(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO2016181593
(43)【国際公開日】20161117
【発行日】20180222
(54)【発明の名称】漏水状態推定システム、方法、および記録媒体
(51)【国際特許分類】
   G01M 3/28 20060101AFI20180126BHJP
【FI】
   !G01M3/28 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】27
【出願番号】2017517591
(21)【国際出願番号】JP2016001355
(22)【国際出願日】20160310
(31)【優先権主張番号】62/160,743
(32)【優先日】20150513
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
【住所又は居所】東京都港区芝五丁目7番1号
(74)【代理人】
【識別番号】100077838
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 憲保
(74)【代理人】
【識別番号】100129023
【弁理士】
【氏名又は名称】佐々木 敬
(72)【発明者】
【氏名】楠村 幸貴
【住所又は居所】東京都港区芝五丁目7番1号 日本電気株式会社内
(72)【発明者】
【氏名】タラセンコ セルゲイ
【住所又は居所】東京都港区芝五丁目7番1号 日本電気株式会社内
(72)【発明者】
【氏名】江藤 力
【住所又は居所】東京都港区芝五丁目7番1号 日本電気株式会社内
(72)【発明者】
【氏名】村岡 優輔
【住所又は居所】東京都港区芝五丁目7番1号 日本電気株式会社内
(72)【発明者】
【氏名】藤巻 遼平
【住所又は居所】東京都港区芝五丁目7番1号 日本電気株式会社内
【テーマコード(参考)】
2G067
【Fターム(参考)】
2G067AA13
2G067CC02
2G067DD04
2G067EE01
2G067EE08
2G067EE09
2G067EE12
(57)【要約】
本発明は、配水網の特定のエリアにおける漏水の状態を推定する漏水状態推定システムである。学習部は、過去流量データを異常値と通常値とに切り分けるようにラベル付けしたラベル付きデータと、過去環境状況データとを受け、ラベル付きデータ内の通常値を予測するための予測モデルを学習により構築し、どれくらいの期間確認すべきかを規定するスコアパラメータをも学習によって決定する。漏水推定部は、現在環境状況データを予測モデルに入力して得られる予測流量データと、現在流量データとを比較して誤差値を求め、スコアパラメータで規定されたウィンドウ幅の期間の間における、誤差値の平均値を計算して、特定のエリアでの漏水の状態を表す漏水スコアを推定する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
配水網の特定のエリアにおける漏水の状態を推定する漏水状態推定システムであって、
前記特定のエリアでの過去に計測された水使用量を表す過去流量データを異常値と通常値とに切り分けるようにラベル付けしたラベル付きデータと、前記過去流量データの計測時点での環境状況を示す過去環境状況データとを受け、前記過去環境状況データを入力して前記ラベル付きデータ内の前記通常値を予測するための予測モデルを学習により構築すると共に、前記予測モデルを使用して漏水を判定するのに必要な第1のスコアパラメータであって、どれくらいの期間確認すべきかを規定するウィンドウ幅を示す前記第1のスコアパラメータをも学習によって決定する学習部と、
現在の環境状況を示す現在環境状況データを前記予測モデルに入力して得られる予測流量データと、前記特定のエリアで現在計測された水使用量を表す現在流量データとを比較して誤差値を求め、前記第1のスコアパラメータで規定された前記ウィンドウ幅の期間の間における、前記誤差値の平均値を計算して、前記特定のエリアでの漏水の状態を表す漏水スコアを推定する漏水推定部と、
を含む漏水状態推定システム。
【請求項2】
前記学習部は、前記第1のスコアパラメータとして、複数の第1の候補スコアパラメータの中から第1の最適なスコアパラメータを選択して取得する、請求項1に記載の漏水状態推定システム。
【請求項3】
前記学習部は、前記予測モデルを使用して漏水を判定するのに必要な第2のスコアパラメータであって、前記予測流量データと前記現在流量データとの間の乖離がどれくらい大きければ漏水と見るべきかを規定する閾値を示す前記第2のスコアパラメータをも学習によって決定し、
前記漏水推定部は、前記誤差値と前記第2のスコアパラメータで規定された前記閾値とを比較して、2値化してヒンジ変換誤差値を得て、前記特定のエリアでの漏水の状態を表す漏水スコアを推定する、
請求項2に記載の漏水状態推定システム。
【請求項4】
前記学習部は、前記第2のスコアパラメータとして、複数の第2の候補スコアパラメータの中から第2の最適なスコアパラメータを選択して取得する、請求項3に記載の漏水状態推定システム。
【請求項5】
前記過去流量データに、前記異常値と前記通常値とに切り分ける漏水ラベルを付与して、該漏水ラベルを示す漏水情報と前記過去流量データとの組み合わせを前記ラベル付きデータとして生成するラベル付け部
を更に有する請求項1に記載の漏水状態推定システム。
【請求項6】
前記過去環境状況データは、過去カレンダ情報と過去天候情報とを含み、
前記現在環境状況データは、現在カレンダ情報と現在天候情報とを含む、
請求項1に記載の漏水状態推定システム。
【請求項7】
前記学習が異種混合学習からなる、請求項1に記載の漏水状態推定システム。
【請求項8】
前記漏水スコアを、前記第1のスコアパラメータと前記第2のパラメータとの関係が分かるように、前記予測流量データの時系列の値と前記現在流量データの時系列の値と共に、可視化して出力する出力装置を更に有する、請求項3に記載の漏水状態推定システム。
【請求項9】
漏水状態推定システムを用いて、配水網の特定のエリアにおける漏水の状態を推定する方法であって、
学習部において、前記特定のエリアでの過去に計測された水使用量を表す過去流量データを異常値と通常値とに切り分けるようにラベル付けしたラベル付きデータと、前記過去流量データの計測時点での環境状況を示す過去環境状況データとを受け、前記過去環境状況データを入力して前記ラベル付きデータ内の前記通常値を予測するための予測モデルを学習により構築すると共に、前記予測モデルを使用して漏水を判定するのに必要な第1のスコアパラメータであって、どれくらいの期間確認すべきかを規定するウィンドウ幅を示す前記第1のスコアパラメータをも学習によって決定する学習工程と、
漏水推定部において、現在の環境状況を示す現在環境状況データを前記予測モデルに入力して得られる予測流量データと、前記特定のエリアで現在計測された水使用量を表す現在流量データとを比較して誤差値を求め、前記第1のスコアパラメータで規定された前記ウィンドウ幅の期間の間における、前記誤差値の平均値を計算して、前記特定のエリアでの漏水の状態を表す漏水スコアを推定する漏水推定工程と、
を含む漏水状態推定方法。
【請求項10】
コンピュータに、配水網の特定のエリアにおける漏水の状態を推定させるための漏水状態推定プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体であって、前記コンピュータに、
前記特定のエリアでの過去に計測された水使用量を表す過去流量データを異常値と通常値とに切り分けるようにラベル付けしたラベル付きデータと、前記過去流量データの計測時点での環境状況を示す過去環境状況データとを受け、前記過去環境状況データを入力して前記ラベル付きデータ内の前記通常値を予測するための予測モデルを学習により構築すると共に、前記予測モデルを使用して漏水を判定するのに必要な第1のスコアパラメータであって、どれくらいの期間確認すべきかを規定するウィンドウ幅を示す前記第1のスコアパラメータをも学習によって決定する学習手順と、
