(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO2014061084
(43)【国際公開日】20140424
【発行日】20160905
(54)【発明の名称】車両接近通報装置の音質調整装置、車両接近通報装置シミュレータ、および車両接近通報装置
(51)【国際特許分類】
   B60Q 5/00 20060101AFI20160808BHJP
   G10K 15/04 20060101ALI20160808BHJP
【FI】
   !B60Q5/00 650B
   !G10K15/04 302J
   !B60Q5/00 620A
   !B60Q5/00 630B
   !B60Q5/00 640Z
   !B60Q5/00 650A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】23
【出願番号】2014541835
(21)【国際出願番号】JP2012076626
(22)【国際出願日】20121015
(11)【特許番号】5847322
(45)【特許公報発行日】20160120
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KM,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC
(71)【出願人】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
【住所又は居所】東京都千代田区丸の内二丁目7番3号
(74)【代理人】
【識別番号】100073759
【弁理士】
【氏名又は名称】大岩 増雄
(74)【代理人】
【識別番号】100088199
【弁理士】
【氏名又は名称】竹中 岑生
(74)【代理人】
【識別番号】100094916
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 啓吾
(74)【代理人】
【識別番号】100127672
【弁理士】
【氏名又は名称】吉澤 憲治
(72)【発明者】
【氏名】青柳 貴久
【住所又は居所】東京都千代田区丸の内二丁目7番3号 三菱電機株式会社内
(72)【発明者】
【氏名】表 朝子
【住所又は居所】東京都千代田区丸の内二丁目7番3号 三菱電機株式会社内
(72)【発明者】
【氏名】加藤 陽一
【住所又は居所】東京都千代田区丸の内二丁目7番3号 三菱電機株式会社内
(57)【要約】
少なくとも一部の駆動力を電動機によって発生する電動移動体に備えられた発音体から、この電動移動体の外部へ放射するための報知音の信号を発生する車両接近通報装置の音質調整装置において、報知音の素となる音素データを格納する音素格納部(82)と、この音素データを分析して音素の音質に係る特徴値を抽出する音源音質抽出部(1)と、この音源音質抽出部(1)において抽出した音素の特徴値を用いて、車両情報に対応して音素データを変換するパラメータを求めるパラメータ設定部(10)と、このパラメータ設定部(10)で求めたパラメータを格納するパラメータ格納部(81)と、を備えた。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一部の駆動力を電動機によって発生する電動移動体の外部へ報知音を放射するための車両接近通報装置の音質調整装置において、
前記報知音の素となる音素データを格納する音素格納部と、
この音素データを分析して音素の音質に係る特徴値を抽出する音源音質抽出部と、
この音源音質抽出部において抽出した前記音素の音質に係る特徴値を用いて、前記電動移動体の車両情報に対応して前記音素データを変換するパラメータを求めるパラメータ設定部と、
このパラメータ設定部で求めた前記パラメータを格納するパラメータ格納部と、
を備えたことを特徴とする車両接近通報装置の音質調整装置。
【請求項2】
前記音源音質抽出部が抽出する前記音素の音質に係る特徴値は、前記音素データをFFT処理して求めた周波数分布のピークとなるピーク周波数fpであり、前記パラメータ設定部において求めるパラメータは、前記音素データのピッチを変換するためのピッチパラメータであることを特徴とする請求項1に記載の車両接近通報装置の音質調整装置。
【請求項3】
前記ピッチパラメータの最大値Pitch_maxと最小値Pithch_minとを、予め前記報知音に対して設定した周波数最大値fpmaxと周波数最小値fpmin、および前記ピーク周波数fpを用いて、
Pitch_max = fpmax/fp
Pithch_min = fpmin/fp
により求めることを特徴とする請求項2に記載の車両接近通報装置の音質調整装置。
【請求項4】
前記音源音質抽出部が、前記ピーク周波数fpにおけるレベルとの差が基準値A以下であるピークを抽出した場合、前記ピーク周波数fpを含んで、これら複数のピーク周波数のうち最も低い周波数をfpL、最も高い周波数をfpHとし、
前記ピッチパラメータの最大値Pitch_maxと最小値Pithch_minとを、予め前記報知音に対して設定した周波数最大値fpmaxと周波数最小値fpmin、および前記fpHと前記fpLを用いて、
Pitch_max = fpmax/fpH
Pithch_min = fpmin/fpL
により求めることを特徴とする請求項2に記載の車両接近通報装置の音質調整装置。
【請求項5】
前記パラメータ設定部は、前記Pithch_minと前記Pitch_maxとの間を補間処理して、前記車両情報の値に対応したピッチパラメータを求めて、前記車両情報の値と前記ピッチパラメータの値とを対にした表形式で前記パラメータ格納部に格納することを特徴とする請求項3または請求項4に記載の車両接近通報装置の音質調整装置。
【請求項6】
ユーザーによりデータを入力するための入力部を備え、この入力部から前記fpmaxおよび前記fpminを入力することを特徴とする請求項3または請求項4に記載の車両接近通報装置の音質調整装置。
【請求項7】
ユーザーによりデータを入力するための入力部を備え、この入力部から前記基準値Aを入力することを特徴とする請求項4に記載の車両接近通報装置の音質調整装置。
【請求項8】
ユーザーによりデータを入力するための入力部を備え、この入力部から前記補間処理における補間方法を入力することを特徴とする請求項5に記載の車両接近通報装置の音質調整装置。
【請求項9】
