(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO2017150613
(43)【国際公開日】20170908
【発行日】20190207
(54)【発明の名称】光学フィルム、偏光板および画像表示装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 5/30 20060101AFI20190111BHJP
   G02F 1/13363 20060101ALI20190111BHJP
   G02F 1/1335 20060101ALI20190111BHJP
   G02F 1/1337 20060101ALI20190111BHJP
   G02F 1/13 20060101ALI20190111BHJP
   B32B 7/023 20190101ALI20190111BHJP
   B32B 27/00 20060101ALI20190111BHJP
   G02B 1/14 20150101ALI20190111BHJP
   H05B 33/02 20060101ALI20190111BHJP
   H01L 51/50 20060101ALI20190111BHJP
   H01L 27/32 20060101ALI20190111BHJP
【FI】
   !G02B5/30
   !G02F1/13363
   !G02F1/1335 510
   !G02F1/1337 520
   !G02F1/13 500
   !G02F1/13 505
   !B32B7/02 103
   !B32B27/00 M
   !G02B1/14
   !H05B33/02
   !H05B33/14 A
   !H01L27/32
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】35
【出願番号】2018503369
(21)【国際出願番号】JP2017008114
(22)【国際出願日】20170301
(31)【優先権主張番号】2016042481
(32)【優先日】20160304
(33)【優先権主張国】JP
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ
(71)【出願人】
【識別番号】306037311
【氏名又は名称】富士フイルム株式会社
【住所又は居所】東京都港区西麻布2丁目26番30号
(74)【代理人】
【識別番号】100080159
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 望稔
(74)【代理人】
【識別番号】100152984
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 秀明
(74)【代理人】
【識別番号】100148080
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 史生
(72)【発明者】
【氏名】白岩 直澄
【住所又は居所】神奈川県南足柄市中沼210番地 富士フイルム株式会社内
(72)【発明者】
【氏名】高橋 慶太
【住所又は居所】神奈川県南足柄市中沼210番地 富士フイルム株式会社内
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 寛
【住所又は居所】神奈川県南足柄市中沼210番地 富士フイルム株式会社内
【テーマコード(参考)】
2H088
2H149
2H290
2H291
2K009
3K107
4F100
【Fターム(参考)】
2H088EA47
2H088FA20
2H088GA04
2H088HA03
2H088HA15
2H088HA18
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(57)【要約】
本発明は、耐久性に優れた光学異方性層を有する光学フィルムならびにそれを用いた偏光板および画像表示装置を提供することを課題とする。本発明の光学フィルムは、光学異方性層、オーバーコート層および粘着剤層をこの順に有し、光学異方性層が、重合性基を有する液晶性化合物と重合開始剤とを含有する重合性液晶組成物を重合して得られる層であり、オーバーコート層が、2個以上の重合性基を有する多官能重合性モノマーを硬化させて得られる層であり、多官能重合性モノマーにおける重合性基あたりの分子量が140以下である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学異方性層、オーバーコート層および粘着剤層をこの順に有し、
前記光学異方性層が、重合性基を有する液晶性化合物と重合開始剤とを含有する重合性液晶組成物を重合して得られる層であり、
前記オーバーコート層が、2個以上の重合性基を有する多官能重合性モノマーを硬化させて得られる層であり、
前記多官能重合性モノマーにおける重合性基1個あたりの分子量が140以下である、光学フィルム。
【請求項2】
前記オーバーコート層が、ガラス転移温度を有していない層、または、ガラス転移温度が80℃以上となる層である、請求項1に記載の光学フィルム。
【請求項3】
前記多官能重合性モノマーが有する重合性基が、アクリロイル基またはメタクリロイル基である、請求項1または2に記載の光学フィルム。
【請求項4】
前記液晶性化合物が、下記式(1)で表される液晶性化合物である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の光学フィルム。
【化1】
ここで、前記式(1)中、
Ar1は、n価の芳香族基を表し、
1は、単結合、−COO−、または、−OCO−を表し、
Aは、炭素数6以上の芳香環、または、炭素数6以上のシクロアルキレン環を表し、
Spは、単結合、炭素数1〜12の直鎖状もしくは分岐状のアルキレン基、または、炭素数1〜12の直鎖状もしくは分岐状のアルキレン基を構成する−CH2−の1個以上が−O−、−S−、−NH−、−N(Q)−、もしくは、−CO−に置換された2価の連結基を表し、
Qは、重合性基を表し、
mは、0〜2の整数を表し、nは、1または2の整数を表す。
ただし、mまたはnの数によって複数となるL、A、SpおよびQは、いずれも、互いに同一であっても異なっていてもよい。
【請求項5】
前記液晶性化合物が有する重合性基が、アクリロイル基またはメタクリロイル基である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の光学フィルム。
【請求項6】
前記液晶性化合物が、逆波長分散性を示す液晶性化合物である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の光学フィルム。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の光学フィルムと、偏光子とを有する、偏光板。
【請求項8】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の光学フィルム、または、請求項7に記載の偏光板を有する、画像表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学フィルム、偏光板および画像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
光学補償シートおよび位相差フィルムなどの光学フィルムは、画像着色解消または視野角拡大のために、様々な画像表示装置で用いられている。
光学フィルムとしては延伸複屈折フィルムが使用されていたが、近年、延伸複屈折フィルムに代えて、液晶性化合物からなる光学異方性層を有する光学フィルムを使用することが提案されている。
【0003】
