(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO2018034317
(43)【国際公開日】20180222
【発行日】20190627
(54)【発明の名称】炭酸水素水及びこれを使用する洗浄方法
(51)【国際特許分類】
   C02F 1/68 20060101AFI20190607BHJP
   C02F 1/461 20060101ALI20190607BHJP
   B01F 1/00 20060101ALI20190607BHJP
   B08B 3/08 20060101ALI20190607BHJP
   H01L 21/304 20060101ALI20190607BHJP
【FI】
   !C02F1/68 520B
   !C02F1/68 520C
   !C02F1/461 A
   !C02F1/68 510A
   !C02F1/68 530A
   !C02F1/68 540E
   !B01F1/00 B
   !B08B3/08 Z
   !H01L21/304 647Z
   !H01L21/304 643D
   !H01L21/304 643A
   !H01L21/304 642E
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】13
【出願番号】2018534420
(21)【国際出願番号】JP2017029515
(22)【国際出願日】20170817
(31)【優先権主張番号】10-2016-0105253
(32)【優先日】20160819
(33)【優先権主張国】KR
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ
(71)【出願人】
【識別番号】503243287
【氏名又は名称】株式会社 ゴーダ水処理技研
【住所又は居所】東京都中央区新富一丁目6番1号
(71)【出願人】
【識別番号】514222525
【氏名又は名称】マグ テクノロジー カンパニー,リミテッド
【住所又は居所】大韓民国,ギョンギ−ド,スウォン−シ,グォンソン−グ,ゴセック−ドン,スウォン インダストリー ディストリビューション センター 986,#601−207
(74)【代理人】
【識別番号】100107984
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 雅紀
(74)【代理人】
【識別番号】100102255
【弁理士】
【氏名又は名称】小澤 誠次
(74)【代理人】
【識別番号】100096482
【弁理士】
【氏名又は名称】東海 裕作
(74)【代理人】
【識別番号】100188352
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 一弘
(74)【代理人】
【識別番号】100113860
【弁理士】
【氏名又は名称】松橋 泰典
(74)【代理人】
【識別番号】100131093
【弁理士】
【氏名又は名称】堀内 真
(74)【代理人】
【識別番号】100150902
【弁理士】
【氏名又は名称】山内 正子
(74)【代理人】
【識別番号】100141391
【弁理士】
【氏名又は名称】園元 修一
(74)【代理人】
【識別番号】100198074
【弁理士】
【氏名又は名称】山村 昭裕
(74)【代理人】
【識別番号】100096013
【弁理士】
【氏名又は名称】富田 博行
(72)【発明者】
【氏名】江田 敏久
【住所又は居所】東京都中央区新富一丁目6番1号 株式会社 ゴーダ水処理技研内
(72)【発明者】
【氏名】李 在龍
【住所又は居所】大韓民国京畿道高陽市一山区百石洞1415−5
【テーマコード(参考)】
3B201
4D061
4G035
5F157
【Fターム(参考)】
3B201AA02
3B201AA03
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(57)【要約】
