(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO2014061184
(43)【国際公開日】20140424
【発行日】20160905
(54)【発明の名称】球帯状シール体及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   F16J 15/22 20060101AFI20160808BHJP
   C09K 3/10 20060101ALI20160808BHJP
【FI】
   !F16J15/22
   !C09K3/10 M
   !C09K3/10 Q
   !C09K3/10 R
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】47
【出願番号】2014541911
(21)【国際出願番号】JP2013004967
(22)【国際出願日】20130822
(11)【特許番号】5972991
(45)【特許公報発行日】20160817
(31)【優先権主張番号】2012229114
(32)【優先日】20121016
(33)【優先権主張国】JP
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ
(71)【出願人】
【識別番号】000103644
【氏名又は名称】オイレス工業株式会社
【住所又は居所】東京都港区港南一丁目2番70号
(74)【代理人】
【識別番号】100098095
【弁理士】
【氏名又は名称】高田 武志
(72)【発明者】
【氏名】吉田 敦史
【住所又は居所】神奈川県藤沢市桐原町8番地 オイレス工業株式会社藤沢事業場内
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 栄治
【住所又は居所】神奈川県藤沢市桐原町8番地 オイレス工業株式会社藤沢事業場内
(72)【発明者】
【氏名】塩野谷 真一
【住所又は居所】神奈川県藤沢市桐原町8番地 オイレス工業株式会社藤沢事業場内
(72)【発明者】
【氏名】鯉渕 良太
【住所又は居所】神奈川県藤沢市桐原町8番地 オイレス工業株式会社藤沢事業場内
【テーマコード(参考)】
3J043
4H017
【Fターム(参考)】
3J043AA10
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4H017AC01
4H017AC09
4H017AD01
4H017AE02
(57)【要約】
球帯状シール体38は、円筒内面32、部分凸球面状面33並びに部分凸球面状面33の大径側及び小径側の環状端面34及び35により規定された球帯状基体36と、この球帯状基体36の部分凸球面状面33に一体的に形成された外層37とを備えていると共に排気管継手に用いられる球帯状シール体であって、球帯状基体36は、金網5からなる補強材と、この補強材の金網5の網目を充填し、かつこの補強材と混在一体化されていると共に圧縮された膨張黒鉛を含む耐熱材とを具備しており、外層37は、補強材と耐熱材及び固体潤滑剤とが混在一体化されてなる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒内面、部分凸球面状面並びに部分凸球面状面の大径側及び小径側の環状端面により規定された球帯状基体と、この球帯状基体の部分凸球面状面に一体的に形成された外層とを備えていると共に排気管継手に用いられる球帯状シール体であって、球帯状基体は、金網からなる補強材と、この補強材の金網の網目を充填し、かつこの補強材と混在一体化されていると共に圧縮された膨張黒鉛を含む耐熱材とを具備しており、外層は、膨張黒鉛を含む耐熱材と、四ふっ化エチレン樹脂、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体及び六方晶窒化硼素を含む潤滑組成物からなる固体潤滑剤と、金網からなる補強材とが圧縮されて補強材の網目に耐熱材及び固体潤滑剤が充填されていると共に当該補強材と耐熱材及び固体潤滑剤とが混在一体化されてなり、潤滑組成物の四ふっ化エチレン樹脂、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体及び六方晶窒化硼素の組成割合は、四ふっ化エチレン樹脂、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体及び六方晶窒化硼素の三元系組成図において、四ふっ化エチレン樹脂10質量%、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体10質量%及び六方晶窒化硼素80質量%とする組成点、四ふっ化エチレン樹脂10質量%、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体45質量%及び六方晶窒化硼素45質量%とする組成点、四ふっ化エチレン樹脂45質量%、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体45質量%及び六方晶窒化硼素10質量%とする組成点並びに四ふっ化エチレン樹脂40質量%、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体10質量%及び六方晶窒化硼素50質量%とする組成点を頂点とする四角形で境界付けられる領域内に相当する数値範囲内にある球帯状シール体。
【請求項2】
潤滑組成物の四ふっ化エチレン樹脂、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体及び六方晶窒化硼素の組成割合は、四ふっ化エチレン樹脂、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体及び六方晶窒化硼素の三元系組成図において、四ふっ化エチレン樹脂25質量%、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体15質量%及び六方晶窒化硼素60質量%とする組成点、四ふっ化エチレン樹脂12質量%、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体28質量%及び六方晶窒化硼素60質量%とする組成点、四ふっ化エチレン樹脂10質量%、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体40質量%及び六方晶窒化硼素50質量%とする組成点、四ふっ化エチレン樹脂20質量%、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体40質量%及び六方晶窒化硼素40質量%とする組成点、四ふっ化エチレン樹脂38質量%、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体22質量%及び六方晶窒化硼素40質量%とする組成点並びに四ふっ化エチレン樹脂35質量%、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体15質量%及び六方晶窒化硼素50質量%とする組成点を頂点とする六角形で境界付けられる領域内に相当する数値範囲内にある請求項1に記載の球帯状シール体。
【請求項3】
潤滑組成物は、アルミナ水和物を20質量%以下の割合で更に含有する請求項1又は2に記載の球帯状シール体。
【請求項4】
耐熱材は、燐酸塩を0.1〜16質量%の割合で含有する請求項1から3のいずれか一項に記載の球帯状シール体。
【請求項5】
耐熱材は、五酸化燐を0.05〜5質量%の割合で含有する請求項1から4のいずれか一項に記載の球帯状シール体。
【請求項6】
外層の外表面は、補強材からなる面と固体潤滑剤からなる面とが混在した平滑な面に形成されている請求項1から5のいずれか一項に記載の球帯状シール体。
【請求項7】
外層の外表面は、補強材を覆った固体潤滑剤からなる平滑な面に形成されている請求項1から5のいずれか一項に記載の球帯状シール体。
【請求項8】
固体潤滑剤は、未焼成の潤滑組成物からなる請求項1から7のいずれか一項に記載の球帯状シール体。
【請求項9】
固体潤滑剤は、焼成された潤滑組成物からなる請求項1から7のいずれか一項に記載の球帯状シール体。
【請求項10】
円筒内面、部分凸球面状面並びに部分凸球面状面の大径側及び小径側の環状端面によって規定された球帯状基体と、この球帯状基体の部分凸球面状面に一体的に形成された外層とを備えていると共に排気管継手に用いられる球帯状シール体の製造方法であって、
(a)耐熱材となる膨張黒鉛シートを準備する工程と、
(b)補強材となる金属細線を織ったり編んだりして得られる金網を準備し、この金網を膨張黒鉛シートに重ね合わせて重合体を形成した後、この重合体を円筒状に捲回して筒状母材を形成する工程と、
(c)四ふっ化エチレン樹脂粉末と、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体粉末と、六方晶窒化硼素粉末と界面活性剤と水とからなる潤滑組成物の水性ディスパージョンを準備する工程と、
(d)耐熱材となる別の膨張黒鉛シートを準備し、当該別の膨張黒鉛シートの一方の表面に前記水性ディスパージョンを適用し、乾燥して該別の膨張黒鉛シートの表面に四ふっ化エチレン樹脂、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体及び六方晶窒化硼素を含む潤滑組成物からなる固体潤滑剤の被覆層を形成する工程と、
(e)被覆層を備えた別の膨張黒鉛シートを、補強材となる金属細線を織ったり編んだりして得られる別の金網に重ね合わせ、当該重ね合わされた別の膨張黒鉛シート及び別の金網を一対のローラで加圧して、別の金網の網目に別の膨張黒鉛シートと被覆層とを充填した扁平状の外層形成部材を形成する工程と、
(f)前記筒状母材の外周面に前記外層形成部材を被覆層を外側にして捲回し、予備円筒成形体を形成する工程と、
(g)該予備円筒成形体を金型のコア外周面に挿入し、該コアを金型内に配置すると共に該金型内において予備円筒成形体をコア軸方向に圧縮成形する工程と、
を具備しており、球帯状基体は、膨張黒鉛シートと金網とが互いに圧縮され、互いに絡み合って構造的一体性を有するように形成されており、外層は、別の膨張黒鉛シートと、被覆層と、別の金網とが圧縮されて別の金網の網目に、別の膨張黒鉛シート及び被覆層が充填されて当該別の金網と別の膨張黒鉛シート及び被覆層とが混在一体化されてなる球帯状シール体の製造方法。
【請求項11】
潤滑組成物の四ふっ化エチレン樹脂、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体及び六方晶窒化硼素の組成割合は、四ふっ化エチレン樹脂、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体及び六方晶窒化硼素の三元系組成図において、四ふっ化エチレン樹脂10質量%、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体10質量%及び六方晶窒化硼素80質量%とする組成点、四ふっ化エチレン樹脂10質量%、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体45質量%及び六方晶窒化硼素45質量%とする組成点、四ふっ化エチレン樹脂45質量%、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体45質量%及び六方晶窒化硼素10質量%とする組成点並びに四ふっ化エチレン樹脂40質量%、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体10質量%及び六方晶窒化硼素50質量%とする組成点を頂点とする四角形で境界付けられる領域内に相当する数値範囲内にある請求項10に記載の球帯状シール体の製造方法。
【請求項12】
潤滑組成物の四ふっ化エチレン樹脂、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体及び六方晶窒化硼素の組成割合は、四ふっ化エチレン樹脂、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体及び六方晶窒化硼素の三元系組成図において、四ふっ化エチレン樹脂25質量%、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体15質量%及び六方晶窒化硼素60質量%とする組成点、四ふっ化エチレン樹脂12質量%、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体28質量%及び六方晶窒化硼素60質量%とする組成点、四ふっ化エチレン樹脂10質量%、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体40質量%及び六方晶窒化硼素50質量%とする組成点、四ふっ化エチレン樹脂20質量%、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体40質量%及び六方晶窒化硼素40質量%とする組成点、四ふっ化エチレン樹脂38質量%、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体22質量%及び六方晶窒化硼素40質量%とする組成点並びに四ふっ化エチレン樹脂35質量%、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体15質量%及び六方晶窒化硼素50質量%とする組成点を頂点とする六角形で境界付けられる領域内に相当する数値範囲内にある請求項10に記載の球帯状シール体の製造方法。
【請求項13】
潤滑組成物は、アルミナ水和物粉末を20質量%以下の割合で含有する請求項10から12のいずれか一項に記載の球帯状シール体の製造方法。
