(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO2016063931
(43)【国際公開日】20160428
【発行日】20170803
(54)【発明の名称】導電性組成物及びそれを用いた電子部品
(51)【国際特許分類】
   C08L 101/00 20060101AFI20170707BHJP
   C08K 3/08 20060101ALI20170707BHJP
   H01B 1/22 20060101ALI20170707BHJP
   H01B 1/00 20060101ALI20170707BHJP
【FI】
   !C08L101/00
   !C08K3/08
   !H01B1/22 A
   !H01B1/00 K
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】29
【出願番号】2016555271
(21)【国際出願番号】JP2015079774
(22)【国際出願日】20151022
(31)【優先権主張番号】2014217822
(32)【優先日】20141024
(33)【優先権主張国】JP
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】591252862
【氏名又は名称】ナミックス株式会社
【住所又は居所】新潟県新潟市北区濁川3993番地
(74)【代理人】
【識別番号】110001508
【氏名又は名称】特許業務法人 津国
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 幸司
【住所又は居所】新潟県新潟市北区濁川3993番地 ナミックス株式会社内
(72)【発明者】
【氏名】水村 宜司
【住所又は居所】新潟県新潟市北区濁川3993番地 ナミックス株式会社内
【テーマコード(参考)】
4J002
5G301
【Fターム(参考)】
4J002BB032
4J002BB122
4J002CD101
4J002CF002
4J002CH002
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4J002GQ02
5G301DA03
5G301DA42
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5G301DA53
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5G301DA60
5G301DD01
5G301DD02
5G301DE01
(57)【要約】
本発明は、接合部の厚みを維持し、接合強度を維持できる接合部を形成できる導電性組成物及びそれを用いた電子部品を提供する。
本発明は、(A)一次粒子の個数平均粒子径が40nm〜400nmの銀微粒子と、(B)溶剤と、(C)示差走査熱量計を用いた測定で得られるDSCチャートにおける吸熱ピークの極大値が80℃〜170℃の範囲にある熱可塑性樹脂粒子とを含む、導電性組成物である。(C)熱可塑性樹脂粒子の示差走査熱量計を用いた測定で得られるDSCチャートにおける吸熱ピークの極大値が110℃〜140℃の範囲であることが好ましい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)一次粒子の個数平均粒子径が40nm〜400nmの銀微粒子と、(B)溶剤と、(C)示差走査熱量計を用いた測定で得られるDSCチャートにおける吸熱ピークの極大値が80℃〜170℃の範囲にある熱可塑性樹脂粒子とを含む、導電性組成物。
【請求項2】
(A)銀微粒子が、
(a)一次粒子の個数平均粒子径が40nm〜350nmであり、
(b)結晶子径が20nm〜70nmであり、かつ
(c)結晶子径に対する一次粒子の個数平均粒子径の比が1.5〜5である、請求項1記載の導電性組成物。
【請求項3】
(A)銀微粒子が、ペースト100質量%に対して銀微粒子40〜95質量%及び溶媒を含むペースト中に含まれ、ペースト中の(A)銀微粒子が、180〜250℃の温度条件下で20分から2時間保持したときに焼結するものである、請求項1又は2記載の導電性組成物。
【請求項4】
(D)一次粒子の個数平均粒子径が0.5μm〜20μmの金属粒子をさらに含む、請求項1〜3のいずれか1項記載の導電性組成物。
【請求項5】
(C)熱可塑性樹脂粒子の示差走査熱量計を用いた測定で得られるDSCチャートにおける吸熱ピークの極大値が110℃〜140℃の範囲にある、請求項1〜4のいずれか1項記載の導電性組成物。
【請求項6】
(C)熱可塑性樹脂粒子の一次粒子の個数平均粒子径が1〜50μmである、請求項1〜5のいずれか1項記載の導電性組成物。
【請求項7】
(A)銀微粒子及び(D)金属粒子の合計100質量部に対して、(C)熱可塑性樹脂粒子を0.1〜10質量部含む、請求項4〜6のいずれか1項記載の導電性組成物。
【請求項8】
(C)熱可塑性樹脂粒子を構成する熱可塑性樹脂が、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアミド、ポリカーボネート及びポリオレフィンからなる群より選択される少なくとも1種の熱可塑性樹脂である、請求項1〜7のいずれか1項記載の導電性組成物。
【請求項9】
(E)熱硬化性樹脂をさらに含み、熱硬化性樹脂が、エポキシ樹脂、フェノール樹脂及びシリコーン樹脂からなる群より選択される少なくとも1種の熱硬化性樹脂である、請求項1〜8のいずれか1項記載の導電性組成物。
【請求項10】
(B)溶剤が、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール及び2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール2−メチルプロパノアートからなる群より選択される、請求項1〜9のいずれか1項記載の導電性組成物。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか1項記載の導電性組成物を用いて部品を接合した接合部を有する、電子部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導電性組成物及びそれを用いた電子部品に関する。
【背景技術】
【0002】
銀微粒子を含むペーストは、加熱により銀微粒子同士が焼結して導電性を有する銀膜を形成し、半導体装置を構成する回路基板上の導電回路、コンデンサの電極等の形成に使用されている。近年では、バンプ及びダイアタッチ材等の半導体装置における接合部の形成にも使用されている。
【0003】
しかしながら、ペーストを半導体装置等の接合部の形成に使用する場合、ペースト中の銀微粒子同士の焼結によって、ペーストが体積収縮して、半導体素子と基板との接合部の厚みが小さくなり、十分な接合強度が得られないという問題がある。また、銀微粒子を含むペーストを用いて接合部を形成する場合は、加熱処理とともに、加圧処理を行い、接着部位の厚みを制御する方法が挙げられる。しかしながら、近年、半導体素子のサイズが小さくなり、半導体素子のサイズの縮小にともない、半導体素子に荷重を負荷して厚みを制御することが困難となっている。
【0004】
また、ペースト中の銀微粒子の焼結によって接合部の弾性率は大きくなり、換言すれば、接合部が硬くなり、半導体素子を用いた電子部品の繰り返しの使用による温度変化に接合部が追従できず、半導体素子のクラック、接合部のクラック、接合界面の剥離等を生じる場合がある
【0005】
接合部において、ペースト中の金属粒子の焼結による体積収縮により発生する収縮応力を緩和するために、金属微粒子と、この金属微粒子と焼結可能な金属を金属微粒子よりも粒径が大きな樹脂の粒の表面に被覆した金属被覆樹脂粒を骨材として備えた導電性接合材料が提案されている(特許文献1)。
また、接続導体の体積収縮による接続信頼性の低下を抑制するために、金属フィラーと、金属フィラーの焼結温度よりも低い温度で融解し、室温で固体状態であるパラフィン系炭化水素、テレビン油または脂肪酸からなる低融点室温固体樹脂の混合物からなる導電用充填材料が提案されている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2011−198674号公報
【特許文献2】特開2010−123760号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載の導電性接合材料では、金属微粒子よりも粒径が大きな樹脂の粒自体の大きさが変化しないため、樹脂の粒を含まない部分における金属微粒子の焼結による体積収縮を抑制することができず、金属微粒子の焼結による体積収縮によって、接合部にボイドが生じるという問題がある。
