(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO2014061598
(43)【国際公開日】20140424
【発行日】20160905
(54)【発明の名称】薄片化黒鉛誘導体の製造方法、及び薄片化黒鉛・樹脂複合材料の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C01B 31/04 20060101AFI20160808BHJP
   C08F 2/44 20060101ALI20160808BHJP
【FI】
   !C01B31/04 101B
   !C08F2/44 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】21
【出願番号】2013548692
(21)【国際出願番号】JP2013077789
(22)【国際出願日】20131011
(31)【優先権主張番号】2012232120
(32)【優先日】20121019
(33)【優先権主張国】JP
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
【住所又は居所】大阪府大阪市北区西天満2丁目4番4号
(74)【代理人】
【識別番号】110001232
【氏名又は名称】特許業務法人 宮▲崎▼・目次特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】乾 延彦
【住所又は居所】大阪府三島郡島本町百山2−1 積水化学工業株式会社内
(72)【発明者】
【氏名】沢 和洋
【住所又は居所】大阪府三島郡島本町百山2−1 積水化学工業株式会社内
【テーマコード(参考)】
4G146
4J011
【Fターム(参考)】
4G146AA02
4G146AA17
4G146AB01
4G146AC02B
4G146AC07B
4G146AC16B
4G146AC21B
4G146AD17
4G146AD37
4G146CA06
4G146CA12
4G146CA16
4G146CB10
4G146CB12
4G146CB14
4G146CB16
4G146CB19
4G146CB21
4G146CB22
4G146CB26
4G146CB32
4G146CB35
4G146CB37
4J011AA05
4J011AC04
4J011CC10
4J011PA03
4J011PC08
4J011QA03
(57)【要約】
簡便な薄片化黒鉛誘導体の製造方法を提供する。
薄片化黒鉛と、活性エネルギー線の照射により、上記薄片化黒鉛にグラフト化する反応性化合物とを含む混合物を用意する工程と、上記混合物に対して、活性エネルギー線を照射することにより、上記薄片化黒鉛に上記反応性化合物をグラフト化させる工程とを備える、薄片化黒鉛誘導体の製造方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
薄片化黒鉛と、活性エネルギー線の照射により、前記薄片化黒鉛にグラフト化する反応性化合物とを含む混合物を用意する工程と、
前記混合物に対して、活性エネルギー線を照射することにより、前記薄片化黒鉛に前記反応性化合物をグラフト化させる工程とを備える、薄片化黒鉛誘導体の製造方法。
【請求項2】
前記反応性化合物が、樹脂との反応性を有する官能基を含む、請求項1に記載の薄片化黒鉛誘導体の製造方法。
【請求項3】
前記樹脂との反応性を有する官能基が、(メタ)アクリル基、ビニル基、ビニルエーテル基、グリシジル基、チオール基、ハロゲン基、カルボニル基、カルボキシル基、スルホ基、アミノ基、ヒドロキシ基、オキシム基、ニトリル基、イソシアネート基、シリル基、およびこれらの誘導体からなる群から選択された少なくとも1種である、請求項2に記載の薄片化黒鉛誘導体の製造方法。
【請求項4】
前記反応性化合物が、薄片化黒鉛との反応性を有する官能基を含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の薄片化黒鉛誘導体の製造方法。
【請求項5】
前記薄片化黒鉛との反応性を有する官能基が、(メタ)アクリル基、ビニル基、ビニリデン基、ビニレン基、アゾ基、アジ基、ジアゾ基、ペルオキシ基、イリド基、ハロゲン基、およびこれらの誘導体からなる群から選択された少なくとも1種である、請求項4に記載の薄片化黒鉛誘導体の製造方法。
【請求項6】
前記反応性化合物が、モノマーまたはオリゴマーである、請求項1〜5のいずれか一項に記載の薄片化黒鉛誘導体の製造方法。
【請求項7】
前記反応性化合物が、ラジカル反応性化合物である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の薄片化黒鉛誘導体の製造方法。
【請求項8】
