(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO2017119196
(43)【国際公開日】20170713
【発行日】20181018
(54)【発明の名称】H形鋼の製造方法及び圧延装置
(51)【国際特許分類】
   B21B 1/08 20060101AFI20180921BHJP
【FI】
   !B21B1/08 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】24
【出願番号】2017560043
(21)【国際出願番号】JP2016084141
(22)【国際出願日】20161117
(31)【優先権主張番号】2016002066
(32)【優先日】20160107
(33)【優先権主張国】JP
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA
(71)【出願人】
【識別番号】000006655
【氏名又は名称】新日鐵住金株式会社
【住所又は居所】東京都千代田区丸の内二丁目6番1号
(74)【代理人】
【識別番号】100101557
【弁理士】
【氏名又は名称】萩原 康司
(74)【代理人】
【識別番号】100096389
【弁理士】
【氏名又は名称】金本 哲男
(74)【代理人】
【識別番号】100095957
【弁理士】
【氏名又は名称】亀谷 美明
(72)【発明者】
【氏名】山下 浩
【住所又は居所】東京都千代田区丸の内二丁目6番1号 新日鐵住金株式会社内
【テーマコード(参考)】
4E002
【Fターム(参考)】
4E002AC02
4E002AC03
4E002BB01
4E002BC01
4E002BC05
4E002CA18
(57)【要約】
【課題】従来に比べフランジ幅の大きなH形鋼製品を効率的且つ安定的に製造すると共に、フランジ幅の大きなH形鋼製品においてフランジ幅の異なるH形鋼を同一のロールでもって造り分ける。
【解決手段】粗圧延工程を行う圧延機には、被圧延材を造形する7以上の複数の孔型が刻設され、複数の孔型は、被圧延材の幅方向に対し鉛直に割り込みを入れる突起部が設けられた前段孔型としての複数の割り入れ孔型と、当該割り入れ孔型によって形成された被圧延材のフランジ相当部を折り曲げる後段孔型としての複数の折り曲げ孔型から構成され、割り入れ孔型は、長さの異なる2種類の割り込みを入れる孔型を有し、折り曲げ孔型は、割り入れ孔型において被圧延材に形成された長さの異なる2種類のフランジ相当部に対応した寸法の孔型を有し、折り曲げ孔型では、少なくとも1パス以上の造形において被圧延材の端面と孔型周面とが接触した状態で圧下が行われる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
粗圧延工程、中間圧延工程、仕上圧延工程を備えたH形鋼の製造方法であって、
前記粗圧延工程を行う圧延機には、被圧延材を造形する7以上の複数の孔型が刻設され、
前記複数の孔型では被圧延材の1又は複数パス造形が行われ、
前記複数の孔型は、被圧延材の幅方向に対し鉛直に割り込みを入れる突起部が設けられた前段孔型としての複数の割り入れ孔型と、当該割り入れ孔型によって形成された被圧延材のフランジ相当部を折り曲げる後段孔型としての複数の折り曲げ孔型から構成され、
前記割り入れ孔型は、長さの異なる2種類の割り込みを入れる孔型を有し、
前記折り曲げ孔型は、前記割り入れ孔型において被圧延材に形成された長さの異なる2種類のフランジ相当部に対応した寸法の孔型を有し、
前記折り曲げ孔型では、少なくとも1パス以上の造形において被圧延材の端面と孔型周面とが接触した状態で圧下が行われることを特徴とする、H形鋼の製造方法。
【請求項2】
複数の前記折り曲げ孔型には、前記割り入れ孔型によって形成されたフランジ相当部に押し当てることで当該フランジ相当部を折り曲げる突起部がそれぞれ設けられることを特徴とする、請求項1に記載のH形鋼の製造方法。
【請求項3】
複数の前記割り入れ孔型に設けられた突起部の先端角度はいずれも25°以上40°以下であることを特徴とする、請求項1又は2に記載のH形鋼の製造方法。
【請求項4】
複数の前記折り曲げ孔型においては、長さの異なる2種類のフランジ相当部に対応した寸法の孔型のそれぞれについて、先端角度の異なる2種類の突起部が設けられた構成で2段に設けられ、
当該2段に設けられた折り曲げ孔型のうち、一方の孔型の突起部の先端角度は70°以上110°以下であり、
他方の突起部の先端角度は130°以上170°以下であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載のH形鋼の製造方法。
【請求項5】
前記粗圧延工程は、サイジングミル及び粗圧延機において行われ、
複数の前記割り入れ孔型及び複数の前記折り曲げ孔型のうちの前段孔型は前記サイジングミルのロールに刻設され、
複数の前記折り曲げ孔型のうちの後段孔型は前記粗圧延機のロールに刻設されることを特徴とする、請求項4に記載のH形鋼の製造方法。
【請求項6】
前記粗圧延工程は、1基の粗圧延機において行われ、
複数の前記割り入れ孔型及び複数の前記折り曲げ孔型のうちの前段孔型による造形は、当該粗圧延機の1ヒート目にて行われ、
複数の前記折り曲げ孔型のうちの後段孔型による造形は、当該粗圧延機の2ヒート目にて行われることを特徴とする、請求項4に記載のH形鋼の製造方法。
【請求項7】
厚みが同一且つ幅の異なる素材を用い、
ウェブ高さが同一であり、且つフランジ幅が異なるH形鋼を製造する、請求項1〜6のいずれか一項に記載のH形鋼の製造方法。
【請求項8】
H形鋼の製造における粗圧延工程を行う圧延装置であって、
被圧延材の1又は複数パス造形を行う7以上複数の孔型が刻設され、
前記複数の孔型は、被圧延材の幅方向に対し鉛直に割り込みを入れる突起部が設けられた前段孔型としての複数の割り入れ孔型と、当該割り入れ孔型によって形成された被圧延材のフランジ相当部を折り曲げる後段孔型としての複数の折り曲げ孔型から構成され、
前記割り入れ孔型は、長さの異なる2種類の割り込みを入れる孔型を有し、
前記折り曲げ孔型は、前記割り入れ孔型において被圧延材に形成された長さの異なる2種類のフランジ相当部に対応した寸法の孔型を有し、
前記折り曲げ孔型は、少なくとも1パス以上の造形において被圧延材の端面と孔型周面とが接触する構成を有することを特徴とする、圧延装置。
【請求項9】
複数の前記折り曲げ孔型には、前記割り入れ孔型によって形成されたフランジ相当部に押し当てることで当該フランジ相当部を折り曲げる突起部がそれぞれ設けられることを特徴とする、請求項8に記載の圧延装置。
【請求項10】
複数の前記割り入れ孔型に設けられた突起部の先端角度はいずれも25°以上40°以下であることを特徴とする、請求項8又は9に記載の圧延装置。
【請求項11】
複数の前記折り曲げ孔型においては、長さの異なる2種類のフランジ相当部に対応した寸法の孔型のそれぞれについて、先端角度の異なる2種類の突起部が設けられた構成で2段に設けられ、
当該2段に設けられた折り曲げ孔型のうち、一方の孔型の突起部の先端角度は70°以上110°以下であり、
