(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO2014061360
(43)【国際公開日】20140424
【発行日】20160905
(54)【発明の名称】運転支援装置
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/16 20060101AFI20160808BHJP
   B60W 50/14 20120101ALI20160808BHJP
【FI】
   !G08G1/16 C
   !B60W50/14
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】17
【出願番号】2014541989
(21)【国際出願番号】JP2013073711
(22)【国際出願日】20130903
(11)【特許番号】5920482
(45)【特許公報発行日】20160518
(31)【優先権主張番号】2012229857
(32)【優先日】20121017
(33)【優先権主張国】JP
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
【住所又は居所】愛知県豊田市トヨタ町1番地
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 宏明
(74)【代理人】
【識別番号】100117075
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 剣太
(72)【発明者】
【氏名】山岡 正明
【住所又は居所】愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動車株式会社内
【テーマコード(参考)】
3D241
5H181
【Fターム(参考)】
3D241BA01
3D241BA57
3D241BB21
3D241BB51
3D241BC01
3D241CC01
3D241CC08
3D241CD10
3D241CE02
3D241CE04
3D241DB01Z
3D241DB02Z
3D241DB05Z
3D241DC45Z
3D241DC51Z
5H181AA01
5H181BB04
5H181CC04
5H181CC14
5H181FF05
5H181FF11
5H181FF13
5H181FF27
5H181FF33
5H181LL04
5H181LL07
5H181LL08
5H181LL14
(57)【要約】
運転支援装置1は、路面勾配θ及び進入車速Vinに基づいて、車両2の運転者がブレーキ操作を開始する車速であるブレーキオン車速Vbrkを推定するブレーキオン車速推定部41と、推定されたブレーキオン車速Vbrkに基づいて、車両2の運転者が減速操作を開始する減速操作地点の位置情報を算出する減速操作地点算出部42と、算出した減速操作地点の位置情報及び車両2の走行位置に応じて、車両2の運転者に減速操作を促す運転支援情報を提示する情報提示手段としての減速支援制御部43及びHMI装置5と、を備える。これにより、運転者に減速操作を教示する運転支援を行なう際に、運転者に違和感を与えにくくすることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の減速度に関する情報及び車速情報に基づいて、前記車両の運転者がブレーキ操作を開始する車速であるブレーキオン車速を推定する推定手段と、
前記ブレーキオン車速に基づいて、前記車両の運転者が減速操作を開始する減速操作地点の位置情報を算出する減速操作地点算出手段と、
前記算出した減速操作地点の位置情報及び前記車両の走行位置に応じて、前記車両の運転者に前記減速操作を促す運転支援情報を提示する情報提示手段と、
を備えることを特徴とする運転支援装置。
【請求項2】
前記減速操作が、アクセルオフ操作及びブレーキオン操作を含み、
前記減速操作地点が、前記アクセルオフ操作を開始すべきアクセルオフ地点と、前記ブレーキオン操作を開始すべきブレーキオン地点とを含み、
前記タイミング算出手段は、
前記車両を停止させる停止地点の位置情報と前記ブレーキオン車速とに基づいて、前記ブレーキオン地点を予測し、
前記車両の車速が前記アクセルオフ操作の実行後に前記ブレーキオン車速に減速するまでに到達可能な距離を算出し、
