれ光学的に結合可能に構成された光結合素子であって、光結合素子本体における前記複数の発光素子側の第1の面上に、前記複数の発光素子にそれぞれ対応して配置され、前記複数の発光素子から発光された光がそれぞれ入射する、曲率を有する複数の入射面と、前記光結合素子本体における前記第1の面と反対側の第2の面上に、前記第1の面に対して傾きを有するように配置され、前記複数の入射面にそれぞれ入射した前記複数の発光素子ごとの光を前記複数の光ファイバ側に反射させる、曲率を有する反射面と、前記光結合素子本体における前記複数の光ファイバ側の第3の面上に、前記複数の光ファイバの端面にそれぞれ対応するように配置され、前記反射面によって反射された前記複数の発光素子ごとの光を前記複数の光ファイバの端面に向けてそれぞれ出射させる、曲率を有する複数の出射面とを備え、前記複数の入射面が、単一列のみを呈するようにして前記単一列の整列方向に整列配置されている場合には、前記整列方向を「X方向」と定義し、前記複数の発光素子から発光された光の進行方向を「Z方向」と定義し、前記X方向および前記Z方向に直交する方向を「Y方向」と定義し、前記複数の発光素子を、前記複数の光ファイバの端面とのそれぞれの光結合効率が予め設定された最大効率を示す位置から前記最大効率に対する所定の光結合効率の低下が示される位置まで移動させたと仮定した場合における移動前の位置と移動後の位置との間の前記X方向の距離を「X方向のトレランス」と定義し、前記移動前の位置と前記移動後の位置との間の前記Y方向の距離を「Y方向のトレランス」と定義した場合、前記入射面、前記反射面および前記出射面は、前記X方向のトレランスが前記Y方向のトレランスよりも大きくなるように曲率調整されている、光結合素子。
【0013】
[2]前記複数の入射面が、所定数以上の前記入射面を整列させた単位列を、この単位列の整列方向に直交する並列方向に沿って複数列並列させた状態で配置されている場合、前記整列方向および前記並列方向のうち、前記第1の面上における前記光結合素子本体の熱変形の所定の基準点とこの基準点から最も離間された前記入射面の中心点とを結ぶ仮想直線とのなす角度が相対的に小さい方を、「X方向」と定義する、[1]に記載の光結合素子。
【0014】
[3]前記複数の入射面は、前記X方向の曲率と前記Y方向の曲率とが互いに異なるような前記発光素子側に凸のバイコーニック面であり、前記反射面は、YZ断面において曲率を有するとともに、XY断面およびXZ断面において曲率を有しないような前記発光素子側および前記光ファイバの端面側に凹のシリンドリカル面であり、前記複数の出射面は、XZ断面において曲率を有するとともに、XY断面およびYZ断面において曲率を有しないような前記光ファイバの端面側に凸のシリンドリカル面である、[1]または[2]に記載の光結合素子。
【0015】
[4]前記複数の入射面は、前記X方向の曲率と前記Y方向の曲率とが互いに同一とされた前記発光素子側に凸の非球面であり、前記反射面は、YZ断面において曲率を有するとともに、XY断面およびXZ断面において曲率を有しないような前記発光素子側および前記光ファイバの端面側に凹のシリンドリカル面であり、前記複数の出射面は、XZ断面において曲率を有するとともに、XY断面およびYZ断面において曲率を有しないような前記光ファイバの端面側に凸のシリンドリカル面である、[1]または[2]に記載の光結合素子。
【0016】
[5]前記Y方向のトレランスは、前記複数の入射面を、前記X方向の曲率と前記Y方向の曲率とが互いに同一とされた前記発光素子側に凸の非球面と仮定し、前記複数の出射面を、前記X方向の曲率と前記Y方向の曲率とが互いに同一とされた前記光ファイバの端面側に凸の非球面と仮定し、前記反射面を平面と仮定した場合におけるトレランスと同値であり、この値よりも前記X方向のトレランスを大きくするための前記曲率調整がされている、[1]〜[4]のいずれか1項に記載の光結合素子。
【0017】
[6]前記X方向のトレランスを前記Y方向のトレランスよりも1.2倍以上大きくするための前記曲率調整がされている、[1]〜[5]のいずれか1項に記載の光結合素子。
【0018】
[7]前記反射面は、前記複数の発光素子からの光を前記複数の出射面に向けてそれぞれ全反射させる全反射面である、[1]〜[6]のいずれか1項に記載の光結合素子。
【0019】
