(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO2014057949
(43)【国際公開日】20140417
【発行日】20160905
(54)【発明の名称】液晶表示装置
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/1335 20060101AFI20160808BHJP
   G02F 1/13363 20060101ALI20160808BHJP
   G02B 5/30 20060101ALI20160808BHJP
【FI】
   !G02F1/1335 510
   !G02F1/13363
   !G02B5/30
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】82
【出願番号】2014540855
(21)【国際出願番号】JP2013077384
(22)【国際出願日】20131008
(31)【優先権主張番号】2012227510
(32)【優先日】20121012
(33)【優先権主張国】JP
(31)【優先権主張番号】2013021838
(32)【優先日】20130206
(33)【優先権主張国】JP
(31)【優先権主張番号】2013049449
(32)【優先日】20130312
(33)【優先権主張国】JP
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】306037311
【氏名又は名称】富士フイルム株式会社
【住所又は居所】東京都港区西麻布2丁目26番30号
(74)【代理人】
【識別番号】100115107
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 猛
(74)【代理人】
【識別番号】100151194
【弁理士】
【氏名又は名称】尾澤 俊之
(72)【発明者】
【氏名】米本 隆
【住所又は居所】神奈川県南足柄市中沼210番地 富士フイルム株式会社内
(72)【発明者】
【氏名】古川 裕道
【住所又は居所】神奈川県南足柄市中沼210番地 富士フイルム株式会社内
(72)【発明者】
【氏名】大野 貴広
【住所又は居所】神奈川県南足柄市中沼210番地 富士フイルム株式会社内
(72)【発明者】
【氏名】関口 恵
【住所又は居所】神奈川県南足柄市中沼210番地 富士フイルム株式会社内
(72)【発明者】
【氏名】大里 光男
【住所又は居所】神奈川県南足柄市中沼210番地 富士フイルム株式会社内
(72)【発明者】
【氏名】福田 謙一
【住所又は居所】神奈川県南足柄市中沼210番地 富士フイルム株式会社内
(72)【発明者】
【氏名】脇阪 大樹
【住所又は居所】神奈川県南足柄市中沼210番地 富士フイルム株式会社内
【テーマコード(参考)】
2H149
2H191
2H291
【Fターム(参考)】
2H149CA04
2H149CA09
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2H149EA02
2H149EA12
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2H191PA79
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2H291LA11
2H291LA24
2H291PA24
2H291PA26
2H291PA59
2H291PA79
(57)【要約】
液晶セルを構成するガラス基板の厚みが薄い(例えばガラス基板の厚みが0.5mm以下の大型(例えば、32インチ以上))の液晶表示装置で顕在化している高湿環境下での保存後に点灯すると発生するパネルの反りに基づくワープムラの問題を解消し得る液晶表示装置を提供する。
ガラス基板2枚の間に液晶層を設けた液晶セルと、該液晶セルの両面に設けた偏光板と、該液晶セルのリア側(非視認側)に設けたバックライトを含んでなる液晶表示装置であって、液晶セルのフロント側(視認側)に設けた偏光板は、下記条件(A)経時直後における偏光板の含水率と下記条件(B)経時直後における偏光板の含水率の差が0.01%以上3.0%以下である、液晶表示装置。
[条件(A):60℃相対湿度90%の環境に48時間放置]
[条件(B):60℃相対湿度90%の環境に48時間放置後、25℃相対湿度10%の環境に6時間放置]
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラス基板2枚の間に液晶層を設けた液晶セルと、
該液晶セルの両面に設けた偏光板と、該液晶セルのリア側(非視認側)に設けたバックライトを含んでなる液晶表示装置であって、
液晶セルのフロント側(視認側)に設けた偏光板は、下記条件(A)経時直後における偏光板の含水率と下記条件(B)経時直後における偏光板の含水率の差が0.01%以上3.0%以下である、液晶表示装置。
[条件(A):60℃相対湿度90%の環境に48時間放置]
[条件(B):60℃相対湿度90%の環境に48時間放置後、25℃相対湿度10%の環境に6時間放置]
【請求項2】
ガラス基板2枚の間に液晶層を設けた液晶セルと、
該液晶セルの両面に設けた偏光板と、該液晶セルのリア側(非視認側)に設けたバックライトを含んでなる液晶表示装置であって、
液晶セルのフロント側(視認側)に設けた偏光板は、下記条件(C)経時直後における偏光板の含水率と下記条件(D)経時直後における偏光板の含水率の差が0.01%以上3.0%以下である、請求項1に記載の液晶表示装置。
[条件(C):60℃相対湿度90%の環境に120時間放置]
[条件(D):60℃相対湿度90%の環境に120時間放置後、25℃相対湿度10%の環境に6時間放置]
【請求項3】
前記フロント側偏光板は、偏光子のフロント側(視認側)の面に配置された偏光板保護フィルムF1を有し、
偏光板保護フィルムF1は、透湿度が200g/m/day以下であり、熱可塑性樹脂フィルムと、該熱可塑性樹脂フィルム上に積層された低透湿層を有する、請求項1又は2に記載の液晶表示装置。
(ただし、透湿度は、JIS Z−0208の手法で、40℃、相対湿度90%で24時間経過後の値である。)
【請求項4】
前記偏光板保護フィルムF1の低透湿層の少なくとも1つが、下記式(1)を満たす低透湿層である、請求項3に記載の液晶表示装置。
式(1) A/B≦0.9
(式(1)中、Aは前記熱可塑性樹脂フィルムに前記低透湿層を積層したフィルムの透湿度を表し、Bは前記熱可塑性樹脂フィルムの透湿度を表す。ただし、透湿度は、JIS Z−0208の手法で、40℃、相対湿度90%で24時間経過後の値である。)
【請求項5】
前記熱可塑性樹脂フィルムに含まれる熱可塑性樹脂が、(メタ)アクリル系樹脂、オレフィン系樹脂、セルロース系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、及びこれらから選ばれた複数種の樹脂の混合樹脂である、請求項3又は4に記載の液晶表示装置。
【請求項6】
前記フロント側(視認側)偏光板はフロント側(視認側)の面に対置された偏光板保護フィルムF1を有し、偏光板保護フィルムF1が下記式(I)、(V)を満たすフィルムである、請求項1に記載の液晶表示装置。
式(I) Re=(nx−ny)×d
式(V) 3000nm≦Re≦30000nm
(式(I)、(V)中、nxは前記偏光板保護フィルムF1のフィルム面内の遅相軸方向の屈折率であり、nyは前記偏光板保護フィルムF1のフィルム面内の進相軸方向の屈折率であり、dは前記偏光板保護フィルムF1の膜厚(nm)である。)
【請求項7】
前記フロント側(視認側)偏光板はフロント側(視認側)の面に対置された偏光板保護フィルムF1を有し、偏光板保護フィルムF1が下記式(VI)、(VII)を満たすフィルムである、請求項6に記載の液晶表示装置。
式(VI) Nz=(nx−nz)/(nx−ny)
式(VII) Nz≦2.0
(式(VI)中、nxは前記偏光板保護フィルムF1のフィルム面内の遅相軸方向の屈折率であり、nyは前記偏光板保護フィルムF1のフィルム面内の進相軸方向の屈折率であり、nzは前偏光板保護フィルムF1の膜厚方向の屈折率である。)
【請求項8】
前記偏光板保護フィルムF1が、ポリエステル系樹脂又はポリカーボネート系樹脂である、請求項1、6、7のいずれか一項に記載の液晶表示装置。
【請求項9】
前記偏光板保護フィルムF1は、透湿度が75g/m/day以下である、請求項3〜8のいずれか一項に記載の液表表示装置。
(ただし、透湿度は、JIS Z−0208の手法で、40℃、相対湿度90%で24時間経過後の値である。)
【請求項10】
前記フロント側偏光板は、偏光子の液晶セル側の面に配置された偏光板保護フィルムF2を有し、
前記偏光板保護フィルムF2は熱可塑性樹脂フィルムであり、
前記熱可塑性樹脂フィルムに含まれる熱可塑性樹脂が、(メタ)アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリスチレン系樹脂、環状ポリオレフィン系樹脂、グルタル酸無水物系樹脂、グルタルイミド系樹脂、セルロース系樹脂及びこれらから選ばれた複数種の樹脂の混合樹脂である、請求項1〜9のいずれか一項に記載の液晶表示装置。
【請求項11】
液晶セルのリア側(非視認側)に設けた偏光板は、下記条件(A)経時直後における偏光板の含水率と下記条件(B)経時直後における偏光板の含水率の差が0.01%以上3.0%以下である、請求項1〜10のいずれか一項に記載の液晶表示装置。
[条件(A):60℃相対湿度90%の環境に48時間放置]
[条件(B):60℃相対湿度90%の環境に48時間放置後、25℃相対湿度10%の環境に6時間放置]
【請求項12】
液晶セルのリア側(非視認側)に設けた偏光板は、下記条件(C)経時直後における偏光板の含水率と下記条件(D)経時直後における偏光板の含水率の差が0.01%以上3.0%以下である、請求項1〜11のいずれか一項に記載の液晶表示装置。
[条件(C):60℃相対湿度90%の環境に120時間放置]
[条件(D):60℃相対湿度90%の環境に120時間放置後、25℃相対湿度10%の環境に6時間放置]
【請求項13】
前記リア側偏光板は、偏光子のバックライト側の面に配置された偏光板保護フィルムF4を有し、
前記偏光板保護フィルムF4が、透湿度が200g/m/day以下であり、熱可塑性樹脂フィルムと、該熱可塑性樹脂フィルム上に積層された低透湿層とを有する、請求項11又は12に記載の液晶表示装置。
(ただし、透湿度は、JIS Z−0208の手法で、40℃、相対湿度90%で24時間経過後の値である。)
【請求項14】
前記偏光板保護フィルムF4の低透湿層の少なくとも1つが、下記式(1)を満たす低透湿層である、請求項13に記載の液晶表示装置。
式(1) A/B≦0.9
(式(1)中、Aは前記熱可塑性樹脂フィルムに前記低透湿層を積層したフィルムの透湿度を表し、Bは前記熱可塑性樹脂フィルムの透湿度を表す。
ただし、透湿度は、JIS Z−0208の手法で、40℃、相対湿度90%で24時間経過後の値である。)
【請求項15】
前記熱可塑性樹脂フィルムに含まれる熱可塑性樹脂が、(メタ)アクリル系樹脂、オレフィン系樹脂、セルロース系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、及びこれらから選ばれた複数種の樹脂の混合樹脂である、請求項13又は14に記載の液晶表示装置。
【請求項16】
前記リア側(非視認側)偏光板はリア側(非視認側)の面に配置された偏光板保護フィルムF4を有し、偏光板保護フィルムF4が下記式(I)、(V)を満たすフィルムである、請求項11又は12に記載の液晶表示装置。
式(I) Re=(nx−ny)×d
式(V) 3000nm≦Re≦30000nm
(式(I)、(V)中、nxは前記偏光板保護フィルムF4のフィルム面内の遅相軸方向の屈折率であり、nyは前記偏光板保護フィルムF4のフィルム面内の進相軸方向の屈折率であり、dは前記偏光板保護フィルムF4の膜厚(nm)である。)
【請求項17】
前記リア側(非視認側)偏光板はリア側(非視認側)の面に配置された偏光板保護フィルムF4を有し、偏光板保護フィルムF4が下記式(VI)、(VII)を満たすフィルムである、請求項16に記載の液晶表示装置。
式(VI) Nz=(nx−nz)/(nx−ny)
式(VII) Nz≦2.0
(式(VI)中、nxは前記偏光板保護フィルムF4のフィルム面内の遅相軸方向の屈折率であり、nyは前記偏光板保護フィルムF4のフィルム面内の進相軸方向の屈折率であり、nzは前偏光板保護フィルムF4の膜厚方向の屈折率である。)
【請求項18】
前記偏光板保護フィルムF4が、ポリエステル系樹脂又はポリカーボネート系樹脂である、請求項11、12、16、17のいずれか一項に記載の液晶表示装置。
【請求項19】
前記偏光板保護フィルムF4は、透湿度が75g/m/day以下である、請求項13〜18のいずれか一項に記載の液晶表示装置。
(ただし、透湿度は、JIS Z−0208の手法で、40℃、相対湿度90%で24時間経過後の値である。)
【請求項20】
前記リア側偏光板は、偏光子の液晶セル側の面に配置された偏光板保護フィルムF3を有し、
前記偏光板保護フィルムF3は熱可塑性樹脂フィルムであり、
前記熱可塑性樹脂フィルムに含まれる熱可塑性樹脂が、(メタ)アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリスチレン系樹脂、環状ポリオレフィン系樹脂、グルタル酸無水物系樹脂、グルタルイミド系樹脂、セルロース系樹脂及びこれらから選ばれた複数種の樹脂の混合樹脂である、請求項11〜19のいずれか一項に記載の液晶表示装置。
【請求項21】
前記液晶セルのガラス基板が、厚さ0.5mm以下である、請求項1〜20のいずれか一項に記載の液晶表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示装置に関する。より詳細には、薄いガラス基板を使用する液晶表示装置で顕在化してくる高湿環境下で保存後の光漏れの問題を解消し得る液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置は、消費電力の小さい省スペースの画像表示装置として年々その用途が広がっている。従来、液晶表示装置は表示画像の視野角依存性が大きいことが大きな欠点であったが、VAモード、IPSモード等の広視野角液晶モードが実用化されており、これによってテレビ等の高品位の画像が要求される市場でも液晶表示装置の需要が急速に拡大しつつある。
【0003】
液晶表示装置の基本的な構成は液晶セルの両側に偏光板を設けたものである。前記偏光板は一定方向の偏波面の光だけを通す役割を担っており、偏光板の性能によって液晶表示装置の性能が大きく左右される。VAモードやIPSモードはノーマリーブラック(液晶セルの電極間電圧が0の時に黒表示)で使用され、この時、液晶セルの両側の偏光板の光吸収軸は互いに直交に配置される。光源から出た無偏光の光は、光源側の偏光板で一定方向の偏光だけ透過し、液晶セルを通過する時はその偏光状態は変化せずに透過し、光源側の偏光板に対して光吸収軸が直交に配置された鑑賞者側の偏光板によって吸収される。これにより黒表示を実現できる。
【0004】
液晶表示装置の偏光板は、一般にヨウ素や染料を吸着配向させたポリビニルアルコールフィルム等からなる偏光子と、その偏光子の表裏両側に透明な保護フィルムを貼り合わせた構成となっている。偏光板保護フィルムとしては、セルロースアセテートに代表されるセルロースアシレート系の偏光板保護フィルムが、透明性が高く、偏光子に使用されるポリビニルアルコールとの密着性を容易に確保できることから広く使用されてきた。
一方で、近年、偏光板保護フィルムとしてアクリル樹脂の使用が増加しつつある。接着技術が向上し、ポリビニルアルコールとの密着性を確保出来るようになってきたことがその背景にある。
【0005】
近年、液晶表示装置の用途拡大につれ、液晶表示装置に対して大サイズかつ高品位な質感が求められてきている。大型化した液晶表示装置の重量を軽くするため、各種の部材の厚みが薄くなり、中でも、ガラス基板の厚みは従来の0.7mmから0.5mm以下へと薄くなってきた。更に最近では厚み0.3mmのものなども検討されている。また画面周辺部分にベゼルと呼ばれる額縁に相当する部分があり、高品位な質感にするためにこの幅が狭くなってきている。
【0006】
特許文献1、特許文献2において高温環境下に偏光板を置いたときの色むらや色抜けについて検討されており、偏光板を構成する偏光子の収縮力を低下させることで色むらを改善できることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】日本国特開2002−6133号公報
【特許文献2】日本国特開2003−84136号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら特許文献1及び2においては、高温環境下に短時間置かれた偏光板の色むらについての改善提案がなされている一方で、ガラス厚みが0.5mm以下の液晶セルを用いた液晶表示装置を高湿環境下に長時間置いた後に生じるパネルの反りに基づくワープムラ(パネル四隅の光漏れ)の発生の問題については着目されていなかった。
本発明が解決しようとする課題は、液晶セルを構成するガラス基板の厚みが薄い(例えばガラス基板の厚みが0.5mm以下の大型(例えば、32インチ以上))の液晶表示装置で顕在化している高湿環境下での保存後に点灯すると発生するパネルの反りに基づくワープムラの問題を解消し得る液晶表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
液晶表示装置のパネルは液晶セルとその両面に設けた2枚の偏光板を有する。液晶表示装置を高湿環境下(例えば、60℃相対湿度90%で48時間、50℃相対湿度80%で72時間)に置くとフロント側及びリア側のいずれの偏光板も含水し膨潤する。その後、液晶表示装置を放置し乾燥させると、前記含水し膨潤した偏光板が乾燥し収縮する。ここで、リア側の偏光板は、フロント側の偏光板よりも気密性が高い環境に置かれている等の理由から、フロント側の偏光板がより早く乾燥するため、より大きな収縮力が発生するのに対し、リア側の偏光板は乾燥が遅く、収縮力の発生が小さい。そのフロント側の偏光板の収縮力と、リア側の偏光板の収縮力との差により、前記パネルの反りが発生し、その結果、パネルの四隅がベゼルに接触するなどしてワープムラ(パネル四隅の光漏れ)が発生することを本発明者らは見出した。
そこで、本発明者らは、フロント側の偏光板の収縮力と、リア側の偏光板の収縮力との差を小さくし、ワープムラの発生を抑制することについて鋭意検討した結果、高湿環境下に置かれた液晶表示装置が乾燥する際に、フロント側の偏光板の湿度寸法変化が、乾燥が遅いリア側の偏光板の湿度寸法変化よりも大きいことに着目し、フロント側の偏光板の、高温高湿環境経時直後と、高温高湿環境経時後に低湿下で経時させた直後の含水率を所定の範囲内にする(脱水抑制)ことでパネルの反りを抑制しワープムラの発生を抑制し得ることを見出した。
本発明は上記知見に基づきなされるに至ったものである。
【0010】
すなわち、上記課題は、以下の構成の本発明によって解決される。
【0011】
[1]
ガラス基板2枚の間に液晶層を設けた液晶セルと、
上記液晶セルの両面に設けた偏光板と、上記液晶セルのリア側(非視認側)に設けたバックライトを含んでなる液晶表示装置であって、
液晶セルのフロント側(視認側)に設けた偏光板は、下記条件(A)経時直後における偏光板の含水率と下記条件(B)経時直後における偏光板の含水率の差が0.01%以上3.0%以下である、液晶表示装置。
[条件(A):60℃相対湿度90%の環境に48時間放置]
[条件(B):60℃相対湿度90%の環境に48時間放置後、25℃相対湿度10%の環境に6時間放置]
[2]
ガラス基板2枚の間に液晶層を設けた液晶セルと、
上記液晶セルの両面に設けた偏光板と、上記液晶セルのリア側(非視認側)に設けたバックライトを含んでなる液晶表示装置であって、
液晶セルのフロント側(視認側)に設けた偏光板は、下記条件(C)経時直後における偏光板の含水率と下記条件(D)経時直後における偏光板の含水率の差が0.01%以上3.0%以下である、[1]に記載の液晶表示装置。
[条件(C):60℃相対湿度90%の環境に120時間放置]
[条件(D):60℃相対湿度90%の環境に120時間放置後、25℃相対湿度10%の環境に6時間放置]
[3]
上記フロント側偏光板は、偏光子のフロント側(視認側)の面に配置された偏光板保護フィルムF1を有し、
偏光板保護フィルムF1は、透湿度が200g/m/day以下であり、熱可塑性樹脂フィルムと、上記熱可塑性樹脂フィルム上に積層された低透湿層を有する、[1]又は[2]に記載の液晶表示装置。
(ただし、透湿度は、JIS Z−0208の手法で、40℃、相対湿度90%で24時間経過後の値である。)
[4]
上記偏光板保護フィルムF1の低透湿層の少なくとも1つが、下記式(1)を満たす低透湿層である、[3]に記載の液晶表示装置。
式(1) A/B≦0.9
(式(1)中、Aは上記熱可塑性樹脂フィルムに上記低透湿層を積層したフィルムの透湿度を表し、Bは上記熱可塑性樹脂フィルムの透湿度を表す。ただし、透湿度は、JIS Z−0208の手法で、40℃、相対湿度90%で24時間経過後の値である。)
[5]
上記熱可塑性樹脂フィルムに含まれる熱可塑性樹脂が、(メタ)アクリル系樹脂、オレフィン系樹脂、セルロース系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、及びこれらから選ばれた複数種の樹脂の混合樹脂である、[3]又は[4]に記載の液晶表示装置。
[6]
前記フロント側(視認側)偏光板はフロント側(視認側)の面に配置された偏光板保護フィルムF1を有し、偏光板保護フィルムF1が下記式(I)、(V)を満たすフィルムである、[1]に記載の液晶表示装置。
式(I) Re=(nx−ny)×d
式(V) 3000nm≦Re≦30000nm
(式(I)、(V)中、nxは前記偏光板保護フィルムF1のフィルム面内の遅相軸方向の屈折率であり、nyは前記偏光板保護フィルムF1のフィルム面内の進相軸方向の屈折率であり、dは前記偏光板保護フィルムF1の膜厚(nm)である。)
[7]
前記フロント側(視認側)偏光板はフロント側(視認側)の面に配置された偏光板保護フィルムF1を有し、偏光板保護フィルムF1が下記式(VI)、(VII)を満たすフィルムである、[1]又は[6]に記載の液晶表示装置。
式(VI) Nz=(nx−nz)/(nx−ny)
式(VII) Nz≦2.0
(式(VI)中、nxは前記偏光板保護フィルムF1のフィルム面内の遅相軸方向の屈折率であり、nyは前記偏光板保護フィルムF1のフィルム面内の進相軸方向の屈折率であり、nzは前偏光板保護フィルムF1の膜厚方向の屈折率である。)
[8]
前記偏光板保護フィルムF1が、ポリエステル系樹脂又はポリカーボネート系樹脂である、[1]、[6]、[7]のいずれかに記載の液晶表示装置。
[9]
上記偏光板保護フィルムF1は、透湿度が75g/m/day以下である、[3]〜[8]のいずれかに記載の液表表示装置。
(ただし、透湿度は、JIS Z−0208の手法で、40℃、相対湿度90%で24時間経過後の値である。)
[10]
上記フロント側偏光板は、偏光子の液晶セル側の面に配置された偏光板保護フィルムF2を有し、
上記偏光板保護フィルムF2は熱可塑性樹脂フィルムであり、
上記熱可塑性樹脂フィルムに含まれる熱可塑性樹脂が、(メタ)アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリスチレン系樹脂、環状ポリオレフィン系樹脂、グルタル酸無水物系樹脂、グルタルイミド系樹脂、セルロース系樹脂及びこれらから選ばれた複数種の樹脂の混合樹脂である、[1]〜[9]のいずれかに記載の液晶表示装置。
[11]
液晶セルのリア側(非視認側)に設けた偏光板は、下記条件(A)経時直後における偏光板の含水率と下記条件(B)経時直後における偏光板の含水率の差が0.01%以上3.0%以下である、[1]〜[10]のいずれかに記載の液晶表示装置。
[条件(A):60℃相対湿度90%の環境に48時間放置]
[条件(B):60℃相対湿度90%の環境に48時間放置後、25℃相対湿度10%の環境に6時間放置]
[12]
液晶セルのリア側(非視認側)に設けた偏光板は、下記条件(C)経時直後における偏光板の含水率と下記条件(D)経時直後における偏光板の含水率の差が0.01%以上3.0%以下である、[1]〜[11]のいずれかに記載の液晶表示装置。
[条件(C):60℃相対湿度90%の環境に120時間放置]
[条件(D):60℃相対湿度90%の環境に120時間放置後、25℃相対湿度10%の環境に6時間放置]
[13]
上記リア側偏光板は、偏光子のバックライト側の面に配置された偏光板保護フィルムF4を有し、
上記偏光板保護フィルムF4が、透湿度が200g/m/day以下であり、熱可塑性樹脂フィルムと、上記熱可塑性樹脂フィルム上に積層された低透湿層とを有する、[11]又は[12]に記載の液晶表示装置。
(ただし、透湿度は、JIS Z−0208の手法で、40℃、相対湿度90%で24時間経過後の値である。)
[14]
上記偏光板保護フィルムF4の低透湿層の少なくとも1つが、下記式(1)を満たす低透湿層である、[13]に記載の液晶表示装置。
式(1) A/B≦0.9
(式(1)中、Aは上記熱可塑性樹脂フィルムに上記低透湿層を積層したフィルムの透湿度を表し、Bは上記熱可塑性樹脂フィルムの透湿度を表す。
ただし、透湿度は、JIS Z−0208の手法で、40℃、相対湿度90%で24時間経過後の値である。)
[15]
上記熱可塑性樹脂フィルムに含まれる熱可塑性樹脂が、(メタ)アクリル系樹脂、オレフィン系樹脂、セルロース系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、及びこれらから選ばれた複数種の樹脂の混合樹脂である、[13]又は[14]に記載の液晶表示装置。
[16]
前記リア側(非視認側)偏光板はリア側(非視認側)の面に配置された偏光板保護フィルムF4を有し、偏光板保護フィルムF4が下記式(I)、(V)を満たすフィルムである、[11]又は[12]に記載の液晶表示装置。
式(I) Re=(nx−ny)×d
式(V) 3000nm≦Re≦30000nm
(式(I)、(V)中、nxは前記偏光板保護フィルムF4のフィルム面内の遅相軸方向の屈折率であり、nyは前記偏光板保護フィルムF4のフィルム面内の進相軸方向の屈折率であり、dは前記偏光板保護フィルムF4の膜厚(nm)である。)
[17]
前記リア側(非視認側)偏光板はリア側(非視認側)の面に配置された偏光板保護フィルムF4を有し、偏光板保護フィルムF4が下記式(VI)、(VII)を満たすフィルムである、[11]、[12]又は[16]に記載の液晶表示装置。
式(VI) Nz=(nx−nz)/(nx−ny)
式(VII) Nz≦2.0
(式(VI)中、nxは前記偏光板保護フィルムF4のフィルム面内の遅相軸方向の屈折率であり、nyは前記偏光板保護フィルムF4のフィルム面内の進相軸方向の屈折率であり、nzは前偏光板保護フィルムF4の膜厚方向の屈折率である。)
[18]
前記偏光板保護フィルムF4が、ポリエステル系樹脂又はポリカーボネート系樹脂である、[11]、[12]、[16]、[17]のいずれかに記載の液晶表示装置。
[19]
