(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO2014061478
(43)【国際公開日】20140424
【発行日】20160905
(54)【発明の名称】粘着層付き透明面材および表示装置
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/1333 20060101AFI20160808BHJP
   G09F 9/00 20060101ALI20160808BHJP
   B32B 7/02 20060101ALI20160808BHJP
   B32B 7/06 20060101ALI20160808BHJP
【FI】
   !G02F1/1333
   !G09F9/00 302
   !G09F9/00 313
   !B32B7/02 104
   !B32B7/06
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】27
【出願番号】2014542054
(21)【国際出願番号】JP2013077142
(22)【国際出願日】20131004
(31)【優先権主張番号】2012227976
(32)【優先日】20121015
(33)【優先権主張国】JP
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】000000044
【氏名又は名称】旭硝子株式会社
【住所又は居所】東京都千代田区丸の内一丁目5番1号
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100094400
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 三義
(74)【代理人】
【識別番号】100106057
【弁理士】
【氏名又は名称】柳井 則子
(72)【発明者】
【氏名】新山 聡
【住所又は居所】東京都千代田区丸の内一丁目5番1号 旭硝子株式会社内
【テーマコード(参考)】
2H189
4F100
5G435
【Fターム(参考)】
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(57)【要約】
透明基板の間に液晶層が設けられた表示パネルであって、液晶層よりも視認側の透明基板の視認側の面上に透明導電層が設けられている表示パネルを保護するのに好適な粘着層付き透明面材を提供する。
透明面材10と、透明面材10の一方の表面に形成された粘着層14と、粘着層14の、透明面材10側とは反対の表面を覆う、剥離可能な保護フィルム16とを備え、保護フィルム16は、粘着層14側とは反対側の表面における表面抵抗値が1×10〜1×10Ω/□であることを特徴とする粘着層付き透明面材。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明面材と、
前記透明面材の一方の表面に形成された粘着層と、
前記粘着層の、前記透明面材側とは反対側の表面を覆う、剥離可能な保護フィルムと、を備え、
前記保護フィルムは、前記粘着層側とは反対側の表面の少なくとも一部の表面抵抗値が1×10〜1×10Ω/□であることを特徴とする粘着層付き透明面材。
【請求項2】
前記透明面材が、少なくとも一方の表面の周縁部に形成された遮光部と、該遮光部によって囲まれた透光部とを有し、
前記保護フィルムが、前記透明面材の法線方向からみて前記遮光部と重なる部分の前記保護フィルムに形成された切れ込みによって、額縁状の残存部と、該残存部によって囲まれた剥離部とに分離、または分離可能にされている、請求項1に記載の粘着層付き透明面材。
【請求項3】
前記残存部は、前記粘着層側とは反対側の表面における表面抵抗値が、1×10〜1×10Ω/□である請求項2に記載の粘着層付き透明面材。
【請求項4】
前記保護フィルムは、前記粘着層側とは反対側の表面全体の表面抵抗値が1×10〜1×10Ω/□である請求項1〜3のいずれか一項に記載の粘着層付き透明面材。
【請求項5】
前記保護フィルムは、1層以上の支持材と、微粘着層とを有する積層体からなり、
前記微粘着層は、前記保護フィルムの前記粘着層側とは反対側の最外層に位置し、
前記微粘着層に最も近い支持材と前記微粘着層の間に導電層が設けられている、請求項1〜4のいずれか一項に記載の粘着層付き透明面材。
【請求項6】
前記透明面材が、表示装置の保護板である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の粘着層付き透明面材。
【請求項7】
一対の透明基板の間に液晶層が設けられた表示パネルと、
該表示パネルの視認側の面上に粘着層を介して貼合された透明面材と、
を有する表示装置であって、
前記透明面材の外周は、前記表示パネルの外周と一致又は前記表示パネルの外周の外側に位置し、
前記表示パネルは、前記視認側の面上に透明導電層を有し、
前記透明面材は、請求項2〜4のいずれか一項に記載の粘着層付き透明面材からなり、
前記保護フィルムの前記残存部を残存させ、前記剥離部を剥離した状態で前記粘着層が前記表示パネルに接するように、前記表示パネルに貼合されていることを特徴とする表示装置。
【請求項8】
前記表示パネルの前記視認側の面上の透明導電層と、前記保護フィルムの表面抵抗値が1×10〜1×10Ω/□の前記残存部とは、電気的に接続されている請求項7に記載の表示装置。
【請求項9】
前記表示装置が横電界方式の液晶表示パネルである請求項7または8に記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置の表示パネルなどの保護に好適に使用できる粘着層付き透明面材、および該透明面材を備えた表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置等の表示パネルを透明面材(保護板)で保護する方法として、透明面材の表面に粘着層が形成された粘着層付き透明面材と、表示パネルとを、粘着層が表示パネルに接するように貼合する方法が知られている(特許文献1参照)。
通常、透明面材(保護板)が表示パネルの全面を保護できるように、透明面材の大きさ(面積)は、表示パネルと同じかまたは表示パネルよりも大きい。
【0003】
液晶表示装置は、対向する2つの透明基板の間に液晶層が挟持されている。対向する透明基板の一方には、液晶層に電界を印加するための電極や該電極を駆動する配線等が形成されており、他方の透明基板には、カラーフィルタが形成されている。
横電界方式(IPS型)の液晶表示装置などのように、カラーフィルタ側の透明基板に、共通電極などの液晶駆動用の電極を必要としない液晶表示装置がある。このような液晶表示装置は、カラーフィルタ側の透明基板が帯電し、不要な電界が発生することがある。不要電界の液晶への影響を低減するため、透明基板の視認側の面上(すなわち、液晶層側とは異なる面上)にITO等の透明導電層を形成するとともに、その上面に表示パネルの表示面より大きく、かつ該透明基板よりも僅かに小さい偏光板を貼設し、偏光板が貼設されていない領域の該透明導電層を、導電性の接続部材などを介して、例えば液晶表示装置の金属フレームなどに電気的に接地するための構成を設けることが行われている(例えば特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2011/148990号
【特許文献2】日本特開2011−123231号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
横電界方式(IPS型)の液晶表示装置において、表示パネルに粘着層付き透明面材を貼合する場合は、カラーフィルタ側の透明基板の視認側の面の偏光板側上に透明面材が積層されることになる。そうすると、表示パネルと同じ大きさか、またはそれより大きい透明面材により、接地のために偏光板の貼合領域より露出した透明導電層の全面が覆われてしまうため、該透明導電層を電気的に接地するための構成を設けることが難しい。また、透明面材が貼合される構成の液晶表示装置においては、液晶パネルの表示面側に金属フレームを用いないものが多い。
【0006】
本発明は、前記事情に鑑みてなされたもので、透明基板の間に液晶層が設けられた表示パネルであって、液晶層よりも視認側の透明基板の視認側の面上に透明導電層が設けられている表示パネルを保護するのに好適な粘着層付き透明面材、該粘着層付き透明面材を備えた表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の粘着層付き透明面材は、透明面材と、前記透明面材の一方の表面に形成された粘着層と、前記粘着層の、前記透明面材側とは反対側の表面を覆う、剥離可能な保護フィルムと、を備え、前記保護フィルムは、前記粘着層側とは反対側の表面の少なくとも一部の表面抵抗値が1×10〜1×10Ω/□であることを特徴とする。
