(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO2017154349
(43)【国際公開日】20170914
【発行日】20180830
(54)【発明の名称】核酸抽出装置、核酸抽出ユニット及び核酸抽出方法
(51)【国際特許分類】
   C12M 1/00 20060101AFI20180803BHJP
   C12M 1/26 20060101ALI20180803BHJP
   G01N 1/10 20060101ALI20180803BHJP
   C12N 15/10 20060101ALN20180803BHJP
【FI】
   !C12M1/00 A
   !C12M1/26
   !G01N1/10 B
   !C12N15/10 120Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】27
【出願番号】2018504026
(21)【国際出願番号】JP2017001164
(22)【国際出願日】20170116
(31)【優先権主張番号】2016047225
(32)【優先日】20160310
(33)【優先権主張国】JP
(31)【優先権主張番号】2016166304
(32)【優先日】20160826
(33)【優先権主張国】JP
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
【住所又は居所】大阪府大阪市中央区城見2丁目1番61号
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【弁理士】
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【弁理士】
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】橘 宏明
【住所又は居所】日本国大阪府門真市大字門真1006番地 パナソニック株式会社内
(72)【発明者】
【氏名】岩本 成正
【住所又は居所】日本国大阪府門真市大字門真1006番地 パナソニック株式会社内
(72)【発明者】
【氏名】馬場 徹
【住所又は居所】日本国大阪府門真市大字門真1006番地 パナソニック株式会社内
(72)【発明者】
【氏名】澁谷 章吾
【住所又は居所】日本国大阪府門真市大字門真1006番地 パナソニック株式会社内
【テーマコード(参考)】
2G052
4B029
【Fターム(参考)】
2G052AA24
2G052AA26
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2G052AB20
2G052AB27
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2G052ED11
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2G052HA01
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2G052JA10
2G052JA15
2G052JA16
4B029AA09
4B029AA23
4B029BB01
4B029BB02
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4B029HA06
(57)【要約】
核酸抽出装置(100)の核酸抽出ユニット(1)は、容器(10)と、容器(10)内に検体を注入するための第1注入口(21)と、第1注入口(21)から注入された検体に含まれる核酸抽出対象物を捕捉する捕捉部(40)と、捕捉部(40)で捕捉された核酸抽出対象物から核酸を抽出するための核酸抽出試薬を容器10内に注入するための第2注入口(22)と、核酸抽出試薬によって核酸抽出対象物から抽出された核酸が含まれる核酸抽出液を容器(10)から排出するための第1排出口(31)と、検体を容器(10)から排出するための第2排出口(32)とを有し、容器(10)は、第1容器部(11)と第2容器部(12)とを有し、第1注入口(21)及び第2注入口(22)は、第1容器部(11)に設けられており、第1排出口(31)及び第2排出口(32)は、第2容器部(12)に設けられている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
検体から核酸を抽出するための核酸抽出ユニットを備え、
前記核酸抽出ユニットは、
容器と、
前記容器内に検体を注入するための第1注入口と、
少なくとも一部が前記容器内に配置され、前記第1注入口から注入された検体に含まれる核酸抽出対象物を捕捉する捕捉部と、
前記捕捉部で捕捉された前記核酸抽出対象物から核酸を抽出するための核酸抽出試薬を前記容器内に注入するための第2注入口と、
前記核酸抽出試薬によって前記核酸抽出対象物から抽出された核酸が含まれる核酸抽出液を前記容器から排出するための第1排出口と、
前記検体を前記容器から排出するための第2排出口とを有し、
前記容器は、前記捕捉部を境界として当該容器の内部空間を分割する第1容器部と第2容器部とを有し、
前記第1注入口及び前記第2注入口は、前記第1容器部に設けられており、
前記第1排出口及び前記第2排出口は、前記第2容器部に設けられている
核酸抽出装置。
【請求項2】
さらに、前記第2容器部内の圧力を調整するための圧力調整部を備え、
前記捕捉部は、前記核酸抽出対象物より小さい孔を複数有するフィルタを有し、
前記第2排出口は、前記第1排出口よりも前記捕捉部に近い位置に設けられており、かつ、前記圧力調整部の減圧口を兼ねている
請求項1に記載の核酸抽出装置。
【請求項3】
前記圧力調整部は、前記第2容器部内を減圧して前記第1容器部内の圧力を前記第2容器部内の圧力よりも高くすることで、注入された前記検体を前記第1容器部から前記捕捉部を通過させて前記第2容器部に移動させる検体排出モードと、前記第2容器部内を減圧して前記第1容器部内の圧力を前記第2容器部内の圧力よりも高くすることで、前記捕捉部における前記核酸抽出液を前記捕捉部を介して前記第2容器部に移動させる核酸抽出液移動モードとで前記第2容器部内の圧力を調整し、
前記核酸抽出液移動モードにおける前記圧力調整部による減圧度は、前記検体排出モードにおける前記圧力調整部による減圧度よりも低い
請求項2に記載の核酸抽出装置。
【請求項4】
前記圧力調整部は、前記第2容器部内を加圧して前記第2容器部内の圧力を前記第1容器部内の圧力よりも高くすることで、前記容器に注入された前記核酸抽出試薬を前記捕捉部上に保持させる核酸抽出試薬保持モードで前記第2容器部内の圧力を調整する
請求項2に記載の核酸抽出装置。
【請求項5】
前記第2排出口を構成する管の前記第2容器部側の少なくとも一部は、前記第2容器部の内方に向かって前記第2容器部の内壁よりも突出している
請求項2〜4のいずれか1項に記載の核酸抽出装置。
【請求項6】
前記第2注入口は、前記第1容器部に設けられた貫通孔であり、
前記貫通孔には、当該貫通孔を塞ぐゴム栓が設けられており、
前記ゴム栓は、前記核酸抽出試薬を前記第1容器部内に注入するための針が貫通可能なゴム材料によって構成されている
請求項1〜5のいずれか1項に記載の核酸抽出装置。
【請求項7】
前記容器の少なくとも一部は、透明材料によって構成されている
請求項1〜6のいずれか1項に記載の核酸抽出装置。
【請求項8】
前記捕捉部は、前記核酸抽出対象物を捕捉して保持するための本体部と、前記本体部を支持する支持部とを有する
請求項1〜7のいずれか1項に記載の核酸抽出装置。
