(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO2017154384
(43)【国際公開日】20170914
【発行日】20190110
(54)【発明の名称】太陽電池モジュール
(51)【国際特許分類】
   H01L 31/056 20140101AFI20181207BHJP
【FI】
   !H01L31/04 624
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】20
【出願番号】2018504042
(21)【国際出願番号】JP2017002167
(22)【国際出願日】20170123
(31)【優先権主張番号】2016046978
(32)【優先日】20160310
(33)【優先権主張国】JP
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ
(71)【出願人】
【識別番号】000000941
【氏名又は名称】株式会社カネカ
【住所又は居所】大阪府大阪市北区中之島二丁目3番18号
(74)【代理人】
【識別番号】100152571
【弁理士】
【氏名又は名称】新宅 将人
(74)【代理人】
【識別番号】100141852
【弁理士】
【氏名又は名称】吉本 力
(72)【発明者】
【氏名】寺下 徹
【住所又は居所】日本国大阪府摂津市鳥飼西5丁目1−1 株式会社カネカ内
(72)【発明者】
【氏名】小泉 玄介
【住所又は居所】日本国大阪府摂津市鳥飼西5丁目1−1 株式会社カネカ内
(72)【発明者】
【氏名】足立 大輔
【住所又は居所】日本国大阪府摂津市鳥飼西5丁目1−1 株式会社カネカ内
【テーマコード(参考)】
5F151
【Fターム(参考)】
5F151AA02
5F151AA03
5F151CA15
5F151DA07
5F151EA19
5F151FA02
5F151FA06
5F151FA14
5F151HA20
5F151JA03
5F151JA04
5F151JA05
(57)【要約】
太陽電池モジュール(200)は、互いに離間して配置された複数の太陽電池(101,102,103)が配線材(82,83)を介して接続された太陽電池ストリング、太陽電池ストリングの受光面側に配置された光透過性の受光面保護材(91)、および太陽電池ストリングの裏面側に配置された裏面保護材(92)を備える。太陽電池は、光電変換部(50)の受光面側に設けられたパターン状の受光面金属電極(60)と、光電変換部の裏面に設けられたパターン状の裏面金属電極(70)とを有する。太陽電池の裏面の中央部には、光電変換部と裏面保護材との間に金属膜が設けられており、太陽電池の裏面の周縁には金属膜が設けられていないセル露出領域が存在する。裏面金属電極の少なくとも一部は、セル露出領域に設けられている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに離間して配置された複数の太陽電池が配線材を介して接続された太陽電池ストリング、前記太陽電池ストリングの受光面側に配置された光透過性の受光面保護材、および前記太陽電池ストリングの裏面側に配置された裏面保護材、を備える太陽電池モジュールであって、
前記太陽電池は、光電変換部と、前記光電変換部の受光面に設けられたパターン状の受光面金属電極と、前記光電変換部の裏面に設けられたパターン状の裏面金属電極とを有し、
太陽電池の裏面には、前記光電変換部と前記裏面保護材との間に金属膜が設けられており、かつ太陽電池の裏面の周縁には前記金属膜が設けられていないセル露出領域が存在し、
前記裏面金属電極の少なくとも一部は、前記セル露出領域に設けられている、太陽電池モジュール。
【請求項2】
前記金属膜が前記光電変換部に接している、請求項1に記載の太陽電池モジュール。
【請求項3】
太陽電池の裏面における前記セル露出領域の面積が、前記金属膜が設けられている領域の面積の0.05〜0.5倍である、請求項1または2に記載の太陽電池モジュール。
【請求項4】
前記裏面保護材が光反射性を有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の太陽電池モジュール。
【請求項5】
太陽電池が配置されていない領域に光反射部材が設けられている、請求項1〜4のいずれか1項に記載の太陽電池モジュール。
【請求項6】
前記光反射部材は、受光面側の表面に凹凸構造を有する、請求項5に記載の太陽電池モジュール。
【請求項7】
前記光反射部材は、隣接して配置された太陽電池の辺と平行に延在する凸部を有する、請求項6に記載の太陽電池モジュール。
【請求項8】
前記太陽電池ストリングと前記受光面保護材との間には受光面封止材が配置され、前記太陽電池ストリングと前記裏面保護材との間には裏面封止材が配置され、
前記裏面封止材の厚みが前記受光面封止材の厚みよりも大きい、請求項1〜7のいずれか1項に記載の太陽電池モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光利用効率に優れる太陽電池モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