前記ブレーキオン地点から前記距離だけ手前の位置を、前記アクセルオフ地点として設定し、
前記情報提示手段は、
前記設定されたアクセルオフ地点の位置情報と前記車両の走行位置とに応じて、前記運転者に対して前記アクセルオフ操作を促す運転支援情報を提示する
ことを特徴とする、請求項1に記載の運転支援装置。
【請求項3】
前記減速度に関する情報は、路面勾配、ロードロード、空気抵抗のうち少なくとも1つを含むことを特徴とする、請求項1または2に記載の運転支援装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運転支援装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、運転者による車両の運転を支援するための運転支援技術の1つとして、車両が停止する際に、運転者に対して減速操作を促すよう教示するものが知られている。例えば特許文献1には、アクセルオフ後の惰性走行によって到達可能な距離と、ブレーキ操作によって停止するまでの距離とを演算し、これらの演算した距離に基づいて、停止地点への接近時における減速操作(アクセルオフ操作及びブレーキオン操作)のタイミングを運転者に教示する運転支援装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−244167号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載される従来の運転支援装置では、例えば車両の走行条件や路面条件が変動した場合など、減速操作の教示タイミングが運転者の感覚とずれたものとなる可能性があり、運転者に違和感を与える虞がある。このように、従来技術では、減速時に運転者に違和感を与えにくくする減速操作の教示タイミングを算出するためには、改善の余地があった。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、運転者に減速操作を教示する運転支援を行なう際に、運転者に違和感を与えにくくすることができる運転支援装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明に係る運転支援装置は、車両の減速度に関する情報及び車速情報に基づいて、運転者がブレーキ操作を開始する車速であるブレーキオン車速を推定する推定手段と、前記ブレーキオン車速に基づいて、前記車両の運転者が減速操作を開始する減速操作地点の位置情報を算出する減速操作地点算出手段と、前記算出した減速操作地点の位置情報及び前記車両の走行位置に応じて、前記車両の運転者に前記減速操作を促す運転支援情報を提示する情報提示手段と、を備えることを特徴とする。
【0007】
また、上記の運転支援装置において、前記減速操作が、アクセルオフ操作及びブレーキオン操作を含み、前記減速操作地点が、前記アクセルオフ操作を開始すべきアクセルオフ地点と、前記ブレーキオン操作を開始すべきブレーキオン地点とを含み、前記タイミング算出手段は、前記車両を停止させる停止地点の位置情報と前記ブレーキオン車速とに基づいて、前記ブレーキオン地点を予測し、前記車両の車速が前記アクセルオフ操作の実行後に前記ブレーキオン車速に減速するまでに到達可能な距離を算出し、前記ブレーキオン地点から前記距離だけ手前の位置を、前記アクセルオフ地点として設定し、前記情報提示手段は、前記設定されたアクセルオフ地点の位置情報と前記車両の走行位置とに応じて、前記運転者に対して前記アクセルオフ操作を促す運転支援情報を提示することが好ましい。
【0008】
また、上記の運転支援装置において、前記減速度に関する情報は、路面勾配、ロードロード、空気抵抗のうち少なくとも1つを含むことが好ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る運転支援装置は、車両の減速度に関する情報や速度情報に基づきブレーキオン車速を算出することで、ブレーキオン車速を車両の走行条件や路面条件に応じて精度良く推定することができる。これにより、適切なタイミングで運転者に減速操作を促す運転支援情報を提示することが可能となり、減速操作の教示タイミングを運転者の感覚に近いものとすることができる。この結果、本発明に係る運転支援装置は、運転者に減速操作を教示する運転支援を行なう際に、運転者に違和感を与えにくくすることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、本発明の一実施形態に係る運転支援装置の概略構成を示すブロック図である。
