(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO2017154979
(43)【国際公開日】20170914
【発行日】20190110
(54)【発明の名称】表示体、および、表示体の製造方法
(51)【国際特許分類】
   G02B 5/30 20060101AFI20181207BHJP
   B42D 25/364 20140101ALI20181207BHJP
【FI】
   !G02B5/30
   !B42D25/364
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】30
【出願番号】2018504556
(21)【国際出願番号】JP2017009223
(22)【国際出願日】20170308
(31)【優先権主張番号】2016044523
(32)【優先日】20160308
(33)【優先権主張国】JP
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
【住所又は居所】東京都台東区台東1丁目5番1号
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】井ノ口 雅美
【住所又は居所】東京都台東区台東1丁目5番1号 凸版印刷株式会社内
【テーマコード(参考)】
2C005
2H149
【Fターム(参考)】
2C005HA02
2C005HA04
2C005HA06
2C005HB02
2C005HB09
2C005HB10
2C005JB40
2H149AA28
2H149AB01
2H149CA02
2H149DA02
2H149DA12
2H149DB06
2H149FA01Z
2H149FA08X
2H149FA12Z
2H149FA24Y
2H149FC07
(57)【要約】
配向規制層には、表面と対向する平面視において、複数の規制領域が区画され、複数の規制領域は、第1規制領域と、第2規制領域と、第1規制領域と第2規制領域との間を埋める第3規制領域とから構成される。第1規制領域における配向規制方向が第1規制方向であり、第2規制領域における配向規制方向が、第1規制方向とは異なる第2規制方向である。第3規制領域では、配向規制方向が、第1規制領域に接する部位から第2規制領域に接する部位に向けて、第1規制方向から第2規制方向まで連続的に変わる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の液晶分子を含む液晶層と、
前記液晶層に接した表面を有するとともに、前記液晶分子の配向を規制する特性を有した配向規制層と、を備え、
前記配向規制層には、前記表面と対向する平面視において、複数の規制領域が区画され、
前記複数の規制領域は、第1規制領域と、第2規制領域と、前記第1規制領域と前記第2規制領域との間を埋める第3規制領域とから構成され、
前記配向規制層において、前記液晶分子の配向を規制する方向が配向規制方向であり、
前記第1規制領域における前記配向規制方向が第1規制方向であり、
前記第2規制領域における前記配向規制方向が、前記第1規制方向とは異なる第2規制方向であり、
前記第3規制領域では、前記配向規制方向が、前記第1規制領域に接する部位から前記第2規制領域に接する部位に向けて、前記第1規制方向から前記第2規制方向まで連続的に変わる
表示体。
【請求項2】
前記配向規制層は、光の照射によって前記液晶分子の前記配向方向を規制する特性を発現した光反応性分子を含み、
前記表示体は、
樹脂製の基材と、
前記基材と前記配向規制層との間に位置する反射層と、をさらに備える
請求項1に記載の表示体。
【請求項3】
表面を有する配向規制層を形成することと、
前記配向規制層の前記表面上に複数の液晶分子を含む液晶層を形成することと、を含み、
前記配向規制層を形成することは、前記表面と対向する平面視において、前記配向規制層に複数の規制領域を形成することを含み、前記複数の規制領域は、第1規制領域と、第2規制領域と、前記第1規制領域と前記第2規制領域との間を埋める第3規制領域とから構成され、
前記配向規制層において、前記液晶分子の配向を規制する方向が配向規制方向であり、
前記第1規制領域における前記配向規制方向が第1規制方向であり、
前記第2規制領域における前記配向規制方向が、前記第1規制方向とは異なる第2規制方向であり、
前記第3規制領域では、前記配向規制方向が、前記第1規制領域に接する部位から前記第2規制領域に接する部位に向けて、前記第1規制方向から前記第2規制方向まで連続的に変わる
表示体の製造方法。
【請求項4】
前記配向規制層を形成することは、
光反応性を有した複数の分子を含む前駆層を形成することと、
前記第1規制領域用の第1マスク要素と前記第2規制領域用の第2マスク要素とを備えるマスクを介して第1の光を照射し、それによって、前記前駆層と前記マスクとが重なる方向において、前記第1マスク要素と前記第2マスク要素との境界を含む部分に対して前記前駆層が重なる部分に第3前駆領域を形成し、前記第1マスク要素に対して前記前駆層が重なる部分のうち、前記第3前駆領域以外の部分に第1前駆領域を形成し、かつ、前記第2マスク要素に対して前記前駆層が重なる部分のうち、前記第3前駆領域以外の部分に第2前駆領域を形成することと、
前記前駆層に第2の光を照射し、それによって、前記第1前駆領域から前記第1規制領域を形成し、前記第2前駆領域から前記第2規制領域を形成し、かつ、前記第3前駆領域から前記第3規制領域を形成することと、を含む、
請求項3に記載の表示体の製造方法。
【請求項5】
前記マスクは、前記第1マスク要素と前記第2マスク要素とから構成され、
前記第1マスク要素における前記第1の光に対する透過率は、前記第2マスク要素における前記第1の光に対する透過率よりも高く、
前記マスクと前記前駆層とが重なる方向から見て、前記第1マスク要素および前記第2マスク要素は矩形状を有するとともに、前記第1マスク要素と前記第2マスク要素とが隣り合っている
請求項4に記載の表示体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、偏光板がかざされることによって、表示体に含まれる潜像が顕在化される表示体、および、表示体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
カードやパスポートなどの認証媒体、および、商品券や株券などの有価証券には、これらの真贋を判定するために用いる目的で、偽造の難しい表示体が付されている。偽造の難しい表示体には、配向規制層と、配向規制層の有する1つの面に接する液晶層とを備え、液晶層に含まれる分子の配列する方向が、配向規制層によって決められた表示体が知られている。
【0003】
こうした表示体には、配向規制層が、第1の方向に分子を配列させる第1の領域と、第1の方向とは異なる第2の方向に分子を配列させる第2の領域とを含み、液晶層が、第1の方向に分子が配向した第1の領域と、第2の方向に分子が配向した第2の領域とを含む表示体も知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8−15681号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、表示体では、液晶層において、分子の配向した方向が互いに異なる複数の領域が連なった構成も提案されている。こうした表示体では、表示体に対して偏光板がかざされた状態で、液晶層における分子の配列する方向と偏光板の光軸とが形成する角度が変わることによって、偏光板を介して視認される像が変わる。しかしながら、この表示体では、隣り合う領域間での明度差や色差、すなわち隣り合う領域間での視覚的な特徴の差が、1つの領域内における他の部分と比べて大幅に大きいため、表示体が表示する像の品位を高める上で、隣り合う領域間において、視覚的な特徴の差がより滑らかである表示体が求められている。
【0006】
なお、こうした事項は、認証媒体や有価証券の真贋を判定するための表示体に限らず、表示体が付された物品を修飾するための表示体や、表示体そのものが観察の対象である表示体においても共通している。
【0007】
本発明は、表示体が表示する像内にて互いに隣り合う領域の境界において視覚的な特徴の変化を滑らかにすることを可能にした表示体、および、表示体の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するための表示体は、複数の液晶分子を含む液晶層と、前記液晶層に接した表面を有するとともに、前記液晶分子の配向を規制する特性を有した配向規制層と、を備える。前記配向規制層には、前記表面と対向する平面視において、複数の規制領域が区画され、前記複数の規制領域は、第1規制領域と、第2規制領域と、前記第1規制領域と前記第2規制領域との間を埋める第3規制領域とから構成される。前記配向規制層において、前記液晶分子の配向を規制する方向が配向規制方向であり、前記第1規制領域における前記配向規制方向が第1規制方向であり、前記第2規制領域における前記配向規制方向が、前記第1規制方向とは異なる第2規制方向である。前記第3規制領域では、前記配向規制方向が、前記第1規制領域に接する部位から前記第2規制領域に接する部位に向けて、前記第1規制方向から前記第2規制方向まで連続的に変わる。
