(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO2014057769
(43)【国際公開日】20140417
【発行日】20160905
(54)【発明の名称】減圧治具及び減圧治具を用いた被加圧物の加圧方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/56 20060101AFI20160808BHJP
【FI】
   !H01L21/56 R
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】22
【出願番号】2014540787
(21)【国際出願番号】JP2013074891
(22)【国際出願日】20130913
(31)【優先権主張番号】2012226629
(32)【優先日】20121012
(33)【優先権主張国】JP
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ
(71)【出願人】
【識別番号】000191009
【氏名又は名称】新東工業株式会社
【住所又は居所】愛知県名古屋市中村区名駅三丁目28番12号
(74)【代理人】
【識別番号】100071010
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 行造
(74)【代理人】
【識別番号】100118647
【弁理士】
【氏名又は名称】赤松 利昭
(74)【代理人】
【識別番号】100138438
【弁理士】
【氏名又は名称】尾首 亘聰
(74)【代理人】
【識別番号】100138519
【弁理士】
【氏名又は名称】奥谷 雅子
(74)【代理人】
【識別番号】100123892
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 忠雄
(74)【代理人】
【識別番号】100169993
【弁理士】
【氏名又は名称】今井 千裕
(74)【代理人】
【識別番号】100131082
【弁理士】
【氏名又は名称】小原 正信
(74)【代理人】
【識別番号】100185535
【弁理士】
【氏名又は名称】逢坂 敦
(72)【発明者】
【氏名】長坂 政彦
【住所又は居所】愛知県豊川市穂ノ原3丁目1番地 新東工業株式会社豊川製作所内
(72)【発明者】
【氏名】中島 章五
【住所又は居所】愛知県豊川市穂ノ原3丁目1番地 新東工業株式会社豊川製作所内
(72)【発明者】
【氏名】杉野 修
【住所又は居所】愛知県豊川市穂ノ原3丁目1番地 新東工業株式会社豊川製作所内
(72)【発明者】
【氏名】古川 恭治
【住所又は居所】愛知県新城市大宮字南貝津3番地35号 新東工業株式会社新城事業所内
【テーマコード(参考)】
5F061
【Fターム(参考)】
5F061AA01
5F061BA04
5F061CA26
5F061DA00
5F061DB01
5F061DE02
(57)【要約】
被加圧物が収容される空間が十分に減圧された後に、被加圧物の加圧を行うことができる減圧治具及びその減圧治具を用いた被加圧物の加圧方法を提供する。減圧治具1は、第1減圧部材10、第2減圧部材20、シール部材30、第1予備減圧部材40及び第2予備減圧部材50を組み合わせて構成されている。第1減圧部材10は、第1枠状部材11に、可撓性を有するシート状の部材からなる第1シート部材12が張り渡されて形成されている。第1枠状部材11には、排気ポート14を介して排気手段に接続され、収容空間Sと連通する排気路15が形成されている。第1予備減圧部材40は、第1シート部材12との間に予備減圧室Yを形成し、予備減圧室Y内部を減圧可能に構成されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
加圧処理を行う被加圧物を加圧手段により加圧するために、被加圧物が収容される収容空間を減圧する減圧治具であって、
枠状に形成された第1の枠状部材と該第1の枠状部材に張り渡される第1のシート部材とを備えた第1の減圧部材と、
前記第1の減圧部材に対向して配置され、前記第1の減圧部材との間に前記被加圧物を収容する保持部材と、
前記第1の枠状部材と前記保持部材との間に配置され、前記第1の減圧部材と前記保持部材との間の空間を気密状態に区画し、前記被加圧物を収容可能な収容空間を形成するシール部材と、
第1の減圧部材に対向して前記保持部材の反対側に配置され、前記第1のシート部材との間に予備減圧室を形成し、前記予備減圧室を減圧可能に構成されている第1の予備減圧部材と、を備えたことを特徴とする
減圧治具。
【請求項2】
前記保持部材は、前記第1の枠状部材と対向して配置される枠状に形成された第2の枠状部材と該第2の枠状部材に張り渡される第2のシート部材とを備えた第2の減圧部材であり、
前記第2の減圧部材に対向して前記第1の減圧部材の反対側に配置され、前記第2のシート部材との間に予備減圧室を形成し、前記予備減圧室内部を減圧可能に構成されている第2の予備減圧部材を備えたことを特徴とする
請求項1に記載の減圧治具。
【請求項3】
前記第1の予備減圧部材又は第2の予備減圧部材は、前記予備減圧室内部に向かって形成されたスペーサーを備えたことを特徴とする
請求項1または請求項2に記載の減圧治具。
【請求項4】
前記保持部材に配置された板状部材であって、
前記収容空間を、被加圧物を収容する第2の収容空間と、第2の収容空間と排気手段とを連通する流路空間と、に区画する収容空間形成部材を備えたことを特徴とする
