(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO2017163571
(43)【国際公開日】20170928
【発行日】20190131
(54)【発明の名称】電解コンデンサ
(51)【国際特許分類】
   H01G 9/052 20060101AFI20190104BHJP
   H01G 9/012 20060101ALI20190104BHJP
   H01G 9/048 20060101ALI20190104BHJP
【FI】
   !H01G9/052 505
   !H01G9/012 303
   !H01G9/048 F
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】14
【出願番号】2018507069
(21)【国際出願番号】JP2017001891
(22)【国際出願日】20170120
(31)【優先権主張番号】2016062582
(32)【優先日】20160325
(33)【優先権主張国】JP
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
【住所又は居所】大阪府大阪市中央区城見2丁目1番61号
(74)【代理人】
【識別番号】100106116
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100170494
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 浩夫
(72)【発明者】
【氏名】島本 由賀利
【住所又は居所】大阪府門真市大字門真1006番地 パナソニック株式会社内
(72)【発明者】
【氏名】吉田 寛
【住所又は居所】大阪府門真市大字門真1006番地 パナソニック株式会社内
(72)【発明者】
【氏名】小林 恭平
【住所又は居所】大阪府門真市大字門真1006番地 パナソニック株式会社内
(57)【要約】
第1端辺および前記第1端辺に対向する第2端辺を有するシート状の陽極体と、前記陽極体の表面に形成された誘電体層と、前記誘電体層の表面に形成された固体電解質層と、前記固体電解質層の表面に形成された陰極引出層と、を有するコンデンサ素子、および、陽極端子を備え、前記陽極体が、表面がエッチングされ、前記第1端辺側にある第1領域と、表面がエッチングされず、前記第2端辺側にある第2領域と、前記第1領域と前記第2領域との境界と、を有するとともに、前記第2端辺に沿う方向の長さを短くする括れ部を有し、前記誘電体層が、前記第1領域の表面に形成されており、前記括れ部を形成する切り欠き端辺が、前記第2領域に配置されており、前記陽極端子が、前記第2領域に接続されている、電解コンデンサ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1端辺および前記第1端辺に対向する第2端辺を有するシート状の陽極体と、
前記陽極体の表面に形成された誘電体層と、
前記誘電体層の表面に形成された固体電解質層と、
前記固体電解質層の表面に形成された陰極引出層と、
を有するコンデンサ素子、および、
陽極端子を備え、
前記陽極体が、表面がエッチングされ、前記第1端辺側にある第1領域と、表面がエッチングされず、前記第2端辺側にある第2領域と、前記第1領域と前記第2領域との境界と、を有するとともに、前記第2端辺に沿う方向の長さを短くする括れ部を有し、
前記誘電体層が、前記第1領域の表面に形成されており、
前記括れ部を形成する切り欠き端辺が、前記第2領域に配置されており、
前記陽極端子が、前記第2領域に接続されている、
電解コンデンサ。
【請求項2】
前記陽極体が、
前記第2端辺と交わる第3端辺と、
前記第1端辺と交わる第4端辺と、を備え、
前記切り欠き端辺が、
前記第4端辺に接続する第1端部と、
前記第3端辺に接続する第2端部と、を備え、
前記第1端部と前記境界との間の距離D1が、前記第1端部と前記第2端辺との間の距離D2よりも短い、
請求項1に記載の電解コンデンサ。
【請求項3】
前記括れ部の前記第2端辺に沿う方向の長さW2と前記第2端辺の幅W1との比:W2/W1が、0.25〜0.5である、
