(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO2017122566
(43)【国際公開日】20170720
【発行日】20180118
(54)【発明の名称】転倒防止装置
(51)【国際特許分類】
   A47B 97/00 20060101AFI20171215BHJP
【FI】
   !A47B97/00 D
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】17
【出願番号】2017519018
(21)【国際出願番号】JP2017000115
(22)【国際出願日】20170105
(11)【特許番号】6166503
(45)【特許公報発行日】20170719
(31)【優先権主張番号】2016004042
(32)【優先日】20160113
(33)【優先権主張国】JP
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ
(71)【出願人】
【識別番号】000000929
【氏名又は名称】KYB株式会社
【住所又は居所】東京都港区浜松町2丁目4番1号 世界貿易センタービル
(74)【代理人】
【識別番号】110000497
【氏名又は名称】特許業務法人グランダム特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】畦 将也
【住所又は居所】東京都港区浜松町二丁目4番1号 世界貿易センタービル KYB株式会社内
(57)【要約】
地震の揺れによる物品の転倒を良好に防止する。
転倒防止装置は、ダンパ(10A)、長さ調整部材(10C)、第1ベース部(11)及び第2ベース部(12)を備えている。ダンパ(10A)は外周面にねじ山が刻まれており、シリンダ(10E)、及びロッド(10F)を有している。シリンダ(10E)は有底筒状である。ロッド(10F)はシリンダ(10E)に挿入され、シリンダ(10E)の開口端部(10L)から先端部が突出している。長さ調整部材(10C)の筒部材本体(10K)は一端部に開口を有して内周面にねじ山が刻まれて一端部からシリンダ(10E)がねじ込まれている。第1ベース部(11)及び第2ベース部(12)はそれぞれが筒部材本体(10K)の他端部、及びロッド(10F)の先端部にそれぞれ回動自在に連結され、設置面上に設置された家具(F)の上面(1U)と天井(C)とにそれぞれが当接する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外周面にねじ山が刻まれ、一方の端部が開口した開口端部と他方の端部が閉鎖した閉鎖端部とを具備した有底のシリンダ、及び前記シリンダに挿入され、前記開口端部から先端部が突出したロッドを有したダンパと、
一端部に開口を有して、内周面にねじ山が刻まれて前記一端部から前記シリンダがねじ込まれる長さ調整部材と、
前記長さ調整部材の他端部、及び前記ロッドの前記先端部にそれぞれ回動自在に連結され、設置面上に設置された物品の上面と天井とにそれぞれが当接する一対のベース部と、
を備えていることを特徴とする転倒防止装置。
【請求項2】
前記シリンダは、
前記ロッドを挿入したシリンダ本体と、
このシリンダ本体が挿入されて固定され、外周面にねじ山が刻まれて前記長さ調整部材にねじ込まれるねじ部材と、
を具備していることを特徴とする請求項1記載の転倒防止装置。
【請求項3】
前記シリンダにねじ込まれ、前記長さ調整部材の前記一端部に当接したナット部材を備えていることを特徴とする請求項1又は2記載の転倒防止装置。
【請求項4】
前記ベース部は、
前記天井又は前記物品の上面に当接する摩擦部材を有していることを特徴とする請求項1又は2記載の転倒防止装置。
【請求項5】
前記ダンパが、前記長さ調整部材に最も深くねじ込まれて最も収縮した際に、前記長さ調整部材の上端が前記ダンパのロッド側ジョイント部の下端と同じ高さ若しくは低いことを特徴とする請求項1又は2記載の転倒防止装置。
【請求項6】
前記ダンパの伸長を規制する規制部材を備えており、
前記ダンパは、前記シリンダ内に作動液体が封入されているとともに、中心軸方向に摺動自在に前記シリンダ内に収納され、且つ前記ロッドの基端部が連結されたピストンを有し、伸長方向に付勢力を付勢しつつ伸縮自在に設けられ、伸縮動作によって減衰力を発生する液圧式ダンパであり、
前記規制部材は、前記ロッドを上方に配置し且つ前記シリンダを下方に配置した状態の前記ダンパにおいて、前記ピストンが前記作動液体内の上端に位置したときの長さ以下の長さで前記ダンパの伸長を規制することを特徴とする請求項1又は2記載の転倒防止装置。
【請求項7】