[8][1]〜[7]のいずれか1項に記載の光結合素子と、発光素子と、を有する、光モジュール。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、製造効率および設計の自由度の向上を図りつつ、光結合効率の温度依存性を有効に緩和することができる。
【0021】
[1]に係る発明によれば、入射面、反射面および出射面の曲率調整によって、熱変形による光結合効率への影響が出やすいX方向のトレランスをY方向のトレランスよりも大きくすることができる。このため、発光素子に求められる位置精度を緩和することができ、製造効率および設計の自由度の向上を図りつつ、光結合効率の温度依存性を有効に緩和することができる。
【0022】
[2]に係る発明によれば、入射面が複数列並列されている場合においても、熱変形の影響が最も出やすい方向(X方向)のトレランスを大きくすることができる。このため、発光素子の配置態様の多様化に柔軟に対応することができる。
【0023】
[3]に係る発明によれば、トレランスを有効に改善することができる。
【0024】
[4]に係る発明によれば、トレランスを確実に改善することができる。
【0025】
[5]に係る発明によれば、X方向のトレランスを従来に比べて積極的に向上させることができる。このため、発光素子に求められる位置精度を更に有効に緩和することができる。
【0026】
[6]に係る発明によれば、X方向のトレランスを十分に向上させることができる。
【0027】
[7]に係る発明によれば、反射面を光結合素子本体の面形状のみによって構成することができる。このため、部品点数および製造工数の削減による製造効率の更なる向上を図ることができる。
【0028】
[8]に係る発明によれば、製造効率および設計の自由度の向上をともなう光結合効率の温度依存性の緩和を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】図1は、実施の形態1に係る光結合素子としてのレンズアレイおよび光モジュールの構成を示す図である。
【図2】図2は、レンズアレイの正面図である。
【図3】図3は、レンズアレイの底面図である。
【図4】図4は、レンズアレイの背面図である。
【図5】図5A〜Cは、レンズアレイの模式図である。
【図6】図6は、従来のレンズアレイの構成を示す模式図である。
【図7】図7は、実施の形態1の効果を説明するための図である。
【図8】図8は、実施の形態1に係るレンズアレイを用いたトレランスのシミュレーション結果である。
【図9】図9は、実施の形態2に係るレンズアレイを用いたトレランスのシミュレーション結果である。
【図10】図10は、実施の形態3に係るレンズアレイの断面図である。
【図11】図11は、レンズアレイの正面図である。
【図12】図12は、レンズアレイの底面図である。
【図13】図13は、レンズアレイの背面図である。
【図14】図14は、実施の形態3において、X方向を説明するための図である。
【図15】図15は、実施の形態3において、変形例を示す模式図である。
【図16】図16は、実施の形態3の他の変形例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0031】
[実施の形態1]
図1は、実施の形態1に係る光結合素子としてのレンズアレイ(レンズアレイ本体)1の縦断面図(図2のA−A断面図)である。図1では、レンズアレイ1を備えた光モジュール2の概要も示している。図2は、図1に示すレンズアレイ1の正面図である。図3は、図1に示すレンズアレイ1の底面図である。図4は、図1に示すレンズアレイ1の背面図である。
【0032】
図1に示されるように、レンズアレイ1は、光電変換装置3と光ファイバ4との間に配置されている。レンズアレイ1は、発光素子32と光ファイバ4の端面41とを光学的に結合する。レンズアレイ1は、透光性の樹脂材料(例えば、ポリエーテルイミドなど)によって一体的に形成される。レンズアレイ1は、例えば射出成形法により形成してもよい。
【0033】
(発光素子の構成)