【図2】図2は、適切な支援タイミングとなるブレーキオン車速と、サービス提供区間への進入車速との関係を示す図である。
【図3】図3は、適切な支援タイミングとなるブレーキオン車速と、サービス提供区間の路面勾配との関係を示す図である。
【図4】図4は、減速操作時の車速の速度推移の一例を示す図である。
【図5】図5は、本実施形態の運転支援装置により実施される停止操作支援処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明に係る運転支援装置の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の図面において、同一または相当する部分には同一の参照番号を付し、その説明は繰り返さない。
【0012】
まず図1〜4を参照して、本実施形態に係る運転支援装置1の構成について説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る運転支援装置1の概略構成を示すブロック図であり、図2は、適切な支援タイミングとなるブレーキオン車速と、サービス提供区間への進入車速との関係を示す図であり、図3は、適切な支援タイミングとなるブレーキオン車速と、サービス提供区間の路面勾配との関係を示す図であり、図4は、減速操作時の車速の速度推移の一例を示す図である。
【0013】
図1に示すように、運転支援装置1は、自車両としての車両2に搭載され、状態検出装置3と、ECU(Electronic Control Unit:電子制御ユニット)4と、HMI(Human Machine Interface)装置5とを備える。運転支援装置1は、状態検出装置3により取得される情報に基づいて、ECU4がHMI装置5を制御し種々の運転支援情報を車両2の運転者に提示させることで、運転者による車両2の安全な運転を支援するものである。
【0014】
特に本実施形態では、運転支援装置1は、車両2の走行経路の前方に車両2が停止する必要のある停止地点Psがある場合に、その停止地点Psから走行経路手前側の範囲に設定されたサービス提供区間内において、車両2を停止地点Psにて停止させる減速操作を運転者に促すための運転支援情報をHMI装置5に表示する。運転支援の対象としての減速操作は、アクセルペダルを戻し減速する(例えばエンジンブレーキ、モータの回生トルクにより減速する)アクセルオフ操作と、ブレーキペダルを踏み込みフットブレーキにより減速するブレーキオン操作とを含む。また、車両2が停止する必要のある停止地点Psとしては、例えば、交差点、横断歩道地点、丁字路、店舗入口に面した地点、一時停止線などが挙げられる(停止地点Psは図4参照)。本実施形態の運転支援装置1は、例えば、地図情報記憶部31に記憶される地図情報から、車両2が停止する必要のある停止地点Ps(一時停止線など)を判断したり、路車間通信機32で取得した交差点の信号表示切り替わりタイミング及び車両2の当該交差点到達タイミングから、車両2が停止する必要のある(交差点に差し掛かるタイミングで信号が赤など)停止地点Psを判断することができる。なお、下記の状態検出装置3の構成要素のうち、地図情報記憶部31及び路車間通信機32以外のものを利用して停止地点Psの存在を判断する構成としてもよい。
【0015】
車両2は、駆動輪を回転駆動させるための走行用駆動源として、エンジン、モータ等のいずれか1つを備える。車両2は、エンジンとモータとの両方を備えるハイブリッド車両、エンジンを備える一方でモータを備えないコンベ車両、モータを備える一方でエンジンを備えないEV車両等のいずれの形式の車両であってもよい。
【0016】
状態検出装置3は、車両2の状態や車両2の周囲の状態を検出するものであり、車両2の状態を表す種々の状態量や物理量、スイッチ類の作動状態等を検出するものである。状態検出装置3は、ECU4に電気的に接続され、このECU4に各種信号を出力する。本実施形態では、状態検出装置3は、車両2の進路前方の停止地点Psに関する情報を検出するものであり、例えば、カメラ、レーダ、カーナビゲーション装置、地図情報記憶部31、路車間通信機32、車車間通信機、無線通信装置、車速センサ、アクセルペダルセンサ、ブレーキペダルセンサ等を含んで構成される。