他方の突起部の先端角度は130°以上170°以下であることを特徴とする、請求項8〜10のいずれか一項に記載の圧延装置。
【請求項12】
サイジングミル及び粗圧延機から構成され、
複数の前記割り入れ孔型及び複数の前記折り曲げ孔型のうちの前段孔型は前記サイジングミルのロールに刻設され、
複数の前記折り曲げ孔型のうちの後段孔型は前記粗圧延機のロールに刻設されることを特徴とする、請求項11に記載の圧延装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、2016年1月7日に日本国に出願された特願2016−002066号に基づき、優先権を主張し、その内容をここに援用する。
【0002】
本発明は、例えば矩形断面であるスラブ等を素材としてH形鋼を製造する製造方法及び圧延装置に関する。
【背景技術】
【0003】
H形鋼を製造する場合には、加熱炉から抽出されたスラブやブルーム等の素材を粗圧延機(BD)によって粗形材(所謂ドッグボーン形状の被圧延材)に造形し、中間ユニバーサル圧延機によって上記粗形材のウェブやフランジの厚さを圧下し、併せて前記中間ユニバーサル圧延機に近接したエッジャー圧延機によって被圧延材のフランジに対し幅圧下や端面の鍛錬と整形が施される。そして、仕上ユニバーサル圧延機によってH形鋼製品が造形される。
【0004】
このようなH形鋼の製造方法において、矩形断面であるスラブ素材から所謂ドッグボーン形状の粗形材を造形する際には、粗圧延工程の第1の孔型においてスラブ端面に割り込みを入れた後、第2以降の孔型において当該割り込みを割広げる、又は、割り込み深さを深くさせエッジング圧延を行い、それ以降の孔型にてスラブ端面の割り込みを消去する技術が知られている(例えば特許文献1参照)。
【0005】
また、例えば特許文献2には、スラブ端面に割り込みを入れ当該割り込みを順次深くし、その後ボックス孔型において押し拡げ、H形鋼のフランジ相当部を形成させる技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平7−88501号公報
【特許文献2】特開昭60−21101号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
近年、構造物等の大型化に伴い大型のH形鋼製品の製造が望まれている。特にH形鋼の強度・剛性に大きく寄与するフランジを従来に比べて広幅化した製品が望まれている。フランジが広幅化されたH形鋼製品を製造するためには、粗圧延工程における造形から従来に比べフランジ幅の大きな被圧延材を造形する必要がある。
【0008】
しかしながら、例えば上記特許文献1に開示されている技術では、スラブ等の素材の端面(スラブ端面)に割り込みを入れ、当該端面をエッジングし、その幅拡がりを利用して粗圧延を行う方法では、フランジの広幅化に限界がある。即ち、従来の粗圧延方法においてフランジの広幅化を図るためにはウェッジ設計(割り込み角度の設計)、圧下調整、潤滑調整といった技術により幅拡がりの向上が図られるが、いずれの方法もフランジ幅に大幅に寄与するものではないため、エッジング量に対するフランジ幅の拡がり量の比率を示す幅拡がり率は、エッジングの初期段階の効率が最も高い条件でも0.8程度であり、同一孔型でエッジングを繰り返す条件では、フランジ幅の拡がり量が大きくなるにつれて低下し、最終的には0.5程度になることが知られている。また、スラブ等の素材自体を大型化し、エッジング量を大きくすることも考えられるが、粗圧延機の設備規模や圧下量等には装置限界があるため十分な製品フランジの広幅化が実現されないといった事情がある。
【0009】
また、例えば特許文献2に開示されている技術では、割り込みを入れたスラブ等の素材に対して、特に割り込み形状の変遷等を経ずに、即座に底面がフラット形状のボックス孔型によってエッジング圧延を行い、フランジ相当部を造形しており、このような方法では被圧延材の形状を急激に変化させることに伴う形状不良が生じやすい。特に、このような造形における被圧延材の形状変化は、被圧延材とロールとの接触部の力と、被圧延材の曲げ剛性との関係によって定まるものであり、従来に比べフランジ幅の大きなH形鋼を製造する場合には形状不良がより生じやすいといった問題がある。
【0010】
更に、近年では、フランジを従来に比べて広幅化した製品においても、種々のサイズ(寸法)が望まれており、例えば、同一の厚みを有するスラブ素材からフランジ幅の異なるH形鋼を同一のロールでもって造り分けるといった技術が望まれている。
【0011】
このような事情に鑑み、本発明の目的は、H形鋼を製造する際の孔型を用いた粗圧延工程において、スラブ等の素材の端面に鋭角の先端形状をした突起部で深く割り込みを入れ、それによって形成されたフランジ部を順次折り曲げることによって、被圧延材における形状不良の発生を抑制させ、従来に比べフランジ幅の大きなH形鋼製品を効率的且つ安定的に製造すると共に、フランジ幅の大きなH形鋼製品においてフランジ幅の異なるH形鋼を同一のロールでもって造り分けることが可能なH形鋼の製造方法及び圧延装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記の目的を達成するため、本発明によれば、粗圧延工程、中間圧延工程、仕上圧延工程を備えたH形鋼の製造方法であって、前記粗圧延工程を行う圧延機には、被圧延材を造形する7以上の複数の孔型が刻設され、前記複数の孔型では被圧延材の1又は複数パス造形が行われ、前記複数の孔型は、被圧延材の幅方向に対し鉛直に割り込みを入れる突起部が設けられた前段孔型としての複数の割り入れ孔型と、当該割り入れ孔型によって形成された被圧延材のフランジ相当部を折り曲げる後段孔型としての複数の折り曲げ孔型から構成され、前記割り入れ孔型は、長さの異なる2種類の割り込みを入れる孔型を有し、前記折り曲げ孔型は、前記割り入れ孔型において被圧延材に形成された長さの異なる2種類のフランジ相当部に対応した寸法の孔型を有し、前記折り曲げ孔型では、少なくとも1パス以上の造形において被圧延材の端面と孔型周面とが接触した状態で圧下が行われることを特徴とする、H形鋼の製造方法が提供される。
【0013】
複数の前記折り曲げ孔型には、前記割り入れ孔型によって形成されたフランジ相当部に押し当てることで当該フランジ相当部を折り曲げる突起部がそれぞれ設けられても良い。
【0014】
複数の前記割り入れ孔型に設けられた突起部の先端角度はいずれも25°以上40°以下であっても良い。
【0015】
複数の前記折り曲げ孔型においては、長さの異なる2種類のフランジ相当部に対応した寸法の孔型のそれぞれについて、先端角度の異なる2種類の突起部が設けられた構成で2段に設けられ、当該2段に設けられた折り曲げ孔型のうち、一方の孔型の突起部の先端角度は70°以上110°以下であり、他方の突起部の先端角度は130°以上170°以下であっても良い。
【0016】
前記粗圧延工程は、サイジングミル及び粗圧延機において行われ、複数の前記割り入れ孔型及び複数の前記折り曲げ孔型のうちの前段孔型は前記サイジングミルのロールに刻設され、複数の前記折り曲げ孔型のうちの後段孔型は前記粗圧延機のロールに刻設されても良い。