前記音源音質抽出部が抽出する前記音素の音質に係る特徴値は、前記音素データの音量レベルのピーク値Lpであり、前記パラメータ設定部において求めるパラメータは、前記音素データの音量を変更するための音量パラメータであることを特徴とする請求項1に記載の車両接近通報装置の音質調整装置。
【請求項10】
前記音量パラメータの最大値Level_maxと最小値Level_minとを、予め前記報知音に対して設定した音量最大値Lpmaxと音量最小値Lpmin、および前記Lpを用いて、
Level_max = Lpmax/Lp
Level_min = Lpmin/Lp
により求めることを特徴とする請求項9に記載の車両接近通報装置の音質調整装置。
【請求項11】
前記パラメータ設定部は、前記Level_minと前記Level_maxとの間を補間処理して、前記車両情報の値に対応した音量パラメータを求めて、前記車両情報の値と前記音量パラメータの値とを対にした表形式で前記パラメータ格納部に格納することを特徴とする請求項10に記載の車両接近通報装置の音質調整装置。
【請求項12】
ユーザーによりデータを入力するための入力部を備え、この入力部から前記Lpmaxおよび前記Lpminを入力することを特徴とする請求項10に記載の車両接近通報装置の音質調整装置。
【請求項13】
ユーザーによりデータを入力するための入力部を備え、この入力部から前記補間処理における補間方法を入力することを特徴とする請求項11に記載の車両接近通報装置の音質調整装置。
【請求項14】
請求項1〜13のいずれか1項に記載の車両接近通報装置の音質調整装置と、前記車両情報を模擬した模擬車両情報を出力する模擬車両情報発生部と、前記パラメータ格納部に格納されたパラメータと前記模擬車両情報発生部から出力される前記模擬車両情報とを用いて前記音素格納部に格納された前記音素データを変換して報知音の信号を発生する報知音信号生成部と、この報知音信号生成部により生成された報知音信号により報知音を発生する発音体とを備えたことを特徴とする車両接近通報装置シミュレータ。
【請求項15】
請求項1〜13のいずれか1項に記載の車両接近通報装置の音質調整装置と、前記パラメータ格納部に格納されたパラメータと前記車両情報とを用いて前記音素格納部に格納された前記音素データを変換して報知音の信号を発生する報知音信号生成部と、この報知音信号生成部により生成された報知音信号により報知音を発生する発音体とを備えたことを特徴とする車両接近通報装置。
【請求項16】
前記車両情報が、実際の車両情報を模擬するデータとして保存された模擬車両情報と、前記電動移動体から取得する車両情報とに切り替え可能に構成されたことを特徴とする請求項15に記載の車両接近通報装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ハイブリッド自動車や電気自動車など静粛性の高い電動移動体において、音により歩行者などにその存在を知らせるための報知音を発生させる車両接近通報音装置の音質調整に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、電動自転車、電動カート等の開発実用化に続き、電動バイクや電動自動車等、各種移動体としての乗り物が電動化されつつある。具体的には、内燃機関を動力源とする自動車に代わって、ガソリンエンジンと電動モータとを動力源とするハイブリッド自動車や、家庭電源もしくはガソリンスタンドや電力供給スタンドなどに設置された充電器により充電される電池によって動作する電動モータを動力源とした電気自動車、もしくは、水素ガスなどを燃料とする燃料電池で発電しながら走行する燃料電池自動車などが順次開発され、ハイブリッド自動車や電気自動車などは、その一部が既に実用化され、普及し始めている。
【0003】
従来の内燃機関を動力源とするガソリン車やディーゼル車やバイクなど(以下、「従来の自動車など」と記載する)は、動力源自身が放出するエンジン音や排気音、更には走行中のロードノイズ等が発生するため、街中を歩行する歩行者や自転車に乗っている人などは自動車のエンジン音や排気音などにより、車両の接近を認識することができる。しかし、ハイブリッド自動車の場合、低速走行時には、エンジンによる走行ではなく電動モータによる走行モードが主体となるため、エンジン音や排気音等が発生せず、また、電気自動車や燃料電池自動車等の場合には全運転領域において電動モータによって走行することから、いずれの自動車も、非常に静粛性の高い電動移動体となっている。しかしながら、このような静粛性の高い電動移動体の周辺に存在する歩行者や自転車運転者等は、音の発生が少なく静粛性の高い電動モータにより走行するハイブリッド自動車や電気自動車や燃料電池自動車などの電動移動体の接近を音によって認識することができないことから、静粛性の高い電動移動体と歩行者等との接触事故などが発生する原因となる。
【0004】
このため、ハイブリッド自動車、燃料電池自動車、電気自動車などが備える利点であるべき静粛性が時に弊害となる上記のような問題を解決するため、従来の自動車などに備えられ運転者の意思で警報を発するクラクション以外の、自車両周辺の歩行者などに自車両の存在を通報するための車両接近通報装置が種々提案されている(例えば特許文献1、特許文献2)。
【0005】
車両接近通報装置では、音源として用いられる音素に対してアクセル開度や車速などの車両情報に応じてフィルタなどを用いて、音素信号を変化させ、自然な報知音が得られるように音質を制御している。
【0006】
ところで音素は、カーメーカが用意することが主流であり、それも車種毎に異なることが多い。このため種々の音素それぞれに対して、フィルタなどの調整が必要になる。また、運転者にとってカーメーカのデフォルト設定が好みの音質でない場合にこれを調整したいと思っても、音質を簡単に調整する装置は用意されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2011−207390号公報
【特許文献2】特開2001−290489号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1や特許文献2に記載された車両接近通報装置では、音源のピーク周波数から倍音成分を生成し、快音性や認知性を向上させるとされているが、音素の音質が変われば、その都度各パラメータを変更する必要がある。しかし、変更できるパラメータが多くあり、試行錯誤による調整が必要となり、調整が非常に煩雑である。
【0009】
