(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO2014061556
(43)【国際公開日】20140424
【発行日】20160905
(54)【発明の名称】導電性基板用金属粒子分散体及びその製造方法、並びに導電性基板の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01B 1/22 20060101AFI20160808BHJP
   H01B 13/00 20060101ALI20160808BHJP
   C08F 265/06 20060101ALI20160808BHJP
   C08F 283/02 20060101ALI20160808BHJP
【FI】
   !H01B1/22 A
   !H01B13/00 503C
   !C08F265/06
   !C08F283/02
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】43
【出願番号】2014542093
(21)【国際出願番号】JP2013077620
(22)【国際出願日】20131010
(31)【優先権主張番号】2012228389
(32)【優先日】20121015
(33)【優先権主張国】JP
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】000002897
【氏名又は名称】大日本印刷株式会社
【住所又は居所】東京都新宿区市谷加賀町一丁目1番1号
(74)【代理人】
【識別番号】100104499
【弁理士】
【氏名又は名称】岸本 達人
(74)【代理人】
【識別番号】100101203
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 昭彦
(72)【発明者】
【氏名】大森 吉信
【住所又は居所】東京都新宿区市谷加賀町一丁目1番1号 大日本印刷株式会社内
(72)【発明者】
【氏名】喜 直信
【住所又は居所】東京都新宿区市谷加賀町一丁目1番1号 大日本印刷株式会社内
(72)【発明者】
【氏名】小倉 教弘
【住所又は居所】東京都新宿区市谷加賀町一丁目1番1号 大日本印刷株式会社内
(72)【発明者】
【氏名】村田 智基
【住所又は居所】東京都新宿区市谷加賀町一丁目1番1号 大日本印刷株式会社内
(72)【発明者】
【氏名】北條 美貴子
【住所又は居所】東京都新宿区市谷加賀町一丁目1番1号 大日本印刷株式会社内
【テーマコード(参考)】
4J026
5G301
【Fターム(参考)】
4J026AA11
4J026AA31
4J026AA45
4J026AA49
4J026AB10
4J026BA27
4J026BA39
4J026BA40
4J026DA02
4J026DB02
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4J026DB12
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4J026DB32
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4J026GA01
4J026GA09
4J026GA10
5G301DA02
5G301DA42
5G301DD01
5G301DE01
(57)【要約】
分散性、分散安定性が高く、かつ、焼成後に高い導電性を有する膜を形成可能な導電性基板用金属粒子分散体を提供する。
金属粒子と、分散剤と、溶剤とを含有し、前記分散剤が、少なくとも下記化学式(I)で表される構成単位と、下記化学式(II)で表される構成単位とを有するグラフト共重合体である、導電性基板用金属粒子分散体である。

(式中の各符号は、明細書に記載されたとおりである。)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属粒子と、分散剤と、溶剤とを含有し、前記分散剤が、少なくとも下記化学式(I)で表される構成単位と、下記化学式(II)で表される構成単位とを有するグラフト共重合体である、導電性基板用金属粒子分散体。
【化1】
(化学式(I)及び化学式(II)中、R及びR1’はそれぞれ独立に、水素原子又はメチル基、Aは、直接結合又は2価の連結基、Lは、直接結合又は2価の連結基、Polymerは、下記化学式(IV)又は化学式(V)で表される構成単位を少なくとも1種有するポリマー鎖を表す。)
【化2】
(化学式(IV)及び、化学式(V)中、Rは水素原子又はメチル基であり、Rは炭化水素基、シアノ基、−[CH(R)−CH(R)−O]−R、−[(CH−O]−R、−[CO−(CH−O]−R、−CO−O−R又は−O−CO−R10で示される1価の基である。R及びRは、それぞれ独立に水素原子又はメチル基である。
は、水素原子、炭化水素基、−CHO、−CHCHO又は−CHCOOR11で示される1価の基であり、Rは、炭化水素基、シアノ基、−[CH(R)−CH(R)−O]−R、−[(CH−O]−R、又は−[CO−(CH−O]−Rで示される1価の基である。R10は、炭素数1〜18のアルキル基であり、R11は水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基を示す。
上記炭化水素基は、置換基を有していてもよい。
mは1〜5の整数、n及びn’は5〜200の整数を示す。xは1〜18の整数、yは1〜5の整数、zは1〜18の整数を示す。)
【請求項2】
前記分散剤におけるグラフト共重合体が、更に下記化学式(III)で表される構成単位を有するグラフト共重合体である、請求項1に記載の導電性基板用金属粒子分散体。
【化3】
(化学式(III)中、R1”は、水素原子又はメチル基、Aは、直接結合又は2価の連結基、Qは、下記化学式(III−a)で表される基、又は、酸又はハロゲン化炭化水素と塩形成可能な含窒素複素環基を表す。)
【化4】
(化学式(III−a)中、R及びRは、それぞれ独立して、水素原子又はヘテロ原子を含んでもよい炭化水素基を表し、当該炭化水素基は、置換基を有していてもよく、R及びRは互いに同一であっても異なっていてもよい。)
【請求項3】
前記分散剤における前記グラフト共重合体が、前記化学式(III)で表される構成単位に含まれる窒素部位の少なくとも一部と、酸性リン化合物、スルホン酸化合物、及びハロゲン化炭化水素よりなる群から選択される少なくとも1種とが塩を形成したグラフト共重合体である、請求項2に記載の導電性基板用金属粒子分散体。
【請求項4】
前記分散剤において、前記酸性リン化合物が下記化学式(VI)で表される化合物であり、前記スルホン酸化合物が下記化学式(VII)で表される化合物であり、且つ、前記ハロゲン化炭化水素が、ハロゲン化ベンジル、ハロゲン化アリル、及びハロゲン化メチルよりなる群から選択される1種以上である、請求項3に記載の導電性基板用金属粒子分散体。
【化5】
(化学式(VI)及び化学式(VII)中、R及びRa’はそれぞれ独立に、水素原子、水酸基、炭化水素基、−[CH(R)−CH(R)−O]−R、−[(CH−O]−R、又は−O−Ra’’で示される1価の基であり、Ra’’は、炭化水素基、−[CH(R)−CH(R)−O]−R、−[(CH−O]−R、−C(R)(R)−C(R)(Ri)−OH、又は、−CH−C(R)(R)−CH−OHで示される1価の基である。
は、炭化水素基、−[CH(R)−CH(R)−O]−R、−[(CH−O]−R、又は−O−Rb’で示される1価の基である。Rb’は、炭化水素基、−[CH(R)−CH(R)−O]−R、又は−[(CH−O]−Rで示される1価の基である。
及びRは、それぞれ独立に水素原子又はメチル基である。Rは、水素原子、炭化水素基、−CHO、−CHCHO、−CO−CH=CH、−CO−C(CH)=CH又は−CHCOORe’で示される1価の基であり、Re’は水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基である。R、R、R、Ri、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、炭化水素基、又は、炭化水素基をエーテル結合及びエステル結合の少なくとも1つで結合した基であって、R及びRは、互いに結合して環構造を形成してもよい。上記環状構造を形成した場合、置換基Rを有していてもよく、Rは、水素原子、炭化水素基、又は、炭化水素基をエーテル結合及びエステル結合の少なくとも1つで結合した基である。
上記炭化水素基は置換基を有していてもよい。
sは1〜18の整数、tは1〜5の整数、uは1〜18の整数を示す。)
【請求項5】
前記金属粒子が、金、銀、銅、及びこれらの酸化物から選ばれる1種以上を含む金属粒子である、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の導電性基板用金属粒子分散体。
【請求項6】
少なくとも、下記化学式(I’)で表されるモノマーと、下記化学式(IV)又は化学式(V)で表される構成単位を少なくとも1種有するポリマー鎖及びその末端にエチレン性不飽和二重結合を有する基からなる重合性オリゴマーとを共重合成分として含有してグラフト共重合体を調製して、分散剤を調製する工程と、得られた分散剤と金属粒子とを溶剤中で分散させる工程を有することを特徴とする、導電性基板用金属粒子分散体の製造方法。
【化6】
(化学式(I’)中、Rは、水素原子又はメチル基、Aは、直接結合又は2価の連結基である。
化学式(IV)及び、化学式(V)中、Rは水素原子又はメチル基であり、Rは炭化水素基、シアノ基、−[CH(R)−CH(R)−O]−R、−[(CH−O]−R、−[CO−(CH−O]−R、−CO−O−R又は−O−CO−R10で示される1価の基である。R及びRは、それぞれ独立に水素原子又はメチル基である。
は、水素原子、炭化水素基、−CHO、−CHCHO又は−CHCOOR11で示される1価の基であり、Rは、炭化水素基、シアノ基、−[CH(R)−CH(R)−O]−R、−[(CH−O]−R、又は−[CO−(CH−O]−Rで示される1価の基である。R10は、炭素数1〜18のアルキル基であり、R11は水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基を示す。
上記炭化水素基は、置換基を有していてもよい。
mは1〜5の整数、n及びn’は5〜200の整数を示す。xは1〜18の整数、yは1〜5の整数、zは1〜18の整数を示す。)
【請求項7】
前記分散剤を調製する工程において、更に下記化学式(III’)で表されるモノマーを共重合成分として含有してグラフト共重合体を調製することを特徴とする、請求項6に記載の導電性基板用金属粒子分散体の製造方法。
【化7】
(化学式(III’)中、R1”は、水素原子又はメチル基、Aは、直接結合又は2価の連結基、Qは、下記化学式(III−a)で表される基、又は、酸又はハロゲン化炭化水素と塩形成可能な含窒素複素環基を表す。)
【化8】
(化学式(III−a)中、R及びRは、それぞれ独立して、水素原子又はヘテロ原子を含んでもよい炭化水素基を表し、当該炭化水素基は、置換基を有していてもよく、R及びRは互いに同一であっても異なっていてもよい。)
【請求項8】
前記分散剤を調製する工程において、前記グラフト共重合体を調製し、当該グラフト共重合体と酸性リン化合物、スルホン酸化合物、及びハロゲン化炭化水素よりなる群から選択される少なくとも1種とを混合することにより、当該グラフト共重合体の前記化学式(III’)で表される窒素含有モノマー由来の窒素部位の少なくとも一部と、酸性リン化合物、スルホン酸化合物、及びハロゲン化炭化水素よりなる群から選択される少なくとも1種とを塩形成させることを特徴とする、請求項7に記載の導電性基板用金属粒子分散体の製造方法。
【請求項9】
前記分散剤を調製する工程において、前記酸性リン化合物が下記化学式(VI)で表される化合物であり、前記スルホン酸化合物が下記化学式(VII)で表される化合物であり、且つ、前記ハロゲン化炭化水素が、ハロゲン化ベンジル、ハロゲン化アリル、及びハロゲン化メチルよりなる群から選択される1種以上である、請求項8に記載の導電性基板用金属粒子分散体の製造方法。
【化9】
(化学式(VI)及び化学式(VII)中、R及びRa’はそれぞれ独立に、水素原子、水酸基、炭化水素基、−[CH(R)−CH(R)−O]−R、−[(CH−O]−R、又は−O−Ra’’で示される1価の基であり、Ra’’は、炭化水素基、−[CH(R)−CH(R)−O]−R、−[(CH−O]−R、−C(R)(R)−C(R)(Ri)−OH、又は、−CH−C(R)(R)−CH−OHで示される1価の基である。
は、炭化水素基、−[CH(R)−CH(R)−O]−R、−[(CH−O]−R、又は−O−Rb’で示される1価の基である。Rb’は、炭化水素基、−[CH(R)−CH(R)−O]−R、又は−[(CH−O]−Rで示される1価の基である。
及びRは、それぞれ独立に水素原子又はメチル基である。Rは、水素原子、炭化水素基、−CHO、−CHCHO、−CO−CH=CH、−CO−C(CH)=CH又は−CHCOORe’で示される1価の基であり、Re’は水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基である。R、R、R、Ri、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、炭化水素基、又は、炭化水素基をエーテル結合及びエステル結合の少なくとも1つで結合した基であって、R及びRは、互いに結合して環構造を形成してもよい。上記環状構造を形成した場合、置換基Rを有していてもよく、Rは、水素原子、炭化水素基、又は、炭化水素基をエーテル結合及びエステル結合の少なくとも1つで結合した基である。
上記炭化水素基は置換基を有していてもよい。
sは1〜18の整数、tは1〜5の整数、uは1〜18の整数を示す。)
【請求項10】
前記金属粒子が、金、銀、銅、及びこれらの酸化物から選ばれる1種以上を含む金属粒子である、請求項6乃至9のいずれか一項に記載の導電性基板用金属粒子分散体の製造方法。
【請求項11】
