(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO2014061492
(43)【国際公開日】20140424
【発行日】20160905
(54)【発明の名称】光学装置およびそれを備えた表示装置
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/19 20060101AFI20160808BHJP
【FI】
   !G02F1/19 501
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】19
【出願番号】2014542061
(21)【国際出願番号】JP2013077243
(22)【国際出願日】20131007
(11)【特許番号】5906321
(45)【特許公報発行日】20160420
(31)【優先権主張番号】2012230188
(32)【優先日】20121017
(33)【優先権主張国】JP
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
【住所又は居所】大阪府堺市堺区匠町1番地
(74)【代理人】
【識別番号】100101683
【弁理士】
【氏名又は名称】奥田 誠司
(74)【代理人】
【識別番号】100155000
【弁理士】
【氏名又は名称】喜多 修市
(74)【代理人】
【識別番号】100139930
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 亮司
(74)【代理人】
【識別番号】100125922
【弁理士】
【氏名又は名称】三宅 章子
(74)【代理人】
【識別番号】100135703
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 英隆
(74)【代理人】
【識別番号】100184985
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 悠
(72)【発明者】
【氏名】今奥 崇夫
【住所又は居所】大阪府大阪市阿倍野区長池町22番22号 シャープ株式会社内
(72)【発明者】
【氏名】青山 伊織
【住所又は居所】大阪府大阪市阿倍野区長池町22番22号 シャープ株式会社内
(72)【発明者】
【氏名】井上 毅
【住所又は居所】大阪府大阪市阿倍野区長池町22番22号 シャープ株式会社内
(72)【発明者】
【氏名】森脇 弘幸
【住所又は居所】大阪府大阪市阿倍野区長池町22番22号 シャープ株式会社内
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 英次
【住所又は居所】大阪府大阪市阿倍野区長池町22番22号 シャープ株式会社内
【テーマコード(参考)】
2K101
【Fターム(参考)】
2K101AA08
2K101BA13
2K101BB08
2K101BB25
2K101BB40
2K101BC02
2K101BC13
2K101EA56
2K101EC23
2K101EC24
2K101EC26
2K101ED22
2K101EJ14
2K101EJ16
2K101EL01
(57)【要約】
光学装置(100)は、第1基板(10)および第2基板(20)と、これらの間に設けられた光学層(30)とを備える。第1基板は、第1電極(11)および第2電極(12)を有し、第2基板は、第3電極(21)を有する。光学層は、媒体(31)と、光学層に印加された電界の方向に応じて配向方向が変化する形状異方性粒子(32)とを含む。櫛歯状電極である第1電極と第2電極とは、それぞれの枝部(11a、12a)が所定の間隙を介して噛合するように配置されている。第1電極の枝部の幅をw1、第2電極の枝部の幅をw2、所定の間隙をg、形状異方性粒子の長さをlとすると、w1<l、w2<lおよびg≦l≦w1+w2+gの関係が満足される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに対向するように設けられた第1基板および第2基板と、
前記第1基板および前記第2基板の間に設けられた光学層と、を備えた光学装置であって、
前記第1基板は、第1電極および第2電極を有し、
前記第2基板は、前記第1電極および前記第2電極に対向する第3電極を有し、
前記光学層は、媒体と、前記媒体中に分散され、形状異方性を有する形状異方性粒子とを含み、
前記第1電極および前記第2電極のそれぞれは、複数の枝部を有する櫛歯状電極であり、
前記第1電極と前記第2電極とは、それぞれの前記複数の枝部が所定の間隙を介して噛合するように配置されており、
前記形状異方性粒子は、前記光学層に印加された電界の方向に応じて配向方向が変化し、
前記第1電極の前記複数の枝部のそれぞれの幅をw1、前記第2電極の前記複数の枝部のそれぞれの幅をw2、前記所定の間隙をg、前記形状異方性粒子の長さをlとすると、w1<l、w2<lおよびg≦l≦w1+w2+gの関係が満足される光学装置。
【請求項2】
1≦l≦1.8gおよびw2≦l≦1.8gの関係が満足される請求項1に記載の光学装置。
【請求項3】
前記第1電極および第2電極と、前記第3電極とによって前記光学層に縦電界が生成された場合と、前記第1電極と前記第2電極とによって前記光学層に横電界が生成された場合とで、前記形状異方性粒子の配向方向が異なる請求項1または2に記載の光学装置。
【請求項4】