本発明は、以上の課題を解決するものであり、音素の音質が異なる場合においても簡単に音質を調整可能な音質調整装置を提供するものである。また、運転者がデフォルト設定の音質を簡単に好みの音質に調整可能な車両接近通報装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明は、少なくとも一部の駆動力を電動機によって発生する電動移動体に備えられた発音体から、この電動移動体の外部へ放射するための報知音の信号を発生する車両接近通報装置の音質調整装置において、報知音の素となる音素データを格納する音素格納部と、この音素データを分析して音素の音質に係る特徴値を抽出する音源音質抽出部と、この音源音質抽出部において抽出した音素の特徴値を用いて、電動移動体の車両情報に対応して音素データを変換するパラメータを求めるパラメータ設定部と、このパラメータ設定部で求めたパラメータを格納するパラメータ格納部と、を備えたものである。
【発明の効果】
【0011】
この発明によれば、音素の音質が異なる場合も、簡単に音質を調整可能な音質調整装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施の形態1による車両接近通報装置の音質調整装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態1による車両接近通報装置の音質調整装置のピッチパラメータを算出するフローを示すフロー図である。
【図3】FFT処理された音素の信号波形の一例を示す線図である。
【図4】本発明の実施の形態1による車両接近通報装置の音質調整装置のピッチパラメータ補間処理部3における補間処理の例を示す線図である。
【図5】本発明の実施の形態1による車両接近通報装置の音質調整装置のピッチパラメータ補間処理部3における補間処理の別の例を示す線図である。
【図6】本発明の実施の形態1による車両接近通報装置の音質調整装置のパラメータ格納部81へ格納するパラメータテーブルのピッチパラメータについてのフォーマットを示す図である。
【図7】本発明の実施の形態1による車両接近通報装置の音質調整装置の音量パラメータを算出するフローを示すフロー図である。
【図8】本発明の実施の形態1による車両接近通報装置の音質調整装置の音量パラメータ補間処理部おける補間処理の例を示す線図である。
【図9】本発明の実施の形態1による車両接近通報装置の音質調整装置の音量パラメータ補間処理部における補間処理の別の例を示す線図である。
【図10】本発明の実施の形態1による車両接近通報装置の音質調整装置のパラメータ格納部81へ格納するパラメータテーブルの音量パラメータについてのフォーマットを示す図である。
【図11】本発明の実施の形態1による車両接近通報装置の音質調整装置を用いた車両接近通報装置シミュレータの構成を示すブロック図である。
【図12】本発明の実施の形態2による車両接近通報装置の音質調整装置のピッチパラメータを算出するフローを示すフロー図である。
【図13】FFT処理された音素の信号波形の別の例を示す線図である。
【図14】本発明の実施の形態3による車両接近通報装置の音質調整装置の構成を示すブロック図である。
【図15】本発明の実施の形態3による車両接近通報装置の音質調整装置におけるピッチパラメータを算出するフローを示すフロー図である。
【図16】本発明の実施の形態3による車両接近通報装置の音質調整装置におけるピッチパラメータを算出するフロー中のHMIによる選択フローを示すフロー図である。
【図17】本発明の実施の形態3による車両接近通報装置の音質調整装置におけるピッチパラメータを算出するフロー中のHMIによる選択フローを示すフロー図である。
【図18】本発明の実施の形態3による車両接近通報装置の音質調整装置の音量パラメータを算出するフローを示すフロー図である。
【図19】本発明の実施の形態3による車両接近通報装置の音質調整装置における音量パラメータを算出するフロー中のHMIによる選択フローを示すフロー図である。
【図20】本発明の実施の形態3による車両接近通報装置の音質調整装置における音量パラメータを算出するフロー中のHMIによる選択フローを示すフロー図である。
【図21】本発明の実施の形態3による車両接近通報装置の音質調整装置を用いた車両接近通報装置シミュレータの構成を示すブロック図である。
【図22】本発明の実施の形態4による車両接近通報装置の構成を示すブロック図である。
【図23】本発明の実施の形態4による車両接近通報装置の動作フローを示すフロー図である。
【図24】本発明の実施の形態4による車両接近通報装置の別の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1による車両接近通報装置の音質調整装置の構成を示すブロック図である。また、図2は、本発明の実施の形態1による車両接近通報装置の音質調整装置のピッチパラメータを算出するフローを示すフロー図である。車両接近通報装置とは、ハイブリッド自動車や電気自動車など、少なくとも一部の駆動力を電動機によって発生する電動移動体の外部へ報知音を放射するための装置である。音源音質抽出部1のFFT部11は、記憶装置8の音素格納部82に格納された、該当する音素を読出し(ST11)、FFT(Fast Fourier Transform)処理を行う(ST12)。音素とは、車両接近通報装置が発生する報知音の素となる音のデータとして、例えばPCM(Pulse-code Modulation)による音のディジタルデータを所定時間分記憶させたループ音である。所定時間は、例えば1秒間といった音として認識できる短い時間である。音素は従来のエンジン音を想起するものだけに制限されず、正弦波やホワイトノイズ、メロディ音など、どのようなものでも良い。音源音質抽出部1の周波数ピーク抽出部12は、FFT部11でFFT処理された音素の周波数分布波形より、最大ピークの周波数、すなわち最大ピーク周波数(fp)の抽出を行う(ST13)。図3にFFT部11でFFT処理された音素の周波数分布波形の一例を示す。
【0014】
次に、パラメータ設定部10のピッチパラメータ算出部2は、周波数ピーク抽出部12で抽出した最大ピーク周波数fpを用いてピッチ最大値Pitch_maxおよびピッチ最小値Pitch_minの算出を行う(ST14)。最大ピーク周波数fpを用いてピッチ最大値Pitch_maxおよびピッチ最小値Pitch_minを算出するには、例えば以下の様な式を用いることができる。
Pitch_max=fpmax/fp
Pitch_min=fpmin/fp
【0015】