【0009】
上記課題を解決するための表示体の製造方法は、表面を有する配向規制層を形成することと、前記配向規制層の前記表面上に複数の液晶分子を含む液晶層を形成することと、を含む。前記配向規制層を形成することは、前記表面と対向する平面視において、前記配向規制層に複数の規制領域を形成することを含み、前記複数の規制領域は、第1規制領域と、第2規制領域と、前記第1規制領域と前記第2規制領域との間を埋める第3規制領域とから構成される。前記配向規制層において、前記液晶分子の配向を規制する方向が配向規制方向であり、前記第1規制領域における前記配向規制方向が第1規制方向であり、前記第2規制領域における前記配向規制方向が、前記第1規制方向とは異なる第2規制方向である。前記第3規制領域では、前記配向規制方向が、前記第1規制領域に接する部位から前記第2規制領域に接する部位に向けて、前記第1規制方向から前記第2規制方向まで連続的に変わる。
【0010】
上記構成によれば、配向規制層のうち、第1規制領域と第2規制領域との境界に位置する第3規制領域において、液晶分子の配向を規制する方向が、第1規制領域から第2規制領域に向かう方向に沿って、第1規制方向から第2規制方向まで連続的に変わる。そのため、液晶層の第3配向領域では、液晶分子の配向方向が、第1規制方向によって定まる1つの方向から、第2規制方向によって定まる他の方向まで連続的に変わる。それゆえに、液晶層における第1配向領域と第2配向領域との間で、液晶分子の配向方向が、上述した1つの方向と他の方向との間のみで変わる構成と比べて、表示体が表示する像における像内での変化が滑らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の表示体を具体化した第1実施形態において表示体を上面視した平面構造を示す平面図。
【図2】図1のI−I線に沿う表示体の断面構造を示す断面図。
【図3】表示体が備える配向規制層における配向規制方向を模式的に示す模式図。
【図4】表示体が備える配向規制層と液晶層との断面構造を示す断面図。
【図5】本発明の表示体の製造方法を具体化した第1実施形態における基材を準備する工程を説明するための工程図。
【図6】表示体の製造方法における反射層を形成する工程を説明するための工程図。
【図7】表示体の製造方法における前駆層を形成する工程を説明するための工程図。
【図8】表示体の製造方法における前駆層に第1偏光を照射する工程を説明するための工程図。
【図9】前駆層における露光量の分布を前駆層と対応付けて示す図。
【図10】前駆層に光を照射する工程にて用いる網点マスクの平面構造を示す平面図。
【図11】表示体の製造方法における前駆層に第2偏光を照射する工程を説明するための工程図。
【図12】表示体の製造方法における液晶層を形成する工程を説明するための工程図。
【図13】表示体の作用を説明するための作用図。
【図14】第1実施形態の変形例における網点マスクの平面構造を示す平面図。
【図15】本発明の表示体を具体化した第2実施形態において表示体の一部断面構造を示す部分断面図。
【図16】本発明の表示体の製造方法を具体化した第2実施形態において前駆層に第1偏光を照射する工程にて用いる網点マスクの平面構造を示す平面図。
【図17】網点マスクにおける回折部の平面構造を拡大して示す拡大平面図。
【図18】表示体の製造方法における前駆層に第1偏光を照射する工程を説明するための工程図。
【図19】前駆層における露光量の分布を前駆層と対応付けて示す図。
【図20】第2実施形態の変形例における前駆層に第1偏光を照射する工程を説明するための工程図。
【図21】前駆層における露光量の分布を前駆層と対応付けて示す図。
【図22】第2実施形態の変形例における前駆層に第1偏光を照射する工程を説明するための工程図。
【図23】前駆層における露光量の分布を前駆層と対応付けて示す図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[第1実施形態]
図1から図13を参照して、本発明の表示体および表示体の製造方法を具体化した第1実施形態を説明する。以下では、表示体の構成、表示体の製造方法、表示体の作用、および、実施例を順番に説明する。
【0013】
[表示体の構成]
図1から図4を参照して、表示体の構成を説明する。
図1が示すように、表示体10は表面10Sを有し、表示体10の表面10Sと対向する平面視において、1つの方向であるX方向に沿って並ぶ複数の表示部10aに区画されている。表示体10は、例えば5つの表示部10aに区画されている。表示体10が目視にて観察されたときには、各表示部10aは他の全ての表示部10aに対して区別されない。
【0014】
なお、X方向に直交する1つの方向がY方向であり、表示体10の表面10SはXY平面上に位置している。表示体10の厚さ方向と平行な方向がZ方向である。
【0015】
図2が示すように、表示体10は、基材11、反射層12、配向規制層13、液晶層14、および、保護層15を備えている。保護層15のうち、液晶層14に接する面とは反対側の面が、表示体10の表面10Sであり、観察者によって観察される表示体10の前面である。
【0016】
基材11は、例えば樹脂製であり、反射層12を挟んで配向規制層13と対向している。すなわち、反射層12は、基材11と配向規制層13との間に位置している。基材11のうち、反射層12の位置する面が表面11Sであり、反射層12は、基材11における表面11Sの全体を覆っているが、表面11Sの一部を覆っていてもよい。
【0017】
反射層12のうち、基材11に接する面とは反対側の面が表面12Sである。反射層12は、光散乱性を有してもよく、反射層12が光散乱性を有する場合には、例えば、光の散乱が生じる程度に表面12Sにおける表面粗さが大きければよい。また、反射層12は、単層構造を有してもよいし、多層構造を有してもよい。
【0018】
液晶層14のうち、配向規制層13に接する面とは反対側の面が表面14Sであり、保護層15は、液晶層14の表面14Sを覆っている。保護層15は光透過性を有し、無色透明であってもよいし、有色透明であってもよい。また、保護層15は光学等方性を有する。保護層15は、保護層15の下層である液晶層14などの損傷や光による劣化を抑えることで、表示体10が表示する像が劣化することを抑える。保護層15は、単層構造を有してもよいし、多層構造を有してもよい。
【0019】
液晶層14は複数の液晶分子を含み、複屈折性を有した層である。液晶層14において、液晶層14の表面14Sに平行な方向であって、液晶分子の配向する方向が配向方向である。液晶層14の厚さは、液晶層14の位相差値が、例えばλ/4になるような厚さであることが好ましい。液晶層14の厚さは、具体的には0.6μm以上1.2μm以下とすることができる。
【0020】
配向規制層13は、液晶層14に接した表面13Sを有するとともに、液晶層14に含まれる液晶分子の配向方向を規制する特性を有している。配向規制層13は、光の照射によって液晶分子の配向方向を規制する特性を発現した光反応性分子を含んでいる。光反応性分子は、例えば、光の照射によって光異性化した分子、光二量化した分子、光架橋した分子、および、光分解した分子などのいずれかである。配向規制層13の厚さは、具体的には10nm以上50nm以下とすることができる。
【0021】
配向規制層13は、上述したように、液晶層14に含まれる液晶分子を配向させる特性を有している。配向規制層13において、液晶分子の配向を規制する方向であって、配向規制層13の表面13Sに平行な方向が配向規制方向である。液晶層14における配向方向は、配向規制層13における配向規制方向にほぼ等しい。
【0022】
図3は、表示体10の表面10Sと対向する平面視、言い換えれば、配向規制層13の表面13Sと対向する平面視における配向規制層13の平面構造を示している。図3では、配向規制層13が有する各部分での配向規制方向が、矢印によって模式的に示されている。
【0023】
配向規制層13には、表示体10の表面10Sと対向する平面視において、複数の規制領域が区画され、複数の規制領域は、第1規制領域21と第2規制領域22とから構成されている。また、配向規制層13には、第1規制領域21と第2規制領域22との間に、第1規制領域21と第2規制領域22との間を埋める第3規制領域23が区画されている。