前記光学層に縦電界が生成された場合、前記形状異方性粒子は、前記第1基板の基板面に略垂直になるように配向し、
前記光学層に横電界が生成された場合、前記形状異方性粒子は、前記第1基板の基板面に略平行になるように配向する請求項3に記載の光学装置。
【請求項5】
前記形状異方性粒子の誘電率εpと、前記媒体の誘電率εmとが異なる請求項1から4のいずれかに記載の光学装置。
【請求項6】
前記媒体の誘電率εmは、前記形状異方性粒子の誘電率εpよりも1以上大きい請求項5に記載の光学装置。
【請求項7】
前記形状異方性粒子は、光反射性を有する請求項1から6のいずれかに記載の光学装置。
【請求項8】
前記形状異方性粒子は、フレーク状である請求項1から7のいずれかに記載の光学装置。
【請求項9】
請求項1から8のいずれかに記載の光学装置を備えた表示装置。
【請求項10】
マトリクス状に配列された複数の画素を有し、
前記第1基板は、前記複数の画素のそれぞれに、前記第1電極および前記第2電極を有する請求項9に記載の表示装置。
【請求項11】
外部から入射する光を用いて反射モードで表示を行うことができる請求項9または10に記載の表示装置。
【請求項12】
前記第1基板および前記第2基板のうちの背面側に位置する方の基板は、光を吸収する光吸収層を有する請求項11に記載の表示装置。
【請求項13】
前記光学装置の背面側に配置されたバックライトをさらに備え、
前記バックライトから前記光学装置に照射された光を用いて透過モードで表示を行うことができる請求項9または10に記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学装置に関し、特に、形状異方性粒子を含む光学層を備えた光学装置に関する。また、本発明は、そのような光学装置を備えた表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
入射光の透過率(あるいは反射率)を制御する光学装置には、高いコントラスト比と高い光利用効率とが求められる。
【0003】
電圧の印加により光の透過率を制御する光学装置として、液晶パネルがよく知られている。液晶パネルは、一対の基板と、これらの基板間に設けられた液晶層とを備える。液晶パネルでは、液晶層に印加される電圧の大きさに応じて、液晶層中の液晶分子の配向が変化し、そのことにより、液晶パネルに入射した光の透過率が変化する。液晶パネルは、非常に高いコントラスト比が得られるので、表示装置に広く用いられている。
【0004】
しかしながら、液晶パネルの多くは、偏光板を用いる方式であるので、表示に用いられる光の半分以上が偏光板で吸収されてしまう。そのため、光利用効率が低い。そこで、近年、偏光板を必要としない光学装置の開発が進められている。
【0005】
特許文献1および2には、ポリマーフレークを含む懸濁液層を備えた光学装置が開示されている。この光学装置では、懸濁液層への電場の印加によってポリマーフレークを回転させ、懸濁液層の光学特性を変化させることができる。
【0006】
また、特許文献3には、反射性粒子を含む懸濁液層を備えた半透過反射ディスプレイが開示されている。図9に、特許文献3に開示されている半透過反射ディスプレイに用いられる懸濁粒子装置800を示す。
【0007】
懸濁粒子装置800は、図9に示すように、金属粒子などの反射性粒子832を含む懸濁液層830を有する。懸濁液層830は、絶縁性基板810と、透明プレート820との間に設けられている。絶縁性基板810および透明プレート820の懸濁液層830側には、電極としてITO層811および821が形成されている。
【0008】
絶縁性基板810および透明プレート820の間には、スペーサ860aおよび860bが設けられている。スペーサ860aおよび860bのそれぞれの側面上には、電極としてのITO層870aおよび870bが形成されている。これらのITO層870aおよび870bは、SiO2から形成されたパッシベーション層880a、880b、880cおよび880dによって、絶縁性基板810および透明プレート820上のITO層811および821と電気的に分離されている。
【0009】
ITO層811および821の間に電圧が印加されると、反射性粒子832は、その長手方向が電界の方向に対して平行になるように、つまり、長手方向が基板面に対して垂直になるように配向する。これにより、懸濁液層830の透過率が増加する。
【0010】
一方、スペーサ860aおよび860bの側面上に形成されたITO層870aおよび870bの間に電圧が印加されると、反射性粒子832は、その長手方向が電界の方向に対して平行になるように、つまり、長手方向が基板面に対して平行になるように配向する。これにより、懸濁液層830の反射率が増加(透過率は減少)する。このように、懸濁粒子装置800では、印加電界の方向を変化させることにより、透過率および反射率を変化させることができる。
【0011】
上述した特許文献1および2の光学装置や特許文献3の懸濁粒子装置800は、偏光板を必要としないので、液晶パネルに比べ、光利用効率を高くすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】米国特許第6665042号明細書
【特許文献2】米国特許第6829075号明細書