光電変換装置3は、複数の発光素子32を有する。発光素子32は、半導体基板31におけるレンズアレイ1に臨む面に対して垂直方向(図1における右方向)にレーザ光L(図5A参照)を出射(発光)する。発光素子32は、垂直共振器面発光レーザ(VCSEL:Vertical Cavity Surface Emitting Laser)を構成している。なお、複数の発光素子32は、図1の紙面垂直方向に配置されている。光電変換装置3は、例えば、半導体基板31のレンズアレイ1側の面がレンズアレイ1に当接するように、レンズアレイ1に対して対向して配置されている。そして、光電変換装置3は、公知の固定手段によってレンズアレイ1に取り付けられている。
【0034】
(光ファイバの構成)
光ファイバ4は、各発光素子32の整列方向と同じ方向(図1の紙面垂直方向)に配置されている。光ファイバ4の数は、発光素子32と同じである。複数の光ファイバ4は、複数の発光素子32と同一ピッチで整列されている。光ファイバ4は、端面41側の部位が多芯一括型のコネクタ42内に保持された状態で、公知の固定手段によってレンズアレイ1に取り付けられている。
【0035】
なお、光ファイバ4は、マルチモードファイバであってもよく、シングルモードファイバであってもよい。
【0036】
図1および図2に示されるように、レンズアレイ1は、複数の第1のレンズ面111(入射面)と、全反射面1211(反射面)と、複数の第2のレンズ面131とを有する。
【0037】
(入射面の構成)
第1のレンズ面111は、光電変換装置3(発光素子32)が取り付けられる前端面11(第1の面)上に配置されている。本実施の形態では、第1のレンズ面111の数は、発光素子32と同じ12個である。図1に示されるように、前端面11における各第1のレンズ面111が形成された領域(以下、第1のレンズ形成領域と称する)112は、前端面11における第1のレンズ形成領域112以外の領域よりも全反射面1211側に形成された凹部の内面である。また、第1のレンズ形成領域112とこれ以外の領域とは、互いに平行な平面である。図1および図2に示されるように、複数の第1のレンズ面111は、複数の発光素子32にそれぞれ対向するように、所定の方向(図1の紙面垂直方向、図2の左右方向)に配置されている。また、各第1のレンズ面111は、発光素子32と同一ピッチで形成されている。さらに、各第1のレンズ面111上の中心軸OA(1)(図1参照)は、各第1のレンズ面111にそれぞれ対応する各発光素子32から発光されるレーザ光L(図5参照)の光軸に一致していることが好ましい。
【0038】
(反射面の構成)
図1および図4に示されるように、全反射面1211は、所定の曲率を有する反射面である。全反射面1211は、レンズアレイ1の後端面12(第2の面)上に配置されている。全反射面1211は、後端面12に形成された楔状の凹部121の内底面である。また、全反射面1211の上端部は、下端部よりも光電変換装置3側に位置している。なお、図5Aに示されるように、前端面11に対する全反射面1211の傾斜角θ(前端面11と、全反射面1211の上端部と下端部とを結ぶ直線とがなす角度のうち小さい角度;傾斜角θ)は、45°であってもよい。
【0039】
(出射面の構成)
第2のレンズ面131(出射面)は、所定の曲率を有しており、光ファイバ4が取り付けられる下端面13(第3の面)上に配置されている。本実施の形態では、第1のレンズ面111の数は、発光素子32と同じ12個である。なお、図1および図3に示されるように、下端面13における各第2のレンズ面131が形成された領域(以下、第2のレンズ形成領域と称する)132は、下端面13における第2のレンズ形成領域132の外側の領域よりも全反射面1211側に形成された凹部の内面である。また、第2のレンズ形成領域132と外側の領域とは、互いに平行な平面である。下端面13は、前端面11に対して第1のレンズ面111の配置方向に直交する方向において隣接している。
【0040】
図1に示されるように、複数の第2のレンズ面131は、複数の光ファイバ4の端面41に対応して、図1の紙面垂直方向(図3における横方向)に配置されている。第2のレンズ面131の配置方向は、第1のレンズ面111の配置方向と同じである。第2のレンズ面131は、第1のレンズ面111と同一ピッチで形成されている。第2のレンズ面131は、光学的に対応する第1レンズ面111との配置方向における位置が同じである。なお、各第2のレンズ面131上の中心軸OA(2)(図1参照)は、各第2のレンズ面131にそれぞれ対応する各光ファイバ4の端面41の中心軸に一致していることが好ましい。
【0041】