【請求項9】
前記支持部の少なくとも一部は、金属によって構成されている
請求項8に記載の核酸抽出装置。
【請求項10】
前記支持部の少なくとも一部は、高熱伝導性樹脂によって構成されている
請求項8に記載の核酸抽出装置。
【請求項11】
前記支持部の表面は、親水性である
請求項8〜10のいずれか1項に記載の核酸抽出装置。
【請求項12】
前記容器の少なくとも一部は、高熱伝導性樹脂によって構成されている
請求項1〜11のいずれか1項に記載の核酸抽出装置。
【請求項13】
前記第1容器部の内部空間の壁面における角部分の角度は、90度以上である
請求項1〜12のいずれか1項に記載の核酸抽出装置。
【請求項14】
前記容器の内面は、非親水性である
請求項1〜13のいずれか1項に記載の核酸抽出装置。
【請求項15】
さらに、前記容器を振動させるための振動装置を備える
請求項1〜14のいずれか1項に記載の核酸抽出装置。
【請求項16】
検体から核酸を抽出するための核酸抽出装置に用いられる核酸抽出ユニットであって、
容器と、
前記容器内に検体を注入するための第1注入口と、
前記容器内に配置され、前記第1注入口から注入された検体に含まれる核酸抽出対象物を捕捉する捕捉部と、
前記捕捉部で捕捉された前記核酸抽出対象物から核酸を抽出するための核酸抽出試薬を前記容器内に注入するための第2注入口と、
前記核酸抽出試薬によって前記核酸抽出対象物から抽出された核酸が含まれる核酸抽出液を前記容器から排出するための第1排出口と、
前記検体を前記容器から排出するための第2排出口とを備え、
前記容器は、前記捕捉部を境界として当該容器の内部空間を分割するための第1容器部と第2容器部とを有し、
前記第1注入口及び前記第2注入口は、前記第1容器部に設けられており、
前記第1排出口及び前記第2排出口は、前記第2容器部に設けられている
核酸抽出ユニット。
【請求項17】
捕捉部に検体を通過させることによって前記検体に含まれる核酸抽出対象物を前記捕捉部で捕捉する捕捉工程と、
前記捕捉部に核酸抽出試薬を導入することによって前記捕捉部で捕捉した前記核酸抽出対象物から核酸を抽出する核酸抽出工程と、
抽出した前記核酸を含む核酸抽出液を前記捕捉部を通過させて回収する回収工程とを含む
核酸抽出方法。
【請求項18】
さらに、前記捕捉工程の後に、前記捕捉部に死菌除去試薬を導入することで死菌の核酸を反応不活化する死菌除去工程を含む
請求項17に記載の核酸抽出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検体から核酸(デオキシリボ核酸、リボ核酸)を抽出するための核酸抽出装置、核酸抽出装置に用いられる核酸抽出ユニット、及び、検体から核酸を抽出するための核酸抽出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
飲料又は食品等に含まれる細菌等の微生物の検査においては、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR:polymerase chain reaction)等の核酸増幅法が利用されている。核酸増幅法は、培養法と比べて大幅に検査工程を高速化及び簡略化することができる利点がある。
【0003】
核酸増幅法を利用した検査を実施するためには、核酸増幅を行う前に検体から核酸を抽出する前処理が必要となる。従来、このような前処理としては、検体(検体原液)をフィルタでろ過することで検体に含まれる細菌等の検査対象物を捕捉し、核酸抽出試薬によって検査対象物から核酸を抽出する方法が知られている(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平4−36197号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示された従来の核酸抽出方法(前処理)は、検体を入れたシリンジにフィルタを通して検査対象物をろ過濃縮した後、このフィルタを取り外して核酸抽出試薬を入れた別のシリンジに再度取り付けて検査対象物を溶出して核酸を抽出するものである。
【0006】
しかしながら、従来の核酸抽出方法では、作業が煩雑な上に、作業中に検査対象物とは異なる菌等の不純物が、抽出した核酸を含む核酸抽出液に混入すること(コンタミ)が生じるリスクがある。
【0007】
本発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、作業性が簡便で、核酸抽出液に不純物が混入するリスクを大幅に軽減できる核酸抽出装置及び核酸抽出ユニット等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明に係る核酸抽出装置の一態様は、検体から核酸を抽出するための核酸抽出ユニットを備え、前記核酸抽出ユニットは、容器と、前記容器内に検体を注入するための第1注入口と、少なくとも一部が前記容器内に配置され、前記第1注入口から注入された検体に含まれる核酸抽出対象物を捕捉する捕捉部と、前記捕捉部で捕捉された前記核酸抽出対象物から核酸を抽出するための核酸抽出試薬を前記容器内に注入するための第2注入口と、前記核酸抽出試薬によって前記核酸抽出対象物から抽出された核酸が含まれる核酸抽出液を前記容器から排出するための第1排出口と、前記検体を前記容器から排出するための第2排出口とを有し、前記容器は、前記捕捉部を境界として当該容器の内部空間を分割する第1容器部と第2容器部とを有し、前記第1注入口及び前記第2注入口は、前記第1容器部に設けられており、前記第1排出口及び前記第2排出口は、前記第2容器部に設けられている。
【0009】
また、本発明に係る核酸抽出ユニットの一態様は、検体から核酸を抽出するための核酸抽出装置に用いられる核酸抽出ユニットであって、容器と、前記容器内に検体を注入するための第1注入口と、前記容器内に配置され、前記第1注入口から注入された検体に含まれる核酸抽出対象物を捕捉する捕捉部と、前記捕捉部で捕捉された前記核酸抽出対象物から核酸を抽出するための核酸抽出試薬を前記容器内に注入するための第2注入口と、前記核酸抽出試薬によって前記核酸抽出対象物から抽出された核酸が含まれる核酸抽出液を前記容器から排出するための第1排出口と、前記検体を前記容器から排出するための第2排出口とを備え、前記容器は、前記捕捉部を境界として当該容器の内部空間を分割するための第1容器部と第2容器部とを有し、前記第1注入口及び前記第2注入口は、前記第1容器部に設けられており、前記第1排出口及び前記第2排出口は、前記第2容器部に設けられている。
【0010】
また、本発明に係る核酸抽出方法の一態様は、捕捉部に検体を通過させることによって前記検体に含まれる核酸抽出対象物を前記捕捉部で捕捉する捕捉工程と、前記捕捉部に核酸抽出試薬を導入することによって前記捕捉部で捕捉した前記核酸抽出対象物から核酸を抽出する核酸抽出工程と、抽出した前記核酸を含む核酸抽出液を前記捕捉部を通過させて回収する回収工程とを含む。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、作業性が簡便で、核酸抽出液に不純物が混入するリスクを大幅に軽減できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、実施の形態に係る核酸抽出装置を模式的に示す斜視図である。
【図2】図2は、実施の形態に係る核酸抽出装置における核酸抽出ユニットの周辺構造を示す要部拡大斜視図である。
【図3】図3は、実施の形態に係る核酸抽出ユニットの斜視図である。
【図4】図4は、実施の形態に係る核酸抽出ユニットの断面図である。