このような光学フィルムとして、例えば、特許文献1には、所定の基および重合性基を含む化合物を重合してなる光学フィルムが記載されている([請求項12])。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−031223号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明者らは、特許文献1に記載された光学フィルムについて検討したところ、使用する重合性液晶性化合物または重合開始剤の種類、および、硬化温度などの重合条件によっては、形成された光学異方性層が高温高湿下に晒された場合において、複屈折率が変化してしまうという耐久性の問題があることを明らかとした。
【0006】
そこで、本発明は、耐久性に優れた光学異方性層を有する光学フィルムならびにそれを用いた偏光板および画像表示装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記課題を達成すべく鋭意検討した結果、液晶性化合物を用いて形成した光学異方性層と粘着剤層との間に、特定のオーバーコート層を設けることにより、耐久性が良好となることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、以下の構成により上記課題を達成することができることを見出した。
【0008】
[1] 光学異方性層、オーバーコート層および粘着剤層をこの順に有し、
光学異方性層が、重合性基を有する液晶性化合物と重合開始剤とを含有する重合性液晶組成物を重合して得られる層であり、
オーバーコート層が、2個以上の重合性基を有する多官能重合性モノマーを硬化させて得られる層であり、
多官能重合性モノマーにおける重合性基1個あたりの分子量が140以下である、光学フィルム。
[2] オーバーコート層が、ガラス転移温度を有していない層、または、ガラス転移温度が80℃以上となる層である、[1]に記載の光学フィルム。
[3] 多官能重合性モノマーが有する重合性基が、アクリロイル基またはメタクリロイル基である、[1]または[2]に記載の光学フィルム。
[4] 液晶性化合物が、後述する式(1)で表される液晶性化合物である、[1]〜[3]のいずれかに記載の光学フィルム。
[5] 液晶性化合物が有する重合性基が、アクリロイル基またはメタクリロイル基である、[1]〜[4]のいずれかに記載の光学フィルム。
[6] 液晶性化合物が、逆波長分散性を示す液晶性化合物である、[1]〜[5]のいずれかに記載の光学フィルム。
[7] [1]〜[6]のいずれかに記載の光学フィルムと、偏光子とを有する、偏光板。
[8] [1]〜[6]のいずれかに記載の光学フィルム、または、[7]に記載の偏光板を有する、画像表示装置。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、耐久性に優れた光学異方性層を有する光学フィルムならびにそれを用いた偏光板および画像表示装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、本発明の光学フィルムの一例を示す模式的な断面図である。
【図2】図2は、本発明の偏光板の一例を示す模式的な断面図である。
【図3】図3は、本発明の画像表示装置の一例(液晶表示装置)を示す模式的な断面図である。
【図4】図4は、本発明の画像表示装置の一例(有機エレクトロルミネッセンス表示装置)を示す模式的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明について詳細に説明する。
以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施態様に限定されるものではない。
なお、本明細書において、「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
【0012】
[光学フィルム]
本発明の光学フィルムは、光学異方性層、オーバーコート層および粘着剤層をこの順に有する光学フィルムである。
また、本発明の光学フィルムは、光学異方性層が、重合性基を有する液晶性化合物と重合開始剤とを含有する重合性液晶組成物を重合して得られる層である。
また、本発明の光学フィルムは、オーバーコート層が、2個以上の重合性基を有する多官能重合性モノマーを硬化させて得られる層であり、かつ、多官能重合性モノマーにおける重合性基1個あたりの分子量が140以下である。
【0013】
本発明においては、光学異方性層および粘着剤層の間に、重合性基1個あたりの分子量が140以下となる多官能重合性モノマーを硬化させて得られるオーバーコート層を設けることにより、耐久性が良好となる。
これは、詳細には明らかではないが、本発明者らは以下のように推測している。
まず、本発明者らは、光学異方性層が高温高湿下に晒された際に複屈折率が変化する原因として、光学異方性層に残存し得る液晶性化合物の未硬化のモノマーまたは重合開始剤などの低分子化合物が、液晶セルまたは有機エレクトロルミネッセンス(以下、「EL」と略す。)表示パネルなどの表示素子との貼合に用いられる粘着剤層に移行し、光学異方性層の内部に隙間が生じることにより、液晶の配向が乱れることが原因であると推定した。
そして、上述した通り、光学異方性層および粘着剤層の間に、特定のオーバーコート層を設けることにより、耐久性が改善されるという事実が確認できた。
そのため、重合性基1個あたりの分子量が140以下となる多官能重合性モノマーを硬化させることにより、緻密なオーバーコート層が形成され、その結果、光学異方性層に残存し得る低分子化合物の粘着剤層への移行を防ぐことができたと考えられる。
【0014】
図1は、本発明の光学フィルムの一例を示す模式的な断面図である。
なお、図1および後述する図2〜4は、いずれも模式図であり、各層の厚みの関係および位置関係などは必ずしも実際のものとは一致せず、各層の層間および表層に、本発明の効果を阻害しない任意の構成部材を有していてもよい。
図1に示す光学フィルム10は、光学異方性層12と、オーバーコート層14と、粘着剤層16とをこの順に有する。
以下、本発明の光学フィルムに用いられる種々の部材について詳細に説明する。
【0015】
〔光学異方性層〕
本発明の光学フィルムが有する光学異方性層は、重合性基を有する液晶性化合物と重合開始剤とを含有する重合性液晶組成物を重合して得られる層である。
【0016】
<液晶性化合物>
光学異方性層を形成する重合性液晶組成物は、重合性基を有する液晶性化合物を含む。
ここで、一般的に、液晶性化合物はその形状から、棒状タイプと円盤状タイプに分類できる。さらにそれぞれ低分子と高分子タイプがある。高分子とは一般に重合度が100以上のものを指す(高分子物理・相転移ダイナミクス,土井 正男 著,2頁,岩波書店,1992)。本発明では、いずれの液晶性化合物を用いることもできるが、棒状液晶性化合物またはディスコティック液晶性化合物(円盤状液晶性化合物)を用いるのが好ましい。2種以上の棒状液晶性化合物、2種以上の円盤状液晶性化合物、または棒状液晶性化合物と円盤状液晶性化合物との混合物を用いてもよい。上述の液晶性化合物の固定化のために、重合性基を有する棒状液晶性化合物または円盤状液晶性化合物を用いて形成することがより好ましく、液晶性化合物が1分子中に重合性基を2以上有することがさらに好ましい。液晶性化合物が二種類以上の混合物の場合には、少なくとも1種類の液晶性化合物が1分子中に2以上の重合性基を有していることが好ましい。
棒状液晶性化合物としては、例えば、特表平11−513019号公報の請求項1や特開2005−289980号公報の段落[0026]〜[0098]に記載のものを好ましく用いることができ、ディスコティック液晶性化合物としては、例えば、特開2007−108732号公報の段落[0020]〜[0067]または特開2010−244038号公報の段落[0013]〜[0108]に記載のものを好ましく用いることができるが、これらに限定されない。
【0017】
本発明においては、本発明による耐久性の改善効果がより顕在化する理由から、重合性基を有する液晶性化合物は、下記式(1)で表される液晶性化合物であることが好ましい。
【化1】

ここで、式(1)中、Ar1は、n価の芳香族基を表し、
1は、単結合、−COO−、または、−OCO−を表し、
Aは、炭素数6以上の芳香環、または、炭素数6以上のシクロアルキレン環を表し、
Spは、単結合、炭素数1〜12の直鎖状もしくは分岐状のアルキレン基、または、炭素数1〜12の直鎖状もしくは分岐状のアルキレン基を構成する−CH2−の1個以上が−O−、−S−、−NH−、−N(Q)−、もしくは、−CO−に置換された2価の連結基を表し、