特許文献2に記載の導電用充填材料では、低融点室温固体樹脂が、金属フィラーの焼結温度より低い温度で分解または揮発するため、接合部にボイドが生じるという問題がある。また、焼結後の導電性充填材料は、導電性充填材料中の金属フィラーが焼結時に低融点室温固体樹脂が分解又は揮発し、焼結した導電性充填材料に樹脂が存在しないか、存在量が非常に少なくなる。焼結した導電性充填材料は樹脂が存在しないか、樹脂の量が非常に少なくなることによって、接合部の弾性率が大きくなり応力緩和性に劣る。このため、焼結した導電性充填材料で半導体素子を接合した電子部品は、繰り返しの使用による温度変化に接合部が追従できず、半導体素子のクラック、接合部のクラック、接合界面の剥離等を生じる問題を回避できない。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記問題を解決するために、導電性組成物が銀微粒子と、溶剤と、示差走査熱量計を用いた測定で得られるDSCチャートにおける吸熱ピークの極大値が特定の範囲にある熱可塑性樹脂粒子を含み、導電性組成物を塗布した厚み(以下、「塗布厚み」という)を確保することができ、導電性組成物中の熱可塑性樹脂粒子が銀微粒子の焼結時に変形し、導電性組成物の硬化時の収縮に追随することによってボイドの発生を抑制し、接合強度を維持できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0009】
本発明〔1〕は、(A)一次粒子の個数平均粒子径が40nm〜400nmの銀微粒子と、(B)溶剤と、(C)示差走査熱量計を用いた測定で得られるDSCチャートにおける吸熱ピークの極大値が80℃〜170℃の範囲にある熱可塑性樹脂粒子とを含む、導電性組成物に関する。
本発明〔2〕は、(A)銀微粒子が、(a)一次粒子の個数平均粒子径が40nm〜350nmであり、(b)結晶子径が20nm〜70nmであり、かつ(c)結晶子径に対する一次粒子の個数平均粒子径の比が1.5〜5である、本発明〔1〕の導電性組成物に関する。
本発明〔3〕は、(A)銀微粒子が、ペースト100質量%に対して銀微粒子40〜95質量%及び溶媒を含むペースト中に含まれ、ペースト中の(A)銀微粒子が、180〜250℃の温度条件下で20分から2時間保持したときに焼結するものである、本発明〔1〕又は2記載の導電性組成物に関する。
本発明〔4〕は、(D)一次粒子の個数平均粒子径が0.5μm〜20μmの金属粒子をさらに含む、本発明〔1〕〜〔3〕のいずれかに導電性組成物に関する。
本発明〔5〕は、(C)熱可塑性樹脂粒子の示差走査熱量計を用いた測定で得られるDSCチャートにおける吸熱ピークの極大値が110℃〜140℃の範囲にある、本発明〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の導電性組成物に関する。
本発明〔6〕は、(C)熱可塑性樹脂粒子の一次粒子の個数平均粒子径が1〜50μmである、本発明〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載の導電性組成物に関する。
本発明〔7〕は、(A)銀微粒子及び(D)金属粒子の合計100質量部に対して、(C)熱可塑性樹脂粒子を0.1〜10質量部含む、本発明〔4〕〜〔6〕のいずれかに記載の導電性組成物に関する。
本発明〔8〕は、(C)熱可塑性樹脂粒子を構成する熱可塑性樹脂が、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアミド、ポリカーボネート及びポリオレフィンからなる群より選択される少なくとも1種の熱可塑性樹脂である、本発明〔1〕〜〔7〕のいずれかに記載の導電性組成物に関する。
本発明〔9〕は、(E)熱硬化性樹脂をさらに含み、熱硬化性樹脂が、エポキシ樹脂、フェノール樹脂及びシリコーン樹脂からなる群より選択される少なくとも1種の熱硬化性樹脂を含む、本発明〔1〕〜〔8〕のいずれかに記載の導電性組成物に関する。
本発明〔10〕は、(B)溶剤が、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール及び2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール2−メチルプロパノアートからなる群より選択される、本発明〔1〕〜〔9〕のいずれかに記載の導電性組成物。
本発明〔11〕は、本発明〔1〕〜〔10〕のいずれかに記載の導電性組成物を用いて部品を接合した接合部を有する、電子部品に関する。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、導電性組成物が銀微粒子と、溶剤と、示差走査熱量計を用いた測定で得られるDSCチャートにおける吸熱ピークの極大値が特定の範囲にある熱可塑性樹脂粒子を含み、熱可塑性樹脂粒子によって導電性組成物を塗布厚み維持することができる。本発明は、熱可塑性樹脂粒子が銀微粒子の焼結時に変形し、導電性組成物の硬化時の収縮に熱可塑性樹脂粒子が追随することによって、接合部のボイドの発生を抑制し、接合部の接合強度を維持することができる。また、本発明は、導電性組成物に特定の熱可塑性樹脂粒子を含むことによって、導電性組成物によって接合した接合部の弾性率を小さくし、被着対象のクラック、接合部のクラック、接合界面の剥離等を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本実施形態に係る接合部を模式的に示し、(a)は加熱前の概略断面図、(b)は加熱、硬化後の概略断面図である。
【図2】従来例に係る接合部を模式的に示し、(a)は加熱前の概略断面図、(b)は加熱、硬化後の概略断面図である。
【図3】本実施形態に係り、実施例1の導電性組成物を用いたチップ裏面を観察したX線画像である。
【図4】本実施形態に係り、実施例1の導電性組成物を用いた電子部品(試験片)の断面のFE−SEM画像(100倍)である。
【図5】図4の電子部品(試験片)の断面の一部(接合部)を拡大したFE−SEM画像(700倍)である。
【図6】図4の電子部品(試験片)の断面の一部(接合部)を拡大したFE−SEM画像(5000倍)である。
【図7】図4の電子部品(試験片)の断面の一部(接合部)を拡大したFE−SEM画像(5000倍)である。
【図8】従来例に係り、参考例の導電性組成物を用いたチップ裏面を観察したX線画像である。
【図9】従来例に係り、参考例の導電性組成物を用いた電子部品(試験片)の断面のFE−SEM画像(100倍)である。
【図10】図9の電子部品(試験片)の断面の一部(接合部)を拡大したFE−SEM画像(500倍)である。
【図11】各種の熱可塑性樹脂粒子の示差走査熱量計を用いた測定で得られるDSCチャートを示す。
【図12】各種の熱可塑性樹脂粒子の示差走査熱量計を用いた測定で得られるDSCチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の導電性組成物は、(A)一次粒子の個数平均粒子径が40nm〜400nmの銀微粒子と、(B)溶剤と、(C)示差走査熱量計を用いた測定で得られるDSCチャートにおける吸熱ピークの極大値が80℃〜170℃の範囲にある熱可塑性樹脂粒子とを含む。
【0013】
[(A)一次粒子の個数平均粒子径が40nm〜400nmの銀微粒子]
本発明において用いる(A)銀微粒子の平均粒子径は、レーザー回折散乱式粒度分布測定による、個数基準に基づく個数平均粒子径をいう。(A)銀微粒子は、一次粒子の個数平均粒子径が40nm〜400nmである。
【0014】
(A)の銀微粒子として、有機物で被覆又は処理された銀微粒子、有機媒体中に分散した形態の銀微粒子を使用することができる。有機媒体中に分散した形態の銀微粒子としては、有機物の存在下で、還元・析出させた銀微粒子が挙げられる。銀微粒子の凝集防止、熱伝導性ペーストの調製の点から、有機媒体中に分散した形態の銀微粒子を好ましく使用することができる。このような銀微粒子の表面には、有機物が付着しており、加熱により、有機物が揮散、熱分解等して、銀微粒子の重量が変化し得ると解される。
【0015】
好ましくは、(A)銀微粒子が、(a)一次粒子の個数平均粒子径が40nm〜350nmであり、(b)結晶子径が20nm〜70nmであり、かつ(c)結晶子径に対する一次粒子の個数平均粒子径の比が1.5〜5である。
【0016】
本明細書において、結晶子径は、CuのKα線を線源とした粉末X線回折法による測定から、面指数(1,1,1)面ピークの半値幅を求め、Scherrerの式より計算した結果をいう。
【0017】
(A)銀微粒子は、好ましくは1次粒子の平均粒子径が40〜350nmであり、より好ましくは40〜100nmであり、さらに好ましくは50〜80nmである。なお、(A)銀微粒子は通常、略球状である。(A)銀微粒子の一次粒子の個数平均粒子径が上記範囲であると、銀微粒子の凝集が抑制され、保存安定性が得られやすい。
【0018】
(A)銀微粒子は、好ましくは結晶子径が20〜70nmであり、より好ましくは20〜50nmである。結晶子径がこの範囲であると、焼成時の体積収縮が抑制されるとともに、焼成後に形成される接合部(銀膜)の緻密性や表面平滑性が確保される。
【0019】
(A)銀微粒子は、銀微粒子の結晶子径に対する一次粒子の個数平均粒子径の比(一次粒子の個数平均粒子径/結晶子径)が好ましくは1.5〜5であり、より好ましくは1.5〜4であり、さらに好ましくは1.5〜3の範囲である。上記の比がこの範囲であると、例えば200℃以下の焼成温度で、十分な導電性を示す接合部を形成することができる。
