(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO2014061546
(43)【国際公開日】20140424
【発行日】20160905
(54)【発明の名称】ベンゾインドロカルバゾール誘導体、それを用いた発光素子材料および発光素子
(51)【国際特許分類】
   C07D 487/04 20060101AFI20160808BHJP
   H01L 51/50 20060101ALI20160808BHJP
   C09K 11/06 20060101ALI20160808BHJP
   H01L 51/42 20060101ALN20160808BHJP
【FI】
   !C07D487/04 137
   !C07D487/04CSP
   !H05B33/14 B
   !H05B33/22 D
   !C09K11/06 690
   !H01L31/04 D
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】52
【出願番号】2013547769
(21)【国際出願番号】JP2013077589
(22)【国際出願日】20131010
(31)【優先権主張番号】2012230464
(32)【優先日】20121018
(33)【優先権主張国】JP
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】000003159
【氏名又は名称】東レ株式会社
【住所又は居所】東京都中央区日本橋室町2丁目1番1号
(72)【発明者】
【氏名】松木 真一
【住所又は居所】滋賀県大津市園山1丁目1番1号 東レ株式会社滋賀事業場内
(72)【発明者】
【氏名】田中 大作
【住所又は居所】滋賀県大津市園山1丁目1番1号 東レ株式会社滋賀事業場内
(72)【発明者】
【氏名】池田 武史
【住所又は居所】滋賀県大津市園山1丁目1番1号 東レ株式会社滋賀事業場内
(72)【発明者】
【氏名】池田 篤
【住所又は居所】滋賀県大津市園山1丁目1番1号 東レ株式会社滋賀事業場内
【テーマコード(参考)】
3K107
4C050
5F151
【Fターム(参考)】
3K107AA01
3K107BB01
3K107BB02
3K107BB03
3K107CC04
3K107CC12
3K107CC21
3K107DD53
3K107DD59
3K107DD68
3K107DD69
3K107DD71
3K107DD78
4C050AA01
4C050AA08
4C050BB04
4C050CC04
4C050EE02
4C050FF01
4C050GG01
4C050HH01
4C050HH04
5F151AA11
(57)【要約】
下記一般式(1−1)又は(1−2)のいずれかで表されるベンゾインドロカルバゾール誘導体により高発光効率と耐久性を両立した有機薄膜発光素子を提供する。
(なお、式中、R〜R24はそれぞれ同じでも異なっていてもよく、水素等を表す。L〜Lはそれぞれ独立に単結合等を表す。A〜Aはそれぞれ独立にアミノ基等を表す。)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1−1)または(1−2)のいずれかで表されるベンゾインドロカルバゾール誘導体。
【化1】
(式中、R〜R24はそれぞれ同じでも異なっていてもよく、水素、アルキル基、シクロアルキル基、複素環基、アミノ基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリールエーテル基、アリールチオエーテル基、アリール基、ヘテロアリール基、ハロゲン、カルボニル基、カルボキシル基、オキシカルボニル基およびカルバモイル基、シリル基、および−P(=O)R2526からなる群より選ばれる。R25およびR26はアリール基またはヘテロアリール基である。またR25およびR26が縮合して環を形成していてもよい。L〜Lはそれぞれ独立に単結合、置換もしくは無置換のアリーレン基、または置換もしくは無置換のヘテロアリーレン基である。A〜Aはそれぞれ独立にアミノ基、アリール基、複素環基、もしくはヘテロアリール基である。)
【請求項2】
前記一般式(1−1)においてはA〜Aのうち少なくとも1つが、前記一般式(1−2)においてはA〜Aのうち少なくとも1つが、下記一般式(2)〜(7)で表される基のいずれかである請求項1記載のベンゾインドロカルバゾール誘導体。
【化2】
(式中、R27〜R28はそれぞれ同じでも異なっていてもよく、アリール基、ヘテロアリール基、多環式芳香族炭化水素基および多環式芳香族複素環基からなる群より選ばれる。ただし*の位置で、前記一般式(1−1)においてはL〜Lのいずれかと、前記一般式(1−2)においてはL〜Lのいずれかと、連結する。)
【化3】
(式中、R29〜R38はそれぞれ同じでも異なっていてもよく、水素、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、複素環基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルキニル基、ハロゲン、カルボニル基、カルボキシル基、オキシカルボニル基、カルバモイル基、シリル基、および−P(=O)R3940からなる群より選ばれる。R39およびR40はアリール基またはヘテロアリール基である。またR39およびR40が縮合して環を形成していてもよい。ただしR29〜R38のいずれか1つの位置で、前記一般式(1−1)においてはL〜Lのいずれかと、前記一般式(1−2)においてはL〜Lのいずれかと、連結する。)
【化4】
(式中、R41〜R48はそれぞれ同じでも異なっていてもよく、水素、アルキル基、シクロアルキル基、複素環、アミノ基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルキニル基、ハロゲン、カルボニル基、カルボキシル基、オキシカルボニル基、カルバモイル基、シリル基、および−P(=O)R4950からなる群より選ばれる。R49およびR50はアリール基またはヘテロアリール基である。またR49およびR50が縮合して環を形成していてもよい。Arは置換もしくは無置換のアリール基または置換もしくは無置換のヘテロアリール基を表す。LはCH、N−Ar、酸素原子、または硫黄原子を表す。LがCHのときはその水素原子の少なくとも1つがアルキル基に置き換わっていてもよい。Arは置換もしくは無置換のアリール基または置換もしくは無置換のヘテロアリール基を表す。ただしR41〜R48またはArのいずれか1つの位置で、前記一般式(1−1)においてはL〜Lのいずれかと、前記一般式(1−2)においてはL〜Lのいずれかと、連結する。)
【化5】
(式中、R51〜R58はそれぞれ同じでも異なっていてもよく、水素、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、複素環基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルキニル基、ハロゲン、カルボニル基、カルボキシル基、オキシカルボニル基、カルバモイル基、シリル基、および−P(=O)R5960からなる群より選ばれる。R59およびR60はアリール基またはヘテロアリール基である。またR59およびR60が縮合して環を形成していてもよい。LはCH、N−Ar、酸素原子、または硫黄原子を表す。Arは置換もしくは無置換のアリール基または置換もしくは無置換のヘテロアリール基を表す。LがCHのときは、その水素原子の少なくとも1つがアルキル基に置き換わっていてもよい。ただしR51〜R58のいずれか1つの位置で、前記一般式(1−1)においてはL〜Lのいずれかと、前記一般式(1−2)においてはL〜Lのいずれかと、連結する。)
【化6】
(式中、環Bは置換もしくは無置換の縮合芳香族炭化水素環、置換もしくは無置換の単環芳香族複素環、または置換もしくは無置換の縮合芳香族複素環を表す。R61〜R64はそれぞれ同じでも異なっていてもよく、水素、アルキル基、シクロアルキル基、複素環基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリールエーテル基、アリールチオエーテル基、アリール基、ヘテロアリール基、ハロゲン、カルボニル基、カルボキシル基、オキシカルボニル基およびカルバモイル基、シリル基、および−P(=O)R6566からなる群より選ばれる。R65およびR66はアリール基またはヘテロアリール基である。またR65およびR66が縮合して環を形成していてもよい。Arは置換もしくは無置換のアリール基または置換もしくは無置換のヘテロアリール基を表す。ただしR61〜R64、Arおよび環Bのいずれか1つの位置で、前記一般式(1−1)においてはL〜Lのいずれかと、前記一般式(1−2)においてはL〜Lのいずれかと、連結する。)
【化7】
(式中、R67〜R72はそれぞれ同じでも異なっていてもよく、水素、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、複素環基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルキニル基、ハロゲン、カルボニル基、カルボキシル基、オキシカルボニル基、カルバモイル基、シリル基、および−P(=O)R7374からなる群より選ばれる。R73およびR74はアリール基またはヘテロアリール基である。またR73およびR74が縮合して環を形成していてもよい。R68〜R72は隣接する置換基同士で環を形成してもよい。Lは単結合、置換もしくは無置換のアリーレン基または置換もしくは無置換のヘテロアリーレン基を表す。X〜Xは炭素原子または窒素原子を表し、窒素原子の場合には窒素原子上の置換基であるR68〜R72は存在しない。X〜Xにおいて窒素原子の数は1〜4である。ただし、R67で前記一般式(1−1)においてはL〜Lのいずれかと、前記一般式(1−2)においてはL〜Lのいずれかと、連結する。Cは炭素原子である。)
【請求項3】
前記一般式(1−1)のLもしくは前記一般式(1−2)のLの位置で、前記一般式(2)〜(7)で表される基のいずれかと連結する請求項2記載のベンゾインドロカルバゾール誘導体。
【請求項4】
前記一般式(1−1)においてはA〜Aのうち少なくとも1つが、前記一般式(1−2)においてはA〜Aのうち少なくとも1つが、前記一般式(7)で表される基であり、前記一般式(7)においてX、XおよびXが窒素原子であることを特徴とする請求項2または3記載のベンゾインドロカルバゾール誘導体。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載のベンゾインドロカルバゾール誘導体を含有する発光素子材料。
【請求項6】
陽極と陰極の間に有機層が存在し、電気エネルギーにより発光する発光素子であって、前記陽極と陰極の間のいずれかの層に請求項1〜4のいずれか記載のベンゾインドロカルバゾール誘導体を含有することを特徴とする発光素子。
【請求項7】
前記有機層に少なくとも正孔輸送層が存在し、正孔輸送層に請求項1〜4のいずれか記載のベンゾインドロカルバゾール誘導体を含有する請求項5記載の発光素子。
【請求項8】
前記有機層に少なくとも正孔注入層が存在し、正孔注入層に請求項1〜4のいずれか記載のベンゾインドロカルバゾール誘導体を含有する請求項5記載の発光素子。
【請求項9】
前記有機層に少なくとも発光層が存在し、発光層がホスト材料とドーパント材料を有し、請求項1〜4のいずれか記載のベンゾインドロカルバゾール誘導体がホスト材料であることを特徴とする請求項5記載の発光素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気エネルギーを光に変換できる発光素子や有機薄膜太陽電池などの有機電界素子に好適に用いられるベンゾインドロカルバゾール誘導体に関する。より詳しくは、表示素子、フラットパネルディスプレイ、バックライト、照明、インテリア、標識、看板、電子写真機および光信号発生器などの分野に利用可能な発光素子や有機電界素子およびそれらに用いられるベンゾインドロカルバゾール誘導体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