前記活性エネルギー線が、電磁波である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の薄片化黒鉛誘導体の製造方法。
【請求項9】
前記活性エネルギー線が、マイクロ波である、請求項1〜8のいずれか一項に記載の薄片化黒鉛誘導体の製造方法。
【請求項10】
薄片化黒鉛と、活性エネルギー線の照射により、前記薄片化黒鉛にグラフト化する反応性化合物とを含む混合物を用意する工程と、
前記混合物に対して、活性エネルギー線を照射することにより、前記薄片化黒鉛に前記反応性化合物をグラフト化させて、薄片化黒鉛誘導体を得る工程と、
前記薄片化黒鉛誘導体と樹脂とを混合する工程とを備える、薄片化黒鉛・樹脂複合材料の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、簡便な薄片化黒鉛誘導体の製造方法、及び薄片化黒鉛・樹脂複合材料の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、フィラーとして薄片化黒鉛を樹脂などに加えることにより、樹脂の機械的強度を高めることが知られている。しかしながら、樹脂と薄片化黒鉛とは、親和性が低い。このため、薄片化黒鉛の表面を改質して薄片化黒鉛誘導体とし、樹脂と薄片化黒鉛との親和性を高める方法が提案されている。薄片化黒鉛の表面改質法としては、例えば、非特許文献1に開示されているように、グラフェンがラジカル重合性モノマー中に分散した状態でラジカル重合することにより、グラフェンの表面が改質されたグラフェンコンポジットを得る方法が挙げられる。また、非特許文献2に開示されているように、酸化黒鉛の酸性官能基をハロゲン化し原子移動ラジカル重合を行う方法なども挙げられる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】Jeffrey R. Potts, et al, Carbon, 49, Issue 8, 2615−2623
【非特許文献2】Lee SH, Dreyer DR, et al. Macromol. Rapid Commun., 2010, 31, 281−8
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、非特許文献1または2に開示された方法では、パーオキサイドやハロゲン化アルキルなどのラジカル重合開始剤が必要である。
【0005】
本発明の主な目的は、ラジカル重合開始剤を用いる必要が必ずしもない、簡便な薄片化黒鉛誘導体の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る薄片化黒鉛誘導体の製造方法は、活性エネルギー線の照射により、前記薄片化黒鉛にグラフト化する反応性化合物とを含む混合物を用意する工程と、上記混合物に対して、活性エネルギー線を照射することにより、前記薄片化黒鉛に前記反応性化合物をグラフト化させる工程とを備える。
【0007】
本発明に係る薄片化黒鉛誘導体の製造方法のある特定の局面では、反応性化合物が、樹脂との反応性を有する官能基を備える。
【0008】
本発明に係る薄片化黒鉛誘導体の製造方法の別の特定の局面では、樹脂との反応性を有する官能基が、(メタ)アクリル基、ビニル基、ビニルエーテル基、グリシジル基、チオール基、ハロゲン基、カルボニル基、カルボキシル基、スルホ基、アミノ基、ヒドロキシ基、オキシム基、ニトリル基、イソシアネート基、シリル基、およびこれらの誘導体からなる群から選択された少なくとも1種である。
【0009】
本発明に係る薄片化黒鉛誘導体の製造方法の他の特定の局面では、上記反応性化合物が、薄片化黒鉛との反応性を有する官能基を含む。
【0010】
本発明に係る薄片化黒鉛誘導体の製造方法のさらに別の特定の局面では、上記薄片化黒鉛との反応性を有する官能基が、(メタ)アクリル基、ビニル基、ビニリデン基、ビニレン基、アゾ基、アジ基、ジアゾ基、ペルオキシ基、イリド基、ハロゲン基、およびこれらの誘導体からなる群から選択された少なくとも1種である。これらの官能基は、活性エネルギー線を照射し、フリーラジカルが発生することにより、薄片化黒鉛との反応性が格段にあがる。
【0011】
本発明に係る薄片化黒鉛誘導体の製造方法のさらに他の特定の局面では、ラジカル反応性化合物が、モノマーまたはオリゴマーである。
【0012】
本発明に係る薄片化黒鉛誘導体の製造方法のさらに他の特定の局面では、上記反応性化合物が、ラジカル反応性化合物である。
【0013】
本発明に係る薄片化黒鉛誘導体の製造方法のさらに他の特定の局面では、上記活性エネルギー線が、電磁波である。より好ましくは、マイクロ波である。
【0014】