金属粒子と、分散剤と、溶剤とを含有し、前記分散剤が、少なくとも下記化学式(I)で表される構成単位と、下記化学式(II)で表される構成単位とを有するグラフト共重合体である、導電性基板用金属粒子分散体を含む塗布液を、基材上に塗布して塗膜を形成する工程と、当該塗膜を焼成処理する工程とを有する、導電性基板の製造方法。
【化10】
(化学式(I)及び化学式(II)中、R及びR1’はそれぞれ独立に、水素原子又はメチル基、Aは、直接結合又は2価の連結基、Lは、直接結合又は2価の連結基、Polymerは、下記化学式(IV)又は化学式(V)で表される構成単位を少なくとも1種有するポリマー鎖を表す。)
【化11】
(化学式(IV)及び、化学式(V)中、Rは水素原子又はメチル基であり、Rは炭化水素基、シアノ基、−[CH(R)−CH(R)−O]−R、−[(CH−O]−R、−[CO−(CH−O]−R、−CO−O−R又は−O−CO−R10で示される1価の基である。R及びRは、それぞれ独立に水素原子又はメチル基である。
は、水素原子、炭化水素基、−CHO、−CHCHO又は−CHCOOR11で示される1価の基であり、Rは、炭化水素基、シアノ基、−[CH(R)−CH(R)−O]−R、−[(CH−O]−R、又は−[CO−(CH−O]−Rで示される1価の基である。R10は、炭素数1〜18のアルキル基であり、R11は水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基を示す。
上記炭化水素基は、置換基を有していてもよい。
mは1〜5の整数、n及びn’は5〜200の整数を示す。xは1〜18の整数、yは1〜5の整数、zは1〜18の整数を示す。)
【請求項12】
前記分散剤におけるグラフト共重合体が、更に下記化学式(III)で表される構成単位を有するグラフト共重合体である、請求項11に記載の導電性基板の製造方法。
【化12】
(化学式(III)中、R1”は、水素原子又はメチル基、Aは、直接結合又は2価の連結基、Qは、下記化学式(III−a)で表される基、又は、酸又はハロゲン化炭化水素と塩形成可能な含窒素複素環基を表す。)
【化13】
(化学式(III−a)中、R及びRは、それぞれ独立して、水素原子又はヘテロ原子を含んでもよい炭化水素基を表し、当該炭化水素基は、置換基を有していてもよく、R及びRは互いに同一であっても異なっていてもよい。)
【請求項13】
前記分散剤における前記グラフト共重合体が、前記化学式(III)で表される構成単位に含まれる窒素部位の少なくとも一部と、酸性リン化合物、スルホン酸化合物、及びハロゲン化炭化水素よりなる群から選択される少なくとも1種とが塩を形成したグラフト共重合体である、請求項12に記載の導電性基板の製造方法。
【請求項14】
前記分散剤において、前記酸性リン化合物が下記化学式(VI)で表される化合物であり、前記スルホン酸化合物が下記化学式(VII)で表される化合物であり、且つ、前記ハロゲン化炭化水素が、ハロゲン化ベンジル、ハロゲン化アリル、及びハロゲン化メチルよりなる群から選択される1種以上である、請求項13に記載の導電性基板の製造方法。
【化14】
(化学式(VI)及び化学式(VII)中、R及びRa’はそれぞれ独立に、水素原子、水酸基、炭化水素基、−[CH(R)−CH(R)−O]−R、−[(CH−O]−R、又は−O−Ra’’で示される1価の基であり、Ra’’は、炭化水素基、−[CH(R)−CH(R)−O]−R、−[(CH−O]−R、−C(R)(R)−C(R)(Ri)−OH、又は、−CH−C(R)(R)−CH−OHで示される1価の基である。
は、炭化水素基、−[CH(R)−CH(R)−O]−R、−[(CH−O]−R、又は−O−Rb’で示される1価の基である。Rb’は、炭化水素基、−[CH(R)−CH(R)−O]−R、又は−[(CH−O]−Rで示される1価の基である。
及びRは、それぞれ独立に水素原子又はメチル基である。Rは、水素原子、炭化水素基、−CHO、−CHCHO、−CO−CH=CH、−CO−C(CH)=CH又は−CHCOORe’で示される1価の基であり、Re’は水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基である。R、R、R、Ri、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、炭化水素基、又は、炭化水素基をエーテル結合及びエステル結合の少なくとも1つで結合した基であって、R及びRは、互いに結合して環構造を形成してもよい。上記環状構造を形成した場合、置換基Rを有していてもよく、Rは、水素原子、炭化水素基、又は、炭化水素基をエーテル結合及びエステル結合の少なくとも1つで結合した基である。
上記炭化水素基は置換基を有していてもよい。
sは1〜18の整数、tは1〜5の整数、uは1〜18の整数を示す。)
【請求項15】
前記金属粒子が、金、銀、銅、及びこれらの酸化物から選ばれる1種以上を含む金属粒子である、請求項11乃至14のいずれか一項に記載の導電性基板の製造方法。
【請求項16】
前記焼成処理する工程が、パルス光の照射により焼成処理する工程である、請求項11乃至15のいずれか一項に記載の導電性基板の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導電性基板用金属粒子分散体及びその製造方法、並びに導電性基板の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、基材上に導電性の配線を施した回路基板の製造には、金属箔を貼り合せた基材上にフォトレジストを塗布し、所望の回路パターンを露光し、ケミカルエッチングによりパターンを形成する方法等が用いられてきた。上記フォトレジスト法によれば、導電性の配線として金属箔を用いるため、体積抵抗率が小さく、高性能の導電性基板を製造することができる。一方、当該方法は工程数が多く、煩雑であるとともに、フォトレジスト材料を要する等の欠点があった。
【0003】
これに対し、金属粒子を分散させた金属粒子分散体を用いて、スクリーン印刷やインクジェット印刷などの印刷プロセスにより、基材に直接パターンを印刷し、金属粒子を焼結させることにより、回路パターンを形成する手法が注目されている。基材に直接パターンを印刷する手法によれば、従来のフォトレジスト法等と比較して、生産性が飛躍的に向上する。
【0004】
金属粒子は、微細化することにより、劇的に融点が低下することが知られている。これは、金属粒子の粒径が小さくなるのに伴って、粒子の比表面積が増加し、表面エネルギーが増大することによるものである。この効果を利用すれば、金属粒子同士の焼結を従来よりも低温で進行させることができ、従来用いることが困難であった、耐熱性の低い樹脂基材に対しても、印刷による回路形成が可能となると期待された。しかしながら、金属粒子の粒径が小さいほど、分散性や分散安定性が良好な分散体を調製することは困難であった。
【0005】
特許文献1には、インクジェット印刷方式を利用して、導電性金属ペーストにより回路パターンを形成する方法が記載されている。特許文献1では、金属超微粒子が互いに直接接触しない状態とするため、当該金属超微粒子に含まれる金属元素と配位的な結合が可能な窒素、酸素、硫黄原子を含む基を有する化合物により、金属超微粒子を被覆する手法が記載されている。金属表面の被膜に利用される窒素、酸素、硫黄原子を含む基を有する化合物としては、アルキルアミン、アルカンチオール、アルカンジオール等が挙げられている。特許文献1では、導電性金属ペーストの焼成を行う際に、当該アルキルアミン等が金属表面離脱するように、具体的には、炭素数が4〜20の比較的低分子の化合物が挙げられている。
【0006】
特許文献2には、メルカプトカルボン酸及び/又はその塩を粒子表面に有する金属粒子、カチオン系界面活性剤及び低極性非水溶媒を含む金属分散液が記載されている。特許文献2によれば、金属粒子の粒子表面に有するメルカプトカルボン酸乃至その塩は、溶媒中で解離して電気的に陰性となっており、当該メルカプトカルボン酸イオンとカチオン系界面活性剤が静電的に結合することにより、低極性非水溶媒中に金属粒子が分散安定性を保持できると記載されている。
しかしながら、特許文献1及び2の手法は、いずれも低分子量の化合物を用いて金属粒子を分散するものであり、金属粒子の分散安定性が不十分であった。
【0007】
特許文献3には、特定の金属微粒子と、特定のポリエステル骨格を有する高分子分散剤と、分散媒を含有する金属微粒子分散体が記載されている。
特許文献3によれば、上記特定の高分子分散剤が金属微粒子の分散性に高い効果を示し、しかも後の焼結工程で容易に揮散されると記載されている。しかしながら、特許文献3の手法では、金属微粒子分散体の安定性が十分でない場合や、金属酸化物粒子を用いた場合には十分に導電性が得られない場合があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2002−324966号公報
【特許文献2】特開2008−127679号公報
【特許文献3】国際公開第2011/040189号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
金属粒子の分散性や分散安定性を向上するために、分散剤として高分子分散剤を用いて金属粒子を分散させた場合には、特に低温で焼成したときや、短時間で焼成したときに、金属膜に当該高分子分散剤が残存することがあり、得られた基板の体積抵抗率が高くなり、導電性基板として十分な性能が得られない場合があった。一方、分散剤の残存を抑制するために、分散剤の添加量を少なくしたり、低分子量の分散剤を用いると、金属粒子の分散性、分散安定性が不十分となってしまう。
そのため、分散性、分散安定性が高く、かつ、焼成後に高い導電性を有する膜が形成可能な分散体を得ることは非常に難しい課題であった。また、表面が酸化された金属微粒子や、金属酸化物微粒子を用いた場合には、焼成しても高い導電性が得られない場合が多く、これらの微粒子を用いても焼成後に高い導電性を有する膜が形成可能な分散体を得ることが課題であった。
【0010】
本発明は、このような状況下になされたものであり、分散性、分散安定性が高く、かつ、焼成後に高い導電性を有する膜を形成可能な導電性基板用金属粒子分散体及びその製造方法、並びに、優れた導電性を有する導電性基板が得られる、導電性基板の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、前記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、金属粒子と特定の分散剤を組み合わせて用いることにより、分散性、分散安定性に優れるとともに、低温、或いは短時間で焼成した場合であっても、高い導電性を有する膜が形成できるとの知見を得た。
本発明は、係る知見に基づいて完成したものである。
【0012】
本発明に係る導電性基板用金属粒子分散体は、金属粒子と、分散剤と、溶剤とを含有し、前記分散剤が、少なくとも下記化学式(I)で表される構成単位と、下記化学式(II)で表される構成単位とを有するグラフト共重合体である。
【0013】
【化1】
(化学式(I)及び化学式(II)中、R及びR1’はそれぞれ独立に、水素原子又はメチル基、Aは、直接結合又は2価の連結基、Lは、直接結合又は2価の連結基、Polymerは、下記化学式(IV)又は化学式(V)で表される構成単位を少なくとも1種有するポリマー鎖を表す。)
【0014】
【化2】
(化学式(IV)及び、化学式(V)中、Rは水素原子又はメチル基であり、Rは炭化水素基、シアノ基、−[CH(R)−CH(R)−O]−R、−[(CH−O]−R、−[CO−(CH−O]−R、−CO−O−R又は−O−CO−R10で示される1価の基である。R及びRは、それぞれ独立に水素原子又はメチル基である。
は、水素原子、炭化水素基、−CHO、−CHCHO又は−CHCOOR11で示される1価の基であり、Rは、炭化水素基、シアノ基、−[CH(R)−CH(R)−O]−R、−[(CH−O]−R、又は−[CO−(CH−O]−Rで示される1価の基である。R10は、炭素数1〜18のアルキル基であり、R11は水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基を示す。
上記炭化水素基は、置換基を有していてもよい。
mは1〜5の整数、n及びn’は5〜200の整数を示す。xは1〜18の整数、yは1〜5の整数、zは1〜18の整数を示す。)
【0015】
本発明に係る導電性基板用金属粒子分散体の製造方法は、少なくとも、下記化学式(I’)で表されるモノマーと、下記化学式(IV)又は化学式(V)で表される構成単位を少なくとも1種有するポリマー鎖及びその末端にエチレン性不飽和二重結合を有する基からなる重合性オリゴマーとを共重合成分として含有してグラフト共重合体を調製して、分散剤を調製する工程と、得られた分散剤と金属粒子とを溶剤中で分散させる工程を有することを特徴とする。
【0016】
【化3】
(化学式(I’)中、Rは、水素原子又はメチル基、Aは、直接結合又は2価の連結基である。
化学式(IV)及び、化学式(V)中、Rは水素原子又はメチル基であり、Rは炭化水素基、シアノ基、−[CH(R)−CH(R)−O]−R、−[(CH−O]−R、−[CO−(CH−O]−R、−CO−O−R又は−O−CO−R10で示される1価の基である。R及びRは、それぞれ独立に水素原子又はメチル基である。
は、水素原子、炭化水素基、−CHO、−CHCHO又は−CHCOOR11で示される1価の基であり、Rは、炭化水素基、シアノ基、−[CH(R)−CH(R)−O]−R、−[(CH−O]−R、又は−[CO−(CH−O]−Rで示される1価の基である。R10は、炭素数1〜18のアルキル基であり、R11は水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基を示す。
上記炭化水素基は、置換基を有していてもよい。
mは1〜5の整数、n及びn’は5〜200の整数を示す。xは1〜18の整数、yは1〜5の整数、zは1〜18の整数を示す。)
【0017】
本発明に係る導電性基板の製造方法は、金属粒子と、分散剤と、溶剤とを含有し、前記分散剤が、少なくとも前記化学式(I)で表される構成単位と、前記化学式(II)で表される構成単位とを有するグラフト共重合体である、導電性基板用金属粒子分散体を含む塗布液を、基材上に塗布して塗膜を形成する工程と、当該塗膜を焼成処理する工程とを有することを特徴とする。