【0017】
ECU4は、状態検出装置3から入力される各種情報に基づいて、車両2の各部の制御を行う。特に本実施形態では、ECU4は、車両2の進路前方の停止地点Psへの接近度合いに応じて、車両2の運転者に対して減速操作(アクセルオフ操作、ブレーキオン操作)を促すための運転支援を実施する。この運転支援のために、ECU4は、ブレーキオン車速推定部41(推定手段)、減速操作地点算出部42(減速操作地点算出手段)、及び減速支援制御部43の各機能を実現するよう構成されている。
【0018】
ブレーキオン車速推定部41は、車両2の運転者がブレーキオン操作を開始する車速であるブレーキオン車速Vbrkを推定する。ブレーキオン車速推定部41は、車両2がサービス提供区間に進入したときの進入車速Vin(車速情報)と、サービス提供区間の路面勾配θ(車両の減速度に関する情報)とに基づいて、ブレーキオン車速Vbrkを推定する。
【0019】
ここで図2,3を参照して、ブレーキオン車速Vbrkと進入車速Vin及び路面勾配θとの関係を説明する。図2は、適切な支援タイミングとなるブレーキオン車速Vbrkを進入車速Vin別に調査した結果を示す。図2の縦軸はブレーキオン車速Vbrkを表し、横軸は進入車速Vinを表す。この調査では、所定の進入車速Vinでサービス提供区間に進入し、複数パターンのブレーキオン車速Vbrkまで減速したときに、ブレーキオン操作を促す運転支援を行なった場合に、運転者が運転支援のタイミングを適切と感じたか否かを確認した。また、この調査は、複数パターンの進入車速Vinについて行なった。図2には、このように設定された進入車速Vin及びブレーキオン車速Vbrkの複数組のそれぞれについて、運転者が支援タイミングを適切と感じたものが「△」マークでプロットされ、不適切と感じたものが「×」マークでプロットされている。
【0020】
図2に示すように、△マークのプロット群は近似直線aで表すことができる。この近似直線aによれば、ブレーキオン車速Vbrkは、進入車速Vinに対して比例傾向となることがわかる。すなわち、進入車速Vinが低いほど、適切な支援タイミングと感じるブレーキオン車速Vbrkは低くなり、一方、進入車速Vinが高いほど、適切な支援タイミングと感じるブレーキオン車速Vbrkは高くなる。
【0021】
図3は、適切な支援タイミングとなるブレーキオン車速Vbrkを路面勾配θ別に調査した結果を示す。図3の縦軸はブレーキオン車速Vbrkを表し、横軸は路面勾配θを表す。この調査では、共通のサービス提供区間において、複数パターンのブレーキオン車速Vbrkまで減速したときにブレーキオン操作を促す運転支援を行なった場合に、運転者が運転支援のタイミングを適切と感じたか否かを確認した。また、この調査は、複数パターンの路面勾配θを有する複数のサービス提供区間において行なった。また、この調査は、サービス提供区間への進入車速をA,B(但しA<B)の2種類とした場合について行なった。図3には、このように設定した路面勾配θ及びブレーキオン車速Vbrkの複数組のそれぞれについて、運転者が支援タイミングを適切と感じたもののうち、進入車速Aのものが「△」マークでプロットされ、進入車速Bのものが「□(黒四角)」マークでプロットされている。また、図3には、一例として、△マークのプロット群を線形近似した近似直線bが描画されている。
【0022】
この近似直線bが示すように、ブレーキオン車速Vbrkは、路面勾配θに対して比例傾向となることがわかる。すなわち、路面勾配θが正方向に大きいほど(登り勾配が大きいほど)、適切な支援タイミングと感じるブレーキオン車速Vbrkは低くなり、一方、路面勾配θが負方向に大きいほど(降り勾配が大きいほど)、適切な支援タイミングと感じるブレーキオン車速Vbrkは高くなる。
【0023】
図2,3に示した調査結果に基づけば、適切な支援タイミングと感じるブレーキオン車速Vbrkは、進入車速Vin及び路面勾配θに対して比例傾向となり、進入車速Vinまたは路面勾配θに応じて変動するものと考えられる。以上を踏まえ、本実施形態では、ブレーキオン車速推定部41は、ブレーキオン車速Vbrkを以下の(1)式により算出する。
Vbrk=α(Vin−β)+γ・θ ・・・(1)