本発明に係る薄片化黒鉛・樹脂複合材料の製造方法は、薄片化黒鉛と、活性エネルギー線の照射により、上記薄片化黒鉛にグラフト化する反応性化合物とを含む混合物を用意する工程と、上記混合物に対して、活性エネルギー線を照射することにより、上記薄片化黒鉛に上記反応性化合物をグラフト化させて、薄片化黒鉛誘導体を得る工程と、前記薄片化黒鉛誘導体と樹脂とを混合する工程とを備える。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、ラジカル重合開始剤を用いる必要が必ずしもない、簡便な薄片化黒鉛誘導体の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は、実施例1で得られた薄片化黒鉛誘導体Aのラマンスペクトルである。
【図2】図2は、実施例1で得られた薄片化黒鉛誘導体AのIRスペクトルである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の薄片化黒鉛誘導体の製造方法、及び薄片化黒鉛・樹脂複合材料の製造方法について、詳述する。
【0018】
(薄片化黒鉛誘導体の製造方法)
本発明の薄片化黒鉛誘導体の製造方法は、活性エネルギー線の照射により、前記薄片化黒鉛にグラフト化する反応性化合物とを含む混合物を用意する工程と、上記混合物に対して、活性エネルギー線を照射することにより、前記薄片化黒鉛に前記反応性化合物をグラフト化させる工程とを備える。
【0019】
薄片化黒鉛は、黒鉛を剥離処理して得られるものである。薄片化黒鉛は、例えば、黒鉛の層間に硝酸イオンなどのイオンを挿入した後に加熱処理する化学的処理方法、超音波の印加などを行う物理的処理方法、黒鉛を作用極として電気分解を行う電気化学的方法などの公知の方法により得ることができる。
【0020】
薄片化黒鉛は、元の黒鉛よりも薄いグラフェンシート積層体である。薄片化黒鉛におけるグラフェンシートの積層数は、通常、数層〜200層程度である。
【0021】
薄片化黒鉛は、薄いグラフェンシートが積層された構造を有する。よって、薄片化黒鉛のアスペクト比は、比較的大きい。また、本発明の薄片化黒鉛誘導体も、原料である薄片化黒鉛と同様、アスペクト比が比較的大きい。後述のとおり、本発明の薄片化黒鉛・樹脂複合材料には、本発明の薄片化黒鉛誘導体が含まれている。このため、本発明の薄片化黒鉛誘導体を樹脂に含ませることにより、薄片化黒鉛誘導体の積層面に交差する方向に加わる外力に対する樹脂の機械的強度を効果的に高めることができる。なお、本発明において、アスペクト比とは、薄片化黒鉛または薄片化黒鉛誘導体の積層面方向における最大寸法の薄片化黒鉛または薄片化黒鉛誘導体の厚みに対する比をいう。
【0022】
薄片化黒鉛誘導体のアスペクト比が低すぎると、上記積層面に交差する方向に加わった外力に対する補強効果が充分でないことがある。薄片化黒鉛誘導体のアスペクト比が高すぎると、効果が飽和してそれ以上の補強効果を望めないことがある。従って、薄片化黒鉛誘導体及び原料となる薄片化黒鉛のアスペクト比の好ましい下限は50程度であり、好ましい上限は5000程度である。
【0023】
薄片化黒鉛の積層面方向における最大寸法は、0.5μm〜50μm程度であることが好ましく、1.0μm〜10μm程度であることがより好ましい。薄片化黒鉛の厚みは、0.3nm〜300nm程度であることが好ましく、10nm〜100nm程度であることがより好ましい。
【0024】
薄片化黒鉛のBET比表面積は、30m/g〜7000m/g程度であることが好ましく、100m/g〜1000m/g程度であることがより好ましい。薄片化黒鉛のBET比表面積がこのような範囲にあることにより、高い補強効果が奏される。
【0025】
本発明において、反応性化合物とは、活性エネルギー線の照射により、上記薄片化黒鉛にグラフト化する化合物をいう。反応性化合物は、後述の薄片化黒鉛・樹脂複合材料に含まれる樹脂と反応性を有する官能基を備えていることが好ましい。これにより、薄片化黒鉛・樹脂複合材料中において、薄片化黒鉛誘導体が樹脂と結合される。よって、薄片化黒鉛・樹脂複合材料の機械的強度をより高めることができる。
【0026】
樹脂との反応性を有する官能基は、(メタ)アクリル基、ビニル基、ビニルエーテル基、グリシジル基、チオール基、ハロゲン基、カルボニル基、カルボキシル基、スルホ基、アミノ基、ヒドロキシ基、オキシム基、ニトリル基、イソシアネート基、シリル基、およびこれらの誘導体からなる群から選択された少なくとも1種であることが好ましい。これらの官能基は、反応性が比較的高いため、ポリマーと良好に反応して結合を形成することができる。
また、上記反応性化合物は、薄片化黒鉛と反応性を有する官能基を備えていることが好ましい。この場合、反応性化合物をより一層効率的に薄片化黒鉛にグラフトできるからである。
【0027】