【0020】
このような銀微粒子として、カルボン酸の銀塩に第一級アミンを作用させ、次いで還元反応により析出させた銀微粒子、あるいは有機物で被覆又は処理された銀微粒子を使用することができる。前者としては、特開2006−183072号公報、特開2011−153362号公報等に開示された銀微粒子が例示され、後者としては、特開2009−289745号公報、特開2010−65277号公報等に開示された銀微粒子が例示される。(A)の銀微粒子は、ナノオーダーであり、単位重量当りの総表面積が大きく、表面エネルギーも高く、そもそもの焼結性が良好であることに加えて、焼結時に、表面の有機物が揮発・熱分解・溶剤に溶出する等して、銀の表面が露出し、銀微粒子同士が直接接触することとなり、焼結が進行しやすい。
【0021】
具体的には、(A)の銀微粒子は、カルボン酸の銀塩と脂肪族第一級アミンとを混合し、次いで還元剤を添加して、反応温度20〜80℃で析出させることにより製造することができる。
【0022】
カルボン酸の銀塩は、特に限定されない。カルボン酸の銀塩は、脂肪族、芳香族いずれのカルボン酸の銀塩であってもよい。また、モノカルボン酸の銀塩であっても、ジカルボン酸等の多価カルボン酸の銀塩であってもよい。脂肪族カルボン酸の銀塩は、鎖状脂肪族カルボン酸の銀塩であっても、環状脂肪族カルボン酸の銀塩であってもよい。脂肪族モノカルボン酸の銀塩が好ましく、より好ましくは、鎖状脂肪族モノカルボン酸の銀塩であり、さらに好ましくは、酢酸銀、プロピオン酸銀又は酪酸銀であり、特に酢酸銀である。これらは単独で、又は2種以上を併用することができる。
【0023】
脂肪族第一級アミンは、特に限定されず、鎖状脂肪族第一級アミンであっても、環状脂肪族第一級アミンであってもよい。また、モノアミン化合物であっても、ジアミン化合物等のポリアミン化合物であってもよい。脂肪族第一級アミンには、脂肪族炭化水素基が、ヒドロキシル基、メトキシ基、エトキシ基、プロピル基等のアルコキシ基で置換されたものも含み、より好ましくは、3−メトキシプロピルアミン、3−アミノプロパノール及び1,2−ジアミノシクロヘキサンである。これらは、単独で、又は2種以上を併用することができる。
【0024】
脂肪族第一級アミンの使用量は、生成する銀微粒子の後処理等プロセス上の要請や装置から決められるが、制御された粒子径の銀微粒子を得る点からは、カルボン酸の銀塩1当量に対して、1当量以上であることが好ましい。過剰な脂肪族第一級アミンの環境等への影響を考慮すると、カルボン酸の銀塩1当量に対して、脂肪族第一級アミンの使用量は1.0〜3.0当量であることが好ましく、より好ましくは1.0〜1.5当量、特に好ましくは1.0〜1.1当量である。特に、後続の工程で、還元剤によって銀微粒子を析出させた液をそのまま、銀微粒子を含むペーストとして使用する場合、過剰な脂肪族第一級アミンは加熱により気化する可能性があるため、上記の好ましい使用量の範囲を採用することが望ましい。
【0025】
カルボン酸の銀塩と脂肪族第一級アミンとの混合は、有機溶媒の非存在下又は存在下に行うことができ、混合の容易さの点からは、有機溶媒の存在下であることが好ましく、有機溶媒としては、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール類、プロピレングリコールジブチルエーテル等のエーテル類、トルエン等の芳香族炭化水素等が挙げられる。これらは、単独で、又は2種以上を併用することができる。有機溶媒の使用量は、混合の利便性、後続の工程での銀微粒子の生産性の点から、任意の量とすることができる。
【0026】
カルボン酸塩の銀塩と脂肪族第一級アミンとの混合は、例えば、第一級脂肪族アミン、又は第一級脂肪族アミンと有機溶媒の混合物を撹拌しながら、カルボン酸の銀塩を添加して行うことができる。添加終了後も、適宜、撹拌を続けることができる。その間、温度を、20〜80℃に維持することが好ましく、より好ましくは、20〜60℃である。
【0027】
その後、還元剤を添加して、銀微粒子を析出させる。還元剤としては、反応の制御の点から、ギ酸、ホルムアルデヒド、アスコルビン酸又はヒドラジンが好ましく、より好ましくは、ギ酸である。これらは、単独で、又は2種以上を併用することができる。
【0028】
還元剤の使用量は、通常、カルボン酸の銀塩に対して酸化還元当量以上であり、酸化還元当量が、0.5〜5倍であることが好ましく、より好ましくは1〜3倍である。カルボン酸の銀塩がモノカルボン酸の銀塩であり、還元剤としてギ酸を使用する場合、ギ酸のモル換算での使用量は、カルボン酸の銀塩1モルに対して、0.5〜1.5モルであることが好ましく、より好ましくは0.5〜1.0モル、更に好ましくは0.5〜0.75モルである。
【0029】
還元剤の添加及びその後の反応においては、温度を好ましくは20℃〜80℃に維持する。還元剤の添加及びその後の反応の温度は、より好ましくは20〜70℃であり、さらに好ましくは20〜60℃である。温度がこの範囲にあると、銀微粒子の粒成長が十分であり、生産性も高く、また二次凝集も抑制される。還元剤の添加及びその後の反応に要する時間は、反応装置の規模にも依存するが、通常、10分〜10時間である。還元剤の添加及びその後の反応に際して、必要に応じて、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール類、プロピレングリコールジブチルエーテル等のエーテル類、トルエン等の芳香族炭化水素等の有機溶媒を追加で添加することができる。
【0030】
還元剤の添加及びその後の反応においては、カルボン酸の銀塩と脂肪族第一級アミンとを混合した溶液、還元剤、及び任意の有機溶媒の合計の容積(L)に対する、カルボン酸の銀塩の量(mol)が、1.0〜6.0mol/Lの範囲となるようにすることが好ましく、より好ましくは、2.0〜5.0mol/L、さらに好ましくは2.0〜4.0mol/Lである。濃度がこの範囲にあると、反応液の撹拌を十分行い、反応熱を除去することができるため、析出する銀微粒子の平均粒子径が適切となり、ひいては後続する工程での沈降デカント、溶媒置換等の操作に支障を来すこともない。
【0031】
反応容器にカルボン酸の銀塩と脂肪族第一級アミンとを混合した溶液と任意の有機溶媒を仕込み、還元剤を連続的に供給するセミバッチ方式で反応を行った場合、カルボン酸の銀塩と脂肪族第一級アミンとを混合した溶液、還元剤及び任意の有機溶媒の合計の容積1Lにつき、還元剤の添加開始から反応終了までの所要時間1時間当たりの銀微粒子の析出量は、0.3〜1.0mol/h/Lの範囲とすることができ、生産性は非常に大きい。連続式反応方式(連続式完全混合糟や流通式)で反応を実施した場合はさらに大きな生産性が得られ、工業的実施に対して大きな利得を与える。
【0032】
このようにして得られる銀微粒子は粒度分布が狭く、幾何標準偏差を2.0以下とすることができる。本明細書において、幾何標準偏差は、レーザー回折散乱式粒度分布測定による、個数基準の50%粒子径(D50値)に対する、84.3%粒子径(D84.3値)の比(D84.3値/D50値)をいう。
【0033】
反応により析出した銀微粒子は沈降させて、デカンテーション等により上澄みを除去するか、又はメタノール、エタノール、ターピネオール等のアルコール等の溶媒を添加して分取することができる。銀微粒子を含む層はそのまま、溶媒を含む状態で使用することができる。銀微粒子と溶媒とを含むペースト状の状態で銀微粒子を使用する場合は、ペースト中の銀微粒子の含有率は、好ましくは40〜95質量%、より好ましくは45〜90質量%である。
【0034】
別法として、(A)の銀微粒子は、還元法、粉砕法、電解法、アトマイズ法、熱処理法、又はそれらの組合せによって製造した銀微粒子を、有機物で被覆することによって得ることができる。低温焼結性の点から、還元法で製造した銀微粒子を、有機物で被覆することが好ましい。
【0035】
有機物としては、高・中級脂肪酸及びその誘導体が挙げられる。誘導体としては、高・中級脂肪酸金属塩、高・中級脂肪酸アミド、高・中級脂肪酸エステル及び高・中級アルキルアミンが例示される。中でも、高・中級脂肪酸が好ましい。
【0036】
高級脂肪酸は、炭素原子数15以上の脂肪酸であり、ペンタデカン酸、ヘキサデカン酸(パルミチン酸)、ヘプタデカン酸、オクタデカン酸(ステアリン酸)、12−ヒドロキシオクタデカン酸(12−ヒドロキシステアリン酸)、エイコサン酸(アラキジン酸)、ドコサン酸(ベヘン酸)、テトラコサン酸(リグノセリン酸)、ヘキサコサン酸(セロチン酸)、オクタコサン酸(モンタン酸)等の直鎖飽和脂肪酸;2−ペンチルノナン酸、2−ヘキシルデカン酸、2−ヘプチルドデカン酸、イソステアリン酸等の分枝飽和脂肪酸;パルミトレイン酸、オレイン酸、イソオレイン酸、エライジン酸、リノール酸、リノレン酸、リシノール酸、ガドレン酸、エルカ酸、セラコレイン酸等の不飽和脂肪酸が例示される。
【0037】