【0024】
配向規制層13に区画された複数の規制領域は、少なくとも1つの第1規制領域21と、少なくとも1つの第2規制領域22とを含み、第1規制領域21と第2規制領域22とは、X方向において互いに隣り合うように並んでいる。
【0025】
配向規制層13において、液晶分子の配向方向を規制する方向が配向規制方向である。第1規制領域21における配向規制方向が第1規制方向D1であり、第2規制領域22における配向規制方向が第2規制方向D2である。第3規制領域23では、配向規制方向が、第1規制領域21から第2規制領域22に向かう方向に沿って、第1規制領域21に接する部位から第2規制領域22に接する部位に向けて、第1規制方向D1から第2規制方向D2まで連続的に変わる。
【0026】
第1規制領域21は、配向規制方向として第1規制方向D1のみを有し、第2規制領域22は、配向規制方向として第2規制方向D2のみを有する。
【0027】
これに対して、第3規制領域23は、第1規制領域21に接する部位から第2規制領域22に接する部位に向けて、第1規制方向D1から第2規制方向D2まで連続的に変わる複数の配向規制方向を有する。各第3規制領域23において、配向方向は、第1規制方向D1と第2規制方向D2との間でほぼ無段階に変わる。
【0028】
図4が示すように、液晶層14は、表示体10の表面10Sと対向する平面視において、第1規制領域21と重なる第1配向領域31、第2規制領域22と重なる第2配向領域32、および、第3規制領域23と重なる第3配向領域33から構成されている。
【0029】
液晶層14のうち、第1配向領域31における配向方向が第1配向方向であり、第2配向領域32における配向方向が第2配向方向である。第1配向方向は、第1規制領域21における第1規制方向D1にほぼ等しく、第2配向方向は、第2規制領域22における第2規制方向D2にほぼ等しい。
【0030】
これに対して、第3配向領域33の配向方向は、X方向に沿って、第1配向領域31に接する部位から第2配向領域32に接する部位に向けて、第1配向方向から第2配向方向まで連続的に変わる。第3配向領域33の配向方向は、第3規制領域23の配向規制方向と同様、第3配向領域33の中でほぼ無段階に変わる。
【0031】
なお、表示体10の表面10Sと対向する平面視において、配向規制層13の中で、第1配向領域31を含む部分、第2配向領域32を含む部分、および、第3配向領域33を含む部分の各々が、1つの表示部10aを構成している。
【0032】
表示体10によれば、配向規制層13のうち、第1規制領域21と第2規制領域22との境界に位置する第3規制領域23において、配向規制方向が第1規制方向D1から第2規制方向D2まで連続的に変わる。そのため、液晶層14の第3配向領域33において、液晶分子の配向方向が、第1規制方向D1によって定まる第1配列方向から、第2規制方向D2によって定まる第2配列方向まで連続的に変わる。
【0033】
それゆえに、液晶層14における第1配向領域31と第2配向領域32との間で、液晶分子の配向方向が、上述した第1配列方向と第2配列方向との間のみで変わる構成と比べて、表示体10が表示する像内にて互いに隣り合う領域の境界において、視覚的な特徴としての明度の変化が滑らかになる。
【0034】
[表示体の製造方法]
表示体10の製造方法は、表面13Sを有する配向規制層13を形成することと、配向規制層13の表面13S上に複数の液晶分子を含む液晶層14を形成することとを備えている。
【0035】
配向規制層13を形成することでは、表面13Sと対向する平面視において、複数の規制領域であって、第1規制領域21と第2規制領域22とから構成される複数の規制領域を区画する。また、配向規制層13を形成することでは、第1規制領域21と第2規制領域22との間に、第1規制領域21と第2規制領域22との間を埋める第3規制領域23を区画する。
【0036】
以下では、図5から図12を参照して、こうした表示体10の製造方法の一例として、光反応性を有する分子を用いて配向規制層13を形成する方法を説明する。
【0037】
図5が示すように、表示体10を製造するときには、まず、表面11Sと裏面11Rとを有した基材11を準備する。基材11には、例えば、延伸フィルムを用いることができ、延伸フィルムは、延伸加工によって製造された樹脂製のフィルムである。延伸フィルムには、1軸延伸フィルムと2軸延伸フィルムとが含まれ、1軸延伸フィルムと2軸延伸フィルムとの間では、フィルムの延ばし方が互いに異なる。
【0038】
延伸フィルムの形成材料は、例えば、セルロース、ポリカーボネート(PC)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリオレフィン(PO)、エチレンビニールアルコール(EVOH)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ナイロン、アクリル樹脂、および、トリアセチルセルロース(TAC)などであればよい。
【0039】
基材11の厚さは、例えば、5μm以上50μm以下であることが好ましい。基材11は光透過性を有してもよいし、光透過性を有しなくてもよい。
【0040】
基材11は、単層構造を有していてもよく、多層構造を有していてもよい。表示体10の表示する像に影響を及ぼさない範囲であれば、表面11Sおよび裏面11Rの少なくとも一方のうち、全体もしくは一部に対して、帯電防止処理、エンボス処理、および、マット加工などを施してもよい。
【0041】
図6が示すように、基材11の表面11Sに反射層12を形成する。反射層12は、所定の印刷法、または、物理気相堆積法を用いて、基材11の表面11Sに対して直に形成されてもよい。このうち、印刷法では、光を反射する効果を有したインキなどを基材11の表面11Sに印刷すればよい。また、物理気相堆積法には、蒸着とスパッタリングとが含まれ、物理気相堆積法によって反射層12を形成するときには、反射層12の形成材料は、例えば、Al、Sn、Cr、Ni、Cu、Au、インコネル、ステンレス、および、ジュラルミンなどであればよい。反射層12の厚さは、具体的には20nm以上80nm以下とすることができる。
【0042】
反射層12は、転写箔からの転写によって形成されてもよいし、ラミネートによって基材11の表面11Sに形成されてもよい。転写箔を用いて反射層12を形成するときには、転写箔用の基材に対して、上述した印刷法または物理気相堆積法によって反射層を形成した後、転写箔の有する反射層を基材11の表面11Sに転写すればよい。ラミネートによって反射層12を形成するときには、金属箔や金属層を有するラミネート用フィルムを基材11にラミネートすればよい。
【0043】
反射層12は、基材11の表面11Sにおける全体に位置してもよいし、表面11Sの一部に位置してもよい。基材11の表面11Sにおける一部に反射層12を位置させるときには、印刷法を用いて基材11の表面11Sの一部にのみ反射層12を形成してもよい。あるいは、基材11の表面11Sにおける一部に反射層12を位置させるときには、基材11の表面11Sにおける全体に物理気相堆積法を用いて金属層を形成した後に、エッチング加工、レーザー加工、および、水洗シーライト加工などを用いて、金属層をパターニングしてもよい。
【0044】
またあるいは、上述のような方法によってパターニングされた反射層を有する転写箔、または、パターニングされた反射層を有するラミネート用フィルムを準備し、基材11の表面11Sにおける一部のみに位置する反射層12を形成してもよい。
【0045】
反射層12は、反射層12に入射した光を回折する反射型の回折構造を含んでもよい。反射層12が回折構造を含む構成によれば、表示体10が物品に付されたとき、表示体10が物品を装飾する効果、および、物品の偽造を防止する効果が高まる。
【0046】
図7が示すように、反射層12の表面12Sに配向規制層13の前駆体であって、光反応性を有した複数の分子を含む前駆層40を形成する。前駆層40のうち、反射層12に接する面とは反対側の面が表面40Sであり、表面40Sは、配向規制層13の表面13Sに相当する。
【0047】
前駆層40の形成材料は、例えば、アゾベンゼン誘導体、桂皮酸エステル、クマリン、カルコン、ベンゾフェノン、および、ポリイミドのいずれかである。アゾベンゼン誘導体、桂皮酸エステル、クマリン、カルコン、ベンゾフェノン、および、ポリイミドが、光反応性を有する分子の一例であって、光の照射によって液晶分子の配向方向を規制する特性を発現する。
【0048】