【請求項14】
耐熱材は、燐酸塩を0.1〜16質量%の割合で含有している請求項10から13のいずれか一項に記載の球帯状シール体の製造方法。
【請求項15】
耐熱材は、五酸化燐を0.05〜5質量%の割合で含有している請求項10から14のいずれか一項に記載の球帯状シール体の製造方法。
【請求項16】
該被覆層をテトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体の融点以上の温度で焼成し、該別の膨張黒鉛シートの一方の表面に、焼成された固体潤滑剤からなる焼成被覆層を形成する工程を更に具備しており、この焼成被覆層を被覆層として前記(e)、(f)及び(g)工程を行うようになっており、球帯状基体は、膨張黒鉛シートと金網とが互いに圧縮され、互いに絡み合って構造的一体性を有するように形成されており、外層は、別の膨張黒鉛シートと、焼成被覆層と、別の金網とが圧縮されて別の金網の網目に、別の膨張黒鉛シート及び焼成被覆層が充填されて当該別の金網と別の膨張黒鉛シート及び焼成被覆層とが混在一体化されてなる請求項10から15のいずれか一項に記載の球帯状シール体の製造方法。
【請求項17】
前記(e)工程は、別の膨張黒鉛シートを別の金網からなる層間に挿入すると共に当該別の膨張黒鉛シートを層間に挿入した別の金網を一対のローラ間の隙間に供給して加圧し、別の金網の網目に別の膨張黒鉛シートと被覆層とを充填して、別の金網からなる面と被覆層からなる面とが混在して露出した表面を有した扁平状の外層形成部材を形成するようになっている請求項10から16のいずれか一項に記載の球帯状シール体の製造方法。
【請求項18】
外層の外表面は、金網からなる面と被覆層からなる面とが混在した平滑な面に形成されている請求項17に記載の球帯状シール体の製造方法。
【請求項19】
外層の外表面は、補強材を覆った固体潤滑剤からなる平滑な面に形成されている請求項10から16のいずれか一項に記載の球帯状シール体の製造方法。
【請求項20】
円筒内面、部分凸球面状面並びに部分凸球面状面の大径側及び小径側の環状端面により規定された球帯状基体と、この球帯状基体の部分凸球面状面に一体的に形成された外層とを備えていると共に排気管継手に用いられる球帯状シール体であって、球帯状基体は、金網からなる補強材と、この補強材の金網の網目を充填し、かつこの補強材と混在一体化されていると共に圧縮された膨張黒鉛を含む耐熱材とを具備しており、外層は、膨張黒鉛を含む耐熱材と、四ふっ化エチレン樹脂、この四ふっ化エチレン樹脂に対して異なる溶融温度を有した少なくとも一種の溶融ふっ素樹脂及び六方晶窒化硼素を含む潤滑組成物からなる固体潤滑剤と、金網からなる補強材とが圧縮されて補強材の網目に耐熱材及び固体潤滑剤が充填されている共に当該補強材と耐熱材及び固体潤滑剤とが混在一体化されてなる球帯状シール体。
【請求項21】
四ふっ化エチレン樹脂に対して異なる溶融温度を有した少なくとも一種の溶融ふっ素樹は、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体を含んでいる請求項20に記載の球帯状シール体。
【請求項22】
潤滑組成物の四ふっ化エチレン樹脂、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体及び六方晶窒化硼素の組成割合は、四ふっ化エチレン樹脂、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体及び六方晶窒化硼素の三元系組成図において、四ふっ化エチレン樹脂10質量%、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体10質量%及び六方晶窒化硼素80質量%とする組成点、四ふっ化エチレン樹脂10質量%、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体45質量%及び六方晶窒化硼素45質量%とする組成点、四ふっ化エチレン樹脂45質量%、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体45質量%及び六方晶窒化硼素10質量%とする組成点並びに四ふっ化エチレン樹脂40質量%、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体10質量%及び六方晶窒化硼素50質量%とする組成点を頂点とする四角形で境界付けられる領域内に相当する数値範囲内にある請求項21に記載の球帯状シール体。
【請求項23】
潤滑組成物の四ふっ化エチレン樹脂、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体及び六方晶窒化硼素の組成割合は、四ふっ化エチレン樹脂、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体及び六方晶窒化硼素の三元系組成図において、四ふっ化エチレン樹脂25質量%、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体15質量%及び六方晶窒化硼素60質量%とする組成点、四ふっ化エチレン樹脂12質量%、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体28質量%及び六方晶窒化硼素60質量%とする組成点、四ふっ化エチレン樹脂10質量%、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体40質量%及び六方晶窒化硼素50質量%とする組成点、四ふっ化エチレン樹脂20質量%、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体40質量%及び六方晶窒化硼素40質量%とする組成点、四ふっ化エチレン樹脂38質量%、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体22質量%及び六方晶窒化硼素40質量%とする組成点並びに四ふっ化エチレン樹脂35質量%、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体15質量%及び六方晶窒化硼素50質量%とする組成点を頂点とする六角形で境界付けられる領域内に相当する数値範囲内にある請求項21に記載の球帯状シール体。
【請求項24】
潤滑組成物は、アルミナ水和物を含有する請求項20から23のいずれか一項に記載の球帯状シール体。
【請求項25】
耐熱材は、燐酸塩を含有する請求項20から24のいずれか一項に記載の球帯状シール体。
【請求項26】
耐熱材は、五酸化燐を含有する請求項20から25のいずれか一項に記載の球帯状シール体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車排気管の球面管継手に使用される球帯状シール体及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車用エンジンの排気ガスは、自動車エンジンの排気通路の一例を示す図19において、エンジンの各気筒(図示せず)で発生した排気ガスは、排気マニホールド触媒コンバータ600にまとめられ、排気管601及び排気管602を通じてサブマフラ603に送られ、このサブマフラ603を通過した排気ガスは、更に排気管604及び排気管605を介してマフラ(消音器)606へと送られ、このマフラ606を通じて大気中に放出される。
【0003】
これら排気管601及び602並びに604及び605や、サブマフラ603及びマフラ606等の排気系部材にあっては、エンジンのロール挙動及び振動などにより繰返し応力を受ける。特に高速回転で高出力エンジンの場合は、排気系部材に加わる応力はかなり大きなものとなる。したがって、排気系部材の疲労破壊を招く虞があり、またエンジン振動が排気系部材を共振させ、室内静粛性を悪化させる場合もある。このような問題を解決するために、排気マニホールド触媒コンバータ600と排気管601との連結部607及び排気管604と排気管605との連結部608を排気管球面継手又は蛇腹式継手等の振動吸収機構によって可動連結することにより、自動車エンジンのロール挙動及び振動などにより排気系部材に繰返し受ける応力が吸収され、当該排気系部材の疲労破壊等が防止されると共にエンジンの振動が排気系部材を共振させ車室内の静粛性を悪化させるという問題も解決されるという利点を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭54−76759号公報
【特許文献2】特公平4−48973号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記した振動吸収機構の一例として、特許文献1に記載された排気管継手及び該継手に使用されるシール体が挙げられる。特許文献1に記載された排気管継手に使用されるシール体は、蛇腹式継手と比較して製造コストの低減を図り得て、しかも耐久性に優れているという利点を有するが、このシール体は、膨張黒鉛からなる耐熱材と金網からなる補強材とを圧縮して補強材の金網の網目に耐熱材を充填し、当該耐熱材と補強材とを混在一体化してなるために、耐熱材に対して補強材の占める割合、耐熱材及び補強材の圧縮の程度等によりシール体自体を介する排気ガスの漏出の問題に加えて、相手材と摺動自在に接触する部分凸球面状面の表面での耐熱材の存在による異音の発生の問題を具有しており、例えば耐熱材に対して補強材が占める割合が大きく、耐熱材に対する加圧の程度が低いと補強材の周りに生じる微小通路(隙間)に対する耐熱材による封止の程度が減少して初期漏洩を惹起する上に、高温下における耐熱材の酸化消耗等により早期の排気ガスの漏出の虞がある。また、部分凸球面状面での補強材に対する耐熱材の露出割合が極めて大きいと、スティックスリップ現象を惹起して当該スティックスリップ現象に起因する異音の発生の原因となる虞がある。
【0006】
斯かるシール体の欠点を解決するものとして特許文献2に記載されたシール体は、金網からなる補強材と、四ふっ化エチレン樹脂を充てん・塗布した膨張黒鉛からなるシート状耐熱材とを重ね合わせて帯状の組成物を構成し、帯状の組成物を四ふっ化エチレン樹脂を充てん・塗布した面を外側に位置するようにうず巻き状に捲回して円筒状の積層体を形成した後、円筒状の積層体を該積層体の軸方向に沿って圧縮成形してなると共に摺動面(シール面)となる外周面に四ふっ化エチレン樹脂を充てん・塗布した面が露出してなり、表面に被着形成された四ふっ化エチレン樹脂が摩擦係数の低減、母材を形成する耐熱材料の相手材表面への移着防止などの作用効果を発揮するほか、四ふっ化エチレン樹脂はすべり速度に対する摩擦抵抗が負性抵抗を示さないので、上記した作用効果と相俟ってスティックスリップ現象(付着―すべり)に基づく自励振動の発生を抑え、異音の発生防止に貢献するという効果を有する。
【0007】
特許文献2に記載されたシール体は、特許文献1に記載されたシール体の問題点を解決するものであるが、特許文献2に開示されたシール体の作用効果であるスティックスリップ現象に基づく自励振動の発生を抑え、異音の発生防止に貢献するという効果は、シール体に作用する雰囲気温度が四ふっ化エチレン樹脂の融点(327℃)以下での使用に限られ、当該融点を超える雰囲気温度(高温領域)での使用においては、四ふっ化エチレン樹脂によるスティックスリップ現象に起因する自励振動の発生及びそれに伴う排気管への振動伝播による異音の発生が余儀なくされる。
【0008】
本発明は、前記諸点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、雰囲気温度が四ふっ化エチレン樹脂の融点以上の使用でも、相手材との摺動において、自励振動の軽減を図り得て異音の発生をなくし得る上に、安定したシール特性を有した球帯状シール体及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の球帯状シール体は、円筒内面、部分凸球面状面並びに部分凸球面状面の大径側及び小径側の環状端面により規定された球帯状基体と、この球帯状基体の部分凸球面状面に一体的に形成された外層とを備えていると共に排気管継手に用いられる球帯状シール体であって、球帯状基体は、金網からなる補強材と、この補強材の金網の網目を充填し、かつこの補強材と混在一体化されていると共に圧縮された膨張黒鉛を含む耐熱材とを具備しており、外層は、膨張黒鉛を含む耐熱材と、四ふっ化エチレン樹脂、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体及び六方晶窒化硼素を含む潤滑組成物からなる固体潤滑剤と、金網からなる補強材とが圧縮されて補強材の網目に耐熱材及び固体潤滑剤が充填されていると共に当該補強材と耐熱材及び固体潤滑剤とが混在一体化されてなり、潤滑組成物の組成割合は、四ふっ化エチレン樹脂、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体及び六方晶窒化硼素の三元系組成図において、四ふっ化エチレン樹脂10質量%、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体10質量%及び六方晶窒化硼素80質量%とする組成点、四ふっ化エチレン樹脂10質量%、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体45質量%及び六方晶窒化硼素45質量%とする組成点、四ふっ化エチレン45質量%、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体45質量%及び六方晶窒化硼素10質量%とする組成点並びに四ふっ化エチレン40質量%、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体10質量%及び六方晶窒化硼素50質量%とする組成点を頂点とする四角形で境界付けられる領域内に相当する数値範囲内にある。