【特許文献3】特表2007−506152号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしながら、特許文献1および2の光学装置では、電場の印加により、ポリマーフレークを基板面に平行な状態から垂直な状態、または、垂直な状態から平行な状態に変化させるが、その逆の変化は、熱分散や重力により行われる。そのため、十分な応答速度が得られず、表示装置に利用することが困難であるという問題がある。
【0014】
また、特許文献3の懸濁粒子装置800では、電極の作成プロセスが複雑化するという問題がある。具体的には、スペーサ860aおよび860bの側面上に、セル厚方向に延びるようなITO層870aおよび870bを電極として形成する必要があり、実際にそのような電極を形成することは非常に困難である。
【0015】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、簡易な構成で、高いコントラスト比および高い光利用効率を実現し得る光学装置およびそれを備えた表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の実施形態における光学装置は、互いに対向するように設けられた第1基板および第2基板と、前記第1基板および前記第2基板の間に設けられた光学層と、を備えた光学装置であって、前記第1基板は、第1電極および第2電極を有し、前記第2基板は、前記第1電極および前記第2電極に対向する第3電極を有し、前記光学層は、媒体と、前記媒体中に分散され、形状異方性を有する形状異方性粒子とを含み、前記第1電極および前記第2電極のそれぞれは、複数の枝部を有する櫛歯状電極であり、前記第1電極と前記第2電極とは、それぞれの前記複数の枝部が所定の間隙を介して噛合するように配置されており、前記形状異方性粒子は、前記光学層に印加された電界の方向に応じて配向方向が変化し、前記第1電極の前記複数の枝部のそれぞれの幅をw1、前記第2電極の前記複数の枝部のそれぞれの幅をw2、前記所定の間隙をg、前記形状異方性粒子の長さをlとすると、w1<l、w2<lおよびg≦l≦w1+w2+gの関係が満足される。
【0017】
ある実施形態において、w1≦l≦1.8gおよびw2≦l≦1.8gの関係が満足される。
【0018】
ある実施形態において、前記第1電極および第2電極と、前記第3電極とによって前記光学層に縦電界が生成された場合と、前記第1電極と前記第2電極とによって前記光学層に横電界が生成された場合とで、前記形状異方性粒子の配向方向が異なる。
【0019】
ある実施形態において、前記光学層に縦電界が生成された場合、前記形状異方性粒子は、前記第1基板の基板面に略垂直になるように配向し、前記光学層に横電界が生成された場合、前記形状異方性粒子は、前記第1基板の基板面に略平行になるように配向する。
【0020】
ある実施形態において、前記形状異方性粒子の誘電率εpと、前記媒体の誘電率εmとが異なる。
【0021】
ある実施形態において、前記媒体の誘電率εmは、前記形状異方性粒子の誘電率εpよりも1以上大きい。
【0022】
ある実施形態において、前記形状異方性粒子は、光反射性を有する。
【0023】
ある実施形態において、前記形状異方性粒子は、フレーク状である。
【0024】
本発明の実施形態による表示装置は、上記構成を有する光学装置を備える。
【0025】
ある実施形態において、上述した表示装置は、マトリクス状に配列された複数の画素を有し、前記第1基板は、前記複数の画素のそれぞれに、前記第1電極および前記第2電極を有する。
【0026】
ある実施形態において、上述した表示装置は、外部から入射する光を用いて反射モードで表示を行うことができる。
【0027】
ある実施形態において、前記第1基板および前記第2基板のうちの背面側に位置する方の基板は、光を吸収する光吸収層を有する。
【0028】
ある実施形態において、上述した表示装置は、前記光学装置の背面側に配置されたバックライトをさらに備え、前記バックライトから前記光学装置に照射された光を用いて透過モードで表示を行うことができる。
【発明の効果】
【0029】
本発明の実施形態によると、簡易な構成で、高いコントラスト比および高い光利用効率を実現し得る光学装置およびそれを備えた表示装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】(a)および(b)は、本発明の実施形態における表示装置110を模式的に示す断面図であり、(a)は、光学層30に縦電界が印加されている状態を示し、(b)は、光学層30に横電界が印加されている状態を示している。
【図2】櫛歯状電極である第1電極11および第2電極12を模式的に示す平面図である。
【図3】(a)は、光学層30に印加されている電界を横電界から縦電界に変化させた直後の光学層30の様子を示す図であり、(b)は、その後十分な時間が経過した後の光学層30の様子を示す図である。
【図4】光学層30に横電界が印加されたときの形状異方性粒子32の配向状態を示す平面図である。
【図5】光学層30に縦電界が印加されたときの形状異方性粒子32の配向状態を示す平面図である。
【図6】(a)は、試作した表示装置110の光学層30に横電界(1Vの交流電圧)を印加したときの配向状態を示す顕微鏡像であり、(b)は、試作した表示装置110の光学層30に縦電界(1.5Vの交流電圧)を印加したときの配向状態を示す顕微鏡像である。
【図7】(a)および(b)は、試作した表示装置110の光学層30に縦電界(1.5Vの交流電圧)を印加したときの配向状態を示す顕微鏡像であり、(a)は、第1電極11の枝部11aおよび第2電極12の枝部12aが直線状である場合を示し、(b)は、第1電極11の枝部11aおよび第2電極12の枝部12aがくの字状である場合を示している。