前記規制部材は、前記ピストンが前記作動液体内の上端に位置したときの長さと下端に位置したときの長さの中間の長さで前記ダンパの伸長を規制することを特徴とする請求項6記載の転倒防止装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、家具等の転倒を防止する転倒防止装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は従来の転倒防止装置を開示している。この転倒防止装置は、一対のベース部、支柱部、及び操作部材を備えている。一対のベース部はそれぞれが天井と物品の上面とに当接する。支柱部は外筒体、内筒体、及び引っ張りコイルばねを有している。外筒体及び内筒体は筒状をなしている。外筒体は内部に内筒体が移動自在に挿通されている。内筒体は上端が一方のべース部に連結している。また、外筒体は下端が他方のべース部に連結している。引っ張りコイルばねは内筒体に挿通され、両端のそれぞれが内筒体の下端と外筒体の上端とに連結されている。つまり、引っ張りコイルばねは内筒体に対して外筒体の上側に突出するように弾性力を付与している。操作部材は押圧枠材、及び操作レバーを有している。押圧枠材は外筒体の外周面の上端部に設けられている。操作レバーは一方向に伸びた棒状をなしている。操作レバーは棒状の一端部が押圧枠材に連結している。
【0003】
この転倒防止装置は操作部材の操作レバーの他端部を操作し、押圧枠材で外筒体の上端部を締め付けることによって、外筒体に対する内筒体の突出する寸法を所望する寸法に保持することができる。また、この寸法は、操作部材の操作レバーを操作し、外筒体の上端部に対する押圧枠材での締め付けを解除することによって、自在に変更することができる。つまり、この転倒防止装置は操作部材の操作レバーを操作することによって、容易に全長を調節することができる。このため、この転倒防止装置は物品の高さが異なり天井と物品の上面との間の寸法が異なる場合でも、天井と物品の上面との間の寸法に適した全長に調節して取り付けることができ、物品の転倒を防止することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013−94653号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1の転倒防止装置は押圧枠材で外筒体の上端部を締め付けることによって、外筒体に対する内筒体の突出する寸法を保持している。このため、この転倒防止装置は天井と物品の上面との間に取り付けられた状態において地震が発生した際、地震の揺れによって物品が振動し、天井と物品の上面とで圧縮される。これにより、この転倒防止装置は内筒体が外筒体に押し込まれて全長が小さくなり、天井と物品の上面との間から脱落するおそれがある。
【0006】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであって、地震の揺れによる物品の転倒やずれを良好に防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の転倒防止装置は、ダンパ(damper)、長さ調整部材、及び一対のベース部を備えている。ダンパは外周面にねじ山が刻まれている。ダンパはシリンダ(cylinder)、及びロッド(rod)を有している。シリンダは底を具備し、一方の端部が開口した開口端部と他方の端部が閉鎖した閉鎖端部とを具備している。ロッドはシリンダに挿入され、シリンダの開口端部から先端部が突出している。長さ調整部材は一端部に開口を有して内周面にねじ山が刻まれて一端部からシリンダがねじ込まれている。一対のベース部は長さ調整部材の他端部、及びロッドの先端部にそれぞれ回動自在に連結され、設置面上に設置された天井と物品の上面とにそれぞれが当接する。
【0008】
本発明のシリンダは、ロッドを挿入したシリンダ本体と、シリンダ本体が挿入されて固定され、外周面にねじ山が刻まれて長さ調整部材にねじ込まれるねじ部材とを具備し得る。
【0009】
本発明の転倒防止装置は、シリンダにねじ込まれ、長さ調整部材の一端部に当接したナット部材を備え得る。
【0010】
本発明のベース部は、天井又は物品の上面に当接する摩擦部材を有し得る。
【0011】
本発明の転倒防止装置は、ダンパが長さ調整部材に最も深くねじ込まれて最も収縮した際に、長さ調整部材の上端がダンパのロッド側ジョイント部の下端と同じ高さ若しくは低くなり得る。
【0012】
本発明の転倒防止装置は、ダンパの伸長を規制する規制部材を備え得る。ダンパは、シリンダ内に作動液体が封入されているとともに、中心軸方向に摺動自在にシリンダ内に収納され、且つロッドの基端部が連結されたピストン(piston)を有する液圧式ダンパであり得る。そして、規制部材は、ロッドを上方に配置し且つシリンダを下方に配置した状態のダンパにおいて、ピストンが作動液体内の上端に位置したときの長さ以下の長さでダンパの伸長を規制し得る。
【0013】
本発明の転倒防止装置において、規制部材は、ピストンが作動液体内の上端に位置したときの長さと下端に位置したときの長さの中間の長さでダンパの伸長を規制し得る。
【0014】
ここで、物品は、家具、書棚、冷蔵庫、ショーケース(showcase)、サーバーラック(server rack)、複数の寝台を上下方向に連結したベッド(bed)、大型テレビ等、地震等の揺れによって転倒するおそれのあるものが含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】実施形態1の転倒防止装置であって、(A)は長さ調整部材にシリンダを最も深くねじ込んだ状態を示し、(B)は長さ調整部材にシリンダを最も浅くねじ込んだ状態を示した側面図である。
【図2】実施形態1の転倒防止装置を天井と家具の上面との間に取り付けた状態を示す側面図である。