単結晶シリコン基板や多結晶シリコン基板等の結晶半導体基板を用いた結晶系太陽電池は、受光面側にパターン状の金属電極を備える。両面入射型の太陽電池では、裏面側にもパターン状の金属電極が設けられている。単面入射型の太陽電池では、半導体基板で吸収されずに裏面に到達した光を有効に利用するために、セルの裏面側の全面に光反射性の金属電極が設けられることが一般的である。特に、コストダウン等の観点から厚みの小さい結晶半導体基板を用いる場合は、半導体基板で吸収されずにセルの裏面に到達する光の量が多いため、裏面側に面状の金属電極を設けることが有効である。
【0003】
結晶系太陽電池は1つのセルの面積が小さいため、配線材を介して複数のセルを電気的に接続した太陽電池ストリングを、受光面側のガラス板と裏面側のバックシートとの間に封止することによりモジュール化したものが実用に供される。太陽電池ストリングにおいて、隣接して配置されるセル間には、一般に2〜4mm程度の隙間が設けられる。この隙間に照射された光を反射してセルに入射させ、発電に寄与させることにより、モジュール変換効率を向上できる。
【0004】
セル間の隙間に照射された光を有効に利用するために、単面入射型の太陽電池モジュールでは、光散乱反射性のバックシートが用いられている。特許文献1および特許文献2では、セル間の隙間に対応する位置に凹凸形状の反射材を設け、光の反射方向を制御することにより、セルの受光面側または裏面側からの反射光の入射量を増大させる方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−43600号公報
【特許文献2】特開2010−287688号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載されているように、裏面側の全面に金属電極が設けられたセルを用いた単面入射型の太陽電池モジュールでは、バックシート側からの反射光がセルの裏面に当たっても発電には寄与しない。そのため、バックシート側からの反射光を、受光面側のガラス板で再反射させ、受光面側からセルに入射するように反射光の角度を調整する必要がある。しかし、バックシート上に設けられる反射材の凹凸の形状や角度を調整しても、セルの裏面への光の反射を完全になくすことはできない。
【0007】
両面入射型の太陽電池モジュールでは、裏面側からの光を利用するために、透明なバックシートが用いられる。上記の様に、セル間の隙間に対応する位置に反射材を設けることにより、受光面(表面)側からセル間の隙間に照射された光を反射させ、有効に利用できる。両面入射型の太陽電池モジュールでは、セルの裏面側の金属電極がグリッド状であるため、バックシート側から反射してセルの裏面に当たる光も有効に利用できる。しかし、セルが配置されている領域のバックシートは透明であるため、受光面側からセルに入射して、半導体基板で吸収されずにモジュールの裏面へ到達した光は、バックシートを透過してモジュール外に散逸してしまう。
【0008】
単面入射型モジュールにおけるバックシートからセルの裏面への反射光や、両面入射型モジュールにおいてバックシートを透過した光の一部は、反射・散乱を繰り返してセルに入射するが、その過程でロスが生じる。そのため、セルに入射する光量は少なく、光利用効率の向上には改善の余地がある。上記に鑑み、本発明は、セル間の隙間に照射された光とセルを透過して裏面側に到達した光の両方を有効にセルに入射させることが可能であり、光利用効率の高い太陽電池モジュールの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の太陽電池モジュールは、互いに離間して配置された複数の太陽電池が配線材を介して接続された太陽電池ストリング、太陽電池ストリングの受光面側に配置された受光面保護材、および太陽電池ストリングの裏面側に配置された裏面保護材を備える。受光面保護材は光透過性を有する。裏面保護材は光反射性を有することが好ましい。太陽電池ストリングと受光面保護材との間には受光面封止材が配置され、太陽電池ストリングと裏面保護材との間には裏面封止材が配置されることが好ましい。
【0010】
太陽電池は、光電変換部と、光電変換部の受光面に設けられたパターン状の受光面金属電極と、光電変換部の裏面に設けられたパターン状の裏面金属電極とを有する。太陽電池の裏面には、光電変換部と裏面保護材との間に金属膜が設けられており、太陽電池の裏面の周縁には金属膜が設けられていない領域(セル露出領域)が存在する。パターン状の裏面金属電極の少なくとも一部は、セル露出領域に設けられている。
【0011】
金属膜は、光電変換部に接していることが好ましい。太陽電池の裏面におけるセル露出領域の面積は、金属膜が設けられている領域の面積の0.05〜0.5倍程度が好ましい。
【0012】