【図8】(a)および(b)は、本発明の実施形態における表示装置210を模式的に示す断面図であり、(a)は、光学層30に縦電界が印加されている状態を示し、(b)は、光学層30に横電界が印加されている状態を示している。
【図9】特許文献3に開示されている懸濁粒子装置800を模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態を説明する。なお、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
【0032】
(実施形態1:反射型表示装置)
図1(a)および(b)に、本実施形態における表示装置110を示す。図1(a)および(b)は、表示装置110を模式的に示す断面図である。
【0033】
表示装置110は、外部から入射する光(周囲光)を用いて反射モードで表示を行うことができる反射型表示装置である。表示装置110は、図1(a)および(b)に示すように、表示パネル(光学装置)100を備え、マトリクス状に配列された複数の画素を有する。
【0034】
表示パネル100は、互いに対向するように設けられた第1基板10および第2基板20と、第1基板10および第2基板20の間に設けられた光学層(表示媒体層)30とを備える。以下では、第1基板10および第2基板20のうちの、相対的に背面側に位置する第1基板10を「背面側基板」と呼ぶことがあり、相対的に前面側(つまり観察者側)に位置する第2基板20を「前面側基板」と呼ぶことがある。
【0035】
第1基板(背面側基板)10は、第1電極11および第2電極12を有する。第1電極11および第2電極12は、複数の画素のそれぞれに設けられている。第1電極11および第2電極12のそれぞれは、複数の枝部11a、12aを有する櫛歯状電極である。図2に、第1電極11および第2電極12の平面的な構造を示す。
【0036】
第1電極11は、図2に示すように、幹部11bと、幹部11bから延びる複数の枝部11aとを有する。第2電極12は、同様に、幹部12bと、幹部12bから延びる複数の枝部12aとを有する。第1電極11と第2電極12とは、それぞれの複数の枝部11a、12aが所定の間隙(以下では「電極間距離」と呼ぶこともある)gを介して噛合するように配置されている。
【0037】
また、第1基板10は、アクティブマトリクス基板であり、各画素に設けられたスイッチング素子(例えば薄膜トランジスタ(TFT))と、各種の配線(例えばTFTに走査信号を供給する走査配線やTFTに表示信号を供給する信号配線)とを有する(いずれもここでは不図示)。第1電極11および第2電極12の一方は、スイッチング素子に電気的に接続されており、スイッチング素子を介して表示信号に対応した電圧を供給される。つまり、スイッチング素子に接続されている方の櫛歯状電極には、画素ごとに異なる電圧が印加され得る。これに対し、他方の櫛歯状電極は、表示領域の周囲に形成された共通配線に電気的に接続されており、複数の画素で共通の電圧を印加される。このように、第1電極11および第2電極12の一方は、画素電極として機能することができ、他方は、共通電極として機能することができる。
【0038】
第1基板10は、さらに、光を吸収する光吸収層14を有する。光吸収層14の材料に特に制限はない。光吸収層14の材料としては、例えば、液晶表示装置等のカラーフィルタに含まれるブラックマトリクスの材料などに用いられる顔料を用いることができる。あるいは、光吸収層14として、二層構造の低反射クロム膜(クロム層と酸化クロム層とが積層された構造を有する)を用いることもできる。
【0039】
第1基板10の構成要素(上述した第1電極11、第2電極12および光吸収層14など)は、絶縁性を有する基板(例えばガラス基板)10aによって支持されている。なお、図1(a)および(b)では、光吸収層14が基板10aの光学層30側に設けられているが、光吸収層14は基板10aの背面側に設けられていてもよい。
【0040】
第2基板(前面側基板)20は、第1電極11および第2電極12に対向する第3電極21を有する。第3電極21は、スリットや切欠き部が形成されていない、いわゆるべた電極である。また、第3電極21は、画素ごとに電気的に独立している必要はなく、複数の画素に共通の連続した単一の導電膜であってよい。第3電極21は、共通電極として機能することができる。また、カラー表示を行う場合には、第2基板20は、カラーフィルタ(不図示)をさらに有する。
【0041】
第2基板20の構成要素(上述した第3電極21など)は、絶縁性を有する基板(例えばガラス基板)20aによって支持されている。
【0042】
第1電極11、第2電極12および第3電極21のそれぞれは、ITO(インジウム錫酸化物)やIZO(インジウム亜鉛酸化物)などの透明導電材料から形成されている。これらの電極となる導電膜を堆積する方法に特に制限はなく、スパッタリング法、真空蒸着法、プラズマCVD法等、公知の種々の方法を用いることができる。また、櫛歯状電極である第1電極11および第2電極12を形成するために導電膜をパターニングする方法にも特に制限はなく、フォトリソグラフィ等の公知のパターニング方法を用いることができる。第1電極11、第2電極12および第3電極21の厚さは、典型的には、100Å〜2000Åである。
【0043】