Qは、重合性基を表し、mは、0〜2の整数を表し、nは、1または2の整数を表す。
ただし、mまたはnの数によって複数となるL1、A、SpおよびQは、いずれも、互いに同一であっても異なっていてもよい。
【0018】
上記式(1)中、Ar1が示す芳香族基とは、芳香族性を有する環を含む基をいい、例えば、芳香族炭化水素環および芳香族複素環からなる群から選ばれる少なくとも1つの芳香環を有するn価の基などが挙げられる。ここで、芳香族炭化水素環としては、例えば、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、および、フェナンスロリン環等が挙げられ、芳香族複素環としては、例えば、フラン環、ピロール環、チオフェン環、ピリジン環、チアゾール環、および、ベンゾチアゾール環等が挙げられる。なかでも、ベンゼン環、チアゾール環、または、ベンゾチアゾール環が好ましい。
また、上記式(1)中、Aが示す炭素数6以上の芳香環としては、例えば、上述したAr1に含まれる芳香環が挙げられ、なかでも、ベンゼン環(例えば、1,4−フェニル基など)が好ましい。同様に、上記式(1)中、Aが示す炭素数6以上のシクロアルキレン環としては、例えば、シクロヘキサン環、および、シクロヘキセン環などが挙げられ、なかでも、シクロヘキサン環(例えば、シクロヘキサン−1,4−ジイル基など)が好ましい。
また、上記式(1)中、Qが示す重合性基としては、例えば、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、スチリル基、および、アリル基等が挙げられる。なお、「(メタ)アクリロイル基」とは、アクリロイル基またはメタクリロイル基を表す表記である。
【0019】
上記式(1)で表される液晶性化合物としては、剛直なメソゲンと柔軟な側鎖が擬似的に相分離することでスメクチック性を発現しやすくなり、かつ、十分な剛直性を示す理由から、ベンゼン環およびシクロヘキサン環からなる群から選択される環構造を少なくとも3個有する化合物であるのが好ましい。
【0020】
上記式(1)で表される液晶性化合物としては、光学異方性層の耐久性がより良好となる理由から、重合性基(例えば、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、スチリル基、および、アリル基等)を2個以上有する化合物であるのが好ましい。
【0021】
本発明においては、重合速度が速く、緻密な光学異方性層が得られることから、液晶性化合物が有する重合性基が(メタ)アクリロイル基であることが好ましい。
【0022】
また、本発明においては、液晶性化合物が、逆波長分散性を示す液晶性化合物であるのが好ましい。
ここで、本明細書において「逆波長分散性」の液晶性化合物とは、これを用いて作製された位相差フィルムの特定波長(可視光範囲)における面内のレターデーション(Re)値を測定した際に、測定波長が大きくなるにつれてRe値が同等または高くなるものをいう。
【0023】
逆波長分散性を示す液晶性化合物としては、上記式(1)中のAr1が下記一般式(II−1)、一般式(II−2)、一般式(II−3)または一般式(II−4)で表される2価の芳香環基である化合物が好ましい。
【0024】
【化2】
【0025】
上記一般式(II−1)〜(II−4)中、Qは、−S−、−O−、または−NR11−を表し、
11は、水素原子または炭素数1〜6のアルキル基を表し、
は、炭素数6〜12の芳香族炭化水素環基、または、炭素数3〜12の芳香族複素環基を表し(なお、上記芳香族炭化水素環基および上記芳香族複素環基は置換基を有していてもよい)、
、ZおよびZはそれぞれ独立に、水素原子または炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基、炭素数3〜20の脂環式炭化水素基、1価の炭素数6〜20の芳香族炭化水素環基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、−NR1213または−SR12を表し、
およびZは、互いに結合して芳香環または芳香族複素環を形成してもよく、R12およびR13はそれぞれ独立に、水素原子または炭素数1〜6のアルキル基を表し、
およびAはそれぞれ独立に、−O−、−NR21−、−S−および−CO−からなる群から選ばれる基であって、R21は、水素原子または置換基を表し、Xは、水素原子または置換基が結合していてもよい第14族〜第16族の非金属原子(好ましくは、=O、=S、=NR’、=C(R’)R’が挙げられる(ここでR’は置換基を表す))を表し、
Axは、芳香族炭化水素環および芳香族複素環からなる群から選ばれる少なくとも一つの芳香環を有する、炭素数2〜30の有機基を表し、好ましくは、芳香族炭化水素環基;芳香族複素環基;芳香族炭化水素環および芳香族複素環からなる群から選ばれる少なくとも一つの芳香環を有する、炭素数3〜20のアルキル基;芳香族炭化水素環および芳香族複素環からなる群から選ばれる少なくとも一つの芳香環を有する、炭素数3〜20のアルケニル基;芳香族炭化水素環および芳香族複素環からなる群から選ばれる少なくとも一つの芳香環を有する、炭素数3〜20のアルケニル基が挙げられ、
Ayは、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜6のアルキル基、または、芳香族炭化水素環および芳香族複素環からなる群から選ばれる少なくとも一つの芳香環を有する炭素数2〜30の有機基を表し、この有機基の好適態様は、上記Axの有機基の好適態様と同じであり、
AxおよびAyにおける芳香環はそれぞれ、置換基を有していてもよく、AxとAyは結合して、環を形成していてもよく、
は、水素原子、または、置換基を有していてもよい炭素数1〜6のアルキル基を表す。
なお、置換基としては、ハロゲン原子、アルキル基、ハロゲン化アルキル基、アルケニル基、アリール基、シアノ基、アミノ基、ニトロ基、ニトロソ基、カルボキシ基、炭素数1〜6のアルキルスルフィニル基、炭素数1〜6のアルキルスルホニル基、炭素数1〜6のフルオロアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数1〜6のアルキルスルファニル基、炭素数1〜6のN−アルキルアミノ基、炭素数2〜12のN,N−ジアルキルアミノ基、炭素数1〜6のN−アルキルスルファモイル基、炭素数2〜12のN,N−ジアルキルスルファモイル基、またはこれらを組み合わせた基等が挙げられる。
【0026】
一般式(II−1)〜(II−4)で表される液晶性化合物の好ましい例を以下に示すが、これらの液晶性化合物に限定されるものではない。
【0027】
【化3】
【0028】
【化4】
【0029】
【化5】

なお、上記式中、「*」は結合位置を表す。
【0030】
【化6】
【0031】
【化7】
【0032】
【化8】
【0033】
【化9】
【0034】
【化10】
【0035】
さらに、本発明においては、上記式(1)で表される液晶性化合物としては、液晶性分子間に電子的相互作用が働くことで光学異方性層の耐久性がより良好となる理由から、上記式(1)中のAr1が上述した一般式(II−2)で表される化合物が好ましく、具体的には、上記式(1)中のnが2であり、Ar1が下記式(1a)で表される化合物であるのがより好ましい。
【化11】

ここで、上記式(1a)中、*は結合位置を表し、R2はそれぞれ独立に水素原子または炭素数1〜6のアルキル基を表す。
【0036】
上記式(1)中のnが2であり、Ar1が上記式(1a)で表される化合物としては、例えば、下記式L−1で表される化合物(液晶性化合物L−1)、下記式L−2で表される化合物(液晶性化合物L−2)、下記式L−5で表される化合物(液晶性化合物L−5)、および、下記式L−6で表される化合物(液晶性化合物L−6)などが挙げられる。なお、下記式L−1およびL−2中のアクリロイルオキシ基に隣接する基は、プロピレン基(メチル基がエチレン基に置換した基)を表し、液晶性化合物L−1およびL−2は、メチル基の位置が異なる位置異性体の混合物を表す。