請求項1または2に記載の電解コンデンサ。
【請求項4】
前記切り欠き端辺が、前記第2端辺側に、前記第2端辺に沿う方向の第1直線部を備える、
請求項1〜3のいずれか一項に記載の電解コンデンサ。
【請求項5】
前記切り欠き端辺が、前記境界側に、前記第2端辺に沿う方向の第2直線部を備える、
請求項1〜4のいずれか一項に記載の電解コンデンサ。
【請求項6】
前記切り欠き端辺が、前記第2端辺側に、前記第2端辺に沿う方向の第1直線部と、前記境界側に、前記第2端辺に沿う方向の第2直線部と、を備えており、
前記第1直線部と前記第2直線部との間の距離L1と前記境界と前記第2直線部との間の距離L2との比:L2/L1が、0.1〜4である、
請求項1〜5のいずれか一項に記載の電解コンデンサ。
【請求項7】
前記陽極端子が、前記括れ部と前記第2端辺との間に配置されており、
前記切り欠き端辺と、前記第2端辺および前記陽極体の厚さ方向に対して垂直な方向に延びて、かつ、前記陽極体を等分する中心線と、の最短距離W3が、前記陽極端子と前記中心線との最短距離W4よりも短い、
請求項1〜6のいずれか一項に記載の電解コンデンサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電解コンデンサに関し、特に内部短絡の防止に関する。
【背景技術】
【0002】
コンデンサ素子の陽極体として、弁作用金属を含む金属シートが用いられる。コンデンサ素子の容量を増加させるため、金属シートの主面の全部または一部に、エッチングが施される。例えば、特許文献1では、金属箔の主面の一部の表面にマスキングを施し、部分的にエッチングを行った後、化成処理を行うことを教示している。
【0003】
エッチングおよび化成処理が施された部分に、さらに固体電解質層および陰極引出層を形成して陰極部を設ける際、エッチングされた領域とエッチングされていない領域との間に絶縁性の部材が配置される場合がある。これにより、固体電解質層を形成する際に、固体電解質が未エッチング部にまで這い上がってくることが抑制される。よって、陰極部と陽極体の陰極部以外の領域である陽極部とが分離される。陽極部には陽極端子が接合されるため、陰極部と陽極部とが分離されることにより、内部短絡が抑制される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−340794号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のように、絶縁性の部材を配置することにより、陰極部の主面からの固体電解質の這い上がりが抑制される。しかし、固体電解質は、未エッチング部を含む陽極部の縁(端面)においても陰極部の端面から陽極部の端面へと這い上がる場合がある。陽極部の端面に這い上がった固体電解質は、やがて陽極部の主面にまで広がり、陽極端子に接触して、内部短絡を生じる可能性がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の電解コンデンサは、第1端辺および前記第1端辺に対向する第2端辺を有するシート状の陽極体と、前記陽極体の表面に形成された誘電体層と、前記誘電体層の表面に形成された固体電解質層と、前記固体電解質層の表面に形成された陰極引出層と、を有するコンデンサ素子、および、陽極端子を備え、前記陽極体が、表面がエッチングされ、前記第1端辺側にある第1領域と、表面がエッチングされず、前記第2端辺側にある第2領域と、前記第1領域と前記第2領域との境界と、を有するとともに、前記第2端辺に沿う方向の長さを短くする括れ部を有し、前記誘電体層が、前記第1領域の表面に形成されており、前記括れ部を形成する切り欠き端辺が、前記第2領域に配置されており、前記陽極端子が、前記第2領域に接続されている。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、陽極部における固体電解質の這い上がりの程度が低減する。その結果、陰極部と陽極部との内部短絡が防止される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本開示の実施形態に係るコンデンサ素子を模式的に示す断面図である。