光学層(表示媒体層)30は、液状の媒体31と、媒体31中に分散され、形状異方性を有する粒子(以下では「形状異方性粒子」と呼ぶ)32とを含む。上述した第1基板10および第2基板20は、表示領域を包囲するように形成されたシール部(不図示)を介して貼り合わされており、媒体31および形状異方性粒子32は、シール部に包囲された領域(つまり表示領域)内に封入されている。光学層30の厚さ(セルギャップ)に特に制限はない。例えば、光学層30の厚さは、100μm程度である。
【0044】
形状異方性粒子32は、光反射性を有する。形状異方性粒子32は、例えばフレーク状(薄片状)である。
【0045】
形状異方性粒子32の誘電率εpと、媒体31の誘電率εmとは、異なっている。本実施形態では、媒体31の誘電率εmは、形状異方性粒子32の誘電率εpよりも大きい。
【0046】
形状異方性粒子32は、光学層30に印加された電界の方向に応じて配向方向が変化する。つまり、第1電極11および第2電極12と、第3電極21とによって光学層30に縦電界が生成された場合と、第1電極11と第2電極12とによって光学層30に横電界が生成された場合とで、形状異方性粒子32の配向方向が異なる。形状異方性粒子32は、形状異方性を有しているので、形状異方性粒子32の配向方向が変化すると、形状異方性粒子32の基板面(第1基板10の基板面)への投影面積も変化し、それに伴って、光学層30の反射率が変化する。本実施形態の表示装置110では、そのことを利用して表示が行われる。
【0047】
以下、形状異方性粒子32の配向方向が、印加電界の方向に応じて変化する理由をより具体的に説明する。
【0048】
表示装置110は、図1(a)および(b)に示すように、光学層30に印加される電界の方向を切り替えるためのリレー回路(スイッチ回路)41および42と、第1電源51および第2電源52とをさらに備える。
【0049】
図1(a)に示すように、リレー回路41および42によって、第1電極11および第2電極12と、第3電極21とが第1電源51に接続されると、第1電極11および第2電極12と、第3電極21との間に所定の電圧が印加され、光学層30に縦電界が生成される。図1(a)には、電気力線に平行な線EFが示されている(図1(b)でも同様)。図1(a)からわかるように、縦電界が生成された状態では、電気力線(線EF)は、第1基板10の基板面に対して略垂直(光学層30の厚さ方向に略平行)である。
【0050】
これに対し、図1(b)に示すように、リレー回路41および42によって、第1電極11と第2電極12とが、第2電源52に接続されると、第1電極11と第2電極12との間に所定の電圧が印加され、光学層30に横電界が生成される。図1(b)からわかるように、横電界が生成された状態では、電気力線(線EF)は、第1基板10の基板面に対して略平行(光学層30の厚さ方向に略垂直)な成分を含む。
【0051】
光学層30に縦電界が生成された場合、形状異方性粒子32は、図1(a)に示すように、(その長手方向が)第1基板10の基板面に略垂直になるように配向する。そのため、入射した周囲光の多くは光学層30を透過する。つまり、光学層30は透明状態となる。光学層30を透過した周囲光は、光吸収層14で吸収されるので、この状態において、黒表示を行うことができる。
【0052】
これに対し、光学層30に横電界が生成された場合、形状異方性粒子32は、(その長手方向が)第1基板10の基板面に略平行になるように配向する。そのため、入射した周囲光の多くは光学層30中の形状異方性粒子32で反射される。つまり、光学層30は反射状態となり、この状態において、白表示を行うことができる。なお、比較的低い電圧を印加することにより、中間調表示を行うこともできる。
【0053】
上述したような形状異方性粒子32の配向変化は、誘電泳動力に起因している。以下、図3(a)および(b)を参照しながら、より具体的に説明を行う。図3(a)および(b)は、光学層30に印加されている電界を横電界から縦電界に変化させた直後、およびその後十分な時間が経過した後の、光学層30の様子(電荷の分布および電気力線)を示す図である。
【0054】
形状異方性粒子32の誘電率εpと、媒体31の誘電率εmとが異なっている場合、光学層30への印加電界の方向が変化すると、図3(a)に示すように、電気力線に大きな歪みが生じる。そのため、形状異方性粒子32は、図3(b)に示すように、エネルギーが最小となるように回転する。
【0055】
一般に、媒体中に分散された粒子に働く誘電泳動力Fdepは、粒子の誘電率をεp、媒体の誘電率をεm、粒子の半径をa、電界の強さをEとすると、下記式(1)で表される。なお、式(1)中のReは、実部を取り出す演算子である。
【数1】
【0056】
上述したように、本実施形態における表示装置110では、光学層30に縦電界が生成された状態と、光学層30に横電界が生成された状態とを切り替えることにより、表示が行われる。前者の状態から後者の状態への変化、および、後者の状態から前者の状態への変化は、いずれも印加電界の方向を変化させることにより行われるので、特許文献1および2の光学装置とは異なり、十分な応答速度を実現することができる。
【0057】
また、光学層30に横電界を生成するための第1電極11および第2電極12は、第1基板10に設けられた櫛歯状電極であり、特許文献3の懸濁粒子装置800のITO層とは異なり、セル厚方向に延びる電極ではない。そのため、本実施形態における表示装置110では、電極の作成プロセスが複雑化するという問題がない。