陰極から注入された電子と陽極から注入された正孔が両極に挟まれた有機蛍光体内で再結合する際に発光するという有機薄膜発光素子の研究が、近年活発に行われている。この発光素子は、薄型でかつ低駆動電圧下での高輝度発光と、蛍光材料を選ぶことによる多色発光が特徴であり、注目を集めている。
【0003】
この研究は、コダック社のC.W.Tangらによって有機薄膜素子が高輝度に発光することが示されて以来、多数の実用化検討がなされており、有機薄膜発光素子は、携帯電話のメインディスプレイなどに採用されるなど着実に実用化が進んでいる。しかし、まだ技術的な課題も多く、中でも素子の高効率化と長寿命化の両立は大きな課題のひとつである。
【0004】
素子の駆動電圧は、正孔や電子といったキャリアを発光層まで輸送するキャリア輸送材料に大きく左右される。このうち正孔を輸送する材料(正孔輸送材料)としてアミン骨格(例えば、特許文献1〜2参照)、カルバゾール骨格(例えば、特許文献3参照)、インドロカルバゾール骨格(例えば、特許文献4参照)を有する材料が知られている。アミン骨格を有する材料は正孔輸送性が高く有用な骨格であるが、共役が拡がりすぎるために三重項エネルギーが低下する。そのため、特にリン光発光層からの三重項励起子を閉じ込める材料としては不十分であり、発光効率を低下させる原因となる。それに加えて材料の耐熱性や、素子の耐久性の面でも課題がある。また、カルバゾール骨格やインドロカルバゾール骨格を有する材料は高い三重項準位を有することが知られており、特にリン光発光層の材料およびリン光発光層からの三重項励起子を閉じ込める材料として用いられることが提案されている(例えば、特許文献5参照)。そのため、緑リン光素子などの高い三重項エネルギーを要求される素子において特に好適に用いられる。しかし、高い三重項エネルギーを有するということは、一般的に一重項エネルギーも大きくなるため、必然的にイオン化ポテンシャルも大きくなる傾向にある。そのため、特に蛍光素子や赤リン光素子のように、それほど大きな三重項エネルギーが要求されない素子においては高駆動電圧化につながり、発光効率の低下や素子の耐久性の悪化につながる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3828595号公報
【特許文献2】特許第3194657号公報
【特許文献3】特許第3139321号公報
【特許文献4】国際公開第2007/063754号
【特許文献5】国際公開第2010/113761号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のように、従来の技術では素子の駆動電圧を十分に下げることは困難であり、また駆動電圧を下げることができたとしても、素子の発光効率、耐久寿命の両立が不十分であった。このように、高発光効率および耐久寿命を両立させる技術は未だ見出されていない。
【0007】
本発明は、かかる従来技術の問題を解決し、発光効率および耐久寿命を改善した有機薄膜発光素子を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、下記一般式(1−1)または(1−2)で表されるベンゾインドロカルバゾール誘導体である。
【0009】
【化1】
【0010】
式中、R〜R24はそれぞれ同じでも異なっていてもよく、水素、アルキル基、シクロアルキル基、複素環基、アミノ基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリールエーテル基、アリールチオエーテル基、アリール基、ヘテロアリール基、ハロゲン、カルボニル基、カルボキシル基、オキシカルボニル基およびカルバモイル基、シリル基、および−P(=O)R2526からなる群より選ばれる。R25およびR26はアリール基またはヘテロアリール基である。またR25およびR26が縮合して環を形成していてもよい。L〜Lはそれぞれ独立に単結合、置換もしくは無置換のアリーレン基、または置換もしくは無置換のヘテロアリーレン基である。A〜Aはそれぞれ独立にアミノ基、アリール基、複素環基、もしくはヘテロアリール基である。
【発明の効果】
【0011】
本発明により、低い駆動電圧、高い発光効率を有し、さらに十分な耐久寿命も兼ね備えた有機電界発光素子を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明における一般式(1−1)または(1−2)で表されるベンゾインドロカルバゾール誘導体について詳細に説明する。
【0013】
【化2】
【0014】
式中、R〜R24はそれぞれ同じでも異なっていてもよく、水素、アルキル基、シクロアルキル基、複素環基、アミノ基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリールエーテル基、アリールチオエーテル基、アリール基、ヘテロアリール基、ハロゲン、カルボニル基、カルボキシル基、オキシカルボニル基およびカルバモイル基、シリル基、および−P(=O)R2526からなる群より選ばれる。R25およびR26はアリール基またはヘテロアリール基である。またR25およびR26が縮合して環を形成していてもよい。L〜Lはそれぞれ独立に単結合、置換もしくは無置換のアリーレン基、または置換もしくは無置換のヘテロアリーレン基である。A〜Aはそれぞれ独立にアミノ基、アリール基、複素環基、もしくはヘテロアリール基である。
【0015】
これらの置換基のうち、水素は重水素であってもよい。アルキル基とは、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基などの飽和脂肪族炭化水素基を示し、これは置換基を有していても有していなくてもよい。アルキル基の炭素数は特に限定されないが、入手の容易性やコストの点から、通常1以上20以下、より好ましくは1以上8以下の範囲である。
【0016】
シクロアルキル基とは、例えば、シクロプロピル、シクロヘキシル、ノルボルニル、アダマンチルなどの飽和脂環式炭化水素基を示し、これは置換基を有していても有していなくてもよい。アルキル基部分の炭素数は特に限定されないが、通常、3以上20以下の範囲である。
【0017】
複素環基とは、例えば、ピラン環、ピペリジン環、環状アミドなどの炭素以外の原子を環内に有する脂肪族環、もしくはフェノキサジン環、フェノチアジン環、ジヒドロアクリジン環など、二つの芳香族環が炭素原子もしくはヘテロ原子で架橋された環を示し、これは置換基を有していても有していなくてもよい。また、複素環基の炭素数は特に限定されないが、通常、2以上20以下の範囲である。
【0018】
アミノ基は置換基を有していても有していなくてもよく、置換基としては例えばアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基などが挙げられ、これらの置換基はさらに置換されていてもよい。
【0019】
アルケニル基とは、例えば、ビニル基、アリル基、ブタジエニル基などの二重結合を含む不飽和脂肪族炭化水素基を示し、これは置換基を有していても有していなくてもよい。アルケニル基の炭素数は特に限定されないが、通常、2以上20以下の範囲である。
【0020】
シクロアルケニル基とは、例えば、シクロペンテニル基、シクロペンタジエニル基、シクロヘキセニル基などの二重結合を含む不飽和脂環式炭化水素基を示し、これは置換基を有していても有していなくてもよい。シクロアルケニル基の炭素数は特に限定されないが、通常、2以上20以下の範囲である。
【0021】
アルキニル基とは、例えば、エチニル基などの三重結合を含む不飽和脂肪族炭化水素基を示し、これは置換基を有していても有していなくてもよい。アルキニル基の炭素数は特に限定されないが、通常、2以上20以下の範囲である。
【0022】
アルコキシ基とは、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基などのエーテル結合を介して脂肪族炭化水素基が結合した官能基を示し、この脂肪族炭化水素基は置換基を有していても有していなくてもよい。アルコキシ基の炭素数は特に限定されないが、好ましくは、1以上20以下の範囲である。
【0023】
アルキルチオ基とは、アルコキシ基のエーテル結合の酸素原子が硫黄原子に置換されたものである。アルキルチオ基の炭化水素基は置換基を有していても有していなくてもよい。アルキルチオ基の炭素数は特に限定されないが、好ましくは、1以上20以下の範囲である。
【0024】
アリールエーテル基とは、例えば、フェノキシ基など、エーテル結合を介した芳香族炭化水素基が結合した官能基を示し、芳香族炭化水素基は置換基を有していても有していなくてもよい。アリールエーテル基の炭素数は特に限定されないが、好ましくは、6以上40以下の範囲である。
【0025】
アリールチオエーテル基とは、アリールエーテル基のエーテル結合の酸素原子が硫黄原子に置換されたものである。アリールエーテル基における芳香族炭化水素基は置換基を有していても有していなくてもよい。アリールエーテル基の炭素数は特に限定されないが、好ましくは、6以上40以下の範囲である。
【0026】
アリール基とは、例えば、フェニル基、ビフェニル基、フルオレニル基、フェナントリル基、トリフェニレニル基、ターフェニル基などの芳香族炭化水素基を示す。アリール基は、置換基を有していても有していなくてもよい。アリール基の炭素数は特に限定されないが、通常、6以上40以下の範囲である。
【0027】
ヘテロアリール基とは、フラニル基、チオフェニル基、ピリジル基、ピラジニル基、ピリミジニル基、トリアジニル基、ベンゾフラニル基、ベンゾチオフェニル基、インドリル基などの炭素以外の原子を一個または複数個環内に有する環状芳香族基を示し、これは無置換でも置換されていてもかまわない。ヘテロアリール基の炭素数は特に限定されないが、通常、2以上30以下の範囲である。
フラニル基、チオフェニル基、ピリジル基、キノリニル基、イソキノリニル基、ピラジニル基、ピリミジル基、ナフチリジル基、ベンゾフラニル基、ベンゾチオフェニル基、インドリル基、ジベンゾフラニル基、ジベンゾチオフェニル基、カルバゾリル基などの炭素以外の原子を一個または複数個環内に有する環状芳香族基を示し、これは無置換でも置換されていてもかまわない。ヘテロアリール基の炭素数は特に限定されないが、好ましくは、2以上30以下の範囲である。
【0028】
ハロゲンとは、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素から選ばれる原子を示す。
【0029】
カルボニル基、カルボキシル基、オキシカルボニル基、カルバモイル基およびホスフィンオキサイド基は、置換基を有していても有していなくてもよい。ここで、置換基としては、例えばアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基などが挙げられ、これら置換基はさらに置換されてもよい。
【0030】
シリル基とは、例えば、トリメチルシリル基などのケイ素原子への結合を有する官能基を示し、これは置換基を有していても有していなくてもよい。シリル基の炭素数は特に限定されないが、通常、3以上20以下の範囲である。また、ケイ素数は、通常、1以上6以下の範囲である。
【0031】
アリーレン基とはアリール基から導かれる2価の基を示し、例えば、フェニレン基、ナフチレン基、ビフェニレン基、フルオレニレン基、フェナントリレン基、ターフェニレン基、アントラセニレン基、ピレニレン基などが例示される。これらは置換基を有していても有していなくてもよい。アリーレン基の炭素数は特に限定されないが、通常、6以上40以下の範囲である。また、アリーレン基が置換基を有する場合は、置換基も含めて炭素数は6以上60以下の範囲であることが好ましい。
【0032】