【0010】
本発明の球帯状シール体によれば、潤滑組成物の組成割合が、該三元系組成図において、該四個の組成点を頂点とする四角形で境界付けられる領域内に相当する数値範囲内にあるので、相手材表面を損傷させる虞がなく、特に、潤滑組成物からなる固体潤滑剤が互いに融点の異なる四ふっ化エチレン樹脂(以下、PTFEと略称する。)及びテトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(以下、FEPと略称する。)に加えて六方晶窒化硼素(以下、h−BNと略称する。)を含むために、自励振動の軽減を図り得ると共に異音の発生を防止することができる上に、高温領域において優れた摺動性を得ることができる。
【0011】
即ち、本発明によれば、FEPが溶融軟化してその粘度により弾性が発現する一方、PTFEが溶融しないで固体状態にある温度領域での球帯状シール体の使用では、固体状態にあるPTFEによりFEPの弾性が抑止されて、相手材との摺動においてスティックスリップが抑えられ、PTFEが溶融軟化してその粘度により弾性が発現する温度以上での球帯状シール体の使用では、FEPの更なる溶融によりその粘度が大幅に低減して潤滑性の増大を招来して、PTFEの粘度による弾性が抑止されて、同様に、相手材との摺動においてスティックスリップが抑えられ、而して、PTFE及びFEPの夫々が溶融しない低温領域からPTFE及びFEPの夫々が溶融する高温領域までの球帯状シール体の使用で、PTFEとFEPとの相乗効果により自励振動の軽減を図り得ると共に異音の発生を防止することができる上に、PTFE、FEP及びh−BNの夫々の高潤滑性、特に、h−BNの高温での高潤滑性により高温でも相手材と低摩擦抵抗をもって滑らかに摺動できてかつ膨張黒鉛及び金網との協同で安定したシール特性を発揮できる。
【0012】
潤滑組成物のPTFE、FEP及びh−BNの組成割合は、好ましくは、前記三元系組成図において、PTFE25質量%、FEP15質量%及びh−BN60質量%とする組成点、PTFE12質量%、FEP28質量%及びh−BN60質量%とする組成点、PTFE10質量%、FEP40質量%及びh−BN50質量%とする組成点、PTFE20質量%、FEP40質量%及びh−BN40質量%とする組成点、PTFE38質量%、FEP22質量%及びh−BN40質量%とする組成点並びにPTFE35質量%、FEP15質量%及びh−BN50質量%とする組成点を頂点とする六角形で境界付けられる領域内に相当する数値範囲内にあり、より好ましくは、PTFE25質量%、FEP25質量%及びh−BN50質量%である。
【0013】
また、本発明では、潤滑組成物は、アルミナ水和物を20質量%以下の割合で含有してもよい。斯かるアルミナ水和物は、それ自体は何らの潤滑性を示すものではないが、球帯状基体の部分凸球面状面への固体潤滑剤の被着性を改善し、強固な外層の形成に効果を発揮すると共にh−BNの板状結晶の層間の滑りを助長してh−BNの潤滑性を引出す役割を発揮する効果を有する。
【0014】
アルミナ水和物は、組成式Al・nHO(組成式中、0<n<3)で表される化合物である。該組成式において、nは、通常、0(零)を超えて3未満の数、好ましくは0.5〜2、さらに好ましくは0.7〜1.5程度である。アルミナ水和物としては、例えばベーマイト(Al・HO)やダイアスポア(Al・HO)などのアルミナ一水和物(水酸化酸化アルミニウム)、ギブサイト(Al・3HO)やバイヤライト(Al・3HO)などのアルミナ三水和物、擬ベーマイトなどが挙げられ、これらの少なくとも一つが使用されて好適である。
【0015】
本発明の球帯状シール体において、球帯状基体及び外層には、金網からなる補強材が40〜65質量%、膨張黒鉛を含む耐熱材及び固体潤滑剤が60〜35質量%の割合で含有されていてもよく、球帯状基体及び外層における耐熱材及び固体潤滑剤は、1.20〜2.00Mg/mの密度を有しているのが好ましく、また外層には、金網からなる補強材が60〜75質量%、膨張黒鉛を含む耐熱材及び固体潤滑剤が25〜40質量%割合で含有されていてもよい。
【0016】
本発明の球帯状シール体において、耐熱材は、膨張黒鉛に加えて、酸化抑制剤としての燐酸塩0.1〜16.0質量%若しくは五酸化燐を0.05〜5質量%又は燐酸塩0.1〜16.0質量%及び五酸化燐0.05〜5.0質量%を含んでいてもよい。
【0017】
酸化抑制剤としての燐酸塩及び五酸化燐のうちの少なくとも一方と膨張黒鉛とを含む耐熱材は、球帯状シール体自体の耐熱性及び耐酸化消耗性を向上させることができ、球帯状シール体の高温領域での使用を可能とする。
【0018】
本発明の球帯状シール体においては、外層は、補強材からなる面と固体潤滑剤からなる面とが混在した露出面により構成された外表面を有していてもよく、この場合には、外表面における固体潤滑剤からなる面を補強材からなる面でもって保持し得る上に、外層の外表面からの固体潤滑剤の相手材の表面への移着と相手材の表面へ移着した過度の固体潤滑剤の掻き取りとを適宜に行い得る結果、長期に亘る滑らかな摺動をも確保でき、相手材との摺動において異音の発生のより少ないものとなる。これに代えて、本発明では、外層は、補強材を覆った固体潤滑剤からなる平滑な面に形成された外表面を有していてもよく、この場合、外層の外表面と接触(摺動)する相手材との円滑な摺動を好ましく確保できる。
【0019】
本発明では、潤滑組成物からなる固体潤滑剤は、焼成されていなくてもよいが、FEPの融点以上の温度で焼成されていてもよい。
【0020】
円筒内面、部分凸球面状面並びに部分凸球面状面の大径側及び小径側の環状端面によって規定された球帯状基体と、この球帯状基体の部分凸球面状面に一体的に形成された外層とを備えていると共に排気管継手に用いられる本発明による球帯状シール体の製造方法は、(a)耐熱材となる膨張黒鉛シートを準備する工程と、(b)補強材となる金属細線を織ったり編んだりして得られる金網を準備し、この金網を膨張黒鉛シートに重ね合わせて重合体を形成した後、この重合体を円筒状に捲回して筒状母材を形成する工程と、(c)PTFE粉末と、FEP粉末と、h−BN粉末と界面活性剤と水とからなる潤滑組成物の水性ディスパージョンを準備する工程と、(d)耐熱材となる別の膨張黒鉛シートを準備し、当該別の膨張黒鉛シートの一方の表面に前記水性ディスパージョンを適用し、乾燥して該別の膨張黒鉛シートの表面にPTFE、FEP及びh−BNを含む潤滑組成物からなる固体潤滑剤の被覆層を形成する工程と、(e)被覆層を備えた別の膨張黒鉛シートを、補強材となる金属細線を織ったり編んだりして得られる別の金網に重ね合わせ、当該重ねわせた別の膨張黒鉛シートを一対のローラ間で加圧して、別の金網の網目に別の膨張黒鉛シートと被覆層とを充填した扁平状の外層形成部材を形成する工程と、(f)前記筒状母材の外周面に前記外層形成部材を、被覆層を外側にして捲回し、予備円筒成形体を形成する工程と、(g)該予備円筒成形体を金型のコア外周面に挿入し、該コアを金型内に配置すると共に該金型内において予備円筒成形体をコア軸方向に圧縮成形する工程と、を具備しており、球帯状基体は、膨張黒鉛シートと金網とが互いに圧縮され、互いに絡み合って構造的一体性を有するように形成されており、外層は、別の膨張黒鉛シートと、被覆層と、別の金網とが圧縮されて別の金網の網目に、別の膨張黒鉛シート及び被覆層が充填されて当該別の金網と別の膨張黒鉛シート及び被覆層とが混在一体化されてなる。
【0021】
本発明の球帯状シール体の製造方法によれば、雰囲気温度がFEPの融点以上の使用でも、また、PTFEの融点以上の使用でも、相手材との摺動において、自励振動の軽減を図り得て異音の発生をなくし得る上に、安定したシール特性を有した球帯状シール体を製造し得る。
【0022】
本発明の球帯状シール体の製造方法において、別の膨張黒鉛シートの一方の表面に被覆される潤滑組成物の水性ディスパージョンは、乳化重合法によって得られる平均粒子径が0.01〜1μmのPTFE粉末と、平均粒子径が0.01〜1μmのFEP粉末と、平均粒子径が0.1〜20μmのh−BN粉末と、界面活性剤と、水とからなる。この水性ディスパージョンに、更にアルミナ水和物粉末を含有させることができ、また、この水性ディスパージョンに水溶性有機溶剤を含有させてもよい。
【0023】
水性ディスパージョン中には、該三元系組成図において、PTFE10質量%、FEP10質量%及びh−BN80質量%とする組成点、PTFE10質量%、FEP45質量%及びh−BN45質量%とする組成点、PTFE45質量%、FEP45質量%及びh−BN10質量%とする組成点並びにPTFE40質量%、FEP10質量%及びh−BN50質量%とする組成点を頂点とする四角形で境界付けられる領域内に相当する数値範囲内にある組成割合をもったPTFE粉末、FEP粉末、h−BN粉末を含む潤滑組成物用粉末が界面活性剤及び水と共に含有されていてもよく、好ましくは、該三元系組成図において、PTFE25質量%、FEP15質量%及びh−BN60質量%とする組成点、PTFE12質量%、FEP28質量%及びh−BN60質量%とする組成点、PTFE10質量%、FEP40質量%及びh−BN50質量%とする組成点、PTFE20質量%、FEP40質量%及びh−BN40質量%とする組成点、PTFE38質量%、FEP22質量%及びh−BN40質量%とする組成点並びにPTFE35質量%、FEP15質量%及びh−BN50質量%とする組成点を頂点とする六角形で境界付けられる領域内に相当する数値範囲内にあるPTFE粉末、FEP粉末、h−BN粉末を含む潤滑組成物用の粉末が界面活性剤及び水と共に含有されており、より好ましくは、PTFE粉末25質量%、FEP粉末25質量%及びh−BN粉末50質量%を含む潤滑組成物用の粉末が界面活性剤及び水と共に含有されている。
【0024】
上記水性ディスパージョン中の潤滑組成物用の粉末には、更にアルミナ水和物粉末が20質量%以下の割合で含有されていてもよく、好ましくは、アルミナ水和物粉末の含有量は、1〜10質量%、より好ましくは2〜3質量%である。
【0025】
本発明の球帯状シール体の製造方法において、別の膨張黒鉛シートの一方の表面に水性ディスパージョンをローラ塗り、刷毛塗り、スプレー等の手段で適用した潤滑組成物からなる被覆層は、乾燥後、加熱炉においてFEPの融点以上の温度で焼成されてもよく、この焼成被覆層を被覆層として上記の(e)、(f)及び(g)工程を行うようにしてもよく、この場合には、球帯状基体は、膨張黒鉛シートと金網とが互いに圧縮され、互いに絡み合って構造的一体性を有するように形成されており、外層は、別の膨張黒鉛シートと、焼成被覆層と、別の金網とが圧縮されて別の金網の網目に、別の膨張黒鉛シート及び焼成被覆層が充填されて当該別の金網と別の膨張黒鉛シート及び焼成被覆層とが混在一体化されてなる。
【0026】
焼成温度は、FEPの融点T(=245℃)に対して、(T)〜(T+150℃)、好ましくは(T+5℃)〜(T+135℃)、更に好ましくは(T+10℃)〜(T+125℃)の範囲内である。焼成温度が低すぎると、均一な潤滑組成物の焼成被覆層を形成することが難しくなり、また焼成温度が高すぎると、潤滑組成物の熱劣化を生じやすくなる。
【0027】
本発明の製造方法において、上記の(e)工程は、別の膨張黒鉛シートを別の金網からなる層間に挿入すると共に当該別の膨張黒鉛シートを層間に挿入した別の金網を一対のローラ間の隙間に供給して加圧し、別の金網の網目に別の膨張黒鉛シートと被覆層とを充填して、別の金網からなる面と被覆層からなる面とが混在して露出した表面を有した扁平状の外層形成部材を形成するようになっていてもよく、この場合、外層の外表面は、金網からなる面と被覆層からなる面とが混在した平滑な面に形成されているとよい。
【0028】
更に本発明の製造方法においては、外層の外表面は、補強材を覆った固体潤滑剤からなる平滑な面に形成されていてもよい。
【0029】
本発明の球帯状シール体の製造方法は、好ましい例では、球帯状基体及び外層には、金網からなる補強材が40〜65質量%、膨張黒鉛を含む耐熱材及び固体潤滑剤が60〜35質量%の割合で含有されるように、球帯状基体及び外層における耐熱材及び固体潤滑剤が1.20〜2.00Mg/mの密度を有するように、また外層には、金網からなる補強材が60〜75質量%、膨張黒鉛を含む耐熱材及び固体潤滑剤が25〜40質量%の割合で含有されるようになっている。
【0030】
本発明の球帯状シール体の製造方法において、耐熱材は、膨張黒鉛に加えて、酸化抑制剤としての燐酸塩0.1〜16.0質量%若しくは五酸化燐を0.05〜5質量%又は燐酸塩0.1〜16.0質量%及び五酸化燐0.05〜5.0質量%を含んでいてもよい。
【0031】
排気管継手に用いられる本発明の他の球帯状シール体は、円筒内面、部分凸球面状面並びに部分凸球面状面の大径側及び小径側の環状端面により規定された球帯状基体と、この球帯状基体の部分凸球面状面に一体的に形成された外層とを備えており、該球帯状基体は、金網からなる補強材と、この補強材の金網の網目を充填し、かつこの補強材と混在一体化されていると共に圧縮された膨張黒鉛を含む耐熱材とを具備しており、外層は、膨張黒鉛を含む耐熱材と、PTFE、このPTFEに対して異なる溶融温度を有した少なくとも一種の溶融ふっ素樹脂及びh−BNを含む潤滑組成物からなる固体潤滑剤と、金網からなる補強材とが圧縮されて補強材の網目に耐熱材及び固体潤滑剤が充填されている共に当該補強材と耐熱材及び固体潤滑剤とが混在一体化されてなる。
【0032】
斯かる本発明の他の球帯状シール体においても、PTFEとPTFEに対して異なる溶融温度を有した少なくとも一種の溶融ふっ素樹脂との上記と同様の相乗効果により自励振動の軽減を図り得ると共に異音の発生を防止することができる上に、少なくともPTFE及びh−BNの夫々の高潤滑性、特に、h−BNの高温での高潤滑性により高温でも相手材と低摩擦抵抗をもって滑らかに摺動できてかつ膨張黒鉛及び金網との協同で安定したシール特性を発揮できる。