太陽電池が配置されていない領域(隣接する太陽電池間の隙間)には、光反射部材が設けられていることが好ましい。光反射部材は、裏面保護材よりも高い反射率を有することが好ましい。隣接する太陽電池間の隙間に設けられる光反射部材は、受光面側の表面に凹凸構造を有することが好ましい。凹凸構造の凸部は、隣接して配置された太陽電池の辺と平行に延在することが好ましい。裏面保護材と裏面封止材との間に光反射部材が配置される場合、裏面封止材の厚みを受光面封止材の厚みよりも大きくすることにより、光反射部材と太陽電池や配線材との接触を防止できる。
【発明の効果】
【0013】
太陽電池の裏面側の裏面保護材との間に、太陽電池よりも小面積の金属膜を配置することにより、反射光を有効に利用できるため、変換効率の高い太陽電池モジュールが得られる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】AおよびBは、一実施形態の太陽電池モジュールの模式的断面図である。
【図2】Aは受光面側からみた太陽電池ストリングの平面図であり、Bは裏面側からみた太陽電池ストリングの平面図である。
【図3】太陽電池の一形態を表す模式的断面図である。
【図4】金属電極のパターン形状を表す平面図である。
【図5】金属膜の形状を表す平面図である。
【図6】AおよびBは、一実施形態の太陽電池モジュールの模式的断面図であり、Cはその平面図である。
【図7】光反射部材の一形態を示す概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1Aおよび図1Bは、本発明の一実施形態の太陽電池モジュール(以下、「モジュール」と記載する)の模式的断面図である。モジュール200は、複数の太陽電池101,102,103(以下、「セル」と記載する)を備える。図2Aは太陽電池ストリングを受光面側からみた平面図であり、図2Bは太陽電池ストリングを裏面側からみた平面図である。図1Aは、図2AのI−I線の位置における断面図であり、図1Bは図2AのII−II線の位置における断面図である。
【0016】
セルは、光電変換部50の受光面側および裏面側のそれぞれに金属電極60,70を備える。図1Aに示すように、隣接するセル101,102,103の表裏の電極が、配線材82,83を介して接続され、複数のセルが電気的に接続された太陽電池ストリングを形成している。太陽電池ストリングの受光面側(図1Aおよび図1Bの上側)には、受光面保護材91が設けられ、裏面側(図1Aおよび図1Bの下側)には裏面保護材92が設けられている。モジュール200では、保護材91,92の間に封止材95が充填されることにより、太陽電池ストリングが封止されている。
【0017】
セルの裏面側には、金属膜76が配置されている。図1Aおよび図2Bに示す形態では、金属膜76は、配線材83上に設けられている。図1Bに示すように、配線材が設けられていない領域では、金属膜76は金属電極70および光電変換部50の表面に接していることが好ましい。
【0018】
図3は、セルの一形態を表す模式的断面図である。光電変換部50は結晶半導体基板1を備える。結晶半導体基板は、単結晶でも多結晶でもよく、単結晶シリコン基板,多結晶シリコン基板等が用いられる。結晶半導体基板1の受光面側の表面には、高さ1〜10μm程度の凹凸が形成されていることが好ましい。受光面に凹凸が形成されることにより、受光面積が増大するとともに反射率が低減するため、光閉じ込め効率が高められる。基板の裏面側にもテクスチャ構造が設けられていてもよい。
【0019】
図3に示すセル102はいわゆるヘテロ接合セルであり、単結晶シリコン基板1の受光面側に、真性シリコン系薄膜21,第一導電型シリコン系薄膜31および透明導電膜41をこの順に備え、単結晶シリコン基板1の裏面側に、真性シリコン系薄膜22,第二導電型シリコン系薄膜32および透明導電膜42をこの順に備える。第一導電型シリコン系薄膜31と第二導電型シリコン系薄膜32は異なる導電型を有し、一方がp型、他方がn型である。
【0020】
真性シリコン系薄膜21,22および導電型シリコン系薄膜31,32としては、非晶質シリコン薄膜、微結晶シリコン薄膜(非晶質シリコンと結晶質シリコンとを含む薄膜)等が用いられ、中でも非晶質シリコン薄膜が好ましい。これらのシリコン系薄膜は、例えばプラズマCVD法により形成できる。導電型シリコン系薄膜31,32形成時のp型およびn型のドーパントガスとしては、BおよびPHが好ましく用いられる。
【0021】
透明導電膜41,42としては、例えば酸化インジウム、酸化錫、酸化亜鉛、酸化チタン、およびそれらの複合酸化物等からなる透明導電性金属酸化物が用いられる。中でも、酸化インジウムを主成分とするインジウム系複合酸化物が好ましい。酸化インジウムにSn、Ti、W、Ce、Ga等の不純物を添加することにより、透明導電膜の導電率や信頼性を向上できる。
【0022】
透明導電膜41上には受光面金属電極60が設けられ、透明導電膜42上には裏面金属電極70が設けられる。これらの金属電極は所定のパターン形状を有し、金属電極が設けられていない部分から光を取り込むことができる。金属電極のパターン形状は特に限定されないが、図4Aに示すように、平行に並んだ複数のフィンガー電極71、およびフィンガー電極に直交して延在するバスバー電極72からなるグリッド状に形成されることが好ましい。受光面側の金属電極60も同様にグリッド状に形成されることが好ましい。パターン状の電極は、導電性ペーストの印刷や、めっき法等により形成できる。印刷法やめっき法により形成されるパターン状の電極は、ドライプロセスにより形成される膜状の電極に比べて電気抵抗を低くできるため、セルからのキャリア取り出し効率が高められる傾向がある。
