(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO2017169353
(43)【国際公開日】20171005
【発行日】20190214
(54)【発明の名称】ガラスパネルユニット及びこれを備える建具の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C03C 27/06 20060101AFI20190118BHJP
   E06B 3/677 20060101ALI20190118BHJP
   E06B 3/70 20060101ALI20190118BHJP
   E06B 3/663 20060101ALI20190118BHJP
【FI】
   !C03C27/06 101E
   !E06B3/677
   !E06B3/70 D
   !E06B3/663 E
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】19
【出願番号】2018508601
(21)【国際出願番号】JP2017006762
(22)【国際出願日】20170223
(31)【優先権主張番号】2016072497
(32)【優先日】20160331
(33)【優先権主張国】JP
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
【住所又は居所】大阪府大阪市中央区城見2丁目1番61号
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】特許業務法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 和也
【住所又は居所】大阪府門真市大字門真1006番地 パナソニック株式会社内
(72)【発明者】
【氏名】阿部 裕之
【住所又は居所】大阪府門真市大字門真1006番地 パナソニック株式会社内
(72)【発明者】
【氏名】石橋 将
【住所又は居所】大阪府門真市大字門真1006番地 パナソニック株式会社内
(72)【発明者】
【氏名】野中 正貴
【住所又は居所】大阪府門真市大字門真1006番地 パナソニック株式会社内
(72)【発明者】
【氏名】瓜生 英一
【住所又は居所】大阪府門真市大字門真1006番地 パナソニック株式会社内
【テーマコード(参考)】
2E016
4G061
【Fターム(参考)】
2E016AA01
2E016BA01
2E016BA03
2E016BA08
2E016CA01
2E016CB01
2E016CC02
2E016CC03
2E016EA01
2E016EA02
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2E016JC05
2E016KA02
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2E016LB09
2E016LC02
2E016LC03
2E016QA05
2E016QA13
2E016QA14
4G061AA25
4G061BA01
4G061CD02
4G061CD23
4G061DA54
4G061DA62
(57)【要約】
減圧された内部空間を有するガラスパネルユニットやこれを備える建具を、排気管の跡が残存しにくい方法で製造し、かつ、排気作業に用いられる排気管は再利用可能にする。ガラスパネルユニットの製造方法は、接合工程、排気工程及び封止工程を備える。接合工程では、第一ガラスパネル(1)と第二ガラスパネル(2)が封止材(41)を介して接合され、内部空間(501)が形成される。排気工程では、排気孔(5)に対して着脱自在に接続される排気管(7)を通じて、内部空間(501)からの排気が行われる。排気管(7)はOリング(72)を備え、Oリング(72)を介して排気孔(5)と排気管(7)が気密に接続される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに対向して位置する第一ガラスパネルと第二ガラスパネルが、枠状の封止材を介して接合され、前記第一ガラスパネルと前記第二ガラスパネルの間に、前記封止材に囲まれた内部空間が形成される接合工程と、
前記第一ガラスパネルと前記第二ガラスパネルの少なくとも一方が有する排気孔を通じて、前記内部空間から排気される排気工程と、
前記内部空間が減圧状態で封止される封止工程と、を備え、