ここでfpmaxは、ピッチ最大値Pitch_maxを用いて音素データを変換した場合に、最大ピーク周波数fpが変移しても良い最高周波数であり、fpminはピッチ最小値Pitch_maxを用いて音素データを変換した場合に、最大ピーク周波数fpが変移しても良い最低周波数である。これらfpmaxおよびfpminは予め与えられた定数である。例えば、fpmaxは高齢者は4kHz以上の聞き取りが困難と言われている事から4kHzとしてもよいし、車両接近通報装置のシステムに応じてサンプリング周波数の半分としてもよい。またfpminは車両接近通報装置のシステムに応じて発音体の再生周波数帯域に合わせてもよい。次に、パラメータ設定部10のピッチパラメータ補間処理部3は、例えば車速などの車両情報によってピッチパラメータが変化する様にピッチパラメータ算出部2で算出したピッチ最大値Pitch_maxとピッチ最小値Pitch_minとの間の補間処理を行う(ST15)。
【0016】
図4に車両情報が車速の場合の補間処理の一例を示す。図4に示す通りピッチ最大値Pitch_maxとピッチ最小値Pitch_minとの間は、車速などの車両情報に比例して変化する直線補間としてもよいし、車両情報の変化に応じて飽和する様な対数補間としてもよいし、車両情報の変化に応じて急激に変化する様な指数補間としてもよい。
【0017】
また、補間処理は全体で同じ補間方法とせず、変位点前後で異なる補間方法としてもよい。図5に変移点を有した場合の補間処理を示す。図5に示す通り最小値から変移点までを直線補間とし、変移点から最大値までを対数補間としてもよく、その変移点は複数持たせてもよい。
【0018】
次に、パラメータ設定部10のピッチパラメータ更新部4は、ピッチパラメータ補間処理部3で補間されたピッチパラメータについて、該当する車両接近通報装置のシステムに応じたフォーマットのパラメータテーブルを生成し、記憶装置8のパラメータ格納部81に格納されているパラメータテーブルを、生成したパラメータテーブルに置き換えて格納する(ST16)。図6にパラメータ格納部81へ格納するパラメータテーブルのピッチパラメータについてのフォーマットの一例を示す。図6に示すように、車両情報の値とピッチパラメータの値とを対にした表形式でパラメータ格納部81に格納しておけばよい。
【0019】
第二に、音量パラメータ算出について説明する。図7は、本発明の実施の形態1による車両接近通報装置の音質調整装置の音量パラメータを算出するフローを示すフロー図である。音源音質抽出部1の音量ピーク抽出部13は記憶装置8の音素格納部82に格納された該当する音素を読出し(ST21)、サンプルデータの最大音量ピークLpの抽出を行う(ST22)。なお、音量ピーク抽出部13において抽出する音量ピークLpは、サンプルデータの一定区間の平均値をとった平均音量がピークとなる平均音量ピークとしてもよい。次に、パラメータ設定部10の音量パラメータ算出部5は、音源音質抽出部1の音量ピーク抽出部13で抽出した音量ピークLp(最大音量ピークあるいは平均音量ピーク)を用いて音量最大値Level_maxおよび音量最小値Level_minの算出を行う(ST23)。音量ピークLpを用いて音量最大値Level_maxおよび音量最小値Level_minを算出するには、例えば以下の様な式を用いることができる。
Level_max=Lpmax/Lp
Level_min=Lpmin/Lp
【0020】
ここでLpmaxは音量最大値Level_maxを用いて音素データを変換した場合の最大音量を表し、Lpminは音量最小値Level_minを用いて音素データを変換した場合の最小音量を表わし、Lpmax、Lpmin共に予め与えられた定数である。例えば、Lpmaxはガゾリンエンジン車の騒音レベルを超えない程度になるように設定してもよいし、Lpminは繁華街でも聞える程度に設定してもよい。
【0021】
次に、パラメータ設定部10の音量パラメータ補間処理部6は、例えば車速などの車両情報によって変化する様に音量パラメータ算出部5で算出した音量最大値Level_maxと音量最小値Level_minとの間の補間処理を行う(ST24)。図8に補間処理の一例を示す。図8に示す通り音量最大値Level_maxと音量最小値Level_minとの間は、車両情報に比例して変化する直線補間としてもよいし、車両情報の変化に応じて飽和する様な対数補間としてもよいし、車両情報の変化に応じて急激に変化する様な指数補間としてもよい。
【0022】
また、その補間処理は最小値から最大値に至るまでの間に変移点を有してもよい。図9に変移点を有した場合の補間方法を示す。図9に示す通り最小値から変移点までを直線補間とし、変移点から最大値までを対数補間としてもよく、その変移点は複数持たせてもよい。
【0023】
次に、パラメータ設定部10の音量パラメータ更新部7は、音量パラメータ補間処理部6で補間された音量パラメータについて、該当する車両接近通報装置のシステムに応じたフォーマットのパラメータテーブルを生成し、記憶装置8のパラメータ格納部81に格納されているパラメータテーブルを、生成したパラメータテーブルに置き換えて格納する(ST25)。図10にパラメータ格納部81へ格納するパラメータテーブルの音量パラメータについてのフォーマットの一例を示す。図10に示すように、車両情報の値と音量パラメータの値とを対にした表形式でパラメータ格納部81に格納しておけばよい。
【0024】
以上の車両接近通報装置の音質調整装置は、車両接近通報装置に組み込まれるものであるが、以下のように車両接近通報装置シミュレータに組み込んで車両接近通報装置の設計ツールとして用いることもできる。以下、車両接近通報装置シミュレータについて説明する。図11は、車両接近通報装置シミュレータの構成の一例を示すブロック図である。この車両接近通報装置シミュレータ30は、図1に示した音質調整装置100と、ピッチ変換部21と音量変換部22とを有する報知音信号生成部200と、模擬車両情報発生部20とを備える。模擬車両情報発生部20は、電動移動体が実際に走行する場合の車速などの車両情報を模擬した模擬車両情報を記憶し、必要に応じて模擬車両情報を発生して出力する。車両接近通報装置シミュレータ30は、音質調整装置100においてパラメータ格納部81に格納されたピッチパラメータや音量パラメータを用いて、音素格納部82に格納された音素をピッチ変換部21および音量変換部22で変換して報知音信号を生成して、スピーカなどの発音体23から報知音を発生させて報知音の音質を確認するためのものである。
【0025】