図5Aに示されるように、各発光素子32から出射されたレーザ光Lは、各第1のレンズ面111で入射する。このとき、レーザ光Lは、レンズ面111のパワー(屈折力)に応じて収束されて、レンズアレイ1の内部へと進行する。入射したレーザ光Lは、臨界角よりも大きな入射角で全反射面1211に到達する。そして、全反射面1211に到達したレーザ光Lは、光ファイバ4側(下側)に向かって全反射される。全反射面1211で全反射した光は、第2のレンズ面131に到達する。第2のレンズ面131に到達した光は、対応する各光ファイバ4の端面41に向けてそれぞれ出射される。このようにして、各発光素子32と各光ファイバ4の端面41とは、各第1のレンズ面111、全反射面1211および各第2のレンズ面131を介して光学的に結合される。
【0042】
(入射面、反射面および出射面の曲率調整)
本実施の形態において、第1のレンズ面111、全反射面1211および第2のレンズ面131は、X方向のトレランスをY方向のトレランスよりも大きくするために、同一光学面内および異光学面間において曲率調整がされている。
【0043】
ここで、「X方向」とは、本実施形態のように複数の第1のレンズ面111が一列に配置されている場合には、この単一列の整列方向と定義する(図2および図3参照)。
【0044】
本実施の形態では、レンズアレイ1における各発光素子32のレーザ光Lの進行方向を、「Z方向」と定義する。なお、図5に示されるように、本実施の形態では、全反射面1211において光路が折れ曲がる構成になっているため、前端面11上におけるZ方向と下端面13上におけるZ方向とは、互いに異なっている(直交している)。
【0045】
「Y方向」とは、X方向およびZ方向に直交する方向と定義する(図2および図5参照)。
【0046】
「X方向のトレランス」とは、複数の発光素子32(換言すれば、光電変換装置3)を、複数の光ファイバ4の端面41とのそれぞれの光結合効率が予め設定された最大効率を示すような位置から最大効率に対する所定の光結合効率の低下が示されるような位置までX方向に沿って移動させたと仮定した場合における移動前の発光素子32の位置と移動後の発光素子32の位置との間のX方向の距離と定義する。
【0047】
「Y方向のトレランス」とは、複数の発光素子32(換言すれば、光電変換装置3)を、複数の光ファイバ4の端面41とのそれぞれの光結合効率が前述した最大効率を示すような位置から最大効率に対する所定の光結合効率の低下が示されるような位置までY方向に沿って移動させたと仮定した場合における移動前の発光素子32の位置と移動後の発光素子32の位置との間のY方向の距離と定義する。
【0048】
また、「Y方向のトレランス」は、図6に示されるように、複数の第1のレンズ面111を、X方向の曲率とY方向の曲率とが互いに同一とされた発光素子32側に凸の非球面と仮定し、複数の第2のレンズ面131を、X方向の曲率とY方向の曲率とが互いに同一とされた光ファイバ4の端面41側に凸の非球面と仮定し、全反射面1211を平面と仮定した場合におけるトレランスと同値である。この値は、反射面を備えた従来のレンズアレイのトレランスということができる。
【0049】
したがって、曲率調整は、このような従来のトレランスよりもX方向のトレランスを積極的に大きくするためのものである。
【0050】
なお、トレランスの基準となる所定の光結合効率の低下量は、最大効率に対して18%(−1dB)であってもよい。
【0051】
そして、このような曲率調整の結果として、本実施形態では、各第1のレンズ面111は、X方向の曲率とY方向の曲率とが互いに異なるような発光素子32側に凸のバイコーニック面である。
【0052】
また、本実施形態では、図5Aおよび図5Bに示されるように、全反射面1211は、発光素子32側および光ファイバ4の端面41に対して凹のシリンドリカル面である。全反射面1211は、YZ断面において曲率を有する(換言すれば、曲線形状である)。また、全反射面1211は、XY断面およびXZ断面において曲率を有しない(換言すれば、直線形状である)。
【0053】
さらに、本実施形態では、図5Aおよび図5Cに示されるように、各第2のレンズ面131は、光ファイバ4の端面41側に凸のシリンドリカル面である。各第2のレンズ面131は、XZ断面において曲率を有するとともに、XY断面およびYZ断面において曲率を有しない。
【0054】
(その他の構成)