前記排気工程では、前記排気孔と、前記排気孔に対して着脱自在に接続された排気管を通じて、排気が行われる
ことを特徴とするガラスパネルユニットの製造方法。
【請求項2】
前記排気管は、
その先端部に形成された開口と、
前記開口を囲む位置に設けられたOリングと、
前記開口と前記Oリングの間に設けられ、前記Oリングの内側への変形を抑制するように構成された変形抑制部と、を備える
ことを特徴とする請求項1に記載のガラスパネルユニットの製造方法。
【請求項3】
前記排気管は、前記Oリングが嵌められる環状の溝をさらに備え、
前記変形抑制部は、前記開口と前記溝の間に設けられた突起である
ことを特徴とする請求項2に記載のガラスパネルユニットの製造方法。
【請求項4】
前記排気管は、前記排気工程と前記封止工程において、前記排気孔に接続された状態で保持され、
前記封止工程が完了した後に回収される
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のガラスパネルユニットの製造方法。
【請求項5】
前記排気管は、高耐熱性のクリップを用いて、前記排気孔に対して着脱自在に接続される
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のガラスパネルユニットの製造方法。
【請求項6】
前記第一ガラスパネルと前記第二ガラスパネルの一方と、第三ガラスパネルとが、枠状の第二の封止材を介して接合され、前記第二の封止材に囲まれた第二の内部空間が形成される第二接合工程を、さらに備える
ことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載のガラスパネルユニットの製造方法。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項に記載のガラスパネルユニットの製造方法で製造されたガラスパネルユニットに、建具枠が嵌め込まれる組立工程を備える
ことを特徴とする建具の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガラスパネルユニット及びこれを備える建具の製造方法に関し、詳しくは、第一ガラスパネルと第二ガラスパネルの間に減圧された内部空間が形成されたガラスパネルユニット及びこれを備える建具の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
互いに対向して位置する一対のガラスパネル間の内部空間を、減圧状態で封止することで、断熱性のガラスパネルユニットが得られる。
【0003】
特許文献1には、ガラスパネルに設けた孔と連通するように、ガラス製の排気管をガラスパネルに接合させ、この排気管を通じて、ガラスパネルユニットの内部空間を減圧した後に、排気管を加熱封止することが記載されている。
【0004】
上記した従来の方法では、製造されたガラスパネルユニットに、加熱封止された排気管の跡が残存する。そのため、ガラスパネルユニットの排気口の周囲をフラットに設けることが困難であるという問題や、排気作業を行うたびに新規の排気管が必要になるという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】日本国特許出願公開番号2001−354456
【発明の概要】
【0006】
本発明は、減圧された内部空間を有するガラスパネルユニット及びこれを備える建具を、排気管の跡が残存しにくい方法で製造し、かつ、排気作業に用いられる排気管を再利用可能にすることを、目的とする。
【0007】
本発明の一様態に係るガラスパネルユニットの製造方法は、接合工程と、排気工程と、封止工程とを備える。
【0008】
前記接合工程は、互いに対向して位置する第一ガラスパネルと第二ガラスパネルが、枠状の封止材を介して接合され、前記第一ガラスパネルと前記第二ガラスパネルの間に、前記封止材に囲まれた内部空間が形成される工程である。
【0009】
前記排気工程は、前記第一ガラスパネルと前記第二ガラスパネルの少なくとも一方が有する排気孔を通じて、前記内部空間から排気される工程である。
【0010】
前記封止工程は、前記内部空間が減圧状態で封止される工程である。
【0011】
前記排気工程では、前記排気孔と、前記排気孔に対して着脱自在に接続された排気管を通じて、排気が行われる。
【0012】
本発明の一様態に係るガラスパネルユニットの製造方法において、前記排気管は、その先端部に形成された開口と、前記開口を囲む位置に設けられたOリングと、前記開口と前記Oリングの間に設けられ、前記Oリングの内側への変形を抑制するように構成された変形抑制部と、を備えることが好ましい。