前駆層40の形成材料がアゾベンゼン誘導体であるとき、アゾベンゼン誘導体が偏光の照射によって光異性化することによって、配向規制層13が所定の配向規制方向を発現する。前駆層40の形成材料が、桂皮酸エステル、クマリン、カルコン、および、ベンゾフェノンであるとき、これらの誘導体が偏光の照射によって光二量化、あるいは、光架橋することによって、配向規制層13が所定の配向規制方向を発現する。前駆層40の形成材料がポリイミドであるとき、ポリイミドが偏光の照射によって光分解することによって、配向規制層13が所定の配向規制方向を発現する。
【0049】
上述した形成材料をグラビアコーティング法、および、マイクログラビアコーティング法などのいずれかの塗布方法を用いて反射層12の表面12Sに塗布することによって、前駆層40を形成することができる。
【0050】
基材11と前駆層40との間に反射層12が位置するため、基材11として延伸フィルムを用いたとしても、基材11における延伸方向が、反射層12の表面12Sに形成された前駆層40に含まれる分子の配向する方向に影響することが抑えられる。それゆえに、基材11として延伸フィルムを用いたとしても、配向規制層13における配向規制方向が所望とする方向とすることが可能になり、それゆえに、基材11における形成方法の自由度が高まる。
【0051】
図8が示すように、規制領域を形成するための網点マスク50を介して第1偏光PL1を前駆層40に照射する。網点マスク50はマスクの一例であり、第1偏光PL1は第1の光の一例である。前駆層40に第1偏光PL1を照射するときには、前駆層40が、所定の配向規制方向を発現するような照射方向で、前駆層40に対して第1偏光PL1を照射する。照射方向は、第1偏光PL1の偏光方向と、前駆層40の表面40Sに平行な方向とが形成する角度である。
【0052】
網点マスク50は、第1偏光PL1を透過する透過部51と、第1偏光PL1を透過しない非透過部52とを備えている。網点マスク50において、前駆層40と対向する面とは反対側の面が表面50Sである。透過部51が、第1規制領域用の第1マスク要素の一例であり、非透過部52が第2規制領域用の第2マスク要素の一例である。
【0053】
網点マスク50を用いて第1偏光PL1が照射されるとき、非透過部52から透過部51に向かう方向では、非透過部52と透過部51との境界に近付くにつれて、第1偏光PL1の入射角度のうち、透過部51を通って前駆層40に到達することの可能な入射角度が大きくなる。そのため、前駆層40において、非透過部52と対向する部位から、非透過部52と透過部51との境界と対向する部位に向けて、露光量が連続的に大きくなる。
【0054】
一方で、非透過部52と透過部51との境界においても、第1偏光PL1のうち、一部の入射角度を有した第1偏光PL1は、非透過部52によって、前駆層40に到達することが妨げられる。そのため、前駆層40において、非透過部52と透過部51との境界と重なる部位から、境界から所定の距離だけ離れた部位と重なる部位まで、露光量が連続的に大きくなる。
【0055】
それゆえに、第1偏光PL1が網点マスク50を介して前駆層40に照射されることによって、前駆層40の表面40Sと対向する平面視において、前駆層40のうち、透過部51と非透過部52との境界と重なる部分に第3前駆領域43が区画される。また、前駆層40には、透過部51と重なる部分のうち、第3前駆領域43以外の部分に第1前駆領域41が区画され、かつ、非透過部52と重なる部分のうち、第3前駆領域43以外の部分に第2前駆領域42が区画される。
【0056】
前駆層40の表面40Sと、網点マスク50のうち、前駆層40と対向する面との間の距離が、露光距離Lであり、露光距離Lは0μm以上500μm以下であることが好ましい。露光距離Lが0μm以上であれば、露光距離Lが大きいほど、第1前駆領域41と第2前駆領域42とが並ぶ方向において、第3前駆領域43が占める幅を大きくすることができる。一方で、露光距離Lが500μm以下であれば、第1前駆領域41と第2前駆領域42との境界が曖昧になることが抑えられ、結果として、表示体10の表示する像がぼけることが抑えられる。
【0057】
図9が示すように、網点マスク50を用いた第1偏光PL1の照射では、前駆層40のうち、第2前駆領域42は、第1偏光PL1が照射されない領域であるため、第2前駆領域42の露光量が最も小さくなる。第1前駆領域41は、透過部51を透過した第1偏光PL1が照射された領域であるため、第1前駆領域41の露光量が最も大きくなる。これに対して、第3前駆領域43では、X方向に沿って、第2前駆領域42での露光量から第1前駆領域41での露光量に向けて、露光量が連続的に大きくなる。
【0058】
前駆層40のうち、第1偏光PL1が照射された部分が被照射部であり、被照射部に含まれる分子の少なくとも一部が異方的に再配列する。もしくは、被照射部に含まれる分子の少なくとも一部において、化学反応が異方的に進む。
【0059】
ここで、被照射部のうち、異方的に再配列する分子の割合、または、化学反応が異方的に進む分子の割合は、被照射部の露光量によって決まり、露光量が大きいほど、異方的に再配列する分子の割合、または、化学反応が異方的に進む分子の割合が大きくなる。
【0060】
そのため、前駆層40では、第1前駆領域41において、異方的に再配列した分子の割合、または、化学反応が異方的に進んだ分子の割合が最も大きく、第2前駆領域42において、異方的に再配列した分子の割合、または、化学反応が異方的に進んだ分子の割合が最も小さい。そして、第3前駆領域43では、異方的に再配列した分子の割合、または、化学反応が異方的に進んだ分子の割合が、第2前駆領域42から第1前駆領域41に向かう方向に沿って次第に大きくなる。
【0061】
図10が示すように、網点マスク50では、網点マスク50と前駆層40とが対向する方向から見て、透過部51および非透過部52の各々は正方形状を有している。網点マスク50において、透過部51と非透過部52とが隣り合っている。
【0062】
そのため、前駆層40に対して光を照射するとき、網点マスク50の表面50Sと対向する平面視において、前駆層40のうち、透過部51と非透過部52とが接する部分と重なる部分の全てに第3規制領域23を形成することが可能である。
【0063】
なお、前駆層40に第1偏光PL1を照射するときには、網点マスク50の一部を用いて、前駆層40に対して第1偏光PL1を照射する。
【0064】
網点マスク50の表面50Sと対向する平面視において、全ての透過部51は同じ大きさであり、全ての非透過部52は同じ大きさであり、かつ、透過部51と非透過部52とは同じ大きさである。
【0065】
網点マスク50の表面50Sと対向する平面視において、透過部51と非透過部52とは、X方向に沿って交互に並び、かつ、Y方向に沿って交互に並んでいる。すなわち、網点マスク50の表面50Sと対向する平面視において、透過部51と非透過部52とは市松状に並んでいる。
【0066】
網点マスク50の表面50Sと対向する平面視において、各非透過部52のX方向に沿う長さおよびY方向に沿う長さは、2μm以上50μm以下程度であることが好ましく、2μm以上20μm以下であることがより好ましい。すなわち、各非透過部52の面積をX方向に沿う長さとY方向に沿う長さとの乗算で表現するとき、非透過部52面積は、2μm×2μm以上50μm×50μm以下程度であることが好ましく、2μm×2μm以上20μm×20μm以下であることがより好ましい。
【0067】
非透過部52の面積が2μm×2μm以上であれば、第3規制領域23が形成される確実性が高まる。また、非透過部52の面積が50μm×50μm以下であれば、第1規制領域21および第2規制領域22の面積に対して、第3規制領域23の面積比率が十分に保持されるために、第1配向領域31が表示する像と第2配向領域32が表示する像との間での連続的な変化が視認されやすくなる。
【0068】
図11が示すように、前駆層40の全体に、第1偏光PL1とは異なる照射方向で第2偏光PL2を照射する。これにより、各第1前駆領域41から1つの第1規制領域21を形成し、各第2前駆領域42から1つの第2規制領域22を形成し、各第3前駆領域43から1つの第3規制領域23を形成する。
【0069】
このように、光反応性を有する前駆層40に対して、光を照射することによって、第1規制領域21、第2規制領域22、および、第3規制領域23を配向規制層13に区画することが可能である。しかも、第3規制領域23は、こうした光の照射のみによって区画される。それゆえに、他の方法を用いて配向規制層13を形成する構成と比べて、配向を規制する方向の変化に連続性を有する第3規制領域23をより容易に形成することができる。
【0070】
各第1規制領域21は、第1偏光PL1と第2偏光PL2とが照射されることによって形成される領域であるため、第1規制領域21の第1規制方向D1は、第1偏光PL1の照射方向、第1偏光PL1の強度、第2偏光PL2の照射方向、および、第2偏光PL2の強度によって決まる。
【0071】