【0017】
前記粗圧延工程は、1基の粗圧延機において行われ、複数の前記割り入れ孔型及び複数の前記折り曲げ孔型のうちの前段孔型による造形は、当該粗圧延機の1ヒート目にて行われ、複数の前記折り曲げ孔型のうちの後段孔型による造形は、当該粗圧延機の2ヒート目にて行われても良い。
【0018】
厚みが同一且つ幅の異なる素材を用い、ウェブ高さが同一であり、且つフランジ幅が異なるH形鋼を製造しても良い。
【0019】
別な観点からの本発明によれば、H形鋼の製造における粗圧延工程を行う圧延装置であって、被圧延材の1又は複数パス造形を行う7以上複数の孔型が刻設され、前記複数の孔型は、被圧延材の幅方向に対し鉛直に割り込みを入れる突起部が設けられた前段孔型としての複数の割り入れ孔型と、当該割り入れ孔型によって形成された被圧延材のフランジ相当部を折り曲げる後段孔型としての複数の折り曲げ孔型から構成され、前記割り入れ孔型は、長さの異なる2種類の割り込みを入れる孔型を有し、前記折り曲げ孔型は、前記割り入れ孔型において被圧延材に形成された長さの異なる2種類のフランジ相当部に対応した寸法の孔型を有し、前記折り曲げ孔型は、少なくとも1パス以上の造形において被圧延材の端面と孔型周面とが接触する構成を有することを特徴とする、圧延装置が提供される。
【0020】
複数の前記折り曲げ孔型には、前記割り入れ孔型によって形成されたフランジ相当部に押し当てることで当該フランジ相当部を折り曲げる突起部がそれぞれ設けられても良い。
【0021】
複数の前記割り入れ孔型に設けられた突起部の先端角度はいずれも25°以上40°以下であっても良い。
【0022】
複数の前記折り曲げ孔型においては、長さの異なる2種類のフランジ相当部に対応した寸法の孔型のそれぞれについて、先端角度の異なる2種類の突起部が設けられた構成で2段に設けられ、当該2段に設けられた折り曲げ孔型のうち、一方の孔型の突起部の先端角度は70°以上110°以下であり、他方の突起部の先端角度は130°以上170°以下であっても良い。
【0023】
サイジングミル及び粗圧延機から構成され、複数の前記割り入れ孔型及び複数の前記折り曲げ孔型のうちの前段孔型は前記サイジングミルのロールに刻設され、複数の前記折り曲げ孔型のうちの後段孔型は前記粗圧延機のロールに刻設されても良い。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、H形鋼を製造する際の孔型を用いた粗圧延工程において、スラブ等の素材の端面に鋭角の先端形状をした突起部で深く割り込みを入れ、それによって形成されたフランジ部を順次折り曲げることによって、被圧延材における形状不良の発生を抑制させ、従来に比べフランジ幅の大きなH形鋼製品を効率的且つ安定的に製造すると共に、フランジ幅の大きなH形鋼製品においてフランジ幅の異なるH形鋼を同一のロールでもって造り分けることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】H形鋼の製造ラインについての概略説明図である。
【図2】第1孔型の概略説明図である。
【図3】第2−1孔型の概略説明図である。
【図4】第2−2孔型の概略説明図である。
【図5】第3−1孔型の概略説明図である。
【図6】第3−2孔型の概略説明図である。
【図7】第4−1孔型の概略説明図である。
【図8】第4−2孔型の概略説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0027】
図1は、本実施の形態にかかる圧延設備1を含むH形鋼の製造ラインTについての説明図である。図1に示すように、製造ラインTには上流側から順に、加熱炉2、サイジングミル3、粗圧延機4、中間ユニバーサル圧延機5、仕上ユニバーサル圧延機8が配置されている。また、中間ユニバーサル圧延機5に近接してエッジャー圧延機9が設けられている。なお、以下では、説明のために製造ラインTにおける鋼材を、総称して「被圧延材A」と記載し、各図において適宜その形状を破線・斜線等を用いて図示する場合がある。
【0028】
図1に示すように、製造ラインTでは、加熱炉2から抽出された例えばスラブ11等の被圧延材Aがサイジングミル3ならびに粗圧延機4において粗圧延される。次いで、中間ユニバーサル圧延機5において中間圧延される。この中間圧延時には、必要に応じてエッジャー圧延機9によって被圧延材の端部等(フランジ対応部12)に対して圧下が施される。通常の場合、サイジングミル3及び粗圧延機4のロールには、合わせて4〜6個程度の孔型が刻設されており、これらを経由して複数パスのリバース圧延でH形粗形材13が造形され、該H形粗形材13を前記中間ユニバーサル圧延機5−エッジャー圧延機9の2つの圧延機からなる圧延機列を用いて、複数パスの圧下が加えられ、中間材14が造形される。そして中間材14は、仕上ユニバーサル圧延機8において製品形状に仕上圧延され、H形鋼製品16が製造される。
【0029】
次に、以下では図1に示したサイジングミル3及び粗圧延機4に刻設される孔型構成や孔型形状について図面を参照して説明する。なお、通常、粗圧延機4には、以下に説明する第1孔型〜第4孔型に加え、それら孔型にて造形された被圧延材Aをいわゆるドッグボーン形状のH形粗形材13とする孔型が更に設けられているが、この孔型は従来より既知のものであるため本明細書での図示・説明は省略する。また、製造ラインTにおける加熱炉2や中間ユニバーサル圧延機5、仕上ユニバーサル圧延機8、エッジャー圧延機9等は、従来よりH形鋼の製造に用いられている一般的な装置であり、その装置構成等は既知であるため本明細書では説明を省略する。
【0030】
図2〜図8は粗圧延工程を行うサイジングミル3及び粗圧延機4に刻設される孔型についての概略説明図である。ここで、説明する第1孔型〜第4孔型は、例えばサイジングミル3に全て刻設されても良く、サイジングミル3及び粗圧延機4に第1孔型〜第4孔型が分けて刻設されても良い。即ち、第1孔型〜第4孔型はサイジングミル3及び粗圧延機4の両方に亘って刻設されても良く、どちらか一方の圧延機に刻設されても良い。通常のH形鋼の製造における粗圧延工程では、これら各孔型において1又は複数パスでの造形が行われる。
【0031】
本実施の形態において、第2孔型、第3孔型、第4孔型は、それぞれ寸法形状の異なる2種類の孔型で構成され、第2孔型は第2−1孔型及び第2−2孔型、第3孔型は第3−1孔型及び第3−2孔型、第4孔型は第4−1孔型及び第4−2孔型からなる。なお、図2〜図5では、各孔型における造形時の被圧延材Aの概略最終パス形状を破線にて図示している。
【0032】
図2は第1孔型K1の概略説明図である。第1孔型K1は、一対の水平ロールである上孔型ロール20と下孔型ロール21に刻設され、これら上孔型ロール20と下孔型ロール21のロール隙において被圧延材Aが圧下・造形される。また、上孔型ロール20の周面(即ち、第1孔型K1の上面)には、孔型内部に向かって突出する突起部25が形成されている。更に、下孔型ロール21の周面(即ち、第1孔型K1の底面)には、孔型内部に向かって突出する突起部26が形成されている。これら突起部25、26はテーパー形状を有しており、その突出長さ等の寸法は、突起部25と突起部26とでそれぞれ等しく構成されている。突起部25、26の高さ(突出長さ)をh1とし、先端部角度をθ1aとする。