ピッチ変換部21では、模擬車両情報発生部20から出力される車両情報に対応してパラメータ格納部81から送信されるピッチパラメータを受信して、音素の音の信号を変換して出力する。図6のピッチパラメータテーブルの例で説明すると、模擬車両情報発生部20から車速5km/hが出力された場合、パラメータ格納部81からピッチパラメータとして1が出力される。ピッチパラメータが1.0の場合、ピッチ変換部21では音素信号のピッチ、すなわち音の高さを変更せず、音素データをそのまま出力する。例えば元の音素が1秒間のデータであれば、1秒間のデータとして、この1秒間のデータを繰り返す音のデータとして出力する。車速が増加して10km/hが出力された場合、パラメータ格納部81からピッチパラメータとして1.2が出力される。ピッチ変換部21では、ピッチを1.2倍にするために、音素のデータを1/1.2に間引いたもの、すなわち元の音素が1秒間のデータであれば、1/1.2秒間のデータとして、この1/1.2秒間のデータを繰り返す音のデータとして出力する。この処理により、車両情報の変化に従って、ピッチ変換部21から、ピーク周波数がfpminからfpmaxまで変化する報知音の信号が出力されることになる。
【0026】
同様に、音量変換部22ではパラメータ格納部81から送信される、模擬車両情報発生部20から出力される車両情報に対応した音量パラメータを受信して、ピッチ変換部21から出力された音のデータの音量、すなわち振幅を、受信した音量パラメータを倍率として変更する。この処理により、車両情報の変化に従って、音量変換部22から、音量ピークがLpminからLpmaxまで変化する報知音の信号が出力されることになる。以上のようにしてピッチ変換部21および音量変換部22において音素のデータを変換して出力された音のデータにより発音体23から報知音を発生させて、報知音の音質を確認する。
【0027】
以上では、ピッチと音量の両方を変換する例を説明したが、ピッチまたは音量のいずれか一方のみを変換するものであっても良い。例えばピッチのみを変換するものでは、音源音質抽出部1は音量ピーク抽出部13を備えず、パラメータ設定部10は音量パラメータ算出部5、音量パラメータ補間処理部6および音量パラメータ更新部7を備えない。また、以上では車両情報として車速の例を示したが、車両情報は車速だけではなく、電動モータ回転数、アクセル開度などであってもよい。ピッチまたは音量のいずれか一方のみを変換するものであっても良く、車両情報が車速以外であっても良いのは、以下の実施の形態についても同様である。
【0028】
以上のように、本発明は、音源音質抽出部1において音素格納部82に格納された音素データを分析して、周波数ピークや音量ピークなどの音素の音質に係る特徴値を抽出し、パラメータ設定部10において、音源音質抽出部1で抽出した音素の音質に係る特徴値を用いて、電動移動体の車両情報に基づいて音素データを変換するパラメータを求めるものである。この構成により、音素の音質が変更されても、簡単に音質を調整可能な車両接近通報装置の音質調整装置を提供することが可能となる。以上で説明した車両接近通報装置シミュレータは例えばパソコン上の調整ツールとして組込むことも可能である。
【0029】
実施の形態2.
図12は、本発明の実施の形態2による車両接近通報装置の音質調整装置におけるピッチパラメータ算出フローを示すフロー図である。装置の構成は図1と同様である。音源音質抽出部1のFFT部11は、記憶装置8の音素格納部82に格納された該当する音素を読出し(ST31)、FFT処理を行う(ST32)。図13にFFT部11でFFT処理された音素の周波数分布波形の、図3とは別の例を示す。音源音質抽出部1の周波数ピーク抽出部12は、FFT部11でFFT処理された音素の周波数分布波形より、ピークが最大となる最大ピーク周波数fpの抽出を行う(ST33)。次に、最大ピークに対する差が基準値A(dB)以下のピークを抽出し(ST34)、最大ピークを含む複数のピークのうち一番低周波数側に存在するピークの周波数を低周波数側ピーク周波数fpL、一番高周波数側に存在するピークの周波数を高周波数側ピーク周波数fpHとして抽出する(ST35)。
【0030】
次に、ピッチパラメータ算出部2は、音源音質抽出部1の周波数ピーク抽出部12で抽出したピーク周波数fpLおよびfpHからピッチ最大値Pitch_maxおよびピッチ最小値Pitch_minの算出を行う(ST36)。ピーク周波数fpLおよびfpHからピッチ最大値Pitch_maxおよびピッチ最小値Pitch_minの算出には、例えば以下の様な式を用いることができる。
Pitch_max=fpmax/fpH
Pitch_min=fpmin/fpL
【0031】
ここでfpmaxは、ピッチ最大値Pitch_maxを用いて音素データを変換した場合に、高周波側ピーク周波数fpHが変移しても良い最高周波数であり、fpminはピッチ最小値Pitch_maxを用いて音素データを変換した場合に、低周波側ピーク周波数fpLが変移しても良い最低周波数である。これらfpmaxおよびfpminは予め与えられた定数である。例えば、高齢者は4kHz以上の聞き取りが困難と言われている事から、fpmaxは4kHzとしてもよいし、車両接近通報装置のシステムに応じてサンプリング周波数の半分としてもよい。またfpminは車両接近通報装置のシステムに応じて発音体の再生周波数帯域に合わせてもよい。
【0032】
もし最大ピークに対して差が基準値A(dB)以下のピークが無い場合は、fpH=fpL=fpとする。この処理は実施の形態1で説明した処理と同じとなる。
【0033】
次に、ピッチパラメータ補間処理部3は、例えば車速などの車両情報によって変化する様にピッチパラメータ算出部2で算出したピッチ最大値Pitch_maxとピッチ最小値Pitch_minとの間の補間処理を行う。補間処理の例としては、実施の形態1の図4で説明した、直線補間、対数補間、あるいは指数補間などがあり、また図5で説明したような変移点を有する補間処理でもよい。
【0034】
次に、ピッチパラメータ更新部4は、ピッチパラメータ補間処理部3で補間されたピッチパラメータについて、該当する車両接近通報装置のシステムに応じたフォーマットのパラメータテーブルを生成し、記憶装置8のパラメータ格納部81に格納されているパラメータテーブルを、生成したパラメータテーブルに置き換えて格納する。
【0035】
以上の様にすることで音素の音質が異なり、複数の周波数ピークが存在する音素である場合においても簡単に音質を調整可能な音質調整装置を提供することが可能となる。
【0036】
実施の形態3.