現在の環境状況を示す現在環境状況データを前記予測モデルに入力して得られる予測流量データと、前記特定のエリアで現在計測された水使用量を表す現在流量データとを比較して誤差値を求め、前記第1のスコアパラメータで規定されたウィンドウ幅の期間の間における、前記誤差値の平均値を計算して、前記特定のエリアでの漏水の状態を表す漏水スコアを推定する漏水推定手順と、
を実行させるための漏水状態推定プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、上水道の配水網における漏水状況を監視するシステムに関し、特に、配水網の特定のエリアにおける漏水の状態を推定するシステム、方法、および記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
上水道の配水網は、DMA(District Meter Area)と呼ばれる小さなエリアに分割される。換言すれば、配水網は、互いに隣接した複数のDMAから成る。各DMAの出入口には、DMA流量計や、流量計及び圧力調整バルブ(PRV)などの流量センサが配置される。したがって、これらの流量センサによって各DMAに流入および各DMAから流出する水の流量[リットル/秒]を計測することによって、各DMAでの単位時間当たりの水使用量[リットル/時]を把握することができる。尚、以下では、各DMAを、「監視エリア」や「計測エリア」或いは単に「エリア」とも呼ぶ。
【0003】
周知のように、実際の水使用量は、計測時間帯(夜間であるか昼間であるか)によって異なり、時系列で変化する。また、計測日(平日であるか休日(土曜日、日曜日、祝日を含む)であるか)によっても、実際の水使用量は変動する。さらに、気温や降雨等の気候によっても、実際の水使用量は変動する。すなわち、実際の水使用量は、その時点における監視エリアの環境状況(例えば、外気温、曜日、時間帯等)によって変動する。
【0004】
そこで、過去において計測された水使用量を表す過去流量データをメモリに蓄積しておき、その蓄積データに基づいて現在の水使用量の予測値を求め、その予測値と現在の水使用量の実測値とを比較し、その比較結果(予測誤差)に基づいて当該監視エリアで漏水が起きているかを判断することが考えられる。その際、漏水の有無を判断するための材料(指標)として、当該監視エリアで漏水が起きている確率(漏水スコア)を出力してよい。
【0005】
ところで、現在の水使用量の予測値を求めるためには、過去に計測された水使用量を表す膨大な量の過去流量データ(ビッグデータ)をメモリに蓄積データとして蓄積しておき、その蓄積データから予測モデル(水使用量の予測式)を学習によって構築することが必要となる。
【0006】
一方、予測モデルを学習する一手法として、異種混合データの分析技術である異種混合学習(HML:heterogeneous mixture leaning)が知られている。その異種混合学習の一具体例として、因子化漸近ベイズ推論(FAB:factorized asymptotic Bayesian interference)がある(例えば、非特許文献1参照)。
【0007】
また、特許文献1は、最小配水量と水道管に漏洩がない場合に得られる許容漏水量とを比較し、最小配水量が許容漏水量よりも大であれば漏水有りと判定する漏水判定方法を提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2002−55019号公報
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】R. Fujimaki, S. Morinaga: “Factorized Asymptotic Interference for Mixture Modeling,” JMLR W&CP 22: pp. 400-408, 2012
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、単に、予測モデルを使用して得られた現在の水使用量の予測値と現在の水使用量の実測値とを比較しただけでは、配水網における漏水の状態を正確に推定することは困難である。何故なら、実際には漏水がないにも拘わらず、たままた現在の水使用量の実測値が通常値よりも急激に増大する場合もあり得るからである。従って、予測値と実測値とを比較して漏水を検知する方法においては、それがどれくらい続けば漏水と見るべきか、というパラメータを決める必要がある。このパラメータのチューニングは大変だった。
【0011】
上記特許文献1は、単に、最小配水量と許容漏水量とを比較して、漏水を判定する技術を開示しているに過ぎない。
【0012】
[発明の目的]
本発明の目的は、配水網の特定のエリアにおける漏水の状態を精度良く推定することができる、漏水状態推定システム、方法、および記録媒体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明における漏水状態推定システムは、配水網の特定のエリアにおける漏水の状態を推定する漏水状態推定システムであって、特定のエリアでの過去に計測された水使用量を表す過去流量データを異常値と通常値とに切り分けるようにラベル付けしたラベル付きデータと、過去流量データの計測時点での環境状況を示す過去環境状況データとを受け、過去環境状況データを入力してラベル付きデータ内の通常値を予測するための予測モデルを学習により構築すると共に、予測モデルを使用して漏水を判定するのに必要な第1のスコアパラメータであって、どれくらいの期間確認すべきかを規定するウィンドウ幅を示す上記第1のスコアパラメータをも学習によって決定する学習部と、現在の環境状況を示す現在環境状況データを上記予測モデルに入力して得られる予測流量データと、特定のエリアで現在計測された水使用量を表す現在流量データとを比較して誤差値を求め、第1のスコアパラメータで規定されたウィンドウ幅の期間の間における、誤差値の平均値を計算して、特定のエリアでの漏水の状態を表す漏水スコアを推定する漏水推定部と、を含む。
【0014】
また、本発明における漏水状態推定方法は、漏水状態推定システムを用いて、配水網の特定のエリアにおける漏水の状態を推定する方法であって、学習部において、特定のエリアでの過去に計測された水使用量を表す過去流量データを異常値と通常値とに切り分けるようにラベル付けしたラベル付きデータと、過去流量データの計測時点での環境状況を示す過去環境状況データとを受け、過去環境状況データを入力したラベル付きデータ内の通常値を予測するための予測モデルを学習により構築すると共に、上記予測モデルを使用して漏水を判定するのに必要な第1のスコアパラメータであって、どれくらいの期間確認すべきかを規定するウィンドウ幅を示す上記第1のスコアパラメータをも学習によって決定する学習工程と、漏水推定部において、現在の環境状況を示す現在環境状況データを上記予測モデルに入力して得られる予測流量データと、特定のエリアで現在計測された水使用量を表す現在流量データとを比較して誤差値を求め、第1のスコアパラメータで規定されたウィンドウ幅の期間の間における、誤差値の平均値を計算して、特定のエリアでの漏水の状態を表す漏水スコアを推定する漏水推定工程と、を含む。
【0015】