【0013】
本発明の一様態に係るガラスパネルユニットの製造方法において、前記排気管は、前記Oリングが嵌められる環状の溝をさらに備え、前記変形抑制部は、前記開口と前記溝の間に設けられた突起であることが好ましい。
【0014】
本発明の一様態に係るガラスパネルユニットの製造方法において、前記排気管は、前記排気工程と前記封止工程において、前記排気孔に接続された状態で保持され、前記封止工程が完了した後に回収されることが好ましい。
【0015】
本発明の一様態に係るガラスパネルユニットの製造方法において、前記排気管は、高耐熱性のクリップを用いて、前記排気孔に対して着脱自在に接続されることが好ましい。
【0016】
本発明の一様態に係るガラスパネルユニットの製造方法は、第二接合工程を、さらに備えることが好ましい。前記第二接合工程は、前記第一ガラスパネルと前記第二ガラスパネルの一方と、第三ガラスパネルとが、枠状の第二の封止材を介して接合され、前記第二の封止材に囲まれた第二の内部空間が形成される工程である。
【0017】
また、本発明の一様態に係る建具の製造方法は、組立工程を備える。前記組み立て工程は、上述したガラスパネルユニットの製造方法で製造されたガラスパネルユニットに、建具枠が嵌め込まれる工程である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】図1は、一実施形態のガラスパネルユニットの平面図である。
【図2】図2は、図1のA−A線断面図である。
【図3】図3は、同上のガラスパネルユニットを製造するための接合工程を説明する斜視図である。
【図4】図4は、同上の接合工程を説明する平面図である。
【図5】図5は、図4のB−B線断面図である。
【図6】図6Aは、同上のガラスパネルユニットを製造するための排気工程において排気管が接続される前の状態を示す断面図であり、図6Bは、同上の排気工程において排気管が接続された状態を示す断面図である。
【図7】図7は、同上のガラスパネルユニットを製造するための複数の工程を説明するフロー図である。
【図8】図8は、変形例のガラスパネルユニットの平面図である。
【図9】図9は、図8のC−C線断面図である。
【図10】図10は、同上のガラスパネルユニットを製造するための複数の工程を説明するフロー図である。
【図11】図11は、一実施形態のガラスパネルユニットを備える建具の平面図である。
【図12】図12は、同上の建具を製造するための複数の工程を説明するフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
一実施形態のガラスパネルユニットの構成について、説明する。
【0020】
図1、図2に示すように、一実施形態のガラスパネルユニットは、第一ガラスパネル1と、第二ガラスパネル2と、封止材41と、複数(多数)のスペーサー43と、ゲッター45を備える。
【0021】
第一ガラスパネル1と第二ガラスパネル2は、互いに対向して位置する。第一ガラスパネル1と第二ガラスパネル2は、互いに平行である。第一ガラスパネル1と第二ガラスパネル2の間に、封止材41、複数のスペーサー43及びゲッター45が位置する。
【0022】
第一ガラスパネル1と第二ガラスパネル2には、ソーダライムガラス、高歪点ガラス、化学強化ガラス、無アルカリガラス、石英ガラス、ネオセラム、物理強化ガラス等の各種ガラスパネルを用いることができる。
【0023】
一実施形態のガラスパネルユニットでは、第一ガラスパネル1と第二ガラスパネル2のうち、第二ガラスパネル2の側に排気孔5が形成されている(図2参照)。排気孔5は、第二ガラスパネル2をその厚み方向に貫通している。排気孔5は、キャップ状の閉塞部材6で閉塞されている。
【0024】
封止材41は、ガラスフリット等の熱接着剤を用いて形成された矩形状の枠体410と、ガラスフリット等の熱接着剤を用いて形成された円弧状の仕切り412とを含む。枠体410を形成する材料と、仕切り412を形成する材料とでは、互いの溶融温度が相違している。
【0025】
枠体410は、第一ガラスパネル1の周縁部と、第二ガラスパネル2の周縁部に、それぞれ接合されている。第一ガラスパネル1と第二ガラスパネル2の互いの周縁部は、枠体410を介して気密に接合されている。
【0026】