【図5】図5は、実施の形態に係る核酸抽出方法のフローチャートである。
【図6A】図6Aは、実施の形態に係る核酸抽出方法において、検体を容器に注入するときの様子を示す図である。
【図6B】図6Bは、実施の形態に係る核酸抽出方法において、捕捉部で捕捉された核酸抽出対象物を示す図である。
【図6C】図6Cは、実施の形態に係る核酸抽出方法において、核酸抽出試薬を容器に注入するときの様子を示す図である。
【図6D】図6Dは、実施の形態に係る核酸抽出方法において、核酸抽出試薬を捕捉部に保持させるときの様子を示す図である。
【図6E】図6Eは、実施の形態に係る核酸抽出方法において、核酸抽出液を第1容器部から第2容器部に移動させるときの様子を示す図である。
【図6F】図6Fは、実施の形態に係る核酸抽出方法において、第2容器部に移動させた核酸抽出液の様子を示す図である。
【図6G】図6Gは、実施の形態に係る核酸抽出方法において、核酸抽出液の容器から排出するときの様子を示す図である。
【図7】図7は、変形例1に係る核酸抽出ユニットの断面図である。
【図8】図8は、変形例2に係る核酸抽出ユニットの断面図である。
【図9】図9は、変形例3に係る核酸抽出ユニットの断面図である。
【図10】図10は、変形例4に係る核酸抽出ユニットの断面図である。
【図11】図11は、変形例5に係る核酸抽出ユニットの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、いずれも本発明の好ましい一具体例を示すものである。したがって、以下の実施の形態で示される、数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、並びに、ステップ(工程)及びステップの順序などは、一例であって本発明を限定する主旨ではない。よって、以下の実施の形態における構成要素のうち、本発明の最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0014】
なお、各図は、模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。また、各図において、実質的に同一の構成に対しては同一の符号を付しており、重複する説明は省略又は簡略化する。
【0015】
(実施の形態)
[核酸抽出装置]
実施の形態に係る核酸抽出装置100及び核酸抽出ユニット1の構成について、図1〜図4を用いて説明する。図1は、実施の形態に係る核酸抽出装置100を模式的に示す斜視図である。図2は、同核酸抽出装置100における核酸抽出ユニット1の周辺構造を示す要部拡大斜視図であり、核酸抽出装置100に設置された状態の核酸抽出ユニット1を示している。図3は、実施の形態に係る核酸抽出ユニット1の斜視図であり、図4は、同核酸抽出ユニット1の断面図である。
【0016】
図1に示すように、核酸抽出装置100は、検体に含まれる被測定物から核酸を抽出するための核酸抽出ユニット1と、真空ポンプ2と、振動装置3とを備える。
【0017】
検体(検体原液)に含まれる被測定物は、核酸を抽出する対象物(核酸抽出対象物)であって、例えば、細菌、ウイルス又は組織細胞等の微生物である。微生物を含む検体原液は、例えば、飲料から採取することができる。
【0018】
細菌、ウイルス又は組織細胞等の微生物は、PCR等による核酸増幅によって検査が行われる検査対象物である。つまり、核酸抽出装置100は、核酸増幅を行う前の前処理のために用いられる装置であり、核酸抽出装置100で抽出された核酸は、所望の検査に利用される。なお、本実施の形態における核酸抽出装置100では、抽出された核酸を含む液体(核酸抽出液)として回収される。
【0019】
核酸抽出ユニット1は、検体から核酸の抽出処理を行うための処理ユニットであり、図2に示すように、核酸抽出装置100の反応ボックス4に設置される。本実施の形態において、核酸抽出ユニット1は、交換可能なカートリッジであり、反応ボックス4から取り外すことができる。核酸抽出ユニット1は、例えば、1回の核酸抽出処理ごとに交換される。なお、図1では、反応ボックス4の全面蓋を開いた状態を示している。
【0020】
核酸抽出ユニット1は、図3及び図4に示すように、容器10と、第1注入口21と、第2注入口22と、第1排出口31と、第2排出口32と、捕捉部40とを備える。
【0021】
容器10は、注入される検体及び核酸抽出試薬によって検体から核酸の抽出処理を行うための処理容器である。検体から抽出された核酸は、核酸抽出液となって容器10から排出される。
【0022】
容器10の材質は、特に限定されるものではないが、核酸抽出処理で加熱処理を行うことを可能とするために、容器10は、ポリプロピレン(PP)又はポリカーボネート(PC)等の耐熱性の高い樹脂材料、アルミニウム又はステンレス等の金属材料、あるいは、ガラス又はセラミック等の無機材料によって構成されているとよい。また、容器10として樹脂材料を用いた場合には、安価で軽量化を図ることができるという利点もある。また、容器10として金属材料又は高熱伝導性樹脂を用いた場合には、容器10の熱伝導性を向上させることができる。このため、加熱処理を行う場合には、容器10の少なくとも一部は、金属材料又は高熱伝導性樹脂によって構成されているとよい。なお、容器10は、上記の材料を組み合わせて構成されていてもよい。
【0023】
また、容器10の内面は、非親水性であるとよい。例えば、容器10の内面は、疎水性であるとよい。この場合、疎水性材料を用いて容器10を形成してもよいし、表面処理によって容器10の内面を疎水性にしてもよいし、疎水性を有する膜が容器10の内面にコーティングされていてもよい。
【0024】
容器10は、第1容器部11と第2容器部12とによって構成されている。第1容器部11と第2容器部12とは、捕捉部40を境界として容器10の内部空間を分割している。本実施の形態において、容器10は、捕捉部40の本体部41を境界として上下方向に二分割されており、第1容器部11が上側の部品で、第2容器部12が下側の部品となっている。なお、第1容器部11については、さらに2つに分割されているが、これに限るものではない。
【0025】
第1注入口21、第2注入口22、第1排出口31、第2排出口32及び捕捉部40は、容器10に設けられている。具体的には、第1注入口21、第2注入口22、第1排出口31及び第2排出口32は、容器10の隔壁に設けられており、捕捉部40は、本体部41が容器10の内部に位置するように容器10に固定されている。
【0026】
第1注入口21は、容器10内に検体を注入するための検体注入口である。本実施の形態において、第1注入口21は、第1容器部11の上壁に設けられている。検体(検体原液)は、核酸抽出装置100に設置される検体投入カップ200から第1注入口21を介して第1容器部11に注入される。
【0027】
第1注入口21は、容器10の外部と第1容器部11の内部空間とを連通する配管である。具体的には、第1注入口21の一方の端部は、第1容器部11に接続され、第1注入口21の他方の端部は、検体投入カップ200に接続される。本実施の形態において、第1注入口21は、第1容器部11と一体的に形成されている。なお、第1注入口21は、容器10(第1容器部11)の上壁に設けられた貫通孔であってもよい。
【0028】
第2注入口22は、容器10内に核酸抽出試薬を注入するための核酸抽出試薬注入口である。本実施の形態において、第2注入口22は、第1注入口21と同様に第1容器部11の上壁に設けられているが、第1注入口21と異なる位置に設けられている。