さらに、本発明におけるコンピュータ読み取り可能な記録媒体は、コンピュータに、配水網の特定のエリアにおける漏水の状態を推定させるための漏水状態推定プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体であって、上記コンピュータに、特定のエリアでの過去に計測された水使用量を表す過去流量データを異常値と通常値とに切り分けるようにラベル付けしたラベル付きデータと、過去流量データの計測時点での環境状況を示す過去環境状況データとを受け、過去環境状況データを入力してラベル付きデータ内の通常値を予測するための予測モデルを学習により構築すると共に、上記予測モデルを使用して漏水を判定するのに必要な第1のスコアパラメータであって、どれくらいの期間確認すべきかを規定するウィンドウ幅を示す第1のスコアパラメータをも学習によって決定する学習手順と、現在の環境状況を示す現在環境状況データを上記予測モデルに入力して得られる予測流量データと、特定のエリアで現在計測された水使用量を表す現在流量データとを比較して誤差値を求め、第1のスコアパラメータで規定されたウィンドウ幅の期間の間における、誤差値の平均値を計算して、特定のエリアでの漏水の状態を表す漏水スコアを推定する漏水推定手順と、を実行させるための漏水状態推定プログラムを記録する。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、配水網の特定のエリアにおける漏水の状態を精度良く推定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施形態に係る漏水状態推定システムが適用される、上水道の配水網の一例を示す概略図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る漏水状態推定システムのハードウェア構成を示すブロック図である。
【図3】図2に示した漏水状態推定システムに使用される出力装置の表示画面上に表示された可視化例を示す図である。
【図4】図2に示した漏水状態推定システム中の主な構成要素を示すブロック図である。
【図5】図2に示した漏水状態推定システム中の3つの主要構成要素を示すブロック図である。
【図6】図5に示した漏水状態推定システムの概略動作を説明するためのブロック図である。
【図7】図6に示した学習部の動作を説明するためのフローチャートである。
【図8】図7に示したステップS103の動作をさらに詳細に説明するためのフローチャートである。
【図9】図6に示した漏水推定部の動作を説明するためのフローチャートである。
【図10】図2に示した漏水状態推定システムに使用される学習部の主な構成要素を示すブロック図である。
【図11】図10に示した学習部に使用される学習器モジュールの動作を説明するためのフローチャートである。
【図12】図10に示した学習部に使用される予測器モジュールの動作を説明するためのフローチャートである。
【図13】図10に示した学習部に使用される評価器モジュールの動作を説明するためのフローチャートである。
【図14】図10に示した学習部においてスコアパラメータを最適化する動作を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1は、本発明の実施形態に係る漏水状態推定システムが適用される、上水道の配水網10の一例を示す概略図である。
【0019】
図1に示されるように、上水道の配水網10は、DMA(District Meter Area)と呼ばれる小さなエリアに分割される。図1に示す例では、配水網10は、「DMA1」〜「DMA7」としてそれぞれ図示された、第1乃至第7のエリア12−1〜12−7に分割されている。換言すれば、配水網10は、互いに隣接した複数のDMA(DMA1〜DMA7)から成る。各DMAは、「監視エリア」や「計測エリア」或いは単に「エリア」とも呼ばれる。
【0020】
図1に示されるように、各監視エリア12−1〜12−7の出入口には、DMA流量計14や、流量計及び圧力調整バルブ(PRV)16などの流量センサが配置される。したがって、これらの流量センサ14、16を用いて各監視エリア12−1〜12−7に/から流入/流出する水の流量[リットル/秒]を計測することによって、各監視エリア12−1〜12−7での単位時間当たりの水使用量[リットル/時]を把握することができる。
【0021】
[実施の形態]
図2は、本発明の一実施形態に係る漏水状態推定システム100のハードウェア構成を示すブロック図である。図示の漏水状態推定システム100は、プログラム制御により動作するコンピュータで実現可能である。
【0022】
図示の漏水状態推定システム100は、図1に示されるような配水網10の特定のエリアにおける漏水の状態を推定するシステムである。ここで、特定のエリアは、第1乃至第7の監視エリア12−1〜12−7の各々であってよい。この場合、漏水状態推定システム100は、各監視エリア12−1〜12−7毎に、漏水の状態を推定することになる。ここで、漏水推定システム100が各監視エリア12−1〜12−7に対して実施する漏水の状態を推定する処理は、実質的に同じである。したがって、以下では説明を簡略化するために、漏水状態推定システム100が特定の1つの監視エリア(本例では、第1の監視エリア12−1)における漏水の状態を推定する場合についてのみ説明する。
【0023】
尚、特定のエリアは、互いに隣接する複数の監視エリアの集合であってもよいし、配水網10の全エリアであってもよい。
【0024】
漏水状態推定システム100は、通信インターフェイス(以下、「通信I/F」と記す)101と、データを入力する入力装置102と、データを出力する出力装置103と、後述するプログラムやデータを記憶する記憶装置104と、データを処理するデータ処理装置105とを備えている。
【0025】
通信I/F101は、専用のデータ通信回路から成る。通信I/F101は、通信ネットワーク(図示せず)を介してまたは無線により受信したデータを、データ処理装置105へ送出する機能を有する。入力装置102は、キーボードやマウスなどから成る。入力装置102は、オペレータの操作を検出して、その操作情報をデータ処理装置105へ送出する機能を有する。
【0026】
通信I/F101は、第1の監視エリア(特定のエリア)12−1の出入口に設けられた流量センサ14、16で測定された水の流量[リットル/秒]を示す流量データを、通信ネットワーク(図示せず)を介して又は無線で受信する。測定された流量データは、データ処理装置105へ送出される。
【0027】
また、通信I/F101は、たとえば気象庁で発表された、当該第1の監視エリア12−1の気候情報を、インターネット等(図示せず)を介して受信する。その代わりに、オペレータが入力装置102から第1の監視エリア12−1の気候情報を入力してもよい。ここで、気候情報は、第1の監視エリア12−1における気温や湿度などの情報、雨や晴れ曇りなどの気象情報を含む。受信又は入力された気候情報は、データ処理装置105へ送出される。
【0028】
さらに、通信I/F101は、インターネット等(図示せず)を介してカレンダ情報を受信する。その代わりに、オペレータが入力装置102からカレンダ情報を入力してもよい。ここで、カレンダ情報は、年/月/日を示す情報および曜日(祝日の区別を含む)を示す情報を含む。受信又は入力されたカレンダ情報は、データ処理装置105へ送出される。
【0029】
気候情報やカレンダ情報は、第1の監視エリア12−1の環境状況を示す。従って、気候情報およびカレンダ情報の組み合わせは、第1の監視エリア12−1の環境状況を示す環境状況データと呼ばれる。
【0030】
出力装置103は、LCD(Liquid Crystal Display)やPDP(Plasma Display Panel)などの表示装置やプリンタからなる。出力装置103は、データ処理装置105からの指示に応じて、操作メニューなどの各種情報を表示したり、最終結果を印字出力する機能を有する。
【0031】
記憶装置104は、ハードディスクやリードオンリメモリ(ROM)およびランダムアクセスメモリ(RAM)などのメモリからなる。記憶装置104は、データ処理装置105における各種処理に必要な処理情報(後述する)やプログラム201を記憶する機能を有する。
【0032】
データ処理装置105は、MPU(micro processing unit)などのマイクロプロセッサや中央処理装置(CPU)から成る。データ処理装置105は、記憶装置104からプログラム201を読み込んで、プログラム201に従ってデータを処理する各種処理部を実現する機能を有する。
【0033】
データ処理装置105で実現される主な処理部は、水使用量計算部301、環境状況保存部302、ラベル付け部303、学習部304、および漏水推定部305から成る。