本発明は、炭酸水素水及びこれを使用する洗浄方法に関する。溶存水素濃度が0.1ppm〜2.0ppmである水素水に二酸化炭素を溶解したことを特徴とする炭酸水素水。基板を前記炭酸水素水に浸漬する、又は基板に前記炭酸水素水を噴射することにより、基板を洗浄することを特徴とする洗浄方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶存水素濃度が0.1ppm〜2.0ppmである水素水に二酸化炭素を溶解したことを特徴とする炭酸水素水。
【請求項2】
水素水が、pHが5.5〜6.8であり、酸化還元電位が−200mV〜−700mVであり、溶存水素濃度が0.1ppm〜2.0ppmであることを特徴とする請求項1記載の炭酸水素水。
【請求項3】
水素水が、純水若しくは超純水に水素ガスを溶解した水素水、又は純水若しくは超純水を電気分解した水素水であることを特徴とする請求項1又は2記載の炭酸水素水。
【請求項4】
pHが4.0〜6.8であり、酸化還元電位が−50mV〜−650mVであり、電気伝導度が0.072μS/cm〜80μS/cmであることを特徴とする炭酸水素水。
【請求項5】
pHが4.0〜6.8であり、酸化還元電位が−50mV〜−650mVであり、電気伝導度が0.072μS/cm〜80μS/cmであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の炭酸水素水。
【請求項6】
基板を請求項1〜5のいずれかに記載の炭酸水素水に浸漬する、又は基板に請求項1〜5のいずれかに記載の炭酸水素水を噴射することにより、基板を洗浄することを特徴とする洗浄方法。
【請求項7】
基板を80〜300rpmで回転させ、炭酸水素水に1〜3MHzのメガソニックを印加しながら、前記炭酸水素水を5〜10分間基板に噴射して基板を洗浄することを特徴とする請求項6記載の洗浄方法。
【請求項8】
炭酸水素水を40℃〜85℃で予熱することを特徴とする請求項6又は7記載の洗浄方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、炭酸水素水及びこれを使用する洗浄方法に関する。特に、水素水に二酸化炭素を溶解することにより得られ、酸性でありながら還元力を持ち、電気伝導度が高い炭酸水素水、及びこれを使用する基板等の洗浄方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体ウエハー、有機EL(OLED)、フォトマスク、LCD、ハードディスク等を製作するときに使用する基板は、高容量化、高密度化の進展に伴い、微細なパターン等が電気的に接触しないように微細な異物までもきれいに洗浄しなければならない。このような基板の洗浄方法は種々提案されているが、大きく湿式洗浄、機械的洗浄及び乾式洗浄に分けられる。湿式洗浄は、基板等を薬液に浸漬させて化学的溶解等の方法で汚染を除去する方法であり、機械的洗浄は、アイスやドライアイス、あるいはエアロゾル等を基板表面に噴射して粒子等を除去する方法であり、乾式洗浄は、ガス状態の酸化性雰囲気を生成した状態でプラズマ放電や紫外線等を照射して汚染を除去する洗浄のことをいう。以下の特許文献1〜特許文献3には、これらの基板洗浄に関する技術が開示されている。
【0003】
特許文献1では、鉛フリーはんだ等の新規のはんだにおいても、高品質の洗浄を行うことができる洗浄液、洗浄設備、及び実装基板の洗浄方法が提案され、洗浄液で実装基板を洗浄することが開示されている。前記洗浄液は、ケトン又は芳香族類を含む炭化水素系の溶剤に有機アミン類を含有させ、また、この溶剤に無水不飽和カルボン酸化合物又は無水カルボン酸を添加した薬液である。前記有機アミン類は、2級又は3級アミンであるジエタノールアミン又はトリメチルアミン等を少なくとも1種類以上含むものであり、前記洗浄液は、脱水した不飽和カルボン酸化合物(無水アビエチン酸、無水ネオアビエチン酸等)あるいは脱水したジカルボン酸(ギ酸、無水酢酸、無水吉草酸等)を少なくとも1種類以上含み、アミン成分は、カルボン酸種の総量以下である。
【0004】