ヘテロアリーレン基とは、ピリジル基、キノリニル基、ピリミジニル基、ピラジニル基、ナフチリジル基、ジベンゾフラニル基、ジベンゾチオフェニル基、カルバゾリル基などの炭素以外の原子を一個または複数個環内に有する芳香族基から導かれる2価もしくは3価の基を示し、これは置換基を有していても有していなくてもよい。ヘテロアリーレン基の炭素数は特に限定されないが、好ましくは、2〜30の範囲である。
【0033】
従来のアミン骨格、カルバゾール骨格およびインドロカルバゾールを有する化合物は、発光素子材料として必ずしも十分な性能を有するものではなかった。例えば、アミン骨格を有する材料として汎用に知られている材料として、N4,N4'-di(naphthalen-1-yl)-N4,N4'-diphenyl-[1,1'-biphenyl]-4,4'-diamine(略名:NPD)が挙げられる。NPDはイオン化ポテンシャルが小さいために正孔注入性に優れ、また窒素原子上にナフタレンが置換されているため、共役が拡がり、正孔輸送性も高いが、三重項エネルギーが低いために発光効率が低いという問題があった。また素子の耐久性に影響を及ぼすガラス転移温度が低いという問題もあった。以下にNPDの構造を示す。
【0034】
【化3】
【0035】
従来のカルバゾール骨格を有する化合物も、発光素子材料として必ずしも十分な性能を有するものではなかった。例えば、9,9’-diphenyl-9H,9’H-3,3’-bicarbazoleや1,3-di(9H- carbazol-9-yl)benzene(略名:mCP)は三重項準位が高く、励起子ブロック材料として汎用の材料であるが、イオン化ポテンシャルが大きくために正孔注入性に乏しく、また共役の拡がりが小さいために正孔輸送性に乏しく、駆動電圧が高くなるという問題があった。以下に9,9’-diphenyl-9H,9’H-3,3’-bicarbazoleおよびmCPの構造を示す。
【0036】
【化4】
【0037】
また、特許文献4に示されているインドロカルバゾール骨格を有する化合物においても、従来のカルバゾール骨格に比べて正孔輸送性は高いものの、イオン化ポテンシャルが大きく、正孔注入性に乏しいために駆動電圧が高くなるという問題があった。以下に特許文献4に記載の化合物の一例を示す。
【0038】
【化5】
【0039】
本発明者らは、インドロカルバゾール骨格を有する化合物は、正孔注入・輸送特性が低いために、発光層に入る正孔の割合が電子輸送層から入る電子に比べて小さく、発光層中の電荷のバランスが崩れることが素子性能の低下につながるのではないかと考えた。
【0040】
そこで、本発明者らは、インドロカルバゾールの中央骨格をナフタレンに置換したベンゾインドロカルバゾール骨格にすることで、共役を拡げ、イオン化ポテンシャルを小さくすることにより、正孔注入性・正孔輸送性が向上することを見出した。また、ベンゾインドロカルバゾール骨格は従来のアミン系の骨格と異なる縮環構造であり、励起状態においても分子の動きが少ないために、NPDをはじめとした従来のアミン系正孔輸送材料よりも高い三重項エネルギーを維持することができる。また、分子内のナフタレン構造の立体障害により、窒素原子上に置換する基がベンゾインドロカルバゾール骨格に対して垂直に立ちやすい。そのため、高いガラス転移温度が得られ、薄膜の安定性が向上する。
【0041】
一般式(1−1)または(1−2)で表されるベンゾインドロカルバゾール誘導体は、ベンゾインドロカルバゾール骨格が高い平面性を有し、分子同士がうまく重なるために、高い正孔輸送性を有する。また、ベンゾインドロカルバゾール骨格の窒素原子の位置により電子的な影響が異なり、中央のベンゼン環に対して互いにパラ位に存在するとイオン化ポテンシャルを小さくする効果が高い。そのため、正孔注入性をより高くするという観点からは(1−2)のほうが好ましい。しかしながら、合成上の観点からは(1−1)のほうが容易に合成できるため、好ましい。
【0042】
一般式(1−1)または(1−2)で表されるベンゾインドロカルバゾール誘導体中、L〜Lは、それぞれ独立に単結合、置換もしくは無置換のアリーレン基、または置換もしくは無置換のヘテロアリーレン基であるが、共役を拡げすぎないという観点から、無置換のアリーレン基もしくはヘテロアリーレン基が好ましい。さらに、電子的な影響を与える効果のより小さいアリーレン基が好ましく、適度な分子量であるフェニレン基が最も好ましい。
【0043】
〜Aはそれぞれ独立にアミノ基、アリール基、複素環基もしくはヘテロアリール基であるが、これらのうち少なくとも1つは一般式(2)〜(7)で表される基のいずれかであることが好ましい。
【0044】
【化6】
【0045】
式中、R27〜R28はそれぞれ同じでも異なっていてもよく、アリール基、ヘテロアリール基、多環式芳香族炭化水素基および多環式芳香族複素環基からなる群より選ばれる。ただし*の位置で、前記一般式(1−1)においてはL〜Lのいずれかと、前記一般式(1−2)においてはL〜Lのいずれかと、連結する。
【0046】
一般式(2)の形態のように、アミン骨格を有していると、アミノ基による電子供与性のために一般式(1−1)または(1−2)で表されるベンゾインドロカルバゾール誘導体のイオン化ポテンシャルが小さくなり、正孔注入性を向上させることができる。
【0047】
27〜R28は、適度な分子量であり、電子的な影響が少なく、共役を拡げることができることからアリール基が最も好ましいが、さらに高い三重項エネルギーも維持するという観点から、フェニル基、ビフェニル基、ジメチルフルオレニル基が好ましい。これらの置換基はさらに置換基を有していてもよいが、置換基を有する場合は共役の広がりに影響を与えないアルキル基が好ましく、特にメチル基が好ましい。また、*の位置で、前記一般式(1−1)においてはL〜Lのいずれかと、前記一般式(1−2)においてはL〜Lのいずれかと、連結するとは、一般式(2)の窒素原子が、一般式(1−1)におけるL〜Lのいずれかもしくは、前記一般式(1−2)におけるL〜Lのいずれかと直接連結することをいう。
【0048】
一般式(1−1)のLおよびLもしくは一般式(1−2)のLおよびLは合成上の観点からはアリーレン基が好ましく、その中でも、分子量の観点からフェニレン基もしくはビフェニレン基が好ましい。これらの基に一般式(2)が連結する場合、一般式(2)の窒素原子が、フェニレン基の場合はパラ位に、ビフェニレン基の場合は4−(4−アミノフェニル)フェニル骨格になるように連結するとイオン化ポテンシャルが小さくなるため、好ましい。さらに、合成上の観点からは、一般式(1−1)においてはL、一般式(1−2)においてはLと連結することがさらに好ましい。
【0049】
【化7】
【0050】
式中、R29〜R38はそれぞれ同じでも異なっていてもよく、水素、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、複素環基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルキニル基、ハロゲン、カルボニル基、カルボキシル基、オキシカルボニル基、カルバモイル基、シリル基、および−P(=O)R3940からなる群より選ばれる。R39およびR40はアリール基またはヘテロアリール基である。またR39およびR40が縮合して環を形成していてもよい。ただしR29〜R38のいずれか1つの位置で、前記一般式(1−1)においてはL〜Lのいずれかと、前記一般式(1−2)においてはL〜Lのいずれかと、連結する。
【0051】
一般式(3)の形態のように、p−ビフェニル骨格を有していると、フェニル基よりも共役が拡がることで一般式(1−1)または(1−2)で表されるベンゾインドロカルバゾール誘導体のキャリアの輸送性が向上する。また分子量が適度であり、化合物のガラス転移温度が高くなることで、薄膜の安定性が向上するため好ましい。
【0052】
29〜R38は、分子量の観点から水素、アルキル基、もしくはフェニル基であることが好ましい。特にR30がフェニル基であると、一般式(3)に含まれる各々のベンゼン環が互いにメタ位になることで三重項エネルギーの低下が抑えられるため、より好ましい。このとき、R32の位置で、前記一般式(1−1)においてはL〜Lのいずれかと、前記一般式(1−2)においてはL〜Lのいずれかと、連結することが好ましい。R29〜R38のいずれか1つの位置で、前記一般式(1−1)においてはL〜Lのいずれかと、前記一般式(1−2)においてはL〜Lのいずれかと、連結するとは、R29〜R38と連結している炭素原子のうちの一つが、前記一般式(1−1)においてはL〜Lのいずれかと、前記一般式(1−2)においてはL〜Lのいずれかと直接連結することをいう。この点は以下の説明でも共通する。
【0053】
【化8】
【0054】
式中、R41〜R48はそれぞれ同じでも異なっていてもよく、水素、アルキル基、シクロアルキル基、複素環、アミノ基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルキニル基、ハロゲン、カルボニル基、カルボキシル基、オキシカルボニル基、カルバモイル基、シリル基、および−P(=O)R4950からなる群より選ばれる。R49およびR50はアリール基またはヘテロアリール基である。またR49およびR50が縮合して環を形成していてもよい。Arは置換もしくは無置換のアリール基または置換もしくは無置換のヘテロアリール基を表す。LはCH、N−Ar、酸素原子、または硫黄原子を表す。LがCHのときはその水素原子の少なくとも1つがアルキル基に置き換わっていてもよい。Arは置換もしくは無置換のアリール基または置換もしくは無置換のヘテロアリール基を表す。ただしR41〜R48またはArのいずれか1つの位置で、前記一般式(1−1)においてはL〜Lのいずれかと、前記一般式(1−2)においてはL〜Lのいずれかと、連結する。
【0055】
一般式(4)の形態のように窒素原子と結合した2つのベンゼン環が、Lで互いに架橋した構造をとることで、ベンゼン環同士の平面性が増し、正孔輸送性が向上するため好ましい。
【0056】
一般式(4)で表される基は、LがCHのときはジヒドロアクリジニル基、N−Arのときはジヒドロフェナジニル基、酸素原子のときはフェノキサジニル基、硫黄原子のときはフェノチアジニル基となり、そのなかでも、電子供与性が最も高く、正孔注入性および正孔輸送性が向上するジヒドロアクリジニル基が特に好ましい。さらに、ジヒドロアクリジニル基の場合、LであるCHの水素原子の少なくとも1つがアルキル基に置き換わっていると、電子供与性がさらに増すため好ましい。水素原子の2つともがアルキル基に置き換わっていることがより好ましい。アルキル基のなかでも、適度な分子量であるメチル基が好ましい。ArおよびArは適度な分子量であり、電子的な影響が少なく、共役を拡げることができることからアリール基が最も好ましいが、アリール基のなかでも、分子量の観点からフェニル基がさらに好ましい。
【0057】
41〜R48のいずれか1つの位置でL〜Lのいずれか、またはL〜Lのいずれかと連結するとは先に説明したのと同様の意味である。また、Arの位置でL〜Lのいずれか、またはL〜Lのいずれかと連結するとは、Arを構成する元素のいずれかの位置とL等が直接連結することをいう。例えばArがフェニル基である場合、そのフェニル基を構成する炭素原子の1つとL等が直接連結することをいう。この点は以下の説明でも共通する。
【0058】
一般式(1−1)のLおよびLもしくは一般式(1−2)のLおよびLは合成上の観点からはアリーレン基が好ましく、その中でも、分子量の観点からフェニレン基もしくはビフェニレン基が好ましい。これらの基に一般式(4)が連結する場合、フェニレン基の場合はそのパラ位と、ビフェニレン基の場合は末端フェニル基のパラ位と、一般式(4)における窒素原子のパラ位であるR42、R43、R46またはR47が連結すると、イオン化ポテンシャルを小さくする効果が得られるために好ましい。ここでR42およびR47はLがN−Arのときに窒素原子のパラ位となるものである。さらに、合成上の観点からは、一般式(1−1)においてはL、一般式(1−2)においてはLと連結することがさらに好ましい。