【0029】
第2注入口22から注入される核酸抽出試薬は、捕捉部40で捕捉された核酸抽出対象物から核酸を抽出するための液体試薬であり、例えば核酸抽出対象物の細胞膜から核酸を取り出す作用を持つ。核酸抽出試薬は、核酸抽出装置100に設置される核酸抽出試薬容器300から第2注入口22を介して第1容器部11に注入される。
【0030】
第2注入口22は、第1容器部11に設けられた貫通孔である。貫通孔である第2注入口22には、第2注入口22(貫通孔)を塞ぐゴム栓22aが設けられている。ゴム栓22aは、核酸抽出試薬を第1容器部11内に注入するための針が貫通可能なゴム材料によって構成されている。核酸抽出試薬容器300内の核酸抽出試薬を第1容器部11内に注入する際、核酸抽出試薬容器300に設けられた針をゴム栓22aに貫通させる。これにより、核酸抽出試薬容器300から第2注入口22を介して液体試薬を第1容器部11内に注入することができる。なお、ゴム栓22aのゴム材料は、特に限定されるものではないが、例えば、シリコーンゴム又はフッ素ゴム等が用いられる。
【0031】
このように、第1容器部11には検体及び核酸抽出試薬の液体が注入されるので、第1容器部11の内部空間の壁面における角部分の角度は、90度以上であるとよい。つまり、第1容器部11における任意の2つの壁面のなす角が90度以上であるとよい。これにより、検体及び核酸抽出試薬を第1容器部11に注入したときに、第1容器部11の内部空間の壁面に検体及び核酸抽出試薬が留まることを抑制することができる。
【0032】
第1排出口31は、核酸抽出試薬によって核酸抽出対象物から抽出された核酸が含まれる核酸抽出液を容器10から排出するための核酸抽出液排出口である。本実施の形態において、第1排出口31は、第2容器部12の下壁に設けられている。
【0033】
第1排出口31は、容器10の外部と第2容器部12の内部空間とを連通する配管である。具体的には、第1排出口31の一方の端部は、第2容器部12に接続され、第1排出口31の他方の端部は、配管を介して核酸抽出装置100に設置された回収容器400(核酸抽出液回収容器)に接続される。本実施の形態において、第1排出口31は、第2容器部12と一体的に形成されている。
【0034】
第1排出口31から排出される核酸抽出液は、第1排出口31に接続された配管を通じて回収容器400に回収される。例えば、核酸抽出液は、送液ポンプ5によって容器10から回収容器400に送液されることで回収される。
【0035】
第2排出口32は、検体を容器10から排出するための検体排出口である。第2排出口32からは、容器10に注入された検体の廃液が排出される。つまり、第1容器部11から注入されて捕捉部40を通過した後の検体(ろ液)が第2排出口32から排出される。本実施の形態において、第2排出口32は、第2容器部12の側壁に設けられている。つまり、第2排出口32は、第1排出口31よりも捕捉部40に近い位置に設けられている。
【0036】
また、第2排出口32の開口径(内径)は、第1排出口31の開口径(内径)の2倍以上であるとよい。一般的に、検体の廃液は大容量(例えば約100ml)で、核酸増幅のために回収される核酸抽出液は小容量(例えば約200μl)である。このため、本実施の形態のように、検体の廃液と核酸抽出液との排出経路を第1排出口31と第2排出口32とに分けるとともに、第2排出口32の開口径を第1排出口31の開口径の2倍以上とすることで、核酸抽出液が容器10の壁面に付着する等のロスを低減することができる。つまり、第1排出口31の開口径を小さくすることで、ロスが少なく核酸抽出液を排出することができる。例えば、第2排出口32の開口径は2mmであり、第1排出口31の開口径は0.5mmである。なお、第2排出口32の開口径は、第1排出口31の開口径の2倍以上でなくてもよく、第2排出口32の開口径は、第1排出口31の開口径と同じであってもよいし、第1排出口31の開口径よりも小さくてもよい。
【0037】
第2排出口32は、容器10の外部と第2容器部12の内部空間とを連通する配管である。具体的には、第2排出口32の一方の端部は、第2容器部12に接続され、第2排出口32の他方の端部は、配管を介して核酸抽出装置100に設置された回収容器500(検体廃液回収容器)に接続される。本実施の形態において、第2排出口32は、第2容器部12と一体的に形成されている。
【0038】
第2排出口32から排出される検体は、第2排出口32に接続された配管を通じて、回収容器500に回収される。例えば、検体の廃液は、真空ポンプ2によって容器10から回収容器500に送液されることで回収される。
【0039】
捕捉部40は、第1注入口21から注入された検体に含まれる核酸抽出対象物を捕捉するための捕捉ユニットであり、少なくとも一部が容器10内に配置されている。本実施の形態において、捕捉部40は、検体に含まれる核酸抽出対象物をろ過によって捕捉する。
【0040】
捕捉部40は、核酸抽出対象物を捕捉して保持するための本体部41と、本体部41を支持する支持部42とを有する。捕捉部40は、本体部41が容器10の内部に位置するように容器10に固定されている。
【0041】
本体部41は、板状の支持部42の上に載置されている。支持部42の本体部41に対応する中央部分には複数の貫通孔(目)が形成されている。つまり、支持部42は目皿である。また、支持部42の周辺部分は、第1容器部11と第2容器部12とで挟持されている。これにより、支持部42が容器10に固定されている。支持部42と第1容器部11と第2容器部12とは、例えば、4本のネジによって固定されている。
【0042】
本実施の形態において、本体部41は、検体から核酸抽出対象物(微生物)をろ過して捕捉するためのフィルタ部である。具体的には、本体部41は、核酸抽出対象物の大きさより小さい微細な孔(目)を複数有するフィルタである。これにより。本体部41(フィルタ)によって、核酸抽出対象物を確実に捕捉することができる。本体部41の孔径は、例えば、0.45μmである。本体部41で捕捉された核酸抽出対象物は、本体部41上に保持される。また、本実施の形態では、核酸抽出対象物から抽出された核酸を本体部41に通過させるので、本体部41の孔の大きさは核酸の大きさよりも大きくしておくとよい。
【0043】
本体部41としては、酢酸セルロース、ポリフッ化ビニリデン(PVDF:polyvinylidene difluoride)、ポリエーテルサルフォン(PES:polyethersulfone)、セルロースアセテート等の材質で作られたメンブレンフィルタ等を用いることができる。また、本体部41としては、検体に含まれる核酸抽出対象物を吸着させる機能を有する捕捉フィルタを用いてもよい。このような捕捉フィルタを用いることにより、検体から核酸抽出対象物を捕捉する速度を向上させることができる。なお、本実施の形態において、本体部41(フィルタ)は、平面状のフィルタであるが、これに限るものではなく、円筒状等のその他の形状のフィルタであってもよい。
【0044】
支持部42の少なくとも一部は、アルミニウム等の金属材料又は高熱伝導性樹脂によって構成されているとよい。この場合、支持部42は、全部が金属材料又は高熱伝導性樹脂によって構成されていてもよい。支持部42の一部に金属材料を用いる場合、樹脂内に金属材料が埋め込まれたものでもよい。また、支持部42の表面は、親水性であるとよい。
【0045】