特許文献2では、基板処理装置が開示され、前記基板処理装置は、内部に基板を処理する空間を提供するハウジング、前記ハウジング内で基板を支持及び回転させるスピンヘッド、前記スピンヘッドに置かれた基板、第1の処理液を噴射する第1ノズル部材を有する噴射ユニットと、前記噴射ユニットを制御するコントローラを含み、前記第1のノズル部材は、内部に前記第1の処理液が流れる噴射流路と前記噴射流路とを連通して前記基板で前記第1の処理液を噴射する第1吐出口を含む本体と、前記本体内に設置され、前記噴射流路に流れる前記第1の処理液に振動を提供する振動子を含み、前記コントローラは、前記第1のノズル部材を前記基板から第1の設定位置に位置させた後、第1の時間の間、前記第1のノズル部材を前記第1の設定位置で基板に対して垂直方向に移動させ、前記第1の処理液を噴射した後、第2の時間の間、前記第1のノズル部材を前記基板に対して水平方向に移動させ、前記第1の処理液を噴射するように制御することができるように構成されている。
【0005】
特許文献3では、弱酸性水溶液の下で気体−液体ハイブリッド常圧プラズマを利用して、半導体基板を洗浄する方法が開示されている。前記方法は、従来の半導体洗浄工程で使用された強酸又は強塩基洗浄液の使用を置き換えることができ、コストを低減することができるだけでなく、強酸又は強塩基洗浄液による廃水の発生を生じることなく、非常に環境に優しい方法である。
【0006】
しかしながら、基板の種類やその作製方法、使用材料等により、基板表面に残る汚染粒子は変わる。そして、金属粒子のように簡単に洗浄することが難しい汚染物質の場合、アンモニアや硫酸等の化学薬品を使用するが、化学薬品を使用すると次のような問題が発生する。
(1)化学薬品は、汚染物質除去には効果があるが、基板に形成したパターン等を一緒に削除したり、毀損するおそれがあり、化学薬品を使用した後、水等を利用して基板から化学薬品をきれいに除去しなければならない。
(2)また、化学薬品を除去するために使用した排水は、毒性を有するので、人体に害を及ぼすおそれがあるだけでなく、廃水処理にも気を使わなければならない。
(3)さらに、化学薬品を使用した後、基板に残った化学薬品を除去するために多くの水が必要である。
これらの問題を解決するための一つの方法として、化学薬品を使用せずに、不純物を除去することができる新しい洗浄技術が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】韓国公開特許第10−2015−0122061号公報
【特許文献2】韓国公開特許第10−2016−0049167号公報
【特許文献3】韓国登録特許第1647586号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の課題は、上記問題を解決し、化学薬品を使用しなくても洗浄効果の高い洗浄液を提供することにある。本発明の課題は、特に、酸性でありながら酸化還元電位が還元力を持ち、電気伝導度が高い洗浄液を提供することにある。さらに、前記洗浄液を使用する、洗浄効果が高く、化学薬品やこれを水中に含む排水の発生しない洗浄方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記課題を解決するため、水素水に着目して検討を進めたところ、溶存水素濃度が0.1ppm〜2.0ppmである水素水に二酸化炭素を溶解することにより、酸性でありながら、酸化還元電位が還元力を持ち、電気伝導度を高めた炭酸水素水を得ることができ、これを基板洗浄に使用することにより、炭酸水素水に触れても高い還元力で、基板に形成されたパターンへの酸化膜の形成を抑制しながらも、洗浄効果を高めることができ、また、化学薬品を使用しないので、化学薬品を使用した後のリンス工程等をなくすことができ、安全で洗浄工程を減らせる洗浄液とそれを用いた基板表面の洗浄方法を提供できることを見いだした。
【0010】
すなわち、本発明は以下に示す事項により特定されるものである。
(1)溶存水素濃度が0.1ppm〜2.0ppmである水素水に二酸化炭素を溶解したことを特徴とする炭酸水素水。
(2)水素水が、pHが5.5〜6.8であり、酸化還元電位が−200mV〜−700mVであり、溶存水素濃度が0.1ppm〜2.0ppmであることを特徴とする上記(1)記載の炭酸水素水。