【0034】
水使用量計算部301は、通信I/F101を介して流量センサ14、16で計測された、第1の監視エリア12−1に流入する水の流量[リットル/秒]を示す流入流量データと、第1の監視エリア12−1から流出する水の流量[リットル/秒]を示す流出流量データとを受ける。これら流入流量データや流出流量データは、たとえば、15分間隔の離散サンプルデータであってもよいし、時系列の連続したデータであってもよい。水使用量計算部301は、流入流量データから流出流量データを引いてその差を求め、その差を所定時間(本例では、1時間)積算又は積分して、第1の監視エリア(特定のエリア)12−1での単位時間当たりの水使用量[リットル/時]を求める。
【0035】
水使用量計算部301は、その特定のエリア12−1で現在計測された水使用量[リットル/時]を表す現在流量データ202を、記憶装置104に保存するする。したがって、現在流量データ202は所定時間(一時間)ごとに更新される。また、水使用量計算部301は、所定時間(一時間)ごとに、更新前の現在流量データ202を、過去流量データ203として記憶装置104に保存する。従って、過去流量データ203も所定時間ごとに更新される。現在流量データ202および過去流量データ203は、時刻[時]が付されたデータである。過去流量データ203は、たとえば、過去8年分(2007年〜1014年)のデータからなる。
【0036】
環境状況保存部302は、通信I/F101を介して受信した又は入力装置102から入力した、第1の監視エリア12−1の気候情報およびカレンダ情報を環境状況データとして受ける。環境状況保存部302は、第1の管理エリア(特定のエリア)12−1における現在の環境状況を示す現在環境状況データ204を、記憶装置104に保存する。現在環境状況データ204も所定時間(一時間)ごとに更新される。現在環境状況データ204は、現在カレンダ情報と現在天候情報とから成る。
【0037】
また、環境状況保存部302は、所定時間(一時間)ごとに、更新前の現在環境状況データ204を、過去環境状況データ205として記憶装置104に保存する。従って、過去環境状況データ205も所定時間(一時間)ごとに更新される。過去環境状況データ205は、過去流量データ203の計測時点での環境状況を示す。過去環境状況データ205は、対応する過去流量データ203と紐付けて記憶装置104に保存される。過去環境状況データ205は、過去カレンダ情報と過去天候情報とから成る。過去環境状況データ205も、たとえば、過去8年分(2007年〜2014年)のデータからなる。
【0038】
ラベル付け部303は、記憶装置104から過去流量データ203を読み込み、過去流量データ203を漏水のある異常値と漏水のない通常値とに切り分けるようにラベル付けする。換言すれば、ラベル付け部303は、過去流量データ203に漏水ラベルを付与する。ラベル付け部303は、付与した漏水ラベルを漏水情報206として記憶装置104に保存する。漏水情報206は、漏水のある日のリスト(異常値のリスト)と、通常の流量である日のリスト(通常値のリスト)とから成る。過去流量データ203と漏水情報206との組み合わせはラベル付きデータ(203,206)と呼ばれる。したがって、ラベル付き部303は、過去環境状況データ204を参照して、過去流量データ203からラベル付きデータ(203,206)を生成するように働く。尚、異常値と通常値との切り分けは、種々の既知の方法を使用して行うことができる。例えば、ナイトラインフロー法と呼ばれる方法がある。これは、夜間(例えば、午前2時から午前4時)に水を使用するユーザはほとんどいないため、夜間の流量データは一定になるべきである、という仮説に基づく方法である。つまり、ある日付の流量が異常値であるか通常値であるかを比較するために、その日の前後30日の夜間の最小流量を算出する。そして、夜間の流量と、この最小流量を比較し、ある閾値を超えている場合に、異常値として判断する方法である。あるいは、別の修理データなどデータを元に切り分けを行っても良い。修理データとは、例えば、日付、修理実施日、修理前流量、修理後流量から成るデータである。このデータを元に、修理前の流量Aを異常状態での流量、修理後の流量を通常状態での流量Bとし、例えば、A+B/2よりも流量が大きい期間を異常値、そうでない期間を通常値、として切り分けを行うことが考えられる。
【0039】
学習部304は、記憶装置104からラベル付きデータ(203,206)と過去環境状況データ205とを読み出す。学習部304は、過去環境状況データ205を入力してラベル付きデータ(203,206)の通常値を予測するための予測モデル(水使用量の予測式)207を学習により構築する。学習部304は、構築した予測モデル207を記憶装置104に保存する。
【0040】
本例では、予測モデル207を使用して漏水を判定するのに必要なスコアパラメータとして、2種類のスコアパラメータを使用する。ここでは、これら2種類のスコアパラメータを第1および第2のスコアパラメータT、αと呼ぶ。第1のスコアパラメータTは、どれくらいの期間確認すべきかを規定するウィンドウ幅を示す。第2のスコアパラメータαは、予測値と実測値との間の乖離がどれくらい大きければ漏水と見るべきかを規定する閾値を示す。
【0041】
これら第1および第2のスコアパラメータT、αの内、少なくとも第1のスコアパラメータTには複数の候補があるので、その中から最適なものを選択することが好ましい。換言すれば、第2のスコアパラメータαとしては、固定値のものを使用してもよいが、第1のスコアパラメータTだけは最適なものを選択することが望ましい。
【0042】
尚、本発明の実施形態に係る漏水状態推定システム100では、第1および第2のスコアパラメータT、αの各々には複数の候補が存在し、その候補の中から最適なものを選択する。学習部304は、これら候補スコアパラメータ208を作成して、記憶装置104に保存する。
【0043】
詳述すると、本実施形態では、学習部304は、第1のスコアパラメータTとして、複数の第1の候補スコアパラメータから1つの第1の最適なスコアパラメータを選択して取得している。また、学習部304は、第2のスコアパラメータαとして、複数の第2の候補スコアパラメータから1つの第2の最適なスコアパラメータを選択して取得している。学習部304は、このように選択された最適なスコアパラメータ209を記憶装置104に保存する。
【0044】
漏水推定部305は、記憶装置104から予測モデル207と現在環境状況データ204とを読み出す。漏水推定部305は、現在環境状況データ204を予測モデル207に入力して予測流量データ210を得る。漏水推定部305は、予測流量データ210を記憶装置104に保存する。
【0045】
次に、漏水推定部305は、記憶装置104から予測流量データ210と現在流量データ202とを読み出す。漏水推定部205は、予測流量データ210と現在流量データ202とを比較して、誤差値(予測誤差)を求める。漏水推定部305は、記憶装置104から最適なスコアパラメータ209を読み出す。漏水推定部205は、最適なスコアパラメータ209を用いて誤差値(予測誤差)から、第1の監視エリア(特定のエリア)12−1での漏水の状態を表す漏水スコア211を推定する。
【0046】
詳述すると、漏水推定部305は、先ず、予測流量データ2010(予測値)と現在流量データ202(実測値)との間の誤差値(予測誤差)と第2のスコアパラメータαで規定された閾値とを比較して、2値化することによりヒンジ変換誤差値を得る。次に、漏水推定部305は、第1のスコアパラメータTで規定されたウィンドウ幅の期間の間における、上記ヒンジ変換誤差値の平均値を計算して、そのヒンジ変換誤差値の平均値を、第1の監視エリア(特定のエリア)12−1での漏水の状態を表す漏水スコア211として出力する。
【0047】
漏水推定部305は、漏水スコア211を記憶装置104に保存すると共に、漏水スコア210を出力装置103へ送出して、表示または印字出力させる。