【化12】

【0037】
<重合開始剤>
光学異方性層を形成する重合性液晶組成物は、重合開始剤を含む。
使用する重合開始剤は、紫外線照射によって重合反応を開始可能な光重合開始剤であるのが好ましい。
光重合開始剤としては、例えば、α−カルボニル化合物(米国特許第2367661号、同2367670号の各明細書記載)、アシロインエーテル(米国特許第2448828号明細書記載)、α−炭化水素置換芳香族アシロイン化合物(米国特許第2722512号明細書記載)、多核キノン化合物(米国特許第3046127号、同2951758号の各明細書記載)、トリアリールイミダゾールダイマーとp−アミノフェニルケトンとの組み合わせ(米国特許第3549367号明細書記載)、アクリジンおよびフェナジン化合物(特開昭60−105667号公報、米国特許第4239850号明細書記載)およびオキサジアゾール化合物(米国特許第4212970号明細書記載)、および、アシルフォスフィンオキシド化合物(特公昭63−40799号公報、特公平5−29234号公報、特開平10−95788号公報、特開平10−29997号公報記載)等が挙げられる。
【0038】
本発明においては、光学異方性層の耐久性がより良好となる理由から、重合開始剤がオキシム型の重合開始剤であるのが好ましく、具体的には、下記式(2)で表される重合開始剤であるのがより好ましい。
【化13】

ここで、上記式(2)中、Xは、水素原子またはハロゲン原子を表し、
Ar2は、2価の芳香族基を表し、L2は、炭素数1〜12の2価の有機基を表し、
1は、炭素数1〜12のアルキル基を表し、Yは、1価の有機基を表す。
【0039】
上記式(2)中、Xが示すハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、および、ヨウ素原子等が挙げられ、なかでも、塩素原子であるのが好ましい。
また、上記式(2)中、Ar2が示す2価の芳香族基としては、上記式(1)中のAr1として例示した芳香族炭化水素環および芳香族複素環からなる群から選ばれる少なくとも1つの芳香環を有する2価の基などが挙げられる。
また、上記式(2)中、L2が示す炭素数1〜12の2価の有機基としては、例えば、炭素数1〜12の直鎖状または分岐状のアルキレン基が挙げられ、具体的には、メチレン基、エチレン基、および、プロピレン基等が好適に挙げられる。
また、上記式(2)中、R1が示す炭素数1〜12のアルキル基としては、具体的には、例えば、メチル基、エチル基、および、プロピル基等が好適に挙げられる。
また、上記式(2)中、Yが示す1価の有機基としては、例えば、ベンゾフェノン骨格((C652CO)を含む官能基が挙げられる。具体的には、下記式(2a)および下記式(2b)で表される基のように、末端のベンゼン環が無置換または1置換であるベンゾフェノン骨格を含む官能基が好ましい。
【0040】
【化14】

ここで、上記式(2a)および上記式(2b)中、*は結合位置、すなわち、上記式(2)におけるカルボニル基の炭素原子との結合位置を表す。
【0041】
上記式(2)で表されるオキシム型の重合開始剤としては、例えば、下記式S−1で表される化合物や、下記式S−2で表される化合物などが挙げられる。
【化15】
【0042】
本発明においては、上記重合開始剤の含有量は特に限定されないが、重合性液晶組成物の固形分の0.01〜20質量%であることが好ましく、0.5〜5質量%であることがより好ましい。
【0043】
<有機溶媒>
光学異方性層を形成する重合性液晶組成物は、光学異方性層を形成する作業性等の観点から、有機溶媒を含有するのが好ましい。
有機溶媒としては、具体的には、例えば、ケトン類(例えば、アセトン、2−ブタノン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなど)、エーテル類(例えば、ジオキサン、テトラヒドロフランなど)、脂肪族炭化水素類(例えば、ヘキサンなど)、脂環式炭化水素類(例えば、シクロヘキサンなど)、芳香族炭化水素類(例えば、トルエン、キシレン、トリメチルベンゼンなど)、ハロゲン化炭素類(例えば、ジクロロメタン、ジクロロエタン、ジクロロベンゼン、クロロトルエンなど)、エステル類(例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチルなど)、水、アルコール類(例えば、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、シクロヘキサノールなど)、セロソルブ類(例えば、メチルセロソルブ、エチルセロソルブなど)、セロソルブアセテート類、スルホキシド類(例えば、ジメチルスルホキシドなど)、および、アミド類(例えば、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなど)等が挙げられ、これらを1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0044】
本発明においては、光学異方性層の形成方法としては、例えば、上述した液晶性化合物および重合開始剤ならびに任意の有機溶媒などを含有する重合性液晶組成物を用いて、所望の配向状態とした後に、重合により固定化する方法などが挙げられる。
ここで、重合条件は特に限定されないが、光照射による重合においては、紫外線(ultraviolet:UV)を用いることが好ましい。照射量は、10mJ/cm2〜50J/cm2であることが好ましく、20mJ/cm2〜5J/cm2であることがより好ましく、30mJ/cm2〜3J/cm2であることがさらに好ましく、50〜1000mJ/cm2であることが特に好ましい。また、重合反応を促進するため、加熱条件下で実施してもよい。
なお、本発明においては、光学異方性層は、後述する任意の支持体上や、後述する本発明の偏光板における偏光子上に形成することができる。
【0045】
また、本発明においては、画像表示装置のコントラストが向上する理由から、光学異方性層が、上述した重合性液晶組成物をスメクチック相に配向した後に重合(配向を固定化)して得られる層であるのが好ましい。これは、スメクチック相が、ネマチック相に比べて秩序度が高く、光学異方性層の配向乱れに起因する散乱が抑制されるためと考えられる。
【0046】
本発明の光学フィルムが有する光学異方性層は、優れた視野角特性を付与する観点から、下記式(I)を満たすのが好ましい。
0.75≦Re(450)/Re(550)≦1.00 ・・・(I)
ここで、式(I)中、Re(450)は、光学異方性層の波長450nmにおける面内レターデーションを表し、Re(550)は、光学異方性層の波長550nmにおける面内レターデーションを表す。
また、面内レターデーションの値は、自動複屈折率計(KOBRA−21ADH、王子計測機器(株)社製)を使用し、測定波長の光を用いて測定した値をいう。
【0047】
本発明においては、光学異方性層の厚みについては特に限定されないが、0.1〜10μmであるのが好ましく、0.5〜5μmであるのがより好ましい。
【0048】
〔オーバーコート層〕
本発明の光学フィルムが有するオーバーコート層は、2個以上の重合性基を有する多官能重合性モノマーを硬化させて得られる層であり、多官能重合性モノマーにおける重合性基1個あたりの分子量が140以下となる。
本発明においては、上述した通り、重合性基1個あたりの分子量が140以下となる多官能重合性モノマーを硬化させたオーバーコート層を設けることにより、光学異方性層に残存し得る低分子化合物の粘着剤層への移行を防ぐことができたと考えられる。
【0049】
また、本発明においては、光学異方性層の耐久性がより良好となる理由から、多官能重合性モノマーにおける重合性基1個あたりの分子量は、90〜135であることが好ましい。
【0050】
本発明においては、光学異方性層の耐久性がより良好となる理由から、オーバーコート層が、ガラス転移温度を有していない層、または、ガラス転移温度が80℃以上となる層であることが好ましい。