【図2】本開示の実施形態に係る陽極体を模式的に示す上面図である。
【図3】図2に示す陽極体の要部を拡大して示す上面図である。
【図4】本開示の実施形態に係る電解コンデンサを模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
電解コンデンサは、第1端辺および第1端辺に対向する第2端辺を有するシート状の陽極体と、陽極体の表面に形成された誘電体層と、誘電体層の表面の少なくとも一部に形成された固体電解質層と、固体電解質層の表面の少なくとも一部に形成された陰極引出層と、を有するコンデンサ素子を備える。陽極体は、表面がエッチングされ、第1端辺側にある第1領域と、表面がエッチングされず、第2端辺側にある第2領域と、第1領域と第2領域との境界とを有する。さらに、陽極体は、第2端辺に沿う方向の長さを短くする括れ部を備えている。このとき、括れ部を形成する切り欠き端辺は、すべてが第2領域に配置される。第1領域の表面には誘電体層が形成されており、第2領域には陽極端子が接続されている。
【0010】
以下、図面を参照しながら、本実施形態に係る陽極体の構成について詳細に説明する。図1は、本実施形態に係るコンデンサ素子100を模式的に示す断面図である。図2は、本実施形態に係る陽極体10を模式的に示す上面図である。図3は、図2に示す陽極体10の要部(括れ部11近傍)を拡大して示す上面図である。
【0011】
(コンデンサ素子)
コンデンサ素子100は、シート状の陽極体10と、陽極体10の表面の少なくとも一部に形成された誘電体層20と、誘電体層20の表面の少なくとも一部に形成された固体電解質層30と、固体電解質層30の表面の少なくとも一部に形成された陰極引出層40と、を有する。このようなコンデンサ素子100もまた、シート状である。
【0012】
陽極体10は、表面がエッチングされた第1領域R1とエッチングされていない第2領域R2とを備えており、誘電体層20は、少なくとも第1領域R1の表面に形成されている。第1領域R1と誘電体層20と固体電解質層30と陰極引出層40とは、コンデンサ素子100の陰極部100Nを構成する。第2領域R2は、コンデンサ素子100の陽極部100Pを構成する。陽極部100P(すなわち、第2領域R2)には、陽極端子202(図2参照)が接合され、電気的に接続される。
【0013】
(陽極体)
陽極体10は、導電性材料として弁作用金属を含むシートである。弁作用金属としては、チタン、タンタル、アルミニウムおよびニオブ等が挙げられる。陽極体10は、一種、または二種以上の上記弁作用金属を含んでいてもよい。陽極体10は、合金または金属間化合物の形態で、弁作用金属を含んでいてもよい。陽極体10の厚みは特に限定されず、例えば、15μm以上、300μm以下である。
【0014】
第1領域R1は、陽極体10の第1端辺101側に配置されており、少なくとも表面がエッチングされている。第1領域R1は、第1端辺101を含んでいてもよいし、含んでいなくてもよい。第2領域R2は、第1端辺101に対向する第2端辺102側に配置されており、エッチングされていない。第2領域R2は、第2端辺102を含んでいてもよいし、含んでいなくてもよい。図2および図3に、第1領域R1と第2領域R2との境界を破線(境界LB)で示す。なお、境界LBは、表面に凹凸が形成されている領域と表面が平滑な領域との境界である。このような境界が複数ある場合、より第2端辺102側にある境界を境界LBとする。
【0015】
陽極体10は、第2端辺102に沿う方向の長さを短くする括れ部11を備えている。括れ部11は、第2領域R2の一部を第2端辺102の方向に沿って切欠くことにより形成されており、括れ部11を形成する切り欠き端辺110のすべては、第2領域R2に配置されている。未エッチング部はエッチング部に比べて機械的強度が高い。そのため、切り欠き端辺110のすべてを、エッチングされていない第2領域R2に配置することにより、括れ部11を設けることによる、陽極体10の機械的強度の低下を抑制することができる。また、括れ部11を陽極体10を打ち抜いて形成する場合における、陽極体10の欠損等が抑制される。
【0016】