【0058】
なお、本願出願人は、国際公開第2013/108899号に、形状異方性粒子の配向方向を、印加電圧の周波数を切り替えることによって制御する表示パネル(表示装置)を開示している。参考のために、国際公開第2013/108899号の開示内容のすべてを本願明細書に援用する。この表示パネルでは、高周波電圧の印加により、形状異方性粒子が基板面に対して略垂直に配向し、低周波電圧または直流(DC)電圧の印加により、形状異方性粒子が基板面に対して略平行に配向する。しかしながら、この表示パネルのように、DC電圧が印加される場合、電荷の偏りに起因する表示不良が発生するおそれがある。
【0059】
これに対し、本実施形態の表示装置110では、通常の交流(AC)駆動(例えば60Hz)により、光学層30の透過状態と反射状態とを切り替えることができるので、電荷の偏りに起因する表示不良が発生することがない。
【0060】
上述したように、本実施形態の表示装置110(表示パネル100)は、簡易な構成で、高いコントラスト比および高い光利用効率を実現することができる。
【0061】
また、本願発明者は、第1基板10の電極構造と、形状異方性粒子32の配向状態との関係を詳細に検討した結果、第1電極11の枝部11aの幅w1と、第2電極12の枝部12aの幅w2と、第1電極11の枝部11aと第2電極12の枝部12aとの間隙(電極間距離)gと、形状異方性粒子32の長さ(長手方向のサイズ)lとが、所定の関係を満足することにより、光学層30に横電界を印加したときに形状異方性粒子32を安定に配向させ得ることを見出した。
【0062】
具体的には、下記式(2)、(3)および(4)が満足されることにより、図4に示すように、形状異方性粒子32を、基板面に略平行に、第1電極11の枝部11aと第2電極12の枝部12aとに跨るような形で安定に配向させることができる。このことは、実験的に確認されている。なお、図4(および後述する図5)には、フレーク状(より具体的には円盤状)の形状異方性粒子32を例示している。
1<l ・・・(2)
2<l ・・・(3)
g≦l≦w1+w2+g ・・・(4)
【0063】
式(2)および(3)が満足されない場合、つまり、形状異方性粒子32の長さlが、第1電極11の枝部11aの幅w1や、第2電極12の枝部12aの幅w2以下である場合、形状異方性粒子32が流動したり、回転したりするという現象が発生し、配向が不安定となることがある。
【0064】
また、式(4)が満足されない場合、つまり、形状異方性粒子32の長さlが、電極間距離gよりも小さかったり、第1電極11の枝部11aの幅w1、第2電極12の枝部12aの幅w2および電極間距離gの合計よりも大きかったりする場合も、同様の現象が発生し、配向が不安定となることがある。
【0065】
また、本願発明者は、第1電極11の枝部11aの幅w1と、第2電極12の枝部12aの幅w2と、電極間距離gと、形状異方性粒子32の長さlとが、所定の関係を満足することにより、光学層30に縦電界を印加したときに形状異方性粒子32を安定に配向させ得ることを見出した。
【0066】
具体的には、下記式(5)および(6)が満足されることにより、図5に示すように、形状異方性粒子32を、基板面に略垂直に、その厚さ方向が枝部11a、12aの延びる方向に対して略平行となるような形で安定に配向させることができる。このことも、実験的に確認されている。
1≦l≦1.8g ・・・(5)
2≦l≦1.8g ・・・(6)
【0067】
式(5)および(6)が満足されない場合、つまり、形状異方性粒子32の長さlが、第1電極11の枝部11aの幅w1や第2電極12の枝部12aの幅w2よりも小さかったり、電極間距離gの1.8倍よりも大きかったりする場合、形状異方性粒子32が所望の方向に配向しないことがある。
【0068】
形状異方性粒子32は、上述したように印加電界の方向に応じて基板面への投影面積が変化する限り、その具体的な形状や材料には、特に制限はない。形状異方性粒子32は、フレーク状(薄片状)であってもよいし、円柱状や楕円球状などであってもよい。高いコントラスト比を実現する観点からは、形状異方性粒子32は、最大投影面積と最小投影面積との比が2:1以上となるような形状であることが好ましい。
【0069】
形状異方性粒子32の材料としては、金属材料、半導体材料、誘電体材料およびこれらの複合材料を用いることができる。また、形状異方性粒子32は、誘電体多層膜であってもよいし、コレステリック樹脂材料から形成されてもよい。なお、形状異方性粒子32の材料として金属材料を用いる場合、形状異方性粒子32の表面に絶縁層(誘電体層)が形成されていることが好ましい。金属単体の誘電率は虚数であるが、表面に絶縁層(例えば樹脂層や金属酸化物層)を形成することにより、金属材料から形成された形状異方性粒子32を誘電体として扱うことができる。また、表面に絶縁層が形成されていることにより、金属材料から形成された形状異方性粒子32同士の接触による導通や、物理的な相互作用による凝集等を防止する効果も得られる。このような形状異方性粒子32としては、例えば金属材料がアルミニウムである場合、表面を樹脂材料(例えばアクリル樹脂)で被覆されたアルミニウムフレークや、表面にSiO2層が形成されたアルミニウムフレーク、表面に酸化アルミニウム層が形成されたアルミニウムフレークなどを用いることができる。勿論、金属材料としてアルミニウム以外の金属材料を用いてもよい。また、形状異方性粒子32は、着色されていてもよい。