【0059】
【化9】
【0060】
式中、R51〜R58はそれぞれ同じでも異なっていてもよく、水素、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、複素環基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルキニル基、ハロゲン、カルボニル基、カルボキシル基、オキシカルボニル基、カルバモイル基、シリル基、および−P(=O)R5960からなる群より選ばれる。R59およびR60はアリール基またはヘテロアリール基である。またR59およびR60が縮合して環を形成していてもよい。LはCH、N−Ar、酸素原子、または硫黄原子を表す。Arは置換もしくは無置換のアリール基または置換もしくは無置換のヘテロアリール基を表す。LがCHのときは、その水素原子の少なくとも1つがアルキル基に置き換わっていてもよい。ただしR51〜R58のいずれか1つの位置で、前記一般式(1−1)においてはL〜Lのいずれかと、前記一般式(1−2)においてはL〜Lのいずれかと、連結する。
【0061】
一般式(5)の形態のように2つのベンゼン環がLで架橋した構造をとることで、ベンゼン環同士の平面性が向上し、正孔輸送性が増すため好ましい。
【0062】
一般式(5)で表される基は、LがCHのときフルオレニル基、N−Arのときカルバゾリル基、酸素原子のときジベンゾフラニル基、硫黄原子のときジベンゾチオフェニル基となり、そのなかでもフルオレニル基もしくはカルバゾリル基が、電子供与性が高く、イオン化ポテンシャルが小さくなることで正孔注入性が増すため好ましい。さらに、フルオレニル基の場合、LであるCHの水素原子の2つともがアルキル基、特にメチル基に置き換わっていると、電子供与性がさらに増すため好ましい。Arは適度な分子量であり、電子的な影響が少なく、共役を拡げることができることからアリール基が最も好ましいが、アリール基のなかでも、分子量の観点からフェニル基がさらに好ましい。R51〜R58のいずれか1つの位置で、前記一般式(1−1)においてはL〜Lのいずれかと、前記一般式(1−2)においてはL〜Lのいずれかと、連結するとは、先に説明したのと同様の意味である。
【0063】
一般式(1−1)のLおよびLもしくは一般式(1−2)のLおよびLは合成上の観点からはアリーレン基が好ましく、その中でも、分子量の観点からフェニレン基もしくはビフェニレン基が好ましい。これらの基に一般式(5)が連結する場合、フェニレン基の場合はそのパラ位と、ビフェニレン基の場合は末端フェニル基のパラ位と、一般式(5)におけるヘテロ原子のパラ位であるR52またはR57が連結すると、イオン化ポテンシャルを小さくする効果が得られるために好ましい。ここでR52およびR57はLがCH以外のときにヘテロ原子のパラ位となるものである。さらに、合成上の観点からは、一般式(1−1)においてはL、一般式(1−2)においてはLと連結することがさらに好ましい。
【0064】
【化10】
【0065】
式中、環Bは置換もしくは無置換の縮合芳香族炭化水素環、置換もしくは無置換の単環芳香族複素環、または置換もしくは無置換の縮合芳香族複素環を表す。R61〜R64はそれぞれ同じでも異なっていてもよく、水素、アルキル基、シクロアルキル基、複素環基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリールエーテル基、アリールチオエーテル基、アリール基、ヘテロアリール基、ハロゲン、カルボニル基、カルボキシル基、オキシカルボニル基およびカルバモイル基、シリル基、および−P(=O)R6566からなる群より選ばれる。R65およびR66はアリール基またはヘテロアリール基である。またR65およびR66が縮合して環を形成していてもよい。Arは置換もしくは無置換のアリール基または置換もしくは無置換のヘテロアリール基を表す。ただしR61〜R64、Arおよび環Bのいずれか1つの位置で、前記一般式(1−1)においてはL〜Lのいずれかと、前記一般式(1−2)においてはL〜Lのいずれかと、連結する。
【0066】
一般式(6)の形態のように窒素原子に結合したベンゼン環および環Bが架橋した縮環構造を有していると、ベンゼン環と環Bの間の平面性が増し、正孔輸送性が向上するため好ましい。特に、環Bは下記一般式(A)〜(D)のいずれかで表される構造であることが好ましい。環Bが下記一般式(A)〜(D)のいずれかで表される構造であると、高いキャリア移動度を発現する。その結果、発光素子の低駆動電圧化が可能となり、発光効率を向上させることができる。また、昇華性、蒸着安定性及び結晶性の低下や高いガラス転移温度による膜の安定性が向上する。これらの構造に置換基がさらに置換していてもよいが、置換する場合は分子量の観点からメチル基が好ましい。これら一般式のうち、合成上の観点からは、一般式(1−1)においてはLの位置で、一般式(1−2)においてはLの位置で連結することが好ましい。
【0067】
【化11】
【0068】
Arは適度な分子量であり、電子的な影響が少なく、共役を拡げることができることからアリール基が最も好ましいが、アリール基のなかでも、分子量の観点からフェニル基がさらに好ましい。R61〜R64、Arのいずれか1つの位置で、前記一般式(1−1)においてはL〜Lのいずれかと、前記一般式(1−2)においてはL〜Lのいずれかと、連結するとは、先に説明したのと同様の意味である。また、環Bの位置でL〜Lのいずれか、またはL〜Lのいずれかと連結するとは、環Bを構成する元素のいずれかの位置とL等が直接連結することをいう。例えば環Bがベンゼン環である場合、そのベンゼン環を構成する炭素原子の1つとL等が直接連結することをいう。この点は以下の説明でも共通する。
【0069】
一般式(1−1)のLおよびLもしくは一般式(1−2)のLおよびLは合成上の観点からはアリーレン基が好ましく、その中でも、分子量の観点からフェニレン基もしくはビフェニレン基が好ましい。これらの基に一般式(6)が連結する場合、フェニレン基の場合はそのパラ位と、ビフェニレン基の場合は末端フェニル基のパラ位と、一般式(6)における窒素原子のパラ位であるR63が連結すると、イオン化ポテンシャルを小さくする効果が得られるために好ましい。さらに、合成上の観点からは、一般式(6)のR63と、一般式(1−1)においてはL、一般式(1−2)においてはLと連結することがさらに好ましい。
【0070】
【化12】
【0071】
式中、R67〜R72はそれぞれ同じでも異なっていてもよく、水素、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、複素環基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルキニル基、ハロゲン、カルボニル基、カルボキシル基、オキシカルボニル基、カルバモイル基、シリル基、および−P(=O)R7374からなる群より選ばれる。R73およびR74はアリール基またはヘテロアリール基である。またR73およびR74が縮合して環を形成していてもよい。R68〜R72は隣接する置換基同士で環を形成してもよい。Lは単結合、置換もしくは無置換のアリーレン基または置換もしくは無置換のヘテロアリーレン基を表す。X〜Xは炭素原子または窒素原子を表し、窒素原子の場合には窒素原子上の置換基であるR68〜R72は存在しない。X〜Xにおいて窒素原子の数は1〜4である。ただし、R67で前記一般式(1−1)においてはL〜Lのいずれかと、前記一般式(1−2)においてはL〜Lのいずれかと、連結する。Cは炭素原子である。
【0072】
一般式(7)の形態のように、六員環に窒素原子を含む基が置換することで、分子の電子親和力を増すことにつながり、電子注入性が向上する。そのため、特に正孔、電子の両キャリアを輸送することが要求される発光層に使用することが特に好ましい。
【0073】
は分子量の観点から、単結合、フェニレン基もしくはピリジレン基が好ましい。また、X〜Xのうち、X、XおよびXが窒素原子であると、六員環がトリアジン骨格となり、電子親和力が大きく、電子注入が容易になるため、特に好ましい。R68〜R72は隣接する置換基同士で環を形成してもよく、例えば以下のような構造が好ましい。
【0074】
【化13】
【0075】
これらの構造に置換基がさらに置換していてもよいが、置換する場合は分子量の観点からメチル基が好ましい。R67で前記一般式(1−1)においてはL〜Lのいずれかと、前記一般式(1−2)においてはL〜Lのいずれかと、連結するとは、先に説明したのと同様の意味である。
【0076】
一般式(2)〜(7)で表される基としては、特に限定されるものではないが、具体的には以下のような例が挙げられる。
【0077】
【化14】
【0078】
【化15】
【0079】
〜R24は原料入手の容易さや、合成コストを考慮すると、その全てが水素であることが最も好ましい。R〜R24が水素以外の基である場合、三重項準位を低下せず、イオン化ポテンシャルを大きくする効果の少ない基として、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基であることが好ましい。これらの基はさらに置換されていてもよい。
【0080】
上記一般式(1−1)または(1−2)で表されるベンゾインドロカルバゾール誘導体としては、特に限定されるものではないが、具体的には以下のような例が挙げられる。なお、以下は例示であり、ここに明記された化合物以外であっても一般式(1−1)または(1−2)で表されるものであれば同様に好ましく用いられる。
【0081】
【化16】
【0082】
【化17】
【0083】
【化18】
【0084】
【化19】
【0085】
上記のようなベンゾインドロカルバゾール骨格を有する化合物の合成には、公知の方法を使用することができる。ベンゾインドロカルバゾールを合成する方法としては、例えば、パラジウムや銅触媒を用いたベンゾカルバゾール誘導体のボロン酸エステルと、ハロゲン化ニトロベンゼンとのスズキカップリングにより生成した化合物を、オルトジクロロベンゼン等の高沸点溶媒に触媒を加えて反応させる方法が挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0086】
また、ベンゾインドロカルバゾールのN上に置換基を導入する方法としては、例えば、パラジウムや銅触媒を用いたベンゾインドロカルバゾール誘導体とハロゲン化物とのカップリング反応を用いる方法が挙げられるが、これに限定されるものではない。上記に示したこれらの一例として、11-phenyl-5-(4,4,5,5-tetramethyl-1,3,2-dioxaborolan-2-yl)- 11H-benzo[a]carbazole(中間体D)および5-phenyl-5,14-dihydrobenzo[a]indolo[3,2-c]carbazole(中間体F)を用いた例を以下に示す。
【0087】
【化20】
【0088】
一般式(1−1)または(1−2)で表されるベンゾインドロカルバゾール誘導体は発光素子材料として好適に用いられる。ここで本発明における発光素子材料とは、発光素子のいずれかの層に使用される材料を表し、後述するように、正孔注入層、正孔輸送層、発光層および/または電子輸送層に使用される材料であるほか、陰極の保護膜に使用される材料も含む。本発明における一般式(1−1)または(1−2)で表されるベンゾインドロカルバゾール誘導体を発光素子のいずれかの層に使用することにより、高い発光効率が得られ、かつ耐久性に優れた発光素子が得られる。
【0089】
次に、本発明の発光素子の実施の形態について詳細に説明する。本発明の発光素子は、陽極と陰極、およびそれら陽極と陰極との間に介在する有機層を有し、該有機層が電気エネルギーにより発光する。
【0090】