仕切り412は、枠体410に囲まれる内部空間501を、排気孔5に連通する空間501aと、これを除く空間501bとに仕切っている。複数のスペーサー43及びゲッター45は、空間501bに位置する。空間501bは、たとえば0.1Pa以下の真空度に至るまで減圧された断熱空間である。
【0027】
複数のスペーサー43は、互いに距離をあけて分散配置されている。複数のスペーサー43の各々は、第一ガラスパネル1の第二ガラスパネル2に対向する対向面12と、第二ガラスパネル2の第一ガラスパネル1に対向する対向面22の、両者に当たって位置している(図2参照)。第一ガラスパネル1は赤外線反射膜14を含んでおり、第一ガラスパネル1の対向面12は、赤外線反射膜14の表面で構成されている。
【0028】
複数のスペーサー43は、枠体410に囲まれて位置している。複数のスペーサー43は、第一ガラスパネル1と第二ガラスパネル2の間の距離を、所定距離に保持させる。複数のスペーサー43は、それぞれ透明または半透明であることが好ましい。複数のスペーサー43の材料、寸法形状、配置パターン等は、適宜に設定され得る。
【0029】
ゲッター45は、気体分子を吸着するように構成された部材であり、複数のスペーサー43のそれぞれから、距離をあけて位置する。ゲッター45は、第二ガラスパネル2の対向面22に設置されている。
【0030】
次に、一実施形態のガラスパネルユニットを製造するための各工程について、図3〜図7に基づいて説明する。
【0031】
図7に示すように、一実施形態のガラスパネルユニットの製造方法は、接合工程S1、排気工程S2及び封止工程S3を含む。
【0032】
各工程S1,S2,S3について、順に説明する。
【0033】
接合工程S1では、図3〜図5に示すように、第一ガラスパネル1、第二ガラスパネル2、封止材41、複数のスペーサー43及びゲッター45が、それぞれ所定箇所に配置される。
【0034】
具体的には、第二ガラスパネル2に、封止材41、複数のスペーサー43及びゲッター45が配置され、第二ガラスパネル2と対向する位置に第一ガラスパネル1が配置される。
【0035】
封止材41に含まれる枠体410と仕切り412は、ディスペンサー等を用いて、第二ガラスパネル2の対向面22の外周縁に沿って塗布され、その後に乾燥及び仮焼成される。接合工程S1では、仕切り412に通気路414が形成されている。接合工程S1では、空間501aと空間501bは通気路414を通じて連通している。
【0036】
一実施形態では、仕切り412がその途中で分断されており、この分断された部分で通気路414が形成されているが、通気路414の構成はこれに限定されない。たとえば、仕切り412の両端のうち少なくとも一方を枠体410と非接触に設けることで、仕切り412と枠体410の間に通気路414を形成することも可能である。また、仕切り412の一部を他の部分よりも低く設けることで、仕切り412の該一部に通気路414を形成することも可能である。
【0037】
第一ガラスパネル1と第二ガラスパネル2は、封止材41、複数のスペーサー43及びゲッター45を挟み込んだ状態でセットされ、接合炉内で加熱される。加熱により溶融された枠体410を介して、第一ガラスパネル1と第二ガラスパネル2が気密に接合される。
【0038】
排気工程S2では、図6A、図6Bに示す高耐熱性の排気管7を用いて、内部空間501が減圧される。
【0039】
排気管7は、たとえばステンレス鋼材等の金属を用いて形成されている。排気管7は、他の部分よりも大径な先端部70を有する。先端部70の中央には開口71が設けられている。先端部70の開口71を囲む位置には、環状の溝75が設けられている。溝75には、高耐熱性のOリング72が嵌められている。Oリング72が溝75に嵌められた状態で、Oリング72の一部は、排気管7の先端部70よりも突出して位置する。先端部70の溝75と開口71の間には、Oリング72の内側への変形を抑制する変形抑制部73が、形成されている。変形抑制部73は、溝75の底よりも突出するように形成された環状の突起である。
【0040】
排気工程S2において、排気管7は以下のように用いられる。
【0041】
まず図6Aに示すように、排気管7が、先端部70(開口71)を排気孔5に向けた姿勢で、セットされる。
【0042】
次いで、図6Bに示すように、排気管7のOリング72が、第二ガラスパネル2の外面24のうち、排気孔5を全周に亘って囲む部分に、押し当てられる。
【0043】