【図3】実施形態1の転倒防止装置を天井と家具の上面との間に取り付けた状態を示す側面図であって、天井と家具の上面との間の寸法が図2に比べて大きい状態を示す。
【図4】実施形態1の転倒防止装置を天井と家具の上面との間に一対取り付けた状態を示す正面図である。
【図5】実施形態2の転倒防止装置を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
<実施形態1>
実施形態1の転倒防止装置は、図2、図3に示すように、設置面(図示せず)から鉛直方向に延びる壁面Wに後面1B(後は図2における左側、以下同じ)を対向させて設置面上に設置された物品である家具Fの上面1U(上は図2における上側、以下同じ)と天井Cとの間に取り付けられる。家具Fは、直方体形状であり、前面1F(前は図2における右側、以下同じ)に図示しない扉や引き出し等を有し、内部に衣類や装身具等を収納することができる。家具Fは、水平断面形状が左右方向(左右は図2における手前側奥側、以下同じ)に長い長方形状である。この家具Fは、転倒防止装置が取り付けられていない場合、地震の揺れ等によって、前方向に傾いて転倒するおそれがある。
【0017】
この転倒防止装置は、図1(A)、(B)に示すように、ダンパ10A、長さ調整部材10C、ナット部材10D、第1ベース部11、及び第2ベース部12を備えている。
【0018】
ダンパ10Aは、シリンダ10E、ロッドガイド(rod guide)(図示せず)、ピストン(図示せず)、ロッド10F、及びロッド側ジョイント部10Gを有している。シリンダ10Eはシリンダ本体10J及びねじ部材10Bを具備している。シリンダ本体10Jは有底筒状である。シリンダ本体10Jは一方の端部が開口した開口端部10Lが形成されている。また、シリンダ本体10Jは他方の端部が閉鎖した閉鎖端部10Mが形成されている。つまり、シリンダ10Eは一方の端部が開口した開口端部10Lと他方の端部が閉鎖した閉鎖端部10Mとを具備している。
【0019】
ねじ部材10Bは両端が開口した円筒状をなして伸びている。ねじ部材10Bは中心軸方向の寸法がシリンダ本体10Jの中心軸方向の寸法より僅かに小さい。ねじ部材10Bは中心軸方向の外周面の全体に亘ってねじ山が刻まれている。ねじ部材10Bはシリンダ本体10Jが挿入され、シリンダ本体10Jの中心軸方向の中間部に固定されている。つまり、シリンダ10Eは、外周面にねじ山が刻まれたねじ部材10Bにシリンダ本体10Jが挿入されて固定されている。
【0020】
ロッドガイドはシリンダ本体10Jの開口端部10Lを封鎖している。ピストンはシリンダ本体10J内に摺動自在に挿入されている。ロッド10Fは、円柱状をなし、基端部がピストンに連結されている。また、ロッド10Fはロッドガイドを挿通して先端部がシリンダ本体10Jの開口端部10Lからシリンダ本体10Jの外部へ突出している。つまり、ロッド10Fはシリンダ本体10Jに挿入されている。
【0021】
ロッド側ジョイント部10Gはロッド10Fの先端部に連結している。ロッド側ジョイント部10Gはロッド10Fの中心軸に対して直交する方向に貫通した第1貫通孔(図示せず)が形成されている。シリンダ本体10Jは作動油及び圧縮ガスを封入している。ダンパ10Aは、長さが収縮してシリンダ本体10Jに封入された圧縮ガスが圧縮されると、長さが伸長する方向に圧縮ガスの膨張力が付与される。
【0022】
ダンパ10Aは伸長動作時に発生する減衰力が収縮動作時に発生する減衰力よりも小さい圧効きダンパである。ここで、ダンパ10Aの伸長動作とは、シリンダ本体10Jの開口端部10Lから突出するロッド10Fの突出する寸法が大きくなり、ダンパ10Aの長さ寸法が大きくなる動作を意味する。また、ダンパ10Aの収縮動作とは、シリンダ本体10Jの開口端部10Lから突出するロッド10Fの突出する寸法が小さくなり、ダンパ10Aの長さ寸法が小さくなる動作を意味する。
【0023】
ダンパ10Aの減衰力が発生するメカニズム(mechanism)は周知であるため、図示を省略して説明する。シリンダ本体10Jは内部がピストンによって、ロッド10Fの基端部が収納されているロッド側圧力室と、反ロッド側圧力室とに仕切られている。ピストンは両圧力室間を連通させる絞り弁であるオリフィス(orifice)が形成されている。オリフィスは、ダンパ10Aの伸縮動作に伴うロッド側圧力室と反ロッド側圧力室との間の作動油の流れに抵抗を付与して減衰力を発生する減衰力発生部として機能する。また、ピストンは逆止弁を介してロッド側圧力室と反ロッド側圧力室との間を連通する連通路が形成されている。逆止弁は、ロッド側圧力室から反ロッド側圧力室への作動油の流れを許容し、反ロッド側圧力室からロッド側圧力室への流れを阻止する。このため、ダンパ10Aは伸長動作する際、作動油がロッド側圧力室から反ロッド側圧力室へ流れる経路がオリフィスと連通路との2つである。また、ダンパ10Aは収縮動作する際、作動油が反ロッド側圧力室からロッド側圧力室への流れる経路がオリフィスのみである。このため、ダンパ10Aは伸長動作の際に発生する減衰力が収縮動作の際に発生する減衰力よりも小さい。
【0024】