ここで、Vinは進入車速、θは路面勾配、α,β,γはパラメータ値である。ブレーキオン車速推定部41は、進入車速Vin及び路面勾配θの情報を状態検出装置3から取得することができる。
【0024】
減速操作地点算出部42は、車両2の運転者に減速操作(アクセルオフ操作及びブレーキオン操作)を促すタイミングを算出する。言い換えると、減速操作地点算出部42は、車両2の運転者が減速操作を開始する減速操作地点の位置情報、すなわち、アクセルオフ操作を開始するアクセルオフ地点Paoffと、ブレーキオン操作を開始するブレーキオン地点Pbrkの位置情報を算出する。
【0025】
ここで、図4を参照して、車両2の減速操作時の車速と走行距離との関係について説明する。図4は、減速操作時の車速の速度推移の一例を示す図であり、縦軸が車速を表し、横軸が走行距離を表す。図4に示すように、車両2が進入車速Vinでサービス提供区間に進入し、アクセルオフ地点Paoffにてアクセルオフ操作が開始されると、アクセルオフ後の惰性走行中にエンジンブレーキにより発生する減速度a1によって、車速は進入車速Vinから一定割合でブレーキオン車速Vbrkまで減速する(この間の車両2の走行距離をアクセルオフ距離Laoffとする)。そして、車速がブレーキオン車速Vbrkまで減速するブレーキオン地点Pbrkにおいて、ブレーキオン操作が開始され、ブレーキ減速中にフットブレーキにより発生する減速度a2によって、車速はさらに減速してゆき停止地点Psにて車速が0となり停止する(この間の車両2の走行距離をブレーキ距離Lbrkとする)。
【0026】
減速操作地点算出部42は、停止地点Psの位置情報と、ブレーキオン車速推定部41により算出されたブレーキオン車速Vbrkとに基づいて、ブレーキオン操作を開始すべきブレーキオン地点Pbrkを予測する。減速操作地点算出部42は、まずブレーキ減速時にブレーキオン車速Vbrkから停止するまでに要するブレーキ距離Lbrkを算出する。ブレーキ距離Lbrkは、例えばブレーキ減速中に車両2に発生する減速度a2と、ブレーキオン車速Vbrkから、周知の等加速度運動の公式を用いて算出することができる。ブレーキ減速中に車両2に発生する減速度a2は、例えば車両2やフットブレーキの機械的特性に応じて適宜設定することができる。そして、減速操作地点算出部42は、停止地点Psからブレーキ距離Lbrkだけ手前の地点をブレーキオン地点Pbrkとして設定する。
【0027】
また、減速操作地点算出部42は、停止地点Psの位置情報と、ブレーキオン車速推定部41により算出されたブレーキオン車速Vbrkと、ブレーキオン地点Pbrkの位置情報とに基づいて、アクセルオフ操作を開始すべきアクセルオフ地点Paoffを推定する。減速操作地点算出部42は、まず、車両2の車速がアクセルオフ操作の実行後にブレーキオン車速Vbrkに減速するまでに到達可能なアクセルオフ距離Laoffを算出する。アクセルオフ距離Laoffは、例えば、車両2がサービス提供区間に進入したときの進入車速Vinと、ブレーキオン車速Vbrkと、アクセルオフ操作後の惰性走行中に車両2に発生する減速度a1から、周知の等加速度運動の公式を用いて算出することができる。惰性走行中に車両2に発生する減速度a1は、例えば車両2やエンジン、動力伝達装置などの機械的特性に応じて適宜設定することができる。そして、減速操作地点算出部42は、ブレーキオン地点Pbrkからアクセルオフ距離Laoffだけ手前の地点、すなわち停止地点Psから距離Lbrk+Laoffだけ手前の地点をアクセルオフ地点Paoffとして設定する。
【0028】
減速支援制御部43は、減速操作地点算出部42により算出されたアクセルオフ地点Paoff及びブレーキオン地点Pbrkの位置情報に基づき、アクセルオフ操作及びブレーキオン操作を運転者に促す運転支援情報の出力制御を行う。減速支援制御部43は、例えば状態検出装置3から車両2の現在位置に関する情報を取得し、減速操作地点算出部42にて設定されたアクセルオフ地点Paoffの位置情報と現在位置とを比較して、車両2がアクセルオフ地点Paoffまたはその手前の所定範囲内に到達したときに、アクセルオフ操作を促す運転支援情報を運転者に提示させるようHMI装置5を制御する。また、減速操作地点算出部42にて設定されたブレーキオン地点Pbrkの位置情報と現在位置とを比較して、車両2がブレーキオン地点Pbrkまたはその手前の所定範囲内に到達したときに、ブレーキオン操作を促す運転支援情報を運転者に提示させるようHMI装置5を制御する。