真空ポンプ2は、容器10内の圧力を調整するための圧力調整部の一例である。本実施の形態において、真空ポンプ2の配管は、第2容器部12に接続されている。したがって、捕捉部40の上に液体が溜まっていて第2容器部12の内部空間が密閉されている場合、真空ポンプ2は、第2容器部12内の圧力を調整する。容器10内又は第2容器部12内の圧力は、真空ポンプ2の配管に設けられたリークバルブ6によって調整することができる。つまり、真空ポンプ2による減圧度は、リークバルブ6によって調整することができる。
【0046】
また、本実施の形態において、真空ポンプ2の配管は、第2排出口32に接続されている。つまり、真空ポンプ2の減圧口(減圧吸引口)は、第2容器部12に設けられた第2排出口32を兼ねている。
【0047】
振動装置3は、容器10を振動させるための機能を有する。振動装置3によって容器10を振動させることで、容器10内の液体を撹拌させることができる。例えば、核酸抽出対象物が含まれる核酸抽出試薬を撹拌させることで核酸抽出反応を効果的に行うことができる。なお、振動装置3は、反応ボックス4に接触するように設けられている。
【0048】
[核酸抽出方法]
次に、核酸抽出装置100を用いた核酸抽出方法について、図1を参照しながら、図5及び図6A〜図6Gを用いて説明する。図5は、実施の形態に係る核酸抽出方法のフローチャートである。図6A〜図6Gは、実施の形態に係る核酸抽出方法を説明するための模式断面図である。なお、図6A〜図6Gにおいては、第1注入口21及び第2注入口22(ゴム栓22a)については、検体210及び核酸抽出試薬の液の流れを分かりやすくするために正しい位置に図示されていない。
【0049】
本実施の形態における核酸抽出方法は、核酸抽出ユニット1を用いて検体に含まれる核酸抽出対象物から核酸を抽出する方法であり、図5に示すように、少なくとも、捕捉工程S1と、核酸抽出工程S2と、回収工程S3とを含む。
【0050】
捕捉工程S1は、捕捉部40に検体を通過させることによって検体に含まれる核酸抽出対象物を捕捉部40で捕捉する工程である。
【0051】
核酸抽出工程S2は、捕捉工程S1の後、捕捉部40に核酸抽出試薬を導入することによって捕捉部40で捕捉した核酸抽出対象物から核酸を抽出する工程である。
【0052】
回収工程S3は、核酸抽出工程S2の後、核酸抽出工程S2で抽出した核酸を含む核酸抽出液を、捕捉部40を通過させて回収する工程である。
【0053】
以下、図6A〜図6Gを用いて、具体的な核酸抽出方法について説明する。
【0054】
[捕捉工程]
捕捉工程S1では、まず、図6Aに示すように、核酸抽出ユニット1に検体210を注入する。具体的には、核酸抽出対象物220を含む検体210(検体原液)が入った検体投入カップ200を核酸抽出装置100(図1参照)の所定の位置に設置して、検体投入カップ200から容器10に検体210に投入する。検体210を容器10に投入する際、第1排出口31に接続された配管に設けられたバルブ5aは閉じられている。バルブ5aは、例えば図1における送液ポンプ5に備えられているが、これに限るものではない。
【0055】
検体210は、例えば、微生物を含む試料を滅菌希釈水等に懸濁することで作製することができる。検体210の溶液量は、例えば、10ml〜500mlであるが、これに限るものではない。なお、検体210に対しては、必要に応じて、固形成分を除去する等の前処理を行ってもよい。
【0056】
検体投入カップ200から投入される検体210は、第1注入口21を介して第1容器部11に注入され、捕捉部40を通過して第2容器部12に流れる。
【0057】
このとき、検体210は、捕捉部40によって濃縮される。つまり、検体210を捕捉部40に通過させることで検体210を濃縮することができる。
【0058】
具体的には、検体210が捕捉部40を通過する際、検体210に含まれる核酸抽出対象物220が捕捉部40に捕捉される。本実施の形態において、検体210に含まれる核酸抽出対象物220は、捕捉部40の本体部41(フィルタ)を通過する際に本体部41に捕捉されて本体部41の上に留まる。
【0059】
図6Aに示すように、捕捉部40を通過した検体210(ろ液)は、廃液として第2排出口32を介して第2容器部12から排出され、核酸抽出装置100(図1参照)の所定の位置に設置された回収容器500に回収される。
【0060】
このとき、本実施の形態では、吸引ろ過によって検体210に含まれる核酸抽出対象物220を捕捉部40で捕捉している。具体的には、真空ポンプ2によって第1排出口31から容器10内の空気を排気(吸引)することで第2容器部12内を減圧して、第1容器部11内の圧力を第2容器部12内の圧力よりも高くする検体排出モードで第2容器部12内の圧力を調整している。このように容器10内の圧力を調整することで、容器10内に注入された検体210は、吸引されながら捕捉部40でろ過される。これにより、第1容器部11に注入された検体210を速やかに捕捉部40を通過させて第2容器部12に移動させることができるとともに、検体210の廃液を速やかに第2容器部12から排出させることができる。したがって、効率良く検体210を濃縮することができるとともに、検体210の廃液を速やかに容器10から排出させることができる。
【0061】
なお、検体210を濃縮する際は、さらに、検体210を上部から加圧するとよい。これにより、さらに効率良く検体210を濃縮することができる。例えば、検体投入カップ200内の検体210の上部の空間領域を加圧するとよい。
【0062】
このように、検体210を容器10に注入して排出させると、図6Bに示すように、捕捉部40の本体部41の上には、本体部41で捕捉された核酸抽出対象物220が溜まることになる。
【0063】
このようにして、捕捉工程S1では、捕捉部40に検体210を通過させることによって検体210に含まれる核酸抽出対象物220を捕捉部40で捕捉させている。
【0064】
なお、検体210を捕捉部40に通過させた後は、必要に応じて、さらに滅菌希釈水を第1注入口21等から第1容器部11に導入して捕捉部40を通過させることで核酸抽出対象物220を洗浄することができる。
【0065】
[核酸抽出工程]
核酸抽出工程S2では、捕捉部40で捕捉した核酸抽出対象物220から核酸230を抽出する。
【0066】
具体的には、まず、図6Cに示すように、核酸抽出装置100(図1参照)の所定の位置に設置された核酸抽出試薬容器300から容器10に核酸抽出試薬310を投入する。核酸抽出試薬310としては、例えば、簡易DNA抽出キット(株式会社カネカ)又はセルイーズ(Biocosm株式会社)を用いることができる。注入する核酸抽出試薬310の量は、例えば50μl〜200μlである。なお、核酸抽出試薬310を容器10に投入する際、第1排出口31に接続された配管のバルブ5aは閉じられたままである。
【0067】
核酸抽出試薬容器300から投入される核酸抽出試薬310は、第2注入口22を介して第1容器部11に注入される。具体的には、核酸抽出試薬容器300の針を第2注入口22(貫通孔)に設けられたゴム栓22aに貫通させて、核酸抽出試薬容器300から第1容器部11内に核酸抽出試薬310を注入する。なお、核酸抽出試薬310を容器10に注入する前に、死菌の不活性処理試薬等を容器10内に注入してもよい。
【0068】
容器10内に核酸抽出試薬310を注入して静置すると、捕捉部40に捕捉された核酸抽出対象物220が核酸抽出試薬310に反応する。これにより、核酸抽出対象物220から核酸230を抽出することができる。つまり、核酸抽出対象物220から核酸230が抽出される核酸抽出反応が行われる。つまり、核酸抽出対象物220の細胞膜と核酸230とが分離される。具体的には、図6Dに示すように、核酸抽出対象物220から核酸抽出試薬310に核酸230が溶出し、核酸230が含まれる核酸抽出液320が生成される。