【0033】
この第1孔型K1においては、突起部25、26が被圧延材Aの上下端部(スラブ端面)に押し当てられ、割り込み28、29が形成される。ここで、突起部25、26の先端部角度(ウェッジ角度とも呼称される)θ1aは例えば25°以上40°以下であることが望ましい。
ウェッジ角度の下限値は通常ロールの強度により決まる。被圧延材Aがロール(第1孔型K1では上孔型ロール20及び下孔型ロール21)と接触し、その間に受ける熱によりロールが膨張し、被圧延材Aがロールから離れるとロールが冷却され収縮する。造形中はこれらのサイクルが繰り返されるが、ウェッジ角度が小さすぎると、突起部(第1孔型K1では突起部25、26)の厚みが薄いために被圧延材Aからの入熱が当該突起部の左右から入りやすくなり、ロールがより高温になり易い。ロールが高温になると熱振れ幅が大きくなるためにヒートクラックが入り、ロール破損に至る恐れがある。
一方、ウェッジ角度が大きくなると、各孔型における割り込み(第1孔型K1では割り込み28、29)形成時に幅拡がりによる変形が生じ、特に、以下に説明する第2孔型K2以降での造形においてフランジの生成効率が低下する。
以上のような観点から、本発明者らが鋭意解析評価を行った結果、本実施の形態にかかる孔型構成においては、ウェッジ角度θ1aの範囲は25°以上40°以下であることが望ましい。
【0034】
ここで、第1孔型K1の孔型幅は、被圧延材Aの厚み(即ち、スラブ厚)とほぼ等しいことが好ましい。具体的には、第1孔型K1に形成された突起部25、26の先端部における孔型の幅と、スラブ厚を同一にすることで、被圧延材Aの左右センタリング性が好適に確保される。また、このような孔型寸法の構成とすることで、図2に示すように、第1孔型K1での造形時において、被圧延材Aの上下端部(スラブ端面)においては、上記突起部25、26及び孔型側面(側壁)の一部が被圧延材Aと接していて、割り込み28、29により4つの要素(部位)に分割されたスラブ上下端部に対して、第1孔型K1の上面及び底面にて積極的な圧下が行われない方が好ましい。孔型の上面及び底面による圧下は、被圧延材Aの長手方向への伸びを生じさせてしまい、フランジ(後述するフランジ部100)の生成効率を低下させてしまうからである。即ち、第1孔型K1においては、突起部25、26が被圧延材Aの上下端部(スラブ端面)に押し当てられ、割り込み28、29が形成される際の突起部25、26における圧下量(ウェッジ先端圧下量ΔT)は、スラブ上下端部における圧下量(スラブ端面圧下量ΔE)よりも十分に大きなものとされ、これにより割り込み28、29が形成される。
【0035】
図3は第2孔型K2−1の概略説明図である。第2孔型K2−1は、一対の水平ロールである上孔型ロール30と下孔型ロール31に刻設される。上孔型ロール30の周面(即ち、第2孔型K2−1の上面)には、孔型内部に向かって突出する突起部35が形成されている。更に、下孔型ロール31の周面(即ち、第2孔型K2−1の底面)には、孔型内部に向かって突出する突起部36が形成されている。これら突起部35、36はテーパー形状を有しており、その突出長さ等の寸法は、突起部35と突起部36とでそれぞれ等しく構成されている。これら突起部35、36の先端部角度は25°以上40°以下のウェッジ角度θ1bであることが望ましい。
【0036】
また、突起部35、36の高さ(突出長さ)h2は、上記第1孔型K1の突起部25、26の高さh1より高く構成されており、h2>h1となっている。ここで、上述したように、突起部35、36の先端部角度(ウェッジ角度θ1b)は上記第1孔型K1の突起部25、26の先端部角度と同じ(即ち、θ1a=θ1b)であることが好ましい。
【0037】
ここで、第1孔型K1に形成される突起部25、26の高さh1より、第2孔型K2−1に形成される突起部35、36の高さh2の方が高く、被圧延材Aの上下端部(スラブ端面)への侵入長さも同様に第2孔型K2−1の方が長くなる。第2孔型K2−1での突起部35、36の被圧延材Aへの侵入深さは、突起部35、36の高さh2と同じである。即ち、第1孔型K1での突起部25、26の被圧延材Aへの侵入深さh1’と、第2孔型K2−1での突起部35、36の被圧延材Aへの侵入深さh2はh1’<h2との関係になっている。
また、被圧延材Aの上下端部(スラブ端面)に対向する孔型上面30a、30b及び孔型底面31a、31bと、突起部35、36の傾斜面とのなす角度θfは、図3に示す4箇所ともに約90°(略直角)に構成されている。
【0038】
図3に示すように、被圧延材Aの上下端部(スラブ端面)へ押し当てられた時の突起部の侵入長さが長いことから、第2孔型K2−1においては、第1孔型K1において形成された割り込み28、29が更に深くなるように造形が行われ、割り込み38、39が形成される。
また、この第2孔型K2−1での造形は多パスにより行われるが、当該多パス造形においては、最終パスにて被圧延材Aの上下端部(スラブ端面)と、それに対向する孔型上面30a、30b及び孔型底面31a、31bとが接触するような造形が行われる。これは、第2孔型K2−1での全てのパスにおいて被圧延材Aの上下端部と孔型内部とを非接触とすると、フランジ相当部(後述するフランジ部100)が左右非対称に造形されるといった形状不良が生じる恐れがあり、通材性の面で問題があるからである。
【0039】
図4は第2孔型K2−2の概略説明図である。第2孔型K2−2は、一対の水平ロールである上孔型ロール40と下孔型ロール41に刻設される。上孔型ロール40の周面(即ち、第2孔型K2−2の上面)には、孔型内部に向かって突出する突起部45が形成されている。更に、下孔型ロール41の周面(即ち、第2孔型K2−2の底面)には、孔型内部に向かって突出する突起部46が形成されている。これら突起部45、46はテーパー形状を有しており、その突出長さ等の寸法は、第2孔型K2−1の突起部45と突起部46とでそれぞれ等しく構成されている。
【0040】
また、これら突起部45、46の形状は、上記第2孔型K2−1の突起部35、36の形状と相似形となっており、先端部角度は同じく25°以上40°以下のウェッジ角度θ1bとなっている。また、突起部45、46の高さh2’は、上記突起部35、36の高さh2よりも高く(即ち、h2<h2’)構成されている。
また、被圧延材Aの上下端部(スラブ端面)に対向する孔型上面40a、40b及び孔型底面41a、41bと、突起部45、46の傾斜面とのなす角度θfは、図4に示す4箇所ともに約90°(略直角)に構成されている。
【0041】
図4に示すように、被圧延材Aの上下端部(スラブ端面)へ押し当てられた時の突起部45、46の侵入長さが、第1孔型K1、第2孔型K2−1のいずれよりも長く構成されているため、第2孔型K2−2では、更に深い割り込み48、49が形成されることとなる。