請求項1または請求項2に記載の減圧治具。
【請求項5】
前記保持部材に配置された枠状の板状部材であって、
前記被加圧物の位置決めを行う位置決め部材を備えたことを特徴とする
請求項4に記載の減圧治具。
【請求項6】
前記被加圧物は、半導体チップを備える基板及び半導体チップ封止用材料であることを特徴とする
請求項1または請求項2に記載の減圧治具。
【請求項7】
請求項1または請求項2に記載の減圧治具と、被加圧物と、を用意し、
前記予備減圧室を排気して減圧する予備減圧工程と、
前記収容空間に前記被加圧物を配置する配置工程と、
前記収容空間を排気し、被加圧物が前記第1のシート部材から加圧力を受けない範囲で減圧する減圧工程と、
前記予備減圧室を大気圧に開放することにより、前記第1のシート部材を前記収容空間に配置された被加圧物に密着させて被加圧物を固定する固定工程と、
前記予備減圧部材を前記減圧部材から取り外し、固定された被加圧物を加圧する加圧工程と、を備えたことを特徴とする
被加圧物の加圧方法。
【請求項8】
前記予備減圧室を減圧する内圧は、前記収容空間を減圧する内圧以下であることを特徴とする
請求項7に記載の被加圧物の加圧方法。
【請求項9】
前記加圧工程において、前記固定工程における被加圧物を固定する加圧力により、被加圧物を加圧することを特徴とする
請求項7記載の被加圧物の加圧方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加圧処理を行う被加圧物を加圧手段により加圧するために、被加圧物が収容される収容空間を減圧する減圧治具及びその減圧治具を用いた被加圧物の加圧方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、半導体チップの封止や多層基板の製造など減圧下で加圧して行う工程において、被加圧物を内部に減圧した状態で保持する減圧治具が用いられている。例えば、特開2011−29516号公報には、基板上に樹脂封止材と半導体チップとを積層し柔軟な膜で覆われた空間に配置した後、減圧治具により減圧処理を行い、大気との差圧により柔軟な膜で加圧、固定し、加圧状態のまま加熱することにより封止を行う技術が開示されている。また、特開2003−124628号公報には、複数の樹脂シートを積層した後にシート材保持具の内部を減圧して柔軟な膜であるカバー部材により樹脂シートを固定し、その後、熱プレス装置にて熱加圧処理を行う技術が開示されている。
【0003】
しかし、上記の技術では、減圧する際に同時に被加圧物に柔軟な膜から加圧力が負荷されてしまうため、被加圧物近傍の減圧が十分に行われる前に被加圧物に加圧力が負荷されてしまう。十分に脱気が行われないまま加圧される結果、加圧後の被加圧物にボイドが発生したりするという問題があった。これは、被加圧物が積層体であったり、封止樹脂のように粘着性が高いものである場合に特に顕著に表れる。
【0004】
そこで、本発明は、被加圧物が収容される空間が十分に減圧された後に、被加圧物の加圧を行うことができる減圧治具及びその減圧治具を用いた被加圧物の加圧方法を提供することを目的とする。
【発明の概要】
【0005】
上記目的を実現するために、本発明の第1の態様は、加圧処理を行う被加圧物を加圧手段により加圧するために、被加圧物が収容される収容空間を減圧する減圧治具であって、枠状に形成された第1の枠状部材と該第1の枠状部材に張り渡される第1のシート部材とを備えた第1の減圧部材と、前記第1の減圧部材に対向して配置され、前記第1の減圧部材との間に前記被加圧物を収容する保持部材と、前記第1の枠状部材と前記保持部材との間に配置され、前記第1の減圧部材と前記保持部材との間の空間を気密状態に区画し、前記被加圧物を収容可能な収容空間を形成するシール部材と、第1の減圧部材に対向して前記保持部材の反対側に配置され、前記第1のシート部材との間に予備減圧室を形成し、前記予備減圧室を減圧可能に構成されている第1の予備減圧部材と、を備えた、減圧治具である。
【0006】
本発明の第1の態様によれば、収容空間に被加圧物を配置し、予備減圧室を排気して減圧した後に収容空間を排気することにより、被加圧物が第1のシート部材から加圧力を受けない状態で収容空間の排気を行うことができる。これにより、収容空間が十分に減圧された後に、被加圧物の加圧を行うことができるため、被加圧物に気泡などが残存し、ボイドなどの欠陥が生じることを防ぐことができる。ここで、第1のシート部材を十分な可撓性を持つ材料で形成する、などの構成により、収容空間が十分に減圧された後に、被加圧物を固定し、加圧することもできる。
【0007】
本発明の第2の態様は、本発明の第1の態様の減圧治具において、前記保持部材は、前記第1の枠状部材と対向して配置される枠状に形成された第2の枠状部材と該第2の枠状部材に張り渡される第2のシート部材とを備えた第2の減圧部材であり、前記第2の減圧部材に対向して前記第1の減圧部材の反対側に配置され、前記第2のシート部材との間に予備減圧室を形成し、前記予備減圧室内部を減圧可能に構成されている第2の予備減圧部材を備えた、減圧治具である。
【0008】
本発明の第2の態様のように、保持部材として第1の減圧部材と同様の構成の第2の減圧部材を用い、第1の予備減圧部材と同様の構成の第2の予備減圧部材を備えた構成を採用することができる。この構成によれば、保持部材をシートで構成して熱容量を小さくすることができるので、被加圧物を加熱または冷却する場合に、迅速な加熱または冷却を行うことができ好適である。さらに、第2の予備減圧部材は収容空間を減圧しても収容空間側に撓まないので、第1のシート部材および第2のシート部材が被加圧物に接触することがない。