図14は、本発明の実施の形態3による車両接近通報装置の音質調整装置の構成を示すブロック図である。また、図15は、本発明の実施の形態3による車両接近通報装置の音質調整装置におけるピッチパラメータを算出するフローを示すフロー図である。音源音質抽出部1のFFT部11は、記憶装置8の音素格納部82に格納された該当する音素を読出し(ST31)、FFT処理を行う(ST32)。音源音質抽出部1の周波数ピーク抽出部12は、FFT部11でFFT処理された音素の周波数分布波形より、ピークが最大となる最大ピーク周波数fpの抽出を行う(ST33)。以上の処理は、実施の形態2と同じである。
【0037】
次に、最大ピークに対する差が基準値A(dB)以下のピークを抽出し(ST34)、これら最大ピークを含む複数のピークのうち一番低周波数側に存在するピークの周波数を低周波数側ピーク周波数fpL、一番高周波数側に存在するピークの周波数を高周波数側ピーク周波数fpHとする(ST35)。次に、ピッチパラメータ算出部2は、音源音質抽出部1の周波数ピーク抽出部12で抽出したピーク周波数fpLおよびfpHからピッチ最大値Pitch_maxおよびピッチ最小値Pitch_minの算出を行う(ST36)。ピーク周波数fpLおよびfpHからピッチ最大値Pitch_maxおよびピッチ最小値Pitch_minの算出には、例えば以下の様な式を用いることができる。
Pitch_max=fpmax/fpH
Pitch_min=fpmin/fpL
【0038】
ここでfpmaxは、ピッチ最大値Pitch_maxを用いて音素データを変換した場合に、高周波側ピーク周波数fpHが変移しても良い最高周波数であり、fpminはピッチ最小値Pitch_maxを用いて音素データを変換した場合に、低周波側ピーク周波数fpLが変移しても良い最低周波数である。
【0039】
本実施の形態3では、これらステップST34で用いる基準値AdB、およびステップST36で用いるfpmax、fpminは、入力部9から、HMIによる選択フロー(ST39)により入力するように構成されている。図16は、fpmax、fpminおよびAを入力部9を介して、ユーザーが任意に設定できるフローを示す。まず、入力部9はユーザーにfpmax、fpminの入力を促す表示をし(ST391)、ユーザーがfpmax、fpminを入力する(ST392)。また、抽出すべきピークのレベルとして最大ピークに対する差の基準値Aをユーザーに入力させるように様に表示し(ST393)、ユーザーがAを入力して(ST394)、fpmax、fpminおよびAを更新する(ST395)。
【0040】
例えば、fpmaxは高齢者は4kHz以上の聞き取りが困難と言われている事から4kHzとしてもよいし、車両接近通報装置のシステムに応じてサンプリング周波数の半分としてもよく、ユーザーが自由に設定する事が出来る。またfpminは車両接近通報装置のシステムに応じて発音体の再生周波数帯域に合わせてもよいし、人間の耳の感度が比較的良いとされる1kHzとしてもよく、ユーザーが自由に設定する事が出来る。
【0041】
次に、ピッチパラメータ補間処理部3は、例えば車速などの車両情報によって変化する様にピッチパラメータ算出部2で算出したピッチ最大値Pitch_maxとピッチ最小値Pitch_minとの間の補間処理を行う(ST37)。補間処理における補間方法は実施の形態1で説明した図4や図5の補間方法がある。
【0042】
補間方法は、入力部9を介して、ユーザーが任意に設定してもよい。図17は、その補間方法を、入力部9を介してユーザーが任意に設定できるフローを示す。このフローは、例えば図15のステップST39中で実行すればよい。まず、入力部9は補間方法および変移点の入力をユーザーに促す表示をする(ST396)。ユーザーが、その表示内容に応じて入力部9を介して、補間方法および変移点を入力し(ST397)、ユーザーが入力した変移点および補間方法に更新する(ST398)。このようにしてユーザーが望む補間方法を設定する事が可能となる。
【0043】
次に、ピッチパラメータ更新部4は、ピッチパラメータ補間処理部3で補間されたピッチパラメータについて、該当する車両接近通報装置のシステムに応じたフォーマットのパラメータテーブルを生成し、記憶装置8のパラメータ格納部81に格納されているパラメータテーブルを、生成したパラメータテーブルに置き換えて格納する(ST38)。
【0044】
音量パラメータも、以下のように、ユーザーが入力した値に基づいて算出することができる。図18は、本発明の実施の形態3による車両接近通報装置の音質調整装置の音量パラメータを算出するフローを示すフロー図である。音源音質抽出部1の音量ピーク抽出部13は記憶装置8の音素格納部82に格納された該当する音素を読出し(ST21)、サンプルデータの最大音量ピークLpの抽出を行う(ST22)。なお、音量ピーク抽出部13は音量ピークとして最大音量ピークLpを抽出してもよいが、一定区間の平均値をとった平均音量がピークとなる平均音量ピークを抽出するようにしてもよい。
【0045】