ここで、ガラス転移温度は、以下の方法で測定した温度をいう。具体的には、示差走査熱量測定装置(X−DSC7000(アイティー計測制御(株)製))にて、オーバーコート層のサンプル20mgを測定パンに入れ、これを窒素気流中で速度10℃/分で30℃から120℃まで昇温して15分間保持した後、30℃まで−20℃/分で冷却した。この後、再度30℃から250℃まで昇温して、ベースラインが低温側から変化し始める温度をガラス転移温度(Tg)とする。
また、「ガラス転移温度を有していない」とは、上述した測定方法により、ガラス転移温度が観測されないことをいう。
【0051】
多官能重合性モノマーが有する重合性基としては、具体的には、例えば、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、スチリル基、および、アリル基等が挙げられ、なかでも、(メタ)アクリロイル基であることが好ましい。
【0052】
アクリロイル基を有する多官能重合性モノマーとしては、具体的には、例えば、ビス(4−アクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン、トリプロピレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、トリメチロールプロパン(プロピレンオキサイド変性)トリアクリレート、オリゴエステルアクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジアクリレート、テトラメチロールメタントリアクリレート、ジメチロールトリシクロデカンジアクリレート、変性グリセリントリアクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテルアクリル酸付加物、変性ビスフェノールAジアクリレート、ビスフェノールAのPO(プロピレンオキシド)付加物ジアクリレート、ビスフェノールAのEO(エチレンオキシド)付加物ジアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、プロピレングリコールジグリシジルエーテルアクリル酸付加物、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、1,9−ノナンジオールジアクリレート、および、プロポシル変性のネオペンチルグリコールジアクリレート等が挙げられる。
また、メタクリロイル基を有する多官能重合性モノマーとしては、具体的には、例えば、ポリエチレングリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、2,2−ビス(4−メタクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン等が挙げられる。
多官能重合性モノマーの他の例としては、ジアリルフタレート、トリアリルトリメリテート等のアリル化合物も挙げられる。
また、多官能重合性モノマーの他の例としては、山下晋三編、「架橋剤ハンドブック」、(1981年大成社);加藤清視編、「UV・EB硬化ハンドブック(原料編)」(1985年、高分子刊行会);ラドテック研究会編、「UV・EB硬化技術の応用と市場」、79頁、(1989年、シーエムシー);滝山栄一郎著、「ポリエステル樹脂ハンドブック」、(1988年、日刊工業新聞社)等に記載の市販品若しくは業界で公知のラジカル重合性乃至架橋性のモノマーを用いることができる。
なお、本発明においては、以上で例示した多官能重合性モノマーのうち、重合性基1個あたりの分子量(以下、本段落において、「Mw/C=C」と略す。)が140以下となる多官能重合性モノマーを用いる。例えば、後述する実施例で用いる市販品以外の市販品として、ダイセル・オルネクス社製のEBECRYL5129(分子量:800,Mw/C=C:133)またはKRM8452(分子量:1200,Mw/C=C:120)、および、大阪有機化学工業社製のビスコート#802(分子量:805,Mw/C=C:101)等が挙げられる。
【0053】
本発明においては、オーバーコート層の形成方法は特に限定されず、例えば、上述した多官能重合性モノマーの他、重合開始剤および有機溶媒などを含有する組成物を用いて、上述した光学異方性層上に塗布し、硬化させることにより形成することができる。
ここで、重合開始剤および有機溶媒としては、上述した光学異方性層の重合性液晶組成物において説明したものと同様のものが挙げられる。
また、塗布方法としては、スクリーン印刷法、ディップコーティング法、スプレー塗布法、スピンコーティング法、インクジェット法、グラビアオフセット印刷法、および、フレキソ印刷法などが挙げられる。
また、硬化方法は特に限定されないが、上述した光学異方性層と同様、光照射による重合においては、紫外線(ultraviolet:UV)を用いることが好ましい。照射量は、10mJ/cm2〜50J/cm2であることが好ましく、20mJ/cm2〜5J/cm2であることがより好ましく、30mJ/cm2〜3J/cm2であることがさらに好ましく、50〜1000mJ/cm2であることが特に好ましい。
【0054】
本発明においては、オーバーコート層の厚みについては特に限定されないが、0.5〜50μmであるのが好ましく、1〜50μmであるのがより好ましく、3〜20μmであるのがさらに好ましい。
【0055】
〔粘着剤層〕
本発明の光学フィルムが有する粘着剤層は特に限定されず、偏光板と液晶セル等の表示素子と貼合する従来公知の粘着剤層を用いることができる。
粘着剤層としては、例えば、動的粘弾性測定装置で測定した貯蔵弾性率G’と損失弾性率G”との比(tanδ=G”/G’)が0.001〜1.5である物質、すなわち、いわゆる粘着剤やクリープしやすい物質等が含まれる。
粘着剤層に用いることのできる粘着剤としては、例えば、ゴム系粘着剤、アクリル系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ウレタン系粘着剤、ビニルアルキルエーテル系粘着剤、ポリビニルアルコール系粘着剤、ポリビニルピロリドン系粘着剤、ポリアクリルアミド系粘着剤、および、セルロース系粘着剤などが挙げられる。
【0056】
本発明においては、リワーク性の観点から、粘着剤層のガラス転移温度は、−100〜25℃であることが好ましく、−50〜0℃であることがより好ましい。
【0057】
また、本発明においては、粘着剤層の厚みについては特に限定されないが、光学フィルムの全体の厚みの10%〜50%であることが好ましく、20%〜40%であることがより好ましい。
【0058】
[偏光板]
本発明の偏光板は、上述した本発明の光学フィルムと、偏光子とを有するものである。
【0059】
図2は、本発明の偏光板の一例を示す模式的な断面図である。
図2に示す偏光板20は、偏光子22と、光学異方性層12と、オーバーコート層14と、粘着剤層16とをこの順に有する。
また、本発明の偏光板は、偏光子22と光学異方性層12との間に、図2に図示していない支持体および配向膜を有していてもよく、偏光子22の光学異方性層12と反対側の表面に偏光子保護フィルムを有していてもよい。
以下、本発明の偏光板に用いられる種々の部材について詳細に説明する。
【0060】
〔偏光子〕
本発明の偏光板が有する偏光子は、光を特定の直線偏光に変換する機能を有する部材であれば特に限定されず、従来公知の吸収型偏光子および反射型偏光子を利用することができる。
吸収型偏光子としては、ヨウ素系偏光子、二色性染料を利用した染料系偏光子、およびポリエン系偏光子などが用いられる。ヨウ素系偏光子および染料系偏光子には、塗布型偏光子と延伸型偏光子があり、いずれも適用できるが、ポリビニルアルコールにヨウ素または二色性染料を吸着させ、延伸して作製される偏光子が好ましい。
また、基材上にポリビニルアルコール層を形成した積層フィルムの状態で延伸および染色を施すことで偏光子を得る方法として、特許第5048120号公報、特許第5143918号公報、特許第5048120号公報、特許第4691205号公報、特許第4751481号公報、および、特許第4751486号公報に記載の方法を挙げることができ、これらの偏光子に関する公知の技術も好ましく利用することができる。
反射型偏光子としては、複屈折の異なる薄膜を積層した偏光子、ワイヤーグリッド型偏光子、および、選択反射域を有するコレステリック液晶と1/4波長板とを組み合わせた偏光子などが用いられる。