【0009】
本発明の第3の態様は、本発明の第1または第2の態様の減圧治具において、前記第1の予備減圧部材又は第2の予備減圧部材は、前記予備減圧室内部に向かって形成されたスペーサーを備えた、減圧治具である。
【0010】
本発明の第3の態様によれば、スペーサーにより予備減圧室の体積を減じることができるので、予備減圧室を速やかに減圧できるとともに、予備減圧室を減圧した際に第1のシート部材、第2のシート部材が撓みすぎることを抑制することができる。
【0011】
本発明の第4の態様は、本発明の第1または第2の態様の減圧治具において、前記保持部材に配置された板状部材であって、前記収容空間を、被加圧物を収容する第2の収容空間と、第2の収容空間と排気手段とを連通する流路空間と、に区画する収容空間形成部材を備えた、減圧治具である。
【0012】
本発明の第4の態様によれば、収容空間形成部材により収容空間を第2の収容空間と流路空間とに区画することができるので、被加圧物の位置ずれを起こしにくくすることができるとともに、排気のための流路空間を確保し、被加圧物の位置ずれなどにより排気流路が閉塞することを防ぐことができ、第2の収容空間内部を確実に、かつ速やかに排気することができる。
【0013】
本発明の第5の態様は、本発明の第4の態様の減圧治具において、前記保持部材に配置された枠状の板状部材であって、前記被加圧物の位置決めを行う位置決め部材を備えた、減圧治具である。
【0014】
本発明の第5の態様によれば、位置決め部材により被加圧物の正確な位置決めを行うことができるので、被加圧物が位置ずれを生じることなく、被加圧物の安定した加圧を行うことができる。
【0015】
本発明の第6の態様は、本発明の第1または第2の態様の減圧治具において、前記被加圧物は、半導体チップを備える基板及び半導体チップ封止用材料である、減圧治具である。
【0016】
本発明の第6の態様のように、被加圧物として半導体チップを備える基板及び半導体チップ封止用材料を採用する場合にも、十分な排気を行った後に加圧処理を行うことができるので、ボイドの発生を防ぐことができ、好適である。
【0017】
本発明の第7の態様は、被加圧物の加圧方法であって、本発明の第1または第2の態様の減圧治具と、被加圧物と、を用意し、前記予備減圧室を排気して減圧する予備減圧工程と、前記収容空間に前記被加圧物を配置する配置工程と、前記収容空間を排気し、被加圧物が前記第1のシート部材から加圧力を受けない範囲で減圧する減圧工程と、前記予備減圧室を大気圧に開放することにより、前記第1のシート部材を前記収容空間に配置された被加圧物に密着させて被加圧物を固定する固定工程と、前記予備減圧部材を前記減圧部材から取り外し、固定された被加圧物を加圧する加圧工程と、を備えた、被加圧物の加圧方法である。
【0018】
本発明の第7の態様によれば、予備減圧工程において予備減圧室を排気して減圧し、配置工程において収容空間に被加圧物を配置し、減圧工程において収容空間を排気し、被加圧物が前記第1のシート部材から加圧力を受けない範囲で減圧し、固定工程において予備減圧室を大気圧に開放することにより、第1のシート部材を収容空間に配置された被加圧物に密着させて被加圧物を固定し、加圧工程において予備減圧部材を減圧部材から取り外し、固定された被加圧物を加圧手段により加圧することができる。これにより、収容空間が十分に減圧された後に、被加圧物の固定、加圧を行うことができるため、被加圧物に気泡などが残存し、ボイドなどの欠陥が生じることを防ぐことができる。
【0019】
本発明の第8の態様は、本発明の第7の態様の被加圧物の加圧方法において、前記予備減圧室を減圧する内圧は、前記収容空間を減圧する内圧以下である、被加圧物の加圧方法である。
【0020】
本発明の第8の態様のように予備減圧室を減圧する内圧を設定すると、予備減圧室の方が低圧となり、第1のシート部材に予備減圧室側へ向かう力が作用するため、被加圧物が第1のシート部材から加圧力を受けないようにすることができる。
【0021】
本発明の第9の態様では、本発明の第7態様の被加圧物の加圧方法において、前記加圧工程において、前記固定工程における被加圧物を固定する加圧力により、被加圧物を加圧する、被加圧物の加圧方法である。
【0022】
被加圧物を加圧する際に大きな加圧力を必要としない場合には、本発明の第9の態様のように、固定工程における被加圧物を固定する加圧力を利用して、被加圧物を加圧することができる。
【0023】
この出願は、日本国で2012年10月12日に出願された特願2012−226629号に基づいており、その内容は本出願の内容として、その一部を形成する。
また、本発明は以下の詳細な説明により更に完全に理解できるであろう。しかしながら、詳細な説明および特定の実施例は、本発明の望ましい実施の形態であり、説明の目的のためにのみ記載されているものである。この詳細な説明から、種々の変更、改変が、当業者にとって明らかだからである。
出願人は、記載された実施の形態のいずれをも公衆に献上する意図はなく、開示された改変、代替案のうち、特許請求の範囲内に文言上含まれないかもしれないものも、均等論下での発明の一部とする。