【0069】
なお、核酸抽出試薬310を容器10に注入して核酸抽出対象物220と核酸抽出試薬310とを混合させた後、適宜加熱してもよい。これにより、核酸抽出試薬310と核酸抽出対象物220との反応を促進させて核酸230を効率良く溶出させることができるので、核酸230の抽出を効率良く行うことができる。この場合、例えば、図1に示される加熱冷却ユニット7によって容器10を加熱することで核酸抽出試薬310を加熱することができる。加熱冷却ユニット7は、例えば、核酸抽出装置100の反応ボックス4に設けられており、例えば容器10及び捕捉部40の支持部42に接続されている。加熱冷却ユニット7としては、例えばペルチェ素子等を用いることができる。
【0070】
また、核酸抽出対象物220と核酸抽出試薬310とを混合させた後に、振動装置3によって容器10を振動させて核酸抽出試薬310を撹拌させるとよい。これにより、核酸230の抽出をさらに効率良く行うことができる。
【0071】
このように、本実施の形態では、捕捉部40に核酸抽出試薬310を導入することによって核酸抽出対象物220の核酸抽出反応が行われ、核酸抽出対象物220から核酸230が抽出される。これにより、抽出された核酸230を含む核酸抽出液320が生成される。
【0072】
このとき、図6Dに示すように、核酸抽出対象物220の核酸抽出反応は、容器10に注入された核酸抽出試薬310を捕捉部40の上に保持させて行うとよい。核酸抽出試薬310を捕捉部40の上に保持させることで、核酸抽出試薬310が捕捉部40の上に滞留する。この結果、核酸抽出対象物220が核酸抽出試薬310に一定時間浸されることになる。これにより、核酸230を溶出させやすくできるので、核酸230の抽出(溶出)を効率良く行うことができる。
【0073】
核酸抽出試薬310を捕捉部40の上に保持させる場合、真空ポンプ2は、核酸抽出試薬310を捕捉部40の上に保持させる核酸抽出試薬保持モードで第2容器部12内の圧力を調整するとよい。具体的には、真空ポンプ2によって第2容器部12内を加圧して第2容器部12内の圧力を第1容器部11内の圧力よりも高くすればよい。これにより、容器10に注入された核酸抽出試薬310を捕捉部40上に保持させることができる。
【0074】
この場合、捕捉部40の本体部41としては、通常時(第2容器部12を加圧していない時)に核酸抽出試薬310が本体部41を通過するようなフィルタを用いることができる。
【0075】
[回収工程]
核酸抽出試薬310の注入が完了して捕捉部40上の核酸抽出対象物220の核酸抽出反応が完了した後は、真空ポンプ2による第2容器部12内の加圧を停止することで、図6Eに示すように、捕捉部40上に滞留している核酸抽出液320を、捕捉部40を通過させて第2容器部12に移動させることができる。例えば、リークバルブ6を開放することで、第2容器部12内を常圧にしたり、検体排出モード時の減圧度よりも低い減圧度となるように第2容器部12内の圧力を調整したりすればよい。
【0076】
なお、核酸抽出試薬310を捕捉部40の上に保持させる方法としては、上記のような第2容器部12内の圧力を調整する方法に限るものではない。例えば、核酸抽出試薬保持モードを実行する代わりに、捕捉部40の本体部41として、第2容器部12内を減圧していない時に核酸抽出試薬310が本体部41上に保持されるようなフィルタを用いることでも実現できる。
【0077】
この場合、図示しないが、捕捉部40の上に保持させた核酸抽出試薬310によって捕捉部40上の核酸抽出対象物220の核酸抽出反応が完了した後は、真空ポンプ2によって第2容器部12内を減圧して第1容器部11内の圧力を第2容器部12内の圧力よりも高くすればよい。これにより、核酸抽出反応が完了して捕捉部40上に滞留している核酸抽出液320を第2容器部12に移動させることができる。つまり、圧力差を利用して核酸抽出液320を第2容器部12に移動させることができる。このように、真空ポンプ2によって第2容器部12内を減圧して第1容器部11内の圧力を第2容器部12内の圧力よりも高くすることで、捕捉部40における核酸抽出液320を捕捉部40を介して第2容器部12に移動させる核酸抽出液移動モードで第2容器部12内の圧力を調整するとよい。
【0078】
このとき、核酸抽出液移動モードにおける真空ポンプ2による減圧度は、上記の検体210を排出させる検体排出モードにおける真空ポンプ2による減圧度よりも低くするとよい。
【0079】
なお、検体排出モード及び核酸抽出液移動モードにおいて第2容器部12に遠心力がかかるように制御してもよい。これにより、検体210及び核酸抽出液320を効果的に回収することができる。
【0080】
次に、図6Fに示すように、核酸230が含まれる核酸抽出液320が全て第2容器部12に移動した後は、図6Gに示すように、第1排出口31に接続された配管のバルブ5aを開けることによって核酸抽出液320を回収する。
【0081】
具体的には、核酸230が含まれる核酸抽出液320を第1排出口31を介して第2容器部12から排出し、核酸抽出装置100(図1参照)の所定の位置に設置された回収容器400に核酸抽出液320を回収する。例えば、第2容器部12内の核酸抽出液320は、送液ポンプ5によって回収容器400に送液されて回収される。
【0082】
その後、図示しないが、回収した核酸抽出液320を用いて核酸検査(核酸分析)を行う。この場合、核酸230を検査する方法に合わせて核酸抽出液320に核酸検査試薬を混合させて検査溶液を得る。例えば、PCR法によって核酸検査を行う場合、核酸検査試薬として、PCR試薬を用いる。PCR試薬には、例えば、核酸230の量を蛍光発光強度で検査するための核酸染色蛍光試薬及び核酸を増幅させるための反応試薬等が含まれている。反応試薬は、例えば、PCRプライマやポリメラーゼ酵素、バッファー等である。
【0083】
PCR法による核酸検査は、例えば、検査流路であるマイクロ流路が形成された検査チップ(PCRチップ等)を用いて行うことができる。この場合、例えば、核酸抽出液320と核酸検査試薬との混合溶液を検査チップに導入してフローPCRによって核酸230を増幅し、光学検出装置によって増幅された核酸230を測定することで、核酸抽出対象物220(微生物)を同定することができる。
【0084】
このように、本実施の形態における核酸抽出方法は、核酸検査方法に利用することができる。この場合、PCR法によって核酸230を検査することで、高感度及び高精度で核酸230の同定が可能となる。
【0085】
[まとめ]
以上、本実施の形態に係る核酸抽出装置100によれば、検体210から核酸230を抽出するための核酸抽出ユニット1を備える。核酸抽出ユニット1は、容器10と、容器10内に検体を注入するための第1注入口21と、容器10内に配置され、第1注入口21から注入された検体210に含まれる核酸抽出対象物220を捕捉する捕捉部40と、捕捉部40で捕捉された核酸抽出対象物220から核酸230を抽出するための核酸抽出試薬310を容器10内に注入するための第2注入口22と、核酸抽出試薬310によって核酸抽出対象物220から抽出された核酸230が含まれる核酸抽出液320を容器10から排出するための第1排出口31と、検体210を容器10から排出するための第2排出口32とを有する。そして、容器10は、捕捉部40を境界として容器10の内部空間を分割する第1容器部11と第2容器部12とを有し、第1注入口21及び第2注入口22は、第1容器部11に設けられており、第1排出口31及び第2排出口32は、第2容器部12に設けられている。