上記偏光板保護フィルムF4は、透湿度が75g/m/day以下である、[13]〜[18]のいずれかに記載の液晶表示装置。
(ただし、透湿度は、JIS Z−0208の手法で、40℃、相対湿度90%で24時間経過後の値である。)
[20]
上記リア側偏光板は、偏光子の液晶セル側の面に配置された偏光板保護フィルムF3を有し、
上記偏光板保護フィルムF3は熱可塑性樹脂フィルムであり、
上記熱可塑性樹脂フィルムに含まれる熱可塑性樹脂が、(メタ)アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリスチレン系樹脂、環状ポリオレフィン系樹脂、グルタル酸無水物系樹脂、グルタルイミド系樹脂、セルロース系樹脂及びこれらから選ばれた複数種の樹脂の混合樹脂である、[11]〜[19]のいずれかに記載の液晶表示装置。
[21]
上記液晶セルのガラス基板が、厚さ0.5mm以下である、[1]〜[20]のいずれかに記載の液晶表示装置。
【発明の効果】
【0012】
液晶表示装置、特に液晶セルを構成するガラス基板の厚みが0.5mm以下の大型の液晶表示装置で顕在化している高湿環境下での保存後に点灯すると発生するパネルの反りに基づくワープムラ(パネル四隅の光漏れ)の問題を解消し得る液晶表示装置を提供することができる。これにより世界各地で使用できる液晶表示装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の液晶表示装置の一例の層構成を示した模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。また、本明細書において、「(メタ)アクリレート」との記載は、「アクリレート及びメタクリレートの少なくともいずれか」の意味を表す。「(メタ)アクリル樹脂」、「(メタ)アクリル酸」、「(メタ)アクリロイル」等も同様である。
本実施形態の説明において「偏光板」とは、特別な記述がない限り、長尺の偏光板、及び表示装置に組み込まれる大きさに裁断された偏光板の両者を含む意味で用いている。なお、ここでいう「裁断」には「打ち抜き」及び「切り出し」等も含むものとする。
「遅相軸」は、屈折率が最大となる方向を意味し、更に屈折率の測定波長は、特別な記述がない限り、可視光域(λ=590nm)での値である。
また、本明細書において、光学フィルム及び液晶層等の各部材の光学特性を示す数値、数値範囲、及び定性的な表現(例えば、「同等」、「等しい」等の表現)については、液晶表示装置やそれに用いられる部材について一般的に許容される誤差を含む数値、数値範囲及び性質を示していると解釈されるものとする。
【0015】
また、本明細書において、各軸・方向間の配置や交差角の角度の説明で、範囲を示さずに単に「平行」、「直交」、「0°」、「90°」等という場合には、「おおよそ平行」、「おおよそ直交」、「おおよそ0°」、「おおよそ90°」の意であり、厳密なものではない。それぞれの目的を達成する範囲内での、多少のズレは許容される。例えば「平行」「0°」とは、交差角がおおよそ0°ということであり、−10°〜10°、好ましくは−5°〜5°、より好ましくは−3°〜3°である。「直交」、「90°」とは、交差角がおおよそ90°ということであり、80°〜100°、好ましくは85°〜95°、より好ましくは87°〜93°である。
【0016】
〔本発明の液晶表示装置〕
本発明の液晶表示装置は、
ガラス基板2枚の間に液晶層を設けた液晶セルと、
該液晶セルの両面に設けた偏光板と、該液晶セルのリア側(非視認側)に設けたバックライトを含んでなる液晶表示装置であって、
液晶セルのフロント側(視認側)に設けた偏光板は、下記条件(A)経時直後における偏光板の含水率と下記条件(B)経時直後における偏光板の含水率の差が0.01%以上3.0%以下である。
[条件(A):60℃相対湿度90%の環境に48時間放置]
[条件(B):60℃相対湿度90%の環境に48時間放置後、25℃相対湿度10%の環境に6時間放置]
【0017】
詳細に差を確認するためには、高温高湿環境により長時間放置する必要がある。
液晶セルのフロント側(視認側)に設けた偏光板は、下記条件(C)経時直後における偏光板の含水率と下記条件(D)経時直後における偏光板の含水率の差が0.01%以上3.0%以下であることが好ましい。
[条件(C):60℃相対湿度90%の環境に120時間放置]
[条件(D):60℃相対湿度90%の環境に120時間放置後、25℃相対湿度10%の環境に6時間放置]
【0018】
液晶表示装置ないしそのパネルの長手方向が、フロント側偏光板の吸収軸方向に、リア側偏光板の透過軸方向に、相当し得る。
フロント側偏光板の吸収軸方向の収縮力Dと、リア側偏光板の透過軸方向の収縮力Hとの差(D−H)を小さくすることにより、パネルの長手方向の反りを抑制し、ワープムラの発生を抑制することができる。
【0019】
液晶表示装置のフロント側偏光板は筐体外部に直接さらされていることより、筐体内部のリア側偏光板と比較して外部環境の影響を受けやすい。液晶表示装置を高温高湿環境経時後に低湿下で経時させた場合、フロント側偏光板、リア側偏光板は共に高温高湿環境経時直後では含水した状態にあったとしても、フロント側偏光板ほうがリア側偏光板よりも早く調湿されるため、フロント側偏光板とリア側偏光板で含水率差が生じ、これより収縮力差が生じてパネルの反りが発生する。
ここで、収縮力差を改善する為にはフロント側偏光板の収縮力とリア側偏光板の収縮力の差を小さくすれば良い、すなわちフロント側偏光板の含水率変化を小さくするか、リア側偏光板の含水率変化を大きくすれば良いことが考えられるが、筐体内の環境変化は外部環境の変化よりも遅いことより、偏光板の設計ではリア側偏光板の含水率変化を大きくすることは難しく、フロント側偏光板の含水率変化を小さくすることが好ましい。
【0020】
すなわち、本発明は前記条件(A)にて偏光板が含水する程度の含水速度を有し、かつ前記条件(B)にて偏光板の脱水速度が遅いフロント側偏光板を使用することで、前記条件(A)と前記条件(B)におけるフロント側偏光板の含水率差を小さくし、パネルの反りを抑制し、ワープムラを改善するものである。
【0021】
本発明の液晶表示装置は、条件(A)経時直後における偏光板の含水率と条件(B)経時直後における偏光板の含水率の差が0.01%以上3.0%以下である偏光板をフロント側偏光板として用いるものであるが、更にフロント側偏光板とリア側偏光板の両方に用いることがより好ましい。
これはフロント側よりも含水率変化は少ないが、リア側も含水率変化をしていることより、フロント側、リア側の含水率変化を共に抑えることで、収縮力差をより小さくできるからである。
【0022】
本発明の液晶表示装置の液晶パネルのガラス基板の厚さは、0.7mm以下が好ましく、0.5mm以下がより好ましく、0.3mm以下が更に好ましい。
ガラス基板の厚さが薄いほど偏光板収縮力によるパネルの反りが顕著になるため、より本発明が有効となる。
【0023】
本発明の液晶表示装置の液晶パネルは32インチ以上のサイズが好ましい。サイズが大きなパネルほど端部の反りは顕著になるため、より本発明が有効となる。
【0024】
また、本発明の低透湿フィルムを使用することでパネルの反りが抑制される結果、セルとバックライト部材との接触が抑えられ、セルがバックライト部材と接触することで生じるムラである円形ムラが改善できる。
【0025】
本発明の液晶表示装置は、温度変化及び湿度変化が大きい条件(たとえば高温多湿な地域など)での使用される時、より有効となる。
【0026】
(一般的な液晶表示装置の構成)
液晶表示装置は、二枚の電極基板の間に液晶を担持してなる液晶セル、その両側に配置された二枚の偏光板、及び必要に応じて該液晶セルと該偏光板との間に少なくとも一枚の光学補償フィルムを配置した構成を有している。
液晶セルの液晶層は、通常は、二枚の基板の間にスペーサーを挟み込んで形成した空間に液晶を封入して形成する。透明電極層は、導電性物質を含む透明な膜として基板上に形成する。液晶セルには、更にガスバリアー層、ハードコート層あるいは(透明電極層の接着に用いる)アンダーコート層(下塗り層)を設けてもよい。これらの層は、通常、基板上に設けられる。液晶セルの基板は、一般に50μm〜2mmの厚さを有する。
【0027】
(液晶表示装置の種類)
本発明の液晶表示装置は、様々な表示モードの液晶セルに用いることができる。TN(Twisted Nematic)、IPS(In−Plane Switching)、FLC(Ferroelectric Liquid Crystal)、AFLC(Anti−ferroelectric Liquid Crystal)、OCB(Optically Compensatory Bend)、STN(Super Twisted Nematic)、VA(Vertically Aligned)、ECB(Electrically Controlled Birefringence)、及びHAN(Hybrid Aligned Nematic)のような様々な表示モードが提案されている。また、上記表示モードを配向分割した表示モードも提案されている。本発明の光学フィルムは、いずれの表示モードの液晶表示装置においても有効である。また、透過型、反射型、半透過型のいずれの液晶表示装置においても有効である。
【0028】
特に透過型のTNモード、IPS又はFFSモード、VAモードの液晶表示装置に用いることが好ましく、IPS又はFFSモード、VAモードに用いることがより好ましく、IPS又はFFSモードに用いることが更に好ましい。
【0029】
[偏光板]
本発明の液晶表示装置が有するフロント側偏光板は、条件(A)経時直後における偏光板の含水率と条件(B)経時直後における偏光板の含水率の差が0.01%以上3.0%以下であり、より好ましくは含水率が0.05%以上2.5%未満であり、更に好ましくは0.05%以上1.5%未満であり、特に好ましくは0.05%以上1.0%未満であり、最も好ましくは0.05%以上0.5%未満である。
また、本発明の液晶表示装置が有するフロント側偏光板は、条件(C)経時直後における偏光板の含水率と条件(D)経時直後における偏光板の含水率の差が0.01%以上3.0%以下であり、より好ましくは含水率が0.05%以上2.5%未満であり、更に好ましくは0.05%以上1.5%未満であり、特に好ましくは0.05%以上1.0%未満であり、最も好ましくは0.05%以上0.5%未満である。
リア側偏光板についても、条件(C)経時直後における偏光板の含水率と条件(D)経時直後における偏光板の含水率の差が0.01%以上3.0%以下であることが好ましい。
ここで、含水率変化が0.01%未満となるのは、特殊な材料、構成の偏光板や、極端に偏光子膜厚が薄く十分な偏光板特性を発現できない場合など、コストや汎用性、性能が十分ではない場合などが考えられる。
【0030】
なお、本発明における偏光板含水率は、偏光板の液晶セル側に配置する偏光板保護フィルムを、ガラス板などの水を通さない基板に貼合した状態で、特定の温湿度環境で経時させて調湿し、前記基板より偏光板を剥離した直後に測定したものである。
これは実際のパネルと同様に、フロント側(視認側)偏光板ならば偏光子のフロント側(視認側)の偏光板保護フィルム、リア側(非視認側)偏光板ならば偏光子のバックライト側の偏光板保護フィルムを通して偏光板内へと入る水の量を測定するためである。
偏光板のみで調湿して測定する含水率測定は、実際のパネルでは偏光子の液晶セル側に配置される偏光板保護フィルムの側からも偏光板内へと水が入ってしまうため、パネルの反り、及びワープムラ程度の判断方法としては十分ではない。
条件(A)及び条件(C)における経時直後とは、60℃相対湿度90%環境から25℃相対湿度60%環境下へ偏光板を取り出してから10分以内を指し、その時間内に測定サンプル片を密閉容器に封入して含水率を測定する。また、条件(B)及び条件(D)における経時直後とは、25℃相対湿度10%の環境内で所定の時間から10分以内を指し、その時間内に測定サンプル片を密閉容器に封入して含水率を測定する。
【0031】
本発明の液晶表示装置が有するフロント側偏光板は、偏光子のフロント側(視認側)の面に配置された偏光板保護フィルムF1を有し、偏光板保護フィルムF1は、熱可塑性樹脂フィルムと、該熱可塑性樹脂フィルム上に積層された低透湿層を有することが好ましい。また、更に偏光子の液晶セル側の面に配置された偏光板保護フィルムF2を有し、偏光板保護フィルムF2は、熱可塑性樹脂フィルムであることが好ましい。
本発明の液晶表示装置が有するリア側偏光板は、偏光子のバックライト側の面に配置された偏光板保護フィルムF4を有し、偏光板保護フィルムF4は、熱可塑性樹脂フィルムと、該熱可塑性樹脂フィルム上に積層された低透湿層を有することが好ましい。また、更に偏光子の液晶セル側の面に配置された偏光板保護フィルムF3を有し、偏光板保護フィルムF3は、熱可塑性樹脂フィルムであることが好ましい。
本発明の偏光板保護フィルムについての詳細は後述する。
【0032】
本発明における偏光板は、偏光子と該偏光子に積層されている偏光板保護フィルムを含んでも良い。本発明における偏光板は、更に該偏光板の一方の面にプロテクトフィルムを、反対面にセパレートフィルムを貼合して構成されることも好ましい。
前記プロテクトフィルム及び前記セパレートフィルムは偏光板出荷時、製品検査時等において偏光板を保護する目的で用いられる。この場合、プロテクトフィルムは、偏光板の表面を保護する目的で貼合され、偏光板を液晶板へ貼合する面の反対面側に用いられる。また、セパレートフィルムは液晶板へ貼合する接着層をカバーする目的で用いられ、偏光板を液晶板へ貼合する面側に用いられる。
【0033】
(偏光板の湿度寸法変化率(%))
偏光板の前記収縮力を好適な値に制御し、かつパネルの反りの抑える観点から、前記フロント側偏光板の吸収軸方向(MD方向)と前記リア側偏光板の透過軸方向(TD方向)の湿度寸法変化の差は小さい方が好ましく、更に両者ともに小さい方がより好ましい。
【0034】
(偏光板の厚み)
偏光板の前記収縮力を好適な値に制御する観点から、前記偏光板の厚みは170μm以下であることが好ましく、160μm以下であることがより好ましく、150μmであることが更に好ましい。下限としては特に制限はないが10μm以上であることが好ましい。
偏光板の前記収縮力を好適な値に制御し、かつパネルの反りの抑える観点から、前記フロント側偏光板の厚みが、130μm以下であることが特に好ましい。
偏光板の前記収縮力を好適な値に制御し、かつパネルの反りの抑える観点から、前記リア側偏光板の厚みが、前記フロント側偏光板の厚みの1.1倍以上であることが好ましい。
【0035】
(偏光板の弾性率(GPa))
偏光板の前記収縮力を好適な値に制御し、かつパネルの反りの抑える観点から、前記フロント側偏光板の吸収軸方向の弾性率は10GPa以下であることが好ましく、9GPa以下であることがより好ましく、8GPaであることが更に好ましい。下限としては特に制限はないが2GPa以上であることが好ましい。
同様の観点から、前記リア側偏光板の透過軸方向の弾性率は6GPa以下であることが好ましく、5GPa以下であることがより好ましく、4GPaであることが更に好ましい。下限としては特に制限はないが1GPa以上であることが好ましい。
【0036】
(形状・構成)
本発明における偏光板の形状は、液晶表示装置にそのまま組み込むことが可能な大きさに切断されたフィルム片の態様の偏光板のみならず、連続生産により、長尺状に作製され、ロール状に巻き上げられた態様(例えば、ロール長2500m以上や3900m以上の態様)の偏光板も含まれる。大画面液晶表示装置用とするためには、偏光板の幅は1470mm以上とすることが好ましい。
【0037】
<偏光子>
本発明における偏光板に使用される偏光子は、ポリビニルアルコール系樹脂と、二色性色素とを含有することが好ましい。
(1−1)ポリビニルアルコール系樹脂(以下、PVAとも言う)
前記PVAとしては、ポリ酢酸ビニルを鹸化したポリマー素材が好ましいが、例えば不飽和カルボン酸、不飽和スルホン酸、オレフィン類、ビニルエーテル類のような酢酸ビニルと共重合可能な成分とを含有しても構わない。また、アセトアセチル基、スルホン酸基、カルボキシル基、オキシアルキレン基等を含有する変性PVAも用いることができる。
この他、本発明の偏光子には、特許登録第3021494号に記載されている1、2−グリコール結合量が1.5モル%以下のPVAフィルム、特開2001−316492号公報に記載されている5μm以上の光学的異物が100cm当たり500個以下であるPVAフィルム、特開2002−030163号に記載されているフィルムのTD方向の熱水切断温度斑が1.5℃以下であるPVAフィルム、更にグリセリンなどの3〜6価の多価アルコ−ルを1〜100質量%混合した溶液や、特開平06−289225号公報に記載されている可塑剤を15質量%以上混合した溶液から製膜したPVAフィルムを好ましく用いることができる。
これらの中でも、本発明の偏光子に用いる前記ポリビニルアルコール系樹脂としては、ポリ酢酸ビニルをけん化したものが製造コストの観点から好ましい。なお、前記ポリ酢酸ビニルのけん化度については特に制限はないが、例えば、けん化度90%以上とすることが好ましく、95%以上とすることがより好ましく、99%以上とすることが特に好ましい。
【0038】
本発明における偏光子に用いる前記ポリビニルアルコール系樹脂の重量平均分子量については特に制限はないが、100000〜300000であることが好ましく、140000〜260000であることがより好ましく、150000〜200000であることが特に好ましい。
【0039】
(1−2)二色性色素
本発明における偏光子は、二色性色素を含有することが好ましい。ここで、二色性色素とは、本明細書中、方向により吸光度の異なる色素のことを言い、ヨウ素イオン、ジアゾ系色素、キノン系色素、その他公知の二色性染料などが含まれる。前記二色性色素としては、IやIなどの高次のヨウ素イオン若しくは二色性染料を好ましく使用することができる。
本発明では高次のヨウ素イオンが特に好ましく使用される。高次のヨウ素イオンは、「偏光板の応用」永田良編、CMC出版や工業材料、第28巻、第7号、p.39〜p.45に記載されているようにヨウ素をヨウ化カリウム水溶液に溶解した液及び/又はホウ酸水溶液にPVAを浸漬し、PVAに吸着・配向した状態で生成することができる。
【0040】
(1−3)偏光子の膜厚
本発明では偏光板の前記収縮力を所定の値にする手段の一つとして、偏光子の膜厚設定により行うことができる。本発明における偏光子の膜厚は、この観点から、30μm以下であることが好ましく、1.5〜20μmであることがより好ましく、3〜16μmであることが更に好ましく、4〜10μmであることが最も好ましい。
前記フロント側及び前記リア側偏光板に使用される偏光子の厚みがいずれも30μm以下であることが好ましい。
偏光子の膜厚が30μmより厚いと偏光板の収縮力が大きくなる傾向にありワープムラ、光漏れ等の原因となり得、また偏光子の膜厚が薄すぎても光漏れ等の原因となり得る。
また、特にフロント側偏光板の収縮力を抑え、収縮力の差(D−H)を低減する観点から、前記フロント側偏光板に使用される偏光子の厚みが、前記リア側偏光板に使用される偏光子の厚みよりも薄いことが好ましい。
【0041】
[偏光子の製造方法]
本発明における偏光子の製造方法における、ポリビニルアルコールと、ヨウ素とを含有する本発明における偏光子の製造方法としては、特に制限はない。例えば、前記PVAをフィルム化した後、ヨウ素を導入して偏光子を構成することが好ましい。PVAフィルムの製造は、特開2007−86748号公報の〔0213〕〜〔0237〕に記載の方法、特許登録第3342516号明細書、特開平09−328593号公報、特開2001−302817号公報、特開2002−144401号公報等を参考にして行うことができる。
【0042】
その中でも、本発明における偏光子の製造方法では、ポリビニルアルコール系樹脂を含有するポリビニルアルコール系樹脂溶液をフィルム状に製膜する工程と、前記ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを延伸する工程と、二色性色素により延伸後の前記ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを染色する工程を含むことが好ましい。
【0043】
具体的には、前記偏光子の製造方法を、PVA系樹脂溶液の調製工程、流延工程、膨潤工程、染色工程、硬膜工程、延伸工程、乾燥工程を記載の順序で遂次行うことが特に好ましい。また、前述の工程中あるいは後にオンライン面状検査工程を設けてもよい。
【0044】
(PVA系樹脂溶液の調製)
前記PVA系樹脂溶液の調製工程では、水に対して攪拌しながらPVA系樹脂を添加し、PVA系樹脂を水又は有機溶媒に溶解した原液を調製することが好ましい。原液中のポリビニルアルコール系樹脂の濃度は、好ましくは5〜20質量%である。また、得られたスリラーを脱水し、含水率40%程度のポリビニルアルコール系樹脂ウェットケーキを一度調製してもよい。更にその後添加剤を加える場合は、例えば、PVAのウェットケーキを溶解槽に入れ、可塑剤、水を加え、槽底から水蒸気を吹き込みながら攪拌する方法が好ましい。内部樹脂温度は50〜150℃に加温することが好ましく、系内を加圧してもよい。
【0045】
(流延)
前記流延工程は、上記にて調製したPVA系樹脂溶液原液を流延して成膜する方法が一般に好ましく用いられる。流延の方法としては、特に制限はないが、加熱した前記PVA系樹脂溶液原液を2軸押し出し機に供給し、ギアポンプにより排出手段(好ましくはダイ、より好ましくはT型スリットダイ)から支持体上に流涎して製膜することが好ましい。また、ダイからの排出される樹脂溶液の温度については特に制限はない。
前記支持体としては、キャストドラムが好ましく、ドラムの直径、幅、回転速度、表面温度については、特に制限はない。その中でも、前記キャストドラムの直径(R1)は2000〜5000mmであることが好ましく、2500〜4500mmであることが特に好ましく、3000〜3500mmであることが特に好ましい。
前記キャストドラムの幅は2〜6mであることが好ましく、3〜5mであることが特に好ましく、4〜5mであることが特に好ましい。
前記キャストドラムの回転速度は2〜20m/分であることが好ましく、4〜12m/分であることが特に好ましく、5〜10m/分であることが特に好ましい。
前記キャストドラムのキャストドラム表面温度は40〜140℃であることが好ましく、60〜120℃であることが特に好ましく、80〜100℃であることが特に好ましい。
前記T型スリットダイ出口の樹脂温度は40〜140℃であることが好ましく、60〜120℃であることが特に好ましく、80〜100℃であることが特に好ましい。
その後、得られたロールの裏面と表面とを乾燥ロールに交互に通過させながら乾燥を行なうことが好ましい。前記乾燥ロールの直径、幅、回転速度、表面温度については、特に制限はない。その中でも、前記キャストドラムの直径(R1)は200〜450mmであることが好ましく、250〜400mmであることが特に好ましく、300〜350mmであることが特に好ましい。
また、得られたフィルムの長さについても特に制限はなく、2000m以上、好ましくは4000m以上の長尺のフィルムとすることができる。フィルムの幅についても、特に制限はないが、2〜6mであることが好ましく、3〜5mであることが好ましい。
【0046】
(膨潤)
前記膨潤工程は、水のみで行うことが好ましいが、特開平10−153709号公報に記載されているように、光学性能の安定化及び、製造ラインでの偏光板基材のシワ発生回避のために、偏光板基材をホウ酸水溶液により膨潤させて、偏光板基材の膨潤度を管理することもできる。
また、膨潤工程の温度、時間は、任意に定めることができるが、10℃〜60℃、5秒〜2000秒が好ましい。
なお、膨潤工程のときにわずかに延伸を行ってもよく、例えば1.05倍〜1.5倍に延伸する態様が好ましく、1.3倍程度に延伸する態様がより好ましい。
【0047】
(染色)
前記染色工程は、特開2002−86554号公報に記載の方法を用いることができる。また、染色方法としては浸漬だけでなく、ヨウ素あるいは染料溶液の塗布あるいは噴霧等、任意の手段が可能である。また、特開2002−290025号公報に記載されているように、ヨウ素の濃度、染色浴温度、浴中の延伸倍率、及び浴中の浴液を攪拌させながら染色させる方法を用いてもよい。
前記二色性色素として高次のヨウ素イオンを用いる場合、高コントラストの偏光板を得るためには、染色工程はヨウ素をヨウ化カリウム水溶液に溶解した液を用いることが好ましい。この場合のヨウ素−ヨウ化カリウム水溶液のヨウ素とヨウ化カリウムの質量比については特開2007−086748号公報に記載の態様を用いることができる。
また、特許登録第3145747号明細書に記載されているように、染色液にホウ酸、ホウ砂等のホウ素系化合物を添加してもよい。
【0048】
(硬膜)
前記硬膜工程は、架橋剤溶液に浸漬、又は溶液を塗布して架橋剤を含ませるのが好ましい。また、特開平11−52130号公報に記載されているように、硬膜工程を数回に分けて行うこともできる。
前記架橋剤としては米国再発行特許第232897号明細書に記載のものが使用でき、特許第3357109号明細書に記載されているように、寸法安定性を向上させるため、架橋剤として多価アルデヒドを使用することもできるが、ホウ酸類が最も好ましく用いられる。硬膜工程に用いる架橋剤としてホウ酸を用いる場合には、ホウ酸−ヨウ化カリウム水溶液に金属イオンを添加してもよい。金属イオンとしては塩化亜鉛が好ましいが、特開2000−35512号公報に記載されているように、塩化亜鉛の変わりに、ヨウ化亜鉛などのハロゲン化亜鉛、硫酸亜鉛、酢酸亜鉛などの亜鉛塩を用いることもできる。
また、塩化亜鉛を添加したホウ酸−ヨウ化カリウム水溶液を作製し、PVAフィルムを浸漬させて硬膜を行ってもよく、特開2007−086748号公報に記載の方法を用いることができる。
本発明において、偏光板の収縮力を上記所定の値にする手段の一つとして、偏光子の硬膜条件(硬膜時間の調整など)を適宜調整して行うことが出来る。
【0049】
(延伸)
前記延伸工程は、米国特許2,454,515号明細書などに記載されているような、縦一軸延伸方式、若しくは特開2002−86554号公報に記載されているようなテンター方式を好ましく用いることができる。好ましい延伸倍率は2倍〜12倍であり、更に好ましくは3倍〜10倍である。また、延伸倍率と原反厚さと偏光子厚さの関係は特開2002−040256号公報に記載されている(保護フィルム貼合後の偏光子膜厚/原反膜厚)×(全延伸倍率)>0.17としたり、最終浴を出た時の偏光子の幅と保護フィルム貼合時の偏光子幅の関係は特開2002−040247号公報に記載されている0.80≦(保護フィルム貼合時の偏光子幅/最終浴を出た時の偏光子の幅)≦0.95としたりすることも好ましく行うことができる。
本発明において、偏光板の収縮力を上記所定の値にする手段の一つとして、延伸倍率を適宜調整して行うことが出来る。
【0050】
(乾燥)
前記乾燥工程は、特開2002−86554号公報で公知の方法を使用できるが、好ましい温度範囲は30℃〜100℃であり、好ましい乾燥時間は30秒〜60分である。また、特許第3148513号明細書に記載されているように、水中退色温度を50℃以上とするような熱処理を行ったり、特開平07−325215号公報や特開平07−325218号公報に記載されているように温湿度管理した雰囲気でエージングしたりすることも好ましく行うことができる。