本明細書あるいは請求の範囲の記載において、名詞及び同様な指示語の使用は、特に指示されない限り、または文脈によって明瞭に否定されない限り、単数および複数の両方を含むものと解釈すべきである。本明細書中で提供されたいずれの例示または例示的な用語(例えば、「等」)の使用も、単に本発明を説明し易くするという意図であるに過ぎず、特に請求の範囲に記載しない限り本発明の範囲に制限を加えるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】第1実施形態の減圧治具の構造を示す説明図である。図1(A)は減圧治具の平面図及び断面図、図1(B)は図1(A)のA−A断面図である。
【図2】第1減圧部材の構造を示す説明図である。図2(A)は上方から見た平面図及び断面図、図2(B)は下方から見た平面図、図2(C)は図2(B)のA部の拡大図である。
【図3】第2減圧部材の構造を示す説明図である。図3(A)は上方から見た平面図及び断面図、図3(B)は下方から見た平面図、図3(C)は図3(A)のA部の拡大図である。
【図4】第1予備減圧部材の構造を示す説明図である。図4(A)は上方から見た平面図及び断面図、図4(B)は下方から見た平面図である。
【図5】第2予備減圧部材の構造を示す説明図である。図5(A)は上方から見た平面図及び断面図、図5(B)は下方から見た平面図である。
【図6】減圧治具を用いた被加圧物の加圧方法の工程を示す説明図である。
【図7】減圧治具を用いた被加圧物の加圧方法の工程を示す説明図である。
【図8】減圧治具を用いた被加圧物の加圧方法の工程を示す説明図である。
【図9】保持部材の変更例を示す説明図である。図9(A)は第1減圧部材及び第1予備減圧部材と組み合わせた状態の上方から見た平面図及び断面図、図9(B)は図9(A)のA−A断面図である。
【図10】第2実施形態の減圧治具の収容空間形成部材の構造を示す説明図である。図10(A)は収容空間形成部材が設けられた第2減圧部材を上方から見た平面図、図10(B)は図10(A)のA−A断面図及びB−B断面図である。
【図11】第2実施形態の減圧治具の位置決め部材の構造を示す説明図である。図11(A)は位置決め部材が設けられた第2減圧部材を上方から見た平面図、図11(B)は図11(A)のA−A断面図及びB−B断面図である。
【図12】第3実施形態の減圧治具の剛性付与部材の構造を示す説明図である。図12(A)は上方から見た平面図、図12(B)は下方から見た平面図、図12(C)は、図12(A)のA−A断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
(第1実施形態)
本発明に係る被加圧物を収容空間に配置して当該収容空間を減圧する減圧治具と、この減圧治具を用いた被加圧物の加圧方法について、図を参照して説明する。
【0026】
図1に示すように、減圧治具1は、第1減圧部材10、第1減圧部材10との間に被加圧物を収容する保持部材である第2減圧部材20、シール部材30、第1予備減圧部材40及び第2予備減圧部材50を組み合わせて構成されている。なお、減圧治具1では、第1減圧部材10が上方に、第2減圧部材20が下方に配置されるものとして説明するが、これには限定されない。
【0027】
図2に示すように、第1減圧部材10は、第1枠状部材11に、可撓性を有するシート状の部材からなる第1シート部材12が張り渡されて形成されている。本実施形態では、第1シート部材12は樹脂材料であるテフロン(登録商標)からなる。
【0028】
図1(B)に示すように、第1枠状部材11にはシールリング11aが配置されたシール溝11bが形成されており、第1シート部材12は、第1押さえ部材13によりシールリング11aを介して第1枠状部材11に固定されている。
【0029】
第1枠状部材11には、排気ポート14を介して排気手段(図示せず)に接続され、第1押さえ部材13に形成された溝とともに、後述する収容空間Sと連通する排気路15が形成されている。本実施形態では、排気ポート14は第1枠状部材11の角部近傍2箇所に設けられている。
【0030】
図3に示すように、第2減圧部材20は、第1減圧部材10と同様の構成であり、第1減圧部材10との間に被加圧物Wを収容する保持部材として用いられる。なお、本実施形態のように第2減圧部材20の上方に第1減圧部材10を載置するように減圧治具1が構成される場合には、被加圧物Wは第2減圧部材20上に載置することができる。第2減圧部材20は、第1枠状部材11と対向して配置される第2枠状部材21に、可撓性を有するシート状の部材からなる第2シート部材22が張り渡されて形成されている。ここで、第2シート部材22は被加圧物Wを載置した時に大きく撓まない程度の剛性が必要であり、本実施形態では、金属材料であるステンレス鋼からなる。
【0031】
図1(B)に示すように、第2枠状部材21にはシールリング21aが配置されたシール溝21bが形成されており、第2シート部材22は、第2押さえ部材23によりシールリング21aを介して第2枠状部材21に固定されている。
【0032】
第2枠状部材21には、排気ポート24を介して排気手段に接続され、第2押さえ部材23に形成された溝とともに、後述する収容空間Sと連通する排気路25が形成されている。本実施形態では、排気ポート24は第2枠状部材21の角部近傍2箇所に設けられている。
【0033】
ここで、排気路15、25は第1枠状部材11、第2枠状部材21にそれぞれ設けられているが、いずれか一方の枠状部材のみに設けることもできる。また、数や配置も収容空間Sの形状、大きさなどに合わせて任意に設定することができる。
【0034】