また、この第2孔型K2−2での造形は多パスにより行われるが、当該多パス造形においては、最終パスにて被圧延材Aの上下端部(スラブ端面)と、それに対向する孔型上面40a、40b及び孔型底面41a、41bとが接触するような造形が行われる。これは、第2孔型K2−2での全てのパスにおいて被圧延材Aの上下端部と孔型内部とを非接触とすると、フランジ相当部(後述するフランジ部100)が左右非対称に造形されるといった形状不良が生じる恐れがあり、通材性の面で問題があるからである。
【0042】
これら第2孔型K2−1、K2−2は、必要に応じて使い分けることが可能であり、例えば、第1孔型K1通材後の被圧延材Aを、第2孔型K2−1のみに通材させて造形を行う場合と、第2孔型K2−1及び第2孔型K2−2の両方に通材させて造形を行う場合とが考えられる。なお、図3には、第2孔型K2−1のみに通材させてフランジ対応部(後述するフランジ部100に対応する部位)のフランジ片幅が短いH形粗形材を造形する場合の被圧延材形状を示し、図4には、図3に示した場合よりもスラブ幅の大きい(素材断面の異なる)素材を使用し、第2孔型K2−1及び第2孔型K2−2の両方に通材させてフランジ対応部(後述するフランジ部100に対応する部位)のフランジ片幅が長いH形粗形材を造形する場合の被圧延材形状を示している。このように使い分けることで、被圧延材Aの上下端部(スラブ端面)に割り込みを形成して造形されるフランジ対応部(後述するフランジ部100に対応する部位)のフランジ片幅が短い場合・長い場合に分けて造形を実施することができる。即ち、これら2つの孔型(第2孔型K2−1、K2−2)を用いることで、スラブ厚が同一であり、幅が異なる素材から最終製品であるH形鋼として、2種類のフランジ幅が異なる製品を製造するための造形を実施することができる。
【0043】
上述したように、フランジ対応部(後述するフランジ部100に対応する部位)のフランジ片幅が短い場合・長い場合に分けて造形を実施する際に、素材として用いられるスラブは同一の厚みであり、幅(スラブ幅)が異なる素材である。従って、上述した第2孔型K2−1のみに通材させて造形を行う場合には、スラブ幅の短い素材を用い、第2孔型K2−1及び第2孔型K2−2の両方に通材させて造形を行う場合には、スラブ幅の長い素材を用いることで、フランジ片幅が短い場合(図3参照)と、長い場合(図4参照)に分けて造形を行うことができる。
なお、以上説明した第1孔型K1ならびに第2孔型K2−1、K2−2は、被圧延材Aの上下端部(スラブ端面)に割り込みを形成させるものであることから、割り入れ孔型とも呼称される。
【0044】
図5は第3孔型K3−1の概略説明図である。第3孔型K3−1は、一対の水平ロールである上孔型ロール50と下孔型ロール51に刻設される。上孔型ロール50の周面(即ち、第3孔型K3−1の上面)には、孔型内部に向かって突出する突起部55が形成されている。更に、下孔型ロール51の周面(即ち、第3孔型K3−1の底面)には、孔型内部に向かって突出する突起部56が形成されている。これら突起部55、56はテーパー形状を有しており、その突出長さ等の寸法は、突起部55と突起部56とでそれぞれ等しく構成されている。
【0045】
上記突起部55、56の先端部角度θ2は、上記角度θ1bに比べ広角に構成され、突起部55、56の被圧延材Aへの侵入深さh3は、上記第2孔型K2−1の突起部35、36の侵入深さh2よりも短くなっている(即ち、h3<h2)。
また、被圧延材Aの上下端部(スラブ端面)に対向する孔型上面50a、50b及び孔型底面51a、51bと、突起部55、56の傾斜面とのなす角度θfは、図5に示す4箇所ともに約90°(略直角)に構成されている。
【0046】
図5に示すように、第3孔型K3−1では、第2孔型K2−1通材後の被圧延材Aに対し、被圧延材Aの上下端部(スラブ端面)において第2孔型K2−1において形成された割り込み38、39が、突起部55、56が押し当てられることにより、割り込み58、59となる。即ち、第3孔型K3−1での造形における最終パスでは、割り込み58、59の最深部角度(以下、割り込み角度とも呼称する)がθ2となる。換言すると、第2孔型K2−1において割り込み38、39の形成と共に造形された分割部位(後述するフランジ部100に対応する部位)が外側に折り曲げられるような造形が行われる。
【0047】
また、この第3孔型K3−1での造形は少なくとも1パス以上によって行われ、当該造形においては、最終パスにて被圧延材Aの上下端部(スラブ端面)と、それに対向する孔型上面50a、50b及び孔型底面51a、51bとが接触するような造形が行われる。これは、第3孔型K3−1での全てのパスにおいて被圧延材Aの上下端部と孔型内部とを非接触とすると、フランジ相当部(後述するフランジ部100)が左右非対称に造形されるといった形状不良が生じる恐れがあり、通材性の面で問題があるからである。
【0048】
図6は第3孔型K3−2の概略説明図である。第3孔型K3−2は、一対の水平ロールである上孔型ロール60と下孔型ロール61に刻設される。上孔型ロール60の周面(即ち、第3孔型K3−2の上面)には、孔型内部に向かって突出する突起部65が形成されている。更に、下孔型ロール61の周面(即ち、第3孔型K3−2の底面)には、孔型内部に向かって突出する突起部66が形成されている。これら突起部65、66はテーパー形状を有しており、その突出長さ等の寸法は、突起部65と突起部66とでそれぞれ等しく構成されている。
【0049】
また、これら突起部65、66の形状は、上記第3孔型K3−1の突起部55、56の形状と相似形となっており、先端部角度は同じくウェッジ角度θ2であり、突起部65、66の高さh3’は、上記突起部55、56の高さh3よりも高く(即ち、h3<h3’)構成されている。また、被圧延材Aの上下端部(スラブ端面)に対向する孔型上面60a、60b及び孔型底面61a、61bと、突起部65、66の傾斜面とのなす角度θfは、図6に示す4箇所ともに約90°(略直角)に構成されている。
【0050】
図6に示すように、第3孔型K3−2では、第2孔型K2−2通材後の被圧延材Aに対し、被圧延材Aの上下端部(スラブ端面)において第2孔型K2−2において形成された割り込み48、49が、突起部65、66が押し当てられることにより、割り込み68、69となる。即ち、第3孔型K3−2での造形における最終パスでは、割り込み68、69の最深部角度(以下、割り込み角度とも呼称する)がθ2となる。換言すると、第2孔型K2−2において割り込み48、49の形成と共に造形された分割部位(後述するフランジ部100に対応する部位)が外側に折り曲げられるような造形が行われる。
【0051】
また、この第3孔型K3−2での造形は少なくとも1パス以上によって行われ、当該造形においては、最終パスにて被圧延材Aの上下端部(スラブ端面)と、それに対向する孔型上面60a、60b及び孔型底面61a、61bとが接触するような造形が行われる。これは、第3孔型K3−2での全てのパスにおいて被圧延材Aの上下端部と孔型内部とを非接触とすると、フランジ相当部(後述するフランジ部100)が左右非対称に造形されるといった形状不良が生じる恐れがあり、通材性の面で問題があるからである。