【0048】
ここで、「漏水スコア」とは、第1の監視エリア(特定のエリア)12−1で漏水が起きている確率であって、0〜1の間の値をとる。0の値の漏水スコアは、第1の監視エリア(特定のエリア)12−1で漏水が全く起きていないことを示す。1の値の漏水スコアは、第1の監視エリア(特定のエリア)12−1で漏水が確実に起きていることを示す。したがって、ユーザは、出力装置103に出力された漏水スコアに基づいて、第1の監視エリア(特定のエリア)12−1で漏水が起きているか否かを判断することができる。
【0049】
尚、漏水が起きているか否かを判断するための閾値は、ユーザにおいて独自に設定することが可能である。例えば、閾値を0.7に設定したとする。この場合、漏水スコアが0.7より小さい場合、ユーザは第1の監視エリア(特定のエリア)12−1で漏水が起きていないと判断する。一方、漏水スコアが0.7を超えた場合、ユーザは第1の監視エリア(特定のエリア)12−1で漏水が起きていると判断する。漏水スコア211が上記閾値以上の場合に、漏水推定部305はユーザにアラームを通知する。
【0050】
その際、漏水推定部305は、図3に示すように、出力装置103の表示画面上に、漏水スコア211を、第1のスコアパラメータTと第2のスコアパラメータαとの関係が分かるように、予測流量データ210の時系列の値(予測値)と現在流量データ202の時系列の値(実測値)と共に、可視化して出力する。図3において、網掛けの部分は、予測値と実測値との間の乖離(予測誤差)が第2のスコアパラメータα以上の範囲を示している。これにより、ユーザが漏水の開始タイミング等を直観的に理解することができる、という効果がある。
【0051】
尚、図2に示した漏水状態推定システム100は、2つ以上の物理的に分離した装置が有線または無線で接続されることにより構成されていても良い。
【0052】
図4は、図2に示した漏水状態推定システム100中の主な構成要素を示すブロック図である。
【0053】
漏水状態推定システム100は、主な構成要素として、ラベル付け部303と、学習部304と、漏水推定部305とを有する。
【0054】
ラベル付け部303は、過去流量データ203と、過去カレンダ情報および過去天候情報を含む過去環境状況データ205とを受ける。ラベル付け部303は、過去流量データ203を異常値と通常値とに切り分けて、過去流量データ203に漏水ラベルを付与する。ラベル付け部303は、過去流量データ203と漏水ラベルを示す漏水情報206とから成るラベル付きデータ(203、206)を学習部304へ送出する。
【0055】
学習部304は、ラベル付きデータ(203、206)の中の通常値を予測する予測モデル207を学習により構築する。学習部304は、過去流量データ203の計測値と予測モデル207によって得られた予測値とに基づいて、漏水スコアを判定する最適なスコアパラメータ209を学習する。学習部304は、学習した予測モデル207と最適なスコアパラメータ209とを漏水推定部305へ送出する。
【0056】
漏水推定部305は、現在流量データ202と、現在カレンダ情報および現在天候情報を含む現在環境状況データ205とを受ける。漏水推定部305は、現在環境状況データ205を予測モデル207に入力して、現在水使用量の予測値である予測流量データ210を算出する。そして、漏水推定部305は、その予測値(予測流量データ)210と、実計測した現在水使用量の実測値(現在流量データ)202と、最適なスコアパラメータ209とに基づいて、漏水スコア211を算出する。
【0057】
図5は、図2に示した漏水推定システム100中の3つの主要構成要素を示すブロック図である。
【0058】
漏水推定システム100は、3つの主要構成要素として、ラベル付け部303と、学習部304と、漏水推定部305とを含む。
ラベル付け部303は、過去流量データ203における漏水を識別する。学習部304は、予測モデル207を訓練すると共に、漏水推定部305で使用されるスコアパラメータ209を調整する。漏水推定部305は漏水スコア211を算出する。
【0059】
図6は、図5に示した漏水状態推定システム100の概略動作を説明するためのブロック図である。
【0060】
最初に、ラベル付け部303の動作について説明する。ラベル付け部303は、記憶装置104から過去流量データ203を読み出す。過去流量データ203は、特定のエリア12−1において計測した過去水使用量データである。ラベル付け部303は、過去流量データ202に、異常値と通常値とに切り分けた漏水ラベルである漏水情報206を付与する。この漏水情報206は、漏水のあった日のリストと、通常に流れている日のリストとから成る。ラベル付け部303は、漏水情報206を記憶装置104に保存する。
【0061】
次に、学習部304の動作について説明する。学習部304は、記憶装置104から過去流量データ203と漏水情報206とを読み出す。学習部304は、過去流量データ203と漏水情報206とから、通常値を予測する予測モデル207を学習によって構築する。また、学習部304は、漏水推定部305で使用される最適なスコアパラメータ209を選択する。学習部304は、予測モデル207と最適なスコアパラメータ209とを記憶装置104に保存する。
【0062】
最後に、漏水推定部305の動作について説明する。漏水推定部305は、記憶装置104から予測モデル207と最適なスコアパラメータ209とを読み出す。また、漏水推定部305は、記憶装置104から現在流量データ202を読み出す。現在流量データ202は、チェックするための現在水使用量データである。漏水推定部305は、予測モデル207に現在環境状況データ204(図2参照)を入力して得られる予測値(予測流量データ)210と、実測値(現在流量データ)202とを比較して誤差値(予測誤差)を求める。引き続いて、漏水推定部305は、その誤差値(予測誤差)から最適なスコアパラメータ209を使用して、特定のエリア12−1での漏水の状態を表す漏水スコア211を推定する。
【0063】
図7は、学習部304の動作を説明するためのフローチャートである。以下、図7を参照して、学習部304の動作について説明する。
【0064】
先ず、学習部304は、記憶装置104から入力データを読み込む(ステップS101)。ここで、入力データは、過去流量データと、ラベル付きデータである。
【0065】
次に、学習部304は、候補スコアパラメータ208を生成する(ステップS102)。詳述すると、学習部304は、次の第1および第2のスコアパラメータT、αを変更することによって組み合わせを生成する。
【0066】
例えば、予め設定されたT、αが以下である場合、
T=[6,12,24]
α=[0.7,0.9.1.1]
次のような組み合わせが生成される。
(T, α)= (6, 0.7), (6, 0.9), (6, 1.1), (12, 0.7), (12, 0.9), (12, 1.1), (24, 0.7), (24, 0.9), (24, 1.1),
【0067】
ここで、第1のスコアパラメータTの数字の値の単位は、[時間]である。学習部304では、これらの組み合わせを、候補スコアパラメータ208として使用する。
【0068】
次に、学習部304は、予測モデル207を訓練し、最適なスコアパラメータ209を選択する(ステップS103)。
【0069】
図8を参照して、このステップS103の動作について更に詳細に説明する。
【0070】
学習部304は、まず、流量データを事前処理する(ステップS201)。詳述すると、異常値を排除するため、あらかじめ定義された最大値・最小値との比較を行い、その範囲内にないデータは間引く。また、学習部304は、学習特徴を生成する。ここで、学習特徴は、時間、月、平日、休日である。
【0071】