【0018】
本発明に係る導電性基板用金属粒子分散体及びその製造方法、並びに導電性基板の製造方法においては、前記分散剤におけるグラフト共重合体が、更に下記化学式(III)で表される構成単位を有するグラフト共重合体であることが、分散性、分散安定性に優れ、且つ、優れた導電性を有する導電性基板を得やすい点から好ましい。
【0019】
【化4】
(化学式(III)中、R1”は、水素原子又はメチル基、Aは、直接結合又は2価の連結基、Qは、下記化学式(III−a)で表される基、又は、酸又はハロゲン化炭化水素と塩形成可能な含窒素複素環基を表す。)
【0020】
【化5】
(化学式(III−a)中、R及びRは、それぞれ独立して、水素原子又はヘテロ原子を含んでもよい炭化水素基を表し、当該炭化水素基は、置換基を有していてもよく、R及びRは互いに同一であっても異なっていてもよい。)
【0021】
本発明に係る導電性基板用金属粒子分散体及びその製造方法、並びに導電性基板の製造方法においては、前記分散剤における前記グラフト共重合体が、前記化学式(III)で表される構成単位に含まれる窒素部位の少なくとも一部と、酸性リン化合物、スルホン酸化合物、及びハロゲン化炭化水素よりなる群から選択される少なくとも1種とが塩を形成したグラフト共重合体であることが、分散性、分散安定性に優れ、且つ、優れた導電性を有する導電性基板を得やすい点から好ましい。
【0022】
本発明に係る導電性基板用金属粒子分散体及びその製造方法、並びに導電性基板の製造方法においては、前記分散剤において、前記酸性リン化合物が下記化学式(VI)で表される化合物であり、前記スルホン酸化合物が下記化学式(VII)で表される化合物であり、且つ、前記ハロゲン化炭化水素が、ハロゲン化ベンジル、ハロゲン化アリル、及びハロゲン化メチルよりなる群から選択される1種以上であることが、分散性、分散安定性に優れ、且つ、優れた導電性を有する導電性基板を得やすい点から好ましい。
【0023】
【化6】
(化学式(VI)及び化学式(VII)中、R及びRa’はそれぞれ独立に、水素原子、水酸基、炭化水素基、−[CH(R)−CH(R)−O]−R、−[(CH−O]−R、又は−O−Ra’’で示される1価の基であり、Ra’’は、炭化水素基、−[CH(R)−CH(R)−O]−R、−[(CH−O]−R、−C(R)(R)−C(R)(Ri)−OH、又は、−CH−C(R)(R)−CH−OHで示される1価の基である。
は、炭化水素基、−[CH(R)−CH(R)−O]−R、−[(CH−O]−R、又は−O−Rb’で示される1価の基である。Rb’は、炭化水素基、−[CH(R)−CH(R)−O]−R、又は−[(CH−O]−Rで示される1価の基である。
及びRは、それぞれ独立に水素原子又はメチル基である。Rは、水素原子、炭化水素基、−CHO、−CHCHO、−CO−CH=CH、−CO−C(CH)=CH又は−CHCOORe’で示される1価の基であり、Re’は水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基である。R、R、R、Ri、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、炭化水素基、又は、炭化水素基をエーテル結合及びエステル結合の少なくとも1つで結合した基であって、R及びRは、互いに結合して環構造を形成してもよい。上記環状構造を形成した場合、置換基Rを有していてもよく、Rは、水素原子、炭化水素基、又は、炭化水素基をエーテル結合及びエステル結合の少なくとも1つで結合した基である。
上記炭化水素基は置換基を有していてもよい。
sは1〜18の整数、tは1〜5の整数、uは1〜18の整数を示す。)
【0024】
本発明に係る導電性基板用金属粒子分散体及びその製造方法、並びに導電性基板の製造方法においては、前記金属粒子が、金、銀、銅、及びこれらの酸化物から選ばれる1種以上の金属粒子であることが、導電性の点から好ましい。
【0025】
本発明に係る導電性基板の製造方法は、前記焼成処理する工程が、パルス光の照射により焼成処理する工程であることが、膜中の有機成分を分解乃至除去しやすい点から好ましい。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、分散性、分散安定性が高く、かつ、焼成後に高い導電性を有する膜を形成可能な導電性基板用金属粒子分散体及びその製造方法、並びに、優れた導電性を有する導電性基板が得られる導電性基板の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】図1は、本発明の製造方法により得られる導電性基板の一例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明に係る導電性基板用金属粒子分散体及びその製造方法、並びに導電性基板の製造方法について説明する。
なお、本発明において光には、可視及び非可視領域の波長の電磁波、さらには放射線が含まれ、放射線には、例えばマイクロ波、電子線が含まれる。具体的には、波長5μm以下の電磁波、及び電子線のことをいう。また本発明において(メタ)アクリルとは、アクリル又はメタアクリルの各々を表し、(メタ)アクリレートとは、アクリレート又はメタクリレートの各々を表す。
【0029】
I.導電性基板用金属粒子分散体
本発明に係る導電性基板用金属粒子分散体は、金属粒子と、分散剤と、溶剤とを含有し、前記分散剤が、少なくとも下記化学式(I)で表される構成単位と、下記化学式(II)で表される構成単位とを有するグラフト共重合体であることを特徴とする。
【0030】
【化7】
(化学式(I)及び化学式(II)中、R及びR1’はそれぞれ独立に、水素原子又はメチル基、Aは、直接結合又は2価の連結基、Lは、直接結合又は2価の連結基、Polymerは、下記化学式(IV)又は化学式(V)で表される構成単位を少なくとも1種有するポリマー鎖を表す。)
【0031】
【化8】
(化学式(IV)及び、化学式(V)中、Rは水素原子又はメチル基であり、Rは炭化水素基、シアノ基、−[CH(R)−CH(R)−O]−R、−[(CH−O]−R、−[CO−(CH−O]−R、−CO−O−R又は−O−CO−R10で示される1価の基である。R及びRは、それぞれ独立に水素原子又はメチル基である。
は、水素原子、炭化水素基、−CHO、−CHCHO又は−CHCOOR11で示される1価の基であり、Rは、炭化水素基、シアノ基、−[CH(R)−CH(R)−O]−R、−[(CH−O]−R、又は−[CO−(CH−O]−Rで示される1価の基である。R10は、炭素数1〜18のアルキル基であり、R11は水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基を示す。
上記炭化水素基は、置換基を有していてもよい。
mは1〜5の整数、n及びn’は5〜200の整数を示す。xは1〜18の整数、yは1〜5の整数、zは1〜18の整数を示す。)
【0032】
上記特定の組み合わせにより、上記のような特定の効果を発揮する作用としては、未解明の部分もあるが、以下のように推定される。
従来、金属粒子分散体は、焼成時に有機成分が残存するのを抑制するために、比較的低分子量の分散剤が用いられてきた。しかしながら、低分子量の分散剤では、分散性や分散安定性が不十分であった。特に、金属粒子は、分散体中の各成分と比較して、比重が大きいことから、沈降し易く、分散性や分散安定性を良好にするのは困難であるという問題があった。
本発明の金属粒子分散体は、分散剤として、化学式(I)で表されるピロリドンを含む構成単位と、化学式(II)で表される側鎖に特定の構造を有するポリマー鎖を含む構成単位を有する共重合体を用いて金属粒子を分散することにより、分散剤中のピロリドン部位が金属粒子の表面に吸着し、一方で側鎖のポリマー鎖が溶媒溶解性を有することで金属粒子の分散が安定化するものと推定される。このように、上記特定の分散剤が、金属粒子を取り囲んで、溶剤中で安定して存在するため、金属粒子同士の凝集が生じにくく、分散性及び分散安定性が良好になるものと推測される。
また、上記特定の分散剤は、化学式(I)で表される構成単位に含まれるピロリドン部位において還元性や酸化抑制効果を有しているのではないかと推定される。金属粒子に吸着する部位が、還元性や酸化抑制効果を有していることにより、短時間で焼成した場合であっても、効率的に還元反応が進行したり、酸化による焼結阻害が生じ難くなり、焼成後に高い導電性を有する膜を形成可能になると推定される。
更に、上記特定の分散剤を用いると、低温或いは短時間で焼成した場合であっても、膜中から有機成分が分解乃至除去されやすいため、分散剤の残存が少なく、得られた金属膜は体積抵抗率が低く優れた導電性を有するのではないかと推定される。低温或いは短時間で焼成して金属膜が得られる場合には、金属膜を形成する基材の選択肢が広がるというメリットがある。
また、上記特定の分散剤は、化学式(II)で表される側鎖に特定の構造を有するポリマー鎖を含む構成単位を有することにより、有機溶媒への分散性が良好になるため、導電性基板に対して塗布適性が良好になる。塗布適性が良好だと、配線として用いる場合に断線等の問題が生じ難くなるという効果を奏する。
更に、上記特定の分散剤は、還元性や酸化抑制効果に優れるように調整できるため、金属粒子として、最表面が酸化物であるコアシェル粒子や、金属酸化物粒子といった金属粒子を用いても、良好な導電性を有する導電性基板を得ることができる。
【0033】
本発明の導電性基板用金属粒子分散体は、少なくとも金属粒子と、分散剤と、溶剤とを含有するものであり、本発明の効果が損なわれない限り、必要に応じて他の成分を含有してもよいものである。
以下、このような本発明の導電性基板用金属粒子分散体の各成分について順に詳細に説明する。
【0034】
<金属粒子>
本発明において金属粒子は、焼成後に導電性を生じる金属粒子の中から適宜選択すればよい。金属の種類としては、例えば、金、銀、銅、ニッケル、スズ、鉄、クロム、白金、パラジウム、ロジウム、イリジウム、ルテニウム、オスミウム、インジウム、亜鉛、モリブデン、マンガン、チタン、アルミニウム等が挙げられる。なお、本発明において金属粒子とは、金属状態の粒子に加えて、合金状態の粒子や、金属化合物の粒子等も含まれるものである。また、例えば、金属状態の粒子の表面が酸化されて金属酸化物となっている場合や、2種以上の金属がコアシェル構造を形成している場合等のように、1つの粒子中に、金属、合金、及び金属化合物の1種以上が含まれていてもよいものである。
金属粒子としては、中でも、高い導電性を有し、かつ微粒子を容易に維持できる点から、金、銀、銅、ニッケル及びこれらの酸化物から選ばれる1種以上を含む金属粒子であることが好ましく、金、銀、銅及びこれらの酸化物から選ばれる1種以上を含む金属粒子であることがより好ましい。
【0035】
上記金属化合物としては、例えば、金属酸化物、金属水酸化物、有機金属化合物等が挙げられる。これらの金属化合物は、焼成時に分解されて、金属状態となるものが好ましい。銀を有する金属化合物としては、例えば、酸化銀、有機銀化合物等が挙げられる。また、銅を有する金属化合物としては、例えば、酸化第一銅、酸化第二銅、及びこれらの混合物などの銅酸化物等が挙げられる。
また、合金としては、例えば、銅−ニッケル合金、銅−スズ合金、銅−マンガン、銀−パラジウム合金、銀-銅合金等が挙げられる。
上記金属粒子は、有機保護剤によって表面が被覆されているものであってもよい。
【0036】
金属粒子は、上記金属、合金、及び金属化合物粒子の1種以上を含む金属粒子のうち、1種単独で、又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0037】
上記金属粒子の調製方法は、従来公知の方法から適宜選択すればよい。例えば、メカノケミカル法などにより金属粉を粉砕する物理的な方法;化学気相法(CVD法)や蒸着法、スパッタ法、熱プラズマ法、レーザー法のような化学的な乾式法;熱分解法、化学還元法、電気分解法、超音波法、レーザーアブレーション法、超臨界流体法、マイクロ波合成法等による化学的な湿式法等を用いて金属粒子を得ることができる。
【0038】
例えば、蒸着法では、高真空下で分散剤を含む低蒸気圧液体中に加熱蒸発した金属の蒸気を接触させて微粒子を製造する。
また、化学還元法の1種としては、錯化剤及び有機保護剤の存在下で、金属酸化物と還元剤とを溶媒中で混合して生成する方法が挙げられる。
【0039】
上記錯化剤とは、当該錯化剤が有する配位子のドナー原子と、金属イオン又は金属原子とが結合して、金属錯体化合物を形成するものである。上記ドナー原子としては、窒素原子、酸素原子、硫黄原子が好適に挙げられる。窒素原子がドナー原子である錯化剤としては、例えば、アミン類、イミダゾール及びピリジン等の窒素含有複素環式化合物類等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
また、上記有機保護剤は、精製した金属粒子の分散安定化や、粒径制御のために用いられるものであり、具体的には、ゼラチン、アラビアゴム、カゼイン等のタンパク質系;デンプン、デキストリン等の天然高分子;ヒドロキシエチルセルロース等のセルロース系;ポリビニルアルコール等の親水性合成高分子の他、脂肪酸、アルキルアミン等の比較的低分子量の化合物であってもよい。中でも、分散安定性の点からは、タンパク質系の有機保護剤が好ましい。
なお、上記の方法の他、市販の金属粒子を適宜用いることができる。
【0040】
金属粒子の平均一次粒径は、用途に応じて適宜設定すればよいものであるが、通常、1〜500nmの範囲で設定される。中でも、分散性、分散安定性に優れ、沈降物を生じにくい点から、金属粒子の平均一次粒径が2〜500nmであることが好ましい。
なお、上記金属粒子の平均一次粒径は、電子顕微鏡写真から一次粒子の大きさを直接計測する方法で求めることができる。具体的には、個々の一次粒子の短軸径と長軸径を計測し、その平均をその粒子の粒径とした。次に100個以上の粒子についてそれぞれ粒子の体積(質量)を、求めた粒径の直方体と近似して求め、体積平均粒径として求めそれを平均粒径とした。なお、電子顕微鏡は透過型(TEM)、走査型(SEM)又は走査透過型(STEM)のいずれを用いても同じ結果を得ることができる。