長さ調整部材10Cは筒部材本体10K、及び筒部材側ジョイント部10Hを有している。筒部材本体10Kは有底筒状である。筒部材本体10Kは内周面にねじ山が刻まれている。筒部材本体10Kは中心軸方向の寸法がシリンダ本体10Jの中心軸方向の寸法より僅かに小さい。筒部材側ジョイント部10Hは筒部材本体10Kの他端部である底の外側に連結している。筒部材側ジョイント部10Hは筒部材本体10Kの中心軸に対して直交する方向に貫通した第2貫通孔(図示せず)が形成されている。長さ調整部材10Cは筒部材本体10Kの開口した一端部からシリンダ本体10Jが挿入されて固定されたねじ部材10Bがねじ込まれている。このとき、長さ調整部材10Cは筒部材本体10Kの一端部からダンパ10Aのロッド10Fの先端部が突出している。長さ調整部材10Cはねじ部材10Bに対して回転自在である。これにより、長さ調整部材10C及びねじ部材10Bは中心軸方向に伸縮自在である。
【0025】
ナット部材10Dは厚みを有し環状をなしている。ナット部材10Dは外形が上方からの平面視において正六角形状をなしている。ナット部材10Dは環状の孔が円形状をなしている。ナット部材10Dは孔の内周面にねじ山が刻まれている。ナット部材10Dは長さ調整部材10Cの筒部材本体10Kの一端部に当接し、ねじ部材10Bにねじ込まれている。つまり、ナット部材10Dはシリンダ10Eにねじ込まれている。ナット部材10Dはねじ部材10Bに対して回転自在である。これにより、ナット部材10Dはねじ部材10Bの中心軸周りに回転することによってねじ部材10Bの中心軸方向に移動自在である。
【0026】
第1ベース部11は、第1平板11A、摩擦部材である第1滑り止め部11B、及び一対の第1ジョイント部11Cを有している。第1平板11Aは平板状をなして一方向に伸びている。第1平板11Aは平板状の外形が矩形状である。また、第1平板11Aは矩形状の向かい合う2辺の一方が長辺であり、他方が短辺である。第1滑り止め部11Bは平板状をなして一方向に伸びている。第1滑り止め部11Bは平板状の外形が矩形状である。第1滑り止め部11Bは矩形状の外形が第1平板11Aの矩形状の外形とほぼ同じである。第1滑り止め部11Bは平板状の外形を第1平板11Aの平板状の外形に合わせて、第1平板11Aの一方の端面に貼着されている。
【0027】
一対の第1ジョイント部11Cは平板状をなしている。これら第1ジョイント部11Cは、第1平板11Aの矩形状の長辺側の向かい合う2辺にそれぞれの基端縁を連結して、第1平板11Aの一方の端面の反対方向に伸びている。これら第1ジョイント部11Cは先端縁が第1平板11Aの矩形状の長辺側の1辺の両端から長辺側の1辺の中央に向けて弧状をなしている。これら第1ジョイント部11Cは平板状の中央部の先端縁の近傍に平板状に対して直交する方向に貫通した第3貫通孔11Dがそれぞれに形成されている。これら第3貫通孔11Dは互いに同軸上に位置している。
【0028】
第1ベース部11は一対の第1ジョイント部11Cの間に長さ調整部材10Cの筒部材側ジョイント部10Hが配置されている。また、第1ベース部11は筒部材側ジョイント部10Hに形成された第2貫通孔(図示せず)の中心軸が第3貫通孔11Dの中心軸上に配置されている。第1ベース部11は、第2貫通孔及び第3貫通孔11Dに円柱状に形成された第1連結軸11Eを挿通することによって、長さ調整部材10Cの筒部材本体10Kの他端部に回動自在に連結されている。
【0029】
第2ベース部12は、第2平板12A、摩擦部材である第2滑り止め部12B、及び一対の第2ジョイント部12Cを有している。第2平板12Aは平板状をなして一方向に伸びている。第2平板12Aは平板状の外形が矩形状である。また、第2平板12Aは矩形状の向かい合う2辺の一方が長辺であり、他方が短辺である。第2滑り止め部12Bは平板状をなして一方向に伸びている。第2滑り止め部12Bは平板状の外形が矩形状である。第2滑り止め部12Bは矩形状の外形が第2平板12Aの矩形状の外形とほぼ同じである。第2滑り止め部12Bは平板状の外形を第2平板12Aの平板状の外形に合わせて、第2平板12Aの一方の端面に貼着されている。
【0030】
一対の第2ジョイント部12Cは平板状をなしている。これら第2ジョイント部12Cは、第2平板12Aの矩形状の長辺側の向かい合う2辺にそれぞれの基端縁を連結して、第2平板12Aの一方の端面の反対方向に伸びている。これら第2ジョイント部12Cは先端縁が第2平板12Aの矩形状の長辺側の1辺の両端から長辺側の1辺の中央に向けて弧状をなしている。これら第2ジョイント部12Cは平板状の中央部の先端縁の近傍に平板状に対して直交する方向に貫通した第4貫通孔12Dがそれぞれに形成されている。これら第4貫通孔12Dは互いに同軸上に位置している。
【0031】
第2ベース部12は一対の第2ジョイント部12Cの間にロッド側ジョイント部10Gが配置されている。また、第2ベース部12はロッド側ジョイント部10Gに形成された第1貫通孔(図示せず)の中心軸が第4貫通孔12Dの中心軸上に配置されている。第2ベース部12は、第1貫通孔及び第4貫通孔12Dに円柱状をなした第2連結軸12Eを挿通することによって、ロッド10Fの先端部に回動自在に連結されている。こうして、この転倒防止装置は構成される。
【0032】
なお、この転倒防止装置は、図1(A)に示すように、ダンパ10Aが長さ調整部材10Cに最も深くねじ込まれて最も収縮した際に、長さ調整部材10Cの上端がダンパ10Aのロッド側ジョイント部10Gの下端と同じ高さ若しくは低い。