【0051】
(塗布型偏光子)
また膜厚が薄い偏光子は、特許第4691205号公報や特許第4751481号公報に記載の塗布法を用いた製造方法により形成することができる。
【0052】
このような工程により、膜厚1.5〜20μmの偏光子を製造することが好ましい。
なお、膜厚の制御は、公知の方法で制御することができ、例えば前記流延工程におけるダイスリット幅や、延伸条件を適切な値に設定することで制御できる。
【0053】
[偏光板保護フィルム及び偏光板保護フィルムの製造方法]
[偏光板保護フィルム]
本発明の偏光板保護フィルムは単層構造でも積層構造でも良い。積層構造の作製方法は共流延、共押出し、塗布、転写、複数フィルムの貼合などでも良い。熱可塑性樹脂フィルムへ塗布層を塗布する場合に熱可塑性樹脂フィルムを単に基材、若しくは基材フィルムとも呼称する。
【0054】
本発明のフロント側偏光板は、熱可塑性樹脂フィルム上に機能層を有する偏光板保護フィルムF1を有することが好ましく、より好ましくはリア側偏光板も更に、熱可塑性樹脂フィルム上に機能層を有する偏光板保護フィルムF4を有することが好ましい。
機能層は、低透湿層、ハードコート層、反射防止層(低屈折率層、中屈折率層、高屈折率層など屈折率を調整した層)、防眩層、帯電防止層、紫外線吸収層などが挙げられる。
本発明の偏光板保護フィルムF1、F4は熱可塑性樹脂フィルム上に機能層を積層することが好ましく、機能層が低透湿層であることがより好ましい。
【0055】
本発明の偏光板保護フィルムF1、F4は、熱可塑性樹脂フィルムと、該熱可塑性樹脂フィルム上に積層された低透湿層とを有する光学フィルムで、光学フィルムの透湿度が200g/m/day以下であることが好ましい。本発明の偏光板保護フィルムF1、F4は、熱可塑性樹脂フィルムと、該熱可塑性樹脂フィルム上に積層された低透湿層とを有する光学フィルムで、式(1)を満たすことがより好ましい。
式(1) A/B≦0.9
(式(1)中、Aは前記熱可塑性樹脂フィルムに前記低透湿層を積層した光学フィルムの透湿度を表し、Bは前記熱可塑性樹脂フィルムの透湿度を表す。ただし、透湿度は、JIS Z−0208の手法で、40℃、相対湿度90%で24時間経過後の値である。)
上記構成により、耐久性に優れ、水分の透過及び脱着を低減することが出来る。
【0056】
本発明の偏光板保護フィルムF1、F4は下記式(2)を満たすことがより好ましく、下記式(3)を満たすことが更に好ましく、下記式(4)を満たすことが特に好ましい。
式(2) 0.01≦A/B≦0.8
式(3) 0.02≦A/B≦0.6
式(4) 0.04≦A/B≦0.5
前記式(2)〜(4)におけるA及びBの定義は、前記式(1)におけるA及びBの定義と同様である。
【0057】
積層構造の方が、単層よりも弾性率、湿度寸法変化などの機械的物性をより広範に制御できるため、フィルム物性と透湿度の両立のうえで好ましい。
【0058】
また、本発明の好ましい偏光板保護フィルムF1、F4の製造方法の第一の態様は、熱可塑性樹脂及び溶媒を含む高分子溶液を支持体上に流延して基材フィルムを形成する工程と、前記基材フィルム上に機能層、より好ましくは低透湿層を塗布で積層する工程とを含む、基材フィルム上に積層された機能層を有する光学フィルムの製造方法であって、前記光学フィルムの透湿度が200g/m/day以下であり、下記式(1)を満たすことを特徴とする。
式(1) A/B≦0.9
(式(1)中、Aは前記熱可塑性樹脂フィルムに前記低透湿層を積層した光学フィルムの透湿度を表し、Bは前記基材フィルムの透湿度を表す。ただし、透湿度は、JIS Z−0208の手法で、40℃、相対湿度90%で24時間経過後の値である。)
また、本発明の好ましい偏光板保護フィルムF1、F4の製造方法の第二の態様は、熱可塑性樹脂を溶融製膜して基材フィルムを形成する工程と、前記基材フィルム上に機能層、より好ましくは低透湿層を塗布で積層する工程とを含む、基材フィルム上に積層された機能層を有する光学フィルムの製造方法であって、前記光学フィルムの透湿度が200g/m/day以下であり、下記式(1)を満たすことを特徴とする。
式(1) A/B≦0.9
(式(1)中、Aは前記熱可塑性樹脂フィルムに前記低透湿層を積層した光学フィルムの透湿度を表し、Bは前記基材フィルムの透湿度を表す。ただし、透湿度は、JIS Z−0208の手法で、40℃、相対湿度90%で24時間経過後の値である。)
上記構成により、本発明の好ましい偏光板保護フィルムF1、F4を容易に製造することができる。
【0059】
以下、本発明の偏光板保護フィルムF1、F4及びその製造方法の好ましい態様について説明する。
【0060】
{偏光板保護フィルムF1、F4の特性}
(偏光板保護フィルムF1、F4の膜厚)
本発明の偏光板保護フィルムF1、F4の膜厚(基材フィルムに低透湿層を積層した後の総膜厚)は、5〜100μmが好ましく、10〜80μmがより好ましく、15〜75μmが特に好ましい。
【0061】
(偏光板保護フィルムF1、F4の透湿度)
本発明の偏光板保護フィルムF1、F4の透湿度は、JIS Z−0208をもとに、40℃、相対湿度90%の条件において測定される。
本発明の光学フィルムの透湿度は、200g/m/day以下であり、100g/m/day以下であることが好ましく、90g/m/day以下であることがより好ましく、80g/m/day以下であることが更に好ましく、75g/m/day以下であることが更により好ましく、50g/m/day以下であることが特に好ましく、30g/m/day以下であることが最も好ましい。透湿度が200g/m/day以下であれば、液晶表示装置の常温、高湿及び高温高湿環境経時後の、液晶セルの反りや、黒表示時の表示ムラを抑制できる。
偏光板保護フィルムF1、F4の透湿度が低いほど、偏光板の含水率の差は小さくなる。
【0062】
(偏光板保護フィルムF1、F4の透湿度のバランス)
液晶表示装置に偏光板を実装する場合には、偏光板保護フィルムF1及びF4の透湿度のバランスが重要となる。
偏光板保護フィルムF4の透湿度が、200g/m/day以上である場合、本発明の偏光板保護フィルムF1の透湿度は、200g/m/day以下であり、100g/m/day以下であることが好ましく、90g/m/day以下であることがより好ましく、75g/m/day以下であることが更に好ましく、60g/m/day以下であることが特に好ましい。また、偏光板保護フィルムF1の透湿度は、30g/m/day以上であることが好ましい。
偏光板保護フィルムF4の透湿度が、200g/m/day以上であり、かつ、偏光板保護フィルムF1の透湿度が30g/m/day未満の場合、液晶セルの反りは抑制されたが、30g/m/day以上の場合と異なり、液晶セルが視認側に凸となるように反る場合が見られた。
一方で、偏光板保護フィルムF4の透湿度が、200g/m/dayより小さい場合、本発明の偏光板保護フィルムF1の透湿度は、200g/m/day以下であり、100g/m/day以下であることが好ましく、90g/m/day以下であることがより好ましく、75g/m/day以下であることが特に好ましく、60g/m/day以下であることが更に特に好ましく、30g/m/day以下であることがより更に特に好ましい。
透湿度が200g/m/day以下であれば、液晶表示装置の常温、高湿及び高温高湿環境経時後の、液晶セルの反りや、黒表示時の表示ムラを抑制できる。
【0063】
(偏光板保護フィルムF1、F4のレターデーション)
本発明の偏光板保護フィルムF1、F4は、波長590nmで測定したRe及びRth(下記式(I)及び(II)にて定義される)が、式(III)及び(IV)を満たすことが好ましい。
式(I) Re=(nx−ny)×d
式(II) Rth={(nx+ny)/2−nz}×d
式(III)|Re|≦50nm
式(IV) |Rth|≦300nm
また、上記とは異なる別の好ましい態様として、本発明の偏光板保護フィルムF1、F4は、Re(上記式(I)で定義される)が式(V)を満たすことが好ましく、更にNz値(下記式(VI)で定義される)が式(VII)を満たすことがより好ましく、Reと、Nz値は、それぞれ式(V)及び(VII)を同時に満たすことが最も好ましく、特にバックライトとして連続的な発光スペクトルを有する白色光源を使用する液晶表示装置に用いることが好ましい。
ここで、前記の連続的な発光スペクトルを有する白色光源とは、白色発光ダイオードなどであり、青色LED素子と黄色蛍光体とで構成される白色発光ダイオードを用いることが特に好ましい。
式(V) 3000nm≦Re≦30000nm
式(VI) Nz=(nx−nz)/(nx−ny)
ここで、Nz=Rth/Re+0.5でRe、Rthより計算で求めることも可能である。
式(VII) Nz≦2.0
(式(I)〜(VII)中、nxは前記偏光板保護フィルムF1、F4のフィルム面内の遅相軸方向の屈折率であり、nyは前記偏光板保護フィルムF1、F4のフィルム面内の進相軸方向の屈折率であり、nzは前偏光板保護フィルムF1、F4の膜厚方向の屈折率であり、dは前記偏光板保護フィルムF1、F4の膜厚(nm)である。)
本発明の偏光板保護フィルムF1、F4のRe、Rth、Nz値は、後述する前記基材フィルムである熱可塑性樹脂フィルムのReとRthの調整方法、前記低透湿層の組成や膜厚、本発明の偏光板保護フィルムF1、F4の総膜厚等により調整することができる。
{低透湿層}
(低透湿層の組成)
本発明の偏光板保護フィルムF1、F4に用いることができる低透湿層は、本発明の偏光板保護フィルムF1、F4が前記式(1)を満たすものであればいかなる材料によって形成されているものであっても構わないが、低透湿性、製造適性、環境性などの観点から、分子内に環状脂肪族炭化水素基と不飽和二重結合を有する化合物を含む組成物から形成されてなる層、又は、環状ポリオレフィン系樹脂含有層であることが好ましく、環状ポリオレフィン系樹脂含有層であることがより好ましい。
【0064】
前記分子内に環状脂肪族炭化水素基と不飽和二重結合基を有する化合物を主成分とする組成物から形成されてなる層について説明する。
【0065】
《分子内に環状脂肪族炭化水素基と不飽和二重結合基を有する化合物を主成分とする組成物から形成されてなる層》
本発明において、分子内に環状脂肪族炭化水素基と不飽和二重結合基を有する化合物を主成分とする組成物から形成されてなる層は、低透湿性を付与するために、環状脂肪族炭化水素基を有し、かつ分子内に不飽和二重結合基を有する化合物を含有し、必要に応じて更に、重合開始剤、透光性粒子、含フッ素又はシリコーン系化合物、溶剤を含有する組成物を、支持体上に直接又は他の層を介して塗布・乾燥・硬化することにより形成することができる。以下各成分について説明する。なお、組成物又は層の主成分とは、その組成物又はその層の50質量%以上を占める成分のことを言う。
【0066】
〔分子内に環状脂肪族炭化水素基と不飽和二重結合基を有する化合物〕
分子内に環状脂肪族炭化水素基と不飽和二重結合基を有する化合物はバインダーとして機能する。また、環状脂肪族炭化水素基を有し、不飽和二重結合基を有する化合物は、硬化剤として機能することができ、塗膜の強度や耐擦傷性を向上させることが可能となると同時に低透湿性を付与することができる。
このような化合物を用いることによって、低透湿性と高い膜強度を実現できる。詳細は明らかではないが、分子内に環状脂肪族炭化水素基を有する化合物を用いることで、低透湿層に疎水的な環状脂肪族炭化水素基を導入し、疎水化することで、外部から分子の取り込みを防止し、透湿度を低下させる。また、分子内に不飽和二重結合基を有することで、架橋点密度を上げ、低透湿層中の水分子の拡散経路を制限する。架橋点密度を上げることは、環状脂肪族炭化水素基の密度を相対的に上昇させる効果も有り、低透湿層内をより疎水的にし、水分子の吸着を防止し、透湿度を低下させると考えられる。
架橋点密度を上げるために分子内に有する不飽和二重結合基の数は2以上であることがより好ましい。
【0067】
環状脂肪族炭化水素基としては、好ましくは炭素数7以上の脂環式化合物から誘導される基であり、より好ましくは炭素数10以上の脂環式化合物から誘導される基であり、更に好ましくは炭素数12以上の脂環式化合物から誘導される基である。
環状脂肪族炭化水素基としては、特に好ましくは、二環式、三環式等の、多環式化合物から誘導される基である。
より好ましくは、特開2006−215096号公報の特許請求の範囲記載の化合物の中心骨格、特開昭2001−10999号公報記載の化合物の中心骨格、あるいは、アダマンタン誘導体の骨格等が挙げられる。
【0068】
環状脂肪族炭化水素基(連結基含む)としては、下記一般式(I)〜(V)のいずれかで表される基が好ましく、下記一般式(I)、(II)、又は(IV)で表される基がより好ましく、下記一般式(I)で表される基が更に好ましい。
【0069】
【化1】
【0070】
一般式(I)中、L、及びL’は各々独立に二価以上の連結基を表す。nは1〜3の整数を表す。
【0071】
【化2】
【0072】
一般式(II)中、L、及びL’は各々独立に二価以上の連結基を表す。nは1〜2の整数を表す。
【0073】
【化3】
【0074】
一般式(III)中、L、及びL’は各々独立に二価以上の連結基を表す。nは1〜2の整数を表す。
【0075】
【化4】
【0076】
一般式(IV)中、L、及びL’は各々独立に二価以上の連結基を表し、L’’は水素原子又は二価以上の連結基を表す。
【0077】
【化5】
【0078】
一般式(V)中、L、及びL’は各々独立に二価以上の連結基を表す。
【0079】
環状脂肪族炭化水素基としては具体的には、ノルボルニル、トリシクロデカニル、テトラシクロドデカニル、ペンタシクロペンタデカニル、アダマンチル、ジアマンタニル等が挙げられる。
【0080】
不飽和二重結合基としては、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、スチリル基、アリル基等の重合性官能基が挙げられ、中でも、(メタ)アクリロイル基及び−C(O)OCH=CHが好ましい。特に好ましくは下記の1分子内に3つ以上の(メタ)アクリロイル基を含有する化合物を用いることができる。
【0081】
環状脂肪族炭化水素基を有し、かつ分子内に3個以上の不飽和二重結合基を有する化合物は、上記の環状脂肪族炭化水素基と不飽和二重結合を有する基が連結基を介して結合することにより構成される。
連結基としては、単結合、炭素数1〜6の置換されていてもよいアルキレン基、N位が地置換されていてもよいアミド基、N位が置換されていてもよいカルバモイル基、エステル基、オキシカルボニル基、エーテル基等、及びこれらを組み合わせて得られる基が挙げられる。
【0082】
これらの化合物は、例えば、上記環状脂肪族炭化水素基を有するジオール、トリオール等のポリオールと、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、スチリル基、アリル基等を有する化合物のカルボン酸、カルボン酸誘導体、エポキシ誘導体、イソシアナート誘導体等との一段あるいは二段階の反応により容易に合成することができる。
好ましくは、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリロイルクロリド、(メタ)アクリル酸無水物、(メタ)アクリル酸グリシジルなどの化合物や、WO2012/00316A号記載の化合物(例、1、1―ビス(アクリロキシメチル)エチルイソシアナート)を用いて、上記環状脂肪族炭化水素基を有するポリオールとの反応させることにより合成することができる。
【0083】
以下環状脂肪族炭化水素基を有し不飽和二重結合基を有する化合物の好ましい具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0084】
【化6】
【0085】
【化7】
【0086】
〔重合開始剤〕
分子内に環状脂肪族炭化水素基と不飽和二重結合基を有する化合物を主成分とする組成物には、重合開始剤を含むことが好ましいが、重合開始剤としては光重合開始剤が好ましい。
光重合開始剤としては、アセトフェノン類、ベンゾイン類、ベンゾフェノン類、ホスフィンオキシド類、ケタール類、アントラキノン類、チオキサントン類、アゾ化合物、過酸化物類、2,3−ジアルキルジオン化合物類、ジスルフィド化合物類、フルオロアミン化合物類、芳香族スルホニウム類、ロフィンダイマー類、オニウム塩類、ボレート塩類、活性エステル類、活性ハロゲン類、無機錯体、クマリン類などが挙げられる。光重合開始剤の具体例、及び好ましい態様、市販品などは、特開2009−098658号公報の段落[0133]〜[0151]に記載されており、本発明においても同様に好適に用いることができる。
【0087】
「最新UV硬化技術」{(株)技術情報協会}(1991年)、p.159、及び、「紫外線硬化システム」加藤清視著(平成元年、総合技術センター発行)、p.65〜148にも種々の例が記載されており本発明に有用である。
【0088】
市販の光開裂型の光ラジカル重合開始剤としては、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製の「イルガキュア651」、「イルガキュア184」、「イルガキュア819」、「イルガキュア907」、「イルガキュア1870」(CGI−403/イルガキュア184=7/3混合開始剤)、「イルガキュア500」、「イルガキュア369」、「イルガキュア1173」、「イルガキュア2959」、「イルガキュア4265」、「イルガキュア4263」、「イルガキュア127」、“OXE01”等;日本化薬(株)製の「カヤキュアーDETX−S」、「カヤキュアーBP−100」、「カヤキュアーBDMK」、「カヤキュアーCTX」、「カヤキュアーBMS」、「カヤキュアー2−EAQ」、「カヤキュアーABQ」、「カヤキュアーCPTX」、「カヤキュアーEPD」、「カヤキュアーITX」、「カヤキュアーQTX」、「カヤキュアーBTC」、「カヤキュアーMCA」など;サートマー社製の“Esacure(KIP100F,KB1,EB3,BP,X33,KTO46,KT37,KIP150,TZT)”等、及びそれらの組み合わせが好ましい例として挙げられる。
【0089】
本発明に用いられる分子内に環状脂肪族炭化水素基と不飽和二重結合基を有する化合物を主成分とする組成物中の光重合開始剤の含有量は、前記組成物に含まれる重合可能な化合物を重合させ、かつ開始点が増えすぎないように設定するという理由から、ハードコート層形成用組成物中の全固形分に対して、0.5〜8質量%が好ましく、1〜5質量%がより好ましい。
【0090】
〔溶剤〕
本発明に用いられる分子内に環状脂肪族炭化水素基と不飽和二重結合基を有する化合物を主成分とする組成物は、溶剤を含有することができる。溶剤としては、モノマーの溶解性、塗工時の乾燥性、透光性粒子の分散性等を考慮し、各種溶剤を用いることができる。係る有機溶剤としては、例えばジブチルエーテル、ジメトキシエタン、ジエトキシエタン、プロピレンオキシド、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、1,3,5−トリオキサン、テトラヒドロフラン、アニソール、フェネトール、炭酸ジメチル、炭酸メチルエチル、炭酸ジエチル、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、ジエチルケトン、ジプロピルケトン、ジイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、蟻酸エチル、蟻酸プロピル、蟻酸ペンチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、γ−プチロラクトン、2−メトキシ酢酸メチル、2−エトキシ酢酸メチル、2−エトキシ酢酸エチル、2−エトキシプロピオン酸エチル、2−メトキシエタノール、2−プロポキシエタノール、2−ブトキシエタノール、1,2−ジアセトキシアセトン、アセチルアセトン、ジアセトンアルコール、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル等メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、シクロヘキシルアルコール、酢酸イソブチル、メチルイソブチルケトン(MIBK)、2−オクタノン、2−ペンタノン、2−ヘキサノン、エチレングリコールエチルエーテル、エチレングリコールイソプロピルエーテル、エチレングリコールブチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテル、エチルカルビトール、ブチルカルビトール、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン等が挙げられ、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0091】
前記熱可塑性樹脂フィルムがセルロースアシレートフィルムの場合、炭酸ジメチル、酢酸メチル、酢酸エチル、メチルエチルケトン、アセチルアセトン、アセトンのうち少なくとも1種類を用いることが好ましく、炭酸ジメチル、酢酸メチルの何れかがより好ましく、酢酸メチルが特に好ましい。
【0092】
本発明に用いられる分子内に環状脂肪族炭化水素基と不飽和二重結合基を有する化合物を主成分とする組成物の固形分の濃度は20〜80質量%の範囲となるように溶媒を用いるのが好ましく、より好ましくは30〜75質量%であり、更に好ましくは40〜70質量%である。
【0093】
前記環状ポリオレフィン系樹脂含有層について説明する。
【0094】
(環状ポリオレフィン系樹脂含有層)
(a)環状ポリオレフィン系樹脂
本発明の低透湿層には環状ポリオレフィン系樹脂を用いることができる。ここで、環状ポリオレフィン系樹脂とは、環状オレフィン構造を有する重合体樹脂を表す。
本発明に好ましく用いられる環状ポリオレフィン系樹脂を以下に列挙する。
本発明に好ましく用いられる環状オレフィン構造を有する重合体としては、下記一般式(II)で表される繰り返し単位を少なくとも1種以上含む付加(共)重合体である環状ポリオレフィン系樹脂及び必要に応じ、一般式(I)で表される繰り返し単位の少なくとも1種以上を更に含んでなる付加(共)重合体である環状ポリオレフィン系樹脂である。また、一般式(III)で表される環状繰り返し単位を少なくとも1種含む開環(共)重合体も好適に使用することができる。
【0095】
【化8】
【0096】
【化9】
【0097】
【化10】
【0098】
式(I)〜(III)中、mは0〜4の整数を表す。R1〜R6は水素原子又は炭素数1〜10の炭化水素基、X1〜X3、Y1〜Y3は水素原子、炭素数1〜10の炭化水素基、ハロゲン原子、ハロゲン原子で置換された炭素数1〜10の炭化水素基、−(CH2)nCOOR11、−(CH2)nOCOR12、−(CH2)nNCO、−(CH2)nNO2、−(CH2)nCN、−(CH2)nCONR1314、−(CH2)nNR1314、−(CH2)nOZ、−(CH2)nW、又はX1とY1あるいはX2とY2あるいはX3とY3から構成された(−CO)2O、(−CO)2NR15を示す。なお、R11,R12,R13,R14,R15は水素原子、炭素数1〜20の炭化水素基、Zは炭化水素基又はハロゲンで置換された炭化水素基、WはSiR16p3-p(R16は炭素数1〜10の炭化水素基、Dはハロゲン原子、−OCOR16又は−OR16、pは0〜3の整数を示す)、nは0〜10の整数を示す。
【0099】
また、ノルボルネン系重合体水素化物も好ましく用いることができ、特開平1−240517号、特開平7−196736号、特開昭60−26024号、特開昭62−19801号、特開2003−1159767号あるいは特開2004−309979号等に開示されているように、多環状不飽和化合物を付加重合あるいはメタセシス開環重合したのち水素添加することにより作られる。本発明に用いるノルボルネン系重合体において、R3〜R6は水素原子又は−CH3が好ましく、透湿度が低いという観点から水素原子であることが更に好ましい。X3、及びY3は水素原子、Cl、−COOCH3が好ましく、透湿度が低いという観点から水素原子であることが更に好ましい。その他の基は適宜選択される。mは0あるいは1が好ましい。
【0100】
更に、ノルボルネン系付加(共)重合体も好ましく用いることができ、特開平10−7732号、特表2002−504184号、米国公開特許2004229157A1号あるいはWO2004/070463A1号等に開示されている。ノルボルネン系多環状不飽和化合物同士を付加重合する事によって得られる。また、必要に応じ、ノルボルネン系多環状不飽和化合物と、エチレン、プロピレン、ブテン;ブタジエン、イソプレンのような共役ジエン;エチリデンノルボルネンのような非共役ジエン;アクリロニトリル、アクリル酸、メタアクリル酸、無水マレイン酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、マレイミド、酢酸ビニル、塩化ビニルなどの線状ジエン化合物とを付加重合することもできる。中でもエチレンとの共重合体であることが好ましい。ノルボルネン系付加(共)重合体は、市販品としては例えばポリプラスチック(株)製TOPAS6013などを用いることができる。
【0101】
(b)有機溶剤
本発明の環状ポリオレフィン系樹脂含有層は塗布により製造することができる。環状ポリオレフィン系樹脂含有層を塗布で製造する場合は、少なくとも環状ポリオレフィン系樹脂と有機溶剤を含む環状ポリオレフィン系樹脂含有層形成用塗布組成物を使用することが好ましい。
本発明の環状ポリオレフィン系樹脂含有層形成用塗布組成物に使用できる有機溶剤としては、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、流動パラフィン、ミネラルスピリットなどの鎖状脂肪族炭化水素系溶剤、シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサン、トリメチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、ジエチルシクロヘキサン、デカヒドロナフタレン、ジシクロヘプタン、トリシクロデカン、ヘキサヒドロインデン、シクロオクタンなどの脂環式炭化水素系溶剤、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素系溶剤、インデン、テトラヒドロナフタレンなどの脂環と芳香環とを有する炭化水素系溶剤、ニトロメタン、ニトロベンゼン、アセトニトリルなどの含窒素炭化水素系溶剤、ジエチルエーテル、テトラヒドロフランなどの含酸素炭化水素系溶剤、ジクロロメタン、クロロホルムなどの塩素系溶剤、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブチルアルコール、シクロヘキシルアルコール、2−エチル−1−ヘキサノール、2−メチル−1ヘキサノール、2−メトキシエタノール、2−プロポキシエタノール、2−ブトキシエタノール、ジアセトンアルコールなどのアルコール系溶剤、ジメチルカーボーネート、ジエチルカーボネート、ジイソプロピルカーボネート、メチルエチルカーボネート、メチルn−プロピルカーボネートなどのカーボネート系溶剤、蟻酸エチル、蟻酸プロピル、蟻酸ペンチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、2−エトキシプロピオン酸エチル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、2−メトキシ酢酸メチル、2−エトキシ酢酸メチル、2−エトキシ酢酸エチルなどのエステル系溶剤、エチレングリコールエチルエーテル、エチレングリコールイソプロピルエーテル、エチレングリコールブチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテル、ジブチルエーテル、ジメトキシエタン、ジエトキシエタン、テトラヒドロフラン、アニソール、フェネトールなどのエーテル系溶剤、アセトン、1,2−ジアセトキシアセトン、アセチルアセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、ジプロピルケトン、ジイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、メチルイソブチルケトン、2−オクタノン、2−ペンタノン、2−ヘキサノンなどケトン系溶剤等が挙げられ、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0102】