シール部材30は、第1枠状部材11と第2枠状部材21との間に配置され、第1シート部材12と第2シート部材22との間に形成される空間を気密状態に区画し、被加圧物Wを収容可能な収容空間Sを形成する部材である。シール部材30は、第1枠状部材11の排気路15、第2枠状部材21の排気路25の外側に設けられており、収容空間Sが排気路15、25と連通するように構成されている。つまり、収容空間Sは、排気路15、25を介して排気し減圧可能に構成されている。本実施形態では、シール部材30は、第1枠状部材11と一体的に設けられている。
【0035】
シール部材30として、耐熱性ゴム材料、特に、シリコンゴムを好適に用いることができる。シリコンゴムは密着力が高いので、収容空間Sを確実に気密に保つことができる。また、シリコンゴムは耐熱性が高く、被加圧物Wを高温に加熱しながら加圧する場合に好適に用いることができる。
【0036】
図4に示すように、第1予備減圧部材40は、板状に形成された本体部41とスペーサー42とを備えており、第1減圧部材10に対向してシールリング43を介して第2減圧部材20の反対側に配置され、第1シート部材12との間に予備減圧室Y(図1(A)参照)を形成する。スペーサー42は、予備減圧室Yの体積を減じるように、予備減圧室Y内部に向かって形成されており、予備減圧室Yを速やかに減圧できるようにするとともに、予備減圧室Yを減圧した際に第1シート部材12が撓みすぎることを抑制する機能を有する。
【0037】
第1予備減圧部材40には、排気ポート44を介して排気手段に接続され、予備減圧室Yと連通する排気路45が形成されており、予備減圧室Y内部を減圧可能に構成されている。本実施形態では、排気ポート44は本体部41の角部近傍2箇所に設けられている。
【0038】
第1予備減圧部材40は、予備減圧室Yを減圧しても変形しないように、剛性が高い材料、例えば、硬質プラスチックや金属材料により形成されている。
【0039】
ここで、第1予備減圧部材40は、本体部41とスペーサー42とが、一体的に形成されているが、分離可能に形成されていてもよい。
【0040】
図5に示すように、第2予備減圧部材50は、第1予備減圧部材40と同様の構造であり、本体部51、スペーサー52、排気ポート54及び排気路55を備えている。第2予備減圧部材50は、第2減圧部材20に対向してシールリング53を介して第1減圧部材10の反対側に配置され、第2シート部材22との間に予備減圧室Y(図1(A)参照)を形成し、予備減圧室Y内部を減圧可能に構成されている。
【0041】
次に、図6〜8を参照して、減圧治具1を用いた被加圧物の加圧方法について説明する。
【0042】
まず、膜材料を積層した被加圧物Wを用意する。ここで、被加圧物Wとして、例えば、半導体チップを備える基板Kに半導体チップ封止用材料Fを積層したものを用いる。半導体チップ封止用材料Fとしては、エポキシシートなどを用いることができる。
【0043】
図6(A)に示すように、第1減圧部材10、第2減圧部材20、シール部材30、第1予備減圧部材40及び第2予備減圧部材50を用意する。各排気ポート14、24、44、54は、ロータリーポンプなどの排気手段(図示せず)にそれぞれ接続される。
【0044】
まず、予備減圧工程では、図6(B)に示すように、第1減圧部材10に第1予備減圧部材40を装着し、第2減圧部材20に第2予備減圧部材50を装着して、予備減圧室Yをそれぞれ形成し、排気手段により予備減圧室Yを排気し減圧する。
【0045】
続く配置工程では、まず、図6(C)に示すように、被加圧物Wを第2減圧部材20の第2シート部材22上に配置、すなわち載置する。
【0046】
次に、図7(D)に示すように、第1シート部材12と第2シート部材22とが対向するように、シール部材30を介して第1減圧部材10の第1枠状部材11を第2減圧部材20の第2枠状部材21上に載置する。これにより、収容空間Sが形成され、その内部に被加圧物Wが配置される。つまり被加圧物Wは第1減圧部材10と第2減圧部材20の間に収容され、保持される。ここで、第1減圧部材10及び第2減圧部材20は、第1予備減圧部材40及び第2予備減圧部材50がそれぞれ装着された状態である。
【0047】
続く減圧工程では、図7(E)に示すように、排気手段により収容空間Sを排気して所定の内圧まで減圧する。ここで、所定の内圧とは、被加圧物Wが第1シート部材12から加圧力を受けない範囲の内圧であり、例えば、予備減圧室Yの内圧が収容空間Sを排気したときの内圧以下である。これによれば、予備減圧室Yの内圧の方が、収容空間Sの内圧より低くなり、第1シート部材12に予備減圧室Y側へ向かう力が作用するため、被加圧物Wに第1シート部材12から加圧力は作用せず、第1シート部材12が被加圧物Wに密着することがない。なお、第1シート部材12が被加圧物Wに撓んで接触することもない。なお、第1シート部材12の剛性によっては、上記の条件を満たさなくても被加圧物Wが第1シート部材12から加圧力を受けないようにすることができる。なお、「密着」とは、気密に付着している状態をいい、たとえば、収容空間が減圧されて第1シート部材12が被加圧物W側に撓んで、被加圧物Wを加圧しながら付着するような状態を指し、第2シート部材22上に被加圧物Wを載置しただけでは密着はしない。
【0048】
続く固定工程では、予備減圧室Yを大気圧に開放する。このとき、収容空間Sは減圧状態であり、第1シート部材12は十分な可撓性を持つ材料で構成されているので、収容空間Sの内圧と大気圧との差圧により、図7(F)に示すように、第1シート部材12が被加圧物W側に撓んで被加圧物Wを加圧し、加圧力により密着し、被加圧物Wを気泡の混入などがない状態で固定することができる。続いて、図8(G)に示すように、第1予備減圧部材40及び第2予備減圧部材50を、第1減圧部材10及び第2減圧部材20から取り外す。