【0041】
本発明の導電性基板用金属粒子分散体において、金属粒子の含有量は、用途に応じて適宜選択されれば良いが、分散性の点から、金属粒子分散体の固形分全量に対して、
5〜95質量%であることが好ましく、更に、20〜90質量%の範囲内であることがより好ましい。本発明においては、後述する分散剤と組み合わせて用いることにより、従来に比べて金属粒子の含有量を高めた場合であっても、金属粒子の分散性や分散安定性に優れ、沈降物を生じにくいものとすることができる。
【0042】
<分散剤>
本発明において用いられる分散剤は、少なくとも前記分散剤が、少なくとも下記化学式(I)で表される構成単位と、下記化学式(II)で表される構成単位とを有するグラフト共重合体である。
【0043】
【化9】
(化学式(I)及び化学式(II)中、R及びR1’はそれぞれ独立に、水素原子又はメチル基、Aは、直接結合又は2価の連結基、Lは、直接結合又は2価の連結基、Polymerは、下記化学式(IV)又は化学式(V)で表される構成単位を少なくとも1種有するポリマー鎖を表す。)
【0044】
【化10】
(化学式(IV)及び、化学式(V)中、Rは水素原子又はメチル基であり、Rは炭化水素基、シアノ基、−[CH(R)−CH(R)−O]−R、−[(CH−O]−R、−[CO−(CH−O]−R、−CO−O−R又は−O−CO−R10で示される1価の基である。R及びRは、それぞれ独立に水素原子又はメチル基である。
は、水素原子、炭化水素基、−CHO、−CHCHO又は−CHCOOR11で示される1価の基であり、Rは、炭化水素基、シアノ基、−[CH(R)−CH(R)−O]−R、−[(CH−O]−R、又は−[CO−(CH−O]−Rで示される1価の基である。R10は、炭素数1〜18のアルキル基であり、R11は水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基を示す。
上記炭化水素基は、置換基を有していてもよい。
mは1〜5の整数、n及びn’は5〜200の整数を示す。xは1〜18の整数、yは1〜5の整数、zは1〜18の整数を示す。)
【0045】
本発明においては、ピロリドン部位を有する上記化学式(I)で表される構成単位が金属粒子表面に吸着し、一方で上記化学式(II)で表される構成単位の側鎖のポリマー鎖が溶媒溶解性を有することで、金属粒子の分散が安定化し、分散性及び分散安定性が向上する。また、上記分散剤は、金属粒子表面に吸着するピロリドン部位が、還元性や酸化抑制効果を有していることにより、短時間で焼成した場合であっても、効率的に還元反応が進行したり、酸化による焼結阻害が生じ難くなり、焼成後に高い導電性を有する膜を形成可能になると推定される。
【0046】
上記化学式(I)において、Aは、直接結合又は2価の連結基である。直接結合とは、ピロリドンの窒素原子が、連結基を介することなく化学式(I)の炭素原子に直接結合していることを意味する。
Aにおける2価の連結基としては、例えば、炭素数1〜10のアルキレン基、アリーレン基、−CONH−基、−COO−基、炭素数1〜10のエーテル基(−R’−OR”−:R’及びR”は、各々独立にアルキレン基)及びこれらの組み合わせ等が挙げられる。
化学式(I)におけるAは、直接結合、炭素数1〜10のアルキレン基、又は、−COO−基を含む2価の連結基であるものが好適に用いられる。
【0047】
化学式(II)において、Lは、直接結合又は2価の連結基である。Lにおける2価の連結基としては、エチレン性不飽和二重結合とポリマー鎖を連結可能であれば、特に制限はない。Lにおける2価の連結基としては、例えば、アルキレン基、水酸基を有するアルキレン基、アリーレン基、−CONH−基、−COO−基、−NHCOO−基、エーテル基(−O−基)、チオエーテル基(−S−基)、及びこれらの組み合わせ等が挙げられる。なお、本発明において、2価の連結基の結合の向きは任意である。すなわち、2価の連結基に−CONH−が含まれる場合、−COが主鎖の炭素原子側で−NHが側鎖のポリマー鎖側であっても良いし、反対に、−NHが主鎖の炭素原子側で−COが側鎖のポリマー鎖側であっても良い。
【0048】
前記化学式(II)において、Polymerは、前記化学式(III)又は前記化学式(IV)で表される構成単位を少なくとも1種有するポリマー鎖を表す。
式(III)中、Rは水素原子又はメチル基であり、Rは炭化水素基、シアノ基、−[CH(R)−CH(R)−O]−R、−[(CH−O]−R、−[CO−(CH−O]−R、−CO−O−R又は−O−CO−R10で示される1価の基である。
における炭化水素基としては、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、アラルキル基、又はアリール基であることが好ましい。
上記炭素数1〜18のアルキル基は、直鎖状、分岐状、環状のいずれであってもよく、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ボルニル基、イソボルニル基、ジシクロペンタニル基、アダマンチル基、低級アルキル基置換アダマンチル基などを挙げることができる。
上記炭素数2〜18のアルケニル基は、直鎖状、分岐状、環状のいずれであってもよい。このようなアルケニル基としては、例えばビニル基、アリル基、プロペニル基などを挙げることができる。アルケニル基の二重結合の位置には限定はないが、得られたポリマーの反応性の点からは、アルケニル基の末端に二重結合があることが好ましい。
【0049】
における、アリール基としては、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、トリル基、キシリル基等が挙げられる。アリール基の炭素数は、6〜24が好ましく、更に6〜12が好ましい。
における、アラルキル基としては、ベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基、ビフェニルメチル基等が挙げられる。アラルキル基の炭素数は、7〜20が好ましく、更に7〜14が好ましい。
【0050】
は、水素原子、あるいは炭素数1〜18のアルキル基、アラルキル基、アリール基、−CHO、−CHCHO又は−CHCOOR11で示される1価の基であり、Rは、炭素数1〜18のアルキル基、アラルキル基、アリール基、シアノ基、−[CH(R)−CH(R)−O]−R、−[(CH−O]−R、又は−[CO−(CH−O]−Rで示される1価の基である。R10は、炭素数1〜18のアルキル基であり、R11は水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基を示す。
上記R、及びRのうちの炭素数1〜18のアルキル基、アラルキル基、アリール基は、前記のRで示したとおりである。
上記R10、及びR11のうちのアルキル基は、前記のRで示したとおりである。
上記R、R、R、及びR10が、芳香環を有する基である場合、当該芳香環はさらに置換基を有していてもよい。当該置換基としては、例えば炭素数1〜5の直鎖状、分岐状、環状のアルキル基の他、アルケニル基、ニトロ基、F、Cl、Br等のハロゲン原子などが挙げられる。
なお、上記好ましい炭素数には、置換基の炭素数は含まれない。
上記R、及びRにおいて、xは1〜18の整数、好ましくは1〜4の整数、より好ましくは1〜2の整数であり、yは1〜5の整数、好ましくは1〜4の整数、より好ましくは2又は3である。zは1〜18の整数、好ましくは1〜4の整数、より好ましくは1〜2の整数である。
【0051】
さらに、上記R、R、R、及びR10は、上記グラフト共重合体の分散性能等を妨げない範囲で、更に、アルコキシ基、水酸基、カルボキシル基、アミノ基、エポキシ基、イソシアネート基、水素結合形成基等の置換基によって置換されたものとしてもよい。
【0052】
化学式(II)で表される構成単位に含まれるポリマー鎖は、上記した構成単位のなかでもメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルシクロヘキサンなど由来の構成単位を有するものが好ましい。しかしながら、これらに限定されるものではない。
【0053】
化学式(V)において、mは1〜5の整数であり、好ましくは2〜5の整数、より好ましくは4又は5の整数である。また、ポリマー鎖の構成単位のユニット数n及びn’は、5〜200の整数であればよく、特に限定されないが、5〜100の範囲内であることが好ましい。
【0054】
本発明において、上記R及びRとしては、中でも、後述する溶剤との溶解性に優れたものを用いることが好ましく、金属粒子分散体に使用する溶剤に合わせて適宜選択されれば良い。具体的には、例えば上記溶剤が、金属粒子分散体の溶剤として一般的に使用されているエーテルアルコールアセテート系、エーテル系、エステル系などの溶媒を用いる場合には、メチル基、エチル基、イソブチル基、n−ブチル基、2−エチルヘキシル基、ベンジル基等が好ましい。
ここで、上記R及びRをこのように設定する理由は、上記R及びRを含む構成単位が、上記溶媒に対して溶解性を有し、上記ピロリドン部分が金属粒子に対して吸着性を有するものであることにより、金属粒子の分散性、及び安定性を優れたものとすることができるからである。
更に、上記R及びRとしては、焼成時に熱分解し易い、分岐アルキル基(イソブチル、イソプロピル、2−エチルヘキシル)や、直鎖アルキル基(メチル基、n−ブチル基)などが好ましく、中でも、炭素数1〜8であることが好ましい。
【0055】
Polymerにおけるポリマー鎖の質量平均分子量Mwは、500〜15000の範囲内であることが好ましく、1000〜8000の範囲内であることがより好ましい。上記範囲であることにより、分散剤としての十分な立体反発効果を保持できるとともに、立体効果による金属粒子の分散に要する時間の増大を抑制することもできる。
【0056】
また、Polymerにおけるポリマー鎖は、目安として、組み合わせて用いられる溶剤に対して、23℃における溶解度が50(g/100g溶剤)以上であることが好ましい。
当該ポリマー鎖の溶解性は、グラフト共重合体を調製する際のポリマー鎖を導入する原料が上記溶解度を有することを目安にすることができる。例えば、グラフト共重合体にポリマー鎖を導入するために、ポリマー鎖及びその末端にエチレン性不飽和二重結合を有する基を含む重合性オリゴマーを用いた場合、当該重合性オリゴマーが上記溶解度を有すれば良い。また、エチレン性不飽和二重結合を有する基を含むモノマーにより共重合体が形成された後に、共重合体中に含まれる反応性基と反応可能な反応性基を含むポリマー鎖を用いて、ポリマー鎖を導入する場合、当該反応性基を含むポリマー鎖が上記溶解度を有すれば良い。
【0057】
上記ポリマー鎖は、単独重合体でもよく、共重合体であってもよい。また、化学式(II)で表される構成単位に含まれるポリマー鎖は、グラフト共重合体において、1種単独でも良いが、2種以上混合していても良い。
【0058】
本発明で用いられるグラフト共重合体は、更に下記化学式(III)で表される構成単位を有するグラフト共重合体であることが、分散性、分散安定性に優れ、且つ、優れた導電性を有する導電性基板を得やすい点から好ましい。
【0059】
【化11】
(化学式(III)中、R1”は、水素原子又はメチル基、Aは、直接結合又は2価の連結基、Qは、下記化学式(III−a)で表される基、又は、酸又はハロゲン化炭化水素と塩形成可能な含窒素複素環基を表す。)
【0060】
【化12】
(化学式(III−a)中、R及びRは、それぞれ独立して、水素原子又はヘテロ原子を含んでもよい炭化水素基を表し、当該炭化水素基は、置換基を有していてもよく、R及びRは互いに同一であっても異なっていてもよい。)
【0061】
上記化学式(III)において、Aは、直接結合又は2価の連結基である。直接結合とは、下記化学式(III−1)のように、Qが連結基を介することなく炭素原子に直接結合していることを意味する。
【0062】
【化13】
(化学式(III−1)中、R1”及びQは、化学式(III)と同様である。)
【0063】
Aにおける2価の連結基としては、例えば、炭素数1〜10のアルキレン基、アリーレン基、−CONH−基、−COO−基、炭素数1〜10のエーテル基(−R’−OR”−:R’及びR”は、各々独立にアルキレン基)及びこれらの組み合わせ等が挙げられる。
化学式(III)におけるAは、直接結合、−CONH−基、又は、−COO−基を含む2価の連結基であるものが好適に用いられる。
例えば、Aが−COO−基を含む2価の連結基でQが上記化学式(III−a)で表される基である場合、化学式(III)で表される構成単位は下記式(III−2)で表される構造が挙げられる。
【0064】
【化14】
(化学式(III−2)中、R1”は、化学式(III)と同様であり、R及びRは、化学式(III−a)と同様であり、R14は、炭素数1〜8のアルキレン基、−[CH(R15)−CH(R16)−O]−CH(R15)−CH(R16)−又は−[(CH−O]−(CH−であり、R15及びR16は、それぞれ独立に水素原子又はメチル基である。xは1〜18の整数、yは1〜5の整数、zは1〜18の整数を表す。)
【0065】
14における炭素数1〜8のアルキレン基は、直鎖状、分岐状のいずれであってもよく、例えば、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、プロピレン基、各種ブチレン基、各種ペンチレン基、各種へキシレン基、各種オクチレン基などである。
15及びR16は、それぞれ独立に水素原子又はメチル基である。
上記R14において、x、y及びzは、前記Rで説明したとおりである。
上記R14としては、分散性の点から、炭素数1〜8のアルキレン基が好ましく、中でも、R14がメチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基であることが更に好ましく、メチレン基及びエチレン基がより好ましい。
【0066】
化学式(III−a)における、R及びRの、ヘテロ原子を含んでもよい炭化水素基における炭化水素基は、例えば、アルキル基、アラルキル基、アリール基などが挙げられる。
アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、2−エチルヘキシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられ、アルキル基の炭素数は、1〜18が好ましく、中でも、メチル基又はエチル基であることがより好ましい。
アラルキル基としては、例えば、ベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基、ビフェニルメチル基等が挙げられる。アラルキル基の炭素数は、7〜20が好ましく、更に7〜14が好ましい。
また、アリール基としては、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、トリル基、キシリル基等が挙げられる。アリール基の炭素数は、6〜24が好ましく、更に6〜12が好ましい。なお、上記好ましい炭素数には、置換基の炭素数は含まれない。
ヘテロ原子を含む炭化水素基とは、上記炭化水素基中の炭素原子がヘテロ原子でおきかえられた構造を有する。炭化水素基が含んでいてもよいヘテロ原子としては、例えば、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、ケイ素原子等が挙げられる。
また、炭化水素基中の水素原子は、炭素数1〜5のアルキル基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子により置換されていてもよい。
【0067】
また、Qにおける酸又はハロゲン化炭化水素と塩形成可能な含窒素複素環基としては、例えば、5〜7員環の含窒素複素環単環、又はこれらの縮合環の中から適宜選択されれば良く、更に別のヘテロ原子を有していてもよく、置換基を有していていもよい。また、含窒素複素環基は芳香族性を有していてもよい。
上記含窒素複素環基を形成する含窒素複素環式化合物としては、具体的には、ピリジン、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、ピロリジン、ピロリン、イミダゾール、ピラゾール、トリアゾール、テトラゾール、ベンゾイミダゾール等が挙げられる。中でも、ピリジン、ピペリジン、ピペラジン、イミダゾール等のヘテロ原子として窒素原子のみを含む含窒素複素環式化合物であることが好ましく、ピリジン、イミダゾール等の芳香族性を有する含窒素複素環基であることがより好ましい。
【0068】
上記含窒素複素環基において、有していてもよい置換基としては、例えば炭素数1〜12の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、アラルキル基、アリール基、F、Cl、Brなどのハロゲン原子等が挙げられ、これらを組み合わせて用いることもできる。また、これらの置換基の置換位置、及び置換基数は特に限定されない。
【0069】
上記化学式(III)で表される構成単位としては、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、ペンタメチルピペリジル(メタ)アクリレート等の含窒素(メタ)アクリレート;ビニルイミダゾール、ビニルピリジン等の含窒素ビニル単量体;ジメチルアミノプロピルアクリルアミド等のアクリルアミド系単量体等から誘導される構成単位が挙げられるが、これらに限定されない。
化学式(III)で表される構成単位は、1種類からなるものであってもよく、2種以上の構成単位を含むものであってもよい。
【0070】
上記グラフト共重合体において、前記化学式(I)で表される構成単位は、分散する金属粒子の種類により適宜選択されることが好ましいが、分散性、分散安定性、及び導電性の点から、全構成単位中に3〜80質量%の割合で含まれていることが好ましく、5〜50質量%がより好ましく、10〜40質量%がさらに好ましい。また、前記化学式(II)で表される構成単位は、分散する金属粒子の種類により適宜選択されることが好ましいが、分散性、分散安定性、及び導電性の点から、全構成単位中に3〜80質量%の割合で含まれていることが好ましく、5〜50質量%がより好ましく、10〜40質量%がさらに好ましい。
また、前記化学式(III)で表される窒素部位を含む構成単位が含まれる場合、前記化学式(III)で表される窒素部位を含む構成単位は、分散する金属粒子の種類により適宜選択されることが好ましいが、分散性、分散安定性、及び導電性の点から、全構成単位中に3〜80質量%の割合で含まれていることが好ましく、5〜50質量%がより好ましく、10〜40質量%がさらに好ましい。
なお、上記構成単位の含有割合は、グラフト共重合体を合成する際の仕込み量から算出される。
【0071】
また、上記グラフト共重合体の重量平均分子量Mwは、1000〜100000の範囲内であることが好ましく、3000〜30000の範囲内であることがより好ましく、5000〜20000の範囲内であることがさらに好ましい。上記範囲であることにより、金属粒子を均一に分散させることができる。
【0072】
なお、上記重量平均分子量Mwは、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)により測定された値である。測定は、東ソー製のHLC−8120GPCを用い、溶出溶媒を0.01モル/リットルの臭化リチウムを添加したN−メチルピロリドンとし、校正曲線用ポリスチレンスタンダードをMw377400、210500、96000、50400、20650、10850、5460、2930、1300、580(以上、Polymer Laboratories製 Easi PS−2シリーズ)及びMw1090000(東ソー製)とし、測定カラムをTSK−GEL ALPHA−M×2本(東ソー製)として行われたものである。
【0073】
本発明において、グラフト共重合体の製造方法としては、前記化学式(I)で表される構成単位と、前記化学式(II)で表される構成単位とを有するグラフト共重合体を製造することができる方法であればよく特に限定されない。例えば、少なくとも、下記化学式(I’)で表されるモノマーと、前記化学式(IV)又は化学式(V)で表される構成単位を少なくとも1種有するポリマー鎖及びその末端にエチレン性不飽和二重結合を有する基からなる重合性オリゴマーとを共重合成分として含有して共重合し、グラフト共重合体を製造する方法が挙げられる。必要に応じて更にその他のモノマー、例えば下記化学式(III’)で表されるモノマーを共重合成分として含有して、公知の重合手段を用いてグラフト共重合体を製造することができる。
【0074】
【化15】
(化学式(I’)中、Rは、水素原子又はメチル基、Aは、直接結合又は2価の連結基である。
化学式(III’)中、R1”は、水素原子又はメチル基、Aは、直接結合又は2価の連結基、Qは、化学式(III−a)で表される基、又は、酸又はハロゲン化炭化水素と塩形成可能な含窒素複素環基を表す。)
【0075】
上記化学式(I)で表される構成単位を誘導する化学式(I’)で表されるモノマーとしては、例えば、N−ビニルピロリドン、1−アリル−2−ピロリドン、メタクリル酸3−(2−オキソピロリジノ)プロピル、メタクリル酸4−(2−オキソピロリジノ)ブチル、メタクリル酸5−(2‐ピロリドン−1−イル)ペンチル、メタクリル酸2−(5−メチル−2−ピロリドン−1−イル)エチル、メタクリル酸2−メチル−2−(2−オキソ−1−ピロリジニル)プロピル、1−[2−(ビニルオキシ)エチル]−2−ピロリドン等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0076】
また、上記のような重合性オリゴマーは、適宜合成したものでもよいし、市販品であってもよく、市販品としては、例えば片末端メタクリロイル化ポリメチルメタクリレートオリゴマー(質量平均分子量:6000,「AA−6(商品名)」:東亞合成製)、片末端メタクリロイル化ポリ−n−ブチルアクリレートオリゴマー(質量平均分子量:6000,「AB−6(商品名)」:東亞合成製)、片末端メタクリロイル化ポリスチレンオリゴマー(質量平均分子量:6000,「AS−6(商品名)」:東亞合成製)、カプロラクトン変性ヒドロキシエチルメタクリレート(「プラクセルFM5(商品名)」:ダイセル製)、カプロラクトン変性ヒドロキシエチルアクリレート(「プラクセルFA10L(商品名)」:ダイセル製)などが挙げられる。
【0077】
このような重合性オリゴマーを合成するには、リビング重合法や、連鎖移動剤を用いるラジカル重合法がよく知られている。ラジカル重合法の方が、モノマーの選択の自由度が大きい点で利用しやすい。例えば、メルカプトプロピオン酸のような、カルボキシル基を有する連鎖移動剤の存在下でモノマーをラジカル重合することにより、片末端にカルボキシル基を有するオリゴマーが得られる。このオリゴマーにグリシジルメタクリレートを付加すると、片末端にメタクリロイル基を有するオリゴマー、すなわち重合性オリゴマーが得られる。
【0078】
また、少なくとも、前記化学式(I’)で表されるモノマーと、その他の反応性基とエチレン性不飽和二重結合を有する基を含むモノマーとを付加重合して共重合体が形成された後に、共重合体中に含まれる前記反応性基と反応可能な反応性基を含むポリマー鎖を用いて、ポリマー鎖を導入しても良い。具体的には例えば、アルコキシ基、水酸基、カルボキシル基、アミノ基、エポキシ基、イソシアネート基、水素結合形成基等の置換基を有する共重合体を合成した後に、当該置換基と反応する官能基を含むポリマー鎖とを反応させて、ポリマー鎖を導入したものであっても良い。
例えば、側鎖にカルボキシル基を有する共重合体に、末端にグリシジル基を有するポリマー鎖を反応させたり、側鎖にイソシアネート基を有する共重合体に、末端にヒドロキシ基を有するポリマー鎖を反応させたりして、ポリマー鎖を導入することができる。
なお、上記重合においては、重合に一般的に用いられる添加剤、例えば重合開始剤、分散安定剤、連鎖移動剤などを用いてもよい。
【0079】
前記分散剤における前記グラフト共重合体が、前記化学式(III)で表される構成単位を含む場合に、前記化学式(III)で表される構成単位に含まれる窒素部位の少なくとも一部と、酸性リン化合物、スルホン酸化合物、及びハロゲン化炭化水素よりなる群から選択される少なくとも1種とが塩を形成したグラフト共重合体であることが、分散性、分散安定性に優れ、且つ、優れた導電性を有する導電性基板を得やすい点から好ましい。
酸性リン化合物、スルホン酸化合物、及びハロゲン化炭化水素よりなる群から選択される少なくとも1種を塩形成剤として用いることにより、分散剤を、前記金属粒子の分散性及び安定性に優れ、焼成時に当該分散剤を揮散乃至分解しやすいものとすることができる。
【0080】
(酸性リン化合物)
酸性リン化合物としては、酸性有機リン化合物、ホスフィン酸、ホスホン酸等が挙げられる。酸性リン化合物としては、中でも、下記化学式(VI)で表されるリン酸化合物であることが好ましい。
【0081】
【化16】
(化学式(VI)中、R及びRa’はそれぞれ独立に、水素原子、水酸基、炭化水素基、−[CH(R)−CH(R)−O]−R、−[(CH−O]−R、又は−O−Ra’’で示される1価の基であり、Ra’’は、炭化水素基、−[CH(R)−CH(R)−O]−R、−[(CH−O]−R、−C(R)(R)−C(R)(Ri)−OH、又は、−CH−C(R)(R)−CH−OHで示される1価の基である。
及びRは、それぞれ独立に水素原子又はメチル基である。Rは、水素原子、炭化水素基、−CHO、−CHCHO、−CO−CH=CH、−CO−C(CH)=CH又は−CHCOORe’で示される1価の基であり、Re’は水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基である。R、R、R、Ri、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、炭化水素基、又は、炭化水素基をエーテル結合及びエステル結合の少なくとも1つで結合した基であって、R及びRは、互いに結合して環構造を形成してもよい。上記環状構造を形成した場合、置換基Rを有していてもよく、Rは、水素原子、炭化水素基、又は、炭化水素基をエーテル結合及びエステル結合の少なくとも1つで結合した基である。
上記炭化水素基は置換基を有していてもよい。
sは1〜18の整数、tは1〜5の整数、uは1〜18の整数を示す。)
【0082】
、Ra’、Ra’’、及びRにおける炭化水素基としては、例えば、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、アラルキル基、及びアリール基などが挙げられる。炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、アラルキル基、及びアリール基は、前記化学式(II)におけるRと同様のものとすることができる。
【0083】
上記アルキル基やアルケニル基は置換基を有していても良く、当該置換基としては、F、Cl、Brなどのハロゲン原子、ニトロ基等が挙げられる。
また、上記アリール基やアラルキル基等の芳香環の置換基としては、炭素数1〜4の直鎖状、分岐状のアルキル基の他、アルケニル基、ニトロ基、ハロゲン原子などを挙げることができる。
【0084】
、Ra’ 及びRa’’において、sは1〜18の整数、tは1〜5の整数、uは1〜18の整数である。sは、好ましくは1〜4の整数、より好ましくは1〜2の整数であり、tは、好ましくは1〜4の整数、より好ましくは2又は3である。uは、好ましくは1〜4の整数、より好ましくは1〜2の整数である。
【0085】
、R、R、Ri、R及びRにおける、炭化水素基をエーテル結合及びエステル結合の少なくとも1つで結合した基とは、−R’−O−R”、−R’−(C=O)−O−R”、又は−R’−O−(C=O)−R”(R’及びR”は、炭化水素基、又は、炭化水素基をエーテル結合及びエステル結合の少なくとも1つで結合した基)で表される基である。1つの基の中に、エーテル結合及びエステル結合を2つ以上有していてもよい。炭化水素基が1価の場合としては、アルキル基、アルケニル基、アラルキル基、アリール基が挙げられ、炭化水素基が2価の場合としては、アルキレン基、アルケニレン基、アリーレン基、及びこれらの組み合わせの基が挙げられる。
【0086】