(低透湿層の構成、製造方法)
前記低透湿層は、1層であってもよいし、複数層設けてもよい。前記低透湿層の積層方法は特に限定されないが、前記低透湿層を熱可塑性樹脂フィルムとの共流延、共押出として作成すること、又は、前記低透湿層を前記熱可塑性樹脂フィルム上に塗布で積層して設けることが好ましく、前記低透湿層を前記熱可塑性樹脂フィルム上に塗布で積層して設けることがより好ましい。すなわち、本発明の偏光板保護フィルムF1、F4は、前記低透湿層が、前記基材フィルム上に塗布により積層されてなることがより好ましい。
【0103】
(低透湿層の膜厚)
前記低透湿層の膜厚は、1〜28μmであることが好ましく、2〜20μmであることがより好ましく、3〜17μmであることが特に好ましい。
【0104】
本発明の光学フィルムの低透湿層は透湿度ハードコート層機能、反射防止機能、防汚機能などを併せて持たせることも好ましい。
【0105】
{熱可塑性樹脂フィルム}
本発明の偏光板保護フィルムは熱可塑性樹脂フィルムを含むことが好ましい。
本発明の偏光板保護フィルムF1、F4は熱可塑性樹脂フィルムを基材として、その上に機能層を積層することが更に好ましい。
以降、積層フィルムの基材として使用される熱可塑性フィルムを、熱可塑性樹脂を含む基材フィルム又は単に基材フィルムとも称する。
本発明の偏光板保護フィルムF2、F3は熱可塑性樹脂フィルムであることが好ましい。
【0106】
{基材フィルム}
前記基材フィルムは、熱可塑性樹脂を含む。以降、前記基材フィルムは熱可塑性樹脂を含む基材フィルム又は単に基材フィルムとも称する。
【0107】
<熱可塑性樹脂>
下記に前記基材フィルムで主成分として好ましく使用することのできる熱可塑性樹脂に関し説明する。
なお、前記基材フィルムの主成分とは、該基材フィルムの50質量%を超える成分のことをいう。
前記基材フィルムにおいて、最適な熱可塑性樹脂としては、(メタ)アクリル系樹脂、オレフィン系樹脂、セルロース系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂が挙げられ、これらの樹脂及びこれら複数種の樹脂の混合樹脂から選ぶことができる。
その中でも、(メタ)アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリスチレン系樹脂、環状ポリオレフィン系樹脂、グルタル酸無水物系樹脂、グルタルイミド系樹脂、セルロース系樹脂が好ましく、(メタ)アクリル系樹脂、環状ポリオレフィン系樹脂、セルロースアシレート及びセルロースアシレートと(メタ)アクリル系樹脂の混合樹脂がより好ましく、(メタ)アクリル系樹脂、セルロースアシレート及びセルロースアシレートと(メタ)アクリル系樹脂の混合樹脂が更に好ましく、(メタ)アクリル系樹脂が特に好ましい。
【0108】
なお、(メタ)アクリル系樹脂は、メタクリル系樹脂とアクリル系樹脂の両方を含む概念であり、アクリレート/メタクリレートの誘導体、特にアクリレートエステル/メタクリレートエステルの(共)重合体も含まれる。
更に、前記(メタ)アクリル系樹脂は、メタクリル系樹脂、アクリル系樹脂の他に、主鎖に環構造を有する(メタ)アクリル系重合体も含み、ラクトン環を有する重合体、無水コハク酸環を有する無水マレイン酸系重合体、無水グルタル酸環を有する重合体、グルタルイミド環含有重合体を含む。
【0109】
((メタ)アクリル系重合体)
前記(メタ)アクリル系重合体の繰り返し構造単位は、特に限定されない。前記(メタ)アクリル系重合体は、繰り返し構造単位として(メタ)アクリル酸エステル単量体由来の繰り返し構造単位を有することが好ましい。
【0110】
前記(メタ)アクリル酸エステルとしては、特に限定されないが、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸ベンジルなどのアクリル酸エステル;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ベンジルなどのメタクリル酸エステル;などが挙げられ、これらは1種のみ用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも特に、耐熱性、透明性が優れる点から、メタクリル酸メチルが好ましい。
前記(メタ)アクリル酸エステルを主成分として用いる場合、重合工程に供する単量体成分中のその含有割合は、本発明の効果を十分に発揮させる上で、好ましくは50〜100質量%、より好ましくは70〜100質量%、更に好ましくは80〜100質量%、特に好ましくは90〜100質量%である。
前記(メタ)アクリル酸エステルを主成分とする樹脂のガラス転移温度Tgが、80〜120℃の範囲内にあることが好ましい。
また、前記(メタ)アクリル酸エステルを主成分とする樹脂の重量平均分子量は、好ましくは50,000〜500,000の範囲である。
【0111】
柔軟性を向上させてハンドリング性を高めるため、(メタ)アクリル系樹脂には、ゴム弾性体粒子を配合することが好ましい。ゴム弾性体粒子は、ゴム弾性体を含有する粒子であり、ゴム弾性体のみからなる粒子であってもよいし、ゴム弾性体の層を有する多層構造の粒子であってもよく、フィルムの表面硬度や耐光性、透明性の点から、アクリル系弾性重合体が好ましく用いられる。
【0112】
アクリル系弾性重合体を含有するゴム弾性体粒子は、特開2012−180422号公報、特開2012−032773号公報、特開2012−180423号公報を参考に得ることができる。
【0113】
前記ゴム弾性体粒子の数平均粒径は10〜300nmの範囲が好ましく、50〜250nmの範囲がより好ましい。
【0114】
(メタ)アクリル系樹脂フィルムを形成する(メタ)アクリル系樹脂組成物は、透明なアクリル系樹脂に、数平均粒子径が10〜300nmのゴム弾性体粒子を25〜45質量%配合することが好ましい。
【0115】
−主鎖に環構造を有する(メタ)アクリル系重合体−
(メタ)アクリル系重合体の中でも主鎖に環構造を有するものが好ましい。主鎖に環構造を導入することで、主鎖の剛直性を高め、耐熱性を向上することができる。
本発明では主鎖に環構造を有する(メタ)アクリル系重合体の中でも主鎖にラクトン環構造を含有する重合体、主鎖に無水コハク酸環を有する無水マレイン酸系重合体、主鎖に無水グルタル酸環構造を有する重合体、主鎖にグルタルイミド環構造を有する重合体のいずれかであることが好ましい。中でも主鎖にラクトン環構造を含有する重合体、及び主鎖にグルタルイミド環構造を有する重合体であることがより好ましい。
以下のこれらの主鎖に環構造を有する重合体について順に説明する。
【0116】
(1)主鎖にラクトン環構造を有する(メタ)アクリル系重合体
主鎖にラクトン環構造を有する(メタ)アクリル系重合体(以降ラクトン環含有重合体とも称す)は、主鎖にラクトン環を有する(メタ)アクリル系重合体であれば特に限定されないが、好ましくは下記一般式(100)で示されるラクトン環構造を有する。
【0117】
一般式(100):
【0118】
【化11】
【0119】
一般式(100)中、R11、R12及びR13は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素原子数1〜20の有機残基を表し、有機残基は酸素原子を含有していてもよい。
ここで、炭素原子数1〜20の有機残基としては、メチル基、エチル基、イソプロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基などが好ましい。
【0120】
ラクトン環含有重合体の構造中における上記一般式(100)で示されるラクトン環構造の含有割合は、好ましくは5〜90質量%、より好ましくは10〜70質量%、更に好ましくは10〜60質量%、特に好ましくは10〜50質量%である。ラクトン環構造の含有割合を5質量%以上とすることにより、得られた重合体の耐熱性、及び表面硬度が向上する傾向にあり、ラクトン環構造の含有割合を90質量%以下とすることにより、得られた重合体の成形加工性が向上する傾向にある。
【0121】
なお、ラクトン環構造の含有割合は下記式より算出することができる。
ラクトン環の含有割合(質量%)=B×A×M/M
(式中、Bは、ラクトン環化に関与する構造(水酸基)を有する原料単量体の当該共重合に用いられた単量体組成における質量含有割合であり、Mは生成するラクトン環構造単位の式量であり、Mはラクトン環化に関与する構造(水酸基)を有する原料単量体の分子量であり、Aはラクトン環化率である)
また、ラクトン環化率は、例えば環化反応が脱アルコール反応を伴う場合、理論重量減少量と重量減少が始まる前の150℃から、重合体の分解が始まる前の300℃までの間の脱アルコール反応による重量減加熱重量減少率から算出することができる。
【0122】
ラクトン環構造を有する(メタ)アクリル系樹脂の製造方法については、特に限定はされない。好ましくは、ラクトン環構造を有する(メタ)アクリル系樹脂は、下記の所定の単量体を、重合することによって分子鎖中に水酸基とエステル基とを有する重合体(p)を得た後に、得られた重合体(p)を75℃〜120℃の温度範囲で加熱処理することによりラクトン環構造を重合体に導入するラクトン環化縮合を行うことによって得られる。
重合工程においては、下記一般式(101)で表される単量体を含む単量体成分の重合反応を行うことにより、分子鎖中に水酸基とエステル基とを有する重合体を得る。
一般式(101):
【0123】
【化12】
【0124】
(式中、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜20の有機残基を表す。)
【0125】
一般式(101)で表される単量体としては、例えば、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチル、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸エチル、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸イソプロピル、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸ノルマルブチル、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸t−ブチルなどが挙げられる。これらの中でも、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチル、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸エチルが好ましく、耐熱性向上効果が高い点で、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチルが特に好ましい。一般式(101)で表される単量体は、1種のみ用いても良いし、2種以上を併用しても良い。
【0126】
重合工程において供する単量体成分中の一般式(101)で表される単量体の含有割合は、耐熱性、耐溶剤性、表面硬度の観点で好ましい範囲の下限値があり、得られた重合体の成形加工性の観点で好ましい範囲の上限値があり、それら観点を踏まえ、好ましくは5〜90質量%、より好ましくは10〜70質量%、更に好ましくは10〜60質量%、特に好ましくは10〜50質量%である。
【0127】
重合工程において供する単量体成分中には、一般式(101)で表される単量体以外の単量体を含んでいても良い。このような単量体としては、特に限定されないが、例えば、(メタ)アクリル酸エステル、水酸基含有単量体、不飽和カルボン酸、下記一般式(102)で表される単量体が好ましく挙げられる。一般式(101)で表される単量体以外の単量体は、1種のみ用いても良いし、2種以上を併用しても良い。
【0128】
ラクトン環含有重合体の重量平均分子量は、好ましくは10,000〜2,000,000、より好ましくは20,000〜1,000,000、特に好ましくは50,000〜500,000である。
【0129】
ラクトン環含有重合体は、ダイナミックTG測定における150〜300℃の範囲内での質量減少率が、好ましくは1%以下、より好ましくは0.5%以下、更に好ましくは0.3%以下であるのがよい。ダイナミックTGの測定方法については、特開2002−138106号公報に記載の方法を用いることができる。
【0130】
ラクトン環含有重合体は、環化縮合反応率が高いので、成型品の製造過程で脱アルコール反応が少なく、該アルコールを原因とした成形後の成形品中に泡や銀条(シルバーストリーク)が入るという欠点が回避できる。更に、高い環化縮合反応率によって、ラクトン環構造が重合体に充分に導入されるので、得られたラクトン環含有重合体は高い耐熱性を有する。
【0131】
ラクトン環含有重合体は、濃度15質量%のクロロホルム溶液にした場合、その着色度(YI)が、好ましくは6以下、より好ましくは3以下、更に好ましくは2以下、特に好ましくは1以下である。着色度(YI)が6以下であれば、着色により透明性が損なわれるなどの不具合が生じにくいので、本発明において好ましく使用することができる。
【0132】
ラクトン環含有重合体は、熱質量分析(TG)における5%質量減少温度が、好ましくは330℃以上、より好ましくは350℃以上、更に好ましくは360℃以上である。熱質量分析(TG)における5%質量減少温度は、熱安定性の指標であり、これを330℃以上とすることにより、充分な熱安定性が発揮されやすい傾向にある。熱質量分析は、上記ダイナミックTGの測定の装置を使用することができる。
【0133】
ラクトン環含有重合体のガラス転移温度(Tg)が、好ましくは115℃〜180℃、より好ましくは120℃〜170℃、更に好ましくは125℃〜160℃である。
【0134】
(2)主鎖に無水コハク酸環を有する無水マレイン酸系重合体
主鎖に無水コハク酸構造が重合体の分子鎖中(重合体の主骨格中)に形成されることにより、共重合体であるアクリル樹脂に高い耐熱性が付与され、かつ、ガラス転移温度(Tg)も高くなるため好ましい。
主鎖に無水コハク酸環を有する無水マレイン酸系重合体のガラス転移温度(Tg)が、好ましくは110℃〜160℃、より好ましくは115℃〜160℃、更に好ましくは120℃〜160℃である。
また、主鎖に無水コハク酸環を有する無水マレイン酸系重合体の重量平均分子量は、好ましくは50,000〜500,000の範囲である。
【0135】
前記アクリル樹脂との共重合に用いられる前記無水マレイン酸単位としては、特に制限はないが、特開2008−216586号、特開2009−052021号、特開2009−196151号、特表2012−504783号の各公報に記載のマレイン酸変性樹脂を挙げることができる。
なお、これらは本発明を限定するものではない。
マレイン酸変性樹脂の市販品としては、マレイン酸変性MAS樹脂(メタクリル酸メチル−アクリロニトリル−スチレン共重合体)である旭化成ケミカルズ(株)製デルペット980Nを好ましく使用することができる。
また、無水マレイン酸単位を含むアクリル樹脂を製造する方法は特に制限がなく公知の方法を用いることができる。
【0136】
前記マレイン酸変性樹脂としては、得られるポリマー中に無水マレイン酸単位が含まれるものであれば制限はなく、例えば、(無水)マレイン酸変性MS樹脂、(無水)マレイン酸変性MAS樹脂(メタクリル酸メチル−アクリロニトリル−スチレン共重合体)、(無水)マレイン酸変性MBS樹脂、(無水)マレイン酸変性AS樹脂、(無水)マレイン酸変性AA樹脂、(無水)マレイン酸変性ABS樹脂、エチレン−無水マレイン酸共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸−無水マレイン酸共重合体、無水マレイン酸グラフトポリプロピレンなどが挙げられる。
【0137】
前記無水マレイン酸単位は、下記一般式(200)で表される構造である。
一般式(200)
【0138】
【化13】
【0139】
前記一般式(200)中、R21及びR22は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜20の有機残基を表す。
前記有機残基は、炭素数が1〜20の範囲内であれば特には限定されないが、例えば、直鎖若しくは分岐状のアルキル基、直鎖若しくは分岐状のアルキレン基、アリール基、−OAc基、−CN基などが挙げられるまた、有機残基は酸素原子を含んでいてもよい。Acはアセチル基を表す。
前記R21及びR22の炭素数は1〜10であることが好ましく、1〜5であることがより好ましい。
【0140】
前記R21及びR22がそれぞれ水素原子を表す場合は、固有複屈折の調整の観点から、更にその他の共重合成分を含むことも好ましい。このような3元系以上の耐熱性アクリル樹脂として、例えば、メタクリル酸メチル−無水マレイン酸−スチレン共重合体を好ましく用いることができる。
【0141】
(3)主鎖に無水グルタル酸環構造を有する重合体
主鎖に無水グルタル酸環構造を有する重合体とは、グルタル酸無水物単位を有する重合体である。
【0142】
グルタル酸無水物単位を有する重合体は、下記一般式(300)で表されるグルタル酸無水物単位(以下、グルタル酸無水物単位と呼ぶ)を有することが好ましい。
【0143】
一般式(300):
【0144】
【化14】
【0145】
一般式(300)中、R31、R32は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜20の有機残基を表す。なお、有機残基は酸素原子を含んでいてもよい。R31、R32は、特に好ましくは、同一又は相異なる、水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基を表す。
【0146】
グルタル酸無水物単位を有する重合体は、グルタル酸無水物単位を含有する(メタ)アクリル系重合体であることが好ましい。(メタ)アクリル系重合体としては、耐熱性の点から120℃以上のガラス転移温度(Tg)を有することが好ましい。
主鎖に無水グルタル酸環構造を有する重合体のガラス転移温度(Tg)が、好ましくは110℃〜160℃、より好ましくは115℃〜160℃、更に好ましくは120℃〜160℃である。
また、主鎖に無水グルタル酸環構造を有する重合体の重量平均分子量は、好ましくは50,000〜500,000の範囲である。
【0147】
(メタ)アクリル系重合体に対するグルタル酸無水物単位の含有量としては、5〜50質量%が好ましく、より好ましくは10〜45質量%である。5質量%以上、より好ましくは10質量%以上とすることにより、耐熱性向上の効果を得ることができ、更には耐候性向上の効果を得ることもできる。
【0148】
(4)主鎖にグルタルイミド環構造を有する(メタ)アクリル系重合体
主鎖にグルタルイミド環構造を有する(メタ)アクリル系重合体(以降グルタルイミド系樹脂とも称す)は、主鎖にグルタルイミド環構造を有することによって光学特性や耐熱性などの点で好ましい特性バランスを発現できる。前記主鎖にグルタルイミド環構造を有する(メタ)アクリル系重合体は、少なくとも下記一般式(400):
【0149】
一般式(400)
【0150】
【化15】
【0151】
で表されるグルタルイミド単位(但し、式中、R301、R302、R303は独立に水素又は炭素数1〜12個の非置換の又は置換のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基である。)を20質量%以上有するグルタルイミド樹脂を含有することが好ましい。
【0152】
本発明に用いられるグルタルイミド系樹脂を構成する好ましいグルタルイミド単位としては、R301、R302が水素又はメチル基であり、R303がメチル基又はシクロヘキシル基である。該グルタルイミド単位は、単一の種類でもよく、R301、R302、R303が異なる複数の種類を含んでいてもよい。
【0153】
本発明に用いられる、グルタルイミド系樹脂を構成する好ましい第二の構成単位としては、アクリル酸エステル又はメタクリル酸エステルからなる単位である。好ましいアクリル酸エステル又はメタクリル酸エステル構成単位としてはアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸メチル等が挙げられる。また、別の好ましいイミド化可能な単位として、N−メチルメタクリルアミドや、N−エチルメタクリルアミドのような、N−アルキルメタクリルアミドが挙げられる。これら第二の構成単位は単独の種類でもよく、複数の種類を含んでいてもよい。
【0154】
グルタルイミド系樹脂の、一般式(400)で表されるグルタルイミド単位の含有量は、グルタルイミド系樹脂の総繰り返し単位を基準として、20質量%以上である。グルタルイミド単位の、好ましい含有量は、20質量%から95質量%であり、より好ましくは50〜90質量%、更に好ましくは、60〜80質量%である。グルタルイミド単位がこの範囲より小さい場合、得られるフィルムの耐熱性が不足したり透明性が損なわれることがある。また、この範囲を超えると不必要に耐熱性が上がりフィルム化しにくくなる他、得られるフィルムの機械的強度は極端に脆くなり、また、透明性が損なわれることがある。
【0155】
グルタルイミド系樹脂は、必要に応じ、更に、第三の構成単位が共重合されたものでもよい。好ましい第三の構成単位の例としては、スチレン、置換スチレン、α−メチルスチレンなどのスチレン系単量体、ブチルアクリレートなどのアクリル系単量体、アクリロニトリルやメタクリロニトリル等のニトリル系単量体、マレイミド、N−メチルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミドなどのマレイミド系単量体を共重合してなる構成単位を用いることができる。これらはグルタルイミド系樹脂中に、該グルタルイミド単位とイミド化可能な単位と直接共重合してあっても良く、また、該グルタルイミド単位とイミド化可能な単位を有する樹脂に対してグラフト共重合してあってもかまわない。第3成分は、これを添加する場合は、グルタルイミド系樹脂中の含有率は、グルタルイミド系樹脂中の総繰り返し単位を基準として5モル%以上、30モル%以下であることが好ましい。
【0156】
グルタルイミド系樹脂は、米国特許3284425号、米国特許4246374号、特開平2−153904号公報等に記載されており、イミド化可能な単位を有する樹脂としてメタクリル酸メチルエステルなどを主原料として得られる樹脂を用い、該イミド化可能な単位を有する樹脂をアンモニア又は置換アミンを用いてイミド化することにより得ることができる。グルタルイミド系樹脂を得る際に、反応副生成物としてアクリル酸やメタクリル酸、あるいはその無水物から構成される単位がグルタルイミド系樹脂中に導入される場合がある。このような構成単位、特に酸無水物の存在は、得られる本発明フィルムの全光線透過率やヘイズを低下させるため、好ましくない。アクリル酸やメタクリル酸含量として、樹脂1g当たり0.5ミリ当量以下、好ましくは0.3ミリ当量以下、より好ましくは0.1ミリ当量以下とすることが望ましい。また、特開平02−153904号公報にみられるように、主としてN−メチルアクリルアミドとメタクリル酸メチルエステルから成る樹脂を用いてイミド化することにより、グルタルイミド系樹脂を得ることも可能である。
【0157】
前記、グルタル系樹脂のガラス転移温度(Tg)が、好ましくは110℃〜160℃、より好ましくは115℃〜160℃、更に好ましくは120℃〜160℃である。
また、グルタル系樹脂の重量平均分子量は、好ましくは50,000〜500,000の範囲である。
【0158】
−(メタ)アクリル系重合体を主成分とする基材フィルムの製造方法−
以下、(メタ)アクリル系重合体を主成分とする熱可塑性樹脂を製膜する製造方法について詳しく説明する。
(メタ)アクリル系重合体を主成分として用いて基材フィルムを製膜するには、例えば、オムニミキサーなど、従来公知の混合機でフィルム原料をプレブレンドした後、得られた混合物を押出混練する。この場合、押出混練に用いる混合機は、特に限定されるものではなく、例えば、単軸押出機、二軸押出機などの押出機や加圧ニーダーなど、従来公知の混合機を用いることができる。
【0159】
フィルム成形の方法としては、例えば、溶液キャスト法(溶液流延法)、溶融押出法、カレンダー法、圧縮成形法など、従来公知のフィルム成形法が挙げられる。これらのフィルム成形法のうち、溶融押出法が特に好適である。
【0160】
溶融押出法としては、例えば、Tダイ法、インフレーション法などが挙げられ、その際の成形温度は、フィルム原料のガラス転移温度に応じて適宜調節すればよく、特に限定されるものではないが、例えば、好ましくは150℃〜350℃、より好ましくは200℃〜300℃である。
【0161】
Tダイ法でフィルム成形する場合は、公知の単軸押出機や二軸押出機の先端部にTダイを取り付け、フィルム状に押出されたフィルムを巻き取って、ロール状のフィルムを得ることができる。この際、巻き取りロールの温度を適宜調整して、押出方向に延伸を加えることで、1軸延伸することも可能である。また、押出方向と垂直な方向にフィルムを延伸することにより、同時2軸延伸、逐次2軸延伸などを行うこともできる。
【0162】
(メタ)アクリル系重合体を主成分とする基材フィルムは、未延伸フィルム又は延伸フィルムのいずれでもよい。延伸フィルムである場合は、1軸延伸フィルム又は2軸延伸フィルムのいずれでもよい。2軸延伸フィルムである場合は、同時2軸延伸フィルム又は逐次2軸延伸フィルムのいずれでもよい。2軸延伸した場合は、機械的強度が向上し、フィルム性能が向上する。(メタ)アクリル系重合体が、前記の主鎖に環状構造を有する(メタ)アクリル系重合体である場合は、その他の熱可塑性樹脂を混合することにより、延伸しても位相差の増大を抑制することができ、光学的等方性を保持したフィルムを得ることができる。
【0163】
(メタ)アクリル系重合体を主成分として得られる基材フィルムは、その厚さが好ましくは5μm〜80μm、より好ましくは10μm〜40μmである。厚さが5μm未満であると、フィルムの強度が低下するだけでなく、他の部品に貼着して耐久性試験を行うと捲縮が大きくなることがある。逆に、厚さが80μmを超えると、フィルムの透明性が低下するだけでなく、透湿性が小さくなり、他の部品に貼着する際に水系接着剤を使用した場合、その溶剤である水の乾燥速度が遅くなることがある。
【0164】
(環状ポリオレフィン系樹脂)