【0049】
続く加圧工程では、図8(H)に示すように、第1減圧部材10及び第2減圧部材20により固定された被加圧物Wを加圧手段Pにより加圧する。被加圧物Wを加圧手段Pに搬入、搬出するに際して、あらかじめ被加圧物Wを減圧治具1で固定することができるので、搬送時における衝撃などによる被加圧物Wの位置ズレを防止することができる。加圧終了後、図8(I)に示すように、減圧治具1より被加圧物Wを取り出し、一連の工程を終了する。
【0050】
加圧手段Pとして、例えば、一軸のプレス装置を採用することができる。第1予備減圧部材40及び第2予備減圧部材50を取り外して加圧するため、被加圧物Wを平面加圧板や加圧金型、加圧ロールなどの剛性構造体で加圧することが可能である。これにより、被加圧物に大きな加圧力を加えることができる。
【0051】
加圧手段Pとして、加熱しながら加圧可能なホットプレス装置や冷却しながら加圧可能なコールドプレス装置などを採用することができる。また、加圧手段に減圧治具1と被加圧物Wとを予備加熱する予備加熱部や減圧治具1と被加圧物Wとを冷却する余熱除去部などを備える構成を採用することもできる。これにより、確実な加熱及び冷却が短時間で可能となり、生産性を向上させることができる。また、第1予備減圧部材40及び第2予備減圧部材50を取り外して加熱及び冷却を行うことができるので、被加圧物Wを容易に加熱及び冷却することができる。そして、被加圧物Wが加熱により反ってしまうような材質であるような場合でも、減圧治具1であらかじめ固定された状態で加熱することができるため、作業性を向上させることができるとともに製品の品質を向上させることができる。
【0052】
減圧治具1は、加圧手段Pから独立して設けられているため、あらかじめ被加圧物Wを加圧手段Pの外部で減圧治具1にセットすることができるので、作業効率を向上させることができる。また、予備減圧室Yの減圧、収容空間Sの減圧、予備減圧室Yの大気開放などの工程(図6から図8の(A)〜(G)、(I))も加圧手段Pの外部で行うことができる。これにより、一連の工程のうち、加圧手段Pを占有するのは加圧工程(図8(H))だけであり、減圧治具1をあらかじめ複数用意しておけば次々に被加圧物Wを加圧手段Pに送り込むことができるので、生産性を飛躍的に向上させることができる。
【0053】
減圧治具1は、上述の構成により、被加圧物Wが第1シート部材12から加圧力を受けず、第1シート部材12が被加圧物Wに密着しない状態で収容空間Sの排気を十分に行った後に、第1シート部材12を収容空間Sに配置された被加圧物Wに密着させて被加圧物Wを固定することができる。これにより、被加圧物Wに気泡などが残存し、ボイドなどの欠陥が生じることを防ぐことができる。
【0054】
減圧治具1を用いた加圧方法は、被加圧物Wが、層間に気泡が残存しやすい積層体や、粘着性を有し小さな圧力でも気泡などが残存しやすいもの、例えば、上述した基板及び半導体チップ封止用材料、半導体チップとヒートシンクとの間に挟み込む放熱用シートである場合や、気泡が少しでも残ることが許されないインプリントを行う場合などに好適に用いることができる。また、被加圧物Wが、収容空間Sの減圧が完了するまで加圧力を負荷したくない材料、例えば、スラリー成形体などの場合にも好適に用いることができる。
【0055】
被加圧物Wを加圧する際に大きな加圧力を必要としない場合には、加圧手段による加圧を行わずに、固定工程における被加圧物Wを固定する加圧力(密着力)を利用して、被加圧物Wを加圧することができる。つまり、加圧工程においても、固定工程における被加圧物Wを固定する加圧力により加圧することになる。
【0056】
本実施形態では、第1シート部材12が樹脂材料であるテフロン(登録商標)からなり、第2シート部材22が金属材料であるステンレス鋼からなる構成を用いたが、材質、組み合わせはこれに限定されるものではない。
【0057】
第1シート部材12及び第2シート部材22として、ガラスやセラミックスのウィスカにより分散強化された繊維強化ゴムシートや、基布の両面にゴム薄膜を積層一体化してなるゴム引布などの繊維強化ゴムシートを用いることができる。
【0058】
第1シート部材12及び第2シート部材22として剛性としなやかさを併せ持つゴム引布を好適に用いることができる。ゴム引布の基布としては、フッ素系繊維、ポリイミド繊維、ポリフェニレンサルファイド繊維、アラミド繊維、ナイロン、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン、綿などの布帛、ガラス繊維からなるシート、などを用いることができる。
【0059】
ゴム薄膜を構成するゴムとしては、フッ素ゴム、ニトリルゴム、ウレタンゴム、クロロプレンゴム、天然ゴム、シリコンゴムなどを用いることができる。これらのゴムに、トリアルコキシアルキルフォスフェートなどの界面活性剤やカーボンなどを帯電防止剤として添加することもできる。
【0060】
減圧治具1を高温(例えば、160℃)で用いる場合など、第1シート部材12及び第2シート部材22に耐熱性が要求される場合には、例えば、基布としてはガラス繊維、耐熱性合成繊維を、ゴムとしてはフッ素ゴム、シリコンゴムなどを、好適に用いることができる。ここで、耐熱性合成繊維とは、減圧治具1の使用温度において収容空間Sを気密保持して使用可能な繊維を示し、ガラス繊維、耐熱ナイロンなどを好適に用いることができる。
【0061】