【0008】
前記透明面材が、少なくとも一方の表面の周縁部に形成された遮光部と、該遮光部によって囲まれた透光部とを有し、前記保護フィルムが、前記透明面材の法線方向からみて前記遮光部と重なる部分の前記保護フィルムに形成された切れ込みによって、額縁状の残存部と、該残存部によって囲まれた剥離部とに分離、または分離可能にされていることが好ましい。
ここで保護フィルムの残存部は、前記粘着層側とは反対側の表面における表面抵抗値が、1×10〜1×10Ω/□であることが好ましい。保護フィルムは、前記粘着層側とは反対側の表面全体の表面抵抗値が1×10〜1×10Ω/□となっていてもよい。
また前記保護フィルムは、1層以上の支持材と、微粘着層とを有する積層体からなり、前記微粘着層が、前記保護フィルムの前記粘着層側とは反対側の最外層に位置し、前記微粘着層に最も近い支持材と該微粘着層の間に導電層が設けられていることが好ましい。前記微粘着層自体が導電性を有していると更に好ましい。
前記透明面材が、表示装置の保護板であることが好ましい。
【0009】
本発明の表示装置は、一対の透明基板の間に液晶層が設けられた表示パネルと、該表示パネルの視認側の面上に粘着層を介して貼合された透明面材を有する表示装置であって、
前記透明面材の外周は、前記表示パネルの外周と一致又は前記表示パネルの外周の外側に位置し、前記表示パネルは、前記視認側の面上に透明導電層を有し、前記透明面材が、上述の粘着層付き透明面材からなり、前記保護フィルムの前記残存部を残存させ、前記剥離部を剥離した状態で前記粘着層が前記表示パネルに接するように、前記表示パネルに貼合されていることを特徴とする。
前記表示パネルの前記視認側の面上の透明導電層と、前記保護フィルムの表面抵抗値が1×10〜1×10Ω/□の前記残存部とは、電気的に接続されていることが好ましい。この表示装置は特にIPSモードなどの横電界方式の液晶表示パネルに好適である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、粘着層付き透明面材の保護フィルムの一部を残存させ、それ以外の部分を剥離したものを表示装置の表示パネルに貼合し、該残存させた保護フィルムと表示パネルに設けられた接地用の透明導電層とを電気的に接続させることにより、該透明導電層を接地させる構成を容易に実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の粘着層付き透明面材の一例を示す断面図である。
【図2】図1の粘着層付き透明面材に用いられる保護フィルムの第1の例を模式的に示す断面図である。
【図3】保護フィルムの第2の例を模式的に示す断面図である。
【図4】保護フィルムの第3の例を模式的に示す断面図である。
【図5】粘着層付き透明面材の製造工程(a)の段階で得られた製造過程品を説明する平面図である。
【図6】粘着層付き透明面材の製造工程(a)の段階で得られた製造過程品を説明する断面図である。
【図7】粘着層付き透明面材の製造工程(b)を説明する平面図である。
【図8】粘着層付き透明面材の製造工程(b)を説明する断面図である。
【図9】粘着層付き透明面材の製造工程(c)を説明する断面図である。
【図10】図1の粘着層付き透明面材を用いた表示装置の例を示す断面図である。
【図11】表示パネルと保護フィルムの剥離部が剥離された粘着層付き透明面材とを貼合する工程(工程S2)を説明する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本明細書において、「透明面材」における「透明」とは、面材と表示パネルの表示面とを粘着層を介して、空隙なく貼合した後に、表示パネルの表示画像の全体または一部が光学的な歪を受けることなく面材を通して視認できる様態を意味する。したがって、表示パネルから面材に入射する光の一部が面材により吸収、反射されたり、または光学的な位相の変化などによって、面材の可視線透過率が低いものであっても、面材を通して光学的な歪なく表示パネルの表示画像を視認することができるのであれば、「透明」であるということができる。また「(メタ)アクリレート」は、アクリレートまたはメタクリレートを意味する。
【0013】
<粘着層付き透明面材>
図1は、本発明の粘着層付き透明面材の一例を示す断面図である。
粘着層付き透明面材1は、保護板(すなわち、透明面材)10と、保護板10の表面の周縁部に額縁状に形成された遮光印刷部(すなわち、遮光部)12と、遮光印刷部12が形成された側の保護板10の表面に形成された粘着層14と、粘着層14の表面を覆う、剥離可能な保護フィルム(いわゆる保護材)16と、を有する。保護板10のうち、遮光印刷部12が形成されていない、遮光印刷部12に囲まれた領域は、光を通す透光部13である。
保護フィルム16は、粘着層14の表面を保護するものであり、通常粘着層付き透明面材1と表示パネルとを貼合する直前まで粘着層14の形状を維持する。
保護フィルム16は、保護板10の法線方向からみて遮光印刷部12と重なる部分の保護フィルム16に形成された切れ込み16cによって、周縁部の額縁状の残存部16bと、該残存部16bによって囲まれた剥離部16aとに分離、または分離可能にされている。
粘着層付き透明面材1は、保護フィルム16の剥離部16aを剥離した後、表示パネルと貼合することで表示装置を製造することができる。
粘着層14は透明面材1の両面に形成されていてもよく、その場合にはいずれの粘着層14の表面も剥離可能な保護フィルム16で覆われている。
【0014】
(保護板)
保護板10は、後述する表示パネルの画像表示面側(視認側)に設けられて表示パネルを保護する。保護板10としては、ガラス板、または透明樹脂板が挙げられる。表示パネルからの出射光や反射光に対して透明性が高い点はもちろん、耐光性、低複屈折性、高い平面精度、耐表面傷付性、高い機械的強度を有する点からも、ガラス板が最も好ましい。後述する製造過程において光硬化性樹脂組成物を硬化させるための光を充分に透過させる点でも、ガラス板が好ましい。
【0015】
ガラス板の材料としては、ソーダライムガラス等のガラス材料が挙げられ、鉄分がより低く、青みの少ない高透過ガラス(白板ガラスとも呼ばれる)がより好ましい。安全性を高めるために保護板10として強化ガラスを用いてもよい。特に薄いガラス板を用いる場合には、化学強化を施したガラス板を用いることが好ましい。透明樹脂板の材料としては、透明性の高い樹脂材料(ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート等)が挙げられる。
【0016】
保護板10には、粘着層14との界面接着力を向上させるために、表面処理を施してもよい。表面処理の方法としては、保護板10の表面をシランカップリング剤で処理する方法、フレームバーナーによる酸化炎によって酸化ケイ素の薄膜を形成する方法等が挙げられる。
【0017】
保護板10には、表示画像のコントラストを高めるために、粘着層14が形成された側に対して反対側の表面に反射防止層を設けてもよい。また、目的に応じて、保護板10の一部または全体を着色したり、保護板10の表面の一部または全体を磨りガラス状にして光を散乱させたり、保護板10の表面の一部または全体に微細な凹凸等を形成して透過光を屈折または反射させてもよい。また、着色フィルム、光散乱フィルム、光屈折フィルム、光反射フィルム等を、保護板10の表面の一部または全体に貼着してもよい。
【0018】
保護板10の形状は、表示装置の外形に合わせる意味で、矩形である場合が多いが、矩形の各コーナーを曲線化したり、保護板全体を曲線で構成したり、非対称な形状とすることで意匠性を向上させたり、表示装置の筺体への配設が容易になるようにしてもよい。
保護板10の大きさは、表示パネルと同寸法以上であればよく、表示装置の外形に合わせて適宜設定すればよい。保護板10の厚さは、機械的強度、透明性の点から、ガラス板の場合は0.5〜25mmであることが好ましい。屋内で使用するテレビ受像機、PC用ディスプレイ等の用途では、表示装置の軽量化の点から、1〜6mmが好ましく、屋外に設置する公衆表示用途では、3〜20mmが好ましい。化学強化ガラスを用いる場合は、ガラス板の厚さは、強度の点で、0.5〜1.5mm程度が好ましい。透明樹脂板の場合は、2〜10mmが好ましい。
【0019】