【0023】
フィンガー電極やバスバー電極の本数(電極間距離)は、光取り込み量の増大と直列抵抗の低減とのバランスが最適となるように設定することが好ましい。図2および図3では、表裏のフィンガー電極の本数が同一である形態が図示されているが、フィンガー電極の本数は表裏で異なっていてもよい。裏面側は受光面側に比べて光入射量が少ないため、受光面側よりもフィンガー電極の本数を多くして、直列抵抗の低減を優先してもよい。例えば、裏面側のフィンガー電極の本数を、受光面側の2〜3倍程度とすることが好ましい。
【0024】
隣接するセルの金属電極同士を配線材を介して接続することにより、太陽電池ストリングが形成される。配線材としては半田めっき銅箔等が用いられる。受光面側(裏面金属電極との接続面)に凹凸構造を有する配線材を用いることにより、配線材に入射した光を散乱させ、受光面保護材での再反射光をセルに取り込むことができ、光利用効率が高められる。金属電極と配線材との接続には、導電性接着剤や半田等が用いられる。
【0025】
配線材を介するリークを防止する等の観点から、隣接するセルは数mm程度離間して配置される。図4Aに示すように、金属電極がグリッド状に形成されている場合、図1Aおよび図4Bに示すように、バスバー電極62,72に配線材83が接続されることが好ましい。図1および図2に示す形態では、セル101の受光面電極とセル102の裏面電極とが配線材82により接続され、セル102の受光面電極とセル103の裏面電極とが配線材82により接続されることにより、複数のセルが直列接続されている。
【0026】
図2Bに示すように、裏面側の金属電極70上には、金属膜76が設けられる。金属膜76は、セルの光電変換部50よりも面積が小さく、セルの裏面側の中央に配置されている。そのため、セルの裏面側の周縁には、金属膜が設けられていない領域(セル露出領域)が存在する。面内中央部の金属膜が設けられた領域(金属膜配置領域)ではフィンガー電極は金属膜76に覆われている。セル露出領域ではフィンガー電極71aおよび光電変換部50が露出している。
【0027】
金属膜76は、受光面側からセルに入射し、光電変換部50で吸収されずに裏面側に透過した光を反射し、裏面側からセルに再入射させる作用を有する(図1Bのセル透過再入射光L)。結晶シリコン基板は太陽光スペクトルの長波長光(赤外光)の分光感度が低いため、セルの裏面側に透過する光は赤外光が中心である。金属膜での反射により光利用効率を高める観点から、金属膜76としては、近赤外光に対する反射率が高い材料が好ましく用いられる。具体的には、銀、銅、アルミニウム等が挙げられ、中でも、銅および銀が好ましい。
【0028】
金属膜76は、例えば銅箔や銀箔等の金属箔を所定の形状に切断することにより形成できる。低抵抗化およびハンドリング性の観点から、金属膜の厚みは、1〜30μmが好ましく、3〜20μmがより好ましく、5〜15μmがさらに好ましい。所定形状の金属膜は、配線材を接続後のセル裏面に配置すればよい。後述するように、封止材により太陽電池ストリングを封止することにより、セルの裏面に配置された金属膜の位置を固定できる。金属膜76は、面内で連続している必要はなく、例えば配線材83の接続領域(バスバー電極72形成領域)には金属膜を設けなくてもよい。
【0029】
金属膜は、光電変換部50と裏面金属電極70との間、裏面金属電極70と配線材83との間に配置してもよい。また、封止材95と裏面保護材92との間に金属膜を配置することもできるが、低抵抗化およびセル透過再入射光Lのセルへの取り込み量を増大させる観点から、金属膜は、裏面金属電極70に接するように配置されることが好ましく、裏面金属電極に加えて光電変換部50にも接することがより好ましい。
【0030】
裏面側に金属膜76を備える太陽電池ストリングの受光面側および裏面側に封止材を配置し、受光面保護材91と裏面保護材92との間で封止することにより、モジュールが得られる。封止材95としては、オレフィン系エラストマーを主成分とするポリエチレン系樹脂組成物、ポリプロピレン、エチレン/α‐オレフィン共重合体、エチレン/酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン/酢酸ビニル/トリアリルイソシアヌレート(EVAT)、ポリビニルブチラート(PVB)、シリコン、ウレタン、アクリル、エポキシ等の透明樹脂を用いることが好ましい。受光面側と裏面側の封止材の材料は、同一でも異なっていてもよい。
【0031】
受光面保護材91は光透過性であり、ガラスや透明プラスチック等が用いられる。裏面保護材92としては、光反射性のフィルムが好ましく用いられる。なお、裏面保護材は光透過性でもよいが、光透過性の裏面保護材が用いられる場合は、図6に示すように、セルが配置されていない領域に光反射部材が設けられることが好ましい。光反射性の裏面保護材としては、金属色または白色等を呈するものが好ましく、白色樹脂フィルムや、樹脂フィルム間にアルミニウム等の金属箔を挟持した積層体等が好ましく用いられる。