(3)水素水が、純水若しくは超純水に水素ガスを溶解した水素水、又は純水若しくは超純水を電気分解した水素水であることを特徴とする上記(1)又は(2)記載の炭酸水素水。
(4)pHが4.0〜6.8であり、酸化還元電位が−50mV〜−650mVであり、電気伝導度が0.072μS/cm〜80μS/cmであることを特徴とする炭酸水素水。
(5)pHが4.0〜6.8であり、酸化還元電位が−50mV〜−650mVであり、電気伝導度が0.072μS/cm〜80μS/cmであることを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれかに記載の炭酸水素水。
(6)基板を上記(1)〜(5)のいずれかに記載の炭酸水素水に浸漬する、又は基板に上記(1)〜(5)のいずれかに記載の炭酸水素水を噴射することにより、基板を洗浄することを特徴とする洗浄方法。
(7)基板を80〜300rpmで回転させ、炭酸水素水に1〜3MHzのメガソニックを印加しながら、前記炭酸水素水を5〜10分間基板に噴射して基板を洗浄することを特徴とする上記(6)記載の洗浄方法。
(8)炭酸水素水を40℃〜85℃で予熱することを特徴とする上記(6)又は(7)記載の洗浄方法。
【発明の効果】
【0011】
本発明の炭酸水素水とこれを使用する洗浄方法は、次のような効果を有する。
(1)水素水に二酸化炭素(CO)を溶解するため、酸でありながら、酸化還元電位が還元力を持ち、特に電気伝導度が高い炭酸水素水となるので、化学薬品を使用しなくても洗浄力の高い洗浄液を得ることができる。
(2)還元力が高い炭酸水素水は、基板洗浄するときに微粒子除去率を高めることができ、しかも還元力が高く、基板に形成したパターンへの酸化膜の形成を抑制し、洗浄効果をさらに高めることができる。
(3)基板を洗浄するときに、炭酸水素水に1〜3MHzのメガソニックを印加した場合、メガソニックエネルギーが基板全体に均一に伝達されるようにして、微粒子除去効率をさらに高めることができる。
(4)特に、炭酸水素水温度を予め設定した温度、例えば、50℃〜85℃で予熱して使用した場合、酸性度と還元力と電気伝導度をさらに高めて酸化膜形成の抑制に加え、微粒子除去を通じて洗浄効果をより一層高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明における水素水の製造に使用できる電気分解装置の例の模式図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の炭酸水素水は、溶存水素濃度が0.1ppm〜2.0ppmである水素水に二酸化炭素を溶解したことを特徴とする。また、本発明の炭酸水素水は、二酸化炭素を溶解させる前記水素水が、pHが5.5〜6.8であり、酸化還元電位が−200mV〜−700mVであり、溶存水素濃度が0.1ppm〜2.0ppmであることが好ましい。前記水素水の酸化還元電位は、−200mV〜−650mVであることがより好ましい。また、本発明の炭酸水素水においては、溶存水素濃度が0.1ppm〜2.0ppmである水素水、あるいは、pH5.5〜6.8、酸化還元電位−200mV〜−700mV及び溶存水素濃度0.1ppm〜2.0ppmの特性を備えた水素水、また前記水素水で酸化還元電位を−200mV〜−650mVとした水素水は、純水若しくは超純水に水素ガスを溶解した水素水、又は純水若しくは超純水を電気分解した水素水であることが好ましい。また、本発明の炭酸水素水は、pHが4.0〜6.8であり、酸化還元電位が−50mV〜−650mVであり、電気伝導度が0.072μS/cm〜80μS/cmであることが好ましい。本発明の炭酸水素水の酸化還元電位は、−300mV〜−650mVがより好ましく、−400mV〜−650mVがさらに好ましい。本発明の炭酸水素水の電気伝導度は、10μS/cm〜80μS/cmがより好ましく、10μS/cm〜60μS/cmがさらに好ましい。このような特性の炭酸水素水は、上記水素水に二酸化炭素を溶解させることにより得ることができる。