【0052】
図5、図6を参照して説明した第3孔型K3−1と第3孔型K3−2は、共に割り込みによって造形された分割部位(後述するフランジ部100に対応する部位)を外側に折り曲げるための孔型であるが、第3孔型K3−1は、前段階の孔型として第2孔型K2−1のみを用いて造形された被圧延材Aに対して造形を行うものであるのに対し、第3孔型K3−2は、前段階の孔型として第2孔型K2−1及びK2−2を用いて造形された被圧延材Aに対して造形を行うものである。
即ち、同一のロールチャンスでもって2種類のフランジ幅が異なる製品を製造する場合において、第3孔型K3−1はフランジ幅の短い製品を製造する際に用いられ、第3孔型K3−2はフランジ幅の長い製品を製造する際に用いられる。当然、図5と図6を比較して分かるように、第3孔型K3−1で造形されたフランジ相当部(後述するフランジ部100)よりも、第3孔型K3−2で造形されたフランジ相当部(後述するフランジ部100)の方が、フランジ片幅が長くなるように造形される。
【0053】
なお、第3孔型K3−1、K3−2の割り込み角度θ2は、例えば70°以上110°以下に設定されることが望ましい。当該割り込み角度θ2が70°未満あるいは110°超である場合には、左右のフランジ部80の変形アンバランスや、フランジ部80の外側面が押し潰されるといった形状不良が生じる恐れがあり、また、既知の平造形孔型におけるドッグボーン形状の造形においてフランジ部80の外側面中央部が肉溜まり形状となり製品疵が発生してしまうといった形状不良が生じる恐れがある。
以上のような観点から、本発明者らが鋭意解析評価を行った結果、本実施の形態にかかる孔型構成においては、割り込み角度θ2の範囲は70°以上110°以上であることが望ましい。
【0054】
図7は第4孔型K4−1の概略説明図である。第4孔型K4−1は、一対の水平ロールである上孔型ロール70と下孔型ロール71に刻設される。上孔型ロール70の周面(即ち、第4孔型K4−1の上面)には、孔型内部に向かって突出する突起部75が形成されている。更に、下孔型ロール71の周面(即ち、第4孔型K4−1の底面)には、孔型内部に向かって突出する突起部76が形成されている。これら突起部75、76はテーパー形状を有しており、その突出長さ等の寸法は、突起部75と突起部76とでそれぞれ等しく構成されている。
【0055】
上記突起部75、76の先端部角度θ3は、上記角度θ2に比べ広角に構成され、突起部75、76の被圧延材Aへの侵入深さh4は、上記突起部55、56の侵入深さh3よりも短くなっている(即ち、h4<h3)。
また、被圧延材Aの上下端部(スラブ端面)に対向する孔型上面70a、70b及び孔型底面71a、71bと、突起部75、76の傾斜面とのなす角度θfは、図7に示す4箇所ともに約90°(略直角)に構成されている。
【0056】
図7に示すように、第4孔型K4−1では、第3孔型K3−1通材後の被圧延材Aに対し、被圧延材Aの上下端部(スラブ端面)において第3孔型K3−1において形成された割り込み58、59が、突起部75、76が押し当てられることにより、割り込み78、79となる。即ち、第4孔型K4−1での造形における最終パスでは、割り込み78、79の最深部角度(以下、割り込み角度とも呼称する)がθ3となる。換言すると、第3孔型K3−1において割り込み58、59の形成と共に造形された分割部位(後述するフランジ部100に対応する部位)が外側に折り曲げられるような造形が行われる。
【0057】
また、この第4孔型K4−1での造形は少なくとも1パス以上によって行われ、当該造形においては、最終パスにて被圧延材Aの上下端部(スラブ端面)と、それに対向する孔型上面70a、70b及び孔型底面71a、71bとが接触するような造形が行われる。これは、第4孔型K4−1での全てのパスにおいて被圧延材Aの上下端部と孔型内部とを非接触とすると、フランジ相当部(後述するフランジ部100)が左右非対称に造形されるといった形状不良が生じる恐れがあり、通材性の面で問題があるからである。
【0058】
図8は第4孔型K4−2の概略説明図である。第4孔型K4−2は、一対の水平ロールである上孔型ロール80と下孔型ロール81に刻設される。上孔型ロール80の周面(即ち、第4孔型K4−2の上面)には、孔型内部に向かって突出する突起部85が形成されている。更に、下孔型ロール81の周面(即ち、第4孔型K4−2の底面)には、孔型内部に向かって突出する突起部86が形成されている。これら突起部85、86はテーパー形状を有しており、その突出長さ等の寸法は、突起部85と突起部66とでそれぞれ等しく構成されている。
【0059】
また、これら突起部85、86の形状は、上記第4孔型K4−1の突起部75、76の形状と相似形となっており、先端部角度は同じくウェッジ角度θ3であり、突起部85、86の高さh3’は、上記突起部75、76の高さh4よりも高く(即ち、h4<h4’)構成されている。また、被圧延材Aの上下端部(スラブ端面)に対向する孔型上面80a、80b及び孔型底面81a、81bと、突起部85、86の傾斜面とのなす角度θfは、図8に示す4箇所ともに約90°(略直角)に構成されている。
【0060】
図8に示すように、第4孔型K4−2では、第3孔型K3−2通材後の被圧延材Aに対し、被圧延材Aの上下端部(スラブ端面)において第3孔型K3−2において形成された割り込み68、69が、突起部85、86が押し当てられることにより、割り込み88、89となる。即ち、第4孔型K4−2での造形における最終パスでは、割り込み88、89の最深部角度(以下、割り込み角度とも呼称する)がθ3となる。換言すると、第3孔型K3−2において割り込み68、69の形成と共に造形された分割部位(後述するフランジ部100に対応する部位)が外側に折り曲げられるような造形が行われる。このようにして造形された被圧延材Aの上下端部の部位は、後のH形鋼製品のフランジに相当する部位であり、ここではフランジ部100と呼称する。
【0061】
また、この第4孔型K4−2での造形は少なくとも1パス以上によって行われ、当該造形においては、最終パスにて被圧延材Aの上下端部(スラブ端面)と、それに対向する孔型上面80a、80b及び孔型底面81a、81bとが接触するような造形が行われる。これは、第4孔型K4−2での全てのパスにおいて被圧延材Aの上下端部と孔型内部とを非接触とすると、フランジ部100が左右非対称に造形されるといった形状不良が生じる恐れがあり、通材性の面で問題があるからである。
【0062】
なお、第4孔型K4−1、K4−2の割り込み角度θ3は180°よりもやや小さい角度に設定されることが望ましく、例えば130°以上170°以下に設定されることが望ましい。これは、割り込み角度θ3を180°としてしまうと、次工程である平造形孔型においてウェブ厚の減厚を行う際に、フランジ部100の外側に拡がりが生じ、平造形孔型での圧延においてかみ出しが生じやすいからである。即ち、次工程の平造形孔型の形状及びウェブ厚の圧下量に応じてフランジ部100の外側での拡がり量が決まるため、ここでの割り込み角度θ3は、平造形孔型の形状及びウェブ厚の圧下量を勘案して好適に定められることが望ましい。