【0070】
形状異方性粒子32の長さlは、上記式(2)、(3)および(4)を(好ましくは式(5)および(6)も)満足している限り、特に制限されない。典型的には、形状異方性粒子32の長さlは、数μm〜数十μm程度(例えば約10μm)である。
【0071】
形状異方性粒子32の厚さも、特に制限されない。ただし、形状異方性粒子32の厚さが小さいほど、透明状態における光学層30の透過率を高くすることができるので、形状異方性粒子32の厚さは、電極間距離gよりも小さい(例えば4μm以下)ことが好ましく、光の波長以下である(例えば0.5μm以下)ことがより好ましい。
【0072】
形状異方性粒子32の比重は、11g/cm3以下であることが好ましく、3g/cm3以下であることがより好ましく、媒体31と同程度の比重であることがさらに好ましい。これは、形状異方性粒子32の比重が媒体31の比重と大きく異なっていると、形状異方性粒子32が沈降または浮遊するという問題が生じ得るからである。
【0073】
媒体31は、可視光に対して透明性が高い材料であることが好ましい。また、媒体31の粘度は、応答特性の観点からは5mPa・s以下であることが好ましく、形状異方性粒子32の沈降を防止する観点からは0.5mPa・s以下であることが好ましい。また、媒体31の比重は、形状異方性粒子32の比重に近いことが好ましい。媒体31としては、例えば、炭酸プロピレン、NMP(Nメチル2ピロリドン)、臭化炭化水素(テトラブロモエタン等)、フルオロカーボン、シリコーンオイルなどを用いることができる。
【0074】
また、式(1)から理解されるように、形状異方性粒子32の誘電率εpと、媒体31の誘電率εmとの差(│εp−εm│)が大きいほど、誘電泳動力が大きくなり、応答特性が向上する。そのため、媒体31の誘電率εmは、形状異方性粒子32の誘電率εpよりも1以上大きいことが好ましく、10以上大きいことがより好ましい。形状異方性粒子32の誘電率εpと、媒体31の誘電率εmとの差がほぼゼロであると、形状異方性粒子32の配向方向を変化させることが困難な場合がある。また、形状異方性粒子32の誘電率εpと媒体31の誘電率εmとの差が1以上であると、形状異方性粒子32の配向方向を変化させることができ、形状異方性粒子32の誘電率εpと媒体31の誘電率εmとの差が5〜10程度あれば、形状異方性粒子32の配向方向をより好適に変化させ得る。表面をアクリル樹脂で被覆されたアルミニウムフレークの誘電率は、3.6であり、炭酸プロピレンの誘電率は、63であるので、形状異方性粒子32として上記のアルミニウムフレークを用い、媒体31として炭酸プロピレンを用いると、│εp−εm│は59.4となる。
【0075】
第1電極11の枝部11aの幅w1、第2電極12の枝部12aの幅w2および電極間距離gは、上記式(2)、(3)および(4)を(好ましくは式(5)および(6)も)満足している限り、特に制限されない。
【0076】
なお、第1電極11の枝部11aの幅w1と、第2電極12の枝部12aの幅w2とは、同じであってもよいし、異なっていてもよい。第1電極11の枝部11aの幅w1と、第2電極12の枝部12aの幅w2とが同じである場合(つまりw1=w2=wである場合)、上記式(2)、(3)および(4)の条件は、下記式(7)および(8)で表される。
w<l ・・・(7)
g≦l≦2w+g ・・・(8)
【0077】
また、同様に、上記式(5)および(6)の条件は、下記式(9)で表される。
w≦l≦1.8g ・・・(9)
【0078】
また、図2には、第1電極11の枝部11aおよび第2電極12の枝部12aがそれぞれ一方向に(つまり直線状に)延びている構成を例示したが、第1電極11の枝部11aおよび第2電極12の枝部12aは、それぞれ屈曲していてもよく、例えばくの字状であってもよい。
【0079】
ここで、実際に表示装置110を試作した検証結果を説明する。試作に際しては、形状異方性粒子32として、円盤状のアルミニウムフレークを用い、媒体31として、炭酸プロピレンを用いた。用いたアルミニウムフレークの長さlは、8μm〜10μmであり、厚さは、0.1μmである。また、アルミニウムフレークの表面に形成された樹脂層の厚さは、0.04μmである。光学層30のアルミニウムフレーク含有量は、3重量%である。櫛歯状電極である第1電極11および第2電極12の枝部11aおよび12aの幅w1およびw2は、3μmであり、電極間距離gは、8μmである。
【0080】
図6(a)は、試作した表示装置110の光学層30に横電界(1Vの交流電圧)を印加したときの配向状態を示す顕微鏡像である。なお、図6(a)中には、第1電極11および第2電極12の外形が点線で示されている。図6(a)に示されているように、形状異方性粒子32は、基板面に略平行に、且つ、第1電極11の枝部11aと第2電極12の枝部12aとに跨るように配向している(例えば図6(a)中の円で囲まれた領域に注目されたい)。
【0081】
図6(b)は、試作した表示装置110の光学層30に縦電界(1.5Vの交流電圧)を印加したときの配向状態を示す顕微鏡像である。図6(b)に示されているように、形状異方性粒子32は、基板面に略垂直に、且つ、その厚さ方向が枝部11a、11bの延びる方向に対して略平行となるように配向している(例えば図6(b)中の円で囲まれた領域に注目されたい)。
【0082】