【0032】
太陽電池ストリングの受光面側および裏面側のそれぞれに封止材および保護材を配置して積層した状態で、加熱圧着することにより、セル間やモジュールの端部にも封止材が流動してモジュール化が行われる。モジュール化の際の圧力により、金属膜76は、光電変換部の表面に接するように変形する(図1B参照)。
【0033】
モジュールの受光面側から入射した光の大半は受光面側からセルに照射されるが、一部の光は隣接するセル間の隙間に照射され、モジュールの裏面側に到達する。また、受光面側からセルに入射した光の一部は、光電変換部50で吸収されずにセルの裏面側に到達する。これらの裏面に到達した光を反射させてセルに再入射させることにより、光利用効率が向上し、モジュール変換効率が高められる。
【0034】
本発明のモジュールは、セルの裏面側に、セルよりも面積の小さい金属膜76が設けられていることにより、高い光利用効率を有する。図1Bを参照して、本発明のモジュールにおける光利用効率の向上について説明する。
【0035】
セル間の隙間に照射された光は、裏面保護材92で受光面側に反射される。裏面保護材92で反射された光の一部は、再度セル間の隙間を透過して受光面側に到達し、受光面保護材91の空気界面で再反射され、受光面側からセルに入射する(受光面側再入射光L)。
【0036】
セル間の隙間に照射され裏面保護材92で反射された光の一部は、セルの裏面に到達する。裏面保護材92からセルの裏面側に到達する反射光の大半は、セルの周縁領域に到達する。裏面側の全面に金属電極が設けられた単面入射型のセルでは、セルの裏面側からの光を光電変換部に取り込むことができない。これに対して、本発明のモジュールでは、セルの裏面の周縁に金属膜76が設けられていないセル露出領域が存在する。そのため、裏面保護材92からセルの裏面に到達した光を、セル露出領域からセルに取り込むことができる(裏面側再入射光L)。
【0037】
セルの裏面側に金属膜76が設けられていない場合、受光面側からセルに入射し、光電変換部50で吸収されずに裏面側に透過した光は、図1Bの点線に示す光Lのように、封止材95を透過した後、裏面保護材92で反射して、裏面からセルに入射する。封止材を構成するポリマー材料は、一般に、可視光に対しては透明であるが、赤外線の吸収量が大きい。そのため、裏面保護材で反射してセルに入射する光Lは、セルに入射するまでの間に、封止材による光吸収が生じやすい。また、裏面保護材92の光透過等に起因する光学ロスが生じる場合もある。これに対して、本発明のモジュールでは、セルの裏面側に高反射率の金属膜76が配置されることにより、封止材での光吸収等に起因する光学ロスを低減し、セルを透過した光の再入射(セル透過再入射光L)を増大できる。特に、光電変換部50の裏面側に接して金属膜76が設けられることにより、界面での光学ロスが減少し、セル透過光の利用効率をさらに向上できる。
【0038】
金属膜76が設けられていないセル露出領域では、セル透過光が裏面保護材に到達することによる光学ロスが生じるが、セル露出領域の面積を小さくすることにより、セル露出領域を透過する光のロスによる影響を低減できる。一方で、セル露出領域が設けられることにより、前述の様に、裏面側再入射光Lがセルに取り込まれる。セル露出領域が設けられることによる裏面側再入射光Lの増加が、セル透過再入射光のロスに比べて小さいため、全体として光利用効率を向上できる。
【0039】
上記のように、セルの裏面側に金属膜76を設けることにより、セルを透過した光(主に赤外光)を金属膜で反射させてセル透過再入射光Lの取り込み量を増大できる。セル裏面の周縁には金属膜が配置されていないセル露出領域を設けることにより、裏面保護材からの反射光に由来する裏面側再入射光Lのセル内への取り込みが可能となる。そのため、本発明のモジュールは光取り込み効率に優れる。
【0040】
裏面金属電極は、裏面周縁のセル露出領域にも形成されている。セル露出領域に金属電極71aが設けられていることにより、セル周縁のキャリアを有効に回収できる。さらに、金属膜76が光電変換部50に接することにより、光電変換部表面の面内抵抗が低減するため、裏面金属電極へのキャリア輸送効率が向上し、モジュールの曲線因子が向上する傾向がある。特に、ヘテロ接合セルのように、光電変換部50の表面に透明導電膜42が設けられている場合には、透明導電膜42と金属膜76とが接することにより面内でのキャリア移動がスムーズとなるため、曲線因子が向上しやすい。
【0041】