中級脂肪酸は、炭素原子数が6〜14の脂肪酸であり、ヘキサン酸(カプロン酸)、ヘプタン酸、オクタン酸(カプリル酸)、ノナン酸(ペラルゴン酸)、デカン酸(カプリン酸)、ウンデカン酸、ドデカン酸(ラウリン酸)、トリデカン酸、テトラデカン酸(ミリスチン酸)等の直鎖飽和脂肪酸;イソヘキサン酸、イソヘプタン酸、2−エチルヘキサン酸、イソオクタン酸、イソノナン酸、2−プロピルヘプタン酸、イソデカン酸、イソウンデカン酸、2−ブチルオクタン酸、イソドデカン酸、イソトリデカン酸等の分枝飽和脂肪酸;10−ウンデセン酸等の不飽和脂肪酸が例示される。
【0038】
高級脂肪酸及びその誘導体で被覆した銀微粒子を、より低級の脂肪酸で置換したものを使用することもできる。
【0039】
(A)銀微粒子の焼結性及び分散安定性の点から、炭素原子数が12〜18の脂肪酸で被覆した銀微粒子が好ましい。
【0040】
(A)銀微粒子は、単独でも、二種以上を併用してもよい。
【0041】
(A)銀微粒子は、ペースト100質量%に対して銀微粒子40〜95質量%及び溶媒を含むペースト中に含まれ、ペースト中の(A)銀微粒子が、180〜250℃の温度条件下で20分から2時間保持したときに焼結するものであることが好ましい。ペースト中の(A)銀微粒子は、190〜220℃の温度条件で20分から2時間保持したときに焼結するものであることがより好ましい。ペースト中の(A)銀微粒子は、195〜210℃の温度条件で20分から2時間保持したときに焼結するものであることがさらに好ましい。ペースト中の(A)銀微粒子が、上記の条件で焼結できるものであると、導電性組成物中に含まれる(A)銀微粒子によって、例えば200℃以下の焼成温度で、十分な導電性を示す接合部を形成することができる。ペースト中の(A)銀微粒子が180〜250℃の温度条件下で20分から2時間保持したときに単身で焼結するかどうかは、例えば日本電子社製電界放出形走査電子顕微鏡(JSM7500F)により確認することができる。
【0042】
導電性組成物中の(A)銀微粒子の含有量は、特に限定されないが、十分な熱伝導率を確保する観点から、導電性組成物の全体量100質量%に対して、銀換算で、好ましくは25質量%以上、より好ましくは28質量%以上、さらに好ましくは30質量%以上、特に好ましくは31質量%以上である。また、(A)銀微粒子の含有量は、導電性組成物の焼結時の厚みと安定性の確保の観点から、導電性組成物の全体量100質量%に対して、好ましくは95質量%以下、より好ましくは92質量%以下、さらに好ましくは90質量%以下、特に好ましくは88質量%以下である。
【0043】
導電性組成物中の(A)銀微粒子の含有量は、特に限定されないが、(A)銀微粒子、(B)溶剤、および(C)熱可塑性樹脂粒子の合計量(100質量%)に対して、銀換算で、好ましくは70質量%以上、より好ましくは72質量%以上、さらに好ましくは73質量%以上、特に好ましくは75質量%以上である。また、導電性組成物中の(A)銀微粒子の含有量は、特に限定されないが、(A)銀微粒子、(B)溶剤、および(C)熱可塑性樹脂粒子の合計に対して、好ましくは93質量%以下、より好ましくは92質量%以下、さらに好ましくは90質量%以下、特に好ましくは88質量%以下である。
導電性組成物中の(A)銀微粒子の含有量が、上記範囲であることによって、所望の接合部の厚みを確保することができ、十分な熱伝導率を確保することができる。
【0044】
[(B)溶剤]
本発明において用いる(B)溶剤は、当該分野において公知のものを使用することができる。例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ベンジルアルコール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、ジヒドロターピネオール等のアルコール系溶剤;トルエン、キシレン、エチルベンゼン、ジエチルベンゼン、イソプロピルベンゼン、アミルベンゼン、p−シメン、テトラリン及び石油系芳香族炭化水素混合物等の芳香族炭化水素系溶剤;ターピネオール、リナロール、ゲラニオール、シトロネロール等のテルペンアルコール;エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、プロピレングリコールモノ−tert−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコ−ルモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル等のエーテルアルコール系溶剤;メチルイソブチルケトン等のケトン系溶剤;並びにエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール2−メチルプロパノアート等のエステル系溶剤、水等が挙げられる。溶剤は、単独でも、又は2種類以上を併用することもできる。
(B)溶剤は、例えば、水酸基を有し沸点が180〜265℃、好ましくは180〜250℃のアルコール系溶剤であることが好ましく、中でも、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール2−メチルプロパノアート、ジヒドロターピネオール、ベンジルアルコールが好ましく、その中でも、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール2−メチルプロパノアートがより好ましい。
【0045】
導電性組成物中の(B)溶剤の含有量は、特に限定されないが、導電性組成物100質量%に対して、好ましくは1〜20質量%、より好ましくは1.5〜18質量%、さらに好ましくは2〜15質量%である。
導電性組成物中の(B)溶剤の含有量が、上記範囲であると、安定性に優れ、導電性組成物を均一に被着対象に塗布することができ、印刷性や転写性に優れる。また、(A)銀微粒子の焼結時に溶剤が揮発しても、被着対象と接合部に生じるボイドを抑制し、所望の厚みの接合部を形成することができる。
【0046】
[(C)熱可塑性樹脂粒子]
本発明において用いる(C)熱可塑性樹脂粒子は、示差走査熱量計を用いた測定で得られるDSCチャートにおける吸熱ピークの極大値が80℃〜170℃の範囲にあるものである。(C)熱可塑性樹脂粒子は、示差走査熱量計を用いた測定で得られるDSCチャートにおける吸熱ピークの極大値が、好ましくは100℃〜160℃、より好ましくは105℃〜150℃、さらに好ましくは110℃〜140℃の範囲にあるものである。
(C)熱可塑性樹脂粒子が、熱可塑性樹脂粒子の吸熱ピークの極大値が、80℃〜170℃の範囲にあり、好ましくは100℃〜160℃、より好ましくは105℃〜150℃、さらに好ましくは110℃〜140℃の範囲にあると、銀微粒子の焼結時の体積収縮に追随してボイドを低減させることができ、かつ、銀微粒子の焼結を妨げることがないため良好な熱伝導率を発現させることができる。(C)熱可塑性樹脂粒子が、示差走査熱量計で用いた測定で得られるDSCチャートにおける吸熱ピークの極大値が80℃未満の範囲にあると、焼結時の体積収縮には追随できるものの、銀微粒子の焼結を著しく阻害し、接合部の電気抵抗率が上昇したり、熱伝導率が低下する場合がある。また、(C)熱可塑性樹脂粒子が、示差走査熱量計で用いた測定で得られるDSCチャートにおける吸熱ピークの極大値が存在しないものである場合、熱可塑性樹脂粒子が低温で溶融しないため、熱可塑性樹脂粒子が銀微粒子の焼結時の体積収縮に追従することができず、接合部のボイドの発生を抑制できず、過激な冷熱サイクル試験後に接合部に剥離が生じた。
【0047】
図1は、本発明の実施形態に係り、本発明の導電性組成物を用いて半導体素子と基板とを接合した接合部を模式的に示す断面図であり、(a)は加熱前の概略断面図、(b)は加熱、硬化後の概略断面図である。
図1(a)に示すように、導電性組成物1は、基板2上に塗布され、導電性組成物1上にSiチップ(半導体素子)3が載置される。このとき、(C)熱可塑性樹脂粒子4の一次粒子の個数平均粒子径に応じて、導電性組成物1の塗布厚みが確保される。図1(b)に示すように、加熱により、導電性組成物1中の(A)銀微粒子が焼結し、接合部10が形成される。接合部10の厚みは、(A)銀微粒子の体積収縮により塗布厚みと比べて薄くなるが、導電性組成物1に含まれる(C)熱可塑性樹脂粒子4が加熱溶融により変形し、(A)銀微粒子の体積収縮に追随することによって、ボイドの発生が抑制された接合部を形成することができる。また、接合部10中の(C)熱可塑性樹脂粒子4は、接合部10にかかる応力を緩和し、Siチップのクラックや、接合部10自体のクラック、接合界面の剥離を抑制することができる。
【0048】
図2は、従来例に係り、球形のスペーサーを含む導電性組成物を用いて半導体素子と基板とを接合した接合部を模式的に示す断面図である。球形のスペーサーは、銀微粒子の焼結する温度でも溶融しないアクリル樹脂、ガラス等で形成されているものである。球形のスペーサーは、導電性組成物によって形成される接合部の厚みを維持するために、導電性組成物に含まれる。