(遮光印刷部)
遮光印刷部(遮光部)12は、後述する表示パネルの画像表示領域以外が保護板10側から視認できないようにして、表示パネルに接続されている配線部材等を隠蔽する。遮光印刷部12は、保護板10の粘着層14が形成される側またはその反対側の表面に形成することができる。遮光印刷部12と画像表示領域との視差を低減する点では、粘着層14が形成される側の表面に形成することが好ましい。保護板10がガラス板の場合、遮光印刷部12に黒色顔料を含むセラミック印刷用インクを用いると遮光性が高く好ましい。表示パネルが配設される筺体の意匠に応じて白色顔料を含む有機インクを用いることもできる。
表示パネルの配線部材等が、表示パネルを観察する側からは視認できない構造であったり、表示装置の筺体などの他の部材により隠蔽される場合には、遮光印刷部を保護板10に形成しない場合もある。
【0020】
(粘着層)
粘着層14は、保護板10の表面に沿って広がる層状部18と、層状部18の周縁に接した形態で層状部18を囲む堰状部20とを有する。粘着層14が堰状部20を有することによって、層状部18の周縁部が外方へ拡がり、周縁部が薄肉化することが抑えられ、層状部18の全体の厚さを均一に保つことができる。層状部18の全体の厚さを均一にすることで、他の面材(すなわち、被貼合物)との貼合において、その界面に空隙が残留することを抑制しやすく好ましい。
【0021】
粘着層14においては、堰状部20の厚さが層状部18の厚さよりも厚くなっている。層状部18の表面が平坦でなく、層状部18の厚さが一定でなかったとしても、堰状部20が層状部18と近接する領域の少なくとも一部において、堰状部20の厚さが層状部18の厚さよりも大きいことが好ましい。
【0022】
(層状部)
層状部18は、後述する液状の層状部形成用硬化性樹脂組成物(以下、第一組成物と記す。)を硬化してなる透明樹脂からなる層である。
【0023】
層状部18の、25℃におけるせん断弾性率は、10〜10Paが好ましく、10〜10Paがより好ましい。さらに、貼合時の空隙をより短時間に消失させるためには、10〜10Paが特に好ましい。せん断弾性率が10Pa以上であれば、層状部18の形状を維持できる。また、層状部18の厚さが比較的厚い場合であっても、層状部18全体で厚さを均一に維持でき、粘着層付き透明面材1と表示パネルとを貼合する際に、表示パネルと粘着層14との界面に空隙が発生しにくい。また、せん断弾性率が10Pa以上であると、後述する保護フィルムを剥離する際に層状部の変形を抑えやすい。せん断弾性率が10Pa以下であれば、表示パネルと貼合させた場合に層状部18が良好な密着性を発揮できる。また、層状部18を形成する樹脂材の分子運動性が比較的高いため、減圧雰囲気下にて表示パネルと粘着層付き透明面材1とを貼合した後、これを大気圧雰囲気下に戻した際に、空隙内の圧力(減圧のままの状態の圧力)と層状部18にかかる圧力(すなわち、大気圧)との差圧によって空隙の体積が減少しやすくなり、また、体積が減少した空隙内の気体が層状部18に溶解し、吸収されやすい。
【0024】
層状部18の厚さは、0.03〜2mmが好ましく、0.1〜0.8mmがより好ましい。層状部18の厚さが0.03mm以上であれば、保護板10側からの外力による衝撃等を層状部18が効果的に緩衝して、表示パネルを保護できる。また、本実施形態の表示装置の製造方法において、表示パネルと粘着層付き透明面材1との間に層状部18の厚さを超えない異物が混入しても、層状部18の厚さが大きく変化することなく、光透過性能への影響が少ない。層状部18の厚さが2mm以下であれば、層状部18に空隙が残留しにくく、また、表示装置の全体の厚さが不要に厚くならない。層状部18の厚さを調整する方法としては、堰状部20の厚さを調節するとともに、保護板10の表面に供給される液状の第一組成物の供給量を調節する方法が挙げられる。
【0025】
(堰状部)
堰状部20は、後述する液状の堰状部形成用硬化性樹脂組成物(以下、第二組成物と記す。)を塗布し、硬化してなる透明樹脂からなる部分である。表示パネルの画像表示領域の外側の領域が比較的狭いため、堰状部20の幅は狭くすることが好ましい。堰状部20の幅は、0.5〜2mmが好ましく、0.8〜1.6mmがより好ましい。また、堰状部20の厚さは、堰状部と層状部とが近接する領域を除いた層状部の平均的な厚みとほぼ等しいか、または前述のように、層状部の厚みより0.005〜0.05mm厚いことが好ましく、0.01〜0.03mm厚いことがより好ましい。
【0026】
堰状部20の、25℃におけるせん断弾性率は、層状部18の25℃におけるせん断弾性率よりも大きいことが好ましい。堰状部20のせん断弾性率が、層状部18のせん断弾性率よりも大きければ、表示パネルと粘着層付き透明面材1とを貼合する際に、粘着層14の周縁部において、表示パネルと粘着層14との界面に空隙が残存していても、空隙が外部に開放されにくく、独立した空隙となりやすい。よって、減圧雰囲気下にて表示パネルと粘着層付き透明面材1とを貼合した後、これを大気圧雰囲気下に戻した際に、空隙内の圧力(すなわち、減圧のままの状態の圧力)と粘着層14にかかる圧力(すなわち、大気圧)との差圧によって空隙の体積が減少し、空隙は消失しやすい。
また、堰状部20のせん断弾性率を、層状部18のせん断弾性率よりも大きくすることで、堰状部20が層状部18と近接する領域の少なくとも一部において、堰状部の厚さが層状部の厚さよりも大きい、粘着層付き透明面材1を製造しやすくなる。
【0027】
後述のように、粘着層付き透明面材1に、ガスバリア性の高い保護フィルム16を設けることにより、保管中などに外気(たとえば、酸素、窒素、水蒸気など)が保護フィルム16を透過して粘着層14に混入、溶解するのを抑制できる。
【0028】
(保護フィルム)
(第1の例)
図2は、保護フィルム16の第1の例である保護フィルム16Aを模式的に示す断面図である。なお切り込み16cの図示は省略している(以下、図3、図4においても同様)。
保護フィルム16Aは、第1支持材3と、その上面3a全域に形成されたバリア層(すなわち、ガスバリア層)4と、バリア層4の上面4aに積層された第2支持材5と、第2支持材5の上面5aに接着層6を介して積層された第3支持材7と、第3支持材7の上面7aに形成された導電層9と、導電層9の上面9aに形成された微粘着層8と、を備えている。
【0029】
第1支持材3は、下面3bを粘着層14に当接させて使用されるものであって、ポリエチレン、ポリプロピレン、フッ素系樹脂等の樹脂からなるフィルムであることが好ましい。特に、ポリオレフィン系樹脂(ポリエチレン、ポリプロピレン等)を使用すると、粘着層14からの剥離が容易となるため好ましい。
第1支持材3の好適な厚さは、材質により異なるが、ポリエチレン、ポリプロピレン等の比較的柔軟なフィルムを用いる場合には、0.02〜0.2mmが好ましい。この厚さが0.02mm以上であれば、粘着層14から保護フィルム16Aを剥離する際に保護フィルム16Aの過度の変形を抑えることができる。保護フィルム16Aの厚さが0.2mm以下であれば、剥離時に保護フィルム16が撓みやすくなり、剥離させる操作を容易にできる。
第1支持材3がその上面に自己粘着層を有していると、第2支持材5に形成されたバリア層4と容易に貼合でき、好ましい。
【0030】
第1支持材3の下面3bには、粘着層14からの剥離を容易にすること、又は表示パネルに貼合する際に、表示パネルと粘着層との界面に形成される空隙を迅速に消滅させるため、粗面化を施してもよい。このとき、下面3bは、JIS B0601(2001年)の規格に規定される十点平均粗さRzが2.0〜20μmである粗面構造とされることが好ましい。
下面3bの十点平均粗さRzは、2.0〜10μmであることがより好ましく、2.0〜6μmであることがさらに好ましい。下面3bが上述の範囲のRzを有する粗面構造であることにより、粘着層14の保護フィルム16側の上面を、下面3bの粗面構造に追従した粗面構造としやすい。また、下面3bの算術平均粗さRaは0.2〜1.0μmであることが好ましい。
第1支持材3の下面3bに、粗面構造を形成しうる別の層を貼合することで、保護フィルム16Aの微粘着層8と反対の面に粗面構造を提供することもできる。例えば、ポリプロピレンよりなる第1の支持材3の下面3bに、共にポリオレフィン系である、ポリプロピレンとポリエチレンよりなるポリマープレンド層により粗面構造を形成すると、粘着層14との剥離も容易となり好ましい。