また、図2に示されるように、第1のレンズ形成領域112に対して第1のレンズ面111の配置方向(すなわち、本実施形態におけるX方向)における両外側位置には、平面円形状の穴部113がそれぞれ形成されている。これらの穴部113は、半導体基板31側に形成されたピン(図示省略)に嵌合することによって、レンズアレイ1に光電変換装置3を固定する際の光電変換装置3の機械的な位置決めに用いられる。
【0055】
さらに、図1および図3に示されるように、第2のレンズ形成領域132に対して第2のレンズ面131の配置方向(本実施形態におけるX方向)における両外側位置には、平面円形状のピン133が立設されている。ピン133は、光ファイバ4のコネクタ42側に形成された不図示の穴部に挿入されることによって、レンズアレイ1に光ファイバ4を機械的に位置決めするために用いられる。
【0056】
(作用および効果)
本実施形態によれば、上述したように、第1のレンズ面111をバイコーニック面、全反射面1211をYZ断面において主たるパワーを持つシリンドリカルミラー面、第2のレンズ面131をXZ断面において主たるパワーを持つシリンドリカル面とする。これにより、熱変形による光結合効率への影響が出やすいX方向のトレランスを、Y方向のトレランスよりも大きく、かつ従来のトレランスに比べて積極的に向上させることができる。また、発光素子32に求められる位置精度を緩和することができる。
【0057】
この結果、実施の形態1に係るレンズアレイ1は、製造効率および設計の自由度の向上を図りつつ、光結合効率の温度依存性を有効に緩和することができる。
【0058】
また、図6に示される従来のレンズアレイにおいて、X方向のトレランスをΔ(デルタ)Xとし、Y方向のトレランスをΔYとし、本実施形態に係るレンズアレイ1におけるX方向のトレランスをΔX’とし、Y方向のトレランスをΔY’とすると、これらのパラメータ間には、式(1)が成立する。
【0059】
ΔX’>ΔY’=ΔY=ΔX (1)
【0060】
また、レンズアレイ1の熱変形(膨張または収縮)による第1のレンズ面111の位置変化量をΔLとすると、ΔLは、式(2)で表すことができる。
【0061】
ΔL=α×ΔT×L (2)
【0062】
ただし、式(2)において、αは、レンズアレイ1を形成する樹脂材料の線膨脹係数であり、ΔTは、温度差(例えば、レンズアレイ1の温度と常温との差)である。Lは、前端面11上におけるレンズアレイ1の熱変形の所定の基準点(変形中心点)とこの基準点から最も遠い第1のレンズ面111の中心点との間のX方向の距離である。なお、図7に示されるように、Lを定義する熱変形の基準点Pは、前端面11の中心点となることが多い。しかしながら、本実施の形態では、このような態様以外にも、シミュレーションなどによって予め求められる種々の位置の基準点に対応することができる。
【0063】
さらに、上述したトレランスの意義より、ΔX’とΔLとの間には、式(3)が成立する。
【0064】
ΔX’>ΔL=α・ΔT・L (3)
【0065】
そして、式(3)をΔTについて解くと、式(4)のようになる。
【0066】
ΔT<ΔX’/(α・L) (4)
【0067】
ここで、式(4)におけるΔX’が従来のレンズアレイのΔXよりも大きいため、左辺の値ΔTも従来のレンズアレイよりも大きくすることができる。
【0068】
すなわち、本実施形態によれば、使用可能な温度範囲を従来よりも広げることができる。なお、本実施の形態によれば、レンズアレイ1の温度変化が小さいまたはゼロの場合であっても、トレランスが広くなり、デバイス(VCSELなど)とファイバとの位置精度をきつくすることなく使用することができる。
【0069】
一方、式(3)をLについて解くと、式(5)のようになる。
【0070】
L<ΔX’/(α・ΔT) (5)
【0071】
ここで、式(4)同様、式(5)におけるΔX’が従来のレンズアレイのΔXよりも大きいため、左辺の値Lも従来のレンズアレイよりも大きくすることができる。
【0072】
すなわち、本実施形態によれば、チャンネル数(発光素子32、レンズ面111、131、光ファイバ4の数)を従来よりも増加させることができる。
【0073】
(シミュレーション)