金属膜76の形状およびセル露出領域の形状、ならびにこれらの大きさおよび面積比等は、光取り込み効率および抵抗低減の観点から設定すればよい。例えば、セルの幅Wに対する金属膜配置領域の幅Wは比W/W、0.8〜0.95程度が好ましく、0.83〜0.92程度がさらに好ましい。また、セルの端部から金属膜配置領域までの幅、すなわちセル露出領域の幅Wは、3〜30mmが好ましく、5〜20mmがより好ましい。セル露出領域の幅が大きくなるにつれて、裏面側再入射光Lの取り込み量が増大し、セル透過再入射光Lの取り込み量は減少する傾向がある。金属膜配置領域の幅Wが大きくなるにしたがって、金属膜配置領域の面積比率も大きくなるため、セル裏面側の抵抗が小さくなり、モジュールの曲線因子が向上する傾向がある。金属膜配置領域の面積Sに対するセル露出領域の面積Sの比(S/S)は、0.05〜0.5が好ましく、0.125〜0.35がより好ましい。
【0042】
図2Bでは、セミスクエア型の基板と相似形状の金属膜76が図示されているが、金属膜の形状はセルと相似形状でなくともよく、例えば、図5Aに示すような矩形状の金属膜77を用いてもよい。隣接するセルの受光面と接続されている側(図5A〜Cの右側)では、配線材83により多くの電流が流れている。そのため、キャリア輸送効率を向上する観点から、図5Bに示すように、隣接するセルの受光面と接続されている側に偏るように金属膜78を配置してもよい。また、図5Cに示すように、隣接セルに接続される配線材が設けられている領域に突出部79aを有する金属膜79を用いてもよい。なお、図5A〜Cでは、配線材83上に金属膜が設けられているが、金属電極と配線材との間に金属膜を配置してもよい。
【0043】
金属箔以外を用いて金属膜を形成することもできる。例えば、インクジェットやスクリーン印刷等の印刷法、およびめっき法等のウェットプロセスにより金属膜を形成してもよく、真空蒸着法、スパッタ法、CVD法等のドライプロセスにより金属膜を形成してもよい。これらの金属膜は、裏面金属電極70(フィンガー電極およびバスバー電極)の前後いずれに形成してもよい。また、裏面金属電極と金属膜とを同時に形成してもよい。例えば、図5Dに示すように、セル裏面の中央部に金属膜配置領域に対応する面状の領域74を有し、その周囲にパターン状の電極部分71a,72bを有するように、パターン状の金属層を形成してもよい。ウェットプロセスにより形成される金属膜の厚みは1μm以上が好ましい。ドライプロセスにより形成される金属膜の厚みは50nm以上が好ましく、100nm以上がより好ましい。
【0044】
本発明のモジュールは、セルが配置されていない領域に、裏面保護材よりも高反射率の光反射部材が設けられていてもよい。セルが設けられていない位置に光反射部材が設けられることにより、セル間の隙間に照射された光を効率的に反射させ、受光面側再入射光Lおよび裏面側再入射光Lを増大し、光利用効率を向上できる。
【0045】
図6Aおよび図6Bは、裏面保護材92上に光反射部材98が設けられたモジュールの模式的断面図である。図6Cは、受光面側からみたモジュールの模式的平面図である。図6Cではフィンガー電極の図示を省略している。図6Aは、バスバー電極上に配線材が設けられている位置(図6CのI−I線の位置)における断面図であり、図6Bは配線材が設けられていない位置(図6CのII−II線の位置)における断面図である。図6A〜Cに示すモジュールは、セルが配置されていない領域Qにおいて、裏面保護材92と封止材95との間に、凹凸を有する光反射部材98を備える。
【0046】
図7は、凹凸を有する光反射部材の一形態を示す概略斜視図である。図7の光反射部材は、台座部980上に、x方向に並んだ三角柱形状の凸部981〜986を備える。それぞれの凸部はy方向に延在している。白色樹脂フィルム等の一般的な光反射性バックシートは、入射光を様々な角度に散乱反射するのに対して、受光面側表面に凹凸構造が設けられた光反射部材を配置することにより反射光が一定方向に反射する。凹凸の形状や角度等を調整することにより、光反射部材で反射してセル裏面の金属膜配置領域に到達する光の量を低減し、セル露出領域から取り込まれる裏面側再入射光Lや、受光面保護材で反射されて受光面側からセルに入射する受光面側再入射光Lが増大する。
【0047】
特に、光反射部材の底面と凸部の傾斜とのなす角θの増大に伴って、モジュールの受光面に反射される光の伝搬角度θが大きくなる。角度θの増大に伴って、受光面保護材91の空気界面での反射率が大きくなる。樹脂やガラスの屈折率は1.4〜1.5程度であり、空気界面での臨界角は40°程度である。θが臨界角より大きくなると全反射が生じるため、受光面側再入射光Lをさらに大きくできる。一方、光反射部材の凸部の傾斜角度θが過度に大きいと、光反射部材で反射してセル裏面の金属膜配置領域に到達する光の量が大きくなる傾向がある。そのため、光反射部材の凸部の傾斜角度θは、20°〜45°が好ましく、25°≦θ≦40°がより好ましい。
【0048】
光反射部材による光の反射方向を制御する観点から、図7に示すように、所定方向に延在する凸部981〜986が設けられていることが好ましい。なお、凸部の形状は三角形状(断面三角形状)である必要はなく、半円筒状等の曲面形状でもよい。光反射部材の凸部の高さは10〜500μm程度が好ましく、20〜200μm程度がより好ましい。
【0049】