【0063】
図7、図8を参照して説明した第4孔型K4−1と第4孔型K4−2は、共に割り込みによって造形された分割部位(後のフランジ部100)を外側に折り曲げるための孔型であるが、第4孔型K4−1は、前段階の孔型として第3孔型K3−1を用いて造形された被圧延材Aに対して造形を行うものであるのに対し、第4孔型K4−2は、前段階の孔型として第3孔型K3−2を用いて造形された被圧延材Aに対して造形を行うものである。
即ち、同一のロールチャンスでもって2種類のフランジ幅が異なる製品を製造する場合において、第4孔型K4−1はフランジ幅の短い製品を製造する際に用いられ、第4孔型K4−2はフランジ幅の長い製品を製造する際に用いられる。当然、図7と図8を比較して分かるように、第4孔型K4−1で造形されたフランジ部100よりも、第4孔型K4−2で造形されたフランジ部100の方が、フランジ片幅が長くなるように造形される。
なお、以上説明した第3孔型K3−1、K3−2ならびに第4孔型K4−1、K4−2は、被圧延材Aの上下端部(スラブ端面)に形成された分割部位(後のフランジ部100)を外側に折り曲げる造形を行うことから、折り曲げ孔型とも呼称される。
【0064】
以上説明した第1孔型K1〜第4孔型K4−1、K4−2によって造形された被圧延材Aに対し、既知の孔型(平造形孔型)を用いて更に圧下・造形が行われ、いわゆるドッグボーン形状であるH形粗形材13が造形される。通常はこの後、スラブ厚に相当する部分を減厚する平造形孔型でウェブ厚が減厚される。その後、図1に示す中間ユニバーサル圧延機5−エッジャー圧延機9の2つの圧延機からなる圧延機列を用いて、複数パスの圧下が加えられ、中間材14が造形される。そして中間材14は、仕上ユニバーサル圧延機8において製品形状に仕上圧延され、H形鋼製品16が製造される。
【0065】
このようなH形粗形材13の第1孔型K1〜第4孔型K4−1、K4−2での圧延造形において、同一の厚みを有し、幅が異なるスラブ素材から、フランジ部100の片幅が異なる2種類のH形鋼製品を製造する場合の工程について以下に簡単に説明する。具体的には、フランジ片幅がL1である第1のH形鋼製品(狭幅製品)と、フランジ片幅がL2(>L1)である第2のH形鋼製品(広幅製品)を製造する場合のH形粗形材の造形について説明する。
【0066】
先ず、加熱炉2から抽出されたスラブ素材11に対し、第1孔型K1においてその上下端部に割り込み28、29の形成が行われる(図2参照)。続いて、第2孔型K2−1において、割り込み28、29を更に深くするような造形が行われ、割り込み38、39が形成される。これら第1孔型K1及び第2孔型K2−1での工程は第1のH形鋼製品と第2のH形鋼製品とで共通して行われる(図3参照)。この時、用いられるスラブ素材11の厚みは両者で同じであるが、スラブ幅は第2のH形鋼製品に対応する素材の方が長い。
【0067】
第1のH形鋼製品の製造においては、被圧延材Aは第3孔型K3−1にて造形され、割り込み38、39が押し広げられ、割り込み58、59の形成と共に造形された分割部位(後述するフランジ部100に対応する部位)が外側に折り曲げられる(図5参照)。そして、被圧延材Aは、第3孔型K3−1での造形後、第4孔型K4−1において更に造形され、割り込み78、79の形成と共に造形された分割部位(後述するフランジ部100に対応する部位)が更に外側に折り曲げられる(図7参照)。
ここで、第1のH形鋼製品のフランジ片幅L1は、第2孔型K2−1での割り込み38、39の形成と共に造形されるフランジ相当部の片幅に依存する。
【0068】
一方、第2のH形鋼製品の製造においては、第2孔型K2−1で造形された被圧延材Aの上下端面の整形を行った後、被圧延材Aは第2孔型K2−2にて、形成されている割り込み38、39を更に深くするような造形が行われ、割り込み48、49が形成される(図4参照)。そして、被圧延材Aは、第2孔型K2−2での造形後、第3孔型K3−2において更に造形され、割り込み48、49が押し広げられ、割り込み68、69の形成と共に造形された分割部位(後述するフランジ部100に対応する部位)が外側に折り曲げられる(図6参照)。続いて、被圧延材Aは、第3孔型K3−2での造形後、第4孔型K4−2において更に造形され、割り込み88、89の形成と共に造形された分割部位(後述するフランジ部100に対応する部位)が更に外側に折り曲げられる(図8参照)。
ここで、第2のH形鋼製品のフランジ片幅L2は、第2孔型K2−2での割り込み48、49の形成と共に造形されるフランジ相当部の片幅に依存する。
【0069】
このようにして造形された2種類のH形粗形材は、上述したようにフランジ片幅がL1とL2で異なっている。一方でH形粗形材の幅において、ウェブに相当する部位の幅はほぼ等しくなっている。このような構成でH形粗形材を造形することで、後段の中間ユニバーサル圧延機5−エッジャー圧延機9や仕上ユニバーサル圧延機8での圧延造形において、同一のロールチャンスで2種類のH形粗形材の圧延造形を実施することができる。
【0070】
表1は、上述したフランジ片幅がL1である第1のH形鋼製品(狭幅製品)と、フランジ片幅がL2(>L1)である第2のH形鋼製品(広幅製品)を製造する場合のH形粗形材の造形プロセスをまとめた表である。なお、表1中の孔型名称G1〜G4−2は、上記第1孔型K1〜第4孔型K4−2に相当し、スタンドNoは孔型を刻設する圧延機を2基に分けた場合の一例であり、1回目、2回目との記載は、粗圧延を行う圧延スタンドが1基しかない場合に、ロール胴長が不足することを補うために2回のロールチャンスに分けて2ヒート加熱して操業を実施する場合における圧延孔型とその順序の一例を示している。
また、第1のH形鋼製品(狭幅製品)に関する1〜4の番号ならびに第2のH形鋼製品(広幅製品)に関する1〜5の番号は、通材させる孔型とその順序を示している。
【0071】
【表1】
【0072】
表1に示すような造形プロセスにより、第1のH形鋼製品(狭幅製品)と第2のH形鋼製品(広幅製品)が造り分けられる。なお、表1ならびに本実施の形態における説明でも記載したように、第1のH形鋼製品(狭幅製品)と第2のH形鋼製品(広幅製品)を造り分ける場合において、第2孔型2−1(表中のG2−1)は、両方の製品において用いられる。これは、第1孔型K1において被圧延材Aの上下端部に形成された割り込み28、29を更に深くする際に、フランジ相当部の左右不均一や通材不良等を生じさせることなく、安定的に割り込みを形成させるためである。特に、例えばフランジ幅が300mm以上であるようなフランジ幅の大きなH形鋼製品を製造する場合には、フランジ相当部が左右不均一に造形される前に、一度フランジ相当部の形状修正を行うために第2孔型2−1を用いることで、安定したフランジ相当部の造形や割り込みの形成が実施される。
【0073】