ここで、高耐熱性の金属(たとえばニッケル基の超合金)で形成されたクリップ8が、排気管7の先端部70と第一ガラスパネル1と第二ガラスパネル2を挟み込むように、引っ掛けられる。クリップ8は弾性を有する。これにより、第二ガラスパネル2の外面24に、Oリング72が付勢力を伴って押し当てられた状態が、維持される。一実施形態では、クリップ8と排気管7の先端部70との間に、高耐熱性の材料(たとえば雲母)で形成された板材85を、介在させている。
【0044】
図6Bに示す状態においては、第二ガラスパネル2と排気管7の間にОリング72が介在することで、排気管7の開口71と排気孔5が気密に連通している。
【0045】
この状態で、排気管7内の空気を、適宜の吸引装置によって吸引すると、排気孔5を通じて、第一ガラスパネル1と第二ガラスパネル2の間の内部空間501(空間501a及び空間501b)の空気が、真空引きされる。
【0046】
封止工程S3では、仕切り412が所定温度で加熱溶融されることで、通気路414を塞ぐように仕切り412が変形する。これにより、内部空間501の主要部を構成する空間501bが、減圧状態(真空状態)を維持したままで封止される。
【0047】
つまり、封止工程S3では、内部空間501に位置する封止部材(仕切り412)が加熱溶融されて変形することで、内部空間501が減圧状態で封止される。
【0048】
一実施形態では、仕切り412の溶融温度を、枠体410の溶融温度よりも高く設定して、接合工程S1で仕切り412が変形して通気路414を塞ぐことを防止している。ただし、通気路414が接合工程S1と排気工程S2で塞がらず、封止工程S3で塞がるのであれば、枠体410と仕切り412の溶融温度は多様に設定可能である。
【0049】
たとえば、枠体410と仕切り412の溶融温度が同一の場合(あるいは枠体410の溶融温度よりも仕切り412の溶融温度が低い場合)であっても、接合工程S1において、接合炉の温度を枠体410と仕切り412の溶融温度よりも高く設定し、仕切り412が通気路414を塞ぐまで変形しない段階で、枠体410を介して第一ガラスパネル1と第二ガラスパネル2を気密に接合することが可能である。接合後は、接合炉の温度を枠体410と仕切り412の溶融温度よりも低く維持しながら排気工程S2を行い、封止工程S3において、接合炉の温度を仕切り412の溶融温度よりも高く設定して、通気路414を塞ぐまで仕切り412を変形させればよい。
【0050】
封止工程S3が完了した後には、クリップ8と板材85が外され、排気管7が回収される。排気管7は、回収後に何度も再利用することが可能である。
【0051】
以上の各工程S1,S2,S3を経て製造されたガラスパネルユニットは、内部空間501(特に、真空に至るまで減圧された空間501b)を備えることで高い断熱性を有する。加えて、各工程S1,S2,S3を経て製造されたガラスパネルユニットには、排気管7の跡が残存しにくいので、封止跡が目立つことが抑えられ、また、封止跡が破損の原因になることが抑えられる。
【0052】
なお、一実施形態のガラスパネルユニットでは、排気孔5を第二ガラスパネル2に一つ設けているが、排気孔5を第二ガラスパネル2に複数設けることや、排気孔5を第一ガラスパネル1に一つ又は複数設けることも可能である。また、排気孔5を、第一ガラスパネル1に一つ又は複数設け、かつ、第二ガラスパネル2に一つ又は複数設けることも可能である。いずれの場合も、上述した排気管7とクリップ8を用いて、排気孔5を通じて内部空間501の空気を吸引した後に内部空間501を封止し、その後に排気管7とクリップ8を取り外すことが可能である。
【0053】
また、一実施形態のガラスパネルユニットでは、円弧状の仕切り412を一つ設けているが、仕切り412の形状と個数はこれに限定されない。たとえば、枠体410に囲まれる領域に複数の仕切り412を設け、封止後の枠体410内が3以上の空間に区分することも可能である。また、一実施形態のガラスパネルユニットでは、仕切り412を変形させることで内部空間501(空間501b)を封止しているが、他の方法で内部空間501を封止することも可能である。他の方法の一例として、排気孔5を熱接着剤等の封止材で封止し、これにより内部空間501を封止することが挙げられる。
【0054】
次に、変形例のガラスパネルユニットについて、図8〜図10に基づいて説明する。変形例のガラスパネルユニットは、図1〜図7に基づいて説明した一実施形態のガラスパネルユニットの変形例である。したがって、変形例のガラスパネルユニットの構成のうち、既述した一実施形態のガラスパネルユニットの構成と同様の構成については、同一符号を付して詳しい説明を省略する。