このような発光素子における陽極と陰極の間の層構成は、発光層のみからなる構成の他に、1)発光層/電子輸送層、2)正孔輸送層/発光層、3)正孔輸送層/発光層/電子輸送層、4)正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層、5)正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層、6)正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層といった積層構成が挙げられる。また、上記各層は、それぞれ単一層、複数層のいずれでもよく、ドーピングされていてもよい。
【0091】
一般式(1−1)または(1−2)で表されるベンゾインドロカルバゾール誘導体は、発光素子において上記のいずれの層に用いられてもよいが、正孔輸送層に特に好適に用いられる。
【0092】
本発明の発光素子において、陽極と陰極は素子の発光のために十分な電流を供給するための役割を有するものであり、光を取り出すために少なくとも一方は透明または半透明であることが望ましい。通常、基板上に形成される陽極を透明電極とする。
【0093】
陽極に用いる材料は、正孔を有機層に効率よく注入できる材料、かつ光を取り出すために透明または半透明であれば、酸化亜鉛、酸化錫、酸化インジウム、酸化錫インジウム(ITO)、酸化亜鉛インジウム(IZO)、などの導電性金属酸化物、あるいは、金、銀、クロムなどの金属、ヨウ化銅、硫化銅などの無機導電性物質、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリアニリンなどの導電性ポリマーなど特に限定されるものでないが、ITOガラスやネサガラスを用いることが特に望ましい。これらの電極材料は、単独で用いてもよいが、複数の材料を積層または混合して用いてもよい。透明電極の抵抗は素子の発光に十分な電流が供給できればよいので限定されないが、素子の消費電力の観点からは低抵抗であることが望ましい。例えば300Ω/□以下のITO基板であれば素子電極として機能するが、現在では10Ω/□程度の基板の供給も可能になっていることから、20Ω/□以下の低抵抗の基板を使用することが特に望ましい。ITOの厚みは抵抗値に合わせて任意に選ぶ事ができるが、通常45〜300nmの間で用いられることが多い。
【0094】
また、発光素子の機械的強度を保つために、発光素子を基板上に形成することが好ましい。基板は、ソーダガラスや無アルカリガラスなどのガラス基板が好適に用いられる。ガラス基板の厚みは、機械的強度を保つのに十分な厚みがあればよいので、0.5mm以上あれば十分である。ガラスの材質については、ガラスからの溶出イオンが少ない方がよいので無アルカリガラスの方が好ましい。または、SiOなどのバリアコートを施したソーダライムガラスも市販されているのでこれを使用することもできる。さらに、第一電極が安定に機能するのであれば、基板はガラスである必要はなく、例えば、プラスチック基板上に陽極を形成しても良い。ITO膜形成方法は、電子線ビーム法、スパッタリング法および化学反応法など特に制限を受けるものではない。
【0095】
陰極に用いる材料は、電子を効率よく発光層に注入できる物質であれば特に限定されない。一般的には白金、金、銀、銅、鉄、錫、アルミニウム、インジウムなどの金属、またはこれらの金属とリチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムなどの低仕事関数金属との合金や多層積層などが好ましい。中でも、主成分としてはアルミニウム、銀、マグネシウムが電気抵抗値や製膜しやすさ、膜の安定性、発光効率などの面から好ましい。特にマグネシウムと銀で構成されると、本発明における電子輸送層および電子注入層への電子注入が容易になり、低電圧駆動が可能になるため好ましい。
【0096】
さらに、陰極保護のために白金、金、銀、銅、鉄、錫、アルミニウムおよびインジウムなどの金属、またはこれら金属を用いた合金、シリカ、チタニアおよび窒化ケイ素などの無機物、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、炭化水素系高分子化合物などの有機高分子化合物を、保護膜層として陰極上に積層することが好ましい例として挙げられる。ただし、陰極側から光を取り出す素子構造(トップエミッション構造)の場合は、保護膜層は可視光領域で光透過性のある材料から選択される。これらの電極の作製法は、抵抗加熱、電子線ビーム、スパッタリング、イオンプレーティングおよびコーティングなど特に制限されない。
【0097】
正孔注入層は陽極と正孔輸送層の間に挿入される層である。正孔注入層は1層であっても複数の層が積層されていてもどちらでもよい。正孔輸送層と陽極の間に正孔注入層が存在すると、より低電圧駆動し、耐久寿命も向上するだけでなく、さらに素子のキャリアバランスが向上して発光効率も向上するため好ましい。
【0098】
正孔注入層に用いられる材料は特に限定されないが、例えば、4,4’−ビス(N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ)ビフェニル(TPD)、4,4’−ビス(N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ)ビフェニル(NPD)、4,4’−ビス(N,N−ビス(4−ビフェニリル)アミノ)ビフェニル(TBDB),ビス(N,N’−ジフェニル−4−アミノフェニル)−N,N−ジフェニル−4,4’ −ジアミノ−1,1’−ビフェニル(TPD232)といったベンジジン誘導体、4,4’,4”−トリス(3−メチルフェニル(フェニル)アミノ)トリフェニルアミン(m−MTDATA)、4,4’,4”−トリス(1−ナフチル(フェニル)アミノ)トリフェニルアミン(1−TNATA)などのスターバーストアリールアミンと呼ばれる材料群、ビス(N−アリールカルバゾール)またはビス(N−アルキルカルバゾール)などのビスカルバゾール誘導体、ピラゾリン誘導体、スチルベン系化合物、ヒドラゾン系化合物、ベンゾフラン誘導体、チオフェン誘導体、オキサジアゾール誘導体、フタロシアニン誘導体、ポルフィリン誘導体などの複素環化合物、ポリマー系では前記単量体を側鎖に有するポリカーボネートやスチレン誘導体、ポリチオフェン、ポリアニリン、ポリフルオレン、ポリビニルカルバゾールおよびポリシランなどが用いられる。また、一般式(1−1)または(1−2)で表される化合物を用いることもできる。中でも一般式(1−1)または(1−2)で表される化合物より浅いHOMO準位を有し、陽極から正孔輸送層へ円滑に正孔を注入輸送するという観点からベンジジン誘導体、スターバーストアリールアミン系材料群がより好ましく用いられる。
【0099】
これらの材料は単独で用いてもよいし、2種以上の材料を混合して用いてもよい。また、複数の材料を積層して正孔注入層としてもよい。さらにこの正孔注入層が、アクセプター性化合物単独で構成されているか、または上記のような正孔注入材料にアクセプター性化合物をドープして用いると、上述した効果がより顕著に得られるのでより好ましい。アクセプター性化合物とは、単層膜として用いる場合は接している正孔輸送層と、ドープして用いる場合は正孔注入層を構成する材料と電荷移動錯体を形成する材料である。このような材料を用いると正孔注入層の導電性が向上し、より素子の駆動電圧低下に寄与し、発光効率の向上、耐久寿命向上といった効果が得られる。
【0100】
アクセプター性化合物の例としては、塩化鉄(III)、塩化アルミニウム、塩化ガリウム、塩化インジウム、塩化アンチモンのような金属塩化物、酸化モリブデン、酸化バナジウム、酸化タングステン、酸化ルテニウムのような金属酸化物、トリス(4−ブロモフェニル)アミニウムヘキサクロロアンチモネート(TBPAH)のような電荷移動錯体が挙げられる。また分子内にニトロ基、シアノ基、ハロゲンまたはトリフルオロメチル基を有する有機化合物や、キノン系化合物、酸無水物系化合物、フラーレンなども好適に用いられる。これらの化合物の具体的な例としては、ヘキサシアノブタジエン、ヘキサシアノベンゼン、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン(TCNQ)、テトラフルオロテトラシアノキノジメタン(F4−TCNQ)、ラジアレーン誘導体、p−フルオラニル、p−クロラニル、p−ブロマニル、p−ベンゾキノン、2,6−ジクロロベンゾキノン、2,5−ジクロロベンゾキノン、テトラメチルベンゾキノン、1,2,4,5−テトラシアノベンゼン、o−ジシアノベンゼン、p−ジシアノベンゼン、1,4−ジシアノテトラフルオロベンゼン、2,3−ジクロロ−5,6−ジシアノベンゾキノン、p−ジニトロベンゼン、m−ジニトロベンゼン、o−ジニトロベンゼン、p−シアノニトロベンゼン、m−シアノニトロベンゼン、o−シアノニトロベンゼン、1,4−ナフトキノン、2,3−ジクロロナフトキノン、1−ニトロナフタレン、2−ニトロナフタレン、1,3−ジニトロナフタレン、1,5−ジニトロナフタレン、9−シアノアントラセン、9−ニトロアントラセン、9,10−アントラキノン、1,3,6,8−テトラニトロカルバゾール、2,4,7−トリニトロ−9−フルオレノン、2,3,5,6−テトラシアノピリジン、マレイン酸無水物、フタル酸無水物、C60、およびC70などが挙げられる。
【0101】
これらの中でも、金属酸化物やシアノ基含有化合物が取り扱いやすく、蒸着もしやすいことから、容易に上述した効果が得られるので好ましい。正孔注入層がアクセプター性化合物単独で構成される場合、または正孔注入層にアクセプター性化合物がドープされている場合のいずれの場合も、正孔注入層は1層であってもよいし、複数の層が積層されて構成されていてもよい。
【0102】
正孔輸送層は、陽極から注入された正孔を発光層まで輸送する層である。正孔輸送層は単層であっても複数の層が積層されて構成されていてもどちらでもよい。
【0103】
一般式(1−1)または(1−2)で表されるベンゾインドロカルバゾール誘導体は、5.1〜6.0eVのイオン化ポテンシャル(蒸着膜のAC-2(理研計器)測定値)、高い三重項エネルギー準位、高い正孔輸送性および薄膜安定性を有しているため、発光素子の正孔注入層および正孔輸送層に用いることが好ましい。一般式(1−1)または(1−2)は高い三重項エネルギーを有するため、三重項発光材料を使用した素子の正孔輸送材料として用いることが好ましい。従来のベンジジン骨格を有する正孔輸送材料は三重項準位が低く、三重項発光材料を含有する発光層に直接接していると三重項エネルギーの漏れが発生し、発光効率が低下するが、一般式(1−1)または(1−2)で表されるベンゾインドロカルバゾール誘導体は高い三重項エネルギーを有しており、そのような問題が生じないからである。
【0104】
複数層の正孔輸送層から構成される場合は、一般式(1−1)または(1−2)で表されるベンゾインドロカルバゾール誘導体を含む正孔輸送層は発光層に直接接していることが好ましい。一般式(1−1)または(1−2)で表されるベンゾインドロカルバゾール誘導体は高い電子ブロック性を有しており、発光層から流れ出る電子の侵入を防止することができるからである。さらに、一般式(1−1)または(1−2)で表されるベンゾインドロカルバゾール誘導体は、高い三重項エネルギーを有しているため、三重項発光材料の励起エネルギーを閉じ込める効果も有している。そのため、発光層に三重項発光材料が含まれる場合も、一般式(1−1)または(1−2)で表されるベンゾインドロカルバゾール誘導体を含む正孔輸送層は、発光層に直接接していることが好ましい。
【0105】