上述したように、本実施の形態にかかる第1孔型K1〜第4孔型K4−2を用いて被圧延材Aの上下端部(スラブ端面)に割り込みを入れ、それら割り込みによって左右に分かれた各部分を左右に折り曲げる加工を行い、フランジ部100を形成するといった造形をすることで、被圧延材A(スラブ)の上下端面を上下方向に圧下することなくH形粗形材13の造形を行うことができる。即ち、従来行われていたスラブ端面を常に圧下する粗圧延方法に比べ、フランジ幅を広幅化させてH形粗形材13を造形することが可能となり、その結果、フランジ幅の大きな最終製品(H形鋼)を製造することができる。
【0074】
更には、第1孔型K1〜第4孔型K4−2を用いた、例えば表1に示したような造形方法においては、厚みが同じで幅の異なるスラブ素材を用いて、第3孔型K3−1及び第4孔型K4−1を用いて造形されるフランジ部100の片幅が短いものと、第3孔型K3−2及び第4孔型K4−2を用いて造形されるフランジ部100の片幅が長いものと、の2種類の粗形材が造形され、それらが既知の平造形孔型(ウェブ減厚孔型)によっていわゆるドッグボーン形状に造形され、フランジ部の寸法が異なるH形粗形材13が造形される。
【0075】
即ち、本実施の形態に係る造形方法によれば、同一の厚みを有し、幅が異なるスラブ素材から、同一のロールチャンスにおいて2種類の異なるフランジ幅を有するH形粗形材13が造形され、その2種類のH形粗形材13に対し、図1に示す中間ユニバーサル圧延機5−エッジャー圧延機9の2つの圧延機からなる圧延機列を用いて、複数パスの圧下が加えられ、中間材14が造形される。そして中間材14は、仕上ユニバーサル圧延機8において製品形状に仕上圧延され、H形鋼製品16が製造される。ここで、中間圧延工程や仕上圧延工程では、フランジ片幅が大きく変わるような圧延・造形は行われないため、2種類の異なるフランジ幅を有するH形粗形材13からは、2種類の異なるフランジ幅のH形鋼製品が製造される。
【0076】
また、本実施の形態に係る造形方法では、第2孔型K2−1〜第4孔型K4−2において、最終パスにて被圧延材Aの上下端部(スラブ端面)と、それに対向する孔型上面及び孔型底面とが接触するような造形を行っている。即ち、被圧延材Aは、各孔型圧延工程において、その孔型形状に沿った形に高精度で寸法を維持しつつ造形される。よって、第3孔型K3−1及び第4孔型K4−1を用いて造形される第1のH形鋼製品(狭幅製品)に対応する粗形材と、第3孔型K3−2及び第4孔型K4−2を用いて造形される第2のH形鋼製品(広幅製品)に対応する粗形材は、それぞれの孔型形状に沿った形状に造形される。このように造形することで、第1のH形鋼製品(狭幅製品)に対応する粗形材、ならびに第2のH形鋼製品(広幅製品)に対応する粗形材を、左右のフランジ相当部(後のフランジ部100)の肉量が不均一になるといった形状不良を抑制しつつ効率的で安定して造形することができる。
【0077】
以上、本発明の実施の形態の一例を説明したが、本発明は図示の形態に限定されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0078】
上記実施の形態においては、フランジ片幅がL1である第1のH形鋼製品(狭幅製品)と、フランジ片幅がL2(>L1)である第2のH形鋼製品(広幅製品)を、同一の厚みを有するスラブ素材から同一のロールチャンスでもって造形するとの説明を行ったが、このように製造される2種類のフランジ幅を有するH形鋼製品としては以下のような寸法が例示される。即ち、例えば、同一厚みのスラブ素材から、フランジ幅300mmと400mmの製品を製造する場合、フランジ幅400mmと500mmの製品を製造する場合等が考えられる。
一般的なH形鋼製品のフランジ幅の寸法ピッチは50mmであることが知られており、フランジ幅が50mm異なる2種類のH形鋼製品を造り分ける場合には、同一孔型でのパススケジュールの調整等でも行うことが可能である。しかしながら、フランジ幅が50mm超(例えば100mm)異なる2種類のH形鋼製品を造り分ける場合には、中間圧延工程等で被圧延材の変形に支障をきたし、粗形材の造形段階からフランジ幅の調整が必要となる。従って、そのような場合には、上記実施の形態に係る方法を用いることで同一のロールチャンスでの造り分けにより2種類の異なるフランジ幅のH形鋼製品が製造される。
【0079】
例えば、上記実施の形態において、第1孔型K1〜第4孔型K4−2はサイジングミル3及び粗圧延機4の両方に亘って刻設されても良く、どちらか一方の圧延機に刻設されても良いとして説明したが、表1を参照して説明したように、第1孔型K1〜第3孔型K3−2を第1の圧延機としてのサイジングミル3に刻設し、第4孔型K4−1及びK4−2を第2の圧延機としての粗圧延機4に刻設することがより望ましい。
【0080】
また、粗圧延工程を行う圧延機を1基のみ有する圧延設備においては、1ヒート目に第1孔型K1〜第3孔型K3−2を刻設したロールを用いて造形を行い、その後、ロール組み替えを行い、2ヒート目に第4孔型K4−1及びK4−2を刻設したロールを用いて造形を行っても良い。
【0081】
また、H形鋼を製造する際の素材としてスラブを例示して説明したが、類似形状のその他素材についても本発明は当然適用可能である。即ち、例えばビームブランク素材を造形してH形鋼を製造する場合にも適用できる。
【産業上の利用可能性】
【0082】
本発明は、例えば矩形断面であるスラブ等を素材としてH形鋼を製造する製造技術に適用できる。
【符号の説明】
【0083】
1…圧延設備
2…加熱炉
3…サイジングミル
4…粗圧延機
5…中間ユニバーサル圧延機
8…仕上ユニバーサル圧延機
9…エッジャー圧延機
11…スラブ
12…フランジ対応部
13…H形粗形材
14…中間材
16…H形鋼製品
20…上孔型ロール(第1孔型K1)
21…下孔型ロール(第1孔型K1)
25、26…突起部(第1孔型K1)
28、29…割り込み(第1孔型K1)
30…上孔型ロール(第2孔型K2−1)
31…下孔型ロール(第2孔型K2−1)
35、36…突起部(第2孔型K2−1)
38、39…割り込み(第2孔型K2−1)
40…上孔型ロール(第2孔型K2−2)
41…下孔型ロール(第2孔型K2−2)
45、46…突起部(第2孔型K2−2)
48、49…割り込み(第2孔型K2−2)
50…上孔型ロール(第3孔型K3−1)
51…下孔型ロール(第3孔型K3−1)
55、56…突起部(第3孔型K3−1)
58、59…割り込み(第3孔型K3−1)
60…上孔型ロール(第3孔型K3−2)
61…下孔型ロール(第3孔型K3−2)
65、66…突起部(第3孔型K3−2)
68、69…割り込み(第3孔型K3−2)
70…上孔型ロール(第4孔型K4−1)
71…下孔型ロール(第4孔型K4−1)
75、76…突起部(第4孔型K4−1)
78、79…割り込み(第4孔型K4−1)
80…上孔型ロール(第4孔型K4−2)
81…下孔型ロール(第4孔型K4−2)
85、86…突起部(第4孔型K4−2)
88、89…割り込み(第4孔型K4−2)
100…フランジ部
A…被圧延材
T…製造ライン
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【国際調査報告】