【0029】
ECU4は、物理的には、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)及びインターフェースなどを含む周知のマイクロコンピュータを主体とする電子回路である。上述したECU4の各機能は、ROMに保持されるアプリケーションプログラムをRAMにロードしてCPUで実行することによって、CPUの制御のもとで車両2内の各種装置を動作させると共に、RAMやROMにおけるデータの読み出し及び書き込みを行うことで実現される。
【0030】
HMI装置5は、車両2の運転を支援する情報である運転支援情報を出力可能な支援装置であり、運転者に対する運転支援情報の提供等を行う装置である。HMI装置5は、車載機器であって、例えば、車両2の車室内に設けられたディスプレイ装置(視覚情報表示装置)やスピーカ(聴覚情報出力装置)等を有する。HMI装置5は、視覚情報(図形情報、文字情報)や聴覚情報(音声情報、音情報)等を出力することによって運転者に運転支援情報の提供を行い、運転者の運転操作を誘導する。HMI装置5は、こうした情報提供により運転者の運転操作による目標値の実現を支援する。HMI装置5は、ECU4に電気的に接続され、このECU4により制御される。特に本実施形態では、HMI装置5は、減速支援制御部43により生成される減速操作に関する運転支援情報(アクセルオフ、ブレーキオン)を運転者に提示して、停止地点Psにて車両2を停止させるような減速操作を促す。なお、HMI装置5は、既存の装置、例えば、ナビゲーションシステムのディスプレイ装置やスピーカ等が流用されてもよいし、例えば、ハンドル振動、座席振動、ペダル反力などの触覚情報を出力する触覚情報出力装置等を含んで構成されてもよい。
【0031】
ECU4の減速支援制御部43と、HMI装置5とが、算出したタイミングに応じて、車両2の運転者に減速操作を促す運転支援情報を提示する情報提示手段として機能する。
【0032】
次に、図5を参照して、本実施形態に係る運転支援装置1の動作について説明する。図5は、本実施形態の運転支援装置により実施される停止操作支援処理のフローチャートである。
【0033】
まず、車両2が運転支援サービスのサービス提供区間に進入したことが検出され(ステップS01)、当該サービス提供区間中に停止地点Psが検出されると(ステップS02)、ブレーキオン車速推定部41により、現在の車両2のサービス提供区間への進入車速Vinと、サービス提供区間の路面勾配θが、状態検出装置3から取得される(ステップS03)。なお、進入車速Vinは、車両2がサービス提供区間に進入した時点の瞬間速度、進入時前後の平均速度、停止地点Psから所定距離だけ走行経路手前側の地点における瞬間速度または平均速度などの速度情報を用いることができる。路面勾配θは、例えばサービス提供区間全体にわたる路面勾配の平均値を用いることができる。
【0034】
ステップS03にて取得された進入車速Vin及び路面勾配θに基づいて、ブレーキオン車速Vbrkが推定される(ステップS04)。ブレーキオン車速推定部41は、ステップS03で取得した進入車速Vin及び路面勾配θを上記の(1)式に代入して、ブレーキオン車速Vbrkを算出することができる。ブレーキオン車速推定部41は、算出したブレーキオン車速Vbrkの情報を減速操作地点算出部42に出力する。
【0035】
次に、減速操作地点算出部42により、ブレーキオン地点Pbrk及びアクセルオフ地点Paoffの位置情報が算出される(ステップS05)。図4を参照して説明したように、減速操作地点算出部42は、停止地点Psの位置情報と、ステップS04にてブレーキオン車速推定部41により算出されたブレーキオン車速Vbrkとに基づいて、ブレーキオン操作を開始すべきブレーキオン地点Pbrkの位置情報を予測する。また、減速操作地点算出部42は、停止地点Psの位置情報と、ブレーキオン車速Vbrkと、ブレーキオン地点Pbrkの位置情報とに基づいて、アクセルオフ操作を開始すべきアクセルオフ地点Paoffの位置情報を推定する。減速操作地点算出部42は、算出したアクセルオフ地点Paoff及びブレーキオン地点Pbrkの位置情報を減速支援制御部43に出力する。