本発明に用いることができる熱可塑性樹脂は、環状ポリオレフィン系樹脂を用いることができる。ここで、環状ポリオレフィン系樹脂とは、環状オレフィン構造を有する重合体樹脂を表す。
本発明に好ましく用いられる環状ポリオレフィン系樹脂を以下に列挙する。
本発明に好ましい環状オレフィン構造を有する重合体としては、下記一般式(II)で表される繰り返し単位を少なくとも1種以上含む付加(共)重合体である環状ポリオレフィン系樹脂及び必要に応じ、一般式(I)で表される繰り返し単位の少なくとも1種以上を更に含んでなる付加(共)重合体である環状ポリオレフィン系樹脂である。また、一般式(III)で表される環状繰り返し単位を少なくとも1種含む開環(共)重合体も好適に使用することができる。
【0165】
【化16】
【0166】
【化17】
【0167】
【化18】
【0168】
式(I)〜(III)中、mは0〜4の整数を表す。R1〜R6は水素原子又は炭素数1〜10の炭化水素基、X1〜X3、Y1〜Y3は水素原子、炭素数1〜10の炭化水素基、ハロゲン原子、ハロゲン原子で置換された炭素数1〜10の炭化水素基、−(CH2nCOOR11、−(CH2nOCOR12、−(CH2nNCO、−(CH2nNO2、−(CH2nCN、−(CH2nCONR1314、−(CH2nNR1314、−(CH2nOZ、−(CH2nW、又はX1とY1あるいはX2とY2あるいはX3とY3から構成された(−CO)2O、(−CO)2NR15を示す。なお、R11,R12,R13,R14,R15は水素原子、炭素数1〜20の炭化水素基、Zは炭化水素基又はハロゲンで置換された炭化水素基、WはSiR16p3-p(R16は炭素数1〜10の炭化水素基、Dはハロゲン原子、−OCOR16又は−OR16、pは0〜3の整数を示す)、nは0〜10の整数を示す。
【0169】
また、ノルボルネン系重合体水素化物も好ましく用いることができ、特開平1−240517号、特開平7−196736号、特開昭60−26024号、特開昭62−19801号、特開2003−1159767号あるいは特開2004−309979号等に開示されているように、多環状不飽和化合物を付加重合あるいはメタセシス開環重合したのち水素添加することにより作られる。本発明に用いるノルボルネン系重合体において、R5〜R6は水素原子又は−CH3が好ましく、X3、及びY3は水素原子、Cl、−COOCH3が好ましく、その他の基は適宜選択される。このノルボルネン系樹脂は、JSR(株)からアートン(Arton)GあるいはアートンFという商品名で発売されており、また日本ゼオン(株)からゼオノア(Zeonor)ZF14、ZF16、ゼオネックス(Zeonex)250あるいはゼオネックス280という商品名で市販されており、これらを使用することができる。
【0170】
更に、ノルボルネン系付加(共)重合体も好ましく用いることができ、特開平10−7732号、特表2002−504184号、米国公開特許2004229157A1号あるいはWO2004/070463A1号等に開示されている。ノルボルネン系多環状不飽和化合物同士を付加重合する事によって得られる。また、必要に応じ、ノルボルネン系多環状不飽和化合物と、エチレン、プロピレン、ブテン;ブタジエン、イソプレンのような共役ジエン;エチリデンノルボルネンのような非共役ジエン;アクリロニトリル、アクリル酸、メタアクリル酸、無水マレイン酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、マレイミド、酢酸ビニル、塩化ビニルなどの線状ジエン化合物とを付加重合することもできる。このノルボルネン系付加(共)重合体は、三井化学(株)よりアペルの商品名で発売されており、ガラス転移温度(Tg)の異なる例えばAPL8008T(Tg70℃)、APL6013T(Tg125℃)あるいはAPL6015T(Tg145℃)などのグレードがある。ポリプラスチック(株)よりTOPAS8007、同6013、同6015などのペレットが発売されている。更に、Ferrania社よりAppear3000が発売されている。
【0171】
本発明においては、環状ポリオレフィン系樹脂のガラス転移温度(Tg)は、好ましくは110℃〜200℃、より好ましくは115℃〜190℃、更に好ましくは120℃〜180℃である。
また、環状ポリオレフィン系樹脂の重量平均分子量は、好ましくは50,000〜500,000の範囲である。
【0172】
−環状オレフィン系樹脂を主成分とする基材フィルムの製造方法−
環状オレフィン系樹脂を主成分とする基材フィルムについては、(メタ)アクリル系重合体を主成分とする基材フィルムの製造方法と同様の製造方法で製造することができ、例えば、溶液キャスト法(溶液流延法)、溶融押出法、カレンダー法、圧縮成形法など、従来公知のフィルム成形法が挙げられ、そのうち、溶融押出法が特に好適である。
【0173】
溶融押出法としては、例えば、Tダイ法、インフレーション法などが挙げられ、その際の成形温度は、フィルム原料のガラス転移温度に応じて適宜調節すればよい。
Tダイ法でフィルム成形する場合は、公知の単軸押出機や二軸押出機の先端部にTダイを取り付け、フィルム状に押出されたフィルムを巻き取って、ロール状のフィルムを得ることができる。この際、巻き取りロールの温度を適宜調整して、押出方向に延伸を加えることで、1軸延伸することも可能である。また、押出方向と垂直な方向にフィルムを延伸することにより、同時2軸延伸、逐次2軸延伸などを行うこともできる。
【0174】
(セルロース系樹脂)
本発明では熱可塑性樹脂としてセルロース系樹脂を用いることができる。セルロース系樹脂とは、セルロースエステルとアクリル樹脂とを含む樹脂を表す。
本発明に用いられるセルロースエステルの原料のセルロースとしては、綿花リンタや木材パルプ(広葉樹パルプ、針葉樹パルプ)などがあり、何れの原料セルロースから得られるセルロースエステルでも使用でき、場合により混合して使用してもよい。これらの原料セルロースについては、例えばプラスチック材料講座(17)繊維素系樹脂(丸澤、宇田著、日刊工業新聞社、1970年発行)や発明協会公開技報2001−1745(7頁〜8頁)に記載のセルロースを用いることができるが、本発明で用いられるセルロースエステルは特にその記載のものに限定されるものではない。
【0175】
本発明で用いられるセルロースエステルは、セルロースと脂肪酸(芳香族脂肪酸を含む)とのエステルが好ましく、セルロースを構成するβ−1,4結合しているグルコース単位の2位、3位及び6位にある水酸基に該脂肪酸のアシル基が置換してアシル化されたセルロースアシレートが好ましい。
例えばセルロースのアルキルカルボニルエステル、アルケニルカルボニルエステルあるいは芳香族カルボニルエステル、芳香族アルキルカルボニルエステルなどであり、また、2種類以上の脂肪酸のアシル基が置換したセルロースエステルも好ましい。これらのセルロースエステルは、更に置換された基を有していてもよい。
前記水酸基に置換するアシル基としては、炭素数2のアセチル基及び炭素数3〜22のアシル基を好ましく用いることができる。
アクリル樹脂とを混合して用いる場合には両者の相溶性の観点で、炭素数2のアセチル基及び炭素数3〜7のアシル基が好ましい。
本発明で用いられるセルロースエステルにおけるアシル基の総置換度(セルロースのβ−グルコース単位において水酸基にアシル基が置換している割合で、2位、3位及び6位の3つの水酸基の全てにアシル基が置換している場合には3となる)は、特に限定されないが、アシル基の総置換度が高い方が好ましい。このため、アシル基の総置換度は2.00〜3.00が好ましく、2.50〜3.00がより好ましく、2.50〜2.90が更に好ましい。
本発明で用いられるセルロースエステルにおいて、セルロースの水酸基に置換するアシル基の置換度の測定方法としては、ASTMのD−817−91に準じた方法や、NMR法を挙げることができる。
【0176】
セルロースのβ−グルコース単位の水酸基に置換するアシル基としては、脂肪族基でも芳香族基もよく、特に限定されない。また、該水酸基に置換するアシル基は、単一のアシル基でも二種類以上であってもよい。 上記のアシル基が置換したセルロースエステルとしては、セルロースアセテート、セルロースプロピオネート、セルロースブチレート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートプチレート、セルロースアセテートプロピオネートブチレート、セルロースベンゾエートなどが挙げられる。
【0177】
セルロース系樹脂で用いられるセルロースエステルの重合度は、粘度平均重合度で180〜700であることが好ましく、特に、アセチル基とプロピオニル基が置換したセルロースアセテートプロピオネートにおいては、180〜550がより好ましく、180〜400が更に好ましく、180〜350が特に好ましい。重合度がこの範囲であれば、セルロースエステルを含むドープ溶液の粘度が流延によりフィルム作製に適したものとすることができ、またアクリル樹脂との相溶性が高く、透明性及び機械的強度の高いフィルムを得ることができるので好ましい。粘度平均重合度は、宇田らの極限粘度法(宇田和夫、斉藤秀夫、繊維学会誌、第18巻第1号、105〜120頁、1962年)により測定できる。特開平9−95538に詳細に記載されている。
【0178】
セルロースアシレート系樹脂と前記アクリル樹脂の混合樹脂も好ましい。セルロールアシレート系樹脂とアクリル樹脂との質量比は好ましくは70:30〜15:85であり、より好ましくは70:30〜30:70であり、更に好ましくは49:51〜30:70である。
【0179】
セルロース系樹脂と併用して用いるアクリル樹脂は、(メタ)アクリル酸の誘導体1種の単重合体であっても、(メタ)アクリル酸の誘導体2種以上の共重合体であっても、これらと共重合可能な他の単量体との共重合体であってもよい。
(メタ)アクリル酸の誘導体と共重合可能な共重合成分としては、アクリル酸、メタクリル酸等のα,β−不飽和酸類及びマレイン酸、フマル酸、イタコン酸等の不飽和基含有二価カルボン酸類等の不飽和酸類、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−エチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、α−メチルスチレン、α−メチル−p−メチルスチレン等の芳香族ビニル化合物類、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のα,β−不飽和ニトリル類、ラクトン環単位、グルタル酸無水物単位、グルタルイミド単位、無水マレイン酸等の不飽和カルボン酸無水物類、マレイミド、N−置換マレイミド等のマレイミド類が挙げられる。
【0180】
セルロース系樹脂と併用して用いるアクリル樹脂及び(メタ)アクリル酸の誘導体、他の共重合可能な単量体としては特開2009−122664号、特開2009−139661号、特開2009−139754号、特開2009−294262号、国際公開2009/054376号等の各公報に記載のものも使用することができる。なお、これらは本発明を限定するものではなく、これらは単独で又は2種類以上組み合わせて使用できる。
【0181】
セルロース系樹脂と併用して用いるアクリル樹脂の重量平均分子量Mwは80000以上であることが好ましい。アクリル樹脂の重量平均分子量Mwが80000以上であれば、機械的強度が高く、フィルム製造時のハンドリング適性に優れる。この観点から、アクリル樹脂の重量平均分子量Mwは100000以上であること好ましい。また、セルロースエステルとの相溶性向上の観点からは、アクリル樹脂の重量平均分子量Mwは3000000以下であることが好ましく、2000000以下であることがより好ましい。
【0182】
セルロース系樹脂と併用して用いるアクリル樹脂としては、市販のものも使用することができる。例えば、デルペット60N、80N(旭化成ケミカルズ(株)製)、ダイヤナールBR80、BR85、BR88、BR102(三菱レイヨン(株)製)、KT75(電気化学工業(株)製)等が挙げられ、2種以上を併用することもできる。
【0183】
(ポリカーボネート系樹脂)
本発明に用いることができる熱可塑性樹脂として、ポリカーボネート系樹脂を用いることができる。
(ポリスチレン系樹脂)
本発明に用いることができる熱可塑性樹脂として、ポリスチレン系樹脂を用いることができる。
(ポリエステル系樹脂)
本発明に用いることができる熱可塑性樹脂として、ポリエステル系樹脂を用いることができる。
ポリエステル系樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートが好ましい。
【0184】
(その他の熱可塑性樹脂)
本発明に用いることができる熱可塑性樹脂は、上記の前記基材フィルムの主成分として好ましく使用することのできる熱可塑性樹脂以外のその他の熱可塑性樹脂を含んでいてもよい。
その他の熱可塑性樹脂は、本発明の趣旨に反しない限りにおいて特に種類は問わないが、前記基材フィルムの主成分として好ましく使用することのできる熱可塑性樹脂と熱力学的に相溶する熱可塑性樹脂の方が、機械強度や所望の物性を向上させる点において好ましい。
特に、前記基材フィルムの主成分として(メタ)アクリル系樹脂を用いる場合は、前記その他の熱可塑性樹脂は、前記基材フィルム中に0〜30質量%含まれることが好ましく、3〜20質量%含まれることがより好ましく、5〜15質量%含まれることが特に好ましい。
【0185】
上記その他の熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、ポリ(4−メチル−1−ペンテン)等のオレフィン系熱可塑性樹脂;ポリスチレン、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレンブロック共重合体等のスチレン系熱可塑性樹脂、ポリブタジエン系ゴム、アクリル系ゴムを配合したABS樹脂やASA樹脂等のゴム質重合体;などが挙げられる。
【0186】
また、前記基材フィルムの主成分として(メタ)アクリル系樹脂を用いる場合は、前記その他の熱可塑性樹脂として、シアン化ビニル系単量体単位と芳香族ビニル系単量体単位とを含む共重合体を含むことが好ましい。
前記シアン化ビニル系単量体単位と芳香族ビニル系単量体単位とを含む共重合体、具体的にはアクリロニトリル−スチレン系共重合体を用いると、ガラス転移温度が120℃以上、面方向の100μmあたりの位相差が20nm以下で、全光線透過率が85%以上であるフィルムが得られる。
【0187】
<透湿度低減化合物>
前記熱可塑性樹脂フィルムは、透湿度低減化合物を含むことも好ましい。ポリマー単独で低透湿なポリマーは溶剤への溶解性が低く製造プロセスでの問題が多い。ポリマーと透湿度低減化合物の複合による透湿度を下げる事により、低透湿と溶解性(製造適性)の両立が可能となり、透湿度低減化合物を含むことが好ましい。
【0188】
上記の透湿度低減化合物は、前記熱可塑性樹脂フィルムにおいて、前記熱可塑性樹脂の質量に対し、10質量%以上100質量%以下の量で含むことが好ましい。より好ましくは15質量%以上90質量%以下であり、20質量%以上80質量%以下が更に好ましい。
【0189】
<紫外線吸収剤>
前記基材フィルムに好ましく使用される紫外線吸収剤について説明する。前記基材フィルムを含む本発明の光学フィルムは、偏光板又は液晶表示用部材等に使用されるが、偏光板又は液晶等の劣化防止の観点から、紫外線吸収剤が好ましく用いられる。紫外線吸収剤としては、波長370nm以下の紫外線の吸収能に優れ、かつ良好な液晶表示性の観点から、波長400nm以上の可視光の吸収が少ないものが好ましく用いられる。紫外線吸収剤は1種のみ用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。例えば、特開2001−72782号公報や特表2002−543265号公報に記載の紫外線吸収剤が挙げられる。紫外線吸収剤の具体例としては、例えばオキシベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、サリチル酸エステル系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノアクリレート系化合物、ニッケル錯塩系化合物などが挙げられる。
その中でも、2−(2′−ヒドロキシ−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′−tert−ブチル−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−tert−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′−(3″,4″,5″,6″−テトラヒドロフタルイミドメチル)−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2,2−メチレンビス(4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール)、2−(2′−ヒドロキシ−3′−tert−ブチル−5′−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2′−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホベンゾフェノン、ビス(2−メトキシ−4−ヒドロキシ−5−ベンゾイルフェニルメタン)、(2,4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、2(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェニル)−5−クロルベンゾトリアゾール、(2(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−アミルフェニル)−5−クロルベンゾトリアゾール、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール、ペンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、トリエチレングリコール−ビス〔3−(3−tert−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、1,6−ヘキサンジオール−ビス〔3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、2,4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、2,2−チオ−ジエチレンビス〔3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、N,N’−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナミド)、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、トリス−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−イソシアヌレイトなどが挙げられる。特に(2,4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、2(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェニル)−5−クロルベンゾトリアゾール、(2(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−アミルフェニル)−5−クロルベンゾトリアゾール、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール、ペンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、トリエチレングリコール−ビス〔3−(3−tert−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕が好ましい。
また、再公表特許WO2005/109052号公報に記載の一般式で表されたトリアジン系の紫外線吸収剤も有用であり、化合物No1〜36の具体例を好ましく用いることができる。
【0190】
<その他の添加剤>
(マット剤微粒子)
前記基材フィルムには、マット剤として微粒子を加えることができる。マット剤として使用される微粒子としては、二酸化珪素、二酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、炭酸カルシウム、タルク、クレイ、焼成カオリン、焼成珪酸カルシウム、水和ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム及びリン酸カルシウムを挙げることができる。微粒子はケイ素を含むものがフィルムのヘイズが低くなる点で好ましく、特に二酸化珪素が好ましい。
二酸化珪素の微粒子は、1次平均粒子径が20nm以下であり、かつ見かけ比重が70g/リットル以上であるものが好ましい。1次粒子の平均径が5〜16nmと小さいものがフィルムのヘイズを下げることができより好ましい。見かけ比重は90〜200g/リットル以上が好ましく、100〜200g/リットル以上が更に好ましい。見かけ比重が大きい程、高濃度の分散液を作ることが可能になり、ヘイズ、凝集物が良化するため好ましい。
【0191】
これらの微粒子は、通常平均粒子径が0.1〜3.0μmの2次粒子を形成し、これらの微粒子はフィルム中では、1次粒子の凝集体として存在し、フィルム表面に0.1〜3.0μmの凹凸を形成させる。2次粒子の平均粒子径は0.2μm以上1.5μm以下が好ましく、0.4μm以上1.2μm以下が更に好ましく、0.6μm以上1.1μm以下が最も好ましい。1次粒子、2次粒子の粒子径はフィルム中の粒子を走査型電子顕微鏡で観察し、粒子に外接する円の直径をもって粒径とした。また、場所を変えて粒子200個を観察し、その平均値をもって平均粒子径とした。
【0192】
二酸化珪素の微粒子は、例えば、アエロジルR972、R972V、R974、R812、200、200V、300、R202、OX50、TT600(以上日本アエロジル(株)製)などの市販品を使用することができる。酸化ジルコニウムの微粒子は、例えば、アエロジルR976及びR811(以上日本アエロジル(株)製)の商品名で市販されており、使用することができる。
【0193】
これらの中でアエロジル200V、アエロジルR972Vが1次粒子の平均粒子径が20nm以下であり、かつ見かけ比重が70g/リットル以上である二酸化珪素の微粒子であり、光学フィルムの濁度を低く保ちながら、摩擦係数をさげる効果が大きいため特に好ましい。
【0194】
(その他の添加剤)
上記マット粒子の他に、前記基材フィルムには、その他の種々の添加剤(例えば、レターデーション発現剤、可塑剤、紫外線吸収剤、劣化防止剤、剥離剤、赤外線吸収剤、波長分散調整剤など)を加えることができ、それらは固体でもよく油状物でもよい。すなわち、その融点や沸点において特に限定されるものではない。例えば20℃以下と20℃以上の紫外線吸収材料の混合や、同様に可塑剤の混合などであり、例えば特開2001−151901号などに記載されている。更にまた、赤外吸収染料としては例えば特開2001−194522号に記載されている。またその添加する時期はドープ作製工程において何れで添加してもよいが、ドープ調製工程の最後の調製工程に添加剤を添加し調製する工程を加えて行ってもよい。更にまた、各素材の添加量は機能が発現する限りにおいて特に限定されない。また、光学フィルムが多層から形成される場合、各層の添加物の種類や添加量が異なってもよい。例えば特開2001−151902号などに記載されているが、これらは従来から知られている技術である。これらの詳細は、発明協会公開技報(公技番号2001−1745、2001年3月15日発行、発明協会)にて16頁〜22頁に詳細に記載されている素材が好ましく用いられる。
【0195】
熱可塑性樹脂(特にセルロースエステル及びアクリル樹脂)との相溶性がよい可塑剤は、ブリードアウトが生じ難く、低ヘイズであり、光モレ、正面コントラスト、輝度に優れた液晶表示装置を実現するフィルムの作製に有効である。
前記基材フィルムに可塑剤を用いてもよい。可塑剤としては特に限定しないが、リン酸エステル系可塑剤、フタル酸エステル系可塑剤、多価アルコールエステル系可塑剤、多価カルボン酸エステル系可塑剤、グリコレート系可塑剤、クエン酸エステル系可塑剤、脂肪酸エステル系可塑剤、カルボン酸エステル系可塑剤、ポリエステルオリゴマー系可塑剤、糖エステル系可塑剤、エチレン性不飽和モノマー共重合体系可塑剤などが挙げられる。
好ましくはリン酸エステル系可塑剤、グリコレート系可塑剤、多価アルコールエステル系可塑剤、ポリエステルオリゴマー系可塑剤、糖エステル系可塑剤、エチレン性不飽和モノマー共重合体系可塑剤であり、より好ましくはポリエステルオリゴマー系可塑剤、糖エステル系可塑剤、エチレン性不飽和モノマー共重合体系可塑剤であり、更に好ましくはエチレン性不飽和モノマー共重合体系可塑剤、糖エステル系可塑剤であり、特に好ましくはエチレン性不飽和モノマー共重合体系可塑剤である。
【0196】
<熱可塑性樹脂フィルムの特性>
(熱可塑性樹脂フィルムのレターデーション)
熱可塑性樹脂フィルムを偏光板保護フィルムF1、F4の基材フィルムとして使用する場合、基材フィルムは、波長590nmで測定したRe及びRth(下記式(I’)及び(II’)にて定義される)が、式(III’)及び(IV’)を満たすことが好ましい。
下記式(III’)及び(IV’)を満たす熱可塑性樹脂フィルムとしては、(メタ)アクリル系樹脂(主鎖に環構造を有する(メタ)アクリル系重合体であってもよい)、環状ポリオレフィン系樹脂、セルロースアシレート及びセルロースアシレートと(メタ)アクリル系樹脂の混合樹脂が好ましい。
式(I’) Re=(nx−ny)×d
式(II’) Rth={(nx+ny)/2−nz}×d
式(III’)|Re|≦50nm
式(IV’) |Rth|≦300nm
【0197】
また、上記とは異なる別の好ましい態様として、本発明の偏光板保護フィルムF1、F4は、Re(上記式(I)定義される)が式(V’)を満たすことが好ましく、更にNz値(下記式(VI’)で定義される)が式(VII’)を満たすことがより好ましく、Reと、Nz値は、それぞれ式(V)及び(VII’)を同時に満たすことが最も好ましく、特にバックライトとして連続的な発光スペクトルを有する白色光源を使用する液晶表示装置に用いることが好ましい。
ここで、前記の連続的な発光スペクトルを有する白色光源とは、白色発光ダイオードなどであり、青色LED素子と黄色蛍光体とで構成される白色発光ダイオードを用いることが特に好ましい。
下記式(V’)を満たすか、更に(VII’)を満たす熱可塑性樹脂フィルムとしては、ポリエステル系樹脂又はポリカーボネート系樹脂が好ましく、ポリエステル系樹脂がより好ましく、ポリエステル系樹脂としてはポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートが好ましい。
式(V’) 3000nm≦Re≦30000nm
式(VI’) Nz=(nx−nz)/(nx−ny)
=Rth/Re+0.5
ここで、Nz=Rth/Re+0.5でRe、Rthより計算で求めることも可能である。