このように、縦電界による形状異方性粒子32の配向、および、横電界による形状異方性粒子32の配向のいずれについても、交流駆動で制御できることが確認された。また、印加電圧も約1V〜1.5V程度であり、一般的な液晶表示装置よりも低い。つまり、本実施形態の表示装置110は、低消費電力性に優れているといえる。
【0083】
なお、配向に必要な印加電圧の大きさは、用いる媒体31の誘電率や粘度などにも依存する。ここで例示した値は、媒体31として炭酸プロピレンを用いた場合のものである。
【0084】
図7(a)および(b)も、試作した表示装置110の光学層30に縦電界(1.5Vの交流電圧)を印加したときの配向状態を示す顕微鏡像である。ただし、図7(a)は、第1電極11の枝部11aおよび第2電極12の枝部12aが直線状である場合を示しているのに対し、図7(b)は、第1電極11の枝部11aおよび第2電極12の枝部12aがくの字状である場合を示している。
【0085】
図7(a)および(b)のいずれの場合についても、形状異方粒子32は、基板面に略垂直に、且つ、その厚さ方向が枝部11a、11bの延びる方向に対して略平行となるように配向している(例えば図7(a)および(b)中の円で囲まれた領域に注目されたい)。
【0086】
このように、形状異方性粒子32の配向方向が、櫛歯状電極である第1電極11および第2電極12の枝部11a、12aの延びる方向とも相関関係があることが確認された。
【0087】
なお、上記の説明では、櫛歯状電極である第1電極11および第2電極12を有する第1基板10が背面側に配置されている構成を例示したが、第1基板10の配置は、これに限定されるものではない。第1基板10は、前面側に配置されていてもよい。また、光学層30に印加される電界の方向を切り替えるための具体的な回路構成(リレー回路および電源の個数や接続関係)は、図1(a)および(b)に例示されているものに限定されない。
【0088】
(実施形態2:透過型表示装置)
図8(a)および(b)に、本実施形態における表示装置210を示す。図8(a)および(b)は、表示装置210を模式的に示す断面図である。
【0089】
表示装置210は、図8(a)および(b)に示すように、表示パネル200を備え、マトリクス状に配列された複数の画素を有する。また、表示装置210は、表示パネル(光学装置)200の背面側に配置されたバックライト(照明装置)201をさらに備え、バックライト201から表示パネル200に照射された光を用いて透過モードで表示を行うことができる透過型表示装置である。
【0090】
バックライト201としては、表示装置用(例えば液晶表示装置用)の公知のバックライトを用いることができる。バックライト201は、エッジライト型であってもよいし、直下型であってもよい。バックライト201の光源としては、冷陰極管(CCFL)や、発光ダイオード(LED)などを用いることができる。
【0091】
本実施形態の表示装置210の表示パネル200は、第1基板10に光吸収層14が設けられていない点において、実施形態1における表示装置110の表示パネル100と異なっている。
【0092】
本実施形態の表示装置210においても、光学層30に印加される電界の方向を変化させることにより、形状異方性粒子32の配向方向を変化させる。
【0093】
光学層30に縦電界が生成されると、図8(a)に示すように、形状異方性粒子32は、(その長手方向が)第1基板10の基板面に略垂直になるように配向する。そのため、バックライト201から光学層30に入射した光の多くは光学層30を透過する。そのため、この状態において、白表示を行うことができる。
【0094】
これに対し、光学層30に横電界が生成されると、図8(b)に示すように、形状異方性粒子32は、(その長手方向が)第1基板10の基板面に略平行になるように配向する。そのため、バックライト201から光学層30に入射した光の多くは光学層30中の形状異方性粒子32で反射され、観察者側に出射しない。そのため、この状態において、黒表示を行うことができる。
【0095】
このように、本発明の実施形態による光学装置は、反射型表示装置の表示パネルとしてだけでなく、透過型表示装置の表示パネルとしても好適に用いられる。また、本発明の実施形態による光学装置は、表示パネル以外としても用いられ得る。本発明の実施形態による光学装置は、光スイッチなどの種々の光学装置であり得る。
【産業上の利用可能性】
【0096】
本発明の実施形態によると、簡易な構成で、高いコントラスト比および高い光利用効率を実現し得る光学装置が提供される。本発明の実施形態における光学装置は、表示装置用の表示パネルとして好適に用いられる。また、本発明の実施形態における光学装置は、表示パネル以外の種々の光学装置(光スイッチなど)としても用いられる。
【符号の説明】
【0097】
10 第1基板
10a 基板
11 第1電極(櫛歯状電極)
11a 第1電極の枝部
11b 第1電極の幹部
12 第2電極(櫛歯状電極)
12a 第2電極の枝部
12b 第2電極の幹部
14 光吸収層
20 第2基板
20a 基板
21 第3電極(べた電極)
30 光学層(表示媒体層)
31 媒体
32 形状異方性粒子
41、42 リレー回路(スイッチ回路)
51 第1電源
52 第2電源
100、200 表示パネル(光学装置)
201 バックライト(照明装置)
110、210 表示装置
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【国際調査報告】