また、下面3bには背面層を設け、粘着層14からの剥離を容易にすることもできる。背面層には、ポリエチレン、ポリプロピレン、フッ素系樹脂等の密着性の比較的低いフィルムを用いることが好ましい。また、剥離を容易にするために、粘着層14に悪影響を与えない範囲において、下面3bまたは背面層にシリコーンなどの離型剤を塗布することもできる。
【0031】
バリア層4(すなわち、ガスバリア層)は、外部から気体(たとえば、酸素ガス、窒素ガス、水蒸気等)が保護フィルム16を透過して粘着層14に混入するのを防止する層であって、低ガス透過性の材料からなることが好ましい。ガス透過度としては「酸素透過度」をJIS K 7126の規格に従って測定することでその目安とすることできる。バリア層4を形成した保護フィルム16の「酸素透過度」は100cc/m・day・atm以下が好ましい。
これにより、この粘着層付き透明面材1が製造された後、使用されるまでの間に、すなわち、粘着層付き透明面材を製造した後、表示装置の製造のために、表示装置の表示パネルの表面に粘着層付き透明面材に貼合するまでの間に、外気が保護フィルム16を透過して粘着層14に混入するのを防ぐことができる。
【0032】
バリア層4の材料は、所定の酸素透過度が得られれば特に限定されないが、たとえば酸化物、窒化物、硫化物、炭化物等の無機化合物や粘土系材料、無機化合物または粘土と樹脂とによる複合体などが好ましい。
具体的には、酸化珪素(SiO)、酸化アルミニウム(Al)、窒化珪素、酸窒化珪素、酸窒化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化スズ、層状珪酸塩の粘土結晶等を挙げることができ、特に、酸化珪素(SiO)、酸化アルミニウム(Al)が好ましい。
【0033】
バリア層4は、厚さを0.01μm以上(好ましくは、0.02〜2μm)とすると、ガスバリア性を高めることができ、好ましい。
【0034】
第2支持材5および第3支持材7は、ガスバリア性に優れたポリエステル系樹脂、特にポリエチレンテレフタレート(以下、PETという)からなるフィルムであることが好ましい。ポリエステル系樹脂としては、PETのほか、ポリエチレンナフタレート(PEN)も使用できる。
このほか、ナイロン−6、ナイロン−66等のポリアミド系樹脂も使用できる。また、ポリビニルアルコールを使用してもよい。
【0035】
第2支持材5および第3支持材7の厚さは、PETなどのポリエステル系樹脂からなるフィルムを用いる場合には、5〜50μmが好ましい。この厚さが5μm以上であれば、ガスバリア性を高めることができ、50μm以下であれば、剥離時に保護フィルム16が撓みやすくなり、剥離させる操作を容易にできる。
【0036】
接着層6(粘着層であってもよい)には、アクリル系、ゴム系、シリコーン系、ウレタン系などの接着剤や粘着剤を使用できる。
【0037】
導電層9は、これを設けることによって、保護フィルム16の粘着層14側とは反対側の表面に所望の表面抵抗を付与できるものであればよい。導電層9を形成する材料としては、例えば金、ニッケル等の金属;ITO(Indium Tin Oxide)、IZO(Indium Zinc Oxide)、酸化錫等の金属酸化物;導電性高分子、有機金属錯体等の有機導電材料等が挙げられる。導電層9は、粘着層14の形成において短波長の可視光や紫外線を用いる場合には、その波長に対して透過性を有することが好ましい。特に、ITOや酸化錫などの金属酸化物が好ましい。
導電層9の形成方法は特に限定されず、蒸着、スパッタリング法、プラズマCVD法、ゾルゲル法、湿式法などにより、第3支持材7の表面に形成することができる。
【0038】
微粘着層8は、保護フィルム16Aを後述する支持面材10に対して剥離可能に貼着させるものであって、たとえばアクリル系やスチレン系の粘着材、エチレンビニルアセテート樹脂などを使用できる。
微粘着層8の粘着面の粘着力は、アクリル板に対する剥離速度300mm/分での180°剥離試験における25mm幅の試験体にて、0.02〜0.2Nが好ましく、0.04〜0.1Nがさらに好ましい。粘着力が0.02N以上であると支持面材10への貼着が可能であり、0.2N以下であると支持面材10から保護フィルム16を剥離させることが容易である。
支持面材10とは、後述の表示装置の製造方法における、保護フィルム16Aを粘着層14に重ねあわせて貼着させる工程で保護フィルム16Aを保持するために用いられるものである。
【0039】
微粘着層8は、該導電層9上に微粘着層8が存在する状態で、保護フィルム16の粘着層14側とは反対側の表面、すなわち微粘着層8側の表面における表面抵抗値が所望の値となり、かつ所望の粘着力が得られればよい。微粘着層8が、保護フィルム16Aの全面に一様に設けられていてもよく、部分的に設けられていてもよい。微粘着層8側の表面における表面抵抗値を高くしやすい点では、微粘着層8を部分的に設けることが好ましく、例えばドット状に設けることが好ましい。
例えば保護フィルム16Aの全面に一様な微粘着層8を設ける場合、材質にもよるが、その厚さは0.1〜10μmが好ましく、0.5〜5μmがより好ましい。
また、微粘着層が導電性を有すると更に好ましく、その場合は更に厚い微粘着層であってもよい。
【0040】
保護フィルム16は、粘着層14側とは反対側の表面における表面抵抗値が1×10〜1×10Ω/□とされる。
該表面抵抗値が上記範囲の上限値以下であると、保護フィルム16の剥離部16aを剥離した後、接地用の透明導電層を有する表示パネルと貼合したときに、該接地用の透明導電層と保護フィルム16の残存部16bとを電気的に接続できる。こうすることにより、接地のための構成を実現できる。該表面抵抗値が上記範囲より低いと、導電層の厚さを厚くする必要が生じ、導電層形成時に第2支持材5が形成時の熱などで変形するおそれがある。
該表面抵抗値は1×10〜1×10Ω/□であるとより好ましい。
なお、本明細書において、表面抵抗値は、4端子法による測定にて得られる値である。
また、本発明では、保護フィルムの保護フィルムの剥離部を除く、残存部の表面の少なくとも一部が、上記表面抵抗値の範囲にあればよく、当該一部に導電層が形成されていることが好ましい。残存部16b全面が上記抵抗値の範囲にあることが好ましく、保護フィルム16全面を上記抵抗値の範囲としてもよい。
【0041】
後述のように、粘着層14が光硬化性組成物からなり、かつ保護フィルム16を通して短波長の可視光や紫外線等を照射して光硬化性樹脂組成物を硬化させる場合には、保護フィルム16は、照射光に対して十分な透過性を有することが必要である。
たとえば、紫外線(波長360nm)の透過率は30%以上であることが好ましい。
保護フィルム16の厚さは特に限定されず、各層の好ましい厚さの合計とすることができる。粘着層付き透明面材1と貼合される表示パネルにおける、接地用の透明導電層より視認側に存在する偏光板などの層の合計の厚さを超えない範囲であることが好ましい。
【0042】
本実施形態では、粘着層14は光硬化性組成物からなるが、粘着層14に熱硬化性組成物等を用いる場合は、保護フィルム16を通した光の照射が必要なくなるため、光透過性が低い保護材(たとえばアルミニウムなどの金属からなる箔材を有するもの)を使用してもよい。
【0043】
保護フィルム16Aは、たとえば次の方法により作製できる。
バリア層4を形成した第2支持材5に、ドライラミネートやウェットラミネートなどの手法により接着層6を介して、導電層9を形成した第3支持材7を積層する。次いで、この積層体に、第1支持材3の上面3aに形成した自己粘着層や熱融着などにより第1支持材3を積層するとともに、導電層9の上面9aに微粘着層8を形成して、図2に示す保護フィルム16Aを得る。
バリア層4の形成方法は特に限定されず、蒸着、スパッタリング法、プラズマCVD法、ゾルゲル法等、湿式法などにより、第2支持材5(または第1支持材3)の表面に形成することができる。
【0044】
(第2の例)
図3は、保護フィルム16の第2の例である保護フィルム16Bを模式的に示す断面図である。以下の説明において、第1の例の保護フィルム16Aとの共通部分については同じ符号を付して説明を省略する。
保護フィルム16Bは、第1支持材3と、その上面3aに形成されたバリア層4と、バリア層4の上面4aに積層された第2支持材5と、第2支持材5の上面5aに形成された導電層9と、導電層9の上面9aに形成された微粘着層8とを有する。
保護フィルム16Bは、たとえば次の方法により作製できる。
一方の面にバリア層4を形成し、他方の面に導電層9を形成した第2支持材5を、第1支持材3の上面3aに形成した自己粘着層や熱融着などにより第1支持材3の上面3aに前記バリヤ層4が接するように積層し、導電層9の上面9aに微粘着層8を形成することによって、保護フィルム16Bを得る。