【0014】
本発明の洗浄方法は、洗浄する対象は特に限定されるものではないが、半導体ウエハー、有機EL(OLED)、フォトマスク、LCD、ハードディスク等を製作するときに使用する基板等の基板の洗浄に好適に使用できる。本発明の洗浄方法は、洗浄する基板を本発明の炭酸水素水に浸漬する、又は基板に本発明の炭酸水素水を噴射することにより、基板を洗浄することができる。また、本発明の洗浄方法は、基板を80〜300rpmで回転させ、本発明の炭酸水素水に1〜3MHzのメガソニックを印加しながら、前記炭酸水素水を5〜10分間基板に噴射して基板を洗浄することが好ましい。また、本発明の洗浄方法は、本発明の炭酸水素水を40℃〜85℃で予熱して使用することが好ましく、50℃〜85℃で予熱して使用することが更に好ましい。本発明の洗浄方法では、汚染物質である微粒子を除去率80%以上、あるいは90%以上で除去することができる。
【0015】
以下、添付された図面を参照して、本発明の好ましい実施例をより詳細に説明することにする。これに先立ち、本願明細書及び特許請求の範囲で使用される用語や単語は通常的であるか、事前的な意味で限定して解釈されてはならず、発明者は、発明者自身の発明を最高の方法で説明するために用語の概念を適切に定義することができるという原則に基づいて、本発明の技術的思想に符合する意味と概念で解釈されるべきである。
したがって、本願明細書に記載された実施例と図面に図示された構成は、本発明の最も望ましい一実施例に過ぎないだけで、本発明の技術的思想をすべて代弁することではないので、本出願の時点からこれらを代替できる多様な均等物と変形例があり得ることを理解しなければならない。
【0016】
本発明における基板を洗浄する方法では、炭酸水素水を用いて基板を洗浄する。そこで、ここでは炭酸水素水について、まず説明し、利用した洗浄方法については後述する。なお、以下ではpHと酸化還元電位(ORP)、電気伝導度、二酸化炭素濃度、溶存水素濃度は、それぞれ以下の機器で測定した。
(1)pHと酸化還元電位(ORP):TOA DKK社HM−31P
(2)電気伝導度:TOA社 CM−21PW
(3)二酸化炭素濃度:TSI社 7515
(4)溶存水素濃度:TOA DKK社 DH−35A
【0017】
(炭酸水素水の製造)
本発明の炭酸水素水は水素水に二酸化炭素(CO)を溶解して得ることができる。このとき、水素水は、純水、超純水のような電気伝導度が50μS/cm以下の精製水に水素ガスを溶解したり、前記精製水を電気分解して得られた水素水を好適に使用できる。このような水素水としては、溶存水素濃度が0.1ppm〜2.0ppmである水素水が好ましい。さらに、本発明における水素水は、純水、超純水のような電気伝導度が50μS/cm以下の精製水を電気分解して得られた水素水が好ましい。特に、本発明の好ましい実施形態では、このようにして得られた水素水は、pHが5.5〜6.8であり、酸化還元電位(ORP)が−200mV〜−700mVであり、溶存水素濃度が0.1ppm〜2.0ppmであることが好ましい。また、このような水素水に二酸化炭素(CO)を溶解した炭酸水素水は、pHが4.0〜6.8であり、酸化還元電位が−50mV〜−650mVであり、電気伝導度が0.072μS/cm〜80μS/cmであるものが好ましく使用できる。炭酸水素水における二酸化炭素(CO)の濃度は、0.1ppm〜2.0ppmが好ましく、0.5ppm〜2.0ppmがより好ましい。
【0018】
純水、超純水のような電気伝導度が50μS/cm以下の精製水を電気分解して水素水を得る場合、溶存水素濃度が0.1ppm〜2.0ppmである水素水を得ることができれば、その電気分解方法は特に限定されるものではないが、例えば、1枚の陽極板を挟んで2枚の陰極板を設置し、陽極板の一方の陰極板側に陽イオン交換膜を接触して設けると共に、一対の電極板の間(陽極板と一方の陰極板の間、及び陽極板と他方の陰極板の間)に、陽極板側に陽イオン交換膜が接触して設けられた多数の微細な孔が穿設された導電板を設け、さらに、陽極板及び導電板の間、並びに陰極板及び導電板の間にそれぞれ別々に流水して、陰極板及び導電板の間を流通した処利水を利用する電気分解装置(図1)を使用する方法を好適に例示することができる。