【0033】
次に、壁面Wに後面1Bを対向させて設置面上に設置された家具Fの上面1Uと天井Cとの間にこの転倒防止装置を取り付ける取付け方法について説明する。
【0034】
一対の転倒防止装置を天井Cと家具Fの上面1Uとの間に取り付ける(図4参照。)。まず、図2、3に示すように、長さ調整部材10Cに対してねじ部材10Bを回転させ、長さ調整部材10Cの筒部材本体10Kからねじ部材10Bが突出する寸法を変更する。そして、転倒防止装置の全長を取り付ける天井Cと家具Fの上面1Uとの間の寸法に適した長さに調節する。ここで、転倒防止装置の全長とは、第1ベース部11の第1平板11A、及び第2ベース部12の第2平板12Aのそれぞれの平板状の平面をダンパ10Aの中心軸に対して直角方向に向けた際の第1滑り止め部11Bの下端面と第2滑り止め部12Bの上端面との間の寸法L1、L2である(図1(A)、(B)参照。)。この際、この転倒防止装置の全長は取り付ける天井Cと家具Fの上面1Uとの間の寸法より大きくする。
【0035】
次に、ナット部材10Dをねじ部材10Bに対して回転させて、長さ調整部材10Cの筒部材本体10Kの一端部に当接させて締め付ける。そして、第1ベース部11の第1滑り止め部11Bを家具Fの上面1Uの後側の左右両端部に当接させる。そして、ダンパ10Aを収縮させて、第2ベース部12を第1ベース部11より前側に配置する。さらに、図4に示すように、第2ベース部12を第1ベース部11より家具Fの左右中央側に配置する。そして、第2ベース部12の第2滑り止め部12Bを天井Cに当接させる。つまり、第1ベース部11及び第2ベース部12は、第1滑り止め部11Bが家具Fの上面1Uに当接し、第2滑り止め部12Bが天井Cに当接する。つまり、第1ベース部11及び第2ベース部12はそれぞれが家具Fの上面1Uと天井Cとに当接する。こうして、一対の転倒防止装置は、上部が下部より前側に位置して傾斜し、上部が下部より家具Fの左右中央側に位置して傾斜して天井Cと家具Fの上面1Uとの間に取り付けられている。このとき、これら転倒防止装置は鉛直方向に対してダンパ10Aの中心軸が傾斜する角度が15°〜25°であることが好ましい。
【0036】
これら転倒防止装置は、シリンダ本体10Jに封入された圧縮ガスの膨張力によって、常に伸長する方向に力が発生するため、天井Cと家具Fの上面1Uとの間で突っ張った状態になる。これら転倒防止装置は、第1ベース部11の第1滑り止め部11Bが家具Fの上面1Uに滑り止め状態で当接し、第2ベース部12の第2滑り止め部12Bが天井Cに滑り止め状態で当接している。このため、これら転倒防止装置は第1ベース部11を家具Fの上面1Uに固定したり、第2ベース部12を天井Cに固定したりしなくて済む。
【0037】
次に、この転倒防止装置の動作を説明する。
【0038】
天井Cと家具Fの上面1Uとの間に取り付けられた一対の転倒防止装置は、地震の揺れ等によって家具Fが前方向に傾いた際、第1ベース部11が第2ベース部12に近づくことによってダンパ10Aが収縮し減衰力を発生する(図2、3参照。)。これにより、これら転倒防止装置は家具Fが前方向に傾く力を減衰させ、家具Fが前方向に転倒することを防止することができる。
【0039】
また、地震の揺れ等によって家具Fが右方向に傾いた際、家具Fの上面1Uの左側に取り付けられた転倒防止装置の第1ベース部11が第2ベース部12に近づくことによってダンパ10Aが収縮し減衰力を発生する(図4参照。)。これにより、この転倒防止装置は家具Fが右方向に傾く力を減衰させ、家具Fが右方向に転倒することを防止することができる。
【0040】
また、地震の揺れ等によって家具Fが左方向に傾いた際、家具Fの上面1Uの右側に取り付けられた転倒防止装置の第1ベース部11が第2ベース部12に近づくことによってダンパ10Aが収縮し減衰力を発生する(図4参照。)。これにより、この転倒防止装置は家具Fが左方向に傾く力を減衰させ、家具Fが左方向に転倒することを防止することができる。
【0041】
このように、この転倒防止装置は、外周面にねじ山が刻まれたシリンダ10Eが内周面にねじ山が刻まれた長さ調整部材10Cの筒部材本体10Kにねじ込まれている。このため、この転倒防止装置は天井Cと家具Fの上面1Uとの間に取り付けられた状態において地震が発生した際、地震の揺れによって家具Fが振動し、天井Cと家具Fの上面1Uとで圧縮されても、シリンダ10Eが長さ調整部材10Cの筒部材本体10Kに押し込まれることがないため全長が小さくならない。これにより、この転倒防止装置は取り付けられた天井Cと家具Fの上面1Uとの間から脱落することを抑えることができる。また、この転倒防止装置はシリンダ10Eを長さ調整部材10Cに対して回転させることによって全長を所望の長さに調節することができる。このため、天井Cと家具Fの上面1Uとの間の寸法が異なる場合でも、この転倒防止装置は全長を取り付ける天井Cと家具Fの上面1Uとの間の寸法に適した長さに調節して取り付けることができる。
【0042】
また、この転倒防止装置は地震により家具Fが振動した場合、ダンパ10Aによって家具Fの振動を減衰させることができる。このため、この転倒防止装置は、ばねのみで家具Fの振動を吸収する場合に比べて、家具Fが継続して振動することを抑えることができる。このため、この転倒防止装置は家具Fが継続して振動し、家具Fと家具Fを設置した周囲とが繰り返しぶつかることによって家具Fと家具Fを設置した周囲とが破損することを抑えることができる。