【0086】
これにより、上部の第1容器部11に検体210と核酸抽出試薬310とを注入することができるとともに、捕捉部40を介して下部の第2容器部12から廃液の検体210と核酸抽出液320とを排出することができる。これにより、同じ容器10を用いて検体210の濃縮と核酸230の抽出とを行った上で核酸230を含む核酸抽出液320を簡便に回収することができる。また、核酸抽出工程中に容器を移し替えることなく作業を行うことができるので、核酸抽出液320に不純物が混入することを抑制できる。しかも、上部の第1容器部11から下部の第2容器部12に検体210が流れるので、検体210から核酸抽出対象物220を捕捉部40で容易に捕捉することもできる。このように、本実施の形態によれば、作業性が簡便で、核酸抽出液320に不純物が混入するリスクを大幅に軽減することができる。これにより、高感度及び高精度で核酸230を抽出することができる。したがって、核酸抽出液320を用いた検査の精度を向上させることができる。
【0087】
また、本実施の形態において、核酸抽出装置100は、さらに、第2容器部12内の圧力を調整するための圧力調整部として真空ポンプ2を備えている。また、捕捉部40は、本体部41として、核酸抽出対象物220より小さい孔を複数有するフィルタを有する。そして、第2排出口32は、第1排出口31よりも捕捉部40に近い位置に設けられており、かつ、真空ポンプ2の減圧口を兼ねている。
【0088】
これにより、検査に必要な核酸抽出液320と廃液となる検体210とを同じ第2容器部12から排出する構成でありながらも、核酸抽出液320を効率良く回収することができる。
【0089】
また、本実施の形態において、真空ポンプ2は、第2容器部12内を減圧して第1容器部11内の圧力を第2容器部12内の圧力よりも高くすることで、注入された検体210を第1容器部11から捕捉部40を通過させて第2容器部12に移動させる検体排出モードと、第2容器部12内を減圧して第1容器部11内の圧力を第2容器部12内の圧力よりも高くすることで、捕捉部40における核酸抽出液320を捕捉部40を介して第2容器部12に移動させる核酸抽出液移動モードとで第2容器部12内の圧力を調整する。この場合、核酸抽出液移動モードにおける真空ポンプ2による減圧度は、検体排出モードにおける真空ポンプ2による減圧度よりも低くしている。
【0090】
これにより、簡便な構造で、効率良く核酸抽出液320を回収することができる。
【0091】
また、本実施の形態において、真空ポンプ2は、第2容器部12内を加圧して第2容器部12内の圧力を第1容器部11内の圧力よりも高くすることで、容器10に注入された核酸抽出試薬310を捕捉部40上に保持させる核酸抽出試薬保持モードで第2容器部12内の圧力を調整している。
【0092】
これにより、第2容器部12内の圧力を調整して捕捉部40上に核酸抽出試薬310を保持させた状態で核酸抽出反応を行うことができるので、核酸抽出液320を効率良く回収することができる。
【0093】
また、本実施の形態において、第2注入口22は、第1容器部11に設けられた貫通孔であり、貫通孔には、当該貫通孔を塞ぐゴム栓22aが設けられており、ゴム栓22aは、核酸抽出試薬310を第1容器部11内に注入するための針が貫通可能なゴム材料によって構成されている。
【0094】
これにより、容器10に注入された検体210及び核酸抽出試薬310が容器10から蒸発したり攪拌時に容器10から漏れたりすることを低減することができる。
【0095】
また、本実施の形態において、捕捉部40は、検体210に含まれる核酸抽出対象物220を捕捉して保持するための本体部41と、本体部41を支持する支持部42とを有している。
【0096】
これにより、本体部41において検体210に含まれる核酸抽出対象物220を捕捉することができる。
【0097】
この場合、支持部42の少なくとも一部は、金属によって構成されているとよい。あるいは、支持部42の少なくとも一部は、高熱伝導性樹脂によって構成されていてもよい。
【0098】
これにより、支持部42に接続された加熱冷却ユニット7によって、本体部41上の検体210、核酸抽出対象物220又は核酸抽出試薬310を効率良く加熱したり冷却したりすることができる。
【0099】
また、支持部42が高熱伝導性樹脂によって構成されていて金属によって構成されていない場合には、金属そのもの又は金属の腐食によって検査が阻害されることを低減することができる。
【0100】
また、捕捉部40の支持部42の表面は、親水性であるとよい。
【0101】
これにより、検体210から核酸抽出対象物220を捕捉する速度を向上させることができる。つまり、検体210から核酸抽出対象物220を捕捉するのに要する時間を短縮することができる。
【0102】
また、本実施の形態において、容器10の少なくとも一部は、高熱伝導性樹脂によって構成されているとよい。
【0103】
これにより、容器10に接続された加熱冷却ユニット7によって、本体部41上の検体210、核酸抽出対象物220又は核酸抽出試薬310を効率良く加熱したり冷却したりすることができる。また、容器10として金属を用いないことで、金属そのもの又は金属の腐食によって検査が阻害されることを低減することができる。
【0104】
また、本実施の形態において、第1容器部11の内部空間の壁面における角部分の角度は、90度以上であるとよい。
【0105】
これにより、検体210及び核酸抽出試薬310を第1容器部11に注入したときに、第1容器部11の内部空間の壁面に検体210及び核酸抽出試薬310が留まることを抑制することができる。つまり、検体210及び核酸抽出試薬310の液ロスを低減できる。
【0106】
また、本実施の形態において、容器10の内面は、非親水性であるとよい。
【0107】
これにより、検体210及び核酸抽出試薬310を第1容器部11に注入したときに、第1容器部11の内部空間の壁面に検体210及び核酸抽出試薬310が付着することを抑制することができる。つまり、検体210及び核酸抽出試薬310の液ロスを低減できる。
【0108】
また、本実施の形態において、核酸抽出装置100は、さらに、容器10を振動させるための振動装置3を備えている。
【0109】
これにより、核酸抽出試薬310と核酸抽出対象物220とを撹拌混合させることができるので核酸230の抽出を効率良く行うことができるとともに、第1容器部11の内部空間の壁面に検体210及び核酸抽出試薬310が付着することを抑制することができる。
【0110】
また、本実施の形態における核酸抽出方法は、捕捉部40に検体210を通過させることによって検体210に含まれる核酸抽出対象物220を捕捉部40で捕捉する捕捉工程S1と、捕捉部40に核酸抽出試薬310を導入することによって捕捉部40で捕捉した核酸抽出対象物220から核酸230を抽出する核酸抽出工程S2と、抽出した核酸230を含む核酸抽出液320を捕捉部40を通過させて回収する回収工程S3とを含む。
【0111】
これにより、作業性が簡便で、核酸抽出液320に不純物が混入するリスクを大幅に軽減することができる。したがって、高感度及び高精度で核酸230を抽出することができる。
【0112】
(変形例)
以上、本発明に係る核酸抽出装置100、核酸抽出ユニット1及び核酸抽出方法等について、実施の形態に基づいて説明したが、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではない。
【0113】