次に、学習部304は、予め定義された学習期間のサンプルを使用して予測モデル207を生成する(ステップS202)。すなわち、学習部304は、すべての学習期間に対して予測モデル207を生成する。詳述すると、学習部304は、通常の流量データから予測モデル207を訓練する。学習部304は、異種混合学習(HML)を用いて学習特徴から、流量データを予測する予測モデル207を生成する。次に、学習部304は、予測モデル207から通常の流量(通常値)を予測する。
【0072】
ここで、異種混合学習とは、通常時(漏水が起こっていないと仮定した場合)の水使用量を予測する予測モデルを学習するための数ある手法のうちの一例である。異種混合学習技術は、上記非特許文献1に記載されているように、多種多様なデータに混在するデータ同士の関連性から、特定の規則性を自動で発見するとともに、分析するデータに応じて参照する規則を切り替える。これにより、“単一の規則性のみを発見して、それを参照するような従来の機械学習”では分析が困難であった「規則性が変化するデータ」でも高精度な予測や異常検出が可能になる。
【0073】
次に、学習部304は、予め定義されたパラメータ選択期間のデータを用いて最適なスコアパラメータの組を選択する(ステップS203)。このステップS203では、学習部304は、まず、すべての候補スコアパラメータの組に対して評価スコアを計算する。詳述すると、学習部304は、すべての候補スコアパラメータの組に対して評価スコアを計算する。次に、学習部304は、最大の評価スコアを持つスコアパラメータの組を最適なスコアパラメータ209として選択する。
【0074】
図7に戻って、学習部304は、予め定義された最終学習期間のデータを用いて最終的な予測モデル207を訓練する(ステップS104)。詳述すると、学習部304は、最新のデータに対して予測モデル207を訓練する。そして、学習部304は、予測モデル207を記憶装置104(図2参照)に保存する。
【0075】
最後に、学習部304は、結果を出力する(ステップS105)。詳述すると、学習部340は、最終的な予測モデル207と最適なスコアパラメータ209を記憶装置104(図2参照)に保存する。
【0076】
図9は、漏水推定部305の動作を説明するためのフローチャートである。以下、図9を参照して、漏水推定部305の動作について説明する。
【0077】
先ず、漏水推定部305は、現在の環境状況を示す現在環境状況データ204を予測モデル207に入力して、予測流量データ(予測値)210を得て、その予測流量データ210を記憶装置104に保存する(ステップS301)。
【0078】
次に、漏水推定部305は、記憶装置104から流量の予測値(予測流量データ)210と実測値(現在流量データ)202とを読み出す(ステップS302)。ここでは、予測モデルが1つあるとする。
【0079】
引き続いて、漏水推定部305は、予測値210と実測値202との間の誤差値(予測誤差)と第2の最適なスコアパラメータαとを比較して2値化することにより、次の式(1)のように、ヒンジ変換(Hinge Transform)誤差値を得る(ステップS303)。
【0080】
【数1】
ここで、y(t)は実測値を表し、y(t)は予測値を表す。
【0081】
次に、漏水推定部305は、次の式(2)に従って、第1の最適なスコアパラメータTで規定されたウィンドウ幅の期間の間、ヒンジ変換誤差値のすべてを加算して、その結果を正規化して、漏水スコアscore(t)を得る(ステップS304)。
【0082】
【数2】
【0083】
上述したように、本実施の形態に係る漏水状態推定システム100では、過去流量データ203を事前にラベル付けしておくことで、漏水時の異常値を省いた予測モデル207を構築することができる。そのため、予測値(予測流量データ)210の精度が良くなるという利点がある。
【0084】
また、本実施の形態に係る漏水状態推定システム100では、過去流量データ203を事前にラベル付けしておくことで、漏水時とそうでない場合とを切り分けるための種々のスコアパラメータα、Tを自動的にチューニングすることができる。
【0085】
図10は、図2に示した漏水状態推定システム100に使用される学習部304の主な構成要素を示すブロック図である。
【0086】
学習部304は、主な構成要素として、学習器モジュール401と、予測器モジュール402と、スコアラモジュール403と、評価器モジュール404とを有する。
【0087】
最初に、図11を参照して、学習器モジュール401の動作について説明する。
【0088】
先ず、学習器モジュール401は、非漏水データ(x、y)を受ける(ステップS401)。ここで、Yは流量を示し、Xは月、時間、平日、および休日の特徴を含む。次に、学習器モジュール401は、異種混合学習器を呼び出し、予測モデルを構築する(ステップS402)。最後に、学習器モジュール401は、予測モデルをダンプする(ステップS403)。
【0089】
次に、図12を参照して、予測器モジュール402の動作について説明する。
【0090】
先ず、予測器モジュール402は、非漏水データ(x)を受ける(ステップS501)。ここで、Xは月、時間、平日および休日の特徴を含む。次に、予測器モジュール402は、予測器を呼び出す(ステップS502)。最後に、予測器モジュール402は、予測流量データ210(図2参照)を得る(ステップS503)。
【0091】
スコアラモジュール403は、図9を参照して説明した漏水推定部305の動作と実質的に同じ動作をするので、その詳細な説明を省略する。漏水推定部305とスコアラモジュール403との間の相違点は次の通りである。
【0092】
まず、漏水推定部305には、入力データとして、現在流量データ202と現在カレンダ情報および現在天候情報を含む現在環境状況データ204とが供給されるのに対して、スコアラモジュール403には、入力データとして、過去流量データ203と過去カレンダ情報および過去天候情報を含む過去環境状況データ205とが供給される。また、漏水推定部305では、第1および第2のスコアパラメータとして第1および第2の最適なスコアパラメータ209を使用しているのに対して、スコアラモジュール403では、第1および第2のスコアパラメータとして第1および第2の候補スコアパラメータ208を使用している。
【0093】
次に、図13を参照して、評価器モジュール404の動作について説明する。
【0094】
先ず、評価器モジュール404は、スコアラモジュール403からスコアと記憶装置104から漏水情報206としての漏水のあった日のリストと、を受ける(ステップS601)。次に、評価器モジュール404は、入力スコアに対してMAP(Mean Average Precision)を計算する(ステップS602)。MAPとは、検索結果などのランキングに対する評価指標である。MAPは、あるアイテムの集合に対するランキングと、N個の正解アイテム集合が与えられており、 正解アイテムiについて、ランキング上の順位をrank[i] (ただし、i<j ならばrank[i]<rank[j]となるようソートされている)とするとき、以下の式で計算される。
【0095】
【数3】
【0096】
ここでは、入力スコアの降順で日付をランキングした、日付の集合に対するMAPを計算するために、漏水が発生した日付を正解としてみたMAPを計算する。
【0097】
すなわち、MAPは、以下の手順で算出される。
1.スコアラモジュール403から得たスコアの降順で各日付をソートし、日付についてのランキングを生成する。
2.漏水のあった日それぞれについて、1のランキング上の順位を参照し、リスト化する。
3.2の順位のリストを降順でソートし、長さNの配列rankとして見て、上記の式によりMAPを算出する。
【0098】
図14は、学習部304におけるスコアパラメータを最適化する動作(S203)を説明するためのフローチャートである。以下、図14を参照して、スコアパラメータを最適化する動作について説明する。スコアパラメータの最適化は、学習部304のスコアラモジュール403と評価器モジュール404とを用いて行われる。
【0099】