化学式(VI)において、R及びRが、互いに結合して環構造を形成しているとは、具体的には、下記化学式(VI−1)で表される構造を有するものである。
【0087】
【化17】
(化学式(VI−1)中、R、R、及びRは、上記化学式(VI)におけるものと同様である。Rは、上記R及びRが結合した基であって、更に置換基Rを有していてもよい。)
【0088】
とRが結合して環構造を形成する場合、環構造を形成する炭素原子数は、5〜8であることが好ましく、6であること、即ち6員環であることがより好ましい。
置換基Rにおける、炭化水素基、又は、炭化水素基をエーテル結合及びエステル結合の少なくとも1つで結合した基は、前記R、R、R、Ri、R及びRにおけるものと同様のものとすることができる。
【0089】
−C(R)(R)−C(R)(R)−OH、又は、−CH−C(R)(R)−CH−OHはそれぞれ、例えば、リン酸基の酸性基(OH)に単官能エポキシ化合物、又は単官能オキセタン化合物を反応させることにより、得ることができる。
【0090】
上記化学式(VI)で表されるリン酸化合物としては、前記化学式(V)におけるR及びRa’が、それぞれ独立に、水素原子、水酸基、メチル基、エチル基、置換基を有していても良いアリール基又はアラルキル基、ビニル基、アリル基、−[CH(R)−CH(R)−O]−R、又は−[(CH−O]−R、あるいは、−O−Ra’’で示される1価の基であり、且つ、Ra’’が、メチル基、エチル基、置換基を有していても良いアリール基又はアラルキル基、ビニル基、アリル基、−[CH(R)−CH(R)−O]−R、又は−[(CH−O]−Rであり、R及びRが、それぞれ独立に水素原子又はメチル基であり、Rが−CO−CH=CH又は−CO−C(CH)=CHであるものが金属粒子の分散性及び分散安定性に優れ、沈降を抑制し、焼結後の有機成分の残存が抑制されたものとすることができる点から好ましい。
【0091】
、R、R、Ri、R及びRにおける炭化水素基としては、例えば、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、アラルキル基、及びアリール基などが挙げられる。炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、アラルキル基、及びアリール基は、前記化学式(II)におけるRと同様のものとすることができる。
【0092】
(スルホン酸化合物)
スルホン酸化合物としては、中でも、下記化学式(VII)で表されるスルホン酸化合物であることが好ましい。
【0093】
【化18】
(化学式(VII)中、Rは、炭化水素基、−[CH(R)−CH(R)−O]−R、−[(CH−O]−R、又は−O−Rb’で示される1価の基である。Rb’は、炭化水素基、−[CH(R)−CH(R)−O]−R、又は−[(CH−O]−Rで示される1価の基である。
及びRは、それぞれ独立に水素原子又はメチル基である。Rは、水素原子、炭化水素基、−CHO、−CHCHO、−CO−CH=CH、−CO−C(CH)=CH又は−CHCOORe’で示される1価の基であり、Re’は水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基である。
上記炭化水素基は置換基を有していてもよい。
sは1〜18の整数、tは1〜5の整数、uは1〜18の整数を示す。)
【0094】
及びRb’における炭化水素基としては、上記Rと同様のものとすることができる。また、R及びRb’におけるs、t、uは、上記Rにおけるs、t、uと同様のものとすることができる。
【0095】
化学式(VII)で表されるスルホン酸化合物としては、化学式(VII)におけるRが、メチル基、エチル基、置換基を有していても良いアリール基又はアラルキル基、ビニル基、アリル基、−[CH(R)−CH(R)−O]−R、又は−[(CH−O]−R、あるいは、−O−Rb’で示される1価の基であり、Rb’が、メチル基、エチル基、置換基を有していても良いアリール基又はアラルキル基、ビニル基、アリル基、−[CH(R)−CH(R)−O]−R、又は−[(CH−O]−Rであり、R及びRが、それぞれ独立に水素原子又はメチル基であり、Rが−CO−CH=CH又は−CO−C(CH)=CHであるものが金属粒子の分散性及び分散安定性に優れ、沈降を抑制し、焼結後の有機成分の残存が抑制されたものとすることができる点から好ましい。
【0096】
中でも、上記化学式(VII)で表されるスルホン酸化合物は、Rが、置換基を有していても良いアリール基又はアラルキル基、より具体的には、ベンジル基、フェニル基、トリル基、ナフチル基、ビフェニル基であることが、金属粒子の分散性の点から好ましい。
【0097】
(ハロゲン化炭化水素)
本発明で用いられるハロゲン化炭化水素は、前記化学式(III)で表される構成単位が有する窒素部位と塩形成し得るものである。
当該ハロゲン化炭化水素としては、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子のいずれかのハロゲン原子が、飽和又は不飽和の直鎖、分岐又は環状の炭化水素の水素原子と置換されているものが挙げられる。中でも、炭化水素の水素原子の1つがハロゲン原子に置換されたハロゲン化炭化水素であることが、金属粒子の分散性を高める点から好ましい。
また、上記ハロゲン化炭化水素としては、直鎖、分岐鎖又は環状であっても良い。また、炭素数は、1〜18であることが好ましく、更に1〜7であることが好ましい。
【0098】
上記ハロゲン化炭化水素のうち、ハロゲン化アルキルとしては、炭素数1〜18のものが挙げられるが特に限定されない。具体的には、例えば、塩化メチル、臭化メチル、塩化エチル、臭化エチル、ヨウ化メチル、ヨウ化エチル、塩化n−ブチル、塩化ヘキシル、塩化オクチル、塩化ドデシル、塩化テトラデシル、塩化ヘキサデシル等が挙げられる。また、ハロゲン化アリルとしては、例えば、塩化アリル、臭化アリル、ヨウ化アリルが挙げられる。また、上記ハロゲン化アラルキルのアラルキル基としては、炭素数7〜18のものが挙げられるが特に限定されない。具体的には、例えば、塩化ベンジル、臭化ベンジル、ヨウ化ベンジル、塩化ナフチルメチル、塩化ピリジルメチル、臭化ナフチルメチル、臭化ピリジルメチル等が挙げられる。
【0099】
中でも、ハロゲン化ベンジル、ハロゲン化アリル、及びハロゲン化メチルよりなる群から選択される少なくとも1種であることが、塩形成反応のしやすさと、生成した塩形成部位が金属粒子への吸着性に優れている点から好ましい。
【0100】
本発明で用いられる重合体において、酸性リン化合物、スルホン酸化合物、及びハロゲン化炭化水素よりなる群から選択される1種以上の含有量は、良好な分散安定性が発揮されるのであればよく、特に制限はないが、化学式(III)で表される構成単位が有する窒素部位に対して、0.01〜4.0モル当量程度、好ましくは0.05〜2.0モル当量、より好ましくは0.1〜1.0モル当量とすることが、金属粒子の分散性、分散安定性を向上し、沈降を抑制し、有機成分の残存の少ない金属膜を得ることができる点から好ましい。尚、上記酸性リン化合物、スルホン酸化合物、及びハロゲン化炭化水素を2種以上併用する場合、これらを合計した含有量が上記範囲内にあればよい。
【0101】
<塩型グラフト共重合体の製造方法>
本発明において分散剤に用いられる、塩型グラフト共重合体の製造方法としては、前記化学式(III)で表される構成単位を有し、当該構成単位が有する窒素部位の少なくとも一部と、酸性リン化合物、スルホン酸化合物、及びハロゲン化炭化水素よりなる群から選択される1種以上とが塩を形成した重合体を製造することができる方法であればよく特に限定されない。本発明においては、例えば、前記化学式(III)で表される構成単位を有するグラフト共重合体を公知の重合手段を用いて重合した後、後述する溶剤中に溶解又は分散し、次いで該溶剤中に上記酸性リン化合物、スルホン酸化合物、及びハロゲン化炭化水素よりなる群から選択される1種以上を添加し、攪拌(必要に応じて加熱)することにより製造することができる。
【0102】
本発明の金属粒子分散体において、分散剤としては、上記重合体を1種用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよく、その含有量は、用いる金属粒子の種類等に応じて適宜設定されるが、金属粒子100質量部に対して、通常、0.1〜100質量部の範囲であり、1〜50質量部であることが好ましく、5〜20質量部であることがより好ましい。分散剤の含有量が上記下限値以上であれば、金属粒子分散体の分散性及び分散安定性を優れたものとすることができる。また上記下限値以下であれば、焼成後の膜の導電性に優れている。
【0103】
<溶剤>
本発明の金属粒子分散体おいて、溶剤は、金属粒子分散体中の各成分とは反応せず、これらを溶解もしくは分散可能な有機溶剤であればよく、特に限定されない。具体的には、メチルアルコール、エチルアルコール、N−プロピルアルコール、イソプロピルアルコールなどのアルコール系;メトキシアルコール、エトキシアルコール、メトキシエトキシエタノール、エトキシエトキシエタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテルなどのエーテルアルコール系;酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸3−メトキシブチル、メトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチル、乳酸エチルなどのエステル系;アセトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン系;メトキシエチルアセテート、メトキシプロピルアセテート、メトキシブチルアセテート、エトキシエチルアセテート、エチルセロソルブアセテート、メトキシエトキシエチルアセテート、エトキシエトキシエチルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどのエーテルアルコールアセテート系;ジエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル系;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンなどの非プロトン性アミド系;γ−ブチロラクトンなどのラクトン系;ベンゼン、トルエン、キシレン、ナフタレンなどの不飽和炭化水素系;n−ヘプタン、n−ヘキサン、n−オクタンなどの飽和炭化水素系などの有機溶剤が挙げられる。
【0104】
これらの中では、塗布適性の点から、プロピレングリコールモノメチルエーテルなどのエーテルアルコール系;メトキシエチルアセテート、エトキシエチルアセテート、エチルセロソルブアセテート、メトキシエトキシエチルアセテート、エトキシエトキシエチルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどのエーテルアルコールアセテート系;エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテルなどのエーテル系;酢酸3−メトキシブチル、メトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチル、乳酸エチルなどのエステル系等を好適に用いることができる。
中でも、本発明に用いられる溶剤としては、MBA(酢酸3−メトキシブチル)、PGMEA(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)、DMDG(ジエチレングリコールジメチルエーテル)、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、PGME(プロピレングリコールモノメチルエーテル)又はこれらを混合したものが、分散剤の溶解性や塗布適性の点から好ましい。
【0105】
本発明の金属粒子分散体における溶剤の含有量は、該金属粒子分散体の各構成を均一に溶解又は分散することができるものであればよく、特に限定されない。本発明においては、該金属粒子分散体中の固形分含有量が、5〜95質量%の範囲が好ましく、
20〜90質量%の範囲がより好ましい。上記範囲であることにより、塗布に適した粘度とすることができる。
【0106】
<その他の成分>
本発明の金属粒子分散体には、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて、その他の成分を含有してもよい。
その他の成分としては、例えば、錯化剤、有機保護剤、還元剤、濡れ性向上のための界面活性剤、密着性向上のためのシランカップリング剤、消泡剤、ハジキ防止剤、酸化防止剤、凝集防止剤、粘度調製剤等が挙げられる。また、本発明の効果が損なわれない限り、他の分散剤が含まれていてもよい。
【0107】
<金属粒子分散体の製造方法>
本発明において、金属粒子分散体の製造方法は、金属粒子が良好に分散できる方法であればよく、従来公知の方法から適宜選択して用いることができる。具体的には、例えば、少なくとも、前記化学式(I’)で表されるモノマーと、前記一般式(IV)又は一般式(V)で表される構成単位を少なくとも1種有するポリマー鎖及びその末端にエチレン性不飽和二重結合を有する基からなる重合性オリゴマーとを共重合成分として含有してグラフト共重合体を調製して、分散剤を調製する工程と、得られた分散剤と金属粒子とを溶剤中で分散させる工程を有する製造方法が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
前記分散剤を前記溶媒に混合、攪拌し、分散剤溶液を調製した後、当該分散剤溶液に、金属粒子と、必要に応じて他の成分を混合し、公知の攪拌機、又は分散機等を用いて分散させることによって、金属粒子分散体を調製することができる。
分散処理を行うための分散機としては、超音波分散機、2本ロール、3本ロール等のロールミル、アトライター、バンバリーミキサー、ペイントシェイカー、ニーダー、ホモジナイザー、ボールミル、サンドミル、ビーズミル等が挙げられる。
【0108】
II.導電性基板の製造方法