実施の形態1に係るレンズアレイ1の各パラメータを表1に示すとおりに設定した。表1のRは光学面の曲率半径であり、RxはX方向の曲率半径(mm)であり、RyはY方向の曲率半径(mm)である。また、表1において、Dは、次の光学面までの距離(mm)である。nは、使用波長850nmに対応するレンズアレイ1(樹脂材料)の屈折率である。Kは光学面のコーニック係数であり、KxはX方向のコーニック係数であり、KyはY方向のコーニック係数である。
【0074】
【表1】
【0075】
また、比較例として図6に示す従来のレンズアレイの各パラメータを表2に示すとおりに設定した。表2における各パラメータの意義は、表1と同様である。
【0076】
【表2】
【0077】
各パラメータを所定の値に設定した実施の形態1および比較例のレンズアレイを用いて、トレランスのシミュレーションを行った。図8は、実施の形態1および比較用のレンズアレイを用いたトレランスのシミュレーション結果である。図8の横軸は、発光素子32の移動距離を示している。また、縦軸は、光の結合効率を示している。図8には、実施の形態1および比較例の各レンズアレイに対して、発光素子32を、光結合効率の最大効率が示される位置からX方向およびY方向にそれぞれ沿って移動させた場合における光結合効率の変化が示されている。X方向およびY方向のそれぞれのトレランスは、このような光結合効率の変化特性に基づいて求めることができる。
【0078】
図8に示されるように、実施の形態1のレンズアレイ1のX方向のトレランスΔX’は、比較例のレンズアレイのX方向のトレランスΔXに比べて1.5倍以上長かった。また、X方向のトレランスΔX’は、Y方向のトレランスΔY’より、1.5倍以上(すなわち、1.2倍以上)長かった。実施の形態1では、最大効率に対して光結合効率の低下が僅か5%見られるようになるまでの発光素子32の移動量をトレランスとしている。しかしながら、トレランスの基準を光学性能的に厳しく(小さくなるように)設定した場合であっても、有意義なトレランスの向上を示すことがわかった。
【0079】
[実施の形態2]
次に、本発明の実施の形態2に係るレンズアレイについて、実施の形態1のレンズアレイとの差異を中心に、図9を参照して説明する。
【0080】
実施の形態1のレンズアレイ1と実施の形態2のレンズアレイとの相違点は、第1のレンズ面111の曲率調整の態様である。具体的には、実施の形態2のレンズアレイにおいて、第1のレンズ面111におけるX方向の曲率とY方向の曲率とは、同じである。また、第1のレンズ面111は、発光素子32側に凸の非球面である。
【0081】
実施の形態2のレンズアレイは、実施の形態1と同様に、X方向のトレランスをY方向のトレランスよりも大きくすることができ、発光素子32に求められる位置精度を緩和することができる。
【0082】
(シミュレーション)
実施の形態2に係るレンズアレイ1の各パラメータを表3に示すとおりに設定した。表3におけるパラメータは、表1と同様である。また、比較例として用いた従来のレンズアレイは、実施の形態1と同じである。
【0083】
【表3】
【0084】
各パラメータを所定の値に設定した実施の形態2および比較例のレンズアレイを用いて、トレランスのシミュレーションを行った。シミュレーションの結果を図9に示す。図9の横軸は、発光素子32の移動距離を示している。また、縦軸は、光の結合効率を示している。
【0085】
図9に示されるように、本実施の形態においても、実施の形態2のレンズアレイ1のX方向のトレランスΔX’は、比較例のレンズアレイのX方向のトレランスΔXに比べて1.5倍以上長かった。また、X方向のトレランスΔX’は、Y方向のトレランスΔY’より、1.5倍以上長かった。実施の形態2でも、最大効率に対して光結合効率の低下が僅か5%見られるようになるまでの発光素子32の移動量をトレランスとしている。しかしながら、トレランスの基準を光学性能的に厳しく(小さくなるように)設定した場合であっても、有意義なトレランスの向上を示すことがわかった。
【0086】
[実施の形態3]
次に、本発明の実施の形態3に係るレンズアレイ1について、実施の形態1に係るレンズアレイ1との差異を中心に、図10〜図15を参照して説明する。
【0087】
図10は、本実施形態におけるレンズアレイ1の縦断面図(図11のB−B断面図)である。図11は、図10に示すレンズアレイ1の正面図である。図12は、図10に示すレンズアレイ1の下面図である。図13は、図10に示すレンズアレイ1の背面図である。図14は、実施の形態3において、X方向を説明するための図である。図15は、実施の形態3において、変形例を示す模式図である。