まず、学習部304は、変数counterを0に初期化する(ステップS801)。次に、学習部304は、スコアラモジュール403を使用してスコアを計算する(ステップS802)。引き続いて、学習部304は、図13に示す評価器モジュール404の動作を行う(ステップS803)。
【0100】
次に、学習部304は、現在のMAPが以前のMAPより大きいかを判断する(ステップS804)。もし、現在のMAPが以前のMAPより大きくないなら(ステップS804のno)、学習部304は、ステップS802に戻る。もし、現在のMAPが以前のMAPより大きいなら(ステップS804のyes)、学習部304は、最適なスコアパラメータを更新する(ステップS805)。
【0101】
次に、学習部304は、変数counterがスコアパラメータリストの長さより小さいかを判断する(ステップS806)。もし、変数counterがスコアパラメータリストの長さより小さいなら(ステップS806のyes)、変数counterを1つインクリメントして(ステップS807)、ステップS802に戻る。一方、もし、変数counterがスコアパラメータリストの長さより小さくないなら(ステップS806のNo)、学習部304は動作を終了する。
【0102】
本実施形態に係る漏水状態推定システム100の各部は、ハードウェアとソフトウェアとの組み合わせを用いて実現すればよい。ハードウェアとソフトウェアとを組み合わせた形態では、ROMに記憶された漏水状態推定プログラムに基づいて制御部(CPU)等のハードウェアを動作させることによって、各部を各種手段として実現する。また、該漏水状態推定プログラムは、記録媒体に記録されて頒布されても良い。当該記録媒体に記録された漏水状態推定プログラムは、有線、無線、又は記録媒体そのものを介して、メモリに読込まれ、制御部等を動作させる。尚、記録媒体を例示すれば、オプティカルディスクや磁気ディスク、半導体メモリ装置、ハードディスクなどが挙げられる。
【0103】
このような構成の本実施形態に係る漏水状態推定システム100は、配水網10の特定のエリア12−2における漏水の状態を精度良く推定することができる。
【0104】
なお、上述の実施形態において、実施形態の処理は、プログラム、ソフトウェア、又はコンピュータによって実行されることが可能な命令でコード化された、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体に格納された情報を、コンピュータにインストールすることによって実行されてもよい。記憶媒体には、光ディスク、フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスク等の可搬型の記録媒体が含まれることはもとより、ネットワークのようにデータを一時的に記録保持するような伝送媒体も含まれる。
【0105】
[変形例]
以上、実施形態を参照して本願発明を説明したが、本願発明は上記実施形態に限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、本願発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
【0106】
例えば、上述した実施形態では、環境状況データとしてカレンダ情報と天候情報とを例に挙げて説明しているが、環境状況データはこれら情報には限定されず、たとえば、特定のエリアに居住する人の人口情報等の情報を含んでも良い。
【0107】
また、上述した実施形態では、学習として異種混合学習を例に挙げて説明しているが、学習はこれに限定されず、たとえば、線形回帰学習等の他の学習であってもよい。
【0108】
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
【0109】
(付記1)
配水網の特定のエリアにおける漏水の状態を推定する漏水状態推定システムであって、
前記特定のエリアでの過去に計測された水使用量を表す過去流量データを異常値と通常値とに切り分けるようにラベル付けしたラベル付きデータと、前記過去流量データの計測時点での環境状況を示す過去環境状況データとを受け、前記過去環境状況データを入力して前記ラベル付きデータ内の前記通常値を予測するための予測モデルを学習により構築すると共に、前記予測モデルを使用して漏水を判定するのに必要な第1のスコアパラメータであって、どれくらいの期間確認すべきかを規定するウィンドウ幅を示す前記第1のスコアパラメータをも学習によって決定する学習部と、
現在の環境状況を示す現在環境状況データを前記予測モデルに入力して得られる予測流量データと、前記特定のエリアで現在計測された水使用量を表す現在流量データとを比較して誤差値を求め、前記第1のスコアパラメータで規定された前記ウィンドウ幅の期間の間における、前記誤差値の平均値を計算して、前記特定のエリアでの漏水の状態を表す漏水スコアを推定する漏水推定部と、
を含む漏水状態推定システム。
【0110】
(付記2)
前記学習部は、前記第1のスコアパラメータとして、複数の第1の候補スコアパラメータの中から第1の最適なスコアパラメータを選択して取得する、付記1に記載の漏水状態推定システム。
【0111】
(付記3)
前記学習部は、前記予測モデルを使用して漏水を判定するのに必要な第2のスコアパラメータであって、前記予測流量データと前記現在流量データとの間の乖離がどれくらい大きければ漏水と見るべきかを規定する閾値を示す前記第2のスコアパラメータをも学習によって決定し、
前記漏水推定部は、前記誤差値と前記第2のスコアパラメータで規定された前記閾値とを比較して、2値化してヒンジ変換誤差値を得て、前記特定のエリアでの漏水の状態を表す漏水スコアを推定する、
付記2に記載の漏水状態推定システム。
【0112】
(付記4)
前記学習部は、前記第2のスコアパラメータとして、複数の第2の候補スコアパラメータの中から第2の最適なスコアパラメータを選択して取得する、付記3に記載の漏水状態推定システム。
【0113】
(付記5)
前記過去流量データに、前記異常値と前記通常値とに切り分ける漏水ラベルを付与して、該漏水ラベルを示す漏水情報と前記過去流量データとの組み合わせを前記ラベル付きデータとして生成するラベル付け部
を更に有する付記1に記載の漏水状態推定システム。
【0114】
(付記6)
前記過去環境状況データは、過去カレンダ情報と過去天候情報とを含み、
前記現在環境状況データは、現在カレンダ情報と現在天候情報とを含む、
付記1に記載の漏水状態推定システム。
【0115】
(付記7)
前記学習が異種混合学習からなる、付記1に記載の漏水状態推定システム。
【0116】
(付記8)
前記漏水スコアを、前記第1のスコアパラメータと前記第2のスコアパラメータとの関係が分かるように、前記予測流量データの時系列の値と前記現在流量データの時系列の値と共に、可視化して出力する出力装置を更に有する、付記3に記載の漏水状態推定システム。
【0117】
(付記9)
漏水状態推定システムを用いて、配水網の特定のエリアにおける漏水の状態を推定する方法であって、
学習部において、前記特定のエリアでの過去に計測された水使用量を表す過去流量データを異常値と通常値とに切り分けるようにラベル付けしたラベル付きデータと、前記過去流量データの計測時点での環境状況を示す過去環境状況データとを受け、前記過去環境状況データを入力してラベル付きデータ内の通常値を予測するための予測モデルを学習により構築すると共に、前記予測モデルを使用して漏水を判定するのに必要な第1のスコアパラメータであって、どれくらいの期間確認すべきかを規定するウィンドウ幅を示す前記第1のスコアパラメータをも学習によって決定する学習工程と、
漏水推定部において、現在の環境状況を示す現在環境状況データを前記予測モデルに入力して得られる予測流量データと、前記特定のエリアで現在計測された水使用量を表す現在流量データとを比較して誤差値を求め、前記第1のスコアパラメータで規定された前記ウィンドウ幅の期間の間における、前記誤差値の平均値を計算して、前記特定のエリアでの漏水の状態を表す漏水スコアを推定する漏水推定工程と、
を含む漏水状態推定方法。
【0118】