本発明に係る導電性基板の製造方法は、金属粒子と、分散剤と、溶剤とを含有し、前記分散剤が、少なくとも下記化学式(I)で表される構成単位と、下記化学式(II)で表される構成単位とを有するグラフト共重合体である、導電性基板用金属粒子分散体を含む塗布液を、基材上に塗布して塗膜を形成する工程と、当該塗膜を焼成処理する工程とを有することを特徴とする。
【0109】
【化19】
(化学式(I)及び化学式(II)中、R及びR1’はそれぞれ独立に、水素原子又はメチル基、Aは、直接結合又は2価の連結基、Lは、直接結合又は2価の連結基、Polymerは、下記化学式(IV)又は化学式(V)で表される構成単位を少なくとも1種有するポリマー鎖を表す。)
【0110】
【化20】
(化学式(IV)及び、化学式(V)中、Rは水素原子又はメチル基であり、Rは炭化水素基、シアノ基、−[CH(R)−CH(R)−O]−R、−[(CH−O]−R、−[CO−(CH−O]−R、−CO−O−R又は−O−CO−R10で示される1価の基である。R及びRは、それぞれ独立に水素原子又はメチル基である。
は、水素原子、炭化水素基、−CHO、−CHCHO又は−CHCOOR11で示される1価の基であり、Rは、炭化水素基、シアノ基、−[CH(R)−CH(R)−O]−R、−[(CH−O]−R、又は−[CO−(CH−O]−Rで示される1価の基である。R10は、炭素数1〜18のアルキル基であり、R11は水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基を示す。
上記炭化水素基は、置換基を有していてもよい。
mは1〜5の整数、n及びn’は5〜200の整数を示す。xは1〜18の整数、yは1〜5の整数、zは1〜18の整数を示す。)
【0111】
本発明の導電性基板の製造方法によれば、用いられる金属粒子分散体が、金属粒子の分散性及び分散安定性に優れ、且つ、含まれる分散剤が還元性や酸化抑制効果を有していることにより、優れた導電性を有する導電性基板が得られる。また、用いられる金属粒子分散体が、分散剤の有機溶媒に対する溶媒溶解性を調整できるため、基材に対して塗布適性に優れることから、導電膜が配線のような細線となる場合であっても、断線することなく、良好な導電性を確保することができる。
【0112】
本発明の導電性基板の製造方法は、少なくとも塗膜を形成する工程と、当該塗膜を焼成処理する工程とを有するものであり、本発明の効果が損なわれない限り、必要に応じて他の工程を有していてもよいものである。
以下、このような本発明の導電性基板の製造方法の各工程について、順に説明する。
【0113】
<導電性基板用金属粒子分散体を含む塗布液を、基材上に塗布して塗膜を形成する工程>
本工程は、導電性基板用金属粒子分散体を含む塗布液を基材上に塗布して塗膜を形成する工程である。以下、本工程の詳細を説明する。なお、当該導電性基板用金属粒子分散体の構成成分は、上記本発明に係る導電性基板用金属粒子分散体と同様のものとすることができるのでここでの説明は省略する。
【0114】
(導電性基板用金属粒子分散体を含む塗布液)
導電性基板用金属粒子分散体を含む塗布液は、上記本発明に係る導電性基板用金属粒子分散体をそのまま塗布液とすることもできるが、必要に応じて、溶剤や、その他の成分を加えて塗布液としてもよいものである。
溶剤及びその他の成分としては、例えば、上記本発明に係る導電性基板用金属粒子分散体で挙げられた溶剤や、界面活性剤、シランカップリング剤、消泡剤、ハジキ防止剤、酸化防止剤、凝集防止剤、粘度調整剤等を用いることができる。更に、本発明の効果が損なわれない範囲で、造膜性、印刷適性や分散性の点から、アクリル樹脂やポリエステル樹脂等の樹脂バインダーを添加してもよい。
【0115】
(基材)
本発明に用いられる基材は、導電性基板に用いられる基材の中から、用途に応じて適宜選択すればよい。例えば、ソーダライムガラス、無アルカリガラス、ホウケイ酸ガラス、高歪点ガラス、石英ガラス等のガラス、アルミナ、シリカなどの無機材料を用いることができ、さらに高分子材料や、紙などを用いることもできる。前記本発明に係る導電性基板用金属微粒子分散体は、従来よりも低温で焼成処理しても導電性に優れた金属膜が得られることから、従来適用が困難であったソーダライムガラスや、高分子材料であっても好適に用いることができ、特に樹脂フィルムを用いることができる点で非常に有用である。
【0116】
樹脂フィルムとしては、例えば、ポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、ポリカーボネート、ポリエーテルイミド、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ガラス−エポキシ樹脂、ポリフェニレンエーテル、アクリル樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリノルボルネン等のポリシクロオレフィン、液晶性高分子化合物等のフィルムが挙げられる。
【0117】
また、基材表面には、前記金属粒子分散体の塗膜をパターン状に形成した場合におけるパターンの形状を制御したり、前記金属粒子分散体の塗膜との間の密着性を付与するための処理を行ってもよい。基材表面の処理方法としては、従来公知の方法の中から適宜選択することができる。具体的には、例えば、コロナ処理、UV処理、真空紫外ランプ処理、プラズマ処理などのドライ処理、アミン系シランカップリング剤、イミダゾール系シランカップリング剤、チタンカップリング剤、アルミニウムカップリング剤処理などの薬液処理、多孔質シリカや、セルロース系受容層などの多孔質膜形成処理、活性エネルギー線硬化型樹脂層、熱硬化型樹脂層、熱可塑性樹脂層などの樹脂層形成処理を行うことができる。当該処理により、基材表面に撥液性を持たせることにより、基材に金属粒子分散体の塗膜をパターン状に形成した際、塗布液の濡れ広がりを抑え、高精細なパターンを形成することが可能である。また、基材表面に多孔質膜などのインク受容層を形成することにより、溶媒成分が浸透し、高精細なパターンを形成することが可能である。逆に、基材表面に親液性を持たせることで、基材に対する塗布性を向上させることができる。これらの基材表面の処理は、用途や目的に応じて使い分けることができる。
【0118】
当該基材の形状は、用途に応じて適宜選択すればよく、平板状であっても、曲面を有するものであってもよいが、通常は平板状である。平板状の基材を用いる場合、当該基材の厚みは、用途に応じて適宜設定すればよく、例えば10μm〜1mm程度のものとすることができる。
【0119】
(塗布方法)
上記塗布液を上記基材上に塗布する方法は、従来公知の方法の中から適宜選択すればよい。例えば、グラビア印刷、グラビアオフセット印刷、反転オフセット印刷、スクリーン印刷、スプレーコート、スピンコート、コンマコート、バーコート、ナイフコート、スロットダイコート、オフセット印刷、フレキソ印刷、インクジェット印刷、ディスペンサ印刷等の方法が挙げられる。中でも、微細なパターニングを行うことができる点から、グラビア印刷、グラビアオフセット印刷、反転オフセット印刷、フレキソ印刷、スクリーン印刷、及びインクジェット印刷、が好ましい。特に、本発明において用いられる金属粒子分散体は、分散性に優れているため、インクジェットの吐出ノズルにつまりが生じたり、吐出曲がりが生じることがないため、インクジェット印刷にも好適に用いることができる。
【0120】
基材上の塗布液は、印刷後、通常の方法で乾燥してもよい。乾燥後の印刷部分の膜厚は、適宜塗布量や金属粒子の平均一次粒子径等を変化させて制御することができ、用途に応じて適宜調整すればよいものであるが、通常、0.01〜100μmの範囲であり、好ましくは、0.1〜50μmである。
【0121】
<塗膜を焼成処理する工程>
本工程は、上記工程で得られた塗膜を焼成処理して、金属膜を形成する工程である。
焼成方法は、従来公知の焼成処理方法の中から適宜選択して用いることができる。焼成方法の具体例としては、例えば、焼成炉(オーブン)により加熱する方法の他、赤外線加熱、還元ガス雰囲気下での焼成、レーザーアニールによる焼成、マイクロ波加熱などの方法が挙げられる。
本発明の導電性基板用金属粒子分散体は、低温で焼成した場合や、短時間で焼成した場合であっても有機成分の残留が少ない金属膜を形成することが可能であるため、従来の方法よりも低温で焼成処理してもよい。
【0122】
本発明においては、中でも、焼成処理する工程が、パルス光の照射により焼成処理する工程(以下、パルス光焼成と称することがある。)、又は、マイクロ波エネルギーの印加により発生する表面波プラズマにより焼成処理する工程(以下、プラズマ焼成と称することがある。)のいずれかであることが、有機成分の残留が少なく導電性に優れた金属膜が得られる点から好ましい。これらの方法を用いると、基材への熱ダメージを少なくすることができると共に、焼成時の金属の酸化も抑制できる。また、短時間焼成であるため、生産性が高いというメリットもある。
本発明においては、分散剤が還元性を有するため、金属酸化物を用いて大気中、大気圧下でパルス光焼成を行った場合にも、良好な金属膜を形成することができる。
【0123】
(パルス光焼成)
パルス光焼成とは、パルス光の照射により極めて短時間で焼成する方法である。ここで、本発明においてパルス光とは、点灯時間が比較的短時間の光のことをいい、当該点灯時間をパルス幅という。パルス光の光源は特に限定されないが、キセノン等の希ガスが封入されたフラッシュランプやレーザー等が挙げられる。中でも、紫外線から赤外線までの連続的な波長スペクトルをもつ光を照射することが好ましく、具体的には、キセノンフラッシュランプを用いることが好ましい。このような光源を用いた場合には、加熱と同時にUV照射を行ったのと同様の効果を得ることができ、極めて短時間で焼成が可能となる。また、このような光源を用いた場合には、パルス幅と照射エネルギーを制御することにより、金属粒子分散体を含む塗布液の塗膜、及びその近傍のみを加熱することができ、基材に対する熱の影響を抑えることができる。
本発明において、パルス光のパルス幅は、適宜調整すればよいものであるが、1μs〜10000μsの間で設定されることが好ましく、10μs〜5000μsの範囲内とすることがより好ましい。また、パルス光の1回あたりの照射エネルギーは、0.1J/cm〜100J/cmが好ましく、0.5J/cm〜50J/cmがより好ましい。
パルス光焼成においてパルス光の照射回数は、塗膜の組成や、膜厚、面積などに応じて適宜調整すればよく、照射回数は1回のみであってもよく、2回以上繰り返し行ってもよい。中でも、照射回数を1〜100回とすることが好ましく、1〜50回とすることが好ましい。パルス光を複数回照射する場合には、パルス光の照射間隔は適宜調整すればよい。中でも照射間隔を10μ秒〜2秒の範囲内で設定することが好ましく、100μ秒〜1秒の範囲内に設定することがより好ましい。
パルス光を上記のように設定することにより、基材への影響を抑えるとともに、金属粒子の酸化を抑制することが可能であり、且つ、金属粒子分散体に含まれる分散剤も脱離乃至分解しやすく導電性に優れた導電性基板を得ることができる。
【0124】
このようなパルス光焼成は、金属粒子分散体を含む塗布液の塗膜、及びその近傍のみを加熱することができ、前記塗膜を低温かつ短時間で焼成処理することが可能であり、緻密かつ平滑な金属粒子焼結膜を形成することができる。パルス光焼成は、パルス光のパルス幅と照射エネルギーを適宜調整することで、加熱温度と処理深さを制御することができる。その結果、不均一な膜が形成されることが少なく、また粒成長を防ぐことができるため、非常に緻密で、平滑な膜が得られる。また、極めて短時間で焼成が可能であるので、金属粒子の酸化を抑えることができ、導電性に優れた焼結膜を得ることができる。
上記パルス光焼成は、大気中、大気圧下で行うことが可能であるが、不活性雰囲気下、還元雰囲気下、減圧下で行ってもよい。また、塗膜を加熱しながら、パルス光焼成を行ってもよい。
【0125】
(プラズマ焼成)
マイクロ波表面波プラズマを用いた焼成は、不活性ガス雰囲気下又は還元性ガス雰囲気下で行うのが、得られる焼結膜の導電性の観点から好ましい。
特に、本発明においては、マイクロ波表面波プラズマを、還元性ガス雰囲気下で発生させることが好ましく、中でも、水素ガス雰囲気下で発生させることがより好ましい。これにより、金属粒子表面に存在する絶縁性の酸化物が還元除去され、導電性能の良好な導電パターンが形成される。
【0126】
還元性雰囲気を形成する還元性気体としては、水素、一酸化炭素、アンモニアなどのガス、或いはこれらの混合ガスが挙げられるが、特に、副生成物が少ない点で水素ガスが好ましい。
なお、還元性気体には、窒素、ヘリウム、アルゴン、ネオン、クリプトン、キセノン等の不活性ガスを混合して用いれば、プラズマが発生しやすくなるなどの効果がある。
【0127】
マイクロ波表面波プラズマ処理の前に、金属粒子分散体を含む塗布液を塗布した塗膜に含まれる分散剤等の有機物を除去するために、大気下又は酸素を含む雰囲気下、50〜200℃程度の温度で1分から2時間程度焼成してもよい。なお、この処理は減圧下で行ってもよい。この焼成により、有機物が酸化分解除去され、マイクロ波表面波プラズマ処理において、金属粒子の焼結が促進される。
【0128】
前記マイクロ波表面波プラズマの発生方法は、従来公知の方法の中から適宜選択すればよい。例えば、減圧状態の焼成処理室の照射窓からマイクロ波エネルギーを供給し、該焼成処理室内に照射窓に沿う表面波プラズマを発生させる無電極プラズマ発生手段等を用いることができる。
【0129】
上記無電極プラズマ発生手段の具体例としては、例えば、焼成処理室の照射窓から周波数2450MHzのマイクロ波エネルギーを供給し、該処理室内に、電子温度が約1eV以下、電子密度が1×1011〜1×1013cm−3のマイクロ波表面波プラズマを発生させることができる。
なお、マイクロ波エネルギーは、一般に周波数が300MHz〜3000GHzの電磁波であるが、例えば、2450MHzの電磁波が用いられる。この際、マイクロ波発振装置にマグネトロンを用いた場合には、精度誤差等のために2450MHz/±50MHzの周波数範囲を持っている。
【0130】