【0019】
このように、精製水に水素ガスを溶解したり、精製水を電気分解して得た水素水に二酸化炭素(CO)を溶解して得られた本発明の炭酸水素水は、pHが5.5〜6.8である水素水よりも強いpH4.0〜6.8の酸性を帯び、特に酸化還元電位(ORP)で既存の炭酸水は、酸化力を持つのに対し、本発明の炭酸水素水は還元力(−50mV〜−650mV)を持つようになって基板を洗浄するときに、基板に形成したパターンに酸化膜が生じることを防止する。
【0020】
(基板洗浄)
本発明の炭酸水素水を使用した基板洗浄プロセスの一実施形態は、以下の通りである。まず、基板を所定の回転速度で回転しながら洗浄するスピン洗浄方法で洗浄する。このとき、基板は、好ましくは80〜300rpmの速度で回転させる。一方で、本発明の炭酸水素水は、このように回転する基板に対して、ノズル等を用いて基板表面に噴射される。このとき、炭酸水素水に、1〜3MHzのメガソニックを印加して、高周波エネルギーを持たせることにより、高周波振動などのエネルギーを利用しながら、このエネルギーにより基板全体をまんべんなく洗浄することができる。これらの炭酸水素水の噴射は、5〜10分間続けて行われる。また、他の実施形態として、本発明の炭酸水素水を満たした容器中に基板を浸漬させる方法や、この際、容器中の炭酸水素水に1〜3MHzのメガソニックを印加する方法も挙げられる。
【0021】
これによって、基板表面の有機物や微粒子不純物を除去することにより、歩留まりの向上と品質を向上させることができ、特に化学薬品を使用しないため、リンス工程を経ていないので洗浄工程を単純化することができる。さらに、炭酸水素水の還元力を通じて基板に形成したパターンに酸化膜が形成されることを抑制し、洗浄効果と共に、品質向上を期待することができる。本発明の好ましい実施形態では、本発明の洗浄方法では、炭酸水素水をあらかじめ定めた温度、好ましくは40℃〜85℃、さらに好ましくは50℃〜85℃で予熱して洗浄に用いることが好ましい。これは、炭酸水素水の酸化還元電位がこの範囲で最も高く現れるので、結果的に最も強い還元力を持つからである。
【実施例1】
【0022】
(炭酸水素水の製造例)
まず、超純水を電気分解して水素水を得た。この時の水素水は、pHが6.5であり、酸化還元電位が−683mVであった。続いて、この水素水を密閉容器に入れて、二酸化炭素(CO)を2ppm溶解して炭酸水素水を得た。この時の炭酸水素水は、pHが4.6であり、酸化還元電位(ORP)が−470mVであり、電気伝導度が43.2μS/cmであった。
【0023】
(二酸化炭素濃度による物性変化)
このようにして得られた水素水、及び炭酸水素水の二酸化炭素(CO)の濃度に基づいたpHおよび酸化還元電位(ORP)と電気伝導度の変化を比較した結果は表1の通りである。表1から、二酸化炭素の濃度が高くなることによって、より強い酸性を示し、酸化還元電位は多少落ちるが還元力を持つことができる範囲であり、電気伝導度は急激に高まったことが分かる。
【0024】
【表1】
【実施例2】
【0025】
(基板洗浄の実施例)
オゾン水で酸化したシリコンウエハにAl、CMPスラリーを一つのウエハに5,000個を汚染させた後、基板を80rpmで回転させながら、その表面に実施例1と同様の方法で得られた常温の炭酸水素水(pH4.9、ORP−500mV、電気伝導度18μS/cm)をスプレーノズル方式で噴射した。このとき、炭酸水素水には、2MHzのメガソニックを印加し、噴射時間は8分間続けた。その結果、汚染物質(0.07μm<)は除去率80%以上で除去された。
【産業上の利用可能性】
【0026】
本発明の炭酸水素水は、特に、半導体ウエハー、有機EL(OLED)、フォトマスク、LCD、ハードディスク等を製作するときに使用する基板の洗浄液として好適に使用できる。また、本発明の洗浄方法は、特に、半導体ウエハー、有機EL(OLED)、フォトマスク、LCD、ハードディスク等を製作するときに使用する基板の洗浄に好適に使用できる。
【図1】
【国際調査報告】