【0043】
したがって、この転倒防止装置は、地震の揺れによる家具Fの転倒を良好に防止することができる。
【0044】
また、このシリンダ10Eは、ロッド10Fを挿入したシリンダ本体10Jと、シリンダ本体10Jが挿入されて固定され、外周面にねじ山が刻まれて長さ調整部材10Cの筒部材本体10Kにねじ込まれるねじ部材10Bとを具備している。このため、この転倒防止装置はシリンダ10Eの長さに関わりなくねじ部材10Bの長さを設定できる。このため、この転倒防止装置は長さの異なるダンパ10Aを複数用意しなくても、ねじ部材10Bの長さを変更することによって取り付けることができる寸法をより広げることができる。
【0045】
また、この転倒防止装置は、シリンダ10Eにねじ込まれ、長さ調整部材10Cの筒部材本体10Kの一端部に当接したナット部材10Dを備えている。このため、この転倒防止装置は長さ調整部材10Cに対してシリンダ10Eを回転させて全長を所望の長さに調節した後、長さ調整部材10Cの筒部材本体10Kに対してナット部材10Dを締め込むことができる。これにより、この転倒防止装置はシリンダ10Eが長さ調整部材10Cに対して不用意に動くことを抑えることができる。このため、この転倒防止装置は天井Cと家具Fの上面1Uとの間に取り付けられた状態において地震が発生した際、地震の振動によってシリンダ10Eと長さ調整部材10Cとが互いに動かない。このため、この転倒防止装置はシリンダ10E及び長さ調整部材10Cの筒部材本体10Kが疲労破壊したり、シリンダ10E及び長さ調整部材10Cの筒部材本体10Kのそれぞれに刻まれたねじ山が破損したりすることを抑えることができる。
【0046】
また、第1ベース部11及び第2ベース部12は、天井C又は家具Fの上面1Uに当接する第1滑り止め部11B及び第2滑り止め部12Bをそれぞれ有している。このため、この転倒防止装置は第1滑り止め部11B及び第2滑り止め部12Bの材質を天井Cや家具Fの上面1Uの材質に適したものにすることができる。これにより、この転倒防止装置はさまざまな材質の天井Cや家具Fの上面1Uに良好に取り付けることができる。
【0047】
また、この転倒防止装置は、ダンパ10Aが長さ調整部材10Cに最も深くねじ込まれて最も収縮した際に、長さ調整部材10Cの上端がダンパ10Aのロッド側ジョイント部10Gの下端と同じ高さ若しくは低い。このため、この転倒防止装置はダンパ10Aのストロークが妨げられないため、ダンパ10Aを確実に作動させることができる。また、この転倒防止装置は長さ調整部材10Cにシリンダ10Eがねじ込まれる区間の寸法をより長くすることができる。つまり、この転倒防止装置は長さ調整部材10Cとシリンダ10Eとが重なる寸法を大きくすることができるため、よりシリンダ10Eの強度を向上させることができる。また、この転倒防止装置は長さ調整部材10Cの筒部材本体10Kにシリンダ10Eをねじ込む寸法を調節して全長を最も長くした場合において、筒部材本体10Kのシリンダ10Eがねじ込まれていない区間の寸法を最も小さくすることができる。このため、この転倒防止装置は、天井Cと家具Fの上面1Uとの間に取り付けられた状態において地震が発生した際、天井Cと家具Fの上面1Uとで圧縮されても筒部材本体10Kを座屈し難くすることができる。つまり、この転倒防止装置は全長が最も長い場合と最も小さい場合との筒部材本体10Kの強度の変化を小さくすることができる。
【0048】
<実施形態2>
次に、図5などを参照し、実施形態2について説明する。
実施形態2の転倒防止装置は、ダンパの伸長を規制する規制部材を備えている点において、実施形態1の転倒防止装置とは異なる。その他の部分は、実施形態1と略同一の構成をなし、同一の機能を有する。よって、他の部分については実施形態1と同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0049】
なお、本実施形態のダンパ10Aは、実施形態1と同様に、シリンダ10E内に作動油及び圧縮ガスが封入された油圧式ダンパであるが、具体的構成として、図5に示すピストン10Pを具備するものとする。ピストン10Pは、中心軸方向に摺動自在にシリンダ10Eに収納されているとともに、ロッド10Fの基端部が連結されている。また、ダンパ10Aは、シリンダ10Eの開口端部10Lにかしめ溝10Qを形成している。かしめ溝10Qは、ロッドガイド(図示せず)をかしめ固定する際に形成された溝である。
【0050】
図5に示すように、実施形態2の転倒防止装置は規制部材20を備えている。規制部材20は、シリンダ側係合部21、ロッド側係合部22及び連結部23を有している。シリンダ側係合部21及びロッド側係合部22は、シリンダ10Eの外周面及び第2ベース部12側に夫々係合してダンパ10Aの伸長を規制する。具体的には、シリンダ側係合部21は、筒状に形成されてシリンダ10Eの開口端部10Lの外周面に係合する。これらシリンダ側係合部21及びロッド側係合部22が係合する位置は、ダンパ10Aの伸長に伴って互いに遠ざかる位置である。また、シリンダ側係合部21には、中心方向に向かって内壁から突出する突出部21Aが形成されている。シリンダ側係合部21は、この突出部21Aがシリンダ10Eの開口端部10Lに形成されたかしめ溝10Qに嵌め込まれることによりシリンダ10Eに係合する。すなわち、本実施形態では、このかしめ溝10Qを利用してシリンダ側係合部21を係合している。ロッド側係合部22は環状に一対形成されており、第2ベース部12の第2連結軸12Eの両端部に係合する。連結部23は、シリンダ側係合部21からロッド側係合部22に向かって立ち上がって形成され、ロッド側係合部22に連結されている。