このようなマイクロ波表面波プラズマは、プラズマ密度が高く、電子温度が低い特性を有し、前記塗膜を低温かつ短時間で焼成処理することが可能であり、緻密かつ平滑な金属粒子焼結膜を形成することができる。マイクロ波表面波プラズマは、処理面に対して、面内で均一の密度のプラズマが照射される。その結果、他の焼成方式と比べて、面内で部分的に粒子の焼結が進行する等、不均一な膜が形成されることが少なく、また粒成長を防ぐことができるため、非常に緻密で、平滑な膜が得られる。また、面内処理室内に電極を設ける必要がないので、電極由来の不純物のコンタミネーションを防ぐことができ、また処理材料に対して異常な放電によるダメージを防ぐことができる。
更に、マイクロ波表面波プラズマは、電子温度が低いため、基材をエッチングする能力が小さく、基材に対するダメージを小さくすることができると推察される。
【0131】
このようにして得られた導電性基板の金属膜の厚みは、用途に応じて適宜調整すればよいものであるが、通常、厚みが10nm〜50μm程度であり、50nm〜30μmであることが好ましく、100nm〜20μmであることがより好ましい。
また、上記金属膜の体積抵抗率は、1.0×10−4Ω・cm以下であることが好ましい。
【0132】
本発明の製造方法は、基材上に、金属粒子分散体を含む塗布液をパターン状に塗布して、塗布膜を形成し、該塗布膜を焼成処理して、パターン状の金属膜を形成するパターン状導電性基板の製造方法であってもよい。
【0133】
本発明の導電性基板の製造方法により得られた導電性基板は、焼結後の有機成分の残存が抑制され、優れた導電性を有する。このような導電性基板を用いた電子部材としては、表面抵抗の低い電磁波シールド用フィルム、導電膜、フレキシブルプリント配線板などに有効に利用することができる。
【実施例】
【0134】
以下、本発明について実施例を示して具体的に説明する。これらの記載により本発明を制限するものではない。
【0135】
(合成例1 銅粒子の製造)
酸化第二銅64gと、有機保護剤としてゼラチン5.1gを650mLの純水に添加し、混合して混合液とした。15%のアンモニア水を用いて、当該混合液のpHを10に調整した後、20分かけて室温から90℃まで昇温した。昇温後、攪拌しながら錯化剤として1%のメルカプト酢酸溶液6.4gと、80%のヒドラジン一水和物75gを150mLの純水に混合した液を添加し、1時間かけて酸化第二銅と反応させて、銅粒子を得た。得られた銅粒子を走査透過型電子顕微鏡(STEM)で観察したところ、平均一次粒径は、50nmであった。
【0136】
(合成例2 マクロモノマーMM−1の合成)
冷却管、添加用ロート、窒素用インレット、機械的攪拌機、デジタル温度計を備えた反応器に、PGMEA100.0質量部を仕込み、窒素気流下攪拌しながら、温度90℃に加温した。メタクリル酸メチル50.0質量部、メタクリル酸ブチル15.0質量部、メタクリル酸ベンジル15.0質量部、メタクリル酸エトキシエチル20.0質量部、2−メルカプトエタノール4.0質量部、パーブチルO(日油製)1.3質量部の混合溶液を1.5時間かけて滴下し、さらに3時間反応した。次に、窒素気流を止めて、この反応溶液を80℃に冷却し、カレンズMOI(昭和電工製)8.74質量部、ジラウリン酸ジブチルすず0.125質量部、p−メトキシフェノール0.125質量部、及びPGMEA10質量部、を加えて3時間攪拌することで、マクロモノマーMM−1の49.8質量%溶液を得た。得られたマクロモノマーMM−1を、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)にて、N−メチルピロリドン、0.01mol/L臭化リチウム添加/ポリスチレン標準の条件で確認したところ、質量平均分子量(Mw)3657、数平均分子量(Mn)1772、分子量分布(Mw/Mn)は2.06であった。
【0137】
(合成例3 グラフト共重合体GP−1の合成)
冷却管、添加用ロート、窒素用インレット、機械的攪拌機、デジタル温度計を備えた反応器に、PGMEA85.0質量部を仕込み、窒素気流下攪拌しながら、温度85℃に加温した。1−ビニル−2−ピロリドン8.33質量部、合成例2のマクロモノマーMM−1溶液66.93質量部(有効固形分33.33質量部)、ジメチルアミノエチルメタクリレート8.33質量部、n−ドデシルメルカプタン1.86質量部、PGMEA20.0質量部、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.5質量部の混合溶液を1.5時間かけて滴下し、3時間加熱攪拌したのち、AIBN0.10質量部、PGMEA10.0質量部 の混合液を10分かけて滴下し、さらに同温で1時間熟成することで、グラフト共重合体GP−1の25.3質量%溶液を得た。得られたグラフト共重合体GP−1は、GPC測定の結果、質量平均分子量(Mw)8677、数平均分子量(Mn)3584、分子量分布(Mw/Mn)は2.42であった。なおアミン価は59.5mgKOH/gであった。
【0138】
(合成例4 グラフト共重合体GP−2の合成)
冷却管、添加用ロート、窒素用インレット、機械的攪拌機、デジタル温度計を備えた反応器に、PGMEA85.0質量部を仕込み、窒素気流下攪拌しながら、温度85℃に加温した。1−ビニル−2−ピロリドン 16.67質量部、合成例2のマクロモノマーMM−1溶液66.93質量部(有効固形分33.33質量部)、n−ドデシルメルカプタン1.86質量部、PGMEA20.0質量部、AIBN0.5質量部の混合溶液を1.5時間かけて滴下し、3時間加熱攪拌したのち、AIBN0.10質量部、PGMEA10.0質量部 の混合液を10分かけて滴下し、さらに同温で1時間熟成することで、グラフト共重合体GP−2の25.3質量%溶液を得た。得られたグラフト共重合体GP−2は、GPC測定の結果、質量平均分子量(Mw)8716、数平均分子量(Mn)3727、分子量分布(Mw/Mn)は2.70であった。なおアミン価は0mgKOH/gであった。
【0139】
(製造例1 分散剤溶液Aの調製)
100mLナスフラスコ中で、PGMEA4.44質量部に、合成例3で得られたグラフト共重合体GP−112.16質量部(有効固形分3.08質量部)を溶解させ、更に、フェニルホスホン酸(商品名:PPA、日産化学製)0.30質量部(グラフト共重合体の3級アミノ基に対して0.3モル当量)を加え、40℃で30分攪拌することで分散剤溶液A(固形分20%)を調製した。このとき、グラフト共重合体のアミノ基は、フェニルホスホン酸と酸−塩基反応により塩形成されている。
【0140】
(製造例2 分散剤溶液Bの調製)
100mLナスフラスコ中で、PGMEA3.72質量部に、合成例3で得られたグラフト共重合体GP−1 12.16質量部(有効固形分3.08質量部)を溶解させ、更に、臭化アリル(関東化学製)0.12質量部(グラフト共重合体の3級アミノ基に対して0.3モル当量)を加え、40℃で30分攪拌することで分散剤溶液B(固形分20%)を調製した。このとき、グラフト共重合体のアミノ基は、臭化アリルと塩形成している。
【0141】
(製造例3 分散剤溶液Cの調製)
100mLナスフラスコ中で、PGMEA4.00質量部に、合成例3で得られたグラフト共重合体GP−1 12.16質量部(有効固形分3.08質量部)を溶解させ、更に、p−トルエンスルホン酸一水和物(純正化学製)0.19質量部(グラフト共重合体の3級アミノ基に対して0.3モル当量)を加え、40℃で30分攪拌することで分散剤溶液C(固形分20%)を調製した。このとき、グラフト共重合体のアミノ基は、p−トルエンスルホン酸一水和物と酸−塩基反応により塩形成されている。
【0142】
(実施例1 金属粒子分散体の調製)
金属粒子としてコアシェル粒子(コア(銅)、シェル(酸化銅))(qsI−Nano製)6.0質量部、分散剤溶液A2.25質量部(固形分換算0.45質量部)、PGMEA6.75質量部を混合し、ペイントシェーカー(浅田鉄工製)にて予備分散として2mmジルコニアビーズで1時間、さらに本分散として0.1mmジルコニアビーズ4時間分散し、金属粒子分散体1を得た。
【0143】
(実施例2 金属粒子分散体の調製)
実施例1において、金属粒子を酸化銅粒子(CIKナノテック製)6.0質量部に変更した以外は、実施例1と同様にして、金属粒子分散体2を得た。
【0144】
(実施例3 金属粒子分散体の調製)
実施例1において、金属粒子を合成例1の銅粒子6.0質量部に変更した以外は、実施例1と同様にして、金属粒子分散体3を得た。
【0145】
(実施例4 金属粒子分散体の調製)
実施例3において、分散剤溶液A2.25質量部を、製造例2で得られた分散剤溶液B2.25質量部に変更した以外は、実施例3と同様にして、金属粒子分散体4を得た。
【0146】
(実施例5 金属粒子分散体の調製)
実施例3において、分散剤溶液A2.25質量部を、製造例3で得られた分散剤溶液C2.25質量部に変更した以外は、実施例3と同様にして、金属粒子分散体5を得た。
【0147】
(実施例6 金属粒子分散体の調製)
合成例1の銅粒子6.0質量部、合成例3のグラフト共重合体GP−1 1.78質量部(固形分換算0.45質量部)、PGMEA7.22質量部を混合し、ペイントシェーカー(浅田鉄工製)にて予備分散として2mmジルコニアビーズで1時間、さらに本分散として0.1mmジルコニアビーズ4時間分散し、金属粒子分散体6を得た。
【0148】
(実施例7 金属粒子分散体の調製)
合成例1の銅粒子6.0質量部、合成例4のグラフト共重合体GP−2 1.78質量部(固形分換算0.45質量部)、PGMEA7.22質量部を混合し、ペイントシェーカー(浅田鉄工製)にて予備分散として2mmジルコニアビーズで1時間、さらに本分散として0.1mmジルコニアビーズ4時間分散し、金属粒子分散体7を得た。
【0149】
(比較例1)
実施例1において、分散剤溶液Aの代わりに、ポリビニルピロリドン(PVP、質量平均分子量10,000、日本触媒製、商品名K−15)を固形分換算で0.45質量部を用い、PGMEAの代わりに、イソプロピルアルコール(IPA)を8.55質量部を加えた以外は、実施例1と同様にして、比較金属粒子分散体1を得た。
【0150】
(比較例2)
実施例1において、分散剤溶液Aの代わりに、ポリビニルピロリドン(質量平均分子量10,000、日本触媒製、K−15)を固形分換算で0.45質量部を用い、PGMEAを加えて全量を15.0質量部とした以外は、実施例1と同様にして、比較金属粒子分散体2を得た。
【0151】
(比較例3)
実施例2において、分散剤溶液Aの代わりに、ポリビニルピロリドン(質量平均分子量10,000、日本触媒製、K−15)を固形分換算で0.45質量部を用い、PGMEAの代わりに、イソプロピルアルコール(IPA)を8.55質量部を加えた以外は、実施例2と同様にして、比較金属粒子分散体3を得た。
【0152】
(比較例4)
実施例2において、分散剤溶液Aの代わりに、ポリビニルピロリドン(質量平均分子量10,000、日本触媒製、K−15)を固形分換算で0.45質量部を用い、PGMEAを加えて全量を15.0質量部とした以外は、実施例2と同様にして、比較金属粒子分散体4を得た。
【0153】
(比較例5)
実施例2において、分散剤溶液Aの代わりに、ソルスパース71000(日本ルーブリゾール製)を固形分換算で0.45質量部を用い、PGMEAを加えて全量を15.0質量部とした以外は、実施例2と同様にして、比較金属粒子分散体5を得た。
【0154】
(評価)
(1)金属粒子分散体の分散性評価
金属粒子の分散性の評価として、各実施例及び比較例で得られた金属粒子分散体中の金属粒子の平均粒径の測定を行った。平均粒径の測定には、日機装製「マイクロトラック粒度分布計UPA−EX150」を用いた。
また、各実施例及び比較例で得られた金属粒子分散体を、1日静置し、静置後の金属微粒子分散体中の沈降物を目視で観察した。
[分散性評価基準]
◎:分散粒径が150nm以下で且つ沈降物なし
○:分散粒径が150nm以下又は沈降物なし
×:分散粒径が150nm超過で且つ沈降物あり
分散性の評価結果を表1に示す。
【0155】
(2)導電性基板の製造
各実施例及び比較例で得られた金属粒子分散体を、ポリイミドフィルム(商品名:カプトン300H、東レ・デュポン製、厚さ75μm)上にワイヤーバーで塗布して、100℃で15分乾燥して、膜厚が1μmの塗膜とした。
パルスドキセノンランプ装置(SINTERON 2000 (Xenon Corporation製))を用いて、パルス幅500μ秒、印加電圧3.8kVで1回照射して、光焼成により導電性基板を作製した。
【0156】
<塗布適性評価>
各実施例及び比較例で得られた金属粒子分散体の塗膜を形成した後、焼成前に塗布適性の評価を行った。金属粒子分散体の塗膜の膜質を目視で観察した。
[塗布適性評価基準]
○:はじきがなく、塗膜が均一である。
×:はじきがあり、塗膜が不均一である。
【0157】
<導電性評価>
光焼成を行い得られた導電性基板について、導電性評価を行った。
表面抵抗計(ダイアインスツルメンツ製「ロレスタGP」、PSPタイププローブ)を用いて、各実施例及び比較例の導電性基板の金属膜に4探針を接触させ、4探針法によりシート抵抗値を測定した。結果を表1に示す。シート抵抗値が低いほど導電性に優れている。なお、本測定法によるシート抵抗値の測定上限は10Ω/□であった。
【0158】
【表1】
【0159】
[結果のまとめ]
本発明の実施例1〜7においては、分散性、分散安定性が高い導電性基板用金属粒子分散体が得られ、当該金属粒子分散体は塗布適性に優れ、焼成後に高い導電性を有する膜を形成可能であることが明らかにされた。
また、実施例1及び2から、金属粒子として、最表面が酸化物であるコアシェル粒子や、金属酸化物粒子といった金属粒子を用いても、良好な導電性を有する導電性基板を得ることができることが明らかにされた。
それに対して、分散剤としてポリビニルピロリドンを用いた比較例1〜4においては、PGMEAでは分散できず、IPAを用いて分散したが分散性が悪く、塗布適性に劣っていた。このため、導電性を発現する箇所と断線する箇所ができることが明らかにされた。
また、分散剤として、従来技術のソルスパース71000を用いた比較例5においては、金属酸化物粒子を用いた場合には、良好な導電性が得られないことが明らかにされた。
【符号の説明】
【0160】
1 基材
2 金属膜
100 基板
【図1】
【国際調査報告】