図2(a)に示すように、球形のスペーサーを含む導電性組成物1は、基板2上に塗布され、Siチップ(半導体素子)3と基板2とを接合する。図2(b)に示すように、加熱により、導電性組成物1中の(A)銀微粒子が焼結し、焼結体100が形成される。焼結体100は、(A)銀微粒子の焼結によって体積収縮し、変形しない球形スペーサー40によって、焼結によって体積収縮した銀微粒子の焼結体100と、Siチップとの間にボイド5が発生する。このボイド5によって、接合部の接合強度が低下する。さらに、ボイド5部分に水分等が侵入しやすくなり、ポーラスな銀微粒子の焼結体100中にも水分等が侵入して接合部分が劣化しやすくなり、Siチップにクラックが発生したり、焼結体100自体もクラックしたり、Siチップと基板との界面剥離等が発生しやすくなる。
【0049】
(C)熱可塑性樹脂粒子は、パウダー状粒子であることが好ましい。(C)熱可塑性樹脂粒子は、レーザー回折散乱式粒度分布測定による、個数基準に基づく、一次粒子の個数平均粒子径が、好ましくは1μm〜50μm、より好ましくは2μm〜48μm、さらに好ましくは3μm〜45μm、特に好ましくは5μm〜45μmである。パウダー状の熱可塑性樹脂粒子は、一次粒子の個数平均粒子径が上記範囲内であればよい。(C)熱可塑性樹脂粒子の一次粒子の個数平均粒子径が1μm〜50μmであると、(C)熱可塑性樹脂粒子を導電性組成物中に均一に分散させることができ、銀微粒子の焼結時に変形して、銀微粒子の焼結時の体積収縮を抑制して、接合部の厚みを維持できる。また、導電性組成物中の銀微粒子の焼結後に、接合部にかかる応力が緩和され、接合部を所望の厚みに維持できる。また、(C)熱可塑性樹脂の平均粒子径が上記範囲内であると、接合部にかかる応力を緩和し、被着対象である半導体素子のクラックや接合部のクラック、接合界面の破壊等を抑制することができる。
【0050】
(C)熱可塑性樹脂粒子の含有量は、(A)銀微粒子100質量部に対して、0.1〜10質量部であることが好ましい。後述する(D)金属粒子を含む場合には、(A)銀微粒子及び(D)金属粒子の合計100質量部に対して、(C)熱可塑性樹脂粒子の含有量が0.1質量部〜10質量部であることが好ましい。(A)銀微粒子100質量部又は(A)銀微粒子及び(D)金属粒子の合計100質量部に対して、(C)熱可塑性樹脂粒子の含有量が0.1質量部以上であると、導電性組成物の塗布厚みを確保することができる。また、(A)銀微粒子100質量部又は(A)銀微粒子及び(D)金属粒子の合計100質量部に対して、(C)熱可塑性樹脂粒子の含有量が10質量部以下であると、銀微粒子の焼結時に熱可塑性樹脂粒子が変形し、導電性組成物の硬化時の収縮に追従することによって、導電性組成物から形成された接合部のボイドの発生を抑制することができる。さらに(A)銀微粒子100質量部又は(A)銀微粒子及び(D)金属粒子の合計100質量部に対して、(C)熱可塑性樹脂粒子の含有量が10質量部以下であると、導電性組成物から形成された接合部の弾性率を小さくし、接合部にかかる応力を緩和し、被着対象である半導体素子のクラックや接合部のクラック、接合界面の破壊等を抑制することができる。(C)熱可塑性樹脂粒子の含有量は、(A)銀微粒子100質量部又は(A)銀微粒子及び(D)金属粒子の合計100質量部に対して、好ましくは0.1〜9質量部、より好ましくは0.5〜8質量部である。
【0051】
例えば被着対象である部品(半導体素子)がLEDの場合は、熱膨張係数(coefficient of thermal expansion:CTE)が小さいセラミック基板にLEDがボンディングされるため、接合部にかかる応力を緩和する必要性は低い。被着対象がLEDの場合には、接合部における最大の課題は、応力緩和よりも熱伝導性となる。例えばLEDのように熱伝導性が最大の課題となる被着対象に用いる場合には、(A)銀微粒子100質量部又は(A)銀微粒子及び(D)金属粒子の合計100質量部に対して、(C)熱可塑性樹脂粒子の含有量が、好ましくは0.1〜2質量部である。(C)熱可塑性樹脂粒子の含有量が2質量部以下であると、導電性組成物によって形成された接合部の熱伝導率を高くすることができる。
【0052】
例えば被着対象である部品(半導体素子)がチップ面積の大きいパワーMOSFETである場合には、接合部の導電性とともに、応力緩和も大きな課題となる。このようなチップ面積が大きくパワーMOSFETのような半導体素子が被着対象となる場合には、(A)銀微粒子100質量部又は(A)銀微粒子及び(D)金属粒子の合計100質量部に対して、(C)熱可塑性樹脂粒子の含有量は、好ましくは2質量部を超えて10質量部以下である。(C)熱可塑性樹脂粒子の含有量が、2質量部を超えて10質量部以下であると、接合部の弾性率を小さくして接合部を比較的柔軟にすることができ、接合部にかかる応力を緩和する効果を高くすることができる。(C)熱可塑性樹脂粒子の含有量が10質量部を超えると、接合部の弾性率を小さくする効果は向上するものの、熱伝導率が低くなるため、好ましくない。
【0053】
(C)熱可塑性樹脂粒子を構成する熱可塑性樹脂は、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアミド、ポリカーボネート及びポリオレフィン(好ましくは、ポリエチレン及びポリプロピレン)からなる群より選択される少なくとも1種の熱可塑性樹脂であることが好ましい。このような熱可塑性樹脂からなる(C)熱可塑性樹脂粒子は、(C)熱可塑性樹脂粒子の粒径に応じた塗布厚みを確保することができるとともに、(C)熱可塑性樹脂粒子が銀微粒子の焼結時に変形し、銀微粒子の焼結時の収縮に追随することによって、ボイドの発生を抑制することができる。また、このような熱可塑性樹脂からなる(C)熱可塑性樹脂粒子は、接合部にかかる応力を緩和し、接合部の弾性率を低くして、被着対象である半導体素子のクラックや接合部のクラック、接合界面の破壊等を抑制することができる。
【0054】
[(D)金属粒子]
本発明の導電性組成物は、(D)一次粒子の個数平均粒子径が0.5μm〜20μmの金属粒子をさらに含んでいてもよい。(D)金属粒子は、レーザー回折散乱式粒度分布測定による、個数基準に基づく、一次粒子の個数平均粒子径が、好ましくは0.5μm〜20μm、より好ましくは1μm〜18μm、さらに好ましく1.4μm〜15μmである。
【0055】
(D)金属粒子を構成する金属としは、銀(Ag)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、パラジウム(Pd)、金(Au)、白金(Pt)及びこれらの合金等が挙げられる。合金の粒子としては、Ag、Cu、Ni、Pd、Au及びPtからなる群より選ばれる2種以上の元素で構成される合金の金属粒子が挙げられ、2元系のAg合金としては、AgCu合金、AgAu合金、AgPd合金、AgNi合金等が挙げられ、3元系のAg合金としては、AgPdCu合金、AgCuNi合金等が挙げられる。
【0056】
さらに、合金の粒子としては、Ag、Cu、Ni、Pd、Au及びPtから選ばれる1種以上の元素と他の1種以上の元素で構成される合金の金属粒子であって、合金としての融点が700℃以上の金属粒子が挙げられる。他の元素としては、Zn、Al、Snが挙げられ、SnとAgとの2元系の合金の場合、SnとAgの重量比が、25.5:74.5よりもAgの比率が多いAgSn合金を使用することができる。また、CuやNiなどの卑金属粒子にAgなどの貴金属をめっきした粒子を用いることもできる。
【0057】
(D)金属粒子は、焼結体の熱伝導性、導電性、信頼性の観点から、Ag又はAgの合金であることが好ましい。(D)金属粒子は、単独で、又は、2種以上を併用することができる。(D)一次粒子の個数平均粒子径が0.5μm〜20μmの金属粒子は、(A)銀微粒子と異なり、(D)金属粒子の表面又は周囲に有機物が存在しないため、(D)金属粒子を構成する金属の融点又は合金の融点を有する。(D)金属粒子の融点は、(A)銀微粒子の融点よりも高く、(A)金属微粒子が焼結する温度では焼結しない。導電性組成物中に、(D)金属粒子をさらに加えることによって、導電性組成物は、導電性組成物全体の焼結時の体積収縮率を下げることができ、収縮応力を小さくすることができ、被着対象のクラック、接合部のクラック、接合界面の剥離等を抑制することができる。
【0058】
金属粒子の形状は、球状、フレーク状、りん片状、針状等、どのような形状のものであっても使用することができるが、接合部の厚みを維持できることから球状のものであることが好ましい。なお、平均粒子径とは、球状の場合は粒子径、フレーク状の場合は最長部の径、りん片状の場合は粒子薄片の長径、針状の場合は長さのそれぞれ平均をいう。
【0059】
(D)金属粒子の含有量は、特に限定されないが、導電性組成物の焼結時の体積収縮を抑制し、熱伝導率を向上させる点から、(A)銀微粒子100質量部に対して、好ましくは10〜180質量部であり、より好ましくは20〜160質量部であり、さらに好ましくは25〜150質量部である。
【0060】
導電性組成物中の(A)銀微粒子及び(D)金属粒子の合計は、特に限定されないが、十分な熱伝導率を確保する観点から、導電性組成物の全体量100質量%に対して、金属換算で、好ましくは70量%以上、より好ましくは72質量%以上、さらに好ましくは75質量%以上であり、好ましくは95質量%以下、より好ましくは94質量%以下、さらに好ましくは92質量%以下、特に好ましくは90質量%以下である。