図6Cに示すように、隣接するセル112,113の間に配置される光反射部材98aは、隣接するセルの辺と平行となるように、凸部がy方向に延在していることが好ましい。同様に、セル113,115の間に配置される光反射部材98bは、隣接するセルの辺と平行となるように、凸部がx方向に延在していることが好ましい。隣接するセルの辺と凸部の延在方向とが平行である場合に、裏面側再入射光Lが増大する傾向がある。最近接のセルの方向に反射する光を増大させるために、セル間の隙間の交点(図6Cにおいて、セル112,113,114,115に囲まれている領域)に設けられる光反射部材98cは、最近接のセルと対峙するように凸部が延在していることが好ましい。
【0050】
光反射部材の幅は、隣接するセル間の間隔(セルが配置されていない領域Qの幅)と同等でもよく、セル間の間隔と異なっていてもよい。反射光の利用効率を高める観点からは、光反射部材の幅が隣接するセル間の間隔よりも大きく、セルが配置されていない領域の全体にわたって反射部材が配置されていることが好ましい。
【0051】
光反射部材の幅が隣接するセル間の間隔よりも大きい場合、光反射部材が配置されている領域とセルが配置されている領域とがオーバーラップする。そのため、光反射部材とセルとの接触による絶縁不良やセルの破損が生じないように、光反射部材の厚みや形状、封止材の材料や厚み等を選択することが好ましい。例えば、セルと裏面保護材との間に設けられる封止材の厚みを大きくすることにより、絶縁不良やセルの破損を防止してもよい。また、裏面側の封止材の厚みを大きくすれば、光反射部材と配線材との接触に起因する絶縁不良も防止できる。一方、保護材の厚みが大きくなると、受光面保護材91とセルとの間に存在する封止材の光吸収に起因する光学ロスが生じやすくなる。そのため、セルと受光面保護材との間に配置される受光面封止材の厚みは変えずに、セルと裏面保護材との間に配置される裏面封止材の厚みを大きくすることが好ましい。裏側保護材の厚みは、例えば受光面側保護材の厚みの1.2倍以上が好ましく、1.5倍以上がより好ましい。
【0052】
光反射部材98は、裏面保護材92上に載置するのみでもよいが、裏面保護材の表面に貼り合わせる等により固定することが好ましい。また、内部に光反射部材が埋設された裏面保護材を用いてもよい。モジュール作製工程の効率を向上するからは、表面に光反射部材が固定された裏面保護材と太陽電池ストリングとを、光反射部材が設けられていない領域にセルが配置されるように重ね合わせて、封止を行うことが好ましい。
【実施例】
【0053】
以下では、実施例と比較例との対比により、本発明をより詳細に説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
【0054】
[太陽電池の作製]
表裏にテクスチャが形成された厚み160μmの6インチn型単結晶シリコン基板(1辺の長さが156nmのセミスクエア型)の受光面側に、プラズマCVD法により膜厚4nmの真性非晶質シリコン層および膜厚6nmのp型非晶質シリコン層を形成した。その後、シリコン基板の裏面側に、プラズマCVD法により膜厚5nmの真性非晶質シリコン層および膜厚10nmのn型非晶質シリコン層を形成した。p層上およびn層上のそれぞれに、スパッタ法により膜厚100nmのITO層を製膜後、WO2013/077038の実施例に記載の方法により、表裏のITO層上のそれぞれに、フィンガー電極とバスバー電極からなるグリッド状のパターン集電極を形成して、ヘテロ接合太陽電池を得た。受光面および裏面ともにバスバー電極は3本であり、裏面側のフィンガー電極の本数を、受光面電極のフィンガー電極の本数の2倍とした。
【0055】
[実施例1]
セルの受光面電極および裏面電極上に、導電性接着剤を介して配線材を接続し、9個の太陽電池が直列接続された太陽電池ストリングを作製した。隣接するセル間の間隔は2mmとした。配線材としては、凹凸構造を有する銅箔の表面に銀を被覆した拡散タブを用いた。
【0056】
受光面側保護材としての白板ガラス上にEVAシートを載置し、その上に上記の太陽電池ストリングを、隣接するストリング間の距離が2mmとなるように6列配置し、図7Cに示すように端部で電気接続を行い、計54個の太陽電池を直列接続した。その後、シリコン基板と相似形状で1辺の長さが146mmのセミスクエア型に切り出した銅箔(厚み10μm)を、セルの端部から5mmの領域がセル露出領域となるように、それぞれの太陽電池(セルの裏面)に配置した。その上に裏面側封止材としてEVAシートを載置し、その上に裏面保護材として基材PETフィルム上に白色樹脂層を設けた白色の光反射性バックシートを載置した。大気圧での加熱圧着を5分間行った後、150℃で60分間保持してEVAを架橋させ、太陽電池モジュールを得た。
【0057】
[実施例2]
銅箔のサイズを1辺の長さが136mmとなるように変更し、セルの端部から10mmの領域がセル露出領域となるようにしたこと以外は、実施例1と同様にして太陽電池モジュールを作製した。
【0058】
[実施例3]
銅箔のサイズを1辺の長さが126mmとなるように変更し、セルの端部から15mmの領域がセル露出領域となるようにしたこと以外は、実施例1と同様にして太陽電池モジュールを作製した。
【0059】
[実施例4]