【0033】
この他の球帯状シール体の場合、PTFEに対して異なる溶融温度を有した少なくとも一種の溶融ふっ素樹脂は、FEPを含んでいてもよい。
【0034】
斯かるFEPを含んでいる本発明の他の球帯状シール体の場合、潤滑組成物のPTFE、FEP及びh−BNの組成割合は、PTFE、FEP及びh−BNの三元系組成図において、PTFE10質量%、FEP10質量%及びh−BN80質量%とする組成点、PTFE10質量%、FEP45質量%及びh−BN45質量%とする組成点、PTFE45質量%、FEP45質量%及びh−BN10質量%とする組成点並びにPTFE40質量%、FEP10質量%及びh−BN50質量%とする組成点を頂点とする四角形で境界付けられる領域内に相当する数値範囲内にあってもよく、好ましくは、潤滑組成物のPTFE、FEP及びh−BNの組成割合は、PTFE、FEP及びh−BNの三元系組成図において、PTFE25質量%、FEP15質量%及びh−BN60質量%とする組成点、PTFE12質量%、FEP28質量%及びh−BN60質量%とする組成点、PTFE10質量%、FEP40質量%及びh−BN50質量%とする組成点、PTFE20質量%、FEP40質量%及びh−BN40質量%とする組成点、PTFE38質量%、FEP22質量%及びh−BN40質量%とする組成点並びにPTFE35質量%、FEP15質量%及びh−BN50質量%とする組成点を頂点とする六角形で境界付けられる領域内に相当する数値範囲内にある。
【0035】
更に、本発明の他の球帯状シール体の場合、潤滑組成物は、アルミナ水和物を含有していてもよく、耐熱材は、燐酸塩及び五酸化燐の少なくとも一方を含有していてもよい。
【発明の効果】
【0036】
本発明によれば、雰囲気温度がPTFEの融点(327℃)以上の使用でも、相手材との摺動において、自励振動の軽減を図り得て異音の発生をなくし得る上に、安定したシール特性を有した球帯状シール体及びその製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】図1は、本発明の実施の形態の一例で製造された球帯状シール体の縦断面図である。
【図2】図2は、図1に示す球帯状シール体の一部拡大説明図である。
【図3】図3は、本発明の球帯状シール体の製造工程における補強材の形成方法の説明図である。
【図4】図4は、本発明の球帯状シール体の製造工程における耐熱材の斜視図である。
【図5】図5は、補強材の金網の網目を示す平面図である。
【図6】図6は、本発明の球帯状シール体の製造工程における重合体の斜視図である。
【図7】図7は、本発明の球帯状シール体の製造工程における筒状母材の平面図である。
【図8】図8は、図7に示す筒状母材の縦断面図である。
【図9】図9は、本発明の球帯状シール体の製造工程における耐熱材の斜視図である。
【図10】図10は、本発明の球帯状シール体の製造工程における固体潤滑剤の被覆を備えた耐熱材の断面図である。
【図11】図11は、本発明の球帯状シール体の製造工程における外層形成部材の第一の形成方法の説明図である。
【図12】図12は、本発明の球帯状シール体の製造工程における外層形成部材の第一の形成方法の説明図である。
【図13】図13は、本発明の球帯状シール体の製造工程における第一の形成方法で得られた外層形成部材の縦断面図である。
【図14】図14は、本発明の球帯状シール体の製造工程における外層形成部材の第二の形成方法の説明図である。
【図15】図15は、本発明の球帯状シール体の製造工程における外層形成部材の第二の形成方法の説明図である。
【図16】図16は、本発明の球帯状シール体の製造工程における予備円筒成形体の平面図である。
【図17】図17は、本発明の球帯状シール体の製造工程における金型中に予備円筒成形体を挿入した状態を示す断面図である。
【図18】図18は、本発明の球帯状シール体を組込んだ排気管球面継手の縦断面図である。
【図19】図19は、エンジンの排気系の説明図である。
【図20】図20は、本発明の潤滑組成物の組成割合に関する三元系組成図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
次に、本発明及びその実施の形態を、図に示す好ましい実施例に基づいて更に詳細に説明する。なお、本発明はこれらの実施例に何等限定されないのである。
【0039】
本発明の球帯状シール体における構成材料及び球帯状シール体の製造方法について説明する。
【0040】
<耐熱材I及びその製造方法について>
濃度98%の濃硫酸を攪拌しながら、酸化剤として過酸化水素の60%水溶液を加え、これを反応液とする。この反応液を冷却して10℃の温度に保持し、該反応液に粒度30〜80メッシュの鱗片状天然黒鉛粉末を添加して30分間反応を行う。反応後、吸引濾過して酸処理黒鉛粉末を分離し、該酸処理黒鉛粉末を水で10分間攪拌して吸引濾過するという洗浄作業を2回繰り返し、酸処理黒鉛粉末から硫酸分を充分除去する。ついで、硫酸分を充分除去した酸処理黒鉛粉末を110℃の温度に保持した乾燥炉で3時間乾燥し、これを酸処理黒鉛粉末とする。
【0041】
上記酸処理黒鉛粉末を、950〜1200℃の温度で1〜10秒間加熱(膨張)処理して分解ガスを発生せしめ、そのガス圧により黒鉛層間を拡張して膨張させた膨張黒鉛粒子(膨張倍率240〜300倍)を形成する。この膨張黒鉛粒子を所望のロール隙間に調整した双ローラ装置に供給してロール成形し、所望の厚さの膨張黒鉛シートを作製し、この膨張黒鉛シートを耐熱材Iとする。
【0042】
<耐熱材II及びその製造方法について>
上記酸処理黒鉛粉末と同様の方法で得た酸処理黒鉛粉末を攪拌しながら、該酸処理黒鉛粉末に燐酸塩として濃度50%の第一燐酸アルミニウム〔Al(HPO〕水溶液をメタノールで希釈した溶液を噴霧状に配合し、均一に攪拌して湿潤性を有する混合物を作製する。この湿潤性を有する混合物を、120℃の温度に保持した乾燥炉で2時間乾燥する。ついで、これを950〜1200℃の温度で1〜10秒間加熱(膨張)処理して分解ガスを発生せしめ、そのガス圧により黒鉛層間を拡張して膨張させた膨張黒鉛粒子(膨張倍率240〜300倍)を形成する。この膨張処理工程において、第一燐酸アルミニウムでは構造式中の水が脱離する。この膨張黒鉛粒子を所望のロール隙間に調整した双ローラ装置に供給してロール成形し、所望の厚さの膨張黒鉛シートを作製し、この膨張黒鉛シートを耐熱材IIとする。
【0043】
このようにして作製された耐熱材IIには、膨張黒鉛に第一燐酸アルミニウムが0.1〜16質量%の割合で含有されている。この燐酸塩を含有した膨張黒鉛は、膨張黒鉛自体の耐熱性が向上されると共に酸化抑制作用が付与されるため、例えば600℃又は600℃を超える高温領域での使用を可能とする。燐酸塩としては、上記第一燐酸アルミニウムの他に、第二燐酸リチウム(LiHPO)、第一燐酸カルシウム〔Ca(HPO〕、第二燐酸カルシウム(CaHPO)、第二燐酸アルミニウム〔Al(HPO〕を使用することができる。
【0044】
<耐熱材III及びその製造方法について>
上記酸処理黒鉛粉末と同様の方法で得た酸処理黒鉛粉末を攪拌しながら、該酸処理黒鉛粉末に燐酸塩として濃度50%の第一燐酸アルミニウム水溶液と燐酸として濃度84%のオルト燐酸(HPO)水溶液をメタノールで希釈した溶液を噴霧状に配合し、均一に攪拌して湿潤性を有する混合物を作製する。この湿潤性を有する混合物を、120℃の温度に保持した乾燥炉で2時間乾燥する。ついで、これを950〜1200℃の温度で1〜10秒間加熱(膨張)処理して分解ガスを発生せしめ、そのガス圧により黒鉛層間を拡張して膨張させた膨張黒鉛粒子(膨張倍率240〜300倍)を形成する。この膨張処理工程において、第一燐酸アルミニウムでは構造式中の水が脱離し、オルト燐酸では脱水反応を生じて五酸化燐を生成する。この膨張黒鉛粒子を所望のロール隙間に調整した双ローラ装置に供給してロール成形し、所望の厚さの膨張黒鉛シートを作製し、この膨張黒鉛シートを耐熱材IIIとする。
【0045】
このようにして作製された耐熱材IIIには、膨張黒鉛に第一燐酸アルミニウムが0.1〜16質量%及び五酸化燐が0.05〜5質量%の割合で含有されている。この燐酸塩及び五酸化燐を含有した膨張黒鉛は、膨張黒鉛自体の耐熱性が向上されると共に酸化抑制作用が付与されるため、例えば600℃又は600℃を超える高温領域での使用を可能とする。燐酸としては、上記オルト燐酸の他に、メタ燐酸(HPO)、ポリ燐酸などを使用することができる。
【0046】
耐熱材には、密度が1.0〜1.15Mg/m程度で、厚さが、0.3〜0.6mm程度のシート材が使用されて好適である。
【0047】
<補強材について>
補強材には、鉄系としてオーステナイト系のSUS304、SUS310S、SUS316、フェライト系のSUS430などのステンレス鋼線、鉄線(JISG3532)もしくは亜鉛メッキ鋼線(JISG3547)又は銅系として銅−ニッケル合金(白銅)線、銅−ニッケル−亜鉛合金(洋白)線、黄銅線、ベリリウム銅線からなる金属細線を一本又は二本以上使用して織ったり、編んだりして形成される織組金網又は編組金網が使用される。
【0048】
金網には、線径が0.05〜0.32mmの範囲の金属細線が、具体的には、線径が0.05mm、0.10mm、0.15mm、0.17mm、0.20mm、0.28mm又は0.32mmの金属細線が使用されて好適であり、該線径の金属細線で形成された球帯状基体には、縦幅αが4〜6mm、横幅βが3〜5mm程度の網目の目幅(編組金網を示す図5参照)をもった金網が使用されて好適であり、外層用には、縦幅αが2.5〜3.5mm、横幅βが1.5〜2.5mm程度の網目の目幅(図5参照)をもった金網が使用されて好適である。
【0049】
<固体潤滑剤及び被覆層について>
PTFE、FEP及びh−BNを含む潤滑組成物の組成割合は、好ましくは、PTFE、FEP及びh−BNの組成割合(質量%)に関する図20の、紙面右側斜辺がPTFEの含有量(質量%)を、底辺がFEPの含有量(質量%)を、紙面左側斜辺がh−BNの含有量(質量%)を夫々示す三角形(本例では、正三角形)の三元系組成図において、PTFE10質量%、FEP10質量%及びh−BN80質量%とする組成点A、PTFE10質量%、FEP45質量%及びh−BN45質量%とする組成点B、PTFE45質量%、FEP45質量%及びh−BN10質量%とする組成点C並びにPTFE40質量%、FEP10質量%及びh−BN50質量%とする組成点Dを頂点とする四角形51で境界付けられる領域P内に相当する数値範囲内にあり、より好ましくは、図20に示す三元系組成図において、PTFE25質量%、FEP15質量%及びh−BN60質量%とする組成点E、PTFE12質量%、FEP28質量%及びh−BN60質量%とする組成点F、PTFE10質量%、FEP40質量%及びh−BN50質量%とする組成点G、PTFE20質量%、FEP40質量%及びh−BN40質量%とする組成点H、PTFE38質量%、FEP22質量%及びh−BN40質量%とする組成点J並びにPTFE35質量%、FEP15質量%及びh−BN50質量%とする組成点Kを頂点とする六角形52で境界付けられる領域Q内に相当する数値範囲内にある。
【0050】
この固体潤滑剤となる潤滑組成物は、製造過程においては、平均粒子径が0.01〜1μmのPTFE粉末と平均粒子径が0.01〜1μmのFEP粉末と平均粒子径が0.1〜20μmのh−BN粉末と界面活性剤と水とからなる水性ディスパージョンの形態で使用される。
【0051】
水性ディスパージョン中において、PTFE粉末、FEP粉末及び特に高温領域において優れた潤滑性を発揮するh−BN粉末の含有割合は、図20に示す三元系組成図において、四角形51で境界付けられる領域内に相当する数値範囲内にあり、好ましくは、同三元系組成図において、六角形52で境界付けられる領域内に相当する数値範囲内にあり、より好ましくは、PTFE粉末25質量%、FEP粉末25質量%及びh−BN粉末50質量%である。
【0052】
斯かる含有割合からなるPTFE粉末、FEP粉末及びh−BN粉末を含む潤滑組成物粉末39質量%に対して、例えば、界面活性剤4質量%と水57質量%とが混合された水性ディスパージョンが用いられるが、水性ディスパージョン中の水の含有量は、ローラ塗り、刷毛塗り、スプレー等の手段による水性ディスパージョンの膨張黒鉛シートへの適用の態様に応じて増減してもよい。
【0053】
水性ディスパージョン中に含有される界面活性剤は、潤滑組成物粉末を水に均一に分散させ得るものであればよく、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、両性界面活性剤のいずれも使用できる。例えば、ナトリウムアルキルサルフェート、ナトリウムアルキルエーテルサルフェート、トリエタノールアミンアルキルサルフェート、トリエタノールアミンアルキルエーテルサルフェート、アンモニウムアルキルサルフェート、アンモニウムアルキルエーテルサルフェート、アルキルエーテルリン酸ナトリウム、フルオロアルキルカルボン酸ナトリウムなどのアニオン性界面活性剤;アルキルアンモニウム塩、アルキルベンジルアンモニウム塩などのカチオン性界面活性剤;ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、プロピレングリコール−プロピレンオキシド共重合体、パーフルオロアルキルエチレンオキシド付加物、2-エチルヘキサノールエチレンオキシド付加物などの非イオン性界面活性剤;アルキルアミノ酢酸ベタイン、アルキルアミド酢酸ベタイン、イミダゾリウムベタインなどの両性界面活性剤などが挙げられる。特に、アニオン性、非イオン性界面活性剤が好ましい。特に好ましい界面活性剤は、熱分解残量の少ないオキシエチレン鎖を有する非イオン性界面活性剤である。