正孔輸送層は一般式(1−1)または(1−2)で表されるベンゾインドロカルバゾール誘導体のみから構成されていてもよいし、本発明の効果を損なわない範囲で他の材料が混合されていてもよい。この場合、用いられる他の材料としては、例えば、4,4’−ビス(N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ)ビフェニル(TPD)、4,4’−ビス(N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ)ビフェニル(NPD)、4,4’−ビス(N,N−ビス(4−ビフェニリル)アミノ)ビフェニル(TBDB),ビス(N,N’−ジフェニル−4−アミノフェニル)−N,N−ジフェニル−4,4’−ジアミノ−1,1’−ビフェニル(TPD232)といったベンジジン誘導体、4,4’,4”−トリス(3−メチルフェニル(フェニル)アミノ)トリフェニルアミン(m−MTDATA)、4,4’,4”−トリス(1−ナフチル(フェニル)アミノ)トリフェニルアミン(1−TNATA)などのスターバーストアリールアミンと呼ばれる材料群、ビス(N−アリールカルバゾール)またはビス(N−アルキルカルバゾール)などのビスカルバゾール誘導体、ピラゾリン誘導体、スチルベン系化合物、ヒドラゾン系化合物、ベンゾフラン誘導体、チオフェン誘導体、オキサジアゾール誘導体、フタロシアニン誘導体、ポルフィリン誘導体などの複素環化合物、ポリマー系では前記単量体を側鎖に有するポリカーボネートやスチレン誘導体、ポリチオフェン、ポリアニリン、ポリフルオレン、ポリビニルカルバゾールおよびポリシランなどが挙げられる。
【0106】
発光層は単一層、複数層のどちらでもよく、それぞれ発光材料(ホスト材料、ドーパント材料)により形成され、これはホスト材料とドーパント材料との混合物であっても、ホスト材料単独であっても、2種類のホスト材料と1種類のドーパント材料との混合物であっても、いずれでもよい。すなわち、本発明の発光素子では、各発光層において、ホスト材料もしくはドーパント材料のみが発光してもよいし、ホスト材料とドーパント材料がともに発光してもよい。電気エネルギーを効率よく利用し、高色純度の発光を得るという観点からは、発光層はホスト材料とドーパント材料の混合からなることが好ましい。また、ホスト材料とドーパント材料は、それぞれ一種類であっても、複数の組み合わせであっても、いずれでもよい。ドーパント材料はホスト材料の全体に含まれていても、部分的に含まれていても、いずれでもよい。ドーパント材料は積層されていても、分散されていても、いずれでもよい。ドーパント材料は発光色の制御ができる。ドーパント材料の量は、多すぎると濃度消光現象が起きるため、ホスト材料に対して30重量%以下で用いることが好ましく、さらに好ましくは20重量%以下である。ドーピング方法は、ホスト材料との共蒸着法によって形成することができるが、ホスト材料と予め混合してから同時に蒸着してもよい。
【0107】
一般式(1−1)または(1−2)で表されるベンゾインドロカルバゾール誘導体を発光材料として用いることも可能であり、中でも、Ar〜Arの少なくとも1つとして一般式(7)で表される基が選ばれると、電子親和力が大きくなり、電子の注入が向上するため、発光層のホスト材料として用いることが好ましい。
【0108】
発光材料は、一般式(1−1)または(1−2)で表されるベンゾインドロカルバゾール誘導体の他に、以前から発光体として知られていたアントラセンやピレンなどの縮合環誘導体、トリス(8−キノリノラート)アルミニウムを始めとする金属キレート化オキシノイド化合物、ビススチリルアントラセン誘導体やジスチリルベンゼン誘導体などのビススチリル誘導体、テトラフェニルブタジエン誘導体、インデン誘導体、クマリン誘導体、オキサジアゾール誘導体、ピロロピリジン誘導体、ペリノン誘導体、シクロペンタジエン誘導体、オキサジアゾール誘導体、チアジアゾロピリジン誘導体、ジベンゾフラン誘導体、カルバゾール誘導体、インドロカルバゾール誘導体、ポリマー系では、ポリフェニレンビニレン誘導体、ポリパラフェニレン誘導体、そして、ポリチオフェン誘導体などが使用できるが特に限定されるものではない。
【0109】
発光材料に含有されるホスト材料は、化合物一種のみに限る必要はなく、本発明の複数の化合物を混合して用いたり、その他のホスト材料の一種類以上を混合して用いたりしてもよい。また、積層して用いてもよい。ホスト材料としては、特に限定されないが、ナフタレン、アントラセン、フェナンスレン、ピレン、クリセン、ナフタセン、トリフェニレン、ペリレン、フルオランテン、フルオレン、インデンなどの縮合アリール環を有する化合物やその誘導体、N,N’−ジナフチル−N,N’−ジフェニル−4,4’−ジフェニル−1,1’−ジアミンなどの芳香族アミン誘導体、トリス(8−キノリナート)アルミニウム(III)をはじめとする金属キレート化オキシノイド化合物、ジスチリルベンゼン誘導体などのビススチリル誘導体、テトラフェニルブタジエン誘導体、インデン誘導体、クマリン誘導体、オキサジアゾール誘導体、ピロロピリジン誘導体、ペリノン誘導体、シクロペンタジエン誘導体、ピロロピロール誘導体、チアジアゾロピリジン誘導体、ジベンゾフラン誘導体、カルバゾール誘導体、インドロカルバゾール誘導体、トリアジン誘導体、ポリマー系では、ポリフェニレンビニレン誘導体、ポリパラフェニレン誘導体、ポリフルオレン誘導体、ポリビニルカルバゾール誘導体、ポリチオフェン誘導体などが使用できるが特に限定されるものではない。中でも、発光層が三重項発光(りん光発光)を行う際に用いられるホストとしては、金属キレート化オキシノイド化合物、ジベンゾフラン誘導体、ジベンゾチオフェン誘導体、カルバゾール誘導体、インドロカルバゾール誘導体、トリアジン誘導体、トリフェニレン誘導体などが好適に用いられる。
【0110】
発光材料に含有されるドーパント材料は、特に限定されないが、ナフタレン、アントラセン、フェナンスレン、ピレン、トリフェニレン、ペリレン、フルオレン、インデンなどのアリール環を有する化合物やその誘導体(例えば2−(ベンゾチアゾール−2−イル)−9,10−ジフェニルアントラセンや5,6,11,12−テトラフェニルナフタセンなど)、フラン、ピロール、チオフェン、シロール、9−シラフルオレン、9,9’−スピロビシラフルオレン、ベンゾチオフェン、ベンゾフラン、インドール、ジベンゾチオフェン、ジベンゾフラン、イミダゾピリジン、フェナントロリン、ピラジン、ナフチリジン、キノキサリン、ピロロピリジン、チオキサンテンなどのヘテロアリール環を有する化合物やその誘導体、ジスチリルベンゼン誘導体、4,4’−ビス(2−(4−ジフェニルアミノフェニル)エテニル)ビフェニル、4,4’−ビス(N−(スチルベン−4−イル)−N−フェニルアミノ)スチルベンなどのアミノスチリル誘導体、芳香族アセチレン誘導体、テトラフェニルブタジエン誘導体、スチルベン誘導体、アルダジン誘導体、ピロメテン誘導体、ジケトピロロ[3,4−c]ピロール誘導体、2,3,5,6−1H,4H−テトラヒドロ−9−(2’−ベンゾチアゾリル)キノリジノ[9,9a,1−gh]クマリンなどのクマリン誘導体、イミダゾール、チアゾール、チアジアゾール、カルバゾール、オキサゾール、オキサジアゾール、トリアゾールなどのアゾール誘導体およびその金属錯体およびN,N’−ジフェニル−N,N’−ジ(3−メチルフェニル)−4,4’−ジフェニル−1,1’−ジアミンに代表される芳香族アミン誘導体などが挙げられる。
【0111】
中でも、発光層が三重項発光(りん光発光)を行う際に用いられるドーパントとしては、イリジウム(Ir)、ルテニウム(Ru)、パラジウム(Pd)、白金(Pt)、オスミウム(Os)、及びレニウム(Re)からなる群から選択される少なくとも一つの金属を含む金属錯体化合物であることが好ましい。配位子は、フェニルピリジン骨格またはフェニルキノリン骨格またはカルベン骨格などの含窒素芳香族複素環を有することが好ましい。しかしながら、これらに限定されるものではなく、要求される発光色、素子性能、ホスト化合物との関係から適切な錯体が選ばれる。具体的には、トリス(2−フェニルピリジル)イリジウム錯体、トリス{2−(2−チオフェニル)ピリジル}イリジウム錯体、トリス{2−(2−ベンゾチオフェニル)ピリジル}イリジウム錯体、トリス(2−フェニルベンゾチアゾール)イリジウム錯体、トリス(2−フェニルベンゾオキサゾール)イリジウム錯体、トリスベンゾキノリンイリジウム錯体、ビス(2−フェニルピリジル)(アセチルアセトナート)イリジウム錯体、ビス{2−(2−チオフェニル)ピリジル}イリジウム錯体、ビス{2−(2−ベンゾチオフェニル)ピリジル}(アセチルアセトナート)イリジウム錯体、ビス(2−フェニルベンゾチアゾール)(アセチルアセトナート)イリジウム錯体、ビス(2−フェニルベンゾオキサゾール)(アセチルアセトナート)イリジウム錯体、ビスベンゾキノリン(アセチルアセトナート)イリジウム錯体、ビス{2−(2,4−ジフルオロフェニル)ピリジル}(アセチルアセトナート)イリジウム錯体、テトラエチルポルフィリン白金錯体、{トリス(セノイルトリフルオロアセトン)モノ(1,10−フェナントロリン)}ユーロピウム錯体、{トリス(セノイルトリフルオロアセトン)モノ(4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン)}ユーロピウム錯体、{トリス(1,3−ジフェニル−1,3−プロパンジオン)モノ(1,10−フェナントロリン)}ユーロピウム錯体、トリスアセチルアセトンテルビウム錯体などが挙げられる。また、特開2009−130141号に記載されているリン光ドーパントも好適に用いられる。これらに限定されるものではないが、高効率発光が得られやすいことから、イリジウム錯体または白金錯体が好ましく用いられる。
【0112】
ドーパント材料として用いられる上記三重項発光材料は、発光層中に各々一種類のみが含まれていてもよいし、二種以上を混合して用いてもよい。三重項発光材料を二種以上用いる際には、ドーパント材料の総重量がホスト材料に対して30重量%以下であることが好ましく、さらに好ましくは20重量%以下である。
【0113】
また、発光層には上記ホスト材料および三重項発光材料の他に、発光層内のキャリアバランスを調整するためや発光層の層構造を安定化させるための第3成分を更に含んでいてもよい。但し、第3成分としては、一般式(1−1)または(1−2)で表されるベンゾインドロカルバゾール誘導体を含むホスト材料および三重項発光材料からなるドーパント材料との間で相互作用を起こさないような材料を選択する。
【0114】
三重項発光系における好ましいホストおよびドーパントとしては、特に限定されるものではないが、具体的には以下のような例が挙げられる。
【0115】
【化21】
【0116】
【化22】
【0117】
本発明において、電子輸送層とは、陰極から電子が注入され、さらに電子を輸送する層である。電子輸送層には、電子注入効率が高く、注入された電子を効率良く輸送することが望まれる。そのため電子輸送層は、電子親和力が大きく、しかも電子移動度が大きく、さらに安定性に優れ、トラップとなる不純物が製造時および使用時に発生しにくい物質であることが要求される。特に膜厚を厚く積層する場合には、低分子量の化合物は結晶化するなどして膜質が劣化しやすいため、安定な膜質を保つ分子量400以上の化合物が好ましい。しかしながら、正孔と電子の輸送バランスを考えた場合に、電子輸送層が陽極からの正孔が再結合せずに陰極側へ流れるのを効率よく阻止できる役割を主に果たすならば、電子輸送能力がそれ程高くない材料で構成されていても、発光効率を向上させる効果は電子輸送能力が高い材料で構成されている場合と同等となる。したがって、本発明における電子輸送層には、正孔の移動を効率よく阻止できる正孔阻止層も同義のものとして含まれる。
【0118】
電子輸送層に用いられる電子輸送材料としては、ナフタレン、アントラセンなどの縮合多環芳香族誘導体、4,4’−ビス(ジフェニルエテニル)ビフェニルに代表されるスチリル系芳香環誘導体、アントラキノンやジフェノキノンなどのキノン誘導体、リンオキサイド誘導体、トリス(8−キノリノラート)アルミニウム(III)などのキノリノール錯体、ベンゾキノリノール錯体、ヒドロキシアゾール錯体、アゾメチン錯体、トロポロン金属錯体およびフラボノール金属錯体などの各種金属錯体が挙げられるが、駆動電圧を低減し、高効率発光が得られることから、炭素、水素、窒素、酸素、ケイ素、リンの中から選ばれる元素で構成され、電子受容性窒素を含むヘテロアリール環構造を有する化合物を用いることが好ましい。
【0119】