導電性組成物中の(A)銀微粒子及び(D)金属粒子の合計が、上記範囲であることによって、所望の接合部の厚みを確保することができ、十分な熱伝導率を確保することができる。また、導電性組成物全体の焼結時の体積収縮率を下げることができ、収縮応力を小さくすることができ、被着対象のクラック、接合部のクラック、接合界面の剥離等を抑制することができる。
【0061】
[(E)熱硬化性樹脂]
本発明の導電性組成物は、さらに(E)熱硬化性樹脂を含んでいてもよく、(E)熱硬化性樹脂は、エポキシ樹脂、フェノール樹脂及びシリコーン樹脂からなる群より選択される少なくとも1種の熱硬化性樹脂であることが好ましい。(E)熱硬化性樹脂は、バインダとして作用し、銀微粒子同士の融着を進行させ、接合部の熱伝導率を高めることができる。
【0062】
導電性組成物が(E)熱硬化性樹脂を含む場合、(E)熱硬化性樹脂の種類によるが、導電性組成物中の(E)熱硬化性樹脂の含有量は、銀焼結体の空隙部への樹脂充填率の点から、(A)銀微粒子100質量部又は(A)銀微粒子及び(D)金属粒子の合計100質量部に対して、好ましくは2〜8質量部であり、より好ましくは2.5〜7質量部であり、さらに好ましくは3〜6質量部である。
【0063】
導電性組成物中に、(E)熱硬化性樹脂を含む場合は、さらに硬化剤を含んでいてもよい。硬化剤としては、エポキシ樹脂を硬化させるものであれば特に限定はなく、例えば、カチオン重合開始剤、アミン系硬化剤、酸無水物系硬化剤、フェノール系硬化剤等を使用することができる。
【0064】
本発明の導電性組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、硬化促進剤(例えば、2−メチルイミダゾ−ル、2−エチル−4−メチルイミダゾール等の複素環化合物イミダゾール類、トリフェニルホスフィン、テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート等のリン化合物類、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、ベンジルジメチルアミン等の第三級アミン類、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセンやその塩等のBBU類、アミン類、イミダゾ−ル類をエポキシ、尿素、酸等でアダクトさせたアダクト型促進剤類等)、分散剤(例えば、ビックケミー社製DISPERBYK101、DISPERBYK102、DISPERBYK103、DISPERBYK106、DISPERBYK111、DISPERBYK116、DISPERBYK142、DISPERBYK180、DISPERBYK192、DISPERBYK2001、DISPERBYK2020、楠本化成社製Disperlon PW-36、Disperlon DA-1401、Disperlon DA-550、Disperlon DA-325、Disperlon DA-375、Disperlon DA-234等の湿潤分散剤)、界面活性剤(例えば、ソルビタンモノオレエート)、チタンカップリング剤(例えば、イソプロピルトリイソステアロイルチタナート等のチタン酸エステル)、シランカップリング剤、難燃剤、レベリング剤、チキソトロピック剤、消泡剤、イオン捕捉剤等を含有することができる。
【0065】
[導電性組成物の製造方法]
本発明の導電性組成物の製造方法は、特に限定されず、各成分を、所定の配合で、遊星型攪拌機、ディソルバー、ビーズミル、ライカイ機、ポットミル、三本ロールミル、回転式混合機、二軸ミキサー等の混合機に投入し、混合して、製造することができる。
【0066】
[電子部品]
本発明の導電性組成物は、基材等の所望の部分に、スクリーン印刷等の従来公知の方法で印刷又は塗布した後、部品として半導体素子等を載置し、所定温度に加熱して焼成することにより、接合部を形成し、電子部品を形成することができる。導電性組成物の加熱温度は、120〜300℃とすることができ、好ましくは150〜250℃であり、より好ましくは180〜210℃である。加熱時間は、加熱温度によって、適宜、変更することができるが、例えば、15〜120分とすることができ、好ましくは、30〜90分である。焼成は、窒素雰囲気のような不活性気体中又は大気中で行うことができる。焼成のための装置としては、公知の電気炉や送風乾燥機、ベルト炉等が挙げられる。
【0067】
本発明の導電性組成物を用いて形成される接合部は、銀膜を形成する。接合部となる銀膜は、十分な機械的強度を有しており、かつ冷熱サイクル特性や耐久性も良好であり、信頼性の点で優れている。また、銀膜は、電気抵抗率3〜25μΩ・cmの十分な導電性を有し、かつ20〜150W/mKの範囲に含まれる高い熱伝導率を有する。接合部となる銀膜は、電気抵抗率が好ましくは5〜22μΩ・cm、より好ましくは8〜20μΩ・cmである接合部となる銀膜は、熱伝導率が好ましくは25〜120W/mK、より好ましくは27〜110W/mKである。本発明の導電性組成物は、プリント回路基板上の導電回路、コンデンサの電極等の形成に使用することができるが、上記のような特性を活かし、半導体装置等の電子部品の部品同士、基板と部品等の接合に好適に使用することができる。
【0068】
本発明の導電性組成物は、電子部品として半導体装置の接合部のダイアタッチ材としての応用に特に好適である。ダイアタッチ材としては、鉛はんだが汎用されているが、鉛の有害性のため、各国での鉛の使用制限がより厳しくなっている。本発明の熱伝導性ペーストを用いて得られるダイアタッチ材は、鉛の熱伝導率(一般に、35〜65W/mK)と同等又はそれ以上の熱伝導率を示し、かつ導電性も良好なため、鉛はんだの代替となる高熱伝導性ダイアタッチ材になり得るものである。本発明の導電性組成物は、半導体デバイスとして、例えばシリコンダイを接合する接合部を形成するためのダイアタッチ材として好適である。シリコンダイ以外にも、種々のもの、例えばSiCやGaNなどを用いることができる。
【0069】
更に、本発明の導電性組成物によれば、接合プロセスにおいて、加熱のみで、加圧することなく、強固な接合強度を得ることができる。ただし、加圧を行なってもよい。
半導体素子のチップサイズが、例えば0.1〜10mmと小さい場合、加圧することが難しく、加圧によって接合部の厚さを制御することは困難である。本発明の導電性組成物によれば、加圧によって接合部の厚みを制御することなく、熱可塑性樹脂粒子により銀微粒子の焼結による体積収縮を抑制して、接合部の所望の厚みを確保することができる。さらに、本発明の導電性組成物によれば、銀微粒子の焼結によって得られた銀膜中の熱可塑性樹脂粒子により、接合部にかかる応力を緩和して、半導体素子のクラック、接合部に自体のクラック、接合界面の剥離等を抑制することができる。
【0070】
本発明の導電性組成物は、半導体装置の接合部材のバンプとしての応用においても、好適である。
【実施例】
【0071】
以下、実施例により、本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0072】
実施例における分析は、以下のように行なった。
(1)銀微粒子及び金属粒子に関する測定
(1−1)個数平均粒子径
銀微粒子0.5g又は金属粒子0.5gを、分散水(ベックマン・コールター社製AEROSOL0.5%含有水)50ccに添加し、超音波分散機で5分間分散する。分散試料を、レーザー回折散乱式粒度分布測定(ベックマン・コールター社製LS230)により、個数平均粒子径を測定した。個数基準に基づき、一次粒子の個数平均粒子径を求めた。
(1−2)結晶子径
銀微粒子を、マックサイエンス社製X線回折測定装置(M18XHF22)による測定によって、CuのKα線を線源とした面指数(1,1,1)面ピークの半値幅を求め、Scherrerの式より結晶子径を計算した。
(1−3)焼結性
銀微粒子を、送風乾燥機にて200℃の温度条件下で20分から2時間保持したときに単身で焼結するか否かを日本電子社製電界放出形走査電子顕微鏡(JSM7500F)により確認した。
【0073】
(2)熱可塑性樹脂粒子に関する測定
(2−1)個数平均粒子径
熱可塑性樹脂粒子(パウダー樹脂)2gを、分散水(AEROSOL0.5%含有水)50ccに添加し、超音波分散機で5分間分散して、試料を作製した。この試料を、レーザー回折散乱式粒度分布測定(ベックマン・コールター社製LS230)により、個数平均粒子径を測定した。個数基準に基づき、一次粒子の個数平均粒子径を求めた。
(2−2)示差走査熱量測定
熱可塑性樹脂粒子(パウダー樹脂)10mgを、NETZSCH製示差走査熱量計(型番:DSC204 F1 Phoenix)で測定した。測定温度範囲は25℃以上300℃以下とし、昇温速度10℃/分で常温常湿下にて測定して得られる測定試料のDSC曲線から、吸熱ピークの極大値が存在する温度範囲を求める。
【0074】
(3)導電性組成物に関する測定
試料は、以下のようにして作製した。
導電性組成物を、スライドガラス基板上に0.5cm×5.0cm、厚みが100μmとなるように塗布し、送風乾燥機を用いて、室温(25℃)から200℃まで60分で昇温し、200℃で60分間保持して焼成を行い、銀膜を得た。これを各種分析の試料とした。