上記薄片化黒鉛との反応性を有する官能基としては、(メタ)アクリル基、ビニル基、ビニリデン基、ビニレン基、アゾ基、アジ基、ジアゾ基、ペルオキシ基、イリド基、ハロゲン基、およびこれらの誘導体からなる群から選択された少なくとも1種であることが好ましい。これらの官能基は、活性エネルギー線を照射し、フリーラジカルが発生することにより、薄片化黒鉛との反応性が格段にあがる。
【0028】
上記反応性化合物としては、例えば、N-(2-アミノエチル)グリシン、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジハイドロクロライド、4−ニトロベンゼンジアゾニウムテトラフルオロボレイト、無水マレイン酸、ジドブシン、グリシジルメタクリレート、ビニルメタクリレート等が挙げられる。また、下記に具体例を示すラジカル化合物を用いることが好ましい。
【0029】
アミノ基を有するラジカル反応性化合物の具体例としては、アゾジカルボアミド、アミノアゾベンゼンなどが挙げられる。
【0030】
グリシジル基を有するラジカル反応性化合物の具体例としては、グリシジルメタクリレート、オクタジエンジエポキシド等のジエポキシ類、1,2−エポキシヘキセン等のビニルアルキル類、ビニルグリシジルエーテル等のビニルエーテル類などが挙げられる。
【0031】
カルボキシル基を有するラジカル反応性化合物の具体例としては、アクリル酸、10−ウンデセン酸等のビニルアルキル類、4,4−アゾビス(4−シアノ吉草酸)などが挙げられる。
【0032】
ニトリル基を有するラジカル反応性化合物の具体例としては、アゾビスイソブチロニトリルなどが挙げられる。
【0033】
ヒドロキシ基を有するラジカル反応性化合物の具体例としては、4-ペンテン−2−オール等のビニルアルキル類、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、エチレングリコールモノビニルエーテルなどが挙げられる。
【0034】
反応性化合物は、1種類のみを用いてもよいし、複数種類を用いてもよい。反応性化合物は、モノマーであってもよいし、上記の反応性化合物のオリゴマーであってもよい。
【0035】
本発明においては、まず、上記の薄片化黒鉛と反応性化合物との混合物を得る。薄片化黒鉛と反応性化合物との混合比は、得ようとする薄片化黒鉛誘導体における薄片化黒鉛と反応性化合物との質量比によって、適宜調整することができる。
【0036】
薄片化黒鉛誘導体における薄片化黒鉛と反応性化合物との質量比は、1:10〜10:1程度の範囲にあることが好ましく、1:3〜3:1程度の範囲にあることがより好ましい。このような範囲にあることにより、後述の薄片化黒鉛・樹脂複合材料において、薄片化黒鉛誘導体を樹脂中により均一に分散させることができる。よって、薄片化黒鉛・樹脂複合材料の機械的強度をより高めることができる。
【0037】
次に、薄片化黒鉛と反応性化合物との混合物に対して、活性エネルギー線を照射する。これにより、薄片化黒鉛にラジカル反応性化合物がグラフト化する。薄片化黒鉛とラジカル反応性化合物との混合物は、溶媒をさらに含むことが好ましい。溶媒としては、テトラヒドロフラン(THF)、N−メチルピロリドン(NMP)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)などが挙げられる。
【0038】
上記活性化エネルギー線としては、特に限定されないが、電磁波、紫外線、熱、赤外線、熱を用いることができる。好ましくは、電磁波である。なかでも、マイクロ波を用いることが、より好ましい。マイクロ波を用いた場合、一般的な電子レンジ等の設備を用いることができるためプロセス的に容易であるため好適である。
【0039】
マイクロ波の照射条件は、適宜設定することができる。反応性化合物を薄片化黒鉛に効率的にグラフト化させるためには、マイクロ波の周波数は、0.1GHz〜40GHz程度とすることが好ましく、1GHz〜20GHz程度とすることがより好ましい。また、マイクロ波の照射時間は、1秒〜10分程度であることが好ましく、15秒〜3分程度であることがより好ましい。マイクロ波の照射は、連続的に1回のみ行ってもよいし、複数回に分けて行ってもよい。マイクロ波の照射は、例えば、電子レンジなどを用いて行うことができる。
【0040】
本発明においては、反応性化合物の薄片化黒鉛へのグラフト化に際して、ラジカル重合開始剤などを用いる必要が必ずしもない。よって、反応性化合物の薄片化黒鉛へのグラフト化を簡便に行うことができる。また、活性エネルギー線を用いて反応性化合物の薄片化黒鉛へのグラフト化できるため、種々の官能基を有する反応性化合物を薄片化黒鉛にグラフト化することができる。
【0041】
(薄片化黒鉛・樹脂複合材料の製造方法)
本発明の薄片化黒鉛・樹脂複合材料の製造方法は、上記の薄片化黒鉛誘導体を得る工程と、薄片化黒鉛誘導体と樹脂とを混合する工程とを備える。