次に、音量パラメータ算出部5は、音源音質抽出部1の音量ピーク抽出部13で抽出した音量ピーク(最大音量ピークあるいは平均音量ピーク)Lpから音量最大値Level_maxおよび音量最小値Level_minの算出を行う(ST23)。音量ピークLpから音量最大値Level_maxおよび音量最小値Level_minの算出には、例えば以下の様な式を用いることができる。
Level_max=Lpmax/Lp
Level_min=Lpmin/Lp
【0046】
ここでLpmaxは音量最大値Level_maxを用いて音素データを変換した場合の最大音量を表し、Lpminは音量最小値Level_minを用いて音素データを変換した場合の最小音量を表わす。このLpmax、Lpminは、入力部9を介して、HMIによる選択フロー(ST26)によりユーザーが任意に設定できる値である。図19は、Lpmax、Lpminを入力部9を介して入力する、HMIによる選択フロー(ST26)の詳細を示すフロー図である。入力部9はユーザーにLpmax、Lpminの入力を促す表示をし(ST261)、ユーザーがLpmax、Lpminを入力する(ST262)。例えば、Lpmaxは、繁華街でも聞える程度の値を入力してもよし、Lpminは、閑静な住宅街の夜間でも聞える程度の値を入力してもよく、ユーザーが自由に設定することができる。
【0047】
次に、音量パラメータ補間処理部6は、車速などの車両情報によって変化する様に音量パラメータ算出部5で算出した音量最大値Level_maxと音量最小値Level_minとの間の補間処理を行う(ST24)。補間処理における補間方法は実施の形態1で説明した図8や図9の補間方法がある。
【0048】
補間方法は、入力部9を介して、ユーザーが任意に設定してもよい。図20は、その補間方法を、入力部9を介してユーザーが任意に設定できるフローを示す。このフローは、例えば図18のステップST26中で実行すればよい。まず、入力部9は補間方法および変移点の入力をユーザーに促す表示をする(ST264)。ユーザーが、その表示内容に応じて入力部9を介して、補間方法および変移点を入力し(ST265)、ユーザーが入力した変移点および補間方法に更新する(ST266)。このようにしてユーザーが望む補間方法を設定する事が可能となる。
【0049】
次に、音量パラメータ更新部7は、音量パラメータ補間処理部6で補間された音量パラメータについて、該当する車両接近通報装置のシステムに応じたフォーマットのパラメータテーブルを生成し、記憶装置8のパラメータ格納部81に格納されているパラメータテーブルを、生成したパラメータテーブルに置き換えて格納する。
【0050】
以上の車両接近通報装置の音質調整装置は、車両接近通報装置に組み込まれるものであるが、以下のように車両接近通報装置シミュレータに組み込んで車両接近通報装置の設計ツールとして用いることもできる。以下、本発明の実施の形態3による車両接近通報装置の音質調整装置を用いた、車両接近通報装置シミュレータについて説明する。図21は、本発明の実施の形態3による車両接近通報装置の音質調整装置を用いた車両接近通報装置シミュレータの構成の一例を示すブロック図である。この車両接近通報装置シミュレータ30は、図14に示した音質調整装置110においてパラメータ格納部81に格納されたピッチパラメータや音量パラメータを用いて、音素格納部に格納された音素をピッチ変換部21や音量変換部22で変換してスピーカなどの発音体23から報知音を発生させて報知音の音質を確認するためのものである。
【0051】
ユーザーが入力部9から入力した、基準値A、fpmax、fpmin、Lpmax、Lpmin、ピッチ補間方法、変移点、および音量補間方法、変移点を用いて、パラメータ設定部10において求めたピッチパラメータおよび音量パラメータのパラメータテーブルをパラメータ格納部81に格納する。ピッチ変換部21ではパラメータ格納部81から送信される、模擬車両情報発生部20から出力される車両情報に対応したピッチパラメータを受信して、音素の音の信号を変換して出力する。同様に、音量変換部22では、模擬車両情報発生部20から出力される車両情報に対応して、パラメータ格納部81から送信される音量パラメータを受信して、ピッチ変換部21から出力された音のデータの音量、すなわち振幅を変更する。以上のようにしてピッチ変換部21および音量変換部22において音素のデータを変換して出力された報知音の信号により発音体23から報知音を発生させて、報知音の音質を確認する。
【0052】
もし、確認した報知音の音質にユーザーが満足しない場合は、再度基準値A、fpmax、fpmin、Lpmax、Lpmin、ピッチ補間方法、変移点、音量補間方法、変移点を設定しなおす事で、ユーザーが満足する内容になるまでパラメータの変更が可能となる。
【0053】
以上の様にすることで音素の音質が異なる場合においても各種パラメータをユーザーが任意に設定し、その結果を、発音体を介して確認する事で簡単に音質を調整可能な音質調整装置を提供することが可能となる。なお以上に示した実施の形態は、車両接近通報装置音質調整装置、および車両接近通報装置シミュレータについて示したものであり、車両接近通報装置シミュレータは例えばパソコン上の調整ツールとして組込むことも可能である。
【0054】
実施の形態4.