第1シート部材12及び第2シート部材22として繊維強化ゴムシートを用いると、熱膨張が低いため、第1シート部材12及び第2シート部材22と他の部材との熱膨張差に起因する被加圧物Wの位置ずれを防ぐことができる。また、弾力性が高くしなやかであり、外力により変形しても外力を取り除くと元の形状に戻る性質に富むため、繰り返しの使用によっても形状が変化することがない。加圧力を均一にする緩衝性が高いため、加圧手段から被加圧物Wに局所的な圧力が加わらず均一な加圧が可能となる。耐久性が高いため、被加圧物Wや治具の角部などにより破壊することがない。
【0062】
また、第1シート部材12及び第2シート部材22として、ポリイミド材質のシートを用いることができる。第1シート部材12及び第2シート部材22としてポリイミド材質のシートを用いると、耐熱性が高いため、被加圧物Wを高温で加圧することが可能となる。
【0063】
(変更例)
図9に示すように、第2減圧部材20は、平板状の部材として形成してもよい。これによれば、簡単な構造にすることができるとともに、被加圧物Wを保持する領域の剛性が高いため、被加圧物Wを安定して保持することができるので、例えば、スラリー成形体など被加圧物Wの強度が弱い場合に好適に用いることができる。さらに、平板状の部材で形成された第2減圧部材20は、強度の弱い被加圧物Wを第2減圧部材20上に載置するのにも好適である。なお、加圧工程で加熱または冷却を行う場合には、図3に示す構造の方が熱容量を小さくすることができるので、迅速な加熱または冷却を行うことができる。
【0064】
予備減圧室Yの大きさが小さい場合、または、本体部41と第1シート部材12との距離が小さく、第1シート部材12が大きく撓むおそれがない場合、などには、第1予備減圧部材40にスペーサー42を設けなくてもよい。第2予備減圧部材50についても同様である。
【0065】
上述した実施形態では、第1シート部材12は第1押さえ部材13によりシートリング11aを介して第1枠状部材11に固定されているが、第1シート部材12の固定方法はこれに限定されるものでなく、例えば、第1シート部材12を第1枠状部材11に直接接着して固定することもできる。第2シート部材22の固定についても同様である。
【0066】
収容空間Sの内圧と大気圧との差圧により第1シート部材12が被加圧物W側に撓んで被加圧物Wに密着しない程度に剛性が高い場合などには、被加圧物Wが固定されない状態で、続く加圧工程に供される場合もある。
【0067】
(第2実施形態)
本発明に係る被加圧物減圧治具の第2実施形態について、図を参照して説明する。ここで、第1実施形態と同様の構成については、同じ符号を用い、説明を省略する。なお、図10(A)の断面図及び図11(A)の断面図においては、構造をわかりやすくするために、部材の一部を誇張して大きく記載してある。
【0068】
本実施形態では、第2減圧部材20の構成が異なっている。図10に示すように、第2減圧部材20の第2シート部材22上には、第1シート部材12と第2シート部材22との間に挟みこまれた状態で、収容空間Sを、被加圧物Wを収容する第2収容空間S2と第2収容空間S2内部を排気するための流路空間Hと、に区画する収容空間形成部材60が設けられている。本実施形態では、収容空間形成部材60は金属材料であるステンレス鋼により被加圧物Wよりも薄く形成され、接着剤により第2シート部材22に貼り付けられている。
【0069】
第2収容空間S2は被加圧物Wの形状に合わせて形成され、本実施形態では矩形状となるように形成されている。流路空間Hは、収容空間形成部材60の外周及び第2収容空間S2と外周との間の流路として形成され、第2収容空間S2と排気路15、25とを連通する。図10(A)に示す例では、2要素にて収容空間形成部材60を構成している。収容空間形成部材60の第1の要素は、第2シート部材22のほぼ半分の大きさを有し、第2収容空間S2の部分だけを欠いている。収容空間形成部材60の第2の要素は、第1の要素より、外周が流路空間Hを形成する分、小さく形成されている。第1の要素と第2の要素の間に、第2収容空間S2と外周との間の流路としての流路空間Hが形成される。このように収容空間形成部材60を構成すると、収容空間形成部材60の製作が容易となる。
【0070】
収容空間形成部材60を用いると、被加圧物Wの位置ずれを起こしにくくすることができるとともに、排気のための流路空間Hを確保し、被加圧物Wの位置ずれなどにより排気流路が閉塞することを防ぐことができ、第2収容空間S2内部を確実に、かつ速やかに排気することができる。
【0071】
また、図11に示すように、収容空間形成部材60の内側、つまり、第2収容空間S2の内部に、被加圧物Wの位置決めを行う、枠状に形成された位置決め部材61を設けることもできる。これによれば、位置決め部材61により被加圧物Wの正確な位置決めを行うことができるので、被加圧物Wが位置ずれを生じることなく、被加圧物Wの安定した加圧を行うことができる。位置決め部材61は収容空間形成部材60より薄く形成される。よって、位置決め部材61が閉じた枠状に形成されても、流路空間Hが塞がれることがない。
【0072】
ここで、収容空間形成部材60は、第1シート部材12に設けることもできる。また、収容空間形成部材60を設けずに位置決め部材61のみ設ける構成も採用することができる。
【0073】
(第3実施形態)