各第3規制領域23も、第1規制領域21と同様、第1偏光PL1と第2偏光PL2とが照射されることによって形成される領域である。そのため、第3規制領域23における配向規制方向は、第1偏光PL1の照射方向、第2偏光PL2の強度、第2偏光PL2の照射方向、および、第2偏光PL2の強度によって決まる。
【0072】
これに対して、各第2規制領域22は、第2偏光PL2のみが照射されることによって形成される領域であるため、第2規制領域22の第2規制方向D2は、第2偏光PL2の照射方向、および、第2偏光PL2の強度によって決まる。
【0073】
第1規制領域21において、第1規制方向D1と、配向規制層13の表面13Sに沿う任意の基準方向とが形成する角度が第1規制角であり、第2規制領域22において、第2規制方向D2と、基準方向とが形成する角度が第2規制角である。
【0074】
第1規制角が例えば45°であり、第2規制角が例えば0°であるとき、第2偏光PL2の照射方向は、第2規制角を0°とするような照射方向である必要がある。一方で、第1偏光PL1の照射方向は、第1偏光PL1の照射のみによって第1規制角を45°とするような照射方向であってもよいし、第1偏光PL1の照射と第2偏光PL2の照射とによって、第1規制角を45°とするような照射方向であってもよい。
【0075】
例えば、第1偏光PL1の照射方向が、第1偏光PL1の照射のみによって第1規制角を45°とするような照射方向であるときには、第1偏光PL1の照射方向が、第1規制角を45°とするような照射方向であればよい。さらには、第1偏光PL1の強度が、第1前駆領域41に含まれる光配向性の分子の反応がほぼ飽和する程度の強度であればよい。
【0076】
そして、第2規制角を0°とするような照射方向で、第2偏光PL2が照射されることによって、第1規制角が45°であり、第2規制角が0°であり、第3規制領域23における規制角が0°と45°との間で連続的に変わる配向規制層13を得ることができる。
【0077】
図12が示すように、配向規制層13の表面13Sに液晶層14を形成する。液晶層14が配向規制層13上に形成されると、液晶層14に含まれる複数の液晶分子が、配向規制層13における配向規制方向に沿って配向する。
【0078】
これにより、液晶層14には、第1規制方向D1に沿って配向した液晶分子を含む第1配向領域31、および、第2規制方向D2に沿って配向した液晶分子を含む第2配向領域32が形成される。液晶層14には、さらに、第1規制領域21から第2規制領域22に向かう方向に沿って、第1規制方向D1から第2規制方向D2まで連続的に変わる配向規制方向に沿って配向した液晶分子を含む第3配向領域33が形成される。
【0079】
液晶層14の形成材料は、例えば、メソゲン基の両端にアクリレートを有する光硬化性液晶モノマー、電子線あるいは紫外線の照射によって硬化する高分子液晶、ポリマーの主鎖から分岐する状態で主鎖にメソゲン基が結合している高分子液晶、および、分子の主鎖が配向規制方向に沿って配向する液晶高分子などである。これら光硬化性液晶モノマー、および、3種の高分子液晶の各々が、液晶分子の一例である。また、液晶層14の形成材料は、熱硬化性を有した液晶分子であってもよい。
【0080】
液晶分子が活性線硬化性、すなわち紫外線硬化性や電子線硬化性を有するときには、紫外線や電子線によって液晶層14を硬化させることによって、また、液晶分子が熱硬化性を有するときには、熱によって液晶層14を硬化させることによって、液晶層14における配向をより安定化させることができる。
【0081】
そして、液晶層14のうち、配向規制層13に接する面とは反対側の面に保護層15を形成することによって、図2を用いて先に説明した表示体10を得ることができる。保護層15は例えば樹脂製であり、保護層15の形成材料には、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、および、活性線硬化性樹脂を単独または組み合わせて用いることができる。なお、保護層15の形成材料は、例えば、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、塩化ビニル樹脂‐酢酸ビニル共重合樹脂、ポリエステル樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ポリスチレン樹脂、および、ポリイミド樹脂などであればよい。
【0082】
[表示体の作用]
図13を参照して、表示体の作用を説明する。
図13(a)から図13(e)の各々は、表示体10に対して偏光板をかざしたときに、表示体10の表面10Sを通じて、表示体10が表示する像であって、偏光によって顕像化された潜像である。なお、図13では、図示の便宜上から、各表示部10aに対して、表示体10が表示する像が重なる状態で示されている。また、以下では、配向規制層13における第1規制角が45°であり、第2規制角が0°である表示体10の作用を一例として説明する。
【0083】
図13(a)から図13(e)のうち、図13(a)は、XY平面上における基準方向と偏光板の光軸との形成する角度が0°であるときの像であり、図13(b)は、基準方向と偏光板の光軸との形成する角度が22.5°であるときの像である。図13(c)は、基準方向と偏光板の光軸との形成する角度が45°であるときの像であり、図13(d)は、基準方向と偏光板の光軸との形成する角度が67.5°であるときの像であり、図13(e)は、基準方向と偏光板の光軸との形成する角度が90°であるときの像である。
【0084】
図13(a)から図13(e)が示すように、基準方向と偏光板の光軸とが形成する角度を0°から90°まで徐々に変えると、X方向に沿って、表示体10が表示する像の明度が変わる。しかも、表示体10の表示する像のうち、第3配向領域33を含む表示部10aでは、第1配向領域31を含む表示部10aから第2配向領域32を含む表示部10aに向かう方向に沿って、像の明度が連続的に変わる。
【0085】
このように、液晶層14の第3配向領域33において、液晶分子の配向方向が、第1規制方向D1によって定まる第1配向方向と、第2規制方向D2によって定まる第2配向方向との間で連続的に変わる。そのため、液晶層14における第1配向領域31と第2配向領域32との間で、液晶分子の配向方向が、第1配向方向と第2配向方向との間のみで変わる構成と比べて、表示体10が表示する像内にて互いに隣り合う領域の境界において視覚的な特徴の変化が滑らかになる。
【0086】
次いで、表示体10の表示する像において、上述した変化が生じる原理を説明する。
表示体10の観察に用いられる光の波長、および、液晶層14における位相差値が一定であると仮定する。表示体10にかざした偏光板の光軸と、液晶層14の光軸、すなわち配向方向とが形成する角度をθとし、表示される像におけるコントラストをCとすると、コントラストCは、以下の等式(1)で表すことができる。
C = sin(2θ) … 式(1)
【0087】
等式(1)から明らかなように、表示体10に偏光板を重ねたときに表示される像におけるコントラストCは、角度θが0°から90°の範囲内において、角度θが0°であるときと、45°であるときとに最大値を有する。そして、コントラストCは、角度θが0°と45°との間、および、45°と90°との間であるとき、等式(1)に準じた値を有する。そのため、表示体10に対して偏光板をかざしたときには、液晶層14の各部位における角度θの違いによって、液晶層14の各部位が互いに異なる明るさを有するように視認される。
【0088】
また、表示体10と偏光板とが重なる方向と平行な回転軸に対して、偏光板を回転させながら表示体10を観察すると、角度θが連続的に変わるため、表示体10の表示する像の中で、明度の低い部分が動いているように視認される。
【0089】
図13(a)では、偏光板の光軸と、第2配向領域32の光軸とが平行であるため、偏光板を介して第2配向領域32に入射した偏光は、第2配向領域32を透過することができる。そのため、表示体10の表示する像のうち、第2配向領域32と重なる部分の明度が、表示体10の表示する像の中で最も高くなる。
【0090】
これに対して、偏光板の光軸と、第1配向領域31の光軸とが形成する角度が45°であるため、偏光板を介して第1配向領域31に入射した偏光は、第1配向領域31によって90°だけ回転する。それゆえに、表示体10の表示する像のうち、第1配向領域31と重なる部分の明度が像の中で最も低くなる。
【0091】
また、第3配向領域33では、第2配向領域32から第1配向領域31に向かう方向に沿って、偏光板の光軸と、第3配向領域33の光軸とが形成する角度が、0°から45°に向けて連続的に大きくなる。そのため、表示体10の表示する像のうち、第3配向領域33と重なる部分の明度は、第2配向領域32から第1配向領域31に向かう方向に沿って連続的に低くなる。