【0042】
薄片化黒鉛・樹脂複合材料に含まれる上記樹脂は特に限定されず、様々な公知の樹脂を用いることができる。
【0043】
上記の薄片化黒鉛誘導体を得る工程において、反応性化合物として、樹脂との反応性を有する官能基を備えるものを用いた場合、樹脂は、ラジカル反応性化合物の官能基との反応性を有する官能基を有することが好ましい。樹脂が有するこのような官能基としては、(メタ)アクリル基、ビニル基、ビニルエーテル基、グリシジル基、チオール基、ハロゲノ基、カルボニル基、カルボキシル基、スルホ基、アミノ基、ヒドロキシ基、オキシム基、ニトリル基、イソシアネート基、シリル基、およびこれらの誘導体からなる群から選択された少なくとも1種であることが好ましい。
【0044】
樹脂としては、熱可塑性樹脂が用いられる。熱可塑性樹脂を用いた薄片化黒鉛・樹脂複合材料では、加熱下により様々な成形方法を用いて、容易に様々な成形品とすることができる。熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリアクリレート、ポリアクリロニトリル、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルケトン、ポリイミド、ポリジメチルシロキサン及びこれらの共重合体などが挙げられる。
【0045】
特に好ましくは、樹脂としてポリオレフィンを用いることができる。ポリオレフィンは安価であり、加熱下の成形が容易である。そのため、熱可塑性樹脂としてポリオレフィンを用いることにより、薄片化黒鉛・樹脂複合材料のコストを低減でき、かつ薄片化黒鉛・樹脂複合材料を容易に成形することができる。上記ポリオレフィンは特に限定されず、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン単独重合体、エチレン−α−オレフィン共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体などのポリエチレン系樹脂、プロピレン単独重合体、プロピレン−α−オレフィン共重合体、プロピレン−エチレンランダム共重合体、プロピレン−エチレンブロック共重合体などのポリプロピレン系樹脂、ブテン単独重合体、ブタジエン、イソプレンなどの共役ジエンの単独重合体又は共重合体などが挙げられる。さらに好ましくは、熱可塑性樹脂としては、より安価であるポリプロピレンが用いられる。ポリオレフィンは、マレイン酸やシランなどで変性されたものであってもよい。樹脂は、1種のみを用いてもよく、複数種類を用いてもよい。
【0046】
また、樹脂には、カップリング剤をさらに添加してもよい。この場合、樹脂の官能基の変性がさらに可能となり、結合できるグラフェン官能基の種類が増える。上記カップリング剤としては、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、チタン(IV)テトライソプロポキシド、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等を用いることができる。
【0047】
薄片化黒鉛誘導体と樹脂との配合割合は特に限定されないが、好ましくは、樹脂100質量部に対し、薄片化黒鉛誘導体が0.1〜50質量部の範囲である。配合割合をこのような範囲とすることにより、本発明の薄片化黒鉛・樹脂複合材料の引張弾性率等の機械的強度を効果的に高めることができる。薄片化黒鉛誘導体の配合割合が0.1質量部未満であると、薄片化黒鉛・樹脂複合材料の機械的強度を十分に高められないことがある。薄片化黒鉛誘導体の配合割合が50質量部を超えると、薄片化黒鉛・樹脂複合材料が脆くなり、割れやすくなることがある。
【0048】
本発明の薄片化黒鉛・樹脂複合材料においては、本発明の目的を阻害しない範囲で、様々な添加剤を含んでいてもよい。このような添加剤としては、フェノール系、リン系、アミン系もしくはイオウ系等の酸化防止剤;ベンゾトリアゾール系、ヒドロキシフェニルトリアジン系等の紫外線吸収剤;金属害防止剤;ヘキサブロモビフェニルエーテルもしくはデカブロモジフェニルエーテル等のハロゲン化難燃剤;ポリリン酸アンモニウムもしくはトリメチルフォスフェート等の難燃剤;各種充填剤;帯電防止剤;安定剤;顔料等を挙げることができる。
【0049】
以下、本発明について、具体的な実施例に基づいて、さらに詳細に説明する。本発明は、以下の実施例に何ら限定されず、その要旨を変更しない範囲において適宜変更して実施することが可能である。
【0050】
(実施例1)