式(VII’) Nz≦2.0(式(I’)〜(VII’)中、nxは前記基材フィルムのフィルム面内の遅相軸方向の屈折率であり、nyは前記基材フィルムのフィルム面内の進相軸方向の屈折率であり、nzは前記基材フィルムの膜厚方向の屈折率であり、dは前記基材フィルムの厚さ(nm)である。)
【0198】
熱可塑性樹脂フィルムをIPSモード液晶表示における偏光板保護フィルムF2、F3として使用する場合、熱可塑性樹脂フィルムは、表示特性の観点から、波長590nmで測定したRe及びRth(前記(I’)及び(II’)と同様に定義される)が、0nm≦|Re|≦10nmかつ|Rth|≦25nmであることが好ましく、0nm≦|Re|≦5nmかつ|Rth|≦10nmであることがより好ましく、0nm≦|Re|≦2nmかつ|Rth|≦3nmであることが更に好ましい。
【0199】
熱可塑性樹脂フィルムをVAモード液晶表示における偏光板保護フィルムF2、F3として使用する場合、熱可塑性樹脂フィルムは、表示特性の観点から、波長590nmで測定したRe及びRth(前記(I’)及び(II’)と同様に定義される)が、|Re|≦100nmかつ|Rth|≦400nmであることが好ましく、25nm≦|Re|≦100nmかつ50nm≦|Rth|≦250nmであることがより好ましく、Reは30nm≦|Re|≦80nmであることが更に好ましく、35nm≦|Re|≦70nmであることが特に好ましい。Rthは70nm≦|Rth|≦240nmであることが更に好ましく、90nm≦|Rth|≦230nmであることが特に好ましい。
【0200】
本明細書中において、波長λnmでのRe、Rth及びNzは次のようにして測定できる。
ReはKOBRA 21ADH(王子計測機器(株)製)において波長λnmの光をフィルム法線方向に入射させて測定される。
Rthは前記Re、面内の遅相軸(KOBRA 21ADHにより判断される)を傾斜軸(回転軸)としてフィルム法線方向に対して+40°傾斜した方向から波長λnmの光を入射させて測定したレターデーション値、及び面内の遅相軸を傾斜軸(回転軸)としてフィルム法線方向に対して−40°傾斜した方向から波長λnmの光を入射させて測定したレターデーション値の計3つの方向で測定したレターデーション値を基にKOBRA 21ADHにより算出する。ここで平均屈折率の仮定値は熱可塑性ハンドブック(JOHN WILEY&SONS,INC)、各種光学フィルムのカタログの値を使用することができる。平均屈折率の値が既知でないものについてはアッベ屈折計で測定することができる。主な光学フィルムの平均屈折率の値を以下に例示する:セルロースアシレート(1.48)、シクロオレフィン熱可塑性(1.52)、ポリカーボネート(1.59)、ポリメチルメタクリレート(1.49)、ポリスチレン(1.59)である。
前記基材フィルムの測定では、前記基材フィルムに用いられる前記熱可塑性樹脂がセルロースエステルの場合は、前記基材フィルムの平均屈折率を1.48としてレターデーションの測定を行う。
【0201】
上記のRe、Rthは、前記熱可塑性樹脂フィルムに用いられる前記熱可塑性樹脂の種類(前記基材フィルムに用いられる前記熱可塑性樹脂がセルロースエステルの場合は、セルロースエステルの置換度)、前記熱可塑性樹脂と添加剤の量、レターデーション発現剤の添加、フィルムの膜厚、フィルムの延伸方向と延伸率等により調整することができる。
【0202】
(熱可塑性樹脂フィルムの厚さ)
前記熱可塑性樹脂フィルムの膜厚は、5〜100μmが好ましく、10〜80μmがより好ましく、15〜70μmが特に好ましく、20〜60μmがより特に好ましい。
特に偏光板保護フィルムF1、F4の基材フィルムとして使用する場合、膜厚を前記の範囲に制御することで機能層、特に低透湿層を積層した後に液晶表示装置の置かれる環境、すなわち温湿度変化に伴うパネルのムラ小さくすることができる。
【0203】
(熱可塑性樹脂フィルムの透湿度)
前記熱可塑性樹脂フィルムの透湿度は、JIS Z−0208をもとに、40℃、相対湿度90%の条件において測定される。
前記基材フィルムの透湿度は、800g/m/day以下であることが好ましく、400g/m/day以下であることがより好ましく、200g/m/day以下であることが更に好ましく、150g/m/day以下であることが更に特に好ましい。
特に偏光板保護フィルムF1、F4の基材フィルムとして使用する場合、基材フィルムの透湿度を前記範囲に制御することで、機能層、特に低透湿層を積層した偏光板保護フィルム(本発明の偏光板保護フィルム)を搭載した液晶表示装置の常温、高湿及び高温高湿環境経時後の、液晶セルの反りや、黒表示時の表示ムラを抑制できる。
【0204】
(熱可塑性樹脂フィルムフィルムの酸素透過係数)
特に偏光板保護フィルムF1、F4の基材フィルムとして使用する場合、透湿度を低減するためには、フィルム中の水の拡散を抑える事が好ましく、すなわちフィルムの自由体積を下げる事が好ましい。一般的にフィルムの自由体積はフィルムの酸素透過係数と相関する。
前記基材フィルムの酸素透過係数は、100cc・mm/(m・day・atm)以下が好ましく、30cc・mm/(m・day・atm)以下がより好ましい。
【0205】
(熱可塑性樹脂フィルムのヘイズ)
前記熱可塑性樹脂フィルムは、全ヘイズ値が2.00%以下であることが好ましい。全ヘイズ値が2.00%以下であると、フィルムの透明性が高く、液晶表示装置のコントラスト比や輝度向上に効果がある。全ヘイズ値は、1.00%以下がより好ましく、0.50%以下であることが更に好ましく、0.30%以下が特に好ましく、0.20%以下が最も好ましい。全ヘイズ値は低いほど光学的性能が優れるが原料選択や製造管理やロールフィルムのハンドリング性も考慮すると0.01%以上であることが好ましい。
前記熱可塑性樹脂フィルムの内部ヘイズ値は、1.00%以下であることが好ましい。内部ヘイズ値を1.00%以下とすることで、液晶表示装置のコントラスト比を向上させ、優れた表示特性を実現することができる。内部ヘイズ値は、0.50%以下がより好ましく、0.20%以下が更に好ましく、0.10%以下が特に好ましく、0.05%以下が最も好ましい。原料選択や製造管理等の観点からは0.01%以上であることが好ましい。
前記熱可塑性樹脂フィルムとしては、特に、全ヘイズ値が0.30%以下であり、内部ヘイズ値が0.10%以下であることが好ましい。
全ヘイズ値及び内部ヘイズ値は、フィルム材料の種類や添加量、添加剤の選択(特に、マット剤粒子の粒径、屈折率、添加量)や、更にはフィルム製造条件(延伸時の温度や延伸倍率など)により調整することができる。
なおヘイズの測定は、フィルム試料40mm×80mmを、25℃、相対湿度60%で、ヘイズメーター(HGM−2DP、スガ試験機)で、JIS K−6714に従って測定することができる。
【0206】
(熱可塑性樹脂フィルムの弾性率)
前記熱可塑性樹脂フィルムの弾性率は、幅方向(TD方向)で1800〜10000MPaであることが好ましい。
本発明において、TD方向の弾性率が上記範囲とすることにより、高湿及び高温高湿環境経時後の黒表示時の表示ムラやフィルム作製時の搬送性、端部スリット性や破断のし難さ等の製造適性の観点で好ましい。TD弾性率が小さすぎると高湿及び高温高湿環境経時後の黒表示時の表示ムラが発生し易くなり、また製造適性に問題が生じ、大きすぎるとフィルム加工性に劣る為、TD方向の弾性率は、1800〜9000MPaがより好ましく、1800〜8000MPaであることが更に好ましい。
また、前記熱可塑性樹脂フィルムの、搬送方向の(MD方向)の弾性率は、1800〜6000MPaが好ましく、1800〜5000MPaであることがより好ましい。
ここで、フィルムの搬送方向(長手方向)とは、フィルム作製時の搬送方向(MD方向)であり、幅方向とはフィルム作製時の搬送方向に対して垂直な方向(TD方向)である。
フィルムの弾性率は、前記基材フィルム材料の熱可塑性樹脂の種類や添加量、添加剤の選択(特に、マット剤粒子の粒径、屈折率、添加量)や、更にはフィルム製造条件(延伸倍率など)により調整することができる。
弾性率は、例えば、東洋ボールドウィン(株)製万能引っ張り試験機“STM T50BP”を用い、23℃、70RH%雰囲気中、引張速度10%/分で0.5%伸びにおける応力を測定して求めることができる。
【0207】
(熱可塑性樹脂フィルムのガラス転移温度Tg)
前記熱可塑性樹脂フィルムのガラス転移温度Tgは製造適性と耐熱性の観点より、100℃以上200℃以下が好ましく、更に100℃以上150℃以下が好ましい。
ガラス転移温度は、示差走査型熱量計(DSC)を用いて昇温速度10℃/分で測定したときにフィルムのガラス転移に由来するベースラインが変化しはじめる温度と再びベースラインに戻る温度との平均値として求めることができる。
また、ガラス転移温度の測定は、以下の動的粘弾性測定装置を用いて求めることもできる。フィルム試料(未延伸)5mm×30mmを、25℃60%RHで2時間以上調湿した後に動的粘弾性測定装置(バイブロン:DVA−225(アイティー計測制御(株)製))で、つかみ間距離20mm、昇温速度2℃/分、測定温度範囲30℃〜250℃、周波数1Hzで測定し、縦軸に対数軸で貯蔵弾性率、横軸に線形軸で温度(℃)をとった時に、貯蔵弾性率が固体領域からガラス転移領域へ移行する際に見受けられる貯蔵弾性率の急激な減少を固体領域で直線1を引き、ガラス転移領域で直線2を引いたときの直線1と直線2の交点を、昇温時に貯蔵弾性率が急激に減少しフィルムが軟化し始める温度であり、ガラス転移領域に移行し始める温度であるため、ガラス転移温度Tg(動的粘弾性)とする。
【0208】
(熱可塑性樹脂フィルムのヌープ硬度)
最表面に用いる偏光板保護フィルムでは、表面硬度が高い事が好ましく、その場合、基材フィルムの特性としては、ヌープ硬度が高い事が好ましい。ヌープ硬度は、100N/mm以上が好ましく、150N/mm以上が更に好ましく用いられる。
【0209】
(熱可塑性樹脂フィルムの平衡含水率)
前記熱可塑性樹脂フィルムの含水率(平衡含水率)は、偏光板の保護フィルムとして用いる際、ポリビニルアルコールなどの水溶性熱可塑性との接着性を損なわないために、膜厚のいかんに関わらず、25℃、相対湿度80%における含水率が、0〜4質量%であることが好ましい。0〜2.5質量%であることがより好ましく、0〜1.5質量%であることが更に好ましい。平衡含水率が4質量%以下であれば、レターデーションの湿度変化による依存性が大きくなり過ぎず、液晶表示装置の常温、高湿及び高温高湿環境経時後の黒表示時の表示ムラを抑止の点からも好ましい。
含水率の測定法は、フィルム試料7mm×35mmを水分測定器、試料乾燥装置“CA−03”及び“VA−05”{共に三菱化学(株)製}にてカールフィッシャー法で測定した水分量(g)を試料質量(g)で除して算出できる。
【0210】
本発明の液晶表示装置がフロント側(視認側)偏光板として偏光板保護フィルムF1と偏光板保護フィルムF2を有する偏光板を使用する場合や、リア側(非視認側)偏光板として偏光板保護フィルムF3と偏光板保護フィルムF4を有する偏光板を使用する場合、偏光板保護フィルムF2、F3の平衡含水率の好ましい態様を記載する。
ここで、偏光板保護フィルムF2、F3は(メタ)アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリスチレン系樹脂、環状ポリオレフィン系樹脂、グルタル酸無水物系樹脂、グルタルイミド系樹脂、セルロース系樹脂及びこれら複数種の樹脂の混合樹脂を含む熱可塑性樹脂フィルムである。
上記の好ましい実施態様の1つは、偏光板保護フィルムF2、F3である熱可塑性樹脂フィルムの含水率が低いものを使用することであり、高温高湿環境で偏光板が含むことの出来る平衡含水量自体を小さくして、高温高湿環境経時直後と、高温高湿環境経時後に低湿下で経時させた直後の含水率を小さくする。このときの偏光板保護フィルムF2、F3の25℃、相対湿度80%における含水率は0質量%以上2質量%未満であることが好ましい。
上記の好ましい実施態様の他の1つは、偏光板保護フィルムF2、F3である熱可塑性樹脂フィルムの含水率がやや大きいものを使用することであり、偏光板保護フィルムF1、F4の低透湿度の効果によって、高温高湿環境下で実際に偏光板中に入り込む含水量を小さくして、高温高湿環境経時直後と、高温高湿環境経時後に低湿下で経時させた直後の含水率を小さくする。
この実施態様は、偏光板保護フィルムF2、F3として含水率がやや大きな熱可塑性樹脂フィルムを使用した場合においてもワープムラが軽減されるので、偏光板保護フィルムF2、F3として光学補償フィルムを使用する場合など、フィルムが限定される場合において特に有用である。
このときの偏光板保護フィルムF2、F3の25℃、相対湿度80%における含水率は2質量%以上4質量%以下であることが好ましく、2.5質量%以上4.0質量%以下がより好ましく、2.5質量%以上3.5質量%以下が更に好ましい。
【0211】
(熱可塑性樹脂フィルムの寸度変化)
前記熱可塑性樹脂フィルムの寸度安定性は、60℃、相対湿度90%の条件下に24時間静置した場合(高湿)の寸度変化率、及び80℃、DRY環境(相対湿度5%以下)の条件下に24時間静置した場合(高温)の寸度変化率が、いずれも0.5%以下であることが好ましい。より好ましくは0.3%以下であり、更に好ましくは0.15%以下である。
【0212】
(熱可塑性樹脂フィルムの光弾性係数)
本発明の偏光板保護フィルムを使用した場合には、偏光子の収縮による応力などにより複屈折(Re、Rth)が変化する場合がある。このような応力に伴う複屈折の変化は光弾性係数として測定できるが、熱可塑性樹脂フィルムの光弾性率は、15Br以下であることが好ましく、−3〜12Brであることがより好ましく、0〜11Brであることが更に好ましい。
【0213】
<基材フィルムの製造方法>
セルロース系樹脂、又はセルロース系樹脂とアクリル樹脂の混合樹脂を用いる基材フィルムの製造方法は、熱可塑性樹脂及び溶媒を含む高分子溶液を支持体上に流延して高分子膜(前記基材フィルム)を形成する工程、あるいは、熱可塑性樹脂を溶融製膜して基材フィルムを形成する工程のいずれも可能であるが、前記熱可塑性樹脂及び溶媒を含む高分子溶液を支持体上に流延して製膜されてなることが好ましい。
更に、前記基材フィルムの製造方法は、前記基材フィルム(又は高分子膜)を少なくともフィルムの搬送方向及び幅方向のいずれかに延伸する工程を含んでもよい。
【0214】
(溶媒)
ドープを形成するのに有用な溶媒は、前記熱可塑性樹脂を溶解するものであれば、制限なく用いることができる。
本発明においては、有機溶媒として、塩素系有機溶媒を主溶媒とする塩素系溶媒と塩素系有機溶媒を含まない非塩素系溶媒とのいずれをも用いることができる。2種類以上の有機溶媒を混合して用いてもよい。
【0215】
(ドープの調製)
ドープは、0℃以上の温度(常温又は高温)で処理することからなる一般的な方法で調製することができる。本発明に用いることができるドープの調製は、通常のソルベントキャスト法におけるドープの調製方法及び装置を用いて実施することができる。なお、一般的な方法の場合は、有機溶媒としてハロゲン化炭化水素(特にジクロロメタン)とアルコール(特にメタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、t−ブタノール、1−ペンタノール、2−メチル−2−ブタノール及びシクロヘキサノール)を用いることが好ましい。
前記熱可塑性樹脂の合計量は、得られる高分子溶液中に10〜40質量%含まれるように調整することが好ましい。
前記熱可塑性樹脂の量は、10〜30質量%であることが更に好ましい。有機溶媒(主溶媒)中には、後述する任意の添加剤を添加しておいてもよい。
溶液は、常温(0〜40℃)で前記熱可塑性樹脂と有機溶媒とを攪拌することにより調製することができる。高濃度の溶液は、加圧及び加熱条件下で攪拌してもよい。具体的には、前記熱可塑性樹脂と有機溶媒とを加圧容器に入れて密閉し、加圧下で溶媒の常温における沸点以上、かつ溶媒が沸騰しない範囲の温度に加熱しながら攪拌する。
加熱温度は、通常は40℃以上であり、好ましくは60〜200℃であり、更に好ましくは80〜110℃である。
【0216】
(表面処理)
基材フィルムは、場合により表面処理を行うことによって、基材フィルムと低透湿層やそれ以外の層(例えば、偏光子、下塗層及びバック層)との接着の向上を達成することができ、例えばグロー放電処理、紫外線照射処理、コロナ処理、火炎処理、酸又はアルカリ処理を用いることができる。ここでいうグロー放電処理とは、10-3〜20Torrの低圧ガス下でおこる低温プラズマでもよく、更にまた大気圧下でのプラズマ処理も好ましい。プラズマ励起性気体とは上記のような条件においてプラズマ励起される気体をいい、アルゴン、ヘリウム、ネオン、クリプトン、キセノン、窒素、二酸化炭素、テトラフルオロメタンの様なフロン類及びそれらの混合物などがあげられる。これらについては、詳細が発明協会公開技報(公技番号 2001−1745、2001年3月15日発行、発明協会)にて30頁〜32頁に詳細に記載されており、本発明において好ましく用いることができる。
【0217】
{機能層}
本発明の偏光板保護フィルムは機能層を有していても良い。
また本発明の偏光板保護フィルム、特に偏光板保護フィルムF1、F4は前記低透湿層を有しても良いが、更に、少なくとも一方の表面に、他の機能層を積層してもよい。この他の機能層の種類は特に限定されないが、ハードコート層、反射防止層(低屈折率層、中屈折率層、高屈折率層など屈折率を調整した層)、防眩層、帯電防止層、紫外線吸収層などが挙げられる。
前記他の機能層は、1層であってもよいし、複数層設けてもよい。前記他の機能層の積層方法は特に限定されないが、低透湿層を積層後の本発明の光学フィルム上に、更に他の機能層を塗設して設けることが好ましい。
他の機能層は低透湿層に積層しても良いし、低透湿層を積層していない面に積層しても良い。複数の他の機能層を積層する場合一つの機能層を低透湿層上に積層し、もう一つの他の機能層を低透湿層が積層していない面に積層することもできる。
【0218】
前記他の機能層の厚みは、0.01〜100μmであることがより好ましく、0.02〜50μmであることが特に好ましい。
他の機能層である反射防止層を積層した反射防止フィルム、ハードコート層、前方散乱層、防眩層(アンチグレア層)については、特開2007−86748号公報の〔0257〕〜〔0276〕に記載され、これらの記載を基に機能化した偏光板を作成することができる。
また、本発明の偏光板には輝度向上フィルム、他の機能性光学フィルムを積層しても良い。
【0219】
(反射防止層、反射防止フィルム)
反射防止フィルムは、フッ素系ポリマー等の低屈折率素材を単層付与しただけの反射率1.5%程度のフィルム、又は薄膜の多層干渉を利用した反射率1%以下のフィルムのいずれも使用できる。本発明では、透明支持体上に低屈折率層、及び低屈折率層より高い屈折率を有する少なくとも一層の層(即ち、高屈折率層、中屈折率層)を積層した構成が好ましく使用される。また、日東技報,vol.38,No.1,May,2000,26頁〜28頁や特開2002−301783号公報などに記載された反射防止フィルムも好ましく使用できる。
【0220】
各層の屈折率は以下の関係を満足する。
高屈折率層の屈折率>中屈折率層の屈折率>透明支持体の屈折率>低屈折率層の屈折率
【0221】
反射防止フィルムに用いる透明支持体は、前述の偏光板保護フィルムに使用する熱可塑性樹脂フィルムを好ましく使用することができ、透明のフィルム基材であることが好ましい。
【0222】
低屈折率層の屈折率は1.20〜1.55であることが好ましく、更に好ましくは1.30〜1.50である。低屈折率層は、耐擦傷性、防汚性を有する最外層として使用することが好ましい。耐擦傷性向上のため、シリコーン基を含有する含シリコーン化合物や、フッ素を含有する含フッ素化合物等の素材を用い表面への滑り性を付与することも好ましく行われる。
【0223】
前記含フッ素化合物としては、例えば、特開平9−222503号公報[0018]〜[0026]、同11−38202号公報[0019]〜[0030]、特開2001−40284号公報[0027]〜[0028]、特開2000−284102号公報等に記載の化合物を好ましく使用することができる。
前記含シリコーン化合物はポリシロキサン構造を有する化合物が好ましいが、反応性シリコーン(例えば、サイラプレーン(チッソ(株)製)や両末端にシラノール基含有のポリシロキサン(特開平11−258403号公報)等を使用することもできる。シランカップリング剤等の有機金属化合物と特定のフッ素含有炭化水素基含有のシランカップリング剤とを触媒共存下に縮合反応で硬化させてもよい(特開昭58−142958号公報、同58−147483号公報、同58−147484号公報、特開平9−157582号公報、同11−106704号公報、特開2000−117902号公報、同2001−48590号公報、同2002−53804号公報記載の化合物等)。
低屈折率層には、上記以外の添加剤として充填剤(例えば、二酸化珪素(シリカ)、含フッ素粒子(フッ化マグネシウム、フッ化カルシウム、フッ化バリウム)等の一次粒子平均径が1〜150nmの低屈折率無機化合物、特開平11−3820号公報の[0020]〜[0038]に記載の有機微粒子等)、シランカップリング剤、滑り剤、界面活性剤等を含有させることも好ましく行うことができる。
【0224】
前記低屈折率層は、気相法(真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、プラズマCVD法等)により形成されてもよいが、安価に製造できる点で、塗布法で形成することが好ましい。塗布法としては、ディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ローラーコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法、マイクログラビア法を好ましく使用することができる。
低屈折率層の膜厚は、30〜200nmであることが好ましく、50〜150nmであることが更に好ましく、60〜120nmであることが最も好ましい。
【0225】
中屈折率層及び高屈折率層は、平均粒子サイズ100nm以下の高屈折率の無機化合物超微粒子をマトリックス用材料に分散した構成とすることが好ましい。高屈折率の無機化合物微粒子としては、屈折率1.65以上の無機化合物、例えば、Ti、Zn、Sb、Sn、Zr、Ce、Ta、La、In等の酸化物、これらの金属原子を含む複合酸化物等を好ましく使用できる。
このような超微粒子は、粒子表面を表面処理剤で処理したり(シランカップリング剤等:特開平11−295503号公報、同11−153703号公報、特開2000−9908号公報、アニオン性化合物或は有機金属カップリング剤:特開2001−310432号公報等)、高屈折率粒子をコアとしたコアシェル構造としたり(特開2001−166104号公報等)、特定の分散剤を併用する(例えば、特開平11−153703号公報、米国特許第6,210,858B1明細書、特開2002−2776069号公報等)等の態様で使用することができる。
【0226】
前記マトリックス用材料としては、従来公知の熱可塑性樹脂、硬化性樹脂皮膜等を使用できるが、特開2000−47004号公報、同2001−315242号公報、同2001−31871号公報、同2001−296401号公報等に記載の多官能性材料や、特開2001−293818号公報等に記載の金属アルコキシド組成物から得られる硬化性膜を使用することもできる。
前記高屈折率層の屈折率は、1.70〜2.20であることが好ましい。高屈折率層の厚さは、5nm〜10μmであることが好ましく、10nm〜1μmであることが更に好ましい。
前記中屈折率層の屈折率は、低屈折率層の屈折率と高屈折率層の屈折率との間の値となるように調整する。中屈折率層の屈折率は、1.50〜1.70であることが好ましい。
【0227】
前記反射防止フィルムのヘイズは、5%以下あることが好ましく、3%以下が更に好ましい。また、膜の強度は、JIS K5400に従う鉛筆硬度試験でH以上であることが好ましく、2H以上であることが更に好ましく、3H以上であることが最も好ましい。
【0228】
(ハードコート層)
本発明における偏光板は耐擦傷性等の力学的強度を付与するため、ハードコート層を透明支持体の表面に設けた機能性光学フィルムと組み合わせることが好ましく行われる。ハードコート層を、前述の反射防止フィルムに適用して用いる場合は、特に、透明支持体と高屈折率層の間に設けることが好ましい。
前記ハードコート層は、光及び/又は熱による硬化性化合物の架橋反応、又は、重合反応により形成されることが好ましい。硬化性官能基としては、光重合性官能基が好ましく、又は、加水分解性官能基含有の有機金属化合物は有機アルコキシシリル化合物が好ましい。ハードコート層の具体的な構成組成物としては、例えば、特開2002−144913号公報、同2000−9908号公報、国際公開第00/46617号パンフレット等記載のものを好ましく使用することができる。
ハードコート層の膜厚は、0.2μm〜100μmであることが好ましい。
ハードコート層の強度は、JIS K5400に従う鉛筆硬度試験で、H以上であることが好ましく、2H以上であることが更に好ましく、3H以上であることが最も好ましい。また、JIS K5400に従うテーバー試験で、試験前後の試験片の摩耗量が少ないほど好ましい。
【0229】
ハードコート層を形成する材料は、エチレン性不飽和基を含む化合物、開環重合性基を含む化合物を用いることができ、これらの化合物は単独あるいは組み合わせて用いることができる。エチレン性不飽和基を含む化合物の好ましい例としては、エチレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート等のポリオールのポリアクリレート類;ビスフェノールAジグリシジルエーテルのジアクリレート、ヘキサンジオールジグリシジルエーテルのジアクリレート等のエポキシアクリレート類;ポリイソシナネートとヒドロキシエチルアクリレート等の水酸基含有アクリレートの反応によって得られるウレタンアクリレート等を好ましい化合物として挙げることができる。また、市販化合物としては、EB−600、EB−40、EB−140、EB−1150、EB−1290K、IRR214、EB−2220、TMPTA、TMPTMA(以上、ダイセル・ユーシービー(株)製)、UV−6300、UV−1700B(以上、日本合成化学工業(株)製)等が挙げられる。
【0230】
また、開環重合性基を含む化合物の好ましい例としては、グリシジルエーテル類としてエチレングリコールジグリシジルエーテル、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、トリメチロールエタントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、グリセロールトリグリシジルエーテル、トリグリシジルトリスヒドロキシエチルイソシアヌレート、ソルビトールテトラグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールテトラグリシルエーテル、クレゾールノボラック樹脂のポリグリシジルエーテル、フェノールノボラック樹脂のポリグリシジルエーテルなど、脂環式エポキシ類としてセロキサイド2021P、セロキサイド2081、エポリードGT−301、エポリードGT−401、EHPE3150CE(以上、ダイセル化学工業(株)製)、フェノールノボラック樹脂のポリシクロヘキシルエポキシメチルエーテルなど、オキセタン類としてOXT−121、OXT−221、OX−SQ、PNOX−1009(以上、東亞合成(株)製)などが挙げられる。その他にグリシジル(メタ)アクリレートの重合体、或いはグリシジル(メタ)アクリレートと共重合できるモノマーとの共重合体をハードコート層に使用することもできる。