【0055】
変形例のガラスパネルユニットは、図1、図2に示すガラスパネルユニットに対して、さらに第三ガラスパネル3が重なり、第三ガラスパネル3と第一ガラスパネル1の間に、第二の内部空間502が形成された構造を有する(図8、図9参照)。
【0056】
変形例のガラスパネルユニットは、第三ガラスパネル3と第一ガラスパネル1の互いの周縁部の間に介在する中空の枠部材34と、枠部材34の中空部分に充填される乾燥剤36と、枠部材34の外側を覆うように枠状に形成された第二の封止材38を備える。第二の内部空間502は、枠部材34と第二の封止材38に囲まれて位置する。
【0057】
枠部材34は、アルミニウム等の金属で形成されている。枠部材34は、貫通孔341を内周側に有する。枠部材34の中空部分は、貫通孔341を介して第二の内部空間502に連通している。乾燥剤36は、たとえばシリカゲルである。第二の封止材38は、たとえばシリコン樹脂、ブチルゴム等の高気密性の樹脂で形成されている。
【0058】
第一ガラスパネル1と第三ガラスパネル3の間において、枠部材34と第二の封止材38に囲まれて位置する第二の内部空間502は、外部から密閉された空間である。第二の内部空間502には、乾燥ガス(アルゴン等の乾燥した希ガス、乾燥空気等)が充填されている。
【0059】
次に、変形例のガラスパネルユニットを製造するための各工程について説明する。
【0060】
図10に示すように、変形例のガラスパネルユニットの製造方法は、接合工程S1、排気工程S2及び封止工程S3に加えて、第二接合工程S4を含む。
【0061】
第二接合工程S4では、第一ガラスパネル1と第三ガラスパネル3が、枠部材34と第二の封止材38を挟み込んだ状態で、第二の封止材38を介して気密に接合される。これにより、三層のガラスパネルユニットが形成される。
【0062】
変形例のガラスパネルユニットでは、第三ガラスパネル3を第一ガラスパネル1に対向するように配置しているが、第三ガラスパネル3を第二ガラスパネル2に対向するように配置することも可能である。この場合、第二接合工程S4においては、第二ガラスパネル2と第三ガラスパネル3の間に枠部材34と第二の封止材38を挟み込んだ状態で、第二ガラスパネル2と第三ガラスパネル3の互いの周縁部を、第二の封止材38を介して接合させる。これにより、乾燥ガスが充填される第二の内部空間502が、第二ガラスパネル2と第三ガラスパネル3の間に形成される。
【0063】
次に、一実施形態のガラスパネルユニットを備える建具について、説明する。
【0064】
図11には、一実施形態のガラスパネルユニットを備える建具が、示されている。この建具は、一実施形態のガラスパネルユニットに、建具枠9が嵌め込まれた構造である。
【0065】
一例として、建具枠9は窓枠であり、図11に示す建具は、一実施形態のガラスパネルユニットと建具枠9(窓枠)を備える窓である。一実施形態のガラスパネルユニットを備える建具は、窓に限定される訳ではなく、玄関ドア、室内ドア等の、他の建具でもよい。
【0066】
一実施形態のガラスパネルユニットを備える建具の製造方法は、図12に示すように、一実施形態のガラスパネルユニットの製造方法(図7参照)に、組立工程S5が付加された構成を備える。
【0067】
組立工程S5は、一実施形態のガラスパネルユニットの製造方法の各工程S1,S2,S3を経て製造されたガラスパネルユニットの周縁部に、矩形状の建具枠9が嵌め込まれる工程である。
【0068】
各工程S1,S2,S3,S5を経て製造される建具(窓)は、内部空間501が形成されたガラスパネルユニットを備えるので、高い断熱性を有する。
【0069】
図8〜図10に示す変形例のガラスパネルユニットに対しても、同様の組立工程S5で建具枠9を嵌め込むことが可能である。この場合、各工程S1,S2,S3,S4,S5を経て製造される建具は、内部空間501と第二の内部空間502が形成されたガラスパネルユニットを備えるので、高い断熱性を有する。
【0070】
以上、添付図面に基づいて説明したように、一実施形態及び変形例のガラスパネルユニットの製造方法は、接合工程S1と、排気工程S2と、封止工程S3を備える。
【0071】
接合工程S1は、互いに対向して位置する第一ガラスパネル1と第二ガラスパネル2が、枠状の封止材41を介して接合され、第一ガラスパネル1と第二ガラスパネル2の間に、封止材41に囲まれた内部空間501が形成される工程である。
【0072】