なかでも、ポリビニルアルコール系樹脂(−CH−CHOH−を繰り返し単位として含むポリマー。特に、ポリビニルアルコールおよびエチレン−ビニルアルコール共重合体からなる群から選択される少なくとも1つ)を含む偏光子であることが好ましい。
【0061】
本発明においては、偏光子の厚みは特に限定されないが、3μm〜60μmであるのが好ましく、5μm〜30μmであるのがより好ましく、5μm〜15μmであるのがさらに好ましい。
【0062】
〔支持体〕
本発明の偏光板は、上述した光学異方性層を形成するための基材として支持体を有していてもよい。
このような支持体は、透明であるのが好ましく、具体的には、光透過率が80%以上であるのが好ましい。
【0063】
このような支持体としては、例えば、ガラス基板やポリマーフィルムが挙げられ、ポリマーフィルムの材料としては、セルロース系ポリマー;ポリメチルメタクリレート、ラクトン環含有重合体等のアクリル酸エステル重合体を有するアクリル系ポリマー;熱可塑性ノルボルネン系ポリマー;ポリカーボネート系ポリマー;ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系ポリマー;ポリスチレン、アクリロニトリル・スチレン共重合体(AS樹脂)等のスチレン系ポリマー;ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン・プロピレン共重合体等のポリオレフィン系ポリマー;、塩化ビニル系ポリマー;ナイロン、芳香族ポリアミド等のアミド系ポリマー;イミド系ポリマー;スルホン系ポリマー;ポリエーテルスルホン系ポリマー;ポリエーテルエーテルケトン系ポリマー;ポリフェニレンスルフィド系ポリマー;塩化ビニリデン系ポリマー;ビニルアルコール系ポリマー;ビニルブチラール系ポリマー;アリレート系ポリマー;ポリオキシメチレン系ポリマー;エポキシ系ポリマー;またはこれらのポリマーを混合したポリマーが挙げられる。
また、上述した偏光子がこのような支持体を兼ねる態様であってもよい。
【0064】
本発明においては、上記支持体の厚みについては特に限定されないが、5〜60μmであるのが好ましく、5〜30μmであるのがより好ましい。
【0065】
〔配向膜〕
本発明の偏光板は、上述した任意の支持体を有する場合、支持体と光学異方性層との間に、配向膜を有しているのが好ましい。なお、上述した支持体が配向膜を兼ねる態様であってもよい。
【0066】
配向膜は、一般的にはポリマーを主成分とする。配向膜用ポリマー材料としては、多数の文献に記載があり、多数の市販品を入手することができる。
本発明において利用されるポリマー材料は、ポリビニルアルコールまたはポリイミド、およびその誘導体が好ましい。特に、変性または未変性のポリビニルアルコールが好ましい。
本発明に使用可能な配向膜については、例えば、国際公開第01/88574号の43頁24行〜49頁8行に記載された配向膜;特許第3907735号公報の段落[0071]〜[0095]に記載の変性ポリビニルアルコール;特開2012−155308号公報に記載された液晶配向剤により形成される液晶配向膜;等が挙げられる。
【0067】
本発明においては、配向膜の形成時に配向膜表面に接触しないことで面状悪化を防ぐことが可能となる理由から、配向膜としては光配向膜を利用することも好ましい。
光配向膜としては特に限定はされないが、国際公開第2005/096041号の段落[0024]〜[0043]に記載されたポリアミド化合物またはポリイミド化合物などのポリマー材料;特開2012−155308号公報に記載された光配向性基を有する液晶配向剤により形成される液晶配向膜;Rolic echnologies社製の商品名LPP−JP265CPなどを用いることができる。
【0068】
また、本発明においては、上記配向膜の厚さは特に限定されないが、支持体に存在しうる表面凹凸を緩和して均一な膜厚の光学異方性層を形成するという観点から、0.01〜10μmであることが好ましく、0.01〜1μmであることがより好ましく、0.01〜0.5μmであることがさらに好ましい。
【0069】
〔偏光子保護フィルム〕
本発明の偏光板は、偏光子を保護する偏光子保護フィルムを有していてもよい。
偏光子保護フィルムの構成は特に制限されず、例えば、いわゆる透明支持体またはハードコート層であっても、透明支持体とハードコート層との積層体であってもよい。
ハードコート層としては特開2009−98658号公報の段落[0190]〜[0196]に記載のものを使用することができる。
また、透明支持体としては、公知の透明支持体を使用することができ、例えば、透明支持体を形成する材料としては、トリアセチルセルロースに代表されるセルロース系ポリマー(以下、セルロースアシレートという)、熱可塑性ノルボルネン系樹脂(日本ゼオン(株)製のゼオネックス、ゼオノア、JSR(株)製のアートン等)、アクリル系樹脂、および、ポリエステル系樹脂を使用することができる。
偏光子保護フィルムの厚みは特に限定されないが、偏光板の厚みを薄くできる等の理由から40μm以下が好ましく、25μm以下がより好ましい。
【0070】
〔紫外線吸収剤〕
本発明の偏光板は、外光(特に紫外線)の影響を考慮して、紫外線(UV)吸収剤を含むことが好ましく、支持体に紫外線吸収剤を含むことがより好ましい。
【0071】
紫外線吸収剤としては、紫外線吸収性を発現できるもので、公知のものがいずれも使用できる。そのような紫外線吸収剤のうち、紫外線吸収性が高く、電子画像表示装置で用いられる紫外線吸収能(紫外線カット能)を得るためにベンゾトリアゾール系またはヒドロキシフェニルトリアジン系の紫外線吸収剤が好ましい。また、紫外線の吸収幅を広くするために、最大吸収波長の異なる紫外線吸収剤を2種以上併用することができる。
【0072】
[画像表示装置]
本発明の画像表示装置は、本発明の光学フィルムまたは本発明の偏光板を有する、画像表示装置である。
本発明の画像表示装置に用いられる表示素子は特に限定されず、例えば、液晶セル、有機EL表示パネル、および、プラズマディスプレイパネル等が挙げられる。
これらのうち、液晶セル、有機EL表示パネルであるのが好ましい。すなわち、本発明の画像表示装置としては、表示素子として液晶セルを用いた液晶表示装置、および、表示素子として有機EL表示パネルを用いた有機EL表示装置が好ましい。
【0073】
〔液晶表示装置〕
本発明の画像表示装置の一例である液晶表示装置は、上述した本発明の光学フィルムまたは偏光板と、液晶セルとを有する液晶表示装置である。
図3は、本発明の画像表示装置の一例(液晶表示装置)を示す模式的な断面図である。
図3に示す液晶表示装置30は、偏光子22と、光学異方性層12と、オーバーコート層14と、粘着剤層16と、液晶セル32とをこの順に有する。
以下に、液晶表示装置を構成する液晶セルについて詳述する。
【0074】
<液晶セル>
液晶表示装置に利用される液晶セルは、VA(Vertical Alignment)モード、OCB(Optically Compensated Bend)モード、IPS(In−Plane−Switching)モード、またはTN(Twisted Nematic)であることが好ましいが、これらに限定されるものではない。
TNモードの液晶セルでは、電圧無印加時に棒状液晶性分子が実質的に水平配向し、さらに60〜120゜にねじれ配向している。TNモードの液晶セルは、カラーTFT液晶表示装置として最も多く利用されており、多数の文献に記載がある。
VAモードの液晶セルでは、電圧無印加時に棒状液晶性分子が実質的に垂直に配向している。VAモードの液晶セルには、(1)棒状液晶性分子を電圧無印加時に実質的に垂直に配向させ、電圧印加時に実質的に水平に配向させる狭義のVAモードの液晶セル(特開平2−176625号公報記載)に加えて、(2)視野角拡大のため、VAモードをマルチドメイン化した(MVAモードの)液晶セル(SID97、Digest of tech.Papers(予稿集)28(1997)845記載)、(3)棒状液晶性分子を電圧無印加時に実質的に垂直配向させ、電圧印加時にねじれマルチドメイン配向させるモード(n−ASMモード)の液晶セル(日本液晶討論会の予稿集58〜59(1998)記載)および(4)SURVIVALモードの液晶セル(LCDインターナショナル98で発表)が含まれる。また、PVA(Patterned Vertical Alignment)型、光配向型(Optical Alignment)、およびPSA(Polymer−Sustained Alignment)のいずれであってもよい。これらのモードの詳細については、特開2006−215326号公報、および特表2008−538819号公報に詳細な記載がある。