【0231】
ハードコート層には、ハードコート層の硬化収縮の低減、基材との密着性の向上、本発明においてハードコート処理物品のカールを低減するため、ケイ素、チタン、ジルコニウム、アルミニウム等の酸化物微粒子やポリエチレン、ポリスチレン、ポリ(メタ)アクリル酸エステル類、ポリジメチルシロキサン等の架橋粒子、SBR、NBRなどの架橋ゴム微粒子等の有機微粒子等の架橋微粒子を添加することも好ましく行われる。これらの架橋微粒子の平均粒子サイズは、1nm〜20000nmであることが好ましい。また、架橋微粒子の形状は、球状、棒状、針状、板状など特に制限無く使用できる。微粒子の添加量は硬化後のハードコート層の60体積%以下であることが好ましく、40体積%以下がより好ましい。
【0232】
上記で記載した無機微粒子を添加する場合、一般にバインダーポリマーとの親和性が悪いため、ケイ素、アルミニウム、チタニウム等の金属を含有し、かつアルコキシド基、カルボン酸基、スルホン酸基、ホスホン酸基等の官能基を有する表面処理剤を用いて表面処理を行うことも好ましく行われる。
【0233】
ハードコート層は、熱又は活性エネルギー線を用いて硬化することが好ましく、その中でも放射線、ガンマー線、アルファー線、電子線、紫外線等の活性エネルギー線を用いることがより好ましく、安全性、生産性を考えると電子線、紫外線を用いることが特に好ましい。熱で硬化させる場合は、プラスチック自身の耐熱性を考えて、加熱温度は140℃以下が好ましく、より好ましくは100℃以下である。
【0234】
(防眩層)
防眩層は、反射光を散乱させ映り込みを防止するために使用される。
防眩機能を有する光学フィルムのヘイズは、3〜30%であることが好ましく、5〜20%であることが更に好ましく、7〜20%であることが最も好ましい。
防眩層は、表面散乱による防眩性と、好ましくはフィルムの硬度、耐擦傷性を向上するためのハードコート性をフィルムに付与する目的で形成される。
【0235】
本発明で用いることができる防眩層はバインダー及び防眩性を付与するための透光性粒子を含有し、透光性粒子自体の突起あるいは複数の粒子の集合体で形成される突起によって表面の凹凸を形成されるものであることが好ましい。
【0236】
透光性粒子の具体例としては、例えばシリカ粒子、TiO粒子等の無機化合物の粒子;アクリル粒子、架橋アクリル粒子、ポリスチレン粒子、架橋スチレン粒子、メラミン樹脂粒子、ベンゾグアナミン樹脂粒子等の樹脂粒子;が好ましく挙げられる。なかでも架橋スチレン粒子、架橋アクリル粒子、シリカ粒子が好ましい。
透光性粒子の形状は、球形あるいは不定形のいずれも使用できる。
【0237】
バインダーの屈折率は、内部ヘイズ、表面ヘイズを調節するという観点から、上述した粒子の中から選ばれた各透光性粒子の屈折率にあわせてバインダーの屈折率を調整することが好ましい。透光性粒子にあわせたバインダーとしては、例えば、3官能以上の(メタ)アクリレートモノマーを主成分としてなるバインダー(硬化後の屈折率が1.55〜1.70)と、スチレン含率50〜100質量%である架橋ポリ(メタ)アクリレート重合体からなる透光性粒子及びベンゾグアナミン粒子のいずれか一方又は両方との組み合わせが挙げられ、これらのうち、上記バインダーとスチレン含率50〜100質量%である架橋ポリ(スチレン−アクリレート)共重合体からなる透光性粒子(屈折率が1.54〜1.59)との組合せが好適に例示される。
【0238】
また、上述した観点より、バインダーの屈折率と透光性粒子の屈折率の差の絶対値が0.04以下が好ましい。バインダーの屈折率と透光性粒子の屈折率の差の絶対値は好ましくは0.001〜0.030であり、より好ましくは0.001〜0.020、更に好ましくは0.001〜0.015である。
ここで、バインダーの屈折率は、アッベ屈折計で直接測定するか、分光反射スペクトルや分光エリプソメトリーを測定するなどして定量評価できる。透光性粒子の屈折率は、屈折率の異なる2種類の溶媒の混合比を変化させて屈折率を変化させた溶媒中に透光性粒子を等量分散して濁度を測定し、濁度が極小になった時の溶媒の屈折率をアッベ屈折計で測定することで測定される。
【0239】
透光性粒子の含有量は、防眩性等の観点から、形成された防眩層中の全固形分に対して3〜30質量%であることが好ましく、5〜20質量%であることがより好ましい。
【0240】
防眩層を形成する方法としては、例えば、特開平6−16851号公報の請求項22に記載のような表面に微細な凹凸を有するマット状の賦型フィルムをラミネートして形成する方法、特開2000−206317号公報の請求項10に記載のように電離放射線照射量の差による電離放射線硬化型樹脂の硬化収縮により形成する方法、特開2000−338310号公報の請求項6に記載のように乾燥にて透光性樹脂に対する良溶媒の重量比が減少することにより透光性微粒子及び透光性樹脂とをゲル化させつつ固化させて塗膜表面に凹凸を形成する方法、特開2000−275404号公報の請求項8に記載のように外部からの圧力により表面凹凸を付与する方法などが知られており、これら公知の方法を利用することができる。
【0241】
また、支持体中に透光性粒子を含有させ、支持体に防眩機能を付与した態様についても好ましく用いることができる。このような態様としては、特開2009−258720号公報の請求項1や特開2005−105926号公報の請求項1に記載される防眩機能を持ったフィルムが好適に例示される。
フィルム表面に凹凸を形成する方法としては、例えば、微粒子を添加して膜表面に凹凸を形成する方法(例えば、特開2000−271878号公報等)、比較的大きな粒子(粒子サイズ0.05〜2μm)を少量(0.1〜50質量%)添加して表面凹凸膜を形成する方法(例えば、特開2000−281410号公報、同2000−95893号公報、同2001−100004号公報、同2001−281407号公報等)、フィルム表面に物理的に凹凸形状を転写する方法(例えば、エンボス加工方法として、特開昭63−278839号公報、特開平11−183710号公報、特開2000−275401号公報等記載)等も好ましく使用することができる。
【0242】
(輝度向上フィルム)
本発明における偏光板は、輝度向上フィルムと組み合わせて使用することができる。輝度向上フィルムは、円偏光若しくは直線偏光の分離機能を有しており、偏光板とバックライトとの間に配置され、一方の円偏光若しくは直線偏光をバックライト側に後方反射若しくは後方散乱する。バックライト部からの再反射光は、部分的に偏光状態を変化させ、輝度向上フィルム及び偏光板に再入射する際、部分的に透過するため、この過程を繰り返すことにより光利用率が向上し、正面輝度が1.4倍程度に向上する。輝度向上フィルムとしては異方性反射方式及び異方性散乱方式が知られており、いずれも本発明における偏光板と組み合わせることができる。
【0243】
異方性反射方式では、一軸延伸フィルムと未延伸フィルムとを多重に積層して、延伸方向の屈折率差を大きくすることにより反射率並びに透過率の異方性を有する輝度向上フィルムが知られており、誘電体ミラーの原理を用いた多層膜方式(国際公開第95/17691号パンフレット、国際公開第95/17692号パンフレット、国際公開第95/17699号パンフレットの各明細書記載)やコレステリック液晶方式(欧州特許606940A2号明細書、特開平8−271731号公報記載)が知られている。誘電体ミラーの原理を用いた多層方式の輝度向上フィルムとしてはDBEF―E、DBEF−D、DBEF−M(いずれも3M社製)、コレステリック液晶方式の輝度向上フィルムとしてはNIPOCS(日東電工(株)製)が本発明で好ましく使用される。NIPOCSについては、日東技報,vol.38,No.1,May,2000,19頁〜21頁などを参考にすることができる。
【0244】
また、本発明では国際公開第97/32223号パンフレット、国際公開第97/32224号パンフレット、国際公開第97/32225号パンフレット、国際公開第97/32226号パンフレットの各明細書及び特開平9−274108号、同11−174231号の各公報に記載された正の固有複屈折性ポリマーと負の固有複屈折性ポリマーとをブレンドして一軸延伸した異方性散乱方式の輝度向上フィルムと組み合わせて使用することも好ましい。異方性散乱方式輝度向上フィルムとしては、DRPF−H(3M社製)が好ましい。
【0245】
本発明の偏光板保護フィルムは、液晶表示装置の光学補償フィルムとしても用いることもできる。この場合、液晶表示装置が、二枚の電極基板の間に液晶を担持してなる液晶セル、その両側に配置された二枚の偏光素子、及び該液晶セルと該偏光素子との間に少なくとも一枚の本発明の光学フィルムを光学補償フィルムとして配置した構成であることが更に好ましい。これらの液晶表示装置としては、TN、IPS、FLC、AFLC、OCB、STN、ECB、VA及びHANモードの液晶表示装置が好ましく、TN、OCB、IPS及びVAモードの液晶表示装置がより好ましい。
【実施例】
【0246】
以下、実施例に基づいて本発明を具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、試薬、物質量とその割合、操作等は本発明の趣旨から逸脱しない限り適宜変更することができる。従って、本発明は以下の実施例に限定され制限されるものではない。
【0247】
[製造例1]
熱可塑性樹脂フィルムの作製
<熱可塑性樹脂フィルム1の作製>
一般式(1)
【0248】
【化19】
【0249】
[上記一般式(1)中、Rは水素原子、R及びRはメチル基であるラクトン環構造を有する(メタ)アクリル系樹脂{共重合モノマー質量比=メタクリル酸メチル/2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチル=8/2、ラクトン環化率約100%、ラクトン環構造の含有割合19.4%、質量平均分子量133000、メルトフローレート6.5g/10分(240℃、10kgf)、Tg131℃}90質量部と、アクリロニトリル−スチレン(AS)樹脂{トーヨーAS AS20、東洋スチレン社製}10質量部との混合物;Tg127℃]のペレットを二軸押し出し機に供給し、約280℃でシート状に溶融押し出しして、ラクトン環構造を有する(メタ)アクリル系樹脂シートを得た。この未延伸シートを、160℃の温度条件下、縦、横に延伸して熱可塑性樹脂フィルム1(厚さ:40μm、面内位相差Re:0.8nm、厚み方向位相差Rth:1.5nm)を得た。
【0250】
[製造例2]
<熱可塑性樹脂フィルム2の作製>
特開2011‐138119号公報の[0173]〜[0176]に記載の方法で、イミド化樹脂を得た。イミド化樹脂は主鎖にグルタルイミド環構造を有し、芳香族ビニル構造を有しないアクリル樹脂である。
【0251】
イミド化樹脂(III)について、下記の方法に従って、イミド化率、ガラス転移温度及び酸価を測定した。その結果、イミド化率は4モル%、ガラス転移温度は128℃、酸価は0.40mmol/gであった。
【0252】
[イミド化率の算出]
H−NMR BRUKER AvanceIII(400MHz)を用いて、樹脂のH−NMR測定を行った。3.5から3.8ppm付近のメタクリル酸メチルのO−CHプロトン由来のピークの面積Aと、3.0から3.3ppm付近のグルタルイミドのN−CHプロトン由来のピークの面積Bより、次式で求めた。
【0253】
Im%=B/(A+B)×100
なお、ここで、「イミド化率(Im%)」とは全カルボニル基中のイミドカルボニル基の占める割合をいう。
【0254】
得られたイミド化樹脂(III)100質量部と、下記トリアジン化合物A0.10質量部を単軸押出機を用いてペレットにした。
上記ペレットを用いて、未延伸フィルムを縦方向、横方向延伸して、その他条件は製造例1と同様の方法でフィルムを作製した。
【0255】
【化20】
【0256】
得られたフィルムの厚さは40μmであった。Re及びRthの値を後述の方法で測定したところ、Re=1.0nmであり、Rth=3.0nmであった。このフィルムを熱可塑性樹脂フィルム2とした。
【0257】
[製造例3]
<熱可塑性樹脂フィルム3の作製>
下記に記載の組成物をミキシングタンクに投入し、加熱しながら攪拌して、各成分を溶解し、ドープを調製した。
【0258】
(セルロースエステル)
アシル基総置換度2.75、アセチル置換度0.19、プロピオニル置換度2.56、重量平均分子量200000のセルロースエステルを使用した。
このセルロースエステルは、以下のように合成した。
セルロースに触媒として硫酸(セルロース100質量部に対し7.8質量部)を添加し、アシル置換基の原料となるカルボン酸を添加して40℃でアシル化反応を行った。この時、カルボン酸の量を調整することでアセチル基及びプロピオニル基の置換度を調整した。またアシル化後に40℃で熟成を行った。更にこのセルロースエステルの低分子量成分をアセトンで洗浄し除去した。
【0259】
(ドープ3の組成)
セルロースエステル 30.0質量部
(アシル基総置換度2.75、アセチル置換度0.19、プロピオニル置換度2.56、重量平均分子量200000)
アクリル樹脂 70.0質量部
(ダイヤナールBR85 三菱レイヨン(株)製)
チヌビン328 チバ・ジャパン製 1.0質量部
メチレンクロライド 320質量部
エタノール 45質量部
【0260】
バンド流延装置を用い、前記調製したドープをステンレス製のエンドレスバンド(流延支持体)に流延ダイから均一に流延した。ドープ中の残留溶媒量が40質量%になった時点で流延支持体から高分子膜として剥離し、テンターにて積極的に延伸をせずに搬送し、乾燥ゾーンで130℃で乾燥を行った。
得られたフィルムの厚さは40μmであった。また、得られた熱可塑性樹脂フィルム3のRe及びRthの値を後述の方法で測定したところ、Re=1.0nmであり、Rth=5.0nmであった。このフィルムを熱可塑性樹脂フィルム3とした。
【0261】
[製造例4]
<熱可塑性樹脂フィルム4>
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、加熱しながら攪拌して、各成分を溶解し、セルロースアセテート溶液(ドープ)を調製した。
[セルロースアセテート溶液(ドープ)の組成]
セルロースアセテート 100質量部(アセチル置換度2.86、粘度平均重合度310)
トリフェニルホスフェート 8.0質量部
ビフェニルジフェニルホスフェート 4.0質量部
チヌビン328 チバ・ジャパン製 1.0質量部
チヌビン326 チバ・ジャパン製 0.2質量部
メチレンクロライド 369質量部
メタノール 80質量部
1−ブタノール 4質量部
【0262】
得られたドープを30℃に加温し、流延ギーサーを通して直径3mのドラムである鏡面ステンレス支持体上に流延した。支持体の表面温度は−5℃に設定した。流延部全体の空間温度は、15℃に設定した。そして、流延部の終点部から50cm手前で、流延して回転してきたセルロースエステルフィルムをドラムから剥ぎ取った後、両端をピンテンターでクリップした。剥ぎ取り直後のセルロースエステルウェブの残留溶媒量は70%及びセルロースエステルウェブの膜面温度は5℃であった。
【0263】
ピンテンターで保持されたセルロースエステルウェブは、乾燥ゾーンに搬送した。初めの乾燥では45℃の乾燥風を送風した。次に110℃で5分、更に140℃で10分乾燥した。
【0264】
得られたフィルムの厚さは60μmであった。また、Re及びRthを測定したところ、Re=1.5nmであり、Rth=40nmであった。このフィルムを熱可塑性樹脂フィルム4とした。
【0265】
[製造例5]
<熱可塑性樹脂フィルム5>
前記基材フィルム4の作製において、完成膜厚が40μmとなるよう流延した以外は同様にして熱可塑性樹脂フィルム5を作製した。Re及びRthを測定したところ、Re=1.4nmであり、Rth=31nmであった。
【0266】
<熱可塑性樹脂フィルム6>
(1)合成によるセルロースアシレート樹脂の調製
アシル置換度2.88のセルロースアシレートを調製した。
触媒として硫酸(セルロース100質量部に対し7.8質量部)を添加し、酢酸を添加し40℃でアシル化反応を行った。
その後、硫酸触媒量、水分量及び熟成時間を調整することで全置換度と6位置換度を調製した。セルロースアシレートのアシル置換度は、Carbohydr.Res.273(1995)83−91(手塚他)に記載の方法で13C−NMRにより求めた。
熟成温度は40℃で行った。更にこのセルロースアシレートの低分子量成分をアセトンで洗浄し除去した。
【0267】
(2)ドープ調製
(セルロースアシレート溶液6の調製)
下記組成物をミキシングタンクに投入し、攪拌して各成分を溶解し、更に90℃に約10分間加熱した後、平均孔径34μmのろ紙及び平均孔径10μmの焼結金属フィルターでろ過した。
【0268】
――――――――――――――――――――――――――――――――――
セルロースアシレート溶液6
――――――――――――――――――――――――――――――――――
アセチル置換度2.88のセルロースアシレート 100.0質量部
メチレンクロライド 451.0質量部
メタノール 39.0質量部
――――――――――――――――――――――――――――――――――
【0269】
(マット剤分散液の調製)
次に上記方法で作成したセルロースアシレート溶液を含む下記組成物を分散機に投入し、マット剤分散液を調製した。
――――――――――――――――――――――――――――――――――
マット剤分散液
――――――――――――――――――――――――――――――――――
・マット剤(アエロジルR972) 0.2質量部
・メチレンクロライド 72.4質量部
・メタノール 10.8質量部
・セルロースアシレート溶液6 10.3質量部
――――――――――――――――――――――――――――――――――
【0270】
(製膜用ドープの調製)
上記セルロースアシレート溶液6を100質量部、マット剤分散液をセルロースアシレート樹脂に対して無機微粒子が0.20質量部となる量を混合し、製膜用ドープを調製した。
【0271】
(3)流延
上述の製膜用ドープを、バンド流延機を用いて流延した。なお、バンドはSUS製であった。
【0272】
(4)乾燥
流延されて得られたウェブ(フィルム)を、バンドから剥離後、クリップでウェブの両端をクリップして搬送するテンター装置を用いて該テンター装置内で100℃にて、20分間乾燥した。
その後、更に乾燥温度120℃で乾燥ゾーン中を搬送し、ウェブを乾燥させた。
なお、ここでいう乾燥温度とは、フィルムの膜面温度のことを意味する。
【0273】
(5)巻き取り
その後、室温まで冷却した後で各フィルムを巻き取り、ロール幅1340mm、ロール長2600mmのフィルム6を得た(膜厚40μm、Re=1nm、Rth=21nm)。
【0274】
<熱可塑性樹脂フィルム11>
市販のセルロールアシレートフィルムZRD60(富士フィルム(株)製)を用意し、熱可塑性樹脂フィルム11として使用した。熱可塑性樹脂フィルム11の膜厚は60μmであった。
【0275】
<熱可塑性樹脂フィルム12>
市販のセルロールアシレートフィルムZRD40(富士フィルム(株)製)を用意し、熱可塑性樹脂フィルム12として使用した。熱可塑性樹脂フィルム12の膜厚は41μmであった。
【0276】
<熱可塑性樹脂フィルム13>
(1)合成によるセルロースアシレート樹脂の調製
熱可塑性樹脂フィルム6と同様のセルロースアシレート樹脂を用いた。
【0277】
(2)ドープ調製
(セルロースアシレート溶液13の調製)
下記組成物をミキシングタンクに投入し、攪拌して各成分を溶解し、更に90℃に約10分間加熱した後、平均孔径34μmのろ紙及び平均孔径10μmの焼結金属フィルターでろ過した。
【0278】
――――――――――――――――――――――――――――――――――
セルロースアシレート溶液13
――――――――――――――――――――――――――――――――――
アセチル置換度2.88のセルロースアシレート 100.0質量部
下記添加剤(カルボン酸とジオールとの重縮合エステル) 15質量部
メチレンクロライド 451.0質量部
メタノール 39.0質量部
――――――――――――――――――――――――――――――――――
【0279】
重縮合エステル:ジカルボン酸としてのアジピン酸と、ジオールとしてのエチレングリコールとの重縮合エステル(アジピン酸:エチレングリコール=100:100(モル比))(末端:アセチル基、分子量1000)
【0280】
(マット剤分散液の調製)
次に上記方法で作成したセルロースアシレート溶液13を含む下記組成物を分散機に投入し、マット剤分散液を調製した。
――――――――――――――――――――――――――――――――――
マット剤分散液
――――――――――――――――――――――――――――――――――
・マット剤(アエロジルR972) 0.2質量部
・メチレンクロライド 72.4質量部
・メタノール 10.8質量部
・セルロースアシレート溶液13 10.3質量部
――――――――――――――――――――――――――――――――――
【0281】
(製膜用ドープの調製)
上記セルロースアシレート溶液13を100質量部、マット剤分散液をセルロースアシレート樹脂に対して無機微粒子が0.20質量部となる量を混合し、製膜用ドープを調製した。
【0282】
(3)流延
上述の製膜用ドープを、バンド流延機を用いて流延した。なお、バンドはSUS製であった。
【0283】
(4)乾燥
流延されて得られたウェブ(フィルム)を、バンドから剥離後、クリップでウェブの両端をクリップして搬送するテンター装置を用いて該テンター装置内で100℃にて、20分間乾燥した。
その後、更に乾燥温度120℃で乾燥ゾーン中を搬送し、ウェブを乾燥させた。
なお、ここでいう乾燥温度とは、フィルムの膜面温度のことを意味する。
【0284】
(5)巻き取り
その後、室温まで冷却した後で各フィルムを巻き取り、ロール幅1340mm、ロール長2600mmの熱可塑性樹脂フィルム13を得た(膜厚25μm、Re=1nm、Rth=0nm)。
【0285】
<熱可塑性樹脂フィルム14>
市販のノルボルネン系ポリマーフィルム「ZEONOR ZF14−060」((株)オプテス製)を用意し、熱可塑性樹脂フィルム14として用いた(膜厚60μm、Re=2nm、Rth=3nm)。
【0286】
<熱可塑性樹脂フィルム15>
(セルロースアシレートの調製)
特開平10−45804号公報、同08−231761号公報に記載の方法で、セルロースアシレートを合成し、その置換度を測定した。具体的には、触媒として硫酸(セルロース100質量部に対し7.8質量部)を添加し、アシル置換基の原料となるカルボン酸を添加し40℃でアシル化反応を行った。この時、カルボン酸の種類、量を調整することでアシル基の種類、置換度を調整した。またアシル化後に40℃で熟成を行った。更にこのセルロースアシレートの低分子量成分をアセトンで洗浄し除去した。
【0287】
(低置換度層用セルロースアシレート溶液の調製)
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、撹拌して、各成分を溶解し、セルロースアシレート溶液を調製した。
セルロースアセテート(置換度2.45) 100.0質量部
下記添加剤(カルボン酸とジオールとの重縮合エステル)18.5質量部
メチレンクロライド 365.5質量部
メタノール 54.6質量部
【0288】
(高置換度層用セルロースアシレート溶液の調製)
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、撹拌して、各成分を溶解し、セルロースアシレート溶液を調製した。
セルロースアセテート(置換度2.79) 100.0質量部
下記添加剤(カルボン酸とジオールとの重縮合エステル)11.3質量部
シリカ微粒子 R972(日本エアロジル製) 0.15質量部
メチレンクロライド 395.0質量部
メタノール 59.0質量部
【0289】
重縮合エステル:ジカルボン酸としてのテレフタル酸、コハク酸と、ジオールとしてのエチレングリコール、1,2−プロピレングリコールとの重縮合エステル(テレフタル酸:コハク酸:エチレングリコール:1,2−プロピレングリコール=55:45:50:50(モル比))(末端:アセチル基、分子量800)
【0290】
(セルロースアシレートフィルムの作成)
前記低置換度層用セルロースアシレート溶液を膜厚55μmのコア層になるように、前記高置換度層用セルロースアシレート溶液を膜厚2μmのスキンA層及びスキンB層になるように、それぞれ流延した。得られたウェブ(フィルム)をバンドから剥離し、クリップに挟み、フィルム全体の質量に対する残留溶媒量が20〜5%の状態のときに140℃にてテンターを用いて10%横延伸した。その後にフィルムからクリップを外して130℃で20分間乾燥させた後、更に170℃でテンターを用いて20%再度横延伸した。
なお、残留溶媒量は下記の式にしたがって求めた。
残留溶媒量(質量%)={(M−N)/N}×100
ここで、Mはウェブの任意時点での質量、NはMを測定したウェブを120℃で2時間乾燥させた時の質量である。
これより熱可塑性樹脂フィルム15を得た。(膜厚59μm、Re=55nm、Rth=130nm)
【0291】
[低透湿層積層フィルムの作製]
〔低透湿層形成用組成物の調製〕
下記に示すように調製した。
【0292】
(低透湿層形成用組成物B−1の組成)
A−DCP(100%):トリシクロデカンジメタノールジメタクリレート[新中村化学工業(株)製]

97.0質量部
イルガキュア907(100%):重合開始剤[チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製]
3.0質量部
SP−13 0.04質量部
MEK(メチルエチルケトン) 81.8質量部
【0293】
(低透湿層形成用組成物B−2の組成)
下記の各成分を混合した後、攪拌機をつけたガラス製セパラブルフラスコに仕込み、室温にて5時間攪拌後、孔径5μmのポリプロピレン製デプスフィルターでろ過し、各組成物を得た。
(環状ポリオレフィン系樹脂含有層形成用組成物の調製)
環状ポリオレフィン系樹脂TOPAS6013(Polyplastics(株)製)
100質量部
シクロヘキサン 510質量部
シクロヘキサノン 57質量部
【0294】
使用した材料を以下に示す。
・A−DCP:トリシクロデカンジメタノールジメタクリレート[新中村化学工業(株)製]
・イルガキュア907:重合開始剤[チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製]
・SP−13:(レベリング剤)
【0295】
【化21】
【0296】
<低透湿層積層フィルム101の作製>
基材フィルムとして熱可塑性樹脂フィルム1をロール形態から巻き出して、上記低透湿層形成用組成物B−1を使用し、特開2006−122889号公報実施例1記載のスロットダイを用いたダイコート法で、搬送速度30m/分の条件で塗布し、60℃で150秒乾燥させた。その後、更に窒素パージ下酸素濃度約0.1%で160W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照度400mW/cm、照射量60mJ/cmの紫外線を照射して塗布層を硬化させ、巻き取った。低透湿層の膜厚は5μmになるよう塗布量を調整した。