ガラス容器にグリシジルメタクリレート(東京化成工業社製)5gと薄片化黒鉛2gを入れ、よく分散させた。なお、薄片化黒鉛は、使用前に走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて観察したところ、層面の面方向における最大寸法が約5.0μm、層厚みが30nm、グラフェンの積層数が約90層であった。次に、得られた分散体を100Wの電子レンジを用いて1分間マイクロ波を照射し、室温まで放冷する作業を10回繰り返した。得られた試料を濾過し、THFを用いた洗浄を繰り返すことで、未反応のグリシジルメタクリレートを完全に除去して、真空乾燥して薄片化黒鉛誘導体Aを得た。薄片化黒鉛誘導体AのラマンスペクトルとIRスペクトルを図1及び図2に示す。
【0051】
上記で得られた薄片化黒鉛誘導体Aを10質量部と、ポリプロピレン系樹脂(プライムポリマー社製 商品名「J−721GR」、23℃における引張弾性率:1.2GPa)90質量部と、マレイン酸変性ポリプロピレン系樹脂(三井化学社製 商品名「アドマーQE800」、23℃における引張弾性率:1.0GPa)10質量部とを押出機に供給して溶融混練し、押出機先端に取り付けたTダイから押出し冷却ロールにてシート成形することにより、表面平滑な厚み0.5mmのポリオレフィン系樹脂複合材料からなるシートを得た。
【0052】
(実施例2)
黒鉛単結晶粉末0.25gを65質量%の濃硫酸11.5mlに供給して、得られた混合物を10℃の水浴にてより冷却しながら撹拌した。次に、濃硫酸黒鉛単結晶粉末と濃硫酸との撹拌によって得られた混合物に、過マンガン酸カリウム1.5gを徐々に加えながら濃硫酸混合物を撹拌し、混合物を35℃で30分に亘って反応させた。
【0053】
次に、濃硫酸反応混合物に水23gを徐々に加えて、混合物を98℃で15分に亘って反応させた。しかる後、濃硫酸反応混合物に水70gと30質量%の過酸化水素水4.5gを加えて反応を停止させた。得られた酸化黒鉛混合物を14000rpmの回転速度にて30分に亘って延伸遠心分離した後、得られた酸化黒鉛を5質量%の希塩酸および及び水を用いてにより十分に洗浄して、しかる後に乾燥させた。得られた酸化黒鉛を0.2mg/mlの量にて水に分散させた後、酸化黒鉛に超音波洗浄機を用いて45kHz、100Wの条件化下にて用いて、酸化黒鉛に超音波を60分に亘って照射してすることにより、酸化黒鉛をその層界面間において剥離断片化して、層面が酸化されてなる薄片化黒鉛を得た。得られた層面が酸化されてなる薄片化黒鉛にヒドラジンを添加して、3分間にわたって還元処理を行って、還元した薄片化黒鉛を得た。得られた薄片化黒鉛のBET比表面積は450m/gで、層面の面方向に沿った大きさの平均値が5μmであった。
【0054】
ガラス容器にグリシジルメタクリレート(東京化成工業社製)5g、N−メチルピロリドン(NMP)40gと上記の薄片化黒鉛2gを入れ、よく分散させた。次に750Wの電子レンジを用いて20秒間マイクロ波を照射し、室温まで放冷する作業を10回繰り返した。試料を濾過し、THFを用いた洗浄を繰り返すことで、未反応のグリシジルメタクリレートを完全に除去して、真空乾燥して薄片化黒鉛誘導体Bを得た。
【0055】
上記で得られた薄片化黒鉛誘導体B10質量部とポリプロピレン系樹脂(プライムポリマー社製 商品名「J−721GR」、23℃における引張弾性率:1.2GPa)90質量部と、マレイン酸変性ポリプロピレン系樹脂(三井化学社製 商品名「アドマーQE800」、23℃における引張弾性率:1.0GPa)10質量部とを押出機に供給して溶融混練し、押出機先端に取り付けたTダイから押出し冷却ロールにてシート成形することにより、表面平滑な厚み0.5mmのポリオレフィン系樹脂複合材料からなるシートを得た。
【0056】
(実施例3)
ガラス容器にアゾジカルボンアミド(永和化成工業社製 商品名「ビニホールAC#K3」)5g、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)40g、薄片化黒鉛2gを入れ、よく分散させた。なお、薄片化黒鉛は、使用前にSEMを用いて観察したところ、層面の面方向における最大寸法が約5.0μm、層厚みが約30nm、グラフェンの積層数が約90層であった。次に、得られた試料に対して400Wの電子レンジを用いて1分間マイクロ波を照射し、室温まで放冷する作業を10回繰り返した。試料を濾過し、DMFを用いた洗浄を繰り返すことで、未反応のアゾジカルボンアミドを完全に除去した。次に、真空乾燥して薄片化黒鉛誘導体Cを得た。
【0057】
上記で得られた薄片化黒鉛誘導体Cを10質量部と、ポリプロピレン系樹脂(プライムポリマー社製 商品名「J−721GR」、23℃における引張弾性率:1.2GPa)90質量部と、マレイン酸変性ポリプロピレン系樹脂(三井化学社製 商品名「アドマーQE800」、23℃における引張弾性率:1.0GPa)10質量部とを押出機に供給して溶融混練し、押出機先端に取り付けたTダイから押出し冷却ロールにてシート成形することにより、表面平滑な厚み0.5mmのポリオレフィン系樹脂複合材料からなるシートを得た。