バックシートの受光面側に、太陽電池ストリング作製時に配線材として使用したものと同一の拡散タブ(幅5mm、凸部の傾斜角θ=30°)を貼り合わせた裏面保護材を用いた。拡散タブは、太陽電池ストリング内の隣接するセル間、および隣接する太陽電池ストリングの間のセル間に位置し、凸部の延在方向が隣接するセルの辺と平行となるように配置した。光反射部材としての拡散タブが貼り合わせられたバックシートを用いたこと以外は、実施例2と同様にして太陽電池モジュールを作製した。
【0060】
[比較例1]
太陽電池と裏面側のEVAシートとの間に銅箔を配置しなかったこと以外は、実施例1と同様にして太陽電池モジュールを作製した。
【0061】
[比較例2]
銅箔のサイズを1辺の長さが156mm、すなわちセルと同一サイズとなるように変更し、セル露出領域を設けなかったこと以外は、実施例1と同様にして太陽電池モジュールを作製した。
【0062】
[太陽電池モジュール性能測定]
上記の実施例および比較例の太陽電池モジュールの変換特性(短絡電流(Isc)、開放電圧(Voc)、曲線因子(FF)および最大出力(Pmax))を測定した。各モジュールのセル露出領域の幅W、金属膜配置領域の面積に対するセル露出領域の面積の比S/S、セル間の間隔における光反射部材の配置の有無、およびモジュール特性を表1に示す。なお、表1におけるモジュール特性は、比較例1の太陽電池モジュールの特性1を1とした相対値で示している。
【0063】
【表1】
【0064】
裏面に金属膜を設けなかった比較例1と、セルの端部から10mmの領域がセル露出領域となるように裏面に金属膜を設けた実施例2を対比すると、実施例2は比較例1に比べてIscが0.5%、FFが0.5%向上しており、Pmaxが1%向上していた。一方、比較例1とセルの裏面の全面に金属膜を設けた比較例2を対比すると、比較例2は、比較例1に比べてFFが0.6%向上していたが、Iscが1%低下しており、Pmaxが0.4%低下していた。
【0065】
実施例2および比較例2におけるFFの向上は、セルの裏面に接するように金属膜を設けることにより、セルの裏面側が低抵抗化されためと考えられる。実施例1〜3および比較例2では、セル露出領域の幅Wが小さく、金属膜の面積が大きいほど、FFが向上する傾向がみあれることからも、裏面側に金属膜が設けられることによる低抵抗化がFFの向上に寄与していると考えられる。
【0066】
比較例2では、セルの裏面に金属膜が設けられることにより、比較例1に比べてセル透過再入射光Lは増大していると考えられるが、バックシートからの反射光である裏面側再入射光Lのセルへの入射が妨げられるために、Iscが低下したと考えられる。これに対して、実施例2では、セルの周縁に10mmの幅で金属膜が設けられていない領域(セル露出領域)が存在するため、金属膜が設けられた領域ではセル透過再入射光Lがセル内に取り込まれるとともに、セル露出領域から裏面側再入射光Lがセルに入射するために、Iscが上昇したと考えられる。
【0067】
セル露出領域の幅Wが5mmの実施例1においても、実施例2と同様、比較例1や比較例2に比べてIscが向上していた。一方、セル露出領域の幅Wが15mmの実施例3では、セルの裏面に金属膜を設けなかった比較例1に比べてFFが向上しているが、Iscは比較例1と同等であった。裏面側再入射光Lの大半はセル裏面の周縁からセルに入射するため、Wを所定値より大きくしても裏面側再入射光Lの大幅な増加を見込めない反面、Wの増加(金属膜の面積の減少)に伴ってセル透過再入射光Lが減少すると考えられる。すなわち、実施例3では、セルの裏面に金属膜を設けることによるセル透過再入射光Lの増加と裏面側再入射光Lの減少がほぼ同等であるため、比較例1と同等のIscを示したと考えられる。
【0068】
これらの結果から、金属膜の面積の増大に伴ってFFが増加する傾向にあるのに対して、裏面側再入射光Lとセル透過再入射光LのバランスによりIscが最大となる金属膜の面積(露出領域の幅)の最適値があることが分かる。これらを考慮して、セルの裏面にもうける金属膜の大きさを設定することにより、変換効率に優れるモジュールが得られる。
【0069】
隣接するセル間の隙間に対応する位置に光反射部材が設けられた実施例4では、実施例2よりもIscがさらに1%向上していた。これは、セル間の隙間に入射した光が光反射部材の表面で鏡面反射されるため、露出領域への裏面再入射光Lが増大したことに加えて、光反射部材の凸部が傾斜を有しているために、モジュール受光面に反射する光の角度が一定となり、ガラス−空気界面での光反射が増大して受光面側再入射光Lが増大したことに起因すると考えられる。
【符号の説明】
【0070】
200,201 太陽電池モジュール
101〜103 太陽電池
50 光電変換部
1 結晶半導体基板
60 受光面電極
70 裏面電極
61,71 フィンガー電極
62,72 バスバー電極
76〜79 金属膜
81〜84 配線材
91 受光面保護材
92 裏面保護材
95 封止材
98 光反射部材
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【国際調査報告】