ここで言う電子受容性窒素とは、隣接原子との間に多重結合を形成している窒素原子を表す。窒素原子が高い電子陰性度を有することから、該多重結合は電子受容的な性質を有する。それゆえ、電子受容性窒素を含む芳香族複素環は、高い電子親和性を有する。電子受容性窒素を有する電子輸送材料は、高い電子親和力を有する陰極からの電子を受け取りやすくし、より低電圧駆動が可能となる。また、発光層への電子の供給が多くなり、再結合確率が高くなるので発光効率が向上する。
【0120】
電子受容性窒素を含むヘテロアリール環としては、例えば、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、キノリン環、キノキサリン環、ナフチリジン環、ピリミドピリミジン環、ベンゾキノリン環、フェナントロリン環、イミダゾール環、オキサゾール環、オキサジアゾール環、トリアゾール環、チアゾール環、チアジアゾール環、ベンゾオキサゾール環、ベンゾチアゾール環、ベンズイミダゾール環、フェナンスロイミダゾール環などが挙げられる。
【0121】
これらのヘテロアリール環構造を有する化合物としては、例えば、ベンズイミダゾール誘導体、ベンズオキサゾール誘導体、ベンズチアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、チアジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、ピラジン誘導体、フェナントロリン誘導体、キノキサリン誘導体、キノリン誘導体、ベンゾキノリン誘導体、ビピリジンやターピリジンなどのオリゴピリジン誘導体、キノキサリン誘導体およびナフチリジン誘導体などが好ましい化合物として挙げられる。中でも、トリス(N−フェニルベンズイミダゾール−2−イル)ベンゼンなどのイミダゾール誘導体、1,3−ビス[(4−tert−ブチルフェニル)1,3,4−オキサジアゾリル]フェニレンなどのオキサジアゾール誘導体、N−ナフチル−2,5−ジフェニル−1,3,4−トリアゾールなどのトリアゾール誘導体、バソクプロインや1,3−ビス(1,10−フェナントロリン−9−イル)ベンゼンなどのフェナントロリン誘導体、2,2’−ビス(ベンゾ[h]キノリン−2−イル)−9,9’−スピロビフルオレンなどのベンゾキノリン誘導体、2,5−ビス(6’−(2’,2”−ビピリジル))−1,1−ジメチル−3,4−ジフェニルシロールなどのビピリジン誘導体、1,3−ビス(4’−(2,2’:6’2”−ターピリジニル))ベンゼンなどのターピリジン誘導体、ビス(1−ナフチル)−4−(1,8−ナフチリジン−2−イル)フェニルホスフィンオキサイドなどのナフチリジン誘導体が、電子輸送能の観点から好ましく用いられる。また、これらの誘導体が、縮合多環芳香族骨格を有していると、ガラス転移温度が向上すると共に、電子移動度も大きくなり発光素子の低電圧化の効果が大きいのでより好ましい。さらに、素子耐久寿命が向上し、合成のし易さ、原料入手が容易であることを考慮すると、縮合多環芳香族骨格はアントラセン骨格、ピレン骨格またはフェナントロリン骨格であることが特に好ましい。上記電子輸送材料は単独でも用いられるが、上記電子輸送材料の2種以上を混合して用いたり、その他の電子輸送材料の一種以上を上記の電子輸送材料に混合して用いたりしても構わない。
【0122】
好ましい電子輸送材料としては、特に限定されるものではないが、具体的には以下のような例が挙げられる。
【0123】
【化23】
【0124】
上記電子輸送材料は単独でも用いられるが、上記電子輸送材料の2種以上を混合して用いたり、その他の電子輸送材料の一種以上を上記の電子輸送材料に混合して用いたりしても構わない。また、ドナー性化合物を含有してもよい。ここで、ドナー性化合物とは電子注入障壁の改善により、陰極または電子注入層からの電子輸送層への電子注入を容易にし、さらに電子輸送層の電気伝導性を向上させる化合物である。
【0125】
ドナー性化合物の好ましい例としては、アルカリ金属、アルカリ金属を含有する無機塩、アルカリ金属と有機物との錯体、アルカリ土類金属、アルカリ土類金属を含有する無機塩またはアルカリ土類金属と有機物との錯体などが挙げられる。アルカリ金属、アルカリ土類金属の好ましい種類としては、低仕事関数で電子輸送能向上の効果が大きいリチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウムといったアルカリ金属や、マグネシウム、カルシウム、セリウム、バリウムといったアルカリ土類金属が挙げられる。
【0126】
また、真空中での蒸着が容易で取り扱いに優れることから、金属単体よりも無機塩、あるいは有機物との錯体の状態であることが好ましい。さらに、大気中での取扱を容易にし、添加濃度の制御のし易さの点で、有機物との錯体の状態にあることがより好ましい。無機塩の例としては、LiO、Li2O等の酸化物、窒化物、LiF、NaF、KF等のフッ化物、Li2CO3、Na2CO3、K2CO3、Rb2CO3、Cs2CO3等の炭酸塩などが挙げられる。また、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の好ましい例としては、大きな低電圧駆動効果が得られるという観点ではリチウム、セシウムが挙げられる。また、有機物との錯体における有機物の好ましい例としては、キノリノール、ベンゾキノリノール、ピリジルフェノール、フラボノール、ヒドロキシイミダゾピリジン、ヒドロキシベンズアゾール、ヒドロキシトリアゾールなどが挙げられる。中でも、より発光素子の低電圧化の効果が大きいという観点ではアルカリ金属と有機物との錯体が好ましく、さらに合成のしやすさ、熱安定性という観点からリチウムと有機物との錯体がより好ましく、比較的安価で入手できるリチウムキノリノールが特に好ましい。
【0127】
電子輸送層のイオン化ポテンシャルは、特に限定されないが、好ましくは5.6eV以上8.0eV以下であり、より好ましくは5.6eV以上7.0eV以下である。
【0128】
発光素子を構成する上記各層の形成方法は、抵抗加熱蒸着、電子ビーム蒸着、スパッタリング、分子積層法、コーティング法など特に限定されないが、通常は、素子特性の点から抵抗加熱蒸着または電子ビーム蒸着が好ましい。
【0129】
有機層の厚みは、発光物質の抵抗値にもよるので限定することはできないが、1〜1000nmであることが好ましい。発光層、電子輸送層、正孔輸送層の膜厚はそれぞれ、好ましくは1nm以上200nm以下であり、さらに好ましくは5nm以上100nm以下である。
【0130】
本発明の発光素子は、電気エネルギーを光に変換できる機能を有する。ここで電気エネルギーとしては主に直流電流が使用されるが、パルス電流や交流電流を用いることも可能である。電流値および電圧値は特に制限はないが、素子の消費電力や寿命を考慮すると、できるだけ低いエネルギーで最大の輝度が得られるよう選ばれるべきである。
【0131】
本発明の発光素子は、例えば、マトリクスおよび/またはセグメント方式で表示するディスプレイとして好適に用いられる。
【0132】
マトリクス方式とは、表示のための画素が格子状やモザイク状など二次元的に配置され、画素の集合で文字や画像を表示する。画素の形状やサイズは用途によって決まる。例えば、パソコン、モニター、テレビの画像および文字表示には、通常一辺が300μm以下の四角形の画素が用いられ、また、表示パネルのような大型ディスプレイの場合は、一辺がmmオーダーの画素を用いることになる。モノクロ表示の場合は、同じ色の画素を配列すればよいが、カラー表示の場合には、赤、緑、青の画素を並べて表示させる。この場合、典型的にはデルタタイプとストライプタイプがある。そして、このマトリクスの駆動方法は、線順次駆動方法やアクティブマトリクスのどちらでもよい。線順次駆動はその構造が簡単であるが、動作特性を考慮した場合、アクティブマトリクスの方が優れる場合があるので、これも用途によって使い分けることが必要である。
【0133】
本発明におけるセグメント方式とは、予め決められた情報を表示するようにパターンを形成し、このパターンの配置によって決められた領域を発光させる方式である。例えば、デジタル時計や温度計における時刻や温度表示、オーディオ機器や電磁調理器などの動作状態表示および自動車のパネル表示などが挙げられる。そして、前記マトリクス表示とセグメント表示は同じパネルの中に共存していてもよい。
【0134】
本発明の発光素子は、各種機器等のバックライトとしても好ましく用いられる。バックライトは、主に自発光しない表示装置の視認性を向上させる目的に使用され、液晶表示装置、時計、オーディオ装置、自動車パネル、表示板および標識などに使用される。特に、液晶表示装置、中でも薄型化が検討されているパソコン用途のバックライトに本発明の発光素子は好ましく用いられ、従来のものより薄型で軽量なバックライトを提供できる。
【実施例】
【0135】
以下、実施例をあげて本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。なお、下記の各実施例にある化合物の番号は上記に記載した化合物の番号を指すものである。
【0136】
また、各化合物の最低励起三重項エネルギーの測定については、以下の通りとした。各化合物を1.0×10−5mol/lの2−メチルテトラヒドロフラン溶液とした。調整した溶液を専用の石英チューブに入れ、窒素バブリングを行うことで溶存酸素を除き、さらに酸素の混入を防ぐためにセプタム栓でキャップをした。このサンプルを液体窒素にて77K付近まで冷却した後、蛍光リン光分光光度計(堀場製作所製、FluoroMax−4P)を用い、リン光スペクトルを測定した。リン光スペクトルの短波長の立ち上がり位置の波長を読み取り、該波長値を光のエネルギーに換算して、三重項エネルギー(T1)を算出した。
【0137】
合成例1
化合物[3]の合成
α−テトラロン35.09g、フェニルヒドラジン塩酸塩21.69g、酢酸9.0g、エタノール500mlの混合溶液を窒素気流下、還流下で7時間加熱攪拌した。室温に冷却した後、ろ過を行い、ろ液をエバポレートした。得られた固体を精製水200mlで2回洗浄し、真空乾燥後、淡黄色固体31.3gを得た。この固体およびクロラニル38.6g、オルトキシレン377mlの混合溶液を窒素気流下、還流下で1時間還流した。室温に冷却した後、10%水酸化ナトリウム水溶液300mlを加え、1時間攪拌した。ろ過を行い、得られた固体をさらに精製水200mlで5回洗浄した。ろ過を行い真空乾燥した後、11H−ベンゾ[a]カルバゾール(中間体A)18.97gを得た。次に、中間体A18.0g、ブロモベンゼン15.6g、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム477mg、ジ−t−ブチル(2,2−ジフェニル−1−メチル−1−シクロプロピル)ホスフィン584mg、ナトリウムtert−ブトキシド11.15gとo−キシレン414mlの混合溶液を窒素気流下、還流下で時間加熱攪拌した。室温に冷却した後、トルエン300mlで抽出した。有機層を水100mlで3回洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥後、エバポレートした。得られた濃縮物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、エバポレートして得られた固体を真空乾燥した後、11−フェニル−11H−ベンゾ[a]カルバゾール(中間体B)17.0gを得た。
【0138】
次に、中間体B17.0g、N−ブロモスクシンイミド10.3g、テトラヒドロフラン290mlの混合溶液を3時間室温攪拌した。水300mlを加えて濾過を行い、真空乾燥後、5−ブロモ−11−フェニル−11H−ベンゾ[a]カルバゾール(中間体C)21.47gを得た。
【0139】