排気工程S2は、第一ガラスパネル1と第二ガラスパネル2の少なくとも一方が有する排気孔5を通じて、内部空間501から排気される工程である。封止工程S3は、内部空間501が減圧状態で封止される工程である。
【0073】
排気工程S2では、排気孔5と、排気孔5に対して着脱自在に接続された排気管7を通じて、排気が行われる。
【0074】
したがって、一実施形態及び変形例のガラスパネルユニットの製造方法によれば、断熱性が高いガラスパネルユニットを、排気管7の跡が残存しにくい方法で製造することができ、かつ、排気工程S2で用いた排気管7は再利用が可能である。
【0075】
さらに、一実施形態及び変形例のガラスパネルユニットの製造方法において、排気管7は、その先端部70に形成された開口71と、開口71を囲む位置に設けられたOリング72と、変形抑制部73を備える。変形抑制部73は、開口71とOリング72の間に設けられ、Oリング72の内側への変形を抑制するように構成されている。
【0076】
したがって、一実施形態及び変形例のガラスパネルユニットの製造方法によれば、Oリング72を介して排気孔5と排気管7を気密に連通させながら排気を行うことができ、かつ、排気管7の着脱が容易である。
【0077】
さらに、一実施形態及び変形例のガラスパネルユニットの製造方法において、排気管7は、Oリング72が嵌められる環状の溝75を備える。変形抑制部73は、開口71と溝75の間に設けられた突起である。
【0078】
したがって、一実施形態及び変形例のガラスパネルユニットの製造方法によれば、変形抑制部73を構成する突起によって、Oリング72がその内側と外側の気圧差によって変形することが、抑えられる。
【0079】
さらに、一実施形態及び変形例のガラスパネルユニットの製造方法において、排気管7は、排気工程S2と封止工程S3において、排気孔5に接続された状態で保持され、封止工程S3が完了した後に回収される。
【0080】
したがって、一実施形態及び変形例のガラスパネルユニットの製造方法によれば、排気管7を用いて内部空間501を減圧し、かつ内部空間501を減圧状態で封止することができ、封止後の排気管7は回収して再利用することができる。
【0081】
さらに、一実施形態及び変形例のガラスパネルユニットの製造方法において、排気管7は、高耐熱性のクリップ8を用いて、排気孔5に対して着脱自在に接続される。
【0082】
したがって、一実施形態及び変形例のガラスパネルユニットの製造方法によれば、排気管7が必要な工程においてだけ、クリップ8を用いて、排気孔5に排気管7を接続しておくことができ、その工程が完了すれば、排気管7を簡単に取り外すことができる。
【0083】
さらに、変形例のガラスパネルユニットの製造方法は、第二接合工程S4を備える。第二接合工程S4では、第一ガラスパネル1と第二ガラスパネル2の一方と、第三ガラスパネル3とが、枠状の第二の封止材38を介して接合され、第二の封止材38に囲まれた第二の内部空間502が形成される。
【0084】
この製造方法で製造されたガラスパネルユニットは、内部空間501に加えて第二の内部空間502を有するので、さらに高い断熱性を有する。
【0085】
建具の製造方法は、一実施形態又は変形例のガラスパネルユニットの製造方法で製造されたガラスパネルユニットに、建具枠9が嵌め込まれる組立工程S5を備える。つまり、一実施形態のガラスパネルユニットを備える建具の製造方法は、上記した接合工程S1、排気工程S2及び封止工程S3に加えて、組立工程S5を備える。変形例のガラスパネルユニットを備える建具の製造方法は、上記した接合工程S1、排気工程S2、封止工程S3及び第二接合工程S4に加えて、組立工程S5を備える。
【0086】
この製造方法によれば、断熱性の高いガラスパネルユニットを備えた建具(たとえば窓)を、排気管7の跡が残存しにくい方法で製造することができ、かつ、排気工程S2で用いた排気管7は再利用が可能である。
【符号の説明】
【0087】
1 第一ガラスパネル
2 第二ガラスパネル
3 第三ガラスパネル
5 排気孔
7 排気管
9 建具枠
38 第二の封止材
41 封止材
70 先端部
71 開口
72 Oリング
73 変形抑制部
75 溝
8 クリップ
501 内部空間
502 第二の内部空間
S1 接合工程
S2 排気工程
S3 封止工程
S4 第二接合工程
S5 組立工程
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【国際調査報告】