【0054】
水性ディスパージョンにおいて、界面活性剤の含有量は、例えば、潤滑組成物粉末39質量%に対して4質量%であるが、界面活性剤の含有量が少なすぎると、潤滑組成物粉末の分散が均一にならず、また、界面活性剤の含有量が多すぎると、焼成による界面活性剤の分解残渣が多くなり着色が生ずるほか、被覆層の耐熱性、非粘着性などが低下する。
【0055】
PTFE粉末、FEP粉末、h−BN粉末、界面活性剤及び水を含有した水性ディスパージョンは、更に、潤滑組成物粉末において、h−BN粉末の含有量の一部に代えて、アルミナ水和物粉末を20質量%以下の割合で含有していてもよい。
【0056】
PTFE粉末、FEP粉末、h−BN粉末、界面活性剤及び水を含有した水性ディスパージョン又はPTFE粉末、FEP粉末、h−BN粉末、アルミナ水和物粉末、界面活性剤及び水を含有した水性ディスパージョンには、さらに水溶性有機溶剤が含有されてもよい。水溶性有機溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、ブタノール、イソプロピルアルコール、グリセリンなどのアルコール系溶剤、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン系溶剤、メチルセロソルブ、セロソルブ、ブチルセロソルブなどのエーテル系溶剤、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコールなどのグリコール系溶剤、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなどのアミド系溶剤、N−メチル−2−ピロリドンなどのラクタム系溶剤が挙げられる。水溶性有機溶剤の含有量は、全水量の0.5〜50質量%、好ましくは1〜30質量%である。水溶性有機溶剤は、PTFE粉末及びFEP粉末を濡らす働きを有し、h−BN粉末との均一な混合物を形成させるもので、乾燥時には蒸発するので被覆層に悪影響を及ぼすことはない。
【0057】
上記潤滑組成物粉末の水性ディスパージョンとしては、
(1)平均粒子径が0.01〜1μmのPTFE粉末、平均粒子径が0.01〜1μmのFEP粉末及び平均粒子径が0.1〜20μmのh−BN粉末からなると共に図20に示す三元系組成図において四角形51で境界付けられる領域P内に相当する数値範囲内にある組成割合をもった潤滑組成物粉末39質量%と、界面活性剤4質量%と水57質量%とからなる水性ディスパージョン、
(2)(1)の組成割合をもった潤滑組成物粉末において、h−BN粉末の含有量45質量%以上を確保して当該h−BN粉末含有量の一部に代えてアルミナ水和物粉末20質量%以下を含有した(1)の潤滑組成物粉末39質量%と界面活性剤4質量%と水57質量%とからなる水性ディスパージョン、
(3)上記(1)の水性ディスパージョンに、更に水溶性有機溶剤を0.1〜22.5質量%含有した水性ディスパージョン、及び
(4)上記(2)の水性ディスパージョンに、更に水溶性有機溶剤を0.1〜22.5質量%含有した水性ディスパージョン
のうちのいずれかの水性ディスパージョンが使用される。
【0058】
水性ディスパージョンは、膨張黒鉛シートの一方の表面にローラ塗り、刷毛塗り、スプレー等の手段で適用され、この水性ディスパージョンの乾燥後、該膨張黒鉛シートの一方の表面に潤滑組成物からなる固体潤滑剤の被覆層が形成される。乾燥された後において、該固体潤滑剤の被覆層は、加熱炉において、FEPの融点T(=245℃)に対して、(T)〜(T+150℃)、好ましくは(T+5℃)〜(T+135℃)、更に好ましくは(T+10℃)〜(T+125℃)の範囲内の温度で10〜30分間焼成されてもよく、この固体潤滑剤の被覆層の焼成により、膨張黒鉛シートの一方の表面に固体潤滑剤の焼成被覆層が形成される。
【0059】
次に、上記した構成材料からなる球帯状シール体の製造方法について、図面に基づき説明する。
【0060】
(第一工程)図3に示すように、線径0.05〜0.32mmの金属細線を円筒状に編んで形成した、縦幅αが4〜6mm、横幅βが3〜5mm程度(図5参照)の網目の目幅をもった円筒状編組金網1をローラ2及び3間に通して所定の幅Dの帯状金網4を作製し、帯状金網4を所定の長さLに切断した補強材となる短冊状の金網5を準備する。
【0061】
(第二工程)図4に示すように、金網5の幅Dに対して(1.10×D)mmから(2.10×D)mmの幅dを有すると共に金網5の長さLに対して(1.30×L)mmから(2.70×L)mmの長さlを有するように、密度が1.0〜1.5Mg/m、好ましくは1.0〜1.2Mg/mの球帯状基体用の膨張黒鉛シート6(耐熱材I、耐熱材II及び耐熱材IIIのうちの一つからなる)を準備する。
【0062】
(第三工程)球帯状シール体38(図1参照)において、部分凸球面状面33の大径側の環状端面34に全体的に短冊状の膨張黒鉛シート6からなる耐熱材が露出するようにすべく、図6に示すように、部分凸球面状面33の大径側の環状端面34となる金網5の幅方向の一方の端縁7から最大で(0.10〜0.80)×Dmmだけ膨張黒鉛シート6が幅方向にはみ出すと共に端縁7からの膨張黒鉛シート6の幅方向のはみ出し量δ1が部分凸球面状面33の小径側の環状端面35となる金網5の幅方向の他方の端縁8からのはみ出し量δ2よりも多くなるようにし、膨張黒鉛シート6が金網5の長さ方向の一方の端縁9から最大で(0.30〜1.70)×Lmmだけ長さ方向にはみ出し、金網5の長さ方向の他方の端縁10と端縁10に対応する膨張黒鉛シート6の長さ方向の端縁11とを合致させて膨張黒鉛シート6と金網5とを互いに重ね合わせた重合体12を得る。
【0063】
(第四工程)重合体12を図7に示すように、膨張黒鉛シート6を内側にしてうず巻き状であって膨張黒鉛シート6が1回多くなるように捲回して、内周側及び外周側の両方に膨張黒鉛シート6が露出した筒状母材13を形成する。膨張黒鉛シート6としては、筒状母材13における膨張黒鉛シート6の巻き回数が金網5の巻き回数よりも多くなるように、金網5の長さLに対して(1.30×L)mmから(2.70×L)mmの長さlを有したものを予め準備する。筒状母材13において、図8に示すように、膨張黒鉛シート6は、幅方向の一方の端縁側において金網5の一方の端縁7から幅方向にδ1だけはみ出しており、また膨張黒鉛シート6の幅方向の他方の端縁側において、金網5の他方の端縁8から幅方向にδ2だけはみ出している。
【0064】
(第五工程)膨張黒鉛シート6と同様であるが、金網5の幅Dよりも小さい幅dを有すると共に筒状母材13を1回巻きできる程度の長さlを有した図9に示すような短冊状の別の膨張黒鉛シート6を別途用意する。
【0065】
(第六工程)水性ディスパージョンとして、
(1)平均粒子径が0.01〜1μmのPTFE粉末、平均粒子径が0.01〜1μmのFEP粉末及び平均粒子径が0.1〜20μmのh−BN粉末からなると共に図20に示す三元系組成図において四角形51で境界付けられる領域P内に相当する数値範囲内にある組成割合をもった潤滑組成物粉末39質量%と、界面活性剤4質量%と水57質量%とからなる水性ディスパージョン、
(2)(1)の組成割合をもった潤滑組成物粉末において、h−BN粉末の含有量45質量%以上を確保して当該h−BN粉末含有量の一部に代えてアルミナ水和物粉末20質量%以下を含有した(1)の潤滑組成物粉末39質量%と界面活性剤4質量%と水57質量%とからなる水性ディスパージョン、
(3)上記(1)の水性ディスパージョンに、更に水溶性有機溶剤を0.1〜22.5質量%含有した水性ディスパージョン、及び
(4)上記(2)の水性ディスパージョンに、更に水溶性有機溶剤を0.1〜22.5質量%含有した水性ディスパージョン、
のうちのいずれかの水性ディスパージョンを準備する。
【0066】
(第七工程)図9に示す膨張黒鉛シート6の一方の表面に、水性ディスパージョン(1)から(4)のうちのいずれかの水性ディスパージョンを刷毛塗り、ローラ塗り、スプレー等の手段で適用し、これを100℃の温度で乾燥させて図10に示すような潤滑組成物からなる固体潤滑剤の被覆層14を形成する。
【0067】
(第八工程)
<第一の方法> 図11から図13に示すように、線径が0.05〜0.32mmの金属細線を編み機(図示せず)で連続的に編んで得られる円筒状編組金網1からなる外層用の金網5の内部に、固体潤滑剤の被覆層14を備えた膨張黒鉛シート6を連続的に挿入(図11参照)し、膨張黒鉛シート6を挿入した金網5をその挿入開始端側から平滑な円筒状の外周面を有する一対の円筒ローラ16及び17間の隙間Δ1に供給し膨張黒鉛シート6の厚さ方向に加圧(図12参照)して一体化させ、外層用の金網5の金網の網目に膨張黒鉛シート6と膨張黒鉛シート6の表面に形成された固体潤滑剤の被覆層14とを充填して、表面に外層用の金網5からなる面18と固体潤滑剤からなる面19とが混在して露出した扁平状の外層形成部材20を作製する。
【0068】
<第二の方法> 第一工程で説明した帯状金網4からなる金網5を別途用意し、図14に示すように、帯状金網4からなる外層用の金網5内に、固体潤滑剤の被覆層14を備えた膨張黒鉛シート6を挿入すると共に、これらを図15に示すように、円筒ローラ21及び22間の隙間Δ1に供給し膨張黒鉛シート6の厚さ方向に加圧して一体化させ、外層用の金網5の金網の網目に膨張黒鉛シート6と膨張黒鉛シート6の表面に形成された固体潤滑剤の被覆層14とを充填して、表面に外層用の金網5からなる面18と固体潤滑剤からなる面19とが混在して露出した扁平状の外層形成部材20を作製する。
【0069】
<第三の方法(図示せず)> 線径が0.05〜0.32mmの金属細線を織って形成される織組金網として平織金網を用意し、この平織金網からなる外層用の金網5を所定の長さと幅に切断し、短冊状の金網5を二枚用意する。二枚の外層用の金網5間に固体潤滑剤の被覆層14を備えた膨張黒鉛シート6を挿入すると共に一対の円筒ローラ21及び22間の隙間Δ1に供給し膨張黒鉛シート6の厚さ方向に加圧して一体化させ、外層用の金網5の金網の網目に膨張黒鉛シート6と膨張黒鉛シート6の表面に形成された固体潤滑剤の被覆層14とを充填して、表面に外層用の金網5からなる面18と固体潤滑剤からなる面19とが混在して露出した扁平状の外層形成部材20を作製する。
【0070】
<第四の方法(図示せず)> 第三の方法における短冊状の金網5と同様の金網5を二枚又は図3に示す短冊状の金網5を用意する。この外層用の金網5を、固体潤滑剤の被覆層14を備えた膨張黒鉛シート6の当該被覆層14を備えた面と反対の側の面(裏面)に重ね合わすと共にこの重ね合わせた金網5と固体潤滑剤の被覆層14を備えた膨張黒鉛シート6とを一対の円筒ローラ21及び22間の隙間Δ1に供給し膨張黒鉛シート6の厚さ方向に加圧して一体化させ、外層用の金網5の金網の網目に膨張黒鉛シート6を充填して、表面に固体潤滑剤の面19のみ(被覆層14のみ)が露出した扁平状の外層形成部材20を作製する。
【0071】
第一から第四の方法において、一対の円筒ローラ16及び17及び円筒ローラ21及び22間の隙間Δ1は、0.4〜0.6mm程度が適当である。
【0072】
(第九工程)このようにして得た外層形成部材20をその被覆層14を外側にして筒状母材13の外周面に巻き付け、予備円筒成形体23を作製する(図16参照)。
【0073】
(第十工程)内面に円筒壁面24と円筒壁面24に連なる部分凹球面状壁面25と部分凹球面状壁面25に連なる貫通孔26とを備え、貫通孔26に段付きコア27を嵌挿することによって内部に中空円筒部28と該中空円筒部28に連なる球帯状中空部29とが形成された図17に示すような金型30を準備し、金型30の段付きコア27に予備円筒成形体23を挿入する。
【0074】
金型30の中空円筒部28及び球帯状中空部29に配された予備円筒成形体23をコア軸方向に98〜294N/mm(1〜3トン/cm)の圧力で圧縮成形し、図1及び図2に示すような、中央部に貫通孔31を有すると共に円筒内面32と部分凸球面状面33と部分凸球面状面33の大径側及び小径側の環状端面34及び35とにより規定された球帯状基体36と、球帯状基体36の部分凸球面状面33に一体に形成された外層37とを備えた球帯状シール体38を作製する。
【0075】
この圧縮成形により、球帯状基体36は、膨張黒鉛シート6と金網5とが互いに圧縮され、互いに絡み合って構造的一体性を有するように構成されており、外層37は、膨張黒鉛シート6と、潤滑組成物からなる固体潤滑剤と、金網5とが圧縮されて金網5の網目に固体潤滑剤及び膨張黒鉛シート6が充填されて当該固体潤滑剤及び膨張黒鉛シート6と金網5とが混在一体化されてなり、外層37の外表面39は、金網5からなる補強材の面40と固体潤滑剤からなる面41とが混在した平滑な面42又は補強材を覆った固体潤滑剤の面41からなる平滑な面42に形成されている。
【0076】
作製された球帯状シール体38の球帯状基体36及び外層37は、金網5からなる補強材が40〜65質量%の割合で含有されていると共に膨張黒鉛を含む膨張黒鉛シート6からなる耐熱材及び固体潤滑剤が35〜60質量%の割合で含有されており、球帯状基体36及び外層37における膨張黒鉛シート6からなる耐熱材及び固体潤滑剤は、1.20〜2.00Mg/mの密度を有している。
【0077】
また、外層37には、金網5からなる補強材が60〜75質量%、膨張黒鉛を含む膨張黒鉛シート6からなる耐熱材及び固体潤滑剤が25〜40質量%の割合で含有されている。
【0078】
第四工程において、重合体12を、膨張黒鉛シート6を内側にしてうず巻き状に捲回する代わりに、帯状金網4からなる金網5を内側にしてうず巻き状に捲回して筒状母材13を形成すると、球帯状基体36の円筒内面32において金網5からなる補強材が露出する球帯状シール体38を作製することができる。
【0079】