第2領域R2に括れ部11を設けることにより、第1領域R1の表面からの固体電解質の這い上がりが妨げられる。さらに、陽極体10の端面における固体電解質の這い上がりの経路を、括れ部11の切り欠き端辺110に迂回させることができる。つまり、括れ部11によって、固体電解質が、第1領域R1の表面および端面から、第2領域R2に這い上がる程度が低減される。ここで、陽極部100Pの表面にも薄い誘電体層が形成される場合がある。そのため、内部短絡を防止するには、固体電解質が陽極端子202にまで到達しないことが重要である。
【0017】
ここで、括れ部11による効果が、より発揮され易い点で、陽極端子202は、括れ部11と第2端辺102との間の第2領域R2に接続されることが好ましい。なかでも、陽極端子202は、第2端辺102と交わる第3端辺103の近傍に配置されることが好ましい。固体電解質層30の這い上がりは括れ部11によって阻害されるため、陽極端子202まで到達できず、陽極部100Pと陰極部100Nとの短絡が防止される。ここで、陽極端子202とは、コンデンサ素子100と外部とを接続する陽極リード202B、および、陽極リード202Bに電気的に接続するかしめ部材202A(いずれも図4参照)の少なくとも一方である。かしめ部材202Aは、例えば、複数のコンデンサ素子100をかしめるために用いられる。
【0018】
さらに、切り欠き端辺110と中心線LCとの最短距離W3は、陽極端子202と中心線LCとの最短距離W4よりも短いことが好ましい。つまり、括れ部11における切り欠きの深さ(中心線LCに垂直な方向の長さ)を、陽極端子202の中心線LCに垂直な方向の長さよりも深くする。これにより、固体電解質は、さらに陽極端子202にまで到達し難くなる。中心線LCとは、第2端辺102および陽極体10の厚さ方向に対して垂直な方向に延びて、かつ、陽極体10を等分する直線である。
【0019】
第1領域R1と第2領域R2との間に、絶縁性の部材を配置してもよい。第1領域R1が、境界LB近傍に、急な勾配または段が形成されるようにエッチングされている場合、絶縁性の部材を用いなくてもよい。境界LB付近の高低差により、第1領域R1の表面からの固体電解質の這い上がりが抑制され易くなるためである。
【0020】
なお、図2では、括れ部11は、中心線LCを挟んで互いに対向する位置に2箇所配置されているが、これに限定されない。例えば、括れ部11は1箇所であってもよいし、中心線LCに対して非対称に配置されてもよい。固体電解質の這い上がりの程度が低減され易い点で、中心線LCを挟んで対向する位置に2箇所、括れ部11を配置することが好ましい。
【0021】
括れ部11は、例えば、境界LBの近傍に配置される。この場合、陽極体10の端面に這い上がった固体電解質は、境界LB近傍で迂回させられる。よって、固体電解質の陽極体10の端面からの這い上がりが、境界LB近傍で抑制される。つまり、固体電解質の第2領域R2における這い上がりの程度がさらに低減する。例えば、図3に示すように、切り欠き端辺110の一方の端部(第1端部110A)が、第1端辺101と交わる第4端辺104に接続し、切り欠き端辺110の他方の端部(第2端部110B)が、第2端辺102と交わる第3端辺103に接続する場合、第1端部110Aと境界LBとの距離D1と、第1端部110Aと第2端辺102との距離D2との比:D1/D2は、0.01〜1.25であることが好ましい。なかでも、距離D1は、距離D2よりも短いことがより好ましい。つまり、比:D1/D2は、0.01以上、1未満であることが好ましい。
【0022】
なお、距離D1は、第1端部110Aと境界LBとの間の最短距離である。同様に、距離D2は、第1端部110Aと第2端辺102との間の最短距離である。陽極体10が丸角であって、第2端辺102と第3端辺103との境界が明確でない場合、図3に示すように、第2端辺102の延長線を引いて、この延長線と第1端部110Aとの最短距離をD2とする。
【0023】
括れ部11の第2端辺102に沿う方向の長さは、固体電解質の第1領域R1の表面および端辺からの這い上がりの程度を低減できる点で、第2端辺102の幅W1に対して小さいほど望ましい。一方、陽極体10の強度維持の観点から、括れ部11の上記長さは、第2端辺102の幅W1に対して過度に小さくないことが望ましい。これらを考慮すると、括れ部11の第2端辺102に沿う方向の最小長さW2と第2端辺102の幅W1との比:W2/W1は、0.25〜0.5であることが好ましい。なお、陽極体10が丸角である場合、図2に示すように、2本の第3端辺103の延長線を引いて、これらの延長線の間の最短距離をW1とする。