【0036】
次に、減速支援制御部43により、車両2がアクセルオフ地点Paoffに到達したか否かが確認される(ステップS06)。減速支援制御部43は、例えば、状態検出装置3から取得した現在の車両2の走行位置と、ステップS05で算出されたアクセルオフ地点Paoffの位置情報とを比較して、車両2がアクセルオフ地点Paoffに到達したことを検出できる。車両2がアクセルオフ地点Paoffに到達していない場合には(ステップS06のNo)、車両2がアクセルオフ地点Paoffに到達するまで以降の処理への移行を待機する。一方、車両2がアクセルオフ地点Paoffに到達している場合には(ステップS06のYes)、アクセルオフ操作を促す運転支援情報がHMI装置5から運転者に提供されるようHMI装置5が制御され、運転者に対してアクセルオフ操作が教示される(ステップS07)。
【0037】
さらに、減速支援制御部43により、車両2がブレーキオン地点Pbrkに到達したか否かが確認される(ステップS08)。減速支援制御部43は、例えば、状態検出装置3から取得した現在の車両2の走行位置と、ステップS05で算出されたブレーキオン地点Pbrkの位置情報とを比較して、車両2がブレーキオン地点Pbrkに到達したことを検出できる。車両2がブレーキオン地点Pbrkに到達していない場合には(ステップS08のNo)、車両2がブレーキオン地点Pbrkに到達するまで以降の処理への移行を待機する。一方、車両2がブレーキオン地点Pbrkに到達したものと判定された場合には(ステップS08のYes)、ブレーキオン操作を促す運転支援情報がHMI装置5から運転者に提供されるようHMI装置5が制御され、運転者に対してブレーキオン操作が教示される(ステップS09)。
【0038】
次に、本実施形態に係る運転支援装置1の効果について説明する。
【0039】
本実施形態の運転支援装置1は、路面勾配θ及び進入車速Vinに基づいて、車両2の運転者がブレーキ操作を開始する車速であるブレーキオン車速Vbrkを推定するブレーキオン車速推定部41と、推定されたブレーキオン車速Vbrkに基づいて、車両2の運転者が減速操作を開始する減速操作地点の位置情報を算出する減速操作地点算出部42と、算出した減速操作地点の位置情報及び車両2の走行位置に応じて、車両2の運転者に減速操作を促す運転支援情報を提示する情報提示手段としての減速支援制御部43及びHMI装置5と、を備える。
【0040】
図2,3を参照して説明したように、ブレーキオン車速Vbrkは、路面勾配θなどの車両の減速度に関する情報や、車両2の進入車速Vinなどに応じて変動するパラメータである。本実施形態では、路面勾配θ及び進入車速Vinに基づき、上記(1)式を用いてブレーキオン車速Vbrkを算出することで、ブレーキオン車速Vbrkを車両2の走行条件や路面条件に応じて精度良く推定することができる。これにより、適切なタイミングで運転者に減速操作を促す運転支援情報を提示することが可能となり、減速操作の教示タイミングを運転者の感覚に近いものとすることができる。この結果、運転者に減速操作を教示する運転支援を行なう際に、運転者に違和感を与えにくくすることができる。
【0041】
また、本実施形態の運転支援装置1では、減速操作が、アクセルオフ操作及びブレーキオン操作を含み、減速操作地点が、アクセルオフ操作を開始すべきアクセルオフ地点Paoffと、ブレーキオン操作を開始すべきブレーキオン地点Pbrkとを含む。減速操作地点算出部42は、車両2を停止させる停止地点Psの位置情報とブレーキオン車速Vbrkとに基づいて、ブレーキオン地点Pbrkを予測し、車両2の車速がアクセルオフ操作の実行後にブレーキオン車速Vbrkに減速するまでに到達可能なアクセルオフ距離Laoffを算出し、ブレーキオン地点Pbrkからアクセルオフ距離Laoffだけ手前の位置を、アクセルオフ地点Paoffとして設定する。情報提示手段としての減速支援制御部43及びHMI装置5は、設定されたアクセルオフ地点Paoffの位置情報と車両2の走行位置とに応じて、運転者に対してアクセルオフ操作を促す運転支援情報を提示する。
【0042】
この構成により、高精度に推定されたブレーキオン車速Vbrkに基づき、ブレーキ距離Lbrk及びアクセルオフ距離Laoffの推定精度を向上することが可能となり、アクセルオフ地点Paoff及びブレーキオン地点Pbrkを精度良く推定できる。これにより、運転者に減速操作(アクセルオフ操作)を促す運転支援情報の提示をより一層適切なタイミングで行なうことができる。