【0075】
(3−1)電気抵抗率(μΩ・cm)
導電性組成物を、スライドガラス上に、幅0.5cm・長さ5.0cm・厚み100μmとなるように塗布し、送風乾燥機にて、室温(25℃)から3℃/分の昇温速度で加熱を開始し、200℃に到達したところで200℃を維持しながら更に1時間の加熱を行った。その後、東京精密社製表面粗さ形状測定機(サーフコム300B)にて、得られた銀膜の膜厚を測定し、次いで東陽テクニカ社製マルチメーター(2001型(メモリー128K))を用いて四端子法にて電気抵抗の測定を行った。電気抵抗率は、得られた加熱硬化後の膜厚、電気抵抗から求めた。
【0076】
(3−2)熱伝導率(W/m・K)
導電性組成物を、スライドガラス上に、塗布厚み1〜2mmとなるように塗布し、そのままの状態で送風乾燥機にて、室温(25℃)から3℃/分の昇温速度で加熱を開始し、200℃に到達したところで200℃を維持しながら更に1時間の加熱を行った。加熱終了後、室温(25℃)まで十分に冷却し、スライドガラス上に形成された銀膜をスライドガラスからはがした。こうして得られた銀膜について、レーザーフラッシュ法(NETZSCH社製 Xe フラッシュアナライザー)を用いて熱伝導率を測定し、熱伝導率の値を得た。
【0077】
(3−3)弾性率(GPa)の測定
導電性組成物を、離型剤を塗布したスライドガラス上に、幅0.5cm・長さ4.0cm・厚み350μmとなるように塗布し、送風乾燥機にて、室温(25℃)から3℃/分の昇温速度で加熱を開始し、200℃に到達したところで200℃を維持しながら更に1時間の加熱を行った。加熱終了後、室温(25℃)まで十分に冷却し、スライドガラス上に形成された銀膜をスライドガラスからはがした。こうして得られた銀膜について、粘弾性測定装置(SII Nano Technology社製 DMS6100)を用いて室温(25℃)での引張り弾性率を求めた。なお、n=3で測定し、平均値を検査値とした。また、試験片の膜厚及び幅は、5点測定し、平均値を計算値に用いた。
【0078】
(3−4)ボイドの評価
導電性組成物を、銀メッキされた銅リードフレームの上に、幅3cm・長さ3cm・厚み100μmとなるように塗布し、シリコンチップ(金バックコーティング半導体チップ3mm×3mm)をマウントした。加重により塗布厚みが50μmになるように調節した後、バッチ式加熱炉にて3℃/分の昇温速度で加熱を開始し、200℃に到達したところで200℃を維持しながら更に1時間の加熱を続けた。加熱終了後、室温まで冷却することで、導電性組成物によって接合部を形成した評価用試験片を作製した。こうして得られた試験片を、デイジ社製X線検査装置(型番: XD7600NT)により、シリコンチップ上面からX線観察を行い、その画像を二値化処理することにより、ボイド(空隙部分)とボイドのない部分とを分け、画像全体からボイド(空隙)の存在する部分の値(ボイド率)を算出した。ボイド率が5%未満を○、5%以上を×と判定した。
【0079】
(3−5)接合部の断面観察
導電性組成物を、銀メッキされた銅リードフレームの上に塗布し、シリコンチップ(金バックコーティング半導体チップ2mm×2mm)をマウントした。加重により塗布厚みが50μmになるように調節した後、バッチ式加熱炉にて3℃/分の昇温速度で加熱を開始し、200℃に到達したところで200℃を維持しながら更に1時間の加熱を続けた。加熱終了後、評価用基板は室温まで冷却した。次いで、ストルアス社製モールド樹脂(SpeciFix Resin/SpeciFix-20 Curing Agent)に含浸し、モールド樹脂を硬化させて、試料を作製した。試料について、シリコンチップとリードフレームとの接合面に対して垂直になるように切断し、切断面を研磨によって表面を平滑にした後、カーボン蒸着させ、日本電子社製電界放出形走査電子顕微鏡(JSM7500F)によって、100倍〜50,000倍の倍率で、断面観察を行った。
【0080】
(3−6)ダイシェア強度(接合強度)
導電性組成物を、銀メッキされた銅リードフレームの上に塗布し、シリコンチップ(金バックコーティング半導体チップ2mm×2mm)をマウントした。加重により塗布厚みが50μmになるように調節した後、バッチ式加熱炉にて3℃/分の昇温速度で加熱を開始し、200℃に到達したところで200℃を維持しながら更に1時間の加熱を続けた。加熱終了後、室温まで冷却することで、評価用試験片を作製した。評価用試験片について、デイジ・ジャパン社製万能型ボンドテスター(シリーズ4000)によって、室温及び260℃における評価用試験片のダイシェア強度の測定を行った。
【0081】
(3−7)信頼性評価:冷熱サイクル試験
導電性組成物を、銀メッキされた銅リードフレームの上に幅3mm・長さ3mm・厚み100μmとなるように塗布し、シリコンチップ(金バックコーティング半導体チップ3mm×3mm)をマウントした。加重により塗布厚みが50μmになるように調節して導電性組成物を塗布した後、バッチ式加熱炉にて、室温から3℃/分の昇温速度で加熱を開始し、200℃に到達したところで200℃を維持しながら更に1時間の加熱を行った。加熱終了後、室温(25℃)まで冷却することで、導電性組成物によって接合部を形成した評価用試験片を作製した。こうして得られた試験片を、エスペック社製小型冷熱衝撃装置(TSE−11)に入れ、−55℃で5分間放置と+150℃で5分間放置を1サイクルとする冷熱衝撃1000サイクルの試験を行い、接合部にクラックや剥離がないか、日本電子社製電界放出形走査電子顕微鏡(JSM7500F)によって断面観察を行った。
【0082】
実施例で使用した各成分は、以下のとおりである。
【0083】
<(A)銀微粒子>
銀微粒子a
10Lのガラス製反応容器に3−メトキシプロピルアミン3.0kg(30.9mol)を入れた。撹拌しながら、反応温度を45℃以下に保持しつつ、酢酸銀5.0kg(30.0mol)を添加した。添加直後は、透明な溶液となり溶解していくが、添加が進むにつれ溶液が次第に濁り、全量を添加すると灰茶濁色の粘調溶液となった。そこへ95重量%のギ酸1.0kg(21.0mol)をゆっくり滴下した。滴下直後から激しい発熱が認められたが、その間、反応温度を30〜45℃に保持した。当初、灰濁色の粘調溶液が、茶色から黒色へ変化した。全量を滴下した後反応を終了させた。反応混合物を40℃で静置すると二層に分かれた。上層は黄色の透明な液であり、下層には黒色の銀微粒子が沈降した。上層の液には、銀成分が含まれていなかった。上層の液をデカンテーションで除去し、メタノールを使用して層分離させた後、再度、上層の液をデカンテーションで除去した。次いでジヒドロターピネオール0.3kg(1.9mol)を添加し、東京理化器械社製ロータリーエバポレーター(N−3010型)により残存しているメタノールを減圧・留去することで、銀微粒子の含有率90質量%の銀微粒子含有ペーストを得た。銀微粒子の特性は、以下のとおりである。表1において(A)銀微粒子aは、銀微粒子の含有率90質量%の銀微粒子含有ペーストの樹脂組成物中の配合割合(質量部)を示す。(i)銀微粒子aは、一次粒子の個数平均粒子径が61nm、結晶子径が40nm、平均粒子径/結晶子径が1.5(平均粒子径/結晶子径=1.5)であった。(ii)銀微粒子a含有ペースト中の銀微粒子は、送風乾燥機で200℃の温度で20分間焼成すると、ペースト中の溶媒等が揮発し、銀微粒子aが焼結した。焼結したかどうかは、日本電子社製電界放出形走査電子顕微鏡(JSM7500F)によって確認した。
【0084】
銀微粒子b
(i)銀微粒子bは、一次粒子の個数平均粒子径が40nm〜400nmであった。
(ii)銀微粒子bは、送風乾燥機にて180〜250℃の温度条件下で20分から2時間保持したときに単身で焼結しないことを、日本電子社製電界放出形走査電子顕微鏡(JSM7500F)により確認した。
【0085】
銀微粒子c
(i)銀微粒子cは、一次粒子の個数平均粒子径が400nmを超えた。
(ii)銀微粒子cは、送風乾燥機にて180〜250℃の温度条件下で20分から2時間保持したときに単身で焼結しないことを、日本電子社製電界放出形走査電子顕微鏡(JSM7500F)により確認した。
【0086】
<(B)溶剤>
ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート(米山薬品工業社製、沸点:245℃)
2−エチル−1,3−ヘキサンジオール(関東化学株式会社製、沸点:244℃)
2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール2−メチルプロパノアート(関東化学株式会社製、沸点:261℃)
【0087】
<(C)熱可塑性樹脂粒子>
熱可塑性樹脂粒子a:FIX376(ポリエステル樹脂)(Schaetti AG社製)、一次粒子の個数平均粒子径20〜25μm、DSCチャートにおける吸熱ピークの極大値が110℃〜130℃の範囲に存在する。
熱可塑性樹脂粒子b:FIX3110(ポリエステル樹脂)(Schaetti AG社製)、一次粒子の個数平均粒子径20〜25μm、DSCチャートにおける吸熱ピークの極大値が110℃〜140℃の範囲に存在する。