IPSモードの液晶セルは、棒状液晶性分子が基板に対して実質的に平行に配向しており、基板面に平行な電界が印加することで液晶性分子が平面的に応答する。IPSモードは電界無印加状態で黒表示となり、上下一対の偏光板の吸収軸は直交している。光学補償シートを用いて、斜め方向での黒表示時の漏れ光を低減させ、視野角を改良する方法が、特開平10−54982号公報、特開平11−202323号公報、特開平9−292522号公報、特開平11−133408号公報、特開平11−305217号公報、および、特開平10−307291号公報などに開示されている。
【0075】
〔有機EL表示装置〕
本発明の画像表示装置の一例である有機EL表示装置は、上述した本発明の光学フィルムまたは偏光板と、有機ELパネルとを有する液晶表示装置である。
図4は、本発明の画像表示装置の一例(有機EL表示装置)を示す模式的な断面図である。
図4に示す有機EL表示装置40は、偏光子22と、光学異方性層12と、オーバーコート層14と、粘着剤層16と、有機ELパネル42とをこの順に有する。
【0076】
有機EL表示装置としては、例えば、視認側から、本発明の偏光板と、λ/4機能を有する板(以下、「λ/4板」ともいう。)と、有機EL表示パネルとをこの順で有する態様が好適に挙げられる。
ここで、「λ/4機能を有する板」とは、ある特定の波長の直線偏光を円偏光に(または円偏光を直線偏光に)変換する機能を有する板をいい、例えば、λ/4板が単層構造である態様としては、具体的には、延伸ポリマーフィルムや、支持体上にλ/4機能を有する光学異方性層を設けた位相差フィルム等が挙げられ、また、λ/4板が複層構造である態様としては、具体的には、λ/4板とλ/2板とを積層してなる広帯域λ/4板が挙げられる。
また、有機EL表示パネルは、電極間(陰極および陽極間)に有機発光層(有機エレクトロルミネッセンス層)を挟持してなる有機EL素子を用いて構成された表示パネルである。有機EL表示パネルの構成は特に制限されず、公知の構成が採用される。
【実施例】
【0077】
以下に実施例に基づいて本発明をさらに詳細に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、および、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す実施例により限定的に解釈されるべきものではない。
【0078】
[実施例1]
<PVA(ポリビニルアルコール)配向膜P−1の形成>
ガラス基板にポリビニルアルコール(ポリビニルアルコール1000完全ケン化型、和光純薬工業株式会社製)の2重量%水溶液を塗布したのち、加熱乾燥後、厚さ89nmのPVA配向膜P−1を得た。
【0079】
<光学異方性層1の形成>
得られたPVA配向膜P−1の表面にラビング処理を施したのち、ラビング処理を施した面に、下記組成の光学異方性層用塗布液1をスピンコート法によって塗布し、液晶組成物層1を形成した。
形成した液晶組成物層1をホットプレート上でいったんネマチック相(Ne相)まで加熱した後、60℃に冷却することで、スメクチックA相(SmA相)で配向を安定化させた。
その後、60℃のまま紫外線照射によって配向を固定化し、厚み2μmの光学異方性層1を形成した。
【0080】
―――――――――――――――――――――――――――――――――
光学異方性層用塗布液1
―――――――――――――――――――――――――――――――――
・下記液晶性化合物L−1 46.50質量部
・下記液晶性化合物L−2 46.50質量部
・下記液晶性化合物A−1 7.00質量部
・下記重合開始剤S−1(オキシム型) 3.00質量部
・レベリング剤(下記化合物T−1) 0.20質量部
・メチルエチルケトン 219.30質量部
―――――――――――――――――――――――――――――――――
【0081】
【化16】
【0082】
<オーバーコート層の形成>
光学異方性層1上に、多官能重合性モノマーとしてペンタエリスリトールテトラアクリレート(A−TMMT、分子量:352、官能基数:4、新中村化学工業社製)を配合した下記組成のオーバーコート層用塗布液1をバー塗布法(バー:#15)によって塗布した後、85℃で1分間乾燥させオーバーコート組成物層1を形成した。
形成したオーバーコート組成物層1をホットプレート上で70℃に加熱し、紫外線照射によって配向を固定化し、厚み5μmのオーバーコート層を形成した。
【0083】
―――――――――――――――――――――――――――――――――
オーバーコート層用塗布液1
―――――――――――――――――――――――――――――――――
・A−TMMT(新中村化学工業社製) 100.00質量部
・IRGACURE OXE−01(BASF社製) 1.00質量部
・レベリング剤(下記化合物T−2) 0.20質量部
・メチルエチルケトン 236.10質量部
―――――――――――――――――――――――――――――――――
【0084】
【化17】
【0085】
<粘着剤層の形成>
まず、以下の手順に従い、粘着剤層に用いるアクリレート系ポリマーを調製した。
具体的には、冷却管、窒素導入管、温度計および撹拌装置を備えた反応容器に、アクリル酸ブチル100部、アクリル酸3部、2,2′−アゾビスイソブチロニトリル0.3部を酢酸エチルと共に加えて固形分濃度30%とし窒素ガス気流下、60℃で4時間反応させ、アクリレート系重合体(AC1)溶液を得た。
次に、得られたアクリレート系重合体溶液を、以下の手順に従い、粘着層を形成した。
アクリレート系重合体溶液の固形分100部に対して、2部のトリメチロールプロパントリレンジイソシアネート(日本ポリウレタン社製、コロネートL)と、0.1部の3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランとを添加し、混合溶液を調製した。
次いで、シリコーン系剥離剤で表面処理したセパレートフィルムに、ダイコーターを用いて調製した混合溶液を塗布し、150℃で3時間乾燥させ、アクリレート系粘着剤を得た。アクリレート系粘着剤をセパレートフィルムと一緒にオーバーコート層上に張り合わせた後、セパレートフィルムのみを剥がし、オーバーコート層上に、アクリレート系粘着剤からなる粘着剤層を形成した。
【0086】
[実施例2]
オーバーコート層用塗布液1に代えて、多官能重合性モノマーとしてジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(A−DPH、分子量:578、官能基数:6、新中村化学工業社製)を配合した下記組成のオーバーコート層用塗布液2を用いた以外は、実施例1と同様の方法で光学フィルムを作製した。
【0087】
―――――――――――――――――――――――――――――――――
オーバーコート層用塗布液2
―――――――――――――――――――――――――――――――――
・A−DPH(新中村化学工業社製) 100.00質量部
・IRGACURE OXE−01(BASF社製) 1.00質量部
・レベリング剤(上記化合物T−2) 0.20質量部
・メチルエチルケトン 236.10質量部
―――――――――――――――――――――――――――――――――
【0088】
[実施例3]
オーバーコート層用塗布液1に代えて、多官能重合性モノマーとしてウレタンアクリレート(U−10PA、分子量:900、官能基数:10、新中村化学工業社製)を配合した下記組成のオーバーコート層用塗布液3を用いた以外は、実施例1と同様の方法で光学フィルムを作製した。
【0089】
―――――――――――――――――――――――――――――――――