【0043】
以上、本発明の実施形態を説明したが、上記実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。上記実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。上記実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【0044】
上記実施形態では、進入車速Vinと、路面勾配θに基づいてブレーキオン車速Vbrkを算出する構成を示したが、路面勾配θは、「車両の減速度に関する情報」の一例であり、例えばロードロード(走行抵抗)や空気抵抗など、車両の減速度に関する他の情報と置き換えてもよい。ブレーキオン車速Vbrkは、ロードロード(走行抵抗)や空気抵抗などの路面勾配θ以外の車両の減速度に関する他の情報に対しても比例傾向となる。したがって、上記の(1)式において、路面勾配θを他の情報に置き換え、路面勾配θに乗じるパラメータ値γを適切な係数に置き換えれば、ブレーキオン車速Vbrkを(1)式により算出することができる。また、車両の減速度に関する複数の情報をブレーキオン車速Vbrkの推定に用いてもよい。なお、ロードロード(走行抵抗)とは、駆動源から路面までの間で生じる抵抗であり、タイヤと路面との間で発生する路面抵抗や、駆動源で発生した駆動力を伝達する駆動系で発生する抵抗(メカロス)等が含まれる。
【0045】
上記実施形態では、運転支援装置1において、情報提示手段としての減速支援制御部43及びHMI装置5が、運転者に対して、アクセルオフ操作及びブレーキオン操作を促す運転支援情報を提示する構成を例示したが、アクセルオフ操作に関する運転支援情報のみを提示する構成としてもよい。
【符号の説明】
【0046】
1 運転支援装置
2 車両
4 ECU
41 ブレーキオン車速推定部(推定手段)
42 減速操作地点算出部(減速操作地点算出手段)
43 減速支援制御部(情報提示手段)
5 HMI装置(情報提示手段)
Vin 進入車速(車速情報)
θ 路面勾配(車両の減速度に関する情報)
Vbrk ブレーキオン車速
Ps 停止地点
Paoff アクセルオフ地点
Pbrk ブレーキオン地点
Pbrk ブレーキオン地点
Laoff アクセルオフ距離
Lbrk ブレーキ距離
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】

【手続補正書】
【提出日】20160218
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の減速度に関する情報及び車速情報に基づいて、前記車両の運転者がブレーキ操作を開始する車速であるブレーキオン車速を推定する推定手段と、
前記ブレーキオン車速に基づいて、前記車両の運転者が減速操作を開始する減速操作地点の位置情報を算出する減速操作地点算出手段と、
前記算出した減速操作地点の位置情報及び前記車両の走行位置に応じて、前記車両の運転者に前記減速操作を促す運転支援情報を提示する情報提示手段と、
を備えることを特徴とする運転支援装置。
【請求項2】
前記減速操作が、アクセルオフ操作及びブレーキオン操作を含み、
前記減速操作地点が、前記アクセルオフ操作を開始すべきアクセルオフ地点と、前記ブレーキオン操作を開始すべきブレーキオン地点とを含み、
前記減速操作地点算出手段は、
前記車両を停止させる停止地点の位置情報と前記ブレーキオン車速とに基づいて、前記ブレーキオン地点を予測し、
前記車両の車速が前記アクセルオフ操作の実行後に前記ブレーキオン車速に減速するまでに到達可能な距離を算出し、
前記ブレーキオン地点から前記距離だけ手前の位置を、前記アクセルオフ地点として設定し、
前記情報提示手段は、
前記設定されたアクセルオフ地点の位置情報と前記車両の走行位置とに応じて、前記運転者に対して前記アクセルオフ操作を促す運転支援情報を提示する
ことを特徴とする、請求項1に記載の運転支援装置。
【請求項3】
前記減速度に関する情報は、路面勾配、ロードロード、空気抵抗のうち少なくとも1つを含むことを特徴とする、請求項1または2に記載の運転支援装置。
【国際調査報告】