【0051】
規制部材20は、ロッド10Fを上方に配置し且つシリンダ10Eを下方に配置した状態のダンパ10Aにおいて、ピストン10Pが作動油内の上端に位置したときの長さと下端に位置したときの長さの間の範囲、すなわち、ピストンが作動油内の上端に位置したときの長さ以下の長さでダンパ10Aの伸長を規制している。本実施形態において、規制部材20は、ピストンが作動油内の上端に位置したときの長さと下端に位置したときの長さの中間の長さでダンパ10Aの伸長を規制している。すなわち、規制部材20は、作動油内に没入した状態のピストンの摺動可能範囲の中心にピストンが位置したときの長さで、ダンパ10Aの伸長を規制している。なお、本実施形態に係るダンパ10Aは、作動油内に没入した状態のピストンの摺動可能範囲として、中心位置から上下に夫々50mm程度の範囲が確保されている。すなわち、本実施形態において、ダンパ10Aが適正な性能を発揮できるストローク(stroke)は約100mmである。
【0052】
このような構成を有する転倒防止装置は、次に示すようにして家具Fの上面1Uと天井Cとの間に取り付けられる。取り付け前の状態の転倒防止装置は、図5に示すように、シリンダ10Eのねじ部材10Bが長さ調整部材10Cに最も深くねじ込まれて最も短い状態とされている。この状態で、第1ベース部11を家具Fの上面1Uに当接させて載置する。
【0053】
次に、転倒防止装置を伸長させる。この時の伸長は、長さ調整部材10Cにより行う。すなわち、長さ調整部材10Cとダンパ10Aとを相対移動させて第1ベース部11とシリンダ10Eの間の長さを調整する。実際の作業としては、第1ベース部11を家具Fの上面1Uに当接させた状態でシリンダ10Eを回転させる。すると、ねじ部材10Bと螺合により係合している長さ調整部材10Cがダンパ10Aに対して相対移動する。これにより、ダンパ10Aが上方に押し上げられる。これに伴って第2ベース部12も押し上げられる。このようにして長さ調整部材10Cにより長さを調整して、第2ベース部12を天井Cに当接させる。この時、ダンパ10Aの伸長を規制した状態で長さ調整部材10Cを伸長させたことで、ダンパ10Aの全長は変化することなく、第2ベース部12が天井Cに当接する。すなわち、ピストン10Pの位置は作動油内の上端位置と下端位置の中心のままであり、ダンパ10Aは上下両方向に夫々約50mmのストロークが確保されている。
【0054】
そして、長さ調整部材10Cとシリンダ10Eをナット部材10Dにより固定する。最後に、規制部材20によるダンパ10Aの伸長の規制を解除して、ダンパ10Aの付勢力を家具Fの上面1Uと天井Cに作用させる。具体的には、規制部材20のロッド側係合部22を第2連結軸12Eから取り外す。なお、この規制解除は、シリンダ側係合部21を取り外すことによるものであってもよい。この規制部材20によるダンパ10Aの伸長規制を解除した時、第2ベース部12は既に天井Cに当接しているのでダンパ10Aの伸長は生じない。例えば、第2ベース部12が天井Cから離れた状態でダンパ10Aの伸長規制を解除した場合、圧縮ガスのガス圧によりダンパ10Aが一気に伸長し、第2ベース部12が天井Cに衝突してしまう。しかし、本実施形態の場合、第2ベース部12が天井Cに当接してから伸長規制を解除するので、ダンパ10Aの伸長による第2ベース部12と天井Cとの衝突は生じない。
【0055】
転倒防止装置を取り外す場合には、上記手順を逆の順序で行う。すなわち、最初に、規制部材20によりダンパ10Aの伸長を規制する。次に、ナット部材10Dを緩めて長さ調整部材10Cとシリンダ10Eの固定を解除する。最後に、シリンダ10Eを回転させ、第1ベース部11とシリンダ10Eの間の長さを調整して短くし、第2ベース部12を天井Cから離間させる。
【0056】
以上説明したように、転倒防止装置は、ダンパ10Aの伸長を規制する規制部材20を備えている。ダンパ10Aは、シリンダ10E内に作動油が封入されているとともに、中心軸方向に摺動自在にシリンダ10E内に収納され、且つロッド10Fの基端部が連結されたピストン10Pを有する油圧式ダンパである。そして、規制部材20は、ロッド10Fを上方に配置し且つシリンダ10Eを下方に配置した状態のダンパ10Aにおいて、ピストン10Pが作動油内の上端に位置したときの長さ以下の長さでダンパ10Aの伸長を規制する。これにより、規制部材20により、減衰力が適正に生じる状態の長さが保持される。このため、ダンパ10Aが適正な減衰力を確実に発生する状態で、家具Fの上面1Uと天井Cとの間に取り付けることできる。
【0057】