【0092】
図13(b)から図13(e)の各々においても、表示体10の表示する像のうち、液晶層14の中で、偏光板の光軸と液晶層14の光軸とが平行である部分と重なる部分は、最も高い明度を有する。一方で、表示体10の表示する像のうち、液晶層14の中で、偏光板の光軸と液晶層14の光軸とが形成する角度が45°である部分と重なる部分は、最も低い明度を有する。また、表示体10の表示する像のうち、液晶層14の中で、偏光板の光軸と液晶層14の光軸とが形成する角度が0°と45°との間である部分と重なる部分は、上述した等式(1)に準じたコントラストCを有する。
【0093】
表示体10では、表示体10に偏光板をかざした状態で、表示体10と偏光板とが重なる方向と平行な回転軸に対して偏光板を回転させたとき、表示体10の表示する像の中で、明度の低い部分が所定の動きを有するか否かによって、表示体10の真贋を判定することができる。また、表示体10の付された物品であれば、表示体10の真贋を判定することによって、物品の真贋を判定することができる。なお、表示体10を用いた真贋の判定は、目視によって行ってもよいし、表示体10が表示する像における明度を解析することが可能な装置を用いて行ってもよい。
【0094】
また、表示体10は、表示体10の表面10Sと対向する平面視において、所定の形状を有することができる。表示体10の形状は、直線状、円状、楕円状、多角形状、および、自由曲線状などの形状とすることができる。自由曲線状としては、マーク、文字、および、ロゴなどを挙げることができる。
【0095】
表示体10が有する形状の中における明度の低い部分の動きには、中心から外縁へ向う放射状の動き、またその反対方向の動き、すなわち外縁から中心へ向かう放射状の動き、回転する動き、および、直線的動き、言い換えればスイープなどを挙げることができる。
【0096】
なお、表示体10の形状は、複数の形状要素から構成されてもよく、各形状要素は、その形状要素が有する形状の中において明度の低い部分が動くように構成されている。また、複数の形状要素におけるそれぞれの中での明度の低い部分の動きは、複数の形状要素において連動してもよい。連動には、シンクロするもの、互い違いに動くもの、連結された動きなどを挙げることができる。
【0097】
なお、表示体10の観察に用いられる偏光板は、以下のような構成であればよい。
すなわち、偏光板は、例えば吸収型偏光子であればよく、吸収型偏光子は、PVAに対してヨウ素もしくは二色性染料を含浸させた後、PVAを延伸することによって、ヨウ素もしくは二色性染料を配向させることで形成することができる。あるいは、吸収型偏光子は、配向膜上にて二色性染料を配向させることによって形成することができる。
【0098】
また、透過光において特定の偏光成分を分離することが可能な素子、あるいは、特定の偏光成分を抽出することが可能な素子であれば、偏光板として用いることができる。
【0099】
偏光板は、ワイヤーグリッド偏光子であってもよい。ワイヤーグリット偏光子は、樹脂製の凹凸構造体と、凹凸構造体の凹凸面のうち、少なくとも凸部を覆う導体とを有している。凹凸構造体では、1つの方向に沿って延びる直線状を有した凸部と凹部とが交互に並んでいる。こうしたワイヤーグリッド偏光子は、直線状を有した複数の導体が並ぶ構造体と同様、導体が延びる方向と平行な直線偏光を反射し、導体が延びる方向と直交する直線偏光を透過する。
【0100】
[実施例]
基材としてポリエチレンテレフタレートフィルムを準備し、真空蒸着法を用いて、膜厚が50nmであるアルミニウム層を反射層として基材の表面における全体に形成した。反射層の表面における全体に、バーコーター法を用いて光配向剤(LIA−01、DIC(株)製)を0.1μmの厚さで塗布した後、乾燥させることによって膜厚が30nmである前駆層を形成した。
【0101】
次いで、透過部と非透過部とが市松状に並ぶ網点マスクを準備し、網点マスクを前駆層の表面に密着させた状態で、第1偏光を照射した。このとき、第1規制角を45°とするような照射方向で第1偏光を前駆層に照射した。そして、前駆層の表面から網点マスクを取り除き、前駆層の全体に第2偏光を照射した。このとき、第2規制角を0°とするような照射方向で第2偏光を前駆層に照射した。これにより、第1規制領域、第2規制領域、および、第3規制領域を有する配向規制層を得た。
【0102】
配向規制層の表面に、マイクログラビア法を用いてUVキュアラブル液晶(UCL−008、DIC(株)製)を塗工した後、塗工膜に対して無偏光紫外線を照射することによって、塗工膜を硬化させた。これにより、第1配向領域、第2配向領域、および、第3配向領域を有する液晶層を得た。
【0103】
液晶層の表面に、マイクログラビア法を用いて、アクリル樹脂を1μmの厚さで塗布した。その後、100℃にてアクリル樹脂を乾燥させることによって、保護層を形成した。これにより、表示体を得た。
【0104】
表示体に偏光板をかざし、表示体と偏光板とが重なる方向と平行な方向に延びる回転軸に対して偏光板を回転させながら、表示体が表示する像を観察した。これにより、図13(a)から図13(e)を用いて先に説明したように、表示体が備える潜像が顕像化されること、および、表示体が表示する像において、偏光板の回転にあわせて、明度の最も低い部分の位置が像の中で変わることが認められた。また、像の中で、明度が高い部分と明度が低い部分との間において、明度が連続的に変わることが認められた。
【0105】
以上説明したように、表示体および表示体の製造方法の第1実施形態によれば、以下に列挙する効果を得ることができる。
(1)液晶層14における第1配向領域31と第2配向領域32との間で、液晶分子の配向方向が、第1配向方向と第2配向方向との間のみで変わる構成と比べて、表示体10が表示する像内にて互いに隣り合う領域の境界において視覚的な特徴の変化が滑らかになる。
【0106】
(2)樹脂製の基材11と配向規制層13とが直に接しないため、基材11の延伸方向によって配向規制層13の配向規制方向が影響されにくい。それゆえに、基材11における製造方法の自由度が高まる。
【0107】
(3)光反応性を有する前駆層40に対して、光を照射することによって、第1規制領域21、第2規制領域22、および、第3規制領域23を配向規制層13に区画することが可能である。しかも、第3規制領域23は、こうした光の照射のみによって区画される。それゆえに、他の方法を用いて配向規制層13を形成する構成と比べて、配向を規制する方向の変化に連続性を有する第3規制領域23をより容易に形成することができる。
【0108】
(4)前駆層40に対して光を照射するとき、網点マスク50の表面50Sと対向する平面視において、前駆層40のうち、透過部51と非透過部52とが接する部分と重なる部分の全てに第3規制領域23を形成することが可能である。
【0109】
[第1実施形態の変形例]
なお、上述した第1実施形態は、以下のように適宜変更して実施することができる。
・網点マスク50は、X方向に沿ってのみ透過部51と非透過部52とが隣り合う構成であってもよい。こうした構成であっても、上述した(1)に準じた効果を得ることはできる。
【0110】
・網点マスク50の表面50Sと対向する平面視において、透過部51および非透過部52の各々は、矩形状を有していればよく、透過部51と非透過部52とは互いに異なる形状を有してもよい。また、網点マスク50は、網点マスク50の表面50Sと対向する平面視において、複数の透過部と、複数の透過部の間を埋める非透過部とを有し、複数の透過部が規則的に並ぶ構成でもよい。あるいは、網点マスク50は、網点マスク50の表面50Sと対向する平面視において、複数の非透過部と、複数の非透過部の間を埋める透過部とを有し、複数の非透過部が規則的に並ぶ構成でもよい。
【0111】
・図14が示すように、網点マスク60の表面60Sと対向する平面視において、各非透過部62は円形状を有し、かつ、複数の非透過部62は、網点マスク60の表面60S内において、不規則に位置してもよい。そして、透過部61は、複数の非透過部62の間を埋めるように網点マスク60の中に位置していてもよい。こうした網点マスク60であっても、各非透過部62と透過部61との境界を含む部分では、網点マスク50と同様、網点マスク60を介して前駆層40に向けて照射される光の光量が連続的に変わる。そのため、上述した(1)に準じた効果を得ることはできる。
【0112】
・前駆層40に対する光の照射に用いられるマスクは、複数の透過部と複数の非透過部とを有し、各透過部および各非透過部が1つの方向に沿って延び、かつ、透過部と非透過部とが1つの方向と直交する方向に沿って交互に並ぶ構成であってもよい。こうしたマスクを用いた場合でも、網点マスク50を用いた場合と同様、透過部と非透過部との境界を含む部分では、マスクを介して前駆層40に照射される光の光量が連続的に変わる。そのため、こうしたマスクを用いても、上述した(1)に準じた効果を得ることはできる。