球帯状シール体38がに組込まれて使用される図18に示す排気管球面継手において、エンジン側に連結された上流側排気管100の外周面には、管端部101を残してフランジ200が立設されており、管端部101には、球帯状シール体38が貫通孔31を規定する円筒内面32において嵌合されており、大径側の環状端面34において球帯状シール体38がフランジ200に接触されて着座せしめられており、上流側排気管100と対峙して配されていると共にマフラ側に連結された下流側排気管300には、凹球面部302と凹球面部302に連接されたフランジ部303とを一体に備えた径拡大部301が固着されており、凹球面部302の内面304が球帯状シール体38の外層37の外表面39における平滑な面42に摺接されている。
【0080】
図18に示す排気管球面継手において、一端がフランジ200に固定され、他端が径拡大部301のフランジ部303を挿通して配された一対のボルト400とボルト400の膨大頭部及びフランジ部303の間に配された一対のコイルばね500とにより、下流側排気管300には、常時、上流側排気管100方向にバネ力が付勢されている。そして、排気管球面継手は、上、下流側排気管100、300に生じる相対角変位に対しては、球帯状シール体38の外層37のすべり面としての平滑な面42と下流側排気管300の端部に形成された径拡大部301の凹球面部302の内面304との摺接でこれを許容するようになっている。
【実施例】
【0081】
次に、本発明を実施例に基づき詳細に説明する。なお、本発明はこれら実施例に何等限定されない。
【0082】
実施例1
金属細線として線径0.28mmのオーステナイト系ステンレス鋼線(SUS304)を一本使用して縦幅が4mm、横幅が5mmの網目の目幅をもった円筒状編組金網を作製し、これを一対のローラ間に通して帯状金網とし、これを球帯状基体用の補強材となる金網とした。耐熱材として、密度1.12Mg/m、厚さ0.38mmの膨張黒鉛シート(耐熱材I)を使用した。膨張黒鉛シートをうず巻き状に一周分捲回したのち、膨張黒鉛シートの内側に球帯状基体用の金網を重ね合わせ、うず巻き状に捲回して最外周に膨張黒鉛シートを位置させた筒状母材を作製した。この筒状母材においては、膨張黒鉛シートの幅方向の両端部はそれぞれ球帯状基体用の金網の幅方向に突出(はみ出し)している。
【0083】
上記と同様の金属細線を一本使用して、縦幅が3.5mm、横幅が1.5mmの網目の目幅をもった円筒状編組金網を作製し、これを一対のローラ間に通して帯状金網とし、これを外層用の補強材の金網とした。
【0084】
上記と同様の膨張黒鉛シート(耐熱材I)を使用し、上記外層用の補強材の金網の幅よりも小さい幅を有する膨張黒鉛シートを別途用意した。
【0085】
平均粒子径0.20μmのPTFE粉末10質量%、平均粒子径0.15μmのFEP粉末10質量%及び平均粒子径8μmのh−BN粉末80質量%を含有する潤滑組成物粉末39質量%と界面活性剤としてポリオキシエチレンアルキルエーテル(非イオン性界面活性剤)4質量%と水57質量%とからなる水性ディスパージョン(PTFE3.9質量%、FEP3.9質量%、h−BN31.2質量%、非イオン性界面活性剤4質量%及び水57質量%)を作製した。
【0086】
この水性ディスパージョンを前記別途用意した膨張黒鉛シートの一方の表面にローラ塗りし、100℃の温度で乾燥してPTFE、FEP及びh−BNの潤滑組成物からなる固体潤滑剤(PTFE10質量%、FEP10質量%、h−BN80質量%)の被覆層を形成した。
【0087】
固体潤滑剤の被覆層を具備した膨張黒鉛シートを、外層用の補強材である帯状金網内に挿入すると共にこれらを一対のローラ間に通して一体化させ、補強材の金網の網目に膨張黒鉛シートと該膨張黒鉛シートの表面の固体潤滑剤の被覆層とを充填して、表面に補強材としての金網からなる面と固体潤滑剤からなる面とが混在して露出した扁平状の外層形成部材を作製した。
【0088】
筒状母材の外周面に外層形成部材を、表面に金網からなる面と固体潤滑剤からなる面とが混在して露出した面を外側にして捲回し、予備円筒成形体を作製した。この予備円筒成形体を図17に示す金型の段付きコアに挿入し、該予備円筒成形体を金型の中空部に配置した。
【0089】
金型の中空部に配置した予備円筒成形体をコア軸方向に294N/mm(3トン/cm)の圧力で圧縮成形し、中央部に貫通孔を規定すると共に円筒内面と部分凸球面状面と部分凸球面状面の大径側及び小径側の環状端面とにより規定された球帯状基体と、該球帯状基体の部分凸球面状面に一体的に形成された外層とを備えた球帯状シール体を得た。
【0090】
この圧縮成形により、球帯状基体は、膨張黒鉛と球帯状基体用の金網とが圧縮され、互いに絡み合って構造的一体性を有するように構成され、圧縮された金網からなる補強材と
、この補強材の金網の網目を充填し、かつこの補強材と混在一体化されて圧縮された膨張黒鉛からなる耐熱材とを有しており、外層は、膨張黒鉛からなる耐熱材と、PTFE10質量%、FEP10質量%及びh−BN80質量%を含む潤滑組成物からなる固体潤滑剤と、外層用の金網からなる補強材とが圧縮されて補強材の金網の網目に固体潤滑剤及び膨張黒鉛シートの膨張黒鉛からなる耐熱材が充填されて当該固体潤滑剤及び耐熱材と補強材とが混在一体化されてなり、該外層の外表面は、補強材としての金網からなる面と固体潤滑剤からなる面とが混在した平滑な面に形成されている。
【0091】
作製された球帯状シール体の球帯状基体及び外層には、金網からなる球帯状基体用及び外層用の補強材が57.1質量%の割合で、膨張黒鉛シートの膨張黒鉛からなる耐熱材及び固体潤滑剤が42.9質量%の割合で含まれており、球帯状基体及び外層における膨張黒鉛シートの膨張黒鉛からなる耐熱材及び固体潤滑剤の密度は、1.60Mg/mであった。また外層には、金網からなる補強材が65.7質量%、膨張黒鉛シートの膨張黒鉛からなる耐熱材及び固体潤滑剤が34.3質量%の割合で含まれていた。
【0092】
実施例2
固体潤滑剤(PTFE10質量%、FEP45質量%、h−BN45質量%)の被覆層を実施例1と同様にして形成した以外は、実施例1と同様にして球帯状シール体を作製した。作製した球帯状シール体において、外層の固体潤滑剤は、PTFE10質量%、FEP45質量%及びh−BN45質量%を含む潤滑組成物からなっており、球帯状基体及び外層には、球帯状基体用及び外層用の補強材が56.4質量%の割合で、膨張黒鉛からなる耐熱材及び固体潤滑剤が43.6質量%の割合で含まれており、球帯状基体及び外層における膨張黒鉛からなる耐熱材及び固体潤滑剤の密度は、1.61Mg/mであった。また外層には、金網からなる補強材が65.7質量%、膨張黒鉛からなる耐熱材及び固体潤滑剤が34.3質量%の割合で含まれていた。
【0093】
実施例3
線径0.15mmのオーステナイト系ステンレス鋼線(SUS304)を一本使用して、縦幅が3.5mm、横幅が1.5mmの網目の目幅をもった円筒状編組金網を作製し、これを実施例1と同様に一対のローラ間に通した帯状金網を外層用の補強材の金網とし、固体潤滑剤(PTFE45質量%、FEP45質量%、h−BN10質量%)の被覆層を実施例1と同様にして形成した以外は、実施例1と同様にして球帯状シール体を作製した。作製した球帯状シール体において、外層の固体潤滑剤は、PTFE45質量%、FEP45質量%及びh−BN10質量%を含む潤滑組成物からなっており、球帯状基体及び外層には、球帯状基体用及び外層用の補強材が55.8質量%の割合で、膨張黒鉛からなる耐熱材及び固体潤滑剤が44.2質量%の割合で含まれており、球帯状基体及び外層における膨張黒鉛からなる耐熱材及び固体潤滑剤の密度は、1.62Mg/mであった。また外層には、金網からなる補強材が31.0質量%、膨張黒鉛からなる耐熱材及び固体潤滑剤が69.0質量%の割合で含まれていた。
【0094】
実施例4
固体潤滑剤(PTFE40質量%、FEP10質量%、h−BN50質量%)の被覆層を実施例1と同様にして形成した以外は、実施例1と同様にして球帯状シール体を作製した。作製した球帯状シール体において、外層の固体潤滑剤は、PTFE40質量%、FEP10質量%及びh−BN50質量%を含む潤滑組成物からなっており、球帯状基体及び外層には、球帯状基体用及び外層用の補強材が67.5質量%の割合で、膨張黒鉛からなる耐熱材及び固体潤滑剤が32.5質量%の割合で含まれており、球帯状基体及び外層における膨張黒鉛からなる耐熱材及び固体潤滑剤の密度は、1.68Mg/mであった。また外層には、金網からなる補強材が66.2質量%、膨張黒鉛からなる耐熱材及び固体潤滑剤が33.8質量%の割合で含まれていた。
【0095】
実施例5
固体潤滑剤(PTFE25質量%、FEP15質量%、h−BN60質量%)の被覆層を実施例1と同様に形成した以外は、実施例1と同様にして球帯状シール体を作製した。作製した球帯状シ−ル体において、外層の固体潤滑剤は、PTFE25質量%、FEP15質量%及びh−BN60質量%を含む潤滑組成物からなっており、球帯状基体及び外層には、球帯状基体用及び外層用の補強材が56.3質量%の割合で、膨張黒鉛からなる耐熱材及び固体潤滑剤が43.7質量%の割合で含まれており、球帯状基体及び外層における膨張黒鉛からなる耐熱材及び固体潤滑剤の密度は、1.66Mg/mであった。また外層は、金網からなる補強材が65.0質量%、膨張黒鉛からなる耐熱材及び固体潤滑剤が35.0質量%の割合で含まれていた。
【0096】
実施例6
金属細線として線径0.28mmのオーステナイト系ステンレス鋼線(SUS304)を二本使用して作製された網目の目幅が縦4mm、横5mmの円筒状編組金網を球帯状基体用の補強材となる金網として使用し、耐熱材として密度1.12Mg/m、厚さ0.38mmの膨張黒鉛シート(耐熱材III)を使用すると共に固体潤滑剤(PTFE12質量%、FEP28質量%、h−BN60質量%)の被覆層を実施例1と同様に形成した以外は、実施例1と同様にして球帯状シール体を作製した。作製した球帯状シール体において、外層の固体潤滑剤は、PTFE12質量%、FEP28質量%及びh−BN60質量%を含む潤滑組成物からなっており、球帯状基体及び外層には、球帯状基体用及び外層用の補強材が63.3質量%の割合で、膨張黒鉛からなる耐熱材及び固体潤滑剤が36.7質量%の割合で含まれており、球帯状基体及び外層における膨張黒鉛からなる耐熱材及び固体潤滑剤の密度は、1.70Mg/mであった。また外層には、金網からなる補強材が65.7質量%、膨張黒鉛からなる耐熱材及び固体潤滑剤が34.3質量%の割合で含まれていた。
【0097】
実施例7
実施例6と同様の円筒状編組金網を球帯状基体用の補強材となる金網に使用し、固体潤滑剤(PTFE10質量%、FEP40質量%、h−BN50質量%)の被覆層を実施例1と同様にして形成した以外は、実施例1と同様にして球帯状シール体を作製した。作製した球帯状シール体において、外層の固体潤滑剤は、PTFE10質量%、FEP40質量%及びh−BN50質量%を含む潤滑組成物からなっており、球帯状基体及び外層には、金網からなる球帯状基体用及び外層用の補強材が63.4質量%の割合で、膨張黒鉛からなる耐熱材及び固体潤滑剤が36.6質量%の割合で含まれており、球帯状基体及び外層における膨張黒鉛からなる耐熱材及び固体潤滑剤の密度は、1.68Mg/mであった。また外層には、金網からなる補強材が65.4質量%、膨張黒鉛からなる耐熱材及び固体潤滑剤が34.6質量%の割合で含まれていた。
【0098】
実施例8
固体潤滑剤(PTFE20質量%、FEP40質量%、h−BN40質量%)の被覆層を実施例1と同様にして形成した以外は、実施例1と同様にして球帯状シール体を作製した。作成した球帯状シール体において、外層の固体潤滑剤は、PTFE20質量%、FEP40質量%及びh−BN40質量%を含む潤滑組成物からなっており、球帯状基体及び外層には、球帯状基体用及び外層用の補強材が56.1質量%の割合で、膨張黒鉛からなる耐熱材及び固体潤滑剤が43.9質量%の割合で含まれており、球帯状基体及び外層における膨張黒鉛からなる耐熱材及び固体潤滑剤の密度は、1.62Mg/mであった。また外層には、金網からなる補強材が63.9質量%、膨張黒鉛からなる耐熱材及び固体潤滑剤が36.1質量%の割合で含まれていた。
【0099】
実施例9
固体潤滑剤(PTFE25質量%、FEP25質量%、h−BN50質量%)の被覆層を実施例1と同様にして形成した以外は、実施例1と同様にして球帯状シール体を作成した。作製した球帯状シール体において、外層の固体潤滑剤は、PTFE25質量%、FEP25質量%及びh−BN50質量%を含む潤滑組成物からなっており、球帯状基体及び外層には、球帯状基体用及び外層用の補強材が56.7質量%の割合で、膨張黒鉛からなる耐熱材及び固体潤滑剤が43.3質量%の割合で含まれており、球帯状基体及び外層における膨張黒鉛からなる耐熱材及び固体潤滑剤の密度は、1.60Mg/mであった。また外層には、金網からなる補強材が65.9質量%、膨張黒鉛からなる耐熱材及び固体潤滑剤が34.1質量%の割合で含まれていた。
【0100】
実施例10
固体潤滑剤(PTFE28質量%、FEP22質量%、h−BN50質量%)の被覆層を実施例1と同様にして形成した以外は、実施例1と同様にして球帯状シール体を作製した。作製した球帯状シール体において、外層の固体潤滑剤は、PTFE28質量%、FEP22質量%及びh−BN50質量%を含む潤滑組成物からなっており、球帯状基体及び外層には、球帯状基体用及び外層用の補強材が56.5質量%の割合で、膨張黒鉛からなる耐熱材及び固体潤滑剤が43.5質量%の割合で含まれており、球帯状基体及び外層における膨張黒鉛からなる耐熱材及び固体潤滑剤の密度は、1.61Mg/mであった。また外層には、金網からなる補強材が64.8質量%、膨張黒鉛からなる耐熱材及び固体潤滑剤が35.2質量%の割合で含まれていた。
【0101】
実施例11