例えば、上記実施の形態において、第2排出口32を構成する管の第2容器部12側の端部は、第2容器部12の内壁と面一であったが、第2排出口32を構成する管の第2容器部12側の少なくとも一部を、第2容器部12の内方に向かって第2容器部12の内壁よりも突出させてもよい。
【0114】
この場合、図7に示すように、第2排出口32を構成する管の第2容器部12側の端部の全周を第2容器部12の内壁から突出させるように突出部12aを設けてもよいし、図8に示すように、第2排出口32を構成する管の第2容器部12側の端部の上側部分のみを第2容器部12の内壁から突出させるように突出部12bを設けてもよい。
【0115】
このように、第2排出口32を構成する管の第2容器部12側の少なくとも一部を、第2容器部12の内方に向かって第2容器部12の内壁よりも突出させることで、第1容器部11から第2容器部12に核酸抽出液320を移動させるときに、核酸抽出液320が第2排出口32に浸入することを抑制できる。つまり、突出部12a及び12bがひさしとして機能し、核酸抽出液320が第2排出口32の管内に浸入することを抑制できる。したがって、核酸抽出液320を少ないロスで回収することができる。
【0116】
また、上記実施の形態における核酸抽出方法において、検体に含まれる死菌を不活性化して除去する死菌除去工程を行ってもよい。死菌除去工程は、死菌を除去するための死菌除去試薬(例えば死菌の核酸の増幅を阻害する試薬)を捕捉部40に導入することで死菌の核酸を反応不活化にする工程であり、捕捉工程S1の後に行われる。具体的には、死菌除去工程は、捕捉工程S1と核酸抽出工程S2との間に行われる。
【0117】
この場合、核酸抽出対象物を捕捉部40に捕捉した後、第1注入口21又は第2注入口22から死菌除去試薬を容器10内に投入することで核酸抽出対象物微生物を捕捉した捕捉部40上に死菌除去試薬を導入し、冷却しながら5分〜20分程度静置する。これにより、死菌を除去して生菌のみを捕捉部40に集菌することができる。死菌除去試薬としては、例えば、タカラバイオ株式会社製の「Viable Bacteria Selection Kit for PCR」等を用いることができる。また、死菌除去試薬を捕捉部40の本体部41(フィルタ)内に浸透させるために、真空ポンプ2によって軽く吸引する工程や撹拌する工程を適宜追加してもよい。さらに、必要に応じて、死菌除去工程は数回繰り返してもよい。なお、死菌除去試薬は、死菌除去工程が終了した後に、本体部41を通過させて第2排出口32等から排出してもよい。このように、捕捉工程S1の後に死菌除去工程を行うことで、生菌の核酸のみを抽出することができる。
【0118】
また、上記実施の形態において、容器10は遮光部材によって構成されていたが、これに限るものではない。例えば、図9に示すように、容器10の少なくとも一部が透明材料によって構成されていてもよい。
【0119】
このように、容器10の一部を透明材料にすることによって、容器10の内部を観察することが可能となったり、容器10の内部に光を照射することが可能となったりする。この場合、例えば容器10の内部に光を照射するための光照射ユニット8を反応ボックス4内又は反応ボックス4の周辺に設けることができる。光照射ユニット8は、例えば、上記の死菌除去工程で用いられる。具体的には、容器10内に死菌除去試薬を導入して静置した後に光照射ユニット8によって光を照射することで、死菌と死菌除去試薬との反応を促進することができる。これにより、死菌の除去を効率良く行うことができる。
【0120】
また、上記実施の形態では、容器10に検体を注入するための第1注入口21と容器10に核酸抽出試薬を注入するための第2注入口22とを別々に設けたが、これに限るものではない。また、核酸抽出液を容器10から排出するための第1排出口31と検体を容器10から排出するための第2排出口32とについても別々に設けたが、これに限るものではない。
【0121】
例えば、第1注入口21と第2注入口22とは、図10に示すように、1つの注入口23として構成されていてもよい。つまり、第1注入口21と第2注入口22とを兼用する1つの注入口23が容器10(第1容器部11)に設けられていてもよい。注入口23からは、検体が注入されたり核酸抽出試薬が注入されたりする。なお、検体210及び核酸抽出試薬310以外に、死菌除去試薬等のその他の液体を注入口23から注入してもよい。
【0122】
また、第1排出口31と第2排出口32とについても、図10に示すように、1つの排出口33として構成されていてもよい。つまり、第1排出口31と第2排出口32とを兼用する1つの排出口33が容器10(第2容器部12)に設けられていてもよい。排出口33からは、核酸抽出液が排出されたり検体が排出されたりする。なお、核酸抽出液及び検体以外に、容器10に導入されたその他の液体が排出口33から排出されてもよい。
【0123】
なお、図10では、注入口23及び排出口33をいずれも1つとしたが、これに限るものではなく、どちらか一方を図6A等に示すように2つに分けてもよい。
【0124】
さらに、注入口23及び排出口33の各々が1つのみである場合、図11に示すように、捕捉部40の上流側に設けられた注入口23には、バルブ600を介して、検体投入カップ200及び核酸抽出試薬容器300が接続されていてもよい。これにより、バルブ600を制御することで検体投入カップ200からの検体と核酸抽出試薬容器300からの核酸抽出試薬との流れを切り替えることができる。また、捕捉部40の下流側に設けられた排出口33には、バルブ700を介して、回収容器400(不図示)で核酸抽出液を回収するための配管5bと回収容器500で検体の廃液(ろ液)を回収するための配管2bとが接続されていてもよい。これにより、バルブ700を制御することで核酸抽出液と検体の廃液との流れを切り替えることができる。
【0125】
また、上記実施の形態では、検体210は捕捉部40に直接通過させたが、これに限らない。例えば、検体210を捕捉部40に通過させる前に、前処理として検体210をプレフィルタに通過させてもよい。一例として、検体投入カップ200と第1注入口21との間にプレフィルタを有する配管を挿入すればよい。このように、検体210を捕捉部40に通過させる前にプレフィルタに通過させることで、サイズの大きい不要な成分を除去することができる。これにより、検体210からの核酸抽出対象物220の捕捉を効率的に行うことができる。
【0126】
その他、各実施の形態及び変形例に対して当業者が思いつく各種変形を施して得られる形態や、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で実施の形態における構成要素及び機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本発明に含まれる。
【符号の説明】
【0127】
1 核酸抽出ユニット
2 真空ポンプ(圧力調整部)
10 容器
11 第1容器部
12 第2容器部
21 第1注入口
22 第2注入口
23 注入口(第1注入口、第2注入口)
22a ゴム栓
31 第1排出口
32 第2排出口
33 排出口(第1排出口、第2排出口)
40 捕捉部
41 本体部
42 支持部
100 核酸抽出装置
210 検体
220 核酸抽出対象物
230 核酸
310 核酸抽出試薬
320 核酸抽出液
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図6D】
【図6E】
【図6F】
【図6G】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【国際調査報告】