【0045】
(第3の例)
図4は、保護フィルム16の第3の例である保護フィルム16Cを模式的に示す断面図である。
保護フィルム16Cは、第1支持材3と、その上面3aに形成された導電層9と、導電層9の上面9aに形成された微粘着層8とを有する。
保護フィルム16Cは、たとえば次の方法により作製できる。
第1支持材3の上面3aに形成した導電層9の上面9aに微粘着層8を形成することによって、保護フィルム16Cを得る。
第1〜第3の例においては、保護フィルムの粘着層に面する面と反対の面全面が1×10〜1×10Ω/□の表面抵抗値である場合について説明したが、本発明では、保護フィルムの周縁部のみが、すなわち残存部が、このような表面抵抗値となるように導電層が形成されたものを用いてもよい。
【0046】
[粘着層付き透明面材の製造方法]
本実施形態の粘着層付き透明面材の製造方法は、下記の工程(a)〜(f)をこの順に有する方法である。
(a)透明面材の表面の周縁部に、第二組成物を塗布して堰状部を形成する工程。
(b)堰状部で囲まれた領域に、液状の第一組成物を供給する工程。
(c)1kPa以下の減圧雰囲気下にて、第一組成物の上に、保護フィルムが貼着された支持面材を、保護フィルムが第一組成物に接するように重ねて、透明面材、保護フィルムおよび堰状部で第一組成物からなる未硬化の層状部が密封された積層体を得る工程。
(d)50kPa以上の圧力雰囲気下に積層体を置いた状態にて、未硬化の層状部を硬化させ、層状部および堰状部を有する粘着層を形成する工程。
(e)支持面材を保護フィルムから剥離する工程。
(f)工程(c)の前、または工程(e)の後、保護フィルムに切れ込みを形成し、保護フィルムを周縁部の残存部と、該残存部によって囲まれた剥離部とに分離、または分離可能にする工程。
【0047】
以下、工程(a)〜工程(f)について、詳細に説明する。
(工程(a))
まず、透明面材の表面の周縁部に、第二組成物を塗布して堰状部を形成する。
塗布は、印刷機、ディスペンサ等を用いて行われる。堰状部は、未硬化の状態であってもよく、硬化または半硬化の状態であってもよい。堰状部の硬化は、第二組成物が光硬化性組成物である場合、光の照射によって行う。たとえば、光源(紫外線ランプ、高圧水銀灯、UV−LED等)から紫外線または短波長の可視光を照射して、光硬化性樹脂組成物を硬化させる。
【0048】
第二組成物の粘度は、500〜3,000Pa・sが好ましく、800〜2,500Pa・sがより好ましく、1,000〜2,000Pa・sがさらに好ましい。粘度が500Pa・s以上であれば、未硬化の堰状部の形状を比較的長時間維持でき、未硬化の堰状部の高さを充分に維持できる。粘度が3,000Pa・s以下であれば、未硬化の堰状部を塗布によって形成できる。
また、堰状部を形成する第二組成物の塗布時の粘度が500Pa・sより小さい場合であっても、第二組成物が光硬化性組成物である場合には、塗布の直後に光を照射することで、光照射後の第二組成物の粘度を上述の好ましい範囲とすればよい。塗布の容易さからは、第二組成物の塗布時の粘度が500Pa・s以下である方が好ましく、200Pa・s以下が更に好ましい。
なお、本明細書において第二組成物及び後述する第一組成物の粘度は、25℃においてE型粘度計を用いて測定したものをいう。
【0049】
第二組成物は、光硬化性樹脂組成物であってもよく、熱硬化性樹脂組成物であってもよい。第二組成物としては、低温で硬化でき、かつ硬化速度が速い点、および、低粘度の第二組成物を塗布直後の光照射により高粘度化できることから、硬化性化合物および光重合開始剤(C)を含む光硬化性樹脂組成物が好ましい。
【0050】
第二組成物としては、粘度を前記範囲に調整しやすい点から、前記硬化性化合物として、硬化性基を有し、かつ数平均分子量が30,000〜100,000であるオリゴマー(A)の1種以上と、硬化性基を有し、かつ分子量が125〜600であるモノマー(B)の1種以上とを含み、モノマー(B)の割合が、オリゴマー(A)とモノマー(B)との合計(100質量%)のうち、15〜50質量%であるものが好ましい。塗布直後の光照射により、粘度を前記範囲に調整する場合には、前記モノマー(B)の割合が、オリゴマー(A)とモノマー(B)との合計(100質量%)のうち、30〜70質量%であるものが好ましい。
【0051】
オリゴマー(A)の硬化性基としては、付加重合性の不飽和基(アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基等)、または不飽和基とチオール基との組み合わせ等が挙げられる。
硬化速度が速い点および透明性の高い堰状部が得られる点から、アクリロイルオキシ基およびメタクリロイルオキシ基から選ばれる基が好ましい。
オリゴマー(A)は、堰状部形成用光硬化性樹脂組成物の硬化性、堰状部の機械的特性の点から、硬化性基を1分子あたり平均1.8〜4個有するものが好ましい。オリゴマー(A)としては、ウレタン結合を有するウレタンオリゴマー、ポリオキシアルキレンポリオールのポリ(メタ)アクリレート、ポリエステルポリオールのポリ(メタ)アクリレート等が挙げられ、ウレタン鎖の分子設計等によって硬化後の樹脂の機械的特性、透明面材または表示パネルとの密着性等を幅広く調整できる点から、ウレタンオリゴマー(A1)が好ましい。
【0052】
モノマー(B)の硬化性基としては、付加重合性の不飽和基(アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基等)、または不飽和基とチオール基との組み合わせ等が挙げられる。硬化速度が速い点および透明性の高い堰状部が得られる点から、アクリロイルオキシ基およびメタクリロイルオキシ基から選ばれる基が好ましい。
モノマー(B)は、透明面材または表示パネルと堰状部との密着性や後述する各種添加剤の溶解性の点から、水酸基を有するモノマー(B3)を含むことが好ましい。水酸基を有するモノマー(B3)としては、水酸基数1〜2、炭素数3〜8のヒドロキシアルキル基を有するヒドロキシアクリレート、または、ヒドロキシメタアクリレート(2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシブチルアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、6−ヒドロキシヘキシルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、2−ヒドロキシブチルメタクリレート、4−ヒドロキシブチルメタクリレート、6−ヒドロキシヘキシルメタクリレート等)が好ましく、4−ヒドロキシブチルアクリレート、または、2−ヒドロキシブチルメタクリレートが特に好ましい。モノマー(B)も1種でも2種以上用いてもよい。
【0053】
光重合開始剤(C)としては、アセトフェノン系、ケタール系、ベンゾインまたはベンゾインエーテル系、フォスフィンオキサイド系、ベンゾフェノン系、チオキサントン系、キノン系等の光重合開始剤が挙げられる。吸収波長域の異なる2種以上の光重合開始剤(C)を併用することによって、硬化時間をさらに速めたり、堰状部における表面硬化性を高めたりすることができる。塗布直後の光照射により、第二樹脂組成物の粘度を上述の好ましい範囲に調整する場合には、吸収波長域の異なる2種以上の光重合開始剤(C)を併用することが特に好ましい。
【0054】
(工程(b))
工程(a)の後、堰状部で囲まれた領域に液状の第一組成物を供給する。
第一組成物の供給量は、堰状部、透明面材および保護フィルムによって形成される空間が第一組成物によって充填され、かつ透明面材と保護フィルムとの間を所定の間隔とする(すなわち層状部を所定の厚さとする)だけの分量にあらかじめ設定する。この際、第一組成物の硬化収縮による体積減少をあらかじめ考慮することが好ましい。よって、該分量は、硬化によって形成される層状部の所定厚さよりも、供給される液状の第一組成物の厚さが若干厚くなる量が好ましい。
供給方法としては、透明面材を平置きにし、ディスペンサ、ダイコータ等の供給手段によって、点状、線状または面状に供給する方法が挙げられる。
【0055】
第一組成物の粘度は、0.05〜50Pa・sが好ましく、1〜20Pa・sがより好ましい。粘度が0.05Pa・s以上であれば、後述するモノマー(B')の割合を抑えることができ、層状部の物性の低下が抑えられる。また、低沸点の成分が少なくなるため、後述する減圧雰囲気下における揮発が抑えられ好適となる。粘度が50Pa・s以下であれば、層状部に空隙が残留しにくい。