固体潤滑剤(PTFE38質量%、FEP22質量%、h−BN40質量%)の被覆層を実施例1と同様にして形成した以外は、実施例1と同様にして球帯状シール体を作製した。作製した球帯状シール体において、外層の固体潤滑剤は、PTFE38質量%、FEP22質量%及びh−BN40質量%を含む潤滑組成物からなっており、球帯状基体及び外層には、球帯状基体用及び外層用の補強材が56.3質量%の割合で、膨張黒鉛からなる耐熱材及び固体潤滑剤が43.7質量%の割合で含まれており、球帯状基体及び外層における膨張黒鉛からなる耐熱材及び固体潤滑剤の密度は、1.61Mg/mであった。また外層には、金網からなる補強材が64.6質量%、膨張黒鉛からなる耐熱材及び固体潤滑剤が35.4質量%の割合で含まれていた。
【0102】
実施例12
金属細線として線径0.28mmのオーステナイト系ステンレス鋼線(SUS304)を二本使用して縦幅が4mm、横幅が5mmの網目の目幅をもった円筒状編組金網を作製し、これを実施例1と同様にローラ間に通した帯状金網を球帯状基体用の補強材となる金網とし、耐熱材密度1.12Mg/m、厚さ0.38mmの膨張黒鉛シート(耐熱材III)を筒状母材用の膨張黒鉛シートとして使用し、そして、固体潤滑剤(PTFE35質量%、FEP15質量%、h−BN50質量%)の被覆層を実施例1と同様にして形成した以外は、実施例1と同様にして球帯状シール体を作製した。作製した球帯状シール体において、外層の固体潤滑剤は、PTFE35質量%、FEP15質量%及びh−BN50質量%を含む潤滑組成物からなっており、球帯状基体及び外層には、球帯状基体用及び外層用の補強材が55.7質量%の割合で、膨張黒鉛からなる耐熱材及び固体潤滑剤が44.3質量%の割合で含まれており、球帯状基体及び外層における膨張黒鉛からなる耐熱材及び固体潤滑剤の密度は、1.70Mg/mであった。また外層には、金網からなる補強材が63.4質量%、膨張黒鉛からなる耐熱材及び固体潤滑剤が36.6質量%の割合で含まれていた。
【0103】
実施例13
固体潤滑剤(PTFE20質量%、FEP20質量%、h−BN40質量%及びアルミナ水和物20質量%)の被覆層を実施例1と同様にして形成した以外は、実施例1と同様にして球帯状シール体を作製した。作製した球帯状シール体において、外層の固体潤滑剤は、PTFE20質量%、FEP20質量%、h−BN40質量%及びアルミナ水和物20質量%を含む潤滑組成物からなっており、球帯状基体及び外層には、球帯状基体用及び外層用の補強材が55.5質量%の割合で、膨張黒鉛からなる耐熱材及び固体潤滑剤が44.5質量%の割合で含まれており、球帯状基体及び外層における膨張黒鉛からなる耐熱材及び固体潤滑剤の密度は、1.66Mg/mであった。また外層には、金網からなる補強材が62.7質量%、膨張黒鉛からなる耐熱材及び固体潤滑剤が37.3質量%の割合で含まれていた。
【0104】
実施例14
固体潤滑剤(PTFE25質量%、FEP25質量%、h−BN43質量%、アルミナ水和物7質量%)の被覆層を実施例1と同様にして形成した以外は、実施例1と同様にして球帯状シール体を作製した。作製した球帯状シール体において、外層の固体潤滑剤は、PTFE25質量%、FEP25質量%、h−BN43質量%及びアルミナ水和物7質量%を含む潤滑組成物からなっており、球帯状基体及び外層には、球帯状基体用及び外層用の補強材が55.9質量%の割合で、膨張黒鉛からなる耐熱材及び固体潤滑剤が44.1質量%の割合で含まれており、球帯状基体及び外層における膨張黒鉛からなる耐熱材及び固体潤滑剤の密度は、1.67Mg/mであった。また外層には、金網からなる補強材が63.4質量%、膨張黒鉛からなる耐熱材及び固体潤滑剤が36.6質量%の割合で含まれていた。
【0105】
実施例15
固体潤滑剤(PTFE20質量%、FEP28質量%、h−BN50質量%、アルミナ水和物2質量%)の被覆層を実施例1と同様にして形成した以外は、実施例1と同様にして球帯状シール体を作製した。作製した球帯状シール体において、外層の固体潤滑剤は、PTFE20質量%、FEP28質量%、h−BN50質量%及びアルミナ水和物2質量%を含む潤滑組成物からなっており、球帯状基体及び外層には、球帯状基体用及び外層用の補強材が56.3質量%の割合で、膨張黒鉛からなる耐熱材及び固体潤滑剤が43.7質量%の割合で含まれており、球帯状基体及び外層における膨張黒鉛からなる耐熱材及び固体潤滑剤の密度は、1.66Mg/mであった。また外層には、金網からなる補強材が65.0質量%、膨張黒鉛からなる耐熱材及び固体潤滑剤が35.0質量%の割合で含まれていた。
【0106】
実施例16
実施例9と同様の固体潤滑剤(PTFE25質量%、FEP25質量%、h−BN50質量%)の被覆層を備えた膨張黒鉛シートを加熱炉において340℃の温度で20分間焼成し、膨張黒鉛シートの表面に固体潤滑剤(PTFE25質量%、FEP25質量%、h−BN50質量%)の焼成被覆層を形成した以外は、実施例1と同様にして球帯状シール体を作製した。作製した球帯状シール体において、外層の焼成された固体潤滑剤は、PTFE25質量%、FEP25質量%、h−BN50質量%を含む潤滑組成物からなっており、外層の外表面は、補強材としての金網からなる面と焼成された固体潤滑剤からなる面とが混在した平滑な面となっており、球帯状基体及び外層には、球帯状基体用及び外層用の補強材が55.6質量%の割合で、膨張黒鉛からなる耐熱材及び焼成された固体潤滑剤が44.4質量%の割合で含まれており、球帯状基体及び外層における膨張黒鉛からなる耐熱材及び焼成された固体潤滑剤の密度は、1.67Mg/mであった。また外層には、金網からなる補強材が64.2質量%、膨張黒鉛からなる耐熱材及び固体潤滑剤が35.8質量%の割合で含まれていた。
【0107】
実施例17
実施例12と同様の固体潤滑剤(PTFE35質量%、FEP15質量%、h−BN50質量%)の被覆層を備えた膨張黒鉛シートを実施例16と同様にして焼成し、膨張黒鉛シートの表面に固体潤滑剤(PTFE35質量%、FEP15質量%、h−BN50質量%)の焼成被覆層を形成した以外は、実施例1と同様にして球帯状シール体を作製した。作製した球帯状シール体において、外層の焼成された固体潤滑剤は、PTFE35質量%、FEP15質量%、h−BN50質量%を含む潤滑組成物からなっており、外層の外表面は、補強材としての金網からなる面と焼成された固体潤滑剤からなる面とが混在した平滑な面となっており、球帯状基体及び外層には、球帯状基体用及び外層用の補強材が56.9質量%の割合で、膨張黒鉛からなる耐熱材及び焼成された固体潤滑剤が43.1質量%の割合で含まれており、球帯状基体及び外層における膨張黒鉛からなる耐熱材及び焼成された固体潤滑剤の密度は、1.67Mg/mであった。また外層には、金網からなる補強材が65.0質量%、膨張黒鉛からなる耐熱材及び焼成された固体潤滑剤が35.0質量%の割合で含まれていた。
【0108】
実施例18
実施例15と同様の固体潤滑剤(PTFE20質量%、FEP28質量%、h−BN50質量%、アルミナ水和物2質量%)の被覆層を備えた膨張黒鉛シートを実施例16同様にして焼成し、膨張黒鉛シートの表面に固体潤滑剤(PTFE20質量%、FEP28質量%、h−BN50質量%、アルミナ水和物2質量%)の焼成被覆層を形成した以外は、実施例1と同様にして球帯状シール体を作製した。外層の焼成された固体潤滑剤は、PTFE20質量%、FEP28質量%、h−BN50質量%及びアルミナ水和物2質量%を含む潤滑組成物からなっており、外層の外表面は、補強材としての金網からなる面と焼成された固体潤滑剤からなる面とが混在した平滑な面となっており、球帯状基体及び外層には、球帯状基体用及び外層用の補強材が56.1質量%の割合で、膨張黒鉛からなる耐熱材及び固体潤滑剤が43.9質量%の割合で含まれており、球帯状基体及び外層における膨張黒鉛からなる耐熱材及び固体潤滑剤の密度は、1.66Mg/mであった。また外層は、金網からなる補強材が65.2質量%、膨張黒鉛からなる耐熱材及び固体潤滑剤が34.8質量%の割合で含まれていた。
【0109】
実施例19
実施例1と同様の膨張黒鉛シートの一方の表面に実施例7と同様のPTFE、FEP及びh−BNの潤滑組成物からなる固体潤滑剤(PTFE10質量%、FEP40質量%、h−BN50質量%)の被覆層を形成し、この被覆層を一方の表面に備えた当該膨張黒鉛シートの他方の表面(裏面)に実施例1と同様の外層用の補強材である短冊状の帯状金網を重ね合わせ、この重ね合わせた帯状金網と固体潤滑剤の被覆層を備えた膨張黒鉛シートとを一対の円筒ローラ間に通して一体化させて、一方の面に被覆層の固体潤滑剤のみが露出した外層形成部材を作製し、この外層形成部材を、被覆層を外側にして筒状母材の外周面に捲回し、予備円筒成形体を作製した以外は、実施例1と同様にして球帯状シール体を作製した。作製した球帯状シール体において、外層は、膨張黒鉛からなる耐熱材と、金網からなる補強材とが圧縮されて補強材の金網の網目に膨張黒鉛からなる耐熱材が充填されて当該膨張黒鉛と混在一体化されてなり、外層の外表面は、金網からなる補強材の表面と補強材の網目に充填された膨張黒鉛の表面とを覆っていると共にPTFE10質量%、FEP40質量%、h−BN50質量%を含む潤滑組成物からなる固体潤滑剤の平滑な面となっており、球帯状基体及び外層には、球帯状基体用及び外層用の補強材が54.8質量%の割合で、膨張黒鉛からなる耐熱材及び固体潤滑剤が45.2質量%の割合で含まれており、球帯状基体及び外層における膨張黒鉛からなる耐熱材及び固体潤滑剤の密度は、1.65Mg/mであった。また外層には、金網からなる補強材が62.7質量%、膨張黒鉛からなる耐熱材及び固体潤滑剤が37.3質量%の割合で含まれていた。
【0110】
実施例20
一方の面に実施例9と同様の固体潤滑剤(PTFE25質量%、FEP25質量%、h−BN50質量%)の被覆層の当該固体潤滑剤のみが露出した外層形成部材を実施例19と同様にして形成した以外は、実施例19と同様にして球帯状シール体を作製した。作製した球帯状シール体において、外層は、膨張黒鉛からなる耐熱材と、金網からなる補強材とが圧縮されて補強材の金網の網目に膨張黒鉛からなる耐熱材が充填されて当該膨張黒鉛と混在一体化されてなり、外層の外表面は、金網からなる補強材の表面と補強材の網目に充填された膨張黒鉛の表面とを覆ってPTFE25質量%、FEP25質量%、h−BN50質量%を含む潤滑組成物からなる固体潤滑剤の平滑な面となっており、球帯状基体及び外層には、金網からなる球帯状基体用及び外層用の補強材が56.7質量%の割合で、膨張黒鉛からなる耐熱材及び固体潤滑剤が43.3質量%の割合で含まれており、球帯状基体及び外層における膨張黒鉛からなる耐熱材及び固体潤滑剤の密度は、1.60Mg/mであった。また外層には、金網からなる補強材が65.0質量%、膨張黒鉛からなる耐熱材及び固体潤滑剤が35.0質量%の割合で含まれていた。
【0111】
実施例21
一方の面に実施例15と同様の固体潤滑剤(PTFE20質量%、FEP28質量%、h−BN50%、アルミナ水和物2質量%)の被覆層の当該固体潤滑剤のみが露出した外層形成部材を実施例19と同様にして形成した以外は、実施例19と同様にして球帯状シール体を作製した。この作製した球帯状シール体において、外層は、膨張黒鉛からなる耐熱材と、金網からなる補強材とが圧縮されて補強材の金網の網目に膨張黒鉛からなる耐熱材が充填されて当該膨張黒鉛と混在一体化されてなり、外層の外表面は、金網からなる補強材の表面と補強材の網目に充填された膨張黒鉛の表面とを覆ってPTFE20質量%、FEP28質量%、h−BN50質量%及びアルミナ水和物2質量%を含む潤滑組成物からなる固体潤滑剤の平滑な面となっており、球帯状基体及び外層には、金網からなる球帯状基体用及び外層用の補強材が56.5質量%の割合で、膨張黒鉛からなる耐熱材及び固体潤滑剤が43.5質量%の割合で含まれており、球帯状基体及び外層における膨張黒鉛からなる耐熱材及び固体潤滑剤の密度は、1.60Mg/mであった。また外層には、金網からなる補強材が65.8質量%、膨張黒鉛からなる耐熱材及び固体潤滑剤が34.2質量%の割合で含まれていた。
【0112】
比較例1
実施例1と同様にして筒状母材を作製した。PTFE50質量%と界面活性剤5質量%及び水45質量%からなる水性ディスパージョン(固形分60%)を作製し、この水性ディスパージョンを別途準備した耐熱材としての膨張黒鉛シート(耐熱材I)の一方の表面にローラ塗りし、100℃の温度で乾燥してPTFEの被覆層を形成した。実施例1の外層用の帯状金網の上に、PTFEの被覆層を備えた膨張黒鉛シートを、該被覆層を上方に向けて重ね合わせたのち、これらを一対のローラ間に通して一体化した外層形成部材を作製した。筒状母材の外周面に外層形成部材を、PTFEの被覆層が露出した面を外側にして捲回して予備円筒成形体を作製した。以下、前記実施例1と同様の方法で、球帯状シール体を作製した。作製した球帯状シール体において、外層は、膨張黒鉛からなる耐熱材と、PTFEからなる固体潤滑剤と、外層用の金網からなる補強材とが圧縮されて補強材の金網の網目に膨張黒鉛からなる耐熱材が充填されて当該耐熱材と補強材とが混在一体化されてなり、該外層の外表面は、PTFEからなる固体潤滑剤面が露出した平滑な面となっており、球帯状基体及び外層には、金網からなる球帯状基体用及び外層用の補強材が51.9質量%の割合で、膨張黒鉛からなる耐熱材及び焼成された固体潤滑剤が48.1質量%の割合で含まれており、球帯状基体及び外層における膨張黒鉛からなる耐熱材及び焼成された固体潤滑剤の密度は、1.56Mg/mであった。また外層には、金網からなる補強材が50.8質量%、膨張黒鉛からなる耐熱材及び固体潤滑剤が49.2質量%の割合で含まれていた。
【0113】
比較例2