次に、中間体C26.0g、ビス(ピナコラート)ジボロン26.6g、1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)1.14g、酢酸カリウム2.1g、ジメチルホルムアミド350mlの混合溶液を窒素気流下、135℃で2.5時間加熱攪拌した。室温に冷却した後、精製水300ml、酢酸エチル300mlを加えてセライトろ過した。ろ液のうち有機層を回収し、硫酸マグネシウムで乾燥後、濾過を行いエバポレートした。得られた濃縮物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、エバポレートして得られた固体を真空乾燥した後、11−フェニル−5−(4,4,5,5,−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロサン−2−イル)11H−ベンゾ[a]カルバゾール(中間体D)17.46g得た。
【0140】
次に、中間体D17.46g、2−ヨードニトロベンゼン9.43g、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)531mg、1.5M炭酸ナトリウム水溶液56ml、ジメトキシエタン208mlの混合溶液を窒素気流下、還流下で1時間還流した。室温に冷却した後、精製水200ml加えて濾過を行った。真空乾燥して得た固体をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、エバポレートして得られた固体を真空乾燥した後、5−(2−ニトロフェニル)−11−フェニル−11H−ベンゾ[a]カルバゾール(中間体E)11.27gを得た。
【0141】
次に、中間体E11.27g、トリフェニルホスフィン17.79g、オルトジクロロベンゼン54mlの混合溶液を窒素気流下、還流下で8時間加熱攪拌した。室温に冷却した後、混合溶液をエバポレートした。得られた濃縮物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、エバポレートして得られた固体を真空乾燥した後、5−フェニル−5,14−ジヒドロベンゾ[a]インドロ[3,2−c]カルバゾール(中間体F)9.66gを得た。
【0142】
次に、中間体F2.0g、3−ブロモトリフェニルアミン1.86g、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム60mg、ジ−t−ブチル(2,2−ジフェニル−1−メチル−1−シクロプロピル)ホスフィン74mg、ナトリウムtert−ブトキシド604mgとオルトキシレン26mlの混合溶液を窒素気流下、還流下で3時間加熱攪拌した。
室温に冷却した後、精製水26mlを加えてセライト濾過した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過を行いエバポレートした。得られた濃縮物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、エバポレートして得られた固体を真空乾燥した後、化合物[3]2.18gを得た。
【0143】
得られた粉末のH−NMR分析結果は次の通りであり、上記で得られた白色固体が化合物[3]であることが確認された。
H−NMR(CDCl(d=ppm)):6.61−6.64(d,1H,J=8.1),6.90−7.70(m,28H),8.60−8.63(m,1H),8.96−8.99(d,1H,J=8.37)。
【0144】
なお、この化合物[3]は、油拡散ポンプを用いて1×10−3Paの圧力下、約330℃で昇華精製を行ってから発光素子材料として使用した。HPLC純度(測定波長254nmにおける面積%)は昇華精製前が99.9%、昇華精製後が99.9%であった。
また、化合物[3]の最低励起三重項エネルギー準位T1は2.51eVであった。
【0145】
合成例2
化合物[12]の合成
中間体F2.5g、5’−クロロ−5’−クロロ−1,1’:3’,1’’−ターフェニル1.91g、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム75mg、ジ−t−ブチル(2,2−ジフェニル−1−メチル−1−シクロプロピル)ホスフィン92mg、ナトリウムtert−ブトキシド754mg、オルトキシレン33mlの混合溶液を窒素気流下、還流下で1時間加熱攪拌した。室温に冷却した後、精製水33ml加えてセライト濾過を行った。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥後濾過を行い、エバポレートした。得られた濃縮物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、エバポレートして得られた固体を真空乾燥した後、(化合物12)3.67gを得た。
【0146】
得られた粉末のH−NMR分析結果は次の通りであり、上記で得られた白色固体が化合物[2]であることが確認された。
H−NMR(CDCl(d=ppm)):6.31−6.34(d,1H,J=8.10),6.75−6.80(t,1H),7.04−7.72(m,23H),7.88−7.89(m,2H),8.08(s,1H),8.68−8.71(d,1H,J=7.83),9.05−9.08(d,1H,J=8.10)。
【0147】
なお、この化合物[12]は、油拡散ポンプを用いて1×10−3Paの圧力下、約330℃で昇華精製を行ってから発光素子材料として使用した。HPLC純度(測定波長254nmにおける面積%)は昇華精製前が99.9%、昇華精製後が99.9%であった。
また、化合物[12]の最低励起三重項エネルギー準位T1は2.51eVであった。
【0148】
実施例1
ITO透明導電膜を50nm堆積させたガラス基板(ジオマテック(株)製、11Ω/□、スパッタ品)を38×46mmに切断し、エッチングを行った。得られた基板を “セミコクリーン56”(商品名、フルウチ化学(株)製)で15分間超音波洗浄してから、超純水で洗浄した。この基板を素子作製する直前に1時間UV−オゾン処理し、真空蒸着装置内に設置して、装置内の真空度が5×10−4Pa以下になるまで排気した。抵抗加熱法によって、正孔注入層として化合物HI−1を10nm蒸着した。次に、第一正孔輸送層として、化合物HT−1を80nm蒸着した。次に、第二正孔輸送層として、化合物[1]を40nm蒸着した。次に、発光層として、ホスト材料に化合物H−1を、ドーパント材料に化合物D−1を用い、ドーパント材料のドープ濃度が10重量%になるようにして30nmの厚さに蒸着した。次に、電子輸送層として、化合物E−1を35nmの厚さに積層した。
【0149】
次に、リチウムキノリノールを1nm蒸着した後、マグネシウムと銀の共蒸着膜を蒸着速度比がマグネシウム:銀=10:1(=0.5nm/s:0.05nm/s)で100nm蒸着して陰極とし、5×5mm角の素子を作製した。ここで言う膜厚は、水晶発振式膜厚モニター表示値である。この発光素子を10mA/cmで直流駆動したところ、発光効率13.9lm/Wの高効率赤色発光が得られた。この発光素子を10mA/cmの直流で連続駆動したところ、3950時間で輝度半減した。なお化合物HI−1、HT−6、H−1、D−1、E−1は以下に示す化合物である。
【0150】
【化24】
【0151】
実施例2〜8、比較例1〜5
第二正孔輸送層として表1に記載した材料を用いたこと以外は実施例1と同様にして発光素子を作製した。結果を表1に示す。なお、HT−2、HT−3、HT−4、HT−5は以下に示す化合物である。
【0152】
【化25】
【0153】
【表1】
【0154】
実施例9
ITO透明導電膜を50nm堆積させたガラス基板(ジオマテック(株)製、11Ω/□、スパッタ品)を38×46mmに切断し、エッチングを行った。得られた基板を “セミコクリーン56”(商品名、フルウチ化学(株)製)で15分間超音波洗浄してから、超純水で洗浄した。この基板を素子作製する直前に1時間UV−オゾン処理し、真空蒸着装置内に設置して、装置内の真空度が5×10−4Pa以下になるまで排気した。抵抗加熱法によって、第一正孔注入層として化合物HI−1を10nm蒸着した。次に、第二正孔注入層として、化合物[1]を10nm蒸着した。次に、正孔輸送層として、HT−1を80nm蒸着した。次に、発光層として、ホスト材料に化合物H−1を、ドーパント材料に化合物D−1を用い、ドーパント材料のドープ濃度が10重量%になるようにして30nmの厚さに蒸着した。次に、電子輸送層として、化合物E−1を35nmの厚さに積層した。
次に、フッ化リチウムを0.5nm蒸着した後、アルミニウムを1000nm蒸着して陰極とし、5×5mm角の素子を作製した。ここで言う膜厚は、水晶発振式膜厚モニター表示値である。この発光素子を10mA/cmで直流駆動したところ、発光効率8.7lm/Wの高効率赤色発光が得られた。この発光素子を10mA/cmの直流で連続駆動したところ、1900時間で輝度半減した。
【0155】
実施例10〜16、比較例6〜10
第二正孔注入層として表2に記載した材料を用いたこと以外は実施例9と同様にして発光素子を作製した。結果を表2に示す。
【0156】
【表2】
【0157】
実施例17
ITO透明導電膜を50nm堆積させたガラス基板(ジオマテック(株)製、11Ω/□、スパッタ品)を38×46mmに切断し、エッチングを行った。得られた基板を “セミコクリーン56”(商品名、フルウチ化学(株)製)で15分間超音波洗浄してから、超純水で洗浄した。この基板を素子作製する直前に1時間UV−オゾン処理し、真空蒸着装置内に設置して、装置内の真空度が5×10−4Pa以下になるまで排気した。抵抗加熱法によって、正孔注入層としてHI−1を10nm蒸着した。次に、正孔輸送層として、化合物HT−1を90nm蒸着した。次に、発光層として、ホスト材料に化合物[21]を、ドーパント材料に化合物D−1を用い、ドーパント材料のドープ濃度が10重量%になるようにして30nmの厚さに蒸着した。次に、電子輸送層として、化合物E−1を35nmの厚さに積層した。
【0158】
次に、フッ化リチウムを0.5nm蒸着した後、アルミニウムを1000nm蒸着して陰極とし、5×5mm角の素子を作製した。ここで言う膜厚は、水晶発振式膜厚モニター表示値である。この発光素子を10mA/cmで直流駆動したところ、発光効率11.9lm/Wの高効率赤色発光が得られた。この発光素子を10mA/cmの直流で連続駆動したところ、2900時間で輝度半減した。
【0159】
実施例18〜20、比較例11
発光層のホスト材料として表3に記載した材料を用いたこと以外は実施例17と同様にして発光素子を作製し、評価した。結果を表3に示す。
【0160】
【表3】
【0161】
実施例21
ITO透明導電膜を165nm堆積させたガラス基板(ジオマテック(株)製、11Ω/□、スパッタ品)を38×46mmに切断し、エッチングを行った。得られた基板を “セミコクリーン56”(商品名、フルウチ化学(株)製)で15分間超音波洗浄してから、超純水で洗浄した。この基板を素子作製する直前に1時間UV−オゾン処理し、真空蒸着装置内に設置して、装置内の真空度が5×10−4Pa以下になるまで排気した。抵抗加熱法によって、まず正孔注入層として、HI−1を5nm、正孔輸送層として、化合物[1]を80nm蒸着した。次に、発光層として、ホスト材料H−2、ドーパント材料D−2をドープ濃度が5重量%になるようにして40nmの厚さに蒸着した。次に、電子輸送層としてE−1を30nmの厚さに蒸着して積層した。次に、フッ化リチウムを0.5nm蒸着した後、アルミニウムを1000nm蒸着して陰極とし、5×5mm角の素子を作製した。ここで言う膜厚は、水晶発振式膜厚モニター表示値である。この発光素子の1000cd/m時の特性は、外部量子効率4.4%であった。この発光素子を10mA/cmの直流で連続駆動したところ、1050時間で輝度半減した。なお、H−2、D−2は以下に示す化合物である。
【0162】
【化26】
【0163】
実施例22〜28、比較例12〜16
正孔輸送層として表4に記載した材料を用いたこと以外は実施例21と同様にして発光素子を作製した。結果を表4に示す。
【0164】
【表4】
【国際調査報告】