(付記10)
前記学習工程では、前記学習部が、前記第1のスコアパラメータとして、複数の第1の候補スコアパラメータの中から第1の最適なスコアパラメータを選択して取得する、付記9に記載の漏水状態推定システム。
【0119】
(付記11)
前記学習工程では、前記学習部が、前記予測モデルを使用して漏水を判定するのに必要な第2の候補スコアパラメータであって、前記予測流量データと前記現在流量データとの間の乖離がどれくらい大きければ漏水と見るべきかを規定する閾値を示す前記第2のスコアパラメータをも学習によって決定し、
前記漏水推定工程では、前記漏水推定部が、前記誤差値と前記第2のスコアパラメータで規定された前記閾値とを比較して、2値化してヒンジ変換誤差値を得て、前記特定のエリアでの漏水の状態を表す漏水スコアを推定する、
付記10に記載の漏水状態推定方法。
【0120】
(付記12)
前記学習工程では、前記学習部が、前記第2のスコアパラメータとして、複数の第2の候補スコアパラメータの中から第2の最適なスコアパラメータを選択して取得する、付記11に記載の漏水状態推定システム。
【0121】
(付記13)
ラベル付け部において、前記過去流量データに、前記異常値と前記通常値とに切り分ける漏水ラベルを付与して、該漏水ラベルを示す漏水情報と前記過去流量データとの組み合わせを前記ラベル付きデータとして生成するラベル付け工程
を更に含む付記9に記載の漏水状態推定方法。
【0122】
(付記14)
前記過去環境状況データは、過去カレンダ情報と過去天候情報とを含み、
前記現在環境状況データは、現在カレンダ情報と現在天候情報とを含む、
付記9に記載の漏水状態推定方法。
【0123】
(付記15)
前記学習が異種混合学習からなる、付記9に記載の漏水状態推定方法。
【0124】
(付記16)
出力装置において、前記漏水スコアを、前記第1のスコアパラメータと前記第2のスコアパラメータとの関係が分かるように、前記予測流量データの時系列の値と前記現在流量データの時系列の値と共に、可視化して出力する可視化工程を更に含む、付記11に記載の漏水状態推定方法。
【0125】
(付記17)
コンピュータに、配水網の特定のエリアにおける漏水の状態を推定させるための漏水状態推定プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体であって、前記コンピュータに、
前記特定のエリアでの過去に計測された水使用量を表す過去流量データを異常値と通常値とに切り分けるようにラベル付けしたラベル付きデータと、前記過去流量データの計測時点での環境状況を示す過去環境状況データとを受け、前記過去環境状況データを入力して前記ラベル付きデータ内の前記通常値を予測するための予測モデルを学習により構築すると共に、前記予測モデルを使用して漏水を判定するのに必要な第1のスコアパラメータであって、どれくらいの期間確認すべきかを規定するウィンドウ幅を示す前記第1のスコアパラメータをも学習によって決定する学習手順と、
現在の環境状況を示す現在環境状況データを前記予測モデルに入力して得られる予測流量データと、前記特定のエリアで現在計測された水使用量を表す現在流量データとを比較して誤差値を求め、前記第1のスコアパラメータで規定された前記ウィンドウ幅の期間の間における、前記誤差値の平均値を計算して、前記特定のエリアでの漏水の状態を表す漏水スコアを推定する漏水推定手順と、
を実行させるための漏水状態推定プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【0126】
(付記18)
前記学習手順は、前記コンピュータに、前記第1のスコアパラメータとして、複数の第1の候補スコアパラメータの中から第1の最適なスコアパラメータを選択して取得させる、付記17に記載の漏水状態推定プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【0127】
(付記19)
前記学習手順は、前記コンピュータに、前記予測モデルを使用して漏水を判定するのに必要な第2のスコアパラメータであって、前記予測流量データと前記現在流量データとの間の乖離がどれくらい大きければ漏水と見るべきかを規定する閾値を示す前記第2のスコアパラメータをも学習によって決定させ、
前記漏水推定手順は、前記コンピュータに、前記誤差値と前記第2のスコアパラメータで規定された前記閾値とを比較して、2値化してヒンジ変換誤差値を得て、前記特定のエリアでの漏水の状態を表す漏水スコアを推定させる、
付記18に記載の漏水状態推定プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【0128】
(付記20)
前記学習手順は、前記コンピュータに、前記第2のスコアパラメータとして、複数の第2の候補スコアパラメータの中から第2の最適なスコアパラメータを選択して取得させる、付記19に記載の漏水状態推定プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【0129】
(付記21)
前記コンピュータに、前記過去流量データに、前記異常値と前記通常値とに切り分ける漏水ラベルを付与して、該漏水ラベルを示す漏水情報と前記過去流量データとの組み合わせを前記ラベル付きデータとして生成するラベル付け手順
を更に実行させる付記17に記載の漏水状態推定プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【0130】
(付記22)
前記過去環境状況データは、過去カレンダ情報と過去天候情報とを含み、
前記現在環境状況データは、現在カレンダ情報と現在天候情報とを含む、
付記17に記載の漏水状態推定プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【0131】
(付記23)
前記学習が異種混合学習からなる、付記17に記載の漏水状態推定プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【0132】
(付記24)
前記コンピュータに、前記漏水スコアを、前記第1のスコアパラメータと前記第2のスコアパラメータとの関係が分かるように、前記予測流量データの時系列の値と前記現在流量データの時系列の値と共に、可視化して出力する可視化手順
を更に実行させる付記19に記載の漏水状態推定プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【産業上の利用可能性】
【0133】
本発明は、上水道管中を流れる水の漏れ検知ばかりでなく、ガス管中を流れるガスの漏れ検知や、その他の配管中を流れる液体や気体などの流体の漏れ検知などといった用途に適用可能である。
【0134】
この出願は、2015年5月13日に出願された米国仮出願62/160,743を基礎とする優先権を主張し、その開示のすべてをここに取り込む。
【符号の説明】
【0135】
10 配水網
12−1 監視エリア(特定のエリア;DMA)
12−2〜12−6 監視エリア(DMA)
14 DMA流量計(流量センサ)
16 流量計及び圧力調整バルブ(流量センサ)
100 漏水状態推定システム
101 通信I/F
102 入力装置
103 出力装置
104 記憶装置
105 データ処理装置
201 プログラム
202 現在流量データ(実測値)
203 過去流量データ
204 現在環境状況データ
205 過去環境状況データ
206 漏水情報
207 予測モデル(水使用量の予測式)
208 候補スコアパラメータ
209 最適なスコアパラメータ
210 予測流量データ(予測値)
211 漏水スコア
301 水使用量計算部
302 環境状況保存部
303 ラベル付け部
304 学習部
305 漏水推定部
401 学習器モジュール
402 予測器モジュール
403 スコアラモジュール
404 評価器モジュール
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【国際調査報告】