実施例1と同様にして筒状母材を作製した。比較例1と同様の水性ディスパージョンを実施例1と同様の膨張黒鉛シートの一方の表面にローラ塗りし、100℃の温度で乾燥してPTFEの被覆層を形成したのち、このPTFEの被覆層を備えた膨張黒鉛シートを加熱炉において340℃の温度で20分間焼成し、該膨張黒鉛シートの表面にPTFEからなる固体潤滑剤の焼成被覆層を形成した。内部に実施例1と同様の膨張黒鉛シートを保持した外層用の補強材としての実施例1と同様の帯状金網の上に、PTFEからなる固体潤滑剤の焼成被覆層を備えた膨張黒鉛シートを、該焼成被覆層を上方に向けて重ね合わせたのち、これらを一対のローラ間に通して一体化した外層形成部材を作製した。筒状母材の外周面に外層形成部材を、固体潤滑剤の焼成被覆層が露出した面を外側にして捲回して予備円筒成形体を作製した。以下、実施例1と同様の方法で、球帯状シール体を作製した。作製した球帯状シール体において、外層は、膨張黒鉛からなる耐熱材と、PTFEからなる焼成された固体潤滑剤と、金網からなる補強材とが圧縮されて補強材の金網の網目に膨張黒鉛からなる耐熱材が充填されて当該耐熱材と補強材とが混在一体化されてなり、該外層の外表面は、PTFEからなる焼成された固体潤滑剤からなる面が露出した平滑な面となっており、球帯状基体及び外層には、金網からなる球帯状基体用及び外層用の補強材が51.8質量%の割合で、膨張黒鉛からなる耐熱材及び焼成された固体潤滑剤が48.2質量%の割合で含まれており、球帯状基体及び外層における膨張黒鉛からなる耐熱材及び焼成された固体潤滑剤の密度は、1.55Mg/mであった。また外層には、金網からなる補強材が51.4質量%、膨張黒鉛からなる耐熱材及び固体潤滑剤が48.6質量%の割合で含まれていた。
【0114】
比較例3
実施例1と同様にして筒状母材を作製した。平均粒径8μmのh−BN粉末100質量部に対し、平均粒径0.20μmのPTFE粉末を150質量部分散含有した潤滑組成物(PTFE60質量%及びh−BN40質量%)を固形分として50質量%分散含有した水性ディスパージョン(PTFE30質量%、h−BN20質量%、界面活性剤5質量%及び水分45質量%)を別途準備した実施例1と同様の膨張黒鉛シートの一方の表面にローラ塗りし、100℃の温度で乾燥させ、該膨張黒鉛シートの一方の表面に固体潤滑剤の被覆層(PTFE60質量%及びh−BN40質量%)を形成した。内部に実施例1と同様の膨張黒鉛シートを保持した外層用の補強材としての実施例1と同様の帯状金網の上に、h−BN40質量%及びPTFE60質量%からなる固体潤滑剤の被覆層を備えた膨張黒鉛シートを、該被覆層を上方に向けて重ね合わせたのち、これらを一対のローラ間に通して一体化させ、補強材の金網の網目に膨張黒鉛を充填した外層形成部材を作製した。筒状母材の外周面に上記外層形成部材を、固体潤滑剤が露出した面を外側にして捲回して予備円筒成形体を作製した。実施例1と同様の方法で、球帯状シール体を作製した。作製した球帯状シール体において、外層は、膨張黒鉛からなる耐熱材と、h−BN40質量%及びPTFE60質量%からなる固体潤滑剤と、外層用の金網からなる補強材とが圧縮されて補強材の金網の網目に膨張黒鉛からなる耐熱材が充填されて当該耐熱材と補強材とが混在一体化されてなり、外層の外表面は、固体潤滑剤からなる面が露出した平滑な面となっており、球帯状基体及び外層には、金網からなる球帯状基体用及び外層用の補強材が50.2質量%の割合で、膨張黒鉛からなる耐熱材及び焼成された固体潤滑剤が49.8質量%の割合で含まれており、球帯状基体及び外層における膨張黒鉛からなる耐熱材及び焼成された固体潤滑剤の密度は、1.56Mg/mであった。また外層には、金網からなる補強材が49.4質量%、膨張黒鉛からなる耐熱材及び固体潤滑剤が50.6質量%の割合で含まれていた。
【0115】
次に、実施例1から実施例21並びに比較例1から比較例3で得た球帯状シール体を図18に示す排気管球面継手に組み込み、2つの試験モードによるスティックスリップに基づく異音の発生の有無及びガス漏れ量(l/min)について試験した。
【0116】
<異音の発生の有無の試験モード及び試験方法>
<試験モード(1)>
コイルばねによる押圧力(スプリングセット荷重):980N
加振振幅:±0.2°
加振周波数:22Hz
温度(図18に示す凹球面部302の外表面温度):室温(25℃)〜500℃
相手材(図18に示す径拡大部301の材質):SUS304
【0117】
<試験方法>
室温(25℃)から22Hzの加振周波数で±0.2°の振幅で加振を開始し、加振後10分間で相手材表面(図18に示す凹球面部302の外表面温度)の温度が500℃に到達した時点で当該温度に10分間保持し、ついで20分間かけて室温まで降下するという40分間の温度履歴を1サイクルとして、9サイクル繰返し、降温時の異音を測定した。測定は、1サイクル目、3サイクル目、6サイクル目及び9サイクル目で、各サイクルの測定温度は、500℃、400℃、300℃、200℃及び100℃とした。
【0118】
<試験モード(2)>
コイルばねによる押圧力(スプリングセット荷重):980N
加振振幅:±0.15° ±0.7°
加振周波数:10Hz
温度(図18に示す凹球面部302の外表面温度):室温(25℃)〜500℃
相手材(図18に示す径拡大部301の材質):SUS304
【0119】
<試験方法>
揺動角度(加振振幅)を±0.15°と±0.7°の2水準に設定し、加振周波数を10Hzを一定に設定して各々の揺動角度にて加振し、図18に示す凹球面部302の外表面温度を200℃から550℃の温度に達するまで50℃毎に昇温し、各温度に達した時点で10分間揺動するという試験を1サイクルとして3サイクル行い、実施例2、実施例9、実施例15、実施例17及び比較例2では、各温度における摩擦異音の発生の有無を、その他の実施例及び比較例では550℃の温度における摩擦異音の発生の有無を測定した。
【0120】
試験モード(1)及び(2)における異音の発生の有無の判定は次の基準(判定レベル)で行った。
<異常音の判定レベル>
記号:0 異常音の発生なし。
記号:0.5 集音パイプで異常音の発生を確認できる。
記号:1 排気管球面継手の摺動部位から約0.2m離れた位置で異常音の発生を確認できる。
記号:1.5 排気管球面継手の摺動部位から約0.5m離れた位置で異常音の発生を確認できる。
記号:2 排気管球面継手の摺動部位から約1m離れた位置で異常音の発生を確認できる。
記号:2.5 排気管球面継手の摺動部位から約2m離れた位置で異常音の発生を確認できる。
記号:3 排気管球面継手の摺動部位から約3m離れた位置で異常音の発生を確認できる。
記号:3.5 排気管球面継手の摺動部位から約5m離れた位置で異常音の発生を確認できる。
記号:4 排気管球面継手の摺動部位から約10m離れた位置で異常音の発生を確認できる。
記号:4.5 排気管球面継手の摺動部位から約15m離れた位置で異常音の発生を確認できる。
記号:5 排気管球面継手の摺動部位から約20m離れた位置で異常音の発生を確認できる。
以上の判定レベルの総合判定において、記号:0から記号:2.5までを異常音の発生なし(合格)と判定し、記号:3から記号:5までを異常音の発生あり(不合格)とした。
【0121】
<ガス漏れ量の試験モード及び試験方法>
<試験モード>
コイルばねによる押圧力(スプリングセット荷重):980N
加振振幅:±2.5°
加振周波数:5Hz
温度(図18に示す凹球面部302の外表面温度):室温(25℃)〜500℃
揺動回数:100万回
相手材(図18に示す径拡大部301の材質):SUS304
【0122】
<試験方法>
室温(25℃)において5Hzの加振周波数で±2.5°の加振振幅で揺動運動を継続しながら図18に示す凹球面部302の外表面温度を500℃まで昇温し、その温度を保持した状態で揺動運動を継続し、揺動回数が100万回に到達した時点でのガス漏れ量を測定した。
【0123】
<ガス漏れ量の測定方法>
図18に示す排気管球面継手の上流側排気管100の開口部を閉塞し、下流側排気管300側から、0.049MPa(0.5kgf/cm)の圧力で乾燥空気を流入し、継手部分(球帯状シール体38の面42と凹球面部302の内面304との摺接部、円筒内面32における球帯状シール体38と上流側排気管100の管端部101との嵌合部及び環状端面34と上流側排気管100に立設されたフランジ200との接触部)からのガス漏れ量を流量計にて、(1)試験初期(試験開始前)、(2)揺動回数25万回後、(3)揺動回数50万回後及び(4)揺動回数100万回後の4回測定した。
【0124】
表1から表9は上記試験結果を示す。
【0125】
【表1】
【0126】
【表2】
【0127】
【表3】
【0128】
【表4】
【0129】
【表5】
【0130】
【表6】
【0131】
【表7】
【0132】
【表8】
【0133】
【表9】
【0134】
試験結果から、実施例1から実施例21の球帯状シール体においては、排気管への振動伝播による車内への室内異音の原因となるようなスティックスリップ現象が高温領域においても発生していないと認められ、このことから、潤滑組成物に含まれるPTFE、FEP及びh−BNの組成割合が図20の三元系組成図中の四角形51に囲まれる範囲内に相当する数値範囲内、特に図20の三元系組成図中の六角形52に囲まれる範囲内に相当する数値範囲内にある球帯状シール体においては、異音の原因となるようなスティックスリップ現象の発生はないものと推察され、高温領域においても優れた摺動性を得ることができる。一方、比較例1から比較例3の球帯状シール体においては、特に、高温領域において、その外層の外表面に露出した固体潤滑剤が相手材との摺動において比較的早い時点で脱落又は消失し、膨張黒鉛からなる耐熱材との直接的な摺動に移行してスティックスリップ現象を惹起し、当該スティックスリップ現象に起因する摩擦異音を発生したものと推察される。
【符号の説明】
【0135】
4 帯状金網
6 膨張黒鉛シート
5 金網
12 重合体
13 筒状母材
20 外層形成部材
23 予備円筒成形体
30 金型
32 円筒内面
33 部分凸球面状面
34、35 環状端面
36 球帯状基体
37 外層
38 球帯状シール体
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】

【手続補正書】
【提出日】20160526
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項20
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項20】
円筒内面、部分凸球面状面並びに部分凸球面状面の大径側及び小径側の環状端面により規定された球帯状基体と、この球帯状基体の部分凸球面状面に一体的に形成された外層とを備えていると共に排気管継手に用いられる球帯状シール体であって、球帯状基体は、金網からなる補強材と、この補強材の金網の網目を充填し、かつこの補強材と混在一体化されていると共に圧縮された膨張黒鉛を含む耐熱材とを具備しており、外層は、膨張黒鉛を含む耐熱材と、四ふっ化エチレン樹脂、この四ふっ化エチレン樹脂に対して低い溶融温度を有した少なくとも一種の溶融ふっ素樹脂及び六方晶窒化硼素を含む潤滑組成物からなる固体潤滑剤と、金網からなる補強材とが圧縮されて補強材の網目に耐熱材及び固体潤滑剤が充填されている共に当該補強材と耐熱材及び固体潤滑剤とが混在一体化されてなる球帯状シール体。
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項21
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項21】
四ふっ化エチレン樹脂に対して低い溶融温度を有した少なくとも一種の溶融ふっ素樹は、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体を含んでいる請求項20に記載の球帯状シール体。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0031
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0031】
排気管継手に用いられる本発明の他の球帯状シール体は、円筒内面、部分凸球面状面並びに部分凸球面状面の大径側及び小径側の環状端面により規定された球帯状基体と、この球帯状基体の部分凸球面状面に一体的に形成された外層とを備えており、該球帯状基体は、金網からなる補強材と、この補強材の金網の網目を充填し、かつこの補強材と混在一体化されていると共に圧縮された膨張黒鉛を含む耐熱材とを具備しており、外層は、膨張黒鉛を含む耐熱材と、PTFE、このPTFEに対して低い溶融温度を有した少なくとも一種の溶融ふっ素樹脂及びh−BNを含む潤滑組成物からなる固体潤滑剤と、金網からなる補強材とが圧縮されて補強材の網目に耐熱材及び固体潤滑剤が充填されている共に当該補強材と耐熱材及び固体潤滑剤とが混在一体化されてなる。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0032
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0032】
斯かる本発明の他の球帯状シール体においても、PTFEとPTFEに対して低い溶融温度を有した少なくとも一種の溶融ふっ素樹脂との上記と同様の相乗効果により自励振動の軽減を図り得ると共に異音の発生を防止することができる上に、少なくともPTFE及びh−BNの夫々の高潤滑性、特に、h−BNの高温での高潤滑性により高温でも相手材と低摩擦抵抗をもって滑らかに摺動できてかつ膨張黒鉛及び金網との協同で安定したシール特性を発揮できる。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0033
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0033】
この他の球帯状シール体の場合、PTFEに対して低い溶融温度を有した少なくとも一種の溶融ふっ素樹脂は、FEPを含んでいてもよい。
【国際調査報告】