オーバーコート層用塗布液3
―――――――――――――――――――――――――――――――――
・U−10PA(新中村化学工業社製) 100.00質量部
・IRGACURE OXE−01(BASF社製) 1.00質量部
・レベリング剤(上記化合物T−2) 0.20質量部
・メチルエチルケトン 236.10質量部
―――――――――――――――――――――――――――――――――
【0090】
[実施例4]
オーバーコート層用塗布液1に代えて、多官能重合性モノマーとしてペンタエリスリトールトリアクリレートイソホロンジイソシアネートウレタンプレポリマー(UA−306I、分子量:800、官能基数:6、共栄社化学社製)を配合した下記組成のオーバーコート層用塗布液4を用いた以外は、実施例1と同様の方法で光学フィルムを作製した。
【0091】
―――――――――――――――――――――――――――――――――
オーバーコート層用塗布液4
―――――――――――――――――――――――――――――――――
・UA−306I(共栄社化学社製) 100.00質量部
・IRGACURE OXE−01(BASF社製) 1.00質量部
・レベリング剤(上記化合物T−2) 0.20質量部
・メチルエチルケトン 236.10質量部
―――――――――――――――――――――――――――――――――
【0092】
[実施例5]
実施例2において、光学異方性層用塗布液1の代わりに、下記組成の光学異方性層用塗布液2を用いた以外は、実施例2と同様の方法で、光学フィルムを作製した。
【0093】
―――――――――――――――――――――――――――――――――
光学異方性層用塗布液2
―――――――――――――――――――――――――――――――――
・下記液晶性化合物L−7 93.00質量部
・上記液晶性化合物A−1 7.00質量部
・上記重合開始剤S−1(オキシム型) 3.00質量部
・レベリング剤(上記化合物T−1) 0.20質量部
・メチルエチルケトン 219.30質量部
―――――――――――――――――――――――――――――――――
【0094】
【化18】
【0095】
[実施例6]
実施例3において、光学異方性層用塗布液1の代わりに、実施例5で用いた光学異方性層用塗布液2を用いた以外は、実施例3と同様の方法で、光学フィルムを作製した。
【0096】
[実施例7]
実施例2において、光学異方性層用塗布液1の代わりに、下記組成の光学異方性層用塗布液3を用いた以外は、実施例2と同様の方法で、光学フィルムを作製した。
【0097】
―――――――――――――――――――――――――――――――――
光学異方性層用塗布液3
―――――――――――――――――――――――――――――――――
・下記液晶性化合物L−8 93.00質量部
・上記液晶性化合物A−1 7.00質量部
・上記重合開始剤S−1(オキシム型) 3.00質量部
・レベリング剤(上記化合物T−1) 0.20質量部
・メチルエチルケトン 219.30質量部
―――――――――――――――――――――――――――――――――
【0098】
【化19】
【0099】
[実施例8]
実施例3において、光学異方性層用塗布液1の代わりに、実施例7で用いた光学異方性層用塗布液3を用いた以外は、実施例3と同様の方法で、光学フィルムを作製した。
【0100】
[比較例1]
実施例1において、オーバーコート層を形成しなかった以外は、実施例1と同様の方法で、光学フィルムを作製した。
【0101】
[比較例2]
オーバーコート層用塗布液1に代えて、アミノエチル化アクリルポリマー(ポリメント(登録商標)NK−350、重量平均分子量:10万、日本触媒社製)を配合した下記組成のオーバーコート層用塗布液5を用いた以外は、実施例1と同様の方法で光学フィルムを作製した。なお、オーバーコート層用塗布液に配合したアミノエチル化アクリルポリマーは、重合性基を有していないため、下記表1中、「分子量/官能基数」は、「−」と表記している。
【0102】
―――――――――――――――――――――――――――――――――
オーバーコート層用塗布液5
―――――――――――――――――――――――――――――――――
・ポリメントNK−350(日本触媒社製) 100.00質量部
・レベリング剤(上記化合物T−2) 0.20質量部
・メチルエチルケトン 236.10質量部
―――――――――――――――――――――――――――――――――
【0103】
[比較例3]
オーバーコート層用塗布液1に代えて、多官能重合性モノマーとして、U−4HA(分子量:600、官能基数:4、新中村化学工業社製)を配合した下記組成のオーバーコート層用塗布液6を用いた以外は、実施例1と同様の方法で光学フィルムを作製した。
【0104】
―――――――――――――――――――――――――――――――――
オーバーコート層用塗布液6
―――――――――――――――――――――――――――――――――
・U−4HA(新中村化学工業社製) 100.00質量部
・IRGACURE OXE−01(BASF社製) 1.00質量部
・レベリング剤(上記化合物T−2) 0.20質量部
・メチルエチルケトン 236.10質量部
―――――――――――――――――――――――――――――――――
【0105】
[参考例1]
オーバーコート層および粘着剤層をいずれも形成しなかった以外は、実施例1と同様の方法で、光学フィルムを作製した。
【0106】
[参考例2]
粘着剤層を形成しなかった以外は、実施例2と同様の方法で、光学フィルムを作製した。
【0107】
[参考例3]
オーバーコート層を形成せず、粘着剤層に代えて、UV接着剤(LCR0632、東亜合成社製)を用いた以外は、実施例1と同様の方法で、光学フィルムを作製した。
【0108】
作製した各光学フィルムについて、上述した方法で、オーバーコート層のガラス転移温度を測定した。結果を下記表1に示す。なお、下記表1中、ガラス転移温度が観測されなかったものを「なし」と表記している。
【0109】
<耐久性>
作製した各光学フィルムについて、ガラス板上に光学異方性層側をガラス側にして粘着剤を介して貼り合せた。
Axo Scan(0PMF−1、Axometrics社製)を用いて、レターデーション値の耐久性を下記の指標で評価した。結果を下記表1に示す。
なお、試験条件は、下記表1に示す通り、85℃相対湿度85%の環境下に5日間放置する試験を行った。
A:初期の位相差値に対する試験後の値の変化量が初期の値の2%未満
B:初期の位相差値に対する試験後の値の変化量が初期の値の2%以上4%未満
C:初期の位相差値に対する試験後の値の変化量が初期の値の4%以上6%未満
D:初期の位相差値に対する試験後の値の変化量が初期の値の6%以上
【0110】
【表1】
【0111】
表1に示す結果から、オーバーコート層を形成せず、粘着剤層を有している場合は、耐久性が劣ることが分かった(比較例1)。
また、オーバーコート層の形成に、重合性基を有していないアミノエチル化アクリルポリマーを用いた場合は、耐久性が劣ることが分かった(比較例2)。
また、オーバーコート層の形成に、多官能重合性モノマーにおける重合性基あたりの分子量が140より大きい多官能重合性モノマーを用いた場合は、耐久性が劣ることが分かった(比較例3)。
【0112】
これに対し、光学異方性層と粘着剤層との間に、重合性基1個あたりの分子量が140以下となる多官能重合性モノマーを用いてオーバーコート層を形成した場合は、粘着剤層がない場合やUV接着剤を用いた態様、すなわち、課題が存在していない参考例1〜3と同等程度の耐久性を有していることが分かった(実施例1〜8)。
また、実施例1〜8の対比から、多官能重合性モノマーにおける重合性基1個あたりの分子量が90〜135であると、耐久性がより良好となることが分かった。
【符号の説明】
【0113】
10 光学フィルム
12 光学異方性層
14 オーバーコート層
16 粘着剤層
20 偏光板
22 偏光子
30 液晶表示装置
32 液晶セル
40 有機EL表示装置
42 有機ELパネル
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【国際調査報告】