【0058】
(実施例4)
N-(2-アミノエチル)グリシン(東京化成社製)5gをホルムアルデヒド(東京化成社製)で反応させアゾメチンイリドを生成した。次に、得られた試料をフラスコにいれ、トルエン50gに実施例1と同じ薄片化黒鉛2gを分散させたものと混合した。試料の入ったフラスコに還流塔を設け、110℃で5時間反応させた。試料を濾過し、水を用いた洗浄を繰り返すことで、未反応の化合物を完全に除去した。次に、真空乾燥して薄片化黒鉛誘導体Dを得た。
【0059】
上記で得られた薄片化黒鉛誘導体Dを10質量部と、ポリプロピレン系樹脂(プライムポリマー社製 商品名「J−721GR」、23℃における引張弾性率:1.2GPa)90質量部と、マレイン酸変性ポリプロピレン系樹脂(三井化学社製 商品名「アドマーQE800」、23℃における引張弾性率:1.0GPa)10質量部とをマイクロプラストミルに供給して溶融混練し、180℃で3分プレス成形することにより、表面平滑な厚み0.5mmのポリオレフィン系樹脂複合材料からなるシートを得た。
【0060】
(実施例5)
ガラス容器に4−ニトロベンゼンジアゾニウムテトラフルオロボレイト(東京化成社製)5g、実施例1と同じ薄片化黒鉛2gを入れ、よく分散させた。次に、得られた試料に対して400Wの電子レンジを用いて1分間マイクロ波を照射し、室温まで放冷する作業を10回繰り返した。次に、白金触媒下で水素を吹き込み、1時間にわたって還元した。試料を濾過し、水を用いた洗浄を繰り返すことで、未反応の化合物を完全に除去した。次に、真空乾燥して薄片化黒鉛誘導体Eを得た。
【0061】
上記で得られた薄片化黒鉛誘導体Eを10質量部と、ポリプロピレン系樹脂(プライムポリマー社製 商品名「J−721GR」、23℃における引張弾性率:1.2GPa)90質量部と、マレイン酸変性ポリプロピレン系樹脂(三井化学社製 商品名「アドマーQE800」、23℃における引張弾性率:1.0GPa)10質量部とをマイクロプラストミルに供給して溶融混練し、180℃で3分プレス成形することにより、表面平滑な厚み0.5mmのポリオレフィン系樹脂複合材料からなるシートを得た。
【0062】
(実施例6)
ガラス容器に2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジハイドロクロライド(和光純薬社製)5gを水20gに溶かし、N−メチルピロリドン(NMP)40gと実施例1と同じ薄片化黒鉛2gを入れ、よく分散させた。次に、得られた試料に対して750Wの電子レンジを用いて30秒間マイクロ波を照射し、室温まで放冷する作業を10回繰り返した。試料を濾過し、水を用いた洗浄を繰り返すことで、未反応の化合物を完全に除去した。真空乾燥して薄片化黒鉛誘導体Fを得た。
【0063】
上記で得られた薄片化黒鉛誘導体Fを10質量部と、ポリプロピレン系樹脂(プライムポリマー社製 商品名「J−721GR」、23℃における引張弾性率:1.2GPa)90質量部と、シラン変性ポリプロピレン系樹脂(三菱化学社製 商品名「XPM800HM」、23℃における引張弾性率:1.5GPa)10質量部とをマイクロプラストミルに供給して溶融混練し、3-アミノプロピルトリエトキシシラン(信越化学社製 商品名「KBE903」)をさらに加えて混錬した。次に、180℃で3分プレス成形することにより、表面平滑な厚み0.5mmのポリオレフィン系樹脂複合材料からなるシートを得た。その後、得られたシートを80℃の温水に、24時間含侵し、架橋反応を完結させた。次に、表面をエタノールですすいだ後に、80℃の真空オーブンで、24時間乾燥した。
【0064】
(実施例7)
ガラス容器に無水マレイン酸5g、N−メチルピロリドン(NMP)40gと実施例1と同じ薄片化黒鉛2gを入れ、よく分散させた。次に、得られた試料に対して750Wの電子レンジを用いて20秒間マイクロ波を照射し、室温まで放冷する作業を10回繰り返した。試料を濾過し、アセトンを用いた洗浄を繰り返すことで、未反応の無水マレイン酸を完全に除去した。真空乾燥して薄片化黒鉛誘導体Gを得た。
【0065】
上記で得られた薄片化黒鉛誘導体Eを10質量部と、ポリプロピレン系樹脂(プライムポリマー社製 商品名「J−721GR」、23℃における引張弾性率:1.2GPa)90質量部と、マレイン酸変性ポリプロピレン系樹脂(三井化学社製 商品名「アドマーQE800」、23℃における引張弾性率:1.0GPa)10質量部とをマイクロプラストミルに供給して溶融混練しチタン(IV)テトライソプロポキシド(東京化成社製)をさらに加えて混錬した。次に、180℃で3分プレス成形することにより、表面平滑な厚み0.5mmのポリオレフィン系樹脂複合からなるシートを得た。
【0066】
(実施例8)