図22は、本発明の実施の形態4による車両接近通報装置の構成を示すブロック図、図23は、本発明の実施の形態4による車両接近通報装置の動作フローを示すフロー図である。車両接近通報装置40は、音質調整装置110、ピッチ変換部21、音量変換部22、発音体23、模擬車両情報発生部24、車両情報切替部25などから構成されている。この車両接近通報装置40は、ハイブリッド自動車や電気自動車など少なくとも一部の駆動力を電動機によって発生する電動移動体300に搭載される。
【0055】
音質調整装置110は、実施の形態3で説明したのと同様の、入力部9を備え、ユーザーが各種係数を設定できる構成の音質調整装置110となっている。模擬車両情報発生部24は、電動移動体300が実際に走行する場合の車速などを模擬した模擬車両情報を記憶し、必要に応じて模擬車両情報を発生する。車両情報切替部25は、音質調整装置110が用いる車両情報を、模擬車両情報発生部24から発生された車両情報とするのか、実際の実車車両情報とするのかを切り替える。音質調整装置110の各部、すなわちパラメータ格納部81、音素格納部82、音源音質抽出部1、パラメータ設定部10、入力部9の構成および動作は、実施の形態3で説明したのと同様である。また、ピッチ変換部21、音量変換部22、および発音体23は、それぞれ、実施の形態1および実施の形態3で説明した車両接近通報装置シミュレータ30におけるピッチ変換部21、音量変換部、および発音体23と同様の機能を有する。
【0056】
本実施の形態4による車両接近通報装置40の動作を、図22および図23を参照して説明する。まず、車両情報切替部25が、用いる車両情報が模擬車両情報発生部24から発生される車両情報となるように設定する(ST40)。次に、音質調整装置110により入力部9からの入力によるピッチパラメータ更新フローである、実施の形態3で説明した図15のフローを実行する(ST41)。すなわち、ユーザーが入力部9から入力した、基準値A、fpmax、fpmin、ピッチ補間方法、変移点を用いて、パラメータ設定部10において求めたピッチパラメータのテーブルをパラメータ格納部81に格納する。次に、音質調整装置110により入力部9からの入力による音量パラメータ更新フローであるち、実施の形態3で説明した図18のフローを実行する(ST42)。すなわち、ユーザーが入力部9から入力した、Lpmax、Lpmin、および音量補間方法、変移点を用いて、パラメータ設定部10において求めた音量パラメータのテーブルをパラメータ格納部81に格納する。
【0057】
次に、模擬車両情報発生部24から模擬車両情報を発生させ、上記のフローによりパラメータ格納部81に格納されたピッチパラメータおよび音量パラメータを用いて、発生される模擬車両情報に対応したピッチパラメータおよび音量パラメータによって、ピッチ変換部21および音量変換部22が音素のデータを変換して出力された音のデータにより発音体23から報知音を発生させて、ユーザーが報知音を試聴する(ST43)。ユーザーが、発生された音質に満足しなければ(ST43 NO)、ステップST41に戻って、ユーザーが、基準値A、fpmax、fpmin、Lpmax、Lpmin、ピッチ補間方法、変移点、および音量補間方法、変移点を再入力し、満足できる音質になるまでこのループを繰り返す。満足できる音質が得られたら、車両接近通報装置40をその満足できる音質で動作させるため、車両情報切替部25は、用いる車両情報が電動移動体300自身の車両情報となるように切り替えて、車両の実働時に、音質調整装置のパラメータ格納部81に格納されているピッチパラメータテーブルおよび音量パラメータテーブルを用いて報知音を発生させる。
【0058】
以上では、報知音の試聴を、模擬車両情報を発生させながら行ったが、実際に電動移動体300を走行させながら、実車車両情報により報知音を発生させて試聴を行っても良い。この場合、模擬車両情報発生部24および車両情報切替部25は省略できる。
【0059】
以上の様にすることで音素の音質が異なる場合においても種々のパラメータをユーザーが任意に設定し、その結果を、発音体を介して確認する事で簡単に音質を調整可能な音質調整装置を備えた車両接近通報装置を提供することが可能となる。
【0060】
また、以上では、入力部9を備えた実施の形態3の車両接近通報装置の音質調整装置110を搭載した車両接近通報装置を説明したが、図24に示すように、音質調整装置110に換えて、入力部9を備えない、例えば実施の形態1で説明した図1のような車両接近通報装置の音質調整装置を搭載しても良い。この場合は、模擬車両情報発生部24も備えず、ユーザーが音質を直接変更することはできないが、例えば音素データを変更した場合でも、その音素の音質に適合した報知音を発生する車両接近通報装置を提供できる。このように、本発明による車両接近通報装置は、上記実施の形態1〜3のいずれかの実施の形態の車両接近通報装置の音質調整装置と、報知音信号生成部200と発音体23を備えていれば良い。
【0061】
なお、本発明は、その発明の範囲内において、各実施の形態を組み合わせたり、各実施の形態を適宜、変形、省略したりすることが可能である。
【符号の説明】
【0062】
1 音源音質抽出部、2 ピッチパラメータ算出部、3 ピッチパラメータ補間処理部、4 ピッチパラメータ更新部、5 音量パラメータ算出部、6 音量パラメータ補間処理部、7 音量パラメータ更新部、8 記憶装置、9 入力部、10 パラメータ設定部、11 FFT部、12 周波数ピーク抽出部、13 音量ピーク抽出部、20、24 模擬車両情報発生部、21 ピッチ変換部、22 音量変換部、23 発音体、25 車両情報切替部、30 車両接近通報装置シミュレータ、40 車両接近通報装置、81 パラメータ格納部、82 音素格納部、100、110 音質調整装置、200 報知音信号生成部、300 電動移動体
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】

【手続補正書】
【提出日】20150119
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0015
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0015】
ここでfpmaxは、ピッチ最大値Pitch_maxを用いて音素データを変換した場合に、最大ピーク周波数fpが変移しても良い最高周波数であり、fpminはピッチ最小値Pitch_minを用いて音素データを変換した場合に、最大ピーク周波数fpが変移しても良い最低周波数である。これらfpmaxおよびfpminは予め与えられた定数である。例えば、fpmaxは高齢者は4kHz
以上の聞き取りが困難と言われている事から4kHzとしてもよいし、車両接近通報装置のシステムに応じてサンプリング周波数の半分としてもよい。またfpminは車両接近通報装置
のシステムに応じて発音体の再生周波数帯域に合わせてもよい。次に、パラメータ設定部10のピッチパラメータ補間処理部3は、例えば車速などの車両情報によってピッチパラメータが変化する様にピッチパラメータ算出部2で算出したピッチ最大値Pitch_maxとピッチ最小値Pitch_minとの間の補間処理を行う(ST15)。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0031
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0031】
ここでfpmaxは、ピッチ最大値Pitch_maxを用いて音素データを変換した場合に、高周波側ピーク周波数fpHが変移しても良い最高周波数であり、fpminはピッチ最小値Pitch_minを用いて音素データを変換した場合に、低周波側ピーク周波数fpLが変移しても良い最低周波数である。これらfpmaxおよびfpminは予め与えられた定数である。例えば、高齢者は4kHz以上の聞き取りが困難と言われている事から、fpmaxは4kHzとしてもよいし、車両接近通報装置のシステムに応じてサンプリング周波数の半分としてもよい。またfpminは車両接近通報装置のシステムに応じて発音体の再生周波数帯域に合わせてもよい。
【国際調査報告】