【0024】
括れ部11の形状は特に限定されない。なかでも、図3に示すように、括れ部11を形成する切り欠き端辺110は、第2端辺102側に、第2端辺102に沿う方向の第1直線部110Cを備えることが好ましい。これにより、第2領域R2が十分な面積を有しない場合にも、切り欠き端辺110の長さを可能な限り長くしながら、括れ部11と第2端辺102との間に十分な面積を確保できる。そのため、第2領域R2に陽極端子202を接合させ易くなる。また、切り欠き端辺110の形状がシンプルであるため、例えば、陽極体10を打ち抜いて括れ部11を形成する場合、打ち抜きに用いられる刃の形状もシンプルになって、括れ部11を精度よく形成することができる。
【0025】
切り欠き端辺110は、境界LB側にも第2端辺102に沿う方向の第2直線部110Dを備えることが好ましい。固体電解質の第2領域R2の表面における這い上がりの、最初の障壁となる境界LB側の切り欠き端辺110が、固体電解質の這い上がり方向に対して垂直に配置されていることにより、固体電解質の第2領域R2における這い上がりの程度はさらに抑制される。
【0026】
これらの観点から、好ましい切り欠き端辺110の形状は、例えば、第2端辺102に沿う第1直線部110Cと第2直線部110Dとを備えるU字型である。第1直線部110Cと第2直線部110Dとを繋ぐ繋ぎ部110Eの形状は特に限定されず、直線であってもよいし、曲線を含んでいてもよい。
【0027】
第1直線部110Cと第2直線部110Dとの距離L1と、境界LBと第2直線部110Dとの距離L2との比:L2/L1は、0.1〜4であることが好ましく、0.1〜0.5であることがより好ましい。括れ部11が、境界LBに近接して配置される場合、切り欠き端辺110が第2端辺102に沿う第2直線部110Dを備えるとともに、距離L1が十分に長いことにより、固体電解質が、括れ部11を越えて這い上がることが抑制され易くなる。
【0028】
切り欠き端辺110の形状が、第1直線部110Cと第2直線部110Dとを備えるU字型である場合、第1直線部110Cと第2端辺102との距離L3と、境界LBと第2直線部110Dとの距離L2との比:L2/L3は、0.1〜1.7であることが好ましく、0.1〜0.3であることがより好ましい。これにより、第1直線部110Cと第2端辺102との間の領域に、陽極端子202を接続するのに十分な面積を確保することができる。なお、陽極端子202が第1直線部110Cの近傍に配置される場合にも、括れ部11によって固体電解質の這い上がりが阻害されるため、内部短絡は抑制される。
【0029】
距離L1は平均値であり、第1直線部110Cの任意の3点から第2直線部110Dに向かって、それぞれ第1直線部110Cに垂直な線を引いたときの当該線の長さの平均値である。距離L2およびL3も平均値であり、同様にして算出すればよい。
【0030】
(誘電体層)
誘電体層20は、第1領域R1の表面を、化成処理等により陽極酸化することにより形成される。陽極酸化は、公知の方法により形成され得る。なお、誘電体層20はこれに限定されず、誘電体として機能する絶縁性の層であればよい。誘電体層20は、少なくとも第1領域R1の表面に形成される。
【0031】
(固体電解質層)
固体電解質層30は、誘電体層20の表面の少なくとも一部に形成される。固体電解質層30は、例えば、マンガン化合物や導電性高分子を含む。導電性高分子として、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアニリンおよびこれらの誘導体などを用いることができる。
【0032】
導電性高分子を含む固体電解質層30は、例えば、原料モノマーを誘電体層20上で化学重合または電解重合することにより、形成することができる。あるいは、予め重合された導電性高分子を含む液体を誘電体層20に塗布することにより、形成することができる。