また、規制部材20は、ロッド10Fを上方に配置し且つシリンダ10Eを下方に配置した状態のダンパ10Aにおいて、ピストン10Pが作動油内の上端に位置したときの長さと下端に位置したときの長さの間の中間の長さでダンパの伸長を規制する。このため、揺れにより家具Fが傾いて伸長方向及び収縮方向のいずれの方向に伸縮したとしても、ピストン10Pは作動油内を移動するので、ダンパ10Aは適正な減衰力を発揮できる。
【0058】
また、規制部材20は、シリンダ側係合部21、ロッド側係合部22及び連結部23を有している。シリンダ側係合部21及びロッド側係合部22は、ダンパ10Aの伸長に伴って互いに遠ざかる位置に夫々係合し、連結部23は、シリンダ側係合部21及びロッド側係合部22を連結する。これにより、ダンパ10Aの伸長を確実に規制することができる。
【0059】
また、シリンダ側係合部21は、筒状に形成されているとともに、内壁から中心方向に向かって突出する突出部21Aを具備している。そして、シリンダ側係合部21は、この突出部21Aがシリンダ10Eの開口端部10Lの外周面に形成されたかしめ溝10Qに係合する。このため、簡易且つ確実に、シリンダ10E側に係合することができる。
【0060】
また、ロッド側係合部22は環状に一対形成されて、第2ベース部12の第2連結軸12Eの両端部に係合する。このため、簡易且つ確実に係合することができる。
【0061】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態1に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)実施形態1及び2では、転倒防止装置を家具に対して取り付けたが、地震等の揺れによって転倒するおそれのある、書棚、冷蔵庫等の物品に対して取り付けてもよい。
(2)実施形態1及び2では、転倒防止装置を壁面に後面を対向させて設置面上に設置された家具に対して取り付けたが、壁面に隣接させずに設置面上に設置された家具等に対して取り付けてもよい。
(3)実施形態1及び2では、収縮したときにのみ減衰力を発生させる圧効きダンパを用いたが、これに限らず、収縮したときと伸長したときの両動作で減衰力を発生させる両効きダンパを用いても良い。
(4)実施形態1及び2では、シリンダ本体内に作動油及び圧縮ガスを封入したダンパを利用したが、収縮動作時に所定の減衰力を発生させるものであれば、他の液体を封入した液圧式ダンパであっても、他の形式のダンパであってもよい。
(5)実施形態1及び2では、シリンダ本体内に圧縮ガスを封入して伸張方向に圧縮ガスの膨張力が働くようにしたが、他の方式で伸張方向に働く力を発生させてもよい。また、圧縮ガス等を封入せず、伸張方向に力を働かせなくてもよい。
(6)実施形態1及び2では、家具の上面側にシリンダ本体を取り付け、天井側にロッドを取り付けたが、これに限らず、天井側にシリンダ本体を取り付け、家具の上面側にロッドを取り付けても良い。
(7)実施形態1及び2では、ナット部材を設けているが、設けなくても良い。
(8)実施形態1及び2では、外形形状が正六角形状に形成されているナット部材が用いられているが、これに限らず、外周面にローレット加工されたナット、蝶ナット、四角ナット等の他の外形形状のナット部材であっても良い。
(9)実施形態1及び2では、ねじ部材を設けているが、これに限らず、ねじ部材を設けなくても良い。この場合、シリンダ本体の外周面にねじ山を刻み、長さ調整部材の筒部材本体にねじ込む。
(10)実施形態1及び2では、第1滑り止め部、及び第2滑り止め部を設けているが、これに限らず、第1滑り止め部、及び第2滑り止め部として両面接着紙や、接着剤を用いて、天井や家具の上面に貼着して取り付けても良い。
(11)実施形態1では、天井と家具の上面との間に一対の転倒防止装置を取り付けているが、これに限らず、天井と家具の上面との間に1つ取り付けも良く、3つ以上取り付けても良い。
(12)第1ベース部及び第2ベース部の形態は実施形態1及び2の形態に限らない。
(13)実施形態2では、規制部材を備える例を示したが、本発明に係る転倒防止装置は、規制部材を備えることは必須ではない。また、規制部材は柔軟なものであってもよいが、伸長方向に対する変形(伸び)の生じ難いものであることが好ましい。
(14)実施形態2では、規制部材がシリンダの外周面と、第2ベース部側の回動軸部材としての第2連結軸と、に係合する形態を例示したが、規制部材の形状、係合する部位、係合形態等は、ダンパの伸長を規制することができる限り特に限定されない。
(15)実施形態2では、規制部材が、ロッドを上方に配置し且つシリンダを下方に配置した状態のダンパにおいて、ピストンが作動液体内の上端に位置したときの長さと下端に位置したときの長さの中間の長さでダンパの伸長を規制する形態を例示したが、この場合の「中間」とは、厳密な中間である必要はない。
【符号の説明】
【0062】
C…天井、F…家具(物品)、10A…ダンパ、10B…ねじ部材、10C…長さ調整部材、10D…ナット部材、10E…シリンダ、10F…ロッド、10G…ロッド側ジョイント部、10J…シリンダ本体、10L…開口端部、10M…閉鎖端部、11…第1ベース部(ベース部)、11B…第1滑り止め部(摩擦部材)、12…第2ベース部(ベース部)、12B…第2滑り止め部(摩擦部材)、20…規制部材
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【国際調査報告】