熱可塑性樹脂粒子c:Maxbond133(ポリエステル樹脂)(PCRG社製)、一次粒子の個数平均粒子径3〜6μm、DSCチャートにおける吸熱ピークの極大値が50℃〜75℃の範囲に存在する。
熱可塑性樹脂粒子d:Ulterm Resin 1000(ポリエーテルイミド樹脂)(SABIC社製)、一次粒子の個数平均粒子径15〜20μm、DSCチャートにおける吸熱ピークの極大値が25℃〜300℃の範囲に存在しない。
熱可塑性樹脂粒子e:Ulterm Resin STM1500(シロキサンポリエーテルイミドブロック共重合体)(SABIC社製)、一次粒子の個数平均粒子径10〜15μm、DSCチャートにおける吸熱ピークの極大値が25℃〜300℃の範囲に存在しない。
熱可塑性樹脂粒子f:FIX6220(ポリウレタン樹脂)(Schaetti AG社製)、一次粒子の個数平均粒子径20〜25μm、DSCチャートにおける吸熱ピークの極大値が115℃〜135℃の範囲に存在する。
熱可塑性樹脂粒子g:Orgasol3501 (ポリアミド樹脂)(ARKEMA社製)、一次粒子の個数平均粒子径8〜12μm、DSCチャートにおける吸熱ピークの極大値が140℃〜160℃の範囲に存在する。
熱可塑性樹脂粒子h:PDパウダー (ポリオレフィン樹脂)(エムテック化学社製)、一次粒子の個数平均粒子径10〜20μm、DSCチャートにおける吸熱ピークの極大値が80℃〜120℃の範囲に存在する。
熱可塑性樹脂粒子i:PPW−5 (ポリプロピレン樹脂)(セイシン企業社製)、一次粒子の個数平均粒子径5〜15μm、DSCチャートにおける吸熱ピークの極大値が130℃〜160℃の範囲に存在する。
熱可塑性樹脂粒子j:PM200 (ポリエチレン樹脂)(三井化学社製)、一次粒子の個数平均粒子径10〜20μm、DSCチャートにおける吸熱ピークの極大値が130℃〜150℃の範囲に存在する。
【0088】
図11は、熱可塑性樹脂粒子a〜fのNETZSCH製示差走査熱量計(型番:DSC204 F1 Phoenix)によるDSCチャートを示す。図12は、熱可塑性樹脂粒子g〜jのNETZSCH製示差走査熱量計(型番:DSC204 F1 Phoenix)によるDSCチャートを示す。
【0089】
<(D)金属粒子>
銀粒子d:(D)金属粒子として、一次粒子の個数平均粒子径が1.4μmの球状の銀粒子dを用いた。銀粒子の融点は、961℃である。
【0090】
<(E)熱硬化性樹脂>
液状エポキシ樹脂a:AK601:ヘキサヒドロフタル酸グリシジルエステル
【0091】
<硬化剤>
カチオン重合開始剤:4−メチルフェニル[4−(1−メチルエチル)フェニル]ヨードニウム=テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボラート(ヨードニウム塩系開始剤(ロードシル2074))(ローディア社製)
【0092】
<分散剤>
DISPERBYK111(ビックケミー社製)
【0093】
<スペーサー>
球状樹脂ビーズ(ミクロパールSP−215)(積水化学社製)、一次粒子の平均粒子径20μm
【0094】
実施例、参考例及び比較例の導電性組成物は、下記表1に示す成分を、下記表1に示す配合で、ハイブリッドミキサーを用いて撹拌・脱泡し、均一にして、導電性組成物を形成した。これらの導電性組成物を用いて、上記試験方法にて、各種特性を測定した。表1に示す配合は、質量部である。各種特性の結果を表1に示す。
【0095】
【表1】
【0096】
【表2】
【0097】
表1及び表2に示すように、実施例1〜17の導電性組成物を用いて形成した接合部は、接合強度(ダイシェア強度)が優れており、ボイドの発生が抑制されており、電気抵抗率が低く、熱伝導率が高く、弾性率が低かった。また、実施例2〜6及び実施例12〜17の導電性組成物を用いて形成した接合部は、ダイクラック及び剥離等が無かった。実施例1の導電性組成物のように、(C)熱可塑性樹脂粒子の含有量が2質量部であると、導電性組成物を用いて形成した接合部の熱伝導率が100W/mKと高くなった。実施例2〜7の導電性組成物のように、(C)熱可塑性樹脂粒子の含有量が2質量部を超えて10質量部以下であると、接合部の弾性率が小さくなり、接合部にかかる応力を緩和して、半導体素子のクラック、接合部自体のクラック、接合界面の剥離を防止でき、チップ面積の大きいパワーMOSFET等の部品を被着対象とする場合に好適に使用可能であることが確認できた。実施例8の導電性組成物のように、(E)熱硬化性樹脂を含まない導電性組成物は、−55℃〜150℃のサイクルを繰り返す冷熱サイクル試験を1000サイクル行った後は、接合部に若干剥離が確認できた。
【0098】
実施例9〜11のように、(A)銀微粒子と(D)金属粒子を含む導電性組成物を用いて形成した接合部は、接合強度(ダイシェア強度)が室温、高温(260℃)共に優れ、ボイドの発生が抑制されており、電気抵抗率、弾性率を低く維持しつつ、優れた熱伝導率を有していた。また、実施例9〜11の導電性組成物を用いて形成した接合部は、ダイクラック及び冷熱サイクル試験後も剥離は認められなかった。
【0099】
一方、比較例1、3、4の導電性組成物を用いて形成した接合部は、弾性率が高く堅くなり、温度サイクル試験後に、ダイクラック又は剥離が発生した。比較例1の導電性組成物は、スペーサーも熱可塑性樹脂粒子も含まれていないため、比較例の中でも、もっとも弾性率が高くなり、接合強度(ダイシェア強度)が低下し、剥離が生じた。比較例2の導電性組成物を用いて形成した接合部は、弾性率は比較的低いが、高温における接合強度が低下し、熱伝導率も低かった。比較例2の導電性組成物は、(C)熱可塑性樹脂粒子を含むものの、(C)熱可塑性樹脂粒子が、示差走査熱量計で用いた測定で得られるDSCチャートにおける吸熱ピークの極大値が80℃未満の範囲にあるものであり、焼結開始前に溶融して焼結を阻害してしまい電気抵抗率が上昇し、熱伝導率が低下した。比較例3〜4の導電性組成物は、(C)熱可塑性樹脂粒子を含むものの、(C)熱可塑性樹脂粒子が、示差走査熱量計で用いた測定で得られるDSCチャートにおける吸熱ピークの極大値が25℃〜300℃の範囲に存在しないため、熱可塑性樹脂粒子が銀微粒子の焼結時の体積収縮に追従することができず、接合部のボイドの発生を抑制できず、過激な冷熱サイクル試験後に接合部に剥離が生じた。比較例5の導電性組成物は、一次粒子の個数平均粒子径が400nmを超える銀微粒子cを含むため、200℃の加熱では焼結による銀微粒子同士の連結が少なくなり、電気抵抗率が著しく上昇し、熱伝導率が低下した。
【0100】
図3は、実施例1の導電性組成物を用いたチップ裏面を観察したX線画像である。図4は、実施例1の導電性組成物を用いた電子部品(試験片)の断面のFE−SEM画像(100倍)であり、図5〜7は、図4の一部拡大図(図5:700倍、図6:5000倍、図7:5000倍)である。
図3に示すように、チップの裏面の接合部には、ボイドの発生は確認できなかった。図3中、4は熱可塑性樹脂粒子であり、ボイドではない。また、図1の模式図において説明したように、図4〜7に示す結果から、接合部10において、(C)熱可塑性樹脂粒子4は変形し、(A)銀微粒子の焼結による体積収縮を抑制し、接合部10の厚みを維持していた。図6及び図7に示すように、熱可塑性樹脂粒子4以外の部分は、(A)銀微粒子同士は焼結して連結したポーラスな焼結体を形成していることが確認できる。
【0101】
図8は、参考例1の導電性組成物を用いたチップ裏面を観察したX線画像である。図9は、参考例の加熱硬化後のチップと基板を接合した接合部の100倍の断面図、図10は、図9の一部拡大図(図9:500倍)である。
図8に示すように、チップの裏面の接合部には、多数のボイド5が発生していた。
また、図2の模式図において説明したように、図9及び図10に示す結果から、(A)銀微粒子が焼結して体積収縮すると、変形しない球形スペーサー40によって、焼結によって体積収縮した銀微粒子の焼結体100と、Siチップとの間にボイド5が発生することが確認できた。
【産業上の利用可能性】
【0102】
本発明によれば、導電性組成物中の熱可塑性樹脂粒子が銀微粒子の焼結時に変形することによって、塗布厚みを維持することができ、銀微粒子の焼結による接合部の体積収縮に追随し、ボイドの発生を抑制して接合強度を維持することができる。また、本発明は、導電性組成物に特定の熱可塑性樹脂粒子を含むことによって、導電性組成物によって接合した接合部の弾性率を小さくし、被着対象のクラック、接合部のクラック、接合界面の剥離等を抑制することができる。本発明の導電性組成物によって得られる接合部は、電気伝導度及び熱伝導性の点においても優れており、バンプ及びダイアタッチ材等の半導体装置における接合部材として好適である。
【符号の説明】
【0103】
1:導電性組成物、2:基板、3:半導体素子(チップ)、4:熱可塑性樹脂粒子、5:ボイド、10:接合部、40:スペーサー、100:焼結体
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【国際調査報告】