【0033】
(陰極引出層)
陰極引出層40は、固体電解質層30の表面の少なくとも一部に形成される。陰極引出層40は、例えば、カーボン層と、カーボン層の表面に形成された金属(例えば、銀)ペースト層と、を有している。このような陰極引出層40は、カーボンペーストおよび銀ペーストを順次、塗布することにより形成される。
【0034】
(電解コンデンサ)
電解コンデンサ200は、例えば図4に示すように、積層された複数のコンデンサ素子100(100A〜100C)と、各コンデンサ素子100を封止する外装体201と、第2領域R2と電気的に接続する陽極端子202と、陰極引出層40と電気的に接続する陰極端子203と、を備える。各コンデンサ素子100は、例えば、各陽極部100Pの所定の位置で、レーザ溶接や抵抗溶接、針かしめ、ろう接等によって接合され、互いに電気的に接続される。なお、隣接するコンデンサ素子100どうしは、他の導電部材(例えば、金属板、金属片等)を介して接合されていてもよい。本実施の形態の電解コンデンサ200はコンデンサ素子100を3つ備えているが、配置されるコンデンサ素子100の数は限定されない。電解コンデンサ200は、例えば、1〜15枚のコンデンサ素子100を備える。
【0035】
(陽極端子)
各コンデンサ素子100は、図4に示すように、第2領域R2において接合されるとともに、かしめ部材202Aによりかしめられていてもよい。これにより、積層された各コンデンサ素子100どうしの接続信頼性が向上する。かしめ部材202Aには、陽極リード202Bが電気的に接続されている。この場合、陽極端子202は、かしめ部材202Aと、かしめ部材202Aと電気的に接続する陽極リード202Bと、を備える。陽極リード202Bの一部は、外装体201から露出している。
【0036】
かしめ部材202Aは、最外に位置する2つのコンデンサ素子(図4では、コンデンサ素子100Aおよび100C)の第2領域R2にそれぞれ接合している。例えば、複数のコンデンサ素子をレーザ溶接により接合した後、かしめ部材202Aを当該溶接部に対応する位置でコンデンサ素子群を挟み込むように配置する。次いで、この状態で、さらにレーザ溶接することにより、かしめ部材202Aとコンデンサ素子群とは接合される。かしめ部材202Aは、例えば平板状の部材を曲げ加工することにより得られる。
【0037】
陽極リード202Bは、かしめ部材202Aを介して、各コンデンサ素子100の第2領域R2と電気的に接続している。陽極リード202Bとかしめ部材202Aとは一体化していてもよい。かしめ部材202Aおよび陽極リード202Bの材質は、導電性を有するものであれば、特に限定されない。
【0038】
(外装体)
外装体201は、例えば、絶縁性の樹脂により形成される。絶縁性の樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、アルキド樹脂、ポリウレタン、ポリイミド、ポリアミドイミド、不飽和ポリエステル等が挙げられる。
【0039】
(陰極端子)
陰極端子203は、陰極引出層40と電気的に接続している。陰極端子203の材質も、導電性を有するものであれば、特に限定されない。陰極端子203は、例えば、上記のような導電性接着剤204を介して、陰極引出層40に接合している。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本開示に係る電解コンデンサは、信頼性に優れるため、様々な用途に利用できる。
【符号の説明】
【0041】
10:陽極体
101:第1端辺
102:第2端辺
103:第3端辺
104:第4端辺
11:括れ部
110:切り欠き端辺
110A:第1端部
110B:第2端部
110C:第1直線部
110D:第2直線部
110E:繋ぎ部
20:誘電体層
30:固体電解質層
40:陰極引出層
100、100A〜100C:コンデンサ素子
100P:陽極部
100N:陰極部
200:電解コンデンサ
201:外装体
202:陽極端子
202A:かしめ部材
202B:陽極リード
203:陰極端子
204:導電性接着剤
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【国際調査報告】