【0113】
・網点マスク50は、第1マスク要素よりも透過率の低い第2マスク要素として、第1偏光PL1の一部を透過することのできる第1マスク要素を有してもよい。こうした構成であっても、第1マスク要素と第2マスク要素との境界を含む部分では、網点マスク50を介して前駆層40に向けて照射される光の光量が連続的に変わるため、上述した(1)に準じた効果を得ることはできる。
【0114】
・第2偏光PL2を前駆層40に照射するときにもマスクを用いてもよい。この場合には、網点マスク50に対して透過部51の位置と非透過部52の位置とを反転させたマスクを用い、かつ、前駆層40に対する網点マスク50の位置と同じ位置にこのマスクを位置させた状態で、第2偏光PL2を照射すればよい。こうした構成であっても、第3規制領域23を有した配向規制層13を形成することは可能であるため、上述した(1)に準じた効果を得ることはできる。
【0115】
・表示体10は、反射層12と配向規制層13との間に位置するアンカー層を有してもよい。こうした構成によれば、反射層12と配向規制層13とが直に接する構成と比べて、配向規制層13が配向規制層13に接する層から剥がれることが抑えられる。
【0116】
・基材11と反射層12との間には、上述したアンカー層が位置してもよいし、アンカー層以外の層であって、光透過性を有する層が位置してもよい。
【0117】
・反射層12が基材11の裏面11Rに位置し、かつ、配向規制層13が基材11の表面11Sに位置してもよい。ただし、上述したように、基材11が延伸フィルムであるときには、配向規制層13の配向規制方向が、延伸フィルムの延伸方向によって影響される。そのため、配向規制層13が基材11と直に接する場合には、基材11は無延伸フィルムであることが好ましい。こうした構成では、表示体10の厚さ方向において、基材11のうち、少なくとも反射層12と重なる部分が光透過性であり、透明であることが好ましい。
【0118】
また、反射層12が基材11の裏面11Rに位置する構成であっても、基材11と配向規制層13との間に上述したアンカー層などの他の層が位置していれば、配向規制層13が基材11に直に接しない分、配向規制層13における分子の配向する方向が、基材11によって影響されにくい。そのため、こうした構成では、基材11として延伸フィルムを用いてもよい。
【0119】
・基材11の形成材料は、上述した樹脂に限らず、ガラスや金属などの無機物であってもよい。
【0120】
・配向規制層13は、ラビング法や真空斜方蒸着法を用いて所定の配向規制方向を有するように形成された層であってもよい。あるいは、配向規制層13は、液晶分子の配向を規制するための溝を表面に有するように形成された層であってもよい。配向規制層13が光の照射によって形成された層以外の層であっても、配向規制層13が第1規制領域、第2規制領域、および、第3規制領域を有していれば、上述した(1)に準じた効果を得ることはできる。
【0121】
・表示体10の表面10Sと対向する平面視において、第1規制領域21と第2規制領域22とは、X方向およびY方向に沿って交互に並んでいてもよい。また、表示体10の表面10Sと対向する平面視において、第1規制領域21を囲むように第2規制領域22が位置してもよいし、第2規制領域22を囲むように第1規制領域21が位置してもよい。こうした構成であっても、第1規制領域21と第2規制領域22の間に、これらの間を埋めるように第3規制領域23が位置していれば、上述した(1)に準じた効果を得ることはできる。
【0122】
・表示体10は保護層15を備えていなくてもよく、こうした構成であっても、表示体10が配向規制層13と液晶層14とを備える以上は、上述した(1)に準じた効果を得ることができる。
【0123】
・液晶層14は、二色性染料または蛍光二色性染料を含んでもよく、こうした構成では、液晶層14に含まれる液晶分子を所定の方向に配向させることによって、二色性染料または蛍光二色性染料も所定の方向に配向させることができる。このうち、液晶層14が蛍光二色性染料を含む構成であれば、表示体10に対して偏光紫外線を照射しつつ、表示体10の表面10Sに対する法線方向を回転軸として表示体を回転させることによって、表示体10に、蛍光による動画を表示させることができる。言い換えれば、表示体10が表示する像において、蛍光を発する部位を変えることができる。
【0124】
・表示体10は、基材11の裏面11Rに、粘着層または接着層を有してもよい。すなわち、表示体10を用いて、他の物品への貼り付けが可能なラベルを形成してもよい。
【0125】
粘着層の形成材料は、例えば、塩化ビニル‐酢酸ビニル共重合体、ポリエステル系ポリアミド、アクリル系、ブチルゴム系、天然ゴム系、シリコン系、および、ポリイソブチル系などの粘着剤であればよい。また、粘着層の形成材料は、これら粘着剤のいずれかと、凝集成分、改質成分、重合開始剤、可塑剤、硬化剤、硬化促進剤、および、酸化防止剤などの添加剤とを含む材料であってもよい。
【0126】
このうち、凝集成分は、例えば、アルキルメタクリレート、ビニルエステル、アクリルニトリル、スチレン、および、ビニルモノマーなどであればよく、改質成分は、不飽和カルボン酸、ヒドロキシ基含有モノマー、および、アクリルニトリルなどであればよい。
【0127】
粘着層は、グラビア印刷法、オフセット印刷法、および、スクリーン印刷法などの印刷方法や、バーコート法、グラビア法、および、ロールコート法などの塗布方法を用いて形成することができる。また、粘着層は、予めセパレータに対して粘着層を形成し、表示体10に対して粘着層を貼り合わせた状態でセパレータを剥がすことにより、表示体10に形成することができる。
【0128】
また、粘着層を有する表示体の取り扱いを容易にするために、粘着層のうち、基材11に接する面とは反対側の面に、離型処理の施された離型紙や離型フィルムを位置させてもよい。
【0129】
・表示体10を含むラベルは、印刷物などの物品に貼り付けることができる。表示体10を物品に貼り付けて用いる場合には、基材11が、切り込みまたはミシン目を有することが好ましい。こうした構成では、物品に貼り付けられたラベルを剥がすときに、基材11が、基材11の有する切り込みまたはミシン目から破れる可能性が高いため、ラベルの貼り替えを抑えることが可能である。
【0130】
・表示体10を含む転写箔を形成してもよく、この転写箔を用いて、表示体10を物品に貼り付けてもよい。
【0131】
・表示体10は、スレッド、言い換えれば、ストリップ、フィラメント、糸状物、および、安全帯片として、紙にすき込まれてもよい。
【0132】
・表示体10は、物品において真贋の判定を可能にすることで、物品の偽造を防止する目的以外にも、表示体10の付された物品を装飾する目的や、表示体10そのものを観賞する目的で用いられてもよい。
【0133】
[第2実施形態]
図15から図19を参照して、本発明の表示体および表示体の製造方法を具体化した第2実施形態を説明する。なお、第2実施形態は、上述した第1実施形態と比べて、配向規制層が備える第3規制領域の構成、および、液晶層が備える第3配向領域の構成が異なる。そのため、以下では、こうした相違点について詳しく説明するとともに、第1実施形態と共通する構成には、第1実施形態と同じ符号を付すことによって、その詳しい説明を省略する。また、以下では、表示体の構成、表示体の製造方法、および、表示体の作用を順番に説明する。
【0134】
[表示体の構成]
図15を参照して表示体の構成を説明する。
図15が示すように、表示体70は、配向規制層71と、配向規制層71に接する液晶層72とを備えている。
【0135】
配向規制層71は、第1規制領域81、第2規制領域82、および、第3規制領域83を備え、第1規制領域81は、第1実施形態における第1規制領域21に相当し、第2規制領域82は、第1実施形態における第2規制領域22に相当する。
【0136】
配向規制層71において、第3規制領域83は、第1規制領域81と第2規制領域82との間に位置し、第1要素83aと第2要素83bとから構成されている。第3規制領域83のうち、第1要素83aが第2規制領域82に接し、第2要素83bが第1規制領域81に接している。第1要素83aは、第2要素83bに接する部位から、第2規制領域82に接する部位に向けて、配向規制方向が、第1規制方向から第2規制方向まで連続的に変わる部分である。これに対して、第2要素83bは、X方向において、配向規制方向が一定である部分である。
【0137】
液晶層72は、第1配向領域91、第2配向領域92、および、第3配向領域93を備え、第1配向領域91は第1実施形態の第1配向領域31に相当し、第2配向領域92は第1実施形態の第2配向領域32に相当する。