ガラス容器に水に溶解したジドブシン5gを、エタノール40gと実施例1と同じ薄片化黒鉛2gを入れ、よく分散させた。次に、得られた試料に対して、10分間紫外線を照射した。試料を濾過し、エタノールを用いた洗浄を繰り返すことで、未反応のジドプシンを完全に除去した。真空乾燥して薄片化黒鉛誘導体Hを得た。
【0067】
上記で得られた薄片化黒鉛誘導体Hを10質量部と、ポリプロピレン系樹脂(プライムポリマー社製 商品名「J−721GR」、23℃における引張弾性率:1.2GPa)90質量部と、シラン変性ポリプロピレン系樹脂(三菱化学社製 商品名「XPM800HM」、23℃における引張弾性率:1.5GPa)10質量部とをマイクロプラストミルに供給して溶融混練した。次に、180℃で3分プレス成形することにより、表面平滑な厚み0.5mmのポリオレフィン系樹脂複合材料からなるシートを得た。その後、得られたシートを80℃の温水に、24時間含侵し、架橋反応を完結させた。次に、表面をエタノールですすいだ後に、80℃の真空オーブンで、24時間乾燥した。
【0068】
(比較例1)
マイクロ波を照射しなかったこと以外は、実施例1と同様にして、マイクロ波照射されていない非改質の薄片化黒鉛A1を得た。この非改質の薄片化黒鉛A1を用いたこと以外は実施例1と同様にしてシートを得た。
【0069】
(比較例2)
マイクロ波を照射しなかったこと以外は、実施例2と同様にして、マイクロ波照射されていない非改質の薄片化黒鉛B1を得た。この非改質の薄片化黒鉛B1を用いたこと以外は実施例2と同様にしてシートを得た。
【0070】
(比較例3)
マイクロ波を照射しなかったこと以外は、実施例3と同様にして、マイクロ波照射されていない非改質の薄片化黒鉛C1を得た。この非改質の薄片化黒鉛C1を用いたこと以外は実施例3と同様にしてシートを得た。
【0071】
(比較例4)
熱を加えなかったこと以外は実施例4と同様にして、熱を加えていない非改質の薄片化黒鉛D1を得た。この非改質の薄片化黒鉛D1を用いたこと以外は実施例4と同様にしてシートを得た。
【0072】
(比較例5)
マイクロ波を照射しなかったこと以外は実施例5と同様にして、マイクロ波照射されていない非改質の薄片化黒鉛E1を得た。この非改質の薄片化黒鉛E1を用いたこと以外は実施例5と同様にしてシートを得た。
【0073】
(比較例6)
マイクロ波を照射しなかったこと以外は実施例6と同様にして、マイクロ波照射されていない非改質の薄片化黒鉛F1を得た。この非改質の薄片化黒鉛F1を用いたこと以外は実施例6と同様にしてシートを得た。
【0074】
(比較例7)
マイクロ波を照射しなかったこと以外は実施例7と同様にして、マイクロ波照射されていない非改質の薄片化黒鉛G1を得た。この非改質の薄片化黒鉛G1を用いたこと以外は実施例7と同様にしてシートを得た。
【0075】
(比較例8)
紫外線を照射しなかったこと以外は実施例8と同様にして、紫外線照射されていない非改質の薄片化黒鉛H1を得た。この非改質の薄片化黒鉛H1を用いたこと以外は実施例8と同様にしてシートを得た。
【0076】
なお、上記実施例1〜8及び比較例1〜8の詳細は表1に示す。
【0077】
【表1】
【0078】
(実施例及び比較例の評価)
実施例1〜8で得られたシートに含まれる薄片化黒鉛誘導体のグラフト化率、及び実施例1〜8及び比較例1〜8で得られた引張弾性率は、以下の要領で測定した。
【0079】
(1)グラフト化率測定
実施例及び比較例で得られたシートを小さく裁断し、濾紙で包んで内容物が漏れ出ないよう濾紙を折り込み、さらにその周囲を金属クリップで封止した後に、過剰量の良溶媒に12時間浸すことで非グラフト性の樹脂を溶解除去した後、真空乾燥させることを3回繰り返した。得られた試料を真空乾燥することで薄片化黒鉛誘導体を単離回収した。精製した薄片化黒鉛誘導体を空気雰囲気下、30〜600℃、10℃/分でTGA測定を行い、500℃までの分解物量をAwt%、未分解物量をBwt%として下記の式により求めた。
【0080】
グラフト化率(wt%)=A/B×100
【0081】
また、ここで言う良溶媒とは所望の樹脂を溶解させる一般的な溶媒であれば特に限定されず、例えばオレフィン系樹脂では130℃熱キシレン、PMMA等のアクリル系樹脂ではアセトンや、ジクロロベンゼン、ナイロン等のポリアミド系樹脂では200℃熱ベンジルアルコールや、200℃熱ニトロベンゼン、ポリスチレン系樹脂ではTHFやジクロロベンゼン、ポリカーボネート系樹脂ではTHF、ジクロロメタンなどを挙げることができる。
【0082】
(2)引張弾性率測定
実施例及び比較例で得られたシートの23℃における引張弾性率をJIS K6767に準拠して測定した。
【0083】
グラフト化率と引張弾性率の測定結果を表2及び表3に示す。
【0084】
【表2】
【0085】
【表3】
【図1】
【図2】
【国際調査報告】