【0088】
図11に示されるように、実施の形態3に係るレンズアレイ1の第1のレンズ面111は、2列並列して配置されている。また、第2のレンズ面131は、各列の第1のレンズ面111にそれぞれ対応する大きさのシリンダ面である。さらに、全反射面1211は、各列の第1のレンズ面111にそれぞれ対応した、2種類の曲率を有するシリンダミラー面である。特に図示しないが、発光素子32および光ファイバ4は、レンズアレイ1の構成に対応するように2列ずつ配置されている。
【0089】
実施の形態1では、複数の第1のレンズ面111が配列した単位列の数が1列であったため、レンズ列の配置方向を熱変形による光結合効率への影響が最も出やすい方向としてX方向と定義した。
【0090】
これに対して、実施の形態3では、複数(例えば、3つ)の第1のレンズ面111が配列した単位列を、この単位列の配列方向(図14における横方向)に直交する並列方向(図14における縦方向)に沿って複数列(図14において2列)並列配置する場合には、次のようにして「X方向」を定義した。
【0091】
実施の形態3では、配列方向および並列方向のうち、前端面11におけるレンズアレイ1の熱変形の基準点Pとこの基準点Pから最も離間された第1のレンズ面111の中心点Oとを結ぶ仮想直線lとのなす角度が相対的に小さくなる方を、「X方向」と定義した。
【0092】
具体的には、図14においては、整列(横)方向と仮想直線lとのなす角度がθ1、並列(縦)方向と仮想直線lとのなす角度がθ2であり、これらのうち、θ1の方が小さくなっている。
【0093】
したがって、実施の形態3では、図14における横方向がX方向と定義するとともに、縦方向がY方向と定義した。この前提の下で、実施の形態1と同様に、X方向のトレランスをY方向のトレランスよりも大きくするために、前述のような各光学面111、1211、131の曲率調整を行った。
【0094】
以上のように、複数の第1のレンズ面111を有する単位列が並列配置されている場合においても、熱変形の影響が最も出やすい方向をX方向と定義する。この場合も、X方向のトレランスをY方向のトレランスよりも大きくすることができるため、発光素子32の配置態様の多様化に柔軟に対応することができる。
【0095】
なお、図14と同様の2列配置されたレンズ面111構成においても、図15に示すように、並列方向(縦方向)と仮想直線lとのなす角度θ2が最小となった場合には、並列方向がX方向となり、整列方向(横方向)がY方向となる。
【0096】
本発明は、前述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の特徴を損なわない限度において種々変更してもよい。
【0097】
例えば、第1のレンズ面111が、例えば碁盤の目のように、複数の方向のいずれに沿って見た場合にも複数列をなすように整列配置される場合には、それら複数の方向のうち、第1のレンズ面111の整列数が最多となる方向を整列方向とし、これに直交する方向を並列方向とした上で、「X方向」を定めるようにしてもよい。
【0098】
また、図16に示されるように、第1のレンズ面111の整列数が少なく、所定数(例えば、3つ)以上の第1のレンズ面111を整列させた単位列を観念できない場合には、各第1のレンズ面111の中心点同士を結ぶ線分方向(同図破線部)のうち、熱変形の基準点Pとこの基準点Pから最も遠い第1のレンズ面111の中心点Oとを結ぶ線分lとのなす角度が最小(同図におけるθ1)となる線分方向を、「X方向」と定義してもよい。
【0099】
本出願は、2012年10月10日出願の特願2012−225197に基づく優先権を主張する。当該出願明細書および図面に記載された内容は、すべて本願明細書に援用される。
【産業上の利用可能性】
【0100】
本発明に係る光結合素子および光モジュールは、例えば光ファイバを用いた光通信に有用である。
【符号の説明】
【0101】
1 レンズアレイ
11 前端面
111 第1のレンズ面
12 後端面
1211 全反射面
13 下端面
131 第2のレンズ面
32 発光素子
4 光ファイバ
41 端面
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図8】
【図9】
【国際調査報告】