【0138】
第3配向領域93の少なくとも一部であって、第3規制領域83と接する第3配向領域93は、第1要素93aと第2要素93bとから構成されている。第3配向領域93の第1要素93aは、第3規制領域83の第1要素83aに接する部分であり、第3配向領域93の第2要素93bは、第3規制領域83の第2要素83bに接する部分である。
【0139】
[表示体の製造方法]
図16から図19を参照して、表示体の製造方法を説明する。なお、第2実施形態における表示体の製造方法は、前駆層に対して第1偏光を照射する工程を除き、第1実施形態における表示体の製造方法と共通している。そのため、以下では、表示体の製造方法のうち、前駆層に対して光を照射する工程についてのみ説明する。
【0140】
図16が示すように、網点マスク100は、網点マスク100の表面100Sと対向する平面視において、複数の回折部102と、複数の回折部102の間を埋める透過部101とを備えている。透過部101における光の透過率は、回折部102における光の透過率よりも高い。
【0141】
図17が示すように、各回折部102は、複数の透過部102aと複数の非透過部102bとから構成されている。網点マスク100の表面100Sと対向する平面視において、各透過部102aおよび各非透過部102bはX方向に沿って延びる直線状を有し、透過部102aと非透過部102bとが、Y方向に沿って交互に並んでいる。
【0142】
各回折部102は透過型の回折格子であり、回折部102に入射した光の一部を透過するとともに、回折部102に入射した光の他の一部を回折する。回折部102は、回折部102に入射した光の一部をYZ平面に対して回折光として射出する。
【0143】
図18が示すように、網点マスク100を用いた第1偏光PL1の照射では、前駆層110のうち、回折部102と透過部101との境界を含む部分と重なる部分において、回折部102から透過部101に向けて、露光量が大きくなる。
【0144】
また、網点マスク100を用いた第1偏光PL1の照射では、回折部102が、回折部102に入射した第1偏光PL1の一部を前駆層110に向けて透過する。加えて、回折部102は、回折部102に入射した第1偏光PL1を回折し、前駆層110のうち、回折部102を直進する光が照射される部分とは異なる部分に向けて回折光を射出する。また、回折部102は、前駆層110のうち、前駆層110に到達する第1偏光PL1の光量が連続的に大きくなる部分とは重ならない部位に、回折光を照射するように構成されている。
【0145】
これにより、網点マスク100の表面100Sと対向する平面視において、前駆層110のうち、回折部102と透過部101との境界を含む部分と重なる部分に、第3前駆領域113の第1要素113aが区画される。また、前駆層110のうち、透過部101と重なる部分であって、透過部101を透過した光と、回折部102の射出した回折光とが照射される部分に、第3前駆領域113の第2要素113bが区画される。そして、前駆層110のうち、回折部102と重なる部分に第2前駆領域112が区画され、透過部101と重なる部分であって、回折光の照射されない部分に第1前駆領域111が区画される。
【0146】
図19が示すように、第2前駆領域112には、回折部102を透過した光のみが照射されるため、第2前駆領域112の露光量は、前駆層110の中で最も小さくなる。第3前駆領域113のうち、第1要素113aでは、第2前駆領域112から第1前駆領域111に向かう方向に沿って、第1要素113aの露光量が次第に大きくなる。
【0147】
一方で、第3前駆領域113のうち、第2要素113bには、透過部101を透過する第1偏光PL1と、回折部102の回折光との両方が照射されるため、第2要素113bの露光量は、前駆層110の中で最も大きくなる。第1前駆領域111の露光量は、第3前駆領域113の第2要素113bと比べて、回折光の分だけ小さくなる。
【0148】
上述したように、第2偏光PL2は、前駆層110の全体に照射されるため、表示体70の備える配向規制層71において、前駆層110における配向規制方向の分布が維持される。
【0149】
[表示体の作用]
表示体70の作用を説明する。
表示体70において、配向規制層71は、第3規制領域83として、第1要素83aと第2要素83bとを備えている。そして、第1要素83aにおける配向規制方向は、第2要素83bに接する部位から第2規制領域22に接する部位に向けて、第1規制方向から第2規制方向まで連続的に変わる。
【0150】
そのため、表示体70によれば、第3配向領域93のうち、第1要素93aであって、第2配向領域92と第3配向領域93の第2要素93bとの間では、各領域が表示する像において互いに隣り合う領域の境界において視覚的な特徴の変化を滑らかにすることができる。
【0151】
[第2実施形態の変形例]
なお、上述した第2実施形態は、以下のように適宜変更して実施することもできる。
・図20が示すように、網点マスク120の回折部122は、前駆層130のうち、透過部121と回折部122との境界を含む部分から前駆層130に向けて照射される第1偏光PL1の一部と重なるように前駆層130に向けて回折光を射出する構成であってもよい。
【0152】
網点マスク120がこうした構成であれば、第1偏光PL1が照射された後の前駆層130には、透過部121を透過した光のみが照射された領域である第1前駆領域131と、回折部122を透過した光のみが照射された領域である第2前駆領域132とが区画される。さらに、第1偏光PL1が照射された後の前駆層130には、第3前駆領域133として、第1要素133a、第2要素133b、および、第3要素133cから構成される第3前駆領域133が区画される。
【0153】
このうち、第1要素133aは、透過部121と回折部122との境界を含む部分から光の照射された領域であり、第2要素133bは、透過部121と回折部122との境界を含む部分からの光と、回折光とが照射された領域である。第3要素133cは、回折光と、透過部121を透過した光とが照射された領域である。
【0154】
そのため、図21が示すように、第3前駆領域133の第3要素133cにおける露光量が最も大きくなり、第1前駆領域131の露光量が2番目に大きくなり、第2前駆領域132の露光量が最も小さくなる。
【0155】
第3前駆領域133のうち、第1要素133aおよび第2要素133bの各々では、第2前駆領域132から第1前駆領域131に向かう方向に沿って、露光量が連続的に大きくなるため、配向規制方向が連続的に変わる。これにより、液晶層のうち、第1要素133aおよび第2要素133bの各々と接する部分では、第2前駆領域132から第1前駆領域131に向かう方向に沿って、配向方向が連続的に変わる。
【0156】
・図22が示すように、網点マスク140の回折部142は、透過部141と回折部142との境界を含む部分から前駆層150に向けて照射される第1偏光PL1の全体と重なるように、前駆層150に向けて回折光を射出する構成であってもよい。
【0157】
網点マスク140がこうした構成であれば、第1偏光PL1が照射された後の前駆層150には、透過部141を透過した光のみが照射された領域である第1前駆領域151と、回折部142を透過した光のみが照射された領域である第2前駆領域152とが区画される。さらに、第1偏光PL1が照射された後の前駆層150には、第3前駆領域153として、第1要素153a、第2要素153b、および、第3要素153cから構成される第3前駆領域153が区画される。
【0158】
このうち、第1要素153aは、回折部142を透過した光と、回折光とが照射された領域であり、第2要素153bは、回折光と、透過部121と回折部122との境界を含む部分からの光とが照射された領域である。第3要素153cは、回折光と、透過部121を透過した光とが照射された領域である。
【0159】
そのため、図23が示すように、第3前駆領域153の第3要素153cにおける露光量が最も大きくなり、第1前駆領域151の露光量が2番目に大きくなり、第2前駆領域152の露光量が最も小さくなる。そして、第2前駆領域152から第1前駆領域151に向かう方向に沿って、第3前駆領域153の第2要素153bにおける露光量が、第1要素153aの露光量から第3要素133cの露光量に向けて連続的に大きくなる。
【0160】
これにより、第3前駆領域153の第2要素153bでは、配向規制方向が連続的に変わり、液晶層のうち、第2要素153bと接する部分では、第2前駆領域152から第1前駆領域151に向かう方向に沿って、配向方向が連続的に変わる。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【国際調査報告】