第一組成物の粘度は、25℃においてE型粘度計を用いて測定する。
【0056】
第一組成物は、光硬化性樹脂組成物であってもよく、熱硬化性樹脂組成物であってもよい。第一組成物としては、低温で硬化でき、かつ硬化速度が速い点から、硬化性化合物および光重合開始剤(C')を含む光硬化性樹脂組成物が好ましい。
【0057】
層状部形成用光硬化性樹脂組成物としては、粘度を前記範囲に調整しやすい点から、前記硬化性化合物として、硬化性基を有し、かつ数平均分子量が1,000〜100,000であるオリゴマー(A')の1種以上と、硬化性基を有し、かつ分子量が125〜600であるモノマー(B')の1種以上とを含み、モノマー(B')の割合が、オリゴマー(A')とモノマー(B')との合計(100質量%)のうち、40〜80質量%であるものが好ましい。
【0058】
オリゴマー(A')の硬化性基としては、付加重合性の不飽和基(アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基等)、または不飽和基とチオール基との組み合わせ等が挙げられ、硬化速度が速い点および透明性の高い層状部が得られる点から、アクリロイルオキシ基およびメタクリロイルオキシ基から選ばれる基が好ましい。
【0059】
モノマー(B')の硬化性基としては、付加重合性の不飽和基(アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基等)、または不飽和基とチオール基との組み合わせ等が挙げられ、硬化速度が速い点および透明性の高い層状部が得られる点から、アクリロイルオキシ基およびメタクリロイルオキシ基から選ばれる基が好ましい。
モノマー(B')としては、層状部形成用光硬化性樹脂組成物の硬化性、層状部の機械的特性の点から、硬化性基を1分子あたり1〜3個有するものが好ましい。
【0060】
光重合開始剤(C')としては、アセトフェノン系、ケタール系、ベンゾインまたはベンゾインエーテル系、フォスフィンオキサイド系、ベンゾフェノン系、チオキサントン系、キノン系等の光重合開始剤が挙げられる。
【0061】
(工程(c))
工程(b)の後、第一組成物が供給された透明面材を減圧装置に入れ、減圧装置内の固定支持盤の上に第一組成物の面が上になるように透明面材を平置きする。
減圧装置内の上部には、上下方向に移動可能な移動支持機構が設けられ、移動支持機構に支持面材(たとえば、ガラス板等)が取り付けられる。支持面材の下側の表面には保護フィルムが微粘着層8によって貼着される。
支持面材は、透明面材の上方かつ第一組成物と接しない位置に置く。すなわち、透明面材の上の第一組成物と支持面材の表面の保護フィルムとを接触させることなく対向させる。
【0062】
透明面材および支持面材を所定の位置に配置した後、減圧装置の内部を減圧して所定の減圧雰囲気とする。減圧装置の内部が所定の減圧雰囲気となった後、移動支持機構で支持された支持面材を下方に移動し、透明面材の上の第一組成物の上に、保護フィルムが貼着された支持面材を、保護フィルムが第一組成物に接するように重ね合わせる。
【0063】
重ね合わせによって、透明面材の表面、支持面材に貼着された保護フィルムの表面、および堰状部で囲まれた空間内に、第一組成物が密封される。
重ね合わせの際、支持面材の自重、移動支持機構からの押圧等によって、第一組成物が押し広げられ、前記空間内に第一組成物が充満し、未硬化の層状部が形成される。その後、工程(d)において高い圧力雰囲気に曝した際に、空隙の少ないまたは空隙のない未硬化の層状部が形成される。
【0064】
重ね合わせの際の減圧雰囲気は、1kPa以下であり、10〜300Paが好ましく、15〜100Paがより好ましい。減圧雰囲気が極度に低圧であると、第一組成物に含まれる各成分(硬化性化合物、光重合開始剤、重合禁止剤、連鎖移動剤、光安定剤等)に悪影響を与えるおそれがある。たとえば、減圧雰囲気が極度に低圧であると、各成分が気化するおそれがあり、また、減圧雰囲気を提供するために時間がかかることがある。
【0065】
透明面材と支持面材とを重ね合わせた時点から減圧雰囲気を解除するまでの時間は、特に限定されず、第一組成物の密封後、直ちに減圧雰囲気を解除してもよく、第一組成物の密封後、減圧状態を所定時間維持してもよい。
【0066】
(工程(d))
工程(c)において減圧雰囲気を解除した後、積層体を雰囲気圧力が50kPa以上の圧力雰囲気下に置く。
積層体を50kPa以上の圧力雰囲気下に置くと、上昇した圧力によって透明面材と支持面材とが密着する方向に押圧される。そのため、積層体内の密閉空間に空隙が存在すると、空隙に未硬化の層状部が流動していき、密閉空間全体が未硬化の層状部によって均一に充填される。
【0067】
積層体を50kPa以上の圧力雰囲気下に置いた時点から未硬化の層状部の硬化を開始するまでの時間(以下、高圧保持時間と記す。)は、特に限定されない。積層体を減圧装置から取り出して硬化装置に移動し、硬化を開始するまでのプロセスを大気圧雰囲気下で行う場合には、そのプロセスに要する時間が高圧保持時間となる。よって、大気圧雰囲気下に置いた時点ですでに積層体の密閉空間内に空隙が存在しない場合、またはそのプロセスの間に空隙が消失した場合は、直ちに未硬化の層状部を硬化させることができる。空隙が消失するまでに時間を要する場合は、積層体を空隙が消失するまで50kPa以上の圧力の雰囲気下で保持する。また、高圧保持時間が長くなっても通常支障は生じないことから、プロセス上の他の必要性から高圧保持時間を長くしてもよい。高圧保持時間は、1日以上の長時間であってもよいが、生産効率の点から、6時間以内が好ましく、1時間以内がより好ましく、さらに生産効率が高まる点から、10分以内が特に好ましい。
【0068】
ついで、未硬化の層状部および未硬化または半硬化の堰状部を硬化させることによって、層状部および堰状部を有する粘着層が形成される。この際、未硬化または半硬化の堰状部は、未硬化の層状部の硬化と同時に硬化させてもよく、未硬化の層状部の硬化の前にあらかじめ硬化させてもよい。
【0069】
未硬化の層状部および未硬化または半硬化の堰状部は、光硬化性組成物からなる場合、光を照射して硬化させる。たとえば、光源(紫外線ランプ、高圧水銀灯、UV−LED等)から紫外線または短波長の可視光を照射して、光硬化性樹脂組成物を硬化させる。透明面材の周縁部に遮光印刷部が形成されている場合、または透明面材に反射防止層が設けられ、反射防止層、または反射防止層を形成した透明樹脂フィルムやその反射防止フィルムと透明面材との間に設けられた粘着層等が紫外線を透過しない場合は、支持面材の側から光を照射する。
【0070】
(工程(e))
支持面材を保護フィルムから剥離することによって、充分な粘着力を有する粘着層が、あらかじめ透明面材に形成され、かつ透明面材と粘着層との界面における空隙の発生が充分に抑えられた、粘着層付き透明面材が得られる。
【0071】
(工程(f))
工程(c)の前または工程(e)の後、保護フィルムにカッターナイフ等によって切れ込みを形成し、保護フィルムを周縁部の残存部と、該残存部によって囲まれた剥離部とに分離、または分離可能にする。工程(c)の前に保護フィルムに切れ込みを形成して残存部と剥離部とに分離した場合、工程(c)において、保護フィルムを支持面材に貼着することが困難となったり、保護フィルムが貼着された支持面材と透明面材(保護板)の上の第一組成物とを重ね合わせる際に保護フィルムの切れ込みを所定の位置に合わせることが困難となったりする点から、工程(e)の後、保護フィルムに切れ込みを形成して残存部と剥離部とに分離することが好ましい。この際、保護フィルムの下の粘着層にカッターナイフの刃が到達しても構わないが、カッターナイフが粘着層を超えて遮光部(遮光印刷部)に到達すると、透明面材側から遮光部の傷として視認されることがあるため、カッターナイフが遮光部と接触しないことが好ましい。
また、工程(e)の後、透明面材の周端から保護フィルムがはみ出している場合、必要に応じて余分な保護フィルムをカッターナイフ等によって切断し、取り除いてもよい。
【0072】
〔具体例〕
以下、図1の粘着層付き透明面材1の製造方法を、図面を用いて具体的に説明する。
【0073】
(工程(a))
図5および図6に示すように、保護板10(透明面材)の周縁部の遮光印刷部12に沿ってディスペンサ(図示略)等によって堰状部形成用光硬化性樹脂組成物を塗布して未硬化の堰状部22を形成する。
【0074】
(工程(b))