図12に示すように、第1シート部材12の被加圧物Wの反対側に、第1シート部材12より剛性が高い材料からなり、矩形の板状に形成された剛性付与部材70を設けることができる。剛性付与部材70は、被加圧物Wを収容する位置に対応し、加圧可能な位置に配置され、被加圧物Wの外形より大きな寸法に形成される。剛性付与部材70を形成する材料として、金属材料、特に、ステンレス鋼を好適に用いることができる。
【0074】
本構成によれば、剛性付与部材70により第1シート部材12の少なくとも被加圧物Wを加圧する部分に一定の剛性を付与することができるので、被加圧物Wが凹凸形状を有する場合には、第1シート部材12が被加圧物Wの凹部に侵入し貼り付くことを防止することができ、被加圧物Wの材質が第1シート部材12と貼り付き易く壊れやすい場合などにおいて、被加圧物Wの破損を防ぐことができる。また、被加圧物Wの凸部のみを加圧したい場合にも好適に用いることができる。
【0075】
本実施形態では、剛性付与部材70は被加圧物Wの反対側に設けられているが、剛性付与部材70が被加圧物W側に面するように設けることもできる。これにより、第1シート部材12が、被加圧物Wと直接接触することを防ぐことができるので、被加圧物Wの材質が第1シート部材12に貼り付きやすく壊れやすい場合などにおいて、被加圧物Wの破損を防ぐことができる。
【0076】
[実施形態の効果]
本実施形態の減圧治具1及び被加圧物の加圧方法によれば、収容空間Sに被加圧物Wを配置し、予備減圧室Yを排気して減圧した後に収容空間Sを排気することにより、被加圧物Wが第1シート部材から加圧力を受けず、第1シート部材が被加圧物Wに密着しない状態で収容空間Sの排気を行うことができる。また、第1シート部材12は可撓性を有しているので、第1シート部材12を収容空間Sに配置された被加圧物Wに密着させて被加圧物Wを固定することができる。これにより、収容空間Sが十分に減圧された後に、被加圧物Wの加圧を行うことができるため、被加圧物Wに気泡などが残存し、ボイドなどの欠陥が生じることを防ぐことができる。また、被加圧物Wが、収容空間Sの減圧が完了するまで加圧力を負荷したくない材料にも好適に用いることができる。
【0077】
(その他の実施形態)
本発明の減圧治具1は、下記工程に示すセラミック材料の成形工程に用いることもできる。
1.スラリー状セラミック材料をテープ成形して、テープ成形体を得る。
2.減圧治具を用い、テープ成形体を減圧下で加熱乾燥させる。これにより、乾燥時間を短縮することができる。
3.予備減圧室を大気に開放して予備減圧部材を取り外す。
4.乾燥したテープ成形体を熱加圧して高密度化を行う。なお、このとき、収容空間は減圧状態でテープ成形体を固定していなくてもよく、その場合収容空間は大気に開放するかガス封入を行う。
【0078】
同様の方法により、セラミックス材料以外のスラリー材料を成形することができる。
【実施例】
【0079】
本実施例では、第1実施形態に示した減圧治具を用いて、半導体チップを備える基板についてエポキシシートによる封止を行った。
【0080】
第1シート部材にはガラスクロスによって補強された300μm 厚のテフロン(登録商標)製シートを用い、第2シート部材には300μm厚の両面鏡面研磨ステンレス板を用いた。第1枠状部材と第2枠状部材とは、それぞれアルミ材により製作されている。第1予備減圧部材と第2予備減圧部材とは、それぞれ透明アクリル樹脂により構成されている。
【0081】
まず、第1減圧部材と第1予備減圧部材、第2減圧部材と第2予備減圧部材をそれぞれ組み合わせ、予備減圧工程を行った。予備減圧室はロータリーポンプンにより減圧し、内圧を−98kPaとした。
【0082】
続く配置工程では、半導体チップを備える基板上にエポキシシートを積層し、第2シート部材に配置し、シール部材を介して第1減圧部材の第1枠状部材を第2減圧部材の第2枠状部材上に載置し、被加圧物を収容空間内に収容した。
【0083】
続く減圧工程では、ロータリーポンプにより収容空間を排気して、真空レギュレータにより収容空間の内圧を−95〜0kPaの範囲で制御した。
【0084】
続く固定工程では、予備減圧室を大気圧に開放して、被加圧物を固定し、加圧工程に供した。
【0085】
続く加圧工程では、加圧可能なプレス熱板を備えた一軸のホットプレス装置により被加圧物を加圧した。ここで、プレス熱板温度は低すぎれば封止材が硬化せず、高すぎれば封止材が劣化するため、40〜200℃が好ましく、本実施例では120℃とした。プレス加圧力は、低すぎれば封止できず、高すぎれば半導体チップが破損するため、100〜3000kPaが好ましく、本実施例では500kPaとした。プレス加圧時間は、短すぎれば十分な封止ができず、長すぎれば生産性が低下するため、1〜60秒が好ましく、本実施例では5秒とした。
【0086】
以上の工程を経て、ボイドなどが生じずに封止された半導体チップを製造することができた。
【0087】
1…減圧治具
10…第1減圧部材(第1の減圧部材)
11…第1枠状部材(第1の枠状部材)
12…第1シート部材(第1のシート部材)
14…排気ポート
15…排気路
20…第2減圧部材(第2の減圧部材)
21…第2枠状部材(第2の枠状部材)
22…第2シート部材(第2のシート部材)
24…排気ポート
25…排気路
30…シール部材
40…第1予備減圧部材(第1の予備減圧部材)
41…本体部
42…スペーサー
50…第2予備減圧部材(第2の予備減圧部材)
60…収容空間形成部材
61…位置決め部材
70…剛性付与部材
S…収容空間
S2…第2収容空間(第2の収容空間)
W…被加圧物
H…流路空間
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【国際調査報告】