得られた光学フィルムを低透湿層積層フィルム101とした。
【0297】
<低透湿層積層フィルム103〜112の作製>
低透湿層積層101の作製において、基材フィルムと低透湿層形成用組成物、低透湿層の膜厚を表に記載のようにした以外は低透湿層積層101と同様にして、光学フィルム103、107〜112を作成した。
【0298】
<低透湿層積層フィルム113の作製>
熱可塑性樹脂フィルム5上に、前記環状ポリオレフィン系樹脂含有層形成用塗布組成物B−2をグラビアコーターを用いて塗布した後、25℃で1分間乾燥し、続いて80℃で約5分間乾燥して膜厚2μmの機能性層を有する低透湿層積層フィルム113を得た。
【0299】
<低透湿層積層フィルム114〜120の作製>
低透湿層積層113の作製において、基材フィルムと低透湿層形成用組成物、低透湿層の膜厚を表2に記載のようにした以外は低透湿層積層フィルム113と同様にして、光学フィルム114〜120を作成した。
【0300】
[熱可塑性樹脂フィルム、低透湿層積層フィルムの評価]
作製した熱可塑性樹脂フィルム、低透湿層積層フィルムについて膜厚を測定し、下記の物性測定と評価を行った。結果はそれぞれ下記表1、表2に示す。
なお低透湿層の膜厚は低透湿層の積層前後の膜厚を測定し、その差から求めた。
【0301】
(1)透湿度(40℃90%相対湿度での透湿度)
フィルム試料70mmφを40℃、相対湿度90%でそれぞれ24時間調湿し、JIS Z−0208に従った透湿カップを用いて、透湿度=調湿後質量−調湿前質量で単位面積あたりの水分量(g/m)を算出した。
【0302】
(2)Re、Rth
サンプルフィルムを25℃、相対湿度60%にて24時間調湿後、自動複屈折計(KOBRA−21ADH:王子計測機器(株)製)を用いて、25℃、相対湿度60%において、フィルム表面に対し垂直方向及び遅相軸を回転軸としてフィルム面法線から+50°から−50°まで10°刻みで傾斜させた方向から波長590nmにおける位相差を測定して、面内レターデーション値(Re)と膜厚方向のレターデーション値(Rth)とを算出した。
【0303】
(3)平衡含水率
サンプルフィルムを25℃、相対湿度80%にて24時間調湿後、フィルム試料7mm×35mmを水分測定器、試料乾燥装置“CA−03”及び“VA−05”{共に三菱化学(株)製}にてカールフィッシャー法で測定した水分量(g)を試料質量(g)で除して算出した。
熱可塑性樹脂フィルム
【0304】
【表1】
【0305】
【表2】
【0306】
<偏光板の作製>
1)フィルムの鹸化
市販のセルロースアシレートフィルム(フジタック TD60、フジタック TD40 富士フイルム(株)製)と熱可塑性樹脂フィルム3〜13、15と機能性積層フィルム107〜120を、55℃に保った1.5mol/LのNaOH水溶液(鹸化液)に2分間浸漬した後、フィルムを水洗し、その後、25℃の0.05mol/Lの硫酸水溶液に30秒浸漬した後、更に水洗浴を30秒流水下に通して、フィルムを中性の状態にした。そして、エアナイフによる水切りを3回繰り返し、水を落とした後に70℃の乾燥ゾーンに15秒間滞留させて乾燥し、鹸化処理したフィルムを作製した。
【0307】
2)偏光子の作製 特開2001−141926号公報の実施例1に従い、延伸したポリビニルアルコールフィルムにヨウ素を吸着させて膜厚20μmの偏光子を作製した。
【0308】
3)貼り合わせ
(偏光板の作製)
前記で作製した両面になにも貼りあわせていない偏光子の一方の片面に対して、アクリル接着剤を用いて、作製した低透湿層積層フィルム101、103の低透湿層を積層していない面を、低透湿層積層フィルム101、103の低透湿層を積層していない面にコロナ処理を施したのち、貼合した。
前記で作製した両面になにも貼り合わせていない偏光子の一方の片面に対して、アクリル接着剤を用いて、作製した低透湿層積層フィルム117の低透湿層を積層している面を、低透湿層積層フィルム117の低透湿層を積層している面にコロナ処理を施したのち、貼合した。
前記で作製した両面になにも貼りあわせていない偏光子の一方の片側にポリビニルアルコール系接着剤を用いて、上記鹸化した市販のセルロースアシレートフィルムTD60、TD40、熱可塑性樹脂フィルム6、低透湿層積層フィルム107〜109、111〜120を貼り付け、70℃で10分以上乾燥して、貼合した。
前記で作製した一方の片面にフィルムの基材側を貼り合わせた偏光子の他方の片面に対して、アクリル接着剤を用いて、作製した熱可塑性樹脂フィルム1、14を、コロナ処理を施したのち、貼合して偏光板253〜254を作製した。
前記で作製した偏光子の他方の片側にポリビニルアルコール系接着剤を用いて、上記鹸化した熱可塑性樹脂フィルム11〜13、15を貼り付け、70℃で10分以上乾燥して、貼合して偏光板201〜215、251〜252、271〜272、291〜292を作製した。
前記で作製した一方の片面にフィルムの低透湿層側を貼り合わせた偏光子の他方の片面に対して、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて、上記鹸化した熱可塑性樹脂フィルム12を貼り付け、70℃で10分以上乾燥して偏光板220を作製した。
この際、作製した偏光子のロールの長手方向と熱可塑性樹脂フィルム、低透湿層積層フィルムの長手方向とが平行になるように配置した。また、偏光子のロールの長手方向と上記セルロールアシレートフィルムTD60、TD40のロールの長手方向とが、平行になるように配置した。
得られた偏光板について、偏光子両面に貼合された偏光板保護フィルムの、どちらを偏光子に対して液晶セルと反対側の偏光板保護フィルムF1、F4とし、どちらを偏光子に対して液晶セル側の偏光板保護フィルムF2,F3とするのかを決定した。
【0309】
[偏光板の評価]
作製した偏光板について膜厚を測定し、下記の物性測定と評価を行った。各偏光板の構成と結果はそれぞれ下記表3、4に示す。
【0310】
4)サーモ直後、サーモ後乾燥条件経時後の含水率差
(サンプル準備)
得られた偏光板について、25℃、相対湿度60%にて7日間調湿後、50mm×50mmのサンプルを切り出し、偏光板保護フィルムF2、F3側がガラス板側となるように、粘着剤を介してガラス板に一枚ずつ貼り付けた。ガラス板はコーニング社製の厚さ1.1mmのものを用いた。この状態で更に7日間調湿を行った。
【0311】
(含水率差測定1)
その後、ガラス板に貼合した偏光板を下記条件(A)にて経時させた直後に、中央部から10mm×10mの偏光板サンプルをガラスから剥離して切り出し、含水率測定を行った。
また、ガラス板に貼合した偏光板を下記条件(B)にて経時させた直後に、中央部から10mm×10mmの偏光板サンプルをガラスから剥離して切り出し、含水率測定を行った。
条件(A)直後の偏光板含水率と、条件(B)直後の偏光板含水率の差を含水率差として算出した。
[条件(A):60℃相対湿度90%の環境に48時間放置]
[条件(B):60℃相対湿度90%の環境に48時間放置後、25℃相対湿度10%の環境に6時間放置]
(含水率差)=(条件(A)直後の含水率)−(条件(B)直後の含水率)
含水率測定は、サーモ直後の偏光板を条件(A)は25℃相対湿度60%環境に取り出してから10分以内に、条件(B)は25℃相対湿度10%環境で6時間放置後10分以内に、試料10mm×10mmを水分測定器、試料乾燥装置“CA−03”及び“VA−05”{共に三菱化学(株)製}にてカールフィッシャー法で測定した水分量(g)を試料質量(g)で除して算出した。
ここで、含水率は経時で変化する為、切り出しからカールフィッシャーのサンプル瓶にサンプルを投入して密閉するまでは3分以内に行った。
【0312】
(含水率差測定2)
更に厳しい評価試験として、ガラス板に貼合した偏光板を下記条件(C)にて経時させた直後に、中央部から10mm×10mの偏光板サンプルをガラスから剥離して切り出し、含水率測定を行った。
また、ガラス板に貼合した偏光板を下記条件(D)にて経時させた直後に、中央部から10mm×10mmの偏光板サンプルをガラスから剥離して切り出し、含水率測定を行った。
条件(C)直後の偏光板含水率と、条件(D)直後の偏光板含水率の差を含水率差として算出した。
[条件(C):60℃相対湿度90%の環境に120時間放置]
[条件(D):60℃相対湿度90%の環境に120時間放置後、25℃相対湿度10%の環境に6時間放置]
(含水率差)=(条件(C)直後の含水率)−(条件(D)直後の含水率)
含水率測定は、サーモ直後の偏光板を条件(C)は25℃60%環境に取り出してから10分以内に、条件(D)は25℃10%環境で6時間放置後10分以内に、試料10mm×10mmを水分測定器、試料乾燥装置“CA−03”及び“VA−05”{共に三菱化学(株)製}にてカールフィッシャー法で測定した水分量(g)を試料質量(g)で除して算出した。
ここで、含水率は経時で変化する為、切り出しからカールフィッシャーのサンプル瓶にサンプルを投入して密閉するまでは3分以内に行った。
【0313】
【表3】
【0314】
【表4】
【0315】
[パネルの評価1]
<IPSパネルへの実装>
市販のIPS型液晶テレビ(LG電子製42LS5600)の2枚の偏光板をはがし、フロント側(視認側)に偏光板201〜215、220、251〜254、291を、リア側(非視認)に偏光板A1、A2を、偏光板保護フィルムF2、F3側がそれぞれ液晶セル側となるように、粘着剤を介して、フロント側及びリア側に一枚ずつ貼り付けた。フロント側の偏光板の吸収軸が長手方向(左右方向)に、そして、リア側の偏光板の透過軸が長手方向(左右方向)になるように、クロスニコル配置とした。液晶セルに使用されているガラスの厚さは0.5mmであった。
このようにして、液晶表示装置501〜521、535を得た。
これらの表示特性は良好であった。
<VAパネルへの実装>
市販のVA型液晶テレビ(Skyworth製39E61HR)の2枚の偏光板をはがし、フロント側(視認側)に偏光板271〜272、292を、リア側(非視認側)に偏光板Bを、偏光板保護フィルムF2、F3側がそれぞれ液晶セル側となるように、粘着剤を介して、フロント側及びリア側に一枚ずつ貼り付けた。フロント側の偏光板の吸収軸が長手方向(左右方向)に、そして、リア側の偏光板の透過軸が長手方向(左右方向)になるように、クロスニコル配置とした。液晶セルに使用されているガラスの厚さは0.5mmであった。
このようにして、液晶表示装置522〜524を得た。
これらの表示特性は良好であった。
【0316】
[ワープムラ評価]
このようにして作製した実施例及び比較例の液晶表示装置について、60℃相対湿度90%で48時間若しくは120時間サーモ後、25℃相対湿度60%で2時間放置した後で液晶表示装置のバックライトを点灯し、点灯から5〜10時間後のパネルについて、その四隅の光漏れを、輝度計測用カメラ「ProMetric」(Radiant Imaging社製)で画面正面から黒表示画面を撮影し、全画面の平均輝度と、4角の光漏れが大きい箇所の輝度差をもとにして、評価した。
IPSパネルのムラとVAパネルのムラは、それぞれ同じ液晶モードのパネル内での比較である。
また60℃相対湿度90%で48時間サーモの代わりに、50℃相対湿度80%で72時間サーモについても同様の評価を実施したが、光漏れ量やワープムラの評価結果は60℃相対湿度90%で48時間サーモの場合と同様であった。
〜評価指標〜
A:パネル4角の光漏れが視認されない。(パネルの光漏れがサーモ投入前と同程度)
B:パネル4角のうち、1〜2角でわずかな光漏れが視認されるが許容できる。
C:パネル4角のうち、3〜4角でわずかな光漏れが視認されるが許容できる。
D:パネル4角の光漏れが強く、許容できない。
IPSパネルとVAパネルとは、パネルによってムラの見え方が異なり、VAパネルでは上記の指標に加えてパネルの4隅における光漏れ領域の面積がIPSパネルに対して大きいため、評価指標に「−」をつけた。たとえば、B−はBには劣るがCよりは優れていることを意味する。
【0317】
液晶表示装置に使用した偏光板と結果を表5に記載する。
【0318】
【表5】
【0319】
なお、液晶表示装置516〜519、は偏光板保護フィルムF2と、偏光板保護フィルムF3が異なるフィルムであるが、偏光板保護フィルムF2と偏光板保護フィルムF3を同じフィルムとなるよう、本発明のフィルムと市販のセルロースアシレートフィルムTD60を用いた偏光板を使用した実験でも結果は同様であった。
【0320】
液晶表示装置535より、偏光板保護フィルムF1の低透湿層が偏光子側となるように偏光子と貼合した偏光板を、フロント側(視認側)偏光板として使用した液晶表示装置においても、本発明の効果が得られることが分かった。
【0321】
[パネルの評価2]
<IPSパネルへの実装>
市販のIPS型液晶テレビ(LG電子製42LS5600)の2枚の偏光板をはがし、フロント側(視認側)、及びリア側(非視認側)に偏光板206〜209、212〜214、220、291を、偏光板保護フィルムF2、F3側がそれぞれ液晶セル側となるように、粘着剤を介して、フロント側及びリア側に一枚ずつ貼り付けた。フロント側の偏光板の吸収軸が長手方向(左右方向)に、そして、リア側の偏光板の透過軸が長手方向(左右方向)になるように、クロスニコル配置とした。液晶セルに使用されているガラスの厚さは0.5mmであった。
このようにして、液晶表示装置601〜620、622、624を得た。
<VAパネルへの実装>
市販のVA型液晶テレビ(Skyworth製39E61HR)の2枚の偏光板をはがし、フロント側(視認側)、及びリア側(非視認側)に偏光板272、292を、偏光板保護フィルムF2、F3側がそれぞれ液晶セル側となるように、粘着剤を介して、フロント側及びリア側に一枚ずつ貼り付けた。フロント側の偏光板の吸収軸が長手方向(左右方向)に、そして、リア側の偏光板の透過軸が長手方向(左右方向)になるように、クロスニコル配置とした。液晶セルに使用されているガラスの厚さは0.5mmであった。
このようにして、液晶表示装置621、623を得た。
[ワープムラ評価]
前記と同様の方法でワープムラ評価を行った。
液晶表示装置に使用した偏光板と結果を表6に記載する。
【0322】
【表6】
【0323】
ここで、偏光板のサーモ直後、サーモ後乾燥条件経時後の含水率差が小さいものを、フロント側偏光板として、偏光板保護フィルムF1を偏光子よりも視認側に配置して使用した場合、パネルの光漏れが小さくなることが確認された。
また、偏光板のサーモ直後、サーモ後乾燥条件経時後の含水率差が小さいものを、フロント側及びリア側偏光板として、偏光板保護フィルムF1を偏光子よりも視認側に配置し、偏光板保護フィルムF4を偏光子よりもリア側に使用した場合、パネルの光漏れが更に小さくなることが確認された。
【0324】
(液晶表示装置の円形ムラ評価)
作製した偏光板を実装した液晶パネルを、60℃90%相対湿度の環境下に48時間若しくは120時間、その後25℃60%相対湿度の環境下で48時間点灯した後にパネル正面からムラを観察した。A〜Cまでが実用レベルである。
A:パネルに生じる円形の光漏れが無い。
B:パネルに円形の光漏れが見られるが光漏れが非常に弱い。
C:パネルに円形の光漏れが見られるが境界が不明確で光漏れが目立たない。
D:パネルに円形の光漏れが見られ、境界が明確で光漏れしている部分とそうで無い部分が明確に視認できる。
【0325】
液晶表示装置624より、偏光板保護フィルムF1、及びF4の低透湿層が偏光子側となるように偏光子と貼合した各々の偏光板を、それぞれフロント側(視認側)、及びリア側(非視認側)偏光板として使用した液晶表示装置においても、本発明の効果が得られることが分かった。
【0326】
<熱可塑性樹脂フィルム21>
<原料樹脂合成>
常法により、ポリエチレンテレフタレートを合成した。これをポリエステルAとして用いた。
<ポリエステルフィルムの作製>
ポリエステルAのチップ材料を、ヘンシェルミキサー及びパドルドライヤー乾燥機内で含水率50ppm以下に乾燥させた後、紫外線吸収剤(下記化合物(1))を原料ポリエステルAに練り込んだものをチップの形態とし、更にポリエステルAのチップとブレンドした。全ポリエステルに対し、前記紫外線吸収剤が0.4質量%となるように量に調節した。これらのチップ材料を、ヘンシェルミキサー及びパドルドライヤー乾燥機内で含水率50ppm以下に乾燥させた後、ヒーター温度を280度〜300度に設定した押し出し機内で溶融させた。溶融させたポリエステルを、ダイ部より静電印加されたチラーロール上に吐出させ、非結晶ベースを得た。この非結晶ベースをTD方向に3.0〜5.0倍の範囲で倍率を調整して延伸し、100μmのポリエステルフィルムを得た。得られたポリエステルフィルムの紫外線吸収剤の染み出しは観察されなかった。このフィルムを熱可塑性樹脂フィルム21とした。このフィルムの遅相軸方向はフィルム長手方向と垂直方向±5°の範囲内であった。このフィルムのMD弾性率とTD弾性率はそれぞれ2900MPa、7100MPaであった。
【0327】
【化22】
【0328】
<熱可塑性樹脂フィルム22>
熱可塑性樹脂フィルム21において、延伸倍率を変更した以外は同様にして、100μmのポリエステルフィルムを得た。このフィルムを熱可塑性樹脂フィルム22とした。このフィルムの遅相軸方向はフィルム長手方向と垂直方向±5°の範囲内であった。
【0329】
<熱可塑性樹脂フィルム23〜25>
熱可塑性樹脂フィルム21において、延伸方法を二軸延伸とし、それぞれ延伸倍率を変更した以外は同様にして、100μmのポリエステルフィルムを得た。このフィルムを熱可塑性樹脂フィルム23〜25とした。このフィルムの遅相軸方向はフィルム長手方向と垂直方向±5°の範囲内であった。
【0330】
<熱可塑性樹脂フィルム26>
熱可塑性樹脂フィルム21において、延伸倍率を変更した以外は同様にして、50μmのポリエステルフィルムを得た。このフィルムを熱可塑性樹脂フィルム26とした。このフィルムの遅相軸方向はフィルム長手方向と垂直方向±5°の範囲内であった。
【0331】
<ハードコート層積層フィルム21>
(ハードコート層用塗布液の調製)
下記組成物をミキシングタンクに投入し、攪拌してハードコート層塗布液とした。
トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA、日本化薬(株)製)750.0質量部に、重量平均分子量15000のポリ(グリシジルメタクリレート)270.0質量部、メチルエチルケトン730.0質量部、シクロヘキサノン500.0質量部及び光重合開始剤(イルガキュア184、日本チバガイギー(株)製)50.0質量部を添加して攪拌した。孔径0.4μmのポリプロピレン製フィルターで濾過してハードコート層用の塗布液1を調製した。
【0332】
(ハードコート層の形成)
上記作製した熱可塑性樹脂フィルム21に、ハードコート層用塗布液1をグラビアコーターを用いて塗布した。100℃で乾燥した後、酸素濃度が1.0体積%以下の雰囲気になるように窒素パージしながら160W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照度400mW/cm2、照射量300mJ/cm2の紫外線を照射して塗布層を硬化させ、厚さ8μmのハードコート層を形成した。このフィルムをハードコート層積層フィルム21とした。
【0333】
<ハードコート層積層フィルム22〜26>
ハードコート層積層フィルム21において、熱可塑性樹脂フィルム21に替えて熱可塑性樹脂フィルム22〜26を使用した以外は同様にして、ハードコート層積層フィルム22〜26を作成した。
【0334】
[熱可塑性樹脂フィルム、ハードコート層積層フィルムの評価]
作製した熱可塑性樹脂フィルム、ハードコート層積層フィルムについて、前記の熱可塑性樹脂フィルム1と同様に、膜厚、物性測定を行った。結果はそれぞれ下記表7に示す。
ここで、Nz値は自動複屈折計(KOBRA−21ADH:王子計測機器(株)製)より得られた測定結果より求められる。
【0335】
【表7】
【0336】
<偏光板の作製>
【0337】
1)偏光子の作製
特開2001−141926号公報の実施例1に従い、延伸したポリビニルアルコールフィルムにヨウ素を吸着させて膜厚20μmの偏光子を作製した。
【0338】
2)貼り合わせ
(偏光板の作製)
前記で作製した偏光子の一方の片面に対して、熱可塑性樹脂フィルム21〜26を、貼合面にコロナ処理を施した後、アクリル接着剤を用いて、貼合し、続いて偏光子の他方の片面に対して、同様に貼合面にコロナ処理を施した熱可塑性樹脂フィルム1、2、14を表8の組み合わせとなるよう貼合し、偏光板701〜708を作製した。
更に前記で作製した偏光子の一方の片面に対して、ハードコート層積層フィルム21〜26を、ハードコート層を積層していない面にコロナ処理を施した後、アクリル接着剤を用いて、貼合し、続いて偏光子の他方の片面に対して、同様に貼合面にコロナ処理を施した熱可塑性樹脂フィルム1、2、14を表8の組み合わせとなるよう貼合し、偏光板709〜716を作製した。
【0339】
このようにして偏光板701〜716を作製した。この際、作製した偏光子のロールの長手方向と熱可塑性樹脂フィルム、ハードコート層積層フィルムの長手方向とが平行になるように配置した。
得られた偏光板について、偏光子両面に貼合された偏光板保護フィルムの、どちらを偏光子に対して液晶セルと反対側の偏光板保護フィルムF1、F4とし、どちらを偏光子に対して液晶セル側の偏光板保護フィルムF2,F3とするのかを決定した。
【0340】
[偏光板の評価]
作製した偏光板について、前記と同様に、物性測定と評価を行った。各偏光板の構成と結果はそれぞれ下記表8に示す。
【0341】
【表8】
【0342】
<IPSパネルへの実装1>
市販のIPS型液晶表示装置より液晶パネルを取り出した後、液晶パネルの2枚の偏光板をはがし、フロント側(視認側)に偏光板709〜716を、リア側(非視認側)に前記の偏光板A2を、偏光板保護フィルムF2、F3側がそれぞれ液晶セル側となるように、粘着剤を介して、フロント側及びリア側に一枚ずつ貼り付けた。フロント側の偏光板の吸収軸が長手方向(左右方向)に、そして、リア側の偏光板の透過軸が長手方向(左右方向)になるように、クロスニコル配置とした。液晶セルに使用されているガラスの厚さは0.5mmであった。またバックライト光源は白色LEDを用いた。
このように作製した液晶表示装置801〜808について下記の方法で白表示時の虹状ムラ測定、黒表示時の光モレ部分の虹状ムラ評価を行った。
【0343】
<白表示時の虹状ムラ評価>
このようにして作製した液晶表示装置の、白表示時の虹状のムラを複数の観察者により目視評価した。
〜評価指標〜
A:虹状のムラは殆ど観察されなかった。
B:虹状のムラは弱いが、視認できる程度に観察された。
C:虹状のムラは観察されたが、許容されるレベルであった。
D:虹状のムラがはっきり観察され、許容できない。
【0344】
<サーモ試験後4角ムラ評価>
このようにして作製した実施例及び比較例の液晶表示装置について、60℃相対湿度90%で48時間若しくは120時間サーモ後、25℃相対湿度60%で2時間放置した後で液晶表示装置のバックライトを点灯し、点灯から5〜10時間後のパネルについて、その四隅の光漏れと虹ムラを複数の観察者により目視評価した。〜評価指標〜
A:パネル4角の光漏れが視認されず、虹状ムラは確認されない。(パネルの光漏れがサーモ投入前と同程度)
B:パネル4角にわずかな光漏れが視認されるが、虹状ムラは確認されない。
C:パネル4角にわずかな光漏れが視認されるが、虹状ムラは許容されるレベル。
D:パネル4角の光漏れが強く、許容できない、及び/又は虹状ムラがはっきりと確認され、許容できない。また60℃相対湿度90%で48時間サーモの代わりに、50℃相対湿度80%で72時間サーモについても同様の評価を実施したが、光漏れ量やワープムラの評価結果は60℃相対湿度90%で48時間サーモの場合と同様であった。
【0345】
虹状ムラは、大きな複屈折、具体的にはReが500nm以上3000n未満のポリマーフィルムを保護フィルムとして有する偏光板にバックライト光源から斜め方向に入射した光を視認側から観察した際に現われ、特に輝線スペクトルを含む、例えば冷陰極管のような光源をバックライトとする液晶表示装置において顕著である。
【0346】
ここで、連続的な発光スペクトルを有する白色光源をバックライト光源として使用する場合、偏光板保護フィルムF1、F4はReは3000〜30000nmが好ましいことが知られており、Reが4000〜20000nmであることがより好ましく、5000〜18000nmであることが更に好ましく、6000〜15000nmであることが特に好ましい。
虹状ムラは、Re、Rthの関係を表すNz値を適切な値とすることでも低減することができ、虹状ムラの低減効果及び製造適性より、Nz値は2.0以下であることが好ましく、1.0〜2.0であることがより好ましく、1.0〜1.5であることが更に好ましい。
【0347】
虹状ムラは入射光により発生する為、通常は白表示時で観察される。
【0348】
また、フロント側に前記大きな複屈折を有するポリマーフィルムを保護フィルムとして有する偏光板を使用した場合は、ワープムラ測定で観察される4角の光モレ部分に虹状ムラが観察されることがあり、観察者に対してムラがより強調されたような印象を与えることがある。これより、前記大きな複屈折を有するポリマーフィルムを使用する場合は、ワープムラ測定も虹ムラの影響を考慮した基準で行う必要があり、これをサーモ後4角ムラ測定として行った。
【0349】
液晶表示装置に使用した偏光板と結果を表9に記載する。
【0350】
【表9】
【0351】
<IPSパネルへの実装2>
市販のIPS型液晶表示装置より液晶パネルを取り出した後、液晶パネルの2枚の偏光板をはがし、フロント側(視認側)に偏光板709〜716を、リア側(非視認側)に偏光板701〜708を、偏光板保護フィルムF2、F3側がそれぞれ液晶セル側となるように、粘着剤を介して、フロント側及びリア側に一枚ずつ貼り付けた。フロント側の偏光板の吸収軸が長手方向(左右方向)に、そして、リア側の偏光板の透過軸が長手方向(左右方向)になるように、クロスニコル配置とした。液晶セルに使用されているガラスの厚さは0.5mmであった。またバックライト光源は白色LEDを用いた。
このように作製した液晶表示装置901〜908について下記の方法で白表示時の虹状ムラ測定、サーモ試験後4角ムラ、円形ムラ評価を行った。
【0352】
液晶表示装置に使用した偏光板と結果を表10に記載する。
【0353】
【表10】
【産業上の利用可能性】
【0354】
本発明の液晶表示装置は、高湿環境下での保存後に点灯すると発生するパネルの反りに基づくワープムラの発生を解消することができる。
【0355】
本発明を詳細にまた特定の実施態様を参照して説明したが、本発明の精神と範囲を逸脱することなく様々な変更や修正を加えることができることは当業者にとって明らかである。
本出願は、2012年10月12日出願の日本特許出願(特願2012−227510)、2013年2月6日出願の日本特許出願(特願2013−21838)、及び2013年3月12日出願の日本特許出願(特願2013−049449)に基づくものであり、その内容はここに参照として取り込まれる。
【符号の説明】
【0356】
F1、F2、F3、F4・・・偏光板保護フィルム
【図1】
【国際調査報告】