ついで、図7および図8に示すように、保護板10の未硬化の堰状部22に囲まれた矩形状の領域24に層状部形成用光硬化性樹脂組成物26を供給する。層状部形成用光硬化性樹脂組成物26の供給量は、未硬化の堰状部22と保護板10と保護フィルム16(図9参照)とによって密閉される空間が層状部形成用光硬化性樹脂組成物26によって充填されるだけの量にあらかじめ設定されている。
【0075】
層状部形成用光硬化性樹脂組成物26の供給は、図7および図8に示すように、保護板10を下定盤28に平置きにし、水平方向に移動するディスペンサ30によって層状部形成用光硬化性樹脂組成物26を線状、帯状または点状に供給することによって実施される。
ディスペンサ30は、一対の送りねじ32と、送りねじ32に直交する送りねじ34とからなる公知の水平移動機構によって、領域24の全範囲において水平移動可能となっている。ディスペンサ30に代えて、ダイコータを用いてもよい。
【0076】
(工程(c))
ついで、図9に示すように、保護板10と、保護フィルム16が貼着された支持面材36とを減圧装置38内に搬入する。減圧装置38内の上部には、複数の吸着パッド40を有する上定盤42が配置され、下部には、下定盤44が設けられている。上定盤42は、エアシリンダ46によって上下方向に移動可能とされている。
支持面材36は、保護フィルム16が貼着された面を下にして吸着パッド40に取り付けられる。保護板10は、層状部形成用光硬化性樹脂組成物26が供給された面を上にして下定盤44の上に固定される。
【0077】
ついで、減圧装置38内の空気を真空ポンプ48によって吸引する。減圧装置38内の雰囲気圧力が、たとえば15〜100Paの減圧雰囲気に達した後、支持面材36を上定盤42の吸着パッド40によって吸着保持した状態で、下に待機している保護板10に向けて、エアシリンダ46を動作させて下降させる。そして、保護板10と、保護フィルム16が貼着された支持面材36とを、未硬化の堰状部22を介して重ね合わせる。このように、保護板10、保護フィルム16および未硬化の堰状部22で層状部形成用光硬化性樹脂組成物26からなる未硬化の層状部が密封された積層体を構成し、減圧雰囲気下で所定時間積層体を保持する。
【0078】
(工程(d))
ついで、減圧装置38の内部をたとえば大気圧雰囲気にした後、積層体を減圧装置38から取り出す。積層体を大気圧雰囲気下に置くと、積層体の保護板10側の表面と支持面材36側の表面とが大気圧によって押圧され、密閉空間内の未硬化の層状部が保護板10と支持面材36とで加圧される。この圧力によって、密閉空間内の未硬化の層状部が流動して、密閉空間全体が未硬化の層状部によって均一に充填される。
【0079】
ついで、支持面材36の側から堰状部22および未硬化の層状部に光(紫外線や短波長の可視光)を照射し、積層体内部の未硬化の層状部を硬化させ、層状部および堰状部を有する粘着層を形成する。
【0080】
(工程(e))
ついで、支持面材36を保護フィルム16から剥離することによって、粘着層付き透明面材1が得られる。
【0081】
(工程(f))
ついで、保護フィルム16の法線方向からみて遮光印刷部12と重なる部分の保護フィルム16に図示されていないカッターナイフの刃を押し付けた状態で、カッターナイフを遮光印刷部12に沿って面方向に移動させることによって切れ込み16cを形成し、保護フィルム16を周縁部の残存部16bと、該残存部16bによって囲まれた剥離部16aとに分離、または分離可能にする。
【0082】
[表示装置]
図10は、本発明の表示装置の一例を示す断面図である。
表示装置2は、表示パネル50と、表示パネル50の視認側の面上に粘着層14を介して貼合された、表示パネル50よりも面積の広い保護板10(透明面材)とを有する。保護板10(透明面材)は、粘着層付き透明面材1から保護フィルム16の剥離部16aのみを剥離したものを、粘着層14が表示パネル50に接するように、表示パネル50に貼合したものである。
【0083】
(表示パネル)
図10に示すように、本実施形態の表示パネル50は、カラーフィルタを設けた透明基板52とTFTを設けた透明基板54とが液晶層56を挟んで貼合され、これが一対の偏光板58によって挟持されている。液晶層56に対してカラーフィルタを設けた透明基板52側が視認側である。カラーフィルタを設けた透明基板52の視認側には偏光板58が設けられており、該偏光板58と透明基板52の間には接地用の透明導電層59が設けられている。偏光板58は透明導電層59よりも一回り小さく、カラーフィルタ側の透明基板52の周縁部において透明導電層59が露出している。また表示パネル50を動作させる駆動ICを搭載したフレキシブルプリント配線板60(FPC)が、表示パネル50に接続して設けられている。
表示パネル50の形状は、矩形である。保護板10と表示パネル50の寸法は、ほぼ等しくてもよいし、表示装置を収納する他の筺体との関係から、保護板10を表示パネル50より一回り大きくしてもよい。
【0084】
表示装置2において、粘着層付き透明面材1から保護フィルム16の剥離部16aのみを剥離することによって露出された、粘着層14の層状部18が、表示パネル50の最外層である偏光板58と密着している。該剥離部16aの大きさは、偏光板58と同寸法または偏光板58より若干大きい。
偏光板58と密着している層状部18の周囲には、保護フィルム16の残存部16bが存在しており、該残存部16bは偏光板58の外側に露出している透明導電層59と対向している。本実施形態の例では偏光板58の厚さよりも保護フィルム16の方が薄く、保護フィルム16の残存部16bと、偏光板58の外側に露出している透明導電層59とが接触していないため、これらを電気的に接続する導電部材61が設けられている。導電部材61は2か所以上に設けてもよい。
導電部材61の材料としては、例えば導電性ゴムや導電性スポンジなどの容易に変形可能なものが好ましく用いられる。粘着層14が容易に変形できる場合には、板状や粒子状の導電部材を用いてもよく、部分的にまたは全体に導電性の接着剤を用いてもよい。
なお、保護フィルムの剥離部を剥離した粘着層付き透明面材1と表示パネル50とを貼合した状態で、保護フィルム16の残存部16bと透明導電層59とが接触する場合は、導電部材61を設けなくてもよい。
【0085】
表示装置2は、具体的には、
表示パネル50と;
表示パネル50よりも面積が大きく、かつ周縁部に額縁状の遮光印刷部12が形成され、遮光印刷部(遮光部)12によって囲まれ、かつ表示パネル50の画像表示領域とほぼ同じ大きさの透光部13を有する、表示パネルの外周部を覆うように積層された保護板10と;
保護板10および表示パネル50に挟まれた粘着層14と;
粘着層14を介して表示パネルに貼合されていない保護板10の周縁部における粘着層14の表面を覆う、保護フィルム16の残存部16bと;
表示パネル50に接続された表示パネル50を動作させる駆動ICを搭載したフレキシブルプリント配線板60(FPC)と;
表示パネルに設けられた接地用の透明導電層59と保護フィルム16の残存部16bとを電気的に接続させる導電部材61と;
を有する。
【0086】
本発明における表示パネルは図示例の液晶パネルに限定されない。
液晶パネルは、一対の透明基板の間に液晶層が設けられた液晶パネルであって、一対の透明基板のうち、液晶層よりも視認側の透明基板の視認側の面上に接地用の透明導電層が設けられた構成を有するものであればよく、特に限定されない。一般的に、前記接地用の透明導電層の視認側には偏光板、位相差板等の光学フィルムが積層され、これら光学フィルムが最外層となっている。
また、液晶パネル以外の表示パネルとしては、視認側に接地用の透明導電層が設けられた構成を有するものであればよく、例えば、電子ペーパー用表示パネル等が挙げられる。
【0087】
表示パネル50の層状部18との接合面には、堰状部20との界面接着力を向上させるために、表面処理を施してもよい。表面処理は、周縁部だけであってもよく、面材の表面全体であってもよい。表面処理の方法としては、低温加工可能な接着用プライマー等で処理する方法等が挙げられる。
表示パネル50の厚さは、TFTによって動作させる液晶パネルの場合は0.4〜4mm程度であり、ELパネルの場合は0.2〜3mm程度であることが多い。
【0088】
[表示装置の製造方法]
表示装置を製造するには、本実施形態の粘着層付き透明面材から保護フィルム(保護材)の剥離部を剥離した後、表示パネルと粘着層付き透明面材とを、粘着層が表示パネルに接するように重ねて貼合する。
表示装置の製造方法は、以下に示す工程S1、S2を含む方法であってよい。
【0089】
(工程S1:保護フィルム剥離工程)
該工程では、粘着層が保護フィルムによって覆われた粘着層付き透明面材から保護フィルムの剥離部を剥離する。以下、保護フィルムの剥離部が剥離された粘着層付き透明面材を、剥離済み粘着層付き透明面材という。保護フィルムの剥離部の剥離は、大気中で実施してもよいし、減圧雰囲気下で実施してもよい。剥離部を剥離した後、工程S2で用いる減圧容器の内部に剥離済み粘着層付き透明面材を移送するまでの間、剥離済み粘着層付き透明面材を大気中に晒すことなく、減圧雰囲気下に保管できるのであれば、剥離部の剥離を減圧雰囲気下で実施することが好ましい。ただし、生産設備等の都合上、保護フィルムの剥離を減圧雰囲気下で実施することは実際には困難であることが多い。その場合、剥離部の剥離を大気中で実施しても特に問題はない。保護フィルム剥離工程に減圧容器を準備する必要がない点では、保護フィルム剥離部の剥離を大気中で実施することが好ましい。剥離部の剥離後は、速やかに工程S2を行うことが好ましい。
【0090】
(工程S2:貼合工程)
該工程では、図11に示すように、貼合装置において、表示パネルと剥離済み粘着層付き透明面材とを、粘着層が表示パネルに接するように重ねた状態で貼合する。このとき、貼合装置の減圧容器において、表示パネルと剥離済み粘着層付き透明面材とを減圧雰囲気下で貼合することが好ましい。減圧雰囲気下で貼合を行うことにより、表示パネルと粘着層との界面に空隙が生じにくくなる。減圧容器の内部では、減圧雰囲気を所定時間保持した後、減圧雰囲気を解除して常圧とする。貼合の際の減圧雰囲気は1kPa以下とする。さらに、減圧雰囲気は10〜500Paが好ましく、15〜200Paがより好ましい。
【0091】
表示パネルと剥離済み粘着層付き透明面材とを重ね合わせた時点から減圧雰囲気を解除するまでの時間は、生産効率の点から短時間である方が好ましい。たとえば1分以内が好ましく、10秒以内がより好ましい。
表示パネルと剥離済み粘着層付き透明面材とを貼合した後に、硬化が不完全な粘着層に再び光を照射したり、加熱したりすることで粘着層の硬化を促進し、粘着層の硬化状態を安定化させてもよい。
【0092】
粘着層付き透明面材が可撓性を有する場合、剥離済み粘着層付き透明面材の粘着層が形成された面側が凸になるように、剥離済み粘着層付き透明面材を湾曲させた状態とし、剥離済み粘着層付き透明面材を一端側から他端側に向けて徐々に表示パネルに重ね合わせる方法で貼合してもよい。該方法によれば、剥離済み粘着層付き透明面材と表示パネルとの間の空間に存在する気体が一端側から他端側に押し出されながら貼合が行われるため、表示パネルと粘着層との界面に空隙が生じにくくなる。
【0093】
(作用効果)
本実施形態の表示装置にあっては、粘着層付き透明面材1から保護フィルム16の剥離部16aのみを剥離したものが、粘着層14が表示パネル50に接するように重ねて貼合されている。透明面材10は表示パネル50よりひとまわり大きくすると、透明面材10の周縁部は、粘着層14を介して表示パネル50と貼合されない。該表示パネル50と透明面材10の周縁部において、粘着層14の表面に保護フィルム16の残存部16bが存在する。保護フィルム16は、粘着層側とは反対側の表面における表面抵抗値が1×10〜1×10Ω/□であるため、保護フィルム16の残存部16bと表示パネル50に設けられている接地用の透明導電層59とを電気的に接続させ、該残存部16bを接地させることにより、透明導電層59を接地させる構成を容易に実現できる。
【0094】
粘着層付き透明面材が、少なくとも一方の表面の周縁部に形成された遮光部と、該遮光部によって囲まれた透光部とを有し、前記保護フィルムが、前記透明面材の法線方向からみて前記遮光部と重なる部分の前記保護フィルムに形成された切れ込みによって、周縁部の残存部と、該残存部によって囲まれた剥離部とに分離されているためと、保護フィルムの残存部および該残存部と表示パネルとの境界部分が隠蔽され、視認側から見えない。
【0095】
また、1kPa以下の減圧雰囲気下にて、表示パネルと剥離済み粘着層付き透明面材とを、粘着層が表示パネルに接するように重ねて貼合することにより、表示パネルと粘着層との界面に空隙が残存していても、これを大気圧雰囲気下に戻した際に、空隙内の圧力(減圧のままの状態の圧力)と粘着層にかかる圧力(すなわち、大気圧)との差圧によって空隙の体積が減少し、微細化した空隙は粘着層に吸収されて消失する。また、本発明の粘着層付き透明面材を用いているため、透明面材と粘着層との界面における空隙の発生も充分に抑えられたものとなる。
【0096】
本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることができる。
導電層を備える保護フィルムは、1層以上の支持材と、微粘着層とを有する積層体からなり、微粘着層が、保護フィルムの粘着層側とは反対側の最外層をなしており、微粘着層に最も近い支持材と微粘着層の間に導電層が設けられている構成であればよい。
また上記実施形態では、保護フィルム16に導電層9を設けることにより、保護フィルムに表面抵抗を付与したが、導電層9を設ける代わりに、例えば、微粘着層8に最も近い支持材を導電性高分子としたり、支持材に導電性粒子等を含有させてもよい。
【0097】
上記実施形態では、保護フィルム16の周縁部を残存部16bとしたが、透明面材10を表示パネル50に貼合した状態で、表示パネル50に設けられた透明導電層59と近接する位置に保護フィルム16の一部が残存していればよく、残存部16bの位置および形状は限定されない。視認側から見えにくくするためには、保護フィルム16の残存部を周縁部に設けることが好ましい。また透明面材10および粘着層14が表示パネル50よりひとまわり大きい場合に、保護フィルム16の周縁部の全部を残存部16bとすると、表示パネル50と貼合されていない粘着層14の周縁部を保護フィルム16で保護できる点、および透明面材の周縁部に割れが生じた場合に破片の脱落が防止されやすい点で好ましい。
また、粘着層付き透明面材は、予め保護フィルムに切り込みが設けられたものでなくてもよい。その場合は、粘着層付き透明面材を表示パネルに貼合する前に切り込みを形成すればよい。
上記実施形態において、透明面材10の大きさは表示パネル50より大きいが、両者を貼合した状態で、表示パネル50に設けられた透明導電層59と、保護フィルム16の残存部とが電気的に接続可能であればよく、透明面材10と表示パネル50の大きさが同じであってもよい。
【0098】
上記実施形態では、粘着層付き透明面材を表示装置の保護板として表示パネルに貼合したが、透明面材の、表示パネルとの貼合面に予めタッチパネル等の座標入力装置などが形成されていたり、タッチパネル等の別の透明面材が予め貼設されていてもよい。予めタッチパネルなどの座標入力装置などが貼設された透明面材に、表示パネルと貼合するための粘着層を形成する場合には、透明面材の、表示パネルの表示面と対向する面に、前記導電層9を設けた保護フィルム16で覆われた粘着層を形成する。
上記実施形態の製造方法では、粘着層付き透明面材の製造工程において粘着層が減圧雰囲気に置かれることによって、粘着層の気体含有量が少なくなるが、減圧下に置かれることにより粘着層の気体含有量が少なくなる工程は、粘着層付き透明面材を被貼合物に貼合せる工程の前であれば、いずれの時点であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0099】
本発明によれば、粘着層付き透明面材の保護フィルムの一部を残存させ、それ以外の部分を剥離したものを表示装置の表示パネルに貼合し、該残存させた保護フィルムと表示パネルに設けられた接地用の透明導電層とを電気的に接続させることにより、該透明導電層を接地させる構成を容易に実現でき、特に、本発明の粘着層付き透明面材は、横電界方式(IPS型)の液晶表示装置などのように、液晶層より視認側に接地用の透明導電層が設けられている表示パネルを備えた表示装置に好適である。
なお、2012年10月15日に出願された日本特許出願2012−227976号の明細書、特許請求の範囲、図面および要約書の全内容をここに引用し、本発明の開示として取り入れるものである。
【符号の説明】
【0100】
1 粘着層付き透明面材、
2 表示装置、
10 保護板(透明面材)、
3 第1支持材、
4 バリア層、
8 微粘着層、
9 導電層、
12 遮光部(遮光印刷部)、
13 透光部、
14 粘着層、
16 保護フィルム、
16a 剥離部、
16b 残存部、
16c 切れ込み、
18 層状部、
20 堰状部、
50 表示パネル、
58 偏光板、
59 透明導